説明

現像装置および画像形成装置

【課題】ハイブリッド現像を採用する場合において、画像メモリを確実に防止する。
【解決手段】トナーとキャリアを含む現像剤を用いて、静電潜像担持体12上の静電潜像を可視像化する現像装置34に、現像剤を担持する現像剤担持体54と、供給回収領域88を介して現像剤担持体54に対向し且つ現像領域96を介して静電潜像担持体12に対向するように配置され、供給回収領域88において現像剤担持体54から供給されたトナーを担持するトナー担持体48と、現像剤担持体54とトナー担持体48との間に、現像剤担持体54とトナー担持体48との間でトナーの供給と回収を行うための第1の交流電界を形成し、トナー担持体48と静電潜像担持体12との間に、トナー担持体48から静電潜像担持体12へトナーを移動させるための第2の交流電界を形成する電界形成手段110と、を設け、第1の交流電界の周波数を第2の交流電界の周波数よりも大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置、及びこの画像形成装置に使用される現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置に関して、ハイブリッド現像と呼ばれる現像方式を採用する技術が提案されている(特許文献1参照)。ハイブリッド現像を採用した画像形成装置は、現像剤担持体(磁気ローラ)とトナー担持体(現像ローラ)とを備えた現像装置を有する。現像剤担持体の外周面には、非磁性トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤が保持され、現像剤担持体に保持された現像剤からトナーだけが選択的にトナー担持体の外周面に供給されて、このトナー担持体の外周面に保持されたトナーが、静電潜像担持体上の静電潜像の顕在化(現像)に利用される。
【0003】
ハイブリッド現像では、現像剤担持体の外周面に保持された現像剤が、現像剤担持体の周囲に形成される磁力線に沿って配置される。このような状態で現像剤担持体の周囲に配置された現像剤は磁気ブラシと呼ばれる。現像剤担持体とトナー担持体との近接領域(供給回収領域)では、磁気ブラシの先端がトナー担持体の外周面に接触し、磁気ブラシを構成する現像剤のうちトナーだけが、現像剤担持体とトナー担持体との間に形成された電界により、トナー担持体の外周面へ移動する。トナー担持体の外周面に保持されたトナーの一部は、静電潜像担持体との近接領域(現像領域)において、トナー担持体と静電潜像担持体との間に形成された電界により静電潜像担持体の静電潜像画像部へ移動する。トナー担持体上の残りのトナーは、トナー担持体の回転により供給回収領域に搬送されると、磁気ブラシの先端により機械的に掻き取られ、トナー担持体の外周面から除去される。
【0004】
現像剤担持体とトナー担持体には、交流成分を含むバイアスがそれぞれ印加される。これにより、現像剤担持体とトナー担持体との間には供給回収電界が形成され、トナー担持体と静電潜像担持体との間には現像電界が形成される。供給回収電界は、現像剤担持体上のトナーをトナー担持体へ供給する供給側の電位差と、トナー担持体上のトナーを現像剤担持体へ回収する回収側の電位差とが交互に繰り返されてなる交流電界である。一方、現像電界は、トナー担持体上のトナーを静電潜像担持体上の静電潜像画像部へ移動させる現像側の電位差と、静電潜像担持体上の静電潜像画像部からトナー担持体へトナーが回収される回収側の電位差とが交互に繰り返されてなる交流電界である。現像電界の周波数は、現像に悪影響が及ぶ周波数を超えない大きさに設定され、供給回収電界の周波数は現像電界の周波数と同じ大きさとなる(例えば特許文献2及び特許文献3参照)。
【0005】
ハイブリッド現像は、トナーが受けるストレスが小さいこと、高品質の画像が得られること、トナーの飛散が少ないことなどの利点を有する。しかし、ハイブリッド現像には、画像メモリと呼ばれる現象が発生しやすい問題がある。画像メモリとは、印字画像の濃淡が反転した画像(反転画像)が直後の画像領域に出現する現象をいう。例えば、白紙部とベタ部が混在してなる印字画像の画像メモリが、全面ハーフトーン濃度の画像領域(ハーフトーン画像領域)に発生する場合、ハーフトーン画像領域の濃度は、ベタ部であった部分よりも白紙部であった部分が高くなる。
【0006】
ハイブリッド現像を採用する場合に画像メモリが発生する理由としては、現像剤担持体上の磁気ブラシによりトナー担持体上のトナーを十分に回収できず、トナー担持体上におけるトナー付着量のばらつきを解消できないことが考えられる。
【特許文献1】特開2006−308687号公報
【特許文献2】特開2005−242281号公報
【特許文献3】特開2003−15380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ハイブリッド現像方式において、トナー担持体上からのトナー回収性能を高めるためには、トナー担持体上のトナーを回収するための回収部材を現像剤担持体とは別に設けることが考えられる。しかし、現像剤担持体とは別に回収部材を設けると、部品点数が増加し、装置の大型化を招く不具合が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、ハイブリッド現像を採用する場合において、部品点数の増加を伴うことなく、画像メモリを確実に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る現像装置は、
非磁性トナーと磁性キャリアを含む現像剤を用いて、静電潜像担持体上の静電潜像を可視像化する現像装置であって、
前記現像剤を担持する現像剤担持体と、
供給回収領域を介して前記現像剤担持体に対向し且つ現像領域を介して前記静電潜像担持体に対向するように配置され、前記供給回収領域において前記現像剤担持体から供給されたトナーを担持するトナー担持体と、
前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間に、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間でトナーの供給と回収を行うための第1の交流電界を形成し、前記トナー担持体と前記静電潜像担持体との間に、前記トナー担持体から前記静電潜像担持体へトナーを移動させるための第2の交流電界を形成する電界形成手段と、を備え、
第1の交流電界の周波数が第2の交流電界の周波数よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、上記の現像装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現像剤担持体とトナー担持体との間に形成される第1の交流電界の周波数が、トナー担持体と静電潜像担持体との間に形成される第2の交流電界の周波数よりも大きいため、従来のように第1の交流電界の周波数と第2の交流電界の周波数が等しい場合に比べて、第1の交流電界の周波数を十分に大きくすることができる。よって、第2の交流電界の周波数を従来と同様の大きさに設定することで、現像に悪影響が及ぶことを回避することができ、第1の交流電界の周波数を十分に大きく設定することで、現像剤担持体とトナー担持体との間におけるトナーの供給と回収を活発にさせることができる。したがって、十分なトナーの供給と回収により、トナー担持体の外周面上のトナー付着量を均一にすることができ、これにより、部品点数の増加を伴うことなく画像メモリの発生を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語、「時計回り方向」、「反時計回り方向」)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明は限定的に解釈されるべきものでない。また、以下に説明する画像形成装置及び現像装置では、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。
【0013】
〔1.画像形成装置〕
図1は、本発明に係る電子写真式画像形成装置の画像形成に関連する部分を示す。画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合的に備えた複合機のいずれであってもよい。画像形成装置1は、静電潜像坦持体である感光体12を有する。実施形態において、感光体12は円筒体で構成されているが、本発明はそのような形態に限定されるものでなく、代わりに無端ベルト式の感光体も使用可能である。感光体12は、図示しないモータに駆動連結されており、モータの駆動に基づいて矢印14方向に回転するようにしてある。感光体12の周囲には、感光体12の回転方向に沿って、帯電ステーション16、露光ステーション18、現像ステーション20、転写ステーション22、およびクリーニングステーション24が配置されている。
【0014】
帯電ステーション16は、感光体12の外周面である感光体層を所定の電位に帯電する帯電装置26を備えている。実施形態では、帯電装置26は円筒形状のローラとして表されているが、これに代えて他の形態の帯電装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式帯電装置、ワイヤ放電式帯電装置)も使用できる。露光ステーション18は、感光体12の近傍又は感光体12から離れた場所に配置された露光装置28から出射された画像光30が、帯電された感光体12の外周面に向けて進行するための通路32を有する。露光ステーション18を通過した感光体12の外周面には、画像光が投射されて電位の減衰した部分とほぼ帯電電位を維持する部分からなる、静電潜像が形成される。実施形態では、電位の減衰した部分が静電潜像画像部、ほぼ帯電電位を維持する部分が静電潜像非画像部である。現像ステーション20は、粉体現像剤を用いて静電潜像を可視像化する現像装置34を有する。現像装置34の詳細は後に説明する。転写ステーション22は、感光体12の外周面に形成された可視像を紙やフィルムなどのシート38に転写する転写装置36を有する。実施形態では、転写装置36は円筒形状のローラとして表されているが、他の形態の転写装置(例えば、ワイヤ放電式転写装置)も使用できる。クリーニングステーション24は、転写ステーション22でシート38に転写されることなく感光体12の外周面に残留する未転写トナーを感光体12の外周面から回収するクリーニング装置40を有する。実施形態では、クリーニング装置40は板状のブレードとして示されているが、代わりに他の形態のクリーニング装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式クリーニング装置)も使用できる。
【0015】
このような構成を備えた画像形成装置1の画像形成時、感光体12はモータ(図示せず)の駆動に基づいて時計周り方向に回転する。このとき、帯電ステーション16を通過する感光体外周部分は、帯電装置26で所定の電位に帯電される。帯電された感光体外周部分は、露光ステーション18で画像光30が露光されて静電潜像が形成される。静電潜像は、感光体12の回転と共に現像ステーション20に搬送され、そこで現像装置34によって現像剤像として可視像化される。可視像化された現像剤像は、感光体12の回転と共に転写ステーション22に搬送され、そこで転写装置36によりシート38に転写される。現像剤像が転写されたシート38は図示しない定着ステーションに搬送され、そこでシート38に現像剤像が固定される。転写ステーション22を通過した感光体外周部分はクリーニングステーション24に搬送され、そこでシート38に転写されることなく感光体12の外周面に残存する現像剤が回収される。
【0016】
〔2.現像装置〕
現像装置34は、第1の成分粒子である非磁性トナーと第2の成分粒子である磁性キャリアを含む2成分現像剤と以下に説明する種々の部材を収容するハウジング42を備えている。図面を簡略化することで発明の理解を容易にするため、ハウジング42の一部は削除してある。ハウジング42は感光体12に向けて開放された開口部44を備えており、この開口部44の近傍に形成された空間46にトナー担持体である現像ローラ48が設けてある。現像ローラ48は、円筒状の部材であり、感光体12と平行に且つ感光体12の外周面と所定の現像ギャップ50を介して、回転可能に配置されている。
【0017】
現像ローラ48の背後には、別の空間52が形成されている。空間52には、現像剤担持体である搬送ローラ54が、現像ローラ48と平行に且つ現像ローラ48の外周面と所定の供給回収ギャップ56を介して配置されている。搬送ローラ54は、磁石体58と、磁石体58の周囲を回転可能に支持された円筒スリーブ60を有する。スリーブ60の上方には、ハウジング42に固定され、スリーブ60の中心軸と平行に伸びる規制板62が、所定の規制ギャップ64を介して対向配置されている。
【0018】
磁石体58は、スリーブ60の内面に対向し、搬送ローラ54の中心軸方向に伸びる、複数の磁極を有する。実施形態では、複数の磁極は、規制板62の近傍にある搬送ローラ54の上部内周面部分に対向する磁極S1、供給回収ギャップ56の近傍にある搬送ローラ54の左側内周面部分に対向する磁極N1、搬送ローラ54の下部内周面部分に対向する磁極S2、搬送ローラ54の右側内周面部分に対向する、2つの隣接する同極性の磁極N2,N3を含む。
【0019】
搬送ローラ54の背後には、現像剤攪拌室66が形成されている。攪拌室66は、搬送ローラ54の近傍に形成された前室68と搬送ローラ54から離れた後室70を有する。前室68には図面の表面から裏面に向かって現像剤を攪拌しながら搬送する前攪拌搬送部材である前スクリュー72が回転可能に配置され、後室70には図面の裏面から表面に向かって現像剤を攪拌しながら搬送する後攪拌部材搬送部材である後スクリュー74が回転可能に配置されている。図示するように、前室68と後室70は、両者の間に設けた隔壁76で分離してもよい。この場合、前室68と後室70の両端近傍にある隔壁部分は除かれて連絡通路が形成されており、前室68の下流側端部に到達した現像剤が連絡通路を介して後室70へ送り込まれ、また後室70の下流側端部に到達した現像剤が連絡通路を介して前室68に送り込まれるようにしてある。
【0020】
このように構成された現像装置34の動作を説明する。画像形成時、図示しないモータの駆動に基づいて、現像ローラ48とスリーブ60はそれぞれ矢印78,80方向に回転する。前スクリュー72は矢印82方向に回転し、後スクリュー74は矢印84方向に回転する。これにより、現像剤攪拌室66に収容されている現像剤2は、前室68と後室70を循環搬送されながら、攪拌される。その結果、現像剤に含まれるトナーとキャリアが摩擦接触し、互いに逆の極性に帯電される。実施形態では、キャリアは正極性、トナーは負極性に帯電されるものとする。キャリアはトナーに比べて相当大きいため、正極性に帯電したキャリアの周囲に、負極性に帯電したトナーが、主として両者の電気的な吸引力に基づいて付着している。
【0021】
帯電された現像剤2は、前スクリュー72によって前室68を搬送される過程で搬送ローラ54に供給される。前スクリュー72から搬送ローラ54に供給された現像剤2は、磁極N3の近傍で、磁極N3の磁力によって、スリーブ60の外周面に保持される。スリーブ60に保持された現像剤2は、磁石体58によって形成された磁力線に沿って磁気ブラシを構成しており、スリーブ60の回転に基づいて反時計周り方向に搬送される。規制板62の対向領域(規制領域86)で磁極S1に保持されている現像剤2は、規制板62により、規制ギャップ64を通過する量が所定量に規制される。規制ギャップ64を通過した現像剤2は、磁極N1が対向する、現像ローラ48と搬送ローラ54が対向する領域(供給回収領域)88に搬送される。後に詳細に説明するように、供給回収領域88のうち、主にスリーブ60の回転方向に関して上流側の領域(供給領域)90では、現像ローラ48とスリーブ60との間に形成された電界の存在により、キャリアに付着しているトナーが現像ローラ48に電気的に供給される。また、供給回収領域88のうち、主にスリーブ60の回転方向に関して下流側の領域(回収領域)92では、後に説明するように、現像に寄与することなく供給回収領域88に送り戻された現像ローラ48上のトナーが、磁極N1の磁力線に沿って形成されている磁気ブラシに掻き取られてスリーブ60に回収される。キャリアは磁石体58の磁力によってスリーブ60の外周面に保持されており、スリーブ60から現像ローラ48に移動することはない。供給回収領域88を通過した現像剤2は、磁石体58の磁力に保持され、スリーブ60の回転と共に磁極S2の対向部を通過して磁極N2とN3の対向領域(放出領域94)に到達すると、磁極N2とN3によって形成される反発磁界によってスリーブ60の外周面から前室68に放出され、前室68を搬送されている現像剤2に混合される。
【0022】
供給領域90で現像ローラ48に保持されたトナーは、現像ローラ48の回転と共に反時計周り方向に搬送され、感光体12と現像ローラ48が対向する領域(現像領域)96で、感光体12の外周面に形成されている静電潜像画像部に付着する。実施形態の画像形成装置では、感光体12の外周面は帯電装置26で負極性の所定の電位Vが付与され、露光装置28で画像光30が投射された静電潜像画像部が所定の電位Vまで減衰し、露光装置28で画像光30が投射されていない静電潜像非画像部はほぼ帯電電位Vを維持している。したがって、現像領域96では、感光体12と現像ローラ48との間に形成されている電界の作用を受けて、負極性に帯電したトナーが静電潜像画像部に付着し、この静電潜像を現像剤像として可視像化する。
【0023】
このようにして現像剤2からトナーが消費されると、消費された量に見合う量のトナーが現像剤2に補給されることが好ましい。そのために、現像装置34は、ハウジング42に収容されているトナーとキャリアの混合比を測定する手段を備えている。また、後室70の上方にはトナー補給部98が設けてある。トナー補給部98は、トナーを収容するための容器100を有する。容器100の底部には開口部102が形成されており、この開口部102に補給ローラ104が配置されている。補給ローラ104は図示しないモータに駆動連結されており、トナーとキャリアの混合比を測定する手段の出力に基づいてモータが駆動し、トナーが後室70に落下補給するようにしてある。
【0024】
〔3.現像剤の材料〕
トナー、キャリア、および現像剤に含まれる他の粒子の具体的な材料を説明する。
【0025】
〔トナー〕
トナーには、画像形成装置で従来から一般に使用されている公知のトナーを使用できる。トナー粒径は、例えば約3〜15μmである。バインダー樹脂中に着色剤を含有させたトナー、荷電制御剤や離型剤を含有するトナー、表面に添加剤を保持するトナーも使用できる。
【0026】
トナーは、例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の方法で製造できる。
【0027】
〔バインダー樹脂〕
トナーに使用されるバインダー樹脂は、限定的ではないが、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、またはそれらの樹脂を任意に混ぜ合わせたものである。バインダー樹脂は、軟化温度が約80〜160℃の範囲、ガラス転移点が約50〜75℃の範囲であることが好ましい。
【0028】
〔着色剤〕
着色剤は、公知の材料、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができる。着色剤の添加量は、一般に、バインダー樹脂100重量部に対して、2〜20重量部であることが好ましい。
【0029】
〔荷電制御剤〕
荷電制御剤は、従来から荷電制御剤として知られている材料が使用できる。具体的に、正極性に帯電するトナーには、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂が荷電制御剤として使用できる。負極性に帯電するトナーには、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物が荷電制御剤として使用できる。荷電制御剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
【0030】
離型剤は、従来から離型剤として使用されている公知のものを使用できる。離型剤の材料には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス、又はそれらを適宜組み合わせた混合物が用いられる。離型剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
【0031】
〔その他の添加剤〕
その他、現像剤の流動化を促進する流動化剤を添加してもよい。流動化剤には、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子や、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子が使用できる。特にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、およびシリコーンオイル等で疎水化した材料を用いるのが好ましい。流動化剤は、トナー100重量部に対して、0.1〜5重量部の割合で添加させることが好ましい。これら添加剤の個数平均一次粒径は9〜100nmであることが好ましい。
〔キャリア〕
キャリアは、従来から一般に使用されている公知のキャリアを使用できる。バインダー型キャリアやコート型キャリアのいずれを用いてもよい。キャリア粒径は、限定的ではないが、約15〜100μmが好ましい。
【0032】
バインダー型キャリアは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、表面に正極性または負極性に帯電する微粒子又はコーティング層を有するものが使用できる。バインダー型キャリアの極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御できる。
【0033】
バインダー型キャリアに用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の硬化性樹脂が例示される。
【0034】
バインダー型キャリアの磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Mg、Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の粒子を用いることができる。キャリアの形状は、粒状、球状、針状のいずれであってもよい。特に高磁化を要する場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有する磁性樹脂キャリアを得ることができる。磁性体微粒子は磁性樹脂キャリア中に50〜90重量%の量で添加することが適当である。
【0035】
バインダー型キャリアの表面コート材としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられる。これらの樹脂をキャリア表面にコートし硬化させてコート層を形成することにより、キャリアの電荷付与能力を向上できる。
【0036】
バインダー型キャリアの表面への帯電性微粒子あるいは導電性微粒子の固着は、例えば、磁性樹脂キャリアと微粒子とを均一混合し、磁性樹脂キャリアの表面にこれら微粒子を付着させた後、機械的・熱的な衝撃力を与えることにより微粒子を磁性樹脂キャリア中に打ち込むことで行われる。この場合、微粒子は、磁性樹脂キャリア中に完全に埋設されるのではなく、その一部が磁性樹脂キャリア表面から突出するように固定される。帯電性微粒子には、有機、無機の絶縁性材料が用いられる。具体的に、有機系の絶縁性材料としては、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂およびこれらの架橋物などの有機絶縁性微粒子がある。電荷付与能力および帯電極性は、帯電性微粒子の素材、重合触媒、表面処理等に調整できる。無機系の絶縁性材料としては、シリカ、二酸化チタン等の負極性に帯電する無機微粒子や、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等の正極性に帯電する無機微粒子が用いられる。
【0037】
コート型キャリアは、磁性体からなるキャリアコア粒子を樹脂で被覆したキャリアであり、バインダー型キャリア同様に、キャリア表面に正極性または負極性に帯電する帯電性微粒子を固着することができる。コート型キャリアの極性等の帯電特性は、表面コーティング層の種類や帯電性微粒子の選択により調整できる。コーティング樹脂は、バインダー型キャリアのバインダー樹脂と同様の樹脂が使用可能である。
【0038】
トナーとキャリアの混合比は所望のトナー帯電量が得られるよう調整されれば良く、トナー比はトナーとキャリアとの合計量に対して3〜50重量%、好ましくは6〜30重量%が好ましい。
【0039】
〔荷電粒子〕
キャリアの長寿命化を図るため、トナーとの摩擦接触によりトナーを正規の極性に帯電する荷電粒子(インプラント粒子)を、第3の成分として2成分現像剤に添加するようにしてもよい。荷電粒子が添加される場合、キャリアの表面に汚れ(スペント)が生じても、スペントに荷電粒子が打ち込まれることで、長期に亘って安定したトナーの荷電性が得られる。好適に使用される荷電粒子は、トナーの帯電極性に応じて適宜選択される。キャリアとの摩擦接触により負極性に帯電するトナーを用いる場合、荷電粒子は、トナーとの接触により正極性に帯電する微粒子が用いられ、具体的には、例えばチタン酸ストロンチウムが用いられる。
【0040】
〔4.電界形成手段〕
搬送ローラ54と現像ローラ48との間に、トナーの供給と回収を行うための第1の交流電界である供給回収電界を形成し、現像ローラ48と感光体12との間に、搬送ローラ54から感光体12へトナーを移動させるための第2の交流電界である現像電界を形成するために、現像ローラ48と搬送ローラ54は電界形成装置110と電気的に接続されている。電界形成装置110は、画像形成装置1の任意の位置に設けられた制御部182により制御される。電界形成装置110の構成は特に限定されないが、電界形成装置110は例えば図2に示すように構成される。図2に示す構成において、電界形成装置110は、現像ローラ48に一端が接続されたコイル114と、コイル114の他端に接続された直流電源112と、コイル114に隣接配置されたコイル116と、コイル116に接続された増幅器118と、コイル114の一端に接続された直流電源122と、直流電源122に一端が接続され搬送ローラ54に他端が接続されたコイル124と、コイル124に隣接配置されたコイル126と、コイル126に接続された増幅器128とを備えている。
【0041】
供給回収電界は、電界形成装置110により現像ローラ48に印加される現像バイアスVdと、電界形成装置110により搬送ローラ54に印加される供給バイアスVsとの電位差(Vd−Vs)からなり、現像電界は、感光体12上の静電潜像画像部の電位と現像バイアスVdとの電位差からなる。
【0042】
〈第1の実施形態〉
図3と図4を参照しながら、第1の実施形態に係る現像バイアスVdと供給バイアスVsの構成について説明する。
【0043】
図3に示すように、現像バイアスVdの波形は、最大値Vdmaxと最小値Vdminとが交互に繰り返される矩形波であり、現像バイアスVdの実効値は、現像バイアスVdの1周期当たりの積分値Voである。現像バイアスVdは、交流成分に直流成分が重畳されて構成されている。現像バイアスVdの周期Tは、現像バイアスVdが実効値Voよりも高い高電圧期間TDHと、現像バイアスVdが実効値Voよりも低い低電圧期間TDLとからなる。現像バイアスVdのデューティ比(TDH/T)は例えば50%に設定されるが、これに限定されるものではない。すなわち、高電圧期間TDHの長さと低電圧期間TDLの長さは等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0044】
供給バイアスVsは、現像バイアスVdの高電圧期間TDH中に搬送ローラ54に印加される第1の交流電圧VS1と、現像バイアスVdの低電圧期間TDL中に搬送ローラ54に印加される第2の交流電圧VS2とが交互に繰り返されてなる電圧である。
【0045】
第1の交流電圧VS1は、現像バイアスVdの高電圧期間TDHよりも短い周期TS1を有する。具体的に、第1の交流電圧VS1は、高電圧期間TDHにおいて直流成分と現像バイアスVdの交流成分よりも周波数が高い交流成分とを現像バイアスVdに重畳してなる電圧である。これにより、第1の交流電圧VS1の波形は、現像バイアスVdの最大値Vdmaxよりも高い最大値VS1MAXと、現像バイアスVdの最大値Vdmaxよりも低い最小値VS1MINとが交互に繰り返される矩形波となる。
【0046】
同様に、第2の交流電圧VS2は、現像バイアスVdの低電圧期間TDLよりも短い周期TS2を有する。具体的に、第2の交流電圧VS2は、低電圧期間TDLにおいて直流成分と現像バイアスVdの交流成分よりも周波数が高い交流成分とを現像バイアスVdに重畳してなる電圧である。低電圧期間TDLにおいて現像バイアスVdに重畳される交流成分は、高電圧期間TDHにおいて現像バイアスVdに重畳される交流成分と同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。高電圧期間TDHであるか又は低電圧期間TDLであるかに関わらず、常に同じ交流成分を現像バイアスVdに重畳して供給バイアスVsを形成する場合、第1の交流電圧VS1の周期TS1と第2の交流電圧VS2の周期TS2は等しくなる。第2の交流電圧VS2の波形は、現像バイアスVdの最小値Vdminよりも高い最大値VS2MAXと、現像バイアスVdの最小値Vdminよりも低い最小値VS2MINとが交互に繰り返される矩形波である。なお、実施形態において、第2の交流電圧VS2の最大値VS2MAXは、第1の交流電圧VS1の最小値VS1MINと同じ大きさとなっている。
【0047】
本実施形態において、現像バイアスVdの高電圧期間TDHの長さは、供給バイアスVsの第1の交流電圧VS1の周期TS1の整数倍(図3では3倍)であり、現像バイアスVdの低電圧期間TDLの長さは、供給バイアスVsの第2の交流電圧VS2の周期TS2の整数倍(図3では3倍)である。これにより、供給回収電界、すなわち、現像バイアスVdと供給バイアスVsとの電位差(Vd−Vs)の波形は、図4に示すように連続した矩形波となる。そのため、供給回収領域88においてトナーの供給と回収を適切に行うことができる。供給回収電界の周期は、現像バイアスVdの高電圧期間TDHにおいては供給バイアスVsの第1の交流電圧VS1の周期TS1と等しく、現像バイアスVdの低電圧期間TDLにおいては供給バイアスVsの第2の交流電圧VS2の周期TS2と等しい。
【0048】
一方、現像電界、すなわち感光体12上の静電潜像画像部の電位と現像バイアスVdとの電位差は、現像バイアスVdと同じ周期Tの交流電界となる。よって、供給回収電界の周期TS1またはTS2は、現像電界の周期Tよりも著しく小さくなる。すなわち、供給回収電界の周波数が、現像電界の周波数よりも顕著に大きくなる。そのため、現像電界の周波数を、現像領域96におけるトナーの感度が過剰に高くならない程度に小さく設定しても、供給回収電界の周波数を十分に大きくすることができるため、供給回収領域88においてトナーの供給と回収を十分に行うようにすることができる。したがって、現像ローラ48上のトナー付着量のばらつきを抑制することができ、これにより、画像メモリの発生を確実に防止することができる。
【0049】
〈第2の実施形態〉
図5及び図6を参照しながら、第2の実施形態に係る現像バイアスVdと供給バイアスVsの構成について説明する。第2の実施形態は、現像バイアスVdの高電圧期間TDHの長さを、供給バイアスVsの第1の交流電圧VS1の周期TS1の整数倍にしたり、現像バイアスVdの低電圧期間TDLの長さを、供給バイアスVsの第2の交流電圧VS2の周期TS2の整数倍にしたりすることができない場合に好適な実施形態である。
【0050】
図5に示すように、現像バイアスVdは、図3に示す第1の実施形態と同様の構成からなる。一方、供給バイアスVsについては、第1の交流電圧VS1と第2の交流電圧VS2が休止期間TP1,TP2を有する点で、第1の実施形態と異なる。休止期間TP1,TP2は、第1の交流電圧VS1又は第2の交流電圧VS2を形成するために現像バイアスVdに重畳されるバイアス成分が休止する期間である。第1の交流電圧VS1の休止期間TP1は現像バイアスVdの高電圧期間TDHの終期に設けられ、第2の交流電圧VS2の休止期間TP2は現像バイアスVdの低電圧期間TDLの終期に設けられている。ただし、休止期間TP1,TP2は、高電圧期間TDH又は低電圧期間TDLの始期に設けたり、高電圧期間TDH又は低電圧期間TDLの始期と終期の両方に設けたりしてもよい。また、第1の交流電圧VS1又は第2の交流電圧VS2の一方に休止期間TP1,TP2を設けるようにしてもよい。
【0051】
このようにして休止期間TP1,TP2を設けると、供給バイアスVsが第1の交流電圧VS1と第2の交流電圧VS2との間で切り替わるとき、供給バイアスVsの振幅が瞬間的に大きくなることを回避でき、これによりリークの発生を防止できる。
【0052】
第2の実施形態において、供給回収電界、すなわち現像バイアスVdと供給バイアスVsとの電位差(Vd−Vs)の波形は、図6に示すような波形となる。休止期間TP1,TP2においては、供給バイアスVsが現像バイアスVdに等しくなるため電位差(Vd−Vs)がゼロとなる。
【0053】
第2の実施形態においても、供給回収電界の周期は、現像バイアスVdの高電圧期間TDHにおいては供給バイアスVsの第1の交流電圧VS1の周期TS1と等しく、現像バイアスVdの低電圧期間TDLにおいては供給バイアスVsの第2の交流電圧VS2の周期TS2と等しくなる。よって、供給回収電界の周波数が、現像電界の周波数よりも顕著に大きくなる。そのため、現像バイアスVdの周波数を従来と同様に設定し、供給バイアスVsを十分に大きく設定することで、現像領域96におけるトナーの感度が過剰に高くなることを回避しつつ、画像メモリの発生を確実に防止することができる。
【0054】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0055】
供給回収電界の周波数と現像電界の周波数との大小関係が、画像メモリの発生状況に及ぼす影響を確認するための試験を行った。
【0056】
試験では、画像メモリ防止に有利な第1条件と、画像メモリ防止に不利な第2条件を設定し、それぞれの条件について、供給回収電界の周波数と現像電界の周波数を変化させながら、画像メモリの発生の有無を確認した。
【0057】
(第1条件)
第1条件では、現像ローラ上のトナーが搬送ローラへ回収されやすいように供給回収電界(Vd−Vs)の積分値を調整することで、現像ローラ上のトナー搬送量が3g/m、現像ローラ上のトナー帯電量が−20μC/gとなるようにした。なお、ここでいう現像ローラ上のトナー搬送量とは、白紙画像の画像形成を継続することにより現像ローラ上のトナー搬送量が増加して飽和状態に達したときの搬送量を指し、以下同様とする。また、供給回収電界(Vd−Vs)の振幅(ΔVpp)を2300Vに設定し、これにより、現像ローラと搬送ローラとの間でトナーの供給と回収が活発に行われるようにした。
【0058】
(第2条件)
第2条件では、現像ローラ上のトナーが搬送ローラへ回収され難くなるように供給回収電界(Vd−Vs)の積分値を調整することで、現像ローラによるトナー搬送量が6g/m、現像ローラ上のトナー帯電量が−40μC/gとなるようにした。また、現像ローラと搬送ローラとの間のトナーの供給量と回収量が比較的少なくなるように、供給回収電界(Vd−Vs)の振幅(ΔVpp)を1500Vに設定した。
【0059】
第1条件と第2条件のいずれについても、上述の実施形態に係る画像形成装置を使用して試験を行った。現像剤としては、コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製のbizhub C350用のキャリアとトナーを使用した。現像剤中のトナー濃度(現像剤全量に占めるトナーと外添剤の合計量の割合)は8%とした。
【0060】
さらに、第1条件と第2条件に共通の設定として、感光体の静電潜像非画像部の電位が−550V、感光体の静電潜像画像部の電位が−60Vとなるようにした。現像ローラとしては、表面にアルマイト処理を施したアルミニウムローラを使用し、感光体と現像ローラとの最近接部のギャップは0.15mmとした。現像ローラには、図3及び図5に示すような矩形波の現像バイアスVdを印加した。現像バイアスVdの振幅は1.4kV、現像バイアスVdのデューティ比は50%に設定し、現像バイアスVdの直流成分は、感光体上のベタ付着量が6g/mとなるように調整した。現像ローラと搬送ローラとの最近接部のギャップは0.3mmとし、搬送ローラ上の現像剤搬送量は200g/mとなるようにした。
【0061】
第1条件と第2条件のいずれについても、現像電界の周波数を1kHz、2kHz、3kHz、4kHz、5kHz、6kHz又は7kHzのいずれかに設定し、供給回収電界の周波数を1kHz、2kHz、3kHz、4kHz、5kHz、6kHz又は7kHzのいずれかに設定して、それらの周波数の組み合わせ毎に画像メモリの評価を行った(表1及び表2参照)。
【0062】
供給回収電界の周波数が現像電界の周波数よりも大きく、且つ、供給回収電界の周波数が現像電界の周波数の整数倍である組み合わせについては、図2に示す構成の電界形成装置により図3に示す構成(上述の第1の実施形態)の現像バイアスVdと供給バイアスVsを現像ローラと搬送ローラに印加し、供給回収電界が現像電界の周波数よりも大きく、且つ、供給回収電界の周波数が現像電界の周波数の整数倍でない組み合わせについては、図2に示す構成の電界形成装置により図5に示す構成(上述の第2の実施形態)の現像バイアスVdと供給バイアスVsを現像ローラと搬送ローラに印加した。その他の組み合わせについては、電界形成装置としてTrek社製の高圧アンプ609E−6及びエヌエフ回路設計ブロック社製のファンクションジェネレータWF1946を使用した。
【0063】
以上の条件により、メモリ評価用チャート画像(ベタ画像部と白紙画像部が混在する画像)の印字後にハーフトーン画像を印字し、ハーフトーン画像に画像メモリが発生しているか否かを目視により確認した。画像メモリの評価は、画像メモリの発生が全く確認されなかったものを「○」、軽微な画像メモリが確認されたものを「△」、画像メモリが非常にはっきりと確認されたものを「×」で表した(表1及び表2参照)。
【0064】
表1は、第1条件についての試験結果を示す。なお、供給回収電界の周波数が1kHzのときは現像ローラ上のトナー搬送量が所定量に達せず、現像電界の周波数が7kHzのときは感光体上のトナー付着量が所定量に達しなかったため、画像メモリの評価を行えなかった。
【0065】
表1に示すように、画像メモリに有利な第1条件では、現像電界の周波数が供給回収電界の周波数よりも小さいときは、画像メモリが非常にはっきりと確認され、従来と同様に現像電界の周波数と供給回収電界の周波数が等しいときは軽微な画像メモリが確認された。これに対して、供給回収電界の周波数が現像電界の周波数よりも大きいときは、画像メモリの発生が全く確認されなかった。
【表1】

【0066】
表2は、第2条件についての試験結果を示す。なお、供給回収電界の周波数が1kHz及び2kHzのときは現像ローラ上のトナー搬送量が所定量に達せず、現像電界の周波数が7kHzのときは感光体上のトナー付着量が所定量に達しなかったため、画像メモリの評価を行えなかった。
【0067】
表2に示すように、画像メモリに不利な第1条件では、現像電界の周波数が供給回収電界の周波数よりも小さいとき、及び従来と同様に現像電界の周波数と供給回収電界の周波数が等しいとき、画像メモリが非常にはっきりと確認された。これに対して、供給回収電界の周波数が現像電界の周波数よりも大きいときについては、供給回収電界の周波数が現像電界の周波数よりも1kHzだけ大きいときは、軽微な画像メモリが確認され、供給回収電界の周波数が現像電界の周波数よりも2kHz以上大きいときは、画像メモリの発生が全く確認されなかった。
【表2】

【0068】
以上の試験結果より、画像メモリの発生の有無に関わる条件に関わらず、供給回収電界の周波数を現像電界の周波数よりも大きくすることで、画像メモリの発生を防止する効果が得られることを確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成と本発明に係る現像装置の断面を示す図。
【図2】電界形成装置の構成の一例を示す図。
【図3】第1の実施形態に係る現像バイアスと供給バイアスの波形を示すグラフ。
【図4】第1の実施形態に係る供給回収電界の波形を示すグラフ。
【図5】第2の実施形態に係る現像バイアスと供給バイアスの波形を示すグラフ。
【図6】第2の実施形態に係る供給回収電界の波形を示すグラフ。
【符号の説明】
【0070】
1:画像形成装置、12:感光体、16:帯電ステーション、18:露光ステーション、20:現像ステーション、22:転写ステーション、24:クリーニングステーション、26:帯電装置、28:露光装置、30:画像光、32:通路、34:現像装置、36:転写装置、38:シート、40:クリーニング装置、42:ハウジング、44:開口部、46:第2の空間、48:現像ローラ、50:現像ギャップ、52:第2の空間、54:搬送ローラ、56:供給回収ギャップ、58:磁石体、60:スリーブ、63:規制板、64:規制ギャップ、66:現像剤攪拌室、68:前室、70:後室、72:前スクリュー、74:後スクリュー、76:隔壁、86:規制領域、88:供給回収領域、90:供給領域、92:回収領域、94:放出領域、96:現像領域、98:トナー補給部、100:容器、102:開口部、104:補給ローラ、110:電界形成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性トナーと磁性キャリアを含む現像剤を用いて、静電潜像担持体上の静電潜像を可視像化する現像装置であって、
前記現像剤を担持する現像剤担持体と、
供給回収領域を介して前記現像剤担持体に対向し且つ現像領域を介して前記静電潜像担持体に対向するように配置され、前記供給回収領域において前記現像剤担持体から供給されたトナーを担持するトナー担持体と、
前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間に、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間でトナーの供給と回収を行うための第1の交流電界を形成し、前記トナー担持体と前記静電潜像担持体との間に、前記トナー担持体から前記静電潜像担持体へトナーを移動させるための第2の交流電界を形成する電界形成手段と、を備え、
第1の交流電界の周波数が第2の交流電界の周波数よりも大きいことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
第1の交流電界は、前記現像剤担持体に印加される供給バイアスと、前記トナー担持体に印加される現像バイアスとの電位差からなり、
前記現像バイアスは、前記現像バイアスが所定の電圧よりも高い高電圧期間と、前記現像バイアスが前記所定の電圧よりも低い低電圧期間とからなる周期の交流電圧であり、
前記供給バイアスは、前記高電圧期間中に前記現像剤担持体に印加され前記高電圧期間よりも短い周期を有する第1の交流電圧と、前記低電圧期間中に前記トナー担持体に印加され前記低電圧期間よりも短い周期を有する第2の交流電圧とが交互に繰り返されてなる電圧であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記高電圧期間は、第1の交流電圧の周期の整数倍であり、
前記低電圧期間は、第2の交流電圧の周期の整数倍であることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
第1の交流電圧と第2の交流電圧とは、前記現像バイアスに別のバイアス成分を重畳してなる電圧であり、
第1の交流電圧及び/又は第2の交流電圧は、前記高電圧期間又は前記低電圧期間の終期又は/及び始期において前記バイアス成分が休止する休止期間を有することを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項5】
第1の交流電圧及び/又は第2の交流電圧は、前記現像バイアスに別のバイアス成分を重畳してなる電圧であり、
前記現像バイアスに重畳されるバイアス成分は、前記現像バイアスの交流成分よりも周波数が高い交流成分を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−72402(P2010−72402A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240546(P2008−240546)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】