説明

物質または物質混合物の検査方法およびその使用

本発明は、物質もしくは物質混合物を検査する方法、および物質もしくは物質混合物の作用様式を特定する、および/または特徴付けるための、または、物質もしくは物質混合物に暴露後の生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)の生化学的状態および/または代謝状態を測定するための、その使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質または物質混合物の検査方法、ならびに農薬分野における、特に、物質もしくは物質混合物の作用様式を特定する、および/または特徴付けるための、または物質もしくは物質混合物に暴露後、生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)の生化学的状態および/または代謝状態を決定するための、前記方法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
WO 03/042406 (US 2005/0123917)には、IR(赤外)、FT-IR(フーリエ変換赤外)、ラマンもしくはFT-ラマン(フーリエ変換ラマン)分析を用いて、抗菌作用のある試験物質の作用機序の様式を特徴付ける、および/または特定する方法が記載されている。この方法には、対応する微生物細胞の培養物を試験物質で処理することが含まれる。
【0003】
農薬の作用機序の様式を特徴付ける、および/または特定することになると、WO 03/042406に記載の方法は適さない。農薬は複雑な生物に作用するので、その作用様式の解明には当該生物に対する試験が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、物質もしくは物質混合物を検査する実用的な方法であって、生物体全体に対する作用様式を評価することができる前記方法、または物質もしくは物質混合物に暴露後、生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)の生化学的状態および/または代謝状態を決定することができる前記方法を提供することである。
【0005】
この目的は、試験物質もしくは試験物質混合物であらかじめ処理した生物体に対してIR、FT-IR、ラマン、FT-ラマンまたは近赤外(NIR)分析を用いる、本発明によって達成される。
【0006】
本発明は、物質もしくは物質混合物の検査方法に関するが、その方法は
a)生物もしくは生物群を、物質もしくは物質混合物に暴露すること;
b)必要に応じて、この生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)を均一サンプルに変換すること;
c)そのサンプルについて、IR、FT-IR、ラマン、FT-ラマンおよび近赤外(NIR)からなる群から少なくとも1つのスペクトルを記録すること;ならびに
d)そのスペクトルを1つもしくは複数の基準スペクトルと比較すること:
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】アブラムシを入れた12ウェルマイクロタイタープレートを示す。
【図2】マイクロプレートに取り付けられた、アブラムシを集めるためのテフロン(登録商標)ブロックを示す。
【図3】凍結乾燥処理のためのチューブホルダーを示す。
【図4】(A)凍結乾燥されたアブラムシの入ったチューブ、および(B)ビーズミルで破砕後の凍結乾燥アブラムシの入ったチューブを示す。
【図5】それぞれ7連で(横列)、12個の異なるアブラムシサンプル(縦列)を入れた96ウェルシリコンマイクロプレートを示す。
【図6】昆虫(ソラマメ属(オオカラスノエンドウなど)のアブラムシ)を様々な物質と共にインキュベートした実験から得られたIRスペクトルの階層的クラスタ分析(ウォード法)の結果を示す。
【図7】植物体全体(アオウキクサ属)を様々な物質と共にインキュベートした実験から得られたIRスペクトルの階層的クラスタ分析(ウォード法)の結果を示す。
【図8】植物病原菌(いもち病菌(pyricularia oryzae))を様々な物質と共にインキュベートした実験から得られたIRスペクトルの階層的クラスタ分析(ウォード法)の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
a) 暴露
本方法のステップa)において、生物もしくは生物群は、試験物質もしくは試験物質混合物に暴露される。その目的は、暴露に伴う、前記生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)の変化を確認することである。
【0009】
本発明によれば、暴露はin vivoで行われる。この目的のために、生物体全体もしくは生物体全体の一群を物質もしくは物質混合物と接触させる。
【0010】
生物群は、同じ種に属する2個体以上の生物を意味するものである。生物群の生物がクローンであれば好都合である。
【0011】
特定の一実施形態によると、生物は節足動物、線形動物および軟体動物からなる一群から選択される。
【0012】
節足動物には具体的には下記が含まれる:
鱗翅類(鱗翅目)の昆虫、例えば、タマナヤガ(アグロチス・イプシロン(Agrotis ypsilon))、カブラヤガ(アグロチス・セゲツム(Agrotis segetum))、アラバマ・アルギラセア(Alabama argillacea)、アンチカルシア・ゲンマタリス(Anticarsia gemmatalis)、リンゴヒメシンクイ(アルギレスチア・コンジュゲラ(Argyresthia conjugella))、ガマキンウワバ(オートグラファ・ガンマ(Autographa gamma))、ブパルス・ピニアリウス(Bupalus piniarius)、カコエシア・ムリナナ(Cacoecia murinana)、カプア・レチクラナ(Capua reticulana)、ケイマトビア・ブルマタ(Cheimatobia brumata)、トウヒノシントメハマキ(コリストネウラ・フミフェラナ(Choristoneura fumiferana))、コリストネウラ・オシデンタリス(Choristoneura occidentalis)、アワヨトウ(シルフィス・ウニプンクタ(Cirphis unipuncta))、コドリンガ(シジア・ポモネラ(Cydia pomonella))、デンドロリムス・ピニ(Dendrolimus pini)、アメリカウリノメイガ(ジアファニア・ニチダリス(Diaphania nitidalis))、サウスウエスタンコンボーラー(ジアトラエア・グランジオセラ(Diatraea grandiosella))、ミスジアオリンガ(エアリアス・インスラナ(Earias insulana))、モロコシマダラメイガ(エラスモパルプス・リグノセルス(Elasmopalpus lignosellus))、ブドウホソハマキ(ユーポエシリア・アンビグエラ(Eupoecilia ambiguella))、エベトリア・ボウリアナ(Evetria bouliana)、フェルチア・スブテラネア(Feltia subterranea)、ハチノスツヅリガ(ガレリア・メロネラ(Galleria mellonella))、グラホリタ・フネブラナ(Grapholitha funebrana)、ナシヒメシンクイ(グラホリタ・モレスタ(Grapholitha molesta))、タバコガ(ヘリオチス・アルミゲラ(Heliothis armigera))、オオタバコガ(ヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens))、ヘリオチス・ゼア(Heliothis zea)、ハイマダラノメイガ(ヘルラ・ウンダリス(Hellula undalis))、ヒベルニア・デホリアリア(Hibernia defoliaria)、アメリカシロヒトリ(ヒファントリア・クネア(Hyphantria cunea))、ヒポノメウタ・マリネルス(Hyponomeuta malinellus)、ケイフェリア・リコペルシセラ(Keiferia lycopersicella)、ランブジナ・フィセラリア(Lambdina fiscellaria)、シロイチモンジヨトウ(ラフィグマ・エキシグア(Laphygma exigua))、ロイコプテラ・コフェエラ(Leucoptera coffeella)、ロイコプテラ・シテラ(Leucoptera scitella)、リトコレチス・ブランカルデラ(Lithocolletis blancardella)、ホソバヒメハマキ(ロベシア・ボトラナ(Lobesia botrana))、ロキソステージ・スチクチカリス(Loxostege sticticalis)、マイマイガ(リマントリア・ジスパル(Lymantria dispar))、ノンネマイマイ(リマントリア・モナカ(Lymantria monacha))、モモハモグリガ(リオネチア・クレルケラ(Lyonetia clerkella))、オビカレハ(マラコソマ・ネウストリア(Malacosoma neustria))、ヨトウガ(マメストラ・ブラッシカエ(Mamestra brassicae))、オルギイア・プソイドツガタ(Orgyia pseudotsugata)、ヨーロッパアワノメイガ(オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis))、マツキリガ(パノリス・フランメア(Panolis flammea))、ワタアカミムシガ(ペクチノホラ・ゴッシピエラ(Pectinophora gossypiella))、ニセタマナヤガ(ペリドロマ・サウシア(Peridroma saucia))、ファレラ・ブセファラ(Phalera bucephala)、ジャガイモキバガ(フトリマエア・オペルクレラ(Phthorimaea operculella))、ミカンハモグリガ(フィロクニスチス・シトレラ(Phyllocnistis citrella))、オオモンシロチョウ(ピエリス・ブラッシカ(Pieris brassicae))、プラチペナ・スカブラ(Plathypena scabra)、コナガ(プルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella))、プソイドプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)、リアシオニア・フルストラナ(Rhyacionia frustrana)、スクロビパルプラ・アブソルタ(Scrobipalpula absoluta)、バクガ(シトトロガ・セレアレラ(Sitotroga cerealella))、テングハマキ(スパルガノチス・ピレリアナ(Sparganothis pilleriana))、ツマジロクサヨトウ(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))、アフリカヨトウ(スポドプテラ・リットラリス(Spodoptera littoralis))、ハスモンヨトウ(スポドプテラ・リツラ(Spodoptera litura))、タウマトポエア・ピチオカンパ(Thaumatopoea pityocampa)、トルトリキス・ビリダナ(Tortrix viridana)、イラクサギンウワバ(トリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni))、およびゼイラフェラ・カナデンシス(Zeiraphera canadensis);
甲虫類(鞘翅目)の昆虫、例えば、アカバナガタマムシ(アグリルス・シヌアツス(Agrilus sinuatus))、アグリオテス・リネアツス(Agriotes lineatus)、アグリオテス・オブスクルス(Agriotes obscurus)、アンフィマルス・ソルスチチアリス(Amphimallus solstitialis)、アニサンドルス・ジスパル(Anisandrus dispar)、ワタミハナゾウムシ(アントノムス・グランジス(Anthonomus grandis))、ナシハナゾウムシ(アントノムス・ポモルム(Anthonomus pomorum))、アフトナ・ユーホリダエ(Aphthona euphoridae)、アソウス・ハエモロイダリス(Athous haemorrhoidalis)、アトマリア・リネアリス(Atomaria linearis)、ブラストファグス・ピニペルダ(Blastophagus piniperda)、ブリトファガ・ウンダータ(Blitophaga undata)、ソラマメゾウムシ(ブルクス・ルフィマヌス(Bruchus rufimanus))、エンドウマメゾウムシ(ブルクス・ピソルム(Bruchus pisorum))、ブルクス・レンチス(Bruchus lentis)、ドロハマキチョッキリ(ビクチスクス・ベツラ(Byctiscus betulae))、カメノコハムシ(カッシダ・ネブロサ(Cassida nebulosa))、セロトマ・トリフルカタ(Cerotoma trifurcata)、キンイロハナムグリ(セトニア・オーラタ(Cetonia aurata))、シュートリンクス・アッシミリス(Ceuthorrhynchus assimilis)、シュートリンクス・ナピ(Ceuthorrhynchus napi)、カエトクネマ・チビアリス(Chaetocnema tibialis)、コノデルス・ベスペルチヌス(Conoderus vespertinus)、クリオセリス・アスパラギ(Crioceris asparagi)、コメツキムシ属の種(クテニセラ ssp.(Ctenicera ssp.))、ジアブロチカ・ロンギコルニス(Diabrotica longicornis)、ジアブロチカ・セミプンククタ(Diabrotica semipunctata)、ジアブロチカ・12-プンクタタ(Diabrotica 12-punctata)、ジアブロチカ・スペシオサ(Diabrotica speciosa)、ジアブロチカ・ビルギフェラ(Diabrotica virgifera)、インゲンテントウ(エピラクナ・バリベスチス(Epilachna varivestis))、エピトリキス・ヒルチペンニス(Epitrix hirtipennis)、ユーチノボトルス・ブラシリエンシス(Eutinobothrus brasiliensis)、マツアナアキゾウムシ(ヒルオビウス・アビエチス(Hylobius abietis))、ヒペラ・ブルンネイペンニス(Hypera brunneipennis)、アルファルファタコゾウムシ(ヒペラ・ポスチカ(Hypera postica))、ヤツバキクイ(イプス・チポグラフス(Ips typographus))、レマ・ビリネアタ(Lema bilineata)、レマ・メラノプス(Lema melanopus)、コロラドハムシ(レプチノタルサ・デセムリネアタ(Leptinotarsa decemlineata))、リモニウス・カリホルニクス(Limonius californicus)、イネミズゾウムシ(リッソロプトルス・オリゾフィルス(Lissorhoptrus oryzophilus))、メラノツス・コンムニス(Melanotus communis)、メリゲテス・アエネウス(Meligethes aeneus)、メロロンタ・ヒッポカスタニ(Melolontha hippocastani)、ヨーロッパコフキコガネ(メロロンタ・メロロンタ(Melolontha melolontha))、イネクビホソハムシ(オウレマ・オリザエ(Oulema oryzae))、オルチオリンクス・スルカツス(Ortiorrhynchus sulcatus)、オチオリンクス・オバツス(Otiorrhynchus ovatus)、ファエドン・コクレアリエ(Phaedon cochleariae)、フィロビウス・ピリ(Phyllobius pyri)、フィロトレタ・クリソセファラ(Phyllotreta chrysocephala)、コガネムシ属の種(フィロファガ sp. (Phyllophaga sp.))、フィロペルタ・ホルチコラ(Phyllopertha horticola)、キスジノミハムシ(フィロトレタ・ネモルム(Phyllotreta nemorum))、キスジノミハムシ(フィロトレタ・ストリオラタ(Phyllotreta striolata))、マメコガネ(ポピリア・ジャポニカ(Popillia japonica))、アカアシチビコフキゾウムシ(シトナ・リネアツス(Sitona lineatus))、およびシトフィルス・グラナリア(Sitophilus granaria);
ハエ、カ類(双翅目)の昆虫、例えば、ネッタイシマカ(アエデス・アエギプチ(Aedes aegypti))、ヒトスジシマカ(アエデス・アルボピクツス(Aedes albopictus))、キンイロヤブカ(アエデス・ベキサンス(Aedes vexans))、アナストレファ・ルデンス(Anastrepha ludens)、アノフェレス・マクリペンニス(Anopheles maculipennis)、アノフェレス・クルシアンス(Anopheles crucians)、アノフェレス・アルビマヌス(Anopheles albimanus)、ガンビエハマダラカ(アノフェレス・ガンビエ(Anopheles gambiae))、アノフェレス・フレエボルニ(Anopheles freeborni)、ハマダラカ(アノフェレス・ロイコスフィルス(Anopheles leucosphyrus))、コガタハマダラカ(アノフェレス・ミニムス(Anopheles minimus))、アノフェレス・クアドリマクラツス(Anopheles quadrimaculatus)、ホホアカクロバエ(カリホラ・ビシナ(Calliphora vicina))、チチュウカイミバエ(セラチチス・カピタタ(Ceratitis capitata))、クリソミア・ベッジアナ(Chrysomya bezziana)、クリソミア・ホミニボラキス(Chrysomya hominivorax)、クリソミア・マセラリア(Chrysomya macellaria)、サシバエ(クリソプス・ジスカリス(Chrysops discalis))、クリソプス・シラセア(Chrysops silacea)、クリソプス・アトランチクス(Chrysops atlanticus)、ラセンウジバエ(コクリオミイア・ホミニボラキス(Cochliomyia hominivorax))、ソルガムタマバエ(コンタリニア・ソルギコラ(Contarinia sorghicola))、ヒトクイバエ(コルジルオビア・アントロポファガ(Cordylobia anthropophaga))、クリコイデス・フレンス(Culicoides furens)、アカイエカ(クレックス・ピピエンス(Culex pipiens))、クレックス・ニグリパルプス(Culex nigripalpus)、ネッタイイエカ(クレックス・キンクファシアツス(Culex quinquefasciatus))、コガタアカイエカ(クレックス・タルサリス(Culex tarsalis))、クリセタ・イノルナタ(Culiseta inornata)、クリセタ・メラヌラ(Culiseta melanura)、ウリミバエ(ダクス・ククルビタ(Dacus cucurbitae))、オリーブミバエ(ダクス・オレア(Dacus oleae))、ダシネウラ・ブラッシカ(Dasineura brassicae)、デリア・アンティーク(Delia antique)、デリア・コアルクタタ(Delia coarctata)、タネバエ(デリア・プラツラ(Delia platura))、キャベツハナバエ(デリア・ラジクム(Delia radicum))、ヒトヒフバエ(デルマトビア・ホミニス(Dermatobia hominis))、ヒメイエバエ(ファンニア・カニクラリス(Fannia canicularis))、ゲオミザ・トリプンクタタ(Geomyza Tripunctata)、ウマバエ(ガステロフィルス・インテスチナリス(Gasterophilus intestinalis))、ツェツェバエ(グロッシナ・モルシタンス(Glossina morsitans))、グロッシナ・パルパリス(Glossina palpalis)、グロッシナ・フスシペス(Glossina fuscipes)、グロッシナ・タキノイデス(Glossina tachinoides)、ノサシバエ(ハエマトビア・イリタンス(Haematobia irritans))、ハプロジプロシス・エクエストリス(Haplodiplosis equestris)、ヒッペラテス属の種(Hippelates spp.)、ヒルエミイア・プラツラ(Hylemyia platura)、ヒポデルマ・リネアタ(Hypoderma lineata)、レプトコノプス・トレンス(Leptoconops torrens)、トマトハモグリバエ(リリオマイザ・サチベ(Liriomyza sativae))、マメハモグリバエ(リリオマイザ・トリホリイ(Liriomyza trifolii))、ルシリア・カプリナ(Lucilia caprina)、ヒツジキンバエ(ルシリア・クプリナ(Lucilia cuprina))、ヒロズキンバエ(ルシリア・セリカタ(Lucilia sericata))、リコリア・ペクトラリス(Lycoria pectoralis)、マンソニア・チチラヌス(Mansonia titillanus)、ヘシアンバエ(マイエチオラ・デストルクトル(Mayetiola destructor))、イエバエ(ムスカ・ドメスチカ(Musca domestica))、オオイエバエ(ムシナ・スタブランス(Muscina stabulans))、ヒツジバエ(オエストルス・オビス(Oestrus ovis))、オポミザ・フロルム(Opomyza florum)、オシネラ・フリット(Oscinella frit)、ペゴミア・ヒソシアミ(Pegomya hysocyami)、ホルビア・アンチクア(Phorbia antiqua)、ホルビア・ブラッシカ(Phorbia brassicae)、ホルビア・コアルクタタ(Phorbia coarctata)、サシチョウバエ(フレボトムス・アルゲンチペス(Phlebotomus argentipes))、プソロホラ・コルンビエ(Psorophora columbiae)、ニンジンサビバエ(プシラ・ロゼ(Psila rosae))、プソロホラ・ジスコロール(Psorophora discolor)、プロシムリウム・ミクスタム(Prosimulium mixtum)、ヨーロッパオウトウミバエ(ラゴレチス・セラシ(Rhagoletis cerasi))、リンゴミバエ(ラゴレチス・ポモネラ(Rhagoletis pomonella))、サルコファガ・ヘモロイダリス(Sarcophaga haemorrhoidalis)、ニクバエ属の種(サルコファガ spp. (Sarcophaga spp.))、シムリウム・ビッタツム(Simulium vittatum)、サシバエ(ストモキス・カルシトランス(Stomoxys calcitrans))、タバヌス・ボビヌス(Tabanus bovinus)、タバヌス・アトラツス(Tabanus atratus)、タバヌス・リネオラ(Tabanus lineola)、およびタバヌス・シミリス(Tabanus similis)、チプラ・オレラセア(Tipula oleracea)、およびガガンボ(チプラ・パルドサ(Tipula paludosa));
アザミウマ類(総翅目)の昆虫、例えば、ジクロモトリプス・コルベッチ(Dichromothrips corbetti)、ジクロモトリプス属の種(Dichromothrips ssp)、フランクリニエラ・フスカ(Frankliniella fusca)、ミカンキイロアザミウマ(フランクリニエラ・オシデンタリス(Frankliniella occidentalis))、フランクリニエラ・トリチシ(Frankliniella tritici)、シルトトリプス・シトリ(Scirtothrips citri)、トリプス・オリザエ(Thrips oryzae)、ミナミキイロアザミウマ(トリプス・パルミ(Thrips palmi))、およびネギアザミウマ(トリプス・タバシ(Thrips tabaci));
シロアリ類(等翅目)、例えば、カロテルメス・フラビコリス(Calotermes flavicollis)、ロイコテルメス・フラビペス(Leucotermes flavipes)、ヘテロテルメス・アウレアス(Heterotermes aureus)、アメリカ東部地下シロアリ(レチクリテルメス・フラビペス(Reticulitermes flavipes))、アメリカ東南部地下シロアリ(レチクリテルメス・ビルギニクス(Reticulitermes virginicus))、地中海沿岸生息シロアリ(レチクリテルメス・ルシフグス(Reticulitermes lucifugus))、テルメス・ナタレ
ンシス(Termes natalensis)、およびイエシロアリ(コプトテルメス・ホルモサヌス(Copto
termes formosanus));
ゴキブリ類(ゴキブリ目−ゴキブリ亜目)、例えば、チャバネゴキブリ(ブラッテラ・ゲルマニカ(Blattella germanica))、オキナワチャバネゴキブリ(ブラッテラ・アサヒネ(Blattella asahinae))、ワモンゴキブリ(ペリプラネタ・アメリカナ(Periplaneta americana)、ヤマトゴキブリ(ペリプラネタ・ジャポニカ(Periplaneta japonica))、トビイロゴキブリ(ペリプラネタ・ブルンネア(Periplaneta brunnea))、クロゴキブリ(ペリプラネタ・フリギノサ(Periplaneta fuligginosa))、コワモンゴキブリ(ペリプラネタ・アウストララシエ(Periplaneta australasiae))、およびトウヨウゴキブリ(ブラッタ・オリエンタリス(Blatta orientalis));
半翅類の昆虫(半翅目)、例えば、アオクサカメムシ(アクロステルヌム・ヒラレ(Acrosternum hilare))、アメリカコバネナガカメムシ(ブリスス・ロイコプテルス(Blissus leucopterus))、シルトペルチス・ノタツス(Cyrtopeltis notatus)、アカホシカメムシ(ジスデルクス・シングラツス(Dysdercus cingulatus))、ジスデルクス・インテルメジウス(Dysdercus intermedius)、ムギチャイロカメムシ(ユリガステル・インテグリセプス(Eurygaster integriceps))、ユスキスツス・インピクチベントリス(Euschistus impictiventris)、レプトグロッスス・フィロプス(Leptoglossus phyllopus)、サビイロカスミカメ(リグス・リネオラリス(Lygus lineolaris))、リグス・プラテンシス(Lygus pratensis)、ミナミアオカメムシ(ネザラ・ビリズラ(Nezara viridula))、ピエスマ・クアドラタ(Piesma quadrata)、ソルベア・インスラリス(Solubea insularis)、チアンタ・ペルジトル(Thyanta perditor)、アシルトシホン・オノブリキス(Acyrthosiphon onobrychis)、カラマツカサアブラムシ(アデルゲス・ラリシス(Adelges laricis))、アフィズラ・ナスツルチイ(Aphidula nasturtii)、マメクロアブラムシ(アフィス・ファバエ(Aphis fabae))、イチゴネアブラムシ(アフィス・ホルベシ(Aphis forbesi))、ヨーロッパリンゴアブラムシ(アフィス・ポミ(Aphis pomi))、ワタアブラムシ(アフィス・ゴシピイ(Aphis gossypii))、アフィス・グロスラリア(Aphis grossulariae)、アフィス・スクネイデリ(Aphis schneideri)、ユキヤナギアブラムシ(アフィス・スピラエコラ(Aphis spiraecola))、ニワトコアブラムシ(アフィス・サンブシ(Aphis sambuci))、エンドウヒゲナガアブラムシ(アシルトシホン・ピスム(Acyrthosiphon pisum))、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(オーラコルツム・ソラニ(Aulacorthum solani))、シルバーリーフコナジラミ(ベミシア・アルゲンチホリイ(Bemisia argentifolii))、ブラキカウズス・カルズイ(Brachycaudus cardui)、ムギワラギクオマルアブラムシ(ブラキカウズス・ヘリクリシ(Brachycaudus helichrysi))、ブラキカウズス・ペルシカ(Brachycaudus persicae)、ブラキカウズス・プルニコラ(Brachycaudus prunicola)、ダイコンアブラムシ(ブレビコリン・ブラッシカ(Brevicoryne brassicae))、カピトホルス・ホルニ(Capitophorus horni)、セロシファ・ゴシピイ(Cerosipha gossypii)、イチゴケナガアブラムシ(カエトシホン・フラガエホリイ(Chaetosiphon fragaefolii))、クリプトミズス・リビス(Cryptomyzus ribis)、ドレイフシア・ノルドマンニアナ(Dreyfusia nordmannianae)、ドレイフシア・ピセア(Dreyfusia piceae)、ギシギシネアブラムシ(ジサフィス・ラジコラ(Dysaphis radicola))、ジサウラコルツム・プソイドソラニ(Dysaulacorthum pseudosolani)、バラリンゴアブラムシ(ジサフィス・プランタギネア(Dysaphis plantaginea))、ジサフィス・ピリ(Dysaphis pyri)、ジャガイモヒメヨコバイ(エンポアスカ・ファバエ(Empoasca fabae))、モモコフキアブラムシ(ヒアロプテルス・プルニ(Hyalopterus pruni))、チシャミドリアブラムシ(ヒペロミズス・ラクツカエ(Hyperomyzus lactucae))、ムギヒゲナガアブラムシ(マクロシフム・アベナエ(Macrosiphum avenae))、チューリップヒゲナガアブラムシ(マクロシフム・ユーホルビエ(Macrosiphum euphorbiae))、マクロシホン・ロサエ(Macrosiphon rosae)、ソラマメヒゲナガアブラムシ(メゴウラ・ビシエ(Megoura viciae))、メラナフィス・ピラリウス(Melanaphis pyrarius)、ムギウスイロアブラムシ(メトポロフィウム・ジロズム(Metopolophium dirhodum))、モモアカアブラムシ(ミズス・ペルシカエ(Myzus persicae))、ミズス・アスカロニクス(Myzus ascalonicus)、ニワウメクロコブアブラムシ(ミズス・セラシ(Myzus cerasi))、カワリコブアブラムシ(ミズス・バリアンス(Myzus varians))、レタスアブラムシ(ナソノビア・リビスニグリ(Nasonovia ribisnigri))、トビイロウンカ(ニラパルバタ・ルゲンス(Nilaparvata lugens))、ペンフィグス・ブルサリウス(Pemphigus bursarius)、クロフツノウンカ(ペルキンシエラ・サッカリシダ(Perkinsiella saccharicida))、ホップイボアブラムシ(ホロドン・フムリ(Phorodon humuli))、リンゴキジラミ(プシラ・マリ(Psylla mali))、プシラ・ピリ(Psylla piri)、ロパロミズス・アスカロニクス(Rhopalomyzus ascalonicus)、トウモロコシアブラムシ(ロパロシフム・マイジス(Rhopalosiphum maidis))、ムギクビレアブラムシ(ロパロシフム・パジ(Rhopalosiphum padi))、ロパロシフム・インセルツム(Rhopalosiphum insertum)、サッパフィス・マラ(Sappaphis mala)、サッパフィス・マリ(Sappaphis mali)、ムギミドリアブラムシ(スチザフィス・グラミヌム(Schizaphis graminum))、スチゾネウラ・ラヌギノサ(Schizoneura lanuginosa)、ムギヒゲナガアブラムシ(シトビオン・アベナエ(Sitobion avenae)、オンシツコナジラミ(トリアロイロデス・バポラリオルム(Trialeurodes vaporariorum))、コミカンアブラムシ(トキソプテラ・オーランチイ(Toxoptera aurantii))、ブドウネアブラムシ(ビテウス・ビチホリイ(Viteus vitifolii))、トコジラミ(シメックス・レクツラリウス(Cimex lectularius))、タイワントコジラミ(シメックス・ヘミプテルス(Cimex hemipterus))、レズビウ・セニリス(Reduvius senilis)、サシガメ属の種(トリアトーマ spp.(Triatoma spp.))、およびアリルス・クリタツス(Arilus critatus);
アリ、ミツバチ、スズメバチ、ハバチ類(膜翅目)、例えば、カブラハバチ(アタリア・ロサエ(Athalia rosae))、ハキリアリ(アッタ・セファロテス(Atta cephalotes))、アッタ・カピグアラ(Atta capiguara)、ハキリアリ(アッタ・セファロテス(Atta cephalotes))、アッタ・ラエビガタ(Atta laevigata)、アッタ・ロブスタ(Atta robusta)、チャイロハキリアリ(アッタ・セキスデンス(Atta sexdens))、テキサスハキリアリ(アッタ・テキサナ(Atta texana))、シリアゲアリ属の種(クレマトガステル spp.(Crematogaster spp.))、ホプロカンパ・ミヌタ(Hoplocampa minuta)、ホプロカンパ・テスツジネア(Hoplocampa testudinea)、イエヒメアリ(モノモリウム・ファラオニス(Monomorium pharaonis))、アカカミアリ(ソレノプシス・ゲミナタ(Solenopsis geminata))、ヒアリ(ソレノプシス・インビクタ(Solenopsis invicta))、ソレノプシス・リクテリ(Solenopsis richteri)、ソレノプシス・キシロニ(Solenopsis xyloni)、アカシュウカクアリ(ポゴノミルメックス・バルバツス(Pogonomyrmex barbatus))、ポゴノミルメックス・カリホルニクス(Pogonomyrmex californicus)、ツヤオオヅアリ(フェイドール・メガセファーラ(Pheidole megacephala))、アリモドキバチ(ダシムチラ・オッシデンタリス(Dasymutilla occidentalis))、マルハナバチ属の種(ボンブス spp.(Bombus spp.))、ベスプラ・スクアモサ(Vespula squamosa)、パラベスプラ・ブルガリス(Paravespula vulgaris)、パラベスプラ・ペンシルバニカ(Paravespula pennsylvanica)、パラベスプラ・ゲルマニカ(Paravespula germanica)、クロスズメバチ(ドリコベスプラ・マクラタ(Dolichovespula maculata))、モンスズメバチ(ベスパ・クラブロ(Vespa crabro))、ポリステス・ルビギノサ(Polistes rubiginosa)、カンポノツス・フロリダヌス(Camponotus floridanus)、およびアルゼンチンアリ(リネピテマ・フミル(Linepithema humile));
コオロギ、バッタ、イナゴ類(直翅類)、例えば、ヨーロッパイエコオロギ(アケタ・ドメスチカ(Acheta domestica))、グリロタルパ・グリロタルパ(Gryllotalpa gryllotalpa)、トノサマバッタ(ロクスタ・ミグラトリア(Locusta migratoria))、メラノプルス・ビビッタツス(Melanoplus bivittatus)、メラノプルス・フェムルブルム(Melanoplus femurrubrum)、メラノプルス・メキシカヌス(Melanoplus mexicanus)、メラノプルス・サングイニペス(Melanoplus sanguinipes)、メラノプルス・スプレツス(Melanoplus spretus)、アカトビバッタ(ノマダクリス・セプテンファシアタ(Nomadacris septemfasciata))、アメリカイナゴ(スキストセルカ・アメリカナ(Schistocerca americana))、サバクトビバッタ(スキストセルカ・グレガリア(Schistocerca gregaria))、モロッコイナゴ(ドシオスタウルス・マロッカヌス(Dociostaurus maroccanus))、クラズミウマ(タキシネス・アシナモルス(Tachycines asynamorus))、オエダロイス・セネガレンシス(Oedaleus senegalensis)、ゾノゼルス・バリエガツス(Zonozerus variegatus)、ヒエログリフス・ダガネンシス(Hieroglyphus daganensis)、クラウッサリア・アングリフェラ(Kraussaria angulifera)、カリプタムス・イタリクス(Calliptamus italicus)、オーストラリア群れバッタ(コルトイセテス・テルミニフェラ(Chortoicetes terminifera))、およびブラウンイナゴ(ロクスタナ・パルダリナ(Locustana pardalina));
蛛形類(Arachnoidea)、例えばクモ類(ダニ目)、例えば、ヒメダニ科(Argasidae)、マダニ科(Ixodidae)、およびヒゼンダニ科(Sarcoptidae)のもの、例えば、アメリカキララマダニ(アンブリオンマ・アメリカヌム(Amblyomma americanum))、アンブリオンマ・バリエガツム(Amblyomma variegatum)、アンブリオンマ・マクラツム(Ambryomma maculatum)、アルガス・ペルシクス(Argas persicus)、ボオフィルス・アンヌラツス(Boophilus annulatus)、ボオフィルス・デコロラツス(Boophilus decoloratus)、オウシマダニ(ボオフィルス・ミクロプルス(Boophilus microplus))、デルマセントル・シルバルム(Dermacentor silvarum)、デルマセントル・アンデルソニ(Dermacentor andersoni)、アメリカイヌカクダニ(デルマセントル・バリアビリス(Dermacentor variabilis))、ヒアロンマ・トルンカツム(Hyalomma truncatum)、タネガタマダニ(イキソデス・リシヌス(Ixodes ricinus))、イキソデス・ルビクンズス(Ixodes rubicundus)、クロアシマダニ(イキソデス・スカプラリス(Ixodes scapularis))、オーストラリアマダニ(イキソデス・ホロシクルス(Ixodes holocyclus))、西部クロアシマダニ(イキソデス・パシフィクス(Ixodes pacificus))、オルニトドルス・モウバタ(Ornithodorus moubata)、オルニトドルス・ヘルムシ(Ornithodorus hermsi)、オルニトドルス・ツリカタ(Ornithodorus turicata)、イエダニ(オルニトニッスス・バコチ(Ornithonyssus bacoti))、オトビウス・メグニニ(Otobius megnini)、ワクモ(デルマニッスス・ガリナエ(Dermanyssus gallinae))、ヒツジキュウセンヒゼンダニ(プソロプテス・オビス(Psoroptes ovis))、タリイロコイタマダニ(リピセファルス・サングイネウス(Rhipicephalus sanguineus))、コイタマダニ(リピセファルス・アッペンジクラツス(Rhipicephalus appendiculatus))、リピセファルス・エベルトシ(Rhipicephalus evertsi)、ヒゼンダニ(サルコプテス・スカビエイ(Sarcoptes scabiei))、ならびにフシダニ属の種(Eriophyidae spp.)、例えば、リンゴサビダニ(アクルス・スクレクテンダリ(Aculus schlechtendali))、フィロコプトラタ・オレイボラ(Phyllocoptrata oleivora)、およびエリオフィエス・シェルドニ(Eriophyes sheldoni);ホコリダニ属の種(Tarsonemidae spp.)、例えば、シクラメンホコリダニ(フィトネムス・パリズス(Phytonemus pallidus))、およびチャノホコリダニ(ポリファゴタルソネムス・ラツス(Polyphagotarsonemus latus));ヒメハダニ属の種(Tenuipalpidae spp.)、例えば、ミナミヒメハダニ(ブレビパルプス・ホエニシス(Brevipalpus phoenicis));ハダニ属の種(Tetranychidae spp.)、例えば、ニセナミハダニ(テトラニクス・シンナバリヌス(Tetranychus cinnabarinus))、カンザワハダニ(テトラニクス・カンザワイ(Tetranychus kanzawai))、オウトウハダニ(テトラニクス・パシフィクス(Tetranychus pacificus))、ニセナミハダニ(テトラニクス・テラリウス(Tetranychus telarius))、およびナミハダニ(テトラニクス・ウルチカエ(Tetranychus urticae))、リンゴハダニ(パノニクス・ウルミ(Panonychus ulmi))、ミカンハダニ(パノニクス・シトリ(Panonychus citri))、およびオリゴニクス・プラテンシス(Oligonychus pratensis);真正クモ目、例えば、クロゴケグモ(ラトロデクツス・マクタンス(Latrodectus mactans))、およびドクイトグモ(ロキソセレス・レクルサ(Loxosceles reclusa));
ノミ類(ノミ(隠翅)目(Siphonaptera))、例えば、ネコノミ(クテノセファリデス・フェリス(Ctenocephalides felis))、イヌノミ(クテノセファリデス・カニス(Ctenocephalides canis))、ケオプスネズミノミ(キセノプシラ・ケオプシス(Xenopsylla cheopsis))、ヒトノミ(プレックス・イリタンス(Pulex irritans))、スナノミ(ツンガ・ペネトランス(Tunga penetrans))、およびヨーロッパネズミノミ(ノソプシルルス・ファシアツス(Nosopsyllus fasciatus));
シミ、マダラシミ(総尾目)、例えば、セイヨウシミ(レピスマ・サッカリナ(Lepisma saccharina))およびマダラシミ(テルモビア・ドメスチカ(Thermobia domestica));
ムカデ(唇脚綱)、例えば、イエムカデ(スクチゲラ・コレオプトラタ(Scutigera coleoptrata));
ヤスデ(倍脚綱)、例えば、ナルセウス属の種(Narceus spp.);
ハサミムシ(革翅目)、例えば、ヨーロッパクギヌキハサミムシ(ホルフィクラ・アウリクラリア(forficula auricularia));および
シラミ(シラミ目)、例えば、アタマジラミ(ペジクルス・ヒューマヌス・カピチス(Pediculus humanus capitis))、コロモジラミ(ペジクルス・ヒューマヌス・コルポリス((Pediculus humanus corporis))、ケジラミ(プチルス・プビス((Pthirus pubis))、ウシジラミ(ヘマトピヌス・ユーリステルヌス((Haematopinus eurysternus))、ブタジラミ(ヘマトピヌス・スイス((Haematopinus suis))、ウシホソジラミ(リノグナツス・ビツリ((Linognathus vituli))、ウシハジラミ(ボビコラ・ボビス(Bovicola bovis))、ニワトリハジラミ(メノポン・ガリナエ(Menopon gallinae))、ニワトリオオハジラミ(メナカンツス・ストラミネウス(Menacanthus stramineus))、およびケブカウシジラミ(ソレノポテス・カピラツス(Solenopotes capillatus))。
【0013】
特に好ましいのは、ソラマメヒゲナガアブラムシ(Megoura viciae)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、マメクロアブラムシ(Aphis fabae)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、ツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)、アフリカヨトウ(Spodoptera littoralis)、およびハスモンヨトウ(Spodoptera litura)である。
【0014】
線虫としては、特に、ネコブセンチュウ類(root knot nematodes)、たとえば、アレナリアネコブセンチュウ(メロイドギネ・アレナリア(Meloidogyne arenaria))、コロンビアネコブセンチュウ(メロイドギネ・キトウーディ(Meloidogyne chitwoodi))、メロイドギネ・エキシグア(Meloidogyne exigua)、キタネコブセンチュウ(メロイドギネ・ハプラ(Meloidogyne hapla))、サツマイモネコブセンチュウ(メロイドギネ・インコグニタ(Meloidogyne incognita))、ジャワネコブセンチュウ(メロイドギネ・ジャバニカ(Meloidogyne javanica))および他のメロイドギネ(Meloidogyne)の種;シストセンチュウ類(cyst nematodes)、たとえば、ジャガイモシストセンチュウ(グロボデラ・ロストキエンシス(Globodera rostochiensis))、ジャガイモシロシストセンチュウ(グロボデラ・パリダ(Globodera pallida))、タバコシストセンチュウ(グロボデラ・タバクム(Globodera tabacum))および他のグロボデラ(Globodera)の種、ムギシストセンチュウ(ヘテロデラ・アベナエ(Heterodera avenae))、ダイズシストセンチュウ(ヘテロデラ・グリシネス(Heterodera glycines))、テンサイシストセンチュウ(ヘテロデラ・スカクチイ(Heterodera schachtii))、クローバーシストセンチュウ(ヘテロデラ・トリホリイ(Heterodera trifolii))および他のヘテロデラ(Heterodera)の種;タネコブセンチュウ類(seed gall nematodes)、たとえば、アングイナ・フネスタ(Anguina funesta)、コムギツブセンチュウ(アングイナ・トリチシ(Anguina tritici))および他のアングイナ(Anguina)の種;クキセンチュウ類およびハセンチュウ類(stem and foliar nematodes)、たとえば、イネシンガレセンチュウ(アフェレンコイデス・ベッセイ(Aphelenchoides besseyi))、イチゴセンチュウ(アフェレンコイデス・フラガリアエ(Aphelenchoides fragariae))、ハガレセンチュウ(アフェレンコイデス・リトゼマボシ(Aphelenchoides ritzemabosi))および他のアフェレンコイデス(Aphelenchoides)の種;刺毛センチュウ類(sting nematodes)、たとえば、ブドウオオハリセンチュウ(ベロノライムス・ロンギカウダツス(Belonolaimus longicaudatus))および他のベロノライムス(Belonolaimus)の種;マツセンチュウ類(pine nematodes)、たとえば、マツノザイセンチュウ(ブルサフェレンクス・キシロフィルス(Bursaphelenchus xylophilus))および他のブルサフェレンクス(Bursaphelenchus)の種;ワセンチュウ類(ring nematodes)、たとえば、クリコネマ(Criconema)の種、クリコネメラ(Criconemella)の種、クリコネモイデス(Criconemoides)の種、およびメソクリコネマ(Mesocriconema)の種;クキおよびリンケイセンチュウ類(stem and bulb nematodes)、たとえば、イモグサレセンチュウ(ジチレンクス・デストルクター(Ditylenchus destructor))、ナミクキセンチュウ(ジチレンクス・ジプサシ(Ditylenchus dipsaci))、キノコセンチュウ(ジチレンクス・ミセリオファグス(Ditylenchus myceliophagus))および他のジチレンクス(Ditylenchus)の種;キリセンチュウ類(awl nematodes)、ドリコドルス(Dolichodorus)の種;ラセンセンチュウ類(spiral nematodes)、ナミラセンセンチュウ(ヘリコチレンクス・ジヒステラ(Helicotylenchus dihystera))、ヘリコチレンクス・ムルチシンクツス(Helicotylenchus multicinctus)および他のヘリコチレンクス(Helicotylenchus)の種、ロチレンクス・ロブスツス(Rotylenchus robustus)および他のロチレンクス(Rotylenchus)の種;鞘センチュウ類(sheathe nematode)、たとえば、ヘミシクリオホラ(Hemicycliophora)の種およびサヤワセンチュウ(ヘミクリコネモイデス(Hemicriconemoides))の種;ヒルスマンニエラ(Hirshmanniella)の種;ヤリセンチュウ類(lance nematodes)、たとえば、ホプロライムス・コロムブス(Hoplolaimus columbus)、ホプロライムス・ガレアツス(Hoplolaimus galeatus)および他のヤリセンチュウ属(ホプロライムス(Hoplolaimus))の種;ニセネコブセンチュウ類(false root-knot nematodes)、たとえば、ナコブス・アベランス(Nacobbus aberrans)および他のナコブス(Nacobbus)の種;ハリセンチュウ類(needle nematodes)、たとえば、ロンギドルス・エロンガテス(Longidorus elongates)および他のナガハリセンチュウ(ロンギドルス(Longidorus))の種;ピンセンチュウ類(pin nematodes)、たとえば、パラチレンクス(Paratylenchus)の種;ネグサレセンチュウ類(lesion nematodes)、たとえば、プラチレンクス・ブラキウルス(Pratylenchus brachyurus)、ミナミネグサレセンチュウ(プラチレンクス・コフェアエ(Pratylenchus coffeae))、プラチレンクス・クルビタツス(Pratylenchus curvitatus)、プラチレンクス・ゴウデイ(Pratylenchus goodeyi)、ムギネグサレセンチュウ(プラチレンクス・ネグレクツス(Pratylenchus neglectus))、キタネグサレセンチュウ(プラチレンクス・ペネトランス(Pratylenchus penetrans))、プラチレンクス・スクリブネリ(Pratylenchus scribneri)、クルミネグサレセンチュウ(プラチレンクス・ブルヌス(Pratylenchus vulnus))、モロコシネグサレセンチュウ(プラチレンクス・ゼアエ(Pratylenchus zeae))および他のプラチレンクス(Pratylenchus)の種;ラジナフェレンクス・ココフィルス(Radinaphelenchus cocophilus)および他のラジナフェレンクス(Radinaphelenchus)の種;ネモグリセンチュウ類(burrowing nematodes)、たとえば、バナナネモグリセンチュウ(ラドホルス・シミリス(Radopholus similis))および他のラドホルス(Radopholus)の種;ニセフクロセンチュウ類(reniform nematodes)、たとえば、ロチレンクルス・レニフォルミス(Rotylenchulus reniformis)および他のロチレンクルス(Rotylenchulus)の種;スクテロネマ(Scutellonema)の種;ユミハリセンチュウ類(stubby root nematodes)、たとえば、トリコドルス・プリミチブス(Trichodorus primitivus)および他のトリコドルス(Trichodorus)の種;ヒメユミハリセンチュウ(パラトリコドルス・マイナー(Paratrichodorus minor))および他のパラトリコドルス(Paratrichodorus)の種;イシュクセンチュウ類(stunt nematodes)、たとえば、ナミイシュクセンチュウ(チレンコリンクス・クライトニ(Tylenchorhynchus claytoni))、チレンコリンクス・ズビウス(Tylenchorhynchus dubius)および他のチレンコリンクス(Tylenchorhynchus)の種、ならびにメルリニウス(Merlinius)の種;ミカンセンチュウ類(citrus nematodes)、たとえばミカンネセンチュウ(チレンクルス・セミペネトランス(Tylenchulus semipenetrans))および他のチレンクルス(Tylenchulus)の種;オオハリセンチュウ類(dagger nematodes)、たとえば、アメリカオオハリセンチュウ(Xiphinema americanum)、ブドウオオハリセンチュウ(キシフィネマ・インデックス(Xiphinema index))、キシフィネマ・ジベルシカウダツム(Xiphinema diversicaudatum)および他のキシフィネマ(Xiphinema)の種;ならびにカエノルハブディチス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)などの他のセンチュウの種が挙げられる。
【0015】
特に好ましいのは、メロイドギネ・エキシグア(Meloidogyne exigua)およびカエノルハブディチス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)である。
【0016】
軟体動物には、具体的には、陸生および水陸両生のカタツムリおよびナメクジ、たとえば、デロセラス(Deroceras)(アグリオリマックス(Agriolimax))属、アリアンタ(Arianta)属、リマックス(Limax)属、へリックス(Helix)属、ヘリコゴナ(Helicogona)属、セパエア(Cepaea)属、ミラックス(Milax)属、リムナエア(Lymnaea)(ガルバ(Galba))属、アカチナ(Achatina)属、テバ(Theba)属、コチリセラ(Cochlicella)属、ヘリカリオン(Helicarion)属およびバギヌルス(Vaginulus)属が含まれる。有害カタツムリおよびナメクジとしては、たとえば、ナメクジでは、コウラクロナメクジ(アリオン・アテル(Arion ater))、A. ルシタニクス(A. lusitanicus)、A. ホルテンシス(A. hortensis)、アグリオリマックス・レチクラツス(Agriolimax reticulatus)、コウラナメクジ(リマックス・フラブス(Limax flavus))、マダラコウラナメクジ(L. マキシムス(L. maximus))、ニワコウラナメクジ(ミラックス・ガガテス(Milax gagates))、マリアエラ・ズッスミエリ(Mariaella dussumieri)、ヘリカリオン・サリウス(Helicarion salius)、バギヌラ・ヘドレイ(Vaginula hedleyi)およびパマリオン・プピラリス(Pamarion pupillaris)、ならびにカタツムリでは、ヘリックス・アスペルサspp.(Helix aspersa spp.)、モリノオウシュウマイマイ(セパエア・ネモラリス(Cepaea nemoralis))、マジョルカコマイマイ(テバ・ピサナ(Theba pisana))、アフリカマイマイ(アカチナ・フリカ(Achatina fulica))、A. ザンジバリカ(A. zanzibarica)、リミコラリア・カンベウル(Limicolaria kambeul)、ブラジバエナ(Bradybaena)属マイマイ、コクロジナ(Cochlodina)属マイマイ、ヘリセラ(Helicella)属マイマイ、エウオムファリア(Euomphalia)属マイマイ、およびサヤガタドイツマイマイ(アリアンタ・アルブストルム(Arianta arbustorum))が挙げられる。
【0017】
更なる特定の実施形態によれば、生物は植物である。
【0018】
本明細書で使用される「植物」という用語は、遺伝的に改変されているか否かにかかわらず、植物体全体を意味する。「植物体全体」という用語は、生長期の、すなわち種子の段階ではない、完全な植物の個体を指し、根、芽および葉の配置が存在し、植物の生育段階によっては、花および/または果実の配置も存在して、それらがすべて物理的に連結され、妥当な条件下で、人工的な手段を必要とせずに生存できる個体を形成していることを特徴とする。
【0019】
「植物」という用語は種子も指すことがある。本明細書で使用される「種子」という用語は休眠期の植物を意味し、これは生長期の植物から物理的に切り離されている、および/または長期間にわたって保存可能である、および/または同一種の別の植物個体を再生するために使用することができるものである。ここで「休眠」という用語は、植物が、妥当な制限の範囲内で、生長(非種子)状態に必須の光、水および/または栄養なしでも生存能力を保持している状態を指す。具体的には、この用語は真正な種子を指すが、植物珠芽、たとえば吸枝、球茎、球根、果実、塊茎、穀粒、挿木および切断された枝(シュート)は含まない。
【0020】
適当な植物には下記のものがあるが、それらに限定されない:
単子葉雑草、特定的には一年生雑草、例えば、イヌビエ(Echinochloa crusgalli var. crus-galli)のようなヒエ属(Echinochloa)の種、クラブグラス(Digitaria sanguinalis)のようなメヒシバ属(Digitaria)の種、エノコログサ(Setaria viridis)およびアキノエノコログサ(Setaria faberii)のようなエノコログサ属(Setaria)の種、セイバンモロコシ(Sorghum halepense Pers.)のようなモロコシ属(Sorghum)の種、カラスムギ(Avena fatua)のようなカラスムギ属(Avena)の種、シンクリノイガ(Cenchrus echinatus)のようなクリノイガ属(Cenchrus)の種、スズメノチャヒキ属(Bromus)の種、ドクムギ属(Lolium)の種、クサヨシ属(Phalaris)の種、ナルコビエ属(Eriochloa)の種、キビ属(Panicum)の種、ニクキビ属(Brachiaria)の種、スズメノカタビラ(Poa annua)、ノスズメノテッポウ(Alopecurus myosuroides)、ヤギムギ(Aegilops cylindrica)、シバムギ(Agropyron repens)、セイヨウヌカボ(Apera spica-venti)、オヒシバ(Eleusine indica)、ギョウギシバ(Cynodon dactylon)等を含むイネ科雑草(イネ科草本)。
【0021】
双子葉雑草、特定的には、ソバカズラ(Polygonum convolvulus)のようなタデ属(Polygonum)の種、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)のようなヒユ属(Amaranthus)の種、シロザ(Chenopodium album L.)のようなアカザ属(Chenopodium)の種、アメリカキンゴジカ(Sida spinosa L.)のようなキンゴジカ属(Sida)の種、ブタクサ(Ambrosia artemisiifolia)のようなブタクサ属(Ambrosia)の種、アメリカトゲミギク属(Acanthospermum)の種、ローマカミツレ属(Anthemis)の種、ハマアカザ属(Atriplex)の種、アザミ属(Cirsium)の種、セイヨウヒルガオ属(Convolvolus)の種、イズハハコ属(Conyza)の種、ナンバンサイカチ属(Cassia)の種、ツユクサ属(Commelina)の種、チョウセンアサガオ属(Datura)の種、トウダイグサ属(Euphorbia)の種、フウロソウ属(Geranium)の種、コゴメギク属(Galinsoga)の種、アサガオ(サツマイモ属(Ipomoea)の種)、オドリコソウ属(Lamium)の種、ゼニアオイ属(Malva)の種、シカギク属(Matricaria)の種、キバナハタザオ属(Sysimbrium)の種、ナス属(Solanum)の種、オナモミ属(Xanthium)の種、クワガタソウ属(Veronica)の種、スミレ属(Viola)の種、ハコベ(Stellaria media)、イチビ(Abutilon theophrasti)、アメリカツノクサネム(Sesbania exaltata Cory)、ニシキアオイ(Anoda cristata)、コセンダングサ(Bidens pilosa)、ノハラガラシ(Brassica kaber)、ナズナ(Capsella bursa-pastoris)、ヤグルマギク(Centaurea cyanus)、タヌキジソ(Galeopsis tetrahit)、シラホシムグラ(Galium aparine)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、ムラサキヌスビトハギ(Desmodium tortuosum)、ホウキギ(Kochia scoparia)、アニュアルマーキュリー(Mercurialis annua)、ノハラムラサキ(Myosotis arvensis)、ヒナゲシ(Papaver rhoeas)、セイヨウノダイコン(Raphanus raphanistrum)、ノハラヒジキ(Salsola kali)、ノハラガラシ(Sinapis arvensis)、タイワンハチジョウナ(Sonchus arvensis)、グンバイナズナ(Thlaspi arvense)、シオザキソウ(Tagetes minuta)、ブラジルハシカグサモドキ(Richardia brasiliensis)等をはじめとする広葉雑草。
【0022】
ハマスゲ(Cyperus rotundus L.)、ショクヨウガヤツリ(Cyperus esculentus L.)、ヒメクグ(Cyperus brevifolius H.)、カヤツリグサ(Cyperus microiria Steud)、コゴメガヤツリ(Cyperus iria L.)等のようなカヤツリグサ属の種をはじめとする一年生および多年生のカヤツリグサ科雑草。
【0023】
適当な植物には、下記のものもある:
・ 子実作物、例えば、
・ 穀類、例えば、コムギ(Triticum aestivum)およびコムギ様作物、例えば、デュラムコムギ(T. durum)、ヒトツブコムギ(T. monococcum)、フタツブコムギ(T. dicoccon)およびスペルトコムギ(T. spelta)、ライムギ(Secale cereale)、ライコムギ(Tritiosecale)、オオムギ(Hordeum vulgare)、
・ メイズ(トウモロコシ、Zea mays)、
・ モロコシ(例えば、Sorghum bicolour)、
・ イネ(アジアイネ(Oryza sativa)およびアフリカイネ(Oryza glaberrima)のようなイネ属(Oryza)の種)および
・ サトウキビ、
・ マメ科植物(Fabaceae)、例えば、ダイズ類(Glycine max.)、ラッカセイ類(Arachis hypogaea、並びにマメ類作物、例えば、エンドウ類、例えば、エンドウ(Pisum sativum)、キマメおよびカウピー、インゲン類、例えば、ソラマメ類(Vicia faba)、ササゲ属(Vigna)の種およびインゲンマメ属(Phaseolus)の種、並びにヒラマメ類(lens culinarisの変種)、
・ アブラナ科植物、例えば、カノーラ(Brassica napus)、ナタネ(Brassica napus)、キャベツ(B. oleraceaの変種)、カラシナ例えばB. juncea、アブラナ(B. campestris)、ヒサゴナ(B. narinosa)、クロガラシ(B. nigra)およびハリゲナタネ(B. tournefortii)、並びにカブ(Brassica rapaの変種)、
・ 他の広葉作物、例えば、ヒマワリ、ワタ、アマ、アマニ、サトウダイコン、ジャガイモおよびトマト、
・ TNV作物(TNV:樹木、堅果類および蔓植物)、例えば、ブドウ類、柑橘類、仁果類、例えば、リンゴおよびセイヨウナシ、コーヒー、ピスタシオおよびアブラヤシ、核果類、例えば、モモ、アーモンド、クルミ、オリーブ、サクランボ、プラムおよびアンズ、
・ 芝生、牧草地および放牧地、
・ タマネギおよびニンニク、
・ 観賞用鱗茎植物、例えば、チューリップおよびスイセン、
・ 針葉樹および落葉樹、例えば、マツ、モミ、オーク、カエデ、ミズキ、サンザシ、クラブアップルおよびクロウメモドキ(バックソーン)、並びに
・ 観賞用庭植物、例えば、ペチュニア、マリーゴールド、バラおよびキンギョソウ。
【0024】
ある特定の実施形態によれば、生物は、コムギ、オオムギ、ライムギ、ライコムギおよびデュラムコムギ、イネ、トウモロコシ、サトウキビ、モロコシ、ダイズ、マメ類作物、例えば、エンドウ、インゲンおよびヒラマメ、ラッカセイ、ヒマワリ、サトウダイコン、ジャガイモ、ワタ、アブラナ属作物、例えば、ナタネ、カノーラ、カラシナ、キャベツおよびカブ、ブドウ類、仁果類、例えば、リンゴおよびセイヨウナシ、核果類、例えば、モモ、アーモンド、クルミ、オリーブ、サクランボ、プラムおよびアンズ、柑橘類、コーヒー、ピスタシオ、観賞用庭植物、例えば、バラ、ペチュニア、マリーゴールド、キンギョソウ、観賞用鱗茎植物、例えば、チューリップおよびスイセン、タマネギ、ニンニク、針葉樹および落葉樹、例えば、マツ、モミ、オーク、カエデ、ミズキ、サンザシ、クラブアップルおよびクロウメモドキからなる群から選択される。
【0025】
好適な植物は、遺伝子操作もしくは育種により1種以上の除草剤に抵抗性となっている作物、遺伝子操作もしくは育種により植物病原菌などの1種以上の病原体に抵抗性となっている作物、または遺伝子操作もしくは育種により昆虫からの攻撃に抵抗性となっている作物であってもよい。
【0026】
更なる特定の実施形態によると、遺伝子改変植物を含むストレス抵抗性植物が選択された生物として使用された。
【0027】
特に重要なのは、生理学およびバイオテクノロジー研究で使用されるモデル植物であり、これには、セイヨウヤマカモジ(Brachypodium distachyon)(イネ科(Poaceae))、ブラックコットンウッド(Populus trichocarpa)(ヤナギ科(Salicaceae))、ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)(マゴケ植物門(Bryophyta))、タルウマゴヤシ(Medicago truncatula)(マメ科(Fabaceae))、ならびにアブラナ科(Brassicaceae)(シロイヌナズナ属(Arabidopsis)など)およびウキクサ科(Lemnaceae)(アオウキクサ属(Lemna)など)の小型の植物がある。
【0028】
更なる特定の実施形態によれば、生物は、さまざまな亜科、属、亜属、および種からなるウキクサ科植物から選択される。ウキクサ(Lemnoideae)亜科にはウキクサ(Spirodela)亜属のS. インテルメディア(S. intermedia)、ウキクサ(S. polyrrhiza)、およびオリゴリザエ(Oligorrhizae)亜属のヒメウキクサ(S. punctata)を含むウキクサ(Spirodela)属;アオウキクサ(lemna)亜属のイボウキクサ(L. gibba)、L. ジスペルマ(L. disperma)、コウキクサ(L. minor)、ムラサキコウキクサ(L. japonica)、L. オブスクラ(L. obscura)、L. エクアドリエンシス(L. ecuadoriensis)、キタグニコウキクサ(L. turionifera)、アオウキクサ(L. paucicostata)、ヒドロフィラ(Hydrophylla)亜属のヒンジモ(L. trisulca)、アラタエ(Alatae)亜属のチビウキクサ(L. perpusilla)、ナンゴクアオウキクサ(L. aequinoctialis)、ビフォルメス(Biformes)亜属のL. テネラ(L. tenera)、ユニネルベス(Uninerves)亜属のチリウキクサ(L. valdiviana)、ヒナウキクサ(L. minuscula)を含むアオウキクサ(lemna)属が含まれる。ウォルフィオイデアエ(Wolffioideae)亜科には、スティピタタエ(Stipitatae)亜属のW. ヒアリナ(W. hyalina)、W. レパンダ(W. repanda)、ロツンダエ(Rotundae)亜属のW. ロツンダ(W. rotunda)、ウォルフィエラ(Wolffiella)亜属のW. ネオトロピカ(W. neotropica)、W. ウェルウィッチイ(W. Welwitschii)、W. リングラタ(W. lingulata)、W. オブロンガ(W. oblonga)、W. グラジアタ(W. gladiata)、W. デンティクラタ(W. denticulata)を含むウォルフィエラ(Wolffiella)属;シュードリザエ(Pseudorrhizae)亜属のミジンコウキクサ(W. microscopia)、エロンガタエ(Elongatae)亜属のW. エロンガタ(W. elongata)、ピグメンタタエ(Pigmentatae)亜属のW. ブラシリエンシス(W. brasiliensis)、W. ボレアリス(W. borealis)、ウォルフィア(Wolffia)亜属のW. アウストラリアナ(W. australiana)、W. アングスタ(W. angusta)、ミジンコウキクサ(W. arrhiza)、W. コロンビアナ(W. columbiana)、ミジンコウキクサ(W. globosa)を含むミジンコウキクサ属(Wolffia)が含まれる。
【0029】
更なる特定の実施形態では、生物は真菌である。
【0030】
適当な真菌には下記が含まれるが、それらに限定されない:
観葉植物、野菜(例えば、A. カンジダ(A. candida))およびヒマワリ(例えば、A.トラゴポゴニス(A. tragopogonis))に対するアルブゴ属の種(Albugo spp.)(白サビ病);
野菜、アブラナ(A. ブラシコラ(A. brassicola)またはブラシカエ(brassicae))、サトウダイコン(A. テヌイス(A. tenuis))、果実、イネ、ダイズ、ジャガイモ(例えば、A. ソラニ(A. solani)またはA. アルテルナタ(A. alternata))、トマト(例えば、A. ソラニまたはA. アルテルナタ)およびコムギに対するアルテルナリア属の種(Alternaria spp.)(アルテルナリア斑点病);
サトウダイコンおよび野菜に対するアファノミセス属の種(Aphanomyces spp.);
穀類および野菜に対するアスコキタ属の種(Ascochyta spp.)、例えば、コムギに対するA. トリチシ(A. tritici)(炭疽病)およびオオムギに対するA. ホルデイ(A. hordei);
トウモロコシ(例えば、D. マイディス(D. maydis))、穀類(例えば、B. ソロキニアナ(B. sorokiniana):斑点病)、イネ(例えば、B. オリザエ(B. oryzae))および芝生に対するビポラリス(Bipolaris)およびドレクスレラ属の種(Drechslera spp.)(テレオモルフ:コクリオボルス属の種(Cochliobolus spp.));
穀類(例えば、コムギまたはオオムギ)に対するブルメリア(Blumeria)(以前のエリシフェ(Erysiphe))・グラミニス(graminis)(うどんこ病);
果実および液果(例えば、イチゴ)、野菜(例えば、レタス、ニンジン、セロリおよびキャベツ)、アブラナ、花、つる植物、森林植物およびコムギに対するボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)(テレオモルフ:ボトリオチニア・フッケリアナ(Botryotinia fuckeliana):灰色カビ病);
レタスに対するブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)(べと病);
広葉樹および常緑樹に対するセラトシスチス(Ceratocystis)(異名:オフィオストマ(Ophiostoma))属の種(腐敗病もしくは立ち枯れ病)、例えば、ニレに対するC. ウルミ(C. ulmi)(オランダニレ病);
トウモロコシ、イネ、サトウダイコン(例えば、C. ベチコラ(C. beticola))、サトウキビ、野菜、コーヒー、ダイズ(例えば、C. ソジナ(C. sojina)またはC. キクチイ(C. kikuchii))およびイネに対するセルコスポラ属の種(Cercospora spp.)(セルコスポラ斑点病);
トマト(例えば、C. フルブム(C. fulvum):葉カビ病)および穀類に対するクラドスポリウム属の種(Cladosporium spp.)、例えば、コムギに対するC. ヘルバルム(C. herbarum)(黒変病);
穀類に対するクラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)(麦角);
トウモロコシ(C. カルボヌム(C. carbonum))、穀類(例えば、C. サチブス(C. sativus)、アナモルフ:B. ソロキニアナ(B. sorokiniana))およびイネ(例えば、C. ミヤベアヌス(C. miyabeanus)、アナモルフ:H. オリザエ(H. oryzae))に対するコクリオボルス(Cochliobolus)(アナモルフ:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)またはビポラリス(Bipolaris))属の種(斑点病);
ワタ(例えば、C. ゴシピイ(C. gossypii))、トウモロコシ(例えば、C. グラミニコラ(C. graminicola))、ソフトフルーツ、ジャガイモ(例えば、C. ココデス(C. coccodes):黒点)、豆類(例えば、C. リンデムチアヌム(C. lindemuthianum))およびダイズ(例えば、C. トルンカタム(C. truncatum)もしくはC. グロエオスポリオイデス(C. gloeosporioides))に対するコレトトリクム(Colletotrichum)(テレオモルフ:グロメレラ(Glomerella))属の種(炭疽病);
コルチシウム属の種(Corticium spp.)、例えば、イネに対するC. ササキイ(C. sasakii)(紋枯病);
ダイズおよび観葉植物に対するコリネスポラ・カシイコラ(Corynespora cassiicola)(斑点病);
シクロコニウム属の種(Cycloconium spp.)、例えば、オリーブに対するC. オレアギヌム(C. oleaginum);
果樹、つる植物(例えば、C. リリオデンドリ(C. liriodendri)、テレオモルフ:ネオネクトリア・リリオデンドリ(Neonectria liriodendri)、黒あし病)および観賞用植物に対するシリンドロカルポン属の種(Cylindrocarpon spp.)(例えば、果樹潰瘍病または若いつる植物の衰弱、テレオモルフ:ネクトリア(Nectria)またはネオネクトリア属の種(Neonectria spp.));
ダイズに対するデマトホラ(Dematophora)(テレオモルフ:ロセリニア(Rosellinia))・ネカトリクス(necatrix)(根腐病および茎腐病);
ジアポルテ属の種(Diaporthe spp.)、例えば、ダイズに対するD. ファセオロルム(D. phaseolorum)(立枯病);
トウモロコシ、穀類、例えばオオムギ(例えば、D. テレス(D. teres)、網斑病)およびコムギ(例えば、D. トリチシ-レペンチス(D. tritici-repentis):褐斑病)、イネおよび芝生に対するドレクスレラ(Drechslera)(異名:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、テレオモルフ:ピレノホラ(Pyrenophora))属の種;
ホルミチポリア(Formitiporia)(異名:フェリヌス(Phellinus))・プンクタタ(punctata)、F. メジテラネア(F. mediterranea)、フェオモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella chlamydospora)(以前のフェオアクレモニウム・クラミドスポルム(Phaeoacremonium chlamydosporum))、フェオアクレモニウム・アレオフィルム(Phaeoacremonium aleophilum)および/またはボトリオスフェリア・オブツサ(Botryosphaeria obtusa)により引き起こされる、つる植物のエスカ病(胴枯病、アポプレキシー);
仁果(E. ピリ(E. pyri))、ソフトフルーツ(E. ベネタ(E. veneta):炭疽病)およびつる植物(E. アンペリナ(E. ampelina):炭疽病)に対するエルシノエ属の種(Elsinoe spp.);
イネに対するエンチロマ・オリザエ(Entyloma oryzae)(黒腫病);
コムギに対するエピコクム属の種(Epicoccum spp.)(黒カビ);
サトウダイコン(E. ベタエ)(E. betae))、野菜(例えば、E. ピシ(E. pisi))、例えばウリ科植物(例えば、E. シコラセアルム(E. cichoracearum))、キャベツ、アブラナ(例えば、E. クルシフェラルム(E. cruciferarum))に対するエリシフェ属の種(Erysiphe spp.)(うどんこ病);
果樹、つる植物および観賞用樹木に対するエウチパ・ラタ(Eutypa lata)(エウチパ潰瘍病または胴枯病、アナモルフ:シトスポリナ・ラタ(Cytosporina lata)、異名:リベルテラ・ブレファリス(Libertella blepharis));
トウモロコシ(例えば、E. ツルシクム(E. turcicum))に対するエクセロヒルム(Exserohilum)(異名:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium))属の種;
種々の植物に対するフサリウム(Fusarium)(テレオモルフ:ギベレラ(Gibberella))属の種(立枯病、根腐病または茎腐病)、例えば、穀類(例えば、コムギまたはオオムギ)に対するF. グラミネアルム(F. graminearum)またはF. クルモルム(F. culmorum)(根腐病、黒星病または赤サビ病)、トマトに対するF. オキシスポルム(F. oxysporum)、ダイズに対するF. ソラニ(F. solani)およびトウモロコシに対するF. ベルチシリオイデス(F. verticillioides);
穀類(例えば、コムギまたはオオムギ)およびトウモロコシに対するガエウマノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)(立枯病);
穀類(例えば、G. ゼアエ(G. zeae))およびイネ(例えば、G. フジクロイ(G. fujikuroi):ばか苗病)に対するギベレラ属の種(Gibberella spp.);
つる植物、仁果および他の植物に対するグロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)およびワタに対するG. ゴシピイ(G. gossypii);
イネに対する穀類汚染複合体;
つる植物に対するギグナルディア・ビドウェリイ(Guignardia bidwellii)(黒斑病);
バラ科植物およびジュニパーに対するギムノスポランギウム属の種(Gymnosporangium spp.)、例えば、セイヨウナシに対するG. サビナエ(G. sabinae)(サビ病);
トウモロコシ、穀類およびイネに対するヘルミントスポリウム属の種(Helminthosporium spp.)(異名:ドレクスレラ(Drechslera)、テレオモルフ:コクリオボルス(Cochliobolus));
ヘミレイア属の種(Hemileia spp.)、例えば、コーヒーに対するH. バスタトリクス(H. vastatrix)(コーヒー葉サビ病);
つる植物に対するイサリオプシス・クラビスポラ(Isariopsis clavispora)(異名:クラドスポリウム・ビチス(Cladosporium vitis));
ダイズおよびワタに対するマクロホミナ・ファセオリナ(Macrophomina phaseolina)(異名:ファセオリ(phaseoli))(根腐れ病および菌核病);
穀類(例えば、コムギまたはオオムギ)に対するミクロドキウム(Microdochium)(異名:フサリウム(Fusarium))・ニバレ(nivale)(紅色雪腐病);
ダイズに対するミクロスフェラ・ジフサ(Microsphaera diffusa)(うどんこ病);
モニリニア属の種(Monilinia spp.)、例えば、核果および他のバラ科植物に対するM. ラクサ(M. laxa)、M. フルクチコラ(M. fructicola)およびM. フルクチゲナ(M. fructigena)(花枯病、灰星病);
穀類、バナナ、ソフトフルーツおよびラッカセイに対するミコスフェレラ属の種(Mycosphaerella spp.)、例えば、コムギに対するM. グラミニコラ(M. graminicola)(アナモルフ:セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)、セプトリアブロッチ)またはバナナに対するM. フィジエンシス(M. fijiensis)(ブラックシガトカ病);
キャベツ(例えば、P. ブラシカエ(P. brassicae))、アブラナ(例えば、P. パラシチカ(P. parasitica))、タマネギ(例えば、P. デストルクトル(P. destructor))、タバコ(P. タバシナ(P. tabacina))およびダイズ(例えば、P. マンシュリカ(P. manshurica))に対するペロノスポラ属の種(Peronospora spp.)(べと病);
ダイズに対するファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)およびファコプソラ・メイボミアエ(P. meibomiae)(ダイズサビ病);
例えば、つる植物(例えば、P. トラケイフィラ(P. tracheiphila)およびP. テトラスポラ(P. tetraspora))およびダイズ(例えば、P. グレガタ(P. gregata):菌核病)に対するフィアロホラ属の種(Phialophora spp.);
アブラナおよびキャベツに対するホマ・リンガム(Phoma lingam)(根腐病および菌核病)およびサトウダイコンに対するP. ベタエ(P. betae)(根腐病、斑点病および立枯病);
ヒマワリ、つる植物(例えば、P. ビチコラ(P. viticola):茎および葉斑点病)およびダイズ(例えば、菌核病:P. ファセオリ(P. phaseoli)、テレオモルフ:ジアポルテ・ファセオロルム(Diaporthe phaseolorum))に対するホモプシス属の種(Phomopsis spp.);
トウモロコシに対するフィソデルマ・マイディス(Physoderma maydis)(褐斑病);
種々の植物、例えばパプリカおよびウリ科植物(例えば、P. カプシシ(P. capsici))、ダイズ(例えば、P. メガスペルマ(P. megasperma)、異名:P. ソジャエ(P. sojae))、ジャガイモおよびトマト(例えば、P. インフェスタンス(P. infestans):葉枯病)および広葉樹(例えば、P. ラモルム(P. ramorum):オークの急性枯死)に対するフィトフトラ属の種(Phytophthora spp.)(立枯病、根、葉、果実および茎腐病);
キャベツ、アブラナ、ハツカダイコンおよび他の植物に対するプラスモジオホラ・ブラシカエ(Plasmodiophora brassicae)(根こぶ病);
プラスモパラ属の種(Plasmopara spp.)、例えば、つる植物に対するP. ビチコラ(P. viticola)(べと病)およびヒマワリに対するP. ハルステジイ(P. halstedii);
バラ科植物、ホップ、仁果およびソフトフルーツに対するポドスフェラ属の種(Podosphaera spp.)(うどんこ病)、例えば、リンゴに対するP. レウコトリカ(P. leucotricha);
例えば、穀類、例えばオオムギおよびコムギ(P. グラミニス(P. graminis))およびサトウダイコン(P. ベタエ(P. betae))に対するポリミキサ属の種(Polymyxa spp.)ならびにそれらにより伝播するウイルス病;
穀類、例えば、コムギまたはオオムギに対するシュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)(眼紋病、テレオモルフ:タペシア・ヤルンダエ(Tapesia yallundae));
種々の植物に対するシュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)(べと病)、例えば、ウリ科植物に対するP. クベンシス(P. cubensis)またはホップに対するP. フミリ(P. humili);
つる植物に対するシュードペジクラ・トラケイフィラ(Pseudopezicula tracheiphila)(レッドファイア病、もしくはロットブレンナー(rotbrenner)アナモルフ:フィアロホラ(Phialophora));
種々の植物に対するプクキニア属の種(Puccinia spp.)(サビ病)、例えば、穀類、例えば、コムギ、オオムギまたはライムギに対するP. トリチシナ(P. triticina))(褐色サビ病もしくは赤サビ病)、P. ストリイホルミス(P. striiformis)(黄サビ病)、P. ホルデイ(P. hordei)(小サビ病)、P. グラミニス(P. graminis)(茎サビ病、黒サビ病)またはP. レコンジタ(P. recondita)(褐色サビ病もしくは赤サビ病)、ならびにアスパラガスに対する例えばP. アスパラギ(P. asparagi);
コムギに対するピレノホラ(Pyrenophora)(アナモルフ:ドレクスレラ(Drechslera))・トリチシ-レペンチス(tritici-repentis)(褐斑病)またはオオムギに対するP. テレス(P. teres)(網斑病);
ピリクラリア属の種(Pyricularia spp.)、例えば、イネに対するP. オリザエ(P. oryzae)(テレオモルフ:マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)、イモチ病)ならびに芝生および穀類に対するP. グリセア(P. grisea);
芝生、イネ、トウモロコシ、コムギ、ワタ、アブラナ、ヒマワリ、ダイズ、サトウダイコン、野菜および種々の他の植物(例えば、P. ウルチムム(P. ultimum)またはP. アファニデルマタム(P. aphanidermatum))に対するピチウム属の種(Pythium spp.)(立枯病);
ラムラリア属の種(Ramularia spp.)、例えば、オオムギに対するR. コロ-シグニ(R. collo-cygni)(ラムラリア斑点病/生理的斑点病)およびサトウダイコンに対するR. ベチコラ(R. beticola);
ワタ、イネ、ジャガイモ、芝生、トウモロコシ、アブラナ、ジャガイモ、サトウダイコン、野菜および種々の他の植物に対するリゾクトニア属の種(Rhizoctonia spp.)、例えば、ダイズに対するR. ソラニ(R. solani)(根腐病/菌核病)、イネに対するR. ソラニ(R. solani)(紋枯病)またはコムギもしくはオオムギに対するR. セレアリス(R. cerealis)(リゾクトニア株腐病);
イチゴ、ニンジン、キャベツ、つる植物およびトマトに対するリゾプス・ストロニフェル(Rhizopus stolonifer)(黒カビ病、軟腐病);
オオムギ、ライムギおよびライコムギに対するリンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)(雲形病);
イネに対するサロクラジウム・オリザエ(Sarocladium oryzae)およびS. アテヌアタム(S. attenuatum)(鞘腐病);
野菜および農作物、例えばアブラナ、ヒマワリ(例えば、S. スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum))およびダイズ(例えば、S. ロルフシイ(S. rolfsii)もしくはS. スクレオチオルム(S. sclerotiorum))に対するスクレロチニア属の種(Sclerotinia spp.)(菌核病または白カビ病);
種々の植物に対するセプトリア属の種(Septoria spp.)、例えば、ダイズに対するS. グリシネス(S. glycines)(褐斑病)、コムギに対するS. トリチシ(S. tritici)(セプトリア病)および穀類に対するS. (異名:スタゴノスポラ(Stagonospora))・ノドルム(nodorum)(スタゴノスポラ病);
つる植物に対するウンシヌラ(Uncinula)(異名:エリシフェ(Erysiphe))・ネカトル(necator)(うどんこ病,アナモルフ:オイジウム・ツッケリ(Oidium tuckeri));
トウモロコシ(例えば、S. ツルシクム(S. turcicum)、異名:ヘルミントスポリウム・ツルシクム(Helminthosporium turcicum))および芝生に対するセトスフェリア属の種(Setosphaeria spp.)(葉枯病);
トウモロコシ(例えば、S. レイリアナ(S. reiliana):黒穂病)、モロコシおよびサトウキビに対するスファセロテカ属の種(Sphacelotheca spp.)(黒穂病);
ウリ科植物に対するスフェロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)(うどんこ病);
ジャガイモに対するスポンゴスポラ・スブテラネア(Spongospora subterranea)(粉状そうか病)およびそれらにより伝播するウイルス病;
穀類に対するスタゴノスポラ属の種(Stagonospora spp.)、例えば、コムギに対するS. ノドルム(S. nodorum)(スタゴノスポラ病、テレオモルフ:レプトスフェリア(Leptosphaeria)[異名:フェオスフェリア(Phaeosphaeria)]・ノドルム(nodorum));
ジャガイモに対するシンキトリウム・エンドビオチクム(Synchytrium endobioticum)(ジャガイモこぶ病);
タフリナ属の種(Taphrina spp.)、例えば、モモに対するT. デホルマンス(T. deformans)(縮葉病)およびプラムに対するT. プルニ(T. pruni)(ふくろ実病);
タバコ、仁果、野菜、ダイズおよびワタに対するチエラビオプシス属の種(Thielaviopsis spp.)(黒根腐病)、例えば、T. バシコラ(T. basicola)(異名:カララ・エレガンス(Chalara elegans));
穀類に対するチレチア属の種(Tilletia spp.)(なまぐさ黒穂病)、例えば、コムギに対するT. トリチシ(T. tritici)(異名:T. カリエス(T. caries)、コムギ黒穂病)およびT. コントロベルサ(T. controversa)(小黒穂病);
オオムギまたはコムギに対するチフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)(灰色雪腐病);
ウロシスチス属の種(Urocystis spp.)、例えば、ライムギに対するU. オクルタ(U. occulta)(から黒穂病);
野菜、例えば豆類(例えば、U. アペンジクラタス(U. appendiculatus)、異名:U. ファセオリ(U. phaseoli))およびサトウダイコン(例えば、U. ベタエ(U. betae))に対するウロミセス属の種(Uromyces spp.)(サビ病);
穀類(例えば、U. ヌダ(U. nuda)およびU. アバエナエ(U. avaenae))、トウモロコシ(例えば、U. マイディス(U. maydis):トウモロコシ黒穂病)およびサトウキビに対するウスチラゴ属の種(Ustilago spp.)(裸黒穂病);
リンゴ(例えば、V. イナエカリス(V. inaequalis))およびセイヨウナシに対するベンツリア属の種(Venturia spp.)(黒星病);および
種々の植物、例えば果実および観賞植物、つる植物、ソフトフルーツ、野菜および農作物に対するベルチシリウム属の種(Verticillium spp.)(立枯病)、例えば、イチゴ、アブラナ、ジャガイモおよびトマトに対するV. ダリアエ(V. dahliae)。
【0031】
資材(たとえば、木材、紙、塗料、繊維または布)の保護、および貯蔵された生産物の防御に有害な真菌。木材および建設資材の保護については、下記の有害菌に特に注意が払われる:子嚢菌、たとえばオフィオストマ(Ophiostoma)属、セラトシスティス(Ceratocystis)属、アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、スクレロフォーマ(Sclerophoma)属、カエトミウム(Chaetomium)属、フミコラ(Humicola)属、ペトリエラ(Petriella)属、トリクルス(Trichurus)属;担子菌、たとえばコニオフォラ(Coniophora)属、コリオルス(Coriolus)属、グロエオフィルム(Gloeophyllum)属、レンチヌス(Lentinus)属、プレウロツス(Pleurotus)属、ポリア(Poria)属、セルプラ(Serpula)属およびチロマイセス(Tyromyces)属;不完全菌類、たとえばアスペルギルス(Aspergillus)属、クラドスポリウム(Cladosporium)属、ペニシリウム(Penicillium)属、トリコルマ(Trichorma)属、アルテルナリア(Alternaria)属、パエシロマイセス(Paecilomyces)属;ならびに接合菌類、たとえばムコール(Mucor)属、さらに貯蔵された生産物の防御では、次の酵母菌が注目される:カンジダ(Candida)属およびサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisae)。
【0032】
優先される菌は、ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)、セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)、ボツリチス・シネラ(Botrytis cinera)、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)、およびピチウム(Pytium)属菌である。
【0033】
たとえば、試験物質または試験物質混合物は、その物質または物質混合物で処理した餌の摂取によって、生物に投与する、または生物と接触させることができる。
【0034】
生物もしくは生物群に暴露される(接触する)試験物質または試験物質混合物の濃度は、作用様式が割り当てられるべき効果を発揮するよう、十分に高くあるべきである。除草剤、殺菌剤および殺虫剤に典型的な濃度は、10-3M〜10-10Mの範囲内にある。
【0035】
本発明の特定の実施形態によれば、試験物質または試験物質混合物は農薬である。農薬には、具体的には、殺鳥剤、殺ダニ剤、乾燥剤、殺細菌剤、不妊化剤、枯れ葉剤、摂食阻害剤、殺真菌剤、除草剤、除草剤毒性緩和剤、昆虫誘引剤、殺虫剤、昆虫忌避剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、交信撹乱剤、植物活性化剤、植物成長調整剤、殺鼠剤、哺乳動物忌避剤、共力剤、鳥類忌避剤および殺ウイルス剤が含まれる。特定の実施形態によると、試験物質または試験物質混合物は、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、植物成長調整剤、および植物の健全性を向上させる物質から選択される。
【0036】
一実施形態によれば、試験物質または試験物質混合物は殺虫効果を有する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「殺虫効果」および「殺虫活性」という用語は、標的害虫(生物)に対するなんらかの直接または間接の作用を意味するものであって、この標的害虫は、任意の有害な節足動物、好ましくは有害な昆虫、特に上記の害虫とすることができ、前記作用は、限定するものではないが、害虫を殺す作用、植物種子、果実、根、芽および/または葉から害虫を遠ざける作用、植物種子、果実、根、芽および/または葉での害虫の摂食または害虫の産卵を阻害する作用、ならびに害虫の繁殖を阻害または予防する作用を含む。
【0038】
別の実施形態によれば、試験物質または試験物質混合物は、殺真菌効果を有する。
【0039】
本明細書で使用される場合、「殺真菌効果」および「殺真菌活性」という用語は、標的の有害生物(生物)に対するなんらかの直接または間接の作用を意味するものであって、この有害生物は任意の植物病原真菌であり得る。
【0040】
別の実施形態によれば、試験物質または試験物質混合物は、除草効果を有する。
【0041】
本明細書で使用される場合、「除草効果」および「除草活性」という用語は、標的有害生物(生物)に対するなんらかの直接または間接の作用を意味するものである。
【0042】
暴露時間は実際上変動する可能性がある。しかしながら、第1に、最小暴露時間は、暴露によって引き起こされる効果が決定され得るので、本発明の方法にとって重要である。第2に、比較的短い暴露時間は、本方法をすばやく実施することができるので好都合である。したがって、暴露時間は、数時間から数日まで、または数週間の範囲にわたることがある。しかしながら、あらゆる指示において、本発明にしたがって、第1に最小暴露時間が数時間以上の範囲にあること、第2に最大暴露時間が数日までであることが好ましい。24から72時間まで、たとえば48時間が適当であると判明した。
【0043】
in vivo暴露と、比較的短い暴露時間を組み合わせることは、本発明によれば好ましく、特に下記の利点を伴う:
−使用する物質が比較的少量ですむこと;
−本方法を実施する時間が短いこと:
−使用する生物が比較的少数ですむこと。
【0044】
本発明の方法には、通常、複数の生物において、その生物における暴露時間依存性変化を認識することができるよう、このように異なる暴露時間を選択することが含まれる。同様のことが、試験物質または試験物質混合物の用量(濃度)にも当てはまる。
【0045】
本発明にしたがって、少なくとも2つの暴露時間後にスペクトルを記録すると好都合である。異なる暴露時間後に記録を繰り返すことによって、当該生物における相対的な変化を時間の関数として測定することが可能となる。こうした時間依存性の測定によって、適当な統計学的方法を用いて、有意な経時変化を傾向として検出することができるので、一時的現象を適切に認識して評価することが可能となる。
【0046】
したがって、有利な実施形態において、本発明の方法は
a1) 第1の生物または第1の生物群を物質もしくは物質混合物に暴露すること;
b1) 第1の生物または第1の生物群を第1のホモジナイズサンプルに変換すること;
c1) 前記の第1のホモジナイズサンプルについて、IR、FT-IR、ラマン、FT-ラマン、および近赤外(NIR)の群から選択される少なくとも1つのスペクトルを記録すること;
a2) 第2の生物または第2の生物群を物質もしくは物質混合物に暴露すること;
b2) 第2の生物または第2の生物群を第2のホモジナイズサンプルに変換すること;および
c2) 前記の第2のホモジナイズサンプルについて、IR、FT-IR、ラマン、FT-ラマン、および近赤外(NIR)の群から選択される少なくとも1つのスペクトルを記録すること;
を含んでおり、第1の生物または第1の生物群の暴露時間は、第2の生物または第2の生物群の暴露時間とは異なる。
【0047】
暴露後、処理された生物(1つまたは複数)、または処理された生物を代表する一部が、通常、分析的測定に適した後処理によってサンプルとして与えられる。
【0048】
b) サンプル調製
試験物質もしくは試験物質混合物に暴露後の生物または生物群は、バルクサンプルに相当する。バルクサンプルによっては、スペクトルを直接、記録することができる。使用される生物のサイズにより、スペクトルの記録のために生物そのままを使用するのは実行不可能であることが多い。したがって、本発明の方法には、生物(バルクサンプル)を、スペクトルを記録するために利用しやすい形のサンプルに変換するステップが含まれる。この目的のために、原則として、生物に由来するあらゆるサンプルを使用することができる。ただし、そのサンプルは当該生物の目的の生化学的状態および/または代謝状態を反映するものとする。したがって、生物体全体もしくは生物体全体の一群、または生物体全体の一部もしくは生物体全体の一群の一部を、スペクトルを記録するために利用しやすい形のサンプルに変換することができる。生物体の適当な一部分は、たとえば、その生物に由来する体の部分、器官、または組織、たとえば頭部などの昆虫の体の一部、たとえば脳などの昆虫の器官、たとえば脳組織などの昆虫組織、たとえば生長期の植物の根、芽、葉、花または他の部分などの植物の一部、植物器官、植物組織、または植物の珠芽であり得る。
【0049】
本発明にしたがって記録されるスペクトルを目的として、生物は多くの場合、予備的処理を受け、その処理によって、生物またはその一部(1つもしくは複数)は、本発明の方法に適した、目的にかなった形に変換される。こうした処理は、通常、従来法に該当し、具体的には、分析学的測定、特に、IR、FT-IR、ラマン、FT-ラマンおよび近赤外(NIR)分析の必要性に基づく。
【0050】
適当なサンプル調製に対する要件は、通常、厳密である。たとえばタンパク質分解または他の変化(たとえば酸化、蒸発)による、サンプル組成の人為的な変更は避けなければならない。
【0051】
生物または生物の一部は、複合成分材料に当たると見なされるので、スペクトル分析に供することができるサンプルの調製には、通常、生物がまずホモジナイズされることが必要である。均一なサンプルで記録されたスペクトルが、そのサンプルの由来するもとの生物(1つもしくは複数)またはその一部(1つもしくは複数)の代表的なスペクトルであるならば、サンプルは十分に均一である。
【0052】
一実施形態によると、ホモジナイズは、生物(1つもしくは複数)またはその一部(1つもしくは複数)を粉末に加工することを含む。これには通常、生物(1つもしくは複数)またはその一部(1つもしくは複数)に破砕を行う必要がある。破砕は、粉砕としても知られているが、マトリックス、特に固体を、より小さい粒子に破壊することとして定義される。好都合なことに、破砕は機械的に行われる。
【0053】
特定の実施形態によると、本発明の破砕は、所望の粒径をもたらすためである。
【0054】
通常、破砕は、生物(1つもしくは複数)またはその一部(1つもしくは複数)をミル粉砕(または研磨もしくは粉砕)して、粉末を生じるステップを含んでいる。このステップは、当技術分野において、粉末、特に、所望の粒径を有する粉末を生じさせることが知られている、任意のデバイスを用いて行うことができる。好ましい実施形態によると、ミル粉砕は、ビーズミル粉砕である。たとえば、Qiagen(ドイツ)製TissueLyserは、特に好適であると判明した。他の適当なデバイスには、たとえば、Retsch社製ミキサーミル、フレンチプレス、乳鉢(海砂)、Ultra Turrax、超音波処理などがある。
【0055】
バルクサンプルは通常、液体、特に水を含有するので、そのコンシステンシーは固体というよりはむしろ半固体と見なすことができる。そうしたサンプルを粉末にうまく加工するためには、サンプルのコンシステンシーを高める、たとえばサンプルを固化することが好都合であり得る。
【0056】
したがって、好ましい実施形態によると、破砕は、低温で、および/またはあらかじめ乾燥させて、行われる。0℃以下、好ましくは-20℃以下の温度が好適である。低温および/または乾燥は、サンプルが固体というよりむしろ半固体である場合に、より効率的な破砕を可能にすること、および/または当該検体の分解を最小限にすることができる。低温は、ドライアイスおよび/または液体窒素を用いて手軽に得られる。乾燥は、凍結乾燥により簡便に達成することができる。
【0057】
生物(1つもしくは複数)またはその一部(1つもしくは複数)(バルクサンプル)に応じて、破砕を段階的に行うことができる。これには、出発材料の粒径およびコンシステンシー、ならびに達成すべき粒径に応じ、破砕手段をより適切に選択することができるという利点がある。したがって、少なくとも1つの破砕ステップの結果得られ、少なくとも1つの更なる破砕ステップに供される、中間材料が得られる。実際、前記中間材料は、得られた後、さらに処理することができるが、あとで処理するために保存してもよい。
【0058】
たとえば、生物(1つもしくは複数)またはその一部(1つもしくは複数)のホモジナイズには、生物(1つもしくは複数)またはその一部(1つもしくは複数)(バルクサンプル)を、次に容易に粉末に加工することができる粒子材料に変換する、破砕の前処理ステップを含めることができる。
【0059】
この破砕の前処理ステップは、当業者によく知られており、たとえば、生物(1つもしくは複数)またはその一部(1つもしくは複数)に応じて、ミキシング、および/またはカッティングを任意の順序で前処理ステップに含めることができる。
【0060】
こうした破砕は、手作業で、またはミキサーもしくはカッターなどの適当なデバイスを用いて行うことができる。植物材料のために、Urschel Comitrolモデル2600フードカッター、Stephanモデル40縦型カッター/ミキサー、またはHobart HCM 450縦型カッター/ミキサーなどのカッティングおよびミキシングデバイスを使用することができる。
【0061】
得られた粉末はそのまま次に記録ステップに使用することもでき、または、まず、スペクトルを記録しやすい形にさらに変換される。
【0062】
スペクトルを記録しやすい形に粉末をさらに変換することには、たとえば、粉末の懸濁液の提供を含めることができる。この目的のために、水などの液体を粉末に加えることができる。所定量の粉末に添加すべき液体量は、当業者が容易に決定することができる。しかしながら、その液体量は、比較的小量の懸濁液が使用できるように選択されるべきである。たとえば、100μl〜1000μlの液体中に1mg〜100mgの粉末が適当であることが判明した。
【0063】
粉末懸濁液の提供は、サンプルを記録デバイスに移動しやすくすることを目的とする。移動後、水を再び除去することができる。これは、たとえば、懸濁液を高温(100℃以下)のオーブンに入れる、および/または真空条件を加えることによって、水が蒸発できる条件下に懸濁液をおくことで、達成することができる。
【0064】
あるいはまた、懸濁液の上清を記録のために使用することができる。この目的のために、粉末懸濁液を遠心して、上清の少なくとも一部を記録デバイスに移すことができる。移動後、水を再び除去し、残存する残さでスペクトルを記録することができる。前記残さは、生物(1つもしくは複数)またはその一部(1つもしくは複数)の抽出物に相当し、当業者は、水以外の他の液体がこの目的に適し得ることを容易に認識するであろう。
【0065】
c) 記録
本発明の分析には、IR、FT-IR、ラマン、FT-ラマン、および近赤外(NIR)からなる群から少なくとも1つのスペクトルを記録すること、そしてそれによって試験時の生物に関する情報を得ることが含まれる。
【0066】
本発明の方法の特別な利点は、測定のために使用されるサンプルアリコートの量が比較的少量でいいという点である。少量であることは、好都合にも、2つ以上のサンプルを並行して記録することを可能にする。具体的には、2から24まで、2から96まで、またはその倍数のサンプルを、並行して記録に供することができる。たとえば、24ウェル、96ウェルのマイクロタイター、または384ウェルもしくは1536ウェルのプレートを、サンプルアリコートの容器として便利に使用することができる。同様に、Bruker Optics社製HTS-extension(または他社製の同様の機器)用にデザインされたシリコンマイクロプレートも使用することができる。
【0067】
原理的には、IR、FT-IR、ラマン、FT-ラマン、または近赤外(NIR)スペクトルを記録するのに適していることが分かっている、あらゆる方法を用いることができる。
【0068】
IRスペクトルの記録は、4,000から10,000 cm-1までの近赤外領域またはこの領域を含む拡大された領域でも測定することができるが、典型的には、500から4,000 cm-1までの、いわゆる中赤外スペクトル領域で行われる。
【0069】
既知の分光測定方式はいずれも、IRまたはラマンスペクトルの記録のために使用することができ、それはたとえば、透過/吸収、減衰全反射、直接もしくは乱反射、またはIR光ファイバー技術などである。好ましい方法は、透過/吸収による測定である。
【0070】
たとえば、付属のハイスループットスクリーニングエクステンションHTS-XTを備えたBruker TENSOR 27 FT-IR分光計(または他社製の類似機器)を使用することができる。
【0071】
サンプルは固体もしくは液体とすることができる。測定は、複数サンプル測定用のマルチキュベットを用いて、または顕微分光法を用いることで、良好に行われる。これに含まれるのは、FT-IR、NIR、ラマンおよびFT-ラマン顕微鏡法、または他のビーム集束法である。これにより、試料処理能力を高め、ハイスループットスクリーニングの水準を確立するために、サンプル量を最小限まで減らし、自動化された試料調製および測定法を使用することがを可能になる。マイクロタイタープレート用のサンプルキャリア、またはスルーフロー(throughflow)キュベットも使用することができる。自動サンプルデリバリーシステムと一体のスルーフローキュベットを使用すると、サンプルスループットを高めることもできる。赤外光ファイバーも、位置とより無関係な測定プロセスの自動化のために使用することができる。
【0072】
IR分光法で通常使用される水不溶性光学材料はすべて、上記の改良型調製のためのキュベットまたはサンプルキャリアの材料として使用することができる(たとえば、Si, Ge, ZnSe, CaF2, BaF2)が、ZuSeがマルチサンプルエレメントとして非常に適していることが判明した。固定できる(keyed)メタルプレートまたはマイクロメタルグリルも、特に多数のサンプル用のマイクロタイタープレートと同じスケールに設計されたものは、サンプルホルダーとして、およびディスポーザブル材料として適している。
【0073】
IRスペクトルを記録するためのサンプル量はごく少量にすることができ、数μl(2-20μl)しか必要でない。ビーム集束あり、またはなしの所定の条件に応じて、μg-ng範囲の物質量を使用することができる。照射されるサンプル面積の直径は、1-6 mm、マイクロフォーカシングを用いて5-50 μmの間で変動する。
【0074】
ラマンまたは近赤外(NIR)測定の場合、別の可能性は、液体サンプルにおける測定であって、これはサンプル調製容器、たとえば、マイクロタイタープレートで直接行うことができる。これは、処理時間を短縮し、サンプル調製ステップを省略することができるので、高度の自動化と相まって、多大な時間的利益を提供することができる。ラマンシグナルの最適なポジショニングは、干渉信号を排除し、信号対ノイズ比を改善するために、共焦点ビームガイダンスを用いて行うことができる。同時に使用される光源または対応する刺激ビームの反響の配置、およびラマン測定用サンプルに対する方向、ならびに並行して配置される検出器(たとえば、CCD)の使用も、サンプルのスループットおよび自動化性能を大いに高めることができる。
【0075】
d) 比較
上記測定法を用いて、それぞれ測定されたサンプルに、サンプルが得られたもとの生物(1つもしくは複数)またはその一部(1つもしくは複数)の生化学的状態および/または代謝状態を特徴付ける特定のパターンを割り当てることができる。試験スペクトル(1つもしくは複数)を、基準物質で処理された同じ生物に関する、1、2、または3つ以上のクラスに分割された1つもしくは複数のスペクトル(基準スペクトル)と比較することによって、試験スペクトルを、参照データベース中の基準スペクトルの1、2、または3以上のクラスに割り当てることができる。
【0076】
本発明の好ましい実施形態において、比較は、スペクトルパターン認識の数学的プロセスによって行う。好ましくは、基準スペクトルおよび/または試験スペクトルは、特徴的なスペクトルパターンの自動認識が可能な方法で処理される。
【0077】
分類は、2つ以上のクラスを同時に区別することができるパターン認識システムによって行うことができる。クラスに特異的なスペクトルパターンの情報を、分類モデル内に蓄積する、または人工ニューラルネットワーク、サポートベクターマシンまたは同等物のウェイトを用いて蓄えることができる。
【0078】
試験スペクトルと基準スペクトルとの比較は、分類モデルを用いて行うことができる。
【0079】
成分が多数であるため、これらのスペクトルは非常に複雑な構成を有し、生体分子の多数の多様な振動モードを反映する。その複雑さにもかかわらず、スペクトルは生物の組成、性質または状態に非常に特異的であって、特異的な生化学的フィンガープリントに相当する。生物の組成、状態および性質が試験物質による処理の影響下で、独自に変化し得るので、使用された物質に応じて、こうした変化の分光学的記録は、関連する作用メカニズムの特定および/または特性解析に用いることができる。
【0080】
本発明の方法は、特に、試験物質または試験物質混合物(除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺ダニ剤、および殺線虫剤)の作用様式を評価することを目的とする。具体的に評価されるべき特性には、殺虫性、殺真菌性、植物に対する植物毒性(除草剤)をもたらす物質(酵素阻害剤、受容体作動薬および拮抗薬、チャンネル遮断薬など)、および植物の健全性を向上させる物質の作用様式を評価することが含まれる。
【0081】
評価すべき殺虫剤の作用様式には、具体的には下記が含まれる:
アセチルコリンエステラーゼ阻害、GABA依存性塩素チャンネル拮抗作用、ナトリウムチャンネルモジュレーション、ニコチン性アセチルコリン受容体作動性または拮抗作用、塩素チャンネル活性化、幼若ホルモン様作用、酸化的リン酸化の阻害、ATP生成の途絶、プロトン勾配の乱れによる酸化的リン酸化のアンカップリング、キチン生合成の阻害、脱皮阻害、エクジソン作動性、オクトパミン作動性、ミトコンドリア複合体III電子伝達阻害、電位依存性ナトリウムチャンネル遮断、脂質合成阻害、ミトコンドリア複合体IV電子伝達阻害、ニューロン阻害、アコニターゼ阻害、P450依存性モノオキシゲナーゼ阻害、エステラーゼ阻害、リアノジン受容体モジュレーションなど。
【0082】
評価すべき殺真菌剤の作用様式は、具体的には下記のうちの1つに関する:
核酸合成、標的部分は、RNAポリメラーゼI、アデノシンデアミナーゼ、DNA/RNA合成、およびDNAトポイソメラーゼII型(ジャイレース)など;有糸分裂および細胞分裂、標的部分は、有糸分裂におけるβチューブリン集合、有糸分裂におけるβチューブリン集合、および細胞分裂など;呼吸、標的部分は複合体I、複合体II:コハク酸デヒドロゲナーゼ、複合体III:シトクロムbc1(ユビキノールオキシダーゼ)(Qo)、複合体III:シトクロムbc1(ユビキノンレダクターゼ)(Qi)、酸化的リン酸化のアンカプラー、酸化的リン酸化の阻害剤、ATPシンターゼ、およびATP生成など;アミノ酸およびタンパク質合成、標的部分は、メチオニン生合成、およびタンパク質合成など;シグナル伝達、標的部分は、初期細胞シグナリングにおけるGタンパク質、および浸透圧シグナル伝達におけるMAPプロテインキナーゼなど;脂質および膜合成、標的部分は、脂質過酸化におけるNADHシトクロムcレダクターゼ、リン脂質生合成、メチルトランスフェラーゼ、脂質過酸化、細胞膜透過性、ならびにリン脂質生合成および細胞壁沈着など;膜におけるステロール生合成、標的部分は、ステロール生合成におけるC14デメチラーゼ、ステロール生合成におけるΔ14-レダクターゼおよびΔ8→Δ7-イソメラーゼ、ステロール生合成における3-ケトレダクターゼ、C4-脱メチル化、スクアレンエポキシダーゼなど;グルカン合成、標的部分は、トレハロースおよびイノシトール生合成、ならびにキチン合成など;細胞壁におけるメラニン合成、標的部分は、メラニン生合成におけるレダクターゼ、およびメラニン生合成におけるデヒドラターゼなど;宿主植物防御誘導、標的部分はサリチル酸経路など。
【0083】
評価すべき除草剤の作用様式には、具体的に下記のものがある:
アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACCase)の阻害、アセト乳酸合成酵素ALS(アセトヒドロキシ酸合成酵素AHAS)の阻害、光化学系IIでの光合成阻害、光化学系Iの電子の移転(diversion)、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPO)の阻害、白化(カロテノイド生合成の、たとえば、フィトエンデサチュラーゼステップ(PDS)での阻害、4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(4-HPPD)の阻害)、EPSP合成酵素の阻害、グルタミン合成酵素の阻害、DHP(ジヒドロプテロイン酸)合成酵素の阻害、微小管重合阻害、有糸分裂および/または微小管構築の阻害、VLCFA阻害、細胞壁(セルロース)合成阻害、脱共役(膜破壊)、脂質合成の阻害、インドール酢酸様作用、オーキシン輸送の阻害など。
【0084】
言及された作用様式は単なる例であって、決して網羅的なものではなく、当技術分野の専門家であれば容易にもっと付け加えられるであろう。
【0085】
参照データベースは、生物または生物群を、作用様式のわかっている物質または物質混合物に暴露すること、必要に応じて、生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)を均一サンプルに変換すること、ならびに少なくとも1つの基準スペクトルを記録することによって構築される。暴露および変換の条件は、同一の生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)が、作用様式の不明な試験物質または試験物質混合物に暴露され、必要に応じて均一サンプルに変換される条件を決定する。基準スペクトルはデータベースに加えられ、関連の作用様式のクラスに割り当てられる。
【0086】
あるクラスに割り当てられた基準スペクトルは、選択された波長域の1つまたは複数において、同一または同様の構造を示し、その構造は、その選択された波長域における他のクラスの基準スペクトルの構造とは有意に異なる。
【0087】
クラスを区別するために用いられる波長域の選択(「特徴選択」)は、分散分析、共分散分析および因子分析などの多変量統計処理、ユークリッド距離もしくはマハラノビス距離などの統計的距離、または遺伝的アルゴリズムなどの最適化過程を伴う上記方法の組み合わせによって行うことができる。
【0088】
自動化かつ最適化された波長検索は、遺伝的アルゴリズムを組み合わせて使用することによって実施することができる。このように、波長は、分類のために可能な限り最良の方法で、より迅速かつ効率的にランキングにコンパイルすることができる。ここで重要な特徴は、自動識別が、スペクトル変化に寄与するスペクトル変化について行われることである。これらの特定された波長域は、自動分類システムを構築するために使用することができる。評価は、遺伝的アルゴリズムと共分散分析との組み合わせによって理想的に行われる。
【0089】
波長選択に先立って、スペクトルの対比を大きくするために、微分の作成、正規化、デコンボリューション、フィルタリング、ノイズ抑制、またはウェーブレット変換もしくは因子分析によるデータ整理によって、基準スペクトルの予備的処理を行うことができる。
【0090】
基準スペクトルの、様々なクラスへの割り当ては、数学的分類法、たとえば、多変量の統計的パターン認識、ニューラルネットワーク(neuronal networks)、サポートベクターマシン、線形判別分析、事例に基づく分類法もしくは機械学習法、遺伝的アルゴリズム、または進化的プログラミング法を用いて行われる。いくつかの人工ニューラルネットワークを3層フィードフォワードネットワークとして、ならびに勾配降下法を学習アルゴリズムとして使用することができる。分類システムは、分類タスクが部分的タスクに分解されたツリー構造を示すことができ、ユニット内の個々の分類システムが合わさって階層分類システムを構成するが、その階層の全段階が、評価の過程で自動的に処理される。分類システムの個別の段階は、特別なタスクに向けて最適化されたニューラルネットワークの形をとることができる。
【0091】
ニューラルネットワークと遺伝的アルゴリズムの組み合わせによって、ニューラルネットワークによる分類の最適化をすることもできる。この最適化は、たとえば、ネットワークアーキテクチャー、または学習アルゴリズムの改善によって行うことができる。
【0092】
参照データベースはまた、スペクトル情報がニューロンウェイトの形で蓄えられる人工ニューラルネットワークの形をとることができ、評価において追跡することができる。
【0093】
生物における作用様式の特性解析および/または特定を目的とする参照データベースの作成は、原則として1回だけ行う必要がある。データベースを常に拡張する設備も存在する。これは、たとえば、データベースにすでに含まれているクラスに更なる物質を追加することによって行うことができる。これとは別に、参照データベースは、それまでデータベースに含まれていない他の作用様式を含めるように拡張することもできる。こうした場合、データベースは上記のように再編成しなければならないが、それによって、すでに前のデータベースの作成のために使用されたスペクトルデータの記録は、使用する生物、暴露およびサンプル調製の条件、ならびにスペクトル測定パラメーターが変わらない限り再度作成する必要はない。
【0094】
基準スペクトルの1つ、2つ、または3つ以上のクラスへの試験スペクトルの割り当ては、パターン認識に基づく数学的分類法を用いて行うことができる。人工ニューラルネットワークによる分類を用いる場合等の、複数クラスへの同時分類を可能にする方法は、複数クラスの自動的かつ効率的な分類に特に適している。確率密度関数、相関行列、事例に基づく分類法もしくは機械学習法、遺伝的アルゴリズム、または進化的プログラミング法に基づくプロセスも、原則として適している。分類システムは、分類タスクが部分的タスクに分解されたツリー構造を持ついくつかのサブユニットから構成されることができ、ユニット内の個々の分類システムが合わさって階層分類システムを構成するが、その階層の全段階が、評価の過程で自動的に処理される。
【0095】
作用様式の不明な物質または物質混合物の試験スペクトルは、基準スペクトルを記録するために使用する、または使用した、正確に同一タイプの生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)を用いて取得する。生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)の生化学的状態および/または代謝状態に影響を及ぼす可能性のある全ての条件も、参照データベース作成時に維持された条件に一致しなければならない。
【0096】
基準スペクトルの1つ、2つ、もしくは3つ以上のクラスへの試験スペクトルの割り当ては、数学的分類法、たとえば、パターン認識の多変量の統計的プロセス、ニューラルネットワーク、事例に基づく分類法もしくは機械学習法、遺伝的アルゴリズム、または進化的プログラミング法を用いて行われる。
【0097】
特定の実施形態によれば、本発明は、物質もしくは物質混合物、特に農薬もしくは農薬混合物の作用様式の特定および/または特性解析のための方法に関するものであって、その方法には下記のステップが含まれる:
生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)を、作用様式が判明している物質もしくは物質混合物、特に農薬で処理すること、ならびにIR、FT-IR、ラマン、FT-ラマンおよび近赤外(NIR)スペクトルからなる群から少なくとも1つのスペクトルを記録することによって、基準スペクトルをコンパイルすること;いずれの場合も、対応する作用様式に属するクラスを識別するために、同一または同様の構造の少なくとも1つの波長域を選定すること、ならびに参照データベースにおいて基準スペクトルをクラスに割り当てること(それによって、あるクラスに割り当てられた基準スペクトルは、選択された波長域において同一または同様の構造を示し、その構造は、選択された波長域における他のクラスの基準スペクトルの構造とは有意に異なる);試験すべき物質もしくは物質混合物、特に農薬もしくは農薬混合物で、生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)を処理すること;IR、FT-IR、ラマン、FT-ラマンおよび近赤外(NIR)スペクトルからなる群から少なくとも1つのスペクトル(試験スペクトル)を記録すること;試験スペクトル(1つもしくは複数)を、参照データベース中の1つもしくは複数の基準スペクトルと比較すること;試験スペクトルを、参照データベース中の基準スペクトルの1つ、2つ、もしくは3つ以上のクラスに割り当てて、その作用様式を特定する、または特徴付けること。
【0098】
本発明の方法は、敏感である、標準化することができる、ならびに再現性があるという事実によって特徴付けられる。本方法は、もっとも多岐にわたる作用機序に全般的かつ均等に適用可能である。本方法は、費用効率が高く、迅速な結果を提供する。
【0099】
したがって、本発明はさらに、前記目的のための本発明の方法の使用に関する。これは、特に、物質もしくは物質混合物への暴露によって、ある特定の作用様式に典型的な生物の変化を引き起こすかどうかという分析的知見と関連する。変化が生じれば、その作用様式が、その物質または物質混合物に割り当てられる。
【実施例1】
【0100】
昆虫(ソラマメヒゲナガアブラムシ(Megoura viciae)):殺虫剤の作用様式に関する試験
1.1 マイクロタイタープレートの準備
12ウェルマイクロタイタープレート(供給元:TPP、ウェル:直径22.2 mm)の各ウェルに、寒天の真菌汚染を避けるために2.5 ppmの殺真菌剤Opusを含有する、1.4 mlの0.8%寒天を満たした。
【0101】
冷却後、20 mmのソラマメ(Vicia faba)の葉(ディスク)を寒天上に(裏側を上にして)置いた。
【0102】
1.2 物質の適用
0.3 ppmから2500 ppmまでの濃度の当該物質の超音波スプレーを用いて、葉のディスクを処理した。標準的な容積散布量は、1:1アセトン/水混合液に溶解した物質のさまざまな濃度で20μlとした。
【0103】
陰性対照を目的として、葉のディスクを1:1アセトン/水混合液で処理した。
【0104】
1.3 葉のディスクの乾燥
スプレー処理したマイクロタイタープレートは、急速乾燥(約2-4時間)のためにドラフト下で、または、環境を設定した(climatized)試験チャンバー内で、23±1℃、相対湿度50±5%、および蛍光灯3500±500ルクス下で一晩(約12時間)、保存した。
【0105】
1.4 感染
葉ディスクを乾燥させた後、約30匹のアブラムシ(ソラマメヒゲナガアブラムシ)をそれぞれの葉のディスク上に載せた。
【0106】
1.5 インキュベーション
マイクロタイタープレートの上面をセルロースおよび付属のふたで覆った。ウェルが過湿にならないように、それぞれのふたには、ウェルの上の中心に12個の4 mm穴を開けた。
【0107】
処理されたマイクロタイタープレートは、環境を設定した試験チャンバー内で、23±1℃、相対湿度50±5%、および蛍光灯3500±500ルクス下で24-48時間インキュベートした。
【0108】
1.6 サンプル調製
昆虫を、12個の切断加工された漏斗を付けた自家製のテフロン(登録商標)ブロックを用いて採集した。それぞれの漏斗の底に、シリコンチューブの小片を用いて採集マイクロチューブをはめ込んだ。その後、ブロック全体(アブラムシ採集デバイス、ACD)をマイクロプレートに取り付けた(図2を参照されたい)。全体をひっくり返し、アブラムシを採集チューブに移した。そのチューブを穴の開いたキャップで閉じて、真鍮製のホルダーに入れ(図3)、液体窒素中で冷却して、1日間凍結乾燥した(Freeze Dryer Christ ALPHA 2-4、約0.024 mbar)。各チューブに鋼球を加えた。チューブを閉じた後(今回は穴のないキャップを使用する)、アブラムシをビーズミル(Qiagen社製TissueLyser)内で25 Hzで2分間破砕し、96チューブまで並行して処理した。得られた粉末を、300μl Baker水の添加後、マイクロチューブ内で再懸濁した。
【0109】
1.7 IR測定
上記懸濁液から10μlをシリコン96"ウェル"プレートの測定位置に移した(全懸濁液の代わりに、IR測定用サンプルとして上清だけを使用することも可能であった)。ピペットチップを用いて、サンプルを、対応する印付けされたリングの全領域内に分注した。各サンプルはこのように、7つの異なる位置に載せられ、1つのプレートで12-13サンプルを処理することができた(図5を参照されたい)。このシリコンプレートを60℃で60分間乾燥し、5分間で室温まで平衡化して、ただちに測定に供した。
【0110】
付属のハイスループットスクリーニングエクステンションHTS-XTを備えたBruker TENSOR 27 FT-IR分光計で、赤外スペクトルを透過率として記録した。分光計は、BrukerOptics製OPUSソフトウェアパッケージにより制御した。FT-IRスペクトルを記録するために以下のパラメーターを使用した:分光範囲:4000 - 400 cm-1、分解能 8 cm-1、ウェルあたり16スキャン、アパーチャ 6 mm、ミラースピード 10 kHz。
【0111】
1.8 データ解析
IRスペクトルを用いて、ウォード法によるシンプルな階層的クラスタ分析を行った。その結果得られた系統樹(図6)は、2つの主要な枝を示す。全ての対照サンプルが一方の枝の中に現れたのに対して、処理サンプルは、完全に第2の枝に集中している。処理サンプルは、さらに主として3群に分割された。ごくわずかに例外はあるものの、この3群は、ニコチン性アセチルコリン受容体に作用する化合物(チアメトキサム、アセタミプリド、チアクロプリドおよびイミダクロプリド)が含まれるグループa)、ほとんどのナトリウムチャンネルモジュレーター(ビフェントリン、シペルメトリン、デルタメトリン、およびペルメトリン)が含まれるグループb)、ならびに、主としてGABA依存性塩素チャンネル拮抗剤(エンドスルファンおよびフィプロニル)に相当するグループc)として割り当てることができた。
【実施例2】
【0112】
植物(アオウキクサ(Lemna paucicostata)):除草剤の作用様式に関する試験
アオウキクサの試験のために、アオウキクサLemna paucicostata (L.) Hegelm. (R. Kandeler教授(University of Vienna, Austria)のコレクション)の保存培養物を、スクロース含有無機培地中で混合栄養により増殖させた(K. Grossmann, Pest Management Science 61: 423-431, 2005)。バイオアッセイは、スクロースを含まない15 ml培地を入れたプラスチック製ペトリ皿(直径5 cm、6連)の中で無菌条件下で行った。試験化合物は、濃度10-5 Mおよび10-6 Mのアセトン溶液としてペトリ皿に添加し、有機溶媒を蒸発させてから、それらにそれぞれ約120個の葉状体を入れた。
【0113】
下記の化合物を使用した:トプラメゾン(カロテノイド合成阻害剤)、ピコリナフェン(カロテノイド合成阻害剤)、ジウロン(光化学系IIの阻害剤)およびクロルスルフロン(アセト乳酸合成酵素阻害剤)。対照は、対応する量のアセトンのみを入れた。
【0114】
次に培養皿をプラスチック製のふたで閉じ、25℃にて増殖チャンバー中で、連続光(Philips TL 白色ネオン管、40 μmol m-2 s-1 光子放射照度、400〜750 nm)の下で、インキュベートした。化合物で48時間処理した後、3連の培養皿から植物をマイクロチューブにサンプリングした(全体の生重量200 mg)。マイクロチューブを真鍮製ホルダーに入れ(図3を参照されたい)凍結乾燥した。それぞれのチューブに1つの鋼球を加えた後、アオウキクサをビーズミル内で破砕し、96チューブを並行して処理した。その結果得られた粉末を水中に再懸濁し、96"ウェル"シリコンプレートに移した。プレートを乾燥後、FT-IRスペクトルを記録した。
【0115】
得られた系統樹(図7、ウォード法による階層的クラスタ分析)は、IR分析が、カロテノイド合成阻害剤トプラメゾンにより引き起こされるスペクトル変化を、同様にカロテノイド合成を阻害するピコリナフェンのスペクトル変化と同様に割り当てたことを明らかにした。
【0116】
これに対して、系統樹は、カロテノイド合成阻害剤によるスペクトル変化と、光化学系II阻害剤ジウロンおよびアセト乳酸合成酵素阻害剤クロルスルフロンなどの、異なる作用様式を有する化合物によって引き起こされる変化との明白な分離も明らかにした。
【実施例3】
【0117】
真菌(いもち病菌(pyricularia oryzae)):殺菌剤の作用様式に関する試験
植物病原菌(いもち病菌(Pyricularia oryzae))の保存培養物を寒天プレート上に蒔き、室温でインキュベートした。2週間後、麦芽培地に懸濁することにより寒天培地から胞子を集め、濾過した。胞子を25 mlに希釈し、100 mlフラスコ内で室温にて振盪培養した(140 rpm)。24時間後、初発培養物を合わせてホモジナイズし、100 mlフラスコ内に再分注した。5日後、試験化合物を加え、24-48時間インキュベートを継続した。ブフナー漏斗内の濾紙上に吸引により集菌を行った。
【0118】
菌糸体をマイクロチューブに移し、そのチューブを次に真鍮製ホルダーに入れ(図3を参照されたい)凍結乾燥した。各チューブに1つの鋼球を加えた後、ビーズミル内で菌を破砕し(図4Bを参照されたい)、96チューブを並行して処理した。その結果得られた粉末を水中に再懸濁し、96-"ウェル"シリコンプレートに移した(図5を参照されたい)。プレートを乾燥させた後、FT-IRスペクトルを記録した。
【0119】
IRスペクトルを用いて、ウォード法による階層的クラスタ分析を行った。得られた系統樹(図8)は3つの主要な枝を示した。対照の大半がすべて1つの枝に現れたのに対して、bc1複合体に作用する全ての化合物(ピラクロストロビン、アゾキシストロビン、およびオリサストロビン)は第2の枝に集まっていた。系統樹の第3の枝は、主にステロール生合成におけるC14-デメチラーゼの阻害剤(エポキシコナゾール、プロピオコナゾール、ミクロブタニル)からなっていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 生物もしくは生物群を、物質もしくは物質混合物に暴露すること;
b) 必要に応じて、前記生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)を均一サンプルに変換すること;
c) 前記サンプルについて、IR、FT-IR、ラマン、FT-ラマン、および近赤外(NIR)からなる群から、少なくとも1つのスペクトルを記録すること;
d) 前記スペクトルを1つもしくは複数の基準スペクトルと比較すること
を含んでなる、物質もしくは物質混合物を検査する方法。
【請求項2】
生物が、節足動物、線虫、および軟体動物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
生物が、ソラマメヒゲナガアブラムシ(Megoura viciae)である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
生物が、植物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
植物がアオウキクサ属である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
生物が植物病原菌から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)を均一サンプルに変換することが、生物もしくは生物群もしくはその一部(1つもしくは複数)をホモジナイズすることを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)をホモジナイズすることが、生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)を破砕に供することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
物質もしくは物質混合物の作用様式を特定する、および/または特徴付けるための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項10】
生物もしくは生物群またはその一部(1つもしくは複数)の生化学的状態および/または代謝状態を測定するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−506026(P2012−506026A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525560(P2011−525560)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061469
【国際公開番号】WO2010/026218
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】