説明

現像装置及びこれを用いた画像形成装置

【課題】組み付けが容易で、且つ現像剤担持体上の現像剤に対してストレスが少ない状態で、トナー飛散やトナー落ちを抑制することができる現像装置及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】一端が現像領域よりも現像ローラ移動方向上流側で現像ケーシング13の開口縁部131に固定され、他端が感光体1に接触することにより、現像ケーシング13の開口縁部131と感光体1との隙間を塞ぐ第一入口シール4と、一端が第一入口シール4の一端よりも感光体1から離れた位置となる現像ケーシング13の内壁部に固定され、他端が自重により垂れ下がりドクターブレード12による規制位置を通過した現像ローラ3上の現像剤に接触する第二入口シール5とを備える現像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二成分現像剤を用いて現像を行う現像装置、及びこれを用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いる画像形成部に装備される現像装置においては、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を現像剤担持体上に担持し、現像剤担持体内部の固定磁極によって磁気ブラシを形成させて現像を行う現像装置が知られている。この現像装置では、ドクターブレード等の現像剤規制部材で現像剤の層厚を規制した後、現像剤担持体上に担持された現像剤を現像剤担持体の表面移動により、潜像担持体と対向する現像領域まで搬送する。その際、現像剤は遠心力或いは現像装置内の気流の影響を受け、キャリアの飛散或いはトナーの飛散(以下、「現像剤の飛散」という)を引き起こす。現像剤の現像ケーシング外への飛散は、潜像担持体上における現像領域よりも移動方向上流側に現像剤が付着する等、画像形成装置内を汚染することになり好ましくない。そのため、これらの対策として、現像領域における現像剤担持体移動方向上流側における現像ケーシングの開口縁部と潜像担持体表面との隙間を塞ぐ現像剤飛散防止シートが設置されるのが一般的である。しかしながら、一般的な現像剤飛散防止シートでは初期的には効果があっても、経時では現像剤飛散防止シートの現像剤担持体に対向する面に飛散した現像剤が付着し、その面にトナー溜まりが発生しやすくなる。このようなトナー溜まりが発生すると、何らかの衝撃が加わることで、トナーの塊が落下し、異常画像が発生する等の種々の不具合が発生する。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1では、上述した現像剤飛散防止シートに加えて、現像剤規制部材の規制位置通過後の現像剤層を覆うように現像剤溜まり防止シートを設けている。この現像剤溜まり防止シートは、一端が現像ケーシングの内壁部に固定され、自由端が現像剤飛散防止シートの端部に接触している。これにより飛散した現像剤が、現像剤飛散防止シートの現像剤担持体に対向する面に付着するのを抑制することができる。また、現像剤飛散防止シートに代わって現像剤溜まり防止シートに飛散したトナーが付着したとしても、この現像剤溜まり防止シートの現像剤担持体に対向する面は現像剤担持体上の現像剤によって擦られるため、現像剤溜まり防止シートにトナー溜まりが発生しにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した現像剤溜まり防止シートは一端を現像剤飛散防止シートの端部に突き当て設置されている。そのため、現像剤溜まり防止シートの現像装置への組み付けが難しい。また、現像剤溜まり防止シートは一端が現像剤飛散防止シートの端部に突き当てられて固定されるため、現像剤担持体上の現像剤にストレスがかかりやすく搬送ムラが生じやすくなる。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、組み付けが容易で、且つ現像剤担持体上の現像剤に対してストレスが少ない状態で、トナー飛散やトナー落ちを抑制することができる現像装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、現像ケーシングの開口から一部が露出した状態で潜像担持体表面に対向配置され、トナー及びキャリアからなる現像剤を表面上に担持して表面移動し、該潜像担持体と対向する現像領域で該潜像担持体表面上の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体との間に所定のギャップを介して対向配置され、該現像剤担持体上に担持される現像剤量を規制する現像剤規制部材とを備える現像装置において、一端が現像領域よりも該現像剤担持体移動方向上流側で該現像ケーシングの開口縁部に固定され、他端が該潜像担持体に接触することにより、該現像ケーシングの開口縁部と該潜像担持体との隙間を塞ぐ第一シール部材と、一端が該第一シール部材の一端よりも該潜像担持体から離れた位置となる該現像ケーシングの内壁部に固定され、他端が自重により垂れ下がり該現像剤規制部材による規制位置を通過した該現像剤担持体上の現像剤に接触する第二シール部材とを備えることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記第二シール部材は、上記現像剤担持体表面と所定のギャップを保って円弧状に撓み、該現像剤担持体の内部に固定配置された磁界発生手段によって発生する磁界により穂立ちする磁気ブラシの穂の先端に接触することを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項2の現像装置において、上記第二シール部材の他端は、上記磁界発生手段のうちの現像主極による磁気ブラシと、該磁界発生手段のうち該現像主極よりも現像ローラ移動方向上流側に隣接して配された搬送磁極による磁気ブラシとの間であって穂が寝ている箇所に位置することを特徴とするものである。
請求項4の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体と対向する現像領域にトナー及びキャリアからなる二成分現像剤を搬送して該潜像担持体上の潜像に該トナーを付着させて現像する現像装置とを備え、該現像装置による現像によって得られるトナー像を潜像担持体上から最終的に記録材上へ転移させることで、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、上記現像装置として、請求項1、2、又は3の現像装置を用いることを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、第一シール部材によって現像ケーシングと現像担持体との隙間が第一シール部材によって塞がれているので、現像剤規制部材による規制位置を通過した現像剤が現像ケーシング外へ飛散することを抑制することができる。また、第二シール部材は、他端が自重により垂れ下がって現像剤規制部材による規制位置を通過した現像剤担持体上の現像剤に確実に接触し、第二シール部材の現像剤担持体に対向する面が現像剤によって擦られることになる。そのため、第二シール部材の現像剤担持体に対向する面に現像剤が付着して溜まるのを抑制することができる。また、第二シール部材は、他端が自重で垂れ下がって現像剤担持体上の現像剤に接触する構成であるため、両端部が固定されて現像剤担持体上の現像剤に接触するシール部材に比べ、現像剤剤担持体上の現像剤に対してストレスが少なく、現像剤の搬送ムラが生じにくい。また、第二シール部材は、他端が自重で垂れ下がる構成であるため、他端を別のシール部材の端部に突き当てて装置内に組み付ける場合に比べ組み付けが容易である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、組み付けが容易で、且つ現像剤担持体上の現像剤に対してストレスが少ない状態で、トナー飛散やトナー落ちを抑制することができる現像装置及びこれを用いた画像形成装置を提供できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る複写機の概略構成を説明する構成図。
【図2】同複写機の画像形成ユニットの概略構成を説明する構成図。
【図3】同画像形成ユニットの現像装置の一部構成を説明する部分拡大構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る現像装置を用いる画像形成装置の一例として、複数の感光体が並行配設されたタンデム型のカラーレーザー複写機(以下、単に「複写機」という)の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る複写機の概略構成を説明する構成図である。この複写機はプリンタ部100、これを載せる給紙装置200、プリンタ部100の上に固定されたスキャナ300等を備えている。また、このスキャナ300の上に固定された原稿自動搬送装置400等も備えている。
【0011】
上記プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組の画像形成ユニット20Y,M,C,Kを備えている。各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kは、イエロー、シアン、マゼンダ、ブラック用の部材であることを示している(以下同様)。画像形成ユニット20Y,M,C,Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25等が配設されている。
【0012】
光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて後述の感光体の表面にレーザ光を照射する。
【0013】
画像形成ユニット20Y,M,C,Kは、それぞれドラム状の感光体1の周囲に備える帯電器、現像装置2、ドラムクリーニング装置、除電器等を1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、画像形成装置1本体に対して着脱可能になっている。
【0014】
以下、イエロー用の画像形成ユニット20Yについて説明する。帯電手段たる帯電器によって、感光体1Yの表面は一様帯電される。帯電処理が施された感光体1Yの表面には、光書込ユニット21によって変調及び偏向されたレーザ光が照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰する。この減衰により、感光体1Y表面にY用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は現像手段たる現像装置2Yによって現像されてYトナー像となる。Y用の感光体1Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の感光体1Yの表面は、ドラムクリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。Y用の画像形成ユニット20Yにおいて、ドラムクリーニング装置によってクリーニングされた感光体1Yは、除電器によって除電される。そして、帯電器によって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他の画像形成ユニット20M,C,Kについても同様である。
【0015】
次に、中間転写ユニット17について説明する。中間転写ユニット17は、中間転写ベルト110やベルトクリーニング装置90等を有している。また、張架ローラ14、駆動ローラ15、二次転写バックアップローラ16、4つの一次転写バイアスローラ62Y,M,C,K等も有している。中間転写ベルト110は、張架ローラ14を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回りに無端移動せしめられる。4つの一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kは、それぞれ中間転写ベルト110の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。
【0016】
また、中間転写ベルト110をその内周面側から感光体1Y,M,C,Kに向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体1Y,M,C,Kと一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kとの間に一次転写電界が形成される。Y用の感光体1Y上に形成された上述のYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110上に一次転写される。このYトナー像の上には、M,C,K用の感光体1M,C,K上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト110上には多重トナー像たる4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0017】
中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、後述の二次転写ニップで図示しない記録シートたる転写紙に二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ15との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0018】
次に、二次転写装置22について説明する。中間転写ユニット17の図中下方には、2本の張架ローラ23によって紙搬送ベルト24を張架している二次転写装置22が配設されている。紙搬送ベルト24は、少なくとも何れか一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、図中反時計回りに無端移動せしめられる。2本の張架ローラ23のうち、図中右側に配設された一方のローラは、中間転写ユニット17の二次転写バックアップローラ16との間に、中間転写ベルト110及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ユニット17の中間転写ベルト110と、二次転写装置22の紙搬送ベルト24とが接触する二次転写ニップが形成されている。
【0019】
そして、この一方の張架ローラ23には、トナーと逆極性の二次転写バイアスが図示しない電源によって印加される。この二次転写バイアスの印加により、二次転写ニップには中間転写ユニット17の中間転写ベルト110上の4色トナー像をベルト側からこの一方の張架ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。レジストローラ対49によって中間転写ベルト110上の4色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれた転写紙には、この二次転写電界やニップ圧の影響を受けた4色トナー像が二次転写せしめられる。なお、このように一方の張架ローラ23に二次転写バイアスを印加する二次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。
【0020】
複写機本体の下部に設けられた給紙装置200には、ペーパーバンク43内に複数の給紙カセット44が鉛直方向に多段に収容される。各給紙カセット44内には、複数の転写紙が紙束の状態で重ねて収容されている。それぞれの給紙カセット44は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42を押し当てている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙を給紙路46に向けて送り出される。
【0021】
給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路46は、複数の搬送ローラ対47と、その路内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対49に向けて搬送する。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。
【0022】
一方、上記中間転写ユニット17において、中間転写ベルト110上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って上記二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を二次転写ニップにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の4色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙上に二次転写されて、白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って二次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト24上から定着装置25に送られる。
【0023】
定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架しながら無端移動せしめるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。これら定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト26を加圧する。加圧された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着せしめられる。
【0024】
定着装置25内で定着処理が施された転写紙は、排出ローラ56により複写機の筐体の図中左側板に突設せしめられたスタック部57上に排出されるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために上述の二次転写ニップに戻されるかする。
【0025】
図示しない原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台30上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス32上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナ300のコンタクトガラス32が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0026】
このようにして原稿がセットされた後、図示しないコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ300による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。原稿読取動作では、まず、第一走行体33と第二走行体34とがともに走行を開始し、第一走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第二走行体34内に設けられたミラーによって反射せしめられ、結像レンズ35を通過した後、読取センサ36に入射される。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0027】
このような原稿読取動作と並行して、各画像形成ユニット20Y,M,C,K内の各機器や、中間転写ユニット17、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、各感光体40Y,M,C,K上に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0028】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ42の1つが選択回転せしめられ、ペーパーバンク43内に多段に収容される給紙カセット44の1つから転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて反転給紙路46に進入した後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択回転せしめられて手差しトレイ51上の転写紙を送り出した後、分離ローラ52が転写紙を1枚ずつ分離してプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙する。
【0029】
本複写機は、2色以上のトナーからなる他色画像を形成する場合には、中間転写ベルト110をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に全ての感光体1Y,M,C,Kを接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト110を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY,M,C用の感光体1Y,M,Cから離間させる。そして、4つの感光体1Y,M,C,Kのうち、K用の感光体1Kだけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y,M,Cについては、感光体1だけでなく、現像装置2も駆動を停止させて、感光体1や現像剤の不要な消耗を防止する。
【0030】
本複写機は、複写機内の下記機器の制御を司るCPU等から構成される図示しない制御部と、液晶ディスプレイや各種キーボタン等から構成される図示しない操作表示部とを備えている。操作者は、この操作表示部に対するキー入力操作により、制御部に対して命令を送ることで、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードについて、3つのモードの中から1つを選択することができる。この3つの片面プリントモードとは、ダイレクト排出モードと、反転排出モードと、反転デカール排出モードとからなる。
【0031】
図2は、画像形成ユニットの概略構成を説明する構成図である。4つの画像形成ユニット20Y,M,C,Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、同図ではY,M,C,Kという添字を省略している。
【0032】
現像装置2は、主に、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を担持する現像剤担持体としての現像ローラ3と、現像剤を内部に収容する現像ケーシング13とから構成されている。現像ケーシング13は、図中版時計回り方向に回転する感光体1の表面と対向する位置が開口しており、その開口から図中時計回り方向に回転する現像ローラ3の一部が露出している。現像ローラ3は、その開口から露出した表面部分が感光体1の表面と微少間隔をあくように配置されている。この現像ローラ3は、導電性且つ非磁性の材料から形成された円筒状の現像スリーブと、現像スリーブの内部に複数の磁極が固定配置されるマグネットローラとから構成されている。現像スリーブが回転駆動されると、現像スリーブはマグネットローラに対して相対移動し、感光体1の表面移動方向に対して連れ回り方向に回転する。また、現像スリーブには、現像バイアスを印加するための図示しない電源が接続されている。現像スリーブに現像バイアスが印加されると、現像ローラ3の表面と感光体1の表面とが対向する現像領域に現像電界が形成される。この現像電界により、現像ローラ3表面に担持された現像剤中のトナーが、感光体1に形成された静電潜像に付着し、現像がおこなわれる。この現像時において、現像領域では現像ローラ3上の現像剤中の磁性キャリアがマグネットローラにより形成される磁界の作用により磁気ブラシが穂立ちした状態となる。
【0033】
また、現像装置2は、現像ローラ3の表面に担持されて現像領域に搬送される現像剤量を規制する現像剤規制部材としてのドクターブレード12や、ドクターブレード12に延設される現像ケーシング13の開口縁部131に後述する第一入口シール、第二入口シールとを備えている。また、現像装置2は、現像ローラ3に現像剤を供給しながら図2の手前方向に現像剤を搬送する供給スクリュ8や、現像領域を通過した現像済みの現像剤を回収し、回収した回収現像剤を供給スクリュ8と同方向に搬送する回収スクリュ6を備えている。供給スクリュ8を備えた供給搬送路9は現像ローラ3の横方向に、回収スクリュ6を備えた回収搬送路7は現像ローラ3の下方に並設されている。また、現像装置2は、供給搬送路9の下方で回収搬送路7に並列して、攪拌搬送路10を設けている。攪拌搬送路10は、現像剤を攪拌しながら供給スクリュ8とは逆方向である図中奥側に搬送する現像剤攪拌搬送部材としての攪拌スクリュ11を備えている。
【0034】
上記供給搬送路9と攪拌搬送路10とは仕切り部材としての第一仕切り壁133によって仕切られている。第一仕切り壁133の供給搬送路9と攪拌搬送路10とを仕切る箇所は図中手前側と奥側との両端は開口部となっており、供給搬送路9と攪拌搬送路10とが連通している。また、攪拌搬送路10と回収搬送路7との2つの搬送路は仕切り部材としての第二仕切り壁134によって仕切られている。第二仕切り壁134は、図中手前側が開口部となっており、攪拌搬送路10と回収搬送路7とが連通している。なお、供給搬送路9と回収搬送路7とも第一仕切り壁133によって仕切られているが、第一仕切り壁133の供給搬送路9と回収搬送路7とを仕切る箇所には開口部を設けていない。
【0035】
現像後の現像剤は回収搬送路7にて回収を行い、図2中の断面手前側に搬送され、非画像領域部に設けられた第二仕切り壁134の開口部で、攪拌搬送路10へ現像剤が移送される。なお、攪拌搬送路10における現像剤搬送方向上流側の第一仕切り壁133の開口部の付近で攪拌搬送路10の上側に設けられたトナー補給口から攪拌搬送路10にトナーとキャリアが予め混合された現像剤となるプレミックストナーが供給される。
【0036】
また、供給搬送路9は、プレミックストナー等の補給により現像装置2内の現像剤量が必要以上に多くなった場合に現像装置2の外部へ供給搬送路9内の現像剤の一部を排出する排出搬送路18を備えている。排出搬送路18は、現像剤排出口18aと、現像剤排出口18aから排出された現像剤を現像装置2の外部に搬送する排出搬送スクリュ18bを備えている。排出搬送路18は、仕切り壁135を挟んで供給搬送路9と隣り合うように配置され、現像剤排出口18aは、供給搬送路9の現像剤搬送方向下流側端部で供給搬送路9と排出搬送路18とを連通するように仕切り壁135に設けられた開口である。
【0037】
次に、3つの現像剤搬送路内での現像剤の循環について説明する。攪拌搬送路10から現像剤の供給を受けた供給搬送路9では、現像ローラ3に現像剤を供給しながら、供給スクリュ8の搬送方向下流側に現像剤を搬送する。そして、現像ローラ3に供給され現像に用いられず供給搬送路9の搬送方向下流端まで搬送された余剰現像剤は第一仕切り壁133の余剰開口部より攪拌搬送路10に供給される。現像ローラ3から回収搬送路7に送られ、回収スクリュ6によって回収搬送路7の搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤は第二仕切り壁134の回収開口部より攪拌搬送路10に供給される。そして、攪拌搬送路10は、供給された余剰現像剤と回収現像剤とを攪拌し、攪拌スクリュ11の搬送方向下流側であり、供給スクリュ8の搬送方向上流側に搬送し、第一仕切り壁133の供給開口部より供給搬送路9に供給される。
【0038】
攪拌搬送路10では攪拌スクリュ11によって、回収現像剤、余剰現像剤及び移送部で必要に応じて補給されるトナーを、回収搬送路7及び供給搬送路9の現像剤と逆方向に攪拌搬送する。そして、搬送方向下流側で連通している供給搬送路9の搬送方向上流側に攪拌された現像剤を移送する。なお、攪拌搬送路10の下方には、不図示のトナー濃度センサが設けられ、センサ出力により不図示のトナー補給制御装置を作動し、不図示のトナー収容部からトナー補給を行っている。
【0039】
上記現像装置2では、供給搬送路9と回収搬送路7とを備え、現像剤の供給と回収とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が供給搬送路9に混入することがない。よって、供給搬送路9の搬送方向下流側ほど現像ローラ3に供給される現像剤のトナー濃度が低下することを防止することができる。また、回収搬送路7と攪拌搬送路10とを備え、現像剤の回収と攪拌とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が攪拌の途中に落ちることがない。よって、十分に攪拌がなされた現像剤が供給搬送路9に供給されるため、剤供給搬送路9に供給される現像剤が攪拌不足となることを防止することができる。このように、供給搬送路9内の現像剤のトナー濃度が低下することを防止し、供給搬送路9内の現像剤が攪拌不足となることを防止することができるので現像時の画像濃度を一定にすることができる。
【0040】
なお、図4に示すように、現像装置2の下部から上部への現像剤の移動は、攪拌スクリュ11の回転で現像剤を押し込むことにより、現像剤を盛り上がらせて供給搬送路9に現像剤を供給するものである。このような現像剤の移動は、現像剤に対してストレスを与えることになり、現像剤の寿命低下の一因となる。すなわち、現像剤を下方から上方に持ち上げる際に現像剤にストレスがかかり現像剤中のキャリアの膜削れやトナーのスペント化がその個所で発生し、それに伴い画像品質の安定性が保たれなくなってしまう。よって、上述したす現像剤の移動における現像剤のストレスを軽減することで現像剤の長寿命化を図ることが出来る。現像剤の長寿命化を図ることにより、現像剤の劣化を防止して常に画像濃度ムラの無い画像品質の安定した現像装置を提供することができる。
【0041】
本実施形態の現像装置2では、図2に示すように、供給搬送路9を攪拌搬送路10の斜め上方になるように配置している。斜め上方に配置することにより、供給搬送路9を攪拌搬送路10の垂直上方に設け現像剤を持ち上げるものに比べて、矢印Dで示す現像剤の移動における現像剤のストレスを軽減することができる。さらに、現像装置2では、供給搬送路9と攪拌搬送路10とを斜めに配置することで、図2に示すように、攪拌搬送路10の上部壁面が供給搬送路9の下部壁面よりも高い位置となるように配置している。
【0042】
供給搬送路9を攪拌搬送路10に対して垂直上方に持ち上げることは、重力に逆らって現像剤を攪拌スクリュ11の圧によって持ち上げるので現像剤にストレスがかかる。一方、攪拌搬送路10の上部壁面が供給搬送路9の下部壁面よりも高い位置となるように配置することで、攪拌搬送路10の最高点に存在する現像剤が供給搬送路9の最下点に重力に逆らわず流れ込むことができるので、現像剤にかかるストレスを低減することができる。
【0043】
なお、攪拌搬送路10の現像剤搬送路下流側の、攪拌搬送路10と供給搬送路9とが連通している部分の攪拌スクリュ11の軸にフィン部材を設けても良い。このフィン部材は攪拌スクリュ11の軸方向に平行な辺と、攪拌スクリュの軸方向とは垂直な辺とから構成される板状の部材である。このフィン部材で現像剤を掻き上げることにより、攪拌搬送路10から供給搬送路9へ、より効率的な現像剤の受渡しを行うことができる。
【0044】
また、現像装置2では、現像ローラ3と供給搬送路9との中心間距離Aが、現像ローラ3と攪拌搬送路10との中心間距離Bよりも短くなるように、供給搬送路9と攪拌搬送路10とを配置している。これにより供給搬送路9から現像ローラ3に現像剤を無理なく供給することができ、装置の小型化を図ることもできる。また、攪拌スクリュ11は、図2中の手前側から見て反時計回り方向に回転しており、現像剤は攪拌スクリュ11の形状に沿って現像剤を持ち上げて供給搬送路9に移送させている。これにより、現像剤を効率良く持ち上げることが可能となり現像剤にかかるストレスもより低減することができる。
【0045】
次に、本発明の特徴部となる現像装置に設けられる第一シール部材たる第一入口シール、及び第二シール部材たる第二入口シールについて説明する。図3は、現像装置の一部構成を説明する一部拡大構成図である。図3に示すように、第一入口シール4及び第二入口シール5は、現像領域よりも現像ローラ移動方向上流側となる現像ケーシング13の開口縁部131に一端がそれぞれ固定され、他端(自由端)が現像領域に向かっている。これら第一入口シール4及び第二入口シール5は、ポリウレタン(PUR)樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の弾性シートからなる。
【0046】
上記第一入口シール4は、上述したように、一端が現像領域よりも現像ローラ移動方向上流側で現像ケーシング13の開口縁部131の先端に固定され、他端(自由端)が感光体1表面にトレーリング方向で接触するように配置されている。これにより、現像ケーシング13の開口縁部131と感光体1の表面との隙間が塞がれ、この隙間からの現像剤飛散を防止することができる。
【0047】
また、上記第二入口シール5は、一端が第一入口シール4よりも感光体1から離れた位置でありドクターブレード12に近接する位置となる現像ケーシング13の開口縁部131の内壁部に固定され、他端(自由端)が自重により円弧状に垂れ下がり、ドクターブレード12を通過して現像領域に搬送されるまでの現像剤Tに接触するように配置されている。現像ローラ3表面と第二入口シール5とのギャップは、第二入口シール5の現像ローラ3に対向する面が現像ローラ3上に形成される磁気ブラシの穂の先端と接触するように設置されている。これにより、第二入口シール5の現像ローラ3に対向する面は、現像ローラ3により搬送される現像剤Tの穂の先端によって擦られることになり、現像剤溜まりが生じず、またトナーの塊が落下することによる不具合を抑制できる。また、第二入口シール5は自重により垂れ下がった状態で現像ローラ3上の現像剤Tに接触しているため、現像ローラ3上の現像剤Tの穂が立った状態であっても、寝た状態であってもストレス無く接触することができ、位置が固定される入口シールと接触するのに比べ現像剤の搬送ムラが生じにくい。また、第二入口シール5は、他端が自重で垂れ下がる構成であるため、他端を別のシール部材の端部に突き当てて装置内に組み付ける場合に比べ組み付けが容易である。
【0048】
なお、このときの第二入口シール5の他端(自由端)は、現像主極P1による磁気ブラシと、それより現像ローラ移動方向上流側に隣接して配された搬送磁極P2による磁気ブラシとの間であって穂が寝ている箇所に位置するのが好ましい。現像主極P1による穂立ちに第二入口シール5の先端が接触すると、磁気ブラシが乱され、画像の均一間が損なわれるためである。また、第二入口シール5の現像ローラ3に対向する面にアルミニウム蒸着層を設けることにより、第二入口シール5を二層構造とし、第二入口シール5にトナーがより付着しにくいようにしてもよい。
【0049】
以上、本実施形態に係る現像装置2によれば、第一シール部材たる第一入口シール4によってトナー飛散が抑制される。同時に、第二シール部材たる第二入口シール5によって現像剤溜まりが生じにくく、現像領域へのトナー落ちが抑制される。また、第二入口シール5は、他端が自重で垂れ下がる構成であるため、両端部が固定されるシール部材に比べ、現像ローラ3上の現像剤に対してストレスが少ない状態で接触することができ搬送ムラが生じにくい。また、第二入口シール5は、他端が自重で垂れ下がる構成であるため、他端を別のシール部材の端部に突き当てて装置内に組み付ける場合に比べ組み付けが容易である。
また、本実施形態に係る現像装置2によれば、第二入口シール5が現像剤ローラ3と所定のギャップを保って円弧状に撓み、現像ローラ3上に担持される磁気ブラシの穂の先端にストレスなくやさしく接触することができる。その結果、第二入口シール5の現像ローラ3に対向する面に現像剤が付着しにくく、現像剤が溜まりにくい。
また、本実施形態に係る現像装置2によれば、第二入口シール5の先端が現像ローラ3上に担持されている磁気ブラシの穂が寝ている箇所に位置するので、現像領域において磁気ブラシを乱すことがない。
また、上記現像装置2を備えた複写機によれば、現像領域付近からの現像剤飛散やトナー落ちを抑制することができ、高品質な画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 感光体
2 現像装置
3 現像ローラ
4 第一入口シール
5 第二入口シール
12 ドクターブレード
131 現像ケーシングの開口縁部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特許第4280537号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像ケーシングの開口から一部が露出した状態で潜像担持体表面に対向配置され、トナー及びキャリアからなる現像剤を表面上に担持して表面移動し、該潜像担持体と対向する現像領域で該潜像担持体表面上の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体との間に所定のギャップを介して対向配置され、該現像剤担持体上に担持される現像剤量を規制する現像剤規制部材とを備える現像装置において、
一端が現像領域よりも該現像剤担持体移動方向上流側で該現像ケーシングの開口縁部に固定され、他端が該潜像担持体に接触することにより、該現像ケーシングの開口縁部と該潜像担持体との隙間を塞ぐ第一シール部材と、
一端が該第一シール部材の一端よりも該潜像担持体から離れた位置となる該現像ケーシングの内壁部に固定され、他端が自重により垂れ下がり該現像剤規制部材による規制位置を通過した該現像剤担持体上の現像剤に接触する第二シール部材とを備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記第二シール部材は、上記現像剤担持体表面と所定のギャップを保って円弧状に撓み、該現像剤担持体の内部に固定配置された磁界発生手段によって発生する磁界により穂立ちする磁気ブラシの穂の先端に接触することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2の現像装置において、
上記第二シール部材の他端は、上記磁界発生手段のうちの現像主極による磁気ブラシと、該磁界発生手段のうち該現像主極よりも現像ローラ移動方向上流側に隣接して配された搬送磁極による磁気ブラシとの間であって穂が寝ている箇所に位置することを特徴とする現像装置。
【請求項4】
潜像担持体と、該潜像担持体と対向する現像領域にトナー及びキャリアからなる二成分現像剤を搬送して該潜像担持体上の潜像に該トナーを付着させて現像する現像装置とを備え、該現像装置による現像によって得られるトナー像を潜像担持体上から最終的に記録材上へ転移させることで、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
上記現像装置として、請求項1、2、又は3の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−226191(P2012−226191A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94720(P2011−94720)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】