説明

現像ローラおよびそれを用いた画像形成装置

【課題】 軽量であり、かつ、白画像かぶりの発生がなく連続印刷時や部分的なべた画像印字においても経時的な画像変化や画像むらを生じることなく、高品位な画像を確実かつ安定的に得ることができる現像ローラとこの現像ローラを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 現像ローラ1は、導電剤を含有した樹脂製の中空円筒体もしくは中実円柱体よりなるシャフト部材2と、その半径方向外側に配置された一層以上の樹脂層4を有し、外周面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器42に、8kVの電圧を印加してコロナ放電を発生させてこの外周面を帯電させた場合の、電荷付与後0.1秒から0.2秒後までの表面電位減衰速度の絶対値が0.1[V/sec]以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の電子写真装置や静電記録装置などの画像形成装置に用いられる現像ローラと、この現像ローラを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置では、潜像を保持した感光ドラム等の潜像保持体に非磁性現像剤(トナー)を供給し、潜像保持体の潜像にトナーを付着させて潜像を可視化することが行われており、その現像方法の一般的なものの一つとして、潜像保持体との間に微小なギャップを設けて配置された現像ローラの外周上に帯電したトナーを担持させ、潜像保持体と現像ローラとの間に電圧をかけた状態で現像ローラを回転させることにより、トナーを潜像保持体に飛翔させる非磁性ジャンピング現像法がある。
【0003】
非磁性ジャンピング現像法を、図1を参照してさらに説明する。トナーを供給するためのトナー供給用ローラ94と静電潜像を保持した感光ドラム(潜像保持体)95との間に、感光ドラム95に対して微小なギャップ92を空けて、現像ローラ91が配設され、これら現像ローラ91、感光ドラム95及びトナー供給用ローラ94がそれぞれ図中矢印方向に回転するとともに、感光ドラム95と現像ローラ91との間に、所定の電圧を印加することにより、トナー96がトナー供給用ローラ94により現像ローラ91の表面に供給され、トナー96が成層ブレード97によって均一な薄層に整えられ、薄層に形成されたトナー96が、ギャップ92を越えて感光ドラム95に飛翔して潜像に付着し、この潜像が可視化されるようになっている。
【0004】
なお、図中98は転写部であり、ここで紙等の記録媒体にトナー画像を転写するようになっている。また99はクリーニング部であり、そのクリーニングブレード99aにより転写後に感光ドラム95表面に残留するトナー6を除去するよう構成されている。
【0005】
図2は、非磁性ジャンピング現像法に用いられる、従来の現像ローラ91を示す断面図であり、現像ローラ91は、一般的に、良導電性材料からなる中実円柱状もしくは中空円筒状のシャフト部材82(図示のものは、中実円柱状)の外周に、トナーに対する帯電性や付着性、あるいは現像ローラと成層ブレードとの間の摩擦力等を最適化するための樹脂層84を設けて構成される(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
そして、シャフト部材82は、強度的に許容される限り軽量にするため樹脂製とするのが好ましく、その場合、ローラ本体部85と、シャフト部材82の長さ方向両端部を構成する軸部86aとが設けられ、軸部86aは、画像形成装置のローラ支持部に軸支される。
【特許文献1】特開2002−14534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、現像ローラを用いた画像形成により高画質画像を得るためには、現像ローラ上に保持された現像剤が潜像保持体にいたる際に常に一定の電荷を保ち、また均一な帯電状態となっていることが求められるが、連続印刷時などの際に現像ローラ上に担持されたトナーの帯電量が不安定になる場合があり、例えば未現像部分における現像ローラ上のトナーは連続的に摩擦帯電が起こり、帯電量が所定値を超えてしまう場合がある。また、部分的に黒べた画像を印字した場合などにはその部分に新たに保持される現像剤の帯電量が周囲と異なる場合があり、これにより生じる現像剤帯電分布の不均一性などによって不均一画像不良が発生する場合があり、特に、プリンタ等の画像形成装置に高画質が要求される場合やカラー画像に対応しようとする場合には、このような問題を防止することは極めて重要となっていた。
【0008】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされてものであり、白画像かぶりの発生がなく連続印刷時や部分的なべた画像印字においても経時的な画像変化や画像むらを生じることなく、高品位な画像を確実かつ安定的に得ることができる現像ローラとこの現像ローラを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<1>本発明は、長さ方向両端部を軸支されて取付けられるシャフト部材の半径方向外側に一層以上の樹脂層を設けてなり、外周面上に担持した非磁性現像剤を潜像保持体に供給する現像ローラにおいて、
前記シャフト部材を、導電剤を含有した樹脂製の中空円筒体もしくは中実円柱体よりなるものとするとともに、外周面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8kVの電圧を印加してコロナ放電を発生させてこの外周面を帯電させた場合の、電荷付与後0.1秒から0.2秒後までの表面電位減衰速度の絶対値を、0.1[V/sec]以上としてなる現像ローラである。
【0010】
<2>本発明は、<1>において、少なくとも一層の樹脂層は、導電剤を含有する紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂よりなる現像ローラである。
本明細書において、電子線硬化型樹脂とは、架橋剤、重合開始剤、開裂補助剤を含有せず、これらの助剤を用いなくとも、電子線照射によるエネルギーによって自己架橋を進行させる特性を有する樹脂をいうものとする。だだし、実際の製造においてこれらを架橋剤等を配合して層を形成することは差し支えなく、電子線硬化型樹脂は、これらを架橋剤等との配合を拒むものではない。
【0011】
<3>本発明は、<1>もしくは<2>において、導電剤を含有する紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂よりなる樹脂層は、無溶剤の塗工液を塗布し、紫外線もしくは電子線を照射することにより形成されてなる現像ローラである。
【0012】
<4>本発明は、<1>〜<3>のいずれかにおいて、前記シャフト部材と最内側の樹脂層との間に、弾性層を配設してなる現像ローラである。
【0013】
<5>本発明は、<1>〜<4>のいずれかにおいて、前記シャフト部材を形成する前記樹脂は、汎用樹脂,汎用エンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチックよりなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂である現像ローラである。
【0014】
<6>本発明は、<5>において、汎用エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックが、ポリアセタール,ポリアミド6,ポリアミド6・6,ポリアミド12,ポリアミド4・6,ポリアミド6・10,ポリアミド6・12,ポリアミド11,ポリアミドMXD6,ポリブチレンテレフタレート,ポリフェニレンオキサイド,ポリフェニレンサルファイド,ポリフェニレンエーテル,ポリエーテルスルホン,ポリカーボネート,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリエーテルイミド,ポリスルホン,ポリエーテルエーテルケトン,ポリエチレンテレフタレート,ポリアリレートポリテトラフルオロエチレン,又は液晶ポリマーである現像ローラである。
【0015】
<7>本発明は、<1>〜<6>のいずれかにおいて、シャフト部材を形成する樹脂に含有される導電剤が、カーボンブラック,グラファイト,酸化スズ,酸化チタン,酸化亜鉛,ニッケル,アルミニウム及び銅よりなる群から選ばれた少なくとも一種である現像ローラである。
【0016】
<8>本発明は、<1>〜<7>のいずれかにおいて、前記シャフト部材を中空円筒体よりなるものとし、中空円筒体に、その外周面から半径方向内側に向かって延在する補強用リブを設けてなる現像ローラである。
【0017】
<9>本発明は、<8>において、前記シャフト部材に、前記中空円筒体の半径方向中心に配置され中空円筒体を嵌通する金軸を設け、金軸を前記補強リブの半径方向内側端を支持するよう構成してなる現像ローラである。
【0018】
<10>本発明は、<9>において、前記中空円筒体を、複数の円筒部材を長さ方向に連結して構成してなる現像ローラである。
【0019】
<11>本発明は、<1>〜<10>のいずれかの現像ローラを設けてなる画像形成装置である。
【発明の効果】
【0020】
<1>の発明によれば、外周面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8kVの電圧を印加してコロナ放電を発生させてこの外周面を帯電させた場合の、電荷付与後0.1秒から0.2秒後までの表面電位減衰速度の絶対値を0.1[V/sec]以上としたので、濃度むらや白画像のかぶりの発生を可及的に防止することができ、しかも連続印刷、又は部分的画像印字時においても良好な画質を確実に保持することができ、カラー画像にも良好に対応することができる高品位な画像を確実かつ安定的に得ることができる。
【0021】
<2>の発明によれば、少なくとも一層の樹脂層は、導電剤を含有する紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂よりなるものとしたので、紫外線照射もしくは電子線照射の代わりに熱もしくは熱風で乾燥して硬化させて形成するのに対比して、乾燥のための大掛かりな設備とスペースとを節減することができ、しかも、乾燥プロセスの制御が難しいことに起因する成膜のばらつきを抑制し、樹脂層を高精度に形成することができる。
【0022】
<3>の発明によれば、少なくとも一層の樹脂層は、無溶剤の塗工液を塗布し、紫外線もしくは電子線を照射することにより形成したので、上記と同様の効果をもたらすことができる。
【0023】
<4>の発明によれば、前記シャフト部材と半径方向最内側の樹脂層との間に、弾性層を配設したので、樹脂層が潜像保持体や成層ブレードに押し当てられる際の、樹脂層にかかる応力を緩和することができ、樹脂層の耐久性を向上させるとともに、トナーに対する応力も緩和することができ、このことにより、長期にわたって安定した画像の形成に資することができる。
【0024】
<5>の発明によれば、前記シャフト部材を形成する前記樹脂を、汎用樹脂,汎用エンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチックよりなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂からなるものとしたので、広く用いられている樹脂成型機により成形が可能なことにより安価に製造でき、また、成型品形状の自由度を高くすることができ、さらには、リサイクル性も高めることができる。
【0025】
<6>の発明によれば、汎用エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックを、ポリアセタール,ポリアミド6,ポリアミド6・6,ポリアミド12,ポリアミド4・6,ポリアミド6・10,ポリアミド6・12,ポリアミド11,ポリアミドMXD6,ポリブチレンテレフタレート,ポリフェニレンオキサイド,ポリフェニレンサルファイド,ポリフェニレンエーテル,ポリエーテルスルホン,ポリカーボネート,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリエーテルイミド,ポリスルホン,ポリエーテルエーテルケトン,ポリエチレンテレフタレート,ポリアリレートポリテトラフルオロエチレン,又は液晶ポリマーから選ばれたものとしたので、これらの材料は、安価に、しかも簡易に材料を入手することができ、また、曲げ強さ、吸水変化が少ないこと、耐熱性等、現像ローラに必要とされる特性を具えており、好ましい。
【0026】
<7>の発明によれば、シャフト部材を形成する樹脂に含有される導電剤を、カーボンブラック,グラファイト,酸化スズ,酸化チタン,酸化亜鉛,ニッケル,アルミニウム及び銅よりなる群から選ばれた少なくとも一種であるとしたので、現像ローラに必要とされる体積抵抗率を付与させることができ、またこれらの材料は、流動性や曲げ強さに優れ、シャフト部材を形成するさいに有利なものなる。
【0027】
<8>の発明によれば、前記シャフト部材を中空円筒体よりなるものとし、中空円筒体に、その外周面から半径方向内側に向かって延在する補強用リブを設けて構成したので、感光ドラム等から受ける曲げに対する強度を上げ、その結果、印刷画像品質を向上させることができる。
【0028】
<9>の発明によれば、前記シャフト部材に、前記中空円筒体の半径方向中心に配置され中空円筒体を嵌通する金軸を設け、金軸を前記補強リブの半径方向内側端を支持するよう構成したので、シャフト部材の曲げに対する強度をなお一層向上させることができる。
【0029】
<10>の発明によれば、複数の円筒部材を長さ方向に連結して前記中空円筒体を構成したので、部材の長さが短くなることによって向上する加工精度と、加工の容易さにより、現像ローラを高精度で低コストのものにすることができる。
【0030】
<11>の発明によれば、<1>〜<10>のいずれかの現像ローラを設けて構成されるので、濃度むらや白画像のかぶりの発生を可及的に防止することができ、しかも、連続印刷、又は部分的画像印字時においても良好な画質を確実に保持することができ、カラー画像にも良好に対応することができる高品位な画像を確実かつ安定的に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。図3(a)は、本実施形態の現像ローラを示す断面図であり、図3(b)は、図3(a)のb−b矢視に対応する側面図である。現像ローラ1は、シャフト部材2の外周上に半導電性の弾性層3を形成し、更にこの弾性層3上に半導電性の樹脂層4を形成してなるが、弾性層3は必須の構成ではない。シャフト部材2は、樹脂製の中実円柱体5、および、その両端に形成されたそれぞれの軸部6よりなり、これらの軸部6は、取付け状態において、図示しない、電子写真装置のローラ支持部に軸支される。
【0032】
シャフト部材2は、樹脂製であるので、これを金属等で形成する場合に比して、重量の大幅な増加を招くことなくシャフト部材2の径を大きくすることができ、また、樹脂は導電剤を含有するので良好な導電性を有し、このことにより、現像ローラ1の表面に所望の電位を付与することができる。
【0033】
シャフト部材2に用いる樹脂材料としては、適度の強度を有するとともに、射出成型等により成形可能なものであればよく、汎用樹脂やエンジニアリングプラスチックの中から適宜選定することができ、特に制限されるものではない。具体的には、エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアセタール、ポリアミド樹脂(例えば、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド12、ポリアミド4・6、ポリアミド6・10、ポリアミド6・12、ポリアミド11、ポリアミドMXD6(メタキシレンジアミンとアジピン酸とから得られるポリアミド)等)、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレンなどを挙げることができる。また、汎用樹脂としては、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリスチレン、ポリエチレンなどが挙げられる。その他、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等を用いることもできる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
上記の中でも、特にエンジニアリングプラスチックが好ましく、さらに、ポリアセタール、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネートなどが、熱可塑性で成形性に優れ、かつ、機械的強度に優れる点より、好ましい。特に、ポリアミド6・6、ポリアミドMXD6、ポリアミド6・12、あるいはこれらの混合樹脂が好適である。なお、熱硬化性樹脂を用いることに差し支えはないが、リサイクル性を考慮すれば熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0035】
導電剤としては、樹脂材料中に均一に分散することができるものであれば各種のものを使用することが可能であるが、カーボンブラック粉末、グラファイト粉末、カーボンファイバーやアルミニウム、銅、ニッケルなどの金属粉末、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物粉末、導電性ガラス粉末などの粉末状導電剤が好ましく用いられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。この導電剤の配合量は、目的とする導電ローラの用途や状況に応じて適当な抵抗値が得られるように選定すればよく、特に制限されるものではないが、通常はシャフト部材2の材料全体に対して5〜40重量%、特には、5〜20重量%とすることが好ましい。
【0036】
シャフト部材2の体積抵抗率については、上述のようにローラの用途等に応じて適宜設定すればよいが、通常は1×100〜1×1012Ω・cm、好ましくは1×102〜1×1010Ω・cm、より好ましくは1×105〜1×1010Ω・cmとする。
【0037】
シャフト部材2の材料中には、必要に応じ補強や増量等を目的として各種導電性または非導電性の繊維状物やウィスカー、フェライトなどを配合することができる。繊維状物としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維などの繊維を挙げることができ、また、ウィスカーとしては、チタン酸カリウムなどの無機ウィスカーを挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの配合量は、用いる繊維状物やウィスカーの長さおよび径、主体となる樹脂材料の種類や目的とするローラ強度等に応じて適宜選定することができるが、通常は材料全体の5〜70重量%、特には10〜20重量%である。
【0038】
シャフト部材2は、現像ローラ1の芯部を構成するものであるため、ローラとして良好な性能を安定的に発揮させるために十分な強度が必要であり、通常、JIS K 7171に準拠した曲げ強度で80MPa以上、特に130MPa以上の強度を有することが好ましく、これにより良好な性能を長期にわたって確実に発揮することができる。なお、曲げ強度の上限については特に制限はないが、一般的には500MPa以下程度である。
【0039】
図3に示したシャフト部材2は中実円柱体5よりなるが、シャフト部材2に代えて、中空円筒体13よりなるシャフト部材12を用いることもでき、図4は、シャフト部材12を用いた現像ローラ11を示す断面図である。現像ローラ11は、シャフト部材12の外側に弾性層3、樹脂層4をこの順に形成してなる点については現像ローラ1と同様である。シャフト部材12は、中空円筒体13とキャップ部材12とを接着等により接合して形成され、中空円筒体13は、円筒部13a、底部13bおよび軸部6よりなり、また、キャップ部材14は蓋部14aと軸部6とよりなる。両方の軸部6は、取付け状態において、図示しない、電子写真装置のローラ支持部に軸支される。
【0040】
シャフト部材2に代えて、中空のシャフト部材12を用いることによりシャフト部材をより一層軽量にすることができ、特に現像ローラの外径が12mmを越える場合には、中空の構造とするのが好ましい。
【0041】
図5は、さらに、シャフト部材12に代えてシャフト部材22を用いた現像ローラ21を示す断面図であり、図6はその斜視図である。シャフト部材22は、中空円筒体23とキャップ部材22とを接着等により接合して形成され、中空円筒体23は、円筒部23a、底部23b、ギヤ部7および軸穴部8よりなり、一方、キャップ部材24は、現像ローラ11と同様に、蓋部24aと軸部6とよりなる。
【0042】
軸部6と軸穴部8とが、図示しない、電子写真装置のローラ支持部に軸支され、また、現像ローラの回転駆動力は、ギヤ部7を介して直接シャフト部材に伝達される。このようなギヤ部7を有する中空円筒体23であっても、シャフト部材22を樹脂製としたので、これを射出成形等により一体的に成型することができ、シャフト部材22を金属よりなるものとした場合には、ギヤ部を別部材としなければならないのに対比して、シャフト部材のコストを低減することができる。なお、ギヤ部7は、平歯車であってもハズバ歯車であっても、一体的に成型することができる。
【0043】
また、中空円筒部13a、または23aの肉厚は、強度的に十分であるかぎり、軽量化の点で薄い方が好ましく、例えば、0.3〜3mmとすることができるが、一層好ましくは、1〜2mmとするのがよい。
【0044】
上記樹脂材料および導電剤等からなる配合材料を用いてシャフト部材2、12、22を形成するための方法としては、特に制限はなく、樹脂材料の種類などに応じて、公知の成形法の中から適宜選定することができるが、一般的には金型を用いる射出成形法が適用される。
【0045】
図7は、中空円筒体23を成形する金型30を、閉止した状態において示す断面図であり、金型30は筒型31、コア型32、およびランナ型33よりなり、これらの型を、筒型31の長さ方向に相互に離隔接近させることにより、金型の開放および閉止を行うよう構成される。金型30を閉止した状態において、筒型31とコア型32とで形成されるキャビティ35に、第一スプルー36から、ランナ37および第二スプルー34を介して樹脂を注入し、その後、金型30内でこれを冷却固化させることによって中空円筒体23を成形することができる。また、ホットランナ方式を用いることによりランナ37中の材料を無駄なく利用することもできる。
【0046】
ここで、筒型31、コア型32は周方向に分割されることのない構造を有するので、中空円筒体23を周方向に均一なものとすることができる。また、コア型32を用いる代りに、不活性ガスを導入し、このガスの圧力によって中空部を形成することもできる。
【0047】
図8は、端部構造の異なるシャフト部材を示す側面図であり、図8(a)、図8(b)は、端部の両方を軸部6で構成した例、図8(c)は、端部の両方を軸穴部8で構成した例、図8(d)、図8(e)は、両端部の一方を軸部6で、他方を軸穴部8で構成した例をそれぞれ示す。また、図8(b)〜図8(e)の例は、一方の端部にギヤ部7を設けた例を示す。このほか、端部の両側にギヤ部7を設けることもでき、この場合、シャフト部材が動力伝達を仲介する機能を担うことになる。いずれの場合も、ギヤ部7は円筒部もしくは円柱部と一体的に形成することができる。
【0048】
ここで、図8(a)に示したものは、シャフト部材2もしくは12に対応し、図8(d)に示したものはシャフト部材22に対応する。
【0049】
また、図8に示したシャフト部材2、12の軸部6は、図9(a)に斜視図で示すように、最も単純な形状の円柱状をなすが、この代わりに、例えば、図9(b)に示すテーパ部を有するもの、図9(c)に示すDカット加工を施したもの、図9(d)に示す角柱状のもの、図9(e)に示す先尖端部を有するもの、図9(f)に示す環状溝を有するもの、図9(g)に示す段付部を有するもの、図9(h)に示す、外周面にスプラインもしくはギヤ用外歯部が形成されたもの等を用いることができ、同様に、軸穴部8として、図9(i)に斜視図で示した単純な丸穴形状のものの外、図9(j)に示すD型断面形状のもの、図9(k)に示す小判状断面形状のもの、図9(l)に示す角穴形状のもの、図9(m)に示す、内周面にスプラインもしくはギヤ用内歯部が形成されたもの、図9(n)に示すテーパ穴部を有するもの、図9(o)に示すキー溝付丸穴のものなども用いることができる。
【0050】
さらに、図9(r)に斜視図で示したギヤ部7に代えて、図9(p)に示す段付部や、図9(q)に示すやフランジ部等を用いることもできる。
【0051】
図14は、図4に示したシャフト部材12に代えて、シャフト部材52を用いた現像ローラ51を示す斜視図であり、図15は、シャフト部材52を示す斜視図である。シャフト部材52は中空円筒体53と金軸56とよりなり、中空円筒体53には、その外周面から半径方向内側に向かって延在する補強用リブ55が設けられ、また、中空円筒体53は、その長さ方向に、複数の円筒部材54を連結して構成される。このように、中空円筒体53を複数の円筒部材54からなるものとし、いわば長さ方向に分割したことで、従来の金属パイプや樹脂一体成形品の場合に比し部材の長さが短くなるため、加工の精度を向上することができるとともに、個々の部材の加工が容易になり、これにより生産性の向上にも寄与することができる。
【0052】
中空円筒体53の半径方向中心に、中空円筒体を嵌通する金軸56が配置され、金軸56はそれらの補強リブ55の半径方向内側端を支持するよう構成され、この構成により、ローラの剛性を向上して、曲げに対する強度を高めることができる。
【0053】
円筒部材54同士の連結手段としては、特に制限されるものではないが、例えば、図16に示すような構造を例示することができ、その端部同士の嵌合により結合可能とすることができる。図示する円筒部材54は、一方の端部61A側に凸部62および回転止めピン63を有し(図中の(a))、他方の端部61B側に凹部65および回転止め穴66を有している(図中の(b))。図中の(c)は円筒部材54の断面図である。このような構造を有する円筒部材54同士を、端部61Aと端部61Bとを対向させた状態で回転させながら嵌め合わせることで、凸部62が凹部65と、回転止めピン63が回転止め穴66と夫々嵌合して、互いに強固に結合することが可能となる。ローラは回転させて使用するものであるため、部材間の連結手段は、回転防止機構を備えていることが好適である。なお、図示する円筒部材54においては、凸部62および凹部65において、芯出し用のテーパ加工が施されている。
【0054】
本発明においては、シャフト部材52自体の形状については特に制限されるものではなく、適宜所望の形状とすることができる。例えば、長手方向端部に当たる部材にギヤ部57(図17参照)やDカット形状等の適宜形状の軸部などを形成しておくか、または、ギヤ部のみの部材をローラ本体形成後の端部に接合することで、シャフト部材52の長さ方向端部に所望に応じこれら機能部品の形状を持たせることができる。これにより、軸を別途使用し、または、軸に複雑な加工をする必要がなくなり、また、機能部品の芯出しを行うことが容易となるメリットも得られる。
【0055】
また、シャフト部材52の外形は、図15等に示す円筒形状には限られず、図18に示すような、長手方向両端部から中央部に向かい径大となるクラウン形状を有するものとすることもできる。従来のような金属パイプや樹脂一体成形品の場合、ローラ本体の外形はストレートな円柱形状とすることが一般的であり、中央部が両端部よりも径大であるクラウン形状などの対応は困難で、高額な金型製作による成形や、弾性層3の研磨、樹脂層4の塗工(ディップ等)の際の膜厚制御等が必要であった。本実施形態においては、中空円筒体53を長さ方向に分割することにより、個々の部材の加工難易度を低くしているため、クラウン形状などにも容易に対応が可能となり、また、加工精度も良好に確保することが可能となる。なお、本実施形態において、ローラ本体を形成する部材の個数には特に制限はなく、強度やコスト性の観点から適宜定めればよい。
【0056】
中空円筒体53を形成する材料としては、先にシャフト部材2について説明したと同様のものを用いることができ、また、金軸56としては、例えば、硫黄快削鋼やアルミニウム、ステンレス鋼等に、ニッケル、亜鉛めっき等を施したものを用いることができる。
【0057】
中空円筒体53と金軸56との間の結合は、通常、慣用の接着剤等により行えばよく、特に制限されないが、例えば、中空部材54をオーブン等で加熱した状態で金軸56を通し、その後冷却することにより、中空部材54の樹脂材料を収縮させて金軸56に対し固定する方法を用いることもできる。また、この結合手段として、金軸56に溝やDカット等を設けることも好ましい(図示せず)。この場合の結合手段も、前述した部材の場合と同様に回転防止機構を備えていることが好ましく、これにより使用時における金軸56の空転を防止することができる。
【0058】
本実施形態の現像ローラ51は、複数の円筒部材54を長さ方向に結合してシャフト部材52を形成した後、その外周に弾性層3を設けることにより製造することができる。ここで、本実施形態に係る円筒部材54により中空円筒体53を形成する手順としては、特に制限されるものではないが、例えば、図16に示すような嵌合構造を有する円筒部材54の場合には、部材同士を直接結合して中空円筒体53とすることもでき、また、嵌合構造を有しない場合には、図19(a)〜(c)に示すように、金軸56を個々の円筒部材54に順次挿通した後、接着剤等により互いに固定してローラ形状とする方法を用いてもよい。
【0059】
ここで、樹脂層4は、一層もしくは複数の層よりなり、このうち少なくとも一層は、導電剤を含有する紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂よりなるのが好ましい。
【0060】
樹脂層4は、トナーや画像形成装置の仕様に応じて、トナーに所要の帯電量を付与するともに所要のトナー搬送量を得ることができ、また、潜像保持体へのトナー供給量が所要のものととなるよう、電気抵抗や表面性状等の特性が設定される。
【0061】
この樹脂層4を形成する紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂としてはポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。更に、これらの樹脂に特定の官能基を導入した変性樹脂を用いることもできる。
【0062】
紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリレート系樹脂組成物が好適である。
【0063】
かかる(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー等、また、フッ素系、シリコーン系のアクリルオリゴマーなどを挙げることができる。
【0064】
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
【0065】
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。
【0066】
エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
【0067】
更に、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
【0068】
樹脂層4を成膜するための樹脂組成物には、必要に応じて粘度調整のために重合性二重結合を有する反応性希釈剤を配合する。このような反応性希釈剤としては、アミノ酸や水酸基を含む化合物に(メタ)アクリル酸がエステル化反応及びアミド化反応で結合した構造の、例えば、単官能、2官能または多官能の重合性化合物等を使用することができる。これらの希釈剤は、(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり、通常10〜200重量部用いることが好ましい。
【0069】
樹脂層4の樹脂に配合される導電剤としては、電子導電剤、イオン導電剤等が用いられる。
【0070】
電子導電剤を例示すれば、ケッチェンブラック,アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF,ISAF,HAF,FEF,GPF,SRF,FT,MT等のゴム用カーボン、酸化処理等を施したカラ−(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属及び金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、カーボンウイスカー、黒鉛ウイスカー、炭化チタンウイスカー、導電性チタン酸カリウムウイスカー、導電性チタン酸バリウムウイスカー、導電性酸化チタンウイスカー、導電性酸化亜鉛ウイスカー等の導電性ウイスカー等が挙げられる。
【0071】
これらの電子導電剤の配合量は、樹脂100重量部に対し100重量部以下、例えば、1〜100重量部、特に1〜80重量部、とりわけ10〜50重量部であることが好適である。
【0072】
ただし、カーボン系導電剤を紫外線硬化型樹脂に含有する場合は、樹脂100重量部に対し20重量部以下、特に10重量部以下、とりわけ5重量部以下であることが、好適となり、20重量部を越えた場合には、カーボン系導電剤は紫外線を吸収しやすいため、導電剤の量が多いほど紫外線が層の奥まで到達にくくなり、そのため紫外線硬化反応の進行が十分進まなくなってしまう虞がある。
【0073】
また、イオン導電剤を例示すれば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウ弗化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩などのアンモニウム塩;リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウ弗化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。これらイオン導電剤の配合量は、通常樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、特に0.05〜5重量部の範囲で好適に用いられる。
【0074】
なお、上記導電剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよく、この場合電子導電剤とイオン導電剤とを組み合わせることも可能である。
【0075】
なお、導電剤が酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム及びニッケル、銅などの金属及び金属酸化物のような透明導電剤であると、紫外線が透過しやすく、紫外線硬化型樹脂の重合を妨げないという効果が得られる。この透明導電剤配合量は、樹脂100重量部に対し100重量部以下、特に1〜80重量部、とりわけ10〜50重量部であることが好適である。
【0076】
樹脂層4を構成する樹脂が紫外線硬化型樹脂の場合、重合開始剤を含有することが好ましい。紫外線重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノンおよび3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4−ジメトキシベンゾフェノン、4,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジルおよびベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、ベンゾインおよびベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、チオキサントンおよびチオキサントン誘導体、フルオレン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルホリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられるこれらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
なお、かかる紫外線重合開始剤の配合量は、(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり0.1〜10重量部が好ましい。
【0078】
本発明においては、上記必須成分以外に、必要に応じて、上記の光重合開始剤による光重合反応を促進するためにトリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン系光重合促進剤、p−チオジグリコール等のチオエーテル系光重合促進剤などを添加してもよい。これらの化合物の添加量は、通常(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり0.01〜10重量部の範囲が好ましい。
【0079】
また、少なくとも最外側に位置する樹脂層に関しては、これを構成する樹脂に、フッ素および珪素の一方もしくは両方を含有させるのが好ましく、このことにより、最外層の樹脂層の表面エネルギーを低減することができ、その結果、現像ローラの摩擦抵抗を低下させるとともに、トナーの離型性も向上し、長期間の使用における摩耗を低減し耐久性を向上させることができる。
【0080】
フッ素を含む紫外線硬化型樹脂を形成する原料としては、重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物を含有することが好ましく、この重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物のみからなってもよく、重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物と他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物とをブレンドした組成物よりなるものであってもよい。
【0081】
重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物としては、フルオロオレフィン類、フルオロ(メタ)アクリレート類が好適である。
【0082】
フルオロオレフィン類としては、1ないしすべての水素原子がフッ素と置換された炭素数2〜12のものが好適であり、具体的には、ヘキサフルオロプロペン[CFCF=CF,フッ素含有率76重量%]、(パーフルオロブチル)エチレン[F(CFCH=CH,フッ素含有率69重量%]、(パーフルオロヘキシル)エチレン[F(CFCH=CH,フッ素含有率71重量%]、(パーフルオロオクチル)エチレン[F(CFCH=CH,フッ素含有率72重量%]、(パーフルオロデシル)エチレン[F(CF10CH=CH,フッ素含有率73重量%]、クロロトリフルオロエチレン[CF=CFCl,フッ素含有率49重量%]、1−メトキシ−(パーフルオロ−2−メチル−1−プロペン[(CFC=CFOCH,フッ素含有率63重量%]、1,4−ジビニルオクタフルオロブタン[(CF(CH=CH,フッ素含有率60重量%]、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン[(CF(CH=CH,フッ素含有率64重量%]、1,8−ジビニルヘキサデカフルオロオクタン[(CF(CH=CH,フッ素含有率67重量%]が例示される。
【0083】
フルオロ(メタ)アクリレート類としては、1ないしすべての水素原子がフッ素と置換された炭素数5〜16のフルオロアルキル(メタ)アクリレートが好適であり、具体的には、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート(CFCHOCOCH=CH、フッ素含有率34重量%)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート(CFCFCHOCOCH=CH、フッ素含有率44重量%)、F(CF)4CHCHOCOCH=CH(フッ素含有率51重量%)、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート[CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率37重量%]、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート[CFCFCHOCOCH=CH,フッ素含有率47重量%]、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート[F(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率54重量%]、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率49重量%]、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート[F(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率59重量%]、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率55重量%]、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート[F(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率62重量%]、3−(パーフルオロオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率59重量%]、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート[F(CF10CHCHOCOCH=CH,フッ素含有率65重量%]、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率57重量%]、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率52重量%]、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率61重量%]、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率57重量%]、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOCH=CH,フッ素含有率64重量]、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOCH=CH,フッ素含有率60重量%]、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルアクリレート[H(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率41重量%]、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート[H(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率53重量%]、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率59重量%]、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルアクリレート[H(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率63重量%]、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート[(CFCHOCOCH=CH,フッ素含有率51重量%]、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート[CFCHFCFCHOCOCH=CH,フッ素含有率48重量%]、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート[CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率34重量%]、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート[CFCFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率44重量%]、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート[F(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51重量%]、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率47重量%]、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート[F(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率57重量%]、3−(パーフルオロヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率53重量%]、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート[F(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率61重量%]、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[F(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率57重量%]、2−(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート[F(CF10CHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率63重量%]、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率55重量%]、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51重量%]、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率59重量%]、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率56重量%]、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタクリレート[(CFCF(CFCHCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率62重量%]、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート[(CFCF(CFCHCH(OH)CHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率59重量%]、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルメタクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51重量%]、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率51重量%]、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率57重量%]、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート[H(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率61重量%]、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタクリレート[(CFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率48重量%]、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート[CFCHFCFCHOCOC(CH)=CH,フッ素含有率46重量%]などが例示される。
【0084】
上記の重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物は、モノマー、オリゴマーあるいはモノマーとオリゴマーの混合物であることが好ましい。オリゴマーとしては2〜20量体が好ましい。
【0085】
この重合可能な炭素原子間二重結合を有するフッ素含有化合物とブレンドされてもよい他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマー、あるいはモノマーとオリゴマーの混合物が好適である。
【0086】
この(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレート、エポキシ系(メタ)アクリレート、エーテル系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレート、ポリカーボネート系(メタ)アクリレート等のモノマー又はオリゴマー、また、シリコーン系の(メタ)アクリルのモノマー又はオリゴマーなどを挙げることができる。
【0087】
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
【0088】
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。
【0089】
エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
【0090】
更に、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
【0091】
また、珪素を含む紫外線硬化型樹脂を形成する原料としては、重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物を含有することが好ましく、この重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物のみからなってもよく、重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物と他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物とをブレンドした組成物よりなるものであってもよい。
【0092】
重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物としては、両末端反応性シリコーンオイル類、片末端反応性シリコーンオイル類、(メタ)アクリロキシアルキルシラン類が好適である。反応性シリコーンオイル類としては、末端に(メタ)アクリル基を導入したものが好ましい。
【0093】
本発明に好適な珪素含有化合物の具体例を以下に示す。
【0094】
【表1】


【0095】
【表2】


【0096】
【表3】


【0097】
【表4】


【0098】
【表5】


【0099】
これらの珪素含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、他の珪素を含有しない炭素間二重結合を有する化合物を用いてもよい。
【0100】
また、これらの重合可能な炭素間二重結合を有する珪素含有化合物及び他の珪素を含有しない炭素間二重結合を有する化合物は、モノマー、オリゴマー或いはモノマーとオリゴマーの混合物として好ましく用いられる。
【0101】
この重合可能な炭素原子間二重結合を有する珪素含有化合物とブレンドされてもよい他種の重合可能な炭素原子間二重結合を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマー、あるいはモノマーとオリゴマーの混合物が好適である。オリゴマーとしては、2〜20量体が好ましい。
【0102】
この(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレート、エポキシ系(メタ)アクリレート、エーテル系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレート、ポリカーボネート系(メタ)アクリレート等、また、フッ素系の(メタ)アクリルのモノマー又はオリゴマーなどを挙げることができる。
【0103】
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
【0104】
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。
【0105】
エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
【0106】
更に、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
【0107】
なお、樹脂層4を構成する紫外線硬化型樹脂には、その他必要に応じて種々の添加剤を適量添加することができる。
【0108】
さらに、樹脂層4には微粒子を分散させることが好ましく、このことにより、樹脂層4の表面に微小な凹凸を形成して、外周面に担持したトナーの潜像保持体への搬送力を確実ものにすることができる。
【0109】
上記微粒子としては、ゴム又は合成樹脂の微粒子やカーボン微粒子が好適であり、具体的にはシリコーンゴム、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル/スチレン共重合体、フッ素樹脂、ウレタンエラストマー、ウレタンアクリレート、メラミン樹脂、フェノール樹脂の1種又は2種以上が好適である。
【0110】
微粒子の添加量は、樹脂100重量部に対し0.1〜100重量部特に5〜80重量部が好適である。
【0111】
この微粒子の平均粒径aは1〜50μm、特に3〜20μmが好適である。また、微粒子を分散させた樹脂よりなる層の厚さbは、1〜50μmであることが好ましく、微粒子の平均粒径a(μm)とこの厚さb(μm)との比a/bは1.0〜5.0とするのが好ましく、a/b比をこの範囲とすることにより、樹脂層4の表面に適正な微小凹凸を形成することができる。
【0112】
紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂よりなる樹脂層4を層形成する方法としては、上記樹脂成分及び導電剤、その他の添加剤を含有する組成物よりなる塗工液を表面に塗布し、紫外線もしくは電子線を照射する方法が好適に採用される。この塗工液は溶剤を含まないものであることが好ましく、もしくは、常温でも揮発性の高い溶剤を溶媒として用いることとしてもよい。
【0113】
この塗工液を塗布する方法として、樹脂液中に樹脂層のない現像ローラをディップ液に浸漬するディップ法やスプレーコート法、ロールコート法などの中から、状況に応じて適宜選択して用いることができる。
【0114】
この樹脂層4の厚さは、特に制限されるものではないが、通常1〜500μm、特に3〜200μm、とりわけ5〜100μm程度とすることが好ましい。厚さが1μm未満であると、長期使用時の摩擦により十分に表面層の帯電性能を確保することができなくなる場合があり、一方500μmを超えると、現像ローラ表面が硬くなり、トナーにダメージを与えて感光体等の潜像保持体や成層ブレードへのトナーの固着が発生して画像不良となる場合がある。
【0115】
次に弾性層3について説明する。弾性層3は必須の構成ではないが、樹脂層4が潜像保持体や成層ブレードに押し当てられる際の、樹脂層4にかかる応力を緩和することができ、樹脂層の耐久性を向上させる等の目的のため半導電性の弾性層3を設けることが好ましく、弾性層3としては、エラストマー単体又はそれを発泡させたフォーム体に導電剤を添加して導電性を付与した弾性体が用いられる。ここで使用し得るエラストマーには、特に制限はなく、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム等が例示され、これらを単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。本発明においては、これらのうち、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムが好ましく用いられる。また、これらと他のゴム材料との混合物もまた好ましく用いられる。特に、本発明においては、ウレタン結合を有する樹脂が好ましく用いられる。
【0116】
また、これらエラストマーを発泡剤を用いて化学的に発泡させ、あるいは、ポリウレタンフォームのように空気を機械的に巻き込んで発泡させたフォーム体としても用いることができる。本発明では、シャフト部材2と弾性層3との一体化を行うための成形工程において、いわゆるRIM成形法を用いてもよい。即ち、弾性層3の原料成分を構成する2種のモノマー成分を筒状型内に混合射出して、重合反応させて、シャフト部材2と弾性層3とを一体化する。これにより原料の注入から脱型までの所要時間60秒程度で成形工程を行うことができるので、生産コストを大幅に削減することが可能となる。
【0117】
弾性層3に添加される導電剤としては、樹脂層4を構成する樹脂に配合される導電剤と同じものを用いることができる。
【0118】
本発明においては、半導電性の弾性層の体積抵抗率を1×103〜1×1010Ω・cm、好ましくは1×104〜1×108Ω・cmとなるように調整する。抵抗値が10Ωcm未満であると電荷が潜像保持体等にリークしたり、電圧により現像ローラ自身が破壊したりする場合があり、一方1010Ωcmを超えると、十分な現像バイアスを稼ぐことができず、地かぶりが発生しやすくなる。
【0119】
現像ローラ1は、潜像保持体や成層ブレード等と当接して使用されることから、弾性層3は圧縮永久歪みが小さいことが好ましく、具体的には、20%以下、更に10%以下であることが好ましい。ゴム材料としてポリウレタンゴムを用いることは、圧縮永久歪みを小さく設計できることから好ましい。
【0120】
半導電性の弾性層3には、必要に応じて上記エラストマーをゴム状物質とするために架橋剤、加硫剤を添加することができる。この場合、有機過酸化物架橋及び硫黄架橋のいずれの場合でも加硫助剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤等を用いることができる。更にまた、上記以外にもゴムの配合剤として一般に用いられているしゃく解剤、発泡剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤等を添加することができる。
【0121】
弾性層3の硬度は、特に制限されるものではないが、アスカーC硬度で80度以下、特に30〜70度とすることが好ましい。この場合、硬度が80度を超えると、現像ローラやトナーに加わる応力を緩和するという、弾性層本来の機能を発現しえなくなり、例えば、現像ローラと潜像保持体等との接触面積が小さくなり、良好な現像が行えなくなるおそれがある。更に、トナーに損傷を与え感光体や成層ブレードへのトナー固着などが発生して画像不良となりやすい。逆に、あまり低硬度にすると感光体や成層ブレードとの摩擦力が大きくなり、ジッターなどの画像不良が発生する虞がある。
【0122】
弾性層3は、感光体や成層ブレードなどに当接して使用されるため、硬度を低硬度に設定する場合でも、圧縮永久歪をなるべく小さくすることが好ましく、具体的には20%以下とすることが好ましい。
【0123】
本発明においては、弾性層3の表面粗さは、JIS10点平均粗さで1〜20μmRz、更に1.5〜18μmRzとすることが好ましい。平均粗さが20μmRzを超えると、現像ローラの被覆層を厚く形成する必要があるため現像ローラ表面が硬くなり、その結果、トナーにダメージを与えて潜像保持体や成層ブレードへのトナー固着等が発生し画像不良を引き起すことがある。
【0124】
一方、平均粗さが1μmRzより小さい場合は、被覆層を形成したときに現像ローラの表面の平均粗さが小さくなりすぎ、トナー担持量が少なくなることから画像濃度が低下する恐れがある。本発明においては、上記表面粗さは、表面粗さ計「サーフコム590A」(東京精密社製)を用いて、軸方向に対して直交した向きに測定長さ2.4mm、測定速さ0.3mm/sec、カットオフ波長0.8mmでローラの長さ方向及び円周方向で偏りがないように300箇所以上測定して求めた値である。
【0125】
本発明の現像ローラ1は、特に制限されるものではないが、100V印加時の電気抵抗値を10〜1010Ω、特に10〜10Ωとすることが好ましい。この抵抗値が10Ω未満であると、階調性コントロールが著しく困難となる場合があり、また感光体等の感光ドラムに欠陥があった場合、バイアスリークが生じることもある。一方、この抵抗値が1010Ωを超えると、例えばトナーを感光体等の潜像保持体に現像する場合、現像バイアスが現像ローラ自体の高抵抗のために電圧降下を起こし、現像に十分な現像バイアスが確保できずに、十分な画像濃度が得られなくなる場合がある。なお、この抵抗値の測定は、例えば平板又は円筒状の対極に現像ローラを所定圧力で押し当て、シャフト部材と対極との間に100Vの電圧を印加して、その時の電流値から求めることができる。
【0126】
このように、現像ローラの抵抗値を適正かつ均一に制御することはトナーが移動するための電界強度を適正かつ均一に保つ点で重要であるが、更に、この抵抗値に加えて現像ローラ表面の電荷保持能力を制御し、また均一に保つこと、更に表面残留電位が一定速度で減衰することがトナー帯電量の適正化及び均一化には重要である。この場合、表面電荷保持能力は、通常一対の電極を現像ローラ表面に配置し、両極間に一定電圧を印加することにより表面抵抗を測定して検討されるが、この場合には電流は表面のみを流れるわけではなく現像ローラ内部をも流れてしまうため、正確な現像ローラ表面の評価を行うことはできない。
【0127】
また、四端子法による精度の向上も提案されているが、特に積層型の現像ローラの場合、表面層はかなり薄層であり、この方法においても表面のみの特性付けをすることは困難である。従って、これら従来の測定法によって得られる特性値は、表面電荷保持能力を正確に表すことはできない。
【0128】
そこで、本発明では、22℃、50%RHの測定環境において、現像ローラ表面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8kVの電圧を印加してコロナ放電を発生させて表面を帯電させた場合の、電荷付与後0.1秒後から0.2秒後までの表面電位減衰速度の絶対値により表面電荷保持能力を評価し、その表面電位減衰速度の絶対値を0.1[V/sec]以上とする。
【0129】
この場合、この表面電位減衰速度値が0.1[V/sec]未満であると、連続運転時に表面電荷が漸次蓄積して、現像ローラ上のトナー帯電量が所定値を超過してしまい、例えば現像プロセスによる画像形成時に実効現像バイアスが感光体白地部電位を超えてしまうことにより、白地印刷部への高電圧かぶりが発生してしまう。また、場合によってはトナー荷電により発生した電界が極大値を超えることによって感光体等の潜像保持体との間に放電が生じ、画像不良が発生することもある。なお、コロナ放電により帯電させる極性は、正負どちらでもよく、本発明ではコロナ帯電による表面電位減衰速度値が0.1[V/sec]以上であればよい。より好ましくは、この表面電位減衰速度値は0.15〜10[V/sec]である。
【0130】
以下に、現像ローラ表面の電位の減衰について簡単に説明する。
【0131】
通常、電荷減衰曲線は、時間t[sec]対表面電位の対数logVをプロットすると、直線関係が導かれ、この直線の傾きから緩和時間(時定数)を設定することが可能である。しかしながら、実際の現像ローラにおける減衰曲線は、図13に示したように、直線関係は得られない。これは、減衰時定数が残留表面電位の電圧依存性を示すことによるものと考えられる。ここで、例えば現像ローラの回転周速は、多くの場合およそ0.4sec/1回転程度であり、この極短時間での電荷減衰速度が重要な特性であると考えられ、また成層ブレード通過後からトナー塗布用ローラによるかきとりまでの時間はおよそ0.2sec程度であり、従って表面が帯電されてから0.2秒後までの表面電位減衰速度が特に重要な特性となるものである。
【0132】
本発明では、所定の電荷を現像ローラ表面に付与する手段として非接触のコロナ帯電を用いており、この帯電方式においては初期帯電電位V=0を同定することは困難である。よって、実際の測定では、0.1秒から0.2秒後までにおける表面電位の減衰速度[V/sec]を測定し、この減衰速度を制御する。なお、減衰速度の算出法としては、0.1秒後の表面電位の値を初期値とし、0.2秒後までの表面電位の値を最小自乗法で直線近似させて、その傾きから表面電位減衰速度を求める方法を採用することができる。
【0133】
現像ローラへの電荷の付与及び表面電位の測定は、例えば図10に示した装置により行うことができる。即ち、現像ローラ1のシャフト部材2両端部をチャック41に把持させて、現像ローラ1を支持し、小型のコロトロン放電器(コロナ放電器)42と表面電位計43とを、図11に例示するように、所定間隔離間して並設した計測ユニット44を上記現像ローラ1の表面と1mmの間隙をもって対向配置し、上記現像ローラ1を静止させた状態のまま、上記計測ユニット44を現像ローラ1の長さ方向一端から他端まで一定速度で移動させることにより、表面電荷を与えつつその表面電位を測定する方法が好適に採用される。
【0134】
表面電位減衰速度値が0.1[V/sec]以上の現像ローラを実現するには、上述のように形成した樹脂層の表面電位減衰速度値が0.1[V/sec]以上であることが好ましい。また、この表面電位減衰速度値が0.1[V/sec]未満であっても、樹脂層の厚さを例えば3〜10μmと薄くすることにより、表面電位減衰速度値が0.1[V/sec]以上の現像ローラを実現することができる。
【0135】
本発明の現像ローラ1は、トナーを用いる画像形成装置に組み込むことができ、具体的には図1に示すように、トナーを供給するためのトナー供給用ローラ94と静電潜像を保持した感光ドラム(潜像保持体)95との間に、感光ドラム95に対して微小なギャップ92を空けて、現像ローラ91を配設し、これら現像ローラ91、感光ドラム95及びトナー供給用ローラ94をそれぞれ図中矢印方向に回転させ、感光ドラム95と現像ローラ91との間に、所定の電圧を印加することにより、トナー96をトナー供給用ローラ94により現像ローラ91の表面に供給し、成層ブレード97によって均一な薄層に整え、薄層に形成されたトナー96を、ギャップ92を越えて感光ドラム95に飛翔させ潜像を視化することができる。なお、図1の詳細については、背景技術において説明しているのでその説明を省略する。
【実施例】
【0136】
以下、実施例、比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0137】
現像ローラが弾性層を具えない場合は、アルミニウムのパイプよりなるシャフト部材上に直接樹脂層を形成し、もしくは、現像ローラが弾性層を具える場合には、シャフト部材上に弾性層を形成した後樹脂層を形成し、図3に示した構造の現像ローラを作製し、実施例1〜10とし、また、実施例の現像ローラとの比較対比のため、樹脂層を有さないシャフト部材だけの現像ローラを含む、本発明とは一部の構成を異にする現像ローラを作成し比較例1〜3とした。そして、これらの実施例および比較例の現像ローラについて、ローラ特性の測定評価、および、画像評価を行った。それぞれの現像ローラの諸元およびこれらの評価の結果を、表6〜表8に示した。
【0138】
それぞれの樹脂層の形成に際しては、表6に示した材料を表7、8の「配合(重量部)」に示す重量部で配合し、配合された樹脂材料を溶解した溶液に前記シャフト部材を浸漬塗布し(ディップ方式)、もしくは、その配合樹脂材料よりなる塗料をロールコータで塗布し(コータ方式)、その後、これを、熱硬化(加熱もしくは風乾)、紫外線硬化、あるいは電子線硬化させた。
それぞれのサンプルの作製に関し、ディップ方式とコータ方式とのいずれによって樹脂を塗布したか、また、熱硬化(加熱もしくは風乾)、紫外線硬化、あるいは電子線硬化のいずれの方式によって硬化処理を行ったかについては、表7、8の対応する欄に記載した。
紫外線によって、樹脂層を硬化させるには、樹脂層が塗布された現像ローラを回転させながら、ウシオ電機(株)製ユニキュアUVH−0252C装置を用いて、照度400mW,積算光量1000mJ/cmで紫外線を照射した。また、電子線によって、樹脂を硬化させる場合には、ウシオ電機(株)製Min−EB装置を用いてローラを回転させながら、加圧電圧30kV、管電流300μA、照射距離100mm、窒素雰囲気760mmTorr、照射時間1分の条件で電子線照射した。
【0139】
弾性層の有無と、弾性層を形成した場合の弾性層の材料については、「弾性層の有無・種類」の欄に記載した。
【0140】
弾性層をウレタンよりなるものとした場合には、グリセリンにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを付加して、分子量5000としたポリエーテルポリオール(OH値33)100重量部に、1,4−ブタンジオール1.0重量部、シリコーン界面活性剤1.5重量部、ニッケルアセチルアセトネート0.5重量部、ジブチルチンジラウレート0.01重量部及び過塩素酸ナトリウム0.01重量部を添加し、混合機で混合して、ポリオール組成物を調製した。このポリオール組成物を減圧下にて撹拌して脱泡した後、ウレタン変性したMDIを17.5重量部加えて2分間撹拌し、次いで、シャフト部材が中に配置され、110℃に加熱された金型もしくは容器に注型し、2時間硬化させ、外周を研磨仕上げして外径が12mm、弾性層部分の厚さが500μmで、全長が210mmの弾性層を形成した。
【0141】
また、弾性層をシリコーンよりなるものとした場合には、シャフト部材がインサートされた金型のキャビティ内に、液状シリコーンゴムを射出し、金型内で冷却硬化させて、外径が12mm、弾性層部分の厚さが300μmで、全長が210mmの弾性層を形成した。
【0142】
表7、8におけるトナー帯電量、およびトナー搬送量は次のようにして求めた。すなわち、画像形成装置に現像ローラを装着したカートリッジを組み込み、印刷させずに現像ローラを空回転させたあとカートリッジを取りだし、現像ローラ表面のトナーをファラデーゲージ内へ取り込むことによりトナー帯電量を測定し、また、上記のようにしてトナー帯電量を測定した際に、取り去ったトナーの重量を測定するとともに、トナーを取り去った現像ローラ表面部分の面積を算出することにより、単位面積あたりのトナー重量を求めトナー搬送量とした。
【0143】
また、画像評価は、次のようにして行った。すなわち、図1に示した、非磁性ジャンピング方式の現像ユニット部を有する市販のプリンタに、それぞれの実施例および比較例の現像ローラを装着し、直流に交流を重畳した現像バイアス電圧を印加し、平均粒径7μmの負帯電非磁性1成分トナーを用いて反転ジャンピング現像を行った。「初期」の画像評価は、現像ローラ装着直後に、全面黒地画像、全面白地画像、ハーフトーン画像、パターン画像を印刷しその印刷画質を、表中のそれぞれの評価項目毎に目視で判定し、判定結果を五段階評価で表わした。
【0144】
五段階評価において、5は「特に良好」、4は「良好」、3は「合格レベル」、2は「やや悪い」、そして、1は「NG」を示すものとし、3以上が製品として合格可能なレベルである。
【0145】
また、低温低湿(15℃x10%)から高温高湿(32℃x85%)まで環境を変化させ、同様にして印刷画像の五段階評価(数字が大きいほど環境の影響が最も少ない)での判定を行い、その結果を「環境変動の影響」の欄に記した。
【0146】
さらに、「1万枚耐久後」の画像評価は、5%印字濃度の画像を1万枚連続印刷した後、「初期」と同様に評価を行った。
【0147】
得られた現像ローラにつき、図12に示した回転抵抗測定器を用いて対極電極(金属ドラム)との間に100Vの電圧を印加した時の抵抗値を測定した。
【0148】
また、図10に示した装置を用い、ローラに8kVの電圧を印加してコロナ放電によりローラ表面を帯電させ、計測ユニット44を200mm/secの速度で移動させ、0.2秒後までの表面電位を測定した。なお、計測ユニットの形状及び寸法は図11の通りである。この方法により、ローラ表面をくまなく測定し、そのコロナ帯電後0.1秒から0.2秒後までの表面電位減衰速度を求めた。なお、測定環境は、温度22℃、湿度50%に制御した。
【0149】
表7、8から、明らかなように、実施例のいずれの現像ローラサンプルも、良好な画像評価結果を得ることができた。
【0150】
【表6】


【0151】
【表7】


【0152】
【表8】


【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明に係る現像ローラは、普通紙複写機、普通紙ファクシミリ機、レーザビームプリンタ、カラーレーザビームプリンタ、トナージェットプリンタなどの画像形成装置に帯電ローラ,現像ローラ,転写ローラ,給紙ローラ、トナー供給ローラ等として装着して好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】非磁性ジャンピング現像法に用いられる画像形成装置を示す概念図である。
【図2】従来の現像ローラを示す断面図である。
【図3】本発明に係る実施形態の現像ローラを示す断面図である。
【図4】他の実施形態の現像ローラを示す断面図である。
【図5】さらに他の実施形態の現像ローラを示す断面図である。
【図6】さらに他の実施形態の現像ローラを示す斜視図である。
【図7】異なる構造の端部を有するシャフト部材を示す側面図である。
【図8】中空円筒体を形成する金型を示す断面図である。
【図9】軸部、軸穴部、ギア部の形状変形例を示す斜視図である。
【図10】現像ローラへの電荷の付与及び表面電位の測定を行う装置の概念図である。
【図11】計測ユニット上での表面電位計および放電器の配置を示す図である。
【図12】回転抵抗測定器を示す概念図である。
【図13】表面残留電位対数値の減衰を示すグラフでる。
【図14】さらに他の実施形態の現像ローラを示す斜視図である。
【図15】図14に示した現像ローラのシャフト部材を示す斜視図である。
【図16】円筒部材を示す斜視図および断面図である。
【図17】図15に示したシャフト部材の変形例を示す斜視図である。
【図18】図15に示したシャフト部材の他の変形例を示す斜視図である。
【図19】円筒部材の連結方法を例示する斜視図である。
【符号の説明】
【0155】
1 現像ローラ
2 シャフト部材
3 弾性層
4 樹脂層
5 中実円柱体
5a 金属製パイプの凸部
6 軸部
6a 軸部
6b 軸付きキャップの凹部
7 ギア部
8 軸穴部
11 現像ローラ
12 シャフト部材
13 中空円筒体
13a 円筒部
13b 底部
14 キャップ部材
14a 蓋部
21 現像ローラ
22 シャフト部材
23 中空円筒体
23a 円筒部
23b 底部
24 キャップ部材
24a 蓋部
30 金型
31 筒型
32 コア型
33 ランナ型
34 第二スプルー
35 キャビティ
36 第一スプルー
37 ランナ
41 チャック
42 コロナ放電器
43 表面電位計
44 計測ユニット
45 回転抵抗測定器
46 金属ドラム
47 電流計
51 現像ローラ
52 シャフト部材
53 中空円筒体
54 円筒部材
55 補強用リブ
56 金軸
57 ギヤ部
61A 円筒部材の一方の端部
61B 円筒部材の他方の端部
62 凸部
63 回転止めピン
65 凹部
66 回転止め穴


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向両端部を軸支されて取付けられるシャフト部材の半径方向外側に一層以上の樹脂層を設けてなり、外周面上に担持した非磁性現像剤を潜像保持体に供給する現像ローラにおいて、
前記シャフト部材を、導電剤を含有した樹脂製の中空円筒体もしくは中実円柱体よりなるものとするとともに、外周面と1mmの間隔をもって配置されたコロナ放電器に、8kVの電圧を印加してコロナ放電を発生させてこの外周面を帯電させた場合の、電荷付与後0.1秒から0.2秒後までの表面電位減衰速度の絶対値を、0.1[V/sec]以上としてなる現像ローラ。
【請求項2】
少なくとも一層の樹脂層は、導電剤を含有する紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂よりなる請求項1〜3のいずれかに記載の現像ローラ。
【請求項3】
導電剤を含有する紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂よりなる樹脂層は、無溶剤の塗工液を塗布し、紫外線もしくは電子線を照射することにより形成されてなる請求項1もしくは2に記載の現像ローラ。
【請求項4】
前記シャフト部材と最内側の樹脂層との間に、弾性層を配設してなる請求項1〜3のいずれかに記載の現像ローラ。
【請求項5】
前記シャフト部材を形成する前記樹脂は、汎用樹脂,汎用エンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチックよりなる群から選ばれた少なくとも一種の合成樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の現像ローラ。
【請求項6】
汎用エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックが、ポリアセタール,ポリアミド6,ポリアミド6・6,ポリアミド12,ポリアミド4・6,ポリアミド6・10,ポリアミド6・12,ポリアミド11,ポリアミドMXD6,ポリブチレンテレフタレート,ポリフェニレンオキサイド,ポリフェニレンサルファイド,ポリフェニレンエーテル,ポリエーテルスルホン,ポリカーボネート,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリエーテルイミド,ポリスルホン,ポリエーテルエーテルケトン,ポリエチレンテレフタレート,ポリアリレートポリテトラフルオロエチレン,又は液晶ポリマーである請求項5に記載の現像ローラ。
【請求項7】
シャフト部材を形成する樹脂に含有される導電剤が、カーボンブラック,グラファイト,酸化スズ,酸化チタン,酸化亜鉛,ニッケル,アルミニウム及び銅よりなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1〜6のいずれかに記載の現像ローラ。
【請求項8】
前記シャフト部材を中空円筒体よりなるものとし、中空円筒体に、その外周面から半径方向内側に向かって延在する補強用リブを設けてなる請求項1〜7のいずれかに記載の現像ローラ。
【請求項9】
前記シャフト部材に、前記中空円筒体の半径方向中心に配置され中空円筒体を嵌通する金軸を設け、金軸を前記補強リブの半径方向内側端を支持するよう構成してなる請求項8に記載の現像ローラ。
【請求項10】
前記中空円筒体を、複数の円筒部材を長さ方向に連結して構成してなる請求項9に記載の現像ローラ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の現像ローラを設けてなる画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−23702(P2006−23702A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348313(P2004−348313)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】