現像ローラの製造方法
【課題】フランジをより簡単にスリーブに取り付けることができる現像ローラ及の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る現像ローラ10の製造方法は、スリーブ12と、フランジ16A、16Bと、を有する現像ローラ10の製造方法であり、断面が円形で、且つ、平坦な外周面44aを有するフランジ16A、16Bを、円筒形状であり、且つ、少なくとも端部の内周面12cに凹凸部12gが設けられたスリーブ12に、フランジ16A、16Bの外周面40aが凹凸部12gに添って変形するように圧入する工程を有する。
【解決手段】本発明に係る現像ローラ10の製造方法は、スリーブ12と、フランジ16A、16Bと、を有する現像ローラ10の製造方法であり、断面が円形で、且つ、平坦な外周面44aを有するフランジ16A、16Bを、円筒形状であり、且つ、少なくとも端部の内周面12cに凹凸部12gが設けられたスリーブ12に、フランジ16A、16Bの外周面40aが凹凸部12gに添って変形するように圧入する工程を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の現像装置に利用される現像ローラの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の現像装置などに用いられる現像ローラとして、複数の磁極がその表面に形成されたマグネットロールと、このマグネットロールが収容される円筒状のスリーブと、マグネットロールを収容したスリーブの両端部に結合される一対のフランジとで構成された現像ローラが、下記特許文献1等に開示されている。
【0003】
このような現像ローラにおいては、マグネットロールの軸を固定した状態で外周のスリーブのみを回転させることで、スリーブの表面に吸着させた現像剤が現像領域まで搬送される。そして、現像領域まで搬送された現像剤は、感光ドラムに供給されて、感光ドラム表面に形成されている静電潜像を可視像化する。なお、感光ドラムに供給されずにスリーブ側に残留した現像剤は、スリーブの回転により現像剤剥離領域まで到達したところでスリーブから剥離される。
【0004】
なお、下記特許文献1では、現像ローラの製造において、スリーブにフランジを嵌着固定する方法としては、スリーブ端部の内周面に形成された溝と、フランジの外周面に形成された突起とを嵌合させる方法が示されている。
【特許文献1】実開平5−90517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、スリーブに形成された溝とフランジの外周面に形成された突起とを嵌合させる工程において、溝と突起との位置合わせを精密に行う必要があり、工程が煩雑になってしまう。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、フランジをより簡単にスリーブに取り付けることができる現像ロールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る現像ローラの製造方法は、スリーブと、フランジと、を有する現像ローラの製造方法であって、断面が円形で、且つ、平坦な外周面を有するフランジを、円筒形状であり、且つ、少なくとも端部の内周面に凹凸部が設けられたスリーブに、フランジの外周面がスリーブの内周面の凹凸部に添って変形するように、圧入するステップを有することを特徴とする。
【0008】
従来では、スリーブに形成された溝とフランジに形成された突起との位置合わせを精密に行い、溝と突起とを嵌合させるのに対して、本発明では、スリーブにフランジを圧入させると、フランジの外周面が、スリーブ側の凹凸部に添って変形し、フランジがスリーブに嵌着固定される。すなわち、本発明においては、従来のようにスリーブとフランジとの位置合わせ(溝と突起との位置合わせ)を精密に行わずとも、簡単にフランジをスリーブに嵌着固定することができる。
【0009】
また、本発明に係る現像ローラの製造方法は、スリーブと、フランジと、を有する現像ローラの製造方法であって、断面が円形で、且つ、平坦な外周面を有するフランジを、円筒形状であり、且つ、少なくとも端部の内周面に凹凸部が設けられたスリーブに、フランジの外周面がスリーブの内周面の凹凸部を変形させるように圧入するステップを有することを特徴とする。
【0010】
従来では、スリーブに形成された溝とフランジに形成された突起との位置合わせを精密に行い、溝と突起とを嵌合させるのに対して、本発明では、スリーブにフランジを圧入させると、フランジの外周面の一部が、スリーブ側の凹凸部を押圧し、凹凸部を変形させて、スリーブとフランジとが嵌着固定される。このように、本発明においては、従来のようにスリーブとフランジとの位置合わせ(溝と突起との位置合わせ)を精密に行わずとも、簡単にフランジをスリーブに嵌着固定することができる。
【0011】
また、凹凸部が、スリーブの軸線方向に沿って形成されていることが好ましい。その結果、フランジが、スリーブに対して、周方向に回転することを防止できる。
【0012】
さらに、凹凸部が、スリーブの周方向に沿って形成されていることが好ましい。その結果、フランジがスリーブの軸線方向に位置ズレを起こすことを防止でき、また、フランジがスリーブから抜けることを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フランジをより簡単にスリーブに取り付けることができる現像ローラ及の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明に係る現像ローラ及びその製造方法の実施の形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。また、本発明は下記実施形態のみに限定されるものではなく、あくまでも一実施形態である。
【0015】
(第1実施形態)図1〜6に示すように、長尺円筒状の金属製スリーブ12と、このスリーブ12の内部に配置されたマグネットロール14と、スリーブ12の端部開口12a,12bそれぞれに嵌着固定された一対のフランジ16A,16Bとで、現像ローラ10は構成されている。
【0016】
さらに、マグネットロール14は、略丸棒状のシャフト18と、このシャフト18の外周面に固定された複数(例えば5つ)の長尺状のマグネットブロック20とによって構成されている。なお、マグネットブロック20として、シャフト18を内包する円筒状のマグネットを用いてもよい。シャフト18は、金属などの高強度材料により構成されており、その長さはマグネットブロック20よりも長くなっている。このシャフト18の両端18b,18cは、マグネットブロック20が固定されておらず、露出されている。各マグネットブロック20は、磁性粉体(フェライト系やNd−Fe−B系等)と樹脂(ゴム系やプラスチック系等)とで構成されたプラスチックマグネット、若しくはゴムマグネットである。そして、各マグネットブロック20は、その内周曲面においてシャフト18の外周面に接着剤によって固定されている。なお、シャフト18は、各マグネットブロック20を接着する部分を角柱状にしてもよい。
【0017】
以上で説明したマグネットロール14は、スリーブ12の延在方向と同一方向に延在するようにスリーブ12内に配置され、スリーブ12の両端に位置する1対のフランジ16A,16Bによって回転自在に支持されている。ここで、フランジ16A及びフランジ16Bは、その外形形状が略厚肉円板状となっており、その中心軸線I2に沿ってそれぞれ孔24A,24Bが形成されている。そして、この孔24A,24Bのそれぞれの内側には、シャフト18を回転支持するベアリング26A,26B(例えば、焼結含油軸受)が取り付けられている。
【0018】
なお、フランジ16Aには、その外側表面からシャフト18の軸線I1と同軸状に突出する円筒状の軸部30Aが形成されており、フランジ16A側のシャフト18の一端部18bは、フランジ16Aの孔24A及び軸部30Aを貫通し、スリーブ12と一対のフランジ16A,16Bとで構成されるケース28の外側まで突出している。一方、通常、フランジ16B側のシャフト18の他端部18cは、フランジ16Bの有底の孔24B内に位置している。このフランジ16Bには、その外側表面からシャフト18の軸線I1と同軸状に突出する丸棒状の軸部30Bが形成されている。
【0019】
つまり、シャフト18と、ケース28(つまり、スリーブ12と一対のフランジ16A,16B)とは、シャフト18の軸線I1に関して同軸的に配置されていると共に、シャフト18の軸線I1を回転中心としてベアリング26A,26Bを介して相対的に回転自在となっている。
【0020】
そして、現像ローラ10を現像装置に設置する際には、図2に示すように、現像ローラ10の一端部であるケース28から突出するシャフト18の端部18bは、現像装置の一方の側壁32Aに固定される。また、現像ローラ10の他端部であるフランジ16Bの軸部30Bは、現像装置の他方の側壁32Bにベアリング34を介して回転自在に軸支される。
【0021】
つまり、現像ローラ10を現像装置に設置すると、マグネットロール14は回転しないように保持され、マグネットロール14を覆うケース28だけがシャフト18周りに回転自在に保持される。この状態で、フランジ16Bの軸部30Bにギア等を取り付けて、モータ等により軸部30Bを回転駆動させることで、現像ローラ10のケース28の回転制御がおこなわれる。
【0022】
現像装置に設置された現像ローラ10のケース28が回転すると、ケース28の外周面28a(すなわち、スリーブの外周面12d)に担持された現像剤が感光体ドラム(図示せず)に対向する位置まで搬送されると共に、現像剤に含まれるトナーが感光体ドラムの静電潜像に付着して、静電潜像が可視像化される。現像ローラ10に用いる現像剤としては、トナーのみの一成分系現像剤及びトナーとキャリアとが混合された二成分系現像剤のどちらも用いることができる。
【0023】
なお、上述した現像装置への現像ローラ10の設置態様とは異なる以下のような設置態様であってもよい。すなわち、フランジ16Bの軸部30Bを現像装置の側壁32Bに回転しないように固定し、ケース28から突出するシャフト18の端部18bを現像装置の側壁32Aに回転自在に軸支して、ケース28が回転せずにマグネットロール14だけがケース28内部でシャフト18周りに回転するように、現像ローラ10を現像装置に設置してもよい。また、マグネットロール14及びケース28の両方を回転自在に現像装置の側壁32A,32Bに軸支させて、互いに独立して回転するように現像ローラ10を設置してもよい。
【0024】
次に、フランジ16Bについて、図3、5、6を参照しつつ詳しく説明する。
【0025】
図3に示すように、フランジ16Bには、先端側から順に、小径部40、縮径部42、大径部44及びキャップ部48が形成されている。
【0026】
小径部40は、フランジ16Bの最先端に位置しており、フランジ16Bの軸線I2方向(図3のX方向)に関する長さは0.2mm以上(例えば、0.5mm)となっている。この小径部40の先端側の縁部は、フランジ16Bをスリーブ12に収容しやすいように面取りされている。なお、小径部40の外径D1は、例えば、18.90mm程度であり、この外径D1は、後述するスリーブ12の内径DA(小径部40が嵌合する位置の内径、例えば、18.80mm)より大きくなっている。
【0027】
大径部44のフランジ16Bの軸線I2方向に関する長さは、小径部40のフランジ16Bの軸線I2方向に関する長さの2倍程度(例えば、1.0mm)であることが好ましい。なお、大径部44の外径D2は、例えば、19.02mm程度であり、この外径D2は、後述するスリーブ12の内径DE(大径部44が嵌合する位置の内径)とほぼ等しい。
【0028】
縮径部42は、小径部40と大径部44との間に介在しており、その外径は、大径部44から小径部40に向かって傾斜角θで漸次縮径している。この傾斜角θ(図3参照)は、0°<θ≦30゜の範囲であることが好ましく、0゜<θ≦15゜の範囲であることがより好ましい。ここで、傾斜角θが30゜を超えると、圧入時に高い圧力が必要となり、スリーブ12の端部開口12bの開口端部12eが縮径部42に食い込み、軸ズレの要因となりやすくなる。
【0029】
キャップ部48は、フランジ16Bの圧入深さを規定すると共に、フランジ16Bによってスリーブ12を確実に密閉するために設けられており、その外径は、スリーブ12の外径DB(例えば、20.00mm)以下となっている。
【0030】
このように、フランジ16Bは外径の異なる多段な形状を備えており、小径部40、大径部44及び縮径部42のいずれにも凹凸が形成されていない。小径部40、大径部44及び縮径部42に凹凸を形成する場合には、複雑な金型を用いたり、切削加工などを行ったりする必要が発生し、製造工程が複雑になったり製造コストが上昇したりするなどのデメリットとなる。
【0031】
次に、スリーブ12について、図3〜6を参照しつつ詳しく説明する。
【0032】
図3に示すように、スリーブ12は、その軸線I3を通る断面において、段付形状を有している。すなわち、スリーブ12は、端部開口12bの近傍では内径DEであり、より内部側では内径DEより径の小さい内径DAとなっている。スリーブ12にフランジ16Bが圧入された際には、スリーブ12の内径DEの内周面12iの部分にフランジ16Bの上記大径部44が嵌合され、スリーブ12の内径DAの内周面12cの部分にフランジ16Bの上記小径部40が嵌合される。
【0033】
そして、スリーブ12の内周面12cには、スリーブ12の軸線I3方向に沿って複数(例えば8つ)の凹部12gが形成されている。また、各凹部12gは、図4に示すように、軸線I3方向に関して深さが均一である溝であって、複数の凹部12gは、スリーブ12の内周面12cに等間隔で形成されている。なお、これらの凹部12gは、スリーブの成形加工(スリーブ用粗管の引き抜き加工、あるいは押し出し加工等)のときに形成することができる。
【0034】
そのため、上記のように、スリーブ12に嵌合強度を高める凹凸(凹部12g)を形成する方が、複雑な金型を用いたり、切削加工などを行ったりしてフランジに凹凸を形成するよりも、製造工程が簡単であり、製造コストも抑えられる。
【0035】
凹部12gの底面におけるスリーブ12の内径DDは、凹部12gの縁面におけるスリーブ12の内径DA(換言すれば小径部40が嵌合する位置の内径DA)を超える所望の大きさを適宜選択できる。なお、この内径DDは、上記内径DAに比べて、30〜300μmの範囲で大きいことが好ましい。なぜならば、内径DDが小さ過ぎる場合には、フランジ16Bとスリーブ12との間における十分な嵌着強度が得られず、一方、内径DDが大き過ぎる場合には、スリーブ12の変形(例えば座屈)といった不具合が起きる可能性があるからである。すなわち、内径DDを上記範囲内の大きさとすることによって、これらの不具合を起こすことなく、フランジ16Bとスリーブ12とを嵌着固定させることができる。なお、本実施形態では、内径DDと、内径DAと、大径部44が嵌合する位置におけるスリーブ12の内径DEとは、DE>DD>DAの関係にある。
【0036】
本実施形態では、スリーブ12の材料として、ステンレス合金(例えばSUS304)、フランジ16Bの材料として、アルミ合金(例えばA2017)を用いており、スリーブ12の硬度は、フランジ16Bの硬度より高くなっている。そのため、フランジ16Bをスリーブ12の端部開口12bに圧入する際に、フランジ16Bの外周面40aが、スリーブ12の凹部12gに添って変形し易い。そして、変形したフランジ16Bの外周面40aの一部が変形して凹部12gに入り込むことで、フランジ16Bとスリーブ12とが確実に嵌着する。スリーブ12の硬度がフランジ16Bの硬度より高い場合、スリーブ12、フランジ16B其々の具体的な構成材料としては、例えば、表1に示すものが挙げられる。
【0037】
【表1】
【0038】
なお、小径部40の外径D1は、小径部40が嵌合する位置におけるスリーブ12の内径DAに比べて、100μm以下の範囲で大きいことが好ましい。なぜならば、小径部40の外径D1が、上記内径DAに比べて小さい場合には、フランジ16Bをスリーブ12に圧入した際、フランジ16Bの小径部40における外周面40aおよび縮径部42が、スリーブ12の凹部12gに添って十分に変形せず、フランジ16Bとスリーブ12との間で十分な嵌着強度が得られない。一方、小径部40の外径D1が、内径DAより100μmを超えて大きい場合には、圧入時に求められる圧力が高くなりスリーブ12やフランジ16Bの破損(若しくは歪み)を招いてしまう。
【0039】
また、小径部40の外径D1は、大径部44の外径D2より例えば0.05mmだけ小さく、この差は20μm以上100μm以下であることが好ましい。ここで、小径部40の外径D1と大径部44の外径D2との差が20μm未満だと、小径部40のスリーブ12への挿入しやすさが損なわれることがあり、挿入作業に時間と手間がかかってしまう。うまく挿入できないと、場合により、圧入の際にフランジ16Bが曲がって挿入されてしまい現像ロール10の製品不良が生じる。小径部40の外径D1と大径部44の外径D2との差が100μm以下では、軸ズレの修正を容易におこなうことができる。
【0040】
上述したように、小径部40の外径D1は、小径部40が嵌合する位置におけるスリーブ12の内径DAよりも大きくなっているため、現像ローラ10においては、フランジ16Bの小径部40の外周面40aは、内周面12cに接着剤を介すことなく直接接している。すなわち、小径部40の外周面40aと内周面12cとの間に実質的に空隙がない状態であるため、フランジ16Bをスリーブ12に圧入した後においてもフランジ16Bとスリーブ12との軸ズレが抑止される。なお、適宜、接着剤を用いた圧入をおこなってもよく、この場合には接着剤がフランジ16Bとスリーブ12との固着強度を補強する。この場合には、縮径部42、または大径部44において、フランジ16Bを内周面12iに接着剤で固定するようにしてもよい。
【0041】
続いて、スリーブ12にフランジ16Bを嵌着する手順について、図3〜6を参照しつつ説明する。
【0042】
まず始めに、スリーブ12の端部開口12bにフランジ16Bを先端側から近づけて、小径部40を端部開口12bに入れる。このとき、小径部40は、その外径D1が開口端部12eの内周面12iにおけるスリーブ12の内径DEよりも小さくなっているため、端部開口12bに容易に収めることができる。特に、端部開口12bの開口端部12eに小径部40を当てた状態で、フランジ16Bをスリーブ12側(X方向)にスライドさせると、フランジ16Bを簡単にスリーブ12に挿し入れることができる。加えて、小径部40の先端側の縁部は、面取りされているので、フランジ16Bをスリーブ12内により挿入しやすくなっている。
【0043】
このとき、小径部40の長さが0.2mm以上であれば、小径部40を端部開口12bの開口端部12eに当てやすく、且つスライドさせやすくなる。なお、この小径部40の長さは、0.3mm〜10mmの範囲内であることが好ましく、0.3mm〜5mmの範囲内であることがより好ましい。ここで、小径部40の長さが0.2mm未満だと、上述したような小径部40の挿入しやすさが損なわれることがあり、挿入作業に時間と手間がかかってしまう。小径部40をうまく挿入できないと、場合により、圧入の際にフランジ16Bが曲がって挿入されてしまい現像ローラ10の製品不良が生じる。そこで、小径部40の長さが0.2mm以上とすることによって、スリーブ12にフランジ16Bを容易に挿入することができる。一方、小径部40の長さが10mmを超えると、小径部40が無駄に長くなり、所定長さのマグネットブロック20をスリーブ12内に収めるためには、小径部40が無駄に長くなった分だけスリーブ12の伸長化が必至となり、現像ローラ10の小型化が困難となってしまう。また、軸合わせと圧入とのタイミングを考慮すると小径部40の軸線I2方向に関する長さと大径部44の軸線I2方向に関する長さの比を、1:2程度にすると良い。
【0044】
そして、スリーブの端部開口12bに小径部40全体を収めた後、縮径部42及び大径部44が順次にスリーブ12内に収容されるようにフランジ16Bをスリーブ12の延在方向(すなわち、軸線I3方向)に押圧する。この押圧の際、ある時点では、端部開口12bの内周面12iにおけるスリーブ12の内径DEと大径部44の外径D2とが一致する。
【0045】
このフランジ16Bの押圧の際には、縮径部42において端部開口12bの開口端部12eに接していたフランジ16Bは、大径部44において端部開口12bの開口端部12eに接する状態に遷移する。ここで、縮径部42の外径は大径部44の外径D2に近づくように傾斜しているため、縮径部42が端部開口12bの開口端部12eに接している状態から、大径部44が端部開口12b内に収まる状態になるまで滑らかに遷移する。すなわち、このフランジ16Bをスリーブ12に押圧したときには、端部開口12b内に大径部44まで円滑に収まる。
【0046】
大径部44には、開口端部12eの内周面12iにおけるスリーブ12の内径DEと適合する部分があり、その部分において大径部44が端部開口12bに高精度で嵌る。このとき、大径部44は、その外径全周にわたって、開口端部12eにおけるスリーブ12の内周面12iと均等な圧力で接し、共に真円形断面を有しているフランジ16B、スリーブ12各々の軸線I2,I3同士が高い精度で一致する軸合わせが実現される。そして、軸線I2,I3が一致するように軸合わせをおこなった後、連続した一連の動作として更にフランジ16Bを押圧して、図5に示すように大径部44が端部開口12bに収まるように圧入する。上述のように、小径部40の長さと大径部44の長さの比を1:2程度にすると、軸合わせが整った後に圧入作業へと遷移させることができる。大径部44の長さの半分までがスリーブ12の内部に収まった時点で、小径部40の先端がスリーブ12の内周面12cの端部に接触する。この時点から実質的な圧入作業へと遷移することとなる。スリーブ12とフランジ16Bとの軸合わせは阻害されにくくなっており、小径部40が圧入される際も軸合わせされた状態が保持される。その結果、フランジ16Bは実質的に軸ズレすることなくスリーブ12内に圧入される。
【0047】
また、以上で説明したように、フランジ16Bとスリーブ12との軸合わせをおこなうステップと、フランジ16Bの圧入をおこなうステップとを、連続する一つの動作でおこなうことで、これらのステップを別々におこなう場合に比べて、フランジ16Bをスリーブ12へ圧入する作業の工程が簡略化されると共に、作業時間が短縮される。
【0048】
そして、フランジ16Bのスリーブ12への圧入工程では、フランジ16Bの小径部40における外周面40aが、スリーブ12の内周面12cに設けられた凹部12gに添って変形し、凹部12gの内部に入り込む。その結果、フランジ16Bとスリーブ12とが嵌着固定される。すなわち、本実施形態では、フランジ16Bの小径部40における外周面40aが、スリーブ12側の凹部12gに面する位置において変形し、凹部12gに入り込むため、従来のように、スリーブとフランジに凹凸をそれぞれ形成し、それぞれの凹凸との位置合わせを精密に行わずとも、簡単にフランジ16Bをスリーブ12に嵌着固定することができる。また、スリーブ12の内周面12cに、スリーブ12の軸線I3方向に沿って凹部12gが形成されているため、スリーブ12に圧入されたフランジ16Bが、スリーブ12に対して、周方向(軸線I2,I3周り)に回転することを防止できる。
【0049】
(第2実施形態)次に、本発明の第2実施形態に係る現像ローラについて説明する。なお、以下では、第1実施形態と第2実施形態の相違点についてのみ、説明し、両者に共通する事項については、説明を省略する。
【0050】
第2実施形態では、図7〜10に示すように、凹部12gは、スリーブ12の軸線I3方向全域に亘って均一な深さで形成されている。すなわち、小径部40が嵌合する内周面12cにおいてのみならず、大径部44が嵌合する内周面12iにおいても、凹部12gが形成されている。そして、大径部44が嵌合する位置におけるスリーブ12の内径DEと、凹部12gの底面におけるスリーブ12の内径DDと、小径部40が嵌合する位置におけるスリーブ12の内径DAは、DA<DE<DDの関係になっている。
【0051】
この場合、第1実施形態の場合と同様のフランジ16Bを、図7、8に示すスリーブ12へ圧入すると、フランジ16Bの小径部40における外周面40aが、内周面12cに設けられた凹部12gに添って変形し、凹部12gの内部に入り込むと共に、フランジ16Bの大径部44における外周面44aが、内周面12iに設けられた凹部12gに添って変形し、凹部12gの内部に入り込む(図9参照)。よって、従来のようにスリーブとフランジに凹凸をそれぞれ形成し、両凹凸の位置合わせを精密に行わずとも、簡単にフランジ16Bとスリーブ12とを嵌着固定することができる。
【0052】
(第3実施形態)次に、本発明の第3実施形態に係る現像ローラについて説明する。なお、以下では、第1実施形態と第3実施形態の相違点についてのみ、説明し、両者に共通する事項については、説明を省略する。
【0053】
上述の第1実施形態および第2実施形態においては、スリーブ12が、その軸線I3を通る断面において、段付形状を有しているのに対して、第3実施形態では、スリーブ12が、その軸線I3を通る断面において、段のない平坦な形状を有している。すなわち、スリーブ12の端部開口12b近傍における内径(第1実施形態における内径DE)と、スリーブ12の内部側における内径(第1実施形態におけるDA)とが一致している。換言すれば、開口端部12eの内周面(第1実施形態における内周面12i)と、開口端部12eより内部側におけるスリーブ12の内周面(第1実施形態における内周面12c)とは同一周面として連続している。よって、第3実施形態では、スリーブ12の段のない内周面を内周面12cで示し、その内径をDAで示す。
【0054】
本実施形態では、フランジ16Bのスリーブ12への圧入工程において、フランジ16Bの大径部44における外周面44aが、スリーブ12の内周面12cに設けられた凹部12fに添って変形し、凹部12fの内部に入り込む。その結果、フランジ16Bとスリーブ12とが嵌着固定される。以下、第3実施形態について詳説する。
【0055】
まず、フランジ16Bについて、図11を参照しつつ詳しく説明する。フランジ16Bには、先端側から順に、小径部40、縮径部42、大径部44及びキャップ部48が形成されている。
【0056】
小径部40は、フランジ16Bの最先端に位置しており、フランジ16Bの軸線I2方向(図11のX方向)に関する長さは0.2mm以上(例えば、0.5mm)となっている。また、小径部40の外径D1(例えば、18.97mm)は、スリーブ12の内径DA(19.00mm)より小さくなっている。小径部40の先端側の縁部は、フランジ16Bをスリーブ12に収容しやすいように面取りされている。
【0057】
大径部44のフランジ16Bの軸線I2方向に関する長さは1.0mm以上(例えば、2.0mm)であり、1.5mm〜10mmの範囲内であることがより好ましい。ここで、フランジ16Bの長さが1.0mm未満では、大径部44の外周面44aとスリーブ12の内周面12cとの接触面積が十分に確保できずに圧入した際の固着強度が不十分となり、一方、所定長さのマグネットブロック20をスリーブ12内に収める点で、フランジ16Bの長さが10mmを超えた場合にはスリーブ12の伸長化が必至となり、現像ローラ10の小型化が困難となってしまう。
【0058】
縮径部42は、小径部40と大径部44との間に介在しており、その外径は、大径部44から小径部40に向かって傾斜角θで漸次縮径している。この傾斜角θ(図13参照)は、0°<θ≦30゜の範囲であることが好ましく、0゜<θ≦15゜の範囲であることがより好ましい。ここで、傾斜角θが30゜を超えると、圧入時に高い圧力が必要となり、スリーブ12の端部開口12bの開口端部12eが縮径部42に食い込み、軸ズレの要因となりやすくなる。
【0059】
キャップ部48は、フランジ16Bの圧入深さを規定すると共に、フランジ16Bによってスリーブ12を確実に密閉するために設けられており、その外径は、スリーブ12の外径DB(例えば、20.00mm)以下となっている。このように、フランジ16Bは外径の異なる多段な形状を備えており、大径部44及び縮径部42のいずれにも凹凸が形成されていない。大径部44及び縮径部42に凹凸を形成する場合には複雑な金型を用いたり、切削加工などを行ったりする必要が発生し、製造工程が複雑になったり製造コストが上昇したりするなどのデメリットとなる。
【0060】
次に、スリーブ12について、図11〜14を参照しつつ詳しく説明する。
【0061】
図11に示すように、スリーブ12の内周面12cには、スリーブ12の軸線I3方向に沿って複数(例えば8つ)の凹部12fが形成されている。また、各凹部12fは、図12に示すように、軸線I3方向に関して深さが均一である溝であって、複数の凹部12fは、スリーブ12の内周面12cに等間隔で形成されている。
【0062】
上記のように複雑な金型を用いたり、切削加工などを行ったりしてフランジおよびスリーブにそれぞれ凹凸を形成するよりも、本実施形態のようにスリーブ12のみに嵌合強度を高める凹凸(凹部12f)を形成する方が、製造工程が簡単であり、製造コストも抑えられる。
【0063】
凹部12fの底面におけるスリーブ12の内径DC(図11参照)は、凹部12fの縁面におけるスリーブ12の内径DA超の所望の大きさを適宜選択できる。なお、内径DCは、上記内径DAに比べて、30〜300μmの範囲で大きいことが好ましい。なぜならば、この内径DCが小さ過ぎる場合には、フランジ16Bとスリーブ12との間における十分な嵌着強度が得られず、一方、内径DCが大き過ぎる場合には、スリーブ12の変形(例えば座屈)といった不具合が起きる可能性があるからである。すなわち、凹部12fの底面における内径DCを上記範囲内の大きさとすることによって、これらの不具合を起こすことなく、フランジ16Bとスリーブ12とを嵌着固定させることができる。
【0064】
本実施形態では、スリーブ12の材料として、ステンレス合金(例えばSUS304)、フランジ16Bの材料として、アルミ合金(例えばA2017)を用いており、スリーブ12の硬度は、フランジ16Bの硬度より高くなっている。そのため、フランジ16Bをスリーブ12の端部開口12bに圧入する際に、フランジ16Bの外周面44aがスリーブ12の凹部12fに添って変形し易い。そして、変形したフランジ16Bの外周面44aの一部が凹部12fに入り込むことで、フランジ16Bとスリーブ12とが確実に嵌着する。スリーブ12の硬度がフランジ16Bの硬度より高い場合、スリーブ12、フランジ16B其々の具体的な構成材料としては、例えば、前述の表1に示すものが挙げられる。
【0065】
なお、小径部40の外径D1は、この大径部44の外径D2より例えば0.05mmだけ小さく、この差は20μm以上100μm以下であることが好ましい。ここで、小径部40の外径D1と大径部44の外径D2との差が20μm未満だと、小径部40のスリーブ12への挿入しやすさが損なわれることがあり、挿入作業に時間と手間がかかってしまう。うまく挿入できないと、場合により、圧入の際にフランジ16Bが曲がって挿入されてしまい現像ロール10の製品不良が生じる。小径部40の外径D1と大径部44の外径D2との差が100μm以下では、軸ズレの修正を容易におこなうことができる。
【0066】
また、大径部44の外径D2は、スリーブ12の内径DAよりも大きくなっている(例えば、19.02mm)。ここで、フランジ16Bがスリーブ12の端部開口12bに圧入可能であれば、大径部44の外径D2は、スリーブの内径DA以上の所望の大きさを適宜選択できる。なお、大径部44の外径D2は、スリーブ12の端部開口12bの内径DAに比べて、100μm以下の範囲で大きいことが好ましい。なぜならば、大径部44の外径D2が、スリーブ12の端部開口12bの内径DAに比べて小さい場合には、フランジ16Bをスリーブ12に圧入した際、フランジ16Bの外周面44aおよび縮径部42が、スリーブ12の凹部12fに添って十分に変形せず、フランジ16Bとスリーブ12との間で十分な嵌着強度が得られない。一方、大径部44の外径D2が、スリーブ12の端部開口12bの内径DAより100μmを超えて大きい場合には、圧入時に求められる圧力が高くなりスリーブ12やフランジ16Bの破損(若しくは歪み)を招いてしまう。
【0067】
上述したように、大径部44の外径D2は、スリーブの内径DAよりも大きくなっているため、現像ローラ10においては、フランジ16Bの大径部44の外周面44aは、スリーブ12の内周面12cに接着剤を介すことなく直接接している。すなわち、大径部44の外周面44aとスリーブ12の内周面12cとの間に実質的に空隙がない状態であるため、フランジ16Bをスリーブ12に圧入した後においてもフランジ16Bとスリーブ12との軸ズレが抑止される。なお、適宜、接着剤を用いた圧入をおこなってもよく、この場合には接着剤がフランジ16Bとスリーブ12との固着強度を補強する。この場合には、小径部40及び縮径部42において、フランジ16Bを、スリーブ12の内周面12cに接着剤で固定するようにしてもよい。
【0068】
続いて、スリーブ12にフランジ16Bを嵌着する手順について、図11〜14を参照しつつ説明する。
【0069】
まず始めに、スリーブ12の端部開口12bにフランジ16Bを先端側から近づけて、小径部40を端部開口12bに入れる。このとき、小径部40は、その外径D1がスリーブ12の内径DAよりも小さくなっているため、端部開口12bに容易に収めることができる。特に、端部開口12bの開口端部12eに小径部40を当てた状態で、フランジ16Bをスリーブ12側にスライドさせると、フランジ16Bを簡単にスリーブ12に挿し入れることができる。加えて、小径部40の先端側の縁部は、面取りされているので、フランジ16Bをスリーブ12内により挿入しやすくなっている。
【0070】
このとき、小径部40の長さが0.2mm以上であれば、小径部40を端部開口12bの開口端部12eに当てやすく、且つスライドさせやすくなる。なお、この小径部40の長さは、0.3mm〜10mmの範囲であることが好ましく、0.3mm〜5mmの範囲であることがより好ましい。ここで、小径部40の長さが0.2mm未満だと、上述したような挿入しやすさが損なわれることがあり、挿入作業に時間と手間がかかってしまう。うまく挿入できないと、場合により、圧入の際にフランジ16Bが曲がって挿入されてしまい現像ローラ10の製品不良が生じる。一方、小径部40の長さが0.2mm以上だと、スリーブ12にフランジ16Bを容易に挿入することができる。ただし、小径部40の長さが10mmを超えると、無駄に長くなり、所定長さのマグネットブロック20をスリーブ12内に収める点で、小径部40の長さを長くし過ぎた場合にはスリーブ12の伸長化が必至となり、現像ローラ10の小型化が困難となってしまう。
【0071】
そして、スリーブの端部開口12bに小径部40全体を収めた後、縮径部42及び大径部44が順次にスリーブ12内に収容されるようにフランジ16Bをスリーブ12の延在方向(すなわち、軸線I3方向)に押圧する。この押圧の際、ある時点では、スリーブ12の開口端部12eの内径DAと縮径部42の外径とが一致する。すなわち、縮径部42には、端部開口12bの開口端部12eの内径DAと適合する部分があり、その部分において縮径部42が端部開口12bに高精度で嵌る。このとき、縮径部42は、その外径全周にわたって、スリーブ12の内周面12cと均等な圧力で接し、共に真円形断面を有しているフランジ16B、スリーブ12各々の軸線I2,I3同士が高い精度で一致する軸合わせが実現される。そして、軸線I2,I3が一致するように軸合わせをおこなった後、連続した一連の動作としてさらにフランジ16Bを押圧して、図13に示すように大径部44が端部開口12bに収まるように圧入する。
【0072】
このフランジ16Bの押圧の際には、縮径部42において端部開口12bの開口端部12eに接していたフランジ16Bは、大径部44において端部開口12bの開口端部12eに接する状態に遷移する。ここで、縮径部42の外径は大径部44の外径D2に近づくように傾斜しているため、縮径部42が端部開口12bの開口端部12eに接している状態から、大径部44が端部開口12b内に収まる状態になるまで滑らかに遷移する。すなわち、このフランジ16Bをスリーブ12に圧入したときには、端部開口12b内に大径部44まで円滑に収まる。このような円滑な圧入がおこなわれるため、スリーブ12とフランジ16Bとの軸合わせは阻害されにくくなっており、大径部44が圧入される際も軸合わせされた状態が保持される。その結果、フランジ16Bは実質的に軸ズレすることなくスリーブ12内に圧入される。
【0073】
また、以上で説明したように、フランジ16Bとスリーブ12との軸合わせをおこなうステップと、フランジ16Bの圧入をおこなうステップとを、連続する一つの動作でおこなうことで、これらのステップを別々におこなう場合に比べて、フランジ16Bをスリーブ12へ圧入する作業の工程が簡略化されると共に、作業時間が短縮される。
【0074】
上述したフランジ16Bのスリーブ12への圧入工程では、フランジ16Bの大径部44における外周面44aが、スリーブ12の内周面12cに設けられた凹部12fに添って変形し、凹部12fの内部に入り込む。その結果、フランジ16Bとスリーブ12とが嵌着固定される。すなわち、本実施形態では、フランジ16Bの外周面44aが、スリーブ12側の凹部12fに面する位置において変形し、凹部12fに入り込むため、従来のように、スリーブとフランジに凹凸をそれぞれ形成し、両凹凸の位置合わせを精密に行わずとも、簡単にフランジ16Bをスリーブ12に嵌着固定することができる。また、スリーブ12の内周面12cに、スリーブ12の軸線I3方向に沿って凹部12fが形成されているため、スリーブ12に圧入されたフランジ16Bが、スリーブ12に対して、周方向(軸線I2,I3周り)に回転することを防止できる。
【0075】
従来、現像ローラの製造においては、スリーブ端部のカシメや、接着剤によって、スリーブにフランジを嵌着固定していた。しかし、スリーブ端部のカシメを行うと、スリーブが変形する恐れがあった。また、スリーブ端部のカシメによって、スリーブの中心軸線とフランジの中心軸線とが相対的に傾斜したり、フランジの中心軸線とスリーブの中心軸線とが平行にズレたりする恐れがあった(こうような現象を、以下、軸ズレと記す)。このようなスリーブの変形や軸ズレは、現像の精度を劣化させる。また、接着剤によって、スリーブにフランジを固定すると、接着剤の不均一な塗布によって接着強度が低下する恐れがあった。接着強度の低下は軸ズレの原因となる。また、余剰の接着剤によるスリーブ表面の汚染、接着剤由来の有機溶剤による環境汚染などの問題が発生する恐れもあった。一方、上述した本実施形態においては、フランジ16Bをスリーブ12に圧入し、フランジ16Bの外周面44aを、スリーブ12側の凹部12fに添って変形させることによって、スリーブ端部のカシメや接着剤使用の際に生じるような不具合を起こすことなく、フランジ16Bをスリーブ12に嵌着固定することができる。また、本発明に係る製造方法と、スリーブ端部のカシメ、あるいは接着剤とを併用することによって、スリーブ端部のカシメ、接着剤の使用に伴う上記不具合を抑制することができる。
【0076】
また、従来、現像ローラの製造においては、スリーブ内周面の溝とフランジ外周面の突起とを嵌合させていたが、スリーブ内周面の溝、およびフランジ外周面の突起をそれぞれ形成するためには、スリーブ、フランジそれぞれの成型に用いる金型の形状が複雑になり、金型の製造コストが増加していた。また、スリーブの溝およびフランジの突起は微細であるため、両者を精密に嵌合させるためには、金型の寸法精度、およびスリーブの溝、フランジの突起それぞれの加工精度を向上させなければならなかった。一方、上述した本実施形態においては、フランジ16B側に凸部を形成する必要がなく、スリーブ12にのみ凹部12fを形成するだけでよいため、フランジ16Bおよびスリーブ12の製造に要する工数およびコストを低減することができる。また、本発明においては、フランジ16Bがスリーブ12の凹部12fの形状に添って変形するため、従来のレベルほどの、金型の寸法精度、およびスリーブ、フランジの加工精度が要求されない。
【0077】
以上では、現像ローラ10の一対のフランジ16A,16Bのうち、一方のフランジ(駆動側フランジ)16Bについてのみ説明したが、もう一方のフランジ(従動側フランジ)16Aの先端にも、フランジ16Bと同様の小径部40、縮径部42、大径部44及びキャップ部48が形成されている。そのため、フランジ16Aについても実質的に軸ズレすることのない圧入が可能となっている。なお、現像ローラ10の一対のフランジ16A,16Bのうち、どちらか一方のみが上述した小径部40、縮径部42、大径部44と同様又は同等の小径部、縮径部、大径部を有する場合であってもよく、そのフランジにおいては実質的に軸ズレすることのない圧入が可能となる。
【0078】
それにより、軸ブレ精度が向上した現像ローラ10を得ることができる。またこの現像ローラ10を用いた複写機等の応用製品では画質ムラの発生が抑制されることが期待できる。また、上述した現像ローラ10の製造方法によれば、フランジ16A,16Bのスリーブ12に対する軸ズレが抑制された現像ローラ10を歩留まり良く製造することが可能となる。
【0079】
また、もう一方のフランジ(従動側フランジ)16Aをスリーブ12へ圧入する工程においても、フランジ16Aの大径部44における外周面44aが、スリーブ12の内周面12cに形成された凹部12fに添って変形し、凹部12fに入り込む。その結果、フランジ16Aとスリーブ12とが嵌着固定される。
【0080】
(第4実施形態)次に、本発明の第4実施形態に係る現像ローラについて説明する。なお、以下では、第3実施形態と第4実施形態の相違点についてのみ、説明し、両者に共通する事項については、説明を省略する。
【0081】
第4実施形態では、図15に示すように、スリーブ12の内周面12cに形成された凹部12fの深さが、スリーブ12の端部開口12bからスリーブの内部側に向かって(X方向に向かって)、除々に浅くなっている。すなわち、スリーブ12の内周面12cの形状がテーパ状になっている。その結果、フランジ16Bをスリーブ12に圧入し易くなっている。そして、第3実施形態の場合と同様のフランジ16Bを、図15に示すスリーブ12へ圧入すると、フランジ16Bの大径部44における外周面44aが、スリーブ12の内周面12cに設けられた凹部12fに添って変形し、凹部12fの内部に入り込む。よって、従来のようにスリーブとフランジに凹凸をそれぞれ形成し、両凹凸の位置合わせを精密に行わずとも、簡単にフランジ16Bとスリーブ12とを嵌着固定することができる。
【0082】
(第5実施形態)次に、本発明の第5実施形態に係る現像ローラについて説明する。なお、以下では、第1実施形態と第5実施形態の相違点についてのみ、説明し、両者に共通する事項については、説明を省略する。
【0083】
第5実施形態では、図16に示すように、大径部44が嵌合する位置のスリーブ12の内周面12iに凹部12fが形成されていると共に、小径部40が嵌合する位置のスリーブ12の内周面12cに(すなわち凹部12fよりも内側(X方向側)に)、更に別の凹部12gが形成されている。そして、第1実施形態と同様のフランジ16Bを、図16のスリーブ12に圧入すると、フランジ16Bの大径部44における外周面44aが、スリーブ12の凹部12fに添って変形し、凹部12fの内部に入り込むと共に、フランジ16Bの小径部40における外周面40aが、スリーブ12の凹部12gに添って変形し、凹部12gの内部に入り込む。このように、フランジ16Bの大径部44と小径部40とが、両方ともスリーブ12側の各凹部に入り込むため、従来のようにスリーブとフランジに凹凸をそれぞれ形成し、両凹凸の位置合わせを精密に行わずとも、簡単にフランジ16Bとスリーブ12とを嵌着固定することができる。
【0084】
(第6実施形態)次に、本発明の第6実施形態に係る現像ローラについて説明する。なお、以下では、第1実施形態と第6実施形態の相違点についてのみ、説明し、両者に共通する事項については、説明を省略する。
【0085】
第6実施形態では、図17、図18に示すように、スリーブ12の軸線I3方向に沿って凹部12gが形成されていると共に、別の凹部12fが、スリーブ12の周方向に沿って形成されている。その結果、従来のように、スリーブとフランジとの位置合わせを精密に行わずとも、簡単にフランジ16Bとスリーブ12とを嵌着固定することができると共に、凹部12gによって、フランジ16Bがスリーブ12の周方向に位置ズレを起こすことを防止でき、また、凹部12fによって、フランジ16Bがスリーブ12の軸線I3方向にズレたり、スリーブ12から抜けることを防止できる。
【0086】
(第7実施形態)次に、本発明の第7実施形態に係る現像ローラについて説明する。なお、以下では、第1実施形態と第7実施形態の相違点についてのみ、説明し、両者に共通する事項については、説明を省略する。
【0087】
第7実施形態では、図19に示すように、フランジ12Bの小径部40が嵌合する位置のスリーブ12の内周面12cに複数(例えば8つ)の凸部12hが形成されている。そして、第1実施形態と同様のフランジ16Bを、図19のスリーブ12へ圧入すると、フランジ16Bの小径部40における外周面40aが、スリーブ12の内周面12cに形成された凸部12hに添って変形する(窪む)。その結果、従来のように、スリーブとフランジに凹凸をそれぞれ形成し、両凹凸の位置合わせを精密に行わずとも、簡単にフランジ16Bとスリーブ12とを嵌着固定することができる。
【0088】
(第8実施形態)次に、本発明の第8実施形態に係る現像ローラについて説明する。なお、以下では、第1実施形態と第8実施形態の相違点についてのみ、説明し、両者に共通する事項については、説明を省略する。
【0089】
第8実施形態では、図20に示すように、フランジ12Bの小径部40が嵌合する位置のスリーブ12の内周面12cに複数(例えば8つ)の凸部12hが形成されている。そして、第1実施形態と同様の形状を有し、スリーブ12より硬度が高いフランジ16Bを、図20のスリーブ12へ圧入すると、フランジ16Bの小径部40における外周面40aが、スリーブ側の凸部12hを押圧し、変形させて、スリーブ12とフランジ16Bとが嵌着固定される。このように、本発明においては、従来のようにスリーブ12とフランジ16Bとの位置合わせ(溝と突起との位置合わせ)を精密に行わずとも、簡単にフランジ12をスリーブ16Bに嵌着固定することができる。
【0090】
本実施形態では、スリーブ12の材料として、アルミ合金(例えばA6063)、フランジ16Bの材料として、ステンレス合金(例えばSUS303)を用いており、フランジ16Bの硬度はスリーブ12の硬度より高くなっている。そのため、フランジ16Bをスリーブ12の端部開口12bに圧入する際に、フランジ16Bの外周面40aがスリーブ12の凸部12hを変形させ易い。そして、圧入されたフランジ16Bの外周面40aが凸部12hを押圧し変形させることで、スリーブ12とフランジ16Bとが確実に嵌着する。フランジ16Bの硬度がスリーブ12の硬度より高い場合、スリーブ12、フランジ16B其々の具体的な構成材料としては、例えば、表2に示すものが挙げられる。
【0091】
【表2】
【0092】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、スリーブ12の凹部12f、12gの数、あるいはスリーブ12の凸部12hの数は、特に限定されず、適宜増減させてよい。また、スリーブ12の周方向に沿って形成された凹部12fが、スリーブ12の軸線I3方向(X方向)に複数形成されていてもよい。また、スリーブ12の内周面12c、12iにおいて、スリーブ12の軸線I3方向に沿った凹部と、スリーブ12の内周方向に沿った凹部とが、両方形成されていてもよい。この場合、フランジ16Bの周方向のズレのみならず、フランジ16Bの軸線I2方向におけるズレ、抜けも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る現像ローラの概略斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した現像ローラのII−II線断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態に係る現像ローラ10を構成するスリーブ12(端部開口12b近傍)と、スリーブ12bに圧入される前のフランジ16Bの概略断面図である。
【図4】図4は、図3に示したスリーブ12のIV−IV断面図である。
【図5】図5は、図2に示した現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の嵌着後の概略断面図である。
【図6】図6は、図5に示したフランジ16Bおよびスリーブ12のVI−VI線断面図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態に係る現像ローラ10を構成するスリーブ12(端部開口12b近傍)と、スリーブ12bに圧入される前のフランジ16Bの概略断面図である。
【図8】図8は、図7に示したスリーブ12のVIII−VIII断面図である。
【図9】図9は、本発明の第2実施形態に係る現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の嵌着後の概略断面図である。
【図10】図10は、図9に示したフランジ16Bおよびスリーブ12のX−X線断面図である。
【図11】図11は、本発明の第3実施形態に係る現像ローラ10を構成するスリーブ12(端部開口12b近傍)と、スリーブ12bに圧入される前のフランジ16Bの概略断面図である。
【図12】図12は、図11に示したスリーブ12の端部開口12b近傍における軸線I3方向に垂直な断面図である。
【図13】図13は、本発明の第3実施形態に係る現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の嵌着後の概略断面図である。
【図14】図14は、図13に示したフランジ16Bおよびスリーブ12のXIV−XIV線断面図である。
【図15】図15は、本発明の第4実施形態に係る現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の嵌着後の断面図である。
【図16】図16は、本発明の第5実施形態に係る現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の嵌着後の断面図である。
【図17】図17は、本発明の第6実施形態に係る現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の嵌着後の断面図である。
【図18】図18は、図17に示したフランジ16Bおよびスリーブ12のXVIII−XVIII線断面図である。
【図19】図19は、本発明の第7実施形態に係る現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の軸線I2,I3方向に垂直な断面図である。
【図20】図20は、本発明の第8実施形態に係る現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の軸線I2,I3方向に垂直な断面図である。
【符号の説明】
【0094】
10…現像ローラ、12…スリーブ、12c、12i…スリーブの内周面、12f、12g…凹部、12h…凸部、14…マグネットロール、16A,16B…フランジ、18…シャフト、20…マグネットブロック、40…小径部、40a…小径部の外周面、42…縮径部、44…大径部、44a…大径部の外周面、DA,DB,DC,DD,DE,D1,D2…径。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の現像装置に利用される現像ローラの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の現像装置などに用いられる現像ローラとして、複数の磁極がその表面に形成されたマグネットロールと、このマグネットロールが収容される円筒状のスリーブと、マグネットロールを収容したスリーブの両端部に結合される一対のフランジとで構成された現像ローラが、下記特許文献1等に開示されている。
【0003】
このような現像ローラにおいては、マグネットロールの軸を固定した状態で外周のスリーブのみを回転させることで、スリーブの表面に吸着させた現像剤が現像領域まで搬送される。そして、現像領域まで搬送された現像剤は、感光ドラムに供給されて、感光ドラム表面に形成されている静電潜像を可視像化する。なお、感光ドラムに供給されずにスリーブ側に残留した現像剤は、スリーブの回転により現像剤剥離領域まで到達したところでスリーブから剥離される。
【0004】
なお、下記特許文献1では、現像ローラの製造において、スリーブにフランジを嵌着固定する方法としては、スリーブ端部の内周面に形成された溝と、フランジの外周面に形成された突起とを嵌合させる方法が示されている。
【特許文献1】実開平5−90517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、スリーブに形成された溝とフランジの外周面に形成された突起とを嵌合させる工程において、溝と突起との位置合わせを精密に行う必要があり、工程が煩雑になってしまう。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、フランジをより簡単にスリーブに取り付けることができる現像ロールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る現像ローラの製造方法は、スリーブと、フランジと、を有する現像ローラの製造方法であって、断面が円形で、且つ、平坦な外周面を有するフランジを、円筒形状であり、且つ、少なくとも端部の内周面に凹凸部が設けられたスリーブに、フランジの外周面がスリーブの内周面の凹凸部に添って変形するように、圧入するステップを有することを特徴とする。
【0008】
従来では、スリーブに形成された溝とフランジに形成された突起との位置合わせを精密に行い、溝と突起とを嵌合させるのに対して、本発明では、スリーブにフランジを圧入させると、フランジの外周面が、スリーブ側の凹凸部に添って変形し、フランジがスリーブに嵌着固定される。すなわち、本発明においては、従来のようにスリーブとフランジとの位置合わせ(溝と突起との位置合わせ)を精密に行わずとも、簡単にフランジをスリーブに嵌着固定することができる。
【0009】
また、本発明に係る現像ローラの製造方法は、スリーブと、フランジと、を有する現像ローラの製造方法であって、断面が円形で、且つ、平坦な外周面を有するフランジを、円筒形状であり、且つ、少なくとも端部の内周面に凹凸部が設けられたスリーブに、フランジの外周面がスリーブの内周面の凹凸部を変形させるように圧入するステップを有することを特徴とする。
【0010】
従来では、スリーブに形成された溝とフランジに形成された突起との位置合わせを精密に行い、溝と突起とを嵌合させるのに対して、本発明では、スリーブにフランジを圧入させると、フランジの外周面の一部が、スリーブ側の凹凸部を押圧し、凹凸部を変形させて、スリーブとフランジとが嵌着固定される。このように、本発明においては、従来のようにスリーブとフランジとの位置合わせ(溝と突起との位置合わせ)を精密に行わずとも、簡単にフランジをスリーブに嵌着固定することができる。
【0011】
また、凹凸部が、スリーブの軸線方向に沿って形成されていることが好ましい。その結果、フランジが、スリーブに対して、周方向に回転することを防止できる。
【0012】
さらに、凹凸部が、スリーブの周方向に沿って形成されていることが好ましい。その結果、フランジがスリーブの軸線方向に位置ズレを起こすことを防止でき、また、フランジがスリーブから抜けることを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フランジをより簡単にスリーブに取り付けることができる現像ローラ及の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明に係る現像ローラ及びその製造方法の実施の形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。また、本発明は下記実施形態のみに限定されるものではなく、あくまでも一実施形態である。
【0015】
(第1実施形態)図1〜6に示すように、長尺円筒状の金属製スリーブ12と、このスリーブ12の内部に配置されたマグネットロール14と、スリーブ12の端部開口12a,12bそれぞれに嵌着固定された一対のフランジ16A,16Bとで、現像ローラ10は構成されている。
【0016】
さらに、マグネットロール14は、略丸棒状のシャフト18と、このシャフト18の外周面に固定された複数(例えば5つ)の長尺状のマグネットブロック20とによって構成されている。なお、マグネットブロック20として、シャフト18を内包する円筒状のマグネットを用いてもよい。シャフト18は、金属などの高強度材料により構成されており、その長さはマグネットブロック20よりも長くなっている。このシャフト18の両端18b,18cは、マグネットブロック20が固定されておらず、露出されている。各マグネットブロック20は、磁性粉体(フェライト系やNd−Fe−B系等)と樹脂(ゴム系やプラスチック系等)とで構成されたプラスチックマグネット、若しくはゴムマグネットである。そして、各マグネットブロック20は、その内周曲面においてシャフト18の外周面に接着剤によって固定されている。なお、シャフト18は、各マグネットブロック20を接着する部分を角柱状にしてもよい。
【0017】
以上で説明したマグネットロール14は、スリーブ12の延在方向と同一方向に延在するようにスリーブ12内に配置され、スリーブ12の両端に位置する1対のフランジ16A,16Bによって回転自在に支持されている。ここで、フランジ16A及びフランジ16Bは、その外形形状が略厚肉円板状となっており、その中心軸線I2に沿ってそれぞれ孔24A,24Bが形成されている。そして、この孔24A,24Bのそれぞれの内側には、シャフト18を回転支持するベアリング26A,26B(例えば、焼結含油軸受)が取り付けられている。
【0018】
なお、フランジ16Aには、その外側表面からシャフト18の軸線I1と同軸状に突出する円筒状の軸部30Aが形成されており、フランジ16A側のシャフト18の一端部18bは、フランジ16Aの孔24A及び軸部30Aを貫通し、スリーブ12と一対のフランジ16A,16Bとで構成されるケース28の外側まで突出している。一方、通常、フランジ16B側のシャフト18の他端部18cは、フランジ16Bの有底の孔24B内に位置している。このフランジ16Bには、その外側表面からシャフト18の軸線I1と同軸状に突出する丸棒状の軸部30Bが形成されている。
【0019】
つまり、シャフト18と、ケース28(つまり、スリーブ12と一対のフランジ16A,16B)とは、シャフト18の軸線I1に関して同軸的に配置されていると共に、シャフト18の軸線I1を回転中心としてベアリング26A,26Bを介して相対的に回転自在となっている。
【0020】
そして、現像ローラ10を現像装置に設置する際には、図2に示すように、現像ローラ10の一端部であるケース28から突出するシャフト18の端部18bは、現像装置の一方の側壁32Aに固定される。また、現像ローラ10の他端部であるフランジ16Bの軸部30Bは、現像装置の他方の側壁32Bにベアリング34を介して回転自在に軸支される。
【0021】
つまり、現像ローラ10を現像装置に設置すると、マグネットロール14は回転しないように保持され、マグネットロール14を覆うケース28だけがシャフト18周りに回転自在に保持される。この状態で、フランジ16Bの軸部30Bにギア等を取り付けて、モータ等により軸部30Bを回転駆動させることで、現像ローラ10のケース28の回転制御がおこなわれる。
【0022】
現像装置に設置された現像ローラ10のケース28が回転すると、ケース28の外周面28a(すなわち、スリーブの外周面12d)に担持された現像剤が感光体ドラム(図示せず)に対向する位置まで搬送されると共に、現像剤に含まれるトナーが感光体ドラムの静電潜像に付着して、静電潜像が可視像化される。現像ローラ10に用いる現像剤としては、トナーのみの一成分系現像剤及びトナーとキャリアとが混合された二成分系現像剤のどちらも用いることができる。
【0023】
なお、上述した現像装置への現像ローラ10の設置態様とは異なる以下のような設置態様であってもよい。すなわち、フランジ16Bの軸部30Bを現像装置の側壁32Bに回転しないように固定し、ケース28から突出するシャフト18の端部18bを現像装置の側壁32Aに回転自在に軸支して、ケース28が回転せずにマグネットロール14だけがケース28内部でシャフト18周りに回転するように、現像ローラ10を現像装置に設置してもよい。また、マグネットロール14及びケース28の両方を回転自在に現像装置の側壁32A,32Bに軸支させて、互いに独立して回転するように現像ローラ10を設置してもよい。
【0024】
次に、フランジ16Bについて、図3、5、6を参照しつつ詳しく説明する。
【0025】
図3に示すように、フランジ16Bには、先端側から順に、小径部40、縮径部42、大径部44及びキャップ部48が形成されている。
【0026】
小径部40は、フランジ16Bの最先端に位置しており、フランジ16Bの軸線I2方向(図3のX方向)に関する長さは0.2mm以上(例えば、0.5mm)となっている。この小径部40の先端側の縁部は、フランジ16Bをスリーブ12に収容しやすいように面取りされている。なお、小径部40の外径D1は、例えば、18.90mm程度であり、この外径D1は、後述するスリーブ12の内径DA(小径部40が嵌合する位置の内径、例えば、18.80mm)より大きくなっている。
【0027】
大径部44のフランジ16Bの軸線I2方向に関する長さは、小径部40のフランジ16Bの軸線I2方向に関する長さの2倍程度(例えば、1.0mm)であることが好ましい。なお、大径部44の外径D2は、例えば、19.02mm程度であり、この外径D2は、後述するスリーブ12の内径DE(大径部44が嵌合する位置の内径)とほぼ等しい。
【0028】
縮径部42は、小径部40と大径部44との間に介在しており、その外径は、大径部44から小径部40に向かって傾斜角θで漸次縮径している。この傾斜角θ(図3参照)は、0°<θ≦30゜の範囲であることが好ましく、0゜<θ≦15゜の範囲であることがより好ましい。ここで、傾斜角θが30゜を超えると、圧入時に高い圧力が必要となり、スリーブ12の端部開口12bの開口端部12eが縮径部42に食い込み、軸ズレの要因となりやすくなる。
【0029】
キャップ部48は、フランジ16Bの圧入深さを規定すると共に、フランジ16Bによってスリーブ12を確実に密閉するために設けられており、その外径は、スリーブ12の外径DB(例えば、20.00mm)以下となっている。
【0030】
このように、フランジ16Bは外径の異なる多段な形状を備えており、小径部40、大径部44及び縮径部42のいずれにも凹凸が形成されていない。小径部40、大径部44及び縮径部42に凹凸を形成する場合には、複雑な金型を用いたり、切削加工などを行ったりする必要が発生し、製造工程が複雑になったり製造コストが上昇したりするなどのデメリットとなる。
【0031】
次に、スリーブ12について、図3〜6を参照しつつ詳しく説明する。
【0032】
図3に示すように、スリーブ12は、その軸線I3を通る断面において、段付形状を有している。すなわち、スリーブ12は、端部開口12bの近傍では内径DEであり、より内部側では内径DEより径の小さい内径DAとなっている。スリーブ12にフランジ16Bが圧入された際には、スリーブ12の内径DEの内周面12iの部分にフランジ16Bの上記大径部44が嵌合され、スリーブ12の内径DAの内周面12cの部分にフランジ16Bの上記小径部40が嵌合される。
【0033】
そして、スリーブ12の内周面12cには、スリーブ12の軸線I3方向に沿って複数(例えば8つ)の凹部12gが形成されている。また、各凹部12gは、図4に示すように、軸線I3方向に関して深さが均一である溝であって、複数の凹部12gは、スリーブ12の内周面12cに等間隔で形成されている。なお、これらの凹部12gは、スリーブの成形加工(スリーブ用粗管の引き抜き加工、あるいは押し出し加工等)のときに形成することができる。
【0034】
そのため、上記のように、スリーブ12に嵌合強度を高める凹凸(凹部12g)を形成する方が、複雑な金型を用いたり、切削加工などを行ったりしてフランジに凹凸を形成するよりも、製造工程が簡単であり、製造コストも抑えられる。
【0035】
凹部12gの底面におけるスリーブ12の内径DDは、凹部12gの縁面におけるスリーブ12の内径DA(換言すれば小径部40が嵌合する位置の内径DA)を超える所望の大きさを適宜選択できる。なお、この内径DDは、上記内径DAに比べて、30〜300μmの範囲で大きいことが好ましい。なぜならば、内径DDが小さ過ぎる場合には、フランジ16Bとスリーブ12との間における十分な嵌着強度が得られず、一方、内径DDが大き過ぎる場合には、スリーブ12の変形(例えば座屈)といった不具合が起きる可能性があるからである。すなわち、内径DDを上記範囲内の大きさとすることによって、これらの不具合を起こすことなく、フランジ16Bとスリーブ12とを嵌着固定させることができる。なお、本実施形態では、内径DDと、内径DAと、大径部44が嵌合する位置におけるスリーブ12の内径DEとは、DE>DD>DAの関係にある。
【0036】
本実施形態では、スリーブ12の材料として、ステンレス合金(例えばSUS304)、フランジ16Bの材料として、アルミ合金(例えばA2017)を用いており、スリーブ12の硬度は、フランジ16Bの硬度より高くなっている。そのため、フランジ16Bをスリーブ12の端部開口12bに圧入する際に、フランジ16Bの外周面40aが、スリーブ12の凹部12gに添って変形し易い。そして、変形したフランジ16Bの外周面40aの一部が変形して凹部12gに入り込むことで、フランジ16Bとスリーブ12とが確実に嵌着する。スリーブ12の硬度がフランジ16Bの硬度より高い場合、スリーブ12、フランジ16B其々の具体的な構成材料としては、例えば、表1に示すものが挙げられる。
【0037】
【表1】
【0038】
なお、小径部40の外径D1は、小径部40が嵌合する位置におけるスリーブ12の内径DAに比べて、100μm以下の範囲で大きいことが好ましい。なぜならば、小径部40の外径D1が、上記内径DAに比べて小さい場合には、フランジ16Bをスリーブ12に圧入した際、フランジ16Bの小径部40における外周面40aおよび縮径部42が、スリーブ12の凹部12gに添って十分に変形せず、フランジ16Bとスリーブ12との間で十分な嵌着強度が得られない。一方、小径部40の外径D1が、内径DAより100μmを超えて大きい場合には、圧入時に求められる圧力が高くなりスリーブ12やフランジ16Bの破損(若しくは歪み)を招いてしまう。
【0039】
また、小径部40の外径D1は、大径部44の外径D2より例えば0.05mmだけ小さく、この差は20μm以上100μm以下であることが好ましい。ここで、小径部40の外径D1と大径部44の外径D2との差が20μm未満だと、小径部40のスリーブ12への挿入しやすさが損なわれることがあり、挿入作業に時間と手間がかかってしまう。うまく挿入できないと、場合により、圧入の際にフランジ16Bが曲がって挿入されてしまい現像ロール10の製品不良が生じる。小径部40の外径D1と大径部44の外径D2との差が100μm以下では、軸ズレの修正を容易におこなうことができる。
【0040】
上述したように、小径部40の外径D1は、小径部40が嵌合する位置におけるスリーブ12の内径DAよりも大きくなっているため、現像ローラ10においては、フランジ16Bの小径部40の外周面40aは、内周面12cに接着剤を介すことなく直接接している。すなわち、小径部40の外周面40aと内周面12cとの間に実質的に空隙がない状態であるため、フランジ16Bをスリーブ12に圧入した後においてもフランジ16Bとスリーブ12との軸ズレが抑止される。なお、適宜、接着剤を用いた圧入をおこなってもよく、この場合には接着剤がフランジ16Bとスリーブ12との固着強度を補強する。この場合には、縮径部42、または大径部44において、フランジ16Bを内周面12iに接着剤で固定するようにしてもよい。
【0041】
続いて、スリーブ12にフランジ16Bを嵌着する手順について、図3〜6を参照しつつ説明する。
【0042】
まず始めに、スリーブ12の端部開口12bにフランジ16Bを先端側から近づけて、小径部40を端部開口12bに入れる。このとき、小径部40は、その外径D1が開口端部12eの内周面12iにおけるスリーブ12の内径DEよりも小さくなっているため、端部開口12bに容易に収めることができる。特に、端部開口12bの開口端部12eに小径部40を当てた状態で、フランジ16Bをスリーブ12側(X方向)にスライドさせると、フランジ16Bを簡単にスリーブ12に挿し入れることができる。加えて、小径部40の先端側の縁部は、面取りされているので、フランジ16Bをスリーブ12内により挿入しやすくなっている。
【0043】
このとき、小径部40の長さが0.2mm以上であれば、小径部40を端部開口12bの開口端部12eに当てやすく、且つスライドさせやすくなる。なお、この小径部40の長さは、0.3mm〜10mmの範囲内であることが好ましく、0.3mm〜5mmの範囲内であることがより好ましい。ここで、小径部40の長さが0.2mm未満だと、上述したような小径部40の挿入しやすさが損なわれることがあり、挿入作業に時間と手間がかかってしまう。小径部40をうまく挿入できないと、場合により、圧入の際にフランジ16Bが曲がって挿入されてしまい現像ローラ10の製品不良が生じる。そこで、小径部40の長さが0.2mm以上とすることによって、スリーブ12にフランジ16Bを容易に挿入することができる。一方、小径部40の長さが10mmを超えると、小径部40が無駄に長くなり、所定長さのマグネットブロック20をスリーブ12内に収めるためには、小径部40が無駄に長くなった分だけスリーブ12の伸長化が必至となり、現像ローラ10の小型化が困難となってしまう。また、軸合わせと圧入とのタイミングを考慮すると小径部40の軸線I2方向に関する長さと大径部44の軸線I2方向に関する長さの比を、1:2程度にすると良い。
【0044】
そして、スリーブの端部開口12bに小径部40全体を収めた後、縮径部42及び大径部44が順次にスリーブ12内に収容されるようにフランジ16Bをスリーブ12の延在方向(すなわち、軸線I3方向)に押圧する。この押圧の際、ある時点では、端部開口12bの内周面12iにおけるスリーブ12の内径DEと大径部44の外径D2とが一致する。
【0045】
このフランジ16Bの押圧の際には、縮径部42において端部開口12bの開口端部12eに接していたフランジ16Bは、大径部44において端部開口12bの開口端部12eに接する状態に遷移する。ここで、縮径部42の外径は大径部44の外径D2に近づくように傾斜しているため、縮径部42が端部開口12bの開口端部12eに接している状態から、大径部44が端部開口12b内に収まる状態になるまで滑らかに遷移する。すなわち、このフランジ16Bをスリーブ12に押圧したときには、端部開口12b内に大径部44まで円滑に収まる。
【0046】
大径部44には、開口端部12eの内周面12iにおけるスリーブ12の内径DEと適合する部分があり、その部分において大径部44が端部開口12bに高精度で嵌る。このとき、大径部44は、その外径全周にわたって、開口端部12eにおけるスリーブ12の内周面12iと均等な圧力で接し、共に真円形断面を有しているフランジ16B、スリーブ12各々の軸線I2,I3同士が高い精度で一致する軸合わせが実現される。そして、軸線I2,I3が一致するように軸合わせをおこなった後、連続した一連の動作として更にフランジ16Bを押圧して、図5に示すように大径部44が端部開口12bに収まるように圧入する。上述のように、小径部40の長さと大径部44の長さの比を1:2程度にすると、軸合わせが整った後に圧入作業へと遷移させることができる。大径部44の長さの半分までがスリーブ12の内部に収まった時点で、小径部40の先端がスリーブ12の内周面12cの端部に接触する。この時点から実質的な圧入作業へと遷移することとなる。スリーブ12とフランジ16Bとの軸合わせは阻害されにくくなっており、小径部40が圧入される際も軸合わせされた状態が保持される。その結果、フランジ16Bは実質的に軸ズレすることなくスリーブ12内に圧入される。
【0047】
また、以上で説明したように、フランジ16Bとスリーブ12との軸合わせをおこなうステップと、フランジ16Bの圧入をおこなうステップとを、連続する一つの動作でおこなうことで、これらのステップを別々におこなう場合に比べて、フランジ16Bをスリーブ12へ圧入する作業の工程が簡略化されると共に、作業時間が短縮される。
【0048】
そして、フランジ16Bのスリーブ12への圧入工程では、フランジ16Bの小径部40における外周面40aが、スリーブ12の内周面12cに設けられた凹部12gに添って変形し、凹部12gの内部に入り込む。その結果、フランジ16Bとスリーブ12とが嵌着固定される。すなわち、本実施形態では、フランジ16Bの小径部40における外周面40aが、スリーブ12側の凹部12gに面する位置において変形し、凹部12gに入り込むため、従来のように、スリーブとフランジに凹凸をそれぞれ形成し、それぞれの凹凸との位置合わせを精密に行わずとも、簡単にフランジ16Bをスリーブ12に嵌着固定することができる。また、スリーブ12の内周面12cに、スリーブ12の軸線I3方向に沿って凹部12gが形成されているため、スリーブ12に圧入されたフランジ16Bが、スリーブ12に対して、周方向(軸線I2,I3周り)に回転することを防止できる。
【0049】
(第2実施形態)次に、本発明の第2実施形態に係る現像ローラについて説明する。なお、以下では、第1実施形態と第2実施形態の相違点についてのみ、説明し、両者に共通する事項については、説明を省略する。
【0050】
第2実施形態では、図7〜10に示すように、凹部12gは、スリーブ12の軸線I3方向全域に亘って均一な深さで形成されている。すなわち、小径部40が嵌合する内周面12cにおいてのみならず、大径部44が嵌合する内周面12iにおいても、凹部12gが形成されている。そして、大径部44が嵌合する位置におけるスリーブ12の内径DEと、凹部12gの底面におけるスリーブ12の内径DDと、小径部40が嵌合する位置におけるスリーブ12の内径DAは、DA<DE<DDの関係になっている。
【0051】
この場合、第1実施形態の場合と同様のフランジ16Bを、図7、8に示すスリーブ12へ圧入すると、フランジ16Bの小径部40における外周面40aが、内周面12cに設けられた凹部12gに添って変形し、凹部12gの内部に入り込むと共に、フランジ16Bの大径部44における外周面44aが、内周面12iに設けられた凹部12gに添って変形し、凹部12gの内部に入り込む(図9参照)。よって、従来のようにスリーブとフランジに凹凸をそれぞれ形成し、両凹凸の位置合わせを精密に行わずとも、簡単にフランジ16Bとスリーブ12とを嵌着固定することができる。
【0052】
(第3実施形態)次に、本発明の第3実施形態に係る現像ローラについて説明する。なお、以下では、第1実施形態と第3実施形態の相違点についてのみ、説明し、両者に共通する事項については、説明を省略する。
【0053】
上述の第1実施形態および第2実施形態においては、スリーブ12が、その軸線I3を通る断面において、段付形状を有しているのに対して、第3実施形態では、スリーブ12が、その軸線I3を通る断面において、段のない平坦な形状を有している。すなわち、スリーブ12の端部開口12b近傍における内径(第1実施形態における内径DE)と、スリーブ12の内部側における内径(第1実施形態におけるDA)とが一致している。換言すれば、開口端部12eの内周面(第1実施形態における内周面12i)と、開口端部12eより内部側におけるスリーブ12の内周面(第1実施形態における内周面12c)とは同一周面として連続している。よって、第3実施形態では、スリーブ12の段のない内周面を内周面12cで示し、その内径をDAで示す。
【0054】
本実施形態では、フランジ16Bのスリーブ12への圧入工程において、フランジ16Bの大径部44における外周面44aが、スリーブ12の内周面12cに設けられた凹部12fに添って変形し、凹部12fの内部に入り込む。その結果、フランジ16Bとスリーブ12とが嵌着固定される。以下、第3実施形態について詳説する。
【0055】
まず、フランジ16Bについて、図11を参照しつつ詳しく説明する。フランジ16Bには、先端側から順に、小径部40、縮径部42、大径部44及びキャップ部48が形成されている。
【0056】
小径部40は、フランジ16Bの最先端に位置しており、フランジ16Bの軸線I2方向(図11のX方向)に関する長さは0.2mm以上(例えば、0.5mm)となっている。また、小径部40の外径D1(例えば、18.97mm)は、スリーブ12の内径DA(19.00mm)より小さくなっている。小径部40の先端側の縁部は、フランジ16Bをスリーブ12に収容しやすいように面取りされている。
【0057】
大径部44のフランジ16Bの軸線I2方向に関する長さは1.0mm以上(例えば、2.0mm)であり、1.5mm〜10mmの範囲内であることがより好ましい。ここで、フランジ16Bの長さが1.0mm未満では、大径部44の外周面44aとスリーブ12の内周面12cとの接触面積が十分に確保できずに圧入した際の固着強度が不十分となり、一方、所定長さのマグネットブロック20をスリーブ12内に収める点で、フランジ16Bの長さが10mmを超えた場合にはスリーブ12の伸長化が必至となり、現像ローラ10の小型化が困難となってしまう。
【0058】
縮径部42は、小径部40と大径部44との間に介在しており、その外径は、大径部44から小径部40に向かって傾斜角θで漸次縮径している。この傾斜角θ(図13参照)は、0°<θ≦30゜の範囲であることが好ましく、0゜<θ≦15゜の範囲であることがより好ましい。ここで、傾斜角θが30゜を超えると、圧入時に高い圧力が必要となり、スリーブ12の端部開口12bの開口端部12eが縮径部42に食い込み、軸ズレの要因となりやすくなる。
【0059】
キャップ部48は、フランジ16Bの圧入深さを規定すると共に、フランジ16Bによってスリーブ12を確実に密閉するために設けられており、その外径は、スリーブ12の外径DB(例えば、20.00mm)以下となっている。このように、フランジ16Bは外径の異なる多段な形状を備えており、大径部44及び縮径部42のいずれにも凹凸が形成されていない。大径部44及び縮径部42に凹凸を形成する場合には複雑な金型を用いたり、切削加工などを行ったりする必要が発生し、製造工程が複雑になったり製造コストが上昇したりするなどのデメリットとなる。
【0060】
次に、スリーブ12について、図11〜14を参照しつつ詳しく説明する。
【0061】
図11に示すように、スリーブ12の内周面12cには、スリーブ12の軸線I3方向に沿って複数(例えば8つ)の凹部12fが形成されている。また、各凹部12fは、図12に示すように、軸線I3方向に関して深さが均一である溝であって、複数の凹部12fは、スリーブ12の内周面12cに等間隔で形成されている。
【0062】
上記のように複雑な金型を用いたり、切削加工などを行ったりしてフランジおよびスリーブにそれぞれ凹凸を形成するよりも、本実施形態のようにスリーブ12のみに嵌合強度を高める凹凸(凹部12f)を形成する方が、製造工程が簡単であり、製造コストも抑えられる。
【0063】
凹部12fの底面におけるスリーブ12の内径DC(図11参照)は、凹部12fの縁面におけるスリーブ12の内径DA超の所望の大きさを適宜選択できる。なお、内径DCは、上記内径DAに比べて、30〜300μmの範囲で大きいことが好ましい。なぜならば、この内径DCが小さ過ぎる場合には、フランジ16Bとスリーブ12との間における十分な嵌着強度が得られず、一方、内径DCが大き過ぎる場合には、スリーブ12の変形(例えば座屈)といった不具合が起きる可能性があるからである。すなわち、凹部12fの底面における内径DCを上記範囲内の大きさとすることによって、これらの不具合を起こすことなく、フランジ16Bとスリーブ12とを嵌着固定させることができる。
【0064】
本実施形態では、スリーブ12の材料として、ステンレス合金(例えばSUS304)、フランジ16Bの材料として、アルミ合金(例えばA2017)を用いており、スリーブ12の硬度は、フランジ16Bの硬度より高くなっている。そのため、フランジ16Bをスリーブ12の端部開口12bに圧入する際に、フランジ16Bの外周面44aがスリーブ12の凹部12fに添って変形し易い。そして、変形したフランジ16Bの外周面44aの一部が凹部12fに入り込むことで、フランジ16Bとスリーブ12とが確実に嵌着する。スリーブ12の硬度がフランジ16Bの硬度より高い場合、スリーブ12、フランジ16B其々の具体的な構成材料としては、例えば、前述の表1に示すものが挙げられる。
【0065】
なお、小径部40の外径D1は、この大径部44の外径D2より例えば0.05mmだけ小さく、この差は20μm以上100μm以下であることが好ましい。ここで、小径部40の外径D1と大径部44の外径D2との差が20μm未満だと、小径部40のスリーブ12への挿入しやすさが損なわれることがあり、挿入作業に時間と手間がかかってしまう。うまく挿入できないと、場合により、圧入の際にフランジ16Bが曲がって挿入されてしまい現像ロール10の製品不良が生じる。小径部40の外径D1と大径部44の外径D2との差が100μm以下では、軸ズレの修正を容易におこなうことができる。
【0066】
また、大径部44の外径D2は、スリーブ12の内径DAよりも大きくなっている(例えば、19.02mm)。ここで、フランジ16Bがスリーブ12の端部開口12bに圧入可能であれば、大径部44の外径D2は、スリーブの内径DA以上の所望の大きさを適宜選択できる。なお、大径部44の外径D2は、スリーブ12の端部開口12bの内径DAに比べて、100μm以下の範囲で大きいことが好ましい。なぜならば、大径部44の外径D2が、スリーブ12の端部開口12bの内径DAに比べて小さい場合には、フランジ16Bをスリーブ12に圧入した際、フランジ16Bの外周面44aおよび縮径部42が、スリーブ12の凹部12fに添って十分に変形せず、フランジ16Bとスリーブ12との間で十分な嵌着強度が得られない。一方、大径部44の外径D2が、スリーブ12の端部開口12bの内径DAより100μmを超えて大きい場合には、圧入時に求められる圧力が高くなりスリーブ12やフランジ16Bの破損(若しくは歪み)を招いてしまう。
【0067】
上述したように、大径部44の外径D2は、スリーブの内径DAよりも大きくなっているため、現像ローラ10においては、フランジ16Bの大径部44の外周面44aは、スリーブ12の内周面12cに接着剤を介すことなく直接接している。すなわち、大径部44の外周面44aとスリーブ12の内周面12cとの間に実質的に空隙がない状態であるため、フランジ16Bをスリーブ12に圧入した後においてもフランジ16Bとスリーブ12との軸ズレが抑止される。なお、適宜、接着剤を用いた圧入をおこなってもよく、この場合には接着剤がフランジ16Bとスリーブ12との固着強度を補強する。この場合には、小径部40及び縮径部42において、フランジ16Bを、スリーブ12の内周面12cに接着剤で固定するようにしてもよい。
【0068】
続いて、スリーブ12にフランジ16Bを嵌着する手順について、図11〜14を参照しつつ説明する。
【0069】
まず始めに、スリーブ12の端部開口12bにフランジ16Bを先端側から近づけて、小径部40を端部開口12bに入れる。このとき、小径部40は、その外径D1がスリーブ12の内径DAよりも小さくなっているため、端部開口12bに容易に収めることができる。特に、端部開口12bの開口端部12eに小径部40を当てた状態で、フランジ16Bをスリーブ12側にスライドさせると、フランジ16Bを簡単にスリーブ12に挿し入れることができる。加えて、小径部40の先端側の縁部は、面取りされているので、フランジ16Bをスリーブ12内により挿入しやすくなっている。
【0070】
このとき、小径部40の長さが0.2mm以上であれば、小径部40を端部開口12bの開口端部12eに当てやすく、且つスライドさせやすくなる。なお、この小径部40の長さは、0.3mm〜10mmの範囲であることが好ましく、0.3mm〜5mmの範囲であることがより好ましい。ここで、小径部40の長さが0.2mm未満だと、上述したような挿入しやすさが損なわれることがあり、挿入作業に時間と手間がかかってしまう。うまく挿入できないと、場合により、圧入の際にフランジ16Bが曲がって挿入されてしまい現像ローラ10の製品不良が生じる。一方、小径部40の長さが0.2mm以上だと、スリーブ12にフランジ16Bを容易に挿入することができる。ただし、小径部40の長さが10mmを超えると、無駄に長くなり、所定長さのマグネットブロック20をスリーブ12内に収める点で、小径部40の長さを長くし過ぎた場合にはスリーブ12の伸長化が必至となり、現像ローラ10の小型化が困難となってしまう。
【0071】
そして、スリーブの端部開口12bに小径部40全体を収めた後、縮径部42及び大径部44が順次にスリーブ12内に収容されるようにフランジ16Bをスリーブ12の延在方向(すなわち、軸線I3方向)に押圧する。この押圧の際、ある時点では、スリーブ12の開口端部12eの内径DAと縮径部42の外径とが一致する。すなわち、縮径部42には、端部開口12bの開口端部12eの内径DAと適合する部分があり、その部分において縮径部42が端部開口12bに高精度で嵌る。このとき、縮径部42は、その外径全周にわたって、スリーブ12の内周面12cと均等な圧力で接し、共に真円形断面を有しているフランジ16B、スリーブ12各々の軸線I2,I3同士が高い精度で一致する軸合わせが実現される。そして、軸線I2,I3が一致するように軸合わせをおこなった後、連続した一連の動作としてさらにフランジ16Bを押圧して、図13に示すように大径部44が端部開口12bに収まるように圧入する。
【0072】
このフランジ16Bの押圧の際には、縮径部42において端部開口12bの開口端部12eに接していたフランジ16Bは、大径部44において端部開口12bの開口端部12eに接する状態に遷移する。ここで、縮径部42の外径は大径部44の外径D2に近づくように傾斜しているため、縮径部42が端部開口12bの開口端部12eに接している状態から、大径部44が端部開口12b内に収まる状態になるまで滑らかに遷移する。すなわち、このフランジ16Bをスリーブ12に圧入したときには、端部開口12b内に大径部44まで円滑に収まる。このような円滑な圧入がおこなわれるため、スリーブ12とフランジ16Bとの軸合わせは阻害されにくくなっており、大径部44が圧入される際も軸合わせされた状態が保持される。その結果、フランジ16Bは実質的に軸ズレすることなくスリーブ12内に圧入される。
【0073】
また、以上で説明したように、フランジ16Bとスリーブ12との軸合わせをおこなうステップと、フランジ16Bの圧入をおこなうステップとを、連続する一つの動作でおこなうことで、これらのステップを別々におこなう場合に比べて、フランジ16Bをスリーブ12へ圧入する作業の工程が簡略化されると共に、作業時間が短縮される。
【0074】
上述したフランジ16Bのスリーブ12への圧入工程では、フランジ16Bの大径部44における外周面44aが、スリーブ12の内周面12cに設けられた凹部12fに添って変形し、凹部12fの内部に入り込む。その結果、フランジ16Bとスリーブ12とが嵌着固定される。すなわち、本実施形態では、フランジ16Bの外周面44aが、スリーブ12側の凹部12fに面する位置において変形し、凹部12fに入り込むため、従来のように、スリーブとフランジに凹凸をそれぞれ形成し、両凹凸の位置合わせを精密に行わずとも、簡単にフランジ16Bをスリーブ12に嵌着固定することができる。また、スリーブ12の内周面12cに、スリーブ12の軸線I3方向に沿って凹部12fが形成されているため、スリーブ12に圧入されたフランジ16Bが、スリーブ12に対して、周方向(軸線I2,I3周り)に回転することを防止できる。
【0075】
従来、現像ローラの製造においては、スリーブ端部のカシメや、接着剤によって、スリーブにフランジを嵌着固定していた。しかし、スリーブ端部のカシメを行うと、スリーブが変形する恐れがあった。また、スリーブ端部のカシメによって、スリーブの中心軸線とフランジの中心軸線とが相対的に傾斜したり、フランジの中心軸線とスリーブの中心軸線とが平行にズレたりする恐れがあった(こうような現象を、以下、軸ズレと記す)。このようなスリーブの変形や軸ズレは、現像の精度を劣化させる。また、接着剤によって、スリーブにフランジを固定すると、接着剤の不均一な塗布によって接着強度が低下する恐れがあった。接着強度の低下は軸ズレの原因となる。また、余剰の接着剤によるスリーブ表面の汚染、接着剤由来の有機溶剤による環境汚染などの問題が発生する恐れもあった。一方、上述した本実施形態においては、フランジ16Bをスリーブ12に圧入し、フランジ16Bの外周面44aを、スリーブ12側の凹部12fに添って変形させることによって、スリーブ端部のカシメや接着剤使用の際に生じるような不具合を起こすことなく、フランジ16Bをスリーブ12に嵌着固定することができる。また、本発明に係る製造方法と、スリーブ端部のカシメ、あるいは接着剤とを併用することによって、スリーブ端部のカシメ、接着剤の使用に伴う上記不具合を抑制することができる。
【0076】
また、従来、現像ローラの製造においては、スリーブ内周面の溝とフランジ外周面の突起とを嵌合させていたが、スリーブ内周面の溝、およびフランジ外周面の突起をそれぞれ形成するためには、スリーブ、フランジそれぞれの成型に用いる金型の形状が複雑になり、金型の製造コストが増加していた。また、スリーブの溝およびフランジの突起は微細であるため、両者を精密に嵌合させるためには、金型の寸法精度、およびスリーブの溝、フランジの突起それぞれの加工精度を向上させなければならなかった。一方、上述した本実施形態においては、フランジ16B側に凸部を形成する必要がなく、スリーブ12にのみ凹部12fを形成するだけでよいため、フランジ16Bおよびスリーブ12の製造に要する工数およびコストを低減することができる。また、本発明においては、フランジ16Bがスリーブ12の凹部12fの形状に添って変形するため、従来のレベルほどの、金型の寸法精度、およびスリーブ、フランジの加工精度が要求されない。
【0077】
以上では、現像ローラ10の一対のフランジ16A,16Bのうち、一方のフランジ(駆動側フランジ)16Bについてのみ説明したが、もう一方のフランジ(従動側フランジ)16Aの先端にも、フランジ16Bと同様の小径部40、縮径部42、大径部44及びキャップ部48が形成されている。そのため、フランジ16Aについても実質的に軸ズレすることのない圧入が可能となっている。なお、現像ローラ10の一対のフランジ16A,16Bのうち、どちらか一方のみが上述した小径部40、縮径部42、大径部44と同様又は同等の小径部、縮径部、大径部を有する場合であってもよく、そのフランジにおいては実質的に軸ズレすることのない圧入が可能となる。
【0078】
それにより、軸ブレ精度が向上した現像ローラ10を得ることができる。またこの現像ローラ10を用いた複写機等の応用製品では画質ムラの発生が抑制されることが期待できる。また、上述した現像ローラ10の製造方法によれば、フランジ16A,16Bのスリーブ12に対する軸ズレが抑制された現像ローラ10を歩留まり良く製造することが可能となる。
【0079】
また、もう一方のフランジ(従動側フランジ)16Aをスリーブ12へ圧入する工程においても、フランジ16Aの大径部44における外周面44aが、スリーブ12の内周面12cに形成された凹部12fに添って変形し、凹部12fに入り込む。その結果、フランジ16Aとスリーブ12とが嵌着固定される。
【0080】
(第4実施形態)次に、本発明の第4実施形態に係る現像ローラについて説明する。なお、以下では、第3実施形態と第4実施形態の相違点についてのみ、説明し、両者に共通する事項については、説明を省略する。
【0081】
第4実施形態では、図15に示すように、スリーブ12の内周面12cに形成された凹部12fの深さが、スリーブ12の端部開口12bからスリーブの内部側に向かって(X方向に向かって)、除々に浅くなっている。すなわち、スリーブ12の内周面12cの形状がテーパ状になっている。その結果、フランジ16Bをスリーブ12に圧入し易くなっている。そして、第3実施形態の場合と同様のフランジ16Bを、図15に示すスリーブ12へ圧入すると、フランジ16Bの大径部44における外周面44aが、スリーブ12の内周面12cに設けられた凹部12fに添って変形し、凹部12fの内部に入り込む。よって、従来のようにスリーブとフランジに凹凸をそれぞれ形成し、両凹凸の位置合わせを精密に行わずとも、簡単にフランジ16Bとスリーブ12とを嵌着固定することができる。
【0082】
(第5実施形態)次に、本発明の第5実施形態に係る現像ローラについて説明する。なお、以下では、第1実施形態と第5実施形態の相違点についてのみ、説明し、両者に共通する事項については、説明を省略する。
【0083】
第5実施形態では、図16に示すように、大径部44が嵌合する位置のスリーブ12の内周面12iに凹部12fが形成されていると共に、小径部40が嵌合する位置のスリーブ12の内周面12cに(すなわち凹部12fよりも内側(X方向側)に)、更に別の凹部12gが形成されている。そして、第1実施形態と同様のフランジ16Bを、図16のスリーブ12に圧入すると、フランジ16Bの大径部44における外周面44aが、スリーブ12の凹部12fに添って変形し、凹部12fの内部に入り込むと共に、フランジ16Bの小径部40における外周面40aが、スリーブ12の凹部12gに添って変形し、凹部12gの内部に入り込む。このように、フランジ16Bの大径部44と小径部40とが、両方ともスリーブ12側の各凹部に入り込むため、従来のようにスリーブとフランジに凹凸をそれぞれ形成し、両凹凸の位置合わせを精密に行わずとも、簡単にフランジ16Bとスリーブ12とを嵌着固定することができる。
【0084】
(第6実施形態)次に、本発明の第6実施形態に係る現像ローラについて説明する。なお、以下では、第1実施形態と第6実施形態の相違点についてのみ、説明し、両者に共通する事項については、説明を省略する。
【0085】
第6実施形態では、図17、図18に示すように、スリーブ12の軸線I3方向に沿って凹部12gが形成されていると共に、別の凹部12fが、スリーブ12の周方向に沿って形成されている。その結果、従来のように、スリーブとフランジとの位置合わせを精密に行わずとも、簡単にフランジ16Bとスリーブ12とを嵌着固定することができると共に、凹部12gによって、フランジ16Bがスリーブ12の周方向に位置ズレを起こすことを防止でき、また、凹部12fによって、フランジ16Bがスリーブ12の軸線I3方向にズレたり、スリーブ12から抜けることを防止できる。
【0086】
(第7実施形態)次に、本発明の第7実施形態に係る現像ローラについて説明する。なお、以下では、第1実施形態と第7実施形態の相違点についてのみ、説明し、両者に共通する事項については、説明を省略する。
【0087】
第7実施形態では、図19に示すように、フランジ12Bの小径部40が嵌合する位置のスリーブ12の内周面12cに複数(例えば8つ)の凸部12hが形成されている。そして、第1実施形態と同様のフランジ16Bを、図19のスリーブ12へ圧入すると、フランジ16Bの小径部40における外周面40aが、スリーブ12の内周面12cに形成された凸部12hに添って変形する(窪む)。その結果、従来のように、スリーブとフランジに凹凸をそれぞれ形成し、両凹凸の位置合わせを精密に行わずとも、簡単にフランジ16Bとスリーブ12とを嵌着固定することができる。
【0088】
(第8実施形態)次に、本発明の第8実施形態に係る現像ローラについて説明する。なお、以下では、第1実施形態と第8実施形態の相違点についてのみ、説明し、両者に共通する事項については、説明を省略する。
【0089】
第8実施形態では、図20に示すように、フランジ12Bの小径部40が嵌合する位置のスリーブ12の内周面12cに複数(例えば8つ)の凸部12hが形成されている。そして、第1実施形態と同様の形状を有し、スリーブ12より硬度が高いフランジ16Bを、図20のスリーブ12へ圧入すると、フランジ16Bの小径部40における外周面40aが、スリーブ側の凸部12hを押圧し、変形させて、スリーブ12とフランジ16Bとが嵌着固定される。このように、本発明においては、従来のようにスリーブ12とフランジ16Bとの位置合わせ(溝と突起との位置合わせ)を精密に行わずとも、簡単にフランジ12をスリーブ16Bに嵌着固定することができる。
【0090】
本実施形態では、スリーブ12の材料として、アルミ合金(例えばA6063)、フランジ16Bの材料として、ステンレス合金(例えばSUS303)を用いており、フランジ16Bの硬度はスリーブ12の硬度より高くなっている。そのため、フランジ16Bをスリーブ12の端部開口12bに圧入する際に、フランジ16Bの外周面40aがスリーブ12の凸部12hを変形させ易い。そして、圧入されたフランジ16Bの外周面40aが凸部12hを押圧し変形させることで、スリーブ12とフランジ16Bとが確実に嵌着する。フランジ16Bの硬度がスリーブ12の硬度より高い場合、スリーブ12、フランジ16B其々の具体的な構成材料としては、例えば、表2に示すものが挙げられる。
【0091】
【表2】
【0092】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、スリーブ12の凹部12f、12gの数、あるいはスリーブ12の凸部12hの数は、特に限定されず、適宜増減させてよい。また、スリーブ12の周方向に沿って形成された凹部12fが、スリーブ12の軸線I3方向(X方向)に複数形成されていてもよい。また、スリーブ12の内周面12c、12iにおいて、スリーブ12の軸線I3方向に沿った凹部と、スリーブ12の内周方向に沿った凹部とが、両方形成されていてもよい。この場合、フランジ16Bの周方向のズレのみならず、フランジ16Bの軸線I2方向におけるズレ、抜けも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る現像ローラの概略斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した現像ローラのII−II線断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態に係る現像ローラ10を構成するスリーブ12(端部開口12b近傍)と、スリーブ12bに圧入される前のフランジ16Bの概略断面図である。
【図4】図4は、図3に示したスリーブ12のIV−IV断面図である。
【図5】図5は、図2に示した現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の嵌着後の概略断面図である。
【図6】図6は、図5に示したフランジ16Bおよびスリーブ12のVI−VI線断面図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態に係る現像ローラ10を構成するスリーブ12(端部開口12b近傍)と、スリーブ12bに圧入される前のフランジ16Bの概略断面図である。
【図8】図8は、図7に示したスリーブ12のVIII−VIII断面図である。
【図9】図9は、本発明の第2実施形態に係る現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の嵌着後の概略断面図である。
【図10】図10は、図9に示したフランジ16Bおよびスリーブ12のX−X線断面図である。
【図11】図11は、本発明の第3実施形態に係る現像ローラ10を構成するスリーブ12(端部開口12b近傍)と、スリーブ12bに圧入される前のフランジ16Bの概略断面図である。
【図12】図12は、図11に示したスリーブ12の端部開口12b近傍における軸線I3方向に垂直な断面図である。
【図13】図13は、本発明の第3実施形態に係る現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の嵌着後の概略断面図である。
【図14】図14は、図13に示したフランジ16Bおよびスリーブ12のXIV−XIV線断面図である。
【図15】図15は、本発明の第4実施形態に係る現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の嵌着後の断面図である。
【図16】図16は、本発明の第5実施形態に係る現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の嵌着後の断面図である。
【図17】図17は、本発明の第6実施形態に係る現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の嵌着後の断面図である。
【図18】図18は、図17に示したフランジ16Bおよびスリーブ12のXVIII−XVIII線断面図である。
【図19】図19は、本発明の第7実施形態に係る現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の軸線I2,I3方向に垂直な断面図である。
【図20】図20は、本発明の第8実施形態に係る現像ローラ10が有するフランジ16Bおよびスリーブ12(端部開口12b近傍)の軸線I2,I3方向に垂直な断面図である。
【符号の説明】
【0094】
10…現像ローラ、12…スリーブ、12c、12i…スリーブの内周面、12f、12g…凹部、12h…凸部、14…マグネットロール、16A,16B…フランジ、18…シャフト、20…マグネットブロック、40…小径部、40a…小径部の外周面、42…縮径部、44…大径部、44a…大径部の外周面、DA,DB,DC,DD,DE,D1,D2…径。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブと、フランジと、を有する現像ローラの製造方法であって、
断面が円形で、且つ、平坦な外周面を有するフランジを、
円筒形状であり、且つ、少なくとも端部の内周面に凹凸部が設けられたスリーブに、
前記フランジの前記外周面が前記スリーブの前記内周面の前記凹凸部に添って変形するように圧入するステップを有する、現像ローラの製造方法。
【請求項2】
スリーブと、フランジと、を有する現像ローラの製造方法であって、
断面が円形で、且つ、平坦な外周面を有するフランジを、
円筒形状であり、且つ、少なくとも端部の内周面に凹凸部が設けられたスリーブに、
前記フランジの前記外周面が前記スリーブの前記内周面の前記凹凸部を変形させるように圧入するステップを有する、現像ローラの製造方法。
【請求項3】
前記凹凸部が、前記スリーブの軸線方向に沿って形成されている、請求項1または2に記載の現像ローラの製造方法。
【請求項4】
前記凹凸部が、前記スリーブの周方向に沿って形成されている、請求項3に記載の現像ローラの製造方法。
【請求項1】
スリーブと、フランジと、を有する現像ローラの製造方法であって、
断面が円形で、且つ、平坦な外周面を有するフランジを、
円筒形状であり、且つ、少なくとも端部の内周面に凹凸部が設けられたスリーブに、
前記フランジの前記外周面が前記スリーブの前記内周面の前記凹凸部に添って変形するように圧入するステップを有する、現像ローラの製造方法。
【請求項2】
スリーブと、フランジと、を有する現像ローラの製造方法であって、
断面が円形で、且つ、平坦な外周面を有するフランジを、
円筒形状であり、且つ、少なくとも端部の内周面に凹凸部が設けられたスリーブに、
前記フランジの前記外周面が前記スリーブの前記内周面の前記凹凸部を変形させるように圧入するステップを有する、現像ローラの製造方法。
【請求項3】
前記凹凸部が、前記スリーブの軸線方向に沿って形成されている、請求項1または2に記載の現像ローラの製造方法。
【請求項4】
前記凹凸部が、前記スリーブの周方向に沿って形成されている、請求項3に記載の現像ローラの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−233564(P2008−233564A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73465(P2007−73465)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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