説明

物品納入計画調整支援装置および物品納入計画調整支援プログラム

【課題】“着荷日基準”と“出荷日基準”の2種類のタイミングを基準として調整可能な納入計画を容易に判別できるようにする物品納入計画調整支援装置を提供する。
【解決手段】納入計画141と輸送リードタイムの情報を保持する記憶部140と、納入計画141における出荷日を算出し、更新納入計画142として記憶する輸送リードタイム変換部131を有する演算部130と、更新納入計画142の情報を着荷日基準と出荷日基準の2種類のタイミングを基準として画面出力する出力部124、および調整を希望する納入計画の情報を受け付け、調整希望計画143として記憶する計画調整情報受付部122を有する制御部120とを有し、演算部130はさらに、調整が可能な期間に含まれる納入計画を調整可能期間144として記憶する計画調整可能期間算出部132を有し、出力部124は調整可能期間144に係る範囲を識別可能なように表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業等における物品の購買・納入を管理する技術に関し、特に、サプライヤから納入先への物品の納入に係る納入計画を立案・調整する物品納入計画調整支援装置および物品納入計画調整支援プログラムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数の工場等を有する企業等では、各工場における適切な生産管理や在庫管理のため、購買統括担当者(1つ以上の工場等への納入計画を統括・調整する担当者)が、サプライヤからの部品等の購入および出荷と各工場への納入についての納入計画(日時、数量、輸送手段など)を適切に立案・調整する計画調整業務が重要であり、その正確性や迅速性、購買統括担当者の業務負荷軽減などを図るため、情報処理システムによって計画調整業務を支援することが行われている。
【0003】
これに関する技術として、例えば、特開2010−61317号公報(特許文献1)には、以下に示すようなフォーキャスト管理システムが記載されている。すなわち、フォーキャスト管理システムは、各完成製品を識別する製品コードと部品コードと部品の情報とが記憶される記憶手段と、部品個々の必要期限を含む未発注の部品情報を提示する未発注情報提示手段と、実注文手配済みの必要期限を含む部品情報を部品コードを用いて提示する実注文情報提示手段と、これらの部品情報を公開する公開手段とを具備する。公開手段は、発注済みかつ未納品の注残の部品の情報と、未発注であり発注予定の部品の情報と、注残の部品および発注予定の部品を合わせた部品の情報と、これらの部品の情報を並べた情報のうちの選択された何れかの情報を公開することで、フォーキャスト情報を選択、表示し、部品の発注リードタイムを短縮することを可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−61317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1の技術では、フォーキャストを「いつ工場に部品が着荷してほしいか」という1種類のタイミングの情報のみで管理している。従って、特許文献1の技術では他の異なるタイミングも考慮に入れて納入計画を管理することができない。すなわち、購買統括担当者が納入計画を変更したり調整したりしようとする際に、いつサプライヤから部品を出荷すると(以下ではこのタイミングを“出荷日基準”と記載する場合がある)、いつ工場に部品が着荷するか(以下ではこのタイミングを“着荷日基準”と記載する場合がある)という2種類のタイミングを基準として、調整した納入計画が実行可能なものであるか否かを瞬時に判断することができない。
【0006】
また、ある工場の納入計画の変更を行う時、いつまでにサプライヤが部品を出荷しなければいけないのかということも瞬時に判断することができない。さらに、1つ以上の工場と1つ以上のサプライヤとの間の計画調整を行う際には、工場とサプライヤの組合せ毎に輸送リードタイムが異なり、輸送手段も複数あるため、調整パターンが膨大となる。
【0007】
これらの問題は、言い換えると、各工場での部品の必要量や余裕分および納入予定の情報と、各サプライヤからの出荷予定や出荷能力の情報とを有機的に関連付けた上で、対象の納入計画が実行可能なものであるか否かや、調整可能な範囲がどこまでかということをユーザが瞬時に判断することが困難であるということもできる。
【0008】
このような状況では、購買統括担当者の計画調整作業に要する時間が長くなり、また、調整可能な計画を見落とす等により緊急輸送コストが増加するなどといった計画精度の低下を招く危険が高まる。さらに、購買統括担当者は、自分と異なる拠点にいるサプライヤと計画調整結果を同時に確認することができず、計画調整業務を短時間で効率的に行うことができないという課題もある。
【0009】
そこで本発明の目的は、“着荷日基準”と“出荷日基準”の2種類のタイミングを基準として物品の納入計画を管理し、調整可能な納入計画を容易に判別できるようにする仕組みにより、購買統括担当者が短時間で精度の高い納入計画の立案・調整を行えるよう支援する物品納入計画調整支援装置および物品納入計画調整支援プログラムを提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0011】
本発明の代表的な実施の形態による物品納入計画調整支援装置は、サプライヤから納入先への物品の納入に係る納入計画の調整を支援する装置であって、以下の特徴を有するものである。
【0012】
すなわち、物品納入計画調整支援装置は、前記各サプライヤが前記各納入先にいつどれだけの前記物品を納入する予定であるかという納入計画の情報と、前記各サプライヤから前記各納入先に前記物品を輸送する際のリードタイムを輸送手段別に定義した輸送リードタイムの情報とを保持する記憶部と、前記納入計画の情報と、前記輸送リードタイムの情報に基づいて、前記各納入計画における前記納入先への着荷日から対応する前記輸送リードタイムの日数を遡ることで出荷日を算出し、算出した前記出荷日の情報を前記納入計画に追加して更新納入計画として前記記憶部に記憶する輸送リードタイム変換部を有する演算部と、前記更新納入計画の情報を、前記部品がいつ前記納品先に着荷するかという着荷日基準と、前記サプライヤから前記部品をいつ出荷するかという出荷日基準の2種類のタイミングを基準として画面出力する出力部、および、ユーザから前記画面を介して調整を希望する前記納入計画の情報を受け付け、調整希望計画として前記記憶部に記憶する計画調整情報受付部を有する制御部とを有する。
【0013】
また、前記演算部は、さらに、前記更新納入計画の情報と、前記調整希望計画の情報と、前記輸送リードタイムの情報に基づいて、ユーザが調整を希望する前記納入計画に対して調整が可能な期間を算出し、前記期間に含まれる前記納入計画を抽出して調整可能期間として前記記憶部に記憶する計画調整可能期間算出部を有し、前記制御部の前記出力部は、前記画面において前記調整可能期間に係る範囲を識別可能なように表示する。
【0014】
また、本発明は、コンピュータを物品納入計画調整支援装置として機能させるプログラムにも適用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0016】
本発明の代表的な実施の形態によれば、“着荷日基準”と“出荷日基準”の2種類のタイミングを基準として物品の納入計画を管理し、調整可能な納入計画を容易に判別できるようにすることで、購買統括担当者が短時間で精度の高い納入計画の立案・調整を行えるよう支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態である物品納入計画調整支援装置の構成例について概要を示した図である。
【図2】本発明の一実施の形態における物品納入計画調整支援装置のハードウェア構成例について示した図である。
【図3】本発明の一実施の形態における購買統括担当者が物品納入計画調整支援装置を利用して計画調整業務を行う際の処理の流れの例を示したフローチャートである。
【図4】本発明の一実施の形態における外部情報に保持されており物品納入計画調整支援装置が取得可能な情報の例を示した図である。
【図5】本発明の一実施の形態における納入計画のデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。
【図6】本発明の一実施の形態における輸送リードタイムのデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。
【図7】本発明の一実施の形態における更新納入計画のデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。
【図8】本発明の一実施の形態における納入計画を確認するための納入計画調整画面の例について示した図である。
【図9】本発明の一実施の形態における調整希望計画のデータ構成と具体的なデータの例を示した図である。
【図10】本発明の一実施の形態における調整可能期間のデータ構成と具体的なデータの例を示した図である。
【図11】本発明の一実施の形態における工場在庫見通しのデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。
【図12】本発明の一実施の形態における調達リードタイムのデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。
【図13】本発明の一実施の形態における利用可能在庫の算出方法の例について概要を示した図である。
【図14】本発明の一実施の形態における利用可能在庫のデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。
【図15】本発明の一実施の形態における調整可能計画のデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。
【図16】本発明の一実施の形態におけるサプライヤ在庫計画のデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。
【図17】本発明の一実施の形態における納入計画を確認して調整を行うための納入計画調整画面の例について示した図である。
【図18】本発明の一実施の形態における納入計画を確認して調整を行うための納入計画調整画面の別の例について示した図である。
【図19】本発明の一実施の形態における変更計画のデータ構成と具体的なデータの例を示した図である。
【図20】本発明の一実施の形態における輸送コストのデータ構成と具体的なデータの例を示した図である。
【図21】本発明の一実施の形態におけるKPIを表示するためのKPI表示画面の例について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
本発明の一実施の形態である物品納入計画調整支援装置は、例として工場への部品の納入を管理する業務を対象とし、購買統括担当者がある工場への納入計画を変更・調整しようとする際に、必要な工場とサプライヤの納入計画を表示し、さらに、納入計画を変更・調整可能な期間および数量や輸送手段の情報を表示することで、購買統括担当者の計画調整業務を支援するものである。
【0020】
<装置構成>
図1は、本発明の一実施の形態である物品納入計画調整支援装置の構成例について概要を示した図である。物品納入計画調整支援装置100は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)やワークステーション、サーバ装置などの計算機によって実装され、通信部110、制御部120、演算部130、および記憶部140の各部により構成される。
【0021】
制御部120は、ソフトウェアにより実装され、例えば、外部情報受付部121、計画調整情報受付部122、計画変更情報受付部123、および出力部124の各部により構成される。また、演算部130は、同様にソフトウェアにより実装され、例えば、輸送リードタイム変換部131、計画調整可能期間算出部132、利用可能在庫算出部133、調整可能計画算出部134、計画変更反映部135、KPI(Key Performance Indicator)算出部136、および計画変更確定部137の各部により構成される。
【0022】
また、記憶部140は、データベースやファイル、メモリテーブルなどにより実装され、例えば、納入計画141、更新納入計画142、調整希望計画143、調整可能期間144、工場在庫見通し145、サプライヤ在庫計画146、利用可能在庫147、調整可能計画148、変更計画149、および各種マスタ150の各データを保持している。
【0023】
演算部130の処理に必要な情報のうち、記憶部140に予め最新の情報を保持していないものについては、通信部110をインタフェースとして、ネットワーク200を介して、データベースサーバ等からなる外部情報300や、PC等からなる送信側端末400からデータを取得して記憶部140の内容を更新するようにしてもよい。なお、ネットワーク200については、通常はLAN(Local Area Network)等の通信網を想定できるが、これに限らず、インターネット等の公衆通信網や、WAN(Wide Area Network)またはVPN(Virtual Private Network)等の一般公衆回線を一部に用いた通信網であってもよい。
【0024】
図2は、物品納入計画調整支援装置100のハードウェア構成例について示した図である。物品納入計画調整支援装置100は、一般的なコンピュータ機器が有する構成と同様の構成を有し、例えばハードウェア構成として、入力装置101、出力装置102、外部記憶装置103、演算装置104、主記憶装置105、通信装置106、および各装置を互いに接続するバス107を有している。
【0025】
入力装置101は、例えばキーボードやマウス、あるいはタッチペン、その他ポインティングデバイスなどの入力を受け付ける装置である。また、出力装置102は、例えばディスプレイなどの表示を行う装置である。また、外部記憶装置103は、例えばハードディスク装置やフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置である。また、演算装置104は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算装置である。また、主記憶装置105は、例えばRAM(Random Access Memory)などのメモリ装置である。また、通信装置106は、ネットワークケーブルを介して有線通信を行う有線の通信装置、もしくはアンテナを介して無線通信を行う無線通信装置である。
【0026】
図1に示した物品納入計画調整支援装置100の記憶部140は、図2に示したハードウェア構成における外部記憶装置103もしくは主記憶装置105により実現される。また同様に、図1に示した物品納入計画調整支援装置100の制御部120および演算部130は、図2に示したハードウェア構成における演算装置104に処理を行わせるソフトウェアプログラムによって実現される。また同様に、図1に示した物品納入計画調整支援装置100の通信部110は、図2に示したハードウェア構成における演算装置104に処理を行わせるソフトウェアプログラム、および通信装置106によって実現される。
【0027】
なお、本実施の形態の物品納入計画調整支援装置100上で実行される各ソフトウェアプログラムは、外部記憶装置103もしくは主記憶装置105内に記憶され、実行にあたって主記憶装置105上にロードされ、演算装置104により実行される。これらのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(Flexible Disk)、CD−R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0028】
さらに、本実施の形態の物品納入計画調整支援装置100上で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク200に接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク200経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態の物品納入計画調整支援装置100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク200経由で提供または配布したり、あるいはROM等の外部記憶装置103に予め組み込んで提供したりするように構成してもよい。
【0029】
<処理フロー>
図3は、購買統括担当者が物品納入計画調整支援装置100を利用して計画調整業務を行う際の処理の流れの例を示したフローチャートである。まず、制御部120の外部情報受付部121が、データベースサーバ等からなる外部情報300から必要な各種情報を取得し、もしくは入力を受け付けて、記憶部140に記憶する外部情報受付処理を実行する(S01)。図4は、外部情報300に保持されており物品納入計画調整支援装置100が取得可能な情報の例を示した図である。外部情報300には、例えば、納入計画141、工場在庫見通し145、サプライヤ在庫計画146、輸送リードタイム301、調達リードタイム302、および輸送コスト303などの情報が保持されている。
【0030】
納入計画141は、調整前の現状での納入計画の情報であり、各品目に関して各サプライヤが各工場にいつ・どれだけの部品を納入する予定であるかという情報である。また、工場在庫見通し145は、各品目に関して各工場でいつ・どれだけの部品を在庫として有する見通しであるかという情報である。また、サプライヤ在庫計画146は、各品目に関して各サプライヤがいつ・どれだけの部品を在庫として有する予定であるかという情報である。
【0031】
また、輸送リードタイム301は、各サプライヤから各工場に輸送する際のリードタイムを輸送手段別に定義した情報であり、調達リードタイム302は、各サプライヤが部品の材料等を調達して各部品を製造・出荷するために必要なリードタイムを定義した情報である。また、輸送コスト303は、各サプライヤから各工場に輸送する際のコストを輸送手段別に定義した情報である。外部情報300のこれらの情報は、例えば、他の既存の生産管理システムや在庫管理システムなどによって作成・管理されている場合がある。
【0032】
外部情報受付部121は、これらの外部情報を取得して記憶部140にそれぞれ記憶するが、本実施の形態では、輸送リードタイム301、調達リードタイム302、および輸送コスト303については、マスタ情報として、記憶部140の各種マスタ150に記憶するものとする。なお、外部情報300に保持されている上記の各情報の最新のものが記憶部140に既に保持されている場合は、必要に応じて処理をスキップするようにしてもよい。
【0033】
図3に戻り、次に、演算部130の輸送リードタイム変換部131が、記憶部140の納入計画141と各種マスタ150の輸送リードタイム301の情報に基づいて、各納入計画についてサプライヤからの出荷日を算出し、この情報を納入計画に追加して記憶部140に更新納入計画142として記憶する輸送リードタイム変換処理を実行する(S02)。
【0034】
図5は、納入計画141のデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。納入計画141は、上述したように、現状の納入計画の情報として、各品目に関して各サプライヤが各工場にいつ・どれだけの部品を納入する予定であるかという情報を保持し、例えば、“品目”、“サプライヤ”、“工場”、“輸送手段”、“着荷日”、“数量”などの項目を有するテーブルとして構成される。
【0035】
“品目”の項目は、対象の部品の品目を識別する名称や型番等の情報を保持する。“サプライヤ”の項目は、対象の部品を出荷するサプライヤを識別する名称やID等の情報を保持する。“工場”の項目は、対象の部品が納入される工場を識別する名称やID等の情報を保持する。“輸送手段”の項目は、対象の部品をサプライヤから工場まで輸送する際の手段を識別する情報を保持する。“着荷日”の項目は、対象の部品が工場に着荷する(納品される)予定の日付の情報を保持する。“数量”の項目は、対象の部品が工場に納入される際の数量の情報を保持する。
【0036】
図6は、輸送リードタイム301のデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。輸送リードタイム301は、上述したように、各サプライヤから各工場に部品を輸送する際のリードタイムを輸送手段別に定義した情報を保持し、例えば、“サプライヤ”、“工場”、“輸送手段”、“輸送リードタイム”などの項目を有するテーブルとして構成される。“輸送リードタイム”の項目は、対象のサプライヤが部品を出荷して工場まで輸送する際に要するリードタイムの情報を保持する。
【0037】
上記の納入計画141と輸送リードタイム301の情報に基づいて、各納入計画における工場への着荷日から輸送リードタイムの日数を遡ることで出荷日を算出し、この出荷日の情報を各納入計画に追加したものを更新納入計画142として記憶する。図7は、更新納入計画142のデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。更新納入計画142は、上述したように、各納入計画にサプライヤからの出荷日の情報を追加したものを保持し、図5に示した納入計画141と同様のデータ構成に加えて“出荷日”の項目を有するテーブルとして構成される。“出荷日”の項目は、対象の部品をサプライヤからいつ出荷するかの日付の情報を保持する。
【0038】
この更新納入計画142の情報は、制御部120の出力部124によって、“着荷日基準”と“出荷日基準”の2種類のタイミングを基準として、購買統括担当者等のユーザが納入計画を並行的に確認することができるよう画面出力される。
【0039】
図8は、納入計画を確認するための納入計画調整画面の例について示した図である。ここでは例えば、ユーザにより指定された部品(例えば“部品A”)についての指定されたサプライヤ(例えば“サプライヤP”)からの納入計画について、上から順に1〜3の計画表において、“着荷日基準”での納入計画(何日にいくつ納入されるか)を工場別(および輸送手段別)にそれぞれ表示している。また、4の計画一覧表において、“出荷日基準”での納入計画(何日にいくつ出荷するか)を工場別(および輸送手段別)に一覧で表示している。
【0040】
なお、図8に示した表の形式はあくまで一例であり、他の表示形式であってもよいことは当然である。例えば、図中の1〜3の計画表を一つの表としてまとめて表示してもよいし、4の計画一覧表を複数の表に分けて表示してもよい。また、図8の例では、納入計画における横軸の日付を週単位で表示しているが、特にこれに制限されるものではなく、日単位や月単位などで表示することも可能である。また、図8の例では、“着荷日基準”での納入計画と“出荷日基準”での納入計画を同一画面で一覧できるよう表示しているが、例えば異なるシートや画面として交互に切り替えて表示するようにしてもよい。
【0041】
当該画面を含む、物品納入計画調整支援装置100が表示する各画面は、図2における物品納入計画調整支援装置100の出力装置102上に表示してもよいし、例えば図示しないWebサーバプログラム等を利用して、図1における送信側端末400をクライアントとしてWebブラウザ等により表示させるようにしてもよい。
【0042】
図3に戻り、次に、上記の納入計画調整画面を介して、制御部120の計画調整情報受付部122が、ユーザから調整を希望する納入計画の情報を受け付け、記憶部140の調整希望計画143として記憶する計画調整情報受付処理を実行する(S03)。ここでは例えば、図8に示した納入計画調整画面において、ユーザが納入計画の調整を希望する箇所(例えば着荷日等の日付)を選択する等により指示した上で、画面下部の“調整情報表示”ボタンを押下することで、調整希望を受け付ける。受け付けた情報は、計画調整情報受付部122によって調整希望計画143に記録される。
【0043】
図9は、調整希望計画143のデータ構成と具体的なデータの例を示した図である。調整希望計画143は、ユーザが変更・調整を希望する納入計画の情報を保持し、例えば、“基準シート”、“品目”、“サプライヤ”、“工場”、“日付”などの項目を有するテーブルとして構成される。
【0044】
“基準シート”の項目は、図8に示した納入計画調整画面において、ユーザが“着荷日基準”と“出荷日基準”のいずれの画面やシート等によって調整対象の納入計画を選択したかを識別する情報を保持する。“日付”の項目は、調整希望の納入計画における調整希望の日付の情報を保持する。ここでは、“基準シート”の項目の値が“着荷日基準”である場合は工場への着荷日の情報を保持し、“出荷日基準”である場合はサプライヤからの出荷日の情報を保持することになる。
【0045】
図3に戻り、次に、演算部130の計画調整可能期間算出部132が、更新納入計画142と調整希望計画143、および輸送リードタイム301の情報に基づいて、調整希望の納入計画に対して調整が可能な期間を算出し、当該期間に含まれる納入計画を抽出して記憶部140の調整可能期間144に記憶する計画調整可能期間算出処理を実行する(S04)。
【0046】
図10は、調整可能期間144のデータ構成と具体的なデータの例を示した図である。調整可能期間144は、上述したように、調整希望の納入計画に対して調整が可能な期間に含まれる納入計画の情報を保持し、図7に示した更新納入計画142と同様のデータ構成から“数量”を除いた項目を有するテーブルとして構成される。
【0047】
この調整可能期間144を得る具体的な手法としては、例えば、調整希望計画143が図9の例に示した“着荷日基準”での調整希望である場合を例にすると、まず、調整希望の“工場A”に対して対象のサプライヤ(“サプライヤP”)が各輸送手段で対象の部品(“部品X”)を輸送するのに要するリードタイムを輸送リードタイム301から取得する(図6の輸送リードタイム301の例では、“船舶”の場合は“35日”、“航空便”の場合は“4日”)。このリードタイムの日数を、調整希望の日付(図9の例では“4/25”)から遡ることで、輸送手段毎の最遅の出荷日を算出する。
【0048】
その後、調整希望の工場以外の他の工場(“工場B”や“工場C”など)について、上記の最遅の出荷日以前に出荷予定である納品計画を更新納入計画142から抽出する。図7に示した更新納入計画142の例では、“工場B”および“工場C”について、輸送手段が“船舶”の場合は出荷日が“4/25”から35日遡った“3/21”以前である納入計画、輸送手段が“航空便”の場合は出荷日が“4/25”から4日遡った“4/21”以前である納入計画を抽出して、“数量”の項目を除いた上で調整可能期間144に記憶する。この調整可能期間144の情報を保持することにより、例えばこの情報を図8に示した画面等に表示することで、納入計画の調整が可能な期間の範囲をユーザに容易に把握させることが可能となる。
【0049】
図3に戻り、次に、演算部130の利用可能在庫算出部133が、記憶部140の工場在庫見通し145、および各種マスタ150の輸送リードタイム301と調達リードタイム302の情報に基づいて、各工場における対象の部品の在庫のうちいつどれだけの数の在庫が利用可能であるか(すなわち各工場における在庫の余裕分)を算出し、記憶部140の利用可能在庫147に記憶する利用可能在庫算出処理を実行する(S05)。
【0050】
図11は、工場在庫見通し145のデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。工場在庫見通し145は、各品目に関して各工場でいつ・どれだけの部品を在庫として有する見通しであるかという情報を保持し、例えば、“工場”、“品目”、“サプライヤ”、“日付”、“数量”などの項目を有するテーブルとして構成される。“日付”の項目は、在庫見通しの対象の日付の情報を保持する。“数量”の項目は、在庫として保有する見通しの数量の情報を保持する。
【0051】
図12は、調達リードタイム302のデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。調達リードタイム302は、サプライヤが受注を受けてから材料等を調達して部品を製造し出荷するまでのリードタイムを定義した情報を保持し、例えば、“サプライヤ”、“品目”、“調達リードタイム”などの項目を有するテーブルとして構成される。“調達リードタイム”の項目は、サプライヤが対象の部品の材料等を調達して部品を製造し、出荷するまでのリードタイムの情報を保持する。
【0052】
図13は、図3のステップS05における利用可能在庫の算出方法の例について概要を示した図である。図13に示したグラフでは、横軸に時間(日付)、縦軸に部品の数量をとって、工場在庫見通し145から取得した、対象の工場における部品の在庫見通しの推移を示している。ここで、在庫見通しのうちの余裕分である利用可能在庫を求めるためには、まず、納入計画の調整ができない期間を求める必要がある。納入計画の調整ができない期間は、品目毎にサプライヤが対象の部品の材料等を調達して部品を製造・出荷するために必要な調達リードタイムとサプライヤが部品を出荷して工場に納入するまでの輸送リードタイム、および輸送手段の情報に基づいて求められる。
【0053】
例えば、輸送手段として航空便(高速輸送手段)と船舶(低速輸送手段)の2種類が利用可能な場合は、図13に示したように、納入計画の調整ができない期間(すなわち現時点で新たに発注した部品が工場に納入されるまでに必要な期間)は、当該部品の調達リードタイムに航空便と船舶のそれぞれの輸送リードタイムを加算した期間となる。このため、航空便の場合は、納入計画の調整ができない期間は船舶の場合に比べて短くなる。
【0054】
この納入計画の調整ができない期間の経過時における工場での在庫見通しの数を上限とした工場での在庫見通しの数(図13における点線で示される数)が、当該期間での利用可能在庫数ということになる。また、納入計画を調整できない期間より先の期間に関しては、現時点以降で部品を必要な数だけ新たに発注することが可能であるとすると、利用可能在庫の数量には制限がなくなる。従って、通常は航空便の方が利用可能在庫数は多くなる。
【0055】
図14は、利用可能在庫147のデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。利用可能在庫147は、各工場で各品目について輸送手段毎にいつ・どれだけの利用可能在庫を有するかという情報(図13に示したような利用可能在庫数の遷移の情報)を保持し、例えば、“工場”、“品目”、“サプライヤ”、“輸送手段”、“日付”、“数量”などの項目を有するテーブルとして構成される。“日付”の項目は、利用可能在庫の対象の日付の情報を取得する。“数量”の項目は、対象の部品の利用可能在庫の数量の情報を保持する。
【0056】
図3に戻り、次に、演算部130の調整可能計画算出部134が、調整可能期間144、および利用可能在庫147の情報に基づいて、調整可能期間144の各納入計画について調整可能数を算出し、記憶部140に調整可能計画148として記憶する調整可能計画算出処理を実行する(S06)。ここでは、調整可能期間144に含まれる各納入計画について、各着荷日における利用可能在庫数を利用可能在庫147から取得して追加し、調整可能計画148として記憶する。
【0057】
図15は、調整可能計画148のデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。調整可能計画148は、上述したように、調整可能期間144の各納入計画についての調整可能数の情報を保持し、図10に示した調整可能期間144と同様のデータ構成に加えて、“数量”の項目を有するテーブルとして構成される。“数量”の項目は、対象の納入計画についての調整可能な数量(すなわち、納入先の工場における在庫の余裕分を示す利用可能在庫数)の情報を保持する。
【0058】
この調整可能計画148の情報は、サプライヤ在庫計画146の情報と合わせて、制御部120の出力部124によって、“着荷日基準”と“出荷日基準”の2種類のタイミングを基準として、更新納入計画142の情報に対して調整可能な納入計画を並行的に確認することができるようユーザに対して画面出力される。これにより、納入計画の調整が可能な期間と数量の範囲をユーザが容易に把握することが可能となる。
【0059】
図16は、サプライヤ在庫計画146のデータ構成と具体的なデータの例について示した図である。サプライヤ在庫計画146は、各品目に関してサプライヤがいつ・どれだけの部品を在庫として有する予定であるかという情報(すなわち、サプライヤにおける在庫の余裕分)を保持し、例えば、“サプライヤ”、“品目”、“日付”、“数量”などの項目を有するテーブルとして構成される。“日付”の項目は、在庫予定の対象の日付の情報を保持する。“数量”の項目は、在庫として有する予定の数量の情報を保持する。
【0060】
図17は、納入計画を確認して調整を行うための納入計画調整画面の例について示した図である。ここでは例えば、図8の画面例と同様に、ユーザにより指定された部品(例えば“部品A”)についての指定されたサプライヤ(例えば“サプライヤP”)からの納入計画について、上から順に1〜3の計画表において、“着荷日基準”での納入計画を工場別(および輸送手段別)にそれぞれ表示している。また、図8の画面例においてユーザによって指定された調整希望の日付(“4/25”)を強調表示している。
【0061】
さらに、調整情報として、納入計画に対して“サプライヤ在庫”欄を追加して、サプライヤ在庫計画146の数量の情報を、輸送リードタイム301における輸送手段毎のリードタイムの日数分進めた日付に対応させて表示することで、サプライヤの在庫の余裕分を把握できるようにする。また、“調整可能数”欄を追加して、ステップS06で算出した調整可能計画148の数量の情報を表示することで、調整対象の工場(図17の例では“工場B”、“工場C”)に対する納入計画における調整可能な数量を把握できるようにする。
【0062】
さらに、これらの欄について調整可能期間144の各納入計画における着荷日に対応する欄を輸送手段毎に着色するなどして、調整可能な期間の範囲が容易に識別可能となるようにする。これらにより、ユーザは、例えば、調整希望を満たすために各工場に対する納入計画においてサプライヤからの出荷をいつどれだけであれば増減させることができるかを容易に把握することが可能となる。
【0063】
同様に、図18は、納入計画を確認して調整を行うための納入計画調整画面の別の例について示した図である。ここでは例えば、図8および図17の画面例と同様に、ユーザにより指定された部品についての指定されたサプライヤからの納入計画について、4の計画一覧表において、“出荷日基準”での納入計画を工場別に一覧で表示している。
【0064】
さらに、調整情報として、納入計画に対して“調整可能数”欄を追加して、ステップS06で算出した調整可能計画148の数量の情報を、輸送リードタイム301における輸送手段毎のリードタイムの日数分遡った日付に対応させて表示することで、調整対象の工場(図18の例では“工場B”、“工場C”)に対する納入計画における調整可能な数量を把握できるようにする。また、“サプライヤ在庫”欄を追加して、サプライヤ在庫計画146の数量の情報を表示することで、サプライヤの在庫の余裕分を把握できるようにする。
【0065】
さらに、図17の画面例と同様に、これらの欄について調整可能期間144の各納入期間における出荷日に対応する欄を輸送手段毎に着色するなどして、調整可能な期間の範囲が容易に識別可能となるようにする。これらにより、ユーザは、例えば、調整希望を満たすために各工場に対する納入計画においてサプライヤからの出荷をいつどれだけであれば増減させることができるかを容易に把握することが可能となる。なお、図17、18の例では、“着荷日基準”での納入計画と“出荷日基準”での納入計画を異なる画面で切り替えて表示するものとしているが、例えば図8の画面例に示すように同一画面上で一覧できるように表示してもよい。
【0066】
図3に戻り、次に、図17、18に示したような納入計画調整画面を介して、制御部120の計画変更情報受付部123が、ユーザから調整を希望する納入計画の変更内容の情報を受け付ける計画変更情報受付処理を実行する(S07)。ここでは例えば、図17、18に示した納入計画調整画面において、ユーザが納入計画の変更内容を入力した上で、画面下部の“計画反映”ボタンを押下することで、変更内容の情報を受け付ける。
【0067】
次に、演算部130の計画変更反映部135が、ステップS07で受け付けた変更内容の情報を納入計画に反映させて記憶部140の変更計画149として記憶する計画変更反映処理を実行する(S08)。図19は、変更計画149のデータ構成と具体的なデータの例を示した図である。変更計画149は、上述したように、ユーザからの変更内容を反映させた納入計画の情報を保持し、図7に示した更新納入計画142と同様のデータ構成を有するテーブルとして構成される。
【0068】
図19の例では、図7に示した更新納入計画142の例において、“サプライヤP”から“船舶”で“3/21”に出荷して“4/18”に“工場B”に着荷する納入計画の数量“20”のうち“5”だけ減らして、“3/21”に出荷して“4/25”に“工場A”に着荷する納入計画の数量“10”を“5”だけ増やすように納入計画を変更した場合を示している。この変更計画149の情報は、制御部120の出力部124によって、例えば、図8に示したのと同様な納入計画調整画面を介して、納入計画の変更結果を確認することができるようユーザに対して画面出力される。
【0069】
図3に戻り、次に、納入計画を調整したことによる影響度を評価するために、必要に応じて、更新納入計画142、変更計画149、工場在庫見通し145、サプライヤ在庫計画146、および輸送コスト303などの情報に基づいて、演算部130のKPI算出部136がKPIを算出するKPI算出処理を実行する(S09)。KPIとしては、納入計画の変更による影響を定量的に評価し把握することができる指標であれば、その内容については限定されず任意の指標を用いることができる。
【0070】
例えば、外部情報300から取得して記憶部140の各種マスタ150に保持している輸送コスト303の情報などに基づいて、全体での輸送コストの増減を求めて指標とすることができる。図20は、輸送コスト303のデータ構成と具体的なデータの例を示した図である。輸送コスト303は、各サプライヤから各工場に輸送する際のコストを輸送手段別に定義した情報を保持し、例えば、“サプライヤ”、“工場”、“輸送手段”、“コスト”などの項目を有するテーブルとして構成される。“コスト”の項目は、対象の輸送手段でサプライヤから工場まで輸送する際に要するコストに係る情報を保持する。
【0071】
算出したKPIの情報は、制御部120の出力部124によって画面出力される。図21は、KPIを表示するためのKPI表示画面の例について示した図である。図示するように、KPIとしては、例えば、全体での輸送コストの増減の他に、部品の納期の遵守率、供給不足の発生有無やその時期、在庫維持に係るコストなど、種々のものが考えられる。当該画面によってユーザがKPIの内容を確認することで、納入計画の変更による各工場と各サプライヤへの影響度を総合的に確認することができ、納入計画の変更を行うべきか否かの判断を瞬時に行うことが可能となる。
【0072】
その結果、ユーザが納入計画の変更内容を確定させると判断した場合は、図8や図17、18に示した納入計画調整画面の例における“計画確定”ボタンを押下する。これにより、図3の処理フローにおいて、演算部130の計画変更確定部137が、記憶部140の変更計画149の内容を納入計画141および更新納入計画142にそれぞれ反映させて納入計画を確定させる計画変更確定処理を実行する(S10)。変更が確定した納入計画141もしくは更新納入計画142の内容は、制御部120の出力部124によって、例えば図8に示したような画面を介して出力してもよい。また、購買統括担当者や各サプライヤの担当者等が、通信部110およびネットワーク200を介してこれらの情報をダウンロード等により受信することも可能である。
【0073】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態である物品納入計画調整支援装置100によれば、購買統括担当者は、図8に示したような納入計画調整画面を参照することで、サプライヤからの出荷日と工場への着荷日の2種類のタイミング(“出荷日基準”と“着荷日基準”)で納入計画を確認することが可能である。
【0074】
また、納入計画の調整を検討する際に、“着荷日基準”での、各工場での部品の必要量や余裕分および納入予定の情報と、“出荷日基準”での、各サプライヤからの出荷予定や出荷能力の情報とを有機的に関連付けた上で、対象の納入計画が実行可能なものであるか否かや、調整可能な範囲がどこまでかを自動的に判断してユーザに提示することが可能である。さらに、図17、18に示したような“出荷日基準”と“着荷日基準”の2種類の納入計画調整画面のどちらを用いて納入計画の変更内容を入力したとしても、それによる他の計画への影響を2種類の各納入計画調整画面、および図21に示したようなKPI表示画面等を用いて出力することで、ユーザが瞬時に変更の影響を確認することができる。
【0075】
これらにより、購買統括担当者が短時間で精度の高い納入計画の立案・調整を行えるよう支援することが可能となる。
【0076】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0077】
例えば、本実施の形態では、サプライヤを1つとして説明してきたが、複数のサプライヤを対象として実行するようにしてもよい。その場合、あるサプライヤで納入計画の調整ができない場合でも、他のサプライヤにおいて調整可能であるか否かを検討できるようになるため、納入計画を調整できる対象範囲が広がり、より購買統括担当者の要求に沿った納入計画の調整を行うことが可能となる。
【0078】
また、本実施の形態では、ユーザを購買統括担当者として説明してきたが、サプライヤの担当者が用いることも可能であり、さらに、購買統括担当者とサプライヤの担当者の双方が利用することも可能である。特に、複数の工場や顧客に部品を供給しているサプライヤの担当者が本実施の形態の物品納入計画調整支援装置100を用い業務を行えば、例えば、購買統括担当者が行った納入計画の変更内容をサプライヤの担当者が即時に把握することができ、また、サプライヤでの“出荷日基準”と工場(顧客)での“着荷日基準”の2種類のタイミングで並行的に納入状況を確認できるため非常に有用であり、納期遵守率を向上させることができる。
【0079】
また、本実施の形態では、図8や図17、18に示した納入計画調整画面の例において、納入計画を調整可能な期間や、調整可能数(納入先の工場における在庫の余裕分)、サプライヤ在庫数(サプライヤの在庫の余裕分)の情報を表示しているが、これらの項目のうちの一部のみを取得して表示するものであってもよい。
【0080】
また、本実施の形態では、納入計画を変更することを対象に説明してきたたが、サプライヤ在庫計画146もしくは工場在庫見通し145の数量を増減させて納入計画に対する影響範囲を確認するということも可能である。例えば、サプライヤ在庫計画146もしくは工場在庫見通し145の数量の増減に対して、その対象の日付を図8や図17、18に示したような納入計画調整画面を介してユーザが指定するようにする。この情報に基づいて、演算部130の計画調整可能期間算出部132が、納入計画に影響する期間を算出し、制御部120の出力部124が、図17、18に示したような納入計画調整画面を介して影響範囲として表示するということが可能である。
【0081】
また、本実施の形態では、工場への部品の納入を管理する業務を例として説明してきたが、適用対象はこれに限らず、1つ以上のサプライヤが1つ以上の納入先に対して物品を納入する流通形態における購買業務や受発注管理業務等に適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、サプライヤから納入先への物品の納入に係る納入計画を立案・調整する物品納入計画調整支援装置および物品納入計画調整支援プログラムに利用可能である。
【符号の説明】
【0083】
100…物品納入計画調整支援装置、101…入力装置、102…出力装置、103…外部記憶装置、104…演算装置、105…主記憶装置、106…通信装置、107…バス、
110…通信部、
120…制御部、121…外部情報受付部、122…計画調整情報受付部、123…計画変更情報受付部、124…出力部、
130…演算部、131…輸送リードタイム変換部、132…計画調整可能期間算出部、133…利用可能在庫算出部、134…調整可能計画算出部、135…計画変更反映部、136…KPI算出部、137…計画変更確定部、
140…記憶部、141…納入計画、142…更新納入計画、143…調整希望計画、144…調整可能期間、145…工場在庫見通し、146…サプライヤ在庫計画、147…利用可能在庫、148…調整可能計画、149…変更計画、150…各種マスタ、
200…ネットワーク、
300…外部情報、301…輸送リードタイム、302…調達リードタイム、303…輸送コスト、
400…送信側端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サプライヤから納入先への物品の納入に係る納入計画の調整を支援する物品納入計画調整支援装置であって、
前記各サプライヤが前記各納入先にいつどれだけの前記物品を納入する予定であるかという納入計画の情報と、前記各サプライヤから前記各納入先に前記物品を輸送する際のリードタイムを輸送手段別に定義した輸送リードタイムの情報とを保持する記憶部と、
前記納入計画の情報と、前記輸送リードタイムの情報に基づいて、前記各納入計画における前記納入先への着荷日から対応する前記輸送リードタイムの日数を遡ることで出荷日を算出し、算出した前記出荷日の情報を前記納入計画に追加して更新納入計画として前記記憶部に記憶する輸送リードタイム変換部を有する演算部と、
前記更新納入計画の情報を、前記部品がいつ前記納品先に着荷するかという着荷日基準と、前記サプライヤから前記部品をいつ出荷するかという出荷日基準の2種類のタイミングを基準として画面出力する出力部、および、ユーザから前記画面を介して調整を希望する前記納入計画の情報を受け付け、調整希望計画として前記記憶部に記憶する計画調整情報受付部を有する制御部とを有し、
前記演算部は、さらに、前記更新納入計画の情報と、前記調整希望計画の情報と、前記輸送リードタイムの情報に基づいて、ユーザが調整を希望する前記納入計画に対して調整が可能な期間を算出し、前記期間に含まれる前記納入計画を抽出して調整可能期間として前記記憶部に記憶する計画調整可能期間算出部を有し、
前記制御部の前記出力部は、前記画面において前記調整可能期間に係る範囲を識別可能なように表示することを特徴とする物品納入計画調整支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物品納入計画調整支援装置において、
前記記憶部は、さらに、前記各納入先でいつどれだけの前記物品を在庫として有する見通しであるかという納入先在庫見通しの情報と、前記各サプライヤが受注を受けてから前記物品を出荷するまでのリードタイムを定義した調達リードタイムの情報とを保持し、
前記演算部は、さらに、前記納入先在庫見通しの情報と、前記輸送リードタイムの情報と、前記調達リードタイムの情報に基づいて、前記各納入先における前記物品の在庫のうちいつどれだけの数が利用可能であるかを算出して、利用可能在庫として前記記憶部に記憶する利用可能在庫算出部と、
前記調整可能期間の情報と、前記利用可能在庫の情報に基づいて、前記調整可能期間の前記各納入計画について調整可能数をそれぞれ算出して追加した情報を調整可能計画として前記記憶部に記憶する調整可能計画算出部とを有し、
前記制御部の前記出力部は、前記更新納入計画の情報に対応させて、前記調整可能計画の情報を、前記着荷日基準と前記出荷日基準の2種類のタイミングを基準として画面出力することを特徴とする物品納入計画調整支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の物品納入計画調整支援装置において、
前記記憶部は、さらに、前記各サプライヤがいつどれだけの前記物品を在庫として有する予定であるかというサプライヤ在庫計画の情報を保持し、
前記制御部の前記出力部は、前記更新納入計画の情報に対応させて、前記サプライヤ在庫計画の情報を、前記着荷日基準と前記出荷日基準の2種類のタイミングを基準として画面出力することを特徴とする物品納入計画調整支援装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品納入計画調整支援装置において、
前記制御部は、さらに、ユーザから前記画面を介して調整を希望する前記納入計画の変更内容の情報を受け付ける計画変更情報受付部を有し、
前記演算部は、さらに、前記変更内容の情報を前記納入計画に反映させて変更計画として前記記憶部に記憶する計画変更反映部と、前記更新納入計画と、前記変更計画を含む情報に基づいて、前記納入計画の変更の影響を定量的に評価する指標を算出するKPI算出部とを有し、
前記制御部の前記出力部は、前記変更計画の情報を、前記着荷日基準と前記出荷日基準の2種類のタイミングを基準として画面出力し、さらに、前記KPI算出部によって算出された前記指標を画面出力することを特徴とする物品納入計画調整支援装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の物品納入計画調整支援装置において、
前記各納入計画の管理を統括する担当者と、前記サプライヤの担当者の双方が、前記各納入計画の確認と調整の処理を行うことが可能であることを特徴とする物品納入計画調整支援装置。
【請求項6】
請求項2に記載の物品納入計画調整支援装置において、
前記計画調整情報受付部は、ユーザから変更を希望する前記納入先在庫見通しの情報を受け付け、
前記演算部の前記計画調整可能期間算出部は、前記更新納入計画の情報と、変更を希望する前記納入先在庫見通しの情報と、前記輸送リードタイムの情報に基づいて、ユーザが変更を希望する前記納入先在庫見通しに対して前記納入計画に影響する期間を算出し、
前記制御部の前記出力部は、前記更新納入計画の情報に対応させて、前記納入計画に影響する期間の情報を、前記着荷日基準と前記出荷日基準の2種類のタイミングを基準として画面出力することを特徴とする物品納入計画調整支援装置。
【請求項7】
請求項3に記載の物品納入計画調整支援装置において、
前記計画調整情報受付部は、ユーザから変更を希望する前記サプライヤ在庫計画の情報を受け付け、
前記演算部の前記計画調整可能期間算出部は、前記更新納入計画の情報と、変更を希望する前記サプライヤ在庫計画の情報と、前記輸送リードタイムの情報に基づいて、ユーザが変更を希望する前記サプライヤ在庫計画に対して前記納入計画に影響する期間を算出し、
前記制御部の前記出力部は、前記更新納入計画の情報に対応させて、前記納入計画に影響する期間の情報を、前記着荷日基準と前記出荷日基準の2種類のタイミングを基準として画面出力することを特徴とする物品納入計画調整支援装置。
【請求項8】
サプライヤから納入先への物品の納入に係る納入計画の調整を支援する物品納入計画調整支援装置としてコンピュータを機能させる物品納入計画調整支援プログラムであって、
前記各サプライヤが前記各納入先にいつどれだけの前記物品を納入する予定であるかという納入計画の情報と、前記各サプライヤから前記各納入先に前記物品を輸送する際のリードタイムを輸送手段別に定義した輸送リードタイムの情報に基づいて、前記各納入計画における前記納入先への着荷日から対応する前記輸送リードタイムの日数を遡ることで出荷日を算出し、算出した前記出荷日の情報を前記納入計画に追加して更新納入計画として記憶する輸送リードタイム変換処理と、
前記更新納入計画の情報を、前記部品がいつ前記納品先に着荷するかという着荷日基準と、前記サプライヤから前記部品をいつ出荷するかという出荷日基準の2種類のタイミングを基準として画面出力し、ユーザから前記画面を介して調整を希望する前記納入計画の情報を受け付け、調整希望計画として記憶する計画調整情報受付処理と、
前記更新納入計画の情報と、前記調整希望計画の情報と、前記輸送リードタイムの情報に基づいて、ユーザが調整を希望する前記納入計画に対して調整が可能な期間を算出し、前記期間に含まれる前記納入計画を抽出して調整可能期間として記憶する計画調整可能期間算出処理とを実行し、
前記画面において前記調整可能期間に係る範囲を識別可能なように表示することを特徴とする物品納入計画調整支援プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の物品納入計画調整支援プログラムにおいて、
さらに、前記各納入先でいつどれだけの前記物品を在庫として有する見通しであるかという納入先在庫見通しの情報と、前記各サプライヤが受注を受けてから前記物品を出荷するまでのリードタイムを定義した調達リードタイムの情報と、前記調達リードタイムの情報に基づいて、前記各納入先における前記物品の在庫のうちいつどれだけの数が利用可能であるかを算出して、利用可能在庫として記憶する利用可能在庫算出処理と、
前記調整可能期間の情報と、前記利用可能在庫の情報に基づいて、前記調整可能期間の前記各納入計画について調整可能数をそれぞれ算出して追加した情報を調整可能計画として記憶する調整可能計画算出処理とを実行し、
前記更新納入計画の情報に対応させて、前記調整可能計画の情報を、前記着荷日基準と前記出荷日基準の2種類のタイミングを基準として画面出力することを特徴とする物品納入計画調整支援プログラム。
【請求項10】
請求項8または9に記載の物品納入計画調整支援プログラムにおいて、
さらに、前記更新納入計画の情報に対応させて、前記各サプライヤがいつどれだけの前記物品を在庫として有する予定であるかというサプライヤ在庫計画の情報を、前記着荷日基準と前記出荷日基準の2種類のタイミングを基準として画面出力することを特徴とする物品納入計画調整支援プログラム。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1項に記載の物品納入計画調整支援プログラムにおいて、
さらに、ユーザから前記画面を介して調整を希望する前記納入計画の変更内容の情報を受け付ける計画変更情報受付処理と、
前記変更内容の情報を前記納入計画に反映させて変更計画として記憶する計画変更反映処理と、
前記更新納入計画と、前記変更計画を含む情報に基づいて、前記納入計画の変更の影響を定量的に評価する指標を算出するKPI算出処理とを実行し、
前記変更計画の情報を、前記着荷日基準と前記出荷日基準の2種類のタイミングを基準として画面出力し、さらに、前記KPI算出処理によって算出された前記指標を画面出力することを特徴とする物品納入計画調整支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−229088(P2012−229088A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98416(P2011−98416)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】