説明

物品貸出し管理システム

【課題】 無線タグが装着された物品の貸出し手続きに際しては、ホストコンピュータに貸出し手続き完了に関するデータを格納して、出口ゲートにてこの格納データを利用していたため、退出判定に時間を要していた。
【解決手段】 物品12の貸出し手続きを行うに際し、無線タグ10に貸出し手続き完了データを書込む手段15と、出口ゲート22に設置されたリーダライタ手段23並びに退出可否判定手段24であって、リーダライタ手段23は、無線タグ10に格納されている固有IDデータ及び貸出し手続き完了データを読み出す手段であり、退出可否判定手段24は、無線タグ10から読み出されたデータに基づいて貸出し手続きが正規に行われたか否かを判定し、正規な手続きが判定された場合に出口ゲート22からの利用者の退出を許可する信号を出力する手段であることを特徴とする物品貸出し管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図書館での書籍貸出し管理、レンタル店でのビデオテープ貸出し管理など、物品に無線タグを装着して管理する物品貸出し管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図書館やレンタルビデオ店などでは、大量の書籍やビデオテープの貸出、返却管理を効率的に行うべく、書籍やビデオテープに無線タグを装着して管理を行うことが実用化されている。例えば図書館を例に説明すると、閲覧対象として収蔵されている書籍には、内部にIC、アンテナなどが格納されている無線タグが装着されている。無線タグには固有のIDデータが格納されており、個々の書籍毎の詳細データは無線タグ固有IDデータに関連付けられて、館内に設置されているホストコンピュータのデータベースに格納されている。
【0003】
利用者が所望の書籍の館外貸出しを希望する際には、書籍を貸出しカウンタへ持参して、館員が所持したり机上に設置されているリーダライタにより書籍の無線タグのIDデータを読取る。読取られたIDデータは、ホストコンピュータにて処理され、ホストコンピュータのデータベースの該当書籍に関するステータスデータを館内所蔵から貸出中へ変更する。
【0004】
利用者が館内所蔵書籍を所持して出口ゲートを通過する際には、出口ゲートに設けられているリーダライタによって、書籍に装着されている無線タグのIDデータが読取られる。読取られたIDデータが正しく貸出しがなされているか否かをホストコンピュータへ照会し、貸出し手続が正規になされていることが確認されると、その信号を出口ゲートへ送信して、ゲートを開け利用者が出場することになる。もし、利用者が定められた貸出し手続を経ていない場合には、書籍に装着されている無線タグから読み出されたIDデータをホストコンピュータで照会の結果、出場が拒否される。(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開2004−151821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、図書館の例によると、蔵書1冊ごとに装着されている無線タグを利用した管理システムにおいては、利用者が、館内所蔵書籍を所持して出口ゲートを通過しようとすると、出口ゲートのリーダライタが無線タグに格納されているIDデータを読取る。このIDデータを出口ゲート外に設置されているホストコンピュータにて照合して、正規の貸出し手続を完了しているか否かを判定し、この判定結果に基づいて出口ゲートの開閉を制御することになる。
【0006】
しかしながら、出口ゲートからのIDデータの読出し、ホストコンピュータへの照合送信、ホストコンピュータでの照合処理、照合結果の出口ゲートへの送信という経過をたどることになる。この結果、利用者が出口ゲートへ到着してから通過可否の判定がなされるまでに多大の時間を要することになる。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、簡単な構成で速やかな貸出し照合を可能とした物品貸出し管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係わる物品貸出し管理システムは、固有IDデータが格納されている無線タグが装着された物品を所持する利用者が、前記物品の貸出し手続きを経て前記施設から出口ゲートを介して施設外へ退出する物品貸出し管理システムにおいて、前記物品の貸出し手続きを行うに際し、前記無線タグに貸出し手続き完了データを書込む手段と、前記出口ゲートに設置されたリーダライタ手段並びに退出可否判定手段であって、前記リーダライタ手段は、前記無線タグに格納されている前記固有IDデータ及び貸出し手続き完了データを読み出す手段であり、前記退出可否判定手段は、前記無線タグから読み出されたデータに基づいて貸出し手続きが正規に行われたか否かを判定し、正規な手続きが判定された場合に前記出口ゲートからの前記利用者の退出を許可する信号を出力する手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
書籍などの物品を図書館などの施設外へ貸出しを行う場合、貸出し手続きデータを物品に装着されている無線タグに格納することにより、出口ゲートにおいて無線タグに格納されているデータを読み出すことで正規な手続きか否かを判定することが可能となった。この結果、利用者の出口ゲートにおける退出可否の判定に要する時間が短縮された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明に係わる実施形態を、図書館を例に図を参照して説明する。図1は本発明の管理システムを示す構成図である。利用者11が図書館蔵書の中から希望する書籍12の館外貸出しを希望する場合、貸出し管理部13にて必要な手続を行わなければならない。貸出し管理部13の貸出しカウンタ14にはリーダライタ15が設置されている。
【0011】
図書館蔵書の書籍1冊ごとには無線タグ10が装着されている。無線タグ10についてはすでに多くの分野で利用されており、ここでその詳細な説明は省略するが、ICチップ、アンテナなどから構成されており、内部に無線タグ固有のIDデータが格納されている。そして、外部のリーダライタとの間で電波により通信を行う機能を有するものである。
【0012】
利用者11が、無線タグ10が装着された書籍12を所持して貸出しカウンタ14に立ち寄ると、無線タグ10内部に格納されている無線タグ固有IDデータが貸出しリーダライタ15によって読取られる。貸出しリーダライタ15にて読取られたIDデータはホストコンピュータ16へ伝送される。ホストコンピュータ16には制御部16a、並びにデータベース16bを有しており、データベース16bには図書館に蔵書されている書籍ごとの無線タグ固有IDデータ、図書登録固有IDデータ、図書分類データ、書誌データ、貸出しデータ、貸出し判別データなどが相互に関連付けられて格納されている。貸出しデータとしては、貸出し日時、貸出し先の利用者固有の登録データなどが代表的なデータとなる。貸出し判別データとしては、数字コードによって示されており、貸出し未登録が0、貸出し登録済が1などである。
【0013】
このようにしてホストコンピュータ16の制御部16aを介してのデータベース16bの該当するデータ更新が行われる。その後、書籍12に装着されている無線タグ10には、ホストコンピュータ16から貸出し手続完了に伴う新たなデータが書き込まれる。すなわち、図2に無線タグ10内に格納されるデータ構造を示してあるが、無線タグ10には、元々格納されている無線タグ固有IDデータ17に加えて、貸出しを受けた書籍固有の図書登録固有IDデータ18、それに貸出しデータ19、貸出し判別データ25が格納される。この無線タグ10へのホストコンピュータ16からのデータ書き込みは、貸出しカウンタ14に設置されている貸出しリーダライタ15によって行われる。
【0014】
以上のように貸出し手続が完了した利用者11は、書籍12を所持して出口部20へ来ることになる。出口部20には開閉ゲート21を有する出口ゲート22が設置されており、図書館を利用した全ての利用者は、書籍所持の有無に係わらずこの出口ゲート22を通過しなければならない。利用者が図書館所蔵の書籍12を所持して出口ゲート22を通過するに際しては、書籍12に装着している無線タグ10と出口ゲート22に設けられた出口リーダライタ23との間で通信が行われる。
【0015】
出口リーダライタ23は、無線タグ10に貸出し管理部13にて書き込まれたデータを含め、無線タグ10内に格納されている各種データを読取る。そして、出口リーダライタ23で読取られた各種データは退館可否判定部24に入力される。退館可否判定部24では、図2示した無線タグ10内に格納されている貸出しデータ19などから正規の貸出し手続きが完了しているか否かをチェックする。適正に貸出し手続きが完了していると判断された場合には、退館可の判定を行いゲート開閉制御部26へ開閉ゲート21を開ける指令信号を送り、開閉ゲート21を通過して利用者11は退館することができる。
【0016】
このようにして、利用者11が所持する書籍12に装着されている無線タグ10内に、貸出し管理部13にて貸出しデータ19などの貸出し手続きに伴う各種データを書き込んだことによって、ホストコンピュータ16への照会を必要とせず、出口部20のみで退館可否の判定を行うことが可能となった。すなわち、無線タグ10に貸出し手続きデータを格納し、出口ゲート22に退館可否判定部24を設けたことによって、出口部20のみで退館判定が可能となり、退館可否に要する時間を短縮することが可能となった。
【0017】
なお、上述した例では出口リーダライタ23では無線タグ10からデータの読取りを行うのみであったが、退館可否判定部24にて適正な貸出し手続き完了を確認した段階で、出口リーダライタ23から無線タグ10内へ、図2に示した貸出し判別データ25を更新したデータの書込みを行うことも可能である。この貸出し判別データ25としては、すでに無線タグ10に格納されている貸出し登録済1のデータを、出口ゲート22から退館した状態であることを示す貸出し中である数字コード2に更新される。
【0018】
なお、図3に本発明の実施形態の動作ステップをフローチャートを参照して説明する。利用者が図書館内で貸出しを希望する書籍が決定されると(Step1)、利用者は貸出し部へ無線タグが装着された書籍を持参する。貸出し部では貸出し登録が行われ(Step2)、各種の貸出し登録データが無線タグに書き込まれる(Step3)。貸出し登録を完了した利用者は出口ゲートを通過すべく出口部へ到着する(Step4)。出口ゲートでは退館可否判定が行われ適正と判定された場合には無線タグ内の貸出し判別データを更新する(Step5)とともに、出口ゲートを開け利用者の退館を可能とする(Step6)。退館可否判定にて適正な貸出し手続きが完了していないと判定された場合には、出口ゲートは閉じた状態のままで、再度貸出し手続きを促す。
【0019】
以上の本発明の実施形態は、図書館での館外貸出し管理を例になされたが、他にレンタルビデオ店など、無線タグが装着された物品を施設外へ貸出すにあたり貸出しに伴うデータ登録、出口ゲートでの退場可否の判定を行う必要があるシステムに広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態を示すシステム構成図。
【図2】本発明の実施形態を説明するためのデータ構成図。
【図3】本発明の実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0021】
10…無線タグ、11…利用者、12…書籍、13…貸出し管理部、14…貸出しカウンタ、15…リーダライタ、16…ホストコンピュータ、16a…制御部、16b…データベース、17…無線タグ固有IDデータ、18…図書登録固有IDデータ、19…貸出しデータ、20…出口部、21…開閉ゲート、22…出口ゲート、23…出口リーダライタ、24…退館可否判定部、25…貸出し判別データ、26…ゲート開閉制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有IDデータが格納されている無線タグが装着された物品を所持する利用者が、前記物品の貸出し手続きを経て前記施設から出口ゲートを介して施設外へ退出する物品貸出し管理システムにおいて、
前記物品の貸出し手続きを行うに際し、前記無線タグに貸出し手続き完了データを書込む手段と、
前記出口ゲートに設置されたリーダライタ手段並びに退出可否判定手段であって、前記リーダライタ手段は、前記無線タグに格納されている前記固有IDデータ及び貸出し手続き完了データを読み出す手段であり、前記退出可否判定手段は、前記無線タグから読み出されたデータに基づいて貸出し手続きが正規に行われたか否かを判定し、正規な手続きが判定された場合に前記出口ゲートからの前記利用者の退出を許可する信号を出力する手段であることを特徴とする物品貸出し管理システム。
【請求項2】
前記リーダライタ手段は、前記退出可否判定手段が正規な貸出し手続き完了の判定を行った場合に、前記無線タグに前記物品が貸出し中であることを示すデータを書込むことを特徴とする請求項1記載の物品貸出し管理システム。
【請求項3】
前記施設は図書館であり、前記物品は書籍であることを特徴とする請求項1または2に記載の物品貸出し管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−268696(P2006−268696A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88899(P2005−88899)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】