物質を収容及び供給するための方法及びディスペンサ
【課題】コントロールされ、計量された量の、人間又は動物に対する様々な物質(例えば薬剤、医薬、化粧品及び食品)の供給のため、又は、例えば接着剤のような、空気に曝されると反応するかもしれない物質を供給するため、注射器を提供する。
【解決手段】注射器10は本体12及びプランジャ14を含む。注射器10に収容される物質の所定量の供給を可能にすべく、注射器10内へのプランジャ14のコントロールされた移動を実行するための手段が、注射器本体12及びプランジャ14に設けられる。供給される物質を含む注射器10の部分を密閉シールするため、一方向弁54が、注射器10の供給端16に設けられる。
【解決手段】注射器10は本体12及びプランジャ14を含む。注射器10に収容される物質の所定量の供給を可能にすべく、注射器10内へのプランジャ14のコントロールされた移動を実行するための手段が、注射器本体12及びプランジャ14に設けられる。供給される物質を含む注射器10の部分を密閉シールするため、一方向弁54が、注射器10の供給端16に設けられる。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この特許出願は、2002年8月13日出願の米国仮特許出願第60/403,484号「物質量の物質を供給するための、密閉チャンバ及び一方向弁による供給」、2001年10月16日出願の米国仮特許出願第60/329,779号「計量された量の物質を供給するための注射器」、及び2002年8月13日出願の米国仮特許出願第60/403,396号「無菌物質を収容及び供給するための容器並びにそれを製造及び満たす方法」に関連し、これらの各々は参照によりここでの開示の一部として本願に明白に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、コントロール(制御)され計量された量の、薬剤、医薬、化粧品及び食品等の様々な多種の物質のいずれをも人間又は動物に供給(又は分配若しくは施与;dispense)するための、または接着剤等の空気に曝されることで反応する材料を供給するための、注射器及びそのようなディスペンサに関する。本発明のディスペンサは、ディスペンサ内に収容される物質の正確な量を供給するため、ディスペンサ内のプランジャの移動量をコントロールするための手段を含む。本発明のディスペンサはさらに、ディスペンサの内部室とプランジャとの境目を密閉的にシールするため、プランジャに接続された又はプランジャを形成する、可融性の又は他のストッパを含んでもよい。これによりプランジャを通じた空気や汚染物質の浸入を防止する。本発明のディスペンサは、さらに、供給端(dispensing tip)を密閉的にシールし、供給端を通じた空気や汚染物質の、ディスペンサ内に収容される薬剤又は他の物質への進入を同様に防止するため、供給端を形成する一方向弁(one−way valve)を含んでもよい。ディスペンサ内に収容される物質への空気又は汚染物質の進入を防ぐことによって、物質における防腐剤の使用を縮小又は除去することができる。
【背景技術】
【0003】
過剰投薬を防止するにはコントロールされた量の薬剤を供給するのが望ましい。過剰投薬は、薬剤がクリーム又は液状であるとき特に生じる可能性がある。例えば、幼児又は子供に与えられる薬剤の服用量を注意深くコントロールすることが極めて望ましいが、計量カップのような従来の計測装置を使用して適切な服用量を測定するのは困難であり得る。例えば、皮膚にきびを抑制するため顔に塗布されるクリームのように、薬剤がクリーム又は軟膏状である場合、薬剤は、正確な服用量の薬剤を供給しないチューブ又は他の容器に入っていることが多い。クリームの超過量の塗布は皮膚炎症及び乾燥を生じさせることがある。また、指を使用するクリームの適用は薬剤の汚染を生じさせることがある。
【0004】
例えば防腐性ベータダイン(Betadyne(商標))等のいくつかの薬剤に関し、皮膚上の正確な位置へのコントロールされた服用量の供給は、皮膚又は衣類の過度のしみを回避するのに望ましい。例えば胃腸炎用ワクチン等の、あるワクチンに関し、多数の正確な服用量のワクチンを供給できる密閉的にシールされたディスペンサは、ワクチンとディスペンサとの両方の消費を減少できる。
【0005】
コントロールされた量の薬剤が供給されることを可能にするいくつかの装置が従来説明されている。これらの装置は製造、組立て、及び薬剤充填を行うのに複雑であるかもしれない。その結果、これらの装置は、製造するのに高価であるかもしれず、また、カウンタ越し(over the counter;OTC)薬剤にとって有用でないかもしれない。この種の装置の他の欠点は、保存中、又は薬剤が供給される時、空気が装置内に入る可能性があるということである。薬剤の保存又は供給時に装置に入った空気は、薬剤の劣化や、薬剤の効能の減少や、薬剤の腐敗を引き起こす可能性があり、これにより薬剤の廃棄が必要となることがある。
【0006】
いくつかの薬剤に関し、防腐剤(保存料)が、空気又は他の汚染物質の進入による使用前の薬剤の劣化又は腐敗を防ぐために付加される。しかしながら、防腐剤が薬剤と反応し、その効能を減少する可能性がある。さらに、一部のユーザが、薬剤中の防腐剤に対し望ましくない副作用を起こす可能性がある。
【0007】
エアゾール状に薬剤を供給するための、或いは目に供給するための一方向スプレーが、ダニエル・ピィ博士に与えられた1994年6月14日発行の米国特許第5,320,845号と、ダニエル・ピィ博士に与えられた1997年3月25日発行の米国特許第5,613,957号と、ダニエル・ピィ博士に与えられた1998年5月5日発行の米国特許第5,746,728号と、ダニエル・ピィ博士に与えられた1999年1月5日発行の米国特許第5,855,322号と、ダニエル・ピィ博士に与えられた2000年4月25日発行の米国特許第6,053,433号との各公報において説明され、これらの各々は、ここでの開示の一部として参照により本願に組込まれる。
【0008】
クリーム又は液体メーキャップ等の化粧品もまた、空気に曝されることによって劣化し、損なわれる可能性がある。従って、ディスペンサ内に収容される薬剤、化粧品又は他の物質への空気又は他の汚染物質の進入を防止できるディスペンサを提供することが望ましく、また、それから供給される物質の量の改善されたコントロールを提供することが望ましい。コントロールされた量の、空気に敏感な他の物質(例えば接着剤)を供給するのに用いることができると共に、後の使用のための物質の未使用部分を保存できる、密閉的にシールされたディスペンサを提供するのが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,320,845号公報
【特許文献2】米国特許第5,613,957号公報
【特許文献3】米国特許第5,746,728号公報
【特許文献4】米国特許第5,855,322号公報
【特許文献5】米国特許第6,053,433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、計量された量の、ディスペンサ内に収容される物質を供給するための手段を備えたディスペンサを提供することが、本発明の目的に含まれる。
【0011】
本発明の他の目的は、供給端に一方向弁を備え、その供給端を通じて物質が流れることを許容する一方、供給端を通じて空気又は他の汚染物質が物質に入るのを防止する注射器又はそのようなディスペンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、調整された量の、薬剤、医薬品、化粧品、食品又は接着剤等の様々な多種の物質のいずれをも供給するのに用いられることができる、注射器及びそのようなディスペンサに関する。物質を収容するディスペンサの一部は、好ましくは密閉的にシールされ、その物質への空気又は他の汚染物質の進入を防ぐ。ディスペンサは、本体と、本体内に受容されたプランジャとを含む。ディスペンサの本体は、その下部に収容チャンバを有し、そこに薬剤又は他の物質が収容される。チャンバの一端に供給端が設けられ、薬剤又は他の物質がそれを通って塗布又は供給される。
【0013】
プランジャが、本体に挿入されると共に本体内で移動され、これにより薬剤又は他の物質が供給端から押し出される。本発明の現在好ましい実施形態において、プランジャは、(1)収容チャンバ内に収容される薬剤又は他の物質と接触する基部(base)又は先端(tip)と、(2)基部に取り付けられ、本体の下部の空間(cavity)内に移動する駆動部分と、(3)注射器のプランジャの移動を案内する上部ガイド部と、(4)ユーザによってつかむことができる、プランジャに接続されたノブ又は同様の把持部とを含む。
【0014】
ディスペンサは、好ましくは、収容チャンバに収容された物質の所定量を供給するため、プランジャの移動量をコントロールするための手段を含む。本発明の一実施形態において、プランジャの移動量をコントロールするための手段は、プランジャの上部ガイド部におけるカム状部材を含み、カム状部材は、本体の上部の内壁に形成された多段部に係合し、これと協働する。プランジャが回転されると、カム状部材は多段部に沿って移動し、プランジャによる本体内への段階的移動(step−wise movement)を行わせる。この段階的移動により、本体に収容された物質が、供給端を通じて、プランジャの各段階的移動又は単位量の移動毎に、正確な所定量だけ供給されるようになる。
【0015】
本発明の他の実施形態において、プランジャの移動量をコントロールするための手段は、プランジャの上部ガイド部に形成されたネジを含み、ネジは、本体の上部の内壁に形成された部分ネジに係合する。プランジャの上部ガイド部のネジは、ネジ径が徐々に増大するような複数の領域を有する。ネジ径の増大は、本体上部の内壁の部分ネジの径に相当する直径から開始し、部分ネジの径より大きな直径で終了する。プランジャの最大径ネジは、部分ネジの間の本体の直径より小さな直径を有する。
【0016】
プランジャが回転されると、プランジャのより大きな直径のネジが、次第に、本体の上部内壁の部分ネジに係合されていく。これは本体の上部をわずかに膨張させる。プランジャの最大径ネジが本体の部分ネジから外れて部分ネジの間の領域に入ると、本体は急速にその本来の直径に戻る。より大きな直径のネジが部分ネジの間の領域に位置するとき、プランジャアッセンブリは定位置にロックされ、このロック状態は、プランジャアッセンブリに十分な力が加えられてより大きな直径のネジが本体の内壁の部分ネジに係合する時まで継続する。望まれるようなネジピッチの設定によって、ネジ部を通過するプランジャの回転毎の移動距離が正確にコントロールされることができる。これにより、プランジャの各回転増加毎に所定量の物質供給を行える。
【0017】
本発明の他の実施形態において、本体は、エラストマー製アウターカバーに入れられた内側本体を備える。本体の上部は複数のネジ要素を備える。ネジ要素は、ネジ要素間に位置され軸方向に伸長された複数の溝を本体の上部チャンバに区画する。プランジャの上部ガイド部は、複数の部分ネジ部を含む。プランジャの上部ガイド部は、ネジ要素の間の溝に適合する複数の突起(tine)又は他の隆起部を含んでもよい。プランジャが回転されると、突起はネジ要素を通過移動し、その結果エラストマー製カバーに入れられた上部チャンバを膨張させる。突起がネジ要素を通過移動してネジ要素間の溝に入ったとき、本体の上部チャンバはその本来のサイズに復元する。
【0018】
ディスペンサの供給端は、一方向弁アッセンブリの使用によって密閉的にシールされる。本発明の現在好ましい実施形態において、一方向弁アッセンブリは、エラストマー製カバーの形態を持つバルブを含み、バルブは、供給端における軸又はポスト(post)の形態を持つバルブシートと接触する。通常の閉位置で、エラストマー製カバーの内面は中心部と接触し、密閉シールを形成する。供給端は、ポストの基部のまわりに1以上の開口を含み、開口は本体の収容チャンバと連通する。プランジャが収容チャンバの中へ移動すると、収容チャンバ内の物質が圧力を受け、供給端の開口を通じて流れる。加圧された物質は、エラストマー製カバーの内面に力を加え、エラストマー製カバーの内面をポストから分離させ、物質が供給端から流出することを可能にする。物質に加えられた圧力が解放されたとき、エラストマー製カバーは通常の閉位置に戻る。
【0019】
本発明の他の実施形態において、加熱再封止可能な(heat−resealable)、又は可融性のストッパが、プランジャの基部に含まれる。そのうちの一実施形態において、可融性ストッパは、硫化ゴムのベースと、加熱封止可能な材料で作られるインサートとを含む。そのうちの他の実施形態において、ストッパは、レーザエネルギ又は同様の放射エネルギの使用によって加熱再封止されることのできる高分子材料の混合物から作られる。物質を収容するためのチャンバは、可融性ストッパを通じて針を挿入することによって満たされ、針とチャンバとは流体が流通可能に連通する。収容チャンバが満たされると、収容チャンバ内の空気は、可融性ストッパの外周囲の可撓性フラップを越えて、又は針(例えばダブルルーメン針)の中に形成された孔を通じて、又は針とストッパとの間から、排出されることができる。収容チャンバが満たされた後、加熱封止可能な材料からなるストッパが加熱され、針によって作られた穴を埋めると共に、可融性ストッパの外周囲の可撓性フラップがその通常位置に復帰して収容チャンバを密閉シールする。
【0020】
本発明の他の実施形態は、供給端を通じた物質の漏れ残り(residual seepage)を防止するための手段を含む。本発明の現在好ましい実施形態において、本体は複数の第1ネジを有し、プランジャは、第1ネジに係合可能な複数の第2ネジを有し、これによりプランジャ及び本体の少なくとも一方が他方に対し相対移動する。この実施形態において、漏れ残りを防止するための手段は、第1ネジと第2ネジとの間に形成された軸方向の隙間によって形成される。軸方向隙間は、計量された量の物質が供給端を通じて供給された後にプランジャと本体との少なくとも一方が他方に対し軸方向に相対移動することを許容し、さらに、物質を収容するチャンバとディスペンサ外部との間のいかなる圧力差をも減少又は除去するのに十分である。
【0021】
本発明の一つの利点は、ディスペンサが、コントロールされた量のいかなる種類の物質をも供給できる点にある。その物質とは、例えば医薬、ワクチン、薬品又は他の調合薬剤又は処方薬、化粧品、食品、及び接着剤等の産業用品又は家庭用品である。本発明の現在好ましい実施形態は、比較的安価に製造でき、これによりディスペンサが、非常に広範囲の物質(液体、クリーム、軟膏、糊製品、及び他の液体及び物質を含む)に使用されることを可能にする。
【0022】
本発明の他の利点は、ディスペンサの供給端における一方向弁が、その供給端を密閉してシールすると共に、ディスペンサに収容される物質内への空気又は他の汚染物質の浸入を防止し、これにより、防腐剤無しで物質が保存されることを可能とし、そのような防腐剤が収容されない物質の複数回分がディスペンサ内に収容されることを可能にする点にある。
【0023】
注射器の他の利点及び本発明の他のディスペンサは、後述される本発明の現在好ましい実施形態の詳細な説明、特許請求の範囲及び添付図面に基づき、直ちに明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、計量された量の、ディスペンサ内に収容される物質を供給するための手段を備えたディスペンサを提供することができる。また、本発明によれば、供給端に一方向弁を備え、その供給端を通じて物質が流れることを許容する一方、供給端を通じて空気又は他の汚染物質が物質に入るのを防止する注射器又はそのようなディスペンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者がより容易に本発明を理解するため、図面を参照することができる。
【図1a】本発明を具現化する注射器タイプのディスペンサの前方斜視図で、注射器本体に部分的に挿入されたプランジャを示す。
【図1b】注射器の後方斜視図で、注射器本体に部分的に挿入されたプランジャを示す。
【図2】図1aの注射器の本体の前方斜視図である。
【図3】図1aの注射器の注射器本体の後方斜視図で、本体の上部の内面に形成された螺旋状多段部を示す。
【図4】図2のA−A線に沿った、本体の第1の半分の断面図で、本体の内壁を示す。
【図5】図2のA−A線に沿った、本体の第2の半分の断面図で、注射器本体の内壁を示す。
【図6a】図1aの注射器のプランジャの前方斜視図である。
【図6b】図1aの注射器のプランジャの後方斜視図である。
【図7a】図1aの注射器のやや概略的な部分断面図で、本体内でのプランジャの移動をコントロールするための手段を示し、本体内でのプランジャの移動の進行を示す。
【図7b】図1aの注射器のやや概略的な部分断面図で、本体内でのプランジャの移動をコントロールするための手段を示し、本体内でのプランジャの移動の進行を示す。
【図7c】図1aの注射器のやや概略的な部分断面図で、本体内でのプランジャの移動をコントロールするための手段を示し、本体内でのプランジャの移動の進行を示す。
【図8】図1aの注射器の部分断面図で、本体の収容チャンバ内における、プランジャの基部の可融性ストッパを含む。
【図9】図8に示される注射器の可融性ストッパの部分断面図である。
【図10】図9の可融性ストッパ及び本体の断面図である。
【図11】本発明の注射器タイプのディスペンサの第2実施形態の斜視図で、部分ネジ部を含む本体と、プランジャの移動量をコントロールするためのネジ付き上部ガイド部を備えたプランジャとを示す。
【図12】図11の注射器の、部分的に破断された斜視図である。
【図13】図11の注射器の断面図である。
【図14】図11の注射器の断面図である。
【図15】図11の、本体と、プランジャの上部ガイド部との断面図である。
【図16】図11の注射器のプランジャの側面図である。
【図17】図16の(B詳細の)部分拡大図で、プランジャの上部ガイド部のネジの一部を示す。
【図18】本発明の注射器タイプのディスペンサの第3実施形態の一部破断斜視図で、それはエラストマー製アウターカバーを有する。
【図19】図18の注射器の斜視図で、エラストマー製アウターカバー、ネジ要素及びプランジャの上部ガイド部を示すため一部破断されている。
【図20】図18の注射器の本体及び上部ガイド部の部分的な断面図である。
【図21】図18の本体の部分斜視図で、本体の上部におけるネジ要素を示すため一部破断されている。
【図22】本発明の注射器タイプのディスペンサの他の実施形態の断面図で、それは、密閉シールされた物質の供給端を通じた漏れ残りを防止するための手段を含み、完全伸長位置にあるプランジャを示す。
【図23】図22の注射器タイプのディスペンサの断面図で、引込位置にあるプランジャを示す。
【図24】図22及び図23の本体の部分的な斜視図で、本体の内壁に形成された別々の、軸方向に延出するネジ部を示す。
【図25】図22及び図23の注射器タイプのディスペンサのやや概略的な断面図で、ネジが設けられた本体内におけるネジ付プランジャの1/4回転の回転移動の進行を示す。
【図26】図22及び図23の注射器タイプのディスペンサのやや概略的な断面図で、ネジが設けられた本体内におけるネジ付プランジャの1/4回転の回転移動の進行を示す。
【図27】図22及び図23の注射器タイプのディスペンサのやや概略的な断面図で、ネジが設けられた本体内におけるネジ付プランジャの1/4回転の回転移動の進行を示す。
【図28】注射器本体のネジとプランジャのネジとの概略図で、シールされた物質の供給端を通じた漏れ残りを防止するため、静止位置に位置されたときのプランジャの軸方向のあそびを示している。
【図29】図22及び図23のプランジャの部分斜視図で、明瞭化のため部品が省略され、プランジャの異なるネジ部を示している。
【図30】図29のプランジャの断面図で、プランジャの異なるネジ部をさらに示す。
【図31】本発明の注射器タイプのディスペンサの他の実施形態の断面図で、それは、隠蔽されたプランジャと、注射器本体を通ってプランジャを回転移動させるための駆動機構とを含み、完全伸長位置にあるプランジャを示す。
【図32】図31の注射器タイプのディスペンサの断面図で、引込位置にあるプランジャを示す。
【図33】本発明の注射器タイプのディスペンサの他の実施形態の断面図で、それは、隠蔽されたプランジャと、注射器本体を通ってプランジャを回転移動させるための駆動機構とを含み、引込位置にあるプランジャを示す。
【図34】図33の注射器タイプのディスペンサの断面図で、伸長位置にあるプランジャを示す。
【図35】本発明の注射器タイプのディスペンサの他の実施形態の断面図で、それは、化粧用に、ユーザの唇又は他の表面の輪郭に倣って接触する形状とされた供給端を含む。
【図36】図35の注射器タイプのディスペンサの側面図である。
【図37】本発明の注射器タイプのディスペンサの他の実施形態の部分断面図で、それは、化粧用に、他の特殊形状とされた供給端を含む。
【図38】本発明の他の注射器タイプのディスペンサの斜視図で、それは、隠蔽されたプランジャと、注射器本体を通ってプランジャを段階的に回転移動させるための駆動機構とを含む。
【図39】図38の注射器タイプのディスペンサの分解斜視図である。
【図40】図38の注射器タイプのディスペンサの他の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、コントロールされた量の物質、例えばワクチン、薬剤及び他の医薬品、化粧品、食品、接着剤、又は空気と反応して損傷或いは劣化し得る他のあらゆる物質等の物質を供給するための、改良された注射器及び他のディスペンサに関する。図1a及び図1bに示されるように、本発明の改良された注射器タイプのディスペンサは本体12及びプランジャ14を含む。注射器本体12内でのプランジャ14の移動量をコントロールするための手段が設けられ、これにより正確な量の物質を注射器から供給することができる。図8に示されるように、加熱封止可能な、又は他のタイプのストッパが、プランジャの先端に設けられ、これにより注射器の下部又は収容チャンバが密閉シールされ、注射器内の物質への空気又は汚染物質の進入が防止される。さらに、図1に示されるように、物質の供給に使用される注射器の先端16は、一方向弁を含み、これにより、物質が空気又は他の汚染物質に曝されることが防止される。もしこれがなければ、空気又は他の汚染物質が注射器の先端を通じて進入するであろう。ここに開示される好適実施形態は、本発明の思想の例示と考えられるべきであり、説明される実施形態に本発明を限定することは意図されない。ここで説明される発明の思想及び範囲から外れることなく、様々な変更が、ここでの教示に基づき、当業者にとって明らかになるであろう。
【0027】
ここで使用されるような、用語「注射器」又「「注射器タイプのディスペンサ」は、物質(例えば液体、クリーム、軟膏又は流体)を身体内に、又は皮膚上に、又は物体の表面上に、注出又は供給するために、物質を収容するチャンバを通って移動可能なプランジャ又は他の要素を有する装置を意味する。さらに、用語「プランジャ」は、装置から物質を供給するために、チャンバに収容される物質に圧力を加えるために用いられる装置を意味するためにここで使用される。
【0028】
段階的移動のためのカム状部材を有する注射器タイプのディスペンサ
図1a〜図7cにおいて、本発明の注射器タイプのディスペンサの第1実施形態が、全体として符号10で示される。図1a及び図1bに示されるように、注射器は、本体12と、注射器本体内に嵌め入れられるプランジャ14と、一方向弁54を有した供給端16とを含む。本体12とプランジャ14とは、好ましくは、成型可能なプラスチックから作られる。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されず、当業者に現在知られており又は将来知られることになるいかなる適当な材料をも用いることができる。
【0029】
図2を参照して、注射器10の本体12は略円筒状である。図2に示された本発明の実施形態において、注射器本体は上部18と下部20とを有し、上部は下部より大きな直径を有している。上部18はテーパ部22によって下部20に接続される。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されず、上部及び下部はいかなる所望の寸法又は形状であってよい。上部及び下部の直径が同じである場合、テーパ部は省略されることができる。
【0030】
テーパ部22とは反対に位置する、上部18の外側端に、使用時に注射器をつかむための手段が設けられてもよい。図2に示された本発明の実施形態では、使用時に注射器をつかむため、二つの反対側に位置する平らな部材24が、注射器の上部の頂端から垂直に突出している。平らな部材24は、好ましくは略三角形状であるが、あらゆる望まれる寸法又は形状が用いられてもよい。
【0031】
図3〜図5に示されるように、上部18及び下部20の内壁は円筒状の空間を区画する。注射器本体の上部18の内壁は、ほぼ螺旋状の経路を区画する複数の段34を含む。図4及び図5は、図2のA−A線に沿った、互いに反対側の、注射器本体内部の半分を示すが、これら図に示されるように、注射器本体12の上部18の内壁は、注射器本体の上部18の互いに反対側の内壁36に形成された、2つの螺旋状多段部34を区画する。それぞれの多段部34はほぼ螺旋形の経路を区画する。図4に示されるように、一方の多段部34は、注射器本体の上部18の頂部からテーパ部22に向かう方向の、多段部に沿った移動を許容するよう方向付けられる。図5に示されるように、他方の多段部は、一方の多段部とは反対の方向に方向付けられ、プランジャ14の後退移動を防止する。この点は後述する。
【0032】
図7a〜7cに示されるように、注射器本体12の下部20の内壁38は、滑らかな円筒状の穴を区画すると共に、下部20の軸方向長さに亘ってほぼ一定の内径を有する。注射器の下部20は、供給される物質を収容するための収容チャンバを区画すると共に、プランジャの基部と摩擦係合するような寸法とされる。この点は後述する。下部20の内径は、好ましくは一定であり、これによって、プランジャ14の所定距離の移動に対し、それに収容される薬剤又は他の物質の特定量が、注射器から供給されるようになる。注射器本体の下部の端に、全体的に符号16で示される供給端が設けられ、これによって、プランジャが下部に挿入されるにつれ、注射器から薬剤が流れることが可能になる。図2に示されるように、本発明の一実施形態では、供給端16は、環状のU字状溝30を区画するフランジ28を含む。供給端は、伸長された中心軸又はポスト32の形態を持つバルブシートを区画する。複数の開口(図示せず)が、中心軸32の基部の周囲に設けられる。複数の開口の各々は、注射器の下部20内のチャンバに連通し、注射器に収容される物質を供給するための通路を提供する。以下に説明される一方向弁のような一方向弁54が、供給端に含まれ、物質のコントロールされた供給を許容すると共に、供給端を密閉シールして注射器内の物質の空気又は汚染物質(汚染菌)への暴露を防止する。本発明の別の実施形態において、中心軸32は、注射器の下部内のチャンバに連通する中心円筒状流路を設けられることができ、これにより注射器に収容される物質を供給するための通路が提供される。本発明の他の実施形態において、当業者に現在知られており又は将来知られることになる他の供給端の機構が、注射器本体に固定して取り付けられることができる。例えば、商標LUER−LOKで販売されている従来の接続装置が、使い捨てニードルの取り付けを許容すべく、注射器の供給端に使用されることができる。他のニードル接続手段、例えば、ネジ付取付具、エラストマー製プラグ、又は嵌合エンドキャップが、ニードルを注射器の先端に取り付けるために同様に使用されてもよい。注射器本体の下端は、選択されたニードル接続手段が取り付けられるよう、必要に応じて形状が決められ、又はネジが形成されることができる。注射器内部の薬剤又は他の物質を供給すべくニードルが注射器に接続されるまで、注射器の供給端を密閉的にシールするためのキャップ又は他の手段(図示せず)が使用されることができる。
【0033】
ここで図6a及び図6bを参照して、プランジャ14は、基部又は先端40、下部駆動部42及び上部ガイド部44を備える。先端40の前面46が、使用時、注射器の下部20の収容チャンバ内の物質に接触する。先端40は、注射器本体の下部20のチャンバ内に摺動嵌合する寸法とされ、これにより、先端40が下部20に挿入されるとき、物質が、基部と、注射器の下部20の内面との間から漏出しなくなる。先端40は、好ましくは、注射器内の物質と反応しない材料から作られる。例えば、後述するプランジャ先端の機能を実行すべく、現在知られており又は将来知られるようになる、成型可能な様々なプラスチックから作られる。さらに、プランジャ先端40は、好ましくは、注射器の本体によって形成されるチャンバ内の物質を密閉シールする弾性材料から作られる。例えば、後述する加熱再封止可能なストッパ、又は、後述するプランジャ先端の機能を実行すべく、現在知られており又は将来知られるようになる、様々なプランジャ先端材料から作られる。
【0034】
プランジャ14の駆動部42は、注射器本体の下部20内にスライド可能に嵌合するような形状又は寸法とされる。駆動部42の外径は、好ましくは、注射器本体の下部20の内径より少なくとも僅かに小さく、これにより、プランジャの注射器本体内での移動によって発生する摩擦力が減少される。下部の駆動部42は、注射器本体の下部20のチャンバ内に完全に挿入されるのに十分な長さを有するべきである。
【0035】
プランジャ14の上部ガイド部44は、互いに径方向反対側に位置された二つのカム状部材48を有する。これらカム状部材48は、プランジャ14の上部ガイド部44の外表面から垂直に延出する。カム状部材48は、注射器本体の上部18の内壁36に形成された多段部34と協働し、プランジャの注射器内への段階的な移動の量をコントロールするための手段を提供する。図7aに示されるように、カム状部材48は、好ましくは、カム状部材48が、注射器本体12の上部18の内壁に形成された多段部34に係合するとき、注射器本体の下部20の穴に収容される薬剤又は他の物質にプランジャの基部40が接触するよう、上部ガイド部44に配置される。図6a及び図7aに示されるように、プランジャ14の上部ガイド部44の外面は、使用時に付加的な剛性及び/又は強度を与えるための複数の羽根50その他の支持手段を含む。上部ガイド部44は、注射器本体の上部18内にスライド可能に嵌合するための寸法及び大きさとされるべきである。使用時にユーザがプランジャを掴むための手段を提供するため、取っ手又は他の把持部52が、プランジャ14の上端に形成される。
【0036】
注射器10は、好ましくは、その供給端に一方向弁機構を含み、これにより、空気又は他の汚染物質が供給端を通じて注射器内の物質に進入するのが防止される。図1a、図2及び図7aを参照して、一方向弁は、注射器本体の供給端16に可撓性カバー54を取り付けることにより形成される。可撓性カバー54は、好ましくはエラストマー材料から作られる。可撓性カバー54の内面は、供給端16のフランジ28に被さって適合すると共に供給端の周りに延出する環状のU溝30内に一体的に適合するような形状とされる。可撓性カバー54は、供給端の中心軸又はバルブシート32に対ししまり嵌めをなす。可撓性カバー54は、注射器本体12の下部20の外面から、供給端16の中心軸32のほぼ先端まで延出する。
【0037】
図7a〜図7cに主に示されるように、中心軸の基部において、複数の円筒状開口56が供給端を貫通する。円筒状開口56は、注射器の下部20内の収容キャビティに連通すると共に、プランジャ14が注射器の下部20内に前進されたとき、下部20のキャビティ内の薬剤又他の物質が流通する通路を提供する。可撓性カバー54と中心軸32との間のしまり嵌めは、注射器内に収容される物質の一服用量が供給されるまで、円筒状開口56を密閉シールするための常閉弁を形成する。示されるように、バルブシート32と接触する可撓性カバー54の部分は、好ましくは、厚さがバルブシートの基部付近で大きくなり、バルブシートの末端付近でより小さくなるようなテーパ状とされ、これによりバルブの開放と、これを通じた物質の流動とが容易となる。さらに、バルブシート32、バルブカバー54、及びそれらの間に形成された環状のバルブ開口の各々の軸方向長さは、バルブ開口を通じて物質を供給するとき、バルブカバーの環状部分を常にバルブシートに接触させ続けるのに十分な長さを有する。見られるように、バルブカバー54はそれを通ずる孔を有する。バルブシート32は、孔の中に受け入れられ、バルブシートとバルブカバーとの境目に、常時閉とされる環状バルブ開口を形成する。バルブシートの直径(又は幅)は、カバーの孔の直径(又は幅)より大きく、これによりしまり嵌めと、それらの間の常閉のバルブ開口とを形成する。好ましくは、バルブカバー孔とバルブシートとの間のしまりの程度は、それらの間での物質の流れを容易にするため、ディスペンサの内部から外部に、バルブシートの軸方向に沿って減少する。
ここでの教示に基づき当業者に理解されるように、本発明のディスペンサの一方向弁は、ここで説明される弁の機能を達成するため、前述の同時係属の特許出願第60/403,484号に開示された全ての一方向弁の形態を含めて、現在知られており又は将来知られるであろう様々な形態を採ることができる。
【0038】
図7a,7b及び7cを再び参照して、注射器に収容される物質を供給するため、プランジャ14は、上部ガイド部のカム状部材48が注射器の上部の内壁に沿って1段34降りるまで、回転され押し下げられる。図7bに示されるように、プランジャアッセンブリが回転されると、プランジャの基部40は、注射器20の下部チャンバ内に移動する。基部40は、注射器の下部チャンバ内の物質に圧力を加え、これにより物質が、注射器の供給端の中心軸32の基部における円筒状開口56内に流入するようになる。加圧された物質は、可撓性バルブカバー54の内面に力を加え、可撓性カバー54を中心軸32から離れさせ、これによって、物質が、可撓性カバー54の内面と中心軸32との間を流れることを可能にする。プランジャが所定距離前進し、注射器に収容される物質の所望量を供給すると、物質に加えられた力は解放され、可撓性カバーはその常閉位置に戻る。このとき中心軸32は可撓性カバー54の内面と接触して密閉シールを形成する。図7cに示されるように、プランジャ14は、プランジャの先端40が注射器の下部20のチャンバ内を完全に通過移動し、これによって全ての収容物質をそこから供給するまで、段階的に注射器内に挿入されることができる。
【0039】
カム状部材48は、注射器の上部18の内面上の多段部34と協働し、プランジャの移動量を制限する。プランジャの基部が移動する距離はそれによって正確にコントロールされる。また、注射器に収容される薬剤又は他の物質の正確な量が供給されることができる。供給される薬剤の量は、段の高さと、下部チャンバ20の内径との関数である。これらの2つのパラメータを調節することによって、一つの段に沿ったプランジャの移動の結果としての物質供給量が、正確にコントロールされ、また、その物質供給量は、注射器の下部チャンバの内部断面積と、プランジャの直線移動距離との積に等しい。例えば、注射器の下部チャンバの内径が6mmで、プランジャの1段の移動が、注射器に収容される物質の100マイクロリットルの供給を生じさせることが望まれる場合、段の高さは約3.54mmに設定されるであろう。下部チャンバに収容される物質が有効成分(active ingredient)とキャリアとを含んでいる場合、供給される有効成分の量は、キャリア内における有効成分の濃度の関数であってもよい。ユーザに、所望量の物質を供給するのに必要な段数のプランジャの移動を教えることにより、より多量の供給を達成することができる。上述の例において、2段の移動は、200マイクロリットルの供給をもたらすであろう。
【0040】
注射器タイプのディスペンサの下部チャンバを密閉シールするためのストッパ
図8〜図10において、本発明を具現化する他の注射器タイプが、参照符号110によって全体的に示される。注射器110の要素の多くは、図1a〜7cに関連して既述された注射器10のそれと同様であり、したがって、数字「1」に続く同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。注射器10との比較において注射器110の主な違いは、注射器110が、プランジャ114の基部に可融性のストッパ160を含み、これによって注射器110の下部120内の穴を密閉すると共に、注射器に収容される薬剤又は他の物質への空気又は汚染物質の進入を防止する点にある。
【0041】
図8及び図9に示されるように、可融性ストッパ160は、プランジャ114の端部に形成され、弾性ベース162を含む。弾性ベース162は、硫化ゴムで作られるか又は、当業者に知られており、注射器内に収容される物質に接触又は暴露されるストッパの製造において使用可能な他の材料で作られる。可融性ストッパ160のベース162の下部164は、注射器本体112の下部120の内壁にスライド可能に且つ摩擦的に係合するよう形作られ寸法が定められた外周シール面166を区画する。可融性ストッパのベース162は、さらに、ベース162の下部164から延出する外周壁168を区画する。外周壁168は、シール面166の外径及び注射器本体の内径112より僅かに小さい外径を有し、プランジャの本体内での移動時に、可融性ストッパと注射器本体との間の摩擦を減少する。
【0042】
外周壁168の上端において、注射器本体112の下部120内に摩擦的に受け入れられるための寸法を有した環状の隆起部又は突起170が、プランジャアッセンブリ114をさらにシールすると共に、注射器に収容される薬剤又は他の物質への空気の接触を防止する。外周壁168の頂端において、くさび形の可撓性環状フラップ172が存在する。フラップ172は、可撓性を持ち、且つ注射器本体112の内面と接触して環状の一方向弁を形成するような形状及び寸法とされる。プランジャがその完全引込位置にあるとき、可撓性フラップ172の先端174が注射器本体112の内面と接触する。図9に示されるように、本発明の実施形態において、プランジャが図示される引込位置にあるとき、可撓性フラップ172のある領域での注射器本体112の内径は、可融性ストッパ160のベース164のある位置における注射器の内径よりわずかに大きくてもよい。プランジャが注射器本体112内へ前進されると、注射器本体112の本体の内径はわずかに減少し、その結果可撓性フラップ172を注射器本体にさらに接触させ、注射器の下部を空気の進入から封止する。
【0043】
図9及び図10に示されるように、注射器本体112の下部120の内壁は、注射器の軸周りに互いに間隔を隔てられた、複数の軸方向に延出する溝176が設けられる。溝176は、下部120の内壁に形成されると共に、完全引込位置にあるとき、可融性ストッパ160のベース162の下方から、環状突起170を越えて上方に、軸方向に延出する。後述されるように、溝176は、注射器に薬剤又は他の物質が充填されるとき、注射器内に含まれる空気の排出を可能にする。
【0044】
再封止可能な部材178が、外周壁168によって区画される、ベース160の上部空所179内に収容される。再封止可能な部材178は、ベース160の外周壁168に形成された上部空所179内に受け入れられ、プランジャの駆動部142の端部によって定位置に固定される。可融性ストッパの外周壁168の内面には、環状溝180が形成される。環状のフランジ181が、プランジャ114の駆動部142の端部に形成されると共に、外周壁168の内面の環状溝180を埋める大きさ及び形状とされる。従って、環状のフランジ181は、押し込まれるか、嵌め込まれるか、又は他の方法で環状溝180内に受け入れられ、可融性ストッパ160を駆動部142に固定する。第2の環状フランジ182は、第1の環状フランジ181に対し軸方向に離間され、ベース162及び再封止可能なストッパ160を捕獲し、駆動部142に保持する。共同に譲渡された2001年2月12日出願の米国特許出願第09/781,846号「加熱封止可能なキャップを有する薬用ガラス瓶、及びガラス瓶を満たすための装置及び方法」(この出願は本願の開示の一部として参照により本願に組み込まれる)に述べられているように、図8及び図9に示される本発明の実施形態において、駆動部142は、中空管の形態をなし、チャンバ120を満たすための注入針の挿入を許容すると共に、充填後の針穴の再封止を許容する。
【0045】
再封止可能な部材178は、好ましくは、例えば登録商標KRATONOでシェル石油社によって販売されている高分子材料の混合物などの弾性高分子材料、及び、商標ENGAGETM又はEXACTでダウケミカル社によって販売されているポリエチレンなどの低密度ポリエチレンで作られる。しかしながら、当業者に知られる他のいかなる適当な材料を使用してもよい。再封止可能な部材178の重要な特徴は、再封止可能な部材を通して針又は同様の注入部材を挿入した後、再封止可能な部材が再封止されて気密シールを形成する点にある。好ましくは、再封止可能な部材178は、例えば前述の同時係属中の特許出願に記載された方法のように、針によって明けられた領域を当業者に知られている方法で加熱することによりシールされることができる。
【0046】
注射器の下部120を所望の物質で満たすため、皮下注射針、ダブルルーメン針又は他のタイプの注入部材が、再封止可能な部材178と、可融性ストッパ160の弾性ベース162とを挿通され、これにより注射器の下部120内に所望の物質が供給される。薬剤が注射器の下部に注入されると、下部内の空気は物質によって置き換えられ、強制排除される。空気は、注射器本体112の内壁に形成された複数の溝176を通じて漏出する。外周壁168の頂部において、漏出空気の力は、一方向弁の可撓性フラップ172を注射器本体の内壁から離間させ、空気が注射器本体の外部に排出されることを可能にする。注射器が薬剤又は他の物質で満たされているとき、可撓性フラップ172は、注射器本体112に接するその通常位置に復元し、これによって密閉シールを形成し、空気が注射器内に進入してその中の薬剤又は他の物質と接触するのを防止する。プランジャが注射器の下部120に挿入されると、溝140は終了し、下部は、再封止可能なストッパ160の外周シール面166と環状突起170とによってさらにシールされる。
【0047】
注射器110が薬剤又は他の物質で満たされた後、再封止可能な部材178は、針又は他の注入部材によって形成された穴を融合すべく加熱される。本発明の現在好ましい実施形態において、注入前の再封止可能な部材の表面を殺菌し、注入後に残る穴をシールするため、レーザ(図示せず)又は他の放射線源が用いられる。好ましくは、注射器は、無菌注入機の中で、及び、上記参照によって組み込まれた同時係属中の特許出願で開示された方法に従って、満たされる。レーザは、可融性ストッパの中の再封止可能な部材に十分なエネルギが与えられるのを許容すると共に、注射器内の薬剤又は他の物質の加熱を防止する。当業者に現在知られており又は将来知られることになる、再封止可能な部材を加熱する他の方法が、注射器及び/又は他の要素に収容される物質の熱感度に応じて使用されてもよい。注射器が薬剤又は他の物質で満たされた後シールされるので、注射器は、空気の進入により腐敗することなく、及びそのような腐敗を防止するための保存剤を追加することなく、より長期間保存されることができる。
【0048】
本発明のある実施形態において、再封止可能なストッパの少なくとも一部は、針貫通部を区画する熱可塑性材料から形成される。針貫通部は、針によって貫通可能でそれを通じた針穴を形成すると共に、所定の波長及び強度のレーザ光線を与えることにより、針穴を密閉的にシールすべく加熱再封止可能である。本発明の変形例において、ストッパの全体が熱可塑性材料から形成される。上述されたような本発明の他の実施形態において、ストッパの積層部分(可融性の熱可塑性材料から形成されるとして)、及びストッパの基層部分は、硫化ゴムのような不溶解性(注入可能な;infusible)材料から形成される。好ましくは、それぞれの熱可塑性部分又は本体は、(i)その軸方向における所定の壁厚さ、(ii)所定波長のレーザ光線を実質的に吸収し、レーザ光線のその所定壁厚さの通過を実質的に防ぐ、所定の色及び不透明度、及び(iii)針貫通部を実質的に焼くことなく(即ち、材料の分子構造又は化学特性に不可逆変化を生じさせることなく)、所定の波長及び強度のレーザ光線で、針貫通部に形成された針穴を、所定時間内に密閉シールするような、所定の色及び不透明度、を有する
一実施形態において、所定時間は約2秒であり、好ましくは約1.5秒以下であり、最も好ましくは約1秒以下である。さらに、この実施形態において、レーザ光線の所定波長は約980nmであり、各レーザの所定強度は好ましくは約30ワット未満であり、最も好ましくは約10ワット以下、又は約8ワットから約10ワットの範囲内である。さらに、この実施形態おいて、材料の所定の色はグレーであり、所定の不透明度は、約0.3から約0.6までの重量%の範囲内の量で、ストッパ材料に加えられたダークグレー着色料によって定義される。
【0049】
さらに、熱可塑性材料は、第1材料と第2材料との混合物からなってもよい。第1材料は、好ましくは、例えば商標KRATONや商標DYNAFLEXで販売されている材料のような、スチレン系共重合体である。第2材料は、好ましくは、商標ENGAGEや商標EXACTで販売されている材料のような、オレフィンである。本発明の一実施形態において、第1材料と第2材料とは、重量比で約50:50から約95:5の範囲内で混合される(第1材料:第2材料)。そのような一つの典型例において、第1材料と第2材料との混合比は重量比で約50:50である。第1材料自体に関するこのような混合の利点は、防水防湿特性の向上ひいては製品陳列期間の向上;遮熱性の向上;摩擦係数の減少;成形性又は成形時の流れ速度の向上;及びヒステリシスロスの減少である。しかしながら、ここでの教示に基づき当業者によって理解されるように、これらの数及び材料は単なる例示で、もし特定のシステムにおいて望まれ、又は要求されれば、変更されることができる。
【0050】
プランジャの移動をコントロールするためのネジ付き注射器タイプディスペンサ
図11〜図17に、本発明を具現化する他の注射器タイプのディスペンサが、参照符号210によって全体的に示される。注射器210の要素の多くは、前述の注射器10及び110のそれと同様であり、したがって、数字「2」に続く、又は数字「1」の代わりの数字「2」に続く、同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。注射器10及び110との比較における注射器210の主な違いは、注射器210が、注射器内でのプランジャの移動をコントロールするための手段としての、ネジ付プランジャと、部分ネジ付上部注射器部分とを含む点である。
【0051】
図11〜図14に示されるように、注射器210は注射器本体212、注射器本体内に嵌合するプランジャ214、及び一方向弁を備えた供給端216を含む。図11及び図12に示されるように、注射器の本体212は上部218及び下部220を有する。上部218の外面は四角い形状とされ、これにより、注射器が容易につかまれ、後述されるように、プランジャを回転させるときの本体壁の側方移動が許容される。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されず、本体の上部の外面は任意の形状であってよい。注射器の下部220は概して円筒状である。図13及び図14に示されるように、上部218はテーパ部222によって下部220に接続される。上部218の外側端において、フランジ219又は他の把持手段のような、注射器をつかむための手段が設けられることができる。
【0052】
図11及び図15を参照して、注射器210の上部218の内壁は複数の部分ネジ221を含む。図15に示されるように、それぞれの部分ネジ221は、全体にネジが設けられた内側シリンダのネジ径を代表する円弧によってほぼ定義される。部分ネジ221は、互いに等間隔に離間され、それぞれの部分ネジ221は同じ内側及び外側のネジ径を有する。図11及び図15に示される好適実施形態において、それぞれの部分ネジは、全体にネジが設けられた内側シリンダの円周の約1/8を占める。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されず、それぞれの部分ネジは、ここでの教示に従い、全体にネジが設けられた内側シリンダの円周全体の任意の部分を占めることができる。さらに、後述するように、プランジャに螺合するための少なくとも二つの対向する部分ネジ部があれば、あらゆる数の部分ネジが用いられることができる。
【0053】
図11及び図15に示されるように、注射器の上部218の部分ネジ221の間に、複数のネジ無し部223が位置される。ネジ無し部223は、部分ネジ221の外側のネジ径より大きな直径(又は側方或いは半径方向の範囲)を有し、好ましくは、後述されるように、プランジャ214の最大ネジ径より大きな直径(又は側方或いは半径方向の範囲)を有する。図11及び図15に示される実施形態において、注射器210の上部218は、四角い形状を有し、部分ネジ221は、注射器の上部218の四つの内面のそれぞれの中央に位置され、ネジ無し部223は、概して四角形状の本体部分のコーナー部に位置される。ここでの教示に基づき当業者に理解されるように、注射器210の上部218の内面は、もし内面の部分ネジが所望の直径の円弧を区画するのであれば、いかなる形状を有していてもよい。
【0054】
図12〜図14を参照して、注射器本体212の下部220の内壁238は、滑らかな円筒状の穴を区画すると共に、下部220の軸方向長さに亘ってほぼ一定の内径を有する。注射器の下部220は、供給されるべき物質を収容するために使用されると共に、後述するプランジャの先端に摩擦係合する寸法とされる。下部220の内径は、好ましくは一定であり、これによって、プランジャ214の所定距離の移動に対し、特定量の薬剤又は他の物質が注射器から供給されることが保証される。
【0055】
注射器本体の下部の端部に、参照符号216によって全体的に示される供給端が設けられ、これによって、プランジャ214が下部に挿入されるとき、注射器の下部220に収容されている物質が注射器から流出することが可能になる。現在好ましい実施形態において、供給端216は、環状のU形溝230を区画するフランジ228を含む。供給端216は伸長された中心軸又はポスト232を含む。複数の円筒状開口256がそれぞれ注射器の下部220内のチャンバに連通し、注射器に収容される物質を供給するための通路を提供する。
【0056】
空気又は他の汚染物質が供給端を通じて注射器内の物質に入るのを防止するため、注射器は、好ましくは、注射器の供給端に一方向弁機構を含む。図12及び図13を参照して、一方向弁は、注射器本体の供給端216に可撓性カバー254を取り付けることにより形成される。可撓性カバーは、好ましくはエラストマー材料で作られる。可撓性カバーの内面は、供給端216のフランジ228に被さると共に供給端の周りに延出する環状U溝230内に一体的に嵌合するような形状とされる。可撓性カバー254は、供給端の中心軸232に対し締まり嵌めをなす。可撓性カバー254は、注射器本体212の下部220の外面から、供給端216の中心軸232のほぼ先端まで延出する。
【0057】
図13及び図14に最も良く示されるように、中心軸232の基部において、複数の円筒状開口256が供給端を貫通する。円筒状開口256は、注射器の下部220内の穴に連通すると共に、プランジャ214が注射器の下部220内へ前進されるとき、下部220内の穴の中の物質が流れる通路を提供する。可撓性カバー254と中心軸232との間の締まり嵌めは、常閉弁を形成し、注射器に収容される物質の服用量が供給されるまで円筒状開口256を密閉シールする。中心軸232と接触する可撓性カバー254の部分は、中心軸の基部付近で厚さが大きく、中心軸の先端付近に向かって厚さが徐々に小さくなるテーパ状とされてもよい。
【0058】
本発明の変形例において、一方向弁は省略されてもよい。中心軸232は、中心円筒状通路を設けられてもよい。この通路は、注射器の下部220内の穴に連通し、注射器に収容される物質を供給するための通路を提供する。本発明の他の実施形態において、当業者に知られる他の適当な供給端機構が注射器本体に固定して取り付けられることができる。例えば、商標LUER−LOKで販売されている従来の接続装置が、使い捨てニードルの取付けを可能にするため注射器の供給端に使用されることができる。他のニードル接続手段、例えばネジ具、エラストマー製プラグ、又は嵌合されるエンドキャップが、注射器の先端にニードルを取り付けるために同様に使用されることができる。注射器本体の下部が、選択されたニードル接続手段を取り付けるために、必要に応じて形作られ、又はネジを設けられることができる。注射器の供給端を密閉シールするためのキャップ又は他の手段(図示せず)が、注射器内の薬剤又は他の物質を供給すべくニードルが注射器に接続される時まで、使用されることができる。
【0059】
ここで図11及び図16を参照して、プランジャ214は、先端240、下部駆動部242及び上部ガイド部244を備える。先端240の前面246は、使用時に、注射器の下部220の穴の中の薬剤又は他の物質と接触する。先端240は、注射器本体の下部220の穴の中に摩擦的に嵌合するような形状及びサイズとされ、また、先端240が下部220に挿入されるとき、薬剤又は他の物質が先端240と注射器の下部220の内面との間から漏出しないような形状及びサイズとされる。先端240は、当業者に現在知られており又は将来知られることになる材料であって、注射器に収容される薬剤又は他の物質と反応しないあらゆる適当な材料から作られることができる。もし望まれれば、既に詳述した可融性ストッパのような可融性ストッパが、下部の穴を密閉シールするためプランジャに固定して取り付けられることができる。
【0060】
プランジャ214の駆動部242は、注射器本体の下部220内に摺動嵌合するような形状及び寸法とされる。駆動部242の外径は、好ましくは、注射器本体の下部220の内径より少なくとも僅かに小さく、これによりプランジャの注射器本体内での移動により生じる摩擦力が減少される。駆動部242は、プランジャがその完全挿入位置にあるとき注射器本体の下部220の穴に完全に挿入されるのに十分な長さを有するべきである。
【0061】
図11,図12及び図16を参照して、プランジャの上部ガイド部244はネジ部245を有し、ネジ部245のネジピッチは、注射器の上部218の内壁の部分ネジ221のピッチに適合するものとされる。図17に示されるように、注射器本体及びプランジャが成型可能なプラスチックで作られている本発明の好適実施形態において、ネジピッチPは約0.8mm、ネジ角度は約90°である。注射器本体及びプランジャが成型プラスチックで作られる場合、約90°のネジ角度は、成形部品の型からの取り外しを容易にする。
【0062】
図15に示されるように、上部ガイド構造のネジ245は変化するネジ径を有する。上部ガイド構造のネジは、概して8つのセクションに分割される。8つのセクションのうちの4つにおいて(参照符号247により全体が示される)、ネジは、注射器の上部218の内壁の部分ネジ221のネジ径及びピッチにほぼ等しく且つ適合するネジ径及びピッチを有する。これらの4つのセクションはそれぞれ、プランジャの上部ガイド部の外周の約1/8を占め、互いに等しく離間される。
【0063】
プランジャのネジの残り4つのセクションにおいて(参照符号249により全体が示される)、それぞれのネジのセクションは、ネジ径によって区画される二つの領域を有する。全体が参照符号251によって示される第1の領域において、プランジャネジは、徐々に増加するネジ径を有し、これは、注射器の上部218の部分ネジのネジ径と等しいネジ径から始まり、プランジャのネジ径が最初にその最大径に達する位置で終了する。第2の領域253において、プランジャネジは、注射器の上部218の部分ネジ221の直径より大きい一定の直径を有する。ネジ径が変化する4つのセクションの各々は、プランジャの上部ガイド部の外周の約1/8を占める。使用時にユーザがプランジャをつかむための手段を提供するため、取っ手又は他の把持部分252が、プランジャ214の上端に形成される。
【0064】
プランジャの上部ガイド部のネジ247,249は、注射器本体の上部218の内壁に形成された部分ネジ221と協働し、プランジャの注射器内への段階的な移動の量をコントロールするための手段を提供する。図13に示されるように、供給されるべき物質が注射器に満たされた後、プランジャは、プランジャの先端240が注射器本体の下部220内のチャンバに収容される薬剤又は他の物質と接触し、且つネジ247が、注射器の上部218における部分ネジ221と完全に係合するような位置に位置される。プランジャ214は、注射器本体の部分ネジ221が上部ガイド部244のネジ247の4つのセクションのみによって係合するような位置に位置される。この4つのセクションは、上部ガイド部における部分ネジ221のネジ径と等しいネジ径を有する。図15に示されるように、この位置において、プランジャの上部ガイド部244の最大径ネジ249は、部分ネジ221の間にある注射器本体の上部218のネジ無し部223に位置される。
【0065】
注射器から計量された量の物質を供給するため、図15に矢示されるように、プランジャ214は時計回りに回転され、プランジャの注射器本体内への移動を生じさせる。プランジャ214が回転されると、注射器の上部218の部分ネジ221が、次第に、プランジャ214の上部ガイド部244のより大径のネジ251,253に係合されていく。プランジャが時計回りに回転されるにつれプランジャ214のネジ径が次第に増加するので、注射器本体212の上部218が強制的に膨張され、プランジャに、これを回転させるような、徐々に増加する力が作用される。
【0066】
図11〜図17に示される実施形態において、プランジャ214が1/4回転の回転を終えると、プランジャの上部ガイド部244の最大径ネジ253が、注射器本体の上部218の部分ネジ221から外れ、プランジャの上部ガイド部244のより小径のネジ247が、注射器本体の部分ネジ221に完全に係合する。注射器本体の上部218は、その本来の大きさに急速に復元する。そしてプランジャは、プランジャのより大径のネジを注射器本体の部分ネジに係合させ且つこれを通過させるのに十分な力がプランジャに与えられるまで、定位置にロックされる。また、プランジャは反対方向(即ち反時計回り)には回転できない。なぜなら、それぞれの大径ネジ部253の後端縁が、本体の各ネジ部221の隣接端縁に係合し、そのような移動を妨げるからである。
【0067】
注射器本体の部分ネジのピッチと、プランジャにおける相手側ネジのピッチとをコントロールすることにより、プランジャの1/4回転毎に供給される薬剤又は他の物質の量が、正確にコントロールされることができる。例えば、好適実施形態において、注射器の下部チャンバ220は約6.18mmの内径を有し、ネジ部は約0.8mmのネジピッチを有する。プランジャの1/4回転は、プランジャに、注射器の下部から約6マイクロリットルの量を排出させる。従って、プランジャが1/4回転されると、注射器に収容される物質の約6マイクロリットルが供給端を通じて供給される。プランジャの1/4回転の数を増加することにより、より多量の物質が供給されることができる。即ち、例えば、1/2回転は12マイクロリットルを供給し、3/4回転は18マイクロリットルを供給し、1回転は24マイクロリットルを供給する。
【0068】
エラストマー製外側本体を備えた注射器タイプディスペンサ
図18〜図21において、本発明を具現化する他の注射器タイプのディスペンサが、参照符号310によって全体的に示される。注射器310の要素の多くは、前述の注射器10、110及び210のそれと同様であり、したがって、数字「3」に続く、又は数字「1」もしくは「2」の代わりの数字「3」に続く、同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。注射器10、110及び210との比較における注射器310の主な違いは、注射器310が、プランジャの移動をコントロールするための手段としての、ネジ付プランジャ及び、上部注射器部分におけるネジ要素を含む点と、注射器310がエラストマー製アウターカバーを含む点とである。
【0069】
図18〜図19に示されるように、注射器310は注射器本体312、注射器本体内に嵌合するプランジャ314、及び供給端316を含む。注射器本体312は、内側部分311と、内側部分311の外表面を包むエラストマー製アウターカバー315とを含む。内側部分311は、好ましくは成型プラスチックから作られる。注射器本体312の内側部分311は、上部318と下部320とを含み、上部は下部より大きな直径を有する。上部318は、テーパ部322によって下部320に接続される。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されず、上部及び下部は任意の形状及び寸法とされることができる。上部及び下部の直径が同じである場合、テーパ部は除去されてもよい。
【0070】
図20及び図21に示されるように、上部318の内壁及び下部320は、円筒状の穴を区画する。注射器の上部318は、注射器本体312のテーパ部322から注射器の頂部まで延出する、複数の、軸方向に伸長されたネジ要素317を含む。それぞれのネジ要素317は、概して、全体にネジが設けられた内側シリンダのネジ径を代表する円弧によって区画される。ネジ要素317の両側面は、上部318に、軸方向に伸長された複数の溝319を区画する。溝319は、テーパ部322から注射器の頂部まで同様に延出する。溝319の深さは、注射器本体312の全厚に及ぶものであってもよいし、注射器本体の部分厚さに及ぶものであってもよい。
【0071】
図18及び図19を再び参照して、注射器本体312の下部320の内壁338は、滑らかな円筒状の穴を区画すると共に、下部320の全長に亘ってほぼ一定の内径を有する。注射器の下部320は、後述するように、供給されるべき物質を収容するために用いられると共に、プランジャの基部と摩擦的に係合するような寸法とされる。下部320の内径は、好ましくは一定であり、これによって、プランジャ314の所定距離の移動に対し、特定量の薬剤又は他の物質が注射器から供給されることが保証される。
【0072】
注射器本体の下部の端部に、参照符号316によって全体的に示された供給端が設けられ、これによって、プランジャ314が下部に挿入されるとき、注射器の下部320に収容されている物質が注射器から流出することが可能になる。図18に示される好適実施形態において、供給端316は、環状のU形溝(図示せず)を区画するフランジ328を含む。このU形溝は、前述された注射器10のU形溝と同様である。供給端316は、伸長された中心軸又はポスト332を含む。
【0073】
空気又は他の汚染物質が供給端を通じて注射器内の物質に入るのを防止するため、注射器は、好ましくは、注射器の供給端に一方向弁機構を含む。一方向弁は、注射器本体の供給端316に可撓性カバー(図示せず)を取り付けることにより形成される。可撓性カバーは、好ましくはエラストマー材料で作られる。可撓性カバーの内面は、供給端316のフランジ328に被さり、且つ供給端の周りに延出する環状U溝内に一体的に嵌合するような形状とされる。可撓性カバーは、供給端の中心軸332に対し締まり嵌めをなす。可撓性カバーは、注射器本体312の下部320の外面から、供給端316の中心軸332のほぼ先端まで延出する。
【0074】
中心軸332の基部において、複数の円筒状開口356が供給端を貫通する。円筒状開口356は、注射器の下部320内の穴に連通すると共に、プランジャ314が注射器の下部320内へ前進されるとき、下部320内の穴の中の物質が流れる通路を提供する。可撓性カバーと中心軸332との間の締まり嵌めは、常閉弁を形成し、注射器に収容される物質の服用量が供給される時まで円筒状開口356を密閉シールする。中心軸332と接触する可撓性カバーの部分は、中心軸の基部付近で厚さが大きく、中心軸の先端付近に向かって厚さが徐々に小さくなるテーパ状とされてもよい。
【0075】
本発明の変形例において、一方向弁は省略されてもよい。中心軸332は、中心円筒状通路を設けられてもよい。この通路は、注射器の下部320内の穴に連通し、注射器に収容される物質を供給するための通路を提供する。本発明の他の実施形態において、当業者に現在知られており又は将来知られることになる他の適当な供給端機構が注射器本体に固定して取り付けられることができる。例えば、商標LUER−LOKで販売されている従来の接続装置が、使い捨てニードルの取付けを可能にするため注射器の供給端に使用されることができる。他のニードル接続手段、例えばネジ具、エラストマー製プラグ、又は嵌合されるエンドキャップが、注射器の先端にニードルを取り付けるために同様に使用されることができる。注射器本体の下部が、選択されたニードル接続手段を取り付けるために、必要に応じて形作られ、又はネジを設けられることができる。注射器の供給端を密閉シールするためのキャップ又は他の手段(図示せず)が、注射器内の薬剤又は他の物質を供給すべくニードルが注射器に接続される時まで、使用されることができる。
【0076】
エラストマー製アウターカバー315は可撓性材料からなる。この可撓性材料は、カバーの内壁に力を加えることにより膨張(拡張)可能であると共に、その力が除去されたときに実質的にその本来の形状に復元することができる。エラストマー製アウターカバーは、好ましくは、内側の注射器本体の周囲にエラストマー材料を一体成形することにより形成される。エラストマー製アウターカバーは、任意の厚さを有し、容易な使用を可能にする特徴、例えば、図18に示されるアウターカバーにおける把持用のくぼみ307など、を含むことができる。
【0077】
図18〜図20を参照して、プランジャ320は、基部340、下部駆動部342及び上部ガイド部344を備える。基部340の前面346は、使用時に、注射器の下部320の穴の中の薬剤又は他の物質と接触する。基部340は、注射器本体の下部320の穴の中に摩擦的に嵌合するような形状及びサイズとされ、また、基部340が下部320に挿入されるとき、薬剤又は他の物質が基部と注射器の下部320の内面との間から漏出しないような形状及びサイズとされる。基部340は、当業者に知られる材料であって、注射器に収容される薬剤又は他の物質と反応しないあらゆる適当な材料から作られることができる。もし望まれれば、図18に示されるように、既に詳述した可融性ストッパのような可融性ストッパが、下部の穴を密閉シールするためプランジャに固定して取り付けられることができる。
【0078】
プランジャ314の駆動部342は、注射器本体の下部320内に摺動嵌合するような形状及び寸法とされる。駆動部342の外径は、好ましくは、注射器本体の下部320の内径より少なくとも僅かに小さく、これによりプランジャの注射器本体内での移動により生じる摩擦力が減少される。駆動部342は、プランジャがその完全挿入位置にあるとき注射器本体の下部320の穴に完全に挿入されるのに十分な長さを有するべきである。
【0079】
図19に示されるように、プランジャ314の上部ガイド部344は複数のネジ部345を有し、ネジ部345のネジピッチは、注射器の上部318の内壁のネジ要素317のピッチに適合するものとされる。注射器本体及びプランジャが成型可能なプラスチックで作られている本発明の好適実施形態において、ネジピッチPは約0.8mm、ネジ角度は約90°である。注射器本体及びプランジャが成型プラスチックで作られる場合、約90°のネジ角度は、成形部品の型からの取り外しを容易にする。
【0080】
図20に示されるように、プランジャ314の上部ガイド部344のそれぞれのネジ部345は、変化するネジ径を有する。プランジャのそれぞれのネジ部は、第1の領域、第2の領域及び第3の領域を有する。第1の領域において、ネジ径は、ネジ要素317のネジ径とほぼ等しく且つネジ要素317のネジ径と適合する。第2の領域において、プランジャネジは、徐々に増加するネジ径を有する。第3の領域において、プランジャネジは、注射器の上部318のネジ要素317の直径より大きい一定のネジ径を有する。プランジャのネジの第2の領域と第3の領域とは、互いに、注射器の上部318のネジ要素317間の溝319によって占められる領域に等しい領域に亘りほぼ延出され、これにより、第2及び第3のネジ領域が溝内に受け入れられることが可能になる。図20に示されるように、このことは、プランジャ314の上部ガイド部344に、複数の歯状(爪状;tine−like)ネジ部材を用いることにより達成されることができる。歯状ネジ部材321は、注射器の上部318のネジ要素317間の溝319に係合するような寸法とされる。使用時にユーザがプランジャをつかむための手段を提供するため、取っ手又は他の把持部分352が、プランジャ314の上端に形成される。
【0081】
注射器から計量された量の物質を供給するため、プランジャ314は所定の回転方向、通常は時計回り、に回転され、プランジャの注射器本体内への移動を生じさせる。プランジャ314が回転されると、注射器の上部318のネジ要素317が、それぞれ次第に、プランジャ314の上部ガイド部344の第2及び第3ネジ領域のより大径のネジに係合されていく。プランジャが時計回りに回転されるにつれプランジャのネジ径が次第に増加するので、注射器の上部318及びエラストマー製アウターカバー311が膨張し、プランジャに、これを回転させるような、徐々に増加する力が作用される。上部ガイド構造344の大径ネジが、回転により上部318のネジ要素317を通過し、ネジ要素間の溝319に入り込むと、注射器の上部及びエラストマー製アウターカバーは急速にそれらの本来の直径に戻る。
【0082】
前述したように、プランジャの回転毎にプランジャアッセンブリが下部チャンバ内に所望の距離移動するよう、ネジピッチとネジ部間の距離とを設定することにより、供給される物質の量を正確にコントロールすることができる。1回量に対応したプランジャ回転の数を増加させることにより供給量を増加できる。
【0083】
供給端を通じた物質の漏れ残りを防止するための手段を備える注射器タイプディスペンサ
図22〜図30に、本発明を他の実施形態の注射器タイプのディスペンサが、参照符号410によって全体的に示される。注射器410は、図1〜図21を参照して説明されたそれぞれの注射器タイプのディスペンサと多くの点で同一又は類似であり、したがって、数字「4」に続く、又は数字「1」〜「3」に代わる数字「4」に続く、同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。
【0084】
注射器410は、これが供給端416に異なる一方向弁を含む点と、密閉チャンバ420内に収容される物質の供給端を通じた漏れ残りを防ぐための手段を含む点とで、前述の注射器と異なる。図22及び図23に示されるように、注射器本体412の供給端416は二つの流れ開口部456を有する。これら流れ開口部456は、供給端の径方向の互いに反対側に位置されると共に、供給端の軸に対してほぼ垂直に向けられる。バルブカバー454は、前述の弁と同様の方法で、供給端の中心ポスト432によって区画されるバルブシートと締まり嵌めをなす。さらに、前述の一方向弁同様、バルブカバー454は、その内部端から外部端まで、軸方向に徐々に減少する壁厚を有し、プランジャの移動時におけるバルブの開閉を容易にする。全ての他の要素が等しいとして、図22及び図23の一方向弁は、典型的に、図1〜図21に関連して前述された弁より高い開弁圧を必要とする。前に説明され図示されたバルブ、例えば図13及び図14に図示されたバルブにおいて、流れ開口部256は、供給端のほぼ軸方向に延出し、それゆえ物質が供給端から軸方向に流出する。他方、図22及び図23の側方に延出する流れ開口部456は、物質が約90°曲がって流通することを要求し、よって、物質にバルブを通過させるのに、より高い開弁圧(全ての他の要素が等しいとして)を要求する。
【0085】
注射器410は、さらに、プランジャの注射器本体内での段階的移動を行わせ、所定量の物質を注射器本体のチャンバから供給するための手段を含む。図示される実施形態において、段階的移動を実行させるための手段は、注射器本体の上部418の内壁に形成された複数の独立ネジ部(discrete thread portions)421と、プランジャの上部ガイド部444に形成された複数の対応するネジ部とを含む。後に詳述されるように、また前述の本発明の実施形態と同様のやり方で、注射器本体の独立ネジ部とプランジャとは、「クリックアクション」タイプの作動機構を提供すべく協働する。これは、プランジャの注射器本体内での増加的(incremental)又は段階的移動を可能とし、さらにプランジャの移動時に、各増加的又は段階的移動を通じて、「クリック」(これはユーザに音及び/又は感覚によって認識されるかもしれない)を好適に提供可能とする。さらに、本発明のこの実施形態によれば、独立ネジ部はさらに、プランジャのそれぞれ別個の増加的又は段階的移動の終了時において、チャンバ420内に収容される物質が、供給端416の一方向弁を通過して漏れ残るのを防ぐための手段を提供する。
【0086】
図24に典型的に示されるように、注射器本体412の上部ガイド部418は、注射器本体の軸周りに約90°間隔で互いに等しく離間された四つの独立ネジ部421を区画する。見られるように、それぞれのネジ部421は、上部ガイド部418のほぼ全ての軸方向範囲に沿って延出する。ネジ部421は、図11に関して前述されたネジ部221と実質的に同じである。したがって、それぞれのネジ部421は、他のネジ部421と同じネジ径及びピッチを区画する。さらに、上部ガイド部418のコーナー423は、隣接したネジ部421の間に位置する側方に延出する空所を区画する。
【0087】
図25に典型的に示されるように、プランジャ414の上部ガイド部444は、上部ガイド部の径方向の互いに反対側に位置された複数対の第1の独立ネジ部484,484と、上部ガイド部の径方向の互いに反対側に位置され、第1の独立ネジ部484,484から角度的に離間された複数対の第2の独立ネジ部486,486と、複数の第3の独立ネジ部488,488とを有する。これにおいて、径方向反対側に位置された第3のネジ部488,488の各対は、径方向反対側に位置された第1のネジ部484,484の各対と、径方向反対側に位置された第2のネジ部486,486の各対との間に位置される。図25に典型的に示されるように、プランジャの上部ガイド部444のネジのそれぞれの360°部分は、図25の矢印から離れて時計回りに移動するとき、第1のネジ部484、第3のネジ部488、第2のネジ部486、第3のネジ部488、第1のネジ部484、第3のネジ部488、第2のネジ部486、及び第3のネジ部488を区画する。
【0088】
図25に典型的に示されるように、注射器本体の上部ガイド部418のそれぞれの独立ネジ部421は外径「D1」を有し、それぞれの第2のネジ部486はほぼ同じネジ径「D1」を有する。それぞれの第3のネジ部488は、注射器本体ネジ421の第1のネジ径D1より小さい第2のネジ径D2を有する。それぞれの第1のネジ部484は変化するネジ径を有し、これは、それぞれの第1のネジ部484の前端縁490における第3のネジ径D3から、それぞれの第1のネジ部484の後端縁492における第4のネジ径D4まで、徐々に増加する。それぞれの第1のネジ部484の前端縁における第3のネジ径D3は、注射器本体ネジ421の第1のネジ径D1より僅かに大きく、第4のネジ径は、第1及び第3のネジ径D1及びD3より大きい。本発明の図示された実施形態において、第1のネジ径D1は約10mm、第2のネジ径D2は約9.8mm、第3のネジ径は約10.3mm、第4のネジ径は約10.6mmである。ここでの教示に基づき当業者により理解されるように、これらの寸法は単なる例示で、ディスペンサその他の他の寸法に応じて、又は、本発明のある特定用途に望まれるように、変更されることができる。
【0089】
図25に典型的に示されるように、それぞれの第1のネジ部484の前端縁490は、それぞれの第1及び第3のネジ部484及び488の間にそれぞれ延出する約45°の面取りを有する。これにより、プランジャの第1のネジ部484の、注射器本体の対応ネジ部421へのスライド係合が容易になる。同様に、プランジャのそれぞれの第2のネジ部486の前端縁494は、それぞれの第2及び第3のネジ部486及び488の間にそれぞれ延出する約45°の面取りを有する。これにより、プランジャの第2のネジ部486の、注射器本体の対応ネジ部421へのスライド係合が容易になる。ここでの教示に基づき当業者により理解されるように、ここに記述されたネジ部の前端縁の角度及び/又は形状は、単なる例示で、ディスペンサの作動を容易にするための特定のディスペンサその他の要求に従い、望まれるように変更されることができる。
【0090】
図25〜図27を参照して、チャンバ420から供給端416を通じて、密閉シールされた物質を供給するため、プランジャが時計回りに回転される。経時的変化を示す図25〜図27に示されるように、プランジャの時計回りの1/4回転(又は約90°)の回転は、第1のネジ部484の、注射器本体ネジ421へのスライド係合を生じさせ、続いて、図26に破線で例示されるように、注射器本体の各側壁を側方外側に膨張させるより具体的には、それぞれの第1のネジ部の前端縁490が注射器本体の対応ネジ部421に螺合するにつれ、注射器本体の側壁の各部分が外側に湾曲され、プランジャの第1のネジ部484の前端縁径D3に局所的に適合する。プランジャがさらに時計回りに回転されると、第1のネジ部484の徐々に増大する直径によって(即ち、注射器本体に係合する第1のネジ部表面がD3からD4に直径を増大させるので)、注射器本体の側壁がさらに外側に湾曲される。その後、図27に典型的に示されるように、時計回りの1/4回転を終えた時、プランジャのそれぞれの第1のネジ部484の後端縁492が、注射器本体のそれぞれのネジ部421を通過し、プランジャの小径(D2)ネジ部488のみが、注射器本体のネジ部421に接触して位置される。プランジャの第1のネジ部484が注射器本体のネジ部421を通過した時、注射器本体の互いに反対側に位置する側壁が、急激に元に或いは側方内側に戻る(snap back)。これにより、ユーザのためのクリック動作感を発生し、ユーザに、プランジャが1/4回転を終え所定量の物質が供給端から供給されたことをユーザに知らせる。図27に典型的に示されるように、それぞれの第1のネジ部484の後端縁と、隣接する第3のネジ部488の前端縁との間の直径の相違は、プランジャの反対方向(又は反時計回り)の移動を防止する停止面496を形成する。理解されるように、プランジャの反時計回りの移動は、プランジャの停止面496を、注射器本体のネジ部421の隣接する側壁に係合させ、これにより、プランジャのさらなる反対方向(又は反時計回り)の移動を防止する。
【0091】
図27及び図28を参照して、プランジャが静止位置にあるとき(即ち、プランジャの第3のネジ部488が注射器本体のネジ421に係合し、プランジャの第1及び第2のネジ部484及び486がそれぞれ注射器本体の空所423内に位置されるとき)、プランジャは、制限された軸方向の移動を許容され、これにより、注射器本体の密閉シールされたチャンバ420(図23)内の残留圧力が低減され、このような残留圧力が、供給端を通ずる物質の漏れ残りを実質的に防止する。図28に典型的に示されるように、プランジャの第3のネジ部488の直径(D2)が、注射器本体のネジ421の直径(D1)より小さいので、プランジャは距離「X」だけ軸方向に移動できる。従って、もし仮に、計量された量の物質を供給端を通じて供給した後に密閉シールされたチャンバ420内に残留圧力が存在する場合、あるいは、そのような圧力が例えば環境状態の変化に基づく熱膨張その他のために増大した場合、プランジャは、そのような圧力を低減するため、距離「X」だけ軸方向内側に(即ち、供給端から離れて)移動できる。その結果、そのような残留圧力が、供給端を通じて物質を排出させることが実質的に防止され、よって供給端の表面に、汚れた又は望ましくない残留物を生成することが実質的に防止される。
【0092】
本発明の図示された実施形態において、距離「X」は約0.2mmである。さらに、プランジャ及び注射器本体のネジは約90°のネジである。しかしながら、ここでの教示に基づき当業者に理解されるように、これらの寸法及びネジ角度は単なる例示で、本発明の注射器その他のディスペンサの適用及び/又は他の要求に応じて、望まれるように、変更されることができる。
【0093】
図22及び図23に典型的に示されるように、注射器410は、好ましくは、未使用時に供給端416を保護するためのカバー496を含む。図示される実施形態において、カバーは注射器本体の下部に被さって軸方向に延出する。図22及び図23に典型的に示されるように、注射器本体412の下部は、カバーを注射器本体に着脱可能に固定するのを容易にするため、環状リブ498又は他の構造的特徴を含んでもよい。
【0094】
隠蔽され、移動可能なプランジャを備えた注射器タイプディスペンサ
図31及び図32において、本発明を具現化する他の注射器タイプのディスペンサが、参照符号510によって全体的に示される。注射器タイプのディスペンサ510は、図1〜図30を参照して説明されたそれぞれの注射器タイプのディスペンサと多くの点で同一又は類似であり、したがって、数字「5」に続く、又は数字「1」〜「4」に代わる数字「5」に続く、同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。
【0095】
注射器タイプのディスペンサ510は、プランジャ514が注射器本体512内に完全に隠蔽され、注射器が、注射器本体内でプランジャを駆動するための機構511をさらに含む点で、図1〜図30に関連して説明された注射器タイプのディスペンサと異なる。プランジャ514の基端又は内端は、軸方向の穴513と環状フランジ517とを有する。穴513は、これに形成された第1又は内側の組のネジ515を含む。環状フランジ517は、これに形成され、径方向反対側に位置され、軸方向に延出する二つの溝519を有する。注射器本体512は、その内壁に形成され、径方向反対側に位置され、軸方向に延出する一対のリブ521を有する。これらリブ521は、プランジャのフランジ517の外周に形成された溝519にスライド可能に受け入れられる。駆動ホイール523は、注射器本体512の開放端に回転可能に取り付けられると共に、軸方向に延出する駆動軸525を含む。駆動軸525は、その外周面に形成された第2の組のネジ527を有する。図31及び図32に示されるように、駆動軸525の第2の組のネジ527は、プランジャの基部に形成された第1の組のネジ515に螺合し、駆動ホイール523の回転時にプランジャを軸方向に移動させる。駆動ホイール523はさらに、環状の、露出された把持面529を含む。把持面529は、注射器本体の基端位置に形成され、ユーザにより把持され回転される。把持面529の回転時、駆動軸527はプランジャ514を回転駆動し、さらにプランジャ先端560に、密閉チャンバ520内を通過移動させ、物質をチャンバから供給端を通じて供給させる。
【0096】
ここでの教示に基づき当業者に理解されるように、注射器本体512は、前述の注射器本体412と同じ形をとってもよい。また、プランジャの段階的又は増加的移動を実行するためのクリックアクションタイプの作動機構を形成するため、及び/又は、密閉シールされたチャンバ内の圧力が物質を供給端を通じて漏れ残らせるのを防ぐため、前記同様の方法で、ネジが注射器本体及びプランジャに形成されてもよい。
【0097】
図33及び図34において、本発明を具現化する他の注射器タイプのディスペンサが、参照符号610によって全体的に示される。注射器タイプのディスペンサ610は、図1〜図32を参照して説明されたそれぞれの注射器タイプのディスペンサと多くの点で同一又は類似であり、したがって、数字「6」に続く、又は数字「1」〜「5」に代わる数字「6」に続く、同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。
【0098】
注射器タイプのディスペンサ610は、プランジャ614が注射器本体612内に完全に隠蔽され、注射器が、注射器本体内でプランジャを駆動するための機構611をさらに含む点で、図1〜図30に関連して説明された注射器タイプのディスペンサと異なる。プランジャ614の基端又は内端は、環状フランジ617と、径方向反対側に位置された一対の溝穴(slot)619とを有する。環状フランジ617は、これに形成された第1の組のネジ627を含む。溝穴619は、プランジャシャフトに隣接する基端を通して形成される。注射器本体612は、注射器本体の内壁に沿って軸方向に延出する第2の組のネジ615を有する。このネジ615は、プランジャの対応するネジ627に螺合するためのものである。駆動ホイール623は、注射器本体612の開放端に回転可能に取り付けられると共に、互いに径方向反対側に位置され軸方向に延出する一対の駆動ポスト621を含む。図33及び図34に示されるように、プランジャの第2の組のネジ627は、注射器本体に形成された第1の組のネジ615に螺合し、駆動ホイール623の回転時にプランジャを軸方向に移動させる。さらに、ポスト621は、プランジャの溝穴619にスライド可能に受け入れられ、駆動ホイール623の回転時に、プランジャの回転ひいては軸方向の移動を生じさせる。駆動ホイール623は、環状の、露出された把持面629をさらに含む。把持面629は、注射器本体の基部の位置に形成され、ユーザによって把持され、回転される。把持面629の回転時、軸方向に延出するポスト621はプランジャ614を回転可能に駆動し、さらにプランジャ先端660に、密閉チャンバ620内を通過移動させ、物質をチャンバから供給端を通じて供給させる。
【0099】
図38〜図40に移って、図33及び図34において、本発明を具現化する他の注射器タイプのディスペンサが、参照符号610’によって全体的に示される。ディスペンサ610’は、図33及び図34に関連して説明された注射器610と多くの点で同じであり、したがって、ダッシュ「’」を含む同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。ディスペンサ610との比較におけるディスペンサ610’の主な違いは、ディスペンサ610’が、前記注射器本体412と同じ形状を有する注射器本体612’を含むと共に、注射器本体のネジ615’とプランジャ614’のネジ627’とが、前記と同じ方法で形成される点である。これにより、プランジャの段階的又は増加的移動を実行するためのクリックアクションタイプの作動機構が形成されると共に、密閉シールされたチャンバ内の圧力が、供給端を通じて物質を漏れ残らせることが防止される。
【0100】
化粧品用の特殊形状の供給端を有する注射器タイプディスペンサ
図35及び図36において、本発明を具現化する他の注射器タイプのディスペンサが、参照符号710によって全体的に示される。注射器タイプのディスペンサ710は、図1〜図34を参照して説明されたそれぞれの注射器タイプのディスペンサと多くの点で同一又は類似であり、したがって、数字「7」に続く、又は数字「1」〜「6」に代わる数字「7」に続く、同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。
【0101】
見られるように、注射器タイプディスペンサ710の供給端716は、ユーザの唇又は他の表面の輪郭に倣って接触する形状とされた、ほぼくぼんだ供給面717を有する。図示される実施形態において、供給端716は、密閉されたチャンバ720内に収容される物質を流通させるための一つの開口756を有する。しかしながら、ここでの教示に基づき当業者に理解されるように、供給端は、特定用途の要求又はニーズに応じたあらゆる形状の、いかなる数のそのような開口をも含むことができる。バルブカバー754は、前記実施形態に関連して説明された、あらゆるタイプの可撓性高分子材料から作られることができる。例えば、バルブカバー754は、商標KRATON 20Aで販売されている比較的弾性のある高分子材料で成型されることができる。また、バルブシート732は、商標KRATON 65Aで販売されている比較的硬質の高分子材料で成型されることができる。しかしながら、これらの材料は単なる例示で、ここで説明されるようなバルブカバー及びバルブシートの機能を達成するため、現在知られており又は将来知られることになるあらゆる材料であってよい。
【0102】
図示しないが、注射器タイプのディスペンサ710は、好ましくは、前記実施形態のいずれかに関連して説明されたようなプランジャと注射器本体とを含み、さらに好ましくは、プランジャの段階的又は増加的移動を実行するため、及び/又は、密閉シールされたチャンバ内の圧力が供給端を通じて物質を漏れ残らせるのを防止するため、クリックアクションタイプの作動機構を含む。
【0103】
図37において、本発明を具現化する他の注射器タイプのディスペンサが、参照符号810によって全体的に示される。注射器タイプのディスペンサ810は、図1〜図36を参照して説明されたそれぞれの注射器タイプのディスペンサと多くの点で同一又は類似であり、したがって、数字「8」に続く、又は数字「1」〜「7」に代わる数字「8」に続く、同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。
【0104】
前記注射器タイプディスペンサ710との比較における注射器タイプディスペンサ810の主な違いは、注射器タイプディスペンサ810が、実質的にフラスト円錐(frusto−conical)形状とされた供給面817を含む点である。供給面817は、まるい供給端に向かって内側に先細になる。この種の特殊形状の先端は、例えばリップグロス、アイカラー、コンシーラー(concealer)又はカバーアップ(cover−up)、マッティファイングメーキャップ(mattifying make−up)、アイシャドー、アイグレイズ(eye glaze)、ラインミニマイジングメーキャップ(line minimizing make−up)、又は他のメーキャップ又は化粧品等の化粧品の適用に特に適している。
【0105】
図35〜図37の注射器タイプのディスペンサの一つの利点は、例えば口紅、リップグロス、アイカラークリーム又は液、並びに例えばしわ、にきび等を覆うためのカバーアップ及びコンシーラー等の提供という、化粧品の適用に特に適しているということである。輪郭付けられた供給端は、例えばユーザの唇、まぶた、又は他の顔の表面のような皮膚に倣って接触すると共に、計量された量の化粧用物質を関係部位又は部所に快適に塗布する供給面を提供する。さらに、弾性バルブカバーによって形成された倣い面は、ユーザの皮膚に快適に接触し、もし望まれれば、ユーザの指の柔らかさに実質的に一致又は匹敵する材料から作られることができ、これにより、化粧用物質を皮膚に快適に塗布できる。
【0106】
そして、本発明の注射器タイプのディスペンサの他の利点は、それらが、化粧品又は他の物質を、注射器本体の密閉チャンバ内に、シールされた気密状態で保持することである。これにより、ディスペンサが、あらゆる所望期間に亘り複数回分の量を保持及び供給することが可能になり、他方、そのような実際上無制限の使用期間中、物質を、密閉された無菌状態に連続的に維持できる。
【0107】
また、本発明の注射器タイプのディスペンサの他の利点は、それらが正確に計量された量の物質を供給する点であり、さらに、前述の漏れ防止の特徴を含むことができる点である。これにより、同一のディスペンサの多数回の実施又は使用の後ですら、供給端上における汚物又は他の望まれない残余物質の回収を防止できる。
【0108】
ここでの教示に基づき当業者に理解されるように、本発明の前述の及び他の実施形態に対する様々な変更又は修正が、添付された特許請求の範囲に定義された本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、なされ得る。例えば、本発明のディスペンサは、この種のディスペンサにとって現在知られており、又は将来利用可能となる、様々な材料によって作られることができる。同様に、本発明のディスペンサは、様々な形状及び/又は形態をとることができ、それは特定用途のために望まれ、又は必要とされるものであろう。プランジャ及びハウジングの相対運動をコントロールするための手段は、同様に、増加的及び/又は段階的移動を達成して計量された量の物質を提供するため、現在知られており又は将来開発される様々な形態を採ることができる。同様に、例えば物質収容チャンバ内の内部圧力を取り除くことにより、ディスペンサからの物質の漏れ残りを防止するための構造は、この機能を実行するための、現在知られており又は将来開発される様々な形態を採ることができる。同様に、計量された量の物質の供給をユーザに知らせるための「クリックアクション」を作り出すための構造は、この機能を実行するための、現在知られており又は将来開発される様々な構造又は形態を採ることができる。さらに、本発明のディスペンサの一方向弁及び/又は供給端は、様々な形状及び/又は形態を採ることができる。例えば、前述されたように、供給端は、例えば、人体の皮膚への物質の塗布を容易にするため、様々な形状を有することができる。従って、ここでの好適実施形態の詳細な説明は、限定的というよりむしろ例示的な意味に解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0109】
10,110,210,310,410,510,610,610’、710,810 ディスペンサ
12,112,212,512,612’ 本体
14,114,214,314,514,614 プランジャ
16,216,416 供給端
20,120,320 下部
32,732 バルブシート
34 段
40,240,340 基部
42,142,342 駆動部
48 カム状部材
54,454,754 バルブカバー
160 弾性ストッパ
168 外周壁
221 部分ネジ
223 ネジ無し部
245,345 ネジ部
315 アウターカバー
317 ネジ要素
319 溝
332,432 中心軸
420,720 チャンバ
421 独立ネジ部
484 第1の独立ネジ部
486 第2の独立ネジ部
488 第3の独立ネジ部
523 駆動ホイール
615’ ネジ
619 溝穴
627’ ネジ
X 距離
【関連出願の相互参照】
【0001】
この特許出願は、2002年8月13日出願の米国仮特許出願第60/403,484号「物質量の物質を供給するための、密閉チャンバ及び一方向弁による供給」、2001年10月16日出願の米国仮特許出願第60/329,779号「計量された量の物質を供給するための注射器」、及び2002年8月13日出願の米国仮特許出願第60/403,396号「無菌物質を収容及び供給するための容器並びにそれを製造及び満たす方法」に関連し、これらの各々は参照によりここでの開示の一部として本願に明白に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、コントロール(制御)され計量された量の、薬剤、医薬、化粧品及び食品等の様々な多種の物質のいずれをも人間又は動物に供給(又は分配若しくは施与;dispense)するための、または接着剤等の空気に曝されることで反応する材料を供給するための、注射器及びそのようなディスペンサに関する。本発明のディスペンサは、ディスペンサ内に収容される物質の正確な量を供給するため、ディスペンサ内のプランジャの移動量をコントロールするための手段を含む。本発明のディスペンサはさらに、ディスペンサの内部室とプランジャとの境目を密閉的にシールするため、プランジャに接続された又はプランジャを形成する、可融性の又は他のストッパを含んでもよい。これによりプランジャを通じた空気や汚染物質の浸入を防止する。本発明のディスペンサは、さらに、供給端(dispensing tip)を密閉的にシールし、供給端を通じた空気や汚染物質の、ディスペンサ内に収容される薬剤又は他の物質への進入を同様に防止するため、供給端を形成する一方向弁(one−way valve)を含んでもよい。ディスペンサ内に収容される物質への空気又は汚染物質の進入を防ぐことによって、物質における防腐剤の使用を縮小又は除去することができる。
【背景技術】
【0003】
過剰投薬を防止するにはコントロールされた量の薬剤を供給するのが望ましい。過剰投薬は、薬剤がクリーム又は液状であるとき特に生じる可能性がある。例えば、幼児又は子供に与えられる薬剤の服用量を注意深くコントロールすることが極めて望ましいが、計量カップのような従来の計測装置を使用して適切な服用量を測定するのは困難であり得る。例えば、皮膚にきびを抑制するため顔に塗布されるクリームのように、薬剤がクリーム又は軟膏状である場合、薬剤は、正確な服用量の薬剤を供給しないチューブ又は他の容器に入っていることが多い。クリームの超過量の塗布は皮膚炎症及び乾燥を生じさせることがある。また、指を使用するクリームの適用は薬剤の汚染を生じさせることがある。
【0004】
例えば防腐性ベータダイン(Betadyne(商標))等のいくつかの薬剤に関し、皮膚上の正確な位置へのコントロールされた服用量の供給は、皮膚又は衣類の過度のしみを回避するのに望ましい。例えば胃腸炎用ワクチン等の、あるワクチンに関し、多数の正確な服用量のワクチンを供給できる密閉的にシールされたディスペンサは、ワクチンとディスペンサとの両方の消費を減少できる。
【0005】
コントロールされた量の薬剤が供給されることを可能にするいくつかの装置が従来説明されている。これらの装置は製造、組立て、及び薬剤充填を行うのに複雑であるかもしれない。その結果、これらの装置は、製造するのに高価であるかもしれず、また、カウンタ越し(over the counter;OTC)薬剤にとって有用でないかもしれない。この種の装置の他の欠点は、保存中、又は薬剤が供給される時、空気が装置内に入る可能性があるということである。薬剤の保存又は供給時に装置に入った空気は、薬剤の劣化や、薬剤の効能の減少や、薬剤の腐敗を引き起こす可能性があり、これにより薬剤の廃棄が必要となることがある。
【0006】
いくつかの薬剤に関し、防腐剤(保存料)が、空気又は他の汚染物質の進入による使用前の薬剤の劣化又は腐敗を防ぐために付加される。しかしながら、防腐剤が薬剤と反応し、その効能を減少する可能性がある。さらに、一部のユーザが、薬剤中の防腐剤に対し望ましくない副作用を起こす可能性がある。
【0007】
エアゾール状に薬剤を供給するための、或いは目に供給するための一方向スプレーが、ダニエル・ピィ博士に与えられた1994年6月14日発行の米国特許第5,320,845号と、ダニエル・ピィ博士に与えられた1997年3月25日発行の米国特許第5,613,957号と、ダニエル・ピィ博士に与えられた1998年5月5日発行の米国特許第5,746,728号と、ダニエル・ピィ博士に与えられた1999年1月5日発行の米国特許第5,855,322号と、ダニエル・ピィ博士に与えられた2000年4月25日発行の米国特許第6,053,433号との各公報において説明され、これらの各々は、ここでの開示の一部として参照により本願に組込まれる。
【0008】
クリーム又は液体メーキャップ等の化粧品もまた、空気に曝されることによって劣化し、損なわれる可能性がある。従って、ディスペンサ内に収容される薬剤、化粧品又は他の物質への空気又は他の汚染物質の進入を防止できるディスペンサを提供することが望ましく、また、それから供給される物質の量の改善されたコントロールを提供することが望ましい。コントロールされた量の、空気に敏感な他の物質(例えば接着剤)を供給するのに用いることができると共に、後の使用のための物質の未使用部分を保存できる、密閉的にシールされたディスペンサを提供するのが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,320,845号公報
【特許文献2】米国特許第5,613,957号公報
【特許文献3】米国特許第5,746,728号公報
【特許文献4】米国特許第5,855,322号公報
【特許文献5】米国特許第6,053,433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、計量された量の、ディスペンサ内に収容される物質を供給するための手段を備えたディスペンサを提供することが、本発明の目的に含まれる。
【0011】
本発明の他の目的は、供給端に一方向弁を備え、その供給端を通じて物質が流れることを許容する一方、供給端を通じて空気又は他の汚染物質が物質に入るのを防止する注射器又はそのようなディスペンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、調整された量の、薬剤、医薬品、化粧品、食品又は接着剤等の様々な多種の物質のいずれをも供給するのに用いられることができる、注射器及びそのようなディスペンサに関する。物質を収容するディスペンサの一部は、好ましくは密閉的にシールされ、その物質への空気又は他の汚染物質の進入を防ぐ。ディスペンサは、本体と、本体内に受容されたプランジャとを含む。ディスペンサの本体は、その下部に収容チャンバを有し、そこに薬剤又は他の物質が収容される。チャンバの一端に供給端が設けられ、薬剤又は他の物質がそれを通って塗布又は供給される。
【0013】
プランジャが、本体に挿入されると共に本体内で移動され、これにより薬剤又は他の物質が供給端から押し出される。本発明の現在好ましい実施形態において、プランジャは、(1)収容チャンバ内に収容される薬剤又は他の物質と接触する基部(base)又は先端(tip)と、(2)基部に取り付けられ、本体の下部の空間(cavity)内に移動する駆動部分と、(3)注射器のプランジャの移動を案内する上部ガイド部と、(4)ユーザによってつかむことができる、プランジャに接続されたノブ又は同様の把持部とを含む。
【0014】
ディスペンサは、好ましくは、収容チャンバに収容された物質の所定量を供給するため、プランジャの移動量をコントロールするための手段を含む。本発明の一実施形態において、プランジャの移動量をコントロールするための手段は、プランジャの上部ガイド部におけるカム状部材を含み、カム状部材は、本体の上部の内壁に形成された多段部に係合し、これと協働する。プランジャが回転されると、カム状部材は多段部に沿って移動し、プランジャによる本体内への段階的移動(step−wise movement)を行わせる。この段階的移動により、本体に収容された物質が、供給端を通じて、プランジャの各段階的移動又は単位量の移動毎に、正確な所定量だけ供給されるようになる。
【0015】
本発明の他の実施形態において、プランジャの移動量をコントロールするための手段は、プランジャの上部ガイド部に形成されたネジを含み、ネジは、本体の上部の内壁に形成された部分ネジに係合する。プランジャの上部ガイド部のネジは、ネジ径が徐々に増大するような複数の領域を有する。ネジ径の増大は、本体上部の内壁の部分ネジの径に相当する直径から開始し、部分ネジの径より大きな直径で終了する。プランジャの最大径ネジは、部分ネジの間の本体の直径より小さな直径を有する。
【0016】
プランジャが回転されると、プランジャのより大きな直径のネジが、次第に、本体の上部内壁の部分ネジに係合されていく。これは本体の上部をわずかに膨張させる。プランジャの最大径ネジが本体の部分ネジから外れて部分ネジの間の領域に入ると、本体は急速にその本来の直径に戻る。より大きな直径のネジが部分ネジの間の領域に位置するとき、プランジャアッセンブリは定位置にロックされ、このロック状態は、プランジャアッセンブリに十分な力が加えられてより大きな直径のネジが本体の内壁の部分ネジに係合する時まで継続する。望まれるようなネジピッチの設定によって、ネジ部を通過するプランジャの回転毎の移動距離が正確にコントロールされることができる。これにより、プランジャの各回転増加毎に所定量の物質供給を行える。
【0017】
本発明の他の実施形態において、本体は、エラストマー製アウターカバーに入れられた内側本体を備える。本体の上部は複数のネジ要素を備える。ネジ要素は、ネジ要素間に位置され軸方向に伸長された複数の溝を本体の上部チャンバに区画する。プランジャの上部ガイド部は、複数の部分ネジ部を含む。プランジャの上部ガイド部は、ネジ要素の間の溝に適合する複数の突起(tine)又は他の隆起部を含んでもよい。プランジャが回転されると、突起はネジ要素を通過移動し、その結果エラストマー製カバーに入れられた上部チャンバを膨張させる。突起がネジ要素を通過移動してネジ要素間の溝に入ったとき、本体の上部チャンバはその本来のサイズに復元する。
【0018】
ディスペンサの供給端は、一方向弁アッセンブリの使用によって密閉的にシールされる。本発明の現在好ましい実施形態において、一方向弁アッセンブリは、エラストマー製カバーの形態を持つバルブを含み、バルブは、供給端における軸又はポスト(post)の形態を持つバルブシートと接触する。通常の閉位置で、エラストマー製カバーの内面は中心部と接触し、密閉シールを形成する。供給端は、ポストの基部のまわりに1以上の開口を含み、開口は本体の収容チャンバと連通する。プランジャが収容チャンバの中へ移動すると、収容チャンバ内の物質が圧力を受け、供給端の開口を通じて流れる。加圧された物質は、エラストマー製カバーの内面に力を加え、エラストマー製カバーの内面をポストから分離させ、物質が供給端から流出することを可能にする。物質に加えられた圧力が解放されたとき、エラストマー製カバーは通常の閉位置に戻る。
【0019】
本発明の他の実施形態において、加熱再封止可能な(heat−resealable)、又は可融性のストッパが、プランジャの基部に含まれる。そのうちの一実施形態において、可融性ストッパは、硫化ゴムのベースと、加熱封止可能な材料で作られるインサートとを含む。そのうちの他の実施形態において、ストッパは、レーザエネルギ又は同様の放射エネルギの使用によって加熱再封止されることのできる高分子材料の混合物から作られる。物質を収容するためのチャンバは、可融性ストッパを通じて針を挿入することによって満たされ、針とチャンバとは流体が流通可能に連通する。収容チャンバが満たされると、収容チャンバ内の空気は、可融性ストッパの外周囲の可撓性フラップを越えて、又は針(例えばダブルルーメン針)の中に形成された孔を通じて、又は針とストッパとの間から、排出されることができる。収容チャンバが満たされた後、加熱封止可能な材料からなるストッパが加熱され、針によって作られた穴を埋めると共に、可融性ストッパの外周囲の可撓性フラップがその通常位置に復帰して収容チャンバを密閉シールする。
【0020】
本発明の他の実施形態は、供給端を通じた物質の漏れ残り(residual seepage)を防止するための手段を含む。本発明の現在好ましい実施形態において、本体は複数の第1ネジを有し、プランジャは、第1ネジに係合可能な複数の第2ネジを有し、これによりプランジャ及び本体の少なくとも一方が他方に対し相対移動する。この実施形態において、漏れ残りを防止するための手段は、第1ネジと第2ネジとの間に形成された軸方向の隙間によって形成される。軸方向隙間は、計量された量の物質が供給端を通じて供給された後にプランジャと本体との少なくとも一方が他方に対し軸方向に相対移動することを許容し、さらに、物質を収容するチャンバとディスペンサ外部との間のいかなる圧力差をも減少又は除去するのに十分である。
【0021】
本発明の一つの利点は、ディスペンサが、コントロールされた量のいかなる種類の物質をも供給できる点にある。その物質とは、例えば医薬、ワクチン、薬品又は他の調合薬剤又は処方薬、化粧品、食品、及び接着剤等の産業用品又は家庭用品である。本発明の現在好ましい実施形態は、比較的安価に製造でき、これによりディスペンサが、非常に広範囲の物質(液体、クリーム、軟膏、糊製品、及び他の液体及び物質を含む)に使用されることを可能にする。
【0022】
本発明の他の利点は、ディスペンサの供給端における一方向弁が、その供給端を密閉してシールすると共に、ディスペンサに収容される物質内への空気又は他の汚染物質の浸入を防止し、これにより、防腐剤無しで物質が保存されることを可能とし、そのような防腐剤が収容されない物質の複数回分がディスペンサ内に収容されることを可能にする点にある。
【0023】
注射器の他の利点及び本発明の他のディスペンサは、後述される本発明の現在好ましい実施形態の詳細な説明、特許請求の範囲及び添付図面に基づき、直ちに明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、計量された量の、ディスペンサ内に収容される物質を供給するための手段を備えたディスペンサを提供することができる。また、本発明によれば、供給端に一方向弁を備え、その供給端を通じて物質が流れることを許容する一方、供給端を通じて空気又は他の汚染物質が物質に入るのを防止する注射器又はそのようなディスペンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者がより容易に本発明を理解するため、図面を参照することができる。
【図1a】本発明を具現化する注射器タイプのディスペンサの前方斜視図で、注射器本体に部分的に挿入されたプランジャを示す。
【図1b】注射器の後方斜視図で、注射器本体に部分的に挿入されたプランジャを示す。
【図2】図1aの注射器の本体の前方斜視図である。
【図3】図1aの注射器の注射器本体の後方斜視図で、本体の上部の内面に形成された螺旋状多段部を示す。
【図4】図2のA−A線に沿った、本体の第1の半分の断面図で、本体の内壁を示す。
【図5】図2のA−A線に沿った、本体の第2の半分の断面図で、注射器本体の内壁を示す。
【図6a】図1aの注射器のプランジャの前方斜視図である。
【図6b】図1aの注射器のプランジャの後方斜視図である。
【図7a】図1aの注射器のやや概略的な部分断面図で、本体内でのプランジャの移動をコントロールするための手段を示し、本体内でのプランジャの移動の進行を示す。
【図7b】図1aの注射器のやや概略的な部分断面図で、本体内でのプランジャの移動をコントロールするための手段を示し、本体内でのプランジャの移動の進行を示す。
【図7c】図1aの注射器のやや概略的な部分断面図で、本体内でのプランジャの移動をコントロールするための手段を示し、本体内でのプランジャの移動の進行を示す。
【図8】図1aの注射器の部分断面図で、本体の収容チャンバ内における、プランジャの基部の可融性ストッパを含む。
【図9】図8に示される注射器の可融性ストッパの部分断面図である。
【図10】図9の可融性ストッパ及び本体の断面図である。
【図11】本発明の注射器タイプのディスペンサの第2実施形態の斜視図で、部分ネジ部を含む本体と、プランジャの移動量をコントロールするためのネジ付き上部ガイド部を備えたプランジャとを示す。
【図12】図11の注射器の、部分的に破断された斜視図である。
【図13】図11の注射器の断面図である。
【図14】図11の注射器の断面図である。
【図15】図11の、本体と、プランジャの上部ガイド部との断面図である。
【図16】図11の注射器のプランジャの側面図である。
【図17】図16の(B詳細の)部分拡大図で、プランジャの上部ガイド部のネジの一部を示す。
【図18】本発明の注射器タイプのディスペンサの第3実施形態の一部破断斜視図で、それはエラストマー製アウターカバーを有する。
【図19】図18の注射器の斜視図で、エラストマー製アウターカバー、ネジ要素及びプランジャの上部ガイド部を示すため一部破断されている。
【図20】図18の注射器の本体及び上部ガイド部の部分的な断面図である。
【図21】図18の本体の部分斜視図で、本体の上部におけるネジ要素を示すため一部破断されている。
【図22】本発明の注射器タイプのディスペンサの他の実施形態の断面図で、それは、密閉シールされた物質の供給端を通じた漏れ残りを防止するための手段を含み、完全伸長位置にあるプランジャを示す。
【図23】図22の注射器タイプのディスペンサの断面図で、引込位置にあるプランジャを示す。
【図24】図22及び図23の本体の部分的な斜視図で、本体の内壁に形成された別々の、軸方向に延出するネジ部を示す。
【図25】図22及び図23の注射器タイプのディスペンサのやや概略的な断面図で、ネジが設けられた本体内におけるネジ付プランジャの1/4回転の回転移動の進行を示す。
【図26】図22及び図23の注射器タイプのディスペンサのやや概略的な断面図で、ネジが設けられた本体内におけるネジ付プランジャの1/4回転の回転移動の進行を示す。
【図27】図22及び図23の注射器タイプのディスペンサのやや概略的な断面図で、ネジが設けられた本体内におけるネジ付プランジャの1/4回転の回転移動の進行を示す。
【図28】注射器本体のネジとプランジャのネジとの概略図で、シールされた物質の供給端を通じた漏れ残りを防止するため、静止位置に位置されたときのプランジャの軸方向のあそびを示している。
【図29】図22及び図23のプランジャの部分斜視図で、明瞭化のため部品が省略され、プランジャの異なるネジ部を示している。
【図30】図29のプランジャの断面図で、プランジャの異なるネジ部をさらに示す。
【図31】本発明の注射器タイプのディスペンサの他の実施形態の断面図で、それは、隠蔽されたプランジャと、注射器本体を通ってプランジャを回転移動させるための駆動機構とを含み、完全伸長位置にあるプランジャを示す。
【図32】図31の注射器タイプのディスペンサの断面図で、引込位置にあるプランジャを示す。
【図33】本発明の注射器タイプのディスペンサの他の実施形態の断面図で、それは、隠蔽されたプランジャと、注射器本体を通ってプランジャを回転移動させるための駆動機構とを含み、引込位置にあるプランジャを示す。
【図34】図33の注射器タイプのディスペンサの断面図で、伸長位置にあるプランジャを示す。
【図35】本発明の注射器タイプのディスペンサの他の実施形態の断面図で、それは、化粧用に、ユーザの唇又は他の表面の輪郭に倣って接触する形状とされた供給端を含む。
【図36】図35の注射器タイプのディスペンサの側面図である。
【図37】本発明の注射器タイプのディスペンサの他の実施形態の部分断面図で、それは、化粧用に、他の特殊形状とされた供給端を含む。
【図38】本発明の他の注射器タイプのディスペンサの斜視図で、それは、隠蔽されたプランジャと、注射器本体を通ってプランジャを段階的に回転移動させるための駆動機構とを含む。
【図39】図38の注射器タイプのディスペンサの分解斜視図である。
【図40】図38の注射器タイプのディスペンサの他の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、コントロールされた量の物質、例えばワクチン、薬剤及び他の医薬品、化粧品、食品、接着剤、又は空気と反応して損傷或いは劣化し得る他のあらゆる物質等の物質を供給するための、改良された注射器及び他のディスペンサに関する。図1a及び図1bに示されるように、本発明の改良された注射器タイプのディスペンサは本体12及びプランジャ14を含む。注射器本体12内でのプランジャ14の移動量をコントロールするための手段が設けられ、これにより正確な量の物質を注射器から供給することができる。図8に示されるように、加熱封止可能な、又は他のタイプのストッパが、プランジャの先端に設けられ、これにより注射器の下部又は収容チャンバが密閉シールされ、注射器内の物質への空気又は汚染物質の進入が防止される。さらに、図1に示されるように、物質の供給に使用される注射器の先端16は、一方向弁を含み、これにより、物質が空気又は他の汚染物質に曝されることが防止される。もしこれがなければ、空気又は他の汚染物質が注射器の先端を通じて進入するであろう。ここに開示される好適実施形態は、本発明の思想の例示と考えられるべきであり、説明される実施形態に本発明を限定することは意図されない。ここで説明される発明の思想及び範囲から外れることなく、様々な変更が、ここでの教示に基づき、当業者にとって明らかになるであろう。
【0027】
ここで使用されるような、用語「注射器」又「「注射器タイプのディスペンサ」は、物質(例えば液体、クリーム、軟膏又は流体)を身体内に、又は皮膚上に、又は物体の表面上に、注出又は供給するために、物質を収容するチャンバを通って移動可能なプランジャ又は他の要素を有する装置を意味する。さらに、用語「プランジャ」は、装置から物質を供給するために、チャンバに収容される物質に圧力を加えるために用いられる装置を意味するためにここで使用される。
【0028】
段階的移動のためのカム状部材を有する注射器タイプのディスペンサ
図1a〜図7cにおいて、本発明の注射器タイプのディスペンサの第1実施形態が、全体として符号10で示される。図1a及び図1bに示されるように、注射器は、本体12と、注射器本体内に嵌め入れられるプランジャ14と、一方向弁54を有した供給端16とを含む。本体12とプランジャ14とは、好ましくは、成型可能なプラスチックから作られる。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されず、当業者に現在知られており又は将来知られることになるいかなる適当な材料をも用いることができる。
【0029】
図2を参照して、注射器10の本体12は略円筒状である。図2に示された本発明の実施形態において、注射器本体は上部18と下部20とを有し、上部は下部より大きな直径を有している。上部18はテーパ部22によって下部20に接続される。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されず、上部及び下部はいかなる所望の寸法又は形状であってよい。上部及び下部の直径が同じである場合、テーパ部は省略されることができる。
【0030】
テーパ部22とは反対に位置する、上部18の外側端に、使用時に注射器をつかむための手段が設けられてもよい。図2に示された本発明の実施形態では、使用時に注射器をつかむため、二つの反対側に位置する平らな部材24が、注射器の上部の頂端から垂直に突出している。平らな部材24は、好ましくは略三角形状であるが、あらゆる望まれる寸法又は形状が用いられてもよい。
【0031】
図3〜図5に示されるように、上部18及び下部20の内壁は円筒状の空間を区画する。注射器本体の上部18の内壁は、ほぼ螺旋状の経路を区画する複数の段34を含む。図4及び図5は、図2のA−A線に沿った、互いに反対側の、注射器本体内部の半分を示すが、これら図に示されるように、注射器本体12の上部18の内壁は、注射器本体の上部18の互いに反対側の内壁36に形成された、2つの螺旋状多段部34を区画する。それぞれの多段部34はほぼ螺旋形の経路を区画する。図4に示されるように、一方の多段部34は、注射器本体の上部18の頂部からテーパ部22に向かう方向の、多段部に沿った移動を許容するよう方向付けられる。図5に示されるように、他方の多段部は、一方の多段部とは反対の方向に方向付けられ、プランジャ14の後退移動を防止する。この点は後述する。
【0032】
図7a〜7cに示されるように、注射器本体12の下部20の内壁38は、滑らかな円筒状の穴を区画すると共に、下部20の軸方向長さに亘ってほぼ一定の内径を有する。注射器の下部20は、供給される物質を収容するための収容チャンバを区画すると共に、プランジャの基部と摩擦係合するような寸法とされる。この点は後述する。下部20の内径は、好ましくは一定であり、これによって、プランジャ14の所定距離の移動に対し、それに収容される薬剤又は他の物質の特定量が、注射器から供給されるようになる。注射器本体の下部の端に、全体的に符号16で示される供給端が設けられ、これによって、プランジャが下部に挿入されるにつれ、注射器から薬剤が流れることが可能になる。図2に示されるように、本発明の一実施形態では、供給端16は、環状のU字状溝30を区画するフランジ28を含む。供給端は、伸長された中心軸又はポスト32の形態を持つバルブシートを区画する。複数の開口(図示せず)が、中心軸32の基部の周囲に設けられる。複数の開口の各々は、注射器の下部20内のチャンバに連通し、注射器に収容される物質を供給するための通路を提供する。以下に説明される一方向弁のような一方向弁54が、供給端に含まれ、物質のコントロールされた供給を許容すると共に、供給端を密閉シールして注射器内の物質の空気又は汚染物質(汚染菌)への暴露を防止する。本発明の別の実施形態において、中心軸32は、注射器の下部内のチャンバに連通する中心円筒状流路を設けられることができ、これにより注射器に収容される物質を供給するための通路が提供される。本発明の他の実施形態において、当業者に現在知られており又は将来知られることになる他の供給端の機構が、注射器本体に固定して取り付けられることができる。例えば、商標LUER−LOKで販売されている従来の接続装置が、使い捨てニードルの取り付けを許容すべく、注射器の供給端に使用されることができる。他のニードル接続手段、例えば、ネジ付取付具、エラストマー製プラグ、又は嵌合エンドキャップが、ニードルを注射器の先端に取り付けるために同様に使用されてもよい。注射器本体の下端は、選択されたニードル接続手段が取り付けられるよう、必要に応じて形状が決められ、又はネジが形成されることができる。注射器内部の薬剤又は他の物質を供給すべくニードルが注射器に接続されるまで、注射器の供給端を密閉的にシールするためのキャップ又は他の手段(図示せず)が使用されることができる。
【0033】
ここで図6a及び図6bを参照して、プランジャ14は、基部又は先端40、下部駆動部42及び上部ガイド部44を備える。先端40の前面46が、使用時、注射器の下部20の収容チャンバ内の物質に接触する。先端40は、注射器本体の下部20のチャンバ内に摺動嵌合する寸法とされ、これにより、先端40が下部20に挿入されるとき、物質が、基部と、注射器の下部20の内面との間から漏出しなくなる。先端40は、好ましくは、注射器内の物質と反応しない材料から作られる。例えば、後述するプランジャ先端の機能を実行すべく、現在知られており又は将来知られるようになる、成型可能な様々なプラスチックから作られる。さらに、プランジャ先端40は、好ましくは、注射器の本体によって形成されるチャンバ内の物質を密閉シールする弾性材料から作られる。例えば、後述する加熱再封止可能なストッパ、又は、後述するプランジャ先端の機能を実行すべく、現在知られており又は将来知られるようになる、様々なプランジャ先端材料から作られる。
【0034】
プランジャ14の駆動部42は、注射器本体の下部20内にスライド可能に嵌合するような形状又は寸法とされる。駆動部42の外径は、好ましくは、注射器本体の下部20の内径より少なくとも僅かに小さく、これにより、プランジャの注射器本体内での移動によって発生する摩擦力が減少される。下部の駆動部42は、注射器本体の下部20のチャンバ内に完全に挿入されるのに十分な長さを有するべきである。
【0035】
プランジャ14の上部ガイド部44は、互いに径方向反対側に位置された二つのカム状部材48を有する。これらカム状部材48は、プランジャ14の上部ガイド部44の外表面から垂直に延出する。カム状部材48は、注射器本体の上部18の内壁36に形成された多段部34と協働し、プランジャの注射器内への段階的な移動の量をコントロールするための手段を提供する。図7aに示されるように、カム状部材48は、好ましくは、カム状部材48が、注射器本体12の上部18の内壁に形成された多段部34に係合するとき、注射器本体の下部20の穴に収容される薬剤又は他の物質にプランジャの基部40が接触するよう、上部ガイド部44に配置される。図6a及び図7aに示されるように、プランジャ14の上部ガイド部44の外面は、使用時に付加的な剛性及び/又は強度を与えるための複数の羽根50その他の支持手段を含む。上部ガイド部44は、注射器本体の上部18内にスライド可能に嵌合するための寸法及び大きさとされるべきである。使用時にユーザがプランジャを掴むための手段を提供するため、取っ手又は他の把持部52が、プランジャ14の上端に形成される。
【0036】
注射器10は、好ましくは、その供給端に一方向弁機構を含み、これにより、空気又は他の汚染物質が供給端を通じて注射器内の物質に進入するのが防止される。図1a、図2及び図7aを参照して、一方向弁は、注射器本体の供給端16に可撓性カバー54を取り付けることにより形成される。可撓性カバー54は、好ましくはエラストマー材料から作られる。可撓性カバー54の内面は、供給端16のフランジ28に被さって適合すると共に供給端の周りに延出する環状のU溝30内に一体的に適合するような形状とされる。可撓性カバー54は、供給端の中心軸又はバルブシート32に対ししまり嵌めをなす。可撓性カバー54は、注射器本体12の下部20の外面から、供給端16の中心軸32のほぼ先端まで延出する。
【0037】
図7a〜図7cに主に示されるように、中心軸の基部において、複数の円筒状開口56が供給端を貫通する。円筒状開口56は、注射器の下部20内の収容キャビティに連通すると共に、プランジャ14が注射器の下部20内に前進されたとき、下部20のキャビティ内の薬剤又他の物質が流通する通路を提供する。可撓性カバー54と中心軸32との間のしまり嵌めは、注射器内に収容される物質の一服用量が供給されるまで、円筒状開口56を密閉シールするための常閉弁を形成する。示されるように、バルブシート32と接触する可撓性カバー54の部分は、好ましくは、厚さがバルブシートの基部付近で大きくなり、バルブシートの末端付近でより小さくなるようなテーパ状とされ、これによりバルブの開放と、これを通じた物質の流動とが容易となる。さらに、バルブシート32、バルブカバー54、及びそれらの間に形成された環状のバルブ開口の各々の軸方向長さは、バルブ開口を通じて物質を供給するとき、バルブカバーの環状部分を常にバルブシートに接触させ続けるのに十分な長さを有する。見られるように、バルブカバー54はそれを通ずる孔を有する。バルブシート32は、孔の中に受け入れられ、バルブシートとバルブカバーとの境目に、常時閉とされる環状バルブ開口を形成する。バルブシートの直径(又は幅)は、カバーの孔の直径(又は幅)より大きく、これによりしまり嵌めと、それらの間の常閉のバルブ開口とを形成する。好ましくは、バルブカバー孔とバルブシートとの間のしまりの程度は、それらの間での物質の流れを容易にするため、ディスペンサの内部から外部に、バルブシートの軸方向に沿って減少する。
ここでの教示に基づき当業者に理解されるように、本発明のディスペンサの一方向弁は、ここで説明される弁の機能を達成するため、前述の同時係属の特許出願第60/403,484号に開示された全ての一方向弁の形態を含めて、現在知られており又は将来知られるであろう様々な形態を採ることができる。
【0038】
図7a,7b及び7cを再び参照して、注射器に収容される物質を供給するため、プランジャ14は、上部ガイド部のカム状部材48が注射器の上部の内壁に沿って1段34降りるまで、回転され押し下げられる。図7bに示されるように、プランジャアッセンブリが回転されると、プランジャの基部40は、注射器20の下部チャンバ内に移動する。基部40は、注射器の下部チャンバ内の物質に圧力を加え、これにより物質が、注射器の供給端の中心軸32の基部における円筒状開口56内に流入するようになる。加圧された物質は、可撓性バルブカバー54の内面に力を加え、可撓性カバー54を中心軸32から離れさせ、これによって、物質が、可撓性カバー54の内面と中心軸32との間を流れることを可能にする。プランジャが所定距離前進し、注射器に収容される物質の所望量を供給すると、物質に加えられた力は解放され、可撓性カバーはその常閉位置に戻る。このとき中心軸32は可撓性カバー54の内面と接触して密閉シールを形成する。図7cに示されるように、プランジャ14は、プランジャの先端40が注射器の下部20のチャンバ内を完全に通過移動し、これによって全ての収容物質をそこから供給するまで、段階的に注射器内に挿入されることができる。
【0039】
カム状部材48は、注射器の上部18の内面上の多段部34と協働し、プランジャの移動量を制限する。プランジャの基部が移動する距離はそれによって正確にコントロールされる。また、注射器に収容される薬剤又は他の物質の正確な量が供給されることができる。供給される薬剤の量は、段の高さと、下部チャンバ20の内径との関数である。これらの2つのパラメータを調節することによって、一つの段に沿ったプランジャの移動の結果としての物質供給量が、正確にコントロールされ、また、その物質供給量は、注射器の下部チャンバの内部断面積と、プランジャの直線移動距離との積に等しい。例えば、注射器の下部チャンバの内径が6mmで、プランジャの1段の移動が、注射器に収容される物質の100マイクロリットルの供給を生じさせることが望まれる場合、段の高さは約3.54mmに設定されるであろう。下部チャンバに収容される物質が有効成分(active ingredient)とキャリアとを含んでいる場合、供給される有効成分の量は、キャリア内における有効成分の濃度の関数であってもよい。ユーザに、所望量の物質を供給するのに必要な段数のプランジャの移動を教えることにより、より多量の供給を達成することができる。上述の例において、2段の移動は、200マイクロリットルの供給をもたらすであろう。
【0040】
注射器タイプのディスペンサの下部チャンバを密閉シールするためのストッパ
図8〜図10において、本発明を具現化する他の注射器タイプが、参照符号110によって全体的に示される。注射器110の要素の多くは、図1a〜7cに関連して既述された注射器10のそれと同様であり、したがって、数字「1」に続く同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。注射器10との比較において注射器110の主な違いは、注射器110が、プランジャ114の基部に可融性のストッパ160を含み、これによって注射器110の下部120内の穴を密閉すると共に、注射器に収容される薬剤又は他の物質への空気又は汚染物質の進入を防止する点にある。
【0041】
図8及び図9に示されるように、可融性ストッパ160は、プランジャ114の端部に形成され、弾性ベース162を含む。弾性ベース162は、硫化ゴムで作られるか又は、当業者に知られており、注射器内に収容される物質に接触又は暴露されるストッパの製造において使用可能な他の材料で作られる。可融性ストッパ160のベース162の下部164は、注射器本体112の下部120の内壁にスライド可能に且つ摩擦的に係合するよう形作られ寸法が定められた外周シール面166を区画する。可融性ストッパのベース162は、さらに、ベース162の下部164から延出する外周壁168を区画する。外周壁168は、シール面166の外径及び注射器本体の内径112より僅かに小さい外径を有し、プランジャの本体内での移動時に、可融性ストッパと注射器本体との間の摩擦を減少する。
【0042】
外周壁168の上端において、注射器本体112の下部120内に摩擦的に受け入れられるための寸法を有した環状の隆起部又は突起170が、プランジャアッセンブリ114をさらにシールすると共に、注射器に収容される薬剤又は他の物質への空気の接触を防止する。外周壁168の頂端において、くさび形の可撓性環状フラップ172が存在する。フラップ172は、可撓性を持ち、且つ注射器本体112の内面と接触して環状の一方向弁を形成するような形状及び寸法とされる。プランジャがその完全引込位置にあるとき、可撓性フラップ172の先端174が注射器本体112の内面と接触する。図9に示されるように、本発明の実施形態において、プランジャが図示される引込位置にあるとき、可撓性フラップ172のある領域での注射器本体112の内径は、可融性ストッパ160のベース164のある位置における注射器の内径よりわずかに大きくてもよい。プランジャが注射器本体112内へ前進されると、注射器本体112の本体の内径はわずかに減少し、その結果可撓性フラップ172を注射器本体にさらに接触させ、注射器の下部を空気の進入から封止する。
【0043】
図9及び図10に示されるように、注射器本体112の下部120の内壁は、注射器の軸周りに互いに間隔を隔てられた、複数の軸方向に延出する溝176が設けられる。溝176は、下部120の内壁に形成されると共に、完全引込位置にあるとき、可融性ストッパ160のベース162の下方から、環状突起170を越えて上方に、軸方向に延出する。後述されるように、溝176は、注射器に薬剤又は他の物質が充填されるとき、注射器内に含まれる空気の排出を可能にする。
【0044】
再封止可能な部材178が、外周壁168によって区画される、ベース160の上部空所179内に収容される。再封止可能な部材178は、ベース160の外周壁168に形成された上部空所179内に受け入れられ、プランジャの駆動部142の端部によって定位置に固定される。可融性ストッパの外周壁168の内面には、環状溝180が形成される。環状のフランジ181が、プランジャ114の駆動部142の端部に形成されると共に、外周壁168の内面の環状溝180を埋める大きさ及び形状とされる。従って、環状のフランジ181は、押し込まれるか、嵌め込まれるか、又は他の方法で環状溝180内に受け入れられ、可融性ストッパ160を駆動部142に固定する。第2の環状フランジ182は、第1の環状フランジ181に対し軸方向に離間され、ベース162及び再封止可能なストッパ160を捕獲し、駆動部142に保持する。共同に譲渡された2001年2月12日出願の米国特許出願第09/781,846号「加熱封止可能なキャップを有する薬用ガラス瓶、及びガラス瓶を満たすための装置及び方法」(この出願は本願の開示の一部として参照により本願に組み込まれる)に述べられているように、図8及び図9に示される本発明の実施形態において、駆動部142は、中空管の形態をなし、チャンバ120を満たすための注入針の挿入を許容すると共に、充填後の針穴の再封止を許容する。
【0045】
再封止可能な部材178は、好ましくは、例えば登録商標KRATONOでシェル石油社によって販売されている高分子材料の混合物などの弾性高分子材料、及び、商標ENGAGETM又はEXACTでダウケミカル社によって販売されているポリエチレンなどの低密度ポリエチレンで作られる。しかしながら、当業者に知られる他のいかなる適当な材料を使用してもよい。再封止可能な部材178の重要な特徴は、再封止可能な部材を通して針又は同様の注入部材を挿入した後、再封止可能な部材が再封止されて気密シールを形成する点にある。好ましくは、再封止可能な部材178は、例えば前述の同時係属中の特許出願に記載された方法のように、針によって明けられた領域を当業者に知られている方法で加熱することによりシールされることができる。
【0046】
注射器の下部120を所望の物質で満たすため、皮下注射針、ダブルルーメン針又は他のタイプの注入部材が、再封止可能な部材178と、可融性ストッパ160の弾性ベース162とを挿通され、これにより注射器の下部120内に所望の物質が供給される。薬剤が注射器の下部に注入されると、下部内の空気は物質によって置き換えられ、強制排除される。空気は、注射器本体112の内壁に形成された複数の溝176を通じて漏出する。外周壁168の頂部において、漏出空気の力は、一方向弁の可撓性フラップ172を注射器本体の内壁から離間させ、空気が注射器本体の外部に排出されることを可能にする。注射器が薬剤又は他の物質で満たされているとき、可撓性フラップ172は、注射器本体112に接するその通常位置に復元し、これによって密閉シールを形成し、空気が注射器内に進入してその中の薬剤又は他の物質と接触するのを防止する。プランジャが注射器の下部120に挿入されると、溝140は終了し、下部は、再封止可能なストッパ160の外周シール面166と環状突起170とによってさらにシールされる。
【0047】
注射器110が薬剤又は他の物質で満たされた後、再封止可能な部材178は、針又は他の注入部材によって形成された穴を融合すべく加熱される。本発明の現在好ましい実施形態において、注入前の再封止可能な部材の表面を殺菌し、注入後に残る穴をシールするため、レーザ(図示せず)又は他の放射線源が用いられる。好ましくは、注射器は、無菌注入機の中で、及び、上記参照によって組み込まれた同時係属中の特許出願で開示された方法に従って、満たされる。レーザは、可融性ストッパの中の再封止可能な部材に十分なエネルギが与えられるのを許容すると共に、注射器内の薬剤又は他の物質の加熱を防止する。当業者に現在知られており又は将来知られることになる、再封止可能な部材を加熱する他の方法が、注射器及び/又は他の要素に収容される物質の熱感度に応じて使用されてもよい。注射器が薬剤又は他の物質で満たされた後シールされるので、注射器は、空気の進入により腐敗することなく、及びそのような腐敗を防止するための保存剤を追加することなく、より長期間保存されることができる。
【0048】
本発明のある実施形態において、再封止可能なストッパの少なくとも一部は、針貫通部を区画する熱可塑性材料から形成される。針貫通部は、針によって貫通可能でそれを通じた針穴を形成すると共に、所定の波長及び強度のレーザ光線を与えることにより、針穴を密閉的にシールすべく加熱再封止可能である。本発明の変形例において、ストッパの全体が熱可塑性材料から形成される。上述されたような本発明の他の実施形態において、ストッパの積層部分(可融性の熱可塑性材料から形成されるとして)、及びストッパの基層部分は、硫化ゴムのような不溶解性(注入可能な;infusible)材料から形成される。好ましくは、それぞれの熱可塑性部分又は本体は、(i)その軸方向における所定の壁厚さ、(ii)所定波長のレーザ光線を実質的に吸収し、レーザ光線のその所定壁厚さの通過を実質的に防ぐ、所定の色及び不透明度、及び(iii)針貫通部を実質的に焼くことなく(即ち、材料の分子構造又は化学特性に不可逆変化を生じさせることなく)、所定の波長及び強度のレーザ光線で、針貫通部に形成された針穴を、所定時間内に密閉シールするような、所定の色及び不透明度、を有する
一実施形態において、所定時間は約2秒であり、好ましくは約1.5秒以下であり、最も好ましくは約1秒以下である。さらに、この実施形態において、レーザ光線の所定波長は約980nmであり、各レーザの所定強度は好ましくは約30ワット未満であり、最も好ましくは約10ワット以下、又は約8ワットから約10ワットの範囲内である。さらに、この実施形態おいて、材料の所定の色はグレーであり、所定の不透明度は、約0.3から約0.6までの重量%の範囲内の量で、ストッパ材料に加えられたダークグレー着色料によって定義される。
【0049】
さらに、熱可塑性材料は、第1材料と第2材料との混合物からなってもよい。第1材料は、好ましくは、例えば商標KRATONや商標DYNAFLEXで販売されている材料のような、スチレン系共重合体である。第2材料は、好ましくは、商標ENGAGEや商標EXACTで販売されている材料のような、オレフィンである。本発明の一実施形態において、第1材料と第2材料とは、重量比で約50:50から約95:5の範囲内で混合される(第1材料:第2材料)。そのような一つの典型例において、第1材料と第2材料との混合比は重量比で約50:50である。第1材料自体に関するこのような混合の利点は、防水防湿特性の向上ひいては製品陳列期間の向上;遮熱性の向上;摩擦係数の減少;成形性又は成形時の流れ速度の向上;及びヒステリシスロスの減少である。しかしながら、ここでの教示に基づき当業者によって理解されるように、これらの数及び材料は単なる例示で、もし特定のシステムにおいて望まれ、又は要求されれば、変更されることができる。
【0050】
プランジャの移動をコントロールするためのネジ付き注射器タイプディスペンサ
図11〜図17に、本発明を具現化する他の注射器タイプのディスペンサが、参照符号210によって全体的に示される。注射器210の要素の多くは、前述の注射器10及び110のそれと同様であり、したがって、数字「2」に続く、又は数字「1」の代わりの数字「2」に続く、同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。注射器10及び110との比較における注射器210の主な違いは、注射器210が、注射器内でのプランジャの移動をコントロールするための手段としての、ネジ付プランジャと、部分ネジ付上部注射器部分とを含む点である。
【0051】
図11〜図14に示されるように、注射器210は注射器本体212、注射器本体内に嵌合するプランジャ214、及び一方向弁を備えた供給端216を含む。図11及び図12に示されるように、注射器の本体212は上部218及び下部220を有する。上部218の外面は四角い形状とされ、これにより、注射器が容易につかまれ、後述されるように、プランジャを回転させるときの本体壁の側方移動が許容される。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されず、本体の上部の外面は任意の形状であってよい。注射器の下部220は概して円筒状である。図13及び図14に示されるように、上部218はテーパ部222によって下部220に接続される。上部218の外側端において、フランジ219又は他の把持手段のような、注射器をつかむための手段が設けられることができる。
【0052】
図11及び図15を参照して、注射器210の上部218の内壁は複数の部分ネジ221を含む。図15に示されるように、それぞれの部分ネジ221は、全体にネジが設けられた内側シリンダのネジ径を代表する円弧によってほぼ定義される。部分ネジ221は、互いに等間隔に離間され、それぞれの部分ネジ221は同じ内側及び外側のネジ径を有する。図11及び図15に示される好適実施形態において、それぞれの部分ネジは、全体にネジが設けられた内側シリンダの円周の約1/8を占める。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されず、それぞれの部分ネジは、ここでの教示に従い、全体にネジが設けられた内側シリンダの円周全体の任意の部分を占めることができる。さらに、後述するように、プランジャに螺合するための少なくとも二つの対向する部分ネジ部があれば、あらゆる数の部分ネジが用いられることができる。
【0053】
図11及び図15に示されるように、注射器の上部218の部分ネジ221の間に、複数のネジ無し部223が位置される。ネジ無し部223は、部分ネジ221の外側のネジ径より大きな直径(又は側方或いは半径方向の範囲)を有し、好ましくは、後述されるように、プランジャ214の最大ネジ径より大きな直径(又は側方或いは半径方向の範囲)を有する。図11及び図15に示される実施形態において、注射器210の上部218は、四角い形状を有し、部分ネジ221は、注射器の上部218の四つの内面のそれぞれの中央に位置され、ネジ無し部223は、概して四角形状の本体部分のコーナー部に位置される。ここでの教示に基づき当業者に理解されるように、注射器210の上部218の内面は、もし内面の部分ネジが所望の直径の円弧を区画するのであれば、いかなる形状を有していてもよい。
【0054】
図12〜図14を参照して、注射器本体212の下部220の内壁238は、滑らかな円筒状の穴を区画すると共に、下部220の軸方向長さに亘ってほぼ一定の内径を有する。注射器の下部220は、供給されるべき物質を収容するために使用されると共に、後述するプランジャの先端に摩擦係合する寸法とされる。下部220の内径は、好ましくは一定であり、これによって、プランジャ214の所定距離の移動に対し、特定量の薬剤又は他の物質が注射器から供給されることが保証される。
【0055】
注射器本体の下部の端部に、参照符号216によって全体的に示される供給端が設けられ、これによって、プランジャ214が下部に挿入されるとき、注射器の下部220に収容されている物質が注射器から流出することが可能になる。現在好ましい実施形態において、供給端216は、環状のU形溝230を区画するフランジ228を含む。供給端216は伸長された中心軸又はポスト232を含む。複数の円筒状開口256がそれぞれ注射器の下部220内のチャンバに連通し、注射器に収容される物質を供給するための通路を提供する。
【0056】
空気又は他の汚染物質が供給端を通じて注射器内の物質に入るのを防止するため、注射器は、好ましくは、注射器の供給端に一方向弁機構を含む。図12及び図13を参照して、一方向弁は、注射器本体の供給端216に可撓性カバー254を取り付けることにより形成される。可撓性カバーは、好ましくはエラストマー材料で作られる。可撓性カバーの内面は、供給端216のフランジ228に被さると共に供給端の周りに延出する環状U溝230内に一体的に嵌合するような形状とされる。可撓性カバー254は、供給端の中心軸232に対し締まり嵌めをなす。可撓性カバー254は、注射器本体212の下部220の外面から、供給端216の中心軸232のほぼ先端まで延出する。
【0057】
図13及び図14に最も良く示されるように、中心軸232の基部において、複数の円筒状開口256が供給端を貫通する。円筒状開口256は、注射器の下部220内の穴に連通すると共に、プランジャ214が注射器の下部220内へ前進されるとき、下部220内の穴の中の物質が流れる通路を提供する。可撓性カバー254と中心軸232との間の締まり嵌めは、常閉弁を形成し、注射器に収容される物質の服用量が供給されるまで円筒状開口256を密閉シールする。中心軸232と接触する可撓性カバー254の部分は、中心軸の基部付近で厚さが大きく、中心軸の先端付近に向かって厚さが徐々に小さくなるテーパ状とされてもよい。
【0058】
本発明の変形例において、一方向弁は省略されてもよい。中心軸232は、中心円筒状通路を設けられてもよい。この通路は、注射器の下部220内の穴に連通し、注射器に収容される物質を供給するための通路を提供する。本発明の他の実施形態において、当業者に知られる他の適当な供給端機構が注射器本体に固定して取り付けられることができる。例えば、商標LUER−LOKで販売されている従来の接続装置が、使い捨てニードルの取付けを可能にするため注射器の供給端に使用されることができる。他のニードル接続手段、例えばネジ具、エラストマー製プラグ、又は嵌合されるエンドキャップが、注射器の先端にニードルを取り付けるために同様に使用されることができる。注射器本体の下部が、選択されたニードル接続手段を取り付けるために、必要に応じて形作られ、又はネジを設けられることができる。注射器の供給端を密閉シールするためのキャップ又は他の手段(図示せず)が、注射器内の薬剤又は他の物質を供給すべくニードルが注射器に接続される時まで、使用されることができる。
【0059】
ここで図11及び図16を参照して、プランジャ214は、先端240、下部駆動部242及び上部ガイド部244を備える。先端240の前面246は、使用時に、注射器の下部220の穴の中の薬剤又は他の物質と接触する。先端240は、注射器本体の下部220の穴の中に摩擦的に嵌合するような形状及びサイズとされ、また、先端240が下部220に挿入されるとき、薬剤又は他の物質が先端240と注射器の下部220の内面との間から漏出しないような形状及びサイズとされる。先端240は、当業者に現在知られており又は将来知られることになる材料であって、注射器に収容される薬剤又は他の物質と反応しないあらゆる適当な材料から作られることができる。もし望まれれば、既に詳述した可融性ストッパのような可融性ストッパが、下部の穴を密閉シールするためプランジャに固定して取り付けられることができる。
【0060】
プランジャ214の駆動部242は、注射器本体の下部220内に摺動嵌合するような形状及び寸法とされる。駆動部242の外径は、好ましくは、注射器本体の下部220の内径より少なくとも僅かに小さく、これによりプランジャの注射器本体内での移動により生じる摩擦力が減少される。駆動部242は、プランジャがその完全挿入位置にあるとき注射器本体の下部220の穴に完全に挿入されるのに十分な長さを有するべきである。
【0061】
図11,図12及び図16を参照して、プランジャの上部ガイド部244はネジ部245を有し、ネジ部245のネジピッチは、注射器の上部218の内壁の部分ネジ221のピッチに適合するものとされる。図17に示されるように、注射器本体及びプランジャが成型可能なプラスチックで作られている本発明の好適実施形態において、ネジピッチPは約0.8mm、ネジ角度は約90°である。注射器本体及びプランジャが成型プラスチックで作られる場合、約90°のネジ角度は、成形部品の型からの取り外しを容易にする。
【0062】
図15に示されるように、上部ガイド構造のネジ245は変化するネジ径を有する。上部ガイド構造のネジは、概して8つのセクションに分割される。8つのセクションのうちの4つにおいて(参照符号247により全体が示される)、ネジは、注射器の上部218の内壁の部分ネジ221のネジ径及びピッチにほぼ等しく且つ適合するネジ径及びピッチを有する。これらの4つのセクションはそれぞれ、プランジャの上部ガイド部の外周の約1/8を占め、互いに等しく離間される。
【0063】
プランジャのネジの残り4つのセクションにおいて(参照符号249により全体が示される)、それぞれのネジのセクションは、ネジ径によって区画される二つの領域を有する。全体が参照符号251によって示される第1の領域において、プランジャネジは、徐々に増加するネジ径を有し、これは、注射器の上部218の部分ネジのネジ径と等しいネジ径から始まり、プランジャのネジ径が最初にその最大径に達する位置で終了する。第2の領域253において、プランジャネジは、注射器の上部218の部分ネジ221の直径より大きい一定の直径を有する。ネジ径が変化する4つのセクションの各々は、プランジャの上部ガイド部の外周の約1/8を占める。使用時にユーザがプランジャをつかむための手段を提供するため、取っ手又は他の把持部分252が、プランジャ214の上端に形成される。
【0064】
プランジャの上部ガイド部のネジ247,249は、注射器本体の上部218の内壁に形成された部分ネジ221と協働し、プランジャの注射器内への段階的な移動の量をコントロールするための手段を提供する。図13に示されるように、供給されるべき物質が注射器に満たされた後、プランジャは、プランジャの先端240が注射器本体の下部220内のチャンバに収容される薬剤又は他の物質と接触し、且つネジ247が、注射器の上部218における部分ネジ221と完全に係合するような位置に位置される。プランジャ214は、注射器本体の部分ネジ221が上部ガイド部244のネジ247の4つのセクションのみによって係合するような位置に位置される。この4つのセクションは、上部ガイド部における部分ネジ221のネジ径と等しいネジ径を有する。図15に示されるように、この位置において、プランジャの上部ガイド部244の最大径ネジ249は、部分ネジ221の間にある注射器本体の上部218のネジ無し部223に位置される。
【0065】
注射器から計量された量の物質を供給するため、図15に矢示されるように、プランジャ214は時計回りに回転され、プランジャの注射器本体内への移動を生じさせる。プランジャ214が回転されると、注射器の上部218の部分ネジ221が、次第に、プランジャ214の上部ガイド部244のより大径のネジ251,253に係合されていく。プランジャが時計回りに回転されるにつれプランジャ214のネジ径が次第に増加するので、注射器本体212の上部218が強制的に膨張され、プランジャに、これを回転させるような、徐々に増加する力が作用される。
【0066】
図11〜図17に示される実施形態において、プランジャ214が1/4回転の回転を終えると、プランジャの上部ガイド部244の最大径ネジ253が、注射器本体の上部218の部分ネジ221から外れ、プランジャの上部ガイド部244のより小径のネジ247が、注射器本体の部分ネジ221に完全に係合する。注射器本体の上部218は、その本来の大きさに急速に復元する。そしてプランジャは、プランジャのより大径のネジを注射器本体の部分ネジに係合させ且つこれを通過させるのに十分な力がプランジャに与えられるまで、定位置にロックされる。また、プランジャは反対方向(即ち反時計回り)には回転できない。なぜなら、それぞれの大径ネジ部253の後端縁が、本体の各ネジ部221の隣接端縁に係合し、そのような移動を妨げるからである。
【0067】
注射器本体の部分ネジのピッチと、プランジャにおける相手側ネジのピッチとをコントロールすることにより、プランジャの1/4回転毎に供給される薬剤又は他の物質の量が、正確にコントロールされることができる。例えば、好適実施形態において、注射器の下部チャンバ220は約6.18mmの内径を有し、ネジ部は約0.8mmのネジピッチを有する。プランジャの1/4回転は、プランジャに、注射器の下部から約6マイクロリットルの量を排出させる。従って、プランジャが1/4回転されると、注射器に収容される物質の約6マイクロリットルが供給端を通じて供給される。プランジャの1/4回転の数を増加することにより、より多量の物質が供給されることができる。即ち、例えば、1/2回転は12マイクロリットルを供給し、3/4回転は18マイクロリットルを供給し、1回転は24マイクロリットルを供給する。
【0068】
エラストマー製外側本体を備えた注射器タイプディスペンサ
図18〜図21において、本発明を具現化する他の注射器タイプのディスペンサが、参照符号310によって全体的に示される。注射器310の要素の多くは、前述の注射器10、110及び210のそれと同様であり、したがって、数字「3」に続く、又は数字「1」もしくは「2」の代わりの数字「3」に続く、同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。注射器10、110及び210との比較における注射器310の主な違いは、注射器310が、プランジャの移動をコントロールするための手段としての、ネジ付プランジャ及び、上部注射器部分におけるネジ要素を含む点と、注射器310がエラストマー製アウターカバーを含む点とである。
【0069】
図18〜図19に示されるように、注射器310は注射器本体312、注射器本体内に嵌合するプランジャ314、及び供給端316を含む。注射器本体312は、内側部分311と、内側部分311の外表面を包むエラストマー製アウターカバー315とを含む。内側部分311は、好ましくは成型プラスチックから作られる。注射器本体312の内側部分311は、上部318と下部320とを含み、上部は下部より大きな直径を有する。上部318は、テーパ部322によって下部320に接続される。しかしながら、本発明はこの点に関して限定されず、上部及び下部は任意の形状及び寸法とされることができる。上部及び下部の直径が同じである場合、テーパ部は除去されてもよい。
【0070】
図20及び図21に示されるように、上部318の内壁及び下部320は、円筒状の穴を区画する。注射器の上部318は、注射器本体312のテーパ部322から注射器の頂部まで延出する、複数の、軸方向に伸長されたネジ要素317を含む。それぞれのネジ要素317は、概して、全体にネジが設けられた内側シリンダのネジ径を代表する円弧によって区画される。ネジ要素317の両側面は、上部318に、軸方向に伸長された複数の溝319を区画する。溝319は、テーパ部322から注射器の頂部まで同様に延出する。溝319の深さは、注射器本体312の全厚に及ぶものであってもよいし、注射器本体の部分厚さに及ぶものであってもよい。
【0071】
図18及び図19を再び参照して、注射器本体312の下部320の内壁338は、滑らかな円筒状の穴を区画すると共に、下部320の全長に亘ってほぼ一定の内径を有する。注射器の下部320は、後述するように、供給されるべき物質を収容するために用いられると共に、プランジャの基部と摩擦的に係合するような寸法とされる。下部320の内径は、好ましくは一定であり、これによって、プランジャ314の所定距離の移動に対し、特定量の薬剤又は他の物質が注射器から供給されることが保証される。
【0072】
注射器本体の下部の端部に、参照符号316によって全体的に示された供給端が設けられ、これによって、プランジャ314が下部に挿入されるとき、注射器の下部320に収容されている物質が注射器から流出することが可能になる。図18に示される好適実施形態において、供給端316は、環状のU形溝(図示せず)を区画するフランジ328を含む。このU形溝は、前述された注射器10のU形溝と同様である。供給端316は、伸長された中心軸又はポスト332を含む。
【0073】
空気又は他の汚染物質が供給端を通じて注射器内の物質に入るのを防止するため、注射器は、好ましくは、注射器の供給端に一方向弁機構を含む。一方向弁は、注射器本体の供給端316に可撓性カバー(図示せず)を取り付けることにより形成される。可撓性カバーは、好ましくはエラストマー材料で作られる。可撓性カバーの内面は、供給端316のフランジ328に被さり、且つ供給端の周りに延出する環状U溝内に一体的に嵌合するような形状とされる。可撓性カバーは、供給端の中心軸332に対し締まり嵌めをなす。可撓性カバーは、注射器本体312の下部320の外面から、供給端316の中心軸332のほぼ先端まで延出する。
【0074】
中心軸332の基部において、複数の円筒状開口356が供給端を貫通する。円筒状開口356は、注射器の下部320内の穴に連通すると共に、プランジャ314が注射器の下部320内へ前進されるとき、下部320内の穴の中の物質が流れる通路を提供する。可撓性カバーと中心軸332との間の締まり嵌めは、常閉弁を形成し、注射器に収容される物質の服用量が供給される時まで円筒状開口356を密閉シールする。中心軸332と接触する可撓性カバーの部分は、中心軸の基部付近で厚さが大きく、中心軸の先端付近に向かって厚さが徐々に小さくなるテーパ状とされてもよい。
【0075】
本発明の変形例において、一方向弁は省略されてもよい。中心軸332は、中心円筒状通路を設けられてもよい。この通路は、注射器の下部320内の穴に連通し、注射器に収容される物質を供給するための通路を提供する。本発明の他の実施形態において、当業者に現在知られており又は将来知られることになる他の適当な供給端機構が注射器本体に固定して取り付けられることができる。例えば、商標LUER−LOKで販売されている従来の接続装置が、使い捨てニードルの取付けを可能にするため注射器の供給端に使用されることができる。他のニードル接続手段、例えばネジ具、エラストマー製プラグ、又は嵌合されるエンドキャップが、注射器の先端にニードルを取り付けるために同様に使用されることができる。注射器本体の下部が、選択されたニードル接続手段を取り付けるために、必要に応じて形作られ、又はネジを設けられることができる。注射器の供給端を密閉シールするためのキャップ又は他の手段(図示せず)が、注射器内の薬剤又は他の物質を供給すべくニードルが注射器に接続される時まで、使用されることができる。
【0076】
エラストマー製アウターカバー315は可撓性材料からなる。この可撓性材料は、カバーの内壁に力を加えることにより膨張(拡張)可能であると共に、その力が除去されたときに実質的にその本来の形状に復元することができる。エラストマー製アウターカバーは、好ましくは、内側の注射器本体の周囲にエラストマー材料を一体成形することにより形成される。エラストマー製アウターカバーは、任意の厚さを有し、容易な使用を可能にする特徴、例えば、図18に示されるアウターカバーにおける把持用のくぼみ307など、を含むことができる。
【0077】
図18〜図20を参照して、プランジャ320は、基部340、下部駆動部342及び上部ガイド部344を備える。基部340の前面346は、使用時に、注射器の下部320の穴の中の薬剤又は他の物質と接触する。基部340は、注射器本体の下部320の穴の中に摩擦的に嵌合するような形状及びサイズとされ、また、基部340が下部320に挿入されるとき、薬剤又は他の物質が基部と注射器の下部320の内面との間から漏出しないような形状及びサイズとされる。基部340は、当業者に知られる材料であって、注射器に収容される薬剤又は他の物質と反応しないあらゆる適当な材料から作られることができる。もし望まれれば、図18に示されるように、既に詳述した可融性ストッパのような可融性ストッパが、下部の穴を密閉シールするためプランジャに固定して取り付けられることができる。
【0078】
プランジャ314の駆動部342は、注射器本体の下部320内に摺動嵌合するような形状及び寸法とされる。駆動部342の外径は、好ましくは、注射器本体の下部320の内径より少なくとも僅かに小さく、これによりプランジャの注射器本体内での移動により生じる摩擦力が減少される。駆動部342は、プランジャがその完全挿入位置にあるとき注射器本体の下部320の穴に完全に挿入されるのに十分な長さを有するべきである。
【0079】
図19に示されるように、プランジャ314の上部ガイド部344は複数のネジ部345を有し、ネジ部345のネジピッチは、注射器の上部318の内壁のネジ要素317のピッチに適合するものとされる。注射器本体及びプランジャが成型可能なプラスチックで作られている本発明の好適実施形態において、ネジピッチPは約0.8mm、ネジ角度は約90°である。注射器本体及びプランジャが成型プラスチックで作られる場合、約90°のネジ角度は、成形部品の型からの取り外しを容易にする。
【0080】
図20に示されるように、プランジャ314の上部ガイド部344のそれぞれのネジ部345は、変化するネジ径を有する。プランジャのそれぞれのネジ部は、第1の領域、第2の領域及び第3の領域を有する。第1の領域において、ネジ径は、ネジ要素317のネジ径とほぼ等しく且つネジ要素317のネジ径と適合する。第2の領域において、プランジャネジは、徐々に増加するネジ径を有する。第3の領域において、プランジャネジは、注射器の上部318のネジ要素317の直径より大きい一定のネジ径を有する。プランジャのネジの第2の領域と第3の領域とは、互いに、注射器の上部318のネジ要素317間の溝319によって占められる領域に等しい領域に亘りほぼ延出され、これにより、第2及び第3のネジ領域が溝内に受け入れられることが可能になる。図20に示されるように、このことは、プランジャ314の上部ガイド部344に、複数の歯状(爪状;tine−like)ネジ部材を用いることにより達成されることができる。歯状ネジ部材321は、注射器の上部318のネジ要素317間の溝319に係合するような寸法とされる。使用時にユーザがプランジャをつかむための手段を提供するため、取っ手又は他の把持部分352が、プランジャ314の上端に形成される。
【0081】
注射器から計量された量の物質を供給するため、プランジャ314は所定の回転方向、通常は時計回り、に回転され、プランジャの注射器本体内への移動を生じさせる。プランジャ314が回転されると、注射器の上部318のネジ要素317が、それぞれ次第に、プランジャ314の上部ガイド部344の第2及び第3ネジ領域のより大径のネジに係合されていく。プランジャが時計回りに回転されるにつれプランジャのネジ径が次第に増加するので、注射器の上部318及びエラストマー製アウターカバー311が膨張し、プランジャに、これを回転させるような、徐々に増加する力が作用される。上部ガイド構造344の大径ネジが、回転により上部318のネジ要素317を通過し、ネジ要素間の溝319に入り込むと、注射器の上部及びエラストマー製アウターカバーは急速にそれらの本来の直径に戻る。
【0082】
前述したように、プランジャの回転毎にプランジャアッセンブリが下部チャンバ内に所望の距離移動するよう、ネジピッチとネジ部間の距離とを設定することにより、供給される物質の量を正確にコントロールすることができる。1回量に対応したプランジャ回転の数を増加させることにより供給量を増加できる。
【0083】
供給端を通じた物質の漏れ残りを防止するための手段を備える注射器タイプディスペンサ
図22〜図30に、本発明を他の実施形態の注射器タイプのディスペンサが、参照符号410によって全体的に示される。注射器410は、図1〜図21を参照して説明されたそれぞれの注射器タイプのディスペンサと多くの点で同一又は類似であり、したがって、数字「4」に続く、又は数字「1」〜「3」に代わる数字「4」に続く、同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。
【0084】
注射器410は、これが供給端416に異なる一方向弁を含む点と、密閉チャンバ420内に収容される物質の供給端を通じた漏れ残りを防ぐための手段を含む点とで、前述の注射器と異なる。図22及び図23に示されるように、注射器本体412の供給端416は二つの流れ開口部456を有する。これら流れ開口部456は、供給端の径方向の互いに反対側に位置されると共に、供給端の軸に対してほぼ垂直に向けられる。バルブカバー454は、前述の弁と同様の方法で、供給端の中心ポスト432によって区画されるバルブシートと締まり嵌めをなす。さらに、前述の一方向弁同様、バルブカバー454は、その内部端から外部端まで、軸方向に徐々に減少する壁厚を有し、プランジャの移動時におけるバルブの開閉を容易にする。全ての他の要素が等しいとして、図22及び図23の一方向弁は、典型的に、図1〜図21に関連して前述された弁より高い開弁圧を必要とする。前に説明され図示されたバルブ、例えば図13及び図14に図示されたバルブにおいて、流れ開口部256は、供給端のほぼ軸方向に延出し、それゆえ物質が供給端から軸方向に流出する。他方、図22及び図23の側方に延出する流れ開口部456は、物質が約90°曲がって流通することを要求し、よって、物質にバルブを通過させるのに、より高い開弁圧(全ての他の要素が等しいとして)を要求する。
【0085】
注射器410は、さらに、プランジャの注射器本体内での段階的移動を行わせ、所定量の物質を注射器本体のチャンバから供給するための手段を含む。図示される実施形態において、段階的移動を実行させるための手段は、注射器本体の上部418の内壁に形成された複数の独立ネジ部(discrete thread portions)421と、プランジャの上部ガイド部444に形成された複数の対応するネジ部とを含む。後に詳述されるように、また前述の本発明の実施形態と同様のやり方で、注射器本体の独立ネジ部とプランジャとは、「クリックアクション」タイプの作動機構を提供すべく協働する。これは、プランジャの注射器本体内での増加的(incremental)又は段階的移動を可能とし、さらにプランジャの移動時に、各増加的又は段階的移動を通じて、「クリック」(これはユーザに音及び/又は感覚によって認識されるかもしれない)を好適に提供可能とする。さらに、本発明のこの実施形態によれば、独立ネジ部はさらに、プランジャのそれぞれ別個の増加的又は段階的移動の終了時において、チャンバ420内に収容される物質が、供給端416の一方向弁を通過して漏れ残るのを防ぐための手段を提供する。
【0086】
図24に典型的に示されるように、注射器本体412の上部ガイド部418は、注射器本体の軸周りに約90°間隔で互いに等しく離間された四つの独立ネジ部421を区画する。見られるように、それぞれのネジ部421は、上部ガイド部418のほぼ全ての軸方向範囲に沿って延出する。ネジ部421は、図11に関して前述されたネジ部221と実質的に同じである。したがって、それぞれのネジ部421は、他のネジ部421と同じネジ径及びピッチを区画する。さらに、上部ガイド部418のコーナー423は、隣接したネジ部421の間に位置する側方に延出する空所を区画する。
【0087】
図25に典型的に示されるように、プランジャ414の上部ガイド部444は、上部ガイド部の径方向の互いに反対側に位置された複数対の第1の独立ネジ部484,484と、上部ガイド部の径方向の互いに反対側に位置され、第1の独立ネジ部484,484から角度的に離間された複数対の第2の独立ネジ部486,486と、複数の第3の独立ネジ部488,488とを有する。これにおいて、径方向反対側に位置された第3のネジ部488,488の各対は、径方向反対側に位置された第1のネジ部484,484の各対と、径方向反対側に位置された第2のネジ部486,486の各対との間に位置される。図25に典型的に示されるように、プランジャの上部ガイド部444のネジのそれぞれの360°部分は、図25の矢印から離れて時計回りに移動するとき、第1のネジ部484、第3のネジ部488、第2のネジ部486、第3のネジ部488、第1のネジ部484、第3のネジ部488、第2のネジ部486、及び第3のネジ部488を区画する。
【0088】
図25に典型的に示されるように、注射器本体の上部ガイド部418のそれぞれの独立ネジ部421は外径「D1」を有し、それぞれの第2のネジ部486はほぼ同じネジ径「D1」を有する。それぞれの第3のネジ部488は、注射器本体ネジ421の第1のネジ径D1より小さい第2のネジ径D2を有する。それぞれの第1のネジ部484は変化するネジ径を有し、これは、それぞれの第1のネジ部484の前端縁490における第3のネジ径D3から、それぞれの第1のネジ部484の後端縁492における第4のネジ径D4まで、徐々に増加する。それぞれの第1のネジ部484の前端縁における第3のネジ径D3は、注射器本体ネジ421の第1のネジ径D1より僅かに大きく、第4のネジ径は、第1及び第3のネジ径D1及びD3より大きい。本発明の図示された実施形態において、第1のネジ径D1は約10mm、第2のネジ径D2は約9.8mm、第3のネジ径は約10.3mm、第4のネジ径は約10.6mmである。ここでの教示に基づき当業者により理解されるように、これらの寸法は単なる例示で、ディスペンサその他の他の寸法に応じて、又は、本発明のある特定用途に望まれるように、変更されることができる。
【0089】
図25に典型的に示されるように、それぞれの第1のネジ部484の前端縁490は、それぞれの第1及び第3のネジ部484及び488の間にそれぞれ延出する約45°の面取りを有する。これにより、プランジャの第1のネジ部484の、注射器本体の対応ネジ部421へのスライド係合が容易になる。同様に、プランジャのそれぞれの第2のネジ部486の前端縁494は、それぞれの第2及び第3のネジ部486及び488の間にそれぞれ延出する約45°の面取りを有する。これにより、プランジャの第2のネジ部486の、注射器本体の対応ネジ部421へのスライド係合が容易になる。ここでの教示に基づき当業者により理解されるように、ここに記述されたネジ部の前端縁の角度及び/又は形状は、単なる例示で、ディスペンサの作動を容易にするための特定のディスペンサその他の要求に従い、望まれるように変更されることができる。
【0090】
図25〜図27を参照して、チャンバ420から供給端416を通じて、密閉シールされた物質を供給するため、プランジャが時計回りに回転される。経時的変化を示す図25〜図27に示されるように、プランジャの時計回りの1/4回転(又は約90°)の回転は、第1のネジ部484の、注射器本体ネジ421へのスライド係合を生じさせ、続いて、図26に破線で例示されるように、注射器本体の各側壁を側方外側に膨張させるより具体的には、それぞれの第1のネジ部の前端縁490が注射器本体の対応ネジ部421に螺合するにつれ、注射器本体の側壁の各部分が外側に湾曲され、プランジャの第1のネジ部484の前端縁径D3に局所的に適合する。プランジャがさらに時計回りに回転されると、第1のネジ部484の徐々に増大する直径によって(即ち、注射器本体に係合する第1のネジ部表面がD3からD4に直径を増大させるので)、注射器本体の側壁がさらに外側に湾曲される。その後、図27に典型的に示されるように、時計回りの1/4回転を終えた時、プランジャのそれぞれの第1のネジ部484の後端縁492が、注射器本体のそれぞれのネジ部421を通過し、プランジャの小径(D2)ネジ部488のみが、注射器本体のネジ部421に接触して位置される。プランジャの第1のネジ部484が注射器本体のネジ部421を通過した時、注射器本体の互いに反対側に位置する側壁が、急激に元に或いは側方内側に戻る(snap back)。これにより、ユーザのためのクリック動作感を発生し、ユーザに、プランジャが1/4回転を終え所定量の物質が供給端から供給されたことをユーザに知らせる。図27に典型的に示されるように、それぞれの第1のネジ部484の後端縁と、隣接する第3のネジ部488の前端縁との間の直径の相違は、プランジャの反対方向(又は反時計回り)の移動を防止する停止面496を形成する。理解されるように、プランジャの反時計回りの移動は、プランジャの停止面496を、注射器本体のネジ部421の隣接する側壁に係合させ、これにより、プランジャのさらなる反対方向(又は反時計回り)の移動を防止する。
【0091】
図27及び図28を参照して、プランジャが静止位置にあるとき(即ち、プランジャの第3のネジ部488が注射器本体のネジ421に係合し、プランジャの第1及び第2のネジ部484及び486がそれぞれ注射器本体の空所423内に位置されるとき)、プランジャは、制限された軸方向の移動を許容され、これにより、注射器本体の密閉シールされたチャンバ420(図23)内の残留圧力が低減され、このような残留圧力が、供給端を通ずる物質の漏れ残りを実質的に防止する。図28に典型的に示されるように、プランジャの第3のネジ部488の直径(D2)が、注射器本体のネジ421の直径(D1)より小さいので、プランジャは距離「X」だけ軸方向に移動できる。従って、もし仮に、計量された量の物質を供給端を通じて供給した後に密閉シールされたチャンバ420内に残留圧力が存在する場合、あるいは、そのような圧力が例えば環境状態の変化に基づく熱膨張その他のために増大した場合、プランジャは、そのような圧力を低減するため、距離「X」だけ軸方向内側に(即ち、供給端から離れて)移動できる。その結果、そのような残留圧力が、供給端を通じて物質を排出させることが実質的に防止され、よって供給端の表面に、汚れた又は望ましくない残留物を生成することが実質的に防止される。
【0092】
本発明の図示された実施形態において、距離「X」は約0.2mmである。さらに、プランジャ及び注射器本体のネジは約90°のネジである。しかしながら、ここでの教示に基づき当業者に理解されるように、これらの寸法及びネジ角度は単なる例示で、本発明の注射器その他のディスペンサの適用及び/又は他の要求に応じて、望まれるように、変更されることができる。
【0093】
図22及び図23に典型的に示されるように、注射器410は、好ましくは、未使用時に供給端416を保護するためのカバー496を含む。図示される実施形態において、カバーは注射器本体の下部に被さって軸方向に延出する。図22及び図23に典型的に示されるように、注射器本体412の下部は、カバーを注射器本体に着脱可能に固定するのを容易にするため、環状リブ498又は他の構造的特徴を含んでもよい。
【0094】
隠蔽され、移動可能なプランジャを備えた注射器タイプディスペンサ
図31及び図32において、本発明を具現化する他の注射器タイプのディスペンサが、参照符号510によって全体的に示される。注射器タイプのディスペンサ510は、図1〜図30を参照して説明されたそれぞれの注射器タイプのディスペンサと多くの点で同一又は類似であり、したがって、数字「5」に続く、又は数字「1」〜「4」に代わる数字「5」に続く、同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。
【0095】
注射器タイプのディスペンサ510は、プランジャ514が注射器本体512内に完全に隠蔽され、注射器が、注射器本体内でプランジャを駆動するための機構511をさらに含む点で、図1〜図30に関連して説明された注射器タイプのディスペンサと異なる。プランジャ514の基端又は内端は、軸方向の穴513と環状フランジ517とを有する。穴513は、これに形成された第1又は内側の組のネジ515を含む。環状フランジ517は、これに形成され、径方向反対側に位置され、軸方向に延出する二つの溝519を有する。注射器本体512は、その内壁に形成され、径方向反対側に位置され、軸方向に延出する一対のリブ521を有する。これらリブ521は、プランジャのフランジ517の外周に形成された溝519にスライド可能に受け入れられる。駆動ホイール523は、注射器本体512の開放端に回転可能に取り付けられると共に、軸方向に延出する駆動軸525を含む。駆動軸525は、その外周面に形成された第2の組のネジ527を有する。図31及び図32に示されるように、駆動軸525の第2の組のネジ527は、プランジャの基部に形成された第1の組のネジ515に螺合し、駆動ホイール523の回転時にプランジャを軸方向に移動させる。駆動ホイール523はさらに、環状の、露出された把持面529を含む。把持面529は、注射器本体の基端位置に形成され、ユーザにより把持され回転される。把持面529の回転時、駆動軸527はプランジャ514を回転駆動し、さらにプランジャ先端560に、密閉チャンバ520内を通過移動させ、物質をチャンバから供給端を通じて供給させる。
【0096】
ここでの教示に基づき当業者に理解されるように、注射器本体512は、前述の注射器本体412と同じ形をとってもよい。また、プランジャの段階的又は増加的移動を実行するためのクリックアクションタイプの作動機構を形成するため、及び/又は、密閉シールされたチャンバ内の圧力が物質を供給端を通じて漏れ残らせるのを防ぐため、前記同様の方法で、ネジが注射器本体及びプランジャに形成されてもよい。
【0097】
図33及び図34において、本発明を具現化する他の注射器タイプのディスペンサが、参照符号610によって全体的に示される。注射器タイプのディスペンサ610は、図1〜図32を参照して説明されたそれぞれの注射器タイプのディスペンサと多くの点で同一又は類似であり、したがって、数字「6」に続く、又は数字「1」〜「5」に代わる数字「6」に続く、同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。
【0098】
注射器タイプのディスペンサ610は、プランジャ614が注射器本体612内に完全に隠蔽され、注射器が、注射器本体内でプランジャを駆動するための機構611をさらに含む点で、図1〜図30に関連して説明された注射器タイプのディスペンサと異なる。プランジャ614の基端又は内端は、環状フランジ617と、径方向反対側に位置された一対の溝穴(slot)619とを有する。環状フランジ617は、これに形成された第1の組のネジ627を含む。溝穴619は、プランジャシャフトに隣接する基端を通して形成される。注射器本体612は、注射器本体の内壁に沿って軸方向に延出する第2の組のネジ615を有する。このネジ615は、プランジャの対応するネジ627に螺合するためのものである。駆動ホイール623は、注射器本体612の開放端に回転可能に取り付けられると共に、互いに径方向反対側に位置され軸方向に延出する一対の駆動ポスト621を含む。図33及び図34に示されるように、プランジャの第2の組のネジ627は、注射器本体に形成された第1の組のネジ615に螺合し、駆動ホイール623の回転時にプランジャを軸方向に移動させる。さらに、ポスト621は、プランジャの溝穴619にスライド可能に受け入れられ、駆動ホイール623の回転時に、プランジャの回転ひいては軸方向の移動を生じさせる。駆動ホイール623は、環状の、露出された把持面629をさらに含む。把持面629は、注射器本体の基部の位置に形成され、ユーザによって把持され、回転される。把持面629の回転時、軸方向に延出するポスト621はプランジャ614を回転可能に駆動し、さらにプランジャ先端660に、密閉チャンバ620内を通過移動させ、物質をチャンバから供給端を通じて供給させる。
【0099】
図38〜図40に移って、図33及び図34において、本発明を具現化する他の注射器タイプのディスペンサが、参照符号610’によって全体的に示される。ディスペンサ610’は、図33及び図34に関連して説明された注射器610と多くの点で同じであり、したがって、ダッシュ「’」を含む同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。ディスペンサ610との比較におけるディスペンサ610’の主な違いは、ディスペンサ610’が、前記注射器本体412と同じ形状を有する注射器本体612’を含むと共に、注射器本体のネジ615’とプランジャ614’のネジ627’とが、前記と同じ方法で形成される点である。これにより、プランジャの段階的又は増加的移動を実行するためのクリックアクションタイプの作動機構が形成されると共に、密閉シールされたチャンバ内の圧力が、供給端を通じて物質を漏れ残らせることが防止される。
【0100】
化粧品用の特殊形状の供給端を有する注射器タイプディスペンサ
図35及び図36において、本発明を具現化する他の注射器タイプのディスペンサが、参照符号710によって全体的に示される。注射器タイプのディスペンサ710は、図1〜図34を参照して説明されたそれぞれの注射器タイプのディスペンサと多くの点で同一又は類似であり、したがって、数字「7」に続く、又は数字「1」〜「6」に代わる数字「7」に続く、同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。
【0101】
見られるように、注射器タイプディスペンサ710の供給端716は、ユーザの唇又は他の表面の輪郭に倣って接触する形状とされた、ほぼくぼんだ供給面717を有する。図示される実施形態において、供給端716は、密閉されたチャンバ720内に収容される物質を流通させるための一つの開口756を有する。しかしながら、ここでの教示に基づき当業者に理解されるように、供給端は、特定用途の要求又はニーズに応じたあらゆる形状の、いかなる数のそのような開口をも含むことができる。バルブカバー754は、前記実施形態に関連して説明された、あらゆるタイプの可撓性高分子材料から作られることができる。例えば、バルブカバー754は、商標KRATON 20Aで販売されている比較的弾性のある高分子材料で成型されることができる。また、バルブシート732は、商標KRATON 65Aで販売されている比較的硬質の高分子材料で成型されることができる。しかしながら、これらの材料は単なる例示で、ここで説明されるようなバルブカバー及びバルブシートの機能を達成するため、現在知られており又は将来知られることになるあらゆる材料であってよい。
【0102】
図示しないが、注射器タイプのディスペンサ710は、好ましくは、前記実施形態のいずれかに関連して説明されたようなプランジャと注射器本体とを含み、さらに好ましくは、プランジャの段階的又は増加的移動を実行するため、及び/又は、密閉シールされたチャンバ内の圧力が供給端を通じて物質を漏れ残らせるのを防止するため、クリックアクションタイプの作動機構を含む。
【0103】
図37において、本発明を具現化する他の注射器タイプのディスペンサが、参照符号810によって全体的に示される。注射器タイプのディスペンサ810は、図1〜図36を参照して説明されたそれぞれの注射器タイプのディスペンサと多くの点で同一又は類似であり、したがって、数字「8」に続く、又は数字「1」〜「7」に代わる数字「8」に続く、同様な参照符号が同様な要素を示すために用いられる。
【0104】
前記注射器タイプディスペンサ710との比較における注射器タイプディスペンサ810の主な違いは、注射器タイプディスペンサ810が、実質的にフラスト円錐(frusto−conical)形状とされた供給面817を含む点である。供給面817は、まるい供給端に向かって内側に先細になる。この種の特殊形状の先端は、例えばリップグロス、アイカラー、コンシーラー(concealer)又はカバーアップ(cover−up)、マッティファイングメーキャップ(mattifying make−up)、アイシャドー、アイグレイズ(eye glaze)、ラインミニマイジングメーキャップ(line minimizing make−up)、又は他のメーキャップ又は化粧品等の化粧品の適用に特に適している。
【0105】
図35〜図37の注射器タイプのディスペンサの一つの利点は、例えば口紅、リップグロス、アイカラークリーム又は液、並びに例えばしわ、にきび等を覆うためのカバーアップ及びコンシーラー等の提供という、化粧品の適用に特に適しているということである。輪郭付けられた供給端は、例えばユーザの唇、まぶた、又は他の顔の表面のような皮膚に倣って接触すると共に、計量された量の化粧用物質を関係部位又は部所に快適に塗布する供給面を提供する。さらに、弾性バルブカバーによって形成された倣い面は、ユーザの皮膚に快適に接触し、もし望まれれば、ユーザの指の柔らかさに実質的に一致又は匹敵する材料から作られることができ、これにより、化粧用物質を皮膚に快適に塗布できる。
【0106】
そして、本発明の注射器タイプのディスペンサの他の利点は、それらが、化粧品又は他の物質を、注射器本体の密閉チャンバ内に、シールされた気密状態で保持することである。これにより、ディスペンサが、あらゆる所望期間に亘り複数回分の量を保持及び供給することが可能になり、他方、そのような実際上無制限の使用期間中、物質を、密閉された無菌状態に連続的に維持できる。
【0107】
また、本発明の注射器タイプのディスペンサの他の利点は、それらが正確に計量された量の物質を供給する点であり、さらに、前述の漏れ防止の特徴を含むことができる点である。これにより、同一のディスペンサの多数回の実施又は使用の後ですら、供給端上における汚物又は他の望まれない残余物質の回収を防止できる。
【0108】
ここでの教示に基づき当業者に理解されるように、本発明の前述の及び他の実施形態に対する様々な変更又は修正が、添付された特許請求の範囲に定義された本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、なされ得る。例えば、本発明のディスペンサは、この種のディスペンサにとって現在知られており、又は将来利用可能となる、様々な材料によって作られることができる。同様に、本発明のディスペンサは、様々な形状及び/又は形態をとることができ、それは特定用途のために望まれ、又は必要とされるものであろう。プランジャ及びハウジングの相対運動をコントロールするための手段は、同様に、増加的及び/又は段階的移動を達成して計量された量の物質を提供するため、現在知られており又は将来開発される様々な形態を採ることができる。同様に、例えば物質収容チャンバ内の内部圧力を取り除くことにより、ディスペンサからの物質の漏れ残りを防止するための構造は、この機能を実行するための、現在知られており又は将来開発される様々な形態を採ることができる。同様に、計量された量の物質の供給をユーザに知らせるための「クリックアクション」を作り出すための構造は、この機能を実行するための、現在知られており又は将来開発される様々な構造又は形態を採ることができる。さらに、本発明のディスペンサの一方向弁及び/又は供給端は、様々な形状及び/又は形態を採ることができる。例えば、前述されたように、供給端は、例えば、人体の皮膚への物質の塗布を容易にするため、様々な形状を有することができる。従って、ここでの好適実施形態の詳細な説明は、限定的というよりむしろ例示的な意味に解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0109】
10,110,210,310,410,510,610,610’、710,810 ディスペンサ
12,112,212,512,612’ 本体
14,114,214,314,514,614 プランジャ
16,216,416 供給端
20,120,320 下部
32,732 バルブシート
34 段
40,240,340 基部
42,142,342 駆動部
48 カム状部材
54,454,754 バルブカバー
160 弾性ストッパ
168 外周壁
221 部分ネジ
223 ネジ無し部
245,345 ネジ部
315 アウターカバー
317 ネジ要素
319 溝
332,432 中心軸
420,720 チャンバ
421 独立ネジ部
484 第1の独立ネジ部
486 第2の独立ネジ部
488 第3の独立ネジ部
523 駆動ホイール
615’ ネジ
619 溝穴
627’ ネジ
X 距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無菌食品を無菌で収容及び供給するための方法であって、
(i)ディスペンサの可変容積貯蔵チャンバ内に密閉的にシールされた無菌食品を保持し、前記ディスペンサは、流体が流通可能に前記可変容積貯蔵チャンバに接続された一方向弁を含み、該一方向弁は、常閉のバルブ開口を形成する弾性バルブ部材を含み、
(ii)前記常閉のバルブ開口への入口において無菌食品を加圧すると共に、前記バルブ開口を流体が流通可能に前記可変容積貯蔵チャンバに接続するために、前記弾性バルブ部材を通常の閉位置と、前記バルブ部材の少なくとも一部分が閉位置から間隔を隔てられた開位置との間を移動させると共に、それにより前記可変容積貯蔵チャンバから前記バルブ開口を通して無菌食品の通過を許容することによって、前記無菌食品の複数の異なる部分を、異なるときに前記可変容積貯蔵チャンバから前記一方向弁を通して供給し、
(iii)ステップ(i)及び(ii)の間、無菌で且つ大気に対して密閉的にシールされた前記可変容積貯蔵チャンバ内の無菌食品を保持する
ステップを備える方法。
【請求項2】
(iv)前記可変容積貯蔵チャンバに食品を無菌で充填し、
(v)前記可変容積貯蔵チャンバ内の前記無菌食品を密閉的にシールする
ステップをさらに備える請求項1記載の方法。
【請求項3】
ステップ(iv)及び(v)の間、前記一方向弁を通して前記可変容積貯蔵チャンバへの空気又は他の汚染物の進入を実質的に防止するステップをさらに備える請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記供給するステップは、前記食品の複数の異なる部分を、異なるときに前記可変容積貯蔵チャンバから前記一方向弁を通して供給することを含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記可変容積貯蔵チャンバに食品を無菌で充填するステップの前に、食品を殺菌するステップをさらに備える請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ディスペンサのチャンバ内に収容された前記食品に圧力を加えるデバイスを手動で操作し、前記食品の一部分を前記可変容積貯蔵チャンバから前記一方向弁を通して供給するステップをさらに備える請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ディスペンサは、前記可変容積貯蔵チャンバに流体を流通可能に設けられ、貫通可能で且つ熱で再封止可能な部分を含み、
前記貫通可能で且つ再封止可能な部分の露出された表面を殺菌するステップと、
前記無菌食品の供給源に流体を供給可能に接続された注入部材を用いて、前記貫通可能で且つ再封止可能な部分を貫通するステップと、
前記無菌食品を前記注入部材を通して前記可変容積貯蔵チャンバへと導入するステップと、
前記貫通可能で且つ再封止可能な部分から前記注入部材を取り外すステップと、
貫通部を封止すると共に前記貫通部と前記可変容積貯蔵チャンバとの間に実質的にガスが通らないシールを形成するため、十分な熱エネルギを前記貫通可能で且つ熱で再封止可能な部分に与えるステップとをさらに備える請求項1記載の方法。
【請求項8】
無菌食品を収容及び供給するためのディスペンサであって、
可変容積貯蔵チャンバと、前記可変容積貯蔵チャンバに流体を流通可能に接続され、弾性バルブ部材を含む一方向弁とを備え、前記弾性バルブ部材は軸方向に延出する常閉のバルブ開口を形成し、
前記バルブ部材は、前記バルブ開口を流体が流通可能に前記可変容積貯蔵チャンバに接続して前記バルブ開口を通して前記無菌食品の通過を許容するため、通常の閉位置と、前記弾性バルブ部材の少なくとも一部分が閉位置から間隔を隔てられた開位置との間を移動可能であり、前記可変容積貯蔵チャンバは前記食品が無菌で充填され、前記無菌食品は前記可変容積貯蔵チャンバ内に密閉的にシールされ、前記ディスペンサは、前記可変容積貯蔵チャンバから前記一方向弁を通した前記食品の複数の異なる部分の供給の間、無菌で且つ大気に対して密閉的にシールされた前記可変容積貯蔵チャンバ内の前記食品を保持するディスペンサ。
【請求項9】
前記可変容積貯蔵チャンバを定義するハウジングをさらに備える請求項8記載のディスペンサ。
【請求項10】
前記食品の複数の異なる部分を前記可変容積貯蔵チャンバから前記一方向弁を通して供給するため、前記ディスペンサのチャンバ内に収容された前記食品に圧力を加えるデバイスをさらに備える請求項8記載のディスペンサ。
【請求項11】
前記デバイスを移動させ、且つ前記食品に圧力を加え、且つ前記食品の部分を前記一方向弁を通して供給するため、前記デバイスに接続された機構をさらに備える請求項10記載のディスペンサ。
【請求項12】
無菌食物をディスペンサに収容すると共に前記ディスペンサから無菌食物の多数部分を供給するためのディスペンサであって、
大気に対して密閉的にシールされた前記無菌食物の多数部分を収容する、密閉的にシールされた可変容積貯蔵チャンバと、
弾性材料から形成されたバルブ部材を備えた一方向弁であって、前記バルブ部材が常閉のバルブ開口及び前記可変容積貯蔵チャンバに流体を流通可能な前記バルブ開口への入口を形成し、前記バルブ部材は、前記バルブ開口を流体が流通可能に前記可変容積貯蔵チャンバに接続して前記バルブ開口を通して前記無菌食物の通過を許容するため、開弁圧を超える前記バルブ開口への入口における食物に応じて、(i)通常の閉位置と、前記バルブ部材の少なくとも一部分が閉位置から放射状に間隔を隔てられた(ii)開位置との間を放射状に移動可能である一方向弁と、
流体を流通可能に前記可変容積貯蔵チャンバ及び一方向弁に接続され、前記開弁圧を上回るように前記バルブ開口への入口における食物に圧力を加えると共に、前記一方向弁を通して前記無菌食物の一部を供給するデバイスであって、前記一方向弁を通した無菌食品の供給の間、前記一方向弁および貯蔵チャンバが無菌で且つ大気に対してシールされた前記貯蔵チャンバ内の食物を保持するデバイスとを備えるディスペンサ。
【請求項13】
前記デバイスを移動させ、且つ前記食品に圧力を加え、且つ前記一方向弁を通して前記食品の一部を供給するため、前記デバイスに接続された手動で係合可能な機構をさらに備える請求項12記載のディスペンサ。
【請求項14】
無菌食品の多数部分を収容及び供給するためのディスペンサであって、
内部に密閉的にシールされた無菌食品の複数の部分を含む可変容積貯蔵チャンバと、
前記可変容積貯蔵チャンバに流体を流通可能に接続された手段であって、常閉の開口を形成し、且つ前記開口を流体が流通可能に前記可変容積貯蔵チャンバに接続して前記開口を通して前記無菌食品の通過を許容するため、通常の閉位置と、前記手段の少なくとも一部分が閉位置から間隔を隔てられた開位置との間を移動し、無菌で且つ大気に対して密閉的にシールされた前記可変容積貯蔵チャンバ内の食品を保持し、且つ前記貯蔵チャンバから前記手段を通して前記無菌食品の複数の異なる部分を供給するための手段と、
前記可変容積貯蔵チャンバ及び前記手段に流体を流通可能に接続され、前記開口において無菌食物に圧力を加えると共に前記手段を通して前記無菌食物の一部を供給するために構成されたデバイスとを備えるディスペンサ。
【請求項15】
前記手段は、弾性材料から形成されると共に常閉のバルブ開口及び前記可変容積貯蔵チャンバに流体を流通可能に接続されたバルブ開口への入口を形成するバルブ部材を備えた一方向弁であり、
前記バルブ部材は、前記バルブ開口を流体が流通可能に前記可変容積貯蔵チャンバに接続して前記バルブ開口を通して前記無菌食物の通過を許容するため、開弁圧を超える前記バルブ開口への入口における食物に応じて、(i)通常の閉位置と、前記バルブ部材の少なくとも一部分が閉位置から放射状に間隔を隔てられた(ii)開位置との間を放射状に移動可能である請求項14記載のディスペンサ。
【請求項16】
装置によって物質が充填されるディスペンサにおいて、前記装置が少なくとも、(i)注入部材であって、前記ディスペンサを貫通し、且つ前記注入部材を通して前記ディスペンサへと物質を導入するための注入部材と、(ii)前記注入部材を取り外した後に、前記ディスペンサの穴を熱で再封止するための熱供給源とを含むディスペンサであって、
物質を収容するためのチャンバを定義する本体と、
前記バルブに取り付けられた一方向弁であって、バルブシート及び前記バルブシートに被さりこれとの間に常閉のバルブ開口を定義するバルブカバーとを含み、前記バルブ開口が前記チャンバに流体を流通可能に接続可能である一方向弁と、
前記本体内に取り付けられたピストンであって、前記チャンバから前記一方向弁を通して物質を供給するときに前記チャンバの容積を変えるため、軸方向に移動可能なピストンと、
前記チャンバに流体を流通可能に接続された再封止可能部材であって、前記物質を前記再封止可能部材を通して前記チャンバへと供給する前記注入部材によって貫通可能であり、貫通部を含み、該貫通部は、前記注入部材を除去した後の前記貫通部における穴を密閉的にシールするため、前記エネルギ供給源からの熱エネルギの付与に応じて封止可能である再封止可能部材とを備えるディスペンサ。
【請求項17】
前記ピストン及び本体の少なくとも一方が、前記ピストンを前記本体内を軸方向に移動させるために他方に対して回転可能で、且つ前記チャンバから前記一方向弁を通して物質を供給する請求項16記載のディスペンサ。
【請求項18】
前記再封止可能部材の前記貫通部が、熱可塑性材料及びエラストマー材料の少なくとも一つから形成される請求項16記載のディスペンサ。
【請求項19】
前記再封止可能部材が前記ピストンに配置される請求項16記載のディスペンサ。
【請求項20】
前記ピストンが、ガスが前記チャンバから前記バルブを通して出ることを許容すると共に、ガスが前記バルブを通して前記チャンバ内へ他方向に通過することを防止するため、前記ピストンの周囲に隣接して延出する一方向弁を定義する請求項16記載のディスペンサ。
【請求項21】
前記一方向弁は、前記ピストンから側方外側に延出する可撓性部材によって定義され、前記可撓性部材と本体との間のシールを形成するため、前記本体に係合可能である請求項16記載のディスペンサ。
【請求項22】
前記本体が軸方向に延出する少なくとも一つの流体通路を定義し、該流体通路は、前記チャンバ内に前記物質が充填されたときに流体を通過させるため、前記本体と前記ピストンとの間に延出する請求項16記載のディスペンサ。
【請求項23】
前記エネルギ供給源は、所定の波長及び強度のレーザ光線を送るレーザであり、前記再封止可能部材の貫通部は、前記レーザから前記貫通部に前記所定の波長及び強度のレーザ光線を付与することによって、前記注入部材の穴を密閉的にシールするために加熱再封止可能であり、前記再封止可能部材は熱可塑性の本体を備え、
該熱可塑性の本体は、(i)その軸方向における所定壁厚さ、(ii)所定波長のレーザ光線を実質的に吸収し、レーザ光線の所定壁厚さの通過を実質的に防ぐ所定の色及び不透明度、(iii)所定の波長及び強度のレーザ光線で、前記注入部材の貫通部に形成された注入部材の穴を所定時間内に密閉的にシールするような所定の色及び不透明度を定義する請求項16記載のディスペンサ。
【請求項24】
前記注入部材の貫通部は、本質的にスチレン系共重合体からなる第1材料と本質的にオレフィンからなる第2材料との熱可塑性混合物から形成される請求項23記載のディスペンサ。
【請求項25】
前記第1材料及び第2材料は、重量比で約50:50から約95:5の範囲内で混合される請求項24記載のディスペンサ。
【請求項26】
(i)前記所定の波長は980nmである、(ii)前記所定の色はグレーである、(iii)前記所定時間は1.5秒以下である、(iv)前記所定の強度は30ワット未満である、の内少なくとも一つを満足する請求項23記載のディスペンサ。
【請求項27】
前記所定の波長は約980nmであり、前記所定の強度は約8ワットから約10ワットの範囲内であり、前記所定の色はグレーであり、前記所定の不透明度は、重量%で約0.3%から約0.6%の範囲内のダークグレー着色料によって定義される請求項23記載のディスペンサ。
【請求項28】
ディスペンサを所定の物質で満たす方法であって、
ディスペンサを提供し、該ディスペンサは、チャンバを定義する本体と、前記本体内にスライド可能に受け入れられるピストンと、前記本体に取り付けられバルブシートを含む一方向弁と、前記バルブシートに被さり且つそれらの間に前記チャンバに流体を流通可能に接続される常閉のバルブ開口を定義するバルブ部材と、熱エネルギの付与に応じて封止可能な再封止可能部分を含む再封止可能部材とを含み、
前記物質の供給源に流体を流通可能に接続された注入部材を用いて前記再封止可能部材を貫通し、
前記注入部材を通して前記本体の前記チャンバへと前記物質を導入し、
前記再封止可能部材から前記注入部材を取り外し、
貫通部を閉じると共に前記貫通部と前記本体のチャンバとの間に実質的にガスが通らないシールを形成するため、十分な熱エネルギを前記再封止可能部材における前記再封止可能部分の前記貫通部に与えるステップとを備える方法。
【請求項29】
熱エネルギを与えるステップは、所定の波長及び強度のレーザ光線を付与することを含み、
軸方向における壁厚さを定義する熱可塑性の本体を備える再封止可能部材を提供するステップと、所定波長のレーザ光線を実質的に吸収し、レーザ光線の所定壁厚さの通過を実質的に防ぐ、前記熱可塑性の本体における所定の色及び不透明度を選択するステップと、所定の波長及び強度のレーザ光線で、前記注入部材の貫通部に形成された注入部材の穴を2秒以下の所定時間内に密閉的にシールするような、前記熱可塑性の本体における所定の色及び不透明度を選択するステップとをさらに備える請求項28記載の方法。
【請求項1】
無菌食品を無菌で収容及び供給するための方法であって、
(i)ディスペンサの可変容積貯蔵チャンバ内に密閉的にシールされた無菌食品を保持し、前記ディスペンサは、流体が流通可能に前記可変容積貯蔵チャンバに接続された一方向弁を含み、該一方向弁は、常閉のバルブ開口を形成する弾性バルブ部材を含み、
(ii)前記常閉のバルブ開口への入口において無菌食品を加圧すると共に、前記バルブ開口を流体が流通可能に前記可変容積貯蔵チャンバに接続するために、前記弾性バルブ部材を通常の閉位置と、前記バルブ部材の少なくとも一部分が閉位置から間隔を隔てられた開位置との間を移動させると共に、それにより前記可変容積貯蔵チャンバから前記バルブ開口を通して無菌食品の通過を許容することによって、前記無菌食品の複数の異なる部分を、異なるときに前記可変容積貯蔵チャンバから前記一方向弁を通して供給し、
(iii)ステップ(i)及び(ii)の間、無菌で且つ大気に対して密閉的にシールされた前記可変容積貯蔵チャンバ内の無菌食品を保持する
ステップを備える方法。
【請求項2】
(iv)前記可変容積貯蔵チャンバに食品を無菌で充填し、
(v)前記可変容積貯蔵チャンバ内の前記無菌食品を密閉的にシールする
ステップをさらに備える請求項1記載の方法。
【請求項3】
ステップ(iv)及び(v)の間、前記一方向弁を通して前記可変容積貯蔵チャンバへの空気又は他の汚染物の進入を実質的に防止するステップをさらに備える請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記供給するステップは、前記食品の複数の異なる部分を、異なるときに前記可変容積貯蔵チャンバから前記一方向弁を通して供給することを含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記可変容積貯蔵チャンバに食品を無菌で充填するステップの前に、食品を殺菌するステップをさらに備える請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ディスペンサのチャンバ内に収容された前記食品に圧力を加えるデバイスを手動で操作し、前記食品の一部分を前記可変容積貯蔵チャンバから前記一方向弁を通して供給するステップをさらに備える請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ディスペンサは、前記可変容積貯蔵チャンバに流体を流通可能に設けられ、貫通可能で且つ熱で再封止可能な部分を含み、
前記貫通可能で且つ再封止可能な部分の露出された表面を殺菌するステップと、
前記無菌食品の供給源に流体を供給可能に接続された注入部材を用いて、前記貫通可能で且つ再封止可能な部分を貫通するステップと、
前記無菌食品を前記注入部材を通して前記可変容積貯蔵チャンバへと導入するステップと、
前記貫通可能で且つ再封止可能な部分から前記注入部材を取り外すステップと、
貫通部を封止すると共に前記貫通部と前記可変容積貯蔵チャンバとの間に実質的にガスが通らないシールを形成するため、十分な熱エネルギを前記貫通可能で且つ熱で再封止可能な部分に与えるステップとをさらに備える請求項1記載の方法。
【請求項8】
無菌食品を収容及び供給するためのディスペンサであって、
可変容積貯蔵チャンバと、前記可変容積貯蔵チャンバに流体を流通可能に接続され、弾性バルブ部材を含む一方向弁とを備え、前記弾性バルブ部材は軸方向に延出する常閉のバルブ開口を形成し、
前記バルブ部材は、前記バルブ開口を流体が流通可能に前記可変容積貯蔵チャンバに接続して前記バルブ開口を通して前記無菌食品の通過を許容するため、通常の閉位置と、前記弾性バルブ部材の少なくとも一部分が閉位置から間隔を隔てられた開位置との間を移動可能であり、前記可変容積貯蔵チャンバは前記食品が無菌で充填され、前記無菌食品は前記可変容積貯蔵チャンバ内に密閉的にシールされ、前記ディスペンサは、前記可変容積貯蔵チャンバから前記一方向弁を通した前記食品の複数の異なる部分の供給の間、無菌で且つ大気に対して密閉的にシールされた前記可変容積貯蔵チャンバ内の前記食品を保持するディスペンサ。
【請求項9】
前記可変容積貯蔵チャンバを定義するハウジングをさらに備える請求項8記載のディスペンサ。
【請求項10】
前記食品の複数の異なる部分を前記可変容積貯蔵チャンバから前記一方向弁を通して供給するため、前記ディスペンサのチャンバ内に収容された前記食品に圧力を加えるデバイスをさらに備える請求項8記載のディスペンサ。
【請求項11】
前記デバイスを移動させ、且つ前記食品に圧力を加え、且つ前記食品の部分を前記一方向弁を通して供給するため、前記デバイスに接続された機構をさらに備える請求項10記載のディスペンサ。
【請求項12】
無菌食物をディスペンサに収容すると共に前記ディスペンサから無菌食物の多数部分を供給するためのディスペンサであって、
大気に対して密閉的にシールされた前記無菌食物の多数部分を収容する、密閉的にシールされた可変容積貯蔵チャンバと、
弾性材料から形成されたバルブ部材を備えた一方向弁であって、前記バルブ部材が常閉のバルブ開口及び前記可変容積貯蔵チャンバに流体を流通可能な前記バルブ開口への入口を形成し、前記バルブ部材は、前記バルブ開口を流体が流通可能に前記可変容積貯蔵チャンバに接続して前記バルブ開口を通して前記無菌食物の通過を許容するため、開弁圧を超える前記バルブ開口への入口における食物に応じて、(i)通常の閉位置と、前記バルブ部材の少なくとも一部分が閉位置から放射状に間隔を隔てられた(ii)開位置との間を放射状に移動可能である一方向弁と、
流体を流通可能に前記可変容積貯蔵チャンバ及び一方向弁に接続され、前記開弁圧を上回るように前記バルブ開口への入口における食物に圧力を加えると共に、前記一方向弁を通して前記無菌食物の一部を供給するデバイスであって、前記一方向弁を通した無菌食品の供給の間、前記一方向弁および貯蔵チャンバが無菌で且つ大気に対してシールされた前記貯蔵チャンバ内の食物を保持するデバイスとを備えるディスペンサ。
【請求項13】
前記デバイスを移動させ、且つ前記食品に圧力を加え、且つ前記一方向弁を通して前記食品の一部を供給するため、前記デバイスに接続された手動で係合可能な機構をさらに備える請求項12記載のディスペンサ。
【請求項14】
無菌食品の多数部分を収容及び供給するためのディスペンサであって、
内部に密閉的にシールされた無菌食品の複数の部分を含む可変容積貯蔵チャンバと、
前記可変容積貯蔵チャンバに流体を流通可能に接続された手段であって、常閉の開口を形成し、且つ前記開口を流体が流通可能に前記可変容積貯蔵チャンバに接続して前記開口を通して前記無菌食品の通過を許容するため、通常の閉位置と、前記手段の少なくとも一部分が閉位置から間隔を隔てられた開位置との間を移動し、無菌で且つ大気に対して密閉的にシールされた前記可変容積貯蔵チャンバ内の食品を保持し、且つ前記貯蔵チャンバから前記手段を通して前記無菌食品の複数の異なる部分を供給するための手段と、
前記可変容積貯蔵チャンバ及び前記手段に流体を流通可能に接続され、前記開口において無菌食物に圧力を加えると共に前記手段を通して前記無菌食物の一部を供給するために構成されたデバイスとを備えるディスペンサ。
【請求項15】
前記手段は、弾性材料から形成されると共に常閉のバルブ開口及び前記可変容積貯蔵チャンバに流体を流通可能に接続されたバルブ開口への入口を形成するバルブ部材を備えた一方向弁であり、
前記バルブ部材は、前記バルブ開口を流体が流通可能に前記可変容積貯蔵チャンバに接続して前記バルブ開口を通して前記無菌食物の通過を許容するため、開弁圧を超える前記バルブ開口への入口における食物に応じて、(i)通常の閉位置と、前記バルブ部材の少なくとも一部分が閉位置から放射状に間隔を隔てられた(ii)開位置との間を放射状に移動可能である請求項14記載のディスペンサ。
【請求項16】
装置によって物質が充填されるディスペンサにおいて、前記装置が少なくとも、(i)注入部材であって、前記ディスペンサを貫通し、且つ前記注入部材を通して前記ディスペンサへと物質を導入するための注入部材と、(ii)前記注入部材を取り外した後に、前記ディスペンサの穴を熱で再封止するための熱供給源とを含むディスペンサであって、
物質を収容するためのチャンバを定義する本体と、
前記バルブに取り付けられた一方向弁であって、バルブシート及び前記バルブシートに被さりこれとの間に常閉のバルブ開口を定義するバルブカバーとを含み、前記バルブ開口が前記チャンバに流体を流通可能に接続可能である一方向弁と、
前記本体内に取り付けられたピストンであって、前記チャンバから前記一方向弁を通して物質を供給するときに前記チャンバの容積を変えるため、軸方向に移動可能なピストンと、
前記チャンバに流体を流通可能に接続された再封止可能部材であって、前記物質を前記再封止可能部材を通して前記チャンバへと供給する前記注入部材によって貫通可能であり、貫通部を含み、該貫通部は、前記注入部材を除去した後の前記貫通部における穴を密閉的にシールするため、前記エネルギ供給源からの熱エネルギの付与に応じて封止可能である再封止可能部材とを備えるディスペンサ。
【請求項17】
前記ピストン及び本体の少なくとも一方が、前記ピストンを前記本体内を軸方向に移動させるために他方に対して回転可能で、且つ前記チャンバから前記一方向弁を通して物質を供給する請求項16記載のディスペンサ。
【請求項18】
前記再封止可能部材の前記貫通部が、熱可塑性材料及びエラストマー材料の少なくとも一つから形成される請求項16記載のディスペンサ。
【請求項19】
前記再封止可能部材が前記ピストンに配置される請求項16記載のディスペンサ。
【請求項20】
前記ピストンが、ガスが前記チャンバから前記バルブを通して出ることを許容すると共に、ガスが前記バルブを通して前記チャンバ内へ他方向に通過することを防止するため、前記ピストンの周囲に隣接して延出する一方向弁を定義する請求項16記載のディスペンサ。
【請求項21】
前記一方向弁は、前記ピストンから側方外側に延出する可撓性部材によって定義され、前記可撓性部材と本体との間のシールを形成するため、前記本体に係合可能である請求項16記載のディスペンサ。
【請求項22】
前記本体が軸方向に延出する少なくとも一つの流体通路を定義し、該流体通路は、前記チャンバ内に前記物質が充填されたときに流体を通過させるため、前記本体と前記ピストンとの間に延出する請求項16記載のディスペンサ。
【請求項23】
前記エネルギ供給源は、所定の波長及び強度のレーザ光線を送るレーザであり、前記再封止可能部材の貫通部は、前記レーザから前記貫通部に前記所定の波長及び強度のレーザ光線を付与することによって、前記注入部材の穴を密閉的にシールするために加熱再封止可能であり、前記再封止可能部材は熱可塑性の本体を備え、
該熱可塑性の本体は、(i)その軸方向における所定壁厚さ、(ii)所定波長のレーザ光線を実質的に吸収し、レーザ光線の所定壁厚さの通過を実質的に防ぐ所定の色及び不透明度、(iii)所定の波長及び強度のレーザ光線で、前記注入部材の貫通部に形成された注入部材の穴を所定時間内に密閉的にシールするような所定の色及び不透明度を定義する請求項16記載のディスペンサ。
【請求項24】
前記注入部材の貫通部は、本質的にスチレン系共重合体からなる第1材料と本質的にオレフィンからなる第2材料との熱可塑性混合物から形成される請求項23記載のディスペンサ。
【請求項25】
前記第1材料及び第2材料は、重量比で約50:50から約95:5の範囲内で混合される請求項24記載のディスペンサ。
【請求項26】
(i)前記所定の波長は980nmである、(ii)前記所定の色はグレーである、(iii)前記所定時間は1.5秒以下である、(iv)前記所定の強度は30ワット未満である、の内少なくとも一つを満足する請求項23記載のディスペンサ。
【請求項27】
前記所定の波長は約980nmであり、前記所定の強度は約8ワットから約10ワットの範囲内であり、前記所定の色はグレーであり、前記所定の不透明度は、重量%で約0.3%から約0.6%の範囲内のダークグレー着色料によって定義される請求項23記載のディスペンサ。
【請求項28】
ディスペンサを所定の物質で満たす方法であって、
ディスペンサを提供し、該ディスペンサは、チャンバを定義する本体と、前記本体内にスライド可能に受け入れられるピストンと、前記本体に取り付けられバルブシートを含む一方向弁と、前記バルブシートに被さり且つそれらの間に前記チャンバに流体を流通可能に接続される常閉のバルブ開口を定義するバルブ部材と、熱エネルギの付与に応じて封止可能な再封止可能部分を含む再封止可能部材とを含み、
前記物質の供給源に流体を流通可能に接続された注入部材を用いて前記再封止可能部材を貫通し、
前記注入部材を通して前記本体の前記チャンバへと前記物質を導入し、
前記再封止可能部材から前記注入部材を取り外し、
貫通部を閉じると共に前記貫通部と前記本体のチャンバとの間に実質的にガスが通らないシールを形成するため、十分な熱エネルギを前記再封止可能部材における前記再封止可能部分の前記貫通部に与えるステップとを備える方法。
【請求項29】
熱エネルギを与えるステップは、所定の波長及び強度のレーザ光線を付与することを含み、
軸方向における壁厚さを定義する熱可塑性の本体を備える再封止可能部材を提供するステップと、所定波長のレーザ光線を実質的に吸収し、レーザ光線の所定壁厚さの通過を実質的に防ぐ、前記熱可塑性の本体における所定の色及び不透明度を選択するステップと、所定の波長及び強度のレーザ光線で、前記注入部材の貫通部に形成された注入部材の穴を2秒以下の所定時間内に密閉的にシールするような、前記熱可塑性の本体における所定の色及び不透明度を選択するステップとをさらに備える請求項28記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【公開番号】特開2009−213898(P2009−213898A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112994(P2009−112994)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【分割の表示】特願2003−536116(P2003−536116)の分割
【原出願日】平成14年10月16日(2002.10.16)
【出願人】(503129855)メディカル・インスティル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【分割の表示】特願2003−536116(P2003−536116)の分割
【原出願日】平成14年10月16日(2002.10.16)
【出願人】(503129855)メディカル・インスティル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】
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