説明

特定の分離層を含むオメプラゾールの経口医薬製剤

本発明は、活性成分としてオメプラゾール、オメプラゾールのアルカリ塩、オメプラゾールのエナンチオマー、もしくはオメプラゾールのエナンチオマーのアルカリ塩、並びにポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体及び/又は場合により加工されたエンドウ豆デンプンを含む、活性成分と腸溶コーティングとの間の特定の分離層を含む、腸溶コーティング経口医薬製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分として、オメプラゾール、オメプラゾールのアルカリ塩、オメプラゾールのエナンチオマー、又はオメプラゾールのエナンチオマーのアルカリ塩、及び特定の分離層を含む、腸溶コーティング経口医薬製剤に関する。活性成分と腸溶コーティングとの間の分離層は、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体及び/又は場合により加工されたエンドウ豆デンプンを含む。
【0002】
特許文献EP 5,129には、置換2−(ピリジルメチルスルフィニル)−1H−ベンゾイミダゾール類、いわゆるプラゾール類、例えば、最近上市されたオメプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、ランソプラゾール及びラベプラゾール、並びにこれらの効率的なプロトンポンプ阻害薬としての性質が記載されている。エソメプラゾールは、オメプラゾールのSエナンチオマー、S−5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンゾイミダゾールに対する名称である。オメプラゾールは、胃酸の分泌の阻害薬として作用し、そして抗潰瘍化合物としての使用に、並びに哺乳動物、及び特にヒトにおける胃酸の過剰産生に関連している疾患の予防及び治療に適している。オメプラゾールのようなピリジルメチルスルフィニル−ベンゾイミダゾール類は、湿気の存在下だけでなく有機溶媒の存在下でも比較的不安定であることが知られている。これらの化合物は、酸性環境では特に不安定である。安定性が向上した誘導体の製造に対する可能な選択肢の1つは、例えば、特許文献EP 124,495にオメプラゾールに関して記載されているような、アルカリ塩、例えば、ナトリウム又はマグネシウム塩の形成である。
【0003】
オメプラゾールは、胃酸耐性層、いわゆる腸溶コーティングで通常被覆される。活性成分(遊離塩基の形又はアルカリ若しくはマグネシウム塩の形の)と腸溶コーティングとの間に分離層を含めることが好ましいことは判明している。ヨーロッパ特許文献EP 342,522では、酸に不安定なピリジルメチルスルフィニル−ベンゾイミダゾールを最初に水に溶けにくい化合物(酸化マグネシウム、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ステアリン酸カルシウム又はショ糖脂肪酸エステルなど)で被覆し、そして次に水に溶けにくい薄膜材料、例えば、エチルセルロース又はポリ酢酸ビニルで被覆することが提案されている。その後で標準的腸溶コーティングを適用する(例えば、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体又はポリ酢酸フタル酸ビニル)。水溶性コーティングに比較して、提案された分離層は相当に有利である。
【0004】
EP 773,025では、酸に不安定なピリジルメチルスルフィニル−ベンゾイミダゾールをヒドロキシプロピルメチルセルロース及びタルクと混合して、これをコアに適用し、そしてそれをヒドロキシプロピルメチルセルロース及びタルク(及び場合により白色顔料として酸化チタン)で作られた分離層で被覆することが提案されている。最後にメタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体及び可塑剤、例えば、クエン酸トリエチルから作られた胃酸耐性腸溶コーティングを適用する。
【0005】
国際特許出願WO 2006/085335では、酸に不安定な活性成分を、水不溶性ポリマー、例えば、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、アクリル酸ポリマー及びコポリマー(Eudragit RL、Eudragit L、Eudragit RS 30Dなど)、又はこれらの混合物から作られた分離層で被覆することが提案されている。このポリマーに、有機安定化剤、例えば、メグルミン若しくはトロメタミン、又はこれらの混合物を、そして場合により可塑剤、例えば、ポリエチレングリコール、ヒマシ油、セバシン酸ジブチルエステル、クエン酸トリエチル又はこれらの混合物、及びべたつきを阻害するためにタルクを加える。その後、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体又はシェラックから作られた腸溶コーティングを適用する。
【0006】
国際特許出願WO 2005/076987では、プラゾール型の酸に不安定なプロトンポンプ阻害薬に加えて、非ステロイド系抗炎症活性成分及び緩衝化合物を含む医薬組成物が記載されている。活性成分は、マイクロカプセルに詰めることにより安定性が向上しており、そして見込みのあるコーティングとして、特にポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体であるKollicoat(登録商標)にも言及している。
【0007】
今や驚くべきことに、オメプラゾールの、例えば、エソメプラゾールの、錠剤、ミニ錠剤、ペレット、フィルム錠、カプセル剤、及び顆粒剤の極めて安定な剤形は、活性成分のオメプラゾール、オメプラゾールのアルカリ塩、オメプラゾールのエナンチオマー又はオメプラゾールのエナンチオマーのアルカリ塩を含む中心コアと外側の腸溶コーティングとの間に特定の分離層(ここで分離層は、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体及び/又は場合により加工されたエンドウ豆デンプンを含む)を適用すれば得られることが見い出された。
【0008】
ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体は、例えば、Kollicoat(登録商標)IRという商品名で入手できる。Kollicoat(登録商標)IRは、優れたフィルム形成性を有し、25%以下のポリマー濃度のスプレー液では粘度が低く、そして乾燥により生成する層は、柔軟性を保ち、べたつかず、かつ可塑剤を追加することなく平らな表面を与える。
【0009】
エンドウ豆デンプン(場合により加工されている)は、例えば、Lycoat(登録商標)という商品名で入手できる。Lycoat(登録商標)は同様に、柔軟でべたつきのない分離層及び平らな表面を与え、そして活性成分のコアに容易にスプレーすることができる。その粘度は、既存のスプレー装置に簡単に適合させられる。
【0010】
分離層は、例えば、タルク、ケイ酸類(Syloid(登録商標))などのような更なる賦形剤を含むことができる。
【0011】
ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体及び場合により加工されたエンドウ豆デンプンは、両方とも容易に適用することができる。これらは均一な品質の分離層を与え、そしてこの層は、活性成分の性質に影響を及ぼさず、活性成分を光、湿度、及び特に酸から保護するが、胃内で活性成分の溶解を妨げない。
【0012】
本発明は同様に、活性成分としてオメプラゾール、オメプラゾールのアルカリ塩、オメプラゾールのエナンチオマー、又はオメプラゾールのエナンチオマーのアルカリ塩を含む、固体の腸溶コーティング経口医薬製剤の製造方法を含むが、この方法では、活性成分を、場合により追加の化合物と共にコアに適用し、次にポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体及び/又は場合により加工されたエンドウ豆デンプンを含む分離層で被覆し、そして最後に酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸/アクリル酸エチル共重合体及び/又はシェラックを含む腸溶コーティングで被覆する。
【0013】
好ましいのは、活性成分が、結晶若しくは非晶質であるか又はアルカリ塩の形であるエソメプラゾールである製剤である。
【0014】
特に好ましいのは、活性成分が、エソメプラゾールのマグネシウム塩、特にその水和物(二水和物又は三水和物など)の形である製剤である。
【0015】
最も好ましいのは、活性成分が、エソメプラゾールマグネシウム二水和物である製剤である。
【0016】
考慮される固体経口剤形は、錠剤、ミニ錠剤、ペレット、フィルム錠、カプセル剤、例えば、軟ゼラチンカプセル剤、顆粒剤及び関連剤形である。
【0017】
この剤形は、オメプラゾール、オメプラゾールのアルカリ塩、オメプラゾールのエナンチオマー、又はオメプラゾールのエナンチオマーのアルカリ塩、及び場合により薬学的に許容しうる経口剤形を形成する下記の賦形剤又は補助剤よりなる。
【0018】
固体経口剤形について考慮される賦形剤は、固体粉末担体(例えば、微結晶性セルロース、二酸化ケイ素、キサンタン、グアーガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム及びマグネシウム)、酸化アルミニウム、酸化チタン、希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硬化植物油、カオリン、炭酸マグネシウム、タルク、塩化ナトリウム)、結合剤(例えば、グアーガム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、トラガント、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロースカルシウム又はナトリウム、カラゲナン、キサンタン)、錠剤崩壊剤(例えば、クロスカルメロース、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、コロイド状二酸化ケイ素、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、又は同様にカラゲナン)、流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、第三リン酸カルシウム、タルク)及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸、モノステアリン酸グリセロール、パルミトステアリン酸グリセロール、鉱油、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、硬化トウゴマ油、水添ヒマシ油)である。
【0019】
特に好ましい賦形剤は、カラゲナンである。
【0020】
フィルム錠は、場合により追加のフィルム形成化合物(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルナウバロウ、酢酸フタル酸セルロース、セチルアルコール、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリレート、マイクロクリスタリンワックス、シェラック、タルク、二酸化チタン)、懸濁助剤(例えば、高分散性二酸化ケイ素、カオリン、タルク)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセロール、パルミトステアリン酸グリセロール、鉱油、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸亜鉛、水添ヒマシ油)、及び色素(例えば、二酸化チタン、酸化鉄、色素性インジゴチン、色素性エリスロシン)を含む。
【0021】
考慮される更に別の賦形剤は、ポリヒドロキシ化合物、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール又はブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びポリエチレングリコール、グリセロール又はエチレンオキシドで部分的にエーテル化されたグリセロール誘導体である。これらの液性賦形剤は、活性成分が粉末状態を保つような量でのみ使用される。
【0022】
窒素含有塩基性有機化合物、例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン、エチレンジアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、メグルミン、トロメタミン、コリン、プロカイン(4−アミノ安息香酸ジエチルアミノエチルエステル)、クロロプロカイン又はプロカインアミドを加えることができる。
【0023】
糖類、例えば、マンニトール、ソルビトール、デキストリン類、マルトデキストリン類、イノシトール、イソマルトール、ラクチトール、マルチトール及びキシリトール、又は上記のアミノ糖のメグルミンもまた、オメプラゾールに適切な賦形剤である。
【0024】
1種以上の上記の補助剤、例えば、酸化ケイ素、二酸化チタン、タルク又は色素はまた、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体及び/又は場合により加工されたエンドウ豆デンプンで作られた分離層に(追加的に又は活性成分への添加剤の代わりに)加えることができる。また、塩基、例えば、無機塩基(水酸化ナトリウムなど)又は有機塩基(例えば、上記の有機アミン類の1つ)を分離層に加えることもできる。
【0025】
考えられるカプセル剤は、例えば、様々なサイズ、色及び含水量の、はめ込みカプセル、溶接カプセル又は接着カプセルとしての、軟ゼラチン、硬ゼラチン、HPMC、多糖又はデンプンカプセル剤である。
【0026】
例えば、サシェ又は瓶などに充填された顆粒は、上記の希釈剤、結合剤、崩壊剤、及び滑沢剤を通常含有する。
【0027】
本発明の組成物は、オメプラゾール、オメプラゾールのアルカリ塩、オメプラゾールのエナンチオマー、及びオメプラゾールのエナンチオマーのアルカリ塩よりなる群から選択される1種の活性成分を含む。好ましい活性成分は、エソメプラゾール又はエソメプラゾールのアルカリ塩、例えば、エソメプラゾールマグネシウム(好ましくは二水和物として)である。本発明の組成物の全ての更に別の成分は、本組成物の治療活性に貢献するが、活性成分自体ではない。
【0028】
本発明の組成物は、2種のコーティングである外側の胃酸耐性腸溶コーティング及び活性成分と腸溶コーティングとの間の分離層(ここで分離層は、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体及び/又は場合により加工されたエンドウ豆デンプンを含む)を有している。
【0029】
好ましいのは、実施例に記載される方法及び生成物である。
【0030】
本発明は更に、オメプラゾールが効果を示す疾患の処置のための、例えば、抗潰瘍薬剤としての、並びに哺乳動物(特にヒト)における胃酸の過剰産生に関連している疾患の予防及び治療のための本発明の組成物の使用に関する。
【0031】
同様に本発明は、オメプラゾールを必要とする患者の治療処置の方法であって、治療有効量の本発明の医薬組成物をこれを必要とする患者に投与することを特徴とする方法に関する。
【0032】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明の対象を制限するものではない。
【0033】
実施例1
【0034】
【表1】

【0035】
水酸化ナトリウムを水90kgに撹拌しながら溶解し、次にタルク、二酸化ケイ素及び二酸化チタンをこの溶液に懸濁した。この懸濁液を撹拌しながら水250kg中のKollicoat(登録商標)IRの溶液中に加えた。活性成分を含むペレットを、流動床反応槽中で得られたコーティング液を用いてフィルムコーティングした。コーティング中、生成物温度は35〜40℃とした。コーティング後ペレットは60℃の給気温で2時間乾燥した。
【0036】
実施例2
【0037】
【表2】

【0038】
ペレットは、Kollicoat(登録商標)IRの代わりにLycoat(登録商標)RS 780を用いて、実施例1に記載されたように製造した。
【0039】
実施例3
【0040】
【表3】

【0041】
タルク及び二酸化チタンを水80kgに懸濁した。この懸濁液を撹拌しながら水200kg中のKollicoat(登録商標)IRの溶液中に加えた。活性成分を含むペレットを、流動床反応槽中で得られたコーティング液を用いてフィルムコーティングした。コーティング中、生成物温度は25〜30℃とした。コーティング後ペレットは50℃の給気温で2時間乾燥した。
【0042】
実施例4
【0043】
【表4】

【0044】
タルク及び二酸化チタンを水80kgに懸濁した。この懸濁液を撹拌しながら水270kg中のLycoat(登録商標)RS 780の溶液中に加えた。活性成分を含むペレットを、流動床反応槽中で得られたコーティング液を用いてフィルムコーティングした。コーティング中、生成物温度は35〜40℃とした。コーティング後ペレットは55℃の給気温で2時間乾燥した。
【0045】
実施例5
【0046】
【表5】

【0047】
タルク及び二酸化チタンを水80kgに懸濁した。この懸濁液を撹拌しながら水270kg中のKollicoat(登録商標)IR及びLycoat(登録商標)RS 780の溶液中に加えた。活性成分を含むペレットを、流動床反応槽中で得られたコーティング液を用いてフィルムコーティングした。コーティング中、生成物温度は35〜40℃とした。コーティング後ペレットは55℃の給気温で2時間乾燥した。
【0048】
実施例6
【0049】
【表6】

【0050】
タルク、赤色酸化鉄及び二酸化チタンを水50kgに懸濁した。この懸濁液を撹拌しながら水150kg中のLycoat(登録商標)RS 780の溶液中に加えた。活性成分を含むペレットを、流動床反応槽中で得られたコーティング液を用いてフィルムコーティングした。コーティング中、生成物温度は35〜40℃とした。コーティング後ペレットは55℃の給気温で2時間乾燥した。
【0051】
実施例7
【0052】
【表7】

【0053】
タルク及び二酸化チタンを水40kgに懸濁した。この懸濁液を撹拌しながら水110kg中のLycoat(登録商標)RS 780及びKollicoat(登録商標)IRの溶液中に加えた。活性成分を含むペレットを、流動床反応槽中で得られたコーティング液を用いてフィルムコーティングした。コーティング中、生成物温度は40〜45℃とした。コーティング後ペレットは60℃の給気温で2時間乾燥した。
【0054】
実施例8
【0055】
【表8】

【0056】
エソメプラゾールマグネシウム二水和物を、マンニトール、微結晶性セルロース及びカラゲナン(FMC製のGelcarin(登録商標)GP 812 NF型)とColette社のポジティブミキサー(positive mixer)で10分間混合した。続いて更に10分間で水中の炭酸水素ナトリウム及び水酸化ナトリウムを撹拌しながら加えることにより、均一に湿った塊を得た。この湿った塊を、Probst社の押出機で有孔円盤の1.0mm穴を通して押し出した。このいわゆる押出成形品を次にCaleva社のスフェロナイザー(spheronizer)により1050rpmの円盤回転速度で4分間丸めた。得られたペレットは、Aeromatik社の流動床反応槽中で160分間65℃の給気温で乾燥した。
【0057】
水酸化ナトリウムを水90kgに撹拌しながら溶解した。続いてタルク、二酸化ケイ素及び二酸化チタンをこの溶液に懸濁した。この懸濁液を撹拌しながら水200kg中のKollicoat(登録商標)IRの溶液中に加えた。活性成分を含むペレットを、流動床反応槽中で得られたコーティング液を用いてフィルムコーティングした。コーティング中、生成物温度は35〜40℃とした。コーティング後ペレットは60℃の給気温で2時間乾燥した。続いてこのペレットを標準法により腸溶コーティングで被覆した。
【0058】
実施例9
【0059】
【表9】

【0060】
ペレットは、Kollicoat(登録商標)IRの代わりにKollicoat(登録商標)IRとLycoat(登録商標)RS 780との1:1混合物を用いて、実施例8により製造した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分としてオメプラゾール、オメプラゾールのアルカリ塩、オメプラゾールのエナンチオマー、もしくはオメプラゾールのエナンチオマーのアルカリ塩、並びにポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体及び/又は場合により加工されたエンドウ豆デンプンを含む、活性成分と腸溶コーティングとの間の分離層を含む、腸溶コーティング経口医薬製剤。
【請求項2】
活性成分と腸溶コーティングとの間の分離層が、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体を含む、請求項1記載の製剤。
【請求項3】
活性成分と腸溶コーティングとの間の分離層が、場合により加工されたエンドウ豆デンプンを含む、請求項1記載の製剤。
【請求項4】
活性成分と腸溶コーティングとの間の分離層が、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体及び場合により加工されたエンドウ豆デンプンを含む、請求項1記載の製剤。
【請求項5】
オメプラゾールを含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の製剤。
【請求項6】
オメプラゾールのアルカリ塩を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の製剤。
【請求項7】
エソメプラゾールを含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の製剤。
【請求項8】
エソメプラゾールのアルカリ塩を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の製剤。
【請求項9】
エソメプラゾールのマグネシウム塩を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の製剤。
【請求項10】
エソメプラゾールマグネシウム二水和物を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の製剤。
【請求項11】
カラゲナンを含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の製剤。
【請求項12】
オメプラゾール、オメプラゾールのアルカリ塩、オメプラゾールのエナンチオマー又はオメプラゾールのエナンチオマーのアルカリ塩を活性成分として含む、固体の腸溶コーティング経口医薬製剤の製造方法であって、活性成分を、場合により追加の化合物と共にコアに適用し、次にポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体及び/又は場合により加工されたエンドウ豆デンプンを含む分離層によって被覆し、最後に酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸/アクリル酸エチル共重合体及び/又はシェラックを含む腸溶コーティングによって被覆する方法。
【請求項13】
哺乳類及びヒトにおける、潰瘍の処置及び胃酸の過剰産生に関連する疾患の予防及び治療のための医薬としての、請求項1〜11のいずれか1項記載の製剤。

【公表番号】特表2011−530569(P2011−530569A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522503(P2011−522503)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060388
【国際公開番号】WO2010/018175
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(500207327)メファ・ゲーエムベーハー (3)
【氏名又は名称原語表記】Mepha GmbH
【Fターム(参考)】