説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】現像剤の無駄な消費をすることなく、現像剤による装置本体内の汚染を抑制する現像装置及び画像形成装置を得る。
【解決手段】電源装置98の回路を閉じて、層厚規制ロール87と現像ロール86との間で、バイアス電圧を印加することで電位差を生じさせる。本実施形態では、負帯電性の現像剤を用いており、層厚規制ロール87の電位を現像ロール86の電位よりも高くする。これにより、電界が生じ層厚規制ロール87側へ現像剤Tが引き寄せられる。このため、現像装置44の筐体80内から現像剤Tが出難くなり、現像ロール86上の現像剤Tの量が減少する(現像剤減少処理)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に備えられた感光体ドラムの表面は、帯電装置により帯電された後、露光装置のレーザ光により照射される。これにより、感光体ドラムの表面には、静電潜像が形成される。さらに、この静電潜像を現像装置で現像することでトナー画像が感光体ドラムの表面に形成され、転写装置によってこのトナー画像はシート材に転写される。
【0003】
このような画像形成装置内において、トナーによる汚染を防止する手段として、例えば、特許文献1では、現像剤担持体に対向する磁性部材の端部に現像剤担持体表面移動方向上流側に向かって延出する延出部が設けられ、磁性部材の端部に形成される現像剤チェーンの先端が現像装置外部に露出して現像剤がこぼれ落ちてしまうことを抑制している。
【0004】
また、特許文献2では、現像装置内に収容された現像剤濃度が規定量を下回ると、静電担持体に現像剤が強制付着されて現像装置内から排出され、この静電担持体に強制付着されて移送された現像剤が、静電担持体上の残留トナーをクリーニングするためのクリーニング手段により回収されることによって、現像装置内に常に一定量且つ規定剤濃度の現像剤が収容されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−189249号公報
【特許文献2】特開平8−95383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、現像剤の無駄な消費をすることなく、現像剤による画像形成装置内の汚染を抑制する現像装置及び画像形成装置を得ることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、現像装置において、現像剤を保持して、像保持体上の静電潜像を現像する現像剤保持体と、画像形成装置の稼動停止前に、前記現像剤保持体が保持する現像剤量を減らす現像剤減少手段と、を有している。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の現像装置において、前記現像剤保持体の表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材が設けられ、前記現像剤減少手段が、前記層厚規制部材と前記現像剤保持体との間に電位差を設ける電位差発生手段である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の現像装置において、前記画像形成装置の稼動を停止した後、再稼働する際、前記現像剤保持体の前記層厚規制部材と対向した部分が前記像保持体と対向する位置まで移動する間、少なくとも画像形成動作を行わない。
【0010】
請求項4に記載の発明は、画像形成装置において、光ビームを出射する露光手段と、前記露光手段によって露光され表面に静電潜像が形成される像保持体と、現像剤を保持して、前記像保持体上の静電潜像を現像する現像剤保持体と、前記像保持体上の現像剤像を被転写部材に転写する転写手段と、画像形成装置の稼動停止前に、前記現像剤保持体が保持する現像剤量を減らす現像剤減少手段と、を有している。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、前記現像剤保持体の表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材が設けられ、前記現像剤減少手段が、前記層厚規制部材と前記現像剤保持体との間に電位差を設ける電位差発生手段である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記画像形成装置の稼動を停止した後、再稼働する際、前記現像剤保持体の前記層厚規制部材と対向した部分が前記像保持体と対向する位置まで移動する間、少なくとも画像形成動作を行わない。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6の何れか1項に記載の画像形成装置において、前記画像形成装置の稼動停止が、画像形成装置の節電状態のことである。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項4〜6の何れか1項に記載の画像形成装置において、使用者が動作モードを入力する操作表示部で、前記現像剤減少手段を動作させるか否かを選択可能である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、4に記載の発明によれば、現像剤の無駄な消費をすることがなく、現像剤による画像形成装置内の汚染を抑制することができる。
【0016】
請求項2、5に記載の発明によれば、現像装置内から現像剤が出難くなり、現像剤保持体の現像剤量を減少させることができる。
【0017】
請求項3、6に記載の発明では、現像剤の層厚が規制された状態の現像剤保持体によって、像保持体上に現像剤像が形成される。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、画像形成装置が節電状態に入る前に現像剤保持体の現像剤量が減少する。
【0019】
請求項8に記載の発明によれば、画像形成装置を移動させるときなどに自発的に現像剤保持体の現像剤量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略全体構成図である。
【図2】本実施の形態に係る現像装置の概略構成図である。
【図3】(A)〜(C)は、本実施の形態に係る現像装置の作用を説明する説明図であり、現像ローラ上の現像剤量が減少する過程を示している。
【図4】本実施の形態に係る現像装置の現像剤減少処理が行われる際の電源装置等のタイミングチャートを示している。
【図5】本実施の形態に係る現像装置の現像剤減少処理を行う電源装置の電圧と現像ローラ上の現像剤の量との関係を示すグラフである。
【図6】画像形成装置本体の稼動停止後、再度画像形成装置本体を稼動させる際の、本実施の形態に係る現像装置の作用を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態に係る画像形成装置10について説明する。
<画像形成装置の概要>
図1には、本実施形態に係る画像形成装置10が一例として示されている。まず、この画像形成装置10の構成およびその作用について説明する。
(画像形成装置の構成)
この画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、画像形成装置本体12内には、感光体ユニット14、光書込み装置16、転写ユニット18が配置されている。また、画像形成装置本体12の上部には、記録紙排出部20が形成され、画像形成装置本体12の下部には、記録紙給紙部22が配置されている。
【0022】
この記録紙給紙部22は、多数の記録紙(記録媒体)が積層収容される給紙カセット24を有しており、該給紙カセット24は画像形成装置本体12に対して着脱可能に設けられている。この給紙カセット24の一端側上部には、送出しロール26が配置されると共に、この送出しロール26に対向して分離ロール28が設けられている。
【0023】
給紙カセット24の最上位にある記録紙は、送出しロール26によって取り出し可能とされ、送出しロール26と分離ロール28との協働により記録紙が捌かれて搬送可能となる。記録紙の搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という)には、位置合わせロール30が配設されており、搬送された記録紙はこの位置合わせロール30により一旦停止し、予め定めたタイミングで転写ユニット18側へ搬送可能とされる。
【0024】
一方、画像形成装置本体12の前面には、開閉カバー31が設けられており、画像形成装置本体12の前面下部に設けられたピボット64を中心に、開閉カバー31が画像形成装置本体12に対して回転可能(開閉可能)となっている。
【0025】
また、画像形成装置本体12内には、後述する感光体ユニット14が収容されているが、最下段の感光体ユニット14の下部には、シャフト(図示省略)が設けられ、転写ユニット18を回転可能に支持している。そして、開閉カバー31の開閉によって、転写ユニット18が移動し、感光体ユニット14に対して接離し、開閉カバー31を閉止させた状態で、転写ユニット18は、感光体ユニット14と対向すると共に、開閉カバー31によって感光体ユニット14側へ付勢され、位置決めされる。
【0026】
ここで、図1及び図2に示すように、転写ユニット18は、上下方向に設けられた駆動ロール32及び従動ロール34に搬送ベルト36が巻き掛けられており、該搬送ベルト36によって記録紙を搬送可能としている。また、駆動ロール32と従動ロール34の間には、後述する各感光体40(像保持体)表面のトナー画像を搬送ベルト36上の記録紙に転写させる転写ロール35が各色毎に予め定めた間隔を隔てて配設されている。
【0027】
この転写ロール35は、開閉カバー31が閉じられたときに、搬送ベルト36を間において、各感光体40に予め定めた圧力で圧接するようになっているため、搬送ベルト36の走行に追従して回転する。
【0028】
ところで、駆動ロール32には、搬送ベルト36を間において帯電ロール38が対向して配置されており、該帯電ロール38には図示しないバイアス電源から予め定めた電圧が印加されるようになっている。このため、この帯電ロール38が搬送ベルト36に接触すると、搬送ベルト36が帯電し、搬送ベルト36と記録紙との間に電位差が設けられ、搬送ベルト36に記録紙が吸着されて搬送される。
【0029】
一方、感光体ユニット14には、この搬送ベルト36又は該搬送ベルト36によって搬送される記録紙に転写する像を保持する、ここではイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの感光体40が回転自在に支持されている。
【0030】
各感光体40の周囲には、感光体40を帯電させる帯電ロール42と、各感光体40に書き込まれた潜像をトナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤によって現像する現像装置44(後述する)と、転写後の感光体40を除電する除電装置46と、転写がなされた後に感光体40の表面に残留する現像剤を除去するクリーニング装置48と、が設けられている。
【0031】
そして、感光体ユニット14は、これら4つの感光体40、帯電ロール42、現像装置44、除電装置46及びクリーニング装置48が一体化され、転写ユニット18と共に画像形成装置本体12に対して着脱自在となっている。
【0032】
また、感光体ユニット14の裏面側方には、現像装置44に供給するイエロー、マゼンダ、シアン及びブラック用のトナーが収容されたトナーボックス50がそれぞれ接続されている。各トナーボックス50は、トナー供給部52とトナー回収部54とが一体となって構成され、トナー供給部52が現像装置44に接続されて各色のトナーを現像装置44に供給している。そして、トナー回収部54はクリーニング装置48に接続されて各色のトナーを回収する。
【0033】
さらに、感光体ユニット14の背面側の、各感光体40に対応した位置に光書込み装置16が配置されており、それぞれレーザ露光装置からなり、各感光体40に対してレーザを照射して感光体40の表面に潜像を形成する。
【0034】
また、感光体ユニット14の下流側には定着装置56が配設されており、記録紙上の未定着のトナー画像を加熱・加圧して記録紙に定着させる。そして、この定着装置56の下流側には排出ロール58が配設されており、トナー画像が定着された記録紙が記録紙排出部20上へ排出可能とされる。
【0035】
ところで、現像装置44は、図2に示すように、感光体40に対向して配置されている。現像装置44は筐体80を備えており、感光体40側に向かって開口する開口部82が形成されている。筐体80内には、この開口部82から一部が露出するようにして現像剤保持体としての現像ロール86が設けられており、この現像ロール86が感光体40に対向して配設されている。
【0036】
また、筐体80の奥方(開口部82の反対側)には現像剤収容室96が設けられており、この現像剤収容室96内には、現像剤を攪拌搬送する攪拌搬送部材88、89が配設されている。この攪拌搬送部材88、89は、それぞれ図示はしないが、回転軸周りに予め定めたピッチでスパイラル羽根が螺旋状に巻き付けられており、攪拌搬送部材88、89の回転によって、トナー供給部52から供給されたトナーを現像剤収容室96内の磁性キャリアと共に攪拌しながら搬送して現像ロール86へ供給する。
【0037】
現像ロール86は、図示しない導電性の軸受部によって回転可能に支持された薄肉円筒状のスリーブ86Aと、固定された円柱状のマグネットロール86Bと、を備えている。現像ロール86の端部には、図示しないギアが固定されており、モータからの回転力がギアへ伝達され、該ギアを介して現像ロール86が回転するようになっている。
【0038】
現像ロール86のスリーブ80Aには、図示しない電源装置から予め定めた現像バイアス電圧が印加されるようになっており、これにより、現像ロール80と感光体40との間には、現像電界が形成される。
【0039】
また、現像ロール86のスリーブ86Aの表面には、予め定めた隙間を設けて円柱状の導電性の層厚規制ロール(層厚規制部材)87が固定されており、現像ロール86上の現像剤の量を規制する。現像ロール86は、現像剤中に含まれた磁性キャリアを磁力で吸着し、表面に現像剤の磁気ブラシを形成するが、層厚規制ロール87によって現像ロール86上の現像剤の量が規制される。そして、この現像ロール86上の現像剤によって、感光体40上に形成された静電潜像がトナー画像として可視化される。
(画像形成装置の作用)
次に、以上のような構成の画像形成装置10の作用について説明する。
【0040】
まず、図1に示す給紙カセット24の最上位にある記録紙が、送出しロール26によって取り出され、送出しロール26と分離ロール28との協働により記録紙が捌かれて位置合わせロール30によって、予め定めたタイミングで転写ユニット18側へ搬送される。
【0041】
一方、感光体ユニット14では、まず、帯電ロール42によって感光体40の表面が帯電される。そして、光書込み装置16からレーザが照射して感光体40の表面が走査され、画像データに基づいた潜像が感光体40の表面に形成される。
【0042】
図2に示す現像装置44の現像ロール86のスリーブ86Aには、攪拌搬送オーガ88によって攪拌搬送された現像剤がマグネットロール86Bの磁力で吸着される。また、スリーブ86Aに吸着された現像剤は、層厚規制ロール87と現像ロール86との隙間を通ることで余剰分が擦り切られ、現像剤の層厚が均一になる。
【0043】
また、現像ロール86には各色毎に予め定めた現像バイアス電圧が印加されており、感光体40上の静電潜像が現像ロール86を通過する時に、現像電界によって静電潜像に現像剤のトナーが付着し、該静電潜像がトナー画像として可視化される。
【0044】
このトナー画像は、搬送ベルト36で搬送される記録紙に、転写ロール35によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順にフルカラーのトナー画像(未定着像)が転写されると、搬送ベルト36によって定着装置56へ搬送される。
【0045】
そして、定着装置56に搬送された記録紙は、未定着のトナー画像が加熱・加圧されて該記録紙に定着された後、排出ロール58によって記録紙排出部20上へ排出される。なお、記録紙へのトナー画像の転写終了後、感光体40の表面は、クリーニング装置48によってクリーニング処理され、次の画像形成処理に備える。
(本実施形態の要部)
ところで、前述したように、図2に示す層厚規制ロール87は導電性の部材で形成されており、層厚規制ロール87を回転可能に支持する導電性の軸受部を介して層厚規制ロール87の表面にはバイアス電圧が印加可能とされている。そして、図3(B)に示すように、電源装置98の回路を閉じて、層厚規制ロール87と現像ロール86との間で、バイアス電圧を印加することで電位差を生じさせることができる(電位差発生手段)。
【0046】
ここで、本実施形態では、負帯電性の現像剤を用いており、層厚規制ロール87の電位を現像ロール86の電位よりも高くする(なお、正帯電性の現像剤を用いた場合は、現像ロール86の電位を層厚規制ロール87の電位よりも高くする)。
【0047】
これにより、電界が生じ層厚規制ロール87側へ現像剤Tが引き寄せられる。このため、現像装置44の筐体80内から現像剤Tが出難くなり、図3(A)、図3(B)の順で示すように、現像ロール86上の現像剤Tの量が減少する(現像剤減少処理)。なお、ここでは、現像剤Tの減少を分かりやすくするため現像剤層を厚くして表現している。そして、図3(C)に示すように、現像ロール86上の現像剤Tの量が減少すると電源装置98の回路を開く。
【0048】
ここで、現像剤減少処理は、画像形成装置本体12の稼動停止前に行われる。この画像形成装置本体12の稼動停止とは、画像形成装置本体12が稼動しない状態をいい、ここでは、画像形成装置本体12の主電源を切る、画像形成装置本体12を節電状態にするなど、長時間画像形成装置本体12が稼動しない場合以外に、画像形成動作終了後の場合も含む。
【0049】
このように、画像形成装置本体12の制御装置(図示省略)によって、自動的に現像剤減少処理を行うようにしても良いし、画像形成装置本体12に設けられた操作パネル(操作表示部)90(図1参照)によって、この動作を選択できるようにしても良い。この場合、例えば、操作パネル90に現像剤減少処理モードのようなものを設け、画像形成装置本体12を移動させたりする場合などにこのモードを選択することで自発的に現像剤減少処理が行われるようにする。
【0050】
図3(A)に示すように、画像形成に必要な現像剤Tが現像ロール86上に存在している状態で、画像形成装置10の画像形成装置本体12の搬送や再設置を行うと、画像形成装置本体12が受ける振動により、現像ロール86上の現像剤Tが飛散し画像形成装置本体12内を汚染してしまう場合がある。
【0051】
このため、画像形成装置本体12が稼動停止する前に、現像ロール86の現像剤Tの量を減らすことで、現像ロール86上の現像剤Tの飛散が抑制される。つまり、現像剤Tの無駄な消費をすることがなく、画像形成装置本体12の運搬時や再設置時に、画像形成装置本体12が受ける振動による画像形成装置本体12内の汚染が抑制される。
【0052】
以上のように、画像形成装置本体12が稼動停止する前、現像剤減少処理が行われることとなるが、具体的には、図2及び図4に示すように(図4は現像剤減少処理が行われる際の電源装置98等のタイミングチャートを示している)、この現像剤減少処理では、まず、感光体40及び帯電ロール42が駆動し、帯電ロール42によって感光体40が帯電する。
【0053】
ここで、画像形成終了後、感光体40及び帯電ロール42が駆動したとき、感光体40の回転方向に沿って、感光体40と帯電ロール42の対向位置Pから感光体40と現像ロール86の対向位置Qまでの間は、感光体40の表面には電位が生じていない。
【0054】
このため、感光体40の帯電ロール42との対向位置Pから層厚規制ロール87との対向位置Qまで移動する時間(t)分、感光体40及び帯電ロール42を駆動させる時間と現像ロール86を駆動させる時間との間で差を設ける。そして、感光体40及び帯電ロール42を駆動させ、時間t経過後、現像ロール86を駆動させると共に、現像ロール86と層厚規制ロール87との間で電圧を印加し、電位差を生じさせる。
【0055】
図5には、電源装置98の電圧と現像剤量との関係が示されている。ここでは、0〜1.0kVの間で層厚規制ロール87と現像ロール86との間に印加する電圧を変えて、現像ロール86の表面に残留している現像剤の量を測定した結果が示されている。
【0056】
これによると、1.0kVの間で電圧を上げて行くにしたがって、現像剤量は徐々に減少しており、約0.8kVの電圧では約1/3の現像剤が減少している。なお、電位差が大きすぎると、リーク電流が大きくなり却って電圧が印加されない状態となってしまうため、印加する電圧は1.0kV程度までが好ましい。
【0057】
ところで、画像形成装置本体12の稼動停止後、画像形成装置本体12を再稼働させる際、図6に示すように、現像ロール86の層厚規制ロール87との対向位置Rから感光体40との対向位置Sまで移動する時間分(角度θ分)、少なくとも画像形成動作を行わない。
【0058】
画像形成装置本体12の稼動停止前、層厚規制ロール87と現像ロール86との間に電位差を設けることで、現像ロール86上の現像剤Tの量が減少する(図3(C)参照)。このため、現像剤Tの量が減少した状態の現像ロール86から、通常の画像形成動作時に必要な現像剤量を有する現像ロール86となる(図3(A)参照)までの時間として、現像ロール86の層厚規制ロール87との対向位置Rから感光体40との対向位置Sまで移動する時間分が必要となる。
【0059】
なお、ここでは、層厚規制部材として層厚規制ロール87を用いたが、現像ロール86上の現像剤の層厚を規制することができれば良いため、ロール形状に限るものではない。例えば、板状部材を用いても良い。また、現像剤減少処理は、必ずしも4色同時に行う必要はない。例えば、現像剤交換時に交換が必要とされる色に対応する現像装置44のみ現像剤減少処理を行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0060】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
16 光書込み装置(露光手段)
18 転写ユニット(転写手段)
35 転写ロール(転写手段)
36 搬送ベルト(転写手段)
40 感光体(像保持体)
44 現像装置
86 現像ロール(現像剤保持体、電位差発生手段、現像剤減少手段)
87 層厚規制ロール(層厚規制部材、電位差発生手段、現像剤減少手段)
90 操作パネル(操作表示部)
98 電源装置(電位差発生手段、現像剤減少手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を保持して、像保持体上の静電潜像を現像する現像剤保持体と、
画像形成装置の稼動停止前に、前記現像剤保持体が保持する現像剤量を減らす現像剤減少手段と、
を有する現像装置。
【請求項2】
前記現像剤保持体の表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材が設けられ、
前記現像剤減少手段が、前記層厚規制部材と前記現像剤保持体との間に電位差を設ける電位差発生手段である請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記画像形成装置の稼動を停止した後、再稼働する際、前記現像剤保持体の前記層厚規制部材と対向した部分が前記像保持体と対向する位置まで移動する間、少なくとも画像形成動作を行わない請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
光ビームを出射する露光手段と、
前記露光手段によって露光され表面に静電潜像が形成される像保持体と、
現像剤を保持して、前記像保持体上の静電潜像を現像する現像剤保持体と、
前記像保持体上の現像剤像を被転写部材に転写する転写手段と、
画像形成装置の稼動停止前に、前記現像剤保持体が保持する現像剤量を減らす現像剤減少手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項5】
前記現像剤保持体の表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材が設けられ、
前記現像剤減少手段が、前記層厚規制部材と前記現像剤保持体との間に電位差を設ける電位差発生手段である請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置の稼動を停止した後、再稼働する際、前記現像剤保持体の前記層厚規制部材と対向した部分が前記像保持体と対向する位置まで移動する間、少なくとも画像形成動作を行わない請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置の稼動停止が、画像形成装置の節電状態のことである請求項4〜6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
使用者が動作モードを入力する操作表示部で、前記現像剤減少手段を動作させるか否かを選択可能である請求項4〜6の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−156907(P2010−156907A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106(P2009−106)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】