説明

現像装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】現像に供されない現像剤を現像ローラ上から確実に剥ぎ取り、画像形成の高速化に対応した良好な画像を得られる現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置14は、感光体11に対向した現像領域Dにトナーを供給し、周方向に複数の磁極を有する固定磁石体25を内蔵する現像ローラ27と、現像ローラ回転方向に対して現像領域Dの下流側で現像ローラ27上のトナーを剥ぎ取る磁界発生部材50とを備える。磁界発生部材50は、現像ローラ27の略法線方向に配置され、現像ローラ27の表面に対向する対向磁極51aを有する磁石51と、現像ローラ27の表面に対向するとともに、現像ローラ回転方向に対して磁石51の上流側で磁石51に対面して配置される磁性体52とを備える。磁石51の対向磁極51aは、磁石51に対向する固定磁石体25の磁極N1と同極である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いる現像装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、感光体上に形成した潜像を、現像装置により現像してトナー像として可視化することを行っている。このような現像装置の一つとして、小型で低コストな磁性一成分トナー用いた現像装置が実用化されている。この現像装置は、トナー担持体たる現像スリーブの内部に複数の磁極を有する磁石を設け、更に現像スリーブ上のトナーの量を規制する規制部材を設けて、規制部材と現像スリーブとの間でトナーを帯電させ、現像スリーブ上に所定量のトナー薄層を担持させている。
【0003】
上記の現像装置では、低コストにするために現像スリーブを単純な構造としているものがある。例えば、アルミニウム等の金属を特に表面処理を施さずに現像スリーブとして用いている。このような現像スリーブ上では、トナーが強く帯電し現像スリーブ上に強固に付着することになる。このチャージアップしたトナーによって、その後に新たに供給されるトナーは現像スリーブと接触することを妨げられ、十分な電荷を持つことができない。その結果、濃度低下やゴースト現象等の異常画像が発生する。また、チャージアップしたトナーによって、規制部材と現像スリーブとの間でトナーが詰まりやすくなり、凝集トナーが発生する。この凝集トナーによって、グレー画像上に縦白筋の異常画像が発生する。
【0004】
そこで、トナーのチャージアップによって現像スリーブ上に強固に付着したトナーを現像スリーブから引き剥がすことが必要になる。特許文献1では、現像スリーブは、その内部に、周方向に複数の磁極を有する固定磁石体を固定支持し、磁石からなる磁界発生部材は、規制部材よりも現像スリーブの回転方向上流側で、固定磁石体の磁極間部に対向する位置に設けられ、この位置でトナーの磁気ブラシを形成するようになっている。この構成において、現像スリーブ上のトナーが現像領域で感光体に供給され、感光体上の静電潜像が現像されると、感光体上にトナー像が形成される。現像領域において、消費されずに現像スリーブ上に残存したトナーは、磁気ブラシによって現像スリーブ上から剥ぎ取られ、現像スリーブの回転に伴い現像スリーブより現像容器内に回収される。
【0005】
近年、上記のような現像装置においても、出力スピードの高速化が必要になり、現像スリーブの回転速度が大きくなっている。現像スリーブの回転速度が大きくなると、磁石からなる磁界発生部材では、現像スリーブ上からトナーを引き剥がすだけの磁界を発生させることが難しくなり、現像スリーブ上で現像剤層が乱れ、良好なトナー画像が得られないという不都合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−34267号公報(段落[0028]、[0033]〜[0035]、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、現像に供されない現像剤を現像ローラ上から確実に剥ぎ取り、画像形成の高速化に対応した良好な画像を得られる現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、像担持体に対向した現像領域に現像剤を供給し、周方向に複数の磁極を有する固定磁石体を内蔵する現像ローラと、前記現像ローラ上の現像剤の量を規制する規制部材と、現像ローラ回転方向に対して現像領域の下流側で前記現像ローラ上の現像剤を剥ぎ取る磁界発生部材とを備える現像装置において、前記磁界発生部材は、前記現像ローラの略法線方向に配置され、前記現像ローラの表面に対向する対向磁極を有する磁石と、前記現像ローラの表面に対向する対向面部を有して、現像ローラ回転方向に対して前記磁石の上流側で前記磁石に対面して配置される磁性体とを備え、前記磁石の対向磁極は、前記磁石に対向する固定磁石体の磁極と同極であることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、磁性体の対向面部は、磁石の対向磁極と異極性の磁極に磁化され、磁性体の対向面部と磁石の対向磁極との間を通過する磁力線が形成される。また、磁性体の対向面部の磁化された磁極は、固定磁石体の磁極とも異極性となり、磁性体の対向面部と固定磁石体との間を通過する磁力線が形成される。このように、磁性体の対向面部と現像ローラの表面では、磁力線による2つの磁路が形成され、磁力線の密度が大きくなる。この磁力線に対応した磁界が磁性体の対向面部と現像ローラの表面に発生し、この磁界によって、現像領域において現像に供されずに、現像ローラ表面に残存する現像剤が剥ぎ取られる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、前記磁性体は前記現像ローラの略法線方向で前記対向面部と反対側に位置する反対面部を有し、現像ローラ周方向において、前記反対面部の長さは前記対向面部の長さより大きいことを特徴としている。この構成によれば、磁性体の反対面部の長さが大きいので、磁性体の反対面部と磁石との間を通過する多数の磁力線が形成される。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、現像ローラ周方向において、前記磁性体の対向面部の長さは、前記磁石に対向する固定磁石体の磁極の長さの半分以下であることを特徴としている。この構成によれば、磁性体の対向面部と固定磁石体との間を通過する磁力線が形成されるが、磁性体の対向面部の長さが小さいので、固定磁石体の磁極の磁力線が磁性体の対向面部に集中する。
【0012】
また、請求項4に記載の発明では、上記の構成の現像装置が搭載された画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、磁性体の対向面部は、磁石の対向磁極と異極性の磁極に磁化され、磁性体の対向面部と磁石の対向磁極との間を通過する磁力線が形成される。また、磁性体の対向面部の磁化された磁極は、固定磁石体の磁極とも異極性となり、磁性体の対向面部と固定磁石体との間を通過する磁力線が形成される。つまり、磁性体の対向面部と現像ローラの表面では磁力線の密度が大きくなる。この磁力線に対応した磁界が磁性体の対向面部と現像ローラの表面に発生し、この磁界によって、現像ローラの表面に付着した現像剤が剥ぎ取られる。従って、現像に供されない現像剤が現像ローラ上から確実に剥ぎ取られ、現像ローラ上でトナー層の乱れがなく、画像形成の高速化に対応した良好な画像が得られる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、現像ローラ周方向において、磁性体の反対面部の長さが対向面部の長さよりも現像ローラ周方向に大きいので、磁性体の反対面部と磁石との間を通過する多数の磁力線が形成される。従って、磁性体の磁力が強くなり、磁性体の対向面部で効率よく磁界を発生させることができ、現像ローラの表面に付着した現像剤が確実に剥ぎ取られる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、磁性体の対向面部と固定磁石体との間を通過する磁力線が形成されるが、磁性体の対向面部の長さが対向する固定磁石体の磁極の長さよりも現像ローラ周方向に小さいので、固定磁石体の磁極の磁力線が磁性体の対向面部に集中する。この磁力線に対応した磁界が磁性体の対向面部と現像ローラの表面に発生し、この磁界によって、現像ローラの表面に付着した現像剤が確実に剥ぎ取られる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明によれば、現像に供されない現像剤を現像ローラ上から確実に剥ぎ取り、画像形成の高速化に対応した良好な画像を得られる現像装置を備える画像形成装置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図
【図2】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置における現像装置の概略構成を示す断面図
【図3】本発明の第1実施形態に係る現像装置の要部構成を示す断面図
【図4】本発明の第1実施形態に係る現像装置の磁界発生部材を示す断面図
【図5】本発明の第2実施形態に係る現像装置の磁界発生部材を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。画像形成装置1は、その下部に配設された給紙部2と、この給紙部2の側方に配設された用紙搬送部3と、この用紙搬送部3の上方に配設された画像形成部4と、この画像形成部4よりも排出側に配設された定着部5と、画像形成部4及び定着部5の上方に配設された画像読取部6とを備えている。
【0020】
給紙部2は、用紙9を収容する複数の給紙カセット7を備えており、給紙ローラ8の回転動作により、複数の給紙カセット7のうち選択された給紙カセット7から用紙9を1枚ずつ確実に用紙搬送部3に送り出す。
【0021】
用紙搬送部3に送られた用紙9は、用紙供給経路10を経由して画像形成部4に向けて搬送される。この画像形成部4は、電子写真プロセスによって、用紙9にトナー像を形成するものであり、図1の矢印方向に回転可能に軸支された感光体11と、この感光体11の周囲にその回転方向に沿って、帯電部12、露光部13、現像装置14、転写部15、クリーニング部16、及び除電部17を備えている。
【0022】
帯電部12は、高電圧を印加される帯電ワイヤを備えており、この帯電ワイヤからのコロナ放電によって感光体11表面に所定電位を与えると、感光体11表面が一様に帯電させられる。そして、画像読取部6によって読み取られた原稿の画像データに基づく光が、露光部13により感光体11に照射されると、感光体11の表面電位が選択的に減衰され、感光体11表面に静電潜像が形成される。次いで、現像装置14が感光体11表面の静電潜像を現像し、感光体11表面にトナー像が形成される。このトナー像が転写部15によって感光体11と転写部15との間に供給された用紙9に転写される。
【0023】
トナー像が転写された用紙9は、画像形成部4の用紙搬送方向の下流側に配置された定着部5に向けて搬送される。定着部5では、加熱部材18及び加圧ローラ19によって、用紙9が加熱加圧され、用紙9上にトナー像が溶融定着される。次いで、トナー像が定着された用紙9は、排出ローラ対20によって排出トレイ21上に排出される。転写部15による転写後、感光体11表面に残留しているトナーは、クリーニング部16により除去され、また感光体11表面の残留電荷は、除電部17により除去される。そして、感光体11は帯電部12によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われることになる。
【0024】
次に、現像装置について図2に基づいて説明する。図2は画像形成装置1に用いられる現像装置の概略構成を示す断面図である。
【0025】
現像装置14は、磁性一成分現像剤を収容する現像容器22と、この現像剤(以下、「トナー」と記すことがある)を撹拌する撹拌部材23、24と、現像ローラ27、及び規制部材28とを備えている。そしてトナータンク31は現像装置14にトナーを供給する。
【0026】
撹拌部材23、24は、現像容器22内に回転可能に配設され、トナーを撹拌、循環させて、現像ローラ27に供給する。
【0027】
現像ローラ27は、固定磁石体25と現像スリーブ26とを備える。現像スリーブ26は、円筒状の非磁性材からなり、撹拌部材24に隣接する位置で現像容器22に回転可能に支持される。固定磁石体25は、現像スリーブ26内に固設される永久磁石からなり、現像スリーブ26に向けて磁界を発生する。また、現像ローラ27は、現像容器22の開口から露出し、像担持体である感光体11に一定の間隔を隔てて対向している。この対向する領域は、現像スリーブ26上に担持されているトナーを感光体11に向けて供給するための現像領域Dとなっている。更に、現像スリーブ26には、トナーを感光体11に供給するために、直流に交流を重畳した現像バイアス29が印加される。
【0028】
規制部材28は、現像スリーブ26表面に担持されるトナーを所定の層厚に規制するものであり、ブレード状をなし現像スリーブ26の略上方で現像スリーブ26表面との間に所定間隔を設けて、現像容器22に取り付けられる。
【0029】
現像スリーブ26内の固定磁石体25の磁力により、撹拌部材24から供給されたトナーが現像スリーブ26表面に担持される。担持されたトナーは、規制部材28により所定の層厚に規制され、現像スリーブ26の回転(図2の矢印方向の回転)により、現像流域Dに向けて搬送される。現像スリーブ26に現像バイアス29が印加されることにより、現像領域Dにおいて現像スリーブ26と感光体11との間に電位差が発生し、現像スリーブ26上のトナーは感光体11に供給され、感光体11上の静電潜像はトナー像に現像される。
【0030】
次に、現像装置14の構成を図3に基づいて詳しく説明する。図3は現像装置の要部構成を示す断面図である。
【0031】
現像容器22は、その容器内壁部に、トナーを収容する現像剤収容部22aと、トナーを収容するとともにトナーを感光体11に供給する現像剤供給部22bと、現像容器22の下方で現像剤収容部22aと現像剤供給部22bとの間に介在する隣接部22cとを有し、樹脂で形成される。
【0032】
現像剤収容部22aには、2つの撹拌部材23、24が隔壁22hを挟んで配設されている。撹拌部材23、24は、現像剤収容部22aに回転可能に支持される支軸と、支軸の軸方向に螺旋状に形成される羽根とを備える。トナータンク31(図2参照)から現像装置14に供給されたトナーが撹拌部材23の回転によって撹拌され、撹拌されたトナーが隔壁22hに設けた穴を介して、撹拌部材24へ搬送される。更に、撹拌部材24の回転によってトナーが撹拌されながら、現像剤収容部22a内を循環する。そして、撹拌されたトナーは現像スリーブ26に供給される。
【0033】
現像剤供給部22bには、現像スリーブ26が回転可能に配設される。現像スリーブ26はアルミニウム等の非磁性材料で円筒状に形成される。現像スリーブ26内には、固定磁石体25が現像剤供給部22bに固定支持される。固定磁石体25は、S極とN極が周方向に交互に配列され、現像スリーブ26表面に向けて磁界を発生させる。
【0034】
固定磁石体25の規制部材28に対向する位置には、磁極S1が配置されている。規制部材28と現像スリーブ26との間隔とともに、この磁極S1と磁性材料からなる規制部材28との磁界によって、現像スリーブ26表面へのトナー付着量が規制される。また、現像領域Dに対向する位置には磁極N2が配置され、更に、現像容器22の隣接部22cに対向する位置には磁極N1が配置されている。
【0035】
隣接部22cは、装置の長手方向(図3の紙面方向)に延びる取り付け部22dを有する。取り付け部22dは、磁石51及び磁性体52を有する磁界発生部材50を取り付ける面となる。
【0036】
磁界発生部材50が取り付け部22dに取り付けられると、磁界発生部材50は現像スリーブ26に一定の間隔を隔てて対向する。磁界発生部材50は、現像スリーブ26を介して固定磁石体25の磁極N1と対向し、固定磁石体25の磁極N1との間で磁界を発生させる。この磁界によって、現像に供されない残存トナーは現像スリーブ26表面から剥ぎ取られることになる。
【0037】
現像スリーブ26の周りには、図3の矢印方向(現像スリーブ26の回転方向)に沿って、順に、規制部材28と、感光体11と対向する現像領域Dと、現像スリーブ26と現像剤供給部22bとの間に形成されるトナー循環領域T、及び磁界発生部材50が配置されることになる。尚、トナー循環領域Tには、固定磁石体25の磁極S2が配置され、更に、トナー循環領域Tの隙間が小さく形成され、現像容器22内のトナーが外部に漏れるのを防いでいる。
【0038】
従って、現像領域Dで感光体11に供給されなかったトナーは、現像スリーブ26表面に付着し、現像スリーブ26の回転に伴って、トナー循環領域Tを通って磁界発生部材50に至る。磁界発生部材50と、対向する固定磁石体25の磁極N1とで生じる磁界によって、残存トナーは現像スリーブ26表面から剥ぎ取られ、剥ぎ取られたトナーは撹拌部材24側に回収される。
【0039】
次に、図4を用いて磁界発生部材を詳しく説明する。図4は磁界発生部材を示す断面図である。
【0040】
前述のように、磁界発生部材50は磁石51と磁性体52を有する。
【0041】
磁石51は、長手方向に延びる永久磁石であり、現像スリーブ26表面に一定の間隔を隔てて対向する。また、磁石51は、現像スリーブ26を介して固定磁石体25の磁極N1(N極)と対向する対向磁極51aと、現像スリーブ26の略法線方向で対向磁極51aの反対側に位置する反対磁極51bとを有する。対向磁極51aは固定磁石体25の磁極N1と同極(N極)であり、反対磁極51bはS極となる。更に、磁石51は、断面矩形形状をなし、現像ローラ回転方向の上流側に位置する対面部51cを有する。
【0042】
磁性体52は、磁石51と同様に長手方向に延びる鉄等の磁性材料からなり、磁石51の対面部51cに接着剤で固着されている。また、磁性体52は対向面部52aと反対面部52bとを有する。対向面部52aは、磁石51の対向磁極51aと略同じ間隔を隔てて現像スリーブ26表面に対向している。反対面部52bは、現像スリーブ26の略法線方向で対向面部52aと反対側に位置し、磁石51の反対磁極51bの端面と同じ平面高さで形成されている。
【0043】
この構成よって、磁性体52の対向面部52aはS極に磁化され、また、反対面部52bはN極に磁化されて、磁性体52は磁石51との間で磁力線による磁路を形成し、更に、磁性体52は固定磁石体25との間で磁力線による磁路を形成することになる。
【0044】
つまり、磁性体52の反対面部52bはN極に磁化されているので、反対面部52bと磁石51の反対磁極(S極)51bとの間を通過する磁力線が形成されるとともに、反対面部52bと、固定磁石体25の磁極N1に隣接する磁極(S極)との間を通過する磁力線が形成される。
【0045】
更に、磁性体52の反対面部52bは、現像ローラ周方向において、その長さが対向面部52aの長さより大きく設定されている。これによって、反対面部52bと磁石51の反対磁極(S極)51bとの間で、多数の磁力線が形成され、また、反対面部52bと固定磁石体25の磁極(S極)との間で、多数の磁力線が形成される。
【0046】
また、磁性体52の対向面部52aはS極に磁化されているので、対向面部52aと磁石51の対向磁極(N極)51aとの間を通過する磁力線が形成されるとともに、対向面部52aと固定磁石体25の磁極N1との間を通過する磁力線が形成される。このように、対向面部52aと現像スリーブ26表面との間には、磁力線による2つの磁路が形成され、磁力線の密度が大きくなる。この磁力線に対応した磁界が磁性体52の対向面部52aと現像ローラ27の表面に発生する。
【0047】
更に、磁性体52の対向面部52aは、現像ローラ周方向において、その長さが固定磁石体25の磁極N1の長さの半分以下に設定されている。これによって、固定磁石体25の磁極N1の磁力線が対向面部52aに集中して、対向面部52aと現像スリーブ26表面との間で磁力線の密度が大きい磁界が生じる。
【0048】
上記第1実施形態によれば、現像装置14は、感光体11に対向した現像領域Dにトナーを供給し、周方向に複数の磁極を有する固定磁石体25を内蔵する現像ローラ27と、この現像ローラ27上のトナーの量を規制する規制部材28と、現像ローラ回転方向に対して現像領域Dの下流側で現像ローラ27上のトナーを剥ぎ取る磁界発生部材50とを備える。磁界発生部材50は、現像ローラ27の略法線方向に配置され、現像ローラ27の表面に対向する対向磁極51aを有する磁石51と、現像ローラ27の表面に対向する対向面部52aを有して、現像ローラ回転方向に対して磁石51の上流側で磁石51に対面して配置される磁性体52とを備える。磁石51の対向磁極51aは、磁石51に対向する固定磁石体25の磁極N1と同極である。
【0049】
この構成によると、撹拌部材24で撹拌されたトナーは、現像ローラ27内の固定磁石体25により、現像ローラ27表面に供給され、規制部材28によって、現像ローラ27上に所定量の薄層として付着する。そして、トナーが現像領域Dに供給されると、感光体11上の静電潜像が現像され、感光体11上にトナー像が形成される。現像領域Dにおいて現像に供されずに、現像ローラ27表面に残存するトナーは、磁界発生部材50によって、現像ローラ27表面から剥ぎ取られる。
【0050】
具体的には、磁性体52の対向面部52aは、磁石51の対向磁極51aと異極性の磁極に磁化され、磁性体52の対向面部52aと磁石51の対向磁極51aとの間を通過する磁力線が形成される。また、磁性体52の対向面部52aの磁化された磁極は、固定磁石体25の磁極N1とも異極性となり、磁性体52の対向面部52aと固定磁石体25との間を通過する磁力線が形成される。このように、磁性体52の対向面部52aと現像ローラ27の表面では、磁力線による2つの磁路が形成され、磁力線の密度が大きくなる。この磁力線に対応した磁界が磁性体52の対向面部52aと現像ローラ27の表面に発生し、この磁界によって、現像ローラ27の表面に付着したトナーが剥ぎ取られる。従って、現像に供されないトナーが現像ローラ27上から確実に剥ぎ取られ、現像ローラ27上でトナー層の乱れがなく、画像形成の高速化に対応した良好な画像が得られる。
【0051】
また、上記第1実施形態によれば、磁性体52は現像ローラ27の略法線方向で対向面部52aと反対側に位置する反対面部52bを有し、現像ローラ周方向において、反対面部52bの長さは対向面部52aの長さより大きい。これによって、磁性体52の反対面部52bと磁石51との間を通過する多数の磁力線が形成される。従って、磁性体52の磁力が強くなり、磁性体52の対向面部52aで効率よく磁界を発生させることができ、現像ローラ27の表面に付着したトナーが確実に剥ぎ取られる。
【0052】
また、上記第1実施形態によれば、現像ローラ周方向において、磁性体52の対向面部52aの長さは、磁石51に対向する固定磁石体25の磁極N1の長さの半分以下である。これによって、固定磁石体25の磁極N1の磁力線が磁性体52の対向面部52aに集中する。この磁力線に対応した磁界が磁性体52の対向面部52aと現像ローラ27の表面に発生し、この磁界によって、現像ローラ27の表面に付着した現像剤が確実に剥ぎ取られる。
【0053】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る現像装置の磁界発生部材を示す断面図である。第1実施形態と異なる、磁界発生部材について説明し、以降、第1実施形態と同じ部分の説明を省略する。
【0054】
磁界発生部材250は磁石251と磁性体252を有する。
【0055】
磁石251は、長手方向に延びる永久磁石であり、現像スリーブ26表面に一定の間隔を隔てて対向する。また、磁石251は、現像スリーブ26を介して固定磁石体25の磁極N1(N極)と対向する対向磁極251aと、現像スリーブ26の略法線方向で対向磁極251aの反対側に位置する反対磁極251bとを有する。対向磁極251aは固定磁石体25の磁極N1と同極(N極)であり、反対磁極251bはS極となる。更に、磁石251は、断面矩形形状をなし、現像ローラ回転方向の上流側に位置する対面部251cを有する。
【0056】
磁性体252は、磁石251と同様に長手方向に延びる鉄等の磁性材料からなり、断面矩形形状をなして、磁石251の対面部251cに接着剤で固着されている。また、磁性体252は対向面部252aと反対面部252bとを有する。対向面部252aは、磁石251の対向磁極251aと略同じ間隔を隔てて現像スリーブ26表面に対向している。反対面部252bは、現像スリーブ26の略法線方向で対向面部252aと反対側に位置し、磁石251の反対磁極251bの端面と同じ平面高さで形成されている。
【0057】
この構成よって、対向面部252aはS極に磁化され、また、反対面部252bはN極に磁化されて、磁性体252は磁石251との間で磁力線による磁路を形成し、更に、磁性体252は固定磁石体25との間で磁力線による磁路を形成することになる。
【0058】
つまり、磁性体252の反対面部252bはN極に磁化されているので、反対面部252bと磁石251の反対磁極(S極)251bとの間を通過する磁力線が形成されるとともに、反対面部252bと、固定磁石体25の磁極N1に隣接する磁極(S極)との間を通過する磁力線が形成される。
【0059】
また、磁性体252の対向面部252aはS極に磁化されているので、対向面部252aと磁石251の対向磁極(N極)251aとの間を通過する磁力線が形成されるとともに、対向面部252aと固定磁石体25の磁極N1との間を通過する磁力線が形成される。このように、対向面部252aと現像スリーブ26表面との間には、磁力線による2つの磁路が形成され、磁力線の密度が大きくなる。この磁力線に対応した磁界が磁性体252の対向面部252aと現像ローラ27の表面に発生する。
【0060】
上記第2実施形態によれば、現像装置14は、感光体11に対向した現像領域Dにトナーを供給し、周方向に複数の磁極を有する固定磁石体25を内蔵する現像ローラ27と、この現像ローラ27上のトナーの量を規制する規制部材28と、現像ローラ回転方向に対して現像領域Dの下流側で現像ローラ27上のトナーを剥ぎ取る磁界発生部材250とを備える。磁界発生部材250は、現像ローラ27の略法線方向に配置され、現像ローラ27の表面に対向する対向磁極251aを有する磁石251と、現像ローラ27の表面に対向する対向面部252aを有して、現像ローラ回転方向に対して磁石251の上流側で磁石251に対面して配置される磁性体252とを備える。磁石251の対向磁極251aは、磁石251に対向する固定磁石体25の磁極N1と同極である。
【0061】
この構成によると、磁性体252の対向面部252aと磁石251の対向磁極251aとの間を通過する磁力線が形成される。また、磁性体252の対向面部252aの磁化された磁極は、固定磁石体25の磁極N1とも異極性となり、磁性体252の対向面部252aと固定磁石体25との間を通過する磁力線が形成される。このように、磁性体252の対向面部252aと現像ローラ27の表面では、磁力線による2つの磁路が形成され、磁力線の密度が大きくなる。この磁力線に対応した磁界が磁性体252の対向面部252aと現像ローラ27の表面に発生し、この磁界によって、現像ローラ27の表面に付着したトナーが剥ぎ取られる。従って、現像に供されないトナーが現像ローラ27上から確実に剥ぎ取られ、現像ローラ27上でトナー層の乱れがなく、画像形成の高速化に対応した良好な画像が得られる。
【0062】
尚、上記第1及び第2実施形態では、磁界発生部材、及び磁界発生部材に対向する固定磁石体の磁極をともにN極で構成したが、本発明はこれに限らず、磁界発生部材、及び磁界発生部材に対向する固定磁石体の磁極をともにS極で構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0063】
また、本発明では、磁界発生部材の近傍に現像剤通路を設ける構成にしてもよい。現像剤通路は、磁界発生部材の下方で隣接部22cに形成される開口であり、磁界発生部材によって剥ぎ取られたトナーが現像ローラ27側から撹拌部材24側に通過する。
【0064】
また、上記第1及び第2実施形態では、磁界発生部材は、現像容器22の隣接部22cに取り付けられる構成を示したが、本発明はこれに限らず、磁界発生部材は、現像容器22の長手方向の両側壁に取り付け、磁界発生部材と現像容器22の隣接部22cとの間に、隙間を形成して、その隙間から磁界発生部材によって剥ぎ取られたトナーが撹拌部材24側に回収される構成にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いる現像装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 画像形成装置
11 感光体(像担持体)
14 現像装置
22 現像容器
22c 隣接部
23、24 撹拌部材
25 固定磁石体
26 現像スリーブ
27 現像ローラ
28 規制部材
50、250 磁界発生部材
51、251 磁石
51a、251a 対向磁極
51b、251b 反対磁極
51c、251c 対面部
52、252 磁性体
52a、252a 対向面部
52b、252b 反対面部
D 現像領域
T トナー循環領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に対向した現像領域に現像剤を供給し、周方向に複数の磁極を有する固定磁石体を内蔵する現像ローラと、前記現像ローラ上の現像剤の量を規制する規制部材と、現像ローラ回転方向に対して現像領域の下流側で前記現像ローラ上の現像剤を剥ぎ取る磁界発生部材とを備える現像装置において、
前記磁界発生部材は、前記現像ローラの略法線方向に配置され、前記現像ローラの表面に対向する対向磁極を有する磁石と、前記現像ローラの表面に対向する対向面部を有して、現像ローラ回転方向に対して前記磁石の上流側で前記磁石に対面して配置される磁性体とを備え、
前記磁石の対向磁極は、前記磁石に対向する固定磁石体の磁極と同極であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記磁性体は前記現像ローラの略法線方向で前記対向面部と反対側に位置する反対面部を有し、現像ローラ周方向において、前記反対面部の長さは前記対向面部の長さより大きいことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
現像ローラ周方向において、前記磁性体の対向面部の長さは、前記磁石に対向する固定磁石体の磁極の長さの半分以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の現像装置が搭載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−112740(P2011−112740A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267036(P2009−267036)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】