説明

現像装置および画像形成装置

【課題】現像装置のケーシングに収容されたトナーをケーシングの外部に漏れにくくする。
【解決手段】現像器ケーシング51と、現像ローラ52と、弾性ブレード58と、シール部材59とを備える。弾性ブレード58は、支持プレート58aと、支持プレート58a上に軸方向に沿って設けられた細帯状の弾性層58bとを有し、弾性層58bを現像ローラ52の周面に接触させて、現像ローラ52上にトナーの薄層を形成する。シール部材59は、現像ローラ52の軸方向の端部分に接触するように現像器ケーシング51に設けられ、弾性層58bの端部と接触する。弾性層58bの端部とシール部材59との間には、ラビリンス構造70が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置からのトナー漏れを防止するシール部材を有する現像装置およびそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ、複合機などの電子写真方式の画像形成装置は、感光体ドラムの周りに、帯電器、露光器、現像器および転写器を備える。このような画像形成装置では、感光体ドラムを帯電させてさらに露光することで、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する。その後、静電潜像を現像してトナー像を形成し、さらにトナー像を所定の用紙に転写させる。
【0003】
現像器は、現像器ケーシング、現像ローラおよびブレードを有する。現像ローラは、現像器ケーシング内に収容されているトナーを感光体ドラムへ供給する。ブレードは、現像ローラの周面に接触することで現像ローラ上のトナー量を規制する。このような現像器では、現像ローラは、感光体ドラムに接触するために、現像器ケーシングの開口部より一部が露出した状態で現像器ケーシングに取り付けられる。そのため、現像器ケーシングよりトナーが漏れるという問題がある。
【0004】
そこで、トナーの漏れを防止するために、現像器ケーシングの開口部付近に複数のシール部材を設ける現像器が提供されている。複数のシール部材の間は、例えば、あるシール部材の面に対して、凸形状、凹形状または平行ではない形状を有する他のシール部材を押し当て、凸形状等の形状を圧縮させることにより密着される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、ブレード上に弾性材料製のトナー層規制部を設け、トナー層規制部を現像ローラの周面に接触させて現像ローラ上のトナーの量を規制する現像装置が提供されている(例えば、特許文献2参照)。このような現像装置は、図5に示すようなシール部材を有する。図5は、従来の現像装置におけるトナー層規制部とシール部材との位置関係を示す図である。現像装置10Pにおいて、シール部材21は、現像ローラ13の端部13a部分に接触し、弾性ブレード15のトナー層規制部16の幅方向の端面16aと密着するように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−272071号公報
【特許文献2】特開平07−301991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載の現像装置では、トナー層規制部16の幅方向端部16aとシール部材21とは直線状に伸びる端面同士で接触している。しかし、このような一平面の接触では、現像ローラの回転に伴い矢印方向に向かって移動するトナーが、トナー層規制部16の幅方向端部16aとシール部材21との間を通過し現像装置10Pの外部に漏れるのを防ぐことは困難である。また、トナーの漏れを防ぐために、トナー層規制部16の幅方向端部16aに対して押し付けるようにシール部材21を配置させると、押し付け作用に対する反発力が現像ローラ側に向かって働く。従って、その反発力により、押し付け部分が現像ローラに対して強く当たるため、現像ローラを傷つけるという問題がある。それだけでなく、押し付け作用により、トナー層規制部16と現像ローラの13との接触が不均一となる。よって、現像ローラ13上に形成されるトナーの厚さが不均一となる問題がある。
【0008】
本発明の課題は、現像装置のケーシングに収容されたトナーをケーシングの外部に漏れにくくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一見地に係る現像装置は、トナーを収容するケーシングと、現像ローラと、弾性ブレードと、シール部材とを備えている。現像ローラは、ケーシングに対して回転自在になるようにケーシングの開口付近に設けられる。弾性ブレードは、現像ローラの軸方向に沿って設けられる板状部材と、板状部材の上に現像ローラの軸方向に沿って設けられた細帯状の弾性層とを有し、弾性層を現像ローラの周面に接触させることで現像ローラ上にトナーの薄層を形成する。シール部材は、現像ローラの軸方向の端部分に接触するようにケーシングに設けられ、弾性層の端部と接触する。弾性層の端部とシール部材との間には、ラビリンス構造が形成されている。
【0010】
ここで、弾性層の端部とシール部材との間に形成されるラビリンス構造とは、弾性層の端部とシール部材とが、端面同士の接触部分が直線的ではない構成をいう。このようなラビリンス構造が弾性層の端部とシール部材との間に形成されることによって、現像ローラの回転にともなうトナーの移動を規制できる。従って、弾性層とシール部材との間から、トナーが現像器ケーシングの外部に漏れにくくなる。
【0011】
ラビリンス構造は、弾性層の端部に現像ローラの軸方向に沿って突出するように設けられた第1段差部と、弾性層の端部に接触するシール部材の面に現像ローラの軸方向に沿って窪むように設けられた第2段差部との組み合わせからなっていてもよい。
【0012】
ラビリンス構造は、弾性層の端部に現像ローラの軸方向に沿って突出するように設けられた凸部と、弾性層の端部に接触するシール部材の面に現像ローラの軸方向に沿って窪むように形成された凹部との組み合わせからなっていてもよい。
【0013】
本発明の他の見地に係る画像形成装置は、静電潜像を表面に担持可能な担持体と、上記に記載の現像装置と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、弾性層とシール部材との間にラビリンス構造を形成することによって、現像装置のケーシングに収容されたトナーが、弾性層とシール部材との間からケーシングの外部に漏れにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像形成装置の本体の構成を示す模式図。
【図2】現像装置の断面図。
【図3】現像ローラおよび弾性ブレード付近の拡大図。
【図4A】第1実施例における弾性ブレードとシール部材との位置関係を示す図。
【図4B】第2実施例における弾性ブレードとシール部材との位置関係を示す図。
【図5】従来の現像装置における、トナー層規制部とシール部材との位置関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(1)画像形成装置全体
図1を用いて、画像形成装置を説明する。図1は、本発明に係る実施形態を備えた画像形成装置全体の模式図である。以下、画像形成装置1における各方向関係を明確にするために、画像形成装置1の前面(図1における手前側)に立った作業者にとっての各方向を左右方向および前後方向とする。
【0017】
画像形成装置1は、画像読取装置2と、画像形成装置本体3とを備える。
画像読取装置2は、画像読取部21と、原稿カバー22とを備える。画像読取部21は、原稿の画像データを読み取る装置であり、いわゆるフラットベッドスキャナである。画像読取部21は、光源23と、複数の反射鏡24と、スキャナユニット25とを有する。画像読取部21では、光源23からプラテンガラス26上の原稿に照射されて反射した光は、複数の反射鏡24によって反射されながらスキャナユニット25へと導かれる。原稿カバー22は、画像読取部21の上に回動自在に配置されている。
【0018】
画像形成装置本体3は、筐体31を備えると共に、筐体31の内部に設けられた画像形成部32、定着部33、用紙搬送部34、給紙カセット35、手差し給紙トレイ36、および排紙部37を有する。
【0019】
画像形成部32は、画像読取装置2で読み取られた原稿の画像データおよびパーソナルコンピュータから送られてきた画像データに基づいて用紙Pに画像を形成する。画像形成部32は、感光体ドラム40、帯電器41、露光ヘッド42、現像装置43、転写ローラ44、およびクリーニングローラ45を有する。
【0020】
感光体ドラム40は、表面に静電潜像が形成される装置である。感光体ドラム40は、回転可能に設けられた円柱状の部材である。感光体ドラム40は、図示しない駆動装置によって、図1の紙面方向に垂直な回転軸を中心に、図1における反時計回りに回転される。帯電器41、露光ヘッド42、現像装置43、転写ローラ44およびクリーニングローラ45は、感光体ドラム40の回転方向において、この順に設けられる。
【0021】
帯電器41は、感光体ドラム40の表面を一様に帯電させる。帯電器41は、例えばコロナ放電式の装置である。
露光ヘッド42は、帯電した感光体ドラム40の表面に光を照射することで、画像データに沿った静電潜像を描く。露光ヘッド42は、光源として、例えばLED(Light Emitting Diode)を備える。
【0022】
現像装置43は、感光体ドラム40上の静電潜像にトナーを供給し、静電潜像を現像する。現像装置43の詳細については後述する。
転写ローラ44は、感光体ドラム40に対向して配置され、感光体ドラム40上のトナー像を、用紙P上に転写する。
クリーニングローラ45は、転写後の感光体ドラム40上に残るトナーを除去する。
【0023】
定着部33は、加熱ローラおよび圧力ローラを備える。定着部33は、転写後の用紙Pに熱および圧力を加えることで、トナー像を用紙P上に定着させる。
【0024】
用紙搬送部34は、搬送路および複数のローラを備える。用紙搬送部34は、ローラによって、搬送路に沿って用紙Pを搬送することで、後述する給紙カセット35または手差し給紙トレイ36から、画像形成部32および定着部33を通って排紙部37まで、用紙Pを搬送する。
【0025】
給紙カセット35は、その内部に画像形成前の用紙Pの束を収容する。給紙カセット35は、筐体31に対して出し入れ可能に設けられる。
手差し給紙トレイ36は、裏紙等の特殊な用紙に対する手差し機能を有する。
排紙部37は、画像が形成された用紙Pを排出するための部分である。排紙部37は、筐体31の上面にある。
【0026】
(2)現像装置
次に、図2および図3を参照して、現像装置43について詳細に説明する。図2は、現像装置の断面図である。図3は、現像ローラおよび弾性ブレード付近の拡大図である。
【0027】
現像装置43は、トナーを用いて静電潜像を現像する装置である。現像装置43は、現像器ケーシング51と、現像器ケーシング51内に配置された現像ローラ52、供給ローラ53、第1トナー室54、第2トナー室55、第1撹拌部材56、第2撹拌部材57、弾性ブレード58、およびシール部材59を有する。
【0028】
現像ローラ52は、供給ローラ53から受け取ったトナーを感光体ドラム40に供給し、感光体ドラム40上の静電潜像をトナーを用いて現像する。現像ローラ52は、現像器ケーシング51の開口62付近であって感光体ドラム40に接する位置に、現像器ケーシング51の内壁51aに沿うように配置される。また、現像ローラ52は、ローラ軸52a、およびローラ軸52aの回りに配置されたスポンジ材からなるローラ本体52bを有し、現像器ケーシング51に対して、図2および図3における時計回りに回転可能に配置される。なお、現像ローラ52の軸方向における両端部分は、画像形成を行わない非画像形成領域R2であり、この部分には後述するシール部材59が接触される。また、両端部の非画像形成領域R2の間は画像形成領域R1であり、この部分には後述する弾性ブレード58の弾性層58bが接触される。
【0029】
供給ローラ53は、現像ローラ52に接する位置に、現像器ケーシング51に対して回転可能に配置される。供給ローラ53は、第2トナー室55に収納されたトナーを現像ローラ52に供給する。
第1トナー室54および第2トナー室55は、図示しないトナーカートリッジから補給されたトナーを収容する。第1撹拌部材56および第2撹拌部材57は、第1トナー室54および第2トナー室55のそれぞれに設けられ、トナーを撹拌しながら供給ローラ53に向けてトナーを送る。
【0030】
弾性ブレード58は、現像ローラ52に付着したトナーを均一にして、現像ローラ52上にトナー薄層を形成する。具体的には、弾性ブレード58は、現像ローラ52上のトナーを帯電させてトナーの厚さを規制し、現像ローラ52に保持されるトナー量を規制する。
弾性ブレード58について、さらに図4Aを参照して説明する。図4Aは、第1実施例における弾性ブレードとシール部材との位置関係を示す図である。図4Aでは、現像ローラ52の軸方向における両端部分のうち、後端部における弾性ブレード58とシール部材59との位置関係を示す。一方、現像ローラ52の前端部における弾性ブレード58とシール部材59との位置関係は、図4Aに示す位置関係と対称であるため、その説明を省略する。図4Aでは、弾性ブレード58とシール部材59との位置関係を明確に示すために、図4Aの手前側に位置する現像ローラ52を点線で示す。また、現像ローラ52の回転方向を矢印で示す。
【0031】
弾性ブレード58は、支持プレート58aおよび弾性層58bを有する。支持プレート58aは、現像ローラ52の軸方向に延びて設けられる帯状の金属製の板状部材である。支持プレート58aは、現像ローラ52の軸方向と交差する方向における第一端部において現像器ケーシング51に固定される。支持プレート58aの第二端部には、弾性層58bが直線状に取り付けられる。
【0032】
弾性層58bは、ウレタン、シリコン等のゴム材料により形成される細帯状の層である。弾性層58bの裏面は支持プレート58aに取り付けられ、弾性層58bの表面は現像ローラ52の周面の画像形成領域R1に接触する。本実施形態では、図3に示すとおり、弾性層58bの厚さは、後述するシール部材59の第2シール部材61の厚さと略同一である。弾性層58bの端部は、シール部材59と接触し、弾性層58bとシール部材59との間にはラビリンス構造70が形成されるが、これについては後に詳述する。
【0033】
シール部材59は、現像ローラ52の軸方向における両端部分、すなわち非画像形成領域R2に接触するように現像器ケーシング51に設けられ、この両端部分からトナーが現像器ケーシング51の外部に漏れるのを防ぐ。また、シール部材59には、弾性層58bとの接触面において後述するラビリンス構造70が形成される。
シール部材59は、第1シール部材60と第2シール部材61との二層からなる。
【0034】
第1シール部材60は、スポンジからなるシール部材であって、一部が現像ローラ52の外周に沿うように現像器ケーシング51の内壁51a上に貼り付けられる。また、第1シール部材60は、側面60aが支持プレート58aの後端部と接触する位置に、現像器ケーシング51の内壁51a上に貼り付けられる。
第2シール部材61は、テフロン(登録商標)フェルトからなるシール部材である。第2シール部材61は、現像ローラ52の非画像形成領域R2の周面に接触するように、第1シール部材60上に貼り合わされている。また、第2シール部材61の側面61a側には、以下に説明するとおり、ラビリンス構造70を形成するための第2段差部611aまたは凹部611bが形成されている。
【0035】
(3)弾性層およびシール部材のラビリンス構造
次に、弾性層58bおよびシール部材59間のラビリンス構造70について説明する。
弾性層58bおよびシール部材59間のラビリンス構造70とは、弾性層58bとシール部材59とが、直線的な一平面で接触しない構成、すなわち二平面以上、または一平面であったとしても例えば曲線状等、直線的でない平面で接触する構造をいう。
本実施形態では、弾性層58bとシール部材59の第2シール部材61との間にラビリンス構造70が形成される。以下、弾性層58bおよび第2シール部材61間のラビリンス構造70について、図4Aに示す第1実施例および図4Bに示す第2実施例を挙げて説明する。
【0036】
(3−1)第1実施例
図4Aに示されるように、弾性層58bの後端部分には、現像ローラ52の軸方向に沿って後方に、すなわち非画像形成領域R2側に突出する第1段差部581aが形成される。より詳細には、第1段差部581aは、左右方向の片側、ここでは右側だけが後方に突出しており、そのため突出した部分と突出していない部分との間に段差が形成される構造を有する。また、第1段差部581aと接触する第2シール部材61の側面61aにおいて、現像ローラ52の軸方向に沿って後方側に、すなわち第2シール部材61の内部側に窪んだ第2段差部611aが形成される。より詳細には、第2シール部材61において、現像ローラ52と接触していない側、つまり第2シール部材61の左右方向における右側の部分は、現像ローラ52と接触している部分に比べて後方に窪んだ凹部となっている。そのために、第2シール部材61において、凹部と凹部以外の部分との間で前後方向に段差が形成されている。なお、図4Aに示すとおり、第2シール部材61の第2段差部611aにおいて、第1段差部581aが接触する以外の部分では、第1シール部材60が露出する。
【0037】
第1実施例では、第1段差部581aと第2段差部611aとを組み合わせて、ラビリンス構造70を形成する。その結果、弾性層58bと第2シール部材61との間から、トナーが現像器ケーシング51の外部に漏れることを防止できる。
すなわち、現像ローラ52と弾性層58bとの間を通過できなかったトナーは、次第に弾性層58bの両端部に向かって移動し、第2シール部材61の側面61aに当たる。また、現像ローラ52の回転方向に伴って、トナーは、現像ローラ52の回転方向の上流側、すなわち図4Aに示す右方向に向かって移動する。
【0038】
しかし、本実施例では、弾性層58bの第1段差部581aと、第2シール部材61の第2段差部611aとが互いに組み合わされて、弾性層58bと第2シール部材61とが接触している。つまり、弾性層58bと第2シール部材61とは、三面で接触される。さらに三面の接触面のうちの一面は、現像ローラ52の軸方向に沿った面、言い換えると現像ローラ52の回転方向に伴うトナーの移動方向と交差する面である。従って、弾性層58bと第2シール部材61の接触面積が大きくなるだけでなく、トナーの移動方向を規制できる。従って、現像ローラ52の回転方向の上流側に向かってトナーが移動することを妨げ、その結果、弾性層58bと第2シール部材61との間からトナーが外部に漏れにくくなる。
【0039】
また、現像器ケーシング51の内壁51aへのシール部材59の貼り付けは、作業者による手作業で行われる。従って、作業者によって貼り付けの仕上がりにバラツキがあり、弾性層58bと第2シール部材61との間に隙間が発生する場合がある。
しかし、弾性層58bと第2シール部材61とは、上記のとおり三面で接触される。よって三面の接触面のうち例えば一つの接触面に隙間があったとしても、他の接触面によりトナーの移動を規制できる。また、現像ローラ52による回転により、現像ローラ52に接触する第2シール部材61は多少上流側へ移動する。従って、三面の接触面のうち、トナーの移動方向と交差する接触面において隙間が発生していたとしても、上記の移動によりそのような隙間は埋められる。以上のとおり、弾性層58bおよび第2シール部材61との間にラビリンス構造70を形成することにより、多少弾性層58bと第2シール部材61との間に隙間が発生していても、弾性層58bと第2シール部材61と間からのトナーが漏れにくくなる。
【0040】
(3−2)第2実施例
図4Bに示されるように、弾性層58bの後端部分には、現像ローラ52の軸方向に沿って非画像形成領域R2側に突出する凸部581bが形成される。より詳細には、凸部581bは、弾性層58bの後端部分の幅方向における中央部分の一部だけが後方に突出している構造を有する。また、凸部581bと接触する第2シール部材61の側面61a側において、現像ローラ52の軸方向に沿って内側に窪んだ、凹部611bが形成される。より詳細には、凹部611bは、第2シール部材61において凸部581bと組み合わされる部分のみが後方に窪んだ構造を有する。
【0041】
第2実施例では、凸部581bと凹部611bとを組み合わせて、弾性層58bと第2シール部材61との間にラビリンス構造70を形成する。その結果、弾性層58bと第2シール部材61との間から、トナーが現像器ケーシング51の外部に漏れにくくなる。
【0042】
すなわち、第2実施例では、弾性層58bと第2シール部材61との接触面は五面あり、さらに接触面のうちの二面は、現像ローラ52の軸方向に沿った面、言い換えると現像ローラ52の回転方向に伴うトナーの移動方向と交差する面である。従って、弾性層58bおよび第2シール部材61との間で、トナーが現像ローラ52の回転方向の上流側に向かって移動することを防ぐことができる。
また、作業者による貼り付けによって弾性層58bと第2シール部材61との間に隙間が発生したとしても、上記第1実施例と同様に、弾性層58bと第2シール部材61との間からトナーが漏れにくくなる。
【0043】
2.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0044】
(1)上記の実施形態では、画像読取装置2と画像形成部32とを併せ持つ画像形成装置について説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、画像読取装置2を持たない画像形成装置であってもよい。また、ファクシミリ機能、通信機能等を有する複合機としての画像形成装置であってもよい。
【0045】
(2)ラビリンス構造70は、弾性層58bと第2シール部材61とが、直線的な一平面で接触しない構成であれば、上記の実施例に限定されない。例えば、弾性層58bの後端部分には、非画像形成領域R2側に突出する半円状の突出部が形成されてもよい。また、第2シール部材61の側面61aにおいて、内部側に窪んだ半円状の溝部が形成されてもよい。
【0046】
(3)上記では、第2シール部材61に第2段差部611aまたは凹部611b等が形成される例を挙げた。しかし、弾性層58bの厚さに応じて、第2シール部材61だけでなく第1シール部材60にも、第2シール部材61と同様の第2段差部または凹部等が形成されてもよい。そして、弾性層58bと、第2シール部材61および第1シール部材60との間にラビリンス構造70が形成されてもよい。ただし、トナー漏れを防止するために、第1シール部材60における内壁51aとの接触面には、第2段差部または凹部等が形成されないことが好ましい。
【0047】
(4)上記では、シール部材59は、第1シール部材60および第2シール部材61を有する例を挙げた。しかし、このような二つの部材を有するシール部材59と同様の形状となれば、シール部材59は、一体または三つ以上の部材により構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に使用される現像装置に適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 画像形成装置
3 画像形成装置本体
31 筐体
32 画像形成部
33 定着部
34 用紙搬送部
35 給紙カセット
36 手差し給紙トレイ
37 排紙部
40 感光体ドラム(担持体)
43 現像装置
51 現像器ケーシング
52 現像ローラ
53 供給ローラ
54 第1トナー室
55 第2トナー室
56 第1撹拌部材
57 第2撹拌部材
58 弾性ブレード
58a 支持プレート(板状部材)
58b 弾性層
581a 第1段差部
581b 凸部
59 シール部材
60 第1シール部材
60a 第1シール部材の側面
61 第2シール部材
61a 第2シール部材の側面
611a 第2段差部
611b 凹部
62 開口
70 ラビリンス構造
R1 画像形成領域
R2 非画像形成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容するケーシングと、
前記ケーシングに対して回転自在になるように前記ケーシングの開口付近に設けられた現像ローラと、
前記現像ローラの軸方向に沿って設けられる板状部材と、前記板状部材の上に前記現像ローラの軸方向に沿って設けられた細帯状の弾性層とを有し、前記弾性層を前記現像ローラの周面に接触させることで前記現像ローラ上にトナーの薄層を形成する弾性ブレードと、
前記現像ローラの軸方向の端部分に接触するように前記ケーシングに設けられ、前記弾性層の端部と接触するシール部材と、
を備え、
前記弾性層の端部と前記シール部材との間にはラビリンス構造が形成されている現像装置。
【請求項2】
前記ラビリンス構造は、前記弾性層の端部に前記現像ローラの軸方向に沿って突出するように設けられた第1段差部と、前記弾性層の端部に接触する前記シール部材の面に、前記現像ローラの軸方向に沿って窪むように設けられた第2段差部との組み合わせからなる、請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記ラビリンス構造は、前記弾性層の端部に前記現像ローラの軸方向に沿って突出するように設けられた凸部と、前記弾性層の端部に接触する前記シール部材の面に、前記現像ローラの軸方向に沿って窪むように形成された凹部との組み合わせからなる、請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
静電潜像を表面に担持可能な担持体と、
請求項1〜3のいずれかに記載の現像装置と、
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−191330(P2011−191330A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54803(P2010−54803)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】