説明

現像剤量規制ブレード及び現像装置

【課題】現像剤担持体に適正な圧力で当接し、トナーに適正な摩擦帯電することが可能で、現像剤担持体との間に適正なトナー取り込み口が確保できる現像剤量規制ブレードを提供する。
【解決手段】現像剤容器から、現像剤担持体に担持されて、搬出される現像剤の量を規制する、少なくとも支持部材及び弾性部材からなる現像剤量規制ブレードにおいて、該弾性部材は支持部材の現像剤担持体に対して当接部側の先端部にあり、その現像剤担持体に当接する面の曲率半径(r)が0.15mm乃至1.50mmであり、弾性部材の25%モジュラス(JIS K6254による)が0.9MPa乃至5.0MPaであり、かつ、支持部材の厚さが0.05mm乃至0.20mmであるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成された静電潜像を現像して可視化するのに使用される現像剤の量を規制するブレード(現像剤量規制ブレード)、及びこれを搭載した現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、電子写真方式の画像形成装置が普及し、広く使用されている。該画像形成装置では、像担持体(電子写真感光体)に静電潜像を形成し、それに現像剤(トナー)にて顕像化し、紙等の転写材にトナー像を転写し、最後に転写材上にトナー像を熱等で定着する。ここで、像担持体上の静電潜像に現像剤を搬送し、顕像化するのに用いる装置を、現像装置といわれている。
【0003】
そのような現像装置としては、図2に概略図を示したようなものがある。現像剤容器22内に収納された現像剤(トナー)26が、c方向に回転する弾性ローラ(トナー供給ローラ)25により現像剤担持体23(現像スリーブ又は現像ローラとも言う)に圧着される。その後、現像剤担持体23をb方向に回転することにより、現像剤はa方向に回転する電子写真感光体21まで搬送される。この様な機構において、現像剤担持体23には現像剤量規制ブレード24の弾性部材(ブレード部材)27が当接しており、それによって、搬出される現像剤の量が規制され、現像剤の薄膜が該現像剤担持体表面に形成される。また、それと同時に、当接部において現像剤に所定の摩擦電荷(トリボとも言う)が付与される。所定の摩擦帯電した現像剤は、現像剤担持体の回転に伴い電子写真感光体と対峙する位置に搬送され、そこで静電潜像に飛翔あるいは静電潜像と接触して、トナー像を形成するのに消費される。すなわち、現像装置は、少なくとも現像剤容器22、現像剤担持体23、弾性ローラ24、現像剤規制ブレード24及び現像剤26からなる。なお、現像剤26はその消費にあわせて外部より順次供給されることもある。そして、画像形成装置において、現像装置は、電子写真感光体と現像剤担持体が、接触して又は微小間隙を持って、対峙するように設置されている。
【0004】
このような現像剤量規制ブレードは、通常、少なくとも現像剤担持体に圧接される弾性部材とこの弾性部材を所定の位置に支持する支持部材とからなっている。なお、現像剤量規制ブレードは、現像剤担持体表面に、現像剤を薄膜として担持させることが可能であれば、ゴム板、金属性薄板、樹脂板、又はこれらの積層体から形成されていることがある。しかし、かかる現像剤量規制ブレードとしてゴム状弾性体の板状の部材を金属製の支持部材の所定位置に接着剤によって接着したものが、現像剤担持体に全長にわたり均一な力で圧接させることが容易であり、耐久性を有することから多用されている。
【0005】
現像剤量規制ブレードの現像剤担持体に圧接される側の面は、現像剤の摩擦電荷を制御する機能を有していることから、電荷制御面とも呼ばれる。また、電荷制御面の表層を電荷制御層と呼ぶこともある。
【0006】
なお、ここで用いられる弾性部材は、トナーの帯電性に応じて材料が異なり、例えば、ネガ系トナーに対しては、例えば、ウレタンゴム、ウレタン樹脂、ポリアミドエラストマー等材が用いられている。また、ポジ系トナーに対しては、金属製薄板に電荷制御したシリコンゴム等の帯電付与層を積層したものが用いられている。
【0007】
カラー画像用のトナーは、通常非磁性トナーであり、磁性を持たない。そのため、トナーに高い摩擦電荷を与えて、現像剤担持体上で薄膜を形成しなければならない。この場合、電荷制御層は、ウレタンゴム、ポリアミド樹脂、ポリアミドエラストマー、シリコンゴム、シリコン樹脂等で形成され、その面は面精度良く仕上げられていて、支持部材と同一形状の樹脂(弾性)部材が積層された板状である(例えば、特許文献1)。
【0008】
近年、高画質化及びフルカラー化された画像形成装置では、微細なトナーが使用され、そのために、現像装置には、現像剤担持体へのトナー担持量・担持されたトナーの摩擦帯電量をより均一にすることが要求されている。特に、電荷制御面の性状、特に表面粗さがこれらの均一性に微妙に影響し、画像ムラ又はスジ等の画像不良が発生する場合がある。また、高画質化及びフルカラー化に対応して使用されるトナーは、非磁性、微細であり、そのため、トナーが適正な電荷を有さないと、画像にはカブリや濃度薄という問題が発生しやすい。したがって、トナーに高い摩擦電荷を与え、均一で十分な帯電をさせることが必要であり、そのためには、現像剤担持体に強く当接されていることが要求される。
【0009】
しかし、弾性部材が金属製である、あるいはゴム板、樹脂板又はこれらの積層体から形成されている従来の平板状ブレードの場合、現像剤担持体に高い圧力で当接させると、局所的な押圧力が大きくなり、現像剤担持体に凹み等を発生させることがある。さらに、充分なトナーの取り込みができず、現像剤担持体上に均一なトナー層が形成されず、画像不良となる問題が発生している。また、当接する圧力が不足すると、トナーへの摩擦による帯電も不足し、濃度が薄くなるとういう問題も発生している。
【0010】
また、トナーの取り込みを多くし、現像剤担持体上に均一なトナー層を形成するため、支持板金の先端を折り曲げたブレードが用いられている(例えば、特許文献2)。しかし、板金折曲げでは最初にあまりにも多くのトナーが取り込まれるので、規制の効果において、トナーの規制量が多くなったり、ブレードの接触圧が大きく設定された場合には、トナーの通過量が、極端に抑えられることが起きたりする。すなわち、現像剤量規制ブレードとしての機能にムラが生じることがある。
【特許文献1】特開2002−372858号公報
【特許文献2】特開平10−326041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような状況に鑑み達成されたものであり、現像剤担持体に適正な圧力で当接し、トナーに適正な摩擦帯電することが可能で、現像剤担持体との間に適正なトナー取り込み口が確保できる現像剤量規制ブレードを提供することを課題とする。
【0012】
さらに、該現像剤量規制ブレードを有する、現像剤によるスジ及びカブリ、ムラ等の画像不良が抑制された現像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は下記構成により達成される。
【0014】
すなわち、本発明は、現像剤容器から、現像剤担持体に担持されて、搬出される現像剤の量を規制する、少なくとも支持部材及び弾性部材からなる現像剤量規制ブレードであって、該弾性部材は支持部材の現像剤担持体に対して当接部側の先端部にあり、その現像剤担持体に当接する面の曲率半径(r)が0.15mm乃至1.50mmであり、弾性部材の25%モジュラス(JIS K6254による)、が0.9MPa乃至5.0MPaであり、かつ、支持部材の厚さが0.05mm乃至0.20mmであることを特徴とする現像剤量規制ブレードである。
【0015】
また、本発明は、現像剤容器から、現像剤担持体に担持されて、搬出される現像剤の量を規制する、現像剤量規制ブレードを搭載した現像装置であって、該現像剤量規制ブレードが、上記現像剤量規制ブレードであることを特徴とする現像装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の現像剤量規制ブレードは、現像剤担持体にトナーを十分に圧接して均一な厚みでトナー層を形成することができ、また、トナーに適正で均一な摩擦帯電することができる。また、現像剤担持体との間に適正なトナー取り込み口の確保において、従来の平板状のものや板金折曲げによるものでは上記したような問題があるが、本発明の現像剤量規制ブレードは、その形状が最も望ましいものになっており、従来の不具合が解消されている。さらに、この現像剤量規制ブレードを採用した現像装置では、現像剤によるスジ・濃度不足等の画像不良が抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を、詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の現像剤量規制ブレードの使用状態の概略を示した模式図である。
【0019】
図1において、現像剤量規制ブレード14は、支持部材11と弾性部材12とからなり、本図においては、接着剤13により互いに固着されている。現像剤量規制ブレード14は現像剤容器(不図示)に固定され、現像剤容器の開口端と接する固定点を支点として現像剤担持体15の表面を圧接力Fで圧接するようになっている。なお、本発明では、この圧接点における弾性部材の曲率半径(r)が、0.15mm乃至1.50mmである。このような構成を有することにより、現像剤量規制ブレード14は現像剤担持体15との間に適量のトナー粒子を導入する取り込み口を形成することが、さらに、トナー粒子に摩擦帯電により均一な電荷を付与することができる。これにより、現像剤担持体15上に均一かつ充分な帯電量を有する現像剤層17を均一な厚みで形成できる。
【0020】
従って、本発明は、現像剤容器から、現像剤担持体に担持されて、搬出される現像剤の量を規制する、少なくとも支持部材及び弾性部材からなる現像剤量規制ブレードであって、以下を特徴とする。
・弾性部材は、支持部材の現像剤担持体に対して当接部側の先端部にあり、その現像剤担持体に当接する面の曲率半径(r)が0.15mm乃至1.50mmである。
・弾性部材の25%モジュラス(JIS K6254による)が0.9MPa乃至5.0MPaである。
・さらに、支持部材は厚さが0.05mm乃至0.20mmである。
【0021】
なお、弾性部材14は、現像剤担持体に当接する面が、rが0.15mm乃至1.50mmにあれば特に限定されないが、円柱あるいは当接側に飛び出た形の半円柱であると、現像剤担持体との接触が良好で、トナー取り組み口の形成が容易となるので好ましい。
【0022】
弾性部材の該rが0.15mm未満であると現像剤担持体との間で適正なトナー取り込み口を確保することができない。また、rが1.50mmより大きいと現像剤担持体との当接面が大きくなり過ぎて、以下に規定する25%モジュラスや厚みが適正であっても、適正な圧接を確保することが困難となり、スジ等の画像不良が生じる。
【0023】
また、弾性部材は、25%モジュラスが0.9MPa乃至5.0MPaのものである。なお、25%モジュラスはJIS K6254−2003に規定されている方法で測定したものである。この25%モジュラスが0.9MPa未満であると、現像剤担持体に当接する際に圧力不足となり、現像剤担持体上に均一なトナー層を形成できず画像不良となる。また、25%モジュラスが5.0MPa超では、現像剤担持体との当接圧力が大きくなりすぎ、当接箇所に凹みを生じ、それがスジ等の画像不良の原因となる。
【0024】
一方、支持部材の厚みは、0.05mm乃至0.20mmとする。厚みが0.05mm未満であると、現像剤担持体に当接する際に圧力不足となり、現像剤担持体上に均一なトナー層を形成できず画像不良となる。また、厚みが0.20mmより大きいと、現像剤担持体との当接圧力が大きくなり、現像剤担持体の弾性層を当接部に凹みを生じさせ、それがスジ等の画像不良の原因となる。
【0025】
ここで、弾性部材12の主材は、トナー種、粒子径などに応じて、従来公知の弾性材料から選択することができる。具体的には、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリエステルテレフタレート、ポリウレタン、シリコンゴム、シリコン樹脂、メラミン樹脂から、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いる。これら弾性材料には、必要に応じて粗し粒子等の各種添加剤を含有させることもできる。
【0026】
また、弾性部材12は、現像剤担持体との少なくとも当接面において,表面粗さが十点粗さ平均(Rzjis)として0.1μm乃至3.0μmであることが好ましい。当接面での粗さRzjisが0.1μm以上であれば、現像剤量規制ブレードの表面の微細なキズや凹凸が画像上に影響を及ぼすのを抑制することができ、3.0μm以下であれば現像剤担持体上にスジやムラが抑制された均一な現像剤層を形成することができる。ここでの表面粗さRzjisはJIS B0601−2001で定義される接触式の表面粗さ計により測定した測定値を採用することができる。
【0027】
ここで、上記したように、現像剤量規制ブレードに用いられる支持部材11としては、厚みが0.05mm以上0.20mm以下であり、現像剤担持体15に弾性部材12が当接するのを支持することができればよい。
【0028】
なお、支持部材11の材質としては、金属・樹脂などいずれであってもよく、具体的にはSUS、リン青銅、アルミなどの金属やポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリエチレン、ポリエステルなどの樹脂を挙げることができる。なお、樹脂の場合は、導電性とするため、導電剤を含有させるか、表面に金属メッキ等をして、導電性としておくこともできる。
【0029】
支持部材11の形状は、現像剤担持体15と当接する弾性部材12を支持し、現像剤担自体に適切に圧接するため平板状であることが好ましい。
【0030】
弾性部材12は支持部材11に接着剤層13にて形成されていることが望ましい。接着剤層13は支持部材11と弾性部材12との接合を強固にし、現像剤量規制ブレードの耐久性の向上を図ることができる。接着剤層の材質としては、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、エチレンビニルアルコール系、ポリアミド系等のホットメルトが好ましい。なお、弾性部材が支持部材に接着剤がなくても十分な接着性を有す場合にあっては、接着剤層を設ける必要はない。
【0031】
本発明では、弾性部材が、支持部材の長手方向に延在し、かつ、現像剤担持体と当接する部分において、その曲率半径(r)が0.15mm乃至1.50mmであり、円形状、少なくとも半円形状を有していることが好ましい。弾性部材がかかる形状有していれば、現像剤担持体15との間に一定のトナー取り込み口が確保され、現像剤担持体上のトナー量を適正かつ均一にすることができる。
【0032】
また、弾性部材12の25%モジュラスが0.9MPa以上5.0MPa以下であると、現像剤担持体にトナーが充分に圧接され、均一なトナー層を形成し、トナーに摩擦帯電による適正な電荷を与えることができる。支持部材の厚みが0.05mm以上0.20mm以下であると、現像剤担持体にトナーを充分に圧接し、均一なトナー層が形成でき、摩擦帯電によるトナーに適正な電荷を与えることができるので、これらによって、スジ・濃度不足等の画像不良が抑制できる。
【0033】
弾性部材の形成は、支持部材に直接形成する方法と、予め弾性部材を形成し、それを接着剤塗布済みの支持部材に貼付する方法がある。支持部材に直接弾性部材を形成する方法としては、支持部材上に原料を押出し成形する方法、原料を塗料とし、浸漬、コーティング、噴霧等により支持部材に塗布する方法等がある。なお、支持部材に予め接着剤を塗布してこともできる。また、予め弾性部材を形成する方法としては、原料から作成したシートを弾性部材として切り出す方法、弾性部材を金型等で成形する方法等がある。
【0034】
なお、支持部材に直接弾性部材を形成する方法として、支持部材を押し出し機に取り付けたノズルの開口に沿って移動させ、それに対して、ノズルより弾性部材原料を指示部材の所定の箇所に形成することもできる。なお、支持部材を長尺のコイルとし、連続して弾性部材を形成したものを作成し、その後、ブレードとして必要な長さに切断することも好ましい。ここで用いるノズルとしては図2の模式断面図に示すようなものが例示できる。すなわち、支持部材11を保持し、走行を一定に保つためのガイド部41、弾性部材原料を供給する流路42、及び弾性部材形成部43からなり、流路42は押出し機(不図示)につながっている。支持部材11は、ガイド部41の把持溝41aを例えば図前面に走行している間に、流路42を経て定量で押し出された弾性部材原料が、弾性部材形成部43で弾性部材と一体化される。なお、本例では支持部材11には接着剤層13が設けられたものを示してある。通常は、本例のような製造方法では弾性部材は支持部材に対して十分な接着力が発揮されるので、弾性部材が接着を確実に行わなければいけない材料で形成される場合を除き、必ずしも接着剤層を設ける必要はない。
【0035】
なお、ノズル40内で弾性部材は固化させることが必要な場合はノズル幅を大きくし、原料に応じて、冷却固化あるいは加熱硬化させる。また、弾性部材の固化がノズル内である必要が無い場合は、ノズル内では支持部材に弾性部材の原料を添着するだけで、ノズルより出た後に、原料に応じて固化の処理をする。
【0036】
本発明の現像剤量規制ブレードは、電子写真方式の画像形成装置の現像装置に搭載する現像剤量規制ブレードとして有用である。
【0037】
次に、本発明の現像剤量規制ブレードを、現像剤量規制ブレードとして搭載した現像装置について説明する。
【0038】
図3は、本発明の現像剤量規制ブレードを用いた現像装置の模式図である。
【0039】
図3において22は、例えば一成分の現像剤26を収容した現像剤容器である。現像剤容器22には現像剤担持体23として、図中矢印a方向に回転する像担持体の電子写真感光体21と対向設置した現像スリーブを備えている。そして、現像剤担持体23に担持された現像剤(トナー)により電子写真感光体21上の静電潜像を現像し、トナー像として可視化する。なお、現像剤担持体23は、図において右略半周面が現像剤容器22内にあり、左略半周面が現像剤容器22の外へ露出していて、電子写真感光体1に対向するように、回転自在に設置されている。通常、現像剤担持体23と電子写真感光体21との間には微小間隔が設けられている。現像剤担持体23は、電子写真感光体21の回転方向aに対し、矢印b方向に回転駆動される。
【0040】
現像剤容器22内には、現像剤担持体(現像スリーブ)23の上方位置に現像剤量規制ブレード24が設けられている。現像剤量規制ブレード24は、現像スリーブ23の回転方向上流側に向けて下がる向きに傾斜して設けられ、現像スリーブ23の上部外周面に回転方向に対向して当接される。このとき、当接される圧力は、ブレードの支持部材及び弾性部材の材質によって異なり、実験等によって最適にされる。
【0041】
また、該現像剤量規制ブレード24の弾性部材(ブレード部材)27の当接位置よりも現像スリーブ23の回転方向上流側に現像剤スリーブ23にトナーを供給するために弾性ローラ25が設けられている。この弾性ローラ25は、現像スリーブ23上に現像に使用されず戻ってきたトナーを掻き落とし、現像剤容器中に回収する役割もするため、現像スリーブ23の電子写真感光体21のほぼ反対側に当接しており、かつ回転可能に支持されている。
【0042】
弾性ローラ25が矢印c方向に回転し、担持したトナー26を現像スリーブ23に供給すると共に、現像スリーブ23と弾性ローラ25とが当接しているニップ部において挟まれたトナー26が摺擦され、弱く帯電されると共に現像スリーブ23上に付着する。
【0043】
その後、現像スリーブ23の回転に伴い、現像スリーブ23上に付着したトナー26は、現像剤量規制ブレード24と現像スリーブ23との当接部でこれらの間に進入し、ここを通過する。その際に、現像スリーブ23の表面と弾性部材27の両者により摺擦されて、さらに摩擦帯電を受ける。この摩擦帯電量は、現像剤量規制ブレード24と現像材スリーブ23の間に電圧をかけることにより制御される。
【0044】
帯電されたトナーは、弾性部材27及び現像スリーブ23の当接部を抜け出すに際し、トナーの量も適正に整えられ、現像スリーブ23上へ薄層とされ、電子写真感光体21と現像スリーブ23が対向した現像部へと搬送される。そして現像部において現像スリーブ23と電子写真感光体21との間に、例えば直流に交流を重畳した交互電圧が印加され、されにより担持されたトナーが電子写真感光体21に形成された静電潜像に転移し、静電潜像を現像してトナー像として可視化する。
【0045】
現像部において現像に消費されずに現像スリーブ23上に残存したトナー26は、現像スリーブ23の回転と共に現像スリーブ23の下部より現像剤容器22内に回収される。回収されたトナー26は、弾性ローラ25によって現像スリーブ23との当接部で現像スリーブ23から剥ぎ取られる。同時に弾性ローラ25の回転により現像スリーブ23上に新たなトナー26が供給され、新たなトナー26は、再び現像スリーブ23と弾性部材27との当接部へ搬送される。
【0046】
一方、剥ぎ取られたトナー26の大部分は、弾性ローラ25の回転に伴い現像剤容器22内のトナー26中に搬送されて混ざり合い、剥ぎ取られたトナー26の帯電電荷が分散される。
【0047】
図4は、本発明の現像装置を採用するのに適した電子写真方式の画像形成装置の一例の模式図を示した。
【0048】
図4において、31は像担持体としての感光体であり、例えば、アルミニウムなどの導電性支持体と、その外周面に形成した感光層を基本構成層とするドラム型の電子写真感光体である。支軸を中心に矢印方向に所定の周速度をもって回転駆動される。
【0049】
帯電部材32は、この感光体31面に接して感光体面を所定の極性、電位に一様に一次帯電処理するものであり、本例では、コロナ放電器を示してある。なお、帯電部材32としては帯電ローラであってもよい。
【0050】
帯電部材32で均一に帯電処理を受けた感光体31は、次いで、露光手段Lにより目的画像情報の露光を受けることで、その周面に目的の画像情報に対応した静電潜像33が形成される。なお、露光手段Lとしては、レーザービーム走査露光,原稿画像のスリット露光など適宜選択される。
【0051】
その静電潜像33は、感光体31の回転に伴い、感光体31と現像装置34との間の現像部にて、現像装置34によりトナー画像とされる。
【0052】
このトナー画像は、感光体31の回転により、転写手段35との間に形成されている転写部へ搬送され、感光体31と同期どりされて不図示の給紙手段部から供給された転写材Pの面に、順次に転写されていく。なお、本例の転写手段35はコロナ放電器を示してあるが、転写ローであっても構わない。感光体31上のトナー画像は、転写材Pへの裏からトナーと逆極性の帯電を行うことで、転写材Pの表面側に転写される。
【0053】
この例では、モノクロ画像について示したが、カラー画像を出力するカラーLBPなどにおいては、4色のカラー画像をそれぞれ形成し、それぞれのカラー画像をローラやベルト等の中間転写体に重ねて転写して積層トナー画像とする。この積層トナー画像を一括して転写材Pの表面側に転写する。
【0054】
トナー画像の転写を受けた転写材Pは、感光体31面から分離されて加熱定着ロール対38へ搬送されて、像定着を受け、画像形成物として出力される。
【0055】
トナー画像を転写した後、感光体31面は、クリーニング手段36で転写残りトナーなどの付着汚染物の除去を受けて洗浄面化されて繰り返して作像に供される。
【0056】
なお、感光体、帯電部材、現像装置及びクリーニング手段等の複数の要素をプロセスカートリッジに一体的に組み込むこともできる。そうすることで、これら要素をプロセスカートリッジとして、装置本体に着脱可能とすることができる。例えば、感光体及び現像装置と必要に応じて帯電部材、クリーニング手段等をプロセスカートリッジに一体的に組み込み、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在に構成できる。
【0057】
本発明の現像装置を使用しうる電子写真装置としては、複写機、レーザービームプリンタ、LEDプリンタ、あるいは、電子写真製版システムなどの電子写真応用装置などが挙げられる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
【0059】
弾性部材用原料について表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
25%モジュラスの測定は以下によった。
【0062】
JIS K6254の低伸張引張試験に準拠して、引っ張り強さ試験機「ストログラフ」(商品名:株式会社東洋精機製作所製)を使用して測定した。なお、幅5mm、長さ100mm、厚さ2.0±0.2mmの短冊状試験片を射出成型により作製し、この試験片に標線間距離を40mmに設定し、引張速度50±5mm/分で、25%伸張して、つまり、40mmから50mmに伸張して、測定した。
【0063】
(実施例1)
支持部材として、厚さ0.05mmのSUSシートを用意し、これに予め接着剤を塗布して、図2に示すようなノズル40のガイド部41の把持溝41aに装着した。これを押出し成形機(株式会社プラ技研製)に取り付け、200〜270℃で熔融した弾性部材用原料PEAを、支持部材を走行させつつ成型キャビリティ43(半径1mm)に順次注入した。PEAを固化し、支持部材と弾性部材とを一体化し、当接面から先端面に亘って被膜をなし、先端に円柱状を有する図1のような現像剤量規制ブレード用シートを得た。得られた現像剤量規制ブレード用シートを長さ200mm、幅23mmのブレード寸法にプレス切断し現像剤量規制ブレードを得た。得られたブレードの先端は曲率半径rが1.00mmの円柱状であった。また、表面粗さRzjisは2.0μmであった。
【0064】
得られた現像剤量規制ブレードを、レーザービームプリンタ「LBP3300」(商品名:キヤノン株式会社製)のトナーカートリッジに装着し、全面ベタのハーフトーン画像を10枚出力し、得られた画像を目視によって現像スジ及び濃度を調べた。その結果を下記基準で評価し、表2に示した。
[現像スジ]
○:全く見られない。
△:殆ど見られないが、僅かに現像スジと見られる濃淡があるものがある。
×:明らかに、現像スジと確認される濃淡がある。
[濃度]
○:充分な濃度がある。
△:やや濃度が不足する。
×:明らかに濃度が不足している。
【0065】
(実施例2)
支持部材として厚さ0.10mmのSUSシートを用いる他は、実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製した。得られた現像剤量規制ブレードの性能を実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示した。表面粗さRzjisは2.1μmであった。
【0066】
(実施例3)
支持部材として厚さ0.20mmのSUSシートを用いる他は、実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製した。得られた現像剤量規制ブレードの性能を実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示した。表面粗さRzjisは1.8μmであった。
【0067】
(実施例4)
弾性部材用原料として、PEBを用いる他は、実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製した。得られた現像剤量規制ブレードの性能を実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示した。表面粗さRzjisは1.9μmであった。
【0068】
(実施例5)
支持部材として厚さ0.10mmのSUSシートを用いる他は、実施例4と同様にして現像剤量規制ブレードを作製した。得られた現像剤量規制ブレードの性能を実施例4と同様に評価した。その結果を表2に示した。表面粗さRzjisは1.7μmであった。
【0069】
(実施例6)
支持部材として厚さ0.20mmのSUSシートを用いる他は、実施例4と同様にして現像剤量規制ブレードを作製した。得られた現像剤量規制ブレードの性能を実施例4と同様に評価した。その結果を表2に示した。表面粗さRzjisは2.0μmであった。
【0070】
(実施例7、8)
ノズル40として、成型キャビリティ43が半径1.5mmのものを用いる他は、実施例2又は実施例5と同様にして現像剤量規制ブレードを得た。得られたブレードの先端は曲率半径rが1.47mm(1.44mm)の円柱状であった。また、表面粗さRzjisは2.2μm(2.1μm)であった。得られた現像剤量規制ブレードの性能を実施例2(実施例5)と同様に評価した。その結果を表2に示した。
【0071】
(実施例9、10)
成型キャビリティ43を、下方を矩形とし、その頂点の曲率半径を0.16mmとしたノズルを用いる他は、実施例2又は実施例5と同様にして現像剤量規制ブレードを得た。得られたブレードの現像スリーブと当接する面の曲率半径rは0.15mm(0.16mm)である下側矩形であった。得られた現像剤量規制ブレードの性能を実施例2(実施例5)と同様に評価した。その結果を表2に示した。なお、当接面での表面粗さRzjisは0.8μm(0.6μm)であった。
【0072】
(実施例11)
弾性部材用原料として、PEEを用いる他は、実施例1と同様にして現像剤量規制ブレードを作製した。得られた現像剤量規制ブレードの性能を実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示した。表面粗さRzjisは1.9μmであった。
【0073】
(比較例1)
弾性部材用原料として、PECを用いる他は、実施例2と同様にして現像剤量規制ブレードを作製した。得られた現像剤量規制ブレードの性能を実施例2と同様に評価した。その結果を表2に示した。表面粗さRzjisは2.1μmであった。
【0074】
(比較例2)
弾性部材用原料として、PEDを用いる他は、実施例2と同様にして現像剤量規制ブレードを作製した。得られた現像剤量規制ブレードの性能を実施例2と同様に評価した。その結果を表2に示した。表面粗さRzjisは1.6μmであった。
【0075】
(比較例3)
弾性部材用原料としてPEAを用い、射出成形により、幅5mm、厚さ0.9mmのシートを作製した。このシートを厚さ0.10mmのSUSシートに接着、固定して、長手方向の長さ200mm、幅23mmの現像剤量規制ブレードを作製した。得られた現像剤量規制ブレードを弾性部材の先端から2mmの位置で現像スリーブに当接するようにしてカセットに組み込んで、実施例1と同様に性能評価をした。その結果を表2に示した。なお、弾性部材の当接面での曲率半径は10mm以上であり、表面粗さRzjisは1.8μmであった。
【0076】
(比較例4)
弾性部材用原料としてPEBを用い、射出成形により、幅5mm、厚さ0.9mmのシートを作製した。このシートを厚さ0.10mmのSUSシートに接着、固定して、長手方向の長さ200mm、幅23mmの現像剤量規制ブレードを作製した。得られた現像剤量規制ブレードを弾性部材の先端から2mmの位置で現像スリーブに当接するようにしてカセットに組み込んで、実施例1と同様に性能評価をした。その結果を表2に示した。なお、弾性部材の当接面での曲率半径は10mm以上であり、表面粗さRzjisは1.9μmであった。
【0077】
(比較例5、6)
ノズル40として、成型キャビリティ43が半径1.6mmのものを用いる他は、実施例2又は実施例5と同様にして現像剤量規制ブレードを得た。得られたブレードの先端は曲率半径rが1.57mm(1.61mm)の円柱状であった。また、表面粗さRzjisは2.1μm(2.3μm)であった。得られた現像剤量規制ブレードの性能を実施例2(実施例5)と同様に評価した。その結果を表2に示した。
【0078】
(比較例7、8)
成型キャビリティ43を、下方を矩形とし、その頂点の曲率半径を0.14mmとしたノズルを用いる他は、実施例2又は実施例5と同様にして現像剤量規制ブレードを得た。得られたブレードの現像スリーブと当接する面の曲率半径rは0.14mm(0.14mm)である下側矩形であった。得られた現像剤量規制ブレードの性能を実施例2(実施例5)と同様に評価した。その結果を表2に示した。なお、当接面での表面粗さRzjisは0.6μm(0.7μm)であった。
【0079】
(比較例9、10)
支持部材として厚さ0.04mmのSUSシートを用いる他は、実施例1又は4と同様にして現像剤量規制ブレードを作製した。得られた現像剤量規制ブレードの性能を実施例1(実施例4)と同様に評価した。その結果を表2に示した。表面粗さRzjisは0.4μm(0.5μm)であった。
【0080】
(比較例11、12)
支持部材として厚さ0.22mmのSUSシートを用いる他は、実施例1又は4と同様にして現像剤量規制ブレードを作製した。得られた現像剤量規制ブレードの性能を実施例1(実施例4)と同様に評価した。その結果を表2に示した。表面粗さRzjisは2.3μm(2.7μm)であった。
【0081】
【表2】

【0082】
以上に示したように、本発明の現像剤量規制ブレードは、従来のものより、現像スジ・ムラを抑制することができ、現像剤を適正かつ均一に現像剤担持体上に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の現像剤量規制ブレードを説明するための模式的断面図である。
【図2】現像剤量規制ブレードを製造に適したノズルの模式的断面図である。
【図3】現像装置を説明するための模式図である。
【図4】電子写真方式の画像形成装置を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0084】
11:支持部材
12:弾性部材(ブレード部材)
13:接着剤層
14:現像剤量規制ブレード
15:現像剤担持体(現像スリーブ、現像ローラ)
16:現像容器
17:現像剤(トナー)
21:電子写真感光体
22:現像剤容器
23:現像剤担持体(現像スリーブ)
24:現像剤量規制ブレード
25:弾性ローラ
26:現像剤(トナー)
27:弾性部材(ブレード部材)
31:感光体(像担持体)
32:帯電部材
33:静電潜像
34:現像装置
35:転写手段
36:クリーニング手段
38:加熱定着ロール対
40:ノズル
41:ガイド部
41a:把持溝
42:流路
43:弾性部材形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤容器から、現像剤担持体に担持されて、搬出される現像剤の量を規制する、少なくとも支持部材及び弾性部材からなる現像剤量規制ブレードであって、
該弾性部材は、支持部材の現像剤担持体に対して当接部側の先端部にあり、
その現像剤担持体に当接する面の曲率半径(r)が0.15mm乃至1.50mmであり、
弾性部材の25%モジュラス(JIS K6254による)が、0.9MPa乃至5.0MPaであり、
かつ、支持部材の厚さが0.05mm乃至0.20mmである
ことを特徴とする現像剤量規制ブレード。
【請求項2】
現像剤容器から、現像剤担持体に担持されて、搬出される現像剤の量を規制する、現像剤量規制ブレードを搭載した現像装置であって、
該現像剤量規制ブレードが、請求項1に記載の現像剤量規制ブレードであることを特徴とする現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−229705(P2009−229705A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73741(P2008−73741)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】