説明

物品検索システム及び物品収納ケース

【課題】 例えば不在配達の郵便物を検索する場合に、その郵便物の位置を特定することができる物品検索システムを提供すること。
【解決手段】 物品に検索用IDが記憶された無線タグ11を貼り付けて、各物品が重なり合うようにして保管しておき、無線タグリーダ12から重なり合うように保管されている物品に対して無線電波を出力し、検索用IDが記憶された無線タグが貼り付けられた物品が存在する場合には、無線タグ11あるいは無線タグリーダ12から音あるいは光によりその位置を知らせるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便局に持ち戻った例えば記録扱い郵便物のような物品を無線タグを利用して検索する物品検索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
郵便物の一つに記録扱い郵便物がある。この記録扱い郵便物は、受取人が不在の場合には郵便局に戻されて保管される。そして後で、受取人が郵便局に出向いたときに、所定の本人確認を行った後に受取人に手渡される。ところで、郵便局に戻された郵便物は所定の棚に収納されて保管されている。このため、受取人が持参した不在配達票に記載されているお知らせ番号をキーとして局員が棚から該当する郵便物を手作業により検索していた。
【0003】
なお、RFID(Radio Frequency Identification)タグが添付された物品を検索する際に、目的とするRFIDタグの方向を光の指し示す方向で、存在する方向を確認することができる物品検索装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−271229
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように郵便局員が手作業により不在配達の郵便物を検索していたため、その作業に時間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、例えば不在配達の郵便物を検索する場合に、その郵便物の位置を特定することができる物品検索システム及び物品収納ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、物品に検索用IDが記憶された無線タグを貼り付けて、各物品が重なり合うようにして保管しておき、無線タグリーダから重なり合うように保管されている物品に対して無線電波を出力し、検索用IDが記憶された無線タグが貼り付けられた物品が存在する場合には、無線タグあるいは無線タグリーダから音あるいは光によりその位置を知らせるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、無線タグリーダから重なり合うように保管されている物品に対して無線電波を出力し、検索用IDが記憶された無線タグが貼り付けられた物品が存在する場合には、音あるいは光によりその位置を知らせるようにしたので、検索対象の物品が重なり合うように保管されていても検索対象の物品を検索することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0009】
まず、図2を参照して無線タグ11の構成について説明する。図2において、無線タグ11は、送受信可能なタグアンテナ21とLSIチップ22とを基板と一体成形した独立の部品であり、再剥離可能である。タグアンテナ21は、矩形状に成形されたループコイル等からなる。LSIチップ22は、タグアンテナ21で受信した変調電波の整流と安定化を行うことによりLSIチップ22の各部に電源を供給する電源生成部23、上記変調電波を復調して制御部26へ送信する復調部24、制御部26から送信されたデータを変調してタグアンテナ21に送信する変調部25、復調部24で復調されたデータのメモリ27への書き込みや、メモリ27から送信データを読み出して変調部25へ送出する制御部26及びメモリ27等で構成されている。なお、制御部26にはランプ(発光素子)28及びブザー29が接続されている。このランプ28及びブザー29は検索されている物品であることを知らせるときに、点灯あるいは報音される。また、この制御部26の動作を図4のフローチャートに示しておく。
【0010】
また、メモリ27には、当該無線タグ13の製造段階で製造業者により割当て設定された固有の無線ID(RFID)を記憶する無線IDエリアと、ユーザで任意のデータを書き込むことができるユーザエリアとが形成されている。
【0011】
次に、無線タグリーダ12の詳細な構成について説明する。31は本無線タグリーダ12を統括して制御する制御部である。この制御部31から送信されたデータは変調部32を介して変調されて平面アンテナ33から出力される。一方、平面アンテナ33で受信された変調電波は復調部34を介して復調されて制御部31に入力される。
【0012】
なお、35は各種データを入力する入力部、36は各種データを表示する表示部である。
【0013】
次に、上記のように構成された本発明の一実施の形態について説明する。受取人が不在のため郵便局に図1(A)に示す郵便物41に対して無線タグ11を貼り付ける処理を行う(図1(C))。
【0014】
ここで、無線タグ11を貼り付ける前に、貼り付ける無線タグ11のRFIDを無線タグリーダ12で読み出す処理を行う(図1(B))。
【0015】
そして、郵便物41にどの無線タグ11を貼り付けたかをホストコンピュータ51に登録する作業を行う。受取人が不在の場合には、郵便局員は不在配達票を受取人の所に置いて来る。その不在配達票には、郵便物を特定するためのお知らせ番号が記載されている。また、郵便局員はお知らせ番号が記載された用紙を郵便物に貼り付けて郵便局に持ち戻る。そして、ホストコンピュータ51に備えられているバーコードリーダ(図示しない)によりその用紙に記載されているお知らせ番号を読み取り、郵便物41に貼り付けられている無線タグ11の固有無線ID(RFID)を無線タグリーダ12で読み取り、固有無線IDとお知らせ番号とをホストコンピュータ51内のメモリに記憶させる処理を行う。このような登録処理が終了した郵便物41は図1(D)に示すように重なり合うように保管されている。
【0016】
次に、受取人が不在配達票を持参して郵便局に郵便物を受け取りに来たときの処理について説明する。
【0017】
まず、郵便局員は不在配達票に記載されているお知らせ番号をホストコンピュータ51から入力する。すると、ホストコンピュータ51は、入力されたお知らせ番号に対応する郵便物に貼り付けられている無線タグ11の固有無線ID(RFID)を前述したメモリから求める。
【0018】
次に、検索すべき郵便物に貼られている無線タグ11の固有無線番号(RFID)が判明すると、このRFIDを検索用IDとして平面アンテナ33から郵便物41に対して問い合わせの無線電波を出力する。
【0019】
郵便物41のタグアンテナ21は受信した変調電波より電力を得て電力を各部に供給する。そして、タグアンテナ21で受信された変調電波より検索用IDとしてのRFIDがメモリ27に記憶されているRDIDと一致するかを判定している(図4のステップS1)。
【0020】
このステップS1において「YES」と判定された場合には、ランプ28が点灯しブザー29が報音される。
【0021】
そして、ランプ28が点灯しブザー29が報音された郵便物41は図1(E)に示すように選別される。そして、このように選別された郵便物41の無線タグ11に記憶されているRFIDを読み出す処理が行なわれる。そして、このRFIDはホストコンピュータ51のメモリから削除する処理が行われる。
【0022】
次に、郵便物41から無限タグ11を剥がす処理が行なわれる(図1(F))。ここで、無線タグ11は再剥離可能に構成されているので、簡単に剥離することができる。そして、このようにして剥がされた無線タグ11は図1(B)に戻って再利用される。
【0023】
以上のように、検索すべき郵便物に無線タグを貼り付けて互いに重なり合うように保管している場合でも音と光により検索している郵便物の位置を知らせることができる。
【0024】
なお、この実施の形態では、無線タグ11は郵便物41の表面に貼り付けられていたが、図5に示すように、ランプ28の部分が側面から見えるように無線11が郵便物41を挟むように貼り付けるようにしても良い。
【0025】
このようにすることにより郵便物41を積み重ねた場合でも、ランプ28を見ることができる。
【0026】
次に、図6を参照して物品収納ケースについて説明する。図6に示すよう、物品収納ケース60の底部は階段状に形成されている。そして、各段部に無線タグ11が貼り付けられた各郵便物41の無線タグが見えるように重なり合って収納されている。
【0027】
以上のように、物品収納ケース60の底部を階段状に形成することにより、郵便物41を互いに重なるように載置しても、必ず無線タグ11に設けられているランプ28を上方から見える位置に配置することができる。
【0028】
なお、上記実施の形態では、検索用IDが記憶されている無線タグを検索した場合には、無線タグ11に設けられたランプ28及びブザー29を駆動するようにしたが、無線タグリーダ12にランプ28及びブザー29を設けておき、これらを駆動するようにしてもよい。
【0029】
また、検索用IDは無線タグ11固有のRFIDに限らず、登録時に無線タグ11のユーザエリアに任意のIDを記憶させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施の形態に係る物品検索システムのシステム構成図。
【図2】同実施の形態に係る無線タグの構成を示す図。
【図3】同実施の形態に係る無線タグリーダの構成を示す図。
【図4】同実施の形態に係る無線タグの動作を説明するためのフローチャート。
【図5】本発明の一実施の形態に係る無線タグの取り付け状態を示す図。
【図6】本発明の一実施の形態に係る物品収納ケースの要部を示す断面図。
【符号の説明】
【0031】
11…無線タグ、12…無線タグリーダ、21…タグアンテナ、26…制御部、27…メモリ、31…制御部、33…平面アンテナ、51…パーソナルコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に検索用IDが記憶された無線タグを貼り付けて、各物品が重なり合うようにして保管しておき、無線タグリーダから重なり合うように保管されている物品に対して無線電波を出力し、検索用IDが記憶された無線タグが貼り付けられた物品が存在する場合には、無線タグあるいは無線タグリーダから音あるいは光によりその位置を知らせるようにしたことを特徴とする物品検索システム。
【請求項2】
前記無線タグは前記物品を挟むように貼り付けられており、物品の側面方向から見える位置に発光素子が取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の物品検索システム。
【請求項3】
底部が階段状に形成され、各段部に無線タグが貼り付けられた各物品の無線タグが見えるように重なり合って収納可能なことを特徴とする物品収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−24018(P2006−24018A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202069(P2004−202069)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】