説明

現像方法

【課題】 、長期の使用においても、トナーの帯電性を損なうことなく、良好な画像の得られる現像方法を提供することである。
【解決手段】 磁性トナーを、撹拌・搬送部材により磁性トナー担持体に搬送し、規制部材により磁性トナー担持体に薄層を形成し、潜像担持体上の潜像に現像する現像方法において、
該撹拌・搬送部材は、
1)現像容器の長手方向に一定の幅を持つシート状の回転体であり、
2)該回転中心軸を、固定磁石を内包する磁性トナー担持体の下端よりも下部に配置され、
3)現像容器内の磁性トナーを、磁性トナー担持体へ供給すると共に、磁性トナー担持体近傍に磁気的に拘束された磁性トナーの撹拌を行い、
該磁性トナーは、少なくとも結着樹脂、磁性体、荷電制御剤を有し、
該磁性トナーの、フロー式粒子像測定装置により得られる円相当径3μm以上の粒子における粒度分布の粗粒粒子率30%以上の粒子は、円形度0.920以上の粒子を個数基準の累積値で60質量%乃至90質量%含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法及びトナージェット記録法の如き記録法において形成される静電荷像をトナーを用いて現像する現像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法は従来より多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し種々の手段により感光体上に電気的潜像(静電潜像)を形成し、次いで該潜像をトナーにより現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着し、複写物を得るものであり、感光体上に転写されずに残ったトナーは種々の方法でクリーニングされ、上記の工程が繰り返されるものである。
【0003】
静電潜像をトナーを用いて可視像化する現像方法としては数々の方法が知られている。
これらの現像法としては、例えば、シンプルな構造の現像機でトラブルがなく、寿命も長く、メンテナンスが容易であることから、一成分現像法が好ましく用いられている。
【0004】
その一成分現像方式中でもトナー担持体と静電潜像担持体をある一定の間隔をおいて配置し、トナー担持体上に潜像担持体と接触しないトナーの薄層を形成して、さらにトナー担持体と潜像担持体間に交互電界を印加して現像をおこなう、ジャンピング現像方式が好ましく用いられる。
【0005】
この現像方式においても、近年は、小型化傾向が強まっており、この現像装置においても、これまで多くの高速系複写機に用いられてきた補給用のホッパー等の大型化をもたらすような部材は用いずに、トナーカートリッジから直接トナーを補給するような形式が近年多く用いられている。また、現像器自体も、本体の小型化に伴い、現像スペースの縮小から、従来の上部からトナーが補給され下部にある現像部へ搬送される構成ばかりでなく、多種多様の構成をとる必要がある。
【0006】
上記の構成において数々の提案がされているが、トナーを撹拌、搬送する方法においても多数の提案がされている。特許文献1においては、トナー撹拌・搬送部材の負荷軽減を目的として、トナーをトナー担持体に撹拌・搬送部材によりすくい上げるように送る方法等が提案されている。
【0007】
また、例えば特許文献2では、特許文献3では、従来、トナー担持体近傍のトナーを掻き取るための撹拌部材を設け、現像器内のトナー循環性を高め、帯電安定性を達成する方法が提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−119528号公報
【特許文献2】特開平11−26511号公報
【特許文献3】特開2000−131930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の従来例の様に現像器構成の改良だけでは、特に比重の大きい磁性トナーにおいては現像器内において、磁性トナーが、自重により締まることと撹拌部材にて押し付けられ磁性トナー担持体近傍にてパッキング状態になり、磁性トナーの循環性を損ねて磁性トナー担持体への磁性トナーの供給を妨害する。これにより現像容器内で、磁性トナーの帯電量分布にばらつきが発生し、画像ムラ及びカブリ等を引き起こし易い。
【0010】
また、長期間、磁性トナー担持体と磁性トナーが加圧された状態で接触しているため、磁性トナー担持体に磁性トナーの構成成分が付着、固着し、この、磁性トナー固着部分での、磁性トナーへの帯電付与が不十分となり、画像欠陥を引き起こし易い。
【0011】
また、上記パッキング状態を防止するためスリーブ近傍に撹拌部材を導入することは、現像部の部品点数を増大させるばかりか、現像容器内のトナー充填スペースを減少させ、小型化傾向に反する。
【0012】
本発明の目的は、上述の如き問題を解決し、現像性及び耐久性に優れ、小型化を達成した現像方法を提供することにある。
【0013】
すなわち本発明の目的は、長期の使用においても、トナーの帯電性を損なうことなく、良好な画像の得られる現像方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目標を達成するため、本出願に係る発明は、
(1)磁性トナーを、撹拌・搬送部材により磁性トナー担持体に搬送し、規制部材により磁性トナー担持体に薄層を形成し、潜像担持体上の潜像に現像する現像方法において、
該撹拌・搬送部材は、
1)現像容器の長手方向に一定の幅を持つシート状の回転体であり、
2)該回転中心軸を、固定磁石を内包する磁性トナー担持体の下端よりも下部に配置され、
3)現像容器内の磁性トナーを、磁性トナー担持体へ供給すると共に、磁性トナー担持体近傍に磁気的に拘束された磁性トナーの撹拌を行い、
該磁性トナーは、少なくとも結着樹脂、磁性体、荷電制御剤を有し、
該磁性トナーの、フロー式粒子像測定装置により得られる円相当径3μm以上の粒子における粒度分布の粗粒粒子率30%以上の粒子は、円形度0.920以上の粒子を個数基準の累積値で60質量%乃至90質量%含有することを特徴とする。
【0015】
さらに、上記の発明を達成するため、本出願に係る第2の発明は、
(2)該磁性トナーの、フロー式粒子像測定装置により得られる円相当径3μm以上の粒子における平均円形度Aと、円相当径3μm以上の粒子における粒度分布の粗大粒子率30%以上の粒子の平均円形度Bが、
0.975<b/a<1.010
を満足し、(1)に記載されていることを特徴とする。
【0016】
さらに、上記の発明を達成するため、本出願に係る第3の発明は、
(3)該現像容器の撹拌・搬送部材の回転中心から、磁性トナー担持体表面までの最短距離をLa(mm)、該撹拌・搬送部材の回転中心より該板状部材末端までの長さをLb(mm)としたとき、
0.1<La−Lb<8.0
を満足し、(1)又は(2)に記載されていることを特徴とする。
【0017】
さらに、上記の発明を達成するため、本出願に係る第4の発明は、
(4)該記撹拌、搬送部材と磁性トナー担持体が互いに逆方向に回転し、搬送部材の回転数R1(rpm)と前記磁性トナー担持体の回転数R2(rpm)が
2×R1<R2<12×R1
を満足し、(1)乃至(3)の何れかに記載されていることを特徴とする。
【0018】
さらに、上記の発明を達成するため、本出願に係る第5の発明は、該荷電制御剤は、
(5)少なくともスルホン酸基を有するモノマーを重合して得られる樹脂であり、
1)電位差滴定法により測定される、第一の酸価Aと第二の酸価Bを有し、
2)第一の酸価Aは2(mgKOH/g)乃至10(mgKOH/g)であり、
3)第一の酸価Aと第二の酸価Bは
1.20≦B/A≦2.00
を満足し、(1)乃至(4)の何れかに記載されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、磁性トナーを長手方向に一定の幅を有するシート状の撹拌・搬送部材にて上部に位置する磁性トナー担持体に現像剤を汲み上げると共に、磁性トナー担持体近傍に存在する磁性トナーを、掻き取り構成を持つ現像器において、磁性トナーの粗大粒子の円形度を規定することで、磁性トナーの帯電性を安定化し、高品質な画像を長期に渡って得ることができる。さらに、本出願の特殊な荷電制御剤を用いることにより、より帯電の均一化及び安定化が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の特徴は、磁性トナーを、撹拌・搬送部材により磁性トナー担持体に搬送し、規制部材により磁性トナー担持体に薄層を形成し、潜像担持体上の潜像に現像する現像方法において、
該撹拌・搬送部材は、
1)現像容器の長手方向に一定の幅を持つシート状の回転体であり、
2)該回転中心軸を、固定磁石を内包する磁性トナー担持体の下端よりも下部に配置され、
3)現像容器内の磁性トナーを、磁性トナー担持体へ供給すると共に、磁性トナー担持体近傍に磁気的に拘束された磁性トナーの撹拌を行い、
該磁性トナーは、少なくとも結着樹脂、磁性体、荷電制御剤を有し、
該磁性トナーの、フロー式粒子像測定装置により得られる円相当径3μm以上の粒子における粒度分布の粗粒粒子率30%以上の粒子は、円形度0.920以上の粒子を個数基準の累積値で60質量%乃至90質量%含有することである。
【0021】
上記の如く、撹拌・搬送部材を長手方向の一定の幅を持つシート状の回転体とすることにより、磁性トナーを磁性トナー担持体方向及び長手方向へ搬送することが可能になり、また同時にこの撹拌・搬送部材によりトナー担持体近傍のトナーを掻き取る構成にすることにより、構成を簡略化し部品点数の減少及び余分なトナー充填スペースを失うことなく小型化を達成することができる。
【0022】
また、本発明の特徴のひとつは、撹拌・搬送部材の回転中心を磁性トナー担持体の下端よりも下部に配置させることであり、これにより、磁性トナー担持体近傍の磁性トナーは、内包された固定磁石の磁気的拘束力のみにより捕獲され、トナーの自重や撹拌・搬送部材による圧迫を受けにくい。そのため磁性トナーへの過剰な圧力から発生する、パッキング現象や、トナー同士或いは、容器内部材との摩擦よりおこるトナー劣化が発生しずらく、更には、上記撹拌・搬送部材により、磁性トナー担持体近傍の磁性トナーを掻き取る際の駆動トルク低減を達成できる。
【0023】
さらに、本発明の特徴のひとつは、磁性トナー中の粗大粒子の形状を制御することである。具体的には、フロー式粒子像測定装置により得られる円相当径3μm以上の粒子における粒度分布の粗粒粒子率30%以上の粒子は、円形度0.920以上の粒子を60質量%乃至90質量%(好ましくは、65質量%乃至85質量%、更に好ましくは70質量%乃至80質量%)含有することである。これにより、上記の如く簡略化された現像方式においても、現像器内の磁性トナーを均一に帯電させることができる。通常、摩擦帯電系においては磁性トナー中の微小粒子は、粗大粒子と比較して、比表面積が大きく迅速に帯電し易い。そのため微小粒子−粗大粒子間で帯電のバラツキが発生するが、本発明の如く、粗大粒子の形状を制御することにより、粗大粒子の帯電量を均一化すると共に、粗大粒子の流動度を増し、現像器内で循環させトナー自体或いはトナー担持体との接触・分離回数を増やし、トナー間での帯電緩和を起こさせ擬似的均一帯電状態へとすることができる。
【0024】
磁性トナーの、フロー式粒子像測定装置により得られる円相当径の粒度分布の粗大粒子率30%以上の粒子の円形度0.920以上の粒子含有率が60質量%未満である場合、粗大粒子が不均一な粒子形状となり、安定的な帯電ができず、それにより画像ムラ、カブリ等が発生し易い。
【0025】
また円形度0.920以上の粒子含有率が90質量%を超える場合、現像器内にて、磁性トナーがパッキングし易くなり、同様に均一帯電しにくくなると共に、磁性トナー担持体への、磁性トナーの付着・固着が発生し易くなる。特に、本発明の如き簡素化された撹拌構成をもつ現像方式においては、この現象が著しい。
【0026】
また本発明は、該磁性トナーの、フロー式粒子像測定装置により得られる円相当径3μm以上の粒子における平均円形度aと、円相当径3μm以上の粒子における粒度分布の粗大粒子率30%以上の粒子の平均円形度bが、
0.975<b/a<1.01
を満足することにより、磁性トナーの均一帯電を高度に達成する上で好ましい。
【0027】
b/aが上記の範囲にあることは、粗大粒子と微小粒子が同等の形状を有していることであり、現像器内での、トナー粒子の流動を均一化し、摩擦帯電機会を同一化し、現像器内のトナーの帯電を高度に均一化できる。
【0028】
また、本発明は該磁性トナーが、下記の条件を満たす荷電制御剤を有していることが好ましい。
1)電位差滴定法により測定される、第一の酸価Aと第二の酸価Bを有し、
2)第一の酸価Aは2(mgKOH/g)乃至10(mgKOH/g)であり、
3)第一の酸価Aと第二の酸価Bは下記式(1)を満足する、
1.20≦B/A≦2.00 (1)
【0029】
これにより、トナー中での荷電制御剤の均一分散性をより高次なものとし、環境安定性、高現像性を達成することができると共に、過酷環境下での磁性トナー担持体へのトナー付着、汚染現象を高次のレベルで抑制することできる。
【0030】
本発明の荷電制御剤の具体的製造方法に関しては後述するが、第一の酸価Aは、トナーの迅速帯電に寄与し、第二の酸価Bは、トナー中への荷電制御剤の分散へ寄与する。
【0031】
第一の酸価Aとしては2〜10(mgKOH/g)の範囲であれば、トナー中への分散助剤成分との共重合性及びトナー化後の帯電付与性及び環境安定性に対して優れる。酸価が2(mgKOH/g)未満となる場合には、迅速帯電付与性の面で劣る場合があり好ましくない。10(mgKOH/g)となる場合は、帯電が過剰となり、高温高湿下、低温低湿下等でのトナー帯電状態に差が生じる場合があり好ましくない。
【0032】
また、第二の酸価Bは1.20≦B/A≦2.00となる範囲であれば、トナー中への帯電付与成分との共重合が十分であり、トナー中への分散性に優れ好ましい。酸価A/Bが1.20未満及び2.00超えとなる場合には、トナー中への均一分散が行えない場合があり好ましくない。
【0033】
更に、本発明の荷電制御剤の重量平均分子量(Mw)は10000〜100000であることが好ましく、更に好ましくは20000〜75000である。Mwが10000未満及び100000超えとなる場合には、トナー中への分散が悪化する場合があり好ましくない。
【0034】
更に、本発明の荷電制御剤の重量平均分子量W(Mw)と数平均分子量N(Mn)は1.2≦W/N≦3.5であることが好ましく、更に好ましくは1.5≦W/N≦3.0である。上記をコントロールすることにより、帯電付与成分とトナー中への分散助剤との共重合状態が良好となる。W/Nが3.5超えとなる場合には、荷電制御剤の分子量分布が広がりを持つ為、トナー中への分散が悪化する場合があり好ましくない。
【0035】
更に、本発明の荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当たり、0.01〜15質量部含有させることできる。好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.5部〜8質量部が良い。含有量が0.01質量部未満となる場合には、帯電付与性の面で劣る場合があり好ましくない。また、15質量部超えとなる場合には、均一分散性に対して問題が生じ、帯電速度のバラツキを生じ易く、画像むら、カブリ等の原因となる場合がある。
【0036】
更に、上述した荷電制御剤を得る為の好ましい製造法に関して説明する。
【0037】
本発明の荷電制御剤の製造方法に使用するモノマーとしては、スルホ基含有モノマー、スチレン系モノマー及び炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸誘導体モノマーである。
【0038】
スルホ基含有モノマーとしては、スルホン酸基含有モノマー及びスルホン酸塩基含有モノマーが挙げられる。
【0039】
スルホン酸基含有モノマーとしては、(メタ)アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸等が挙げられる。
【0040】
スルホン酸塩基含有モノマーとしては、スルホン酸基含有のモノマーのアルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム及びバリウム等)塩、アミン(トリエチルアミン、トリブチルアミン及びジメチルベンジルアミン等)塩及び4級アンモニウム塩(トリブチルベンジルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びテトラブチルアンモニウム塩等)が挙げられる。
【0041】
これらスルホ基含有モノマーのうち好ましいものは、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸アンモニウム塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸カリウムであり、更に好ましい物は、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸アンモニウム塩、である。
【0042】
スチレン系モノマーとしては、スチレン、スチレンのハイドロカルビス(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン、並びにビニルナフタレン等が挙げられる。これらのうち好ましい物は、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンであり、更に好ましいものは、スチレン、α−メチルスチレンである。
【0043】
炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸誘導体モノマーとしては、炭素数3〜20の不飽和モノカルボン酸、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸等;炭素数3〜30の不飽和カルボン酸アルキル(炭素数1〜24)エステル、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、及びエチル−α−エトキシ(メタ)アクリレート等、グリシジル(メタ)アクリレート等;炭素数5〜16のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
これらのうち共重合性、共重合体のガラス転移点の観点から好ましいものは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)エステル、炭素数5〜16のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり、特に好ましいものはアクリル酸、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
【0045】
また、本発明の荷電制御剤の機能を損なわない範囲で、他のラジカル共重合性モノマーを共重合させることができる。他のラジカル共重合性モノマーとしては、炭素数2〜12のアルケノール、例えば、(メタ)アリルアルコール、1−ブテン−3−オール及び2−ブテン−1−オール;炭素数4〜30の不飽和ジカルボン酸及びそのエステル誘導体[モノ若しくはジアルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル]、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びこれらのモノ若しくはジアルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル(メチルエステル及びエチルエステル等)等;炭素数4〜12のアルケンジオール、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール;炭素数3〜30のアルケニルエーテル、例えば、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル;炭素数2〜20のアルケン類、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン及び前記以外のα−オレフィン等;炭素数4〜20のアルカジエン類、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン;モノ、ジシクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロセキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン;テンペル類、例えば、ピネン、リモネン及びインデン;(メタ)アクリロニトリル等;アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン等;炭素数3〜30の不飽和カルボン酸多価(2〜3)アルコールエステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等;不飽和アルコール[ビニル、イソプロペニル等]と炭素数1〜12のモノ若しくはポリカルボン酸とのエステル、例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、メチル−4−ビニルベンゾエート、ビニルメトキシアセテート及びビニルベンゾエート等が挙げられる。
【0046】
本荷電制御剤のそれぞれのモノマー構成としては、スルホ基含有モノマー量は、帯電性、分散性の面から、質量に基づいて、1〜24%とすることが良く、好ましくは2〜15%、更に好ましくは3〜10%とすることで、他モノマーとの重合性及びトナー化した際の帯電付与性が得られる。
【0047】
スチレン系モノマー及び炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸誘導体モノマーの量は、50〜98%と1〜49%とすることが良く、好ましくは55〜96%と2〜43%、更に好ましくは65〜90%と3〜32%である。上記モノマーの配合比はスルホ基含有モノマー量及び共重合体のガラス転移点の設計により調整される。
【0048】
尚、共重合体のガラス転移点は30〜120℃とすることが良く、好ましくは50〜100℃、更に好ましくは70〜95℃である。ガラス転移点が30℃未満となる場合には、トナーの流動性や保存安定性が低下する場合があり、好ましくない。ガラス転移点が120℃を超える場合には、トナー印字比率が高い画像の場合に、定着性が劣る場合があり好ましくない。
【0049】
本発明の荷電制御剤の製造方法は、前記モノマーをラジカル重合開始剤を用いて一括重合又は滴下重合することができる。
【0050】
重合温度は、好ましくは30〜140℃、更に好ましくは50〜120℃である。この時、一定温度で重合してもよく、温度を段階的又は連続で変化させながら重合してもよい。
【0051】
重合時間は、好ましくは1〜30時間、更に好ましくは2〜20時間である。重合温度、時間をそれぞれ、30〜140℃、1〜30時間とすることで、スルホ基含有モノマーの熱劣化を防ぐことができる。
【0052】
また、圧力は、反応槽の形態、目的樹脂の生産性に応じて適宣、常圧、加圧、減圧のいずれを選択してもよく、これら2種以上の圧力状態を経て目的樹脂を得てもよい。
【0053】
重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4−メトキシ−2,4ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)及びアゾビスシアノ吉草酸;有機過酸化物系重合開始剤、例えば、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(tert−パーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシベンソエート、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド及びtert−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0054】
これらの内好ましいものは、共重合の観点から、20℃の水への溶解性が5質量%以下の非水溶性である、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4−メトキシ−2,4ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(tert−パーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシベンソエートである。
【0055】
重合開始剤の使用量は、モノマー全量に基づいて0.1〜10%、好ましくは0.2〜8%、更に好ましくは0.3〜6%である。
【0056】
重合溶媒としては、水と有機溶剤の混合系を用いる。溶媒を混合系とすることで、水溶性のスルホ基含有モノマーと油溶性のスチレン系モノマー及び炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸誘導体モノマーとを効率よく共重合することができる。
【0057】
水と混合する有機溶剤としては、炭素数5〜20の炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等;炭素数1〜12のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン等;炭素数2〜18のエーテル、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジベンジルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等;炭素数3〜18のケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等;炭素数3〜18のエステル、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル等;炭素数1〜18の含窒素化合物、例えば、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アニリン、ピリジン、N−メチルピロリドン等;炭素数1〜8の含ハロゲン化合物、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン等が挙げられる。これらの単独又は2種以上を併用して用いる。
【0058】
これらの内、沸点又は水との親和性更に経済性等の観点から、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ピリジンの単独又は2種以上の併用が好ましい。
【0059】
更に好ましくは、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドの単独又は2種以上の併用である。
【0060】
更に、水への溶解性が大きく異なる溶剤を2種以上組み合わせることで、スルホ基含有モノマーと、スチレン系モノマー及び炭素、水素、酸素のみからなる不飽和モノカルボン酸誘導体モノマーとの共重合性が向上し、好ましい。特に好ましい有機溶剤系列を例示すると、[少なくともメタノール、トルエンが混合された系]、[少なくともメタノール、メチルエチルケトンが混合された系]、[少なくともメタノール、シクロヘキサンが混合された系]、[少なくともエタノール、トルエンが混合された系]、[少なくともエタノール、メチルエチルケトンが混合された系]、[少なくともメタノール、シクロヘキサンが混合された系]、[少なくともイソプロパノール、トルエンが混合された系]、[少なくともイソプロパノール、メチルエチルケトンが混合された系]、[少なくともイソプロパノール、シクロヘキサンが混合された系]、[少なくともアセトン、トルエンが混合された系]、[少なくともアセトン、メチルエチルケトンが混合された系]、[少なくともアセトン、シクロヘキサンが混合された系]、[少なくともテトラヒドロフラン、トルエンが混合された系]、[少なくともテトラヒドロフラン、メチルエチルケトンが混合された系]、[少なくともテトラヒドロフラン、シクロヘキサンが混合された系]等が挙げられる。
【0061】
水とこれら有機溶媒との質量比は、特に制限は無いが、重合時に半懸濁状態を容易に形成させる観点から、溶媒中の水の量が20〜90%が好ましい。更に好ましくは50〜80%である。
【0062】
重合時の撹拌条件は、重合系の構成成分による影響も大きく、半懸濁状態となる範囲であれば任意に設定する事が出来るが、得られる共重合体の粒径及び粒子安定性のバランスから、5〜40(1/sec)のせん断速度で重合するのが好ましい。更に好ましくは、8〜25(1/sec)である。
【0063】
本発明の荷電制御剤の製造方法は、重合前のモノマー、重合開始剤及び溶媒の混合物の状態において、撹拌等のせん断を受けている時は分散し、無せん断下、静置すると少なくとも2相に相分離する半懸濁状態で重合を行う。半懸濁状態で重合を行うことで、重合後の共重合体が溶媒中に分散析出するために、溶媒との分離が容易になる。20℃において、10(1/sec)のせん断速度で5分間撹拌して形成した懸濁状態が、無撹拌下、20秒以上60分以内に少なくとも2相に分離する条件で重合を行うことがよい。好ましくは、30秒以上30分以内、更に好ましくは、1分以上20分以内である。この条件とすることで適度な分散径を有する共重合体がえられやすい。
【0064】
ここで滴下重合を行う場合の半懸濁状態については、滴下液と反応槽への仕込み原料を全て合わせた状態のものを判定すれば良い。
【0065】
上述の製造方法とすることで、重合溶媒の除去は、場合により塩析等の前処理を行った後、公知の方法で固液分離を行えば良い。公知の固液分離法としては、フィルタープレス、スクリューデカンタ、遠心分離機等を用いる方法、スプレードライ、真空乾燥等が挙げられる。また、重合後適宣減圧等として加熱により溶媒を系外へ留去し、目的の樹脂を溶融状態で得てもよい。
【0066】
本発明の樹脂は、重合時に分散剤を添加しない為、重合後これらの除去を行う必要が無い。分散剤は水溶性或は半水溶性である場合が多く、荷電制御剤の不純物としてはトナーの環境依存性を悪化させる要因となる。このため、分散剤を用いた場合にはこれらを除去する工程が必須であり、製造工程自体の複雑化、長期化となる。更に、左記工程を導入しても、荷電制御剤をトナー中に良分散させる目的で微粒子化させた場合、全量を取りきることは困難であり、環境安定性の面で劣る物となる。
【0067】
本発明のトナーは、その帯電性をさらに安定化させる為に必要に応じてその他の荷電制御剤を用いることができる。荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当り0.5〜10質量部使用するのが好ましい。0.5質量部未満となる場合には、十分な帯電特性が得られない場合があり好ましくなく、10質量部を超える場合には、他材料との相溶性が悪化したり、低湿下において帯電過剰になったりする場合があり好ましくない。
【0068】
その他の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
【0069】
トナーを負荷電性に制御する負荷電性制御剤として、例えば有機金属錯体又はキレート化合物が有効である。モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、その無水物、又はそのエステル類、又は、ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙げられる。
【0070】
本発明に用いられるトナー用結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、及びビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有しているハイブリット樹脂成分を含む結着樹脂が好ましい。
【0071】
結着樹脂としてポリエステル系の樹脂を用いる場合は、アルコールとカルボン酸、もしくはカルボン酸無水物、カルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0072】
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0073】
カルボン酸成分としては、例えばフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、ドデセニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸およびシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類またはその無水物;が挙げられる。
【0074】
また、架橋部位を有するポリエステル樹脂を形成するための3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸および、これらの無水物やエステル化合物が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸成分の使用量は、全モノマー基準で0.1〜1.9mol%が好ましい。
【0075】
それらの中でも、特に、下記一般式(1)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、良好な帯電特性を有するので好ましい。
【0076】
【化1】

【0077】
また、本発明の樹脂にビニル系共重合体樹脂を用いる場合、ビニル系樹脂を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0078】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0079】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0080】
本発明のトナーに用いることのできるビニル系共重合体樹脂は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0081】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0082】
本発明のビニル重合体を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
【0083】
さらに結着樹脂としてポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂を用いる場合、さらに良好なワックス分散性と、低温定着性,耐オフセット性の向上が期待できる。本発明に用いられる「ハイブリッド樹脂成分」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
【0084】
尚、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系共重合体ユニット」とはビニル系共重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーは、上述した多価カルボン酸成分と多価アルコール成分であり、ビニル系共重合体ユニットを構成するモノマーは、上述したビニル基を有するモノマー成分である。
【0085】
本発明において、ハイブリット樹脂を用いる場合はビニル系重合体成分及び/又はポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0086】
ビニル系重合体とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
【0087】
本発明のトナーに用いられるハイブリッド樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
【0088】
(1)ビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂成分をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行なって合成されるエステル化合物を用いることができる。
【0089】
(2)ビニル系重合体製造後に、これの存在下にポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステルユニットとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0090】
(3)ポリエステル樹脂製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。
【0091】
(4)ビニル系重合体樹脂及びポリエステル樹脂製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0092】
(5)ハイブリッド樹脂成分を製造後、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットが製造される。この場合、ハイブリッド樹脂成分は上記(2)乃至(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0093】
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0094】
上記(1)乃至(5)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
【0095】
本発明のトナーに含有される結着樹脂のガラス転移温度は40〜90℃が好ましく、より好ましくは45〜85℃である。樹脂の酸価は1〜40mgKOH/gであることが好ましい。
【0096】
本発明に用いられる離型剤としては次のものが挙げられる。このうち必要に応じて一種又は二種以上の離型剤を、トナー粒子中に含有させる。
【0097】
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類
;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;また、ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0098】
離型剤の量は、結着樹脂100質量部あたり0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部が好ましい。また、これらの離型剤は、通常、樹脂を溶剤に溶解し、樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方法や、混練時に混合する方法で結着樹脂に含有させることができる。
【0099】
本発明に用いられる磁性体は、マグネタイト、マグヘマタイト、フェライト等の磁性酸化物及びその混合物が好ましく用いられる。
【0100】
例えば、リチウム、ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、イオウ、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、錫、鉛、亜鉛、カルシウム、バリウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、ニッケル、ガリウム、インジウム、銀、パラジウム、金、白金、タングステン、モリブデン、ニオブ、オスミニウム、ストロンチウム、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ビスマス等から選ばれる少なくとも一つ以上の元素を含有する磁性酸化鉄である。リチウム、ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、錫、イオウ、カルシウム、バリウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、ニッケル、ストロンチウム、ビスマス及び亜鉛が好ましい。特に好ましくは、異種元素としてマグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン及びジルコニウムから選択される元素を含有する磁性酸化鉄である。これらの元素は酸化鉄結晶格子に取り込まれても良いし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていても良いし、表面に酸化物あるいは水酸化物として存在しても良いが、酸化物として含有されるのが好ましい。
【0101】
これらの元素は、磁性体生成時に各々の元素の塩を混在させpH調整により、粒子中に取り込むことが出来る。また、磁性体粒子生成後にpH調整、あるいは各々の元素の塩を添加しpH調整することにより粒子表面に析出させることが出来る。
【0102】
これらの元素を含有する磁性体は、一般的にトナーの結着樹脂との親和性が良好であり特定の酸価を有する結着樹脂ではより効果的である。また、これらの磁性体の粒度分布は狭く、かつ結着樹脂への分散性も良好であることからトナーの帯電均一化及び安定化を改善する効果も有する。
【0103】
これらの異種元素の含有率は、磁性酸化鉄の鉄元素を基準として0.05から10質量%であればよいが、好ましくは0.1〜7質量%含有する場合であり、特に好ましくは0.2〜5質量%含有する場合であり、さらには、0.3〜4質量%含有する場合である。含有量が0.05質量%未満となる場合には、上記これらの元素の含有効果がなく、良好な分散性、帯電均一性が得られなくなる。また、10質量%より多くなると電化の放出が多くなり帯電不足を生じ、画像濃度の低下、カブリの増加等があり好ましくない。
【0104】
また、これらの異種元素の含有分布において、磁性体の表面近傍に多く存在しているのが好ましい。例えば、酸化鉄に含有される鉄元素の溶解率が20質量%のときに、異種元素の溶解率が、全異種元素の存在量の20〜100%質量であればよいが、好ましくは25〜100質量%となる場合であり、特に好ましくは30〜100質量%となる場合である。異種元素の表面存在量を多くすることにより分散効果及び電気的拡散効果をより向上することができる。
【0105】
これらの磁性体の個数平均粒径は0.05〜1.0μmが好ましく、さらには0.1〜0.5μmのものが好ましい。磁性体のBET比表面積2〜40m2/gが好ましく、さらには4〜20m2/gのものが好ましい。磁性体の磁気特性は、磁場795.8kA/mで測定した飽和磁化が10〜200Am2/kgが好ましく、さらには70〜100Am2/kgがより好ましい。残留磁化は1〜100Am2/kgが好ましく、さらには2〜20Am2/kgが好ましい。抗磁力は1〜30kA/mが好ましく、さらには2〜15kA/mがより好ましい。これらの磁性体は結着樹脂100質量部に対して20〜200質量部添加して用いられる。
【0106】
本発明のトナーには任意の適当な顔料または染料を着色剤として使用できる。顔料としては例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンイエロー、アリザリンイエロー、ベンガラ、フタロシアニンブルー等が使用する子ができ、結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部添加すればよいが、好ましくは0.2〜10質量部添加することである。また、同様にして、染料としては例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料等が使用することができ、結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部添加すればよいが、好ましくは0.3〜10質量部添加することである。
【0107】
本発明のトナーに流動性向上剤を添加しても良い。流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ等がある。
【0108】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
【0109】
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0110】
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
【0111】
AEROSIL(日本アエロジル社)130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84; Ca−O−SiL(CABOT Co.社)M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5; (WACKER−CHEMIE GMBH社)HDK、N20、15、N20E、T30、T40; D−C Fine Silica(ダウコーニングCo.社); Fransol(Fransil社)
【0112】
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。さらに、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0113】
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対して流動性向上剤0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0114】
本発明のトナーに用いられる無機微粉体の疎水化度は、メタノールウェッタビリティーは30%以上となればよいが、好ましくは50%以上となる場合である。疎水化処理剤としては、含ケイ素表面処理剤であるシラン化合物とシリコーンオイルが好ましい。
【0115】
例えば、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン当のアルキルアルコキシシラン;ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキサメチレンジメチルクロルシラン、アリルフェニルジメチルクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジビニルクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン等のシランカップリング剤を用いることができる。
【0116】
本発明のトナーにおいて、各種特性付与を目的として種々の添加剤を使用することができ、例えば、以下に示す添加剤である。
(1)研磨剤としては、金属酸化物(チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロム等)、窒化物(窒化ケイ素等)、炭化物(炭化ケイ素等)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)等がある。
(2)滑剤としてはフッ素系樹脂粉末(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、脂肪族金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)等がある。
(3)荷電制御性粒子としては、金属酸化物(酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)、カーボンブラック、樹脂粒子等がある。
【0117】
これらの添加剤は、トナー粒子100質量部に対して0.05〜10質量部添加されるが、好ましくは0.1〜5質量部添加することであり、これらの添加剤は単独または複数種を混合して使用してもよいが、添加量を調節し圧縮指数を制御することが必要である。
【0118】
磁性トナーの場合には、2種以上の無機酸化物あるいは金属酸化物の微粉体を用いることが現像の耐久安定性及び放置後の現像安定性の観点から好ましい。非磁性一成分現像方法の場合には、酸化チタンまたはアルミナを用いるのが、流動性向上及び画像均一性の観点から好ましい。
【0119】
本発明のトナーを作製するには、結着樹脂、着色剤、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後粉砕及び分級を行い、更に必要に応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により十分混合し、本発明のトナーを得ることができる。
【0120】
特に、トナーの粗大粒子の形状を制御するうえで上記粉砕工程を調整することが好ましい。
【0121】
混合機としては、例えばヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられ、粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製)が挙げられ、分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられ、粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
【0122】
特に、本発明の如き粗大粒子の形状制御したトナーの製造方法に使用される粉砕手段として好ましく用いられる機械式粉砕機について説明する。機械式粉砕機としては、例えば、ホソカワミクロン(株)製粉砕機イノマイザー、川崎重工業(株)製粉砕機KTM、ターボ工業(株)製ターボミルなどを挙げることができ、これらの装置をそのまま、あるいは適宜改良して使用することが好ましい。
【0123】
本発明においては、これらの中でも図1、図2及び図3に示したような機械式粉砕機を用いることが、粗大粒子の形状制御及び粉体原料の粉砕処理を容易に行うことが出来るので効率向上が図られ、好ましい。
【0124】
以下、図1、図2及び図3に示した機械式粉砕機について説明する。図1は、本発明において使用される機械式粉砕機の一例の概略断面図を示しており、図2は図1におけるD−D’面での概略的断面図を示しており、図3は図1に示す回転子314の斜視図を示している。該装置は、図5に示されている様に、ケーシング313、ジャケット316、ディストリビュータ220、ケーシング313内にあって中心回転軸312に取り付けられた回転体からなる高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314、回転子314の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられている固定子310、更に、被処理原料を導入する為の原料投入口311、処理後の粉体を排出する為の原料排出口302とから構成されている。
【0125】
以上のように構成してなる機械式粉砕機での粉砕操作は、例えば次のようにして行なう。
【0126】
即ち、図1に示した機械式粉砕機の粉体入口311から、所定量の粉体原料が投入されると、粒子は、粉砕処理室内に導入され、該粉砕処理室内で高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314と、表面に多数の溝が設けられている固定子310との間の発生する衝撃と、この背後に生じる多数の超高速渦流、並びにこれによって発生する高周波の圧力振動によって瞬間的に粉砕される。その後、原料排出口302を通り、排出される。トナー粒子を搬送しているエアー(空気)は粉砕処理室を経由し、原料排出口302、パイプ219、補集サイクロン229、バグフィルター222、及び吸引フィルター224を通って装置システムの系外に排出される。本発明においては、この様にして、粉体原料の粉砕が行われる為、微粉及び粗粉を増やすことなく所望の粉砕処理を容易に行うことが出来る。この搬送エアーの流量を調整することにより、特にトナー粒子の粗大粒子の形状を制御することができる。
【0127】
また、粉砕原料を機械式粉砕機で粉砕する際に、冷風発生手段321により、粉体原科と共に、機械式粉砕機内に冷風を送風することが好ましい。更に、その冷風の温度は0乃至−18℃であることが好ましい。更に、機械式粉砕機本体の機内冷却手段として、機械式粉砕機はジャケット構造316を有する構造とし、冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を通水することが好ましい。更に、上記の冷風装置及びジャケット構造により、機械式粉砕機内の粉体導入口に連通する渦巻室212内の室温T1を0℃以下、より好ましくは−5〜−15℃、更に好ましくは−7〜−12℃とすることがトナー生産性という点から好ましい。粉砕機内の渦巻室の室温T1を0℃以下、より好ましくは−5〜−15℃、更に好ましくは−7〜−12℃とすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。粉砕機内の渦巻室の室温T1が0℃を超える場合、粉砕時に熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。また、粉砕機内の渦巻室の室温T1を−15℃より低い温度で運転しようとすると、上記冷風発生手段321で使用している冷媒(代替フロン)をフロンに変更しなければならない。
【0128】
現在、オゾン層保護の観点からフロンの撤廃が進められている。上記冷風発生手段321の冷媒にフロンを使用することは地球全体の環境問題という点から好ましくない。
【0129】
代替フロンとしては、R134A、R404A、R407C、R410A、R507A、R717等が挙げられるが、この中で省エネルギー性や安全性という点から、特にR404Aが好ましい。
【0130】
なお、冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)は、冷却水供給口317よりジャケット内部に供給され、冷却水排出口318より排出される。
【0131】
また、機械式粉砕機内で生成した微粉砕物は、機械式粉砕機の後室320を経由して粉体排出口302から機外へ排出される。その際、機械式粉砕機の後室320の室温T2が30乃至60℃であることがトナー生産性という点から好ましい。機械式粉砕機の後室320の室温T2を30乃至60℃とすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。機械式粉砕機の温度T2が30℃より小さい場合、粉砕されずにショートパスを起こしている可能性があり、トナー性能という点から好ましくない。また、60℃より大きい場合、粉砕時に過粉砕されている可能性があり、熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
【0132】
また、粉砕原料を機械式粉砕機で粉砕する際に、機械式粉砕機の渦巻室212の室温T1と後室320の室温T2の温度差ΔT(T2−T1)を40〜70℃とすることが好ましく、より好ましくは42〜67℃、更に好ましくは45〜65℃とすることがトナー生産性という点から好ましい。機械式粉砕機の温度T1と温度T2とのΔTを40〜70℃、より好ましくは42〜67℃、更に好ましくは45〜65℃とすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。機械式粉砕機の温度T1と温度T2とのΔTが40℃より小さい場合、粉砕されずにショートパスを起こしている可能性があり、トナー性能という点から好ましくない。また、70℃より大きい場合、粉砕時に過粉砕されている可能性があり、熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
【0133】
また、粉砕原料を機械式粉砕機で粉砕する際に、結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、45乃至75℃、更には、55乃至65℃が好ましい。また、機械式粉砕機の渦巻室212の室温T1は、Tgに対して、0℃以下であり且つTgよりも60乃至75℃低くすることがトナー生産性という点から好ましい。機械式粉砕機の渦巻室212の室温T1を0℃以下であり且つTgよりも60乃至75℃低くすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。また、機械式粉砕機の後室320の室温T2は、Tgよりも5乃至30℃、更には、10乃至20℃低いことが好ましい。機械式粉砕機の後室320の室温T2をTgよりも5乃至30℃、より好ましくは10乃至20℃低くすることにより、熱によるトナーの表面変質を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。
【0134】
また、回転する回転子314の先端周速としては80〜180m/secであることが好ましく、より好ましくは90〜170m/sec、更に好ましくは100〜160m/secとすることがトナー生産性という点から好ましい。回転する回転子314の周速を80〜180m/sec、より好ましくは90〜170m/sec、更に好ましくは100〜160m/secとすることで、トナーの粉砕不足や過粉砕を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。回転子の周速が80m/secより遅い場合、粉砕されずにショートパスを起こしやすいのでトナー性能という点から好ましくない。また、回転子314の周速が180m/secより速い場合、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕され熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
【0135】
また、回転子314と固定子310との間の最小間隔は0.5〜10.0mmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0mm、更に好ましくは1.0〜3.0mmとすることが好ましい。回転子314と固定子310との間の間隔を0.5〜10.0mm、より好ましくは1.0〜5.0mm、更に好ましくは1.0〜3.0mmとすることで、トナーの粉砕不足や過粉砕を抑えることができ、効率良く粉砕原料を粉砕することができる。回転子314と固定子310との間の間隔が10.0mmより大きい場合、粉砕されずにショートパスを起こしやすいのでトナー性能という点から好ましくない。また回転子314と固定子310との間の間隔が0.5mmより小さい場合、装置自体の負荷が大きくなるのと同時に、粉砕時に過粉砕され熱によるトナーの表面変質や機内融着を起こしやすいのでトナー生産性という点から好ましくない。
【0136】
この粉砕方法はシンプルな構成に加え、粉砕原料を粉砕するのに多量のエアーを必要としない構成のため、粉砕工程で消費するトナー1kg当たりに消費する電力量は、図4に示す従来の衝突式気流粉砕機で製造したときに比べ約1/3以下となり、エネルギーコストを低く抑えることができる。
【0137】
本発明における測定法について以下に説明する。
【0138】
(1)トナーの平均円形度及び円相当系の測定方法
本発明の平均円形度は、粒子の形状定量的に表現できる簡便な方法として用いたものであり、本発明ではシメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA2100を用いて測定を行い、測定された粒子の円相当径は下式(1)により求められ、円形度は下式(2)により求め、下式(3)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を平均円形度と定義した。
【0139】
【数1】

【0140】
本発明に用いている円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。また、本発明における円形度分布のSDは、バラツキの指標であり、数値が小さいほどトナー形状のバラツキが小さいことを表す。
【0141】
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4〜1.0を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。さらに本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来よりトナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA1000」と比較して、シースフローの薄層化(7μm→4μmに)及び処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)によりトナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な補足を達成している装置である。従って、本発明のように、より正確に形状を測定する必要がある場合には、より正確に形状に関する情報が得られるFPIA2100の方が有用である。
【0142】
具体的な測定方法としては、常温常湿環境下(23℃、50%RH)にて予め容器中の不純物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、超音波(50kHz,120W)を2分間照射し測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
【0143】
分散液濃度を1.2〜2.0万個/μlとして、上記フロー式粒子像測定装置を用い、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の円形度分布を測定する。
【0144】
測定の概略は、以下の通りである。
【0145】
試料分散液は、フラットで扁平なフローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。それぞれの粒子の2次元画像の投影面積及び投影像の周囲長から上記の円形度算出式を用いて各粒子の円形度を算出する。
【0146】
この方法により得られたデーターを用い、円相当径3.00μm未満をカットした上で、本発明における磁性トナー全体の平均円形度円相当径の個数基準で粗大粒子側30%の平均円形度及び円形度0.920以上の粒子の個数基準での累積値を算出する。
【0147】
(2)荷電制御剤の酸価の測定
荷電制御剤の「酸価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。
【0148】
試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、次によって試験を行う。
【0149】
a.試薬
0.1mol/L水酸化カリウムメタノール溶液、メタノール(試薬1級)、アセトン(試薬1級)、トルエン、ブロムチモールブルー(BTB指示薬)、フェノールフタレイン(PP指示薬)
b.装置・器具
電位差滴定装置(装置例;京都電子製AT−117等)
200mlビーカー、回転子、スターラー、化学天秤(0.1mg単位)
c.操作
1)メタノール1Lとアセトン1Lを混合し、BTBを1滴加え、フェノールフタレイン30mlを加えた後、0.1mol/L水酸化カリウムメタノール溶液を微赤紫色になるまで加える。
2)200mlビーカーに試料約1gを精秤し(Sg)、トルエン50mlと上記混合溶液50mlを加え、回転子で撹拌して均一に溶解する。
3)0.1mol/L水酸化カリウムメタノール溶液(力価=f)により、電位差滴定する。
4)滴定開始から第一の変曲点までの滴定量(Aml)と滴定開始から第二の変曲点までの滴定量(Bml)を求め、次式により算出する。
第一の酸価A=5.61×f×A/S
第二の酸価B=5.61×f×B/S
【0150】
(3)樹脂の酸価の測定
結着樹脂の「酸価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。
【0151】
試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、次によって試験を行う。
【0152】
1)試薬
(a)溶剤エチルエーテル−エチルアルコール混液(1+1または2+1)またはベンゼン−エチルアルコール混液(1+1または2+1)で、これらの溶液は使用直前にフェノールフタレインを指示薬としてN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
(b)フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/10水酸化カリウム−エチルアルコール溶液 水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日放置後ろ過する。標定はJIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
【0153】
2)操作 試料1〜20gを正しくはかりとり、これに溶剤100mlおよび指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後これをN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
【0154】
3)計算式 つぎの式によって酸価を算出する。
【0155】
【数2】

[A:酸価
B:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g) ]
【0156】
(3)結着樹脂の水酸基価の測定
結着樹脂の「水酸基価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS=K0070に準ずる。
【0157】
試料1gを規定の方法によってアセチル化するとき水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を水酸基価といい、つぎの試薬、操作および計算式によって試験を行う。
【0158】
1)試薬
(a)アセチル化試薬 無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜる(場合によっては、ピリジンを追加しても良い)。アセチル化試薬は、湿気、炭酸ガスおよび酸の蒸気に触れないようにし、褐色びんに保存する。
(b)フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/2水酸化カリウム−エチルアルコール溶液 水酸化カリウム35gをできるだけ少量の水に溶かし、エチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日間放置後ろ過する。標定はJIS K 8006によって行う。
【0159】
2)操作
試料0.5〜2.0gを丸底フラスコに正しくはかりとり、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。フラスコの口に小さな漏斗をかけ、95〜100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首が浴の熱をうけて温度が上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円盤をフラスコの首の付根にかぶせる。1時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を分解する。さらに分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後エチルアルコール5mlで漏斗およびフラスコの壁を洗い、フェノールフタレイン溶液を指示薬としてN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定する。なお、本試験と並行して空試験を行う。場合によっては、指示薬としてKOH−THF溶液にしても構わない。
【0160】
3)計算式 つぎの式によって水酸基価を算出する。
【0161】
【数3】

[A:水酸基価
B:空試験のN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:本試験のN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:N/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
D:酸価 ]
【0162】
(4)トナー及び結着樹脂成分のGPC測定による分子量分布
トナー及びの結着樹脂の樹脂成分におけるGPCによる分子量分布は、下記の通り、トナーをTHF溶媒に溶解させて得られたTHF可溶成分を用いて、GPCにより測定する。
【0163】
すなわち、トナーをTHF中に入れ、数時間放置した後十分に振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルタ(ポアサイズ 0.45〜0.5μm、例えば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマンサイエンスジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。また試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0164】
上記の方法で調製された試料のGPCの測定は、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を約50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いはPressure Chemical Co.製の分子量が6×102、2.1×103、4×104、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0165】
カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせや、Waters社製のμ−styragel500、103、104、105の組み合わせを挙げることができる。
【0166】
(5)トナー粒度分布の測定
本発明において、トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて行うが、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることも可能である。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上のトナーの体積,個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。それから本発明に係る体積分布から求めた重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求めた。
【0167】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
【0168】
図5を用いて本発明の画像形成方法の最良の実施の形態について詳細に説明する。
【0169】
この現像装置は、現像容器1の開口部に回転自在に配置された磁性トナー担持体である現像スリーブローラー2、現像スリーブローラー2内部に磁石ローラー3、現像スリーブローラー2と100〜300μmのクリアランスを有し現像スリーブローラー2上表面にトナーを層厚規制してコートする層厚規制ブレード4、現像スリーブローラー2より下方に配置され、現像剤を該現像スリーブローラーに供給するための現像剤持ち上げ手段である回転自在な撹拌パドル5、トナー容器から現像容器1内の撹拌パドル5にトナーを搬送する搬送スクリュー6を備えている。
【0170】
なお、上記撹拌パドル5にはマイラー等の非磁性弾性部材の弾性シートである撹拌翼7が設けられている。この現像器内のトナーを一定量にするように、トナー搬送スクリュー6により、不足量のトナーを補給する。補給された現像器内のトナーは撹拌、搬送部材である撹拌パドル5に設けられた非磁性部材の撹拌翼7の反時計方向への回転動作と弾性力によって、上方向へ跳ね上げられ、時計方向に回転する磁石ローラー3を配置した現像ローラー2で捕集される。また、弾性体シート7の先端部分により、現像剤スリーブローラー2近傍の磁性トナーの掻き取り及び撹拌を行う。掻き取り後に残る捕集されたトナーは現像スリーブローラー2の回転によって、層厚規制ブレード4の部分に搬送蓄積されて電荷を蓄える。現像スリーブローラー2表面に捕集されたトナーは、感光ドラムに形成された潜像を現像して可視像化する。
【0171】
また、本発明は、図6において該現像容器の撹拌・搬送部材の回転中心から、磁性トナー担持体である、スリーブローラーの表面まで最短距離La(mm)、該撹拌・搬送部材の回転中心から撹拌翼の先端までの長さをLb(mm)としたとき
1<La−Lb<8.0
であることが、現像器内、特に現像スリーブローラー近傍のトナーの帯電を均一化する上で好ましい。
【0172】
(La−Lb)、つまり、撹拌翼の先端と現像スリーブローラー表面との最近接距離が、0.1mm未満である場合、撹拌翼の先端により、現像スリーブを傷つけ易くなり、さらには、現像スリーブローラーに保持されるべきトナー量が少なくなり、画像比率の大きい画像を連続で出力する場合、白抜け等が発生し易い。
【0173】
また、(La−Lb)が8.0(mm)を超える場合、現像スリーブ近傍のトナーの撹拌が不十分となり、帯電が不均一となり易く画像ムラ、カブリが発生し易くなる。
【0174】
また本発明は、前記撹拌、搬送部材の回転数R1(rpm)と前記磁性トナー担持体の回転数R2(rpm)が
2×R1<R2<12×R1(好ましくは、4×R1<R2<10×R1)を満たすことが現像スリーブローラーへのトナーの安定供給をする上で好ましい。2×R1>R2となる場合、現像スリーブローラーへのトナー供給が過剰となり、撹拌・搬送部材の回転により現像スリーブローラー近傍にトナーが押し付けられパッキングされ易く、それにより、トナー不動層が発生し、トナーの循環性が悪化しトナーの帯電ムラが発生し易くなるばかりか、長期にわたりトナーが現像スリーブローラーに押し付けられた状態になり、トナー構成成分が現像スリーブローラーに固着し現像スリーブを汚染することが多い。
【0175】
また、R2>12×R1である場合、現像スリーブローラーへのトナーの供給不足が発生し易くなるとともに、また、撹拌翼とスリーブローラー近傍のトナーの接触回数が減少するため、スリーブローラー近傍トナーと新しく補給されたトナーとの間に、帯電量の差を生じ易い、これにより、画像むら、カブリ等の画像欠陥が発生し易い。
【0176】
また、本発明は、撹拌翼の先端と、現像容器の壁が一定の距離を有していることが好ましい。
【0177】
撹拌・搬送部材の先端と、容器壁との距離が大きい場合、現像容器壁にトナーが残存し、現像容器内のトナーの循環性を損ね易い。また、撹拌・搬送部材の先端が容器壁に接触する場合、接触部分でトナーがダメージを受けるとともに、トナーの凝集・凝固をおこしトナー粗粒を発生させ易い、できた粗粒は、層厚規制ブレードと現像スリーブ間に挟まり、現像スリーブ表面を傷つけたり、汚染の発生原因となり易い。
【0178】
図7は、本発明の長手方向に一定の幅を持つシート状の回転体を表す図である。
【0179】
撹拌軸は棒状部材であり、現像容器側壁に設けられた軸支穴により回転可能になるよう保持されている。撹拌軸とこの撹拌翼との接合方法としては、スナップフィットや熱カシメ、ネジ止め等従来の方法を用いて構わない。また、シート状の撹拌部材を補助するため回転軸と垂直方向にリブを立てることが好ましい。
【0180】
また、このシート状の撹拌・搬送部材を構成する材質としては、適度な弾性と耐クリープ性のあるものが利用でき、例えばポリアセタールや、ポリウレタンのゴムシート、ゴム引き布等でもよいが、特に好ましいのはポリエステル(PET)のフィルムである。そして、厚さは、約30μm〜500μm程度が好ましく、特に好ましくは約50μm〜200μmが好適である。なお、厚さが約30μmよりも薄いと弾性が弱くなってトナー搬送力が低下し、約500μmよりも厚くなると、弾性が強くなりすぎて回転するときに大きな回転トルクが必要したり、変形し難いため、組み立ての際にも困難を生じるなど問題がある。なお、本実施の形態では厚さを100μmで構成している。
【0181】
ここで、本発明に用いることのできる磁性トナー担持体としては、例えば、金属、或いはその合金またはその化合物を円筒状に成形し、その表面を電解、ブラスト、ヤスリ等で所定の表面粗さになるように処理したもの等が用いられる。スリーブ基体の材質としては、例えばステンレス鋼、アルミニウム、胴合金等を用いることができる。その表面を、必要に応じ、金属メッキ処理や、樹脂層により被覆してもよい。また担持体表面に所望の表面粗さを出すためにアルミナ粒子や、ガラスビーズ等の球状粒子にてブラスト処理を行っても良い。
【0182】
スリーブ基体を樹脂により被覆する場合、被覆用結着樹脂としては、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂の如き樹脂が用いられる。特に熱硬化性もしくは光硬化性の樹脂が好ましい。
【0183】
また、結着樹脂の他に必要に応じて導電性物質、充填剤、固体潤滑剤等を含有しても良い。
【0184】
本発明のスリーブにおいて、樹脂層に導電性物質を含有させる場合、該樹脂層の体積抵抗が106Ω・cm以下、好ましくは103Ω・cm以下であるものがよい。樹脂層の体積抵抗が106Ω・cmを超える場合には、トナーのチャージアップが発生しやすくなり、ブロッチの発生や現像特性の劣化を引き起こすことがある。
【0185】
導電性物質としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケル、銀の如き金属粉体;酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズの如き金属酸化物;カーボンファイバー、カーボンブラック、グラファイトの如き炭素同素体が挙げられる。
【0186】
充填剤としては、公知のトナー用ネガ帯電性荷電制御剤、あるいはポジ帯電性荷電制御剤を添加しても良い。このほかの物質として、例えばアルミナ、アスベスト、ガラス繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、シリカ、ケイ酸カルシウムの如き無機化合物;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、PMMA、メタクリレートのターポリマー(例えばポリスチレン/n−ブチルメタクリレート/シランターポリマー)、スチレン−ブタジエン系共重合体、ポリカプロラクトン;ポリカプロラクタム、ポリビニルピリジン、ポリアミドの如き含窒素化合物;ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラクロロフルオロエチレン、ペルフルオロアルコキシル化エチレン、ポリテトラフルオロアルコキシエチレン、フッ素化エチレンプロピレン−ポリテトラフルオロエチレン共重合体、トリフルオロクロロエチレン−塩化ビニル共重合体といった高度にハロゲン化された重合体;ポリカーボネート、ポリエステルが挙げられる。
【0187】
固体潤滑剤としては、例えば二硫化モリブデン、窒化硼素、グラファイト、フッ化グラファイト、銀−セレン化ニオブ、塩化カルシウム−グラファイト、滑石が挙げられる。このうちグラファイトは潤滑性と共に導電性を有し、高すぎる電荷を有するトナーを減少させ、現像に好適な帯電量を持たせる働きがあることから好適に用いられる。
【0188】
また、本発明に用いることのできるトナー層厚規制ブレードとしては、現像スリーブと一定の間隙をおいて配置される金属ブレード、磁性ブレード、或いは現像スリーブ表面に弾性力で当接される弾性ブレードのいずれも可能である。
【0189】
金属ブレード又は磁性ブレードの場合、現像スリーブとの間隙は50〜500μm、好ましくは100〜400μmの時に良好な結果を与える。
【実施例】
【0190】
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0191】
[荷電制御剤の製造例]
(荷電制御剤の製造例−1)
温度計,冷却管,撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中にイソプロピルアルコール286質量部を仕込み、スチレン800質量部、2−エチルヘキシルアクリレート130質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸70質量部、イソプロピルアルコール400質量部及び水2575質量部の混合懸濁溶液と、メチルエチルケトン755質量部、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)35質量部の混合溶液とを78℃で2時間かけて同時に滴下して重合した。
【0192】
更に、同一温度にて4時間熟成した後、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを蒸留除去した後、固液分離を行い、乾燥することで荷電制御剤(S1)を得た。尚、重合時の相分離に要する時間は200秒であった。
【0193】
S1の第一の酸価は7.8mgKOH/g、第二の酸価は11.6mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)は28000、数平均分子量(Mn)は12000、ガラス転移点(Tg)は80.2℃であった。
【0194】
(荷電制御剤の製造例−2〜6)
荷電制御剤の製造例−1に対して、スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の添加部数及び重合時間を変更する以外は同様にして、荷電制御剤S2〜S6を得た。得られた荷電制御剤の物性を表1に記す。
【0195】
[結着樹脂の製造例]
(樹脂製造例1)
(ハイブリッド樹脂)
(1)ポリエステル樹脂の製造
・テレフタル酸 :6.1mol
・無水ドデセニルコハク酸 :3.8mol
・無水トリメリット酸 :3.1mol
・PO−BPA :7.2mol
・EO−BPA :3.0mol
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒とともにオートクレーブに仕込み、減圧装置,水分離装置,窒素ガス導入装置,温度測定装置及び撹拌装置を付し、窒素ガス雰囲気下で210℃まで加熱しながら縮重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
【0196】
(2)ハイブリッド樹脂成分の製造
上記ポリエステル樹脂80質量部をキシレン100質量部に溶解・膨潤した、次に、スチレン、15質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル、5質量部、エステル化触媒としてジブチルスズオキサイド0.1質量部を添加してキシレンの還流温度まで加熱してポリエステル樹脂のカルボン酸とアクリル酸2−エチルヘキシルとのエステル交換反応を開始した。更にラジカル重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド1質量部をキシレン30質量部に溶解したキシレン溶液を約1時間かけて滴下した。その温度で6時間保持してラジカル重合反応を終了し、減圧下210℃まで加熱して脱溶剤することによりポリエステル樹脂の水酸基とビニル系重合体ユニットの共重合モノマーであるアクリル酸2−エチルヘキシルとのエステル交換反応を行うことにより、ポリエステル樹脂、ビニル系重合体及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットがエステル結合することにより生成したハイブリッド樹脂1を得た。ハイブリッド樹脂1は酸価が28mgKOH/gであり、Tgが59℃であり、ピーク分子量は7300、重量平均分子量(Mw)は43000、Mw/Mnは8.5、THF不溶分を約13質量%含有量していた。
【0197】
(樹脂の製造例2)
(ポリエステル樹脂)
・テレフタル酸 10mol%
・フマル酸 25mol%
・無水トリメリット酸 5mol%
・PO−BPO 35mol%
・EO−BPA 25mol%
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒とともにオートクレーブに仕込み、減圧装置,水分離装置,窒素ガス導入装置,温度測定装置及び撹拌装置を付し、窒素ガス雰囲気下で230℃まで加熱しながら縮重合反応を行い、Mnが2,500であり、Mwが10,000であり、Tgが57℃であり、THF不溶分が0%であり、酸価が28であり、水酸基価が40である第1のポリエステル樹脂Aを得た。
【0198】
次に、
・フマル酸 32mol%
・無水トリメリット酸 10mol%
・PO−BPO 35mol%
・EO−BPA 23mol%
【0199】
これらを同様に縮合重合反応を行い、重合途中で無水トリメリット酸を2mol%をさらに追加し、Mnが3,500であり、Mwが150,000であり、Tgが63℃であり、THF不溶分が28質量%、酸価が25であり、水酸基価が32である第2のポリエステル樹脂Bを得た。
【0200】
得られたポリエステル樹脂A及びBを50質量部づつヘンシェルミキサーで混合し、Mnが2,800であり、Mwが82,000であり、Tgが60℃、THF不溶分が14質量%であり、酸価が26であり、水酸基価が36であるポリエステル樹脂2を得た。
【0201】
(樹脂の製造例3)
(スチレン−アクリル樹脂)
・スチレン 70質量部
・アクリル酸n−ブチル 24質量部
・マレイン酸モノブチル 6質量部
・ジーt−ブチルパーオキサイド 1質量部
上記各成分を、4つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し120℃に昇温させた後3.5時間かけて滴下した。更にキシレン還流後下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去し、スチレン−アクリル樹脂3を得た。得られたスチレンーアクリル樹脂は、酸価が28mgKOH/gであり、Tgが58℃であり、ピーク分子量は13000、重量平均分子量(Mw)は77000、Mw/Mnは12.0であった。
【0202】
[磁性トナーの製造例]
(トナーの製造例1)
・上記ハイブリット樹脂1 100質量部
・低分子量エチレン−プロピレン共重合体 8質量部
・荷電制御剤S1 2質量部
・磁性酸化鉄 90質量部
(平均粒径0.18μm、保磁力10.7KA/m、残留磁化11.2Am2/kg、飽和磁化81.5Am2/kg)
上記混合物を、130℃に加熱された二軸混練機で溶融混練して、冷却した混合物をハンマーミルで粗粉砕した。さらに粉砕工程は、図1に示す機械式粉砕機(ターボ工業社製)ターボミルT−250型を用い、図2に示す回転子314と固定子310の間隙を1.5mmとし、回転子314の周速を115m/s、搬送エアー風量を30m3/h、粗砕品供給量を23kg/hとして運転した。
【0203】
得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、重量平均径7.7μm、10.1μm以上の粒子が6.6体積%である磁性トナーを得た。
【0204】
この磁性トナー100質量部に対して、疎水性乾式シリカ(BET比表面積;300m2/g)1.0質量部をヘンシェルミキサーFM500(三井三池社製)により、撹拌羽根回転速度1100rpmにて4分間回転させ外添添加して本発明の磁性トナー(1)を得た。得られた磁性トナー(1)の物性を表2に示す。
【0205】
(トナーの製造例2〜15)
表2に示すように、樹脂成分、荷電制御剤を変更、及び粉砕条件の変更する以外はトナーの製造例1と同様にして、磁性トナー(2)〜(15)を得た。また、製造例13及び14においては、図4に示す衝突式気流粉砕機を使用して磁性トナーを製造した。得られた磁性トナーの物性を表2に示す。
【0206】
〔実施例1〕
上記磁性トナー(1)を用いて以下に示す評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0207】
<画像評価試験>
図1に示す現像器を表2に示すように設定し、市販の複写機IRC−3200(キヤノン(株)社製)を、本発明の現像器が装備でき、且つ磁性一成分現像ができるよう改造を加え、高温高湿環境下(30℃/80%RH)において、それぞれ印字比率6%のテストチャートを用いて、100,000枚複写を行い、画像濃度、カブリ、面内一様性、ドット再現性、スリーブ汚染などの評価を行った。
【0208】
1)画像濃度
「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)で、SPIフィルターを使用して、直径5mm丸の画像の反射濃度を5点測定し、その平均値により評価を行った。
ランク5:反射濃度 1.45以上
ランク4:反射濃度 1.40〜1.44
ランク3:反射濃度 1.35〜1.39
ランク2:反射濃度 1.30〜1.34
ランク1:反射濃度 1.29未満
【0209】
2)面内濃度一様性
「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)で、SPIフィルターを使用して、ハーフトーン画像の反射濃度を測定し、その反射濃度の最高値Dmaxと、最低値(Dmin)の差分(Dmax−Dmin)により、面内濃度一様性を評価した。
ランク5:面内濃度一様性 0.1未満
ランク4:面内濃度一様性 0.1〜0.19
ランク3:面内濃度一様性 0.2〜0.29
ランク2:面内濃度一様性 0.30〜0.39
ランク1:面内濃度一様性 0.40以上
【0210】
3)カブリ
「反射濃度計」(リフレクトメーター モデルTC−6DS 東京電色社製)を用いで、画像形成前の転写紙の反射濃度(Dr)と、ベタ白画像をコピーした後の反射濃度の最悪値を(Ds)とを測定し、その差分(Ds−Dr)をカプリ値として評値した。
ランク5:カブリ0.1%未満
ランク4:カブリ0.1〜0.5%
ランク3:カブリ0.6〜1.0%
ランク2:カブリ1.1〜2.0%
ランク1:カブリ2.0%以上
【0211】
4)ドット再現性評価
図9に示すような、1ドット、2ドット、3ドット、4ドットで構成される市松模様の潜像を感光体上にレーザーで形成される画像を測定サンプルとした。このサンプルを拡大鏡にて観察し、市松模様の明確に確認できる画像のドット数をもってドット再現性とする。この数字が小さいほどドット再現性に優れていることを示す。
ランク5:原稿に忠実な画像である。
ランク4:画像をルーペで拡大すると、多少飛び散りが見られる
ランク3:画像をルーペで拡大すると、飛び散り、乱れが見られる
ランク2:目視により、飛び散り、画像の乱れが見られる
ランク1:原稿を再現していない。
【0212】
5)スリーブへのトナーの固着試験
高温高湿環境下(40℃/90%RH)において、100,000枚複写後、ハーフトーン画像と現像スリーブ上でのトナーコート性及び現像スリーブをシルボン紙で乾拭きし、スリーブの表面を目視観察し評価した。
ランク5:スリーブ表面に全くトナーの付着物はなく汚染は発生していない。
ランク4:スリーブ端部表面に極僅かにトナー付着物が存在する。
ランク3:スリーブ表面にトナー付着物が僅かに存在するが、トナーコート性は乱れてい ない。
ランク2:スリーブ表面にトナー付着物が存在して、トナーコート性を乱しているが、画 像には影響ない
ランク1:スリーブ全体にトナー付着物が存在して、トナーコート性を乱し、画像にも悪 影響を及ぼしている。
【0213】
〔実施例2〜16及び比較例1〜2〕
上記のトナー製造例2〜15により得られた磁性トナー(2)〜(15)を用いて、表2に示すように、現像器構成を変更する以外は、実施例1と同様にして、上記画像評価試験をおこなった。評価結果を表3に示す。
【0214】
〔比較例3〕
上記のトナー製造例12により得られた磁性トナー(12)を用いて、撹拌・搬送部材を図8に示すものに変更し、表2に示すように、現像器構成に変更する以外は、実施例1と同様にして、上記画像評価試験を行った。評価結果を表3に示す。
【0215】
〔比較例4〕
図10に示す現像器を表2に示すように設定し、市販の複写機IRC−3200(キヤノン(株)社製)を、この現像器が装備でき、且つ磁性一成分現像ができるよう改造を加える以外は、比較例1と同様にして上記評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0216】
【表1】

【0217】
【表2】

【0218】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0219】
【図1】本発明のトナーの粉砕工程において使用される一例の機械式粉砕機の概略断面図である。
【図2】図1におけるD−D’面での概略的断面図である。
【図3】図1に示す回転子の斜視図である。
【図4】従来の衝突式気流粉砕機の概略断面図である。
【図5】本発明の現像方法を行うのに好適な画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図6】本発明の現像方法を行うのに好適な画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図7】本発明の現像方法を行うのに好適な撹拌・搬送部材の一例を示す概略図である。
【図8】本発明の現像方法における撹拌・搬送部材の比較例を示す概略図である。
【図9】本発明の現像方法を現像特性を試験するためのチェッカー模様の説明図である。
【図10】本発明の現像方法の比較例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0220】
212 渦巻室
219 パイプ
220 ディストリビュータ
222 バグフィルター
224 吸引フィルター
229 捕集サイクロン
301 機械式粉砕機
302 粉体排出口
310 固定子
311 粉体投入口
312 回転軸
313 ケーシング
314 回転子
315 第1定量供給機
316 ジャケット
317 冷却水供給口
318 冷却水排出口
320 後室
321 冷風発生手段
331 第3定量供給機
1.現像容器
2.現像スリーブローラー
3.固定磁石ローラー
4.磁性ブレード
5.撹拌パドル(撹拌・搬送部材)
6.搬送スクリュー
7,8.弾性シート(撹拌翼)
9.撹拌軸
10.リブ(弾性シート補強部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性トナーを、撹拌・搬送部材により磁性トナー担持体に搬送し、規制部材により磁性トナー担持体に薄層を形成し、潜像担持体上の潜像に現像する現像方法において、
該撹拌・搬送部材は、
1)現像容器の長手方向に一定の幅を持つシート状の回転体であり、
2)該回転中心軸を、固定磁石を内包する磁性トナー担持体の下端よりも下部に配置され、
3)現像容器内の磁性トナーを、磁性トナー担持体へ供給すると共に、磁性トナー担持体近傍に磁気的に拘束された磁性トナーの撹拌を行い、
該磁性トナーは、少なくとも結着樹脂、磁性体、荷電制御剤を有し、
該磁性トナーの、フロー式粒子像測定装置により得られる円相当径3μm以上の粒子における粒度分布の粗粒粒子率30%以上の粒子は、円形度0.920以上の粒子を個数基準の累積値で60質量%乃至90質量%含有することを特徴とする現像方法。
【請求項2】
該磁性トナーの、フロー式粒子像測定装置により得られる円相当径3μm以上の粒子における平均円形度aと、円相当径3μm以上の粒子における粒度分布の粗大粒子率30%以上の粒子の平均円形度bが、
0.975<b/a<1.010
を満足することを特徴とする請求項1に記載の現像方法。
【請求項3】
該現像容器の撹拌・搬送部材の回転中心から、磁性トナー担持体表面までの最短距離をLa(mm)、該撹拌・搬送部材の回転中心より該板状部材末端までの長さをLb(mm)としたとき、
0.1<La−Lb<8.0
を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の現像方法。
【請求項4】
該記撹拌、搬送部材と磁性トナー担持体が互いに逆方向に回転し、搬送部材の回転数R1(rpm)と前記磁性トナー担持体の回転数R2(rpm)が
2×R1<R2<12×R1
を満たすことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の現像方法。
【請求項5】
該荷電制御剤は、少なくともスルホン酸基を有するモノマーを重合して得られる樹脂であり、
1)電位差滴定法により測定される、第一の酸価Aと第二の酸価Bを有し、
2)第一の酸価Aは2(mgKOH/g)乃至10(mgKOH/g)であり、
3)第一の酸価Aと第二の酸価Bは
1.20≦B/A≦2.00
を満足することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の現像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−39365(P2006−39365A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221604(P2004−221604)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】