説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】粗密のほとんどないトナー層を形成させることができるとともに、画像不具合の発生を防止することができる現像装置およびこの現像装置が適用された画像形成装置を提供することを目的としている。
【解決手段】固定マグネット15を内包する回転スリーブ13と、回転スリーブ13上に形成されるトナー層の厚みを規制するトナー層厚規制部材16とを有する磁性1成分現像剤を用いた現像装置10であって、トナー層厚規制部材16は、磁性体の板状部材から構成されたブレード11と、ブレード11における回転スリーブ13の回転方向B上流側に取り付けられた磁石12とを備えられている。さらに、磁石12における回転スリーブ13側部分に形成されている磁界の方向が、回転スリーブ13の回転方向Bと略平行となるように磁石12が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式で静電潜像が形成された像担持体に向けて、磁性1成分現像剤を供給することによりトナー像を形成させる現像装置及びこの現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式が採用された画像形成装置に適用される現像装置は、画像データに基づく静電潜像が形成された感光体ドラムの周面に向けて現像剤のトナーを供給しトナー像を形成する。この現像装置を備えた画像形成装置は、感光体ドラム上に形成されたトナー像を用紙等の記録媒体に転写する。そして、この転写されたトナー像を、感光体ドラムの下流側に設けられた定着装置で加熱することによって、記録媒体に定着させる。そうすることによって、前記画像形成装置は、画像データに基づく画像を記録媒体上に形成する。
【0003】
また、前記現像装置は、感光体ドラムと対向した回転スリーブの上流側の位置に、ブレードが設けられ、回転スリーブ上に厚く形成されたトナー層の厚みを、このブレードで規制することによって、感光体ドラムに過剰に供給されないようになされている。よって、画像形成装置は、現像装置に備えられた回転スリーブを介してトナーを均一な状態で感光体ドラムに供給できる。
【0004】
磁性1成分現像剤(磁性トナー)を用いた現像装置としては、例えば、固定マグネットを内包する回転スリーブ上の磁性トナーを、非接触の磁性ブレードを用いてトナー層の厚みを規制する磁性1成分現像装置が知られている。磁性1成分現像装置は、回転スリーブ上に厚く形成されたトナー層が回転スリーブに磁性ブレードが対向する位置(以下、「層厚規制位置」という。)を通過する際、回転スリーブと磁性ブレードとの間で2分される。磁性ブレードに近い方のトナーは、磁性ブレードに付着され、回転スリーブに近い方のトナーは、磁気吸着力により回転スリーブに吸着されて磁性ブレードから離れる。このように、磁性1成分現像装置は、トナー層をブレードで掻きとって、トナー層の厚みを規制するのではなく、回転スリーブに磁性ブレードを接触させずにトナー層の厚みを規制する。よって、磁性1成分現像装置は、高速印刷しても、磁性トナー、ブレード及び回転スリーブに対する損傷が少なく、高速印刷や高耐久が求められる画像形成装置に好適に適用されている。
【0005】
しかしながら、磁性1成分現像装置は、回転スリーブに内包された固定マグネット等の磁気吸着力によって、トナー層の厚みを規制するので、トナーの帯電性、遊離した微粉トナー、トナーの外添剤、及び回転スリーブの表面性等の周囲の環境に影響されて、層厚規制されたトナー層に乱れが発生し、粗密のあるトナー層が形成されてしまう場合がある。
【0006】
このようなトナー層の粗密の発生を低減させた現像装置としては、ブレードの回転スリーブ回転方向上流側面に磁石を取り付けた現像装置が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−167426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の現像装置は、ブレードに取り付けた磁石によって、ブレードの回転スリーブ側の端面に強力な磁界を形成させた場合、トナー層を乱すことなく、トナー層の厚みを規制でき、粗密のほとんどない均一なトナー層が得られる。しかしながら、ブレードに取り付けた磁石の配置具合によっては、磁石の回転スリーブ側の端面にも強力な磁界が形成される場合がある。このような場合、磁石の回転スリーブ側の端面に、磁性トナーが多量に付着される。このような現像装置を、長時間使用したり、高温で使用したりすると、磁石に付着したトナーが凝集して、固まりとなる。この凝集したトナーが層規制位置に突入した場合、凝集したトナーが混入した部分は、他の部分と比較してトナー層の層厚及び帯電の状態が異なるため、筋状の画像不具合が発生してしまう。
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点を解消するためになされたものであり、粗密のほとんどないトナー層を形成させることができるとともに、画像不具合の発生を防止することができる現像装置およびこの現像装置が適用された画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の現像装置は、固定マグネットを内包する回転スリーブと、前記回転スリーブ上に形成されるトナー層の厚みを規制するトナー層厚規制部材とを有する、磁性1成分現像剤を用いた現像装置であって、前記トナー層厚規制部材は、磁性体の板状部材から構成されたブレードと、前記ブレードにおける前記回転スリーブの回転方向上流側に取り付けられた磁石とを備え、前記磁石における前記回転スリーブ側部分に形成されている磁界の方向が、前記回転スリーブの回転方向と略平行となるように、前記磁石が配置されていることを特徴とする現像装置である。
【0010】
この構成によれば、回転スリーブ上に厚く形成されたトナー層をトナー層厚規制部材でトナー層の厚みを規制し、層厚の規制されたトナー層を回転スリーブを介して像担持体に供給することができる。このトナー層厚規制部材は、磁性体の板状部材であるブレードの回転スリーブ回転方向上流側に磁石が取り付けられているので、ブレードの回転スリーブ側の端面に強力な磁界を形成させることができる。よって、ブレードと回転スリーブとの間にわたって強力な磁力が働くので、層厚規制位置におけるトナー層が、この磁力以外の環境に影響を受けにくくなる。このため、層厚規制位置におけるトナー層の乱れがほとんど発生しなくなるので、層厚を規制しても粗密のほとんどないトナー層が形成される。また、前記磁石は、回転スリーブ側部分に形成されている磁界の方向が、回転スリーブの回転方向と略平行となるように配置されている。よって、前記磁界の方向が回転スリーブの回転方向と垂直となるように磁石が配置されている場合と比較して、ブレードの回転スリーブ側の端面に形成される磁界が同程度の強さであっても、磁石の回転スリーブ側の端面に形成される磁界は弱い。したがって、磁石の回転スリーブ側の端面にトナーが付着しにくくなり、凝集したトナーによる画像不具合の発生を防止することができる。したがって、本発明の現像装置は、粗密のほとんどないトナー層を形成させることができるとともに、画像不具合の発生を防止することができる。
【0011】
また、前記現像装置において、具体的には、前記ブレードが、前記回転スリーブの回転方向に対して垂直方向に配置され、前記磁石は、前記ブレードの平面方向に平行に配置する板状磁石であり、前記板状磁石の着磁方向が、前記ブレードの平面方向に垂直であることが好ましい。そうすることによって、磁石の回転スリーブ側部分に形成されている磁界の方向が、回転スリーブの回転方向と略平行となるように、容易に配置することができ、粗密のほとんどない層厚規制されたトナー層を形成することができるとともに、凝集したトナーによる画像不具合の発生を防止することができる。
【0012】
また、前記現像装置において、前記回転スリーブに対向する前記磁石の端面が、前記回転スリーブに対向する前記ブレードの端面より、前記回転スリーブに対して遠い位置にあることが好ましい。そうすることによって、磁石のスリーブ側端面にトナーが少し付着した場合であっても、磁石と回転ブレードとの間にトナーの目詰まりが発生しないので、トナーの目詰まりによる画像不具合の発生を防止することができる。
【0013】
また、本発明の画像形成装置は、前記現像装置を備え、前記現像装置によって感光体上に形成された静電潜像を現像する画像形成装置である。この構成によれば、画像形成装置は、本発明の現像装置の効果を享受したものであり、画像不具合が発生しにくく、高品質な画像を記録媒体に形成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の現像装置は、粗密のほとんどないトナー層を形成させることができるとともに、画像不具合の発生を防止することができる。したがって、本発明の現像装置を備えた場合、画像不具合の発生の少なく、高品質な画像を形成することができる画像形成装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の一実施形態である画像形成装置の一例について説明する。画像形成装置として、複写機を例に挙げて説明するが、これに限定するものではなく、ファクシミリ装置、及びプリンタ等であってもよい。また、像担持体として、ドラム状の感光体である感光体ドラムを例に挙げて説明するが、これに限定するものではなく、ベルト状の感光体、及びシート状の感光体等に対しても適用できる。
【0016】
図1は、本発明の現像装置が適用された画像形成装置(複写機)60の概略構成を示す模式図である。この複写機60は、複写機本体の下部に配設された給紙部200と、この給紙部200の上方に配設された画像形成部300と、この画像形成部300よりも排出側に配設された定着部400と、複写機本体の上部に配設された画像読取部500と、複写機本体と画像読取部500との間に配置された排紙部600とを含む、いわゆる胴内排紙型の複写機である。なお、複写機本体には、上記給紙部200、上記画像形成部300、上記定着部400、及び上記排紙部600を繋ぐ用紙搬送部100が備えられている。
【0017】
上記画像形成部300は、電子写真プロセスによって用紙に所定のトナー像を形成するものであり、回転可能に軸支された感光体ドラム301と、この感光体ドラム301の周囲にその回転方向Aに沿って、帯電ユニット302と、露光ユニット303と、現像ユニット(現像装置)10と、転写ユニット305と、クリーナー306とを備えている。現像ユニット10は、静電潜像をトナーにより現像して、感光体ドラム301の表面にトナー像を形成するものである。
【0018】
上記定着部400は、上記画像形成部300の用紙搬送方向の下流側に配置され、上記画像形成部300においてトナー像が転写された用紙を、一対のローラ(加熱ローラ401及び加圧ローラ402)によって挟んで加熱し、用紙上にトナー像を定着させるものである。
【0019】
画像読取部500は、コンタクトガラス上に載置された原稿に、露光ランプから光を照射し、その反射光を反射鏡を介して光電変換部に導くことにより、原稿の画像情報を読み取るものである。
【0020】
上記給紙部200は、複数の給紙カセット201,202,221を備える。このうちの給紙カセット221は複写機側面から用紙を補充するバイパストレイとなっており、蓋部222により閉じることができる。
【0021】
それぞれの給紙カセット201,202,221には用紙搬送路110が接続され、この用紙搬送路110は画像形成部300に向かい、さらに定着部400を経て排紙部600に向かっている。これらの用紙搬送路110により上記用紙搬送部100が構成されている。また複写が完了した用紙は、排紙部600の排出ローラ605から排出トレイ610上に排出される。
【0022】
図2は、上記複写機60等の画像形成装置の画像形成部300周辺を示す模式図である。上記画像形成部300は、電子写真プロセスによって記録紙115に所定のトナー像を形成する部分であり、感光性を有する感光体ドラム301の周囲に、感光体ドラム301の回転方向Aに沿って順に、帯電ユニット302、露光ユニット303、現像ユニット10、転写ユニット305、除電ユニット307、及びクリーナー306を備えている。なお、除電ユニット307とクリーナー306とが逆の配置であっても良い。
【0023】
上記帯電ユニット302は、コロナ放電を発生させることによって感光体ドラム301の表面に所定電位を与えるものである。上記露光ユニット303は、所望の画像に対応する光を照射することにより感光体ドラム301の表面電位を選択的に減衰させて静電潜像を形成するものである。上記現像ユニット10は、感光体ドラム301の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像して、トナー像を形成するものである。上記転写ユニット305は、感光体ドラム301上に形成されたトナー像を記録紙115上に転写するものである。上記除電ユニット307は、感光体ドラム301の表面電荷をランプ光によって除電するものである。上記クリーナー306はファーブラシ316とゴムブレード326とにより構成されており、感光体ドラム301の表面に残留したトナーやその添加剤等を除去するものである。なお、図示例のクリーナー306は、ファーブラシ316とゴムブレード326との両方を有するが、一方のみを有するクリーナー306の場合もある。
【0024】
上記画像形成部でトナー像が転写された記録紙115は、定着部400(加熱ローラ401及び加圧ローラ402)により熱と圧力とが加えられてトナー像が定着され、その後排紙ローラ(図示せず)によって排紙トレイ上に排出されるようになっている。
【0025】
以下、上記複写機に用いられる本発明の一実施形態に係る現像ユニット(現像装置)10について説明する。
【0026】
図3は、上記現像ユニット(現像装置)10を示す断面図であり、感光体ドラム301とともに図示している。この現像ユニット10のトナー収容部分354には、不図示の磁性一成分現像剤(トナー)が収納されており、このトナーを撹拌する2つの撹拌ローラ314,324と、トナーを感光体ドラム301表面に移行させるための現像ローラ14とが備えられている。
【0027】
上記現像ローラ14は、アルミニウム等の非磁性体によって構成された円筒状の回転スリーブ13と、この回転スリーブ13に内包される固定マグネット15とからなり、この固定マグネット15の位置が固定された状態でその周囲を上記回転スリーブ13が回転する構成となっている。また、上記現像ローラ14の回転スリーブ13に対峙してトナー層厚規制部材16が設けられている。
【0028】
上記固定マグネット15は、以下のような磁極配置の6極構造のマグネットである。感光体ドラム301と対向する位置にS極(現像極S1)と、トナー層厚規制部材16に対向する位置にS極(ブレード極S3)とが配置されている。現像極S1から回転スリーブ13の回転方向B下流に向かって順にN極(N1)、S極(S2)、N極(N2)を配置され、さらに、ブレード極S3の回転スリーブ13の回転方向B下流側にN極(N3)を配置されている。
【0029】
上記トナー層厚規制部材16は、ブレード11と磁石12とからなる。ブレード11は、回転スリーブ13の回転方向Bに対して垂直方向に配置されており、磁石12は、ブレード11の回転スリーブ13の回転方向B上流側に取り付けられる。
【0030】
図4は、上記現像ローラ14と上記トナー層厚規制部材16とを示す部分拡大断面図である。上記ブレード11は、磁性体の板状部材から構成されている。磁性体の板状部材としては、例えば、SUS340及びSUS430等が挙げられ、SUS430が好ましく使用される。回転スリーブ13に対向するブレード11の回転スリーブ側端面11aは、回転スリーブ13に対し、所定の間隔W1をあけて回転スリーブ13の軸方向に平行に延在するように配設されている。所定の間隔W1は、0.2〜0.4mmであることが好ましく、例えば0.3mmである。ブレード11の厚みT1は、撓むことなくしっかりと回転スリーブ側端面11aの保持できる厚さであればよく、例えば2mmである。また、回転スリーブ13に対向する磁石12の回転スリーブ側端面12aが、ブレード11の回転スリーブ側端面11aより、回転スリーブ13に対して遠い位置にあることが好ましい。ブレード11の回転スリーブ側端面11aと磁石12の回転スリーブ側端面12aとの距離、つまり、ブレード11の磁石12に対する突出長さW2は、0.3〜0.8mmであることが好ましく、例えば0.5mmである。
【0031】
上記磁石12は、ブレード11の平面方向に平行に配置される板状磁石である。また、この磁石12は、所定の磁界を発生することができればよく、厚みT2が例えば4mmであり、長さLが例えば5mmであり、現像ローラ14の軸心方向に平行な長さが例えば218mmである。この磁石12は、着磁方向がブレード11の平面方向に垂直である。具体的には、ブレード11に接する貼着面側が、現像ローラ14内の固定マグネット15のブレード11に対向する部分の磁極(ブレード極S3)とは異なるN極となっており、ブレード11と接しない開放面側が、ブレード極S3と同じS極となっている。つまり、磁石12における回転スリーブ側部分に形成されている磁界の方向Cが、回転スリーブ13の回転方向B(回転スリーブ13の外表面の移動方向)と略平行となる配置である。
【0032】
図5は、図4に示すような位置関係で磁極を形成させた場合の磁場解析の結果を示す図である。この磁場解析は、磁界の方向を明確にして、後述の比較実施形態との違いをわかりやすくするため、上記磁石12と固定マグネット15と距離を実際より縮めて行っている。図5からわかるように、上記のような位置関係で配置された磁石12は、磁石12における回転スリーブ側部分に形成されている磁界の方向Cが、回転スリーブ13の回転方向Bと略平行となるように配置された磁石である。
【0033】
また、磁石12は、磁界の方向Cが、上記のように回転スリーブ13の回転方向Bと略平行となるように配置されていればよく、上記の配置に限らない。
【0034】
上記現像ユニット10においては、層厚規制位置では、固定マグネット15のS3極と磁石12の開放面側端面12cのS極とによって、強力な磁界が形成されている。また、ブレード11の回転スリーブ側端面11aには、上記のような磁界の方向Cが形成されていることからわかるように、強力なN極が誘起されている。さらに、磁石12における回転スリーブ側部分には、磁界の方向Cが回転スリーブ13の回転方向Bと略平行となるような磁界が形成されているので、磁石12の回転スリーブ側端面12aには、強力な磁極が形成されない。
【0035】
以下、この現像ユニット10の動作について説明する。
【0036】
現像ユニット10のトナー収容部分354内のトナーは、固定マグネット15のN2極及びN3極の磁力によって吸引され、回転スリーブ13の回転によって上昇するようにして層厚規制位置に搬送される。このとき、ブレード11の回転スリーブ側端面11aのN極と固定マグネット15のS3極とによって、強力な磁界が形成されているので、トナー層は、粗密の極めて低減されたほぼ均一な状態で層厚規制位置を通る。そして、トナー層が層厚規制位置から離れるときに、ブレード11に近い方のトナーは、ブレードの回転スリーブ側端面11aのN極によって、ブレード11に付着される。また、回転スリーブ13に近い方のトナーは、固定マグネット15のS3極によって回転スリーブ13に吸引されて、ブレード11から離れる。よって、このように回転スリーブ13上のトナー層は、均一な状態で2分されて層厚規制される。その後、この層厚規制され薄くなったトナー薄層は感光体ドラム301に向かう。
【0037】
このように本実施形態においては、トナー層厚規制部材16の磁石12によって、ブレード11の回転スリーブ側端面11aに、強力なN極が誘起されているので、ブレード11と回転スリーブ13との間にわたって強力な磁力が働くので、層厚規制位置におけるトナー層が、この磁力以外の環境に影響を受けにくくなる。このため、層厚規制位置でのトナー層の乱れが解消され、層厚を規制してもほぼ均一な粗密のほとんどないトナー層を形成させることができる。
【0038】
さらに、磁石12の回転スリーブ側端面12aには、強力な磁極が形成されないので、磁石12の回転スリーブ側端面12aにトナーが付着しにくくなり、凝集したトナーによる画像不具合の発生を防止することができる。
【0039】
以上より、この現像装置60は、粗密のほとんどないトナー層を形成させることができるとともに、画像不具合の発生を防止することができる。
【0040】
次に、本発明と比較するため比較用の実施形態として、磁石12の配置が本発明と異なる現像装置20について説明する。現像装置20は、磁石12の配置以外は、本発明の現像装置10と同様であり、図4と同じ構成部分については同一の符号を付して重複説明を避ける。
【0041】
図6は、現像装置20における現像ローラ14とトナー層厚規制部材16とを示す部分拡大断面図である。ブレード11に取り付けられた磁石17は、回転スリーブ側端面17aが、現像ローラ14内の固定マグネット15のブレード11に対向する部分の磁極(ブレード極S3)と同じS極で、反対側の端面17bがN極となっている。よって、この磁石17の配置は、磁石17における回転スリーブ側部分に形成されている磁界の方向Dが、回転スリーブ13の回転方向Bと略垂直となる配置である。
【0042】
図7は、図6に示すような位置関係で磁極を形成させた場合の磁場解析の結果を示す図である。この磁場解析は、図5と同様、上記磁石17と固定マグネット15と距離を実際より縮めて行っている。図7からわかるように、上記のような位置関係で配置された磁石17は、磁石17における回転スリーブ側部分に形成されている磁界の方向Dが、回転スリーブ13の回転方向Bと略垂直となるように配置された磁石である。
【0043】
上記現像ユニット20においては、層厚規制位置では、固定マグネット15のS3極と磁石17の回転スリーブ側端面17aのS極とによって、強力な磁界が形成されている。また、ブレード11の回転スリーブ側端面11aには、上記のような磁界の方向Dが形成されていることからわかるように、強力なN極が誘起されている。磁石17における回転スリーブ側部分には、磁界の方向Dが回転スリーブ13の回転方向Bと略垂直となるような磁界が形成されているので、磁石17の回転スリーブ側端面17aには、強力な磁極が形成される点が、上記現像ユニット10と大きく異なる。
【0044】
この現像ユニット20は、ブレード11の回転スリーブ側端面11aに強力なN極が誘起されているので、上記現像ユニット10と同様、粗密のほとんどないトナー層を形成させることができる。しかしながら、磁石17の回転スリーブ側端面17aに強力な磁極が形成されるので、磁石の回転スリーブ側の端面に、トナーが多量に付着される。よって、現像装置20を、長時間使用したり、高温で使用した場合、磁石に付着したトナーが凝集して、固まってしまうおそれがある。この凝集したトナーが層規制位置に突入した場合、凝集したトナーが混入した部分は、他の部分と比較してトナー層の層厚及び帯電の状態が異なるため、筋状の画像不具合が発生してしまう。
【0045】
以下に、本発明の実施形態である現像ユニット10と本発明と比較するため比較用の実施形態である現像ユニット20とにおいて、実際に測定した磁束密度について説明する。
【0046】
図8は、磁束密度を測定した際の現像ユニット10,20の現像ローラ14とトナー層厚規制部材16とを示す部分拡大断面図である。磁束密度を測定した際の現像ユニット10,20の各部材の寸法および位置関係は、以下のとおりであった。回転スリーブ13に対向するブレード11の回転スリーブ側端面11aと回転スリーブ13との間隔W1は、0.3mmである。ブレード11の厚みT1は、2mmである。ブレード11の磁石12,17に対する突出長さW2は、0.5mmである。磁石12,17は、厚みT2が4mmであり、長さLが5mmであり、現像ローラ14の軸心方向に平行な長さが218mmである。回転スリーブ13の直径Rは16mmである。ブレード11の平面方向とブレード11に対向する固定マグネット15の長手方向との角αは4度である。現像ユニット10,20は、磁石12として、70mTのマグネットを使用し、固定マグネット15として、90mTのマグネットを使用し、上記の測定条件(形状及び位置関係)で磁束密度を測定した。磁束密度の測定は、テスラメーターを用いて測定した。
【0047】
現像ユニット10は、ブレード11の回転スリーブ側端面11aの回転スリーブ13の回転方向上流側エッジ11cには、40mTのN極が形成されていた。磁石12の開放面側端面12cの中央部には、70mTのS極が形成されていた。磁石12の回転スリーブ側端面12aのS極側中央部には、30mTのS極が形成されていた。したがって、現像ユニット10は、ブレード11の回転スリーブ側端面11aには強力な磁界を形成されていたが、磁石12の回転スリーブ側端面12aには、強力な磁極が形成されなかったことがわかった。
【0048】
本発明に対して、現像ユニット20は、ブレード11の回転スリーブ側端面11aの回転スリーブ13の回転方向上流側エッジ11cには、40mTのN極が形成されていた。磁石17の開放面側端面17cのN極側中央部には、20mTのN極が形成され、S極側中央部には、20mTのS極が形成されていた。磁石17の回転スリーブ側端面17aの中央部には、70mTのS極が形成されていた。したがって、現像ユニット10は、ブレード11の回転スリーブ側端面11aには強力な磁界を形成されており、同時に磁石12の回転スリーブ側端面12aにも、強力な磁極が形成されていたことがわかった。
【0049】
以上より、本発明である現像装置(現像ユニット10)は、現像ユニット20と比較して、ブレード11の回転スリーブ側端面11aの磁力はほぼ同じ強さを維持することができ、磁石12の回転スリーブ側端面12aでは磁力を抑えることができる。よって、本発明である現像装置(現像ユニット10)は、上記のような動作によって、粗密のほとんどないトナー層を形成させることができるとともに、磁石12の回転スリーブ側端面12aに付着するトナーも減少し、画像不具合、特に中間調画像に現れる縦筋状の画像不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の現像装置が適用された画像形成装置(複写機)60の概略構成を示す模式図である。
【図2】上記複写機60等の画像形成装置の画像形成部300周辺を示す模式図である。
【図3】上記現像ユニット(現像装置)10を示す断面図である。
【図4】上記現像ローラ14と上記トナー層厚規制部材16とを示す部分拡大断面図である。
【図5】図4に示すような位置関係で磁極を形成させた場合の磁場解析の結果を示す図である。
【図6】現像装置20における現像ローラ14とトナー層厚規制部材16とを示す部分拡大断面図である。
【図7】図6に示すような位置関係で磁極を形成させた場合の磁場解析の結果を示す図である。
【図8】磁束密度を測定した際の現像ユニット10,20の現像ローラ14とトナー層厚規制部材16とを示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10 現像ユニット(現像装置) 11 ブレード
12,17 磁石 13 回転スリーブ
14 現像ローラ 15 固定マグネット
16 トナー層厚規制部材 60 複写機(画像形成装置)
100 用紙搬送部 110 用紙搬送路
115 記録紙 200 給紙部
201,202,221 給紙カセット 222 蓋部
300 画像形成部 301 感光体ドラム
302 帯電ユニット 303 露光ユニット
305 転写ユニット 306 クリーナー
307 除電ユニット 314,324 撹拌ローラ
316 ファーブラシ 326 ゴムブレード
354 トナー収納部分 400 定着部
401 加熱ローラ 402 加圧ローラ
500 画像読取部 600 排出部
605 排出ローラ 610 排出トレイ
A 感光体ドラムの回転方向 B 回転スリーブの回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定マグネットを内包する回転スリーブと、前記回転スリーブ上に形成されるトナー層の厚みを規制するトナー層厚規制部材とを有する、磁性1成分現像剤を用いた現像装置であって、
前記トナー層厚規制部材は、磁性体の板状部材から構成されたブレードと、前記ブレードにおける前記回転スリーブの回転方向上流側に取り付けられた磁石とを備え、
前記磁石における前記回転スリーブ側部分に形成されている磁界の方向が、前記回転スリーブの回転方向と略平行となるように、前記磁石が配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記ブレードが、前記回転スリーブの回転方向に対して垂直方向に配置され、
前記磁石は、前記ブレードの平面方向に平行に配置する板状磁石であり、
前記板状磁石の着磁方向が、前記ブレードの平面方向に垂直である請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記回転スリーブに対向する前記磁石の端面が、前記回転スリーブに対向する前記ブレードの端面より、前記回転スリーブに対して遠い位置にある請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置を備え、前記現像装置によって感光体上に形成された静電潜像を現像するものであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−185909(P2008−185909A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21011(P2007−21011)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】