物音検知装置、物音検知方法および物音検知システム
【課題】歩行周期の揺らぎや足音検出の一部欠落がある場合であっても足音の周期を算出することができる物音検知装置、物音検知方法および物音検知システムを提供する。
【解決手段】物音の信号を検出する物音検出部102と、検出された複数の物音に、三角関数が描く波形の変曲点が合致するように三角関数の周期を変動させ、物音に変曲点が合致した波形の周期を物音の周期と決定する周期算出部104と、決定された物音の周期が所定の範囲内であるか否かを判断し、物音の周期が範囲内であると判断した場合に、検出された複数の物音が検出対象音であると判断する判断部105と、を備えた。
【解決手段】物音の信号を検出する物音検出部102と、検出された複数の物音に、三角関数が描く波形の変曲点が合致するように三角関数の周期を変動させ、物音に変曲点が合致した波形の周期を物音の周期と決定する周期算出部104と、決定された物音の周期が所定の範囲内であるか否かを判断し、物音の周期が範囲内であると判断した場合に、検出された複数の物音が検出対象音であると判断する判断部105と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物音検知装置、物音検知方法および物音検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、監視カメラにより撮像した画像、センサの検知信号、およびマイクにより集音した音声等により、監視領域での不審者の侵入などを検知する警備装置が知られている。例えば、特許文献1では、物音の周波数特徴を捉え足音であるか否かを判断する手法が記載されている。
【0003】
しかし、特許文献1の方法では、足音と落下物による物音とを区別することが困難である。また、歩行者の履物や床材によって足音の周波数特徴は変化するため、足音を検知するには大量に足音の参照データを用意する必要があるという問題がある。
【0004】
そこで、特許文献2には、物音の周期性から足音を判断する方法が開示されている。特許文献2では、複数の足音の波形パターンを記憶する波形パターン記憶手段を用い、マイクから集音した音声と、記憶された波形パターンとを比較して一致する場合に足音と判定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−069459号公報
【特許文献2】特開2006−148357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一般に人の歩行は周期的であるが歩行者の癖などにより歩行に揺らぎが生じるため、あらかじめパターン化した周期により歩行周期を算出することは困難な場合がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、歩行周期の揺らぎや足音検出の一部欠落がある場合であっても足音の周期を算出することができる物音検知装置、物音検知方法および物音検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる物音検知装置は、入力された音から連続する複数の物音の信号を検出する検出部と、検出された前記複数の物音に、三角関数が描く波形の変曲点が合致するように前記三角関数の周期を変動させ、前記物音に前記変曲点が合致した前記波形の周期を前記物音の周期と決定する周期算出部と、決定された前記物音の周期が所定の範囲内であるか否かを判断し、前記物音の周期が前記範囲内であると判断した場合に、検出された前記複数の物音が検出対象音であると判断する判断部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる物音検知方法は、入力された音から連続する複数の物音の信号を検出する検出ステップと、検出された前記複数の物音に、三角関数が描く波形の変曲点が合致するように前記三角関数の周期を変動させ、前記物音に前記変曲点が合致した前記波形の周期を前記物音の周期と決定する周期算出ステップと、決定された前記物音の周期が所定の範囲内であるか否かを判断し、前記物音の周期が前記範囲内であると判断した場合に、検出された前記複数の物音が検出対象音であると判断する判断ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる物音検知システムは、物音検知装置と、前記物音検知装置にネットワークで接続された監視センタとを備えた物音検知システムであって、前記物音検知装置は、入力された音から連続する複数の物音の信号を検出する検出部と、検出された前記複数の物音に、三角関数が描く波形の変曲点が合致するように前記三角関数の周期を変動させ、前記物音に前記変曲点が合致した前記波形の周期を前記物音の周期と決定する周期算出部と、決定された前記物音の周期が所定の範囲内であるか否かを判断し、前記物音の周期が前記範囲内であると判断した場合に、検出された前記複数の物音が検出対象音であると判断する判断部と、検出された前記複数の物音が前記検出対象音であると判断された場合に前記監視センタに警報を出力する出力部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検出対象音の欠落や周期の揺らぎがある場合であっても検出対象音の周期を算出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1の実施の形態にかかる物音検知装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、音響信号と信号パワーの一例を示す図である。
【図3】図3は、音響信号の周波数構造の一例を示す図である。
【図4】図4は、周波数構造の特徴量の一例としてLPCケプストラム係数によって求められた包絡線の図である。
【図5】図5は、LPCケプストラム係数により同一歩行内の足音と判別可能な確率を示す図である。
【図6】図6は、周波数構造による分類の一例を示す図である。
【図7】図7は、一般的な歩行周期の説明図である。
【図8】図8は、本実施の形態における歩行周期の説明図である。
【図9】図9は、周期算出部による物音の周期算出手順を示す説明図である。
【図10】図10は、余弦関数の当てはめによる歩行周期の算出結果の一例を示す図である。
【図11】図11は、物音検知装置による物音検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、第2の実施の形態にかかる物音検知装置の構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、物音検知装置による物音検知処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる物音検知装置、物音検知方法および物音検知システムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる物音検知装置100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、物音検知装置100は、監視対象に複数配置され、監視対象を含む音源から発生される物音を集音するマイクロホン200と接続されている。また、図1では省略しているが、物音検知装置100は、ネットワークを介して監視センタに接続されている。監視センタは、物音検知装置100から、監視領域における異常を検知した旨の警報を受信した場合に、待機中の警備員に対して異常が検知された監視領域へ向かう旨の指示を出すとともに、必要に応じて警察や消防など関係機関への通報を行うセンタである。
【0015】
物音検出装置100は、AD変換部101と、物音検出部102と、分類部103と、周期算出部104と、判断部105と、警報出力部106と、記憶部110とを主に備える。
【0016】
AD変換部101は、マイクロホン200から集音された物音をディジタル音に変換し出力する。以下、マイクロホン200により集音された物音をアナログ音、AD変換部101による変換後のディジタル音を含め音響信号と総称し、特に明示する場合は、ディジタル音を音響データという。
【0017】
物音検出部102は、AD変換部101により変換された音響データの中から連続する物音を検出する。ここで、物音とは、AD変換部101により出力された音響データの中からあらかじめ設定された閾値以上の信号強度が検出された音響データのことであり、足音等がある。例えば、物音検出部102は、音響データの値の2乗平均平方根を求めることにより信号パワーを算出し、あらかじめ設定された閾値以上の信号パワーを物音として検出する。なお、物音の検出方法は、これに限定されず、音から物音を検出可能な手法であればよい。
【0018】
ここで、物音検出部102による同一歩行内から足音を検出する方法について説明する。物音検出部102は、例えば、分析フレーム長50m秒、フレーム間隔2.5m秒として出力信号のパワーを求め、暗騒音の平均パワーの2.5倍を閾値として信号の出力時刻を抽出する。
【0019】
図2は、音響信号と信号パワーの一例を示す図である。図2の上段は音響信号を示し、縦軸は音響信号の振幅を、横軸は音響信号の検出時間をそれぞれ示す。図2の下段は信号パワーを示し、縦軸は信号パワーの強度を、横軸は信号検出時間をそれぞれ示す。
【0020】
また、横軸に示した数字は出力された音響信号の個数を示し、図中の横ラインは出力された全ての音響信号から物音を検出するための信号パワーの閾値を示す。物音検出部102は、AD変換部101により出力された1番目〜8番目の音響信号のうち、閾値以上の信号パワーが出力された音響信号を物音として検出する。ここでは、物音検出部102は、閾値に満たない5番目の音響信号以外の音響信号を物音として検出する。
【0021】
分類部103は、物音検出部102により検出された物音を、周波数構造の類似度が所定の範囲内にある物音をまとめたグループに分類する。例えば、分類部103は、検出された物音に対して周波数構造の類似性を比較し、記憶部110に記憶された周波数類似度情報により類似度の高い物音を同一の音源から発生された音として1つのグループに分類する。
【0022】
分類部103は、周波数構造をフーリエ変換やLPCケプストラムによって求め、類似性を比較してもよい。図3は、音響信号の周波数構造の一例を示す図である。図3の上段は、縦軸に振幅を、横軸に時間を示す音響信号の一例である。また、図3の下段は、縦軸に信号パワーを、横軸に周波数を示す周波数構造の一例である。例えば、分類部103は、図3の上段に示す音響信号中のある一定区間を抽出し、フーリエ変換により周波数構造を算出する。なお、分類部103による周波数構造の算出には、フーリエ変換のほか線形予測分析等他の手法を用いても良い。
【0023】
図4は、周波数構造の特徴量の一例としてLPCケプストラム係数によって求められた包絡線の図である。分類部103は、算出した周波数構造を多項式で表し、包絡線を算出する。算出した包絡線の係数を音響信号の特徴量とする。
【0024】
また、分類部103は、音響信号の周波数構造から抽出した複数の特徴量を比較する。例えば、分類部103は、特徴量の2乗の差を求めることにより距離を算出し、記憶部110に記憶された周波数類似度情報から距離に応じて同じ物音と判断できる確率を算出する。同じ物音と判別できる確率は、どの程度の類似度までを同じ物音と判断するかを示す基準である。なお、分類の基準となる類似度の所定の範囲は、人の交通量等、物音検知装置100の設置環境に応じて任意に設定可能である。
【0025】
ここで、記憶部110に記憶された周波数類似度情報を求める方法について説明する。一般に、同一歩行内の足音の周波数構造は類似しているので、類似した周波数構造をもつ物音を抽出することにより同一歩行内の足音を分類できる。そこで、あらかじめ用意した足音のサンプルデータから周波数構造の特徴量として、例えば、LPCケプストラム係数を求め、同一歩行内の足音の距離の分布と、異なる歩行間の足音の距離の分布から、同一歩行内の足音と判別できる確率を算出する。
【0026】
図5は、LPCケプストラム係数により同一歩行内の足音と判別可能な確率を示す図である。図5で、横軸は足音のLPCケプストラム係数間の距離を示し、縦軸は同一歩行内の足音である確率を示す。一例として、分類部103は、検出された各物音の周波数構造の距離から、この判別確率曲線により、同一歩行内の足音である確率を求める。
【0027】
記憶部110は、物音データ、周波数類似度データ、周期算出参照データ、足音判断参照データ等を記憶する。ここで、物音データとは、分類部103により分類された音響データのことである。また、周波数類似度データとは、所定の周波数構造の特徴を示すデータのことであって、集音された物音の分類基準となる情報のことである。
【0028】
また、周期算出参照データとは、周期を算出する際に参照されるデータのことであり、例えば、周期を算出する際に変動させる周期Pの所定の範囲がある。さらに、足音判断参照データとは、検出された物音を足音と判断する際に参照されるデータのことであり、例えば、算出された周期の平均値の最大値の所定の範囲がある。
【0029】
図6は、音響信号の周波数構造による分類の一例を示す図である。図6に示す信号パワーは、図2下段に示した信号パワーであり、グループ1およびグループ2はそれぞれ分類部103により分類された物音のグループである。
【0030】
分類部103は、検出された物音の信号パワーそれぞれの周波数構造の類似度により物音をグループ1とグループ2に分類する。ここで、分類部103は、類似度の比較により1番目から8番目の音響信号のうち、1番目の音響信号と、3番目の音響信号と、7番目の音響信号とをグループ1に分類している。また、分類部103は、同様に2番目の音響信号と、4番目の音響信号と、6番目の音響信号と、8番目の音響信号とをグループ2に分類している。
【0031】
周期算出部104は、分類部103により分類されたグループごとに記憶部110に記憶された周期算出参照データを用いて物音の周期を算出する。ここでは、物音の周期として足音の周期を算出する。ここで、足音の周期を算出する上で、歩行周期について説明する。一般に歩行周期とは、一足目を最初に踏み出してから再び一足目と同じ足が接地するまでの動作のことである。図7は、一般的な歩行周期の説明図である。図7に示すように、例えば、最初に踏み出した右足の接地を接地(1)とし、次に踏み出した左足の接地を接地(2)とし、再度最初に踏み出した右足の接地を接地(3)とした場合、一般的に歩行周期は接地(1)〜接地(3)を一周期とされている。
【0032】
次に、本実施の形態における歩行周期について説明する。本実施の形態における歩行周期とは、一足目を踏み出してから次に踏み出した足が接地するまでの動作のことである。図8は、本実施の形態における歩行周期の説明図である。図7と同様に、例えば、最初に踏み出した右足の接地を接地(1)とし、次に踏み出した左足の接地を接地(2)とし、再度最初に踏み出した右足の接地を接地(3)とした場合、本実施の形態における歩行周期は接地(1)〜接地(2)を一周期とする。
【0033】
周期算出部104は、余弦関数の周期の値を所定の範囲で変動させて、同一のグループに分類された物音の信号パワーのピークに余弦関数が描く波形の変曲点の当てはめを行い、あてはまった余弦関数の周期の値を物音の周期と決定する。
【0034】
例えば、周期算出部104は、まず、以下の(1)式の周期Pを所定の範囲で変化させて、余弦関数の値を求める。
【数1】
ここで、yp、nは、周期Pのとき、n番目の物音がとる余弦関数の値とし、Pが示す周期として周期算出参照データが示す所定の範囲、例えば(0.1<P<2.0)が定められている。また、tnは最初に出力された物音を周期算出のための基準(時間t0=0)とした場合における、n番目に出力された物音の基準からの経過時刻(秒)とする。
【0035】
次に、周期算出部104は、以下の(2)式により算出された各周期における物音に対する余弦関数の値の平均値Spを求める。
【数2】
【0036】
次に、周期算出部104は、周期ごとに算出した余弦関数の値の平均値Spの最大値Smaxを求める。周期算出部104は、最大値Smaxがあらかじめ定めた閾値より大きければ、Smaxをとるときの周期をPrとし、小さければ周期性はないと判断する。ここでは、一歩の歩行に要する時間を0.3秒から0.9秒の範囲であるとし、0.3<Smax<0.9を満たす場合に、Smaxの値を歩行周期とする。
【0037】
図9を用いて物音の周期の算出方法を具体的に説明する。図9は、周期算出部104による物音の周期算出手順を示す説明図である。図9の上部に示すのは、分類された信号パワーである。まず、周期算出部104は、信号パワーのピークが出力された時間tを上記(1)式に周期Pを変化させながら当てはめていく。
【0038】
例えば、同一グループに分類された3つの物音のtはそれぞれ、t0=0(秒)(基準)、t1=0.65(秒)、t2=1.9(秒)とする。周期算出部104は、まず、周期P=0.2を代入した(1)式に3点のtをそれぞれ当てはめ、各点が取る余弦関数の値を求めると、
y0.2、t0=cos(2π×0/0.2)=1、
y0.2、t1=cos(2π×0.65/0.2)=0、
y0.2、t2=cos(2π×1.9/0.2)=−1となる。
周期算出部104は、これらの値から平均値を求める。ここでは、
S0.2=(y0.2、t0+y0.2、t1+y0.2、t2)/3=0となる。
【0039】
次に、周期算出部104は、周期P=0.6を代入した(1)式に3点のtをそれぞれ当てはめ、各点が取る余弦関数の値を求めると、
y0.6、t0=cos(2π×0/0.6)=1、
y0.6、t1=cos(2π×0.65/0.6)=0.87、
y0.6、t2=cos(2π×1.9/0.6)=0.5となる。
周期算出部104は、これらの値から平均値を求める。ここでは、
S0.6=(y0.6、t0+y0.6、t1+y0.6、t2)/3=0.79となる。
【0040】
周期算出部104は、図9に示すように、各ピークがとる三角関数の値が最大となる周期を求め、求めた周期を物音の周期と決定する。ここでは、周期P=0.2を代入した場合の平均値は0で、周期P=0.6を代入した場合の平均値は0.79であったので、平均値の最大値は0.79である。周期算出部104は、平均値の最大値が0.79となった場合に代入された周期Pの値0.6を当該グループの物音の周期と決定する。
【0041】
周期算出部104は、1つの物音の周期について最大となる周期を求めると、図9に示すように、次の物音の周期を上記の一連の処理により算出する。これにより、人の歩行周期が変化した場合、例えば、徒歩から駆け足に変化したような場合にも歩行周期を算出することができる。
【0042】
図10は、余弦関数の当てはめによる歩行周期の算出結果の一例を示す図である。図10の下段は、出力された足音の信号パワーを示し、横軸は最初の信号パワーの出力からの経過時間(秒)を示す。中段は、出力された信号パワーの中から抽出された閾値以上の信号パワーをもつ足音を示す。図10の下段の、経過時間1.0〜3.0秒付近では、一歩で足音が2回ずつ発生しており、従来のケプストラム分析では的確に周期を算出できないデータである。また、経過時間3.0〜4.0秒付近では、閾値に満たない信号パワーの出力が図示されており、この部分は足音の集音が欠落したと考えられ、これについても従来手法では検出不可能なデータである。
【0043】
図10の上段は、中段に示す抽出された足音のデータに本実施の形態の三角関数当てはめにより算出された一定の歩行周期を示す。ここでは、周期算出部104は歩行周期が0.71秒と算出したことを示している。
【0044】
判断部105は、周期算出部104により決定された物音の周期が、足音判断参照データが示す所定の範囲内であるか否かを判定し、所定の範囲内であると判定した場合に分類された物音を検出対象音であると判断する。例えば、周期Prが所定の範囲としてあらかじめ定められた0.3〜0.9秒の範囲内である場合、分類された物音を検出対象音である人の足音と判断する。なお、ここでは検出対象音を人の足音とするが、これに限定されず壁やドアを破壊する音等であってもよい。また、所定の範囲は、状況に応じて変更可能である。
【0045】
警報出力部106は、判断部105により分類された物音が足音であると判断された場合、警報を出力する。また、警報出力部106は、ネットワークにより監視センタに足音が検出された旨を通報する。
【0046】
次に、以上のように構成された物音検知装置100による物音検知処理の手順について説明する。図11は、物音検知装置100による物音検知処理の手順を示すフローチャートである。
【0047】
物音検出部102は、AD変換部101により変換されたディジタル音の中から連続する物音を検出する(ステップS1)。物音検出部102は、例えば、音響データの値の2乗平均平方根を求めることにより、信号パワーを算出し、検出した物音があらかじめ設定された閾値以上の信号パワーであるか否かを判定する(ステップS3)。
【0048】
分類部103は、物音検出部102により検出された物音が閾値以上の信号パワーであると判定された場合に(ステップS3:Yes)、周波数構造の類似性により物音をグループ分けする(ステップS4)。分類部103は、グループごとに物音のデータを記憶部110に蓄積する(ステップS5)。
【0049】
周期算出部104は、周期算出に必要な数だけデータが蓄積されたか否かを判定する(ステップS6)。周期算出部104は、周期算出に必要な数だけデータが蓄積されたと判定した場合に(ステップS6:Yes)、余弦関数の周期Pを指定された範囲で所定回数変化させる(ステップS7)。例えば、周期Pの範囲として、0.1<P<2.0が指定されている。
【0050】
周期算出部104は、蓄積されたデータごとに三角関数の値yを算出する(ステップS8)。周期算出部104は、蓄積されたデータごとに算出した三角関数の値yの平均値Sを算出する(ステップS9)。周期算出部104は、ステップS7に戻り、周期Pの変化を所定回数行うまでステップS7からステップS9までの処理を繰り返す。なお、所定回数はデータ量等に応じて任意に設定してよい。
【0051】
周期算出部104は、算出した平均値Sの最大値とそのときの周期Prを算出する(ステップS10)。判断部105は、Prが閾値の範囲内であるか否かを判断する(ステップS11)。ここで、判断部105は、Prが閾値の範囲内である場合に、検出された物音が足音であると判断する。警報出力部106は、判断部105によりPrが閾値の範囲内であると判断された場合は(ステップS11:Yes)、警報を出力する(ステップS12)。または、警報出力部106は、監視センタに通報する(ステップS13)。なお、警報出力部106は、警報の出力と監視センタへの通報を両方行ってもよい。
【0052】
このように、本実施の形態によれば、周期算出部104は三角関数の当てはめにより物音の周期を算出するので、例えば検出対象音である足音に揺らぎや欠落が発生した場合であっても、検出対象音の周期を算出することができる。
【0053】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、所定の閾値以上の信号強度が検出された音響信号が所定のグループに分類された。本実施の形態では、所定の閾値以上の信号強度が検出された音響信号のうち、さらに雑音が除去された音響信号が所定のグループに分類される。
【0054】
具体的には、本実施の形態の設置環境によっては、工事による掘削音等の周期性をもつ周期性雑音が生じる可能性がある。足音の場合、履物や床材の種類やその他の条件によって周波数特徴が異なるため、あらかじめ特徴のモデルを作成することが困難である。それに対し、周期性雑音は周波数特徴が明確なため、あらかじめ作成されたモデルをフィルタ処理に用いる。
【0055】
図12は、第2の実施の形態にかかる物音検知装置300の構成を示すブロック図である。図12に示すように、物音検知装置300は、監視対象に複数配置され、監視対象を含む音源から発生される物音を集音するマイクロホン200と接続されている。図12では省略しているが、物音検知装置300は、物音検知装置100と同様にネットワークを介して監視センタに接続されている。また、マイクロホン200は第1の実施の形態と同様である。
【0056】
物音検知装置300は、AD変換部101と、物音検出部102と、雑音除去部301と、分類部103と、周期算出部104と、判断部105と、警報出力部106と、記憶部110と、雑音情報記憶部310とを主に備える。なお、雑音除去部301と、雑音情報記憶部310以外の各部の機能および構成は第1の実施の形態と同様である。
【0057】
雑音情報記憶部310は、所定の周波数構造の特徴を示すデータを雑音の周波数特徴データとして記憶する。例えば、連続する特定音として検出される足音以外の音として工事の音等がある。この場合、雑音情報記憶部310は、雑音の周波数特徴データとして、工事の音の種類や強度を示す閾値や、雑音の特徴量を記憶する。なお、雑音はこれに限定されず、検出対象以外の音であればいずれであってもよい。
【0058】
雑音除去部301は、物音検出部102により特定音として検出された物音から雑音を除去する。雑音除去部301は、特定音として検出された物音の周波数構造を、雑音情報記憶部310に記憶されている雑音の周波数特徴データと比較し、雑音の周波数特徴データが示す閾値と一致する周波数構造をもつ物音を雑音と判定し、除去する。例えば、雑音除去部301は、雑音情報記憶部310に記憶された雑音の特徴量と、マイクロホン200から集音された物音の特徴量とを比較し、特徴量の類似度が高い場合、採取された物音は雑音であると判断する。なお、この手法は第1の実施の形態で説明した分類部103による分類の手法と同様である。
【0059】
また、他の例として、本実施の形態の検知対象である足音は、監視範囲の床面から発生するので、雑音除去部301は、指向性マイクロホン等を用いて床面からの物音のみを集音することにより、他方向で生じている雑音の集音を排除することもできる。指向性を持つマイクロホンには一般的なガンマイクやパラボラ式の指向性マイクロホンを適用可能である。また、複数のマイクロホンを用い信号処理により指向性を持たせることができるマイクロホンアレーを適用してもよい。
【0060】
次に、以上のように構成された物音検知装置300による物音検知処理の手順について説明する。図13は、物音検知装置300による物音検知処理の手順を示すフローチャートである。
【0061】
ステップS21〜ステップS23の処理は、第1の実施の形態で説明した図11のフローチャートのステップS1〜ステップS3の処理と同様である。
【0062】
ステップS24において、雑音除去部301は、物音検出部102により閾値以上であると判定された物音が、雑音でないか否かを判定する(ステップS24)。例えば、雑音除去部301は、物音検出部102により閾値以上であると判定された物音の周波数構造の特徴が雑音の周波数特徴データと一致する場合に、当該物音を分類対象から除去する。
【0063】
ステップS25〜ステップS34までの処理は、第1の実施の形態で説明した図11のフローチャートのステップS4〜ステップS13の処理と同様である。
【0064】
なお、本実施の形態では足音を検出対象音として説明したが、検出対象音はこれに限定されず周期性のある音であれば適用可能である。
【0065】
このように本実施の形態によれば、集音された物音のうち雑音の周波数構造の特徴が雑音の周波数特徴データと一致するか否かを判定し、一致すると判定された物音を分類対象から除去するので、誤検知を防止することができる。
【符号の説明】
【0066】
100、300 物音検知装置
101 AD変換部
102 物音検出部
103 分類部
104 周期算出部
105 判断部
106 警報出力部
110 記憶部
301 雑音除去部
310 雑音情報記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、物音検知装置、物音検知方法および物音検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、監視カメラにより撮像した画像、センサの検知信号、およびマイクにより集音した音声等により、監視領域での不審者の侵入などを検知する警備装置が知られている。例えば、特許文献1では、物音の周波数特徴を捉え足音であるか否かを判断する手法が記載されている。
【0003】
しかし、特許文献1の方法では、足音と落下物による物音とを区別することが困難である。また、歩行者の履物や床材によって足音の周波数特徴は変化するため、足音を検知するには大量に足音の参照データを用意する必要があるという問題がある。
【0004】
そこで、特許文献2には、物音の周期性から足音を判断する方法が開示されている。特許文献2では、複数の足音の波形パターンを記憶する波形パターン記憶手段を用い、マイクから集音した音声と、記憶された波形パターンとを比較して一致する場合に足音と判定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−069459号公報
【特許文献2】特開2006−148357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一般に人の歩行は周期的であるが歩行者の癖などにより歩行に揺らぎが生じるため、あらかじめパターン化した周期により歩行周期を算出することは困難な場合がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、歩行周期の揺らぎや足音検出の一部欠落がある場合であっても足音の周期を算出することができる物音検知装置、物音検知方法および物音検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる物音検知装置は、入力された音から連続する複数の物音の信号を検出する検出部と、検出された前記複数の物音に、三角関数が描く波形の変曲点が合致するように前記三角関数の周期を変動させ、前記物音に前記変曲点が合致した前記波形の周期を前記物音の周期と決定する周期算出部と、決定された前記物音の周期が所定の範囲内であるか否かを判断し、前記物音の周期が前記範囲内であると判断した場合に、検出された前記複数の物音が検出対象音であると判断する判断部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる物音検知方法は、入力された音から連続する複数の物音の信号を検出する検出ステップと、検出された前記複数の物音に、三角関数が描く波形の変曲点が合致するように前記三角関数の周期を変動させ、前記物音に前記変曲点が合致した前記波形の周期を前記物音の周期と決定する周期算出ステップと、決定された前記物音の周期が所定の範囲内であるか否かを判断し、前記物音の周期が前記範囲内であると判断した場合に、検出された前記複数の物音が検出対象音であると判断する判断ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる物音検知システムは、物音検知装置と、前記物音検知装置にネットワークで接続された監視センタとを備えた物音検知システムであって、前記物音検知装置は、入力された音から連続する複数の物音の信号を検出する検出部と、検出された前記複数の物音に、三角関数が描く波形の変曲点が合致するように前記三角関数の周期を変動させ、前記物音に前記変曲点が合致した前記波形の周期を前記物音の周期と決定する周期算出部と、決定された前記物音の周期が所定の範囲内であるか否かを判断し、前記物音の周期が前記範囲内であると判断した場合に、検出された前記複数の物音が検出対象音であると判断する判断部と、検出された前記複数の物音が前記検出対象音であると判断された場合に前記監視センタに警報を出力する出力部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検出対象音の欠落や周期の揺らぎがある場合であっても検出対象音の周期を算出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1の実施の形態にかかる物音検知装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、音響信号と信号パワーの一例を示す図である。
【図3】図3は、音響信号の周波数構造の一例を示す図である。
【図4】図4は、周波数構造の特徴量の一例としてLPCケプストラム係数によって求められた包絡線の図である。
【図5】図5は、LPCケプストラム係数により同一歩行内の足音と判別可能な確率を示す図である。
【図6】図6は、周波数構造による分類の一例を示す図である。
【図7】図7は、一般的な歩行周期の説明図である。
【図8】図8は、本実施の形態における歩行周期の説明図である。
【図9】図9は、周期算出部による物音の周期算出手順を示す説明図である。
【図10】図10は、余弦関数の当てはめによる歩行周期の算出結果の一例を示す図である。
【図11】図11は、物音検知装置による物音検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、第2の実施の形態にかかる物音検知装置の構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、物音検知装置による物音検知処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる物音検知装置、物音検知方法および物音検知システムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる物音検知装置100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、物音検知装置100は、監視対象に複数配置され、監視対象を含む音源から発生される物音を集音するマイクロホン200と接続されている。また、図1では省略しているが、物音検知装置100は、ネットワークを介して監視センタに接続されている。監視センタは、物音検知装置100から、監視領域における異常を検知した旨の警報を受信した場合に、待機中の警備員に対して異常が検知された監視領域へ向かう旨の指示を出すとともに、必要に応じて警察や消防など関係機関への通報を行うセンタである。
【0015】
物音検出装置100は、AD変換部101と、物音検出部102と、分類部103と、周期算出部104と、判断部105と、警報出力部106と、記憶部110とを主に備える。
【0016】
AD変換部101は、マイクロホン200から集音された物音をディジタル音に変換し出力する。以下、マイクロホン200により集音された物音をアナログ音、AD変換部101による変換後のディジタル音を含め音響信号と総称し、特に明示する場合は、ディジタル音を音響データという。
【0017】
物音検出部102は、AD変換部101により変換された音響データの中から連続する物音を検出する。ここで、物音とは、AD変換部101により出力された音響データの中からあらかじめ設定された閾値以上の信号強度が検出された音響データのことであり、足音等がある。例えば、物音検出部102は、音響データの値の2乗平均平方根を求めることにより信号パワーを算出し、あらかじめ設定された閾値以上の信号パワーを物音として検出する。なお、物音の検出方法は、これに限定されず、音から物音を検出可能な手法であればよい。
【0018】
ここで、物音検出部102による同一歩行内から足音を検出する方法について説明する。物音検出部102は、例えば、分析フレーム長50m秒、フレーム間隔2.5m秒として出力信号のパワーを求め、暗騒音の平均パワーの2.5倍を閾値として信号の出力時刻を抽出する。
【0019】
図2は、音響信号と信号パワーの一例を示す図である。図2の上段は音響信号を示し、縦軸は音響信号の振幅を、横軸は音響信号の検出時間をそれぞれ示す。図2の下段は信号パワーを示し、縦軸は信号パワーの強度を、横軸は信号検出時間をそれぞれ示す。
【0020】
また、横軸に示した数字は出力された音響信号の個数を示し、図中の横ラインは出力された全ての音響信号から物音を検出するための信号パワーの閾値を示す。物音検出部102は、AD変換部101により出力された1番目〜8番目の音響信号のうち、閾値以上の信号パワーが出力された音響信号を物音として検出する。ここでは、物音検出部102は、閾値に満たない5番目の音響信号以外の音響信号を物音として検出する。
【0021】
分類部103は、物音検出部102により検出された物音を、周波数構造の類似度が所定の範囲内にある物音をまとめたグループに分類する。例えば、分類部103は、検出された物音に対して周波数構造の類似性を比較し、記憶部110に記憶された周波数類似度情報により類似度の高い物音を同一の音源から発生された音として1つのグループに分類する。
【0022】
分類部103は、周波数構造をフーリエ変換やLPCケプストラムによって求め、類似性を比較してもよい。図3は、音響信号の周波数構造の一例を示す図である。図3の上段は、縦軸に振幅を、横軸に時間を示す音響信号の一例である。また、図3の下段は、縦軸に信号パワーを、横軸に周波数を示す周波数構造の一例である。例えば、分類部103は、図3の上段に示す音響信号中のある一定区間を抽出し、フーリエ変換により周波数構造を算出する。なお、分類部103による周波数構造の算出には、フーリエ変換のほか線形予測分析等他の手法を用いても良い。
【0023】
図4は、周波数構造の特徴量の一例としてLPCケプストラム係数によって求められた包絡線の図である。分類部103は、算出した周波数構造を多項式で表し、包絡線を算出する。算出した包絡線の係数を音響信号の特徴量とする。
【0024】
また、分類部103は、音響信号の周波数構造から抽出した複数の特徴量を比較する。例えば、分類部103は、特徴量の2乗の差を求めることにより距離を算出し、記憶部110に記憶された周波数類似度情報から距離に応じて同じ物音と判断できる確率を算出する。同じ物音と判別できる確率は、どの程度の類似度までを同じ物音と判断するかを示す基準である。なお、分類の基準となる類似度の所定の範囲は、人の交通量等、物音検知装置100の設置環境に応じて任意に設定可能である。
【0025】
ここで、記憶部110に記憶された周波数類似度情報を求める方法について説明する。一般に、同一歩行内の足音の周波数構造は類似しているので、類似した周波数構造をもつ物音を抽出することにより同一歩行内の足音を分類できる。そこで、あらかじめ用意した足音のサンプルデータから周波数構造の特徴量として、例えば、LPCケプストラム係数を求め、同一歩行内の足音の距離の分布と、異なる歩行間の足音の距離の分布から、同一歩行内の足音と判別できる確率を算出する。
【0026】
図5は、LPCケプストラム係数により同一歩行内の足音と判別可能な確率を示す図である。図5で、横軸は足音のLPCケプストラム係数間の距離を示し、縦軸は同一歩行内の足音である確率を示す。一例として、分類部103は、検出された各物音の周波数構造の距離から、この判別確率曲線により、同一歩行内の足音である確率を求める。
【0027】
記憶部110は、物音データ、周波数類似度データ、周期算出参照データ、足音判断参照データ等を記憶する。ここで、物音データとは、分類部103により分類された音響データのことである。また、周波数類似度データとは、所定の周波数構造の特徴を示すデータのことであって、集音された物音の分類基準となる情報のことである。
【0028】
また、周期算出参照データとは、周期を算出する際に参照されるデータのことであり、例えば、周期を算出する際に変動させる周期Pの所定の範囲がある。さらに、足音判断参照データとは、検出された物音を足音と判断する際に参照されるデータのことであり、例えば、算出された周期の平均値の最大値の所定の範囲がある。
【0029】
図6は、音響信号の周波数構造による分類の一例を示す図である。図6に示す信号パワーは、図2下段に示した信号パワーであり、グループ1およびグループ2はそれぞれ分類部103により分類された物音のグループである。
【0030】
分類部103は、検出された物音の信号パワーそれぞれの周波数構造の類似度により物音をグループ1とグループ2に分類する。ここで、分類部103は、類似度の比較により1番目から8番目の音響信号のうち、1番目の音響信号と、3番目の音響信号と、7番目の音響信号とをグループ1に分類している。また、分類部103は、同様に2番目の音響信号と、4番目の音響信号と、6番目の音響信号と、8番目の音響信号とをグループ2に分類している。
【0031】
周期算出部104は、分類部103により分類されたグループごとに記憶部110に記憶された周期算出参照データを用いて物音の周期を算出する。ここでは、物音の周期として足音の周期を算出する。ここで、足音の周期を算出する上で、歩行周期について説明する。一般に歩行周期とは、一足目を最初に踏み出してから再び一足目と同じ足が接地するまでの動作のことである。図7は、一般的な歩行周期の説明図である。図7に示すように、例えば、最初に踏み出した右足の接地を接地(1)とし、次に踏み出した左足の接地を接地(2)とし、再度最初に踏み出した右足の接地を接地(3)とした場合、一般的に歩行周期は接地(1)〜接地(3)を一周期とされている。
【0032】
次に、本実施の形態における歩行周期について説明する。本実施の形態における歩行周期とは、一足目を踏み出してから次に踏み出した足が接地するまでの動作のことである。図8は、本実施の形態における歩行周期の説明図である。図7と同様に、例えば、最初に踏み出した右足の接地を接地(1)とし、次に踏み出した左足の接地を接地(2)とし、再度最初に踏み出した右足の接地を接地(3)とした場合、本実施の形態における歩行周期は接地(1)〜接地(2)を一周期とする。
【0033】
周期算出部104は、余弦関数の周期の値を所定の範囲で変動させて、同一のグループに分類された物音の信号パワーのピークに余弦関数が描く波形の変曲点の当てはめを行い、あてはまった余弦関数の周期の値を物音の周期と決定する。
【0034】
例えば、周期算出部104は、まず、以下の(1)式の周期Pを所定の範囲で変化させて、余弦関数の値を求める。
【数1】
ここで、yp、nは、周期Pのとき、n番目の物音がとる余弦関数の値とし、Pが示す周期として周期算出参照データが示す所定の範囲、例えば(0.1<P<2.0)が定められている。また、tnは最初に出力された物音を周期算出のための基準(時間t0=0)とした場合における、n番目に出力された物音の基準からの経過時刻(秒)とする。
【0035】
次に、周期算出部104は、以下の(2)式により算出された各周期における物音に対する余弦関数の値の平均値Spを求める。
【数2】
【0036】
次に、周期算出部104は、周期ごとに算出した余弦関数の値の平均値Spの最大値Smaxを求める。周期算出部104は、最大値Smaxがあらかじめ定めた閾値より大きければ、Smaxをとるときの周期をPrとし、小さければ周期性はないと判断する。ここでは、一歩の歩行に要する時間を0.3秒から0.9秒の範囲であるとし、0.3<Smax<0.9を満たす場合に、Smaxの値を歩行周期とする。
【0037】
図9を用いて物音の周期の算出方法を具体的に説明する。図9は、周期算出部104による物音の周期算出手順を示す説明図である。図9の上部に示すのは、分類された信号パワーである。まず、周期算出部104は、信号パワーのピークが出力された時間tを上記(1)式に周期Pを変化させながら当てはめていく。
【0038】
例えば、同一グループに分類された3つの物音のtはそれぞれ、t0=0(秒)(基準)、t1=0.65(秒)、t2=1.9(秒)とする。周期算出部104は、まず、周期P=0.2を代入した(1)式に3点のtをそれぞれ当てはめ、各点が取る余弦関数の値を求めると、
y0.2、t0=cos(2π×0/0.2)=1、
y0.2、t1=cos(2π×0.65/0.2)=0、
y0.2、t2=cos(2π×1.9/0.2)=−1となる。
周期算出部104は、これらの値から平均値を求める。ここでは、
S0.2=(y0.2、t0+y0.2、t1+y0.2、t2)/3=0となる。
【0039】
次に、周期算出部104は、周期P=0.6を代入した(1)式に3点のtをそれぞれ当てはめ、各点が取る余弦関数の値を求めると、
y0.6、t0=cos(2π×0/0.6)=1、
y0.6、t1=cos(2π×0.65/0.6)=0.87、
y0.6、t2=cos(2π×1.9/0.6)=0.5となる。
周期算出部104は、これらの値から平均値を求める。ここでは、
S0.6=(y0.6、t0+y0.6、t1+y0.6、t2)/3=0.79となる。
【0040】
周期算出部104は、図9に示すように、各ピークがとる三角関数の値が最大となる周期を求め、求めた周期を物音の周期と決定する。ここでは、周期P=0.2を代入した場合の平均値は0で、周期P=0.6を代入した場合の平均値は0.79であったので、平均値の最大値は0.79である。周期算出部104は、平均値の最大値が0.79となった場合に代入された周期Pの値0.6を当該グループの物音の周期と決定する。
【0041】
周期算出部104は、1つの物音の周期について最大となる周期を求めると、図9に示すように、次の物音の周期を上記の一連の処理により算出する。これにより、人の歩行周期が変化した場合、例えば、徒歩から駆け足に変化したような場合にも歩行周期を算出することができる。
【0042】
図10は、余弦関数の当てはめによる歩行周期の算出結果の一例を示す図である。図10の下段は、出力された足音の信号パワーを示し、横軸は最初の信号パワーの出力からの経過時間(秒)を示す。中段は、出力された信号パワーの中から抽出された閾値以上の信号パワーをもつ足音を示す。図10の下段の、経過時間1.0〜3.0秒付近では、一歩で足音が2回ずつ発生しており、従来のケプストラム分析では的確に周期を算出できないデータである。また、経過時間3.0〜4.0秒付近では、閾値に満たない信号パワーの出力が図示されており、この部分は足音の集音が欠落したと考えられ、これについても従来手法では検出不可能なデータである。
【0043】
図10の上段は、中段に示す抽出された足音のデータに本実施の形態の三角関数当てはめにより算出された一定の歩行周期を示す。ここでは、周期算出部104は歩行周期が0.71秒と算出したことを示している。
【0044】
判断部105は、周期算出部104により決定された物音の周期が、足音判断参照データが示す所定の範囲内であるか否かを判定し、所定の範囲内であると判定した場合に分類された物音を検出対象音であると判断する。例えば、周期Prが所定の範囲としてあらかじめ定められた0.3〜0.9秒の範囲内である場合、分類された物音を検出対象音である人の足音と判断する。なお、ここでは検出対象音を人の足音とするが、これに限定されず壁やドアを破壊する音等であってもよい。また、所定の範囲は、状況に応じて変更可能である。
【0045】
警報出力部106は、判断部105により分類された物音が足音であると判断された場合、警報を出力する。また、警報出力部106は、ネットワークにより監視センタに足音が検出された旨を通報する。
【0046】
次に、以上のように構成された物音検知装置100による物音検知処理の手順について説明する。図11は、物音検知装置100による物音検知処理の手順を示すフローチャートである。
【0047】
物音検出部102は、AD変換部101により変換されたディジタル音の中から連続する物音を検出する(ステップS1)。物音検出部102は、例えば、音響データの値の2乗平均平方根を求めることにより、信号パワーを算出し、検出した物音があらかじめ設定された閾値以上の信号パワーであるか否かを判定する(ステップS3)。
【0048】
分類部103は、物音検出部102により検出された物音が閾値以上の信号パワーであると判定された場合に(ステップS3:Yes)、周波数構造の類似性により物音をグループ分けする(ステップS4)。分類部103は、グループごとに物音のデータを記憶部110に蓄積する(ステップS5)。
【0049】
周期算出部104は、周期算出に必要な数だけデータが蓄積されたか否かを判定する(ステップS6)。周期算出部104は、周期算出に必要な数だけデータが蓄積されたと判定した場合に(ステップS6:Yes)、余弦関数の周期Pを指定された範囲で所定回数変化させる(ステップS7)。例えば、周期Pの範囲として、0.1<P<2.0が指定されている。
【0050】
周期算出部104は、蓄積されたデータごとに三角関数の値yを算出する(ステップS8)。周期算出部104は、蓄積されたデータごとに算出した三角関数の値yの平均値Sを算出する(ステップS9)。周期算出部104は、ステップS7に戻り、周期Pの変化を所定回数行うまでステップS7からステップS9までの処理を繰り返す。なお、所定回数はデータ量等に応じて任意に設定してよい。
【0051】
周期算出部104は、算出した平均値Sの最大値とそのときの周期Prを算出する(ステップS10)。判断部105は、Prが閾値の範囲内であるか否かを判断する(ステップS11)。ここで、判断部105は、Prが閾値の範囲内である場合に、検出された物音が足音であると判断する。警報出力部106は、判断部105によりPrが閾値の範囲内であると判断された場合は(ステップS11:Yes)、警報を出力する(ステップS12)。または、警報出力部106は、監視センタに通報する(ステップS13)。なお、警報出力部106は、警報の出力と監視センタへの通報を両方行ってもよい。
【0052】
このように、本実施の形態によれば、周期算出部104は三角関数の当てはめにより物音の周期を算出するので、例えば検出対象音である足音に揺らぎや欠落が発生した場合であっても、検出対象音の周期を算出することができる。
【0053】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、所定の閾値以上の信号強度が検出された音響信号が所定のグループに分類された。本実施の形態では、所定の閾値以上の信号強度が検出された音響信号のうち、さらに雑音が除去された音響信号が所定のグループに分類される。
【0054】
具体的には、本実施の形態の設置環境によっては、工事による掘削音等の周期性をもつ周期性雑音が生じる可能性がある。足音の場合、履物や床材の種類やその他の条件によって周波数特徴が異なるため、あらかじめ特徴のモデルを作成することが困難である。それに対し、周期性雑音は周波数特徴が明確なため、あらかじめ作成されたモデルをフィルタ処理に用いる。
【0055】
図12は、第2の実施の形態にかかる物音検知装置300の構成を示すブロック図である。図12に示すように、物音検知装置300は、監視対象に複数配置され、監視対象を含む音源から発生される物音を集音するマイクロホン200と接続されている。図12では省略しているが、物音検知装置300は、物音検知装置100と同様にネットワークを介して監視センタに接続されている。また、マイクロホン200は第1の実施の形態と同様である。
【0056】
物音検知装置300は、AD変換部101と、物音検出部102と、雑音除去部301と、分類部103と、周期算出部104と、判断部105と、警報出力部106と、記憶部110と、雑音情報記憶部310とを主に備える。なお、雑音除去部301と、雑音情報記憶部310以外の各部の機能および構成は第1の実施の形態と同様である。
【0057】
雑音情報記憶部310は、所定の周波数構造の特徴を示すデータを雑音の周波数特徴データとして記憶する。例えば、連続する特定音として検出される足音以外の音として工事の音等がある。この場合、雑音情報記憶部310は、雑音の周波数特徴データとして、工事の音の種類や強度を示す閾値や、雑音の特徴量を記憶する。なお、雑音はこれに限定されず、検出対象以外の音であればいずれであってもよい。
【0058】
雑音除去部301は、物音検出部102により特定音として検出された物音から雑音を除去する。雑音除去部301は、特定音として検出された物音の周波数構造を、雑音情報記憶部310に記憶されている雑音の周波数特徴データと比較し、雑音の周波数特徴データが示す閾値と一致する周波数構造をもつ物音を雑音と判定し、除去する。例えば、雑音除去部301は、雑音情報記憶部310に記憶された雑音の特徴量と、マイクロホン200から集音された物音の特徴量とを比較し、特徴量の類似度が高い場合、採取された物音は雑音であると判断する。なお、この手法は第1の実施の形態で説明した分類部103による分類の手法と同様である。
【0059】
また、他の例として、本実施の形態の検知対象である足音は、監視範囲の床面から発生するので、雑音除去部301は、指向性マイクロホン等を用いて床面からの物音のみを集音することにより、他方向で生じている雑音の集音を排除することもできる。指向性を持つマイクロホンには一般的なガンマイクやパラボラ式の指向性マイクロホンを適用可能である。また、複数のマイクロホンを用い信号処理により指向性を持たせることができるマイクロホンアレーを適用してもよい。
【0060】
次に、以上のように構成された物音検知装置300による物音検知処理の手順について説明する。図13は、物音検知装置300による物音検知処理の手順を示すフローチャートである。
【0061】
ステップS21〜ステップS23の処理は、第1の実施の形態で説明した図11のフローチャートのステップS1〜ステップS3の処理と同様である。
【0062】
ステップS24において、雑音除去部301は、物音検出部102により閾値以上であると判定された物音が、雑音でないか否かを判定する(ステップS24)。例えば、雑音除去部301は、物音検出部102により閾値以上であると判定された物音の周波数構造の特徴が雑音の周波数特徴データと一致する場合に、当該物音を分類対象から除去する。
【0063】
ステップS25〜ステップS34までの処理は、第1の実施の形態で説明した図11のフローチャートのステップS4〜ステップS13の処理と同様である。
【0064】
なお、本実施の形態では足音を検出対象音として説明したが、検出対象音はこれに限定されず周期性のある音であれば適用可能である。
【0065】
このように本実施の形態によれば、集音された物音のうち雑音の周波数構造の特徴が雑音の周波数特徴データと一致するか否かを判定し、一致すると判定された物音を分類対象から除去するので、誤検知を防止することができる。
【符号の説明】
【0066】
100、300 物音検知装置
101 AD変換部
102 物音検出部
103 分類部
104 周期算出部
105 判断部
106 警報出力部
110 記憶部
301 雑音除去部
310 雑音情報記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された音から連続する複数の物音の信号を検出する検出部と、
検出された前記複数の物音に、三角関数が描く波形の変曲点が合致するように前記三角関数の周期を変動させ、前記物音に前記変曲点が合致した前記波形の周期を前記物音の周期と決定する周期算出部と、
決定された前記物音の周期が所定の範囲内であるか否かを判断し、前記物音の周期が前記範囲内であると判断した場合に、検出された前記複数の物音が検出対象音であると判断する判断部と、
を備えたことを特徴とする物音検知装置。
【請求項2】
前記周期算出部は、前記複数の物音のうち最初の物音の検出時点からの経過時間を前記三角関数にそれぞれ代入し、同一の前記物音の周期を用いて算出された前記三角関数の値の平均値を周期の値を変動させた前記三角関数ごとに求め、求められた全ての前記平均値の中から最大値を取得し、
前記判断部は、取得された前記最大値が所定の範囲内であるか否かを判断し、前記物音の周期が前記範囲内であると判断した場合に、検出された前記複数の物音が検出対象音であると判断すること、
を特徴とする請求項1に記載の物音検知装置。
【請求項3】
検出された前記複数の物音を周波数特性に基づいて分類する分類部、
をさらに備え、
前記周期算出部は、分類された前記複数の物音ごとに、前記物音の周期を決定すること、
を特徴とする請求項1に記載の物音検知装置。
【請求項4】
検出された前記複数の物音が前記検出対象音であると判断された場合に警報を出力する出力部、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の物音検知装置。
【請求項5】
前記検出対象音は、人の足音であること、
を特徴とする請求項3に記載の物音検知装置。
【請求項6】
検出された音の周波数特徴に基づいて前記検出された音が雑音であるか否かを判断し、前記検出された音が前記雑音であると判断された場合に、検出された記音を前記分類部による分類対象から除去する雑音除去部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の物音検知装置。
【請求項7】
入力された音から連続する複数の物音の信号を検出する検出ステップと、
検出された前記複数の物音に、三角関数が描く波形の変曲点が合致するように前記三角関数の周期を変動させ、前記物音に前記変曲点が合致した前記波形の周期を前記物音の周期と決定する周期算出ステップと、
決定された前記物音の周期が所定の範囲内であるか否かを判断し、前記物音の周期が前記範囲内であると判断した場合に、検出された前記複数の物音が検出対象音であると判断する判断ステップと、
を含むことを特徴とする物音検知方法。
【請求項8】
物音検知装置と、前記物音検知装置にネットワークで接続された監視センタとを備えた物音検知システムであって、
前記物音検知装置は、
入力された音から連続する複数の物音の信号を検出する検出部と、
検出された前記複数の物音に、三角関数が描く波形の変曲点が合致するように前記三角関数の周期を変動させ、前記物音に前記変曲点が合致した前記波形の周期を前記物音の周期と決定する周期算出部と、
決定された前記物音の周期が所定の範囲内であるか否かを判断し、前記物音の周期が前記範囲内であると判断した場合に、検出された前記複数の物音が検出対象音であると判断する判断部と、
検出された前記複数の物音が前記検出対象音であると判断された場合に前記監視センタに警報を出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする物音検知システム。
【請求項1】
入力された音から連続する複数の物音の信号を検出する検出部と、
検出された前記複数の物音に、三角関数が描く波形の変曲点が合致するように前記三角関数の周期を変動させ、前記物音に前記変曲点が合致した前記波形の周期を前記物音の周期と決定する周期算出部と、
決定された前記物音の周期が所定の範囲内であるか否かを判断し、前記物音の周期が前記範囲内であると判断した場合に、検出された前記複数の物音が検出対象音であると判断する判断部と、
を備えたことを特徴とする物音検知装置。
【請求項2】
前記周期算出部は、前記複数の物音のうち最初の物音の検出時点からの経過時間を前記三角関数にそれぞれ代入し、同一の前記物音の周期を用いて算出された前記三角関数の値の平均値を周期の値を変動させた前記三角関数ごとに求め、求められた全ての前記平均値の中から最大値を取得し、
前記判断部は、取得された前記最大値が所定の範囲内であるか否かを判断し、前記物音の周期が前記範囲内であると判断した場合に、検出された前記複数の物音が検出対象音であると判断すること、
を特徴とする請求項1に記載の物音検知装置。
【請求項3】
検出された前記複数の物音を周波数特性に基づいて分類する分類部、
をさらに備え、
前記周期算出部は、分類された前記複数の物音ごとに、前記物音の周期を決定すること、
を特徴とする請求項1に記載の物音検知装置。
【請求項4】
検出された前記複数の物音が前記検出対象音であると判断された場合に警報を出力する出力部、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の物音検知装置。
【請求項5】
前記検出対象音は、人の足音であること、
を特徴とする請求項3に記載の物音検知装置。
【請求項6】
検出された音の周波数特徴に基づいて前記検出された音が雑音であるか否かを判断し、前記検出された音が前記雑音であると判断された場合に、検出された記音を前記分類部による分類対象から除去する雑音除去部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の物音検知装置。
【請求項7】
入力された音から連続する複数の物音の信号を検出する検出ステップと、
検出された前記複数の物音に、三角関数が描く波形の変曲点が合致するように前記三角関数の周期を変動させ、前記物音に前記変曲点が合致した前記波形の周期を前記物音の周期と決定する周期算出ステップと、
決定された前記物音の周期が所定の範囲内であるか否かを判断し、前記物音の周期が前記範囲内であると判断した場合に、検出された前記複数の物音が検出対象音であると判断する判断ステップと、
を含むことを特徴とする物音検知方法。
【請求項8】
物音検知装置と、前記物音検知装置にネットワークで接続された監視センタとを備えた物音検知システムであって、
前記物音検知装置は、
入力された音から連続する複数の物音の信号を検出する検出部と、
検出された前記複数の物音に、三角関数が描く波形の変曲点が合致するように前記三角関数の周期を変動させ、前記物音に前記変曲点が合致した前記波形の周期を前記物音の周期と決定する周期算出部と、
決定された前記物音の周期が所定の範囲内であるか否かを判断し、前記物音の周期が前記範囲内であると判断した場合に、検出された前記複数の物音が検出対象音であると判断する判断部と、
検出された前記複数の物音が前記検出対象音であると判断された場合に前記監視センタに警報を出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする物音検知システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−58340(P2012−58340A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199244(P2010−199244)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】
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