説明

特に工作機械の、傾斜した駆動軸の特性量の確定方法、並びにその適切な使用方法、対応する装置及びその使用方法

【課題】特に機械の傾斜した駆動軸の特性量を確定するための方法において従来の問題点を解決し得る方法を提供する。
【解決手段】機械の駆動軸の少なくとも1つの特性量K1〜K8を確定するための方法であって、軸は回転式の駆動ユニットないし直線式の駆動ユニットを用いて駆動され、軸のあらかじめ与えられた変位経路に沿って駆動ユニットに作用する順方向及び逆方向のトルクMF、MRないしそれに対応する力が測定され、エネルギーを保存するモーメントK2〜K4、K8ないしエネルギーを保存する力及び摩擦に依存するモーメントK1、K5〜K7ないし摩擦に依存する力の少なくともいずれかが、所属のトルクないし力の値の計算による重畳によって、方向に依存しない少なくとも1つの特性量K1〜K8として確定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの特性量、特に機械の傾斜した駆動軸の特性量、を確定するための方法に関する。この軸は、回転式の駆動ユニット及び直線式の駆動ユニットの少なくともいずれかを用いて駆動される。軸の所定の変位経路に沿って、駆動ユニットに作用するトルクないしそれに対応する力が測定される。
【0002】
本発明はさらに、上述の方法の好適な利用に関する。本発明は加えて、上述のような少なくとも1つの特性量を確定するための好適な測定及び評価ユニット並びにそのような測定及び評価ユニットの好適な利用に関する。最後に本発明は、機械の制御及び監視のための制御機器並びにそのような制御機器を有する機械、特に工作機械に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の技術から、例えば工作機械のような機械の機能を監視するための方法は一般的に知られている。その監視の代表的なものは、確定された作動パラメータ又は適切な特性量に基いて行われる。1つ又は複数の軸を有する機械において、特に軸の動きを記述するための特性量が知られている。その特性量は例えば最小、最大の又は平均のトルクである。これらの回転性の特性量は、それぞれの機械軸の駆動が回転式の駆動ユニットによって行われる場合には有利である。そのような駆動ユニットはたいていの場合(回転式の)電動機を有し、この電動機はスピンドル駆動を介して機械の対応する軸を直線的に動かす。その駆動ユニットはさらに周波数変換器を含むことができ、その際周波数変換器は電動機に給電する。回転性の特性量は代表的には同期テストにおいて確定される。そのため、駆動ユニットに作用するトルクがあらかじめ与えられた一定の変位速度において測定される。そのようにして確定された特性量は、比較値又は限界値を上回るか下回るかについて監視することができる。
【0004】
水平に配置された軸の場合には、同期テストにおいて測定されたトルクは摩擦トルクに相当し、この摩擦トルクは駆動ユニットによって軸の摩擦を補償するために調達されなければならない。例えば測定された平均のトルク(この場合平均摩擦トルクに相当する)が比較値を越えると、このことは摩擦が高まり、したがって軸構成要素の磨耗又は潤滑油の注油の不足を示唆している可能性がある。そして相応する警報が自動化されて専門サービスマンに与えられる。
【0005】
軸の駆動ユニットがリニアモータによる直線式駆動である場合には、リニアモータへ電気的に供給されるエネルギーは直接軸の直線的変位運動に変換することができる。この場合並進的(トランスレーショナル)な特性量が軸の動きを記述するためにはより有利である。そのような特性量は、回転性の模範的な特性量に類似して、最小、最大又は平均の力である。
【0006】
水平に置かれた軸の場合には、どの方向に、即ち順方向又は逆方向にトルクないし軸力が測定されるかは原則的には些細なことである。何故ならエネルギーを保持する力又はモーメントは軸を介して駆動ユニットに作用しないからである。もちろん、例えば軸の案内路における締め付け個所のような方向に依存する外乱量により、特性量の方向に依存する別々の確定及び従って別々の監視が必要になることがあり得る。
【0007】
それに対し、各軸が水平に方向づけられていない、例えば垂直になっている、又は傾斜路のように傾斜している場合には、重さが経路に依存しない力として一つの方向にのみ作用する。そのような軸は「傾斜した」軸とも言われる。この力はしたがって軸の変位のために一方向にはより高く、反対方向にはより低い。言い換えれば、軸がより高いエネルギーレベルへ変位されるべき場合にはより高いトルクが必要である。逆の場合には必要なトルクはより小さい。軸の勾配に従ってそのトルクは負でもあり得る。この場合には駆動ユニットは軸にブレーキをかける。
【0008】
それぞれの軸はまた2つ又は複数の駆動部を用いて変位させることも可能で、その場合調節される駆動部は互いに結合されている。この場合結合された駆動部という。ここでは、例えば駆動部の測定システムにおけるゼロ点または参照点が互いに異なる場合には、1つ又は複数の駆動部が部分的に「対立的に」動作する場合が生じ得る。駆動部はその際全変位経路にわたって又は部分的にのみ、また位置に依存した異なる力で相互に動作することがある。例えば、軸を同じ変位方向に駆動する2つの駆動部が存在し得る。第2の駆動部が第1の駆動部に比し若干小さいトルクないし若干小さい力を持つ場合、第2の駆動部は第1の駆動部にブレーキをかけるようにないし駆動するように作用する。全駆動部に対しては、経路に依存しない重さ傾斜した軸のように作用する、しかも軸の取付位置、すなわち水平状、傾斜状又は垂直状に左右されることなく作用するように見える。したがって以下の考察は、少なくとも部分的に重力のように軸に作用するような効果をも含む。
【0009】
そのことに関して、トルクないし軸力の方向に依存する検出及び監視が必要であることが不利である。共通の限界値はしたがって両方向に対し使用できない。また、重力の重畳作用によって、特に数値的に比較的小さい、摩擦に依存する特性量の監視がまずは全く不可能ないしは比較的不正確である。
【0010】
従来技術からさらに、弾性力を基礎とする弾性式の重量調整を持った傾斜した軸は知られている。弾性力は例えば液圧式又は空気圧式の手段で、又はばね力を用いて発生させることができる。もちろんこの重量調整は重さの作用を全経路にわたって補償し得るものではない。したがって経路の部分においては弾性の妨害力が現れ、この妨害力は、一方向における必要とするトルクないし必要とする力が経路と共に直線的に増大し、一方その必要とする力が反対方向においては直線的に減少するように現れる。
【0011】
弾性式の重量調整は、平均のトルク値ないし力の値が両運動方向に対しほぼ適応することを可能にする。もちろん最小値及び最大値は、通常は経路にわたって直線的に変化しない弾性力によって決められている。これらの特性量は、機械のそれぞれの軸の運動の容易性及び磨耗の監視には考慮に入れられず不都合である。同時に、特に運転中に現れる妨害力の監視はほとんど不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の従来技術から出発して、本発明の1つの課題は前に挙げた問題点を取り除く方法を提供することにある。
【0013】
本発明の別の課題は、方法に対応する測定及び評価ユニット、そのような測定及び評価ユニットを持った制御機器並びにそのような制御機器を持った機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の課題は、請求項1の特徴によって解決される。方法の有利な変形は従属請求項2〜10に挙げられている。請求項11及び12には方法の適切な用途即ち使用方法が示されている。独立請求項13には、機械特に工作機械の少なくとも1つの特に傾斜した駆動軸の少なくとも1つの特性量を確定するための測定及び評価ユニットが挙げられている。請求項14〜19には、測定及び評価ユニットの有利な実施形態が示されている。請求項20には、そのような測定及び評価ユニットの適切な用途即ち使用方法が示されている。請求項21には、そのような測定及び評価ユニットを有する機械を制御及び監視するための制御機器が示されている。請求項22には、そのような制御機器を有する機械、特に工作機械が示されている。請求項23及び24には、機械の有利な実施形態が示されている。
【0015】
本発明によれば、順方向及び逆方向のトルクないし力が測定される。一方ではエネルギーを保存するモーメントないしエネルギーを保存する力、及び、他方では摩擦に依存するモーメントないし摩擦に依存する力、の少なくともいずれかが、所属のトルクの値又は力の値の計算による重畳によって、少なくと1つの方向に依存しない特性量として確定される。
【0016】
検出されたトルクないし力を損失を含む特性量とエネルギーを蓄積する特性量に本発明に従い分離することは、正確な監視の可能性を有利に可能にする。特に、主に摩擦を含む体質又はエネルギーを蓄積する体質である機械構成要素のより正確な監視が可能である。別の利点は、新しい特性量が方向に依存しないことである。それぞれ異なる比較値又は限界値による方向に依存する監視はしたがってもはや必要としない。さらに、本発明による分割は、摩擦に依存する特徴的に絶対値が小さい特性量のより正確な監視を可能にする。
【0017】
エネルギーを保存するモーメントは、例えば、軸を介して駆動ユニットに作用する重さを補償するようなモーメントである。それと対応するように、エネルギーを保存する力は、直線式の駆動ユニットに作用する重さを補償するような力である。その際、その方向に依存する駆動ユニットへの作用は、大きいほど急勾配で軸を通る。
【0018】
特に、エネルギーを保存するモーメントは、加えて軸を介して駆動ユニットに作用する弾性力を補償するようなモーメントである。それと対応するように、エネルギーを保存する力は、加えて対応して作用する弾性力を補償するような力である。弾性モーメントないし弾性力は、例えば、軸の経路に依存して圧縮されるないし減圧される空気圧式緩衝器に基くことができる。
【0019】
一実施形態によれば、トルクないし力はあらかじめ与えられた一定の変位速度において順方向及び逆方向に測定される。それによって、慣性力及び速度に左右される摩擦力の測定への測定技術的な影響が阻止される。測定は、機械の運転開始時、又は機械の設定時ないし校正時に行われるのが有利である。
【0020】
以上に代えて又は付加して、トルクのために、それぞれ属する変位速度が順方向及び逆方向に測定される。したがって、エネルギーを保存するモーメント及び摩擦に依存するモーメントの少なくとも一方を、所属の加速度に依存する慣性力及び速度に依存する摩擦力の計算による考慮のもとに、トルク値の計算による重畳によって確定することができる。対応するエネルギーを保存する力及び摩擦に依存する力の少なくとも一方を、類似の方法で確定することができる。
【0021】
この方法の変形例は、先の変形例に対し測定及び計算技術上の費用を多く要する。しかしながらこの方法は、機械の運転を持続しながら方向に依存しない新しい特性量を確定することができ有利である。この方法の変形例によって、検出されたトルク又は力の値の速度及び方向に依存した相応の重み付けを使用して新しい特性量のいわば規格化が可能である。
【0022】
別の実施形態に従って、トルクないし力の値が軸の変位経路に依存して測定される。変位経路検出は別の経路ピックアップを用いて変位経路の範囲で行うことができる。変位経路検出は、上記に代えて例えば電動機に取り付けられた回転検出器を介して確定することができる。
【0023】
有利な実施形態に従えば、計算により確定された少なくとも1つの特性量が各比較値と比較される。比較値と許容されないずれがある場合には警報が出される。比較値は例えば上限値及び下限値の少なくとも一方であり得る。例えば計算により確定された摩擦モーメントが、機械の軸の磨耗が高すぎることを示す上限値と比較される。
【0024】
特に、計算により確定されエネルギーを保存し方向に依存しない特性量は、モーメントオフセット、最大保存のモーメント、最小保存のモーメント、又は弾性力のモーメント傾向である。類似の並進的な観点でこの特性量は、力オフセット、最大保存の力、最小保存の力又は弾性力の力傾向である。
【0025】
モーメントないし力オフセットは、すべてのトルクないし力の値の平均値がそれぞれ軸の順方向ならびに逆方向に軸の全変位経路にわたってとりわけ一定の速度において形成されることによって形成される。モーメントないし力オフセットは、順方向及び逆方向すなわち上方及び下方における平均の力の平均値から形成される。そのオフセットは、例えば重さのような一定の外力を補償するために必要となる平均のトルクないし平均の力を記述する。
【0026】
最大保存するモーメントは、変位経路の各位置に対し、順方向及び逆方向のトルクの平均値の半分が計算され、それから絶対最大値が形成されることによって形成される。最大保存するモーメントは、エネルギーを保存する最大のトルクを補償するトルクを記述する。対応する仕方で、最大保存する力の確定は対応する力の値に基いて行われる。
【0027】
最小保存するモーメントは、変位経路の各位置に対し、順方向及び逆方向におけるトルクの平均値の半分が計算され、それから絶対最小値が形成されることによって形成される。最小保存するモーメントは、エネルギーを保存する最小のトルクを補償するトルクを記述する。対応する仕方で、最小保存する力の確定は対応する力の値に基いて行われる。
【0028】
トルクないし力が変位経路とほぼ直線的に変化する場合には、従来の直線的傾向が摩擦に依存する傾向と「弾性の」エネルギーを保存する傾向とに分けられるのが有利である。直線的な傾向は、一般に各方向におけるトルク経過による直線的内挿であり、数学的な意味における勾配である。
【0029】
弾性力のモーメント傾向は、変位経路の各位置に対し順方向における直線的傾向及び逆方向における直線的傾向からの平均値の半分が確定されることによって形成される。この新しい特性量は方向に左右されず、しかしながら弾性式の重量調整の弾性振舞いに応じて変位経路の異なる位置において異なる値を有し得る。相応する仕方で、弾性力の力傾向の確定は対応する力の値に基いて行われる。
【0030】
さらに、計算によって確定される摩擦に依存し方向に依存しない特性量は、特に平均の摩擦モーメント、最大の摩擦モーメント、最小の摩擦モーメント又は摩擦モーメントのモーメント傾向である。類似の並進的な観点において、この特性量は平均の摩擦力、最大の摩擦力、最小の摩擦力又は摩擦力の力傾向である。
【0031】
平均の摩擦力は、順方向のトルクの平均値と逆方向のトルクの平均値の差の半分から形成される。それは摩擦を克服するために必要なモーメントを記述する。相応する仕方で、平均の摩擦力の確定は対応する力の値に基いて行われる。
【0032】
最大の摩擦モーメントは、変位経路の各位置に対し順方向及び逆方向のトルクの差の最大値の半分が形成されることによって確定される。それは軸の最大摩擦力を補償するために必要なトルクを記述する。相応する仕方で、最大の摩擦力の確定は対応する力の値に基いて行われる。
【0033】
最小の摩擦モーメントは、変位経路の各位置に対し順方向及び逆方向のトルクの差の最小値の半分が形成されることによって確定される。それは軸の最小摩擦力を補償するために必要なトルクを記述する。相応する仕方で、最小の摩擦力の確定は対応する力の値に基いて行われる。
【0034】
摩擦力のモーメント傾向は、変位経路の各位置に対し順方向及び逆方向の直線的傾向の差の半分が確定されることによって形成される。この新しい特性量は方向に依存せず、例えば軸の案内の調整がよくないことによって変位経路とほぼ直線的に摩擦力が変化する場合に有利である。相応する仕方で、摩擦力の力傾向の確定は対応する力の値に基いて行われる。
【0035】
結局のところ、機械の複数の駆動軸に対して、例えば通常多数の軸を有する工作機械において、少なくとも1つの特性量を確定することができる。
【0036】
相応する仕方で、別の、特に詳しく論じられるものではない特性量が、両運動方向に対し記録されるトルク経過ないし軸力経過から、摩擦力に基づく部分とエネルギーを保存する力に基く部分に分解することができる。これらの特性量はさらに異なる重み付けを有することができる。
【0037】
ここに示された計算方法においては、正の方向の動きに対しては正のトルクが、負の方向の動きに対しては負のトルクが測定されることから出発した。正の方向に対しては順方向が、負の方向に対しては逆方向が仮定された。他の分類においては当該特性量は相応するように変更されるべきである。
【0038】
機械の少なくとも1つの駆動軸の少なくとも1つの特性量の監視のための本発明に従う方法は、特に機械の運転開始時、設定時、運転継続中の少なくともいずれかにおいて使用することができる。それに代えて又はそれに加えて、自動化技術や製造技術においても有利に使用することができる。
【0039】
本発明の課題はさらに、機械の少なくとも1つの特に傾斜した駆動軸の少なくとも1つの特性量を確定するための測定及び評価ユニットによって解決される。機械のそれぞれの軸は回転式の駆動ユニット及び直線式の駆動ユニットの少なくともいずれかを用いて駆動可能である。測定及び評価ユニットは、信号技術及びデータ技術の少なくともいずれかにより、それぞれの軸のトルクないし力を測定するためトルクセンサないし力センサと結合可能であり、またそれぞれの軸の変位経路の経路検出のための経路検出器と結合可能である。測定及び評価ユニットは、順方向及び逆方向におけるそれぞれの軸のトルクないし力を測定技術的に検出するための手段を有する。このユニットはさらに、一方ではエネルギーを保存するモーメントないし力、及び他方では摩擦に依存するモーメントないし力の少なくともいずれかを、所属のトルク又は力の値との計算による重畳によって少なくとも1つの方向に依存しない特性量として計算により確定するための手段を有する。
【0040】
測定及び評価ユニットは例えばPC又はコンピュータであってよく、それは始動又は設定作業の枠組において機械に接続される。このユニットはまた、例えばインタネットのようなデータネットワークを介して機械の制御ユニットと結合することができる。典型的な仕方ではデータの形で測定及び評価ユニットに伝送されるトルク値ないし力の値は、次いで測定及び評価ユニットによって評価することができる。
【0041】
一実施形態に従えば、測定及び評価ユニットはそれぞれの軸の変位経路に依存するトルクないし力の値を検出するための手段を有する。そのため測定及び評価ユニットは、機械の経路検出器又は回転検出器の信号を検出するのに適切な信号入力端を備えることができる。典型的には、位置に依存するトルクないし力の値は機械の制御ユニットに既に存在し、その結果これらの値は測定及び評価ユニットによって電子的手段で読み出したり又は呼び出したりすることができる。
【0042】
別の実施形態に従えば、測定及び評価ユニットは順方向及び逆方向におけるそれぞれの軸の変位速度を計算するための手段を有する。ユニットはさらに、エネルギーを保存するモーメント及び摩擦に依存するモーメントの少なくとも一方を、所属の加速度に依存する慣性力及び速度に依存する摩擦力の計算による考慮のもとに、検出されたトルクの計算による重畳によって確定するための手段を有する。それに代えて又はそれに加えて、測定及び評価ユニットは、対応しエネルギーを保存する力及び摩擦に依存する力の少なくとも一方を、相応の力の値の重畳によって確定するための手段を有することができる。
【0043】
特に利点とするのは、新しい特性量の確定が機械の運転が持続しているときに可能なことである。さもなければ必要とする運転の中断を必要としない。測定及び評価ユニットにおいては、そのため機械の動的振舞を記述する機械の相応の数学的モデルを保管することができる。
【0044】
別の実施形態に従えば、測定及び評価ユニットは計算により確定された少なくとも1つの特性量を出力するための出力手段を有することができる。新しい特性量は例えば測定及び評価ユニットのディスプレイ上に表示させることができる。
【0045】
特に、測定及び評価ユニットは、確定された少なくとも1つの特性量をそれぞれの比較値と計算により比較するための比較手段及び比較値と許容できないずれのある場合にそれぞれの警報を出力するための別の出力手段を有する。それによって、例えばSMS(ショートメールサービス)又は通報テキストのような自動化された指示が専門サービスマンに与えることができる。
【0046】
測定及び評価ユニットの上述の手段は好ましくはプロセッサ又はマイクロコントローラであり、それらの上で相応して適切なソフトウェアプログラムが実行される。ソフトウェアプログラムには、平均値形成、差形成、最大値及び最小値形成のような前述の数学的計算仕様が描かれている。
【0047】
方法に類似して、計算により確定可能な、エネルギーを保存し方向に依存しない特性量は、好ましくは、モーメントオフセット、最大保存するモーメント、最小保存するモーメント又は弾性力のモーメント傾向ないし力オフセット、最大保存する力、最小保存する力又は弾性力の力傾向である。確定可能で摩擦に依存し方向に依存しない特性量は、好ましくは平均の摩擦モーメント、最大の摩擦モーメント、最小の摩擦モーメント又は摩擦力のモーメント傾向ないし平均の摩擦力、最大の摩擦力、最小の摩擦力又は摩擦力の力傾向である。
【0048】
本発明による測定及び評価ユニットは、機械、特に工作機械のそれぞれ特に傾斜した駆動軸の少なくとも1つの特性量を、機械の運転開始時、設定時、及び運転持続中の少なくともいずれかにおいて監視するために有利に使用することができる。
【0049】
さらに本発明の課題は、機械を制御及び監視するための制御機器によって解決される。その機械は特に工作機械であり、この機械は、制御機器を介して操作可能な少なくとも1つの回転式駆動ユニット及び少なくとも1つの特に傾斜した軸を直線式に操作するための直線式駆動ユニットの少なくとも一方を有する。さらに機械はそれぞれの軸のトルクないし力の測定のためのトルクセンサないし力センサ並びにそれぞれの軸の変位経路の経路検出のための経路検出器を有する。信号技術的及びデータ技術的の少なくとも一方により機械と結合ないし接続可能な本発明による制御機器は、その際このような測定及び評価ユニットを有する。
【0050】
制御機器は特にいわゆるCNC(コンピュータ数値制御)であり、それは典型的には軸の運動路を制御するための制御ユニット及び論理制御いわゆるプログラム可能な論理制御のための制御ユニットを有する。測定及び評価ユニットないしその機能性は制御機器内に組み込まれるのが有利である。典型的には制御機器は信号技術的及びデータ技術的の少なくとも一方によって機械のすべてのセンサと結ばれているから、原則的には、測定及び評価ユニットにより処理すべきトルクの値ないし力の値並びに軸の各現在の変位位置は制御機器に既に存在する。理想的な場合には、測定及び評価ユニットは、制御ユニットのプログラムメモリ中に、特に軸に対する経路制御のプログラムメモリ中に、保管されたソフトウェアルーチンである。
【0051】
最後に、本発明の課題は、このような制御機器及び制御機器を介して操作可能な回転式駆動ユニット及び各特に機械の傾斜した軸の直線的変位のための直線式の駆動ユニットの少なくとも一方を有する機械、特に工作機械によって解決される。
【0052】
典型的には、少なくとも1つの回転式駆動ユニットは、それぞれ周波数変換器、電動機及び電動機の回転運動を各軸の直線的変位運動に変換するためのスピンドル駆動部を有する。各駆動ユニットの周波数変換器は電動機電流を検出するための電流センサを有する。制御機器は、電流センサを用いて検出された電流値から現に電動機に作用するトルクを計算するための手段を有する。
【0053】
周知のように、トルクを形成する電動機電流と対応するトルクとの間には基本的に直線的関係が存在する。この直線的関係は通常いわゆるトルク定数によって記述される。言い換えれば、軸の新しい特性量を確定するために必要なトルク値は、駆動制御のために既に検出された電流値から直接導き出すことができる。
【0054】
従前の実施形態に代えて又はそれに加えて、少なくとも1つの直線的な駆動ユニットは、各1つの周波数変換器及び各軸を変位させるためのリニアモータを有する。各駆動ユニットの周波数変換器はリニアモータ電流を検出するための電流センサを有する。制御機器は、電流センサを用いて検出された電流値から現にリニアモータに作用する力を計算するための手段を有する。
【0055】
新しい特性量を計算するために必要な力の値は、相応する仕方で、既に検出されたリニアモータのモータ電流値から導き出すことができる。この場合モータ電流と軸の力との間の比例係数はいわゆる力係数である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
<実施例>
本発明及び本発明の有利な構成を以下図面について説明する。
【0057】
図1は本発明に基く方法を図解するための流れ図である。
【0058】
「Start」と書かれたプロセスステップ100は、請求項1の上位概念に対応して、機械1の特に傾斜した駆動軸5の少なくとも1つの特性量K1〜K8を確定するための既知の特徴プロセスを含む。プロセスステップ101においては、本発明に従い順方向及び逆方向におけるトルクMF、MRないし力が測定される。プロセスステップ102においては、さらに本発明により、一方ではエネルギーを保存するモーメントK2〜K4、K8ないしエネルギーを保存する力及び他方では摩擦に依存するモーメントK1、K5〜K7ないし摩擦に依存する力の少なくともいずれかが、所属のトルク又は力の値の計算による重畳によって少なくとも1つの方向に依存しない特性量K1〜K8として確定される。符合103によって本発明による方法の終わりが示されている。
【0059】
図2は、新しい、模範的に回転性の特性量K1〜K8を確定するための各計算仕様21〜8を示す。
【0060】
MFによって順方向におけるトルクないし所属のトルク値が示されている。MRによって逆方向におけるトルクないし所属のトルク値が示されている。トルク値MF、MRはすべての新しい特性量K1〜K8の計算に入り込む。
【0061】
模範的に8つの計算仕様21〜28が、図において上から下へ平均摩擦モーメントK1、モーメントオフセットK2、最大保存するモーメントK3、最小保存するモーメントK4、最大の摩擦モーメントK5、最小の摩擦モーメントK6、摩擦力のモーメント傾向K7及び弾性力のモーメント傾向K8を確定する。さらに別の計算仕様、すなわち測定されたトルク値の摩擦に依存する部分とエネルギーを保存する部分とへの分割を記述する計算仕様が考えられる。この別の計算仕様はそのため所定のトルク値、算術的又は幾何学的重み付け等への適切な規格化を含むことができる。
【0062】
図2に示される計算仕様21〜28は、類似の仕方で対応する並進的な特性量K1〜K8を確定するための並進的な軸力値へ転用可能である。
【0063】
特に特性量K2〜K4、K8はエネルギーを保存するモーメントであり、軸を介して駆動ユニットへ作用する重力を補償する。これらのモーメントはさらに軸を介して駆動ユニットに作用する弾性力を少なくとも部分的に補償することができる。弾性力は例えば空気圧式又は液圧式の平衡要素に基くことができる。
【0064】
トルク値MF、MRは、あらかじめ与えられた一定の変位速度において順方向及び逆方向に測定されるのが好ましい。それに代えて、新しい特性量K1〜K8を確定するため、トルク値MF、MRに所属する各変位速度がそれぞれ順方向及び逆方向に測定されることも可能である。そうして新しい特性量K1〜K8は、所属の加速度に依存する慣性力及び速度に依存する摩擦力の計算による考慮のもとにトルク値MF、MRの計算による重畳によって規格化の方向に確定されることが可能である。トルク値MF、MRは軸の変位経路に依存して測定されるのが有利である。
【0065】
続いて、計算により確定された特性量K1〜K8は各比較値と比較され、その結果比較値と許容できないずれが生じた場合には対応する警報を例えば専門サービスマンに出力することができる。
【0066】
本発明による方法は、一般的に機械の複数の駆動軸に対する特性量K1〜K8を確定するために適している。特に、機械の運転開始時、設定時及び運転継続中の少なくともいずれかにおいて、各駆動軸の特性量K1〜K8の監視のために使用することができる。それに付加して又はそれに代えて、本発明による方法は自動化技術及び製造技術に使用することができる。
【0067】
図3は、模範的に、軸の両方向に対する弾性式の重量調整及び記入された従来の方向に依存する特性量A1〜A6を持った傾斜した軸のトルク経過VMF、VMRを示す。順方向の特性曲線にはVMFが、逆方向の特性曲線にはVMRがつけられている。軸の変位経路Wの各位置[mm]について対応するトルクMF、MR[Nm]が画かれている。順方向の最大モーメントにはA1、順方向の最小モーメントにはA2、逆方向の最大モーメントにはA3、逆方向の最小モーメントにはA4、順方向の平均モーメントにはA5、そして逆方向の平均モーメントにはA6が付されている。最後の2つの値A5、A6は一点鎖線で示されている。
【0068】
図3が示すように、傾斜した軸の順方向の変位に対しては逆方向より明らかに高いトルクMFが必要とされる。模範的にほぼ直線的に上昇ないし減少するトルク推移VMF、VMRはさらに、傾斜した軸に作用する重力の完全な補償が存在しないことを示す。特に、変位経路の終端領域において顕著な非直線性の形の外乱力が認められ、この非直線性は弾性要素の典型的に非直線性の振舞いに理由がある。
【0069】
図3の例では、最大ないし最小のトルク値MF、MRは変位範囲の初め及び終わり、即ちほぼ変位位置100mm及び730mmにある。これらのトルクは他面また、これら両末端位置の間にもあり得る。図3に示されるように、軸の各変位方向に依存して例えば最大トルク値A1、A3を不利な方向に上回るかの監視が行われなければならない。順方向においては、最大モーメントA1、逆方向においては最大モーメントA3が監視されるべきである。
【0070】
図4は模範的に、本発明に従い画かれた新しい、方向に依存しない特性量を持った図3によるトルク推移を示す。
【0071】
変位経路Wにわたって測定されたトルク値MF、MRは、今や本発明に従い新しい、方向に依存しない特性量K1〜K6に表現される。その際3つの摩擦モーメントK1、K5及びK6は非常に近接している。それらは値としてはごく僅か異なるだけである。従って、図4の例に描かれていない摩擦力のモーメント傾向も値としては非常に小さい値を持たねばならないが、一方弾性力のモーメント傾向は比較的高い値を持たなければならない。これは、測定されたトルク値MF、MRから、エネルギーを保存するモーメントの値としては量的に非常に大きい部分を直接導出した結果である。それによって、軸の運動推移をその摩擦を含む振舞いを顧慮しながら明らかにより正確に監視することが有利に可能である。監視のためには、それぞれ方向に依存する従来の2つの特性量A1〜A6の代わりに、それぞれただ1つの方向に依存しない特性量K1〜K6を必要とするだけで有利である。対応する仕方で、軸の運動推移をそのエネルギーを保存する振舞いを顧慮しながら目標の監視をすることも有利に可能である。それによって例えば、弾性式の重量補償のための空気圧式又は液圧式要素の漏れを識別することができる。摩擦に依存する部分はこの場合「計算で外され」、特性量K2〜K4に影響しない。
図5は模範的に、弾性式の、空気圧式重量調整16を備える傾斜した軸5を有する本発明による工作機械1を示す。
【0072】
図5の右の部分には工作機械1の傾斜した軸5を見ることができる。Wは軸5の可能な変位経路を示す。回転式の駆動ユニット2は周波数変換器3、電動機4及びスピンドル駆動部6を有し、電動機4の回転運動を図示の軸5の直線状の変位運動に変換する。符号7によって模範的に工具が示されており、この工具は加工材料の加工のため軸5によって動かされることができる。符号8によって軸5の内面ねじが示されており、この内面ねじ中にスピンドルが挿入されている。
【0073】
軸5にはさらに実例として取付具20が設けられ、この取付具はスライダ19を介してスライダ端部に取り付けられたピストン18を変位経路Wに依存して操作する。ピストンは圧縮空気タンク17の円筒状突出部内に移動可能に設けられている。圧縮空気タンクは弾性要素16として重さを調整するように軸5に作用する。圧縮空気タンク17から取付具20を介して軸5に作用する弾性力は、典型的には変位経路Wと直線ではなく、むしろ放物線状の性質を持つものである。
【0074】
図5の左の部分には本発明による制御機器10が認められ、この制御機器は制御及び監視のため信号技術的及びデータ技術的の少なくとも一方により機械1と結ばれている。この制御機器は典型的には工作機械の構成要素である。制御機器10は本発明による測定及び評価ユニット11を有し、このユニットは本図5の例では制御機器10の制御ユニット内に既に組み込まれている。符号3で、各軸5を操作するための各電動機4の給電のための周波数変換器を示し、図5の例では簡単にするためブロックでのみ図示されているだけである。中間の周波数変換器3は一方ではデータ技術的に相応の制御導線12を介して制御機器10と結ばれ、他方では電動機導線14を介して電動機4と給電のため結ばれている。符号13で電動機4に作用するトルクを検出するためのトルクセンサを示す。対応するトルク値はデータ技術的及び信号技術的の少なくとも一方によりセンサ導線15を介して、電動機を調節するため周波数変換器3から検出される。トルク値は、方向に依存しない新しい特性量を本発明に従い確定するため、とりわけ周波数変換器3を介してさらに制御機器10ないし測定及び評価ユニット11に転送される。測定及び評価ユニット11の計算手段はその際図2に示された計算仕様21〜28を実行する。
【0075】
駆動ユニット2の周波数変換器3は、電動機電流を検出するための特には示されていない電流センサを有するのが有利である。制御機器10はこの場合、電動機4に現に作用するトルクMF、MRを電流センサによって検出された電流値から計算するための手段を有する。
【0076】
図5に示された回転式の駆動ユニットの代わりに、機械1は、それぞれ周波数変換器3と各軸5を操作するためのリニアモータとを持った1つ又は複数の直線式の駆動ユニットを有することもできる。この場合には、制御機器10の測定及び評価ユニット11の手段は、方向に依存しない新しい並進的な特性量K1〜K8を測定された力の値ないし軸力の値から確定するために形成されている。そして各駆動ユニットの周波数変換器3は、リニアモータ電流を検出するための電流センサを有すると有利である。さらに制御機器10は、現にリニアモータに作用する力を電流センサにより検出された電流値から計算するための手段を有する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明による方法を図解するための流れ図である。
【図2】本発明による新しい回転性の特性量を確定するための計算仕様の一例の説明図である。
【図3】軸の両方向に対する弾性式の重量調整及び従来の特性量を有する傾斜した軸のトルク経過線図である。
【図4】本発明による新しい、方向に依存しない特性量を有する傾斜した軸のトルク経過線図である。
【図5】弾性式の、空気圧式重量調整を備える傾斜した軸を有する本発明による工作機械の一例の構成配置図である。
【符号の説明】
【0078】
1 機械
2 回転式の駆動ユニット
3 周波数変換器
4 電動機
5 駆動軸
6 スピンドル駆動部
7 工具
8 内面ねじ
10 制御機器
11 測定及び制御ユニット
12 制御導線
13 トルクセンサ
14 電動機導線
15 センサ導線
16 弾性要素
17 圧縮空気タンク
18 ピストン
19 スライダ
20 取付具
21〜28 計算仕様
K1〜K8 特性量
MF、MR トルク
W 変位経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械(1)の傾斜した駆動軸(5)の少なくとも1つの特性量(K1〜K8)を確定するための方法であって、前記軸(5)は回転式の駆動ユニット(2)及び直線式の駆動ユニットの少なくとも一方を用いて駆動され、前記軸(5)のあらかじめ与えられた変位経路(W)に沿って前記駆動ユニット(2)に作用するトルク(MF、MR)ないしそれに対応する力が測定されるものにおいて、
・順方向及び逆方向の前記トルク(MF、MR)ないし力が測定され、
・一方ではエネルギーを保存するモーメント(K2〜K4、K8)ないしエネルギーを保存する力及び他方では摩擦に依存するモーメント(K1、K5〜K7)ないし摩擦に依存する力の少なくともいずれかが、所属のトルクないし力の値の計算による重畳によって、方向に依存しない少なくとも1つの特性量(K1〜K8)として確定される
機械の駆動軸の特性量確定方法。
【請求項2】
エネルギーを保存するモーメント(K2〜K4、K8)が前記軸(5)を介して前記駆動ユニット(2)に作用する重さを補償するようなモーメントであり、ないしはエネルギーを保存する力が前記作用する重さを補償するような力である請求項1又は2記載の方法。
【請求項3】
エネルギーを保存するモーメント(K2〜K4、K8)が前記軸(5)を介して前記駆動ユニット(2)に作用する弾性力を補償するようなモーメントであり、ないしはエネルギーを保存する力が対応して作用する弾性力を補償するような力である請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記トルク(MF、MR)ないし力が前記軸(5)のあらかじめ与えられた一定の変位速度において順方向及び逆方向に測定される請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
・前記トルク(MF、MR)について、それぞれ所属の前記変位速度が順方向及び逆方向に測定され、
・前記エネルギーを保存するモーメント(K2〜K4、K8)及び前記摩擦に依存するモーメント(K1、K5からK7)の少なくとも一方が、所属の加速度に依存する慣性力及び速度に依存する摩擦力を計算により考慮してトルク値の計算による重畳によって確定され、
・前記対応するエネルギーを保存する力及び摩擦に依存する力の少なくとも一方が相応する力の値の重畳によって確定される
請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記トルクないし力の値が前記軸(5)の前記変位経路(W)に依存して測定される請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの計算により確定された特性量(K1〜K8)がそれぞれの比較値と比較され、前記比較値から許容できないずれが存在する場合には警報が発せられる請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
計算により確定され、エネルギー保存の、かつ方向に依存しない特性量(K2〜K4、K8)が、モーメントオフセット(K2)、最大保存のモーメント(K3)、最小保存のモーメント(K4)又は弾性力のモーメント傾向(K8)であり、ないしは力オフセット、最大保存の力、最小保存の力又は弾性力の力傾向である請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
計算により確定され、摩擦に依存し、かつ方向に依存しない特性量(K1、K5〜K7)が、平均の摩擦モーメント(K1)、最大の摩擦モーメント(K5)、最小の摩擦モーメント(K6)又は摩擦力のモーメント傾向(K7)であり、ないしは平均の摩擦力、最大の摩擦力、最小の摩擦力又は摩擦力の力傾向である請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記機械(1)の複数の駆動軸(5)に対する少なくとも1つの特性量(K1〜K8)が確定される請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記機械(1)の少なくとも1つの駆動軸(5)の少なくとも1つの特性量(K1〜K8)を、前記機械(1)の運転開始時、設定時及び運転継続中の少なくともいずれかにおいて監視するため、請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法を用いる使用方法。
【請求項12】
自動化技術及び製造技術において請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法を用いる使用方法。
【請求項13】
機械(1)の少なくとも1つの特に傾斜した駆動軸(5)の少なくとも1つの特性量(K1〜K8)を確定するための測定及び評価ユニットであって、前記機械(1)の前記各軸(5)が回転式の駆動ユニット(2)及び直線式の駆動ユニットの少なくとも一方を用いて駆動可能であり、前記測定及び評価ユニットは信号技術的及びデータ技術的の少なくとも一方によって前記各軸(5)のトルクないし力を測定するためのトルクセンサ(13)ないし力センサ、及び前記各軸(5)の変位経路(W)の経路検出のための経路検出器と接続可能であり、前記測定及び評価ユニットは、前記各軸(5)の順方向及び逆方向の前記トルク(MF、MR)を測定技術的に検出するための手段と、一方ではエネルギーを保持するモーメント(K2〜K4、K8)ないし力及び他方では摩擦に依存するモーメント(K1、K5〜K7)ないし力の少なくともいずれかを所属のトルクないし力の値の計算による重畳によって少なくとも1つの方向に依存しない特性量(K1〜K8)として計算により確定するための手段とを有する機械の駆動軸の特性量を確定するための測定及び評価ユニット。
【請求項14】
前記各軸(5)の前記変位経路(W)に依存して前記トルクないし力の値を検出するための手段を有する請求項13記載の測定及び評価ユニット。
【請求項15】
前記測定及び評価ユニットが前記各軸(5)の順方向及び逆方向の変位速度を計算するための手段を有し、前記測定及び評価ユニットがエネルギー保存のモーメント(K2〜K4、K8)及び摩擦に依存するモーメント(K1、K5〜K7)の少なくとも一方を所属の加速度に依存する慣性力及び速度に依存する摩擦力の計算による考慮のもとに所属のトルク値の計算による重畳によって確定するための手段を有し、ないしは前記測定及び評価ユニットが対応するエネルギー保存の力及び摩擦に依存する力の少なくとも一方を相応する力の値の重畳により確定するための手段を有する請求項14記載の測定及び評価ユニット。
【請求項16】
前記測定及び評価ユニットが計算により確定された少なくとも1つの特性量(K1〜K8)を出力するための出力手段を有する請求項13〜15のいずれか1つに記載の測定及び評価ユニット。
【請求項17】
前記測定及び評価ユニットが、少なくとも1つの前記確定された特性量(K1〜K8)を各比較値と計算により比較するための比較手段と、前記比較値と許容されないずれが存在する場合にそれぞれの警報を出力するための出力手段を有する請求項13〜16のいずれか1つに記載の測定及び評価ユニット。
【請求項18】
計算により確定可能でエネルギーを保存し方向に依存しない前記特性量(K2〜K4、K8)が、モーメントオフセット(K2)、最大保存のモーメント(K3)、最小保存のモーメント(K4)又は弾性力のモーメント傾向(K8)であり、ないしは力オフセット、最大保存の力、最小保存の力又は弾性力の力傾向である請求項13〜17のいずれか1つに記載の測定及び評価ユニット。
【請求項19】
確定可能な摩擦に依存し方向に依存しない前記特性量(K1、K5〜K7)が、平均の摩擦モーメント(K1)、最大の摩擦モーメント(K5)、最小の摩擦モーメント(K6)又は摩擦力のモーメント傾向(K7)であり、ないしは平均の摩擦力、最大の摩擦力、最小の摩擦力又は摩擦力の力傾向である請求項13〜18のいずれか1つに記載の測定及び評価ユニット。
【請求項20】
機械(1)、特に工作機械、のそれぞれ特に傾斜した駆動軸(5)の少なくとも1つの特性量(K1〜K8)を、前記機械(1)の運転開始時、設定時及び運転継続中の少なくともいずれかにおいて監視するため、請求項13〜19のいずれか1つに記載の前記測定及び評価ユニット(11)を用いる使用方法。
【請求項21】
機械(1)の制御及び監視のための、特に工作機械のための制御機器であって、前記機械(1)は、前記制御機器を介して操作可能な回転式駆動ユニット(2)及び前記機械(1)の少なくとも1つの特に傾斜した軸(5)を直線的に移動させるため直線式駆動ユニットの少なくとも一方を有し、前記機械(1)は前記各軸(5)のトルクないし力を測定するためのトルクセンサ(13)ないし力センサ及び前記各軸(5)の変位経路(W)の経路検出のための経路検出器を有し、信号技術的及びデータ技術的の少なくとも一方により機械(1)と結ばれた前記制御機器は請求項13〜19のいずれか1つに記載の測定及び評価ユニット(11)を有する機械の制御及び監視のための制御機器。
【請求項22】
請求項21記載の制御機器(10)と、前記制御機器(10)を介して操作可能な少なくとも1つの回転式の駆動ユニット(2)及び機械(1)の各特に傾斜した軸(5)を直線的に変位させるための直線式の駆動ユニットの少なくとも一方を有する機械、特に工作機械。
【請求項23】
・前記少なくとも1つの回転式の駆動ユニット(2)がそれぞれ周波数変換器(3)、電動機(4)及び前記電動機の回転運動を前記各軸(5)の直線的変位運動に変換するためのスピンドル駆動部(6)を有し、
・前記各駆動ユニット(2)の前記周波数変換器(3)は電動機電流を検出するための電流センサを有し、
・前記制御機器(10)は、前記電流センサを用いて検出された電流値から前記電動機(4)に現に作用するトルク(MF、MR)を計算するための手段を有する
請求項22記載の機械。
【請求項24】
・前記少なくとも1つの直線式の駆動ユニットはそれぞれ周波数変換器(3)及び前記各軸(5)を変位させるためのリニアモータを有し、
・前記各駆動ユニットの前記周波数変換器(3)はリニアモータ電流を検出するための電流センサを有し、
・前記制御機器(10)は前記電流センサを用いて検出された電流値から前記リニアモータに現に作用する力を計算するための手段を有する
請求項22又は23記載の機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−95227(P2009−95227A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260656(P2008−260656)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】