説明

物品管理装置、物品管理装置用キャビネット、および物品管理システム

【課題】多品種・多量の消耗品の管理負担を軽減できしかも一定の在庫を確保できるる物品管理装置および管理システムを提供する。
【解決手段】ICタグが貼付された同一形状の物品収納容器の一対を収納するトレイ20と、トレイ20の直下に設けられたICタグ読み取り用アンテナ30と、から物品管理装置25を構成し、この物品管理装置25をキャビネット40に多数収納してリーダーライター50を介してLAN70に接続し、LAN70にICタグ在庫管理用パソコン82を接続して、ICタグが貼付された物品収納容器がトレイ20から取り出されたら、リーダーライター50からの読み出された情報に基づいてICタグ在庫管理用パソコン82がトレイ20から取り出された物品収納容器が収納している物品名と個数を報知するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品管理装置、物品管理装置用キャビネット、および物品管理システムに関し、より詳細には、ICタグ(RFID,ICチップとも言う)、および該ICタグの記憶内容をアンテナを介して非接触で読み出す情報読出し装置を備え、効率よく物品の在庫管理を行う物品管理装置および物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品管理には、物品の効率的な利用を目的として最小在庫量、適正な発注管理などが求められる。従来、在庫精度の向上、管理の省力化など効率的な管理を行うため、コンピュータによる管理が一般的であり、そのために、例えば、各物品ごとに貼付したバーコードをバーコードリーダーで読み取ってコンピュータで管理することが行われている。しかし、バーコード管理によると、在庫精度を向上させるためには1品ごとにバーコードを貼付しておき、1品ずつバーコードリーダーを近接させてバーコードのデータを読み取らせる必要がある。このような、1品ごとのバーコード貼付およびデータ読取り作業は、管理者に多くの負担を強いるものであった。
【0003】
上記したバーコード管理による問題の解決策として、ICタグと読取り装置(アンテナ)を用いて管理を行うようにした物品管理棚が提案されている(例えば、特許文献1および2参照。)。
【特許文献1】特許第3783917号公報
【特許文献2】特開2003−276809号公報
【0004】
特許文献1に開示されている物品管理は、図書館における書籍の管理を行うものであり、書籍に貼付したICカードの情報を、書籍を収納する棚板に設けたループアンテナにより読取って管理するものである。ICカードを貼付した物品管理は、バーコード管理の不具合を解消するもので、図書館における書籍の個別的・永久保管型の管理対象であれば、ICカードを貼付するのに手間がかかっても、その後は永久的に管理が楽になるので、好ましいといえる。
特許文献2に開示されている物品管理もその対象は保管物であり、図書館の書籍同様、ICカード管理は適している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが保管物と違って、すぐに消耗される物品にICタグを付けて管理するにはICタグ貼付作業の負担が大きすぎる。
また、特に医療用消耗品の管理においては、在庫量の正確な数量をリアルタイムで把握することも重要ではあるが、それ以上に、医療に支障をきたすことのない一定量の在庫を常に確保しつつ、物品管理者の負荷を軽減することができる効率的な管理が求められる。ところが、病院の現場(ナースステーション)では、緊急患者に備えておくため、薬剤などの医療用消耗品に欠品が生じることは許されないことであり、欠品の不安を解消できるように過剰在庫となり易い傾向がある。特に、内科、外科、などの多くの部門を持つ病院では、各科がそれぞれ在庫を抱えると膨大な量の過剰在庫となる虞がある。このことは、病院経営の観点からは、経営を圧迫する要因であり極力最小限の在庫量とすることが急務である。
【0006】
さらに、ナースの仕事は、診察補助、患者の観察、投薬、看護記録の作成、食事・排泄の世話、医療用品の管理、などの多岐に亘る業務を遂行しなければならない。このような中で、物品(医療用消耗品)の管理業務を軽減することは、ナースの負担を軽減することができ、ひいては患者へのサービス向上に繋がり、質のよい看護を可能とすることから熱望されていた。
【0007】
ところが、病院における医療用消耗品、例えば、薬剤やリネン、ディスポ用品などは、特許文献1および2のような図書館の書籍、保管物と違って消耗品であり、しかも多品種かつ多量に扱われるものであり、これを在庫切れなく、効率的且つ確実に管理するためにICカードを医療用消耗品に貼付する作業は膨大な作業を要する等、ICカードによる管理は適したシステムではなかった。
【0008】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、多品種且つ多量の物品(医療用消耗品)の管理をそれほど多くない量の在庫を常に確保しつつ、効率よくかつ確実に管理できるようにして、管理者の金銭的負担を軽減することができかつナースの負担も軽減できる物品管理装置および管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の物品管理装置および管理システムにより達成される。
(1)ICタグが貼付された同一形状の物品収納容器の一対を一対以上中に収納するトレイと、前記トレイの直下に設けられて前記物品収納容器のICタグ情報を授受するアンテナと、から構成されることを特徴とする物品管理装置。
(2)前記ICタグが前記物品収納容器の外部側面下部又は底部に貼付され、前記アンテナが前記複数の物品収納容器の各ICタグの情報を受信することを特徴とする請求項1記載の物品管理装置。
【0010】
上記構成の物品管理装置によれば、それぞれICタグが貼付された一対の物品収納容器に同一種類の物品を同数量ずつ収納し、ICタグの記憶内容を真下に配設されたアンテナを介して読み出して物品の在庫管理を行なうことができるので、物品管理を物品収納容器単位で管理するようにでき、最低でも1つの物品収納容器に収納された数量の在庫を常に確保すると共に、在庫品の種類および在庫量を効率的に管理することができる。これにより、在庫切れを確実に防止して管理者の在庫切れに対する不安を解消すると共に、物品管理の負担を大幅に軽減することができる。また、ICタグの記憶内容は、アンテナを介して自動的に読み出されるので、一品ごとにデータ入力作業を行う必要がなく、管理工数を大幅に低減することができ、効率的な管理が可能となる。
【0011】
(3)請求項2記載の物品管理装置を収納するためのトレイ受けと、リード線と、該リード線の一方に接続されるコネクタと他端に接続されるリーダーライターとを備えてなる物品管理装置用キャビネットであって、
前記アンテナを収納する動作により前記アンテナの端子が前記コネクタに接続されることを特徴とする物品管理装置用キャビネット。
(4)前記アンテナは前記物品管理装置用キャビネット内に着脱自在に収納されるものであることを特徴とする請求項3記載の物品管理装置用キャビネット。
【0012】
上記構成の物品管理装置用キャビネットにより、複数の物品管理装置を着脱自在に上下方向に簡単に収納できるので、極めて多品種、多量の物品を纏めて効率よく収納し、管理することができる。また、アンテナも着脱自在に収納されるので、管理の必要なトレイの下に簡単に移動でき、また保守メンテナンスや交換が簡単に行えることとなる。
【0013】
(5)請求項4記載の物品管理装置用キャビネットを1台以上LANに接続し、該LANには前記ICタグ在庫管理用パソコンが接続された物品管理システムであって、前記ICタグが貼付された物品収納容器が前記トレイから取り出されたら、前記リーダーライターから読み出された情報に基づいて前記ICタグ在庫管理用パソコンが前記トレイから取り出された前記物品収納容器が収納している物品名と個数を報知することを特徴とする物品管理システム。
上記構成の物品管理システムによれば、同一種類、同数量の物品が収納された一対の物品収納容器を用い、一方の物品収納容器から物品を取り出して使用することで、少なくとも一種類の物品の在庫がなくなったとき、他方の物品収納容器から物品を取り出して使用すると共に、一方の物品収納容器に不足分の物品を自動的に発注するようにして、一方の物品収納容器と他方の物品収納容器とを交互に使用するようにしたので、常に一定量(物品収納容器1個分)の在庫を確保しながら物品管理を行うことができる。これにより、在庫切れが生じる虞をなくすことができ、緊急時にも支障なく対応することが要求される病院における医療用消耗品の管理に好適な物品管理システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば、それぞれICタグが貼付され、同一種類の物品を同数量ずつ収納したメイン収納容器およびサブ収納容器からなる一対の物品収納容器を準備し、ICタグの記憶内容を収納棚に配設されたアンテナを介して読み出して物品の在庫管理を物品収納容器単位で行うようにしたので、最低でも1個の物品収納容器に収納された数量の在庫を常に確保すると共に、現在の在庫品の種類および在庫量を効率的に管理することができる。これにより、管理する物品を医療用消耗品とした場合、在庫切れの発生を極端に回避しなければならない医療用消耗品の在庫切れを確実に防止して管理者の在庫切れに対する不安を解消すると共に、在庫量を最適量に管理して在庫増大による病院の経費負担を軽減することができる。また、ナースの物品管理の負担を大幅に軽減させて、ナースの本来の業務である患者へのサービス向上を可能として質のよい看護を行うことができる。
【0015】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下に説明する実施形態においては、管理する物品として、病院において使用される薬剤、リネン、ディスポ用品などの医療用消耗品を管理する場合を例に説明するが、必ずしもこれに限定されなければならないわけではない。
【0017】
図1は本発明に係る物品収納皿とこれらの物品収納皿を収納するトレイの斜視図である。図に示すように、物品収納皿10は、横幅と縦幅が異なり深さが同じの数種類(図では(1)〜(4)の4種類)の皿を各種類2個のペアで用意しており、同じペアの皿には必ず同じ医療用消耗品(物品)を同じ個数収納する。例えば、絆創膏は物品収納皿(1)、(1)にそれぞれ100個収納し、包帯は物品収納皿(2)、(2)にそれぞれ200個収納し、ガーゼは物品収納皿(3)、(3)にそれぞれ150個収納し、注射針は物品収納皿(4)、(4)にそれぞれ200本収納するといった具合にである。
物品収納皿10に収納する物品の数量は、その物品がなくなって発注し補充されるまでに要する期間に消費されると予想される最大数量の物品の数量とするのがよい。これにより、補充期間中にも物品の在庫切れが発生することはないので心配することもなくなる。
なお、ここでは皿で説明したが、蓋のある容器であっても勿論かまわない。
【0018】
各物品収納皿(1)〜(4)には側面下部にそれぞれ1Cタグ11が貼付されている。ICタグ11は、それ自体公知のものであり、ループ状のアンテナとこのアンテナに接続されたICチップとから構成されてなるものである。ICタグ11にはそれぞれその皿に収納される物品名と個数が記憶されている。上の例で言えば、物品収納皿(1)、(1)のタグ11、11には「絆創膏、100個」、物品収納皿(2)、(2)のタグ11、11には「包帯、200個」、物品収納皿(3)、(3)のタグ11、11には「ガーゼ、150個」、物品収納皿(4)、(4)のタグ11、11には「注射針、200本」と記憶されている。
なお、物品収納皿(1)〜(4)が上げ底の場合には、1Cタグ11は底部に貼付するのがよい。このようにすると、ICタグが目立たなくなり、また隣接皿と接触することもない。
【0019】
これらの各種類ペアの物品収納皿(1)〜(4)はさらに大きな1個のトレイ20に収納する。このトレイ20は、例えば、幅557mm、奥行き357mm、深さ50mmの大きさの収納凹部が形成されている。そして少なくとも上部両端に鍔部21、21が設けられている。
【0020】
ここに収納される物品収納皿(1)〜(4)の大きさはここではすべて異ならせたものとしているが、勿論同じ大きさの皿だけを(例えば、皿(4)だけを24個)トレイ20に収納してもかまわない。ただし、その場合でも、必ずペアを構成し(今の場合、ペア数12で全24皿)、各タグはそのペア皿に対応して同じ物品名と同じ個数を記録しておく。同じ大きさの皿が多数ある場合、各皿の見える位置に物品名と個数を書いておくと、空になった皿を見たとき何を収納する皿であるが(ICタグを読みとらなくても)すぐに判るので便利である。
【0021】
図2はトレイとアンテナの位置関係を示す斜視図である。
図において、20はペアの物品収納皿(1)〜(4)を収納したトレイ、30はトレイ20の底部直近に配置されるアンテナ30である。アンテナ30はトレイ20の真下5mm間隔で近接配置されるものであるが、ここでは見易くするために大きく離間させて描いている。
【0022】
アンテナ30は、例えば、電気亜鉛メッキ鋼板を用いて形成された幅420mm、奥行き190mm、高さ12mmの箱状部材36の面内にループ線31が配設されて形成されている。ループ線31の端部はコネクタ32を介してリード線60に接続され、リード線60の反対側はリーダーライター50(図5)に接続されている。ループ線31のリード線60への接続は、アンテナ30をキャビネット40(図3)に収納すると。コネクタ32に自動的に接続される。
電気亜鉛メッキ鋼板を用いたのは、不要な電磁界を遮断するためであり、これにより、近接するアンテナからの情報の誤読取りが防止される。
【0023】
アンテナ30は物品収納皿10に貼付されたICタグ11内のループ状アンテナとの間で、例えば3秒に1回、電磁界によるエネルギと情報の授受を自動的に行い、リーダーライター50(図5)がICタグ11に記憶されている物品収納皿10の物品名および個数の情報を読み取ることができる。複数のICタグ11の情報を同時に正確に読み出せるように公知のアンチコリジョン(衝突防止)機能も備えている。
【0024】
図3はキャビネットを説明する図で、(a)は正面図、(b)は側面図で、いずれも一部破断図で示している。キャビネット40は、例えば、幅695mm、高さ2076mm、奥行き450mmの大きさの金属薄板製の箱体容器であり、手前正面には両開き扉41が設けられている。両開き扉41を開くと、内部両端には複数のトレイ20を上下方向に所定の間隔をもって積層されるようにトレイ受け42,42がそれぞれ設けられている。このトレイ受け42,42の上に図1のトレイ20の鍔部21、21を載せて奥にスライドさせることで、トレイ20がキャビネット40内に水平に支持される。
【0025】
一方、トレイ受け42,42の一部をアンテナ30の取り付け用のアンテナベース36の載置台43として利用している。38はアンテナ30をトレイ20内のICタグに近接させるためアンテナベース36からアンテナ30を持ち上げるためのスペーサ38である。このようにすることにより、トレイ20内に収納された物品収納皿のICタグの記憶情報はループアンテナからは直下のアンテナ30を介して外部に読み出されることができる。
アンテナ30をキャビネット40に収納すると、アンテナループ線31(図2)はコネクタ32(図2)を介してリード線60(図5)へ自動的に接続される。このように、アンテナもキャビネット内の任意のトレイ受けに着脱自在に収納できるので、管理の必要なトレイの下に簡単に移動でき、また保守メンテナンスや交換が簡単に行えることとなる。
【0026】
このように、トレイ20と直下のアンテナ30で情報読み出しの1対を構成し、この対がキャビネット40内に上下方向に多対構成されている。
もちろん、在庫管理の不要な非消耗物品などを収納するトレイにはアンテナは必要ないので、アンテナ収納部位に他のトレイを収納して使用すればよい。
【0027】
図4は図2のトレイ20の中の物品収納皿10のそれぞれ対を成す皿10(1a,1b)〜10(4a,4b)にそのICタグ11に記憶された物品を収納した状態を示す平面図で、(i)は初期状態の所定個数収納された状態、(ii)は途中の使用状態をそれぞれ示している。アンテナ線31はループ状に敷設されており、各皿10(1a,1b)〜10(4a,4b)のICタグ11はすべてアンテナ線31のループの内側にくるように皿が置かれている。
さて、(i)において、皿10の1a,1bには例えば絆創膏がそれぞれ100個収納されているものとし、皿10の2a,2bには包帯がそれぞれ200個、皿10の3a,3bにはガーゼが150個、皿10の4a,4bには注射針が200本されているものとする。アンテナ3は各皿10に貼付されたICタグ11内のループ状アンテナとの間で所定周期(例えば3秒)に1回交信を行い、今の場合、トレイ20の中の各皿には、所定数の個数の各消耗品が収納されていることを知る。
【0028】
ナースは必要な消耗品を必ず一方の皿(図では皿a)のみから取り出して使うようにし、その皿がカラになったら、ペアを成すもう一方の皿から必要個数の消耗品を取り出すと共に、カラの皿は必ずそのトレイ20から取り出して、病院内に設置された消耗品発注棚にその皿をおくようする。
【0029】
図(ii)は消耗品が一方の皿から取り出されている状態を示し、ちょうど皿10の4aの注射針がカラになり、もう1つの皿10(4b)から消耗品(注射針)が取り出されると共に、カラになった皿10(4a)がトレイ20から引く抜かれる様子を図示している。この動作により、皿10(4a)に貼付されたICタグ11がアンテナ線31のループの外に移動するため、アンテナ30は次のセンシングで取り出された皿に貼付されたICタグ11からの信号を受信しないので、その皿が取り出されたことが判る。
【0030】
図5は本発明の物品管理システムの構成を示すブロック図である。
図において、100は本発明の物品管理システムで、40は本発明に係る物品管理装置を収納するキャビネット(ここでは2台を図示)、50はリーダーライター、60はICタグリード線、70はLANケーブル、80は上位装置である制御装置である。
【0031】
キャビネット50には、ICタグ付き物品収納皿を収納するトレイ20とそのトレイ20の直下のアンテナ30から成る物品管理装置25の複数組と、在庫管理の不要な物品を収納するトレイ20’と、リーダーライター50と、リーダーライター50およびアンテナ30間を結ぶリード線60が収納されている。
【0032】
ICタグの貼付されていないトレイ20’の直下には当然ながらアンテナ30は不要となるので、その部位に他の収納皿10’が配置されることができる。例えば、左右のキャビネットでは収納する物品管理装置25の数が異なっている。すなわち、右のキャビネットには4組の物品管理装置25と1つのトレイ20’が配置されているのに対して、左のキャビネットには5組の物品管理装置25と1つの収納皿10’が配置されている。
【0033】
このように本発明によれば、トレイ20をキャビネット50に収納したときはその直下に本発明に係るアンテナをキャビネット50に差し込むことで、アンテナ30とリーダーライター50とが接続され、外部のLAN80と接続されるようになり、トレイ20に代えてトレイ20’を収納するときは、その直下のアンテナ30をキャビネット40から取り去ることでリーダーライター50との接続遮断されると共に、その部位に他のトレイ20’を収納して用いることができる。
【0034】
リーダーライター50は、キャビネット40内の各アンテナ30の直上のICタグ11(図1)に記憶されている物品名および所定の収納個数を各アンテナを介して電磁誘導によって非接触で読み出す。
【0035】
制御装置80は、キャビネット管理用PC82と、院内在庫管理用コンピュータ84とを備える。リーダーライター50の読み取ったICタグ情報はLANケーブル70を介してキャビネット管理用PC82および院内在庫管理用コンピュータ84に送られ、その情報に基づいて処理される。
【0036】
次に、図6のトレイ平面図および図7のフローチャートを参照して本発明の物品管理システム100による医療用消耗品の管理について説明する。
図6の(i)でカラになった消耗品の皿10(4a)トレイ20から取り去られると、図7のステップ1で次のセンシング(センシング間隔は例えば3秒)時にリーダーライター50(図5)は取り出された皿10(4a)に貼付されたICタグ11からの信号を受信しないので、キャビネット管理用PC82はリーダーライター50の読み取り情報から皿10(4a)が取り出されたことが判り、図7のステップ3に移って、取り出された皿の物品とその個数をディスプレーに表示したり、音声で報知したり、警報音を発することで在庫管理担当者に伝える。
在庫管理担当者は補充すべき物品とその個数を在庫から取り出して、定期的に(例えば1日1回)病院内を巡回して、取り出された皿に所定数の消耗品を補充して回る。ナースは補充された皿を再びキャビネット40内の所定のトレイに戻す(図6の(ii)から(iii))と、皿10(4a)のICタグ30がアンテナ30のループ31(図4)内に入るのでその記憶内容がアンテナ30によって再び自動的に読み出されることとなり、図7のステップ3からステップ1に戻る。
【0037】
このように、ナースが医療用消耗品のカラになった皿10を単にキャビネット40から取り出す動作だけで、在庫管理担当者は補充すべき医療用消耗品の種類および数量をリアルタイムで知るので、迅速・的確に次の補充業務をすることができるようになる。
また、各医療用消耗品の1個1個にICタグ30やバーコードを付けるといった従来の在庫管理作業も必要なくなり、本来のナース業務に専念できる。
【0038】
本発明でナースが注意することは、
(1)医療用消耗品が必要となったときには、ペアの皿の一方の皿が無くなるまでその皿の消耗品を使い続ける(途中で、隣の皿の消耗品を使ういことをしてはならない)ことであり、
(2)2つ目は、皿がカラになった時点で必ず皿をトレイから取り出すことである(カラの皿をトレイの中に残したままにしない)。
このことを遵守すれば、皿をトレイから取り出すだけでリアルタイムに発注がなされるシステムとなっているので、1日で次の補充がなされることとなり、在庫は片方の皿の分だけで十分であるので、従来のように各ステーション毎に在庫切れという不安からナースが余分に溜めておくことをしなくてよくなり、病院全体で膨大な在庫抱えをなくすことができる。
また、病院の在庫管理部にも同じように2つの皿システム(実際は皿よりももっと大きな容器になるが、考え方は同じである。)を導入することで、片方の皿を移動させることで、リアルタイムでメーカーに自動発注することができ、次に届くまでの消耗量の物品を在庫するだけでよく、病院全体で膨大な在庫抱えをなくすことができる。
【0039】
以後、他の消耗品も同様に2つの皿に収納されている医療用消耗品の一方の皿がカラになる毎に交互に他の皿を使用することにより、医療用消耗品を小型の物品収納皿単位で管理し、最低でも1個の小型物品収納皿に収納されている数量の医療用消耗品を常に確保した状態で在庫管理することができ、在庫切れが発生することはない。
【0040】
上記したように、本発明に係る物品管理装置およびれを用いた物品管理システムによれば、それぞれICタグが貼付された一対の物品収納皿に同一種類の物品を同数量ずつ収納し、ICタグの記憶内容である物品名と個数をキャビネット内の各皿の直下に配設されたアンテナを介して読み出すようにすることで、在庫管理を物品収納皿単位で行うようにしたので、最低でも1つの物品収納皿に収納された数量の在庫を常に確保するとともに、現在の在庫品の種類および在庫量を効率的に管理することができる。これにより、管理する物品を医療用消耗品とした場合、在庫切れの発生を極端に回避しなければならない医療用消耗品の在庫切れを確実に防止して管理者の在庫切れに対する不安を解消すると共に、在庫量を最適量に管理して在庫増大による病院の経費負担を軽減することができる。また、ナースの物品管理の負担を大幅に軽減させて、ナースの本来の業務である患者へのサービス向上を可能として質のよい看護を行うことができる。
【0041】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る物品収納皿とこれらの物品収納皿を収納するトレイの斜視図である。
【図2】トレイとアンテナの位置関係を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るキャビネットを説明する図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】図2のトレイの中の物品収納皿のそれぞれ対を成す皿の使い方を説明する図で、(i)は初期状態の所定個数収納された状態、(ii)は途中の使用状態をそれぞれ示している。
【図5】本発明の物品管理システムの構成を示すブロック図である。
【図6】トレイの平面図で図4の続きを説明する図である。
【図7】本発明の物品管理システムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
10 ICタグ付き物品収納皿(物品収納容器)
10’ ICタグなし収納皿
11 ICタグ
20 ICタグ付き皿を収納するトレイ
20’ 皿10’収納トレイ
25 物品管理装置
21 鍔部
30 アンテナ
31 アンテナループ線
32 コネクタ
36 アンテナベース
38 スペーサ
40 キャビネット
41 両開き扉
42 トレイ受け
43 アンテナベース載置台
50 リーダーライター
60 ICタグリード線
70 LANケーブル
80 制御装置
82 キャビネット管理用PC
84 院内在庫管理用コンピュータ
100 本発明の物品管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICタグが貼付された同一形状の物品収納容器の一対を一対以上中に収納するトレイと、前記トレイの直下に設けられて前記物品収納容器のICタグ情報を授受するアンテナと、から構成されることを特徴とする物品管理装置。
【請求項2】
前記ICタグが前記物品収納容器の外部側面下部又は底部に貼付され、前記アンテナが前記複数の物品収納容器の各ICタグの情報を受信することを特徴とする請求項1記載の物品管理装置。
【請求項3】
請求項2記載の物品管理装置を収納するためのトレイ受けと、リード線と、該リード線の一方に接続されるコネクタと他端に接続されるリーダーライターとを備えてなる物品管理装置用キャビネットであって、
前記アンテナを収納する動作により前記アンテナの端子が前記コネクタに接続されることを特徴とする物品管理装置用キャビネット。
【請求項4】
前記アンテナは前記物品管理装置用キャビネット内に着脱自在に収納されるものであることを特徴とする請求項3記載の物品管理装置用キャビネット。
【請求項5】
請求項4記載の物品管理装置用キャビネットを1台以上LANに接続し、該LANには前記ICタグ在庫管理用パソコンが接続された物品管理システムであって、前記ICタグが貼付された物品収納容器が前記トレイから取り出されたら、前記リーダーライターから読み出された情報に基づいて前記ICタグ在庫管理用パソコンが前記トレイから取り出された前記物品収納容器が収納している物品名と個数を報知することを特徴とする物品管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−19020(P2008−19020A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190439(P2006−190439)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】