説明

現像装置および画像形成装置

【課題】装置の大型化やコストアップを極力抑え、高速現像時の濃度低下や、画像履歴(ゴースト)の発生のない、高速・高画質な現像装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体1上の静電潜像を現像する第1トナー担持体15および第2トナー担持体16と、表面に二成分の現像剤23を保持し、第1トナー担持体15および第2トナー担持体16にトナーを供給する現像剤担持体11を有するハイブリッド型の現像装置において、像担持体1回転方向上流側に位置する第1トナー担持体15がロール状ファーブラシ15aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンターなどの電子写真方式を用いた画像形成装置、および像担持体に形成された静電潜像を現像するのに使用する現像装置に関し、特に、キャリアとトナーとを含む現像剤を用い、現像剤を表面に保持し、搬送する現像剤担持体からトナー担持体にトナーを供給し、トナー層が形成されたトナー担持体によって、像担持体上の静電潜像を現像するいわゆるハイブリッドタイプの現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置における現像方式としては、現像剤としてトナーのみを用いる一成分現像方式およびトナーとキャリアとを用いる二成分現像方式が知られている。
【0003】
一成分現像方式では、一般的にトナーを、トナー担持体とトナー担持体に押圧された規制板とによって形成される規制部を通過させることでトナーを帯電し、所望のトナー薄層を得ることができるため、装置の簡略化、小型化、低コスト化の面で有利である。
【0004】
しかしながら、一成分現像方式では、規制部の強いストレスによりトナーの劣化が促進され易く、トナーの電荷受容性が低下しやすい。さらに、トナーへの電荷付与部材である規制部材やトナー担持体表面がトナーや外添剤により汚染されることでトナーへの電荷付与性も低下するため、よりトナー帯電量の低下が生じ、かぶり等の問題を引き起こす。そのため、一般に現像装置の寿命が短い。
【0005】
一方、二成分現像方式では、トナーをキャリアとの混合による摩擦帯電で帯電するためストレスが小さく、さらに、キャリア表面積も大きいため、トナーや外添剤による汚染に対しても相対的に強く、長寿命に有利である。
【0006】
しかしながら、二成分現像法では、像担持体上の静電潜像を現像する際に、現像剤により形成される磁気ブラシによって像担持体表面を摺擦するため、現像像に磁気ブラシ痕が発生するという課題を有している。さらに、像担持体にキャリアが付着しやすく、画像欠陥となる課題を有している。
【0007】
二成分現像剤を用いた二成分現像方式の長寿命の特長を有しながら、画像欠陥の問題を解決し、一成分現像法並みの高画質を実現する現像方式として、現像剤担持体上に二成分現像剤を担持し二成分現像剤からトナーのみをトナー担持体に供給して現像に用いる、いわゆるハイブリッド現像方式が提案されている(たとえば、特許文献1)。ところが、ハイブリッド現像方式では以下のような課題があった。
【0008】
(現像履歴(ゴースト)の問題)
ハイブリッド現像方式が一般的に抱える課題として、トナー担持体上の現像に使用されなかった現像残トナーが、次の現像工程において現像履歴(ゴースト)として画像上に現れる現象がある。トナー担持体にトナーを供給する現像剤担持体とトナー担持体の対向部(トナー供給領域)とでは、現像剤担持体からトナー担持体へのトナー供給と、トナー担持体上の現像残トナーの回収を行っている。
【0009】
その際、トナー供給領域においては、現像剤担持体からトナー担持体へとトナーを供給するためのトナー供給電界が形成されており、このトナー供給電界は現像残トナー回収観点では回収を阻害する因子として作用する。現像残トナーの回収不足が生じると、トナー供給領域通過後においても、現像残トナーが多かった部分と少なかった部分とではトナー担持体上のトナー量に差が生じ、その差が現像工程において濃度のコントラストとして現れてしまう現像履歴(ゴースト)の問題が生じる。
【0010】
(高速現像時の濃度低下)
高速で画像形成した場合、現像ニップ時間に対してトナーの飛翔が追いつかず、画像濃度が低下する課題があった。非接触一成分現像と共通の課題ではあるが、通常の一成分現像ではトナーに強いストレスを与えるため規制部での発熱やトナー融着の制約があり低速領域のみで使用されてきた。
【0011】
そのため、これまでそれほど問題視されてこなかった、ハイブリッド現像方式ではこれらの制約がないため、高速で画像形成することも可能になるが、たとえば、システムスピードが500mm/sを超えるような装置においては、上記の課題が発生する恐れが出てくる。
【0012】
上記現像履歴(ゴースト)の問題を解消する方策として、トナー担持体の表面が現像領域からトナー供給領域まで移動する移動経路上でトナー担持体上の現像残トナーの帯電量を調整するトナー帯電量変更手段を設け、現像残トナーの帯電量を逆極性に変化させる方法が開示されている(たとえば、特許文献2)。
【0013】
特許文献2に記載のように、現像残トナーの帯電量を逆極性に変化させると、トナー供給領域におけるトナー供給電界に対して、現像剤担持体上のキャリアに保持された正規帯電トナーには、現像剤担持体からトナー担持体へと移動する方向の静電気力が作用する。その結果、帯電量を逆極性に変化させられた現像残トナーには、トナー担持体から現像剤担持体へと移動する方向の静電気力が作用する。
【0014】
これにより、トナー供給領域において、トナー担持体への正規帯電トナー供給と現像剤担持体への逆帯電現像残トナー回収とが良好に行なわれ、現像残トナー量がトナー供給領域通過後のトナー担持体上のトナー量へ及ぼす影響がなくなり、現像履歴(ゴースト)の問題を解消することが可能になる。
【0015】
一方、上述の高速現像時の濃度低下に対しては、単純に像担持体、トナー担持体の径を大きくすることで現像ニップ時間を稼ぐことが考えられる。しかし、装置の大型化の割に現像ニップ拡大効果が小さく、特に500mm/sを超えるような速度領域では有効な手段とは言い難い。
【0016】
効率的に現像ニップ時間を長くするための方策として、トナー担持体を複数設ける方法が知られている(たとえば、特許文献3)。この構成では現像ニップを複数個所に分割することで、装置の大型化を極力抑えつつ、現像ニップ時間を確保することが可能となり、高速化に伴うトナー像の濃度低下を抑えるのに有効である。
【0017】
さらに、トナー担持体の複数化は各々のトナー担持体によって現像すべきトナー量を、トナー担持体が1本の場合に比べて少なく出来るため、現像後にトナー担持体表面に残留する現像残トナーの、現像した部分と現像しなかった部分でのトナー量差を小さく抑えられ、現像履歴(ゴースト)の発生を小さく出来る効果も得られる。
【0018】
しかしながら本発明者らが検討した結果、先行例の構成によりゴーストのレベルは改善されているものの、そのレベルはいまだ不十分であり、ゴーストを完全に解消するには至っていないことがわかった。
【0019】
上述の特許文献1,2に開示された技術を組み合わせることによって、現像履歴(ゴースト)の抑制と高速現像性とを両立することは可能となるが、各々のトナー担持体にトナー帯電量変更手段を設けることは、部品点数が増えることによるコストアップを招く。
【0020】
さらに、トナー担持体の回転方向にもよるが、各トナー担持体にトナー帯電量変更手段を設けるためには、各種部材の配置の制約を増大させ、たとえば、トナー担持体間の間隔を大きくする必要が生じるなど、装置が大型化する問題も生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開昭59−172662号公報
【特許文献2】特開2004−54036号公報
【特許文献3】特開2005−37523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は以上の背景を鑑み、複数のトナー担持体を設けたハイブリッド現像装置において、装置の大型化やコストアップを極力抑え、高速現像時の濃度低下や、画像履歴(ゴースト)の発生のない、高速・高画質な現像装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この発明に基づいた現像装置においては、像担持体上に形成された静電潜像を現像する第1トナー担持体および第2トナー担持体と、トナーとキャリアとを含む現像剤を担持し上記第1トナー担持体および上記第2トナー担持体に上記トナーを供給する現像剤担持体とを備えている。
【0024】
上記現像装置において、上記像担持体の回転方向から見て、上記第1トナー担持体は、上記第2トナー担持体よりも上流側に配置され、上記第1トナー担持体の上記像担持体が対向する領域には、ブラシが設けられる。
【0025】
上記現像装置において、上記現像剤担持体の回転方向、上記第1トナー担持体の回転方向、および第2トナー担持体の回転方向が同じである。
【0026】
上記現像装置において、上記第1トナー担持体の上記ブラシが、上記像担持体に接するように配置される。
【0027】
上記現像装置において、上記像担持体の回転方向から見て、上記第1トナー担持体の上流側に、上記ブラシに接する接触部材をさらに含む。
【0028】
上記現像装置において、上記第1トナー担持体の上記ブラシが、上記第2トナー担持体に接するように配置される。
【0029】
上記現像装置において、上記第1トナー担持体と上記第2トナー担持体との間に、上記像担持体上に形成された静電潜像を現像する第3トナー担持体をさらに有する。
【0030】
上記現像装置において、上記第3トナー担持体の上記像担持体が対向する領域には、ブラシが設けられる。
【0031】
この発明に基づいた画像形成装置においては、上述の現像装置を有する。
【発明の効果】
【0032】
この発明に基づいた現像装置および画像形成装置によれば、複数のトナー担持体を設けたハイブリッド現像装置において、装置の大型化やコストアップを極力抑え、高速現像時の濃度低下や、画像履歴(ゴースト)の発生のない、高速・高画質な現像装置および画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施の形態における画像形成装置の内部の構成を示す縦断面図である。
【図2】実施の形態における画像形成ユニットの横断面図である。
【図3】実施の形態における現像装置内の像担持体、第1トナー担持体、第2トナー担持体、および現像剤担持体の配置関係を示す部分拡大模式図である。
【図4】実施の形態における他の現像装置内の像担持体、第1トナー担持体、第2トナー担持体、および現像剤担持体の配置関係を示す部分拡大模式図である。
【図5】実施の形態における他の現像装置内の像担持体、第1トナー担持体、第2トナー担持体、および現像剤担持体の配置関係を示す部分拡大模式図である。
【図6】実施の形態における他の現像装置内の像担持体、第1トナー担持体、第2トナー担持体、および現像剤担持体の配置関係を示す部分拡大模式図である。
【図7】画像チャートを示す図であり、(A)は現像前の画像チャートを示す図であり、(B)は、現像後の画像チャートを示す図である。
【図8】実施例1〜実施例6および比較例1〜比較例3のそれぞれにおける、「高速現像性」、「現像均一性」、および「現像履歴(ゴースト)」の評価結果を示す図である。
【図9】実施の形態におけるさらに他の現像装置の構成を示す部分拡大模式図である。
【図10】実施の形態におけるさらに他の現像装置の構成を示す部分拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に基づいた各実施の形態における現像装置および画像形成装置について、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。また、各実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。
【0035】
なお、以下の説明では、画像形成装置の一例として、一般的なフルカラー電子写真方式を採用している画像形成装置1000について説明しているが、本発明は、フルカラー電子写真方式にのみ限定されるものではなく、モノクロ画像のみを形成する1色(ブラック等)の画像形成ユニットを採用している画像形成装置への適用も可能である。
【0036】
(実施の形態:画像形成装置1000)
以下、図1から図6を参照して、本実施の形態における画像形成装置1000および現像装置2について説明する。なお、図1は、画像形成装置1000の内部の構成を示す縦断面図、図2は、画像形成ユニット100の横断面図、図3は、現像装置内の像担持体、第1トナー担持体、第2トナー担持体、および現像剤担持体の配置関係を示す部分拡大模式図である。また、図4から図6は、他の現像装置内の像担持体、第1トナー担持体、第2トナー担持体、および現像剤担持体の配置関係を示す部分拡大模式図である。
【0037】
まず、図1を参照して、本実施の形態における画像形成装置1000は、一般的なフルカラー電子写真方式を採用している。画像形成装置1000は、各色(イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック)に対応した4種の画像形成ユニット100が所定の位置に配設されている。
【0038】
各画像形成ユニット100は、感光体といわれる像担持体1と、像担持体1の表面を一様に帯電し電位を形成するための帯電部材3と、帯電部材3によって所望の電位まで帯電された電位に、所定の静電潜像を形成するために光を照射するための露光装置6と、静電潜像が形成された領域に現像剤を電界などによって付着させて鏡像化するための現像装置2と、転写ベルト50と、一次転写装置4と、二次転写装置70と、定着装置80と、像担持体1上の残留した残留粉体を像担持体1上から電気的・機械的に除去するための清掃装置5とを有する。
【0039】
一次転写装置4では、鏡像化された像担持体1上の粉体が、順次中間転写体といわれる転写ベルト50上へ電界・電圧によって移動する。二次転写装置70では、紙等の記録媒体P上へ、転写ベルト50上の粉体が電界・電圧によって移動する。定着装置80では、記録媒体P上に移動した粉体を、熱や圧力によって永久的に記録媒体Pに固定する。
【0040】
一方、一次転写装置4において転写ベルト50上の粉体が完全に移動せず、像担持体1上に僅かながら粉体が残存する場合がある。この場合には、像担持体1上に残留した粉体を像担持体1上から、清掃装置5等を用いて電気的・機械的作用により粉体を除去する。
【0041】
また、転写ベルト50上に形成された鏡像画像は、二次転写装置70において粉体が完全に移動せず、転写ベルト50上に僅かながら粉体が残存する場合がある。この場合には、転写ベルト清掃装置40によって、電気的・機械的作用により粉体を除去する。
【0042】
現像剤は、トナーからなる粉体、またはトナーおよびキャリアを含む粉体を意味する。したがって、キャリアを含まない一成分現像剤においては、キャリアを含まない粉体が現像剤であり、トナーおよびキャリアを含む二成分現像剤においては、トナーからなる粉体またはトナーおよびキャリアからなる粉体を現像剤という。
【0043】
また、画像形成装置1000に使用される現像剤の具体例は、現像装置2に収容されている一成分現像剤または二成分現像剤、現像装置2に補給されるトナー、清掃装置5において回収されるトナー、清掃装置5から現像装置2にリサイクルされるトナー等は、すべて現像剤である。
【0044】
(画像形成ユニット100の構造)
次に、図2を参照して、画像形成ユニット100の詳細について説明する。この画像形成ユニット100は、電子写真方式により像担持体(感光体)1に形成されたトナー像を用紙等の記録媒体Pに転写して画像形成を行なうプリンターである。
【0045】
この画像形成ユニット100は、画像を担持するための像担持体1を有しており、像担持体1の周辺には、像担持体1を帯電するための帯電手段としての帯電部材3、像担持体1上の静電潜像を現像する現像装置2、像担持体1上のトナー像を転写するための転写ローラ4、および像担持体1上の残留トナー除去用のクリーニングブレード5が、像担持体1の回転方向Aに沿って順に配置されている。
【0046】
像担持体1は、帯電部材3で帯電された後に、図中のE点の位置でレーザ発光器などを備えた露光装置6により露光されて、その表面上に静電潜像が形成される。現像装置2は、この静電潜像をトナー像に現像する。転写ローラ4は、この像担持体1上のトナー像を記録媒体Pに転写した後、図中の矢印C方向に搬送する。
【0047】
記録媒体P上のトナー像は定着装置80(図1参照)によって定着された後に排出される。クリーニングブレード5は、転写後の像担持体1上の残留トナーを、その機械的な力で除去する。画像形成ユニット100に用いられる像担持体1、帯電部材3、露光装置6、転写ローラ4、およびクリーニングブレード5等は、周知の電子写真方式の技術を任意に使用してよい。たとえば、帯電手段として図中、帯電ローラが示されているが、像担持体1と非接触の帯電装置であってもよい。また、クリーニングブレード5はなくてもよい。
【0048】
(現像装置2)
次に、本実施の形態において用いられる現像装置2について説明する。現像装置2は、キャリアとトナーとを含む現像剤23、現像剤23を収容する現像剤槽17、現像剤槽17から供給された現像剤23を表面に担持して搬送する現像剤担持体11、現像剤担持体11からトナーのみが供給され、像担持体1上に形成された静電潜像を現像する第1トナー担持体15、および第2トナー担持体16を備えている。なお、現像装置2の詳細な構成と動作については、後述する。
【0049】
(現像剤23の構成)
本実施の形態の現像装置2において使用する現像剤23の構成について説明する。本実施の形態において使用する現像剤23はトナーと該トナーを帯電するためのキャリアとを含んでいる。
【0050】
(トナー)
トナーとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のトナーを使用することができ、バインダー樹脂中に着色剤や、必要に応じて荷電制御剤や離型剤等を含有させ、外添剤を処理させたものを使用できる。トナー粒径としてはこれに限定されるものではないが、3μm〜15μm程度が好ましい。
【0051】
このようなトナーを製造するにあたっては、一般に使用されている公知の方法で製造することができる。たとえば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等を用いて製造することができる。トナーに使用するバインダー樹脂、着色剤、荷電制御剤、離型剤としては、一般に使用されている公知のものを用いることができる。
【0052】
また、上記の外添剤としても、一般に使用されている公知のものを用いることができる。上記外添剤として、トナーと逆極性の荷電性を有する逆極性粒子を使用してもよい。
【0053】
(キャリア)
キャリアとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のキャリアを使用することができ、バインダー型キャリアやコート型キャリアなどが使用できる。キャリア粒径としてはこれに限定されるものではないが、一般的に15μm〜100μmが好ましい。
【0054】
バインダー型キャリアは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、キャリア表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させたり、表面コーティング層を設けたりすることもできる。
【0055】
バインダー型キャリアに用いられるバインダー樹脂、磁性体微粒子は、一般に使用されている公知のものを用いることができる。
【0056】
一方、コート型キャリアは磁性体からなるキャリヤコア粒子に樹脂コートがなされてなるキャリアであり、コート型キャリアにおいてもバインダー型キャリア同様、キャリア表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させることができる。
【0057】
トナーとキャリアの混合比は所望のトナー帯電量が得られるよう調整されれば良く、トナー混合比はトナーとキャリアとの合計量に対して3質量%〜50質量%、好ましくは6質量%〜30質量%が適している。
【0058】
(現像装置2の装置構成と動作)
図2および図3を参照して、本実施の形態に係る現像装置2の詳細な構成例と動作例を説明する。
【0059】
(現像装置2の装置構成)
現像装置2において使用する現像剤23は、既述したようにトナーとキャリアとからなり、現像剤槽17に収容される。
【0060】
現像剤槽17は、ケーシング20により形成されており、通常は内部に混合撹拌部材18、19を収納している。混合撹拌部材18、19は、現像剤23を混合・撹拌して、摩擦帯電すると同時に現像剤槽17内で循環搬送し、現像剤担持体11の表面のスリーブローラ12へ現像剤23を供給する。
【0061】
ケーシング20の混合撹拌部材19に対向する位置には、好ましくは、トナー濃度検出用のATDC(Automatic Toner Density Control)センサ21が配設されている。
【0062】
現像装置2は、通常、第1現像領域7および第2現像領域9で消費される分のトナーを現像剤槽17内に補給するための補給部24を有している。補給部24において、補給トナー22を収納したホッパ(図示省略)から送られた補給トナー22が現像剤槽17内へ補給される。
【0063】
現像剤担持体11は内部に固定配置された磁石ローラ13と、これを内包する回転自在なスリーブローラ12とから構成される。現像剤担持体11へ供給された現像剤23は、現像剤担持体11内部の磁石ローラ13の磁力によってスリーブローラ12の表面に保持され、スリーブローラ12の回転に伴い搬送される。スリーブローラ12上の現像剤23は、現像剤担持体11に対向して設けられた規制部材(規制ブレード)14によって通過量が規制される。
【0064】
磁石ローラ13は、スリーブローラ12の回転方向Bに沿ってN1(N極)、S1(S極)、N2(N極)、N3(N極)、S2(S極)、N4(N極)、S3(S極)の7つの磁極を有する(図3参照)。これらの磁極のうち、主磁極N4が、第1トナー担持体15と対向する第1トナー供給領域8の位置に配された場合には、もう一方の主磁極N1は、第2トナー担持体16と対向する第2トナー供給領域10に配されるように配置されている。
【0065】
また、スリーブローラ12上の現像剤23を剥離するための反発磁界を発生させる同極部N2、N3が、現像剤槽17内部に対向して配置されている。
【0066】
第1トナー担持体15および第2トナー担持体16は、それぞれ現像剤担持体11および像担持体1のそれぞれに対向するように配置されている。像担持体1上の静電潜像を現像するための現像バイアスVbが、トナー担持体用バイアス電源により印加されている。第1トナー担持体15および第2トナー担持体16は互いに接触するよう配置されてもよい(詳細は後述、図6参照)。
【0067】
(第1トナー担持体15)
像担持体1の回転方向の上流側に配置される第1トナー担持体15は、上記電圧が印加可能な導電性支持体(図示省略)と、その外周に設けられた導電性または半導電性の繊維等からなるブラシ15aによって構成される。
【0068】
ブラシ15aを構成するブラシ毛としては、カーボン等の低抵抗物質(導電性材料)を含有させて抵抗調整がなされた樹脂材料繊維からなる。このような樹脂材料としては、たとえばレーヨン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル酸樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリビニルアセタール(たとえばポリビニルブチラール)等が挙げられる。
【0069】
これらのバインダー樹脂は単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。特に、好ましくはレーヨン、ナイロン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリプロピレンである。
【0070】
抵抗調整のための導電性材料としては、上記カーボンの他、金属粉体、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ等を使用できる。合成樹脂中に均一に混合できるものであれば特に限定されない。
【0071】
ブラシ15aのブラシ毛の比抵抗は、10Ωcm〜1010Ωcmの範囲内のものが好ましい。ブラシ毛の太さは、2デニールから20デニールが好ましい。ここでいう「デニール」とは、ブラシ15aを構成するブラシ毛(繊維)の長さ9000mの質量をg(グラム)単位で測定した数値である。ブラシ15aのブラシ毛密度は、5本/mm〜500本/mm(1平方ミリメートルあたりのブラシ毛数)が好ましい。
【0072】
上述した導電性支持体の材質としては、ステンレススチール、アルミニウム等の金属が挙げられるが、導電性のものであればこれらに限定されない。また、本実施の形態では、ロール状に成形されたファー(柔毛)状のブラシ15aを用いているが、これに限定されない。
【0073】
(第2トナー担持体16)
一方、像担持体1の回転方向からみて、第1トナー担持体15よりも下流側に配置される第2トナー担持体16は上記電圧を印加可能な限りいかなる材料からなっていてもよい。たとえば、アルマイト等の表面処理を施したアルミローラが挙げられる。
【0074】
その他アルミ等の導電性基体上に、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂コートやシリコーンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム等のゴムコーティングを施したものを用いてもよい。コーティング材料としては、これに限定されるものではない。
【0075】
さらに上記コーティングのバルクもしくは表面に導電剤が添加されていてもよい。導電剤としては、電子導電剤もしくはイオン導電剤が挙げられる。電子導電剤として、ケッチンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラックや、金属粉、金属酸化物の微粒子等が挙げられるが、これに制約されない。イオン導電剤として、四級アンモニウム塩等のカチオン性化合物や、両性化合物、その他イオン性高分子材料が挙げられるが、これにこだわらない。さらに、アルミ等の金属材料からなる導電性ローラであっても構わない。
【0076】
(現像装置2の動作)
図3を参照して、規制部材14によって通過量を規制された現像剤担持体11上の現像剤23は、第1トナー担持体15と対向する第1トナー供給領域8へと搬送される。第1トナー担持体15と現像剤担持体11との対向部である第1トナー供給領域8では、磁石ローラ13の主磁極N4により現像剤23の穂立ちが形成される。第1トナー担持体15に印加された現像バイアスVb1と現像剤担持体11に印加されたトナー供給バイアスVsとの電位差に基づき形成されたトナー供給電界がトナーに与える力により、現像剤23中のトナーが第1トナー担持体15へ供給される。
【0077】
第1トナー担持体15には、直流電圧もしくは直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスVb1が加えられ、現像剤担持体11には直流電圧もしくは直流電圧に交流電圧を重畳したトナー供給バイアスVsが加えられ、第1トナー供給領域8には直流電界もしくは直流電界に交番電界が重畳された電界が形成される。
【0078】
第1トナー供給領域8を通過した残りの現像剤23は、現像剤担持体11のスリーブローラ12と共に回転移動して、第2トナー担持体16と対向する第2トナー供給領域10へと搬送される。
【0079】
第2トナー供給領域10においても第1トナー供給領域8と同様に、現像剤担持体11上の現像剤23は磁石ローラ13の主磁極N1によって穂立ちが形成され、第2トナー担持体16に印加された現像バイアスVb2と現像剤担持体11に印加されたトナー供給バイアスVsとの電位差に基づき形成された電界がトナーに与える力により、現像剤23中のトナーが第2トナー担持体16へ供給される。
【0080】
第2トナー担持体16には、直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスVb2が加えられ、現像剤担持体11には直流電圧もしくは直流電圧に交流電圧を重畳したトナー供給バイアスVsが加えられ、第2トナー供給領域10には直流電界に交流電界が重畳された電界が形成される。また、穂立ちした現像剤担持体11上の現像剤23によって第2トナー担持体16上の現像残トナーを機械的に掻き取り、現像残トナーが回収される。
【0081】
ここで、第1トナー担持体15と第2トナー担持体16とは接触配置されていても良く、接触部において第2トナー担持体16上のトナー層がブラシローラによって摺擦力で均一安定化される構成としても良い(詳細は図6)。
【0082】
図2において、像担持体1の回転方向に着目すると、第2トナー担持体16は、最下流側に位置し、複数段に渡る現像工程の最終段の現像となる。この最終段の現像時の第2トナー担持体16上のトナー層が均一安定化されることで、現像特性の安定性が向上し、安定した現像像を得ることが可能となる。
【0083】
図2では現像剤担持体11と第1トナー担持体15および第2トナー担持体16との回転方向を、すべて同方向に回転するように設定しているが、両方とも逆回転に設定することもできるし、あるいは片方だけ逆方向に設定することもできる。
【0084】
図2のように同方向に回転させた場合は、現像剤担持体11と第2トナー担持体16の対向部ではそれぞれの表面が互いに逆方向に回転する。ハイブリッド現像方式では現像残トナーをできる限り回収し、トナーを現像した部分と現像しなかった部分のトナー量差を出来るだけ小さくした上で次のトナー供給を行なうことが、現像履歴(ゴースト)の発生を抑制する上で重要である。
【0085】
したがって、現像剤担持体11の表面と第2トナー担持体16の表面の対向部での動きが逆方向とすることで相対速度が大きくなり、磁気ブラシの摺擦による機械的回収力がより高くなり、現像残トナーの回収観点で有利である。
【0086】
また、第1トナー担持体15と第2トナー担持体16とが互いに接触する構成における、接触部においても同様に、第1トナー担持体15によって第2トナー担持体16上のトナー層を摺擦し安定化するために、第1トナー担持体15の表面と第2トナー担持体16の表面の対向部で動きを逆方向とすることで、相対速度が大きくなり、ブラシによる摺擦による均し効果が大きくなる。
【0087】
以上の理由から、現像剤担持体11、第1トナー担持体15、および第2トナー担持体16の回転方向を同方向に設定した方が、現像履歴(ゴースト)の抑制に繋がるため望ましい。
【0088】
第1トナー供給領域8で第1トナー担持体15上に現像剤担持体11から供給されたトナー層は、第1トナー担持体15の回転に伴って第1現像領域7へと搬送され、第1トナー担持体15に印加された現像バイアスVb1と像担持体1上の潜像電位とによって形成される電界により第1の現像に使用される。
【0089】
第1現像領域7では、第1トナー担持体15と像担持体1とは接触または近接配置され、電界によってトナーが移動することで現像が行われる。
【0090】
第2トナー供給領域10で第2トナー担持体16上に現像剤担持体11から供給されたトナー層は、第2トナー担持体16の回転に伴って第2現像領域9へと搬送され、第2トナー担持体16に印加された現像バイアスVb2と像担持体1上の潜像電位とによって形成される電界により第2の現像に使用される。
【0091】
第2現像領域9では、第2トナー担持体16と像担持体1の間に設けられた現像ギャップ中を電界によってトナーが移動することで現像が行なわれ、非接触一成分現像の特徴であるノイズの少ない良好な現像像を形成する。
【0092】
その後、第2現像領域9でトナーを消費したトナー層(現像残トナー層)は、第2トナー担持体16の回転に伴い第2トナー供給領域10へと搬送される。
【0093】
第2トナー供給領域10を通過した現像剤23は、スリーブローラ12の回転とともにさらに現像剤槽17に向けて搬送され、磁石ローラ13の磁極N2、N3によって形成される反発磁界によって現像剤担持体11上から剥離され、現像剤槽17内へと回収される。
【0094】
補給制御部(図示省略)が、ATDCセンサ21の出力値から、現像剤23中のトナー濃度が画像濃度確保のための最低トナー濃度以下になったことを検出すると、トナー補給手段(図示省略)によってホッパ内に貯蔵された補給トナー22が、補給部24を介して現像剤槽17内へ供給される。
【0095】
(第1トナー担持体15の説明)
次に、第1トナー担持体15の作用機構について詳細に説明する。トナー担持体として、表面にブラシ15aを有することで、以下の効果が得られる。
【0096】
(a) 表面積が大きく、トナー担持量を多くすることが可能になる。 (b) ブラシ毛の弾性変形および回復を活用したブラシ付着トナーの離脱が可能になる。
【0097】
(c) ブラシ毛による摺擦によって、接触ローラ上のトナー層を回収・均一化することが可能になる。
【0098】
<(a)の効果説明>
表面が剛体、もしくは弾性体からなるローラと比較して、ブラシ15aを用いることで、ブラシ毛先端が形成するローラ外周円の内部にもトナーを取り込むことが可能となり、より多くのトナーを担持することができる。
【0099】
さらに、通常のローラ表面に担持されたトナーは、帯電しているため、トナーの帯電量および付着量に応じたトナー層電位を形成し、電圧を印加されたローラ電位とトナー層電位との合計が現像電位として寄与するため、現像特性への影響が大きい。一方、ブラシ毛内部に取り込まれた帯電トナーは、ブラシ毛がトナーと比較して抵抗が小さいため、そのトナー電位がブラシローラ表面に及ぼす影響が小さく、トナー担持量を増大させた際の現像特性への影響を小さく抑えることが可能になる。
【0100】
<(b)の効果説明>
ブラシ15aを構成するブラシ毛は樹脂繊維からなるため、ブラシ毛の弾性体としての特徴を活用可能になる。ブラシ15aの外周面に接触部材を設けることで、ブラシローラの回転に伴い、ブラシ毛が接触部材と接触して弾性変形が生じ、ブラシ毛が接触状態から解放される際に弾性変形が回復する。この弾性回復過程においてブラシ毛の表面に付着したトナーは、ブラシ毛表面から弾き出され、離脱する。すなわち、電界以外の作用でブラシローラからのトナー離脱が可能となる。
【0101】
従来、非接触一成分現像において、トナー担持体からのトナーの離脱は電界による静電気力によってのみ行なわれていた。しかし、ブラシ15aでは弾性変形を活用したトナー離脱によって、強制的に現像ニップ中にトナーを供給することが可能となり、特に高速領域における現像性を大幅に向上することが可能になる。
【0102】
ブラシの弾性変形を活用したトナー離脱を促進するための他の実施の形態としては、図4に示すような像担持体1と第1トナー担持体15のブラシ15aとを接触させる構成、図5に示すような第1現像領域7において、第1トナー担持体15の回転方向の上流側に、ブラシ15aに接触する接触部材25を配置する構成を採用することも可能である。
【0103】
<(c)の効果説明>
トナー担持体上のトナー付着量が変動すると、現像電位(ローラ電位+トナー層電位)も変動する。第2現像領域9は最終段の現像工程であるため、現像電位が安定せず、合わせて第2現像領域9へ搬送されるトナー量が変動すると濃度変動や画像メモリーなどの画像欠陥が生じてしまう。そこで、特に第2トナー担持体16上のトナー層を安定化することが重要となる。
【0104】
一般にブラシ毛による摺擦によってクリーニング作用が得られ、ブラシ15aは像担持体1や中間転写体のクリーニングとしても広く用いられている。本実施の形態においても、第1トナー担持体15と第2トナー担持体16とを、図6に示すように接触配置させることで、ブラシ15aによるリーニング作用が得られる。ブラシ15aによって第2トナー担持体16の上の余剰トナーを回収し、トナー厚さを均一にすることで、第2トナー担持体16が像担持体1と対向する第2現像領域9における第2トナー担持体16の上のトナー量を安定化させることが可能になる。
【0105】
(実施例)
上述した実施の形態に係る現像装置2を用いて、効果を確認するために実施した結果を述べる。
【0106】
用いた現像装置2は、図2および図3に示す現像装置に相当する構成の現像装置を用意した。画像形成装置1000には、コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製のbizhub PRO1050を、システム速度750mm/sで駆動できるように改造し、図2の現像装置2を装着可能にして用いた。現像剤23にはマイナス帯電トナーの現像剤を用い、現像剤23のトナー濃度を8%に調整した。
【0107】
<実施例1>
図2および図3に示す現像装置2において、像担持体1と第1トナー担持体15との現像ギャップ、および、像担持体1と第2トナー担持体16との現像ギャップは、それぞれ0.15mmとした。
【0108】
第1トナー担持体15と現像剤担持体11とのトナー供給ギャップ、および、第2トナー担持体16と現像剤担持体11とのトナー供給ギャップは、それぞれ0.35mmとした。
【0109】
第1トナー担持体15および第2トナー担持体16に印加する電圧は、振幅がpeak to peakで1.4kV、DC成分が−350V、周波数が4kHz、Duty比が50%の矩形波電圧とした。現像剤担持体11には、−550VのDC電圧を印加した。像担持体上に形成された静電潜像の背景部電位は−550V、画像部電位は−60Vであった。
【0110】
<実施例2>
実施例1における現像装置2(図3)と比較して、図4に示すように、第1トナー担持体15と像担持体1とが接触する構成とした。また、第1トナー担持体15への印加電圧を、振幅がpeak to peakで0.5kV、DC成分が−350V、周波数が4kHz、Duty比が50%の矩形波電圧とした。
【0111】
<実施例3>
実施例1における現像装置2(図3)と比較して、図5に示すように、第1現像領域7の第1トナー担持体15の回転方向上流側に接触部材25を配置した。接触部材25としては、表面にアルマイト処理を施したアルミローラを用いた。
【0112】
<実施例4>
実施例1における現像装置2(図3)と比較して、第1トナー担持体15と第2トナー担持体16とが接触するよう配置した。
【0113】
<実施例5>
実施例2における現像装置2(図4)と比較して、第1トナー担持体15と第2トナー担持体16とが接触するよう配置した。
【0114】
<実施例6>
実施例3における現像装置2(図5)と比較して、第1トナー担持体15と第2トナー担持体16とが接触するよう配置した。
【0115】
<比較例1>
実施例1における現像装置2(図3)と比較して、第1トナー担持体として、第2トナー担持体16と同じローラを用いた。
【0116】
<比較例2>
実施例1における現像装置2(図3)と比較して、第1トナー担持体15と第2トナー担持体16とを入れ替え、第1トナー担持体15を下流側、第2トナー担持体16を上流側に配置した。
【0117】
<比較例3>
実施例2における現像装置2(図4)と比較して、第1トナー担持体と第2トナー担持体を入れ替え、第1トナー担持体15を下流側、第2トナー担持体16を上流側に配置し、第1トナー担持体15(下流側)のブラシ15aを像担持体1と接触させた。
【0118】
上記、実施例1〜6および比較例1〜3においては、図7(A)に示した画像チャートを印刷した。図7(A)の画像チャートGCはライン画像部GL、ベタ画像部GB、およびハーフ画像部GHで構成されており、ライン画像部GLは600dpiの1dot、2dot、4dot、8dotに相当する4つの線幅で形成した。出力画像のライン画像部GLの再現性から、高速現像性の評価を行ない、出力画像のハーフ画像部GHの均一性から現像均一性の評価を行った。
【0119】
図7(B)は出力画像においてゴーストが発生している場合の例で、黒ベタ部のトナー担持体の1周期後の位置にハーフ画像部より薄いゴースト像GSが発生している。この黒ベタ部の1周期後に対応する領域と白ベタ部に対応するハーフ画像部の濃度測定によりゴースト発生を評価した。
【0120】
高速現像性の評価は、ライン画像の再現性を目視評価し、すべてのラインが十分に再現されている場合をA(特に良好)、1ドットラインにのみかすれが生じている場合をB(良好)、2ドットラインにおいてもかすれが生じている場合をC、ラインに欠損が生じている場合をDとした。
【0121】
現像均一性の評価は、後述のゴーストの影響を受けない、画像後半部のハーフ部の肌理を目視評価により行なった。ザラツキを強く感じる場合をD、それ以外をB(良好)とした。
【0122】
現像履歴(ゴースト)の評価は、濃度計(X−Rite社製、X−Rite310)により行なった。印刷されたハーフ画像部の黒ベタ部、白部に対応する領域の濃度を測定し、濃度差が0.05以下の場合をA(特に良好)、濃度差が0.05を超えて0.1以下の場合をB(良好)、それ以外をD(ゴースト発生)とした。
【0123】
(評価結果)
実施例1〜6および比較例1〜3の評価結果を図8に示す。図8より、実施例1〜6においては、いずれの項目とも良好以上(A,B)を維持しているのに対して、比較例1では高速現像性が不足しており(C評価)、比較例2および比較例3においては、現像の均一性が損なわれている(D評価)。さらに、比較例3においては、ブラシ15aから離脱したトナーの画像形成装置機内への飛散が著しいことが確認された。
【0124】
以上、本実施の形態における現像装置および画像形成装置においては、像担持体1上の静電潜像を現像する第1トナー担持体15および第2トナー担持体16と、表面に二成分の現像剤23を保持し、第1トナー担持体15および第2トナー担持体16にトナーを供給する現像剤担持体11を有するハイブリッド型の現像装置2において、像担持体1回転方向上流側に位置する第1トナー担持体15がブラシ15aを有する。
【0125】
このように、第2トナー担持体16よりも上流側に位置する第1トナー担持体15がブラシ15aを有することで、第1トナー担持体15のトナー担持量を多くすることが可能となり、高速での現像性を向上させることが可能となる。さらに、ブラシ15aを下流側に位置する第2トナー担持体16に接触させることで、第2トナー担持体16上のトナー担持量が安定化され、画像メモリーを抑制することが可能となる。
【0126】
その結果、本実施の形態おける現像装置および画像形成装置によれば、複数のトナー担持体を設けたハイブリッド現像装置において、装置の大型化やコストアップを極力抑え、高速現像時の濃度低下や、画像履歴(ゴースト)の発生のない、高速・高画質な現像装置および画像形成装置を提供することが可能とする。
【0127】
なお、上記実施の形態においては、像担持体1上の静電潜像を現像するトナー担持体として、2つのトナー担持体を配置する場合について説明したが、この構成に限定されるものではない。たとえば、図9および図10に示す構成の採用も可能である。
【0128】
図9に示す構成は、第1トナー担持体15と第2トナー担持体16との間に、第2トナー担持体16と基本的構成を同じとする第3トナー担持体28を配置したものである。
【0129】
図10に示す構成は、第1トナー担持体15と第2トナー担持体16との間に、第1トナー担持体15と基本的構成を同じとする、ブラシを有する第3トナー担持体29を配置したものである。
【0130】
図9および図10に示すように、第1トナー担持体15と第2トナー担持体16との間に、第3トナー担持体を設けた場合であっても、上記実施の形態における現像装置および画像形成装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0131】
また、トナー担持体を2つ、または、3つ設ける構造に限定されるものでない。像担持体1上に形成された静電潜像を現像する複数のトナー担持体を設ける場合もある。
【0132】
なお、本発明に基づく実施の形態における第1トナー担持体15は、複数のトナー担持体を設けた場合には、像担持体1の回転方向からみて、複数のトナー担持体の内の最も上流側に位置するトナー担持体を意味し、第2トナー担持体16は、像担持体1の回転方向からみて、複数のトナー担持体の内の最も下流側に位置するトナー担持体を意味する。
【0133】
図2に示す実施の形態では、2つのトナー担持体を設けていることから、第1トナー担持体15が、2つのトナー担持体の内、最も上流側に位置するトナー担持体となり、第2トナー担持体16が、2つのトナー担持体の内、最も下流側に位置するトナー担持体となる。
【0134】
また、図9および図10に示す実施の形態では、3つのトナー担持体を設けていることから、第1トナー担持体15が、3つのトナー担持体の内、最も上流側に位置するトナー担持体となり、第2トナー担持体16が、3つのトナー担持体の内、最も下流側に位置するトナー担持体となる。
【0135】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0136】
1 像担持体(感光体)、2 現像装置、3 帯電部材、4 転写ローラ(一次転写装置)、5 清掃装置(クリーニングブレード)、6 露光装置、7 第1現像領域、8 第1トナー供給領域、9 第2現像領域、10 第2トナー供給領域、11 現像剤担持体、12 スリーブローラ、13 磁石ローラ、14 規制部材、15 第1トナー担持体、15a ブラシ、16 第2トナー担持体、17 現像剤槽、18,19 混合撹拌部材、20 ケーシング、21 ATDCセンサ、22 補給トナー、23 現像剤、24 補給部、25 接触部材、28 第3トナー担持体、29 第3トナー担持体、40 転写ベルト清掃装置、50 転写ベルト、70 二次転写装置、80 定着装置、90 清掃装置、100 画像形成ユニット、1000 画像形成装置、P 記録媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成された静電潜像を現像する第1トナー担持体および第2トナー担持体と、
トナーとキャリアとを含む現像剤を担持し前記第1トナー担持体および前記第2トナー担持体に前記トナーを供給する現像剤担持体と、を備え、
前記像担持体の回転方向から見て、前記第1トナー担持体は、前記第2トナー担持体よりも上流側に配置され、
前記第1トナー担持体の前記像担持体が対向する領域には、ブラシが設けられる、現像装置。
【請求項2】
前記現像剤担持体の回転方向、前記第1トナー担持体の回転方向、および第2トナー担持体の回転方向が同じである、請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第1トナー担持体の前記ブラシが、前記像担持体に接するように配置される、請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記像担持体の回転方向から見て、前記第1トナー担持体の上流側に、前記ブラシに接する接触部材をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記第1トナー担持体の前記ブラシが、前記第2トナー担持体に接するように配置される、請求項1から4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記第1トナー担持体と前記第2トナー担持体との間に、前記像担持体上に形成された静電潜像を現像する第3トナー担持体をさらに有する、請求項1から5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記第3トナー担持体の前記像担持体が対向する領域には、ブラシが設けられる、請求項6に記載の現像装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の現像装置を有する、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−3179(P2012−3179A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140396(P2010−140396)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】