説明

物品情報を読出可能な引き出しを備える什器

【課題】 物品に取り付けられたRFIDタグの物品情報を含む電磁波を、電磁遮蔽材から影響を受けることなく読出装置に受信させ、正常に物品情報を読出可能な引き出しを備える什器を提供すること。
【解決手段】 RFIDタグ30が取り付けられた物品14が収納可能になっている引き出し202を備え、この引き出し202には物品情報が記録された前記RFIDタグの情報を読み出す読出装置46が備えられる什器200において、引き出し202は電磁遮蔽材によって構成されるとともに、読出装置46は、引き出しの後面板202aに沿う方向で、かつ前記引き出しの後面板202aと底板202e及び両側面板202b、202cから所定間隔以上離間させて配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品情報が記録されたRFIDタグの情報を読出可能な引き出しを備える什器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、什器に収納された物品の収納状態を管理するために、各物品に物品情報が記録されたRFIDタグを取り付け、RFIDタグの情報を読出装置で読み出し、この読み出した情報に基づいて各物品の収納状態を管理するものが種々に開発されている。尚、RFID(Radio Frequency IDentification、無線による識別)タグとは、記憶部を有するICチップと、記憶部に記憶された情報を送受信可能な無線アンテナと、からなる。
【0003】
この一例として、什器内に収納される物品のRFIDタグに記録される物品情報を什器の棚板に配設した読出装置によって読み出し、この読み出した物品情報に基づいて物品の管理を行うことが出来るようにした什器がある(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−182357号公報(段落0011−0022、図1〜3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記文献1のように什器側で物品情報を読み出すものにおいて、例えば、什器の一部が金属等の電磁遮蔽材(EMS材)で構成されている場合には、この電磁遮蔽材の近傍に読出装置が配設された場合に、読出装置の磁気アンテナから発生される電磁波の磁界の向きに対して、電磁遮蔽材からは磁界が逆向きに発生されることで、読出装置からの電磁波が電磁遮蔽材によって影響されていた。
【0006】
特に電磁遮蔽材で構成された引き出しを備えた什器においては、読出装置の取付位置に苦慮し、最適な取付箇所を見出すことが困難であるとともに、引き出し内に読出装置を備えた場合でも、引き出しを構成する電磁遮蔽材によって読出装置からの電磁波が電磁遮蔽材によって影響されてしまうため、引き出し収納部に収納されるバインダーやファイルケース等の物品に取り付けられたRFIDタグに起電力が発生しにくくなり、RFIDタグに記録される物品情報を含む電磁波の読み取りに不具合が生じることがあった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、物品に取り付けられたRFIDタグの物品情報を含む電磁波を、電磁遮蔽材から影響を受けることなく読出装置に受信させ、正常に物品情報を読出可能な引き出しを備える什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器は、RFIDタグが取り付けられた物品が収納可能になっている引き出しを備え、該引き出しには物品情報が記録された前記RFIDタグの情報を読み出す読出装置が備えられる什器であって、前記引き出しは電磁遮蔽材によって構成されるとともに、前記読出装置は、前記引き出しの後面板に沿う方向で、かつ前記引き出しの後面板と底板及び両側面板から所定間隔以上離間させて配設されることを特徴としている。
この特徴によれば、引き出しを構成する電磁遮蔽材の後面板と底板及び両側面板から、読出装置が常に所定間隔以上離間されるので、読出装置からの電磁波を電磁遮蔽材に影響されることなく、引き出しに収納された物品に取り付けられたRFIDタグに受信させ、RFIDタグからの電磁波を電磁遮蔽材に影響されることなく、正常に読出装置に受信させることができる。
【0009】
本発明の請求項2に記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器は、請求項1に記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器であって、前記後面板から所定間隔以上離間するように、前記読出装置が非電磁遮蔽材からなる後部スペーサに取り付けられたことを特徴としている。
この特徴によれば、読出装置を後部スペーサに取り付けるだけで、常に読出装置と後面板とを所定間隔以上安定して離間させた状態とすることができる。
【0010】
本発明の請求項3に記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器は、請求項1または2に記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器であって、前記読出装置と前記後面板との間に磁性体を介挿させたことを特徴としている。
この特徴によれば、磁性体を読出装置と後面板との間に磁性体を介挿させたことにより、読出装置と後面板との所定間隔の幅を狭めることができるので、引き出しの収納部が広く確保される。
【0011】
本発明の請求項4に記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器は、請求項1乃至3のいずれかに記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器であって、前記RFIDタグの取り付け位置を前記物品が引き出しに収納された際に、前記読出装置側の近傍位置になるようにしたことを特徴としている。
この特徴によれば、引き出しに物品を収納させた際にRFIDタグと読出装置との距離が近づくため、読出装置によるRFIDタグ情報の読み取り精度をより高めることができる。
【0012】
本発明の請求項5に記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器は、請求項1乃至4のいずれかに記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器であって、前記両側面板に、該両側面板から前記RFIDタグを所定間隔以上離間するように非電磁遮蔽材からなる側部スペーサを各々設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、電磁遮蔽材である両側面板に近接して物品を引き出しに収納させた場合であっても、側部スペーサによってRFIDタグと側面板との距離が常に所定間隔以上離間されるので、RFIDタグと読出装置の電磁波の送受信に影響を与えることなく、より確実に読出装置によるRFIDタグの物品情報を受信させることが可能となる。
【0013】
本発明の請求項6に記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器は、請求項5に記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器であって、前記側部スペーサと前記両側面板との間に磁性体を各々介挿させたことを特徴としている。
この特徴によれば、磁性体を側部スペーサと両側面板との間に磁性体を各々介挿させたことにより、側部スペーサと両側面板との所定間隔の幅を狭めることができるので、引き出しの収納部をより広く確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、什器が適用された物品管理システムの構成を示すブロック図および什器群の斜視図であり、図2(a)は、什器から引き出された引き出しを示す組立分解斜視図であり、図2(b)は、読出装置が配設された後部スペーサの要部拡大組立分解斜視図であり、図3は、組み立て完成後の引き出しと、引き出しに収納される物品を示す斜視図であり、図4は、図1の什器の引き出し側の縦断面図であり、図5は、図4のA−A線を示す引き出しの平面断面図である。
【0016】
図1に示されるように、物品が収納される什器1は複数設置(本実施例では3台設置)されており、これら什器1側からは各種信号の送受信を行う信号ケーブルと、電力を供給する給電ケーブルと、を含む通信ケーブル2を介してチューナー等の中継装置11に接続されており、中継装置11は通信ケーブル2を介して什器アンテナ10に接続されている。
【0017】
物品管理システムの管理や運用を行う管理コンピュータ3と、この管理コンピュータ3のデータ入出力やデータ表示を行う入力端末4とが、LANケーブル8を介して(本実施例ではLANを介して)相互接続されるとともに、通信ケーブル2を介して管理アンテナ9に接続されている。
【0018】
一方、入力端末4は通信ケーブル2を介して、物品7に貼付または利用者認証カード6に内蔵されるRFIDタグからの電磁波を受信可能なRFIDリーダ/ライタ5に接続されている。什器アンテナ10と管理アンテナ9とは、無線によって相互接続されており、種々のデータの送受信が行えるようになっている。
【0019】
什器1は従来公知のラテラル式の什器200の上部に書庫100を載置した構成となっており、書庫100には棚板25、26で区画された上棚収納部101と下棚収納部102が形成され、什器200には引き出し201、202、203、204が備えられており、これらの収納部にファイルやカルテ等の書類を収納するファイルケースや書籍等の物品7が収納されている。後で詳述するが、什器1に収納されるファイルケースや書籍等の物品には、個々にRFIDタグが貼付されている。
【0020】
什器200の引き出し201、202、203、204の内部には、後述する読出装置としてのRFIDアンテナが配設されており、RFIDタグからの物品情報を含む電磁波を受信可能になっている。RFIDアンテナは通信ケーブル2に接続され、中継装置11、什器アンテナ10、管理アンテナ9を介して、管理コンピュータ3に接続されており、これら引き出し201、202、203、204に収納されるRFIDタグの物品情報のデータが管理コンピュータ3に送信されることで、管理コンピュータ3で複数の引き出し201、202、203、204に収納される物品の管理を一元的に行えるようになっている。
【0021】
また、什器200には、解錠ランプ215、施解錠装置217、スピーカ216が設けられ、各引き出し201、202、203、204の後述する収納部に対応して、取手220の中央位置に収納部指示ランプ211、212、213、214が設けられており、前述のRFIDアンテナと同様に通信ケーブル2に接続され、中継装置11、什器アンテナ10、管理アンテナ9を介して、管理コンピュータ3に接続されており、管理コンピュータ3で一元的に収納部指示ランプ(211〜214)の点灯、消灯または点滅を制御可能になっている。
【0022】
つまり、管理コンピュータ3からの制御データに基づいて、これらランプの点灯消灯が制御され、例えば、収納部指示ランプ212の点灯に基づいて、引き出し202の場所を利用者に報知可能な構成になっている。なお、引き出し201、202、203、204の各収納部内には後述するバインダーや、ファイルケース等が収納されており、多くの各種書類が保管可能になっている。これら物品には個々にRFIDタグが取り付けられている。
【0023】
なお、本実施例のRFIDアンテナと、物品情報が記録されたRFIDタグには、それぞれ環状のコイル型のアンテナを用いており、RFIDアンテナとRFIDタグのコイル間に誘導されて発生する磁束を利用した電磁誘導方式により交信を行うようになっている。
【0024】
このRFIDアンテナの読み出し周波数は、電磁誘導方式の長波帯(〜135kHz)の周波数(本実施例においては125kHz)を用いているが、本発明は、例えば、電磁誘導方式の短波帯(13.56MHz)や、マイクロ波帯の電波を利用した電波方式のマイクロ波帯(2.45GHz)や、UHF帯(950MHz〜956MHz)等を利用することもでき、棚に載置される物品の形状や交信距離にあわせて、より理想的な環境下に適合した最適な方式と周波数のRFIDアンテナと、該RFIDアンテナと交信可能なRFIDタグを適宜利用するようにすれば良い。
【0025】
次に、RFIDアンテナが配設された引き出し202の構造と、RFIDアンテナとRFIDタグの関係を、図2ないし図5を用いてさらに詳述して説明する。なお、引き出し201、203、204の構造も引き出し202と同様のため一部説明を割愛する。
【0026】
図2(a)に示されるように、引き出し202は取手220および収納部指示ランプ212が設けられた前方の前面板202d(電磁遮蔽材)、後方の後面板202a(電磁遮蔽材)、左右の側面板202b,202c(電磁遮蔽材)、および底板202e(電磁遮蔽材)からなる上部が開口された矩形体で形成され、後述のバインダー等を収納できる収納部210が形成されている。左側面板202bおよび右側面板202cの外面下部位置には、前後に向けて嵌合レール227が延設されている。
【0027】
収納部210内には、後面板202aの内周面に沿うように、非電磁遮蔽材であるプラスチック製の樹脂材で形成された後部スペーサ50を、矢印に示される方向に向けて底板202eに載置させ取り付け可能になっており、同様にして、左側面板202bの内側面に沿うように非電磁遮蔽材である左側部スペーサ60と、右側面板202cの内側面に沿うように非電磁遮蔽材である右側部スペーサ70を、それぞれ矢印に示される方向に向けて取り付け可能になっている。
【0028】
後部スペーサ50の後面板202aに面する側は開口されており、内部に読出装置であるRFIDアンテナ46を収納し、通信ケーブル2が配線可能なアンテナ収納空間52が形成されており、同様に左側部スペーサ60および右側部スペーサ70のそれぞれの側面板202b、202cに面する側も開口され、通信ケーブルのための配線空間62,72が形成されている。
【0029】
後部スペーサ50には、RFIDアンテナ46に接続された通信ケーブル2や他の通信ケーブルを上方に引き出すための配線溝53が形成され、左右端部位置には、通信ケーブル2を挿通させるための配線孔51が形成されている。同様に左側部スペーサ60および右側部スペーサ70の前後端部位置にも、通信ケーブルを挿通させるための配線孔61,71が各々形成されている。
【0030】
後部スペーサ50について具体的に説明すると、図2(b)に示されるようにRFIDアンテナ46の背面中央位置には、通信ケーブル2を接続した接続部47が固着されており、通信ケーブル2を介して中継装置11(図1参照)と接続されている。このRFIDアンテナ46を矢印に示される方向に向けて、アンテナ収納空間52内に移動させながら、RFIDアンテナ46の前面側を後部スペーサ50の前方側裏面に接着剤等で固着させることで取り付けられている。
【0031】
このように、読出装置であるRFIDアンテナ46を後部スペーサ50に取り付けておくことにより、後面板202aに後部スペーサ50を設置するだけで、RFIDアンテナ46を簡便に引き出し202内に配設可能になっている。
【0032】
これら後部スペーサ50および左側部スペーサ60,右側部スペーサ70を引き出し202に取り付けた完成図が図3に示されており、前面板202dおよび底板202e,後部スペーサ50,左側部スペーサ60,右側部スペーサ70に囲繞された収納部210にバインダー14等の物品を収納可能になっている。収納部指示ランプ212には通信ケーブル2が接続され、この通信ケーブル2は前面板202dの裏面に沿って配線され、左側部スペーサ60の配線孔61を介して配線空間62[図2(a)参照]内に配線され、さらに後部スペーサ50の配線孔51を介してアンテナ収納空間52[図2(a)参照]内に配線され、配線溝53から外部に延設されて、中継装置11(図1参照)に接続される。
【0033】
バインダー14の側面一方側には、RFIDタグ30が取り付けられており、このRFIDタグ30の取付位置はバインダー14の底面から上方に向けて、所定間隔(L0)以上離間されるとともに、後部寄りに取り付けられている。そこで、バインダー14を収納部210に収納する際には、矢印に示される方向に移動させながら、常にRFIDタグ30の位置を後部スペーサ50側に向くように収納させることが好ましい。
【0034】
すなわち、RFIDタグ30の取り付け位置を引き出し202の収納部210に収納させた際に、読出装置であるRFIDアンテナ46の近傍位置になるようにすることで、RFIsDタグ30とRFIDアンテナ46との距離が近づくため、RFIDアンテナ46によるRFIDタグ30の物品情報の読み取り精度をより高めることができる。
【0035】
さらに、RFIDタグ30の取り付け位置をバインダー14の底面から所定間隔(L0)以上離間され配置されたことで、バインダー14を収納部210に収納させると、電磁遮蔽材である底板202eからの影響を受けることなく、RFIDタグ30とRFIDアンテナ46の送受信がより正確に行われている。
【0036】
なお、RFIDタグと電磁遮蔽材との間隔については、RFIDアンテナからの電磁波を電磁遮蔽材から影響されることなくRFIDタグに受信させ、RFIDタグからの電磁波を電磁遮蔽材から影響されることなくRFIDアンテナに受信させるために、少なくともRFIDタグと電磁遮蔽材との間隔を40mm以上離間させることが好ましいことが実験的に検証されている。そこで、本実施例においては、バインダー14に配設されるRFIDタグ30と底板202eの間隔(L0)を50mmとした。
【0037】
図4に示されるように、前述した引き出し202や他の引き出し201,203,204が収納される什器200の什器本体1aは、電磁遮蔽材(本実施例ではスチール材)である背面板17、側面板19、底板18、から構成され、正面が開口するように引き出し収納庫200aが形成されている。側面板19には、案内レール226が4段設けられていて、引き出し202の側面に形成された嵌合レール227を案内レール226に摺動可能に嵌合させることで、引き出し202が什器本体1aの内部である引き出し収納庫200aに収納あるいは引き出される。
【0038】
天板16から背面板17かけては、通信ケーブル2が配線されており、天板16の正面部に設けられた解錠ランプ215、そして図1で示されたスピーカ216、施解錠装置217にそれぞれ接続され、これら通信ケーブル2は束ねられて外部に配線され中継装置11に接続されている。
【0039】
背面板17側から什器本体1aの内部に向けて配線された通信ケーブル2は、引き出し202の後面板202a側から配線され、後部スペーサ50内部のRFIDアンテナ46と前面板202dの外部の収納部指示ランプ212にそれぞれ接続配線されている。
【0040】
そして、引き出し202や一部破断図の引き出し203にも示されるように、後面板202aに設けられた後部スペーサ50には、RFIDアンテナ46が所定の位置で配設されており、このRFIDアンテナ46の所定の配設位置とは、引き出し202前方の前面板202dから所定間隔(L1)以上離間され、後方の後面板202aからも所定間隔(L2)で離間されるように配置され、同様に底板202eからも所定間隔(L3)で離間されるように配置される位置である。
【0041】
なお、RFIDアンテナと電磁遮蔽材との間隔については、RFIDアンテナからの電磁波を電磁遮蔽材から影響されることなくRFIDタグに受信させ、RFIDタグからの電磁波を電磁遮蔽材から影響されることなくRFIDアンテナに受信させるために、少なくともRFIDアンテナと電磁遮蔽材との間隔を40mm以上離間させることが好ましいことが実験的に検証されている。
【0042】
そこで、本実施例においては、RFIDアンテナ46と前面板202dとの間隔(L1)を50mmとし、RFIDアンテナ46と後面板202aとの間隔(L2)を50mmとし、RFIDアンテナ46と底板203eとの間隔(L3)を50mmとした。
【0043】
図5に示されるように、引き出し202の収納部210には左右方向に向けて複数のバインダーが複数収納されており、これらバインダー14のRFIDタグ30をRFIDアンテナ46の近傍に位置するように収納することで、RFIDアンテナ46によって複数のRFIDタグ30の物品情報を同時に読み出す際にも読み取りミスの発生を防止でき、正確に物品情報の読み出しが行えるようになっている。
【0044】
さらに、これらバインダー14を収納部210のいずれの位置に収納させた場合であっても、後部スペーサ50によって、RFIDタグ30は常に電磁遮蔽材である後面板202aから所定間隔(L2)以上離間され、さらに、RFIDタグ30は左右の側部スペーサ60,70によって、電磁遮蔽材である左右の側面板202b,202cから所定間隔(L4)以上離間される構成になっている。
【0045】
具体的には本実施例において、後部スペーサ50の前後幅はRFIDアンテナ46と後面板202aとの間隔(L2)が50mm以上離間するように形成され、左右の側部スペーサ60,70の左右幅は、それぞれ左右の側面板202b,202cとの間隔(L4)が50mm以上離間するように形成されている。なお、RFIDアンテナ46の左右端部も左右の側面板202b,202cから所定間隔(L4)以上離間された位置で後部スペーサ50に配設されている。
【0046】
このことから、後面板202aおよび左右の側面板202b,202cに近接して、バインダー14を収納部210に収納させた場合であっても、後部スペーサ50と左右の側部スペーサ60,70によって、RFIDタグ30との距離が常に所定間隔以上離間されるので、RFIDタグ30とRFIDアンテナ46の電磁波の送受信に影響を与えることなく、より確実にRFIDアンテナ46によるRFIDタグ30の物品情報を受信させることが可能となる。
【0047】
以上の説明により実施例1では、引き出し202を構成する電磁遮蔽材である後面板202aと底板202e及び両側面板202b,202c、前面板202dから、読出装置であるRFIDアンテナ46及びRFIDタグ30が常に所定間隔以上離間されるので、RFIDアンテナ46からの電磁波をこれら電磁遮蔽材に影響されることなく、引き出し202の収納部210に収納された物品であるバインダー46に取り付けられたRFIDタグ30に受信させ、RFIDタグ30からの電磁波を電磁遮蔽材に影響されることなく、正常にRFIDアンテナ46に受信させることができる。
【実施例2】
【0048】
次に、本発明の実施例2を図6に基づいて説明する。図6は、引き出しの平面断面図である。なお、以下の実施例2において前述の実施例1と同様の構造部分に関しては、同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略することにする。
【0049】
図6に示されるように、後面板202aに配設された後部スペーサ50’は前後幅が前述した実施例1における後部スペーサ50の前後幅よりも短く形成されており、後面板202aとRFIDアンテナ46の間には磁性体21を介挿させている。この磁性体21は、電磁遮蔽材である後面板202aから発生する磁界がRFIDアンテナ46から発生する電磁波に与える影響を防ぐ特性を有している。そこで、後面板202aとRFIDアンテナ46の前後幅を実施例1の所定間隔(L2)よりも短い所定間隔(L5)に設定している。
【0050】
同様にして、左右の側面板202b,202cに配設された左右の側部スペーサ60’,70’は左右幅が前述した実施例1における左右の側部スペーサ60の左右幅よりも短く形成されており、左右の側面板202b,202cと左右の側部スペーサ60’,70’の間には磁性体21’を介挿させている。この磁性体21’は、電磁遮蔽材である左右の側面板202b,202cから発生する磁界がRFIDアンテナ46とRFIDタグ30とで送受信される電磁波に与える影響を防ぐ特性を有している。そこで、左右の側面板202b,202cと左右の側部スペーサ60’,70’の左右幅を実施例1の所定間隔(L4)よりも短い所定間隔(L6)に設定している。
【0051】
以上の説明により実施例2では、電磁遮蔽材である後面板202aと読出装置であるRFIDアンテナ46との間に磁性体21を介挿させることで、前後の所定間隔幅を狭めることができ、電磁遮蔽材である左右の側面板202b,202cと側部スペーサ60’,70’との間に磁性体21’を介挿させることで、左右の所定間隔幅を狭めることができるので、引き出し202の収納部210を広く確保でき、より多くのバインダー14の物品を収納可能になる。
【0052】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれ、例えば、上記実施例では、RFIDタグ30の取り付け位置をバインダー14の側面側にしているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例1における什器が適用された物品管理システムの構成を示すブロック図および什器群の斜視図である。
【図2】(a)は、什器から引き出された引き出しを示す組立分解斜視図であり、(b)は、読出装置が配設された後部スペーサの要部拡大組立分解斜視図である。
【図3】組み立て完成後の引き出しと、引き出しに収納される物品を示す斜視図である。
【図4】図1の什器の引き出し側の縦断面図である。
【図5】図4のA−A線を示す引き出しの平面断面図である。
【図6】本発明の実施例2における引き出しの平面断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 什器
1a 什器本体
2 通信ケーブル(信号ケーブルと給電ケーブルを含む)
11 中継装置
14 バインダー(物品)
16 天板(電磁遮蔽材)
17 背面板(電磁遮蔽材)
18 底板(電磁遮蔽材)
19 側面板(電磁遮蔽材)
21、21’ 磁性体(電磁波干渉防止部材)
25 上棚収納部の棚板
26 下棚収納部の棚板
30 RFIDタグ
46 RFIDアンテナ(読出装置)
47 接続部
50、50’ 後部スペーサ
51 配線孔
52 アンテナ収納空間
53 配線溝
60、60’ 左側部スペーサ
61 配線孔
62 配線空間
70、70’ 右側部スペーサ
71 配線孔
72 配線空間
100 書庫
101 上棚収納部
102 下棚収納部
200 ラテラル式の什器
200a 引き出し収納庫
201〜204 引き出し
201a〜204a 後面板(電磁遮蔽材)
201b〜204b 左側面板(電磁遮蔽材)
201c〜204c 右側面板(電磁遮蔽材)
201d〜204d 前面板(電磁遮蔽材)
201e〜204e 底板(電磁遮蔽材)
202’ 引き出し
210 物品の収納部(収納部)
211〜214 収納部指示ランプ
215 解錠ランプ
216 スピーカ
217 施解錠装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグが取り付けられた物品が収納可能になっている引き出しを備え、該引き出しには物品情報が記録された前記RFIDタグの情報を読み出す読出装置が備えられる什器であって、前記引き出しは電磁遮蔽材によって構成されるとともに、前記読出装置は、前記引き出しの後面板に沿う方向で、かつ前記引き出しの後面板と底板及び両側面板から所定間隔以上離間させて配設されることを特徴とする物品情報を読出可能な引き出しを備える什器。
【請求項2】
前記後面板から所定間隔以上離間するように、前記読出装置が非電磁遮蔽材からなる後部スペーサに取り付けられた請求項1に記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器。
【請求項3】
前記読出装置と前記後面板との間に磁性体を介挿させた請求項1または2に記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器。
【請求項4】
前記RFIDタグの取り付け位置を前記物品が引き出しに収納された際に、前記読出装置側の近傍位置になるようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器。
【請求項5】
前記両側面板に、該両側面板から前記RFIDタグを所定間隔以上離間するように非電磁遮蔽材からなる側部スペーサを各々設けた請求項1乃至4のいずれかに記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器。
【請求項6】
前記側部スペーサと前記両側面板との間に磁性体を各々介挿させた請求項5に記載の物品情報を読出可能な引き出しを備える什器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−218051(P2006−218051A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33659(P2005−33659)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】