説明

特定情報記録用タグ、搬送先情報記録タグ及び物品搬送管理システム

【課題】各物品の搬送先を明確にすると共に、物品管理の自動化を実現した搬送先情報記録タグ及び物品搬送管理システムを提供する。
【解決手段】この物品搬送管理システム70は、例えば図3に記載の搬送先情報記録タグ60と、物品に関する情報が記録されたRFタグ200を取り付けた複数の物品43と、複数の物品43及び搬送先情報記録タグ60を搬送するカート(搬送手段)42と、カート42が通過したときに搬送先情報記録タグ60及びRFタグ200と電波のやりとりを行なうゲートアンテナ40と、搬送先情報及び各物品43に関する情報を読み書きするリーダライタ100と、リーダライタ100を制御するPC(制御手段)50と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送先情報記録タグ及び物品搬送管理システムに関し、さらに詳しくは、物品を一括で搬送する搬送手段に、当該物品を搬送する搬送先情報を記録した搬送先情報記録タグを取り付けることにより、各物品と搬送先を関連付ける搬送先情報記録タグ及び物品搬送管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードと呼ばれる新しい情報記録媒体が、市場に広く出回っている。ICカードとは、クレジットカード、銀行カード、ポイントカード等のカード状あるいはシート状の形状を備え、カード内、或いはカード上にICが組み込まれている読み書き可能な記録媒体を総称した名称である。特に、非接触型ICカードは、例えば、鉄道等の交通機関の駅構内への入退場時に使用される定期券、プリペイドカードとして多く使用されている。また、非接触型ICカードの一種として、構造的には非接触型ICカードと全く同様であり、且つ識別番号及び履歴情報等に関する管理情報を記録したRF(Radio Frequency )タグがあり、このRFタグの一種として郵便物あるいは荷物等を分類管理するために使用される非接触型RFタグ(以下、単にRFタグと記す)が知られている。
【0003】
例えば、図9に示すように、カート42に搭載された複数の物品43を同じ搬送先に搬送する場合、各物品には物品の管理情報が記録されたRFタグ200が取り付けられている。そしてRFタグ200に搬送先の情報を記録するために、カート単位で矢印Aの方向に搬送してゲート40を通過する際に、人手によりPC50を操作して、RFタグ200に記録されている物品情報に基づいて搬送先情報を各RFタグ200に記録していた。或いは、カート単位に搬送先を記載した紙を貼付するだけで、RFタグ200には搬送先を記録しない場合もある。
図10はRFタグ200には搬送先を記録するときの動作を説明するフローチャートである。予め各物品の管理情報を物品タグ200に記録して用意しておき、その物品タグ200を各物品に取り付ける(S11)。そして、同じ搬送先の物品を1つのカート42に搭載して矢印Aの方向に搬送する。カート42がゲート40に到達すると(S12)、操作者はPC50の表示部を見て、当該物品がどの搬送先であるかを確認し、その搬送先を操作部から入力してリーダライタ100により全ての物品タグ200に搬送先情報を書き込む(S13)。
【0004】
従来技術として特許文献1には、物品に付されて該物品に係る管理情報を記憶したRFIDタグと、RFIDタグに対して管理情報の読み書きを行うリーダライタと、リーダライタを制御する制御手段と、を備え、制御手段は、リーダライタにより読み取られた管理情報の中から識別コードを関連付けて記憶し、関連付けられた識別コードをRFIDタグの記憶領域に記憶することにより、当該RFIDタグが付された物品同士の関連付けを行う物品管理システムについて開示されている。
【特許文献1】特開2005−272136公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図9に示す従来の方法では、カート42により搬送された物品群43の搬送先を人手により確認して入力し、物品タグ200に記録しなければならず、操作が煩雑であると共に、人為的なミスにより搬送先を間違って記録する虞があるといった問題がある。また、搬送先を記載した紙を貼付する場合は、その紙が紛失したり、物品がカート42から下ろされた後、物品の搬送先が不明になるといった問題がある。
また、特許文献1に開示されている従来技術は、PCが書類同士の関連付けを行なうため、一旦各書類の識別コードを全て記憶し、それらの識別コードにホルダの識別コードを関連付け、且つお互いの識別コードをタグに記録しなければならず、PCの動作が煩雑になるといった問題がある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、同一の搬送先に搬送する物品に当該搬送先情報を関連付けるために、物品群単位に1つの搬送先情報記録タグを備え、その搬送先情報記録タグに記録された搬送先情報を自動的に読み込んで当該物品群の物品タグに一括して記録することにより、各物品の搬送先を明確にすると共に、物品管理の自動化を実現した搬送先情報記録タグ及び物品搬送管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、取付け対象となる物品に関する特定情報を記録した非接触情報記録媒体と、該非接触情報記録媒体を支持したタグ本体と、該タグ本体の適所に備えられ前記特定情報を視認可能に表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
本発明の特定情報記録用タグは、タグ本体に支持した非接触情報記録媒体に、取付け対象となる物品に関する特定情報を記録しておき、その特定情報が視認可能な表示部を備えて一体構成としたものである。これにより、特定情報が目視により確認できると共に、電気信号として特定情報を管理することができる。
【0008】
請求項2は、取付け対象となる物品の搬送先情報を記録した非接触情報記録媒体と、該非接触情報記録媒体を支持したタグ本体と、該タグ本体の適所に備えられ前記搬送先情報を視認可能に表示する搬送先表示部と、を備えたことを特徴とする。
一般に製造メーカ等では、物品を保護するためと、荷姿形状の統一を図るために通い箱に入れて搬送するのが通例となっている。そして、それらの通い箱は搬送先単位にカート等に搭載されて集荷場に集荷される。本発明はカート単位に搬送先が決まっている場合に、その物品の搬送先を指示する搬送先情報記録タグをカートに搭載された物品上に取り付けるものである。そして、搬送先情報を電気信号として読み取れるために非接触情報記録媒体と、搬送先情報記録タグが搬送先表示機能を兼ねるように本体に搬送先表示部と、を備えるものである。これにより、搬送先が目視により確認できると共に、電気信号として搬送先情報を管理することができる。
【0009】
請求項3は、前記タグ本体の適所に取り付け具を備えたことを特徴とする。
搬送先情報記録タグは、搬送先表示部が視認しやすい場所に取り付けた方が好ましい。そこで本発明では、タグ本体の適所に取り付け具を備え、その取り付け具により搬送先情報記録タグを搬送手段の適所に取り付けるものである。これにより、搬送先表示部が視認しやすくなる。
請求項4は、前記取り付け具は、磁気部材であることを特徴とする。
カートは堅牢な金属により構成されている場合が多い。そこで本発明では、搬送先情報記録タグをその金属部に吸着させるために、取り付け具を磁気部材により構成するものである。これにより、カートが金属で構成されている場合に、任意の場所に搬送先情報記録タグを取り付けることができる。
【0010】
請求項5は、前記搬送先表示部は、前記タグ本体に着脱自在に構成されていることを特徴とする。
搬送先情報記録タグは非接触情報記録媒体に記録されている搬送先情報を変更することにより、何度でも使用することができる。そのとき、搬送先情報と搬送先表示部の内容が一致していることが必要である。そこで本発明では、搬送先情報を変更したときに搬送先表示部の内容を変更するために、搬送先表示部自体を着脱自在な構成とするものである。これにより、搬送先情報と搬送先表示部の内容を常に一致させることが容易に可能となる。
請求項6は、前記搬送先情報を記録した非接触情報記録媒体は、読取専用の媒体により構成されていることを特徴とする。
例えば、搬送先が固定されている場合、非接触情報記録媒体に記録されている搬送先情報は、固定的に書き換えができないようにするのが安全である。そこで本発明では、非接触情報記録媒体を読取専用の媒体により構成することにより、行き先情報を間違って書き換えられる事故を未然に防止するものである。
【0011】
請求項7は、請求項2乃至6の何れか一項に記載の搬送先情報記録タグと、物品に関する情報が記録された非接触情報記録媒体を取り付けた物品及び前記搬送先情報記録タグを搬送する搬送手段と、前記搬送先情報及び前記物品に関する情報を読み書きするリーダライタ装置と、該リーダライタ装置を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記搬送手段により搬送された前記搬送先情報記録タグから搬送先情報を読み取り、該搬送先情報を前記物品に関する情報が記録された非接触情報記録媒体に記録することを特徴とする。
本発明の前提条件として、同じ搬送手段により搬送された物品の搬送先は全て同じであることである。従って、搬送手段により搬送された搬送先情報記録タグに記録された搬送先情報をリーダライタ装置により読み取り、その搬送先情報を無条件に物品に関する情報が記録された非接触情報記録媒体に記録するものである。この結果、各物品に取り付けられた非接触情報記録媒体には同じ搬送先情報が記録されて物品同士が関連付けされる。これにより、搬送手段により搬送された搬送先情報記録タグの搬送先情報により物品同士が自動的に関連付けられる。
【0012】
請求項8は、前記制御手段は、前記リーダライタ装置により前記搬送先情報が読み取れなかった場合、その旨を報知して前記物品に関する情報が記録された非接触情報記録媒体に記録されている搬送先情報を消去することを特徴とする。
搬送手段に搬送先情報記録タグを取り付けるのは人為的に行なわれる。従って、取り付けるのを忘れる可能性もある。また、搬送先情報記録タグが故障して内部に記録された搬送先情報がリーダライタ装置により正しく読み取れない場合もある。また、物品に関する情報が記録された非接触情報記録媒体には、前回に記録された搬送先情報が記録されている可能性がある。そのようなとき、搬送先情報がリーダライタ装置により正しく読み取れない場合、前回に記録された搬送先情報が残ったままだと、間違った搬送先に搬送される虞が発生する。そこで本発明では、これを回避するために、搬送先情報がリーダライタ装置により正しく読み取れない場合は、非接触情報記録媒体に記録されている搬送先情報を消去するものである。これにより、間違った搬送先に物品が搬送されるのを未然に防止することができる。
【0013】
請求項9は、前記制御手段は、前記物品に関する情報が記録された非接触情報記録媒体に前記搬送先情報を記録する場合、以前に記録された搬送先情報に上書きすることを特徴とする。
物品に関する情報が記録された非接触情報記録媒体には、前回に記録された搬送先情報が記録されている可能性がある。従って、新しい搬送先情報を記録する場合は、前の情報が残らないようにする必要がある。そこで本発明では、前の情報に新しい搬送先情報を上書きするものである。これにより、必ず新しい搬送先情報に書き換えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、請求項1乃至6の何れか一項に記載の搬送先情報記録タグと、物品に関する情報が記録された非接触情報記録媒体を取り付けた物品及び搬送先情報記録タグを搬送する搬送手段と、搬送先情報及び物品に関する情報を読み書きするリーダライタ装置と、リーダライタ装置を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、搬送手段により搬送された搬送先情報記録タグから搬送先情報を読み取り、搬送先情報を物品に関する情報が記録された非接触情報記録媒体に記録するので、各物品の搬送先を明確にすると共に、物品管理の自動化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、一般的なリーダライタの構成を示すブロック図である。このリーダライタ100は、リーダライタ100との間でデータの授受を行ってシステム全体を制御するPC50によって制御される。リーダライタ100は、外部のPC50とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ100全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と、操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、制御装置2からの交流信号である電力供給用信号と変調器4からの書き込みコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、アンテナ9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、図示しないRFタグとの電力用搬送波とデータの授受をするアンテナ9とを備えて構成されている。
【0016】
次に、本構成によるリーダライタ100の動作を説明する前に、RFタグ(非接触情報記録媒体)の構成を先に説明しておく。図2は、RFタグの構成を示すブロック図である。このRFタグ200は、リーダライタ100からの電力用搬送波によりデータの授受をするアンテナ20と、書き込みコマンド読み出しコマンドを生成する送受信回路21と、アンテナ20からの電力用搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する電力生成回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、RFタグ200の全体の動作を制御する制御回路26から構成されている。
【0017】
次に、図1と図2を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。リーダライタ100は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。まず、初期化が行われる。次に、制御装置2は、RFタグ200に供給する電力供給用信号と、ポーリング信号を交互に電力増幅器7から送信する。その信号は、アンテナ9から電磁波として外部に放射される。次に、RFタグ200がリーダライタ100に近接すると、アンテナ20が電力供給用信号を受信し、電力生成回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、RFタグ200内の全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムに従って、制御を開始する。
【0018】
次に、制御回路26は、まず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してアンテナ20から送信する。このレスポンスをリーダライタ100がアンテナ9で受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してRFタグ200が規格に合致したRFタグであると認識する。それにより、以後リーダライタ100とRFタグ200の間でポーリングが行われる。
【0019】
図3は本発明の第1の実施形態に係る搬送先情報記録タグの外観構成図である。この搬送先情報記録タグ60は、物品の搬送先情報を記録したRFタグ(非接触情報記録媒体)200(図2参照)と、RFタグ200を支持したタグ本体31と、タグ本体31の表面に備えられた搬送先表示板(搬送先表示部)32と、透明カバー33と、を備えて構成されている。尚、本実施形態では、搬送先表示板32により、RFタグ200に記録された搬送先を目視により確認できるように表示されている(本例では「東京」と表示されている)。また、搬送先が変更になった場合に、搬送先表示板32の内容を変更するために、搬送先表示板32が着脱可能なように、例えば、ケース状の溝に差し込み可能な構成とし、取り出し溝35を設けて取出しが容易な構成としている。また、タグ本体31はRFタグ200と図示しないリーダライタとの電波を妨害しないために、金属以外の樹脂部材等で構成されている。また、本実施形態では、RFタグ200をタグ本体31に埋め込んだ構成としているが、着脱可能な構成としても構わない。尚、本実施形態は、RFタグ200に搬送先情報を記録した搬送先情報記録タグとして説明したが、搬送先情報に限らず特定情報を記録して、物品と特定情報を関連付けるようにしても構わない。例えば、特定情報として物品の価格、産地、或いはこれらの物品が検査規格からはずれた不合格品である旨の情報等が考えられる。
【0020】
即ち、一般に製造メーカ等では、物品を保護するためと、荷姿形状の統一を図るために通い箱に入れて搬送するのが通例となっている。そして、それらの通い箱は搬送先単位にカート等に搭載されて集荷場に集荷される。本実施形態ではカート単位に搬送先が決まっている場合に、そのカートの搬送先を指示する搬送先情報記録タグ60をカートに搭載された物品上に載置するものである。そして、搬送先情報を電気信号として読み取れるためにRFタグ200と、搬送先情報記録タグ60が搬送先表示機能を兼ねるようにタグ本体31に搬送先表示板32と、を備えるものである。これにより、搬送先が目視により確認できると共に、電気信号として搬送先情報を管理することができる。また、搬送先情報記録タグ60はRFタグ200に記録されている搬送先情報を変更することにより、何度でも使用することができる。そのとき、搬送先情報と搬送先表示板32の内容が一致していることが必要である。そこで本実施形態では、搬送先情報を変更したときに搬送先表示板32の内容を変更するために、搬送先表示板自体を着脱自在な構成とするものである。これにより、搬送先情報と搬送先表示板32の内容を常に一致させることが容易に可能となる。
【0021】
図4は本発明の第2の実施形態に係る搬送先情報記録タグの外観構成図である。同じ構成要素には図3と同じ参照番号を付し説明を省略する。図4が図3と異なる点は、タグ本体31の裏面両側に磁気シート(磁気部材:取り付け具)36を備えた点である。即ち、カート等は堅牢な金属により構成されている場合が多い。そこで本実施形態では、搬送先情報記録タグ61をその金属部に吸着させるために、磁気シート36を備えたものである。これにより、カートが金属で構成されている場合に、任意の場所に搬送先情報記録タグ61を取り付けることができる。
【0022】
図5は本発明の第3の実施形態に係る搬送先情報記録タグの外観構成図である。同じ構成要素には図3と同じ参照番号を付し説明を省略する。図5が図3と異なる点は、タグ本体31の裏面上部に取り付け金具37を備えた点である。即ち、カートが金属により構成されていない場合は、磁気部材以外の方法によりカートに取り付ける必要がある。そこで本実施形態では、取り付け金具37をタグ本体31の裏面上部に備えるものである。これにより、カートの材質に無関係に搬送先情報記録タグ62を取り付けることができる。
【0023】
以上の説明では、RFタグ200の内部に記録されている搬送先情報は、リーダライタにより書き換えが可能である。しかし、例えば、搬送先が固定されている場合、RFタグ200に記録されている搬送先情報は、固定的に書き換えができないようにするのが安全である。そこで、RFタグ200を読取専用の媒体により構成することにより、行き先情報を間違って書き換えられる事態を未然に防止することができる。
【0024】
図6は本発明の一実施形態に係る物品搬送管理システムの概略構成図である。この物品搬送管理システム70は、例えば図3に記載の搬送先情報記録タグ60と、物品に関する情報が記録されたRFタグ200を取り付けた複数の物品43と、複数の物品43及び搬送先情報記録タグ60を搬送するカート(搬送手段)42と、カート42が通過したときに搬送先情報記録タグ60及びRFタグ200と電波のやりとりを行なうゲートアンテナ40と、搬送先情報及び各物品43に関する情報を読み書きするリーダライタ100と、リーダライタ100を制御するPC(制御手段)50と、を備えて構成されている。尚、本実施形態では搬送先情報記録タグとして図3の物品に載置する搬送先情報記録タグ60を使用しているが、図4、図5に記載の搬送先情報記録タグ61、62でも構わない。また、ゲートアンテナ40には、アラームを報知する報知器41が備えられている。
【0025】
次に、本実施形態の動作について図6を参照して説明する。例えば、予め搬送先情報が異なる複数の搬送先情報記録タグ60(搬送先がP、Q、R、S、T、U)を用意しておき、まずカート42に積載された物品43が全て搬送先がPである場合、搬送先情報Pを記録した搬送先情報記録タグ60を物品43の上に載置する。このとき、各物品に取り付けられたRFタグ200には、各物品に関する情報(例えば、物品名、製造月日等)が記録されている。この状態で、図示しない作業者は、カート42をゲートアンテナ40まで搬送する。リーダライタ100は、カート42が近接したことを検知して動作するようにしてもよいし、常に電波を放射するようにしてもよい。いずれにしても、カート42がゲートアンテナ40に近接すると、リーダライタ100は、搬送先情報記録タグ60から搬送先情報Pを読み取りPC50に伝える。PC50は続けてリーダライタ100に対して各RFタグ200と交信しながら、搬送先情報Pを全てのRFタグ200に記録する。
【0026】
このように本発明の前提条件として、同じカート42により搬送された物品43の搬送先は全て同じであることである。従って、カート42により搬送された搬送先情報記録タグ60に記録された搬送先情報Pをリーダライタ100により読み取り、その搬送先情報Pを無条件に物品43に関する情報が記録されたRFタグ200に記録するものである。この結果、各物品43に取り付けられたRFタグ200には同じ搬送先情報Pが記録されて物品43同士が関連付けされる。これにより、カート42により搬送された搬送先情報記録タグ60の搬送先情報Pにより物品43同士が自動的に関連付けされる。
【0027】
また、カート42に搬送先情報記録タグ60を取り付けるのは人為的に行なわれる。従って、取り付けるのを忘れる可能性もある。また、搬送先情報記録タグ60が故障して内部に記録された搬送先情報Pがリーダライタ100により正しく読み取れない場合もある。また、物品43に関する情報が記録されたRFタグ200には、前回に記録された搬送先情報が記録されている可能性がある。そのようなとき、搬送先情報Pがリーダライタ100により正しく読み取れない場合、前回に記録された搬送先情報が残ったままだと、間違った搬送先に搬送される虞が発生する。そこで本実施形態では、これを回避するために、搬送先情報Pがリーダライタ100により正しく読み取れない場合は、RFタグ200に記録されている搬送先情報を消去するものである。これにより、間違った搬送先に物品43が搬送されるのを未然に防止することができる。
また、物品に関する情報が記録されたRFタグ200には、前回に記録された搬送先情報が記録されている可能性がある。従って、新しい搬送先情報Pを記録する場合は、前の情報が残らないようにするために、前の情報に新しい搬送先情報Pを上書きするものである。これにより、必ず新しい搬送先情報Pに書き換えることができる。
【0028】
図7は本発明の物品搬送管理システムによりRFタグ内の搬送先情報が更新される様子を説明する図である。図の左側がゲートアンテナ40を通過する前の状態を表し、図の右側がゲートアンテナ40を通過した後の状態を表している。また、物品情報65は、同一のカート42で搬送される1回目をn=1と表し、夫々の物品をA−1〜d−1として表す。この例では6回目(n=6)までについて説明する。また、搬送先情報66には、搬送先情報がアルファベットで表示されている。
まず、1回目の搬送状態の動作について説明する。ゲートアンテナ40を通過前の物品情報65は、A−1、B−1、C−1、D−1、a−1、b−1、c−1、d−1であり、搬送先情報66には、前回に記録された搬送先情報(F、E、P、X、Y、Y、Y、C)が記録されている。その後、カート42がゲートアンテナ40に近接すると、リーダライタ100は搬送先情報記録タグ60に記録されている搬送先情報Pを読み取り、その情報を搬送先情報68に上書きする。その結果、物品情報67は同じで、前回に記録された搬送先情報(F、E、P、X、Y、Y、Y、C)68は新たにPに書きかえられる。
【0029】
次に2回目の搬送状態の動作について説明する。2回目は搬送先情報記録タグ60の搬送先がQであるので、搬送先情報記録タグ60を変更する。当然その搬送先表示板には搬送先Qが表示されている。そしてゲートアンテナ40を通過前の物品情報65は、A−2、B−2、C−2、・・・d−2であり、搬送先情報66には、前回に記録された搬送先情報(G、H、P・・・X)が記録されている。その後、カート42がゲートアンテナ40に近接すると、リーダライタ100は搬送先情報記録タグ60に記録されている搬送先情報Qを読み取り、その情報を搬送先情報68に上書きする。その結果、物品情報67は同じで、前回に記録された搬送先情報(G、H、P・・・X)は新たにQに書きかえられる。以下、同様にして5回目まで終了し、6回目に異常動作が発生したと仮定して説明する。これまでの動作は、搬送先情報記録タグ60に記録されている搬送先情報が正しく読み取られた場合であるが、例えば、6回目で搬送先情報記録タグ60を物品43に載置し忘れたとすると、ゲートアンテナ40通過前の物品情報65は、A−6、・・・d−6であり、搬送先情報66には、前回に記録された搬送先情報(J、・・・K)が記録されている。その後、カート42がゲートアンテナ40に近接すると、搬送先情報記録タグ60の情報が読み取れないため、報知器41によりアラームを報知して、搬送先情報66を全て消去する。その結果、物品情報67は同じで、前回に記録された搬送先情報(J、・・・K)は消去され、間違った搬送先に搬送されるのを未然に防止することができる。
【0030】
図8は本発明一実施形態に係る物品搬送管理システムの動作を説明するフローチャートである。図6を参照して説明する。予め搬送先情報が異なる複数の搬送先情報記録タグ60(搬送先がP、Q、R、S、T、U)を用意しておき、搬送先情報を各搬送先情報記録タグ60に記録する(S1)。次に、カート42に積載された物品43の搬送先が全てPである場合、搬送先情報Pを記録した搬送先情報記録タグ60を物品43の上に載置する(S2)。このとき、各物品に取り付けられたRFタグ200には、各物品に関する情報(例えば、物品名、製造月日等)が記録されている。この状態で、図示しない作業者は、カート42をゲートアンテナ40まで搬送する(S3)。リーダライタ100は、カート42が近接したことを検知して動作するようにしてもよいし、常に電波を放射するようにしてもよい。いずれにしても、カート42がゲートアンテナ40に近接すると、リーダライタ100は、搬送先情報記録タグ60から搬送先情報Pを読み取りPC50に伝え、PC50が正しく読み取られたかをチェックする(S4)。正しく読み取ったことを確認すると(S4でYES)、PC50は続けてリーダライタ100に対して各RFタグ200と交信しながら、搬送先情報Pを全てのRFタグ200に記録する(S5)。一方、ステップS4で搬送先情報記録タグ60から搬送先情報Pが読み取れない場合(S4でNO)、報知器41によりアラームを報知して(S6)、RFタグ200に記録されている搬送先情報を全て消去する(S7)。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一般的なリーダライタの構成を示すブロック図である。
【図2】RFタグの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る搬送先情報記録タグの外観構成図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る搬送先情報記録タグの外観構成図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る搬送先情報記録タグの外観構成図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る物品搬送管理システムの概略構成図である。
【図7】本発明の物品搬送管理システムによりRFタグ内の搬送先情報が更新される様子を説明する図である。
【図8】本発明一実施形態に係る物品搬送管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図9】従来の物品搬送管理システムの概略構成図である。
【図10】従来の物品搬送管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
31 タグ本体、32 搬送先表示板、33 透明カバー、35 取り出し溝、40 ゲートアンテナ、42 カート、43 物品、50 PC、60 搬送先情報記録タグ、70 物品搬送管理システム、100 リーダライタ、200 RFタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付け対象となる物品に関する特定情報を記録した非接触情報記録媒体と、該非接触情報記録媒体を支持したタグ本体と、該タグ本体の適所に備えられ前記特定情報を視認可能に表示する表示部と、を備えたことを特徴とする特定情報記録用タグ。
【請求項2】
取付け対象となる物品の搬送先情報を記録した非接触情報記録媒体と、該非接触情報記録媒体を支持したタグ本体と、該タグ本体の適所に備えられ前記搬送先情報を視認可能に表示する搬送先表示部と、を備えたことを特徴とする搬送先情報記録タグ。
【請求項3】
前記タグ本体の適所に取り付け具を備えたことを特徴とする請求項2に記載の搬送先情報記録タグ。
【請求項4】
前記取り付け具は、磁気部材であることを特徴とする請求項3に記載の搬送先情報記録タグ。
【請求項5】
前記搬送先表示部は、前記タグ本体に着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項2、3又は4に記載の搬送先情報記録タグ。
【請求項6】
前記搬送先情報を記録した非接触情報記録媒体は、読取専用の媒体により構成されていることを特徴とする請求項2、3、4又は5に記載の搬送先情報記録タグ。
【請求項7】
請求項2乃至6の何れか一項に記載の搬送先情報記録タグと、物品に関する情報が記録された非接触情報記録媒体を取り付けた物品及び前記搬送先情報記録タグを搬送する搬送手段と、前記搬送先情報及び前記物品に関する情報を読み書きするリーダライタ装置と、該リーダライタ装置を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記搬送手段により搬送された前記搬送先情報記録タグから搬送先情報を読み取り、該搬送先情報を前記物品に関する情報が記録された非接触情報記録媒体に記録することを特徴とする物品搬送管理システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記リーダライタ装置により前記搬送先情報が読み取れなかった場合、その旨を報知して前記物品に関する情報が記録された非接触情報記録媒体に記録されている搬送先情報を消去することを特徴とする請求項7に記載の物品搬送管理システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記物品に関する情報が記録された非接触情報記録媒体に前記搬送先情報を記録する場合、以前に記録された搬送先情報に上書きすることを特徴とする請求項7又は8に記載の物品搬送管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−94503(P2008−94503A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274233(P2006−274233)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】