説明

現像装置および画像形成装置

【課題】劣化したトナーを現像剤から分離して除去することができる現像装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】表面に静電的な潜像が形成され、帯電されたトナーでその潜像が現像され、その現像された像を保持する像保持体の表面に沿って延び、そのトナーを含む現像剤を表面に保持し、その現像剤をその延びた方向に交わる方向へと搬送することで上記潜像を現像する現像剤保持体と、内部に上記現像剤を収容してその現像剤を攪拌しつつ循環経路に沿って搬送する、その循環経路の一部である供給箇所で現像剤を現像剤保持体に供給し、その循環経路のその供給箇所を除く他の一部である振動箇所が供給箇所とは独立に振動可能な攪拌搬送器と、上記攪拌搬送器の上記振動箇所を振動させる振動器と、上記攪拌搬送器内に浮遊しているトナーを吸引する吸引器と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、帯電されたトナーを含んだ現像剤で静電的な潜像を現像することでトナー像を形成する画像形成装置や、その画像形成装置に用いられる現像装置が知られている。
【0003】
この現像装置は、内部に現像剤を収容し、その現像剤を潜像の近くに搬送することで潜像を現像する装置である。
【0004】
そのような現像装置として、現像装置の交換時にスクレーパを現像ローラに当接させ、現像ローラの表面に残る劣化した現像剤を掻き取って現像剤収容部に流下させ、さらに現像ローラの周辺の現像剤を、現像剤収容部の下部に設けられた回収口、回収経路、回収剤収容部、およびフィルターを介して外部の吸引装置によって吸引する現像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、現像剤分離手段を備えた現像装置も提案されている。この現像剤分離手段は、現像剤供給部材と対応する位置若しくは現像剤を搬送する位置に設けられていて、移動する現像剤を磁力により担持しながら移動する現像剤に対して気流を用いて該現像剤の一部を他の部分と分離する(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−92128号公報
【特許文献2】特開2005−202317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、劣化したトナーを現像剤から分離して除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る現像装置は、
表面に静電的な潜像が形成され、帯電されたトナーでその潜像が現像され、その現像された像を保持する像保持体の表面に沿って延び、そのトナーを含む現像剤を表面に保持し、その現像剤をその延びた方向に交わる方向へと搬送することで上記潜像を現像する現像剤保持体と、
内部に上記現像剤を収容してその現像剤を攪拌しつつ循環経路に沿って搬送する、その循環経路の一部である供給箇所で現像剤を現像剤保持体に供給し、その循環経路のその供給箇所を除く他の一部である振動箇所が供給箇所とは独立に振動可能な攪拌搬送器と、
上記攪拌搬送器の上記振動箇所を振動させる振動器と、
上記攪拌搬送器内に浮遊しているトナーを吸引する吸引器と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る現像装置は、請求項1に係る現像装置に更に、
上記現像剤保持体の表面に対面し、現像剤保持体によって攪拌搬送器の外部へと搬送される現像剤のうち現像剤保持体の表面から離れた部分に当たって止めることで、現像剤保持体によって搬送される現像剤の層厚を規制する層厚規制部材と、
上記層厚規制部材に対して、現像剤保持体による現像剤の搬送の下流側から空気を吹き付けることにより、空気流を攪拌搬送器内で形成し、その空気流は、現像剤保持体によって搬送される現像剤の表面に沿って層厚規制部材側へと流れ、さらに層厚規制部材の表面に沿って現像剤保持体から離れる方向へと流れ、その後層厚規制部材側から上記搬送の下流側へと戻ってくる空気流である吹き付け器とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る現像装置は、請求項1に係る現像装置に更に、
上記攪拌搬送器の上記振動箇所の振動を抑制する抑制体を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る画像形成装置は、
表面に像が形成され、その形成された像を保持する像保持体と、
上記像保持体の表面に静電的な潜像を形成する潜像形成部と、
帯電されたトナーを含む現像剤を内部に収容し、上記像保持体の表面に形成された上記潜像をそのトナーで現像することによりトナー像を形成する現像装置とを備え、
上記現像装置が、
上記像保持体の表面に沿って延び、上記現像剤を表面に保持し、その現像剤をその延びた方向に交わる方向へと搬送することで上記潜像を現像する現像剤保持体と、
内部に上記現像剤を収容してその現像剤を攪拌しつつ循環経路に沿って搬送する、その循環経路の一部である供給箇所で現像剤を現像剤保持体に供給し、その循環経路のその供給箇所を除く他の一部である振動箇所が供給箇所とは独立に振動可能な攪拌搬送器と、
上記攪拌搬送器の上記振動箇所を振動させる振動器と、
上記攪拌搬送器内に浮遊しているトナーを吸引する吸引器と、
を備えたものであることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る現像装置および請求項4に係る画像形成装置によれば、劣化したトナーを現像剤から分離して除去することができる。
【0013】
請求項2に係る現像装置によれば、上記吹き付け器を有さない場合に較べ、トナーの劣化を抑制することができる。
【0014】
請求項3に係る現像装置によれば、上記抑制体を有さない場合に較べ、振動器による振動停止後の振動を速やかに止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像形成装置の具体的な第1実施形態に相当するプリンタの概略構成図である。
【図2】図1に示す現像器をレーザ露光器側から透視した透視図である。
【図3】図2に示す現像器のB−B断面を矢印方向に見た断面図である。
【図4】図2に示す現像器のA−A断面を矢印方向に見た断面図である。
【図5】第2収容槽の現像ロールとは逆側の外観を示した外観図である。
【図6】第1収容槽に設けられた、トナーの劣化を防ぐ機構を示した上面図である。
【図7】第2実施形態における空気の噴出形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の現像装置および画像形成装置に対する具体的な実施形態を、以下図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、画像形成装置の具体的な第1実施形態に相当するプリンタの概略構成図である。
【0018】
図1に示すプリンタ1は、矢印A方向に回転する感光体10と、この感光体10の表面に電荷を付与する帯電器11と、外部から送信されてきた画像データに基づいたレーザ光を生成するレーザ露光器12とを備えている。これら帯電器11とレーザ露光器12によって感光体10上に静電的な潜像が形成される。感光体10が本発明にいう像保持体の一例に相当し、帯電器11とレーザ露光器12との組合せが本発明にいう潜像形成部の一例に相当する。
【0019】
図1に示すプリンタ1は更に、トナーを含む現像剤を内部に収容し、感光体10上の潜像をその現像剤中のトナーで現像することでトナー像を形成する現像器13と、現像器13にトナーを補給する補給器2とを備えている。この現像器13は、本発明の現像装置の第1実施形態に相当する。現像器13は、現像剤を表面に保持し、感光体10に対向して回転することで現像剤を感光体10との間に搬送する現像ロール133を有している。この現像ロール133は、感光体10の表面に沿って延びていて、現像剤を、その延びた方向に交わる方向へと搬送する。この現像ロール133が本発明にいう現像剤保持体の一例に相当する。この現像器13に収容されている現像剤には、トナーの他に、このトナーとの摩擦によりトナーを摩擦帯電させる電荷付与粒子であり磁性粒子でもある磁性キャリアも含まれている。さらに現像剤には、トナーの帯電性を制御する帯電制御剤等というような外添剤も含まれている。
【0020】
更に、プリンタ1は、記録用紙を収容した用紙カセット16と、用紙カセット16から記録用紙を引き出して矢印B方向に搬送する用紙搬送装置17と、搬送されてきた記録用紙上に感光体10上のトナー像を転写する転写ロール14と、記録用紙上のトナー像を加熱および加圧することでその記録用紙上にそのトナー像を定着させる定着器15とを備えている。
【0021】
更にまた、プリンタ1は、プリンタ1内の各部の動作を制御する中央制御部100と、感光体ロール10の表面から不要なトナーなどを除去するクリーニング装置50とを備えている。クリーニング装置50は、感光体ロール10表面の、トナー像の転写を終えた部分に対向した位置、即ち、矢印Aの向きの回転おける転写ロール14よりも下流側、かつ帯電器11よりも上流側の位置に配備されており、クリーニングブレード51と付着物収容箱52を有している。クリーニングブレード51は、感光体10の回転中心に沿った全幅にわたって先端が感光体10表面に接触していて、トナーや紙粉などといった付着物を掻き取て感光体10表面から除去するものであり、付着物収容箱52は、除去された付着物を収容するものである。
【0022】
ここで、このプリンタ1における画像形成の動作の流れを簡単に説明する。
【0023】
図1に示すプリンタ1では、感光体10の表面に帯電器11により電荷が付与され、電荷が付与された感光体10の表面に、外部から送信されてきた画像データに基づいたレーザ光がレーザ露光器12により照射される。この照射により、感光体10の表面に付与された電荷の一部が除電されて、感光体10の表面に静電的な潜像が形成される。
【0024】
現像器13に収容されている現像剤は現像ロール133によって、現像器13と感光体10との間の領域に運ばれ、運ばれた現像剤中のトナーが感光体10の表面の潜像に静電的に付着することでこの潜像は現像される。この現像により得られたトナー像が、矢印B方向に搬送されてきた記録用紙上に転写ロール14によって転写される。そして、記録用紙上のトナー像が定着器15により加熱および加圧されることによって溶融されて記録用紙上に定着される。
【0025】
このような動作によってプリンタ1は記録用紙上に画像を形成する。尚、このプリンタ1は、モノクロ画像専用機であるが、本発明は、カラー画像機や中間転写体を備えた画像形成装置に適用されてもよい。
【0026】
以下、現像器13の詳細構造について説明する。
【0027】
図2は、図1に示す現像器をレーザ露光器側から透視した透視図である。
【0028】
現像器13は、上述した現像ロール133と、各々の内部に現像剤を収容した第1収容槽132aおよび第2収容槽132bと、それら第1収容槽132aおよび第2収容槽132bを繋いだゴム管132c,132dと、第1収容槽132aおよび第2収容槽132bの内部で現像剤を撹拌しながら、第1収容槽132aおよび第2収容槽132bを経る巡回経路に沿って現像剤を搬送する撹拌搬送部材131とを備えている。これら第1収容槽132a、第2収容槽132b、ゴム管132c,132d、および撹拌搬送部材131を合わせたものが本発明にいう攪拌搬送器の一例に相当する。
【0029】
第1収容槽132aは、現像ロール133に隣り合って延びており、第2収容槽132bは、第1収容槽132aに隣り合って延びている。図2では、第1収容槽132aおよび第2収容槽132bは互いに平行に延びているように見えるが、実際は、以下説明するように、第1収容槽132aが延びる方向と第2収容槽132bが延びる方向とは、図2の奥行き方向にずれている。
【0030】
図3は、図2に示す現像器のB−B断面を矢印方向に見た断面図であり、図4は、図2に示す現像器のA−A断面を矢印方向に見た断面図である。以下、図2,3,4を併せて説明する。
【0031】
第1収容槽132cと第2収容槽132bとを繋いでいる2つのゴム管のうち一方のゴム管132cは、図3に示すように、第1収容槽132aから第2収容槽132bの方へと下るように傾いている。また、図4に示すように、もう一方のゴム管132dは、第2収容槽132bから第1収容槽132aの方へと下るように傾いている。そして、第2収容槽132bは、一方のゴム管132c側(図2の左側)が、もう一方のゴム管132d側よりも下に傾いている。
【0032】
図2に示すように、第1収容槽132aおよび第2収容槽132bそれぞれには、撹拌搬送部材131が1つずつ配備されており、これら撹拌搬送部材131は、具体的には、螺旋状のフィンが棒の周囲に備えられた構造を有している。この棒に、図示しないモータによって回転駆動力が加えられることで撹拌搬送部材131は棒を中心として回転する。このように撹拌搬送部材131が回転することで、現像剤は、撹拌搬送部材131の上記棒に沿って搬送されると共に攪拌されることとなる。また、第1収容槽132aおよび第2収容槽132bそれぞれに配備された撹拌搬送部材131が互いに逆向きに現像剤を搬送することで、現像剤は、第1収容槽132a、ゴム管132c、第2収容槽132b、ゴム管132dをこの順に経る循環経路上を循環する。即ち、図3に示すように、現像器13内の現像剤20は、一方のゴム管132c側(図2の左側)では、第1収容槽132aから第2収容槽132bの方へと流れ落ち、図4に示すように、現像剤20は、網一方のゴム管132d側(図2の右側)では、第2収容槽132bから第1収容槽132aの方へと流れ落ちる。第1収容槽132aは、本発明にいう循環経路上の供給箇所の一例に相当し、第2収容槽132bは、本発明にいう循環経路上の振動箇所の一例に相当する。
【0033】
撹拌搬送部材131によってトナーと磁性キャリアとが撹拌されることで、現像器13の内部でトナーがマイナス帯電し、磁性キャリアはプラス帯電する。このため、マイナス帯電したトナーは磁性キャリアに静電的に付着する。これにより、現像器13の内部では、トナーと磁性キャリアが渾然一体となっている。
【0034】
現像ロール133は、矢印C方向に回転する円筒部材1331と、この円筒部材1331の内部に、この円筒部材1331とは独立に固定された永久磁石ロール1332とを有している。この永久磁石ロール1332は、円筒部材1331の周回方向に複数の磁極が配列されたものであり、現像剤の吸着および解放を規定する磁力分布を有している。現像ロール133は、第1収容槽132aから一部が露出した状態に保持されており、円筒部材1331は回転に伴って、第1収容槽132aの内部と外部とを交互に通過する。また、円筒部材1331には、永久磁石ロール1332の磁力分布により、第1収容槽132a内を通過中に表面に現像剤が供給され、この供給された現像剤を、現像ロール133と上記感光体との対面箇所へと搬送する。
【0035】
第2収容槽132b内のトナー補給箇所134には、上述した補給器2によってトナーが補給される。
【0036】
補給器2によるトナーの補給量は、現像によって消費されたトナーを補う量になるように、上述した中央制御部100によって制御されている。具体的には、図示を省略した濃度センサや画像データに基づいて画像密度を検知する方式によって現像器13内のトナー濃度が検知されていて、このトナー濃度が目標濃度に一致するように補給量が制御されている。このようにトナーの補給が制御されているプリンタ1では、画像密度の低い画像形成が長く続くと、新たなトナーの補給があまり行われない状況も続く。その結果、既存のトナーと磁性キャリアとの度重なる攪拌により、トナー表面の外添剤がトナー表面に対して埋没あるいは離脱することとなり、現像器内部のトナーの帯電性能の劣化が早まる。帯電性能が劣化したトナーは、磁性キャリアと摩擦されても帯電量の上昇は鈍い。また、このようにトナーが劣化した状態が続くと、本来であれば狭いトナーの帯電量分布が、新しいトナーが小量供給され劣化トナーの帯電を奪い高帯電化することで広くなってしまい、帯電量が上昇しすぎた過帯電トナーが少量ではあるが生じる。
【0037】
このような広い帯電量分布が生じた後で、例えば高画像密度の画像形成が行われると、それまでよりも多量のトナーを必要とするため多量の新たなトナーが供給されることとなる。このように供給される新たなトナーは、帯電性能が劣化トナーよりも高く、未だ帯電されていないトナーである。このため、現像器13に収容されている劣化したトナーのうちの過帯電側のトナーが有する電荷は、新たに供給されてきた多量のトナーに低画像時が続いていた時よりも急速に奪い取られる。そして、現像器13内の現像剤は、新たに供給されてきたトナーに電荷を奪われた上に、劣化のために磁性キャリアとの摩擦によっても帯電量の上昇が鈍い低帯電トナーと、電荷を奪われたことで逆極化した逆極トナーと、帯電が充分な新たなトナーとが混在した状態となる。
【0038】
このようなトナーが混在した現像剤が現像ロール133上に保持されて現像に用いられると、帯電量が不足している低帯電トナーは、磁性キャリアから離れても潜像に付着せず脱離(クラウド)が発生する。また、逆極性に転じた逆極トナーは、感光体10の表面に形成された潜像以外の部分である背景領域に付着してカブリが発生する。
【0039】
本実施形態の現像器13は、このようなクラウドやカブリの発生を防ぐために、劣化したトナーを回収するための機構と、トナーの劣化を防ぐ機構とを備えている。
【0040】
以下、これらの機構について説明する。
【0041】
現像器13の第2収容槽132b側には、現像剤20中から劣化したトナーを分離して回収するための機構が備えられている。
【0042】
図5は、第2収容槽の現像ロールとは逆側の外観を示した外観図である。以下、図3,4,5を併せて説明する。
【0043】
第2収容槽132bの上部には上述した補給器2が繋がっていて、この補給器2は、図示を省略したトナー収容器に繋がっている。補給器2は、トナー収容器に収容されているトナーを、必要に応じて第2収容槽132b内に供給する。
【0044】
第2収容槽132bには、加振部材150が取り付けられていて、この加振部材150は突起150aを備えている。そして、この突起150aにはカム156が接触している。このカム156は駆動シャフト155に固定されており、図示を省略したモータによって駆動シャフト155が駆動されることによりカム156が回転して突起150aを押す。第2収容槽132bにはばね151が取り付けられており、カム156の回転で突起150aが押されることで第2収容槽132bは図3,4の上下方向に振動する。第2収容槽132bは、上述したようにゴム管132c,132dで第1収容槽132aと繋がっているので、第2収容槽132bは第1収容槽132aとは独立に振動し、しかも第2収容槽132bの振動は第1収容槽132aには伝わりにくい。また、駆動シャフト155の駆動が止まると第2収容槽132bは、振動がばね151によって抑制されて速やかに停止する。このため、不要な振動が第1収容槽132aに伝わることが防止される。
【0045】
カム156と駆動シャフト155を合わせたものが、本発明にいう振動器の一例に相当する。また、ばね151は本発明にいう抑制体の一例に相当する。
【0046】
第2収容槽132bが振動されると、第2収容槽132b内の現像剤20がほぐされる。現像剤20中のトナーのうち劣化したトナーは、現像剤20から遊離しやすくなっている。低帯電トナーは、帯電量が不足しているために磁性キャリアとの静電的な結びつきが弱く、逆極トナーは、逆極化しているために磁性キャリアとは静電的に反発するからである。そして、第2収容槽132bの振動でほぐされることにより、現像剤20から劣化トナー21が遊離して第2収容槽132b内を浮遊する。
【0047】
第2収容槽132bの上部にはダクト152が設けられており、このダクト152はトナー回収室153を経由して、図示を省略した吸引装置に接続されている。そして、吸引装置によって内部の空気が吸引されることによりダクト152は、第2収容槽132b内を浮遊している劣化トナー21を吸引スリット152aから吸い込む。第2収容槽132bには吸引フィルタ154を介して空気が入る。
【0048】
ダクト152に吸い込まれた劣化トナー21は、トナー回収フィルタ153aによって濾されてトナー回収室153内に溜まる。このように溜まった劣化トナー21は、図1に示すプリンタ1が停止している時にユーザなどによって廃棄される。ダクト152は本発明にいう吸引器の一例に相当する。
【0049】
このように、第2収容槽132b側に設けられた機構によって現像剤20中から劣化トナー21が選択的に分離されて回収される。第2収容槽132b側に設けられた機構は、単独の機能としては、低帯電トナーも逆極トナーも回収する。但し、第2収容槽132bの振動が強すぎると、現像器から外部への浮遊トナーの噴き出しが発生してしまう。このため、低帯電トナーと逆極トナーの双方が第2収容槽132b側で回収される場合には、振動の強さは、この噴き出しを回避する程度に抑制される。
【0050】
本実施形態では、上述したように、劣化したトナーを回収するための機構の他に、以下説明する、トナーの劣化を防ぐ機構も備えられている。このトナーの劣化を防ぐ機構との相乗効果により、本実施形態の第2収容槽132b側では主に低帯電トナーが回収される。
【0051】
現像器13の第1収容槽132a側には、トナーの劣化を防ぐ機構が備えられている。
【0052】
図6は、第1収容槽に設けられた、トナーの劣化を防ぐ機構を示した上面図である。以下、図3および図6を併せて説明する。
【0053】
第1収容槽132aには、板状の層厚規制部材140が備えられており、この層厚規制部材140は、現像ロール133の回転軸に沿って延びて現像ロール133の表面に対面している。そして、現像ロール133によって搬送される現像剤20のうち、現像ロール133の表面から部分に層厚規制部材140が当たってその部分を止めることで、現像ロール133によって第1収容槽132aの外部へと搬送される現像剤20の層厚が規制される。この層厚規制部材140が、本発明にいう層厚規制部材の一例に相当する。
【0054】
第1収容槽132a内には、中空の噴気部材142が備えられている。この噴気部材142は、層厚規制部材140に沿って延びていて、層厚規制部材140側を向いたスリット142aを有している。
【0055】
第1収容槽132aの、層厚規制部材140に繋がる天井141は中空になっていて、その天井141には、第1収容槽132aの内面側の各所に噴気穴141aが空いている。この天井141は、層厚規制部材140の後ろ側、即ち、現像ロール133による現像剤搬送の上流側の空間を覆うものである。
【0056】
第1収容槽132aの両端にはエア供給器143が設けられており、このエア供給器143内のファン144は、第1収容槽132a内の空気を吸い込んで噴気部材142と中空の天井141に空気を供給する。更に、噴気部材142の両端にはエアポンプ145も設けられており、ファン144による空気の供給がエアポンプ145によって増強されている。
【0057】
空気が送り込まれた噴気部材142はスリット142aから層厚規制部材140側に空気を噴き出して、第1収容槽132a内で空気流を形成する。この空気流は、現像剤20の表面に沿って層厚規制部材140側へと流れ、さらに層厚規制部材140の表面に沿って現像ロール133から離れる方向(即ち図3の上方)へと流れ、その後層厚規制部材140側から戻ってくる循環的な空気流である。噴気部材142とエア供給器143とエアポンプ145を合わせたものが、本発明にいう吹きつけ器の一例に相当する。
【0058】
本実施形態では、天井141の噴気穴141aからも空気が噴き出すことにより、この循環的な空気流の形成が促進されている。即ち、噴気穴141aからは、層厚規制部材140から離れる方向へと空気が噴き出し、この空気により、層厚規制部材140側から第1収容槽132aの奥側へと戻る流れが促進される。
【0059】
第1収容槽132a内の循環的な空気流は、現像ロール133による現像剤の搬送を補助し、層厚規制部材140の付近での現像剤20の動きを円滑化するので、層厚規制部材140によって止められた現像剤20は、滞留することなく速やかに流れ落ちることになる。その結果、空気流が存在しない場合よりもトナー劣化が抑制される。このようにトナー劣化が抑制されると、上述した劣化トナーの完全な防止はできないものの、特に、逆極性トナーの発生抑制に寄与する。
【0060】
このように第1収容槽132a側で逆極性トナーの発生が抑制されることにより、上述したように、第2収容槽132b側では主に低帯電トナーが回収されることとなる。逆極トナーが少ないので、振動を充分に強くしても上述した噴き出しは発生し難い。このため、第2収容槽132b側での劣化トナー21の回収は、第2収容槽132b側の機構が単独で備えられる場合よりも効率がよい。
【0061】
以上で第1実施形態の説明を終了し、以下、第2実施形態について説明する。
【0062】
この第2実施形態は、層厚規制部材の裏側における空気の噴出形態が異なる点を除いて、第1実施形態と同様の形態である。以下では、第2実施形態との相違点に着目した説明を行う。
【0063】
図7は、第2実施形態における空気の噴出形態を示す図である。
【0064】
この第2実施形態では、図3,4に示す噴気部材142に替えて、丸い管状の噴気部材146が採用されている。そして、この第2実施形態の噴気部材146には、スリットではなく噴気穴146aが空いていて、この噴気穴146aから噴き出した空気が層厚規制部材140側へと吹き付けられる。このような噴気穴146aからの空気の噴き出しによっても、第1実施形態と同様に空気流が形成されることとなる。
【0065】
なお、上述した各実施形態では、振動のタイミングや空気噴出のタイミングについては特に限定しないが、トナー劣化に合わせたタイミングで振動や空気噴出を行うという形態もあり得る。このようなタイミングを認識するため、即ちトナー劣化の程度を認識するためには、以下に述べるような種々の方式が考えられる。
【0066】
第1の方式は、撹拌搬送部材131を駆動する駆動力を検知する方式である。トナーが劣化すると現像剤が詰まってくるので、現像剤を搬送する撹拌搬送部材131に負荷が掛かる。このため、駆動力の検知によりトナーの劣化が認識されることになる。そして、振動は、トナーの劣化が認識された後で高画像密度の画像形成が始まると実施され、エア噴出は、トナーの劣化し始めが認識されると実施される。以下の方式でも同様である。
【0067】
第2の方式は、層厚規制部材に圧力センサを取り付けて、層厚規制部材に掛かる現像剤の圧力を検知する方式である。トナーが劣化すると現像剤が詰まってくるので、層厚規制部材に掛かる圧力が増加する。このため、圧力の検知によりトナーの劣化が認識されることになる。
【0068】
第3の方式は、プリンタで形成される画像の密度を検知する方式である。具体的には、センサで画像の密度を直接に検出する方式と、プリンタに外部から送信されてきた画像データに基づいて画像の密度を検知する方式がある。上述したように、密度の低い画像を繰り返し形成するとトナーの劣化が進むので、画像密度の検知によりトナーの劣化が認識されることになる。
【0069】
第4の方式は、現像器におけるトナー消費量を算出する方式である。現像器におけるトナー消費量は、上述した濃度センサの検知結果から容易に算出される。トナー消費量が少ない状態が続くとトナーの劣化が進むので、トナー消費量の算出によりトナーの劣化が認識されることになる。
【符号の説明】
【0070】
1 プリンタ
10 感光体
11 帯電器
12 レーザ露光器
13 現像器
14 転写ロール
15 定着器
16 用紙カセット
17 用紙搬送装置
20 現像剤
131 撹拌搬送部材
132a 第1収容槽
132b 第2収容槽
132c,132d ゴム管
133 現像ロール
1331 円筒部材
1332 永久磁石ロール
140 層厚規制部材
141 天井
142,146 噴気部材
143 エア供給器
144 ファン
145 エアポンプ
150 加振部材
151 ばね
152 ダクト
153 トナー回収室
155 駆動シャフト
156 カム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電的な潜像が形成され、帯電されたトナーで該潜像が現像され、その現像された像を保持する像保持体の表面に沿って延び、前記トナーを含む現像剤を表面に保持し、該現像剤をその延びた方向に交わる方向へと搬送することで前記潜像を現像する現像剤保持体と、
内部に前記現像剤を収容して該現像剤を攪拌しつつ循環経路に沿って搬送する、該循環経路の一部である供給箇所で該現像剤を前記現像剤保持体に供給し、該循環経路の該供給箇所を除く他の一部である振動箇所が該供給箇所とは独立に振動可能な攪拌搬送器と、
前記攪拌搬送器の前記振動箇所を振動させる振動器と、
前記攪拌搬送器内に浮遊しているトナーを吸引する吸引器と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤保持体の表面に対面し、該現像剤保持体によって前記攪拌搬送器の外部へと搬送される現像剤のうち該現像剤保持体の表面から離れた部分に当たって止めることで、該現像剤保持体によって搬送される現像剤の層厚を規制する層厚規制部材と、
前記層厚規制部材に対して、前記現像剤保持体による現像剤の搬送の下流側から空気を吹き付けることにより、空気流を前記攪拌搬送器内で形成し、その空気流は、該現像剤保持体によって搬送される現像剤の表面に沿って該層厚規制部材側へと流れ、さらに該層厚規制部材の表面に沿って前記現像剤保持体から離れる方向へと流れ、その後該層厚規制部材側から該搬送の下流側へと戻ってくる空気流である吹き付け器とを備えたことを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記攪拌搬送器の前記振動箇所の振動を抑制する抑制体を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
【請求項4】
表面に像が形成され、その形成された像を保持する像保持体と、
前記像保持体の表面に静電的な潜像を形成する潜像形成部と、
帯電されたトナーを含む現像剤を内部に収容し、前記像保持体の表面に形成された前記潜像を該トナーで現像することによりトナー像を形成する現像装置とを備え、
前記現像装置が、
前記像保持体の表面に沿って延び、前記現像剤を表面に保持し、該現像剤をその延びた方向に交わる方向へと搬送することで前記潜像を現像する現像剤保持体と、
内部に前記現像剤を収容して該現像剤を攪拌しつつ循環経路に沿って搬送する、該循環経路の一部である供給箇所で該現像剤を前記現像剤保持体に供給し、該循環経路の該供給箇所を除く他の一部である振動箇所が該供給箇所とは独立に振動可能な攪拌搬送器と、
前記攪拌搬送器の前記振動箇所を振動させる振動器と、
前記攪拌搬送器内に浮遊しているトナーを吸引する吸引器と、
を備えたものであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−133147(P2012−133147A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285381(P2010−285381)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】