説明

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】現像剤収容部と現像剤供給部とを連通する連通口がシャッター手段で塞がれずに運搬されるのを防げる現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像剤担持体252と、現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部251と、現像剤供給部に隣接し現像剤を収容する現像剤収容部250と、現像剤供給部と現像剤収容部とを連通する連通口Aと、連通口を塞ぐ位置と上記塞ぐ位置から退避して連通口を露出させる位置との間を変位可能なシャッター手段253bと、シャッター手段を駆動させる駆動手段とを備えた現像装置25において、現像剤収容部または現像剤供給部を形成する側壁よりも外側に設けられシャッター手段の変位に連動し、シャッター手段が上記塞ぐ位置にあるときに到達する位置と上記露出させる位置に変位した際に上記到達する位置から退避する位置との間を変位可能な移動部材256aを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に用いる現像装置、及び、その現像装置を備えたプロセスカートリッジ、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部と、現像剤供給部に補給する現像剤を収容する現像剤収容部と、現像剤供給部と現像剤収容部とを連通する連通口と、連通口を封止する連通口封止手段とを有する現像装置が知られている。このような現像装置では、連通口封止手段を設けることで、現像装置を単体で運ぶときに、現像剤担持体を部分的に露出させるために開けられた現像剤供給部の開口部から現像剤が洩れて飛散することを防止している。その一例として、特許文献1では、連通口を形成した枠体と、連通口を覆うように枠体に接着されたシール部材とからなる連通口封止手段を備えた現像装置が開示されている。この現像装置では、使用開始時に連通口封止手段の枠体に接着されたシール部材を引き抜いて剥がすことで、現像剤供給部と現像剤収容部とが連通し、現像剤を現像剤供給部に補給することができるようになっている。
【0003】
ところが、特許文献1に記載の現像装置では、現像装置の使用開始時にユーザーがシール部材を引き抜いて剥がす作業が必要となるため手間がかかる。また、剥がしたシール部材には現像剤が付着しているため、その現像剤によってユーザーの手や服などが汚れてしまう虞がある。
【0004】
特許文献2に記載の現像装置においては、現像ローラに現像剤を供給する現像剤供給室と、仕切り壁を介して現像剤供給室と隣接し現像剤供給室に補給する現像剤を収容する現像剤収容室とが設けられている。仕切り壁には、現像剤収容室と現像剤供給室とを連通する連通口が設けられており、連通口を開口する開位置と連通口を閉口する閉位置との間をソレノイドからの駆動力によって変位するシャッターによって連通口が開閉可能となっている。このように、シャッターによって連通口を開閉可能とすることで、現像装置を運搬する際にシャッターによって連通口を塞ぐことで、特許文献1に記載の現像装置のように連通口をシール部材で塞ぐ構成と同じように、運搬時の振動などによって現像装置から現像剤が洩れて飛散するのを防止することができる。また、現像装置の使用開始時にはシャッターを変位させて連通口を開口させれば良いので、特許文献1に記載の現像装置のように、現像装置の使用開始時にユーザーがシール部材を剥がす手間がかかったり、ユーザーの手や服などが現像剤によって汚れたりするのを抑制できる。
【0005】
【特許文献1】特許第3144933号公報
【特許文献2】特開2005−250362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の現像装置では、シャッターが連通口を塞ぐ位置にあるか否かを現像装置外側から確認することができなかった。そのため、現像装置の出荷時などに、製造時の不具合などの何らかの理由により連通口がシャッターによって塞がれていない状態の現像装置が誤って出荷されてしまい、その現像装置を運搬しているときに運搬時の振動などによってトナー洩れが発生するといった問題が生じる。
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、現像剤収容部と現像剤供給部とを連通する連通口がシャッター手段によって塞がれていない状態で運搬されるのを防ぐことができる現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、現像剤を担持する現像剤担持体と、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部と、該現像剤供給部に隣接し該現像剤供給部に補給する現像剤を収容する現像剤収容部と、該現像剤供給部と該現像剤収容部とを連通する連通口と、該連通口を塞ぐ位置と該塞ぐ位置から退避して該連通口を露出させる位置との間を変位可能なシャッター手段と、該シャッター手段を駆動させる駆動手段とを備えた現像装置において、該現像剤収容部または該現像剤供給部を形成する側壁よりも外側に設けられ上記シャッター手段の変位に連動し、該シャッター手段が上記塞ぐ位置にあるときに到達する位置と、該シャッター手段が該塞ぐ位置から該露出させる位置に変位した際に該到達する位置から退避する位置と、の間を変位可能な移動部材を有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記現像剤供給部の上方に上記現像剤収容部が設けられており、該現像剤供給部の現像剤収容容積が該現像剤収容部の現像剤収容容積よりも小さいことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の現像装置において、上記現像剤供給部に該現像剤供給部内の現像剤を撹拌する供給部攪拌部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の現像装置において、上記シャッター手段は、該現像剤収容部内に設けられ回転軸を中心に回転し該現像剤収容部内の現像剤を撹拌する、上記連通口よりも大きな側面部を有する収容部攪拌部材であり、該攪拌部材駆動手段による回転動作によって、該収容部攪拌部材が該側面部で該連通口を塞ぐ位置と該塞ぐ位置から退避して該連通口を露出させる位置との間を変位可能なように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の現像装置において、上記側面部が可撓性を有するシート状の材料で構成されることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の現像装置において、収容部攪拌部材回転方向に切り込みの入ったスリット形状を上記側面部に形成したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4、5または6の現像装置において、上記回転軸の軸方向端部の一部分が上記現像剤収容部を形成する上記側壁の外側に露出しており、該回転軸の該側壁の外側に露出した部分には、該回転軸に回転駆動力を付与するためのギアが嵌合されるように構成されており、上記移動部材は、該ギアに形成された目印形状であることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の現像装置において、上記シャッター手段が上記塞ぐ位置にある状態で現像装置本体が運搬されることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、現像手段と、像担持体、帯電手段、除電手段またはクリーニング手段の少なくとも一つとを一体に形成し、画像形成装置に対して着脱自在なプロセスカートリッジにおいて、上記現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6または7の現像装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項9のプロセスカートリッジにおいて、上記シャッター手段が上記塞ぐ位置にある状態でプロセスカートリッジ本体が運搬されることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、潜像を担持する像担持体と、該像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、該現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6または7の現像装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、現像手段と、像担持体、帯電手段、除電手段またはクリーニング手段の少なくとも一つとを一体に形成し、装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、該プロセスカートリッジとして、請求項9のプロセスカートリッジを用いることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項11または12の画像形成装置において、上記シャッター手段が上記塞ぐ位置にある状態で画像形成装置本体が運搬されることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項13の画像形成装置において、上記現像装置が画像形成装置本体内に装着された際に、自動的に上記シャッター手段を上記塞ぐ位置に変位させる制御を行う制御手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項12または13の画像形成装置において、上記プロセスカートリッジが画像形成装置本体内に装着された際に、自動的に上記シャッター手段を上記塞ぐ位置に変位させる制御を行う制御手段を有することを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、上記側壁よりも外側に設けられた移動部材が上記到達する位置にあることで、シャッター手段が連通口を塞ぐ位置にあることがわかる。これにより、現像装置を運搬する際に、装置外部から移動部材が上記到達する位置にあるか否かを確認することで、連通口がシャッター手段によって塞がれているか否かの判断を行うことができる。よって、連通口がシャッター手段によって塞がれていない状態の現像装置が誤って運搬されるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0010】
以上、本発明によれば、現像剤収容部と現像剤供給部とを連通する連通口がシャッター手段によって塞がれていない状態で現像装置が運搬されるのを防ぐことができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って詳細に説明する。
図2は、本発明の現像装置などを一体に形成したプロセスカートリッジを備える画像形成装置の一実施形態を示している。この画像形成装置には、装置筐体のほぼ中央部に4個のプロセスカートリッジ2Y,2M,2C,2Kが整列配置されている。ここで、Y、M、C、Kはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを意味している。プロセスカートリッジ2の上方には、感光体20Y,20M,20C,20Kに静電潜像を形成するための露光装置3が設けられている。プロセスカートリッジ2の下方には、2本の支持ローラに巻き掛けられている被転写媒体である中間転写ベルト4が水平方向に沿って設けられている。この中間転写ベルト4は、1次転写ローラ5Y,5M,5C,5Kと感光体20Y,20M,20C,20Kとの間に挟み込まれている。1次転写ローラ5に高電圧を印加することによって感光体20と中間転写ベルト4との間に電界を形成すると、感光体表面の帯電トナー像が中間転写ベルト4に転写される。
【0012】
感光体20Y,20M,20C,20Kは、中間転写ベルト4の無端回転方向下流側に向けてブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順で並んでおり、これらの色のトナー像が中間転写ベルト4上に順次重ね合わされて4色トナー像が形成される。中間転写ベルト4の図中右側には、2次転写ローラ6と中間転写体クリーニング装置7が設けられている。中間転写ベルト4の下方には、紙や樹脂シートなどの記録媒体Pを収容する給紙カセット8が設けられている。給紙カセット8からは、タイミングをとって給紙ローラ9により記録媒体Pが送り出され、2次転写ローラ6で中間転写ベルト4から記録媒体Pに4色トナー像が転写される。この転写の時、2次転写ローラ6には高電圧が印加され、2次転写ローラ6と中間転写ベルト4との間に電界が形成され、帯電している4色トナー像は記録媒体P側へ静電的な力によって引き寄せられ、記録媒体Pに4色トナー像が転写される。
【0013】
4色トナー像が転写された記録媒体Pは中間転写ベルト4と2次転写ローラ6との間を通り抜けて、定着装置10へ導かれる。そして、定着装置10において4色トナー像が記録媒体Pに熱定着される。熱定着後、記録媒体Pは排紙ローラ11へ送られ、排紙ローラ11は記録媒体Pをトレイ上に排紙する。
【0014】
一方、中間転写ベルト4から記録媒体Pへ転写されずに中間転写ベルト4上に残った転写残トナーは、中間転写体クリーニング装置7のクリーニングブレード71によって掻き取られ、トナー回収室に回収される。クリーニングされた中間転写ベルト4は、次のトナー像の転写に備える。
【0015】
次に、電子写真画像形成プロセスについて説明する。図3にプロセスカートリッジ2の断面図を示す。感光体20は、画像形成装置本体に設置された駆動装置により正回転(図中時計回り回転)し、感光体20の表面の感光層が帯電ローラ22によって一様な高電位に帯電される。一様帯電された感光層は、露光装置3からの光学像を有する光線Lにより露光される。この露光により電位の減衰した低電位部と初期化による高電位部とからなる静電潜像が感光層に形成される。
【0016】
次いで、当該静電潜像の低電位部(又は高電位部)が感光体20と現像装置25に設けられた現像ローラ252との対向位置に至ると、表面にトナー薄層が形成された現像ローラ252からトナーが感光体20に移され、そのトナーによって静電潜像が現像されて感光体20の表面にトナー像が形成される。感光体20の回転が進むと、このトナー像は感光体20と中間転写ベルト4との対向位置で中間転写ベルト4に転写される。このとき、感光体20上には、中間転写ベルト4に転写されずに残った転写残トナーが存在するが、この転写残トナーはクリーニングブレード21によって感光体20から除去される。このクリーニングブレード21よりも感光体回転方向下流側には、帯電ローラ22が設けられており、さらに、この帯電ローラ22より感光体回転方向下流側には、不図示の除電装置が設けられている。除電装置では、感光体20の表面の残留電荷が除去される。
【0017】
次に、本発明の特徴部について説明する。
現像装置25には、図3に示したように、現像剤であるトナーを担持する現像ローラ252と、現像ローラ252にトナーを供給するトナー供給部251と、トナー供給部S2の上方に連通口Aを介して隣接しトナー供給部251に補給するトナーを収容するトナー収容部250が設けられている。また、トナー供給部251には、現像ローラ252の他に、現像ローラ252にトナーを供給するトナー供給ローラ254、現像ローラ252の表面に担持されたトナーの量を規制する現像ブレード255、トナー供給部251内のトナーを撹拌する攪拌部材257などが設けられている。トナー収容部250には、トナー収容部250内のトナーを攪拌する、回転軸253aを中心に回転可能な攪拌部材253などが設けられている。
【0018】
本実施形態の現像装置25においては、トナー収容部250とトナー供給部251とで収容されるトナー容量は異なり、トナー収容部250の方がトナー供給部251よりも収容できるトナーの容積が大きい。
【0019】
攪拌部材253は、回転の中心となる回転軸253aとトナーを攪拌するための羽部253bとからなり、図4に示すように攪拌部材253が所定の位置では、羽部253bが連通口Aの縁に沿って撓んだ状態で連通口Aを覆い塞ぐ。
【0020】
本実施形態においては、回転軸253aの一部がトナー収容部250を形成するケースの外側に露出しており、図5に示すように、回転軸253aのケース外側に露出した軸端部に図示しない駆動源から回転軸253aを回転駆動させる駆動力が伝達されるギア256が取り付けられている。そして、そのギア256の側面に図5に示すようなレーザー反射板256aを、羽部253bが連通口Aに対してどの位置にあるのかが分るようにする目印として取り付けている。このレーザー反射板256aはギア256の回転に伴ってギア256の周方向に回転移動するが、攪拌部材253の羽部253bも回転軸253aを介してギア256の回転に伴って回転する。この際、レーザー反射板256aと羽部253bとの位置関係は保たれているので、羽部253bが連通口Aを塞ぐ位置にあるときのレーザー反射板256aの位置を予め求めておき、その位置にレーザー反射板256aがあるのを目視で装置外から確認できるように構成している。
【0021】
なお、通常、現像装置25のギア256などが設けられた側の長手方向端部には、図1に示すように、ギア256などを覆う側板258が取り付けられており、この側板258には側板258よりも内側にあるレーザー反射板256aの位置を目視で確認できるような窓部258aが形成されている。そして、この窓部258aから羽部253bが連通口Aを塞ぐ位置にあるかどうかを、目視でレーザー反射板256aの位置から確認することができるようになっている。本実施形態の現像装置25では、窓部258aの縁につけられた基準目印A1を現像装置高さ方向に通る仮想直線と基準目印A2を現像装置短手方向に通る仮想直線とが交差する箇所にレーザー反射板256aがあるときに、連通口Aが羽部253bによって塞がれている。
【0022】
このように、羽部253bが連通口Aを塞ぐ位置にあるのを装置外部から検知し確認することができることで、連通口Aが羽部253bによって塞がれていない状態の現像装置25を備えるプロセスカートリッジ2が誤って出荷時に出荷されるのを防ぐことができる。また、連通口Aが羽部253bによって塞がれていない状態の現像装置25を備えるプロセスカートリッジ2を搬送して搬送時の振動などにより現像装置25からトナーが洩れ出してしまうのを未然に防ぐことも可能となる。
【0023】
また、本実施形態の画像形成装置には、図示しない光学センサーが設けられており、この光学センサーから発せられたレーザー光L´が窓部258aを通りレーザー反射板256aで反射され、その反射されたレーザー光L´を光学センサーで受光することで、羽部253bが連通口Aを塞ぐ位置にあるのを検知できるように構成されている。そして、画像形成装置内にプロセスカートリッジ2が装着されると、この光学センサーからの情報に基づき光学センサーによって羽部253bが連通口Aを塞ぐ位置にあるのが検知されるまで、羽部253bによって連通口Aが塞がれる位置まで攪拌部材253を自動的に回転駆動させるような制御が画像形成装置本体に設けられた図示しない制御部によって行われる。これにより、画像形成装置本体内にプロセスカートリッジ2が装着されたときに、確実に連通口Aが羽部253bによって塞がれるので、プロセスカートリッジ2を備えた画像形成装置を運搬する際に、運搬時の振動などによって現像装置25からトナーが洩れ出してしまうのを防ぐことができる。
【0024】
また、上述したようなセンサーを用いて現像装置25の攪拌部材253が羽部253bによって連通口Aを塞ぐ位置で停止しているか否かを検知することができることから、このような方法を用いた検査装置を用いて出荷前などに現像装置25またはプロセスカートリッジ2を検査し、連通口Aが羽部253bによって塞がれているか否か確認するようにしても良い。
【0025】
なお、羽部253bはペットシートのような可撓性を有するシート状の材料が好ましい。羽部253bは回転するたびに連通口A付近のケース内壁と接触するため、羽部253bが剛性の強い材料であると羽部253bと上記ケース内壁とが接触した際に攪拌部材253にかかる負荷が大きくなってトルクが上昇したり羽部253bと上記ケース内壁とが接触した際に異音が発生したりするなどの不具合が生じるため好ましくない。
【0026】
羽部253bと上記ケース内壁とが接触した際の上記負荷を低減するために、図6に示すような攪拌部材回転方向(回転軸253aの軸方向に直交する方向)に切り込みが入ったスリット形状253cを羽部253bに設けることも有効である。
【0027】
また、上記目印形状としては、攪拌部材253に回転駆動力を与えるためのギア256に図6に示すような凸形状256bでも良いし、ギア256の一部に穴を開けたような形状でも良い。
【0028】
上述したような現像装置25などを一体に形成したプロセスカートリッジ2を工場から出荷するときには、図7に示すような現像装置25の側方に設けられトナー収容部250と連通するトナー充填口Bからトナー収容部250内にトナーを充填する。この際、図8に示すようなトナー収容部250とトナー供給部251とを連通する連通口Aを、図9に示すような回転軸253aに軸支された羽部253bの側面部で塞ぐ位置で攪拌部材253を停止させておく。なお、本実施形態の現像装置25では図8に示すように2つの連通口Aを現像装置長手方向に互いの間隔をあけて設けているが、連通口Aの数や形成箇所などはこれに限定されるものではない。このように連通口Aが羽部253bで塞がれることで、トナー収容部250に充填されたトナーがトナー供給部251に移動できないので、トナー供給部251からトナーが洩れ出すのを防ぐことができる。また、トナー収容部250にトナーを充填した後は、トナー充填口Bをトナーキャップ259によって塞いでおく。
【0029】
ここで、プロセスカートリッジ2の品質保証する際の最も重要な点検項目としては、これから出荷するプロセスカートリッジ2を実際に用いて出力された画像の品質を保証することであると考えられる。このような点検項目の点検が行われると、出荷前の工程内でプロセスカートリッジ2を一度、画像形成装置本体内に装着し画像出力がなされるので、現像装置25によって通常の現像動作が行えるように、連通口Aを開口してトナー収容部250に充填されたトナーをトナー供給部251に移動させることになる。上記点検項目の点検が終われば冶具などを用いてプロセスカートリッジ2を駆動させて、羽部253bによって連通口Aを塞ぐ位置で攪拌部材253を停止させる。
【0030】
なお、現像ローラ252は回転可能に現像装置本体に保持されているので、現像ローラ252の表面と、その表面に対向する現像装置装置本体のケースとの間には必ず隙間がある。通常、この隙間にはトナー洩れを防止するために、図3などに示すようなシール部材260がケースに貼られており、トナー供給部251にトナーが存在していても上記隙間からトナー洩れが生じないように構成されている。ところが、現像ローラ回転時には、現像ローラ252がシール部材260に対して摺動するため、あまり現像ローラ252に対してシール圧を上げることができない。そのため、現像装置25に落下などによって強い衝撃が加わると、上記隙間にシール部材260を設けたとしても、その現像ローラ252周辺のシール部からトナーが洩れてしまうことがある。
【0031】
特に、本実施形態のように縦型の(トナー供給部251の上方に連通口Aを介してトナー収容部250が設けられた)現像装置25では、連通口Aが開口していると装置内に鉛直方向に長いスペースがあるため、トナー収容部250及びトナー供給部251にあるトナーの自重によって現像ローラ252周辺のトナーの粉圧が大きくなる。そのため、運搬中の振動や落下などにより衝撃が加わると、現像ローラ252周辺のシール部分からトナー漏れが発生し易くなる。
【0032】
よって、運搬時には、連通口Aを羽部253bによって塞ぐことで、現像ローラ252周辺のトナーの粉圧がトナー供給部251にあるトナーの自重によるものだけになるので、その分、現像ローラ252周辺のトナー粉圧の上昇が抑えられ、運搬中の振動や落下により衝撃が加わっても、現像ローラ252周辺のシール部からトナーが漏れ難くなる。
【0033】
なお、この際、図10に示すように、羽部253bによって連通口Aを完全に塞がれていなくても、現像ローラ252周辺のトナー粉圧に与えるトナー収容部250にあるトナーの自重の影響を低減させることができるため、その分、連通口Aが完全に開口している場合よりも、現像ローラ252周辺のシール部からトナーが漏れ難くなる。
【0034】
また、本実施形態の現像装置25のように、トナー供給部251のトナー収容容積がトナー収容部250のトナー収容容積よりも小さいことで、トナー供給部251内ののトナー量が少ないため、現像ローラ252周辺のトナー粉圧を低減でき、落下時のトナー洩れをより軽減できる。
【0035】
また、本実施形態の現像装置25のように、連通口Aと現像ローラ252との間にトナー供給部251内のトナーを撹拌する攪拌部材257を設けることで、運搬時にトナー供給部251内にトナーがあったとしても、トナー供給部251内でのトナーの移動を抑制することができ、さらに、攪拌部材257が落下時のトナー粉圧を受ける緩衝材として機能するので、トナー漏れ防止に対してさらに有効である。
【0036】
以上、本実施形態によれば、現像剤を担持する現像剤担持体である現像ローラ252と、現像ローラ252に現像剤であるトナーを供給する現像剤供給部であるトナー供給部251と、トナー供給部251に隣接しトナー供給部251に補給するトナーを収容する現像剤収容部であるトナー収容部250と、トナー供給部251とトナー収容部250とを連通する連通口Aと、連通口Aを塞ぐ位置と上記塞ぐ位置から退避して連通口Aを露出させる位置との間を変位可能なシャッター手段である攪拌部材253の羽部253bと、羽部253bを駆動させる駆動手段とを備えた現像装置25において、トナー収容部250またはトナー供給部251を形成する側壁よりも外側に設けられ攪拌部材253の羽部253bの変位に連動し、攪拌部材253の羽部253bが上記塞ぐ位置にあるときに到達する位置と、攪拌部材253の羽部253bが上記塞ぐ位置から上記露出させる位置に変位した際に上記到達する位置から退避する位置と、の間を変位可能な移動部材であるレーザー反射板256aを有している。本実施形態においては、上記側壁よりも外側に設けられたレーザー反射板256aが上記到達する位置にあることで、攪拌部材253の羽部253bが連通口Aを塞ぐ位置にあることがわかる。これにより、現像装置25を運搬する際に、装置外部からレーザー反射板256aが上記到達する位置にあるか否かを確認することで、連通口Aが攪拌部材253の羽部253bによって塞がれているか否かの判断を行うことができる。よって、連通口Aが攪拌部材253によって塞がれていない状態の現像装置25が誤って運搬されるのを防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、トナー供給部251の上方にトナー収容部250が設けられており、トナー供給部251のトナー収容容積がトナー収容部250のトナー収容容積よりも小さい。これにより、トナー洩れの発生し易い、現像ローラ252を有するトナー供給部251のトナー量が少ないため、落下時のトナー洩れが軽減できる。
また、本実施形態によれば、トナー供給部251にトナー供給部251内のトナーを撹拌する供給部攪拌部材である攪拌部材257を設けたことで、攪拌部材257が落下時のトナー粉圧を受ける緩衝材として機能し、落下時のトナー洩れを軽減できる。
また、本実施形態によれば、上記シャッター手段が、トナー収容部250内に設けられ回転軸253aを中心に回転しトナー収容部250内のトナーを撹拌する、連通口Aの開口よりも大きな側面部である羽部253bを有する収容部攪拌部材である攪拌部材253であり、上記駆動手段による回転動作によって、攪拌部材253が羽部253bで連通口Aを塞ぐ位置と上記塞ぐ位置から退避して連通口Aを露出させる位置との間を変位可能なように構成したことで、上記シャッター手段として専用の部材を新たに設けないので装置の小型化や低コスト化を図ることができる。
なお、当然ながら上記シャッター手段として、例えば上記特許文献2に記載の現像装置のように専用の部材を設けても良く、上記シャッター手段としては連通口Aの開閉を行える構成であれば良い。この際、上記シャッター手段の変位に連動し、上記シャッター手段が上記塞ぐ位置にあるときに到達する位置と、上記シャッター手段が上記塞ぐ位置から上記露出させる位置に変位した際に上記到達する位置から退避する位置と、の間を変位可能な移動部材を、上記シャッター手段の構成や配設箇所に応じて、トナー収容部250を形成する側壁とトナー供給部251を形成する側壁とのどちらか一方の外側に設ければ良い。
また、本実施形態によれば、羽部253bが可撓性を有するシート状の材料で構成されることで、上述したように回転時の負荷を軽減できる。
また、本実施形態によれば、攪拌部材回転方向に切り込みの入ったスリット形状253cを羽部253bに形成したことで、上述したように回転時の負荷を軽減できる。
また、本実施形態によれば、回転軸253aの軸方向端部の一部分がトナー収容部250を形成するケースの外側に露出しており、回転軸253aのケース外側に露出した部分には、回転軸253aに回転駆動力を付与するためのギア256が嵌合されるように構成されており、ギア256に攪拌部材253の羽部253bが上記塞ぐ位置にあるのを確認するための目印形状であるレーザー反射板256aを設けた。これにより、簡単な構成で容易に、装置外部から羽部253bが連通口Aを塞ぐ位置にあるのを検知することができる。
また、本実施形態によれば、攪拌部材253の羽部253bが上記塞ぐ位置にある状態で現像装置本体が運搬されることで、運搬時に生じ得るトナー漏れを防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、現像手段と、像担持体である感光体20、帯電手段である帯電ローラ22、除電手段またはクリーニング手段であるクリーニングブレード21の少なくとも一つとを一体に形成し、画像形成装置に対して着脱自在なプロセスカートリッジ2において、上記現像手段として、本発明の現像装置25を用いることで、プロセスカートリッジ2の運搬時に生じ得るトナー洩れを防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、攪拌部材253の羽部253bが上記塞ぐ位置にある状態でプロセスカートリッジ本体が運搬されることで、運搬時に生じ得るトナー漏れを防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、潜像を担持する像担持体である感光体20と、感光体20上の潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、上記現像手段として、本発明の現像装置25を用いることで、画像形成装置の運搬時に生じ得るトナー洩れを防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、現像手段と、像担持体である感光体20、帯電手段である帯電ローラ22、除電手段またはクリーニング手段であるクリーニングブレード21の少なくとも一つとを一体に形成し、装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、上記プロセスカートリッジとして本発明の現像装置25を有するプロセスカートリッジ2を用いることで、画像形成装置の運搬時に生じ得るトナー洩れを防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、攪拌部材253の羽部253bが上記塞ぐ位置にある状態で画像形成装置本体が運搬されることで、運搬時に生じ得るトナー漏れを防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、現像装置25またはプロセスカートリッジ2が画像形成装置本体内に装着された際に、自動的に攪拌部材253の羽部253bを上記塞ぐ位置に変位させる制御を行う制御手段である上記制御部を有することで、画像形成装置本体内に現像装置25やプロセスカートリッジ2などが装着されたときに、確実に連通口Aを羽部253bによって塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の特徴部を有するプロセスカートリッジの斜視図。
【図2】本実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図3】プロセスカートリッジの断面図。
【図4】連通口が羽部で塞がれている状態を示す模式図。
【図5】ギアの側面にレーザー反射板を取り付けた場合の模式図。
【図6】ギアの側面に凸形状を設けたり羽部にスリット形状を設けた場合の模式図。
【図7】トナーキャップを取り外してトナー充填口を開口した状態を示す現像装置の斜視図。
【図8】プロセスカートリッジの斜視断面図。
【図9】連通口を羽部で塞いでいる状態を示すプロセスカートリッジの斜視断面図。
【図10】羽部によって連通口の一部分を塞いでいる状態を示す模式図。
【符号の説明】
【0038】
2 プロセスカートリッジ
3 露光装置
4 中間転写ベルト
5 1次転写ローラ
6 2次転写ローラ
7 中間転写体クリーニング装置
8 給紙カセット
9 給紙ローラ
10 定着装置
11 排紙ローラ
20 感光体
21 クリーニングブレード
22 帯電ローラ
25 現像装置
71 クリーニングブレード
250 トナー収容部
251 トナー供給部
252 現像ローラ
253 攪拌部材
253a 回転軸
253b 羽部
253c スリット形状
254 トナー供給ローラ
255 現像ブレード
256 ギア
256a レーザー反射板
256b 凸形状
257 攪拌部材
258 側板
258a 窓部
259 トナーキャップ
260 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持する現像剤担持体と、
該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部と、
該現像剤供給部に隣接し該現像剤供給部に補給する現像剤を収容する現像剤収容部と、
該現像剤供給部と該現像剤収容部とを連通する連通口と、
該連通口を塞ぐ位置と該塞ぐ位置から退避して該連通口を露出させる位置との間を変位可能なシャッター手段と、
該シャッター手段を駆動させる駆動手段とを備えた現像装置において、
該現像剤収容部または該現像剤供給部を形成する側壁よりも外側に設けられ上記シャッター手段の変位に連動し、該シャッター手段が上記塞ぐ位置にあるときに到達する位置と、該シャッター手段が該塞ぐ位置から該露出させる位置に変位した際に該到達する位置から退避する位置と、の間を変位可能な移動部材を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記現像剤供給部の上方に上記現像剤収容部が設けられており、
該現像剤供給部の現像剤収容容積が該現像剤収容部の現像剤収容容積よりも小さいことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2の現像装置において、
上記現像剤供給部に該現像剤供給部内の現像剤を撹拌する供給部攪拌部材を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の現像装置において、
上記シャッター手段は、該現像剤収容部内に設けられ回転軸を中心に回転し該現像剤収容部内の現像剤を撹拌する、上記連通口よりも大きな側面部を有する収容部攪拌部材であり、
該攪拌部材駆動手段による回転動作によって、該収容部攪拌部材が該側面部で該連通口を塞ぐ位置と該塞ぐ位置から退避して該連通口を露出させる位置との間を変位可能なように構成したことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項4の現像装置において、
上記側面部が可撓性を有するシート状の材料で構成されることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項5の現像装置において、
収容部攪拌部材回転方向に切り込みの入ったスリット形状を上記側面部に形成したことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項4、5または6の現像装置において、
上記回転軸の軸方向端部の一部分が上記現像剤収容部を形成する上記側壁の外側に露出しており、
該回転軸の該側壁の外側に露出した部分には、該回転軸に回転駆動力を付与するためのギアが嵌合されるように構成されており、
上記移動部材は、該ギアに形成された目印形状であることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7の現像装置において、
上記シャッター手段が上記塞ぐ位置にある状態で現像装置本体が運搬されることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
現像手段と、像担持体、帯電手段、除電手段またはクリーニング手段の少なくとも一つとを一体に形成し、画像形成装置に対して着脱自在なプロセスカートリッジにおいて、
上記現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6または7の現像装置を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項9のプロセスカートリッジにおいて、
上記シャッター手段が上記塞ぐ位置にある状態でプロセスカートリッジ本体が運搬されることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項11】
潜像を担持する像担持体と、
該像担持体上の潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、
該現像手段として、請求項1、2、3、4、5、6または7の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
現像手段と、像担持体、帯電手段、除電手段またはクリーニング手段の少なくとも一つとを一体に形成し、装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、
該プロセスカートリッジとして、請求項9のプロセスカートリッジを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項11または12の画像形成装置において、
上記シャッター手段が上記塞ぐ位置にある状態で画像形成装置本体が運搬されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13の画像形成装置において、
上記現像装置が画像形成装置本体内に装着された際に、自動的に上記シャッター手段を上記塞ぐ位置に変位させる制御を行う制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項12または13の画像形成装置において、
上記プロセスカートリッジが画像形成装置本体内に装着された際に、自動的に上記シャッター手段を上記塞ぐ位置に変位させる制御を行う制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−72118(P2010−72118A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237194(P2008−237194)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】