説明

特定の非晶質ガラスにおいて非晶質材料の構造因子を取得する方法

入射X線が非晶質材料標本へ向けて広角セクターにおいて放射され、この標本がX線を反射する。
本方法は、
− 実験光子強度測定値を入射角の関数として記録するステップと、
− 反射の前に標本内への入射波の侵入長lに依存する状態で、少なくとも前記標本内での吸収現象を考慮しながら、前記実験強度を補正するステップと、
− 正規化係数(α)に従い、前記実験強度から得られた補正強度を電子強度に関連付ける正規化ステップと、
− 離散化された関数Q.i(Q)を計算するステップ、但しiは、補正および正規化された実験強度の測定値から得られた減衰強度、Qは量(sinθ/λ)に比例する波散乱ベクトルの絶対値、2θは散乱角、λは放射された波の長さであって、前記正規化定数(α)は関数Q.i(Q)の値に対する線形回帰により得られたアフィン直線(42)の傾きを最小化すべく再帰的に変化し、各反復を行う間に減衰強度の値が侵入長lについて計算され、前記関数Q.i(Q)が前記最小の傾きに対応して求められる(41)ステップと、
− Q.i(Q)に依存する動径原子濃度ρ(r)の分布に基づいて構造因子を決定するステップとを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質材料の構造因子を取得する方法に関する。この材料は、例えば非晶質ガラスである。本発明は特に、蓄積された放射能の影響下でのガラスの構造因子の漸進的変化を研究すべく、放射性元素を遮蔽するガラスの構造因子を特定するために適用される。
【背景技術】
【0002】
放射性元素の保管は、現行の極めて厳重な安全性および信頼性基準を満たさなければならない。特に、外部環境からの遮蔽は、数十年または実に数世紀にわたり有効でなければならない。放射性廃棄物は、いくつかのレベルに応じてランク付けされる。最も取り扱いに注意を要する、すなわち最も高い放射能を示す放射性物質は、放射性の見地から中性の材料であり、従って放射能の伝播に対する遮断壁を形成する、非晶質ガラスに保管される。実際には、高温融合により放射性廃棄物をガラスに埋め込むことにより、ガラスのブロックが作製される。放射能は次いで、保管を容易にすべく一般に管状であるこれらガラスのブロック内に閉じ込められる。
【0003】
数年または実に数十年にわたり、放射能漏れの遮蔽効果が持続することが知られている。しかし、この観察された持続期間を過ぎれば、放射能漏れに対するガラスの絶対的な効果は確実ではない。特に、ガラス内に保管されている放射性原子は長時間にわたり無視できない影響を有し、恐らく最終的には放射能漏れが生じる可能性がある。
【0004】
非晶質ガラスの構造の特性把握は従って、起こり得る長期的な問題を予測するために必要である。特に放射性放射線がガラスの構造を変質させるか否か、どのようにまたは如何なる法則に従って変質させるのかを確認し、それにより遮蔽が長期にわたり維持されるか否か、または弱まるか否か、どの程度弱まるか、および如何にしてこれに対処するかを確認するために、ガラスの構造に及ぼす放射性元素の影響の特性把握が特に必要である。
【0005】
結晶マトリクスとは異なり、非晶質マトリクスは全く周期的構造を有していない。このような構造の特性把握は従って極めて複雑な問題であり、モデリングが重要な役割を果たす。それ故、この特性把握は、むしろ原子間距離の小領域内で情報を取得することに依存する。実験的には、核磁気共鳴(NMR)または広角X線散乱(WAXS)を含む一連の診断を行うことができる。
【0006】
非晶質グラスの無秩序な構造を調べるために、WAXS法により実験的に記録されたスペクトルに基づいて、非晶質構造の最も特徴的な表現の一つである原子分布に関する情報の取得からなる統計的アプローチを用いることが可能である。
【0007】
この文脈において、有意量は、放射されたX線に基づいてガラス内でコヒーレント性、従属性、または干渉性を有すると共に、散乱中心と見なされる原子の近くを電磁波が通過する際に生じる建設的干渉に関する情報を含む弾性散乱である。X線回折は、X線が物質と相互作用した際に生じるコヒーレント性および弾性を有する散乱現象である。回析された波は、各原子により散乱された波の干渉から生じる。
【0008】
WAXS法により記録された実験スペクトルは、散乱角の可能な最も広い領域にわたり記録されている。この場合、これは散乱角が小さい場合は従属事象であって散乱角が大きい場合は準独立事象である弾性および非弾性散乱現象の結果生じたものである。従って、初期スペクトルを、変化させる各種の現象について補正することにより、従属コヒーレント信号の比率だけを抽出すればよい。これは特に、調べている標本周辺の残留ガスによる入射ビームの散乱、当該標本による吸収、および当該標本またはモノクロメータの結晶の表面でX線ビームが反射された際に生じる各種の偏光に関する知識を必要とする。
【0009】
これら各種の補正は、使用する回折計の仕様に関係し、特にモノクロメータの種類、使用する回折計を取り巻く残留ガスの性質、検知器の種類、X線の経路内におけるフィルタの存在、および反射または透過によるビームの散乱に関係する。独立なコヒーレントな散乱または独立な非コヒーレント散乱のように実験で推定できない実験スペクトルに適用される他の補正は、非経験的計算から得られたテーブルの助けを借りて理論的に評価される。
【0010】
各種の補正を適用することにより、ガラスの構造因子およびその後の動径分布関数の構築が可能になる。これは本質的に、調べているマトリクスのコーディナンス数と合わせて、原子間距離の定量化を可能にする。
【0011】
上述の全ての動作は、動径分布関数の計算と共に、連続的なステップで実行する必要がある。
− 一方では、適当な構造因子を取得するために数回の反復を要し、その過程で補正パラメータを調整してよい、
− 他方では、フーリエ変換による動径分布関数の計算は、散乱ベクトルの絶対値が高い領域でのスペクトル切断現象をもたらし、後で識別が困難な数学的アーチファクトが生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は特に、全ての計算を単一の手順にまとめることにより、特にWAXS法により得られた実験スペクトルに基づいて動径分布関数を取得可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のため、本発明の主題は特許請求の範囲に記述しているような方法である。
【0014】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面に関して記述する以下の説明を通じて明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による方法で用いる、X線による散乱スペクトル測定の原理を示す。
【図2】反射前の非晶質物質標本への入射ビームの侵入長を示す。
【図3】反射された光子の強度の実験的測定に基づいて得られた例示的な散乱スペクトルである。
【図4】量Q.i、すなわち散乱ベクトルの絶対値と減少した強度との積の変動をQの関数として表す曲線による別のスペクトル表現である。
【図5】動径原子分布関数の例示的な分布である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に、本発明による方法で用いるX線散乱原理を示す。ガラス標本10へ向けてソース11から放射されたX光子1の入射ビームは、ガラス標本により後方散乱すなわち反射される。
【0017】
ガラス標本10は回折計3の上に配置されている。回折計の構成において、後部モノクロメータの有無が考慮されていてよい。
【0018】
入射X線1はガラスにより反射される。図1に、標本10による反射光線2を示す。反射光線2の伝播方向に検知器12が配置されている。当該検知器12により、特に反射された光子の強度の測定が可能になる。
【0019】
WAXS法において、放射されたX線1の入射角は広大な角度領域内で変化させられ、広大な角度領域内で散乱角θの変動を引き起こす。反射された光子の強度は次いで、当該散乱角θの関数として変化する。
【0020】
散乱強度は方向により変化せず、等方性であって、散乱波ベクトルQ=(4πsinθ/λ)の係数のみに依存する(λは放射された波1の長さである)。
【0021】
実際には、入射ビーム11はガラス内で散乱される前にガラス内をある厚さまで透過する。
【0022】
図2にこの散乱現象を示す。同図は実際に、入射光線1が散乱される前に、特に図1に示す光線2のような反射光線を生成する前に、長さlだけ進み、入射ビームの方向と角度2θを形成することを示す。実際、反射による散乱の場合、X光子のビームは散乱現象の前後に、ガラス標本10内の材料をある厚さまで透過する。
【0023】
図3の第1の曲線31は、検知器12が測定した反射光子の実験強度Iexpの形状を散乱角2θの関数として示す。当該曲線31は実験測定点30に基づいて得られる。
【0024】
上述のように、実験スペクトル31のこの表現は、散乱角θが小さい場合は従属事象であって散乱角θが大きい場合は準独立事象である弾性および非弾性散乱現象の結果生じたのである。従って、当該実験スペクトルを、変化させる各種の現象について補正することにより、従属コヒーレント信号の比率だけを抽出すればよい。本発明による方法により、簡素化されたプロセスで当該スペクトルに基づいた標本10の構造因子または動径分布関数の取得が可能になり、計算される各種の量を確定する際にユーザーの主観的な介入を最大限回避する。
【0025】
第2の曲線32は解析的計算により得られた、補正スペクトルに対応する簡略スペクトルを示す。2個のスペクトルを一致させるために、吸収、偏光の現象、およびガラス標本10周辺に存在する残留ガスの影響について実験スペクトルを補正する必要がある。
【0026】
光子の強度Iがガラスに吸収され、この吸収光子の量は次の関係式で与えられる。
【数1】

ここで、Iincidentは入射ビームの光子の強度であり、lは第1の散乱前における標本への上述の侵入長、2θは入射光線1と反射光線2との間の散乱角、μは質量吸収係数、およびρは密度である。
【0027】
光源11からのビームは一般に非偏光である。他方、ガラス標本10により散乱されたならば直ちに放射の一部が角度2θで偏光される。回折計内におけるモノクロメータの結晶の存在により、この現象が角度2θで繰り返され、反射ビームの正規化された全強度Iは以下の関係式で記述できる。
【数2】

ここで、I/Iは偏光因子Pで、Iは入射ビームの強度に対応する。
【0028】
検知器12により測定され、残留ガスの影響と共に、上述の吸収および偏光現象についても補正された実験強度は、従属干渉成分の寄与、独立コヒーレント成分の寄与、および独立非コヒーレント成分の寄与の合計として記述することができる。
【数3】

ここで、Ici、Icd、Iiiは各々独立コヒーレント強度、従属干渉コヒーレント強度、および独立非コヒーレント強度を表す、すなわち、最終的に次式となる。
【数4】

【0029】
残留ガスの存在に関する補正は、当該ガスに関するスペクトルを減ずることにより簡単に実現できる。
【0030】
独立コヒーレント強度Iciの推定に必要な原子散乱係数は、公知テーブルすなわちCromer−Mannテーブルに基づいて、または別の公知テーブルすなわちKlugテーブルに基づいて自動的に選択することができる。Cromer−Mannテーブルを用いる場合、以下の2通りの可能性が存在する。
・係数群は、元のCromer−Mann参照から導くことができるが、この場合、ある条件が適用され、その条件とは量Qが18.9未満であることである。
・係数群はJ.Quintanaによる「Lazy−Pulverix」数値計算で求められ、この場合の条件はQが25未満であることである。
【0031】
いずれの場合も、角度θの関数としての原子散乱fの係数a、b、およびcは以下の関係を満たす。
【数5】

独立非コヒーレント強度Iiiに関しては、公知テーブル、すなわちBalyusiテーブルに基づいて自動的に選択しても、またはSmith、ThakkarおよびChapman(V.H.Smith Jr,A.Thakkar & D.C.Chapman,Acta Cryst. A31,1975参照)からのデータに基づいて手動で表にしてもよい。Smith、ThakkarおよびChapman式は、Qの値の大小によらず正しい漸近的な振る舞いを示すが、これは以下の関係に従い表される。
【数6】

ここで、S=(sinθ/λ)、Iii、Iは各々非弾性独立非コヒーレント強度および弾性強度を表し、Nは中性原子の電子の個数である。
【0032】
本発明は、量Qと組み合わせて別の量を用いる。この量は、独立コヒーレント強度に対する干渉コヒーレント強度の比Icd/Iciとして定義される減衰強度iであり、この減衰強度は上の関係式(3)’から導かれる以下の関係により与えられる。
【数7】

減衰強度iは従って、特に吸収、偏光、および残留ガスの影響について補正された実験強度Iexpに基づいて得られた強度Imeasured corrected、かつ例えばテーブルで得られた独立非コヒーレント強度Iii、および独立コヒーレント強度Iciに基づいて取得することができる。これらの強度はQ=(4πsinθ/λ)の関数であり、また減衰強度i自身はQの関数である。
【0033】
が静的構造因子を表す場合、減衰強度iを関係i(Q)=S(Q)−1に従いSと識別することができる。Sは調べているガラス上のX回折の実験測定値に基づいて得られる量であって、その構造に関する情報を含んでいる。
【0034】
上述の補正を適用した後で得られる強度は、動径分布関数を与えるために電子単位eV(電子ボルト)で表す必要がある。一般に利用される技術は、散乱波ベクトルQの絶対値の大きい値について実験スペクトル31の一部を、互いに独立であると考えられる散乱中心Mにおける散乱現象を現す強度に一致させることである。
【0035】
2個の独立成分の寄与、すなわち弾性および非弾性(またはコンプトン)式は以下の関係により各々与えられる。
【数8】

【0036】
係数fMjは原子散乱係数を表し、係数Iは基本強度を表し、係数cMjは原子の元素比率を表す。
【0037】
正規化定数αは、実験強度IexpをeV(電子ボルト)で表される電子量Ielectronicに関連付ける。すなわち、Iexp=α.Ielectronicである。
【0038】
この正規化定数はKrogh−Moeの方法に基づいている(J.Krogh−Moe,Acta Cryst.9,951(1956)およびN.Norman,Acta Cryst.10,370(1957)参照)。これは、実験的に利用できるQ領域全体、例えば図4の場合0〜17Å−1の間にわたりスペクトル31を積分することにより得られる
【数9】

【0039】
平均原子密度ρは、組成単位に存在する原子の体積の逆数に一致する。以下の関係を満たす。
【数10】

ここで、Nはアボガドロ数、dは原子のマトリクスの密度、Aは原子質量であり、Zは原子jの原子番号に対応する。
【0040】
図4に、別のスペクトル表現を曲線41で示す。当該曲線41は量Q.iの変動をQの関数として表し、i自身はQの関数である。
【0041】
曲線Q.i(Q)41は、例えば図3の例から生じる実験測定値に基づいて取得でき、減衰強度iは上で述べた補正により決定される。量Q.iは例えば0〜17Å−1の間で変化するQの領域について計算される。
【0042】
曲線41は従って、補正および正規化された実験測定値に基づいて決定可能である。
【0043】
減衰強度を取得すべく適用される補正量は、計算またはテーブルにより決定され、いずれの場合も、散乱の前に標本に侵入する光線の侵入長lに依存する吸収に関するもの以外は既知のパラメータにより決定される。減衰強度iは従って、この長さlが決定されていなければ未知である。従って、iの値および結果的にQ.i(Q)の値を取得するためにはlを解く必要がある。
【0044】
本発明は、曲線41の特徴、すなわち、その値に対する線形回帰が、Qがかなり大きく、例えばQ>10Å−1になれば直ちに傾きがゼロの直線42となることを好都合に利用する。本発明によれば、侵入長lは、この傾きp(Q.i)=0について解かれる。
【0045】
この目的のため、正規化定数αは従って、減衰強度i(Q)に散乱ベクトルQの係数を乗じた値に対する線形回帰により得られるアフィン直線の傾きを最小化すべく再帰的に変化させられる。各反復において、減衰強度の値は長さlに対するQの関数として計算される。この線形回帰のために採用された減衰強度の値は、各々が散乱角2θ、従ってQの所与の値の関数である一連の実験強度の測定値に一致する。
【0046】
傾きp(Q.i)が、例えばp(Q.i)=0のように最小化された場合、得られた値lが求める値であって、決定された値Q.i(Q)は求める値に一致する。離散化された関数Q.i(Q)はこのようにして得られる。これは連続関数として外挿できる。
【0047】
図5に、例示的な動径分布を曲線51で示し、これに基づいて非晶質構造の形状因子、特にガラス標本10の形状因子を公知の方法で推論できる。
【0048】
本発明により得られた関数Q.i(Q)は、以下の関係により定義される動径分布関数ρ(r)を導く。
【数11】

【0049】
半径rは所与の原子、すなわち散乱中心からの距離である。ρ(r)は半径r、厚さdrの球殻内での原子濃度である。関係(11)はこの濃度の動径分布を与える。
【0050】
逆フーリエ変換は、公知の方法で動径分布関数を導く。逆フーリエ変換は、例えば所定の位置だけで計算されるため、スペクトル切断に関連する変動を、R.Lovell,G.R.Mitchell & A.H.Windle,Acta Cryst.A35,598−603(1979)に記述されているR.Lovellらの方法に従い、Qの最大値、例えばQmax=17Å−1を超えて、最小化可能にする。Q.iの極値に一致するQの最大値について最高の精度が得られる。最後の極値は例えば、関数Q.iの最後のゼロ点の位置に基づいて自動的に検出される。動径分布関数において極めて近いピーク52、53の分離の細かさはこの極値の位置に依存する。次いで、表現がQ.iのフーリエ級数展開に対応する連続関数に基づいてフーリエ積分が計算される。
【0051】
この方法では、極めて短い原子間距離のスプリアス変動を完全に除去することはできない。次いで、分布関数が任意にまたは実験的に決定できる閾値値rを下回って線形になるようにする基準が課される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質材料の構造因子を、実験的に記録された前記材料の標本(10)内におけるX線散乱のスペクトルに基づいて取得する方法であって、少なくとも1本のX線が入射光線(1)として前記標本へ向けて放射され、そして検知器(12)へ向けて反射(2)されていて、前記入射X線(1)が所与の入射角に従い前記標本の表面を走査しており、
− 前記検知器(12)により実行された実験の光子強度測定値を前記入射角の関数として記録するステップと、
− 各測定において吸収される強度の量は反射の前に前記標本内への入射波の侵入長lに依存する状態で、少なくとも前記標本内での吸収現象を考慮しながら前記実験強度を補正するステップと、
− 正規化係数(α)に従い、前記実験強度から得られた補正強度を電子強度に関連付ける正規化ステップと、
− 離散化された関数Q.i(Q)を計算するステップ、但しiは補正および正規化された実験強度の測定値から得られた反射独立コヒーレント強度に対する反射従属コヒーレント強度の比率(Icd/Ici)である減衰強度、Qは量(sinθ/λ)に比例する波散乱ベクトルの絶対値、2θは散乱角、λは放射された波の長さであって、前記正規化定数(α)は関数Q.i(Q)の値に対する線形回帰により得られたアフィン直線(42)の傾きを最小化すべく再帰的に変化し、各反復を行う間に減衰強度の値が侵入長lについて計算され、前記関数Q.i(Q)が前記最小の傾きに対応して求められる(41)ステップと、
− Q.i(Q)に依存する動径原子濃度ρ(r)の分布に基づいて構造因子を決定するステップと、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
求める前記関数Q.i(Q)がゼロ傾きに対応することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記減衰強度が、吸収、偏光、および残留ガスの現象について補正された実験強度Imeasured corrected、並びに独立非コヒーレント強度Iiiおよび独立コヒーレント強度Iciに基づいて得られる、すなわち
【数1】

であることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記正規化係数αが以下の関係により与えられる、
【数2】

但し、ρは前記標本の組成単位に存在する原子の体積の逆数に対応する平均原子密度、Iexpは実験強度、Ielastic indおよびIinelastic indは弾性独立および非弾性独立反射強度、Zは前記原子jの原子番号に対応することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
得られた前記関数Q.i(Q)が次の関係式により前記動径原子濃度分布関数ρ(r)に関連付けられていて、
【数3】

半径rは所与の原子すなわち散乱中心からの距離、ρ(r)は半径r厚さdrの球殻内の前記原子濃度であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記X散乱法がいわゆる広角散乱法(WAXS)であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記材料が非晶質ガラスであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ガラスが放射性元素を封入できることを特徴とする、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−528793(P2011−528793A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519107(P2011−519107)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058698
【国際公開番号】WO2010/009982
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(510163846)コミシリア ア レネルジ アトミック エ オ エナジーズ オルタネティヴズ (47)
【Fターム(参考)】