説明

珪素鋼板の製造方法

【課題】 量産性に優れた高Siの珪素鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】 質量%でSi:4〜7%を含有する珪素鋼を熱間成形し、断面が矩形の鋼片とし、該鋼片を芯材として少なくとも上下面及び左右面を炭素鋼で覆い被覆材を作製する工程と、得られた被覆材に対して前記上下面からの圧下により熱間圧延を行ない熱間圧延被覆材を作製する工程と、得られた熱間圧延被覆材を、被覆された炭素鋼を保持した状態で冷間圧延を行う冷間圧延材を得る工程と、被覆された炭素鋼を除去する工程と、を具備する珪素鋼板の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、珪素鋼板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
珪素鋼板(Fe−Si合金)は磁気特性に優れた材料として知られ、例えば、変圧器やモータ、発電機等の電気機器の鉄心材料に好適な材料である。特に、Siを6.5%程度含有する高Siの珪素鋼板は、一般的な珪素鋼板となるSiを3%程度含有する合金よりも磁歪、鉄損に優れた軟磁性材料として古くから知られ、変圧器やモータ、発電機等の電気機器の低騒音化および高効率化に寄与する軟磁性材料として注目されてきた。その一方で、4%以上の高いSiを含有する珪素鋼板は、常温下での硬さが高く、且つ脆いため、冷間圧延加工が困難な材料として知られている。
【0003】
そのため、4%以上の高いSiを含有する珪素鋼板の製造に関しては、種々の提案がなされている。例えば、特許第4269350号公報(特許文献1)に記載される浸珪処理を行なう方法が著名である。浸珪処理によらない方法としては、例えば特開平5−171281号公報(特許文献2)に示されるような、中心部が高珪素鋼で、被覆部が低珪素鋼のクラッド鋼材を、熱間圧延した後、冷間圧延領域である非加熱もしくは再結晶温度以下の加熱域で圧延し、次いで焼鈍することにより中心部の珪素を被覆部に拡散せしめ、高珪素薄鋼帯を製造する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4269350号公報
【特許文献2】特開平5−171281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記される浸珪処理を施した高Siの珪素鋼板は、優れた磁気特性を有するものとして実用化されている。しかし、浸珪処理という特別な方法を適用することから、特別な設備を必要とすることや、加えて浸珪処理により形成した表層のSi濃化層を厚み方向に均一に拡散させるSiの加熱拡散処理に長時間を要するため、非常に高価な材料となる問題を抱えている。
【0006】
また、特許文献2に示される方法は、通称、鋳包み法と呼ばれる方法を適用する方法であり、芯材となる高いSi含有量の珪素鋼を、芯材よりも加工性に優れた低いSi含有量の珪素鋼で鋳込むことで、常温から温間域における圧延等の加工性を確保しようとする方法である。また、所望の厚さに圧延した後、上述した浸珪法と同様にSiの加熱拡散処理により、Si濃度を厚み方向に均一化させることで、全体として均一、且つ高Siの珪素鋼板を製造する方法である。
【0007】
しかし、芯材となる珪素鋼は所望のSi含有量よりも予め高いSi含有量にしておく必要があることから、常温下での加工性を安定して得難いという欠点があり、加えて、Si濃度を厚み方向に均一に拡散させるSiの加熱拡散処理に長時間を要することから、量産性が悪く、残念ながら実用化するまでに至っていない。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、量産性に優れた高Siの珪素鋼板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、熱間圧延前の高Siの珪素鋼の鋼片を炭素鋼で被覆して、熱間圧延により高Si鋼表面に確実に密着させることで、冷間圧延における割れ不良を効果的に抑制可能であることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、質量%でSi:4〜7%を含有する珪素鋼を熱間成形し、断面が矩形の鋼片とし、該鋼片を芯材として少なくとも上下面及び左右面を炭素鋼で覆い被覆材を作製する工程と、
得られた被覆材に対して前記上下面からの圧下により熱間圧延を行ない熱間圧延被覆材を作製する工程と、
得られた熱間圧延被覆材を、被覆された炭素鋼を保持した状態で冷間圧延を行う冷間圧延材を得る工程と、
被覆された炭素鋼を除去する工程と、
を具備する珪素鋼板の製造方法である。
【0009】
本発明において、好ましくは冷間圧延前の熱間圧延被覆材に被覆された上下面の炭素鋼の板厚を、芯材の板厚に対してそれぞれ5%〜50%に調整する。
また、本発明において、好ましくは、冷間圧延の前に、650℃〜950℃で焼鈍を行なう。
また、本発明において、好ましくは鋼片の一方の端面は炭素鋼で覆い、他方の端面は解放して熱間圧延を行なう。
【発明の効果】
【0010】
本発明の珪素鋼板の製造方法を適用することで、浸珪処理という特別な方法を適用することなく、容易に高Siの珪素鋼板を得ることができる。これにより安価で高性能な珪素鋼板が提供できることとなるため、効率的なエネルギー使用が求められる現在の産業にとって極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の被覆材の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の冷間圧延前素材断面の金属組織写真である。
【図3】本発明の冷間圧延用素材断面の冷間圧延後の金属組織写真である。
【図4】本発明の冷間圧延用素材断面の曲げ性評価後の金属組織写真である。
【図5】本発明の製造方法で得られた珪素鋼板断面の磁性焼鈍後の金属組織写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述した通り、本発明の重要な特徴は、熱間圧延前の高Siの珪素鋼の鋼片を炭素鋼で被覆して、熱間圧延により高Siの珪素鋼表面に確実に密着させることで、冷間圧延における割れ不良を効果的に抑制可能であることを見いだしたことにある。
以下、詳しく説明する。
上述した高Siの珪素鋼は、熱間での鍛造、圧延などの熱間加工では、十分な延性があり特に加工性は問題にならない。一方、冷間圧延、特に常温下ではほとんど延性がなく、そのままでは加工することができない。
その一つの解決策として、上述した鋳包み法があるが、本発明においては鋳包み法ではなく、熱間圧延という工程において、高Siの珪素鋼表面に炭素鋼を確実に密着させる手法を採用した。
【0013】
本発明においては、まず、質量%でSi:4〜7%を含有する珪素鋼よりなる高Siの珪素鋼を熱間成形して断面が矩形の鋼片とし、該鋼片を芯材として少なくとも上下面及び左右面を炭素鋼で覆い被覆材を作製する。
断面が矩形の鋼片とすることで、被覆するのに用いる炭素鋼の形状を決めやすいという利点がある。例えば、図1に示すように矩形とすれば珪素鋼芯材(1)の上下面及び左右面に対応する形状の炭素鋼板(2)を配置するたけで、それらを溶接(3)(4)すれば容易に圧延に適する矩形の被覆材が得られる。
また、熱間圧延の前に被覆材とすることで、短尺の状態での作業が可能となり、工程の負荷が少なくてすむという利点もある。
【0014】
また、少なくとも上下面及び左右面としたのは、後段の冷間圧延において最も大きな応力分布を受ける断面の周囲を覆うことで、割れの発生を防止するためである。
もちろん、他の2面である端面も覆ってもかまわない。但し、完全に密封してしまうと気体が内部残留していた時に、熱間圧延において破裂の危険があるため、鋼片の一方の端面は炭素鋼で覆い、他方の端面は解放して熱間圧延を行うことが好ましい。
より好ましくは、熱間圧延の圧延方向先端側の端面を炭素鋼で覆い、後端側は解放することで、熱間圧延の進行に伴い残留気体を解放された他端側から排出するようにする。
【0015】
次に得られた被覆材に対して前記上下面からの圧下により熱間圧延を行ない熱間圧延被覆材を作製する。
上述したとおり、高Siの珪素鋼は、冷間圧延での延性がないことが問題であり、本発明において、この工程は冷間圧延に適用する素材を得る重要な工程である。つまり、熱間圧延により、鋼片と炭素鋼は密着接合したものとなり、冷間圧延工程で芯材が受ける応力分布を、適度に緩和することができる。
【0016】
次に得られた熱間圧延被覆材を、被覆された炭素鋼を保持した状態で冷間圧延を行う冷間圧延材を得る。被覆された炭素鋼が、例えば酸化スケールとなって脱落あるいは除去されてしまっては、上述した効果がまったく得られないため、被覆された炭素鋼を保持することが必要である。
しかし、熱間圧延被覆材表面には、酸化スケールが形成されており、そのままでは冷間圧延に供することは困難である。そのため、冷間圧延に適用可能な形態とし、且つ、冷間圧延率を考慮し、冷間圧延前素材に調整する。
冷間圧延において、被覆した炭素鋼の効果を明確に発揮するとともに、過度な被覆により、生産効率を低下させないためには、好ましくは冷間圧延前の熱間圧延被覆材に被覆された上下面の炭素鋼の板厚を、芯材の板厚に対してそれぞれ5%〜50%に調整する。より好ましくは15%〜50%である。
厚みの調整は、切削、研磨等の物理的、あるいは化学的除去量の調整によって行うことができる。この場合、熱間圧延被覆材に被覆された上下面の炭素鋼の除去は、ほぼ均等に除去することが望ましい。
【0017】
また、熱間圧延においては、加熱状態での圧延であるため圧延による加工歪みが、通常は解放されるが、条件によっては十分ではない場合が起こり得る。この加工歪みの残留は冷間加工性を劣化させる。そのため、冷間圧延の前に、650℃〜950℃で焼鈍を行うのが好ましい。650℃未満では、加工歪みの解放にあまり効果がなく、950℃を超えると結晶粒が成長して冷間加工性を劣化する恐れがあるからである。より好ましくは、700℃〜900℃である。
【0018】
次に、得られた冷間圧延材から、被覆された炭素鋼を除去して、目的とする板厚の珪素鋼板を得る。炭素鋼自体は珪素鋼より磁気特性が劣るため、本来の珪素鋼の特性を得るためにこの除去工程が必要である。
【0019】
以下、本発明の細部について説明する。
本発明で用意する珪素鋼のSi含有量を4〜7%とするのは、一般的な3%Siの珪素鋼板は延性があり本発明を適用する必要がないためである。電気抵抗を高め、鉄損を低下させ、磁歪と比透磁率等の軟磁気特性に優れる範囲として好ましいSi含有量は、5.2〜6.8%の範囲である。
本発明で用いる炭素鋼は、例えば、JIS一般構造用圧延鋼材のSS400やJIS機械構造用炭素鋼のS40C等、常温下において延性のある素材であれば良く、JIS G0203鉄鋼用語で記される炭素鋼が利用できる。
本発明で、適用する熱間圧延の条件としては、1000〜1200℃が好ましい。1000℃未満では熱間加工性が低下していき、また鋼片への炭素鋼の密着性が劣っていく可能性がある。また、1200℃を超えるとSiが炭素鋼に過度に拡散していく可能性があるためである。
【0020】
また、本発明においては、通常の珪素鋼に適用する付加処理をおこなうことができる。
例えば、本発明の珪素鋼板を、磁歪、鉄損等の磁気特性に優れ、変圧器やモータ、発電機等の電気機器の低騒音化および高効率化に寄与する高Siの珪素鋼板とするに、上述の本発明珪素鋼板を750℃〜1200℃にて磁性焼鈍を行なうことができる。
磁性焼鈍は、冷間圧延組織を再結晶または二次再結晶組織とすることで、加工歪の除去及び結晶粒を粗大化させることで軟磁気特性を改良する手法である。
磁性焼鈍温度が750℃未満であると十分な結晶粒の成長が成されず、良好な軟磁気特性を安定して得られない。また、逆に1200℃を超える高温としても、さらなる軟磁気特性の向上効果が望めない上、余分な熱エネルギーを消費して環境の観点からも悪影響を及ぼすため、750〜1200℃が適当である。
【0021】
なお、磁性焼鈍は表面酸化などを避けるため、真空中やArガス、Nガス等の不活性雰囲気下、またはHガス等の還元雰囲気下で行なうことが望ましい。
以上、説明した本発明の製造方法により、磁歪、鉄損等の磁気特性に優れ、変圧器やモータ、発電機等の電気機器の低騒音化および高効率化に寄与する高Siの珪素鋼を安価に得ることができる。
【実施例】
【0022】
真空溶解後、鋳造して珪素鋼の鋼塊(素材)を得た。表1にその化学組成を示す。
得られた鋼塊を1100℃に加熱して、板厚20mm(t)に熱間で鍛伸した後、板厚18mm(t)×巾48mm(W)×長さ195mm(L)となるように切断及び研削を行い、断面が矩形の芯材を得た。
得られた芯材に図1で示すように上下面及び左右面と、圧延方向の先端となる端面に炭素鋼(2)の板を配置し、アーク溶接(3)を行った。なお、圧延方向の後端となる端面には、炭素鋼は配置せず、上下面及び左右面を芯材(1)に、スポット溶接(4)し、被覆材を得た。用いた炭素鋼は、一般構造用圧延鋼材のSS400である。
【0023】
【表1】

【0024】
得られた被覆材を1100℃に加熱して、熱間圧延を行ない、表2に示す全厚さ、芯材厚さ、炭素鋼厚さ(片面)の熱間圧延被覆材を得た。
次に得られた熱間圧延被覆材を放電加工及び研削により、スケール除去を行うと共に、炭素鋼の板厚を調整した。このとき、熱間圧延被覆材に被覆された上下面の炭素鋼の除去は、ほぼ均等に除去した。
冷間圧延前素材の全厚さ、芯材厚さ、炭素鋼厚さ(片面)、炭素鋼比を表2に示す。なお、表2に示す炭素鋼の厚さは、被覆された各炭素鋼の断面から、それぞれ任意の5箇所を測定した片面の平均値である。また、表2中のNo.1及びNo.2については、被覆された炭素鋼の厚さが上下で若干異なっていたため、炭素鋼厚み及び炭素鋼比は上下面それぞれ記した。その他の冷間圧延前素材は、ほぼ均等な炭素鋼厚みであった。
図2に本発明例No.2の冷間圧延前素材の断面組織写真を示す。芯材とは金属組織が異なる炭素鋼が上下に存在するのがわかる。なお、組織観察は乾式のフラットミリング(Arイオンによる逆スパッタ)にて実施した。図2から、芯材となる高Siの珪素鋼の上下面に、炭素鋼が剥がれることなく密着していることがわかる。
【0025】
これらの素材に表2に示す条件で焼鈍を行なった。なお、焼鈍時間は1時間である。
その後、1パス当たりの圧下量を0.025〜0.100mmで、0.35mmまで常温で冷間圧延を実施した。
また、同様の冷間圧延前素材を用いて、曲げ性を評価するために、支え治具の半径6.5mm、押込み治具の半径7.5mm、支点間距離20mm、押込み速度1mm/minの条件で90度への3点曲げ試験を行った。これらの結果を表3に示す。
また、同様に比較例として試料No.10として、炭素鋼を被覆しない例を示す。
【0026】
【表2】

【0027】
【表3】

【0028】
表3に示す通り、本発明の試料は、炭素鋼比の低い試料3〜5で曲げ性が劣るものの冷間加工が可能であることを確認することができた。曲げ性が劣る場合は、実際の生産の上でリールtoリールによる巻き出しや巻き取りにおける割れの発生の可能性を示唆する。従い、炭素鋼比は、15%以上がより好ましい。
一方、炭素鋼を被覆しない試料No.10は、予想通り、冷間加工で割れが発生し、冷間加工ができないことを確認した。
冷間加工性をより詳細に評価するため、本発明例No.2の冷間圧延評価後と曲げ性評価後の試料のミクロ観察を行なった。図3に冷間圧延評価後の断面金属組織写真を示し、図4に曲げ性評価後の断面金属組織写真を示す。なお、組織観察は乾式のフラットミリング(Arイオンによる逆スパッタ)にて実施した。
図3及び図4より、本発明の製造方法で得られた珪素鋼板は、断面組織写真からも割れ等の不良は確認されなかった。なお、金属組織写真中、芯材の上下に見られる金属組織が異なる箇所が炭素鋼である。
【0029】
表3に示す冷間圧延性、曲げ性が得られたものの中で、本発明例No.2を冷間圧延で板厚0.20mm(t)まで薄板化した後、炭素鋼を除去する目的で、表裏面0.05mmずつの研削を行ない、板厚0.10mm(t)の珪素鋼板を得た。
得られた珪素鋼板から、外径28.5mm、内径20mmのリング試料を放電加工によって採取し、冷間加工歪の除去および結晶粒の粗大化を目的に、H還元雰囲気中で、1100℃の磁性焼鈍の熱処理を行なった。図5に、磁性焼鈍後の断面組織写真を示す。なお、組織観察は乾式のフラットミリング(Arイオンによる逆スパッタ)にて実施した。
図5から、磁性焼鈍後も割れ等がなく、良好な再結晶組織が得られることがわかる。
【0030】
磁性焼鈍後のリング試料を、絶縁を目的とした層間紙を間に挟みながら複数枚積層し、プラスチック製のリングケースに納めてから、一次巻線100回、二次巻線100回の巻線を巻いて、直流磁気特性と鉄損の測定を実施した。
表4に、測定した直流磁気特性と鉄損を示す。
【0031】
【表4】

【0032】
直流磁気特性は印加磁場4000A/mにおける磁気特性を測定し、鉄損は、動作磁束密度を1Tとし動作周波数1kHzにおける全鉄損(W10/1k、単位はW/kg)を測定した。
表4に示すとおり、本発明例No.2から得られた板厚0.10mm(t)の珪素鋼板は、良好な磁気特性が得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の珪素鋼板の製造方法は、低騒音化および高効率化が必要とされる変圧器やモータ、発電機等の電気機器の鉄芯用軟磁性材料として使用するのに最も適した高Siの珪素鋼板を提供することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 珪素鋼(芯材)
2 炭素鋼
3 アーク溶接箇所
4 スポット溶接箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%でSi:4〜7%を含有する珪素鋼を熱間成形し、断面が矩形の鋼片とし、該鋼片を芯材として少なくとも上下面及び左右面を炭素鋼で覆い被覆材を作製する工程と、
得られた被覆材に対して前記上下面からの圧下により熱間圧延を行ない熱間圧延被覆材を作製する工程と、
得られた熱間圧延被覆材を、被覆された炭素鋼を保持した状態で冷間圧延を行なう冷間圧延材を得る工程と、
被覆された炭素鋼を除去する工程と、
を具備することを特徴とする珪素鋼板の製造方法。
【請求項2】
冷間圧延前の熱間圧延被覆材に被覆された上下面の炭素鋼の板厚を、芯材の板厚に対してそれぞれ5%〜50%に調整することを特徴とする請求項1に記載の珪素鋼板の製造方法。
【請求項3】
冷間圧延の前に、650℃〜950℃で焼鈍を行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の珪素鋼板の製造方法。
【請求項4】
鋼片の一方の端面は炭素鋼で覆い、他方の端面は解放して熱間圧延を行なうことを特徴する請求項1乃至3の何れかに記載の珪素鋼板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−214065(P2011−214065A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83195(P2010−83195)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】