説明

物品監視システムおよび物品監視方法ならびに送信ユニット、受信ユニットおよび携帯端末装置

【課題】保持者が監視対象物品を所持して移動しあるいは客先などに持参した場合に、保持者の手元から監視対象物品が意思に反して一定の距離以上離脱したことを監視し、警告する。
【解決手段】物品監視システム10は、対象物品本体11に設けられた非接触識別タグ20と物品本体11を収納する収納体12と、収納体12に設けられ非接触識別タグ20に記録された識別情報を読み取るとともに当該物品の保持者が携帯する携帯端末装置50に識別情報を近距離無線通信により送信する送信ユニット30と、携帯端末装置50に接続され、送信ユニット30から送信される識別情報を受信して携帯端末装置50に入力する受信ユニット40と、を備え、携帯端末装置50は、受信ユニット40から取得した前記識別情報に基づいて、物品11が収納体12または携帯端末装置50から所定の距離以上離間したことを検出し、警告情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触識別タグを監視対象の物品に取り付け、非接触識別タグに記録された識別情報を無線通信により読み取り、物品の監視を行う物品監視システムおよび物品監視方法に関するものであり、特に、監視対象の物品を収納する物品収納体に、非接触識別タグに記録された識別情報を読み取るとともに当該物品の保持者が携帯する携帯端末装置に識別情報を与えるために識別情報を、近距離無線通信を用いて送信する送信ユニットと、携帯端末に接続され、送信ユニットから送信される識別情報を受信して携帯端末装置に入力する受信ユニットと、を備え、携帯端末装置は、受信ユニットから取得した識別情報に基づいて、物品が収納体または携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出し、警告情報を出力するようにした物品監視システムおよび物品監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、物流や物品管理の分野において、商品や梱包体などの個体識別のため、バーコードとバーコードリーダを用いた方式に代わり、無線で交信でき、より多くの情報を記録でき、かつ情報の書換えも可能な非接触型識別タグ(非接触ICタグ)を用いたRFID(Radio Frequency Identification)システムの利用が拡大している。
【0003】
RFID素子は、紙、プラスチック、または物品本体などの基材に設けたアンテナパターンと、該アンテナパターンとICチップに内蔵された容量素子とにより、共振回路を形成し、該アンテナパターンを介して、特定の共振周波数で動作する。RFID素子は、基材の形状や用途などにより、非接触ICタグ、無線ICタグなどの名称で表現されており、本明細書においては、これらを代表してRFID素子という。
【0004】
RFID素子を用いた個体識別のためのRFIDシステムは、例えば、下記の特許文献1(特開2003−226434号公報)に開示されている。この特許文献1に開示されたシステムは、荷物が載置された状態で搬送車に積み込まれるように構成された荷物搬送用ボックスに、アクティブ型のRFID素子が取り付けられ、RFID素子には、RFID素子に固有の情報が書き込まれている。固有の情報は、たとえば製造シリアルナンバーである。そして、荷物搬送用ボックスに取り付けられたRFID素子から固有の情報を読み取るためのリーダーを備え、リーダーで読み取った固有の情報に基づいて、荷物搬送用ボックスの個数を管理するように構成したものである。
【0005】
このようなRFIDシステムに用いられるRFID素子およびRFID読取り装置は、例えば、下記の特許文献2(特開2000−49654号公報)にRFIDシステムとして開示されている。この特許文献2に開示されたRFIDシステムは、パッシブ型RFIDシステムに関するものであり、非接触識別タグからの応答電波の受信時または非受信時に応じて、読取装置の質問電波のアンテナ出力電力を次のように設定する制御回路を有するものである。
【0006】
図8に示すブロック図は、この特許文献2に開示された、従来のRFIDシステムの構成を示すブロック図である。このRFIDシステムは質問電波を送信する読取り装置100、読取装置100からの質問電波を受信すると個体識別のための識別情報を含んだ応答電波を返信する非接触識別タグ200から構成されている。読取り装置100は搬送波を生成する送信回路101、搬送波を質問電波として送信すると共に応答電波を受信する送受信アンテナ102、送受信アンテナ102が受信した応答電波から識別情報を取り出す受信回路103を備えている。
【0007】
非接触識別タグ200は、質問電波を受信すると共に応答電波を送信する送受信アンテナ201、送受信アンテナ201が受信した質問電波からクロック信号CLKを生成する受信回路202、質問電波を電力に変換する整流回路203、クロック信号CLKが入力されると識別情報を出力する制御処理回路204、送受信アンテナ201が受信した質問電波に識別情報を多重する送信回路205を備えている。
【0008】
読取り装置100内の送信回路101は、搬送波を送受信アンテナ102へ出力し、送受信アンテナ102はこれを周波数f1の質問電波として送出する。非接触識別タグ200内の整流回路203は、送受信アンテナ201が受信した質問電波を電力に変換する。この電力が供給されることにより、制御処理回路204が動作を開始する。一方、受信
回路202は、送受信アンテナ201が受信した質問電波からクロック信号CLKを生成する。
【0009】
そして、制御処理回路204は、受信回路202からクロック信号CLKが入力されると、図示しない内部の記憶回路から識別情報を読み出す。続いて、送信回路205は、送受信アンテナ201が受信した質問電波を搬送波とし、これに識別情報を多重化して送受信アンテナ201へ出力する。このように、送信回路205にて搬送波を識別情報でFSK変調することにより、その周波数はf1±f2となる。こうして、送受信アンテナ201から周波数f1±f2の応答電波が送信される。次いで、読取り装置100内の受信回路103は、送受信アンテナ102が受信した応答電波から識別情報を取り出す。
【0010】
こうして、非接触識別タグ200からの識別情報が得られることにより、非接触識別タグ200(あるいは非接触識別タグ200が取り付けられた物体)の識別が可能となる。このようなRFIDシステムにおいて、読取り装置100から送信される質問電波は、非接触識別タグ200から読取り装置100へ送信される識別情報の搬送波として用いられると共に、制御処理回路204に駆動用電力を供給する給電波としても用いられる。このように非接触識別タグ200に電池などの電源供給手段を持たないシステムをパッシブRFIDシステムと称している。
【0011】
非接触識別タグは、物品の盗難防止のシステムにも用いられている。例えば、非接触識別タグおよび非接触識別タグに記録された識別情報を読み取るRFID読取り装置を用いた盗難防止を目的とした物品監視システムは、下記の特許文献3(特開2005−38301号公報)に開示されている。
【0012】
この物品監視システムは、盗難監視用リーダからの応答要求信号の出力と監視対象物品品1に取り付けた金属部材によって反射された反射信号の出力とが打ち消しあう位置または前記金属部材と密着する位置にICタグを配置している。従って、通常はICタグを検出することはできないが、監視対象物品が設置場所から移動した場合には反射波がなくなり、また、金属部材とICタグとの密着状態が解消されるため、ICタグ3が応答要求信号を受信し、応答信号を出力することで物品の設置場所からの移動を検出するようにしたものである。
【0013】
【特許文献1】特開2003−226434号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2000−49654号公報(図1、図2)
【特許文献3】特開2005−38301号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
一般に、機密文書や貴金属などの監視を行う目的は、物品の盗難や紛失、置き忘れによる物品保持者からの占有離脱を監視することにある。この場合、監視対象物品が正規に保管されている場所から保持者の意思によらず移動したことを監視する場合と、保持者が監視対象物品を所持して移動したり、客先などに持参した場合に保持者の手元から意思に反して離脱したりしたことを監視する場合がある。
【0015】
しかしながら、上記特許文献3に開示された物品監視システムにおいては、正規の保管場所に保管した物品の盗難や紛失を監視することはできるが、保持者が監視対象物品を所持して移動したり、客先などに持参した場合に保持者の手元から意思に反して離脱したりしたことを監視することはできないという問題点があった。
【0016】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、非接触識別タグを監視対象の物品に取り付け、監視対象の物品を収納する物品収納体に、非接触識別タグに記録された識別情報を読み取るとともに当該物品の保持者が携帯する携帯端末装置に前記識別情報を与えるための近距離無線通信を用いて送信する送信ユニットと、識別情報を受信する受信ユニットと、を備え、携帯端末装置に受信ユニットを接続して識別情報を取得し、携帯端末装置は識別情報に基づいて、監視対象の物品が物品収納体から所定の距離以上離間した場合に、前記携帯端末装置に警告情報を出力するようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0017】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、保持者が監視対象物品を所持して移動しあるいは客先などに持参した場合に、保持者の手元から監視対象物品が意思に反して一定の距離以上離脱したことを監視し、警告することのできる物品監視システムおよび物品監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
監視対象の物品と、当該物品に設けられ当該物品の識別情報を記録した非接触識別タグと、前記非接触識別タグから読み出した識別情報に基づいて、当該物品の監視を行う物品監視システムにおいて、
前記物品監視システムは、前記監視対象の物品を収納する収納体と、当該収納体に設けられ、前記非接触識別タグに記録された識別情報を読み取るとともに当該物品の保持者が携帯する携帯端末装置に前記識別情報を与えるために前記識別情報を近距離無線通信により送信する送信ユニットと、前記携帯端末装置に接続され、送信ユニットから送信される前記識別情報を受信して前記携帯端末装置に入力する受信ユニットと、を備え、
前記携帯端末装置は、前記受信ユニットから取得した前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出し、警告情報を出力することを特徴とする。
【0019】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる物品監視システムにおいて、
前記送信ユニットは、前記非接触識別タグに記録された識別情報を第1の近距離無線通信周波数で受信して読み取る識別情報読み取り手段と、前記読み取り手段が読み取った識別情報を第2の近距離無線通信周波数で送信する近距離無線通信モジュールと、前記識別情報読み取り手段が読み取った識別情報を処理して前記近距離無線通信モジュールに供給するマイクロコントローラと、を備えたことを特徴とする。
【0020】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項2にかかる物品監視システムにおいて、
前記受信ユニットは、前記送信ユニットが前記第2の近距離無線通信周波数で送信した識別情報を受信する近距離無線通信モジュールと、前記近距離無線通信モジュールで受信した識別情報を処理して前記携帯端末装置に供給するためのマイクロコントローラと、を備えたことを特徴とする。
【0021】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかる物品監視システムにおいて、
前記携帯端末装置は、前記受信ユニットを接続する接続手段と、前記受信ユニットから供給される前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、警告情報を出力することを特徴とする。
【0022】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項2にかかる物品監視システムにおいて、
前記識別情報読み取り手段は、非接触識別タグからの応答電波を検波しRFベースバンド信号を出力する検波回路と、前記検波回路から出力されたRFベースバンド信号を増幅し、ロジックレベルのRF出力信号を出力する増幅回路と、前記増幅回路から出力されたRF出力信号から前記非接触識別タグに記録された個体識別情報を抽出する演算処理回路と、を備え、前記増幅回路はベースをRFベースバンド信号の入力端子とし、コレクタを増幅出力端子とし、エミッタを接地したトランジスタからなる増幅段と、前記コレクタに接続されたインダクタンスとコンデンサとの並列回路からなる並列共振回路とから構成されたことを特徴とする。
【0023】
また、本願の請求項6にかかる発明は、
監視対象の物品と、当該物品に設けられ当該物品の識別情報を記録した非接触識別タグと、前記非接触識別タグから読み出した識別情報に基づいて、当該物品の監視を行う物品監視システムを用いた物品監視方法において、
前記物品監視システムは、前記監視対象の物品を収納する収納体と、当該収納体に設けられ、前記非接触識別タグに記録された識別情報を読み取るとともに当該物品の保持者が携帯する携帯端末装置に前記識別情報を与えるために前記識別情報を、近距離無線通信により送信する送信ユニットと、前記携帯端末装置に接続され、送信ユニットから送信される前記識別情報を受信して前記携帯端末装置に入力する受信ユニットと、を備え、
前記携帯端末装置は、前記受信ユニットから取得した前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出し、警告情報を出力することを特徴とする。
【0024】
また、本願の請求項7にかかる発明は、
監視対象の物品と、当該物品に設けられ当該物品の識別情報を記録した非接触識別タグと、前記監視対象の物品を収納する収納体と、当該収納体に設けられ、前記非接触識別タグに記録された識別情報を読み取るとともに当該物品の保持者が携帯する携帯端末装置に前記識別情報を与えるために前記識別情報を近距離無線通信により送信する送信ユニットと、前記携帯端末装置に接続され、送信ユニットから送信される前記識別情報を受信して前記携帯端末装置に入力する受信ユニットと、を備え、前記携帯端末装置は、前記受信ユニットから取得した前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出し、警告情報を出力する物品監視システムを構成する、前記送信ユニットであって、
前記送信ユニットは、前記非接触識別タグに記録された識別情報を第1の近距離無線通信周波数で受信して読み取る識別情報読み取り手段と、前記読み取り手段が読み取った識別情報を第2の近距離無線通信周波数で送信する近距離無線通信モジュールと、前記識別情報読み取り手段が読み取った識別情報を処理して前記近距離無線通信モジュールに供給するマイクロコントローラと、を備えたことを特徴とする。
【0025】
本願の請求項8にかかる発明は、請求項7にかかる送信ユニットシステムにおいて、
前記識別情報読み取り手段は、非接触識別タグからの応答電波を検波しRFベースバンド信号を出力する検波回路と、前記検波回路から出力されたRFベースバンド信号を増幅し、ロジックレベルのRF出力信号を出力する増幅回路と、前記増幅回路から出力されたRF出力信号から前記非接触識別タグに記録された個体識別情報を抽出する演算処理回路と、を備え、前記増幅回路はベースをRFベースバンド信号の入力端子とし、コレクタを増幅出力端子とし、エミッタを接地したトランジスタからなる増幅段と、前記コレクタに接続されたインダクタンスとコンデンサとの並列回路からなる並列共振回路とから構成されたことを特徴とする。
【0026】
また、本願の請求項9にかかる発明は、
監視対象の物品と、当該物品に設けられ当該物品の識別情報を記録した非接触識別タグと、前記監視対象の物品を収納する収納体と、当該収納体に設けられ、前記非接触識別タグに記録された識別情報を第1の近距離無線通信周波数で受信して読み取るとともに当該物品の保持者が携帯する携帯端末装置に前記識別情報を与えるために前記識別情報を近距離無線通信により送信する送信ユニットと、前記携帯端末装置に接続され、送信ユニットから送信される前記識別情報を受信して前記携帯端末装置に入力する受信ユニットと、を備え、前記携帯端末装置は、前記受信ユニットから取得した前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出し警告情報を出力する物品監視システムを構成する、前記受信ユニットであって、
前記受信ユニットは、前記送信ユニットが第2の近距離無線通信周波数で送信した識別情報を受信する近距離無線通信モジュールと、前記近距離無線通信モジュールで受信した識別情報を処理して前記携帯端末装置に供給するためのマイクロコントローラと、を備えたことを特徴とする。
【0027】
また、本願の請求項10にかかる発明は、
監視対象の物品と、当該物品に設けられ当該物品の識別情報を記録した非接触識別タグと、前記監視対象の物品を収納する収納体と、当該収納体に設けられ、前記非接触識別タグに記録された識別情報を読み取るとともに当該物品の保持者が携帯する携帯端末装置に前記識別情報を与えるために前記識別情報を近距離無線通信により送信する送信ユニットと、前記携帯端末装置に接続され、送信ユニットから送信される前記識別情報を受信して前記携帯端末装置に入力する受信ユニットと、を備え、前記携帯端末装置は、前記受信ユニットから取得した前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出し、警告情報を出力する物品監視システムを構成する、前記携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置は、前記受信ユニットを接続する接続手段と、前記受信ユニットから供給される前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、警告情報を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1にかかる発明においては、物品監視システムは、前記監視対象の物品を収納する収納体と、当該収納体に設けられ、前記非接触識別タグに記録された識別情報を読み取るとともに当該物品の保持者が携帯する携帯端末装置に前記識別情報を与えるために前記識別情報を近距離無線通信により送信する送信ユニットと、前記携帯端末装置に接続され、送信ユニットから送信される前記識別情報を受信して前記携帯端末装置に入力する受信ユニットと、を備え、前記携帯端末装置は、前記受信ユニットから取得した前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出し、警告情報を出力する。
【0029】
このような構成によれば、保持者が監視対象物品を所持して移動したり、客先などに持参した場合に保持者の手元から意思に反して離脱したりしたことを監視することができるようになる。警告距離は近距離無線通信の通信範囲以内であるから、警告出力を受けて置き忘れた場所に直ちに戻り監視対象物品を回収することができるようになる。
【0030】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる物品監視システムにおいて、送信ユニットは、前記非接触識別タグに記録された識別情報を第1の近距離無線通信周波数で受信して読み取る識別情報読み取り手段と、前記読み取り手段が読み取った識別情報を第2の近距離無線通信周波数で送信する近距離無線通信モジュールと、前記識別情報読み取り手段が読み取った識別情報を処理して前記近距離無線通信モジュールに供給するマイクロコントローラと、を備える。
【0031】
このような構成によれば、送信ユニットは監視対象物品を収納する収納体に設けられ、監視対象物品本体に設けた非接触識別タグから識別情報を読み取り、この識別情報を近距離無線通信モジュールルによって受信ユニットに送信するから、監視対象物品が収納体から所定の距離以上離れたことを検出することができるようになる。
【0032】
請求項3にかかる発明においては、請求項2にかかる物品監視システムにおいて、前記受信ユニットは、前記送信ユニットが前記第2の近距離無線通信周波数で送信した識別情報を受信する近距離無線通信モジュールと、前記近距離無線通信モジュールで受信した識別情報を処理して前記携帯端末装置に供給するためのマイクロコントローラと、を備える。
【0033】
このような構成によれば、収納体に設けた送信ユニットから監視対象物品の識別情報を受信し、携帯端末装置に識別情報を供給するから、収納体が受信ユニットを接続した携帯端末装置から所定の距離以上離間したことを検出することができるようになる。
【0034】
請求項4にかかる発明においてはと、請求項1にかかる物品監視システムにおいて、前記携帯端末装置は、前記受信ユニットを接続する接続手段と、前記受信ユニットから供給される前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、警告情報を出力する。
【0035】
このような構成によれば、携帯端末装置は受信ユニットを接続し、収納体に設けた送信ユニットから監視対象物品の識別情報を受信するから、収納体と監視対象物品の保持者が所定の距離以上離間したことを検出することができ、警告を出力することができるようになる。
【0036】
請求項5にかかる発明においは、請求項2に記載の物品管理システムにおいて、前記識別情報読み取り手段は、非接触識別タグからの応答電波を検波しRFベースバンド信号を出力する検波回路と、前記検波回路から出力されたRFベースバンド信号を増幅し、ロジックレベルのRF出力信号を出力する増幅回路と、前記増幅回路から出力されたRF出力信号から前記非接触識別タグに記録された個体識別情報を抽出する演算処理回路と、を備え、前記増幅回路はベースをRFベースバンド信号の入力端子とし、コレクタを増幅出力端子とし、エミッタを接地したトランジスタからなる増幅段と、前記コレクタに接続されたインダクタンスとコンデンサとの並列回路からなる並列共振回路とから構成される。
【0037】
このような構成によれば、後段のマイクロコントローラで必要とされる十分な振幅を持ったロジックレベルの増幅出力が得られるからコンパレータ回路などのような変換回路を必要とせず、ボタン電池など、電力の小さい電池で送信ユニット40全体を駆動することができるようになる。
【0038】
請求項6にかかる発明においては請求項1にかかる物品監視システムを用いた物品監視方法を提供することができるようになり、請求項7、請求項8にかかる発明においては、それぞれ請求項1、請求項5にかかる物品監視システムを構成する送信ユニットを提供することができるようになる。また、請求項9、請求項10にかかる発明においては、それぞれ請求項1にかかる物品監視システムを構成する受信ユニット、携帯端末装置を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための物品監視システムを例示するものであって、本発明をこの実施例の物品監視システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の物品監視システムにも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0040】
図1は、本発明の実施例にかかる物品監視システム10の構成を示すシステム構成図である。なお、本実施例においては監視対象物品をターゲットといい、監視対象物品に設けたRFIDなどの非接触識別タグに記録された識別情報をターゲットデータということとする。
【0041】
物品監視システム10は、監視対象物品品であるターゲット本体11とターゲット本体を収納するターゲット収納体とを備えており、ターゲット本体11には該ターゲット本体を識別する識別情報を記録した非接触識別タグが取り付けられ、ターゲット収納体12には、非接触識別タグ(RFID20)に記録された識別情報を読み取るとともに当該ターゲット11の保持者が携帯する携帯端末装置50に前記識別情報を無線送信するターゲットデータ送信ユニット30が取り付けられている。
【0042】
ターゲット本体11は、例えば機密文書であり、ターゲット収納体12は機密文書を収納する文書フォルダーである。またRFID20に記録されるターゲット情報(識別情報)は、当該機密文書の文書ID、文書発行者ID、文書を保持する権限を有する保有者IDなど機密文書とその管理権限、利用権限を特定することのできる情報が記録されている。
【0043】
ターゲットデータ送信ユニット30は、RFID20に記録されたターゲットデータを読み取り、このターゲットデータを、近距離無線通信を用いて送信する。また、物品監視システム10は、ターゲット11を保持する保持者が常時携帯する携帯電話などの携帯端末装置50にUSBインタフェースなどを用いて接続されるターゲットデータ受信ユニット40を備え、携帯端末装置50には物品監視アプリケーョンが搭載されている。
【0044】
ターゲットデータ受信ユニット40は、ターゲットデータ送信ユニット30からターゲットデータを受信する。ターゲットデータ送信ユニット30とターゲットデータ受信ユニット40とは、近距離無線通信を用いてターゲットデータの送受信をするものであるから、ターゲットデータ送信ユニット30が一定の警告距離以上離れると、ターゲットデータ受信ユニット40はターゲットデータを受信できなくなる。また、RFID20とターゲットデータ送信ユニット30が一定の距離以上離れると、ターゲットデータ送信ユニット30はターゲットデータを読み取ることができなくなり、ターゲットデータを送信できなくなる。
【0045】
監視対象の物品を保持して客先に移動する場合、ターゲット本体11をターゲット収納体12に収納して、保持者は携帯端末装置50にターゲットデータ受信ユニット40をUSBインタフェースに接続し、携帯端末装置50の物品監視アプリケーョシンを起動してターゲットデータ受信ユニット40から受信したターゲットデータを登録しておく。その後の移動中、客先、あるいは客先からの帰路では、携帯端末装置50の物品監視アプリケーョシンを起動しておく。
【0046】
このようにしておくと、ターゲットデータ送信ユニット30(ターゲット収納体12)とターゲットデータ受信ユニット40(携帯端末装置50:監視対象物品品の保持者)が一定の警告距離以上離れるか、あるいは、RFID20(ターゲット本体11)とターゲットデータ送信ユニット30(ターゲット収納体12)とが一定の距離以上離れると、携帯端末装置50は登録したターゲットデータを受信できなくなるので、携帯端末装置50が所定の時間間隔でターゲットデータの受信確認をすれば、ターゲット本体11やターゲット収納体12が保持者の周辺から一定の距離以上離脱したことを警告することができるようになる。
【0047】
近距離無線通信の通信距離は方式によって異なるが、一般的には10m前後であり、客先に監視対象物品を置き忘れたりしても、客先を離れる前に携帯端末装置50から警告を受けるに十分である。また、ターゲットデータ送信ユニット30やターゲットデータ受信ユニット40の送受信レベル(電波強度)を設定したり、あるいは、携帯端末装置50に搭載する物品監視アプリケーションに設定機能を持たせたりすれば、任意の距離を物品監視の距離として設定することができる。
【0048】
図2は、ターゲットデータ送信ユニット30(以下、単に送信ユニット30という)の構成を示すブロック図である。送信ユニット30は、RFIDタグ20に記録された識別情報を読み取る識別情報読み取り装置であるRFIDリーダライタ31、マイクロコントローラ32、近距離無線通信モジュール33を備えて構成されている。RFIDリーダライタ31は、RFIDタグ20から識別情報を読み取るものであり、その詳細な構成については後述する。RFIDタグ20からの識別情報は、一般的なRFIDシステムで用いられる標準的な規格に適合した無線周波数、例えば、13.56MHzの周波数で送信される。この周波数を第1の周波数という。
【0049】
RFIDリーダライタ31によってRFIDタグ20から読み取られた識別情報はマイクロコントローラ32で処理され、近距離無線通信モジュール33から出力される。近距離無線通信モジュール33が通信に用いる無線周波数は、RFIDタグ20が通信に用いる無線周波数とは異なる第2の周波数、例えば、2.4GHzの周波数で送信される。この無線周波数は、近距離無線通信モジュール33に用いられる通信方式によって異なる。
【0050】
この送信ユニット30から送信された識別情報(RFIDタグ20から読み出された識別情報)は、受信ユニット40で受信され、監視対象の物品を保持する利用者が常時携帯する携帯端末50に送信される。この受信ユニット40は、近距離無線通信モジュール41と、マイクロコントローラ42を備えて構成されており、近距離無線通信モジュール41で送信ユニット30から近距離無線通信により送信された識別情報を受信する。この識別情報はマイクロコントローラ42で処理され携帯端末装置50に送られる。
【0051】
また、この受信ユニット40はUSBインタフェースを用いて携帯端末装置50に接続可能さに構成され、携帯端末装置50はUSBイタフェースを介して受信ユニット40を接続し、RFIDタグ20から読み取られた識別情報を送信ユニット30、受信ユニット40を経由して取得することができる。
【0052】
ターゲット本体11がターゲット収納体12から一定の距離(警告距離A)以上離れると、ターゲット収納体12に設けられた送信ユニット30(RFIDリーダライタ31)はターゲット本体11に設けられたRFIDタグ20から識別情報を読み取れなくなり、受信ユニット40が識別情報を受信できなくなる。
【0053】
また、ターゲット本体11がターゲット収納体12に収納された状態で、送信ユニット30(RFIDリーダライタ31)がターゲット本体11に設けられたRFIDタグ20から識別情報を読み取っても、ターゲット収納体12が受信ユニット40(受信ユニット40を接続した携帯端末装置50)から一定の距離(警告距離D)以上離れると、受信ユニット40が送信ユニット30から識別情報を受信できなくなる。
【0054】
携帯端末装置50には、物品監視アプリケーョンが搭載されており、監視対象の物品を持って外出する利用者が常時携帯する、例えば、携帯電話などの端末装置である。利用者がターゲット本体11、ターゲット収納体12を保持して外出する場合、携帯端末装置50に受信ユニット40を接続して物品監視アプリケーションを起動し、先ず、ターゲット本体11に設けられたRFIDタグ20から識別情報を受信し、この識別情報を監視対象物品の情報として登録する。
【0055】
そして利用者は、物品監視アプリケーションを起動したまま外出する。携帯端末装置50は、外出先においてターゲット本体11のRFIDタグ20から一定の周期で識別情報を受信して、登録してある識別情報との一致を確認する。受信ユニット40から識別情報が取得できずに登録してある識別情報との一致確認ができない場合は、受信ユニット40すなわち、携帯端末装置50とターゲット収納体12とが警告距離Dを超えて離間したか、あるいは、ターゲット本体11がターゲット収納体12から警告距離Aを超えて離間したか、の何れかである。
【0056】
物品監視アプリケーションは、受信ユニット40から識別情報が取得できずに登録してある識別情報との一致確認ができない場合は、警告情報を出力する制御を行う。警告情報の出力方法は、携帯端末装置50からの音声、振動、あるいは、予め設定されたメールアドレスへの警告メール送信など、種々の方法を採ることができる。携帯端末装置50が携帯電話である場合には、着信時に利用される音声出力機能や振動機能を用いることができる。
【0057】
ターゲット本体11に設けるRFIDタグ20に記録される識別情報は、通常の物品管理システムで記録される識別情報と同様の情報であってよい。例えば、ターゲット本体11を識別する文書番号などのID、管理責任者ID、ターゲット収納体12を識別する文書フォルダ番号などのID、ターゲット本体11の保持が認められた利用者のID、などであり、物品管理システムのRFIDタグ発行機器によってRFIDタグ20に書き込まれるものである。
【0058】
次に、本発明の実施例にかかる携帯端末装置50の動作手順を説明する。図4は、本発明の実施例にかかる物品監視システム10に用いられる携帯端末装置50の初期設定の動作手順を示すフローチャートであり、図5は、本発明の実施例にかかる物品監視システム10に用いられる携帯端末装置50の監視動作手順を示すフローチャートである。
【0059】
図4に示すように、利用者がターゲット本体11、ターゲット収納体12を保持して外出する場合、携帯端末装置50に受信ユニット40を接続して物品監視アプリケーションを起動して初期設定を行う。先ず、ステップS101の処理において、警告距離の設定を行う。次いで、ステップS102の処理において、警告アクション、すなわち、警告情報の出力方法、例えば、音声出力あるいは振動出力を設定する。次いで、ステップS103の処理において、警告情報をメール送信する場合のメールアドレスなどの警告送信先を設定する。これらの設定は物品監視アプリケーションにより表示画面に表示されるメニュー画面で必要な項目を選択し、あるいは、テキスト入力することによって行う。
【0060】
以上の初期設定によって、警告距離および警告情報の出力方法が設定される。そして、利用者がターゲット本体11、ターゲット収納体12を保持して外出する場合、携帯端末装置50に受信ユニット40を接続して物品監視アプリケーションを起動し、先ず、ステップS201の処理において、携帯端末装置50は、ターゲット本体11に設けられたRFIDタグ20から識別情報を受信し、この識別情報を監視対象物品の情報として登録する。この時、以前に登録された監視対象物品の識別情報が保存されていることがあるので、登録データをイニシャライズして、新たな識別情報を登録する。
【0061】
次に、携帯端末装置50はステップS202において、受信ユニット40がターゲットデータ(識別情報)受信のタイミングか否かを判定する。所定の受信タイミングに達していなければステップS202の処理を繰り返し、所定の受信タイミングに達していたらステップS203の処理に進み、受信ユニット40からターゲットデータ(識別情報)を取得する。
【0062】
そして、携帯端末装置50はステップS204の処理において、識別情報の受信に成功したか否かを判定する。受信成功とは、受信ユニット40から識別情報を取得し、登録された識別情報との一致を確認できた状態をいう。識別情報を取得できず、登録された識別情報との一致が確認できなかった場合は受信不成功である。識別情報が取得できて、登録された識別情報と一致しない場合はイニシャライズの失敗などのエラーであり、エラー情報を出力する。
【0063】
ステップS204の判定処理において識別情報の受信成功(登録識別情報と一致)と判定された場合、携帯端末装置50はステップS202に戻り、次の識別情報の受信タイミングを待つ。一方、ステップS204の判定処理において識別情報の受信不成功であった場合には、ターゲット本体11あるいはターゲット本体11を収納したターゲット収納体12が携帯端末装置50から警告距離以上離れたことになるから、携帯端末装置50は、初期設定において設定した方法で警告出力を行う。
【0064】
これによって、保持者が監視対象物品を所持して移動したり、客先などに持参した場合に保持者の手元から意思に反して離脱したりしたことを監視することができるようになる。警告距離は近距離無線通信の通信範囲以内であるから、警告出力を受けて置き忘れた場所に直ちに戻り監視対象物品を回収することができるようになる。
【0065】
図6は、送信ユニット30を構成するRFIDリーダライタ31の詳細な構成を示すブロック図、図7は、RFIDリーダライタ31の増幅回路の構成を示す回路図である。
アンテナ11aは非接触識別タグ(図示せず)からの送信電波を受信する。アンテナ11aで受信した電波は検波回路12aに入力され搬送波が除去される。検波回路12aで搬送波を除去されたRFベースバンド信号は増幅回路13aに入力され、増幅される。この増幅回路は後述するように、少ない素子数で所定の増幅率が得られ、また、ロジックレベルへの変換を行う高周波コンパレータを必要としない振幅の増幅信号を得ることができる回路構成としている。
【0066】
増幅回路13で増幅されたRF信号は十分な振幅を持った信号として出力されるから、演算処理回路(CPU)14aに入力することができ、演算処理回路14aは入力されたRF信号を処理して非接触識別タグに記録された個体識別情報を得ることができる。従って、従来のRF読取り装置10aのように増幅回路の後段において増幅された出力信号を演算処理回路が処理可能なロジックレベルの信号に変換するための高周波コンパレータ回路を必要としない。
【0067】
一方、送信ドライバ・変調回路16aは、非接触識別タグ20に記録された個体識別情報を読み取るための質問信号を生成する。マイクロコントローラ(CPU)14aは送信ドライバ・変調回路16aに変調信号を供給し、送信ドライバ・変調回路16aは、共振器15aから供給される搬送波を変調してRF質問信号を生成する。送信ドライバ・変調回路16aにより生成されたRF質問信号はアンテナ11aの入力巻線に接続される共振回路17aに入力され、アンテナ11aを介し非接触識別タグ20に送信される。
【0068】
図7は、図6における増幅回路13aの詳細な構成を示す回路構成図である。この増幅回路13aは増幅用のトランジスタQ1のコレクタを増幅出力端子32aとするトランジスタ増幅段301を備えている。そして増幅用トランジスタQ1のコレクタにコンデンサC2とインダクタンスL1から構成された並列共振回路302を接続している。増幅段301はトランジスタQ1のエミッタを、抵抗R3を介して接地(GNDに接続)したエミッタ接地型の増幅回路である。電源端子33aには電源電圧Vccが加えられる。トランジスタQ1のベースは直列接続された抵抗R1、R2の接続点に接続され、コンデンサC1を介して入力端子31aに接続されている。抵抗R1、R2の直列回路の両端は電源VccとGNDに接続されている。
【0069】
検波回路12aから出力されたRFベースバンド信号は、入力端子31aに入力され、トランジスタQ1で増幅される。入力端子31aと出力端子32aには入力波形と増幅後の出力波形が示されている。トランジスタQ1による増幅時に、C2、L1からなる並列共振回路302はRFベースバンド入力の周波数に共振し、共振時のインピーダンスは理想的にはほぼ無限大となり、非常に大きな増幅率を得ることができる。そして、インダクタンスL1の逆起電力により、通常のトランジスタQ1にて得られる増幅出力の2倍の増幅出力(出力端子32aの波形を参照)を得ることができる。
【0070】
従って、後段のマイクロコントローラ(CPU)14aで必要とされる十分な振幅を持ったロジックレベルの増幅出力が得られるからコンパレータ回路などのような変換回路は必要としない。このため、ボタン電池など、電力の小さい電池で送信ユニット40全体を駆動することができるようになる。
【0071】
増幅回路13aは、以上のような回路であるから次のような利点を有する。すなわち、
(1)高周波のRF信号を、目的とする増幅率で増幅するために、LCによる並列共振回路302を有する1段のトランジスタ増幅段301を用いるだけですみ、特別な素子が必要なく、部品精度による影響も少ない。
(2)多段増幅によるカップリング用コンデンサが少ないため信号の歪みが小さい。
(3)増幅回路そのものの構成がバンドパスフィルターとなっているため、信号対ノイズ比(S/N比)がよく、別にパンドパスフィルター回路を設ける必要もない。
(4)増幅段のトランジスタQ1の動作が、ON−OFF動作に近い動作になるため、周囲の温度の変化による影響を受けない。また、部品定数に対する許容範囲が広く定数変化の影響を受けにくい。
(5)また、部品の定数変化の影響をうけないので経年変化により部品の定数変化があっても性能が劣化しない。
(6)上記(4)のように増幅段のトランジスタQ1の動作が、ON−OFF動作に近い動作になるから、アイドル電流が必要なく、電力消費が小さい。
(7)インダクタンスL1の逆起電力により通常のトランジスタQ1にて得られる増幅出力の2倍の増幅出力を得ることができる。従って、後段のマイクロコントローラ(CPU)14aで必要とされる十分な振幅を持ったロジックレベルの増幅出力が得られるからコンパレータ回路などのような変換回路を必要としない。
【0072】
増幅トランジスタQ1のコレクタ(出力端子32a)から出力される増幅出力は、マイクロコントローラ(CPU)14aで処理され、非接触識別タグに記録された個体識別情報を読取り、外部の利用装置に提供される。この時、増幅出力は先に述べたように十分な振幅を持ったロジックレベルの信号になっているから、マイクロコントローラ(CPU)14aで直接処理することができる。
【0073】
以上、詳細に説明したように本発明にかかる物品監視システムによれば、保持者が監視対象物品を所持して移動したり、客先などに持参した場合に保持者の手元から意思に反して離脱したりしたことを監視することができるようになる。警告距離は近距離無線通信の通信範囲以内であるから、警告出力を受けて置き忘れた場所に直ちに戻り監視対象物品を回収することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施例にかかる物品監視システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】ターゲットデータ送信ユニット(送信ユニット)の構成を示すブロック図である。
【図3】ターゲットデータ受信ユニット(受信ユニット)の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例にかかる物品監視システムに用いられる携帯端末装置の初期設定の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例にかかる物品監視システムに用いられる携帯端末装置の監視動作手順を示すフローチャートである。
【図6】送信ユニットを構成するRFIDリーダライタの詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】RFIDリーダライタの増幅回路の構成を示す回路図である。
【図8】従来のRFIDシステムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0075】
10・・・・物品監視システム
11・・・・ターゲット本体(監視対象物品本体)
12・・・・ターゲット収納体(監視対象物品収納体)
20・・・・RFIDタグ(非接触識別タグ)
30・・・・ターゲットデータ送信ユニット(送信ユニット)
31・・・・RFIDタグリーダライタ
32・・・・マイクロコントローラ
33・・・・近距離無線通信モジュール
40・・・・ターゲットデータ受信ユニット(受信ユニット)
41・・・・近距離無線通信モジュール
42・・・・マイクロコントローラ
50・・・・携帯端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の物品と、当該物品に設けられ当該物品の識別情報を記録した非接触識別タグと、前記非接触識別タグから読み出した識別情報に基づいて、当該物品の監視を行う物品監視システムにおいて、
前記物品監視システムは、前記監視対象の物品を収納する収納体と、当該収納体に設けられ、前記非接触識別タグに記録された識別情報を読み取るとともに当該物品の保持者が携帯する携帯端末装置に前記識別情報を与えるために前記識別情報を近距離無線通信により送信する送信ユニットと、前記携帯端末装置に接続され、送信ユニットから送信される前記識別情報を受信して前記携帯端末装置に入力する受信ユニットと、を備え、
前記携帯端末装置は、前記受信ユニットから取得した前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出し、警告情報を出力することを特徴とする物品監視システム。
【請求項2】
前記送信ユニットは、前記非接触識別タグに記録された識別情報を第1の近距離無線通信周波数で受信して読み取る識別情報読み取り手段と、前記読み取り手段が読み取った識別情報を第2の近距離無線通信周波数で送信する近距離無線通信モジュールと、前記識別情報読み取り手段が読み取った識別情報を処理して前記近距離無線通信モジュールに供給するマイクロコントローラと、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の物品監視システム。
【請求項3】
前記受信ユニットは、前記送信ユニットが前記第2の近距離無線通信周波数で送信した識別情報を受信する近距離無線通信モジュールと、前記近距離無線通信モジュールで受信した識別情報を処理して前記携帯端末装置に供給するためのマイクロコントローラと、を備えたことを特徴とする請求項2に記載の物品監視システム。
【請求項4】
前記携帯端末装置は、前記受信ユニットを接続する接続手段と、前記受信ユニットから供給される前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、警告情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の物品監視システム。
【請求項5】
前記識別情報読み取り手段は、非接触識別タグからの応答電波を検波しRFベースバンド信号を出力する検波回路と、前記検波回路から出力されたRFベースバンド信号を増幅し、ロジックレベルのRF出力信号を出力する増幅回路と、前記増幅回路から出力されたRF出力信号から前記非接触識別タグに記録された個体識別情報を抽出する演算処理回路と、を備え、前記増幅回路はベースをRFベースバンド信号の入力端子とし、コレクタを増幅出力端子とし、エミッタを接地したトランジスタからなる増幅段と、前記コレクタに接続されたインダクタンスとコンデンサとの並列回路からなる並列共振回路とから構成されたことを特徴とする請求項2に記載の物品監視システム。
【請求項6】
監視対象の物品と、当該物品に設けられ当該物品の識別情報を記録した非接触識別タグと、前記非接触識別タグから読み出した識別情報に基づいて、当該物品の監視を行う物品監視システムを用いた物品監視方法において、
前記物品監視システムは、前記監視対象の物品を収納する収納体と、当該収納体に設けられ、前記非接触識別タグに記録された識別情報を読み取るとともに当該物品の保持者が携帯する携帯端末装置に前記識別情報を与えるために前記識別情報を、近距離無線通信により送信する送信ユニットと、前記携帯端末装置に接続され、送信ユニットから送信される前記識別情報を受信して前記携帯端末装置に入力する受信ユニットと、を備え、
前記携帯端末装置は、前記受信ユニットから取得した前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出し、警告情報を出力することを特徴とする物品監視方法。
【請求項7】
監視対象の物品と、当該物品に設けられ当該物品の識別情報を記録した非接触識別タグと、前記監視対象の物品を収納する収納体と、当該収納体に設けられ、前記非接触識別タグに記録された識別情報を読み取るとともに当該物品の保持者が携帯する携帯端末装置に前記識別情報を与えるために前記識別情報を近距離無線通信により送信する送信ユニットと、前記携帯端末装置に接続され、送信ユニットから送信される前記識別情報を受信して前記携帯端末装置に入力する受信ユニットと、を備え、前記携帯端末装置は、前記受信ユニットから取得した前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出し、警告情報を出力する物品監視システムを構成する、前記送信ユニットであって、
前記送信ユニットは、前記非接触識別タグに記録された識別情報を第1の近距離無線通信周波数で受信して読み取る識別情報読み取り手段と、前記読み取り手段が読み取った識別情報を第2の近距離無線通信周波数で送信する近距離無線通信モジュールと、前記識別情報読み取り手段が読み取った識別情報を処理して前記近距離無線通信モジュールに供給するマイクロコントローラと、を備えたことを特徴とする送信ユニット。
【請求項8】
前記識別情報読み取り手段は、非接触識別タグからの応答電波を検波しRFベースバンド信号を出力する検波回路と、前記検波回路から出力されたRFベースバンド信号を増幅し、ロジックレベルのRF出力信号を出力する増幅回路と、前記増幅回路から出力されたRF出力信号から前記非接触識別タグに記録された個体識別情報を抽出する演算処理回路と、を備え、前記増幅回路はベースをRFベースバンド信号の入力端子とし、コレクタを増幅出力端子とし、エミッタを接地したトランジスタからなる増幅段と、前記コレクタに接続されたインダクタンスとコンデンサとの並列回路からなる並列共振回路とから構成されたことを特徴とする請求項7に記載の送信ユニット。
【請求項9】
監視対象の物品と、当該物品に設けられ当該物品の識別情報を記録した非接触識別タグと、前記監視対象の物品を収納する収納体と、当該収納体に設けられ、前記非接触識別タグに記録された識別情報を第1の近距離無線通信周波数で受信して読み取るとともに当該物品の保持者が携帯する携帯端末装置に前記識別情報を与えるために前記識別情報を近距離無線通信により送信する送信ユニットと、前記携帯端末装置に接続され、送信ユニットから送信される前記識別情報を受信して前記携帯端末装置に入力する受信ユニットと、を備え、前記携帯端末装置は、前記受信ユニットから取得した前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出し警告情報を出力する物品監視システムを構成する、前記受信ユニットであって、
前記受信ユニットは、前記送信ユニットが第2の近距離無線通信周波数で送信した識別情報を受信する近距離無線通信モジュールと、前記近距離無線通信モジュールで受信した識別情報を処理して前記携帯端末装置に供給するためのマイクロコントローラと、を備えたことを特徴とする受信ユニット。
【請求項10】
監視対象の物品と、当該物品に設けられ当該物品の識別情報を記録した非接触識別タグと、前記監視対象の物品を収納する収納体と、当該収納体に設けられ、前記非接触識別タグに記録された識別情報を読み取るとともに当該物品の保持者が携帯する携帯端末装置に前記識別情報を与えるために前記識別情報を近距離無線通信により送信する送信ユニットと、前記携帯端末装置に接続され、送信ユニットから送信される前記識別情報を受信して前記携帯端末装置に入力する受信ユニットと、を備え、前記携帯端末装置は、前記受信ユニットから取得した前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出し、警告情報を出力する物品監視システムを構成する、前記携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置は、前記受信ユニットを接続する接続手段と、前記受信ユニットから供給される前記識別情報に基づいて、前記物品が収納体または前記携帯端末装置に接続した受信ユニットから所定の距離以上離間したことを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、警告情報を出力することを特徴とする携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−146476(P2008−146476A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334783(P2006−334783)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(503172138)株式会社応用電子 (23)
【Fターム(参考)】