説明

現像装置

【課題】現像ローラへのトナー供給量を安定させて、安定した現像特性を得ることができ、高品位の画質を得ることができる現像装置を提供する。
【解決手段】トナーを感光体ドラム11へ供給する現像ローラ61と、現像ローラ61に供給されるトナーが所定の帯電量を有するように帯電させるトナー供給ローラ63と、現像ローラ61に供給されるトナー量を規制するトナー層規制ブレード80と、を備えて、感光体ドラム11に対して非接触でDC電圧により現像を行う現像装置14において、トナー供給ローラ63から現像ローラ61に供給された現像ローラ61上のトナー帯電量Qaに対して、トナー層規制ブレード80による除電を行った後の現像ローラ61上のトナー帯電量Qbを、|Qa|>|Qb|とすることを特徴とするものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置に係り、特に、電子写真方式によりトナーを用いた画像形成において、トナーに所定の帯電量を付与して安定した現像を行うための現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成装置では、感光体の潜像をトナーで可視化する現像装置が搭載されている。
【0003】
現像装置による現像方式としては、トナーに磁性体を含有しない1成分現像剤を用いる1成分現像方式と、トナーとキャリアを含有する2成分現像剤を用いる2成分現像方式がある。また、感光体にトナーを供給する方式においては、感光体の表面に現像剤が接触する接触現像方式と、現像剤が接触しない非接触現像方式がある。
【0004】
従来の現像方式のうちの、1成分現像剤を用いて非接触現像方式によりDC電圧のみでトナーを飛翔させ現像する、いわゆる非磁性1成分DC現像方式による現像装置では、現像の安定化のため、トナー供給ローラから現像ローラに供給されるトナーの帯電量と、現像ローラから感光体に供給されるトナーの帯電量を所定の範囲にコントロールする必要がある。
【0005】
現像装置において、トナー供給ローラの位置を現像ローラに対して下方の位置に配置すると、トナー供給ローラから現像ローラに所定量のトナーを供給する際に、トナー供給ローラの位置を現像ローラに対して下方の位置からトナーを汲み上げるため、トナーの帯電量が所定値よりも高いとトナー供給が良好に行われる。しかしながら、トナーの帯電量が所定値よりも高いと感光体における現像効率が低下する。
【0006】
これに対し、トナー供給ローラから現像ローラにトナーを汲み上げる汲み上げ部においてトナーの帯電量を所定値よりも低くすると、トナー供給ローラから現像ローラに供給されるトナーの供給量は減るが、感光体における現像効率は良くなる。
【0007】
つまり、現像装置において、トナーの供給量と現像効率とはトレードオフの関係にあるため、安定した現像性を確保するのが困難であった。
【0008】
そこで、従来技術として、非接触現像前のトナーを除電し、トナーの帯電量を調整する現像装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005-208656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1のような現像装置においては、ブレードなどのトナー層規制部材でトナーを除電するだけでは、トナー供給ローラから感光体にトナーを供給して現像するまでの間、つまり、トナーの供給から現像に至るまでのトナーの帯電量と付着量の制御ができないため、安定した現像特性を得ることが困難であった。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、現像ローラへのトナー供給量を安定させて、安定した現像特性を得ることができ、高品位の画質を得ることができる現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するための本発明に係る現像装置は、次の通りである。
本発明は、トナーを被現像部材へ供給する現像ローラと、前記現像ローラに供給されるトナーが所定の帯電量を有するように帯電させるトナー供給ローラと、前記現像ローラに供給されるトナー量を規制するトナー層規制ブレードと、を備えて、前記被現像部材に対して非接触でDC電圧により現像を行う現像装置において、前記トナー供給ローラから前記現像ローラに供給された前記現像ローラ上のトナー帯電量Qaに対して、前記トナー層規制ブレードによる除電を行った後の前記現像ローラ上のトナー帯電量Qbを、|Qa|>|Qb|とすることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明は、前記トナー帯電量Qaを、−12〜−25(μC/g)とし、前記トナー帯電量Qbを、−4〜−12(μC/g)とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トナーを被現像部材へ供給する現像ローラと、前記現像ローラに供給されるトナーが所定の帯電量を有するように帯電させるトナー供給ローラと、前記現像ローラに供給されるトナー量を規制するトナー層規制ブレードと、を備えて、前記被現像部材に対して非接触でDC電圧により現像を行う現像装置において、前記トナー供給ローラから前記現像ローラに供給された前記現像ローラ上のトナー帯電量Qaに対して、前記トナー層規制ブレードによる除電を行った後の前記現像ローラ上のトナー帯電量Qbを、|Qa|>|Qb|とすることで、トナー供給ローラから現像ローラへのトナー供給の際のトナーの帯電量を規定することにより、現像ローラへのトナー供給量を安定させ、かつトナー層規制ブレードで除電を行うことにより、トナーの帯電量を所定のレベルまで引き下げることにより、安定した現像性を得ることができる。
【0015】
また、本発明によれば、前記トナー帯電量Qaを、−12〜−25(μC/g)とし、前記トナー帯電量Qbを、−4〜−12(μC/g)とすることで、安定した現像性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る現像装置を用いた画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】前記現像装置の構成を示す断面図である。
【図3】前記現像装置における電位差に応じたトナー帯電量と現像ローラへのトナー付着量との関係を示すグラフである。
【図4】前記現像装置における電位差に応じたトナー帯電量と感光体ドラムへのトナー付着量との関係を示すグラフである。
【図5】前記現像装置におけるトナー帯電量及びトナー付着量についてテストした実施例と従来例の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は発明を実施する形態の一例であって、本発明の実施形態に係る現像装置を用いた画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
【0018】
本実施形態は、図1に示すように、トナーを用いて現像を行う現像装置14を具備する可視像形成ユニット10を備えた電子写真方式フルカラーの画像形成装置1であって、例えば、ネットワークを介して外部から送信されてくる画像データや画像読取装置(図示せず)によって読み取った画像データに基づいて、記録紙(転写媒体)に対して多色または単色の画像を形成するものである。
【0019】
本実施形態の可視像形成ユニット10は、現像装置14の構成として、本発明に係る現像装置の構成を採用したことを特徴としている。
【0020】
まず、画像形成装置1の全体構成について説明する。
画像形成装置1は、図1に示すように、可視像形成ユニット10、供給トレイ20、記録紙搬送手段30、定着装置40、を備えている。
本実施形態では、可視像形成ユニット10にて現像した像(トナー像)を供給トレイ20より給紙された記録紙Pに転写した後に、定着装置40により記録紙Pに定着させるようになっている。
【0021】
尚、本実施形態では、トナー像を記録紙Pに直接転写するものとするが、中間転写ベルト等の中間転写媒体を用いて、中間転写媒体にトナー像を一時的に転写した後に、トナー像を中間転写媒体から記録紙Pに転写するようにしたものであっても良い。
【0022】
可視像形成ユニット10には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色に対応して、4つの可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bが並設されている。つまり、可視像形成ユニット10は、4つの可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bからなり、可視像形成ユニット10Yはイエロー(Y)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Mはマゼンダ(M)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Cはシアン(C)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Bはブラック(B)のトナーを用いて画像形成を行う。
【0023】
具体的な配置としては、供給トレイ20から定着装置40へ記録紙Pを搬送する搬送路に沿って、記録紙搬送方向(矢印A)上流側より4組の可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bが順に配設されており、搬送される記録紙Pに各色のトナーを多重転写するようになっている。
【0024】
ここで、可視像形成ユニット10について可視像形成ユニット10Yを例に挙げて具体的な構成について説明する。
可視像形成ユニット10Yは、その構成として、感光体ドラム(感光体)11の外周に沿って、帯電装置12、レーザ光照射手段13、現像装置14、転写ローラ15、クリーニングユニット16、除電装置17を備えている。
【0025】
帯電装置12は、感光体ドラム11の表面を所定の電位に均一に帯電させるものであり、本実施形態ではノコ歯とスクリーングリッドからなり、感光体ドラム11の表面から非接触で近接させてコロナ放電とグリッドバイアス制御によって帯電させる接触帯電方式のスコロトロン帯電装置を用いている。
【0026】
レーザ光照射手段13は、帯電装置12によって帯電された感光体ドラム11の表面を画像データに応じて露光し、感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成するものである。
【0027】
現像装置14は、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像をトナーによって現像して、感光体ドラム11の表面にトナー像を形成するものである。
【0028】
転写ローラ15は、トナーとは逆極性のバイアス電圧を印加されており、感光体ドラム11に形成されたトナー像を記録紙搬送手段30によって搬送される記録紙Pに転写させるものである。
【0029】
クリーナユニット16は、転写ローラ15による転写処理の後に、感光体ドラム11の表面に残留したトナーを除去/回収するものである。そして、このような、記録紙Pに対するトナー像の転写を、各色の可視像形成ユニット10において順次行うことで、記録紙Pに各色のトナー像を多重転写するようになっている。
【0030】
記録紙搬送手段30は、主に、駆動ローラ31、アイドリングローラ32、搬送ベルト33から構成され、各可視像形成ユニット10によって記録紙P上にトナー像が転写されるように記録紙Pを搬送するものである。
【0031】
駆動ローラ31及びアイドリングローラ32は、無端状の搬送ベルト33を張架するものであり、駆動ローラ31が所定の周速度で回転駆動されることで、搬送ベルト33が回転するようになっている。
【0032】
搬送ベルト33は、外側表面が転写ローラ15により所定の電位に帯電されて、記録紙Pを静電吸着しながら搬送するようにされている。
【0033】
記録紙搬送手段30によって搬送されて各可視像形成ユニット10を通過しながらトナー像(未定着トナー像)が転写された記録紙Pは、駆動ローラ31の曲率によって搬送ベルト33から剥離され、定着装置40に搬送される。
【0034】
定着装置40は、記録紙Pに適度な熱と圧力とを与えて、記録紙P上に転写されたトナーを溶解させて記録紙Pに定着させ、記録紙Pを排紙トレイ(図示せず)に排出する。定着装置40の構成は特に限定されるものではなく、例えば、図1に示すように、加熱ローラ41と加圧ローラ42とを備え、これら両ローラによって記録紙Pを挟持しながら搬送する構成のものを用いることができる。
【0035】
尚、画像形成装置1に備えられる上記各部材の動作は、図示しない主制御部(制御用集積回路基板またはコンピュータ)によって制御される。
【0036】
次に、本実施形態に係る特徴的な現像装置14の構成について図面を参照して詳細に説明する。図2は本実施形態に係る現像装置の構成を示す断面図である。
【0037】
現像装置14は、図2に示すように、主に、現像ローラ61、トナー供給ローラ63、攪拌ローラ70,71,72及びトナー層規制ブレード80を備え、且つ、これらの構成要素を配置するとともに、現像剤としてのトナー74を収容する現像槽73を備えている。
【0038】
現像ローラ61は、肉厚が1mm、表面粗さがRa0.3μm、外径がφ16のアルミニウム製の筒状体と、外径がφ7の中心軸シャフトとで構成され、感光体ドラム11に対向する位置に配置されている。そして、現像ローラ61は、感光体ドラム11に対して現像ギャップ62をとるように位置決めされている。現像ギャップ62は、図示しないギャップ保持部材により200±20μmの精度で管理されている。
【0039】
トナー供給ローラ63は、ENDURまたはウレタンゴム製で厚み4.8mm、アスカC硬度2〜15度のスポンジ層を備えた外径φ16.6のローラ部材と、外径がφ7のシャフトとで構成されている。
【0040】
現像ローラ61及びトナー供給ローラ63は、それぞれ高圧電源67,68に接続されている。トナー供給ローラ63は、現像ローラ61とニップ部64で接触している。
【0041】
現像ローラ61とトナー供給ローラ63とのニップ部64の食い込み量は、0.5mmで設定されている。また、このニップ部64の長手方向の幅は、330mmで設定されている。
【0042】
現像ローラ61の回転方向(矢印C)とトナー供給ローラ63の回転方向(矢印D)は、感光体ドラム11の回転方向(矢印B)に対して逆となるように設定されている。
【0043】
トナー層規制ブレード80は、プレート65と、プレート65の先端部に形成されたゴム層66とで構成され、現像ローラ61上面のトナー層(トナー供給量)を規制するものである。
【0044】
プレート65は、リン青銅またはアルミニウム製で、厚さ0.1mm、長さ35mmの板部材で形成され、除電のための高圧電源69に接続されている。
【0045】
ゴム層66は、厚さ1.0mm、長さ10mmで幅333mmのJIS-A硬度20〜75のウレタンゴムで構成され、さらに、導電性カーボンブラックまたはイオン導電剤が添加されて、抵抗値が102〜106Ωcmに調整されている。
【0046】
トナー層規制ブレード80による現像ローラ61への線圧は、5〜50g/cm範囲で調整される。トナー層規制ブレード80には高圧電源69からDC電圧に500〜3KHZのAC電圧が重畳印加される。
【0047】
攪拌ローラ70,71,72は、それぞれ厚さ0.1mmのポリエステルフィルムを備え、現像槽73内のトナー74を攪拌搬送しながらトナー供給ローラ63まで搬送するようにされている。
【0048】
トナー74は、平均体積粒径D508.8μmのポリエステルトナーで、外添材であるシリカが3.0wt%、酸化チタンが0.75wt%それぞれ添加されている。
【0049】
攪拌ローラ70,71,72により攪拌されてトナー供給ローラ63に搬送されたトナー74は、ニップ部64で現像ローラ61と摺擦されることでトナー帯電量Qaが付与される。トナー供給ローラ63上のトナー74は、現像ローラ61とトナー供給ローラ63に接続された高圧電源67,68から印加された電圧の差により現像ローラ61へ汲み上げられる。そして、現像ローラ61上にトナー層が形成される。
【0050】
現像ローラ61へ汲み上げられたトナー74は、トナー層規制ブレード80のゴム層66を通過する際に、トナー層規制ブレード80からの圧力でトナー層の厚さが規制され、同時に高圧電源69から印加されたDC及びACの重畳電圧により現像に適したトナーの帯電量に除電される。
【0051】
そして、感光体ドラム11と現像ローラ61との現像ギャップ62におけるトナー74は、トナー帯電量をQbとして、感光体ドラム11と現像ローラ61との電位差に応じて、感光体ドラム11の静電潜像を現像してトナー像として可視化する。
【0052】
この時、トナー供給ローラ63から現像ローラ61に供給された現像ローラ61上のトナー74のトナー帯電量をQaとし、トナー層規制ブレード80による除電を行った後の現像ローラ61上のトナー74のトナー帯電量Qbとの関係が、|Qa|>|Qb|となるように設定されている。
【0053】
ここで、本実施形態の現像装置14によるトナーの帯電量と現像ローラ61へのトナー付着量及び感光体ドラム11へのトナー付着量との関係について説明する。
図3は本実施形態の現像装置における電位差に応じたトナー帯電量と現像ローラへのトナー付着量との関係を示すグラフ、図4は前記現像装置における電位差に応じたトナー帯電量と感光体ドラムへのトナー付着量との関係を示すグラフである。
【0054】
まず、現像装置14において、電位差に応じたトナー供給ローラ63から現像ローラ61に汲み上げ供給されるトナー74の帯電量と現像ローラ61上に付着するトナーの付着量との関係について説明する。
【0055】
本実施形態では、電位差を0V(V1)、100V(V2)、150V(V3)として、それぞれの電位差の時のトナー帯電量に応じた現像ローラ61へのトナー付着量を測定した。
【0056】
図3に示すように、トナー付着量は、電位差100V(V2)でほぼ飽和することがわかる。また、トナー帯電量が高い程、現像ローラ61へのトナー付着量が増加することがわかる。そして、トナー74の帯電能力は−25(μC/g)付近で限界レベルに達している。
【0057】
具体的には、電位差が0V(V1)の時は、トナー帯電量が−12(μC/g)から24に変化するにつれて、現像ローラ61へのトナー付着量は約0.3(mg/cm)から約0.4(mg/cm)に増加している。
【0058】
また、電位差が100V(V2)、150V(V3)の時は、ほぼ同じ様に、トナー帯電量が−12(μC/g)から24に変化するにつれて、現像ローラ61へのトナー付着量は約0.55(mg/cm)から約1.1(mg/cm)に増加している。
【0059】
次に、現像装置14において、トナー供給ローラ63と現像ローラ61の電位差を100Vとして、現像ローラ61に供給されたトナーに対してトナー層規制ブレード80によりトナー層を規制して、感光体ドラム11と現像ローラ61との間の電位差に対応したトナー帯電量と感光体ドラム11に実際に現像されるトナー付着量との関係について説明する。
【0060】
本実施形態では、電位差を650V(V4)、750V(V5)、850V(V6)として、それぞれの電位差の時のトナー帯電量に応じた感光体ドラム11へのトナー付着量を測定した。
【0061】
図4に示すように、トナー付着量は、電位差750V(V5)でほほ飽和レベルに達していることがわかる。また、ベタ部の飽和画像濃度の再現に最低必要な感光体ドラム11へのトナー付着量0.5(mg/cm2)を確保するためには、トナー帯電量を少なくとも−12(μC/g)まで下げる必要がある。尚、トナー帯電量が−4(μC/g)以下では、トナー74の飛翔に必要な電界が作用されなくなるため、感光体ドラム11へのトナー付着量が急激に低下する。
【0062】
以上のことから、本実施形態によれば、現像装置14において、トナー供給ローラ63から現像ローラ61上にトナーを供給する際のトナー帯電量Qaを−12〜−25(μC/g)の範囲として、更に、トナー層規制ブレード80通過後において、黒ベタ部の画像濃度の再現に必要なトナー帯電量Qbを−4〜−12(μC/g)の範囲に制御することで、トナー付着量を安定させることができる。
【0063】
すなわち、本実施形態によれば、現像ローラ61上にトナーを供給する際のトナー帯電量Qaに対してトナー層規制ブレード80通過後のトナー帯電量Qbを、|Qa|>|Qb|として、トナー供給ローラ63から現像ローラ61へのトナー供給の際のトナー帯電量Qaを規定することにより、現像ローラ61へのトナー供給量を安定させることができる。
また、トナー層規制ブレード80で除電を行うことにより、トナー帯電量Qbを所定のレベル(例えば、−12(μC/g))まで引き下げることにより、最低必要な感光体ドラム11へのトナー付着量0.5(mg/cm2)を確保できる。従って、トナー帯電量Qbを−4〜−12(μC/g)の範囲に制御することで、安定した現像性を得ることができる。
【0064】
次に、本発明に係る現像装置14を用いてトナー帯電量及びトナー付着量についてテストした実施例について説明する。
図5は本発明に係る現像装置におけるトナー帯電量及びトナー付着量についてテストした実施例と従来例の結果を示す表である。
【0065】
(実施例1)
実施例1は、本実施形態の画像形成装置1の構成と同様な実際の画像形成装置(シャープ製フルカラー機MX2300)を用いて現像装置14におけるトナー帯電量及びトナー付着量についてテストしたものである。
【0066】
実施例1は、図1に示す画像形成装置1の可視像形成ユニット10におけるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bの感光体ドラム11と、現像装置14を構成する現像ローラ61、トナー供給ローラ63及び攪拌ローラ70,71,72の各回転速度を以下の様に設定した。
【0067】
すなわち、感光体ドラム11を145mm/s、現像ローラ61を145mm/s、トナー供給ローラ63を116mm/sとし、また、攪拌ローラ70,71,72の回転数を、攪拌ローラ70を157rpm、攪拌ローラ71を157rpm、攪拌ローラ72を38rpmとした。
【0068】
トナー供給ローラ63は、ENDUR製でアスカC硬度5度のスポンジを用いて構成されている。
【0069】
高圧電源67から現像ローラ61への印加電圧はDC−800Vとし、高圧電源68からトナー供給ローラ63への印加電圧はDC−900Vとして、両ローラ間の電圧差を100Vに設定した。
【0070】
実施例1では、現像ローラ61上に汲み上げられたトナー74は、現像ローラ61とトナー供給ローラ63との間で摺擦されることによるトナーの帯電と100Vの電位差により、図5に示すように、トナー帯電量Qaが−22(μC/g)となり、トナー付着量は0.95(mg/cm2)であった。
【0071】
トナー層規制ブレード80のプレート65は、リン青銅からなり、ウレタンゴムにアルカリ金属塩からなるイオン導電剤を添加して抵抗値が103Ωcmに調整され、JIS-A硬度50度で構成されている。
【0072】
トナー層規制ブレード80による現像ローラ61への線圧は、15g/cmとなるように調整され、高圧電源69によりDC−750VにAC800Vpp(1KHZ)を重畳印加されるようになっている。
【0073】
実施例1では、トナー層規制ブレード80通過後のトナー74は、トナー層規制ブレード80によってトナー層の厚さが規制され、除電されるため、図5に示すように、現像ローラ61上のトナーのトナー帯電量Qb1は−12(μC/g)となり、トナー付着量は0.54(mg/cm2)となった。
【0074】
また、実施例1では、ベタ部の感光体ドラム11の表面電位を−50Vに設定し、感光体ドラム11と現像ローラ61との間の電位差を750Vに設定した。
これにより、感光体ドラム11に付着したトナーのトナー帯電量Qb2は−12(μC/g)となり、トナー付着量は0.50(mg/cm2)となった。
【0075】
以上のように、実施例1によれば、現像ローラ61上に汲み上げ後のトナーのトナー帯電量Qaが−22(μC/g)となり、トナー層規制ブレード80通過後の現像ローラ61上のトナーのトナー帯電量Qb1が−12(μC/g)となり、感光体ドラム11上のトナーのトナー帯電量Qb2が−12(μC/g)となるので、ベタ部の飽和画像濃度の再現に最低必要な感光体ドラム11へのトナー付着量0.5mg/cm2を確保することができる。
【0076】
尚、従来の方式による比較例1では、ゴム層66が絶縁性ウレンゴムで電圧印加が無い場合は、図5に示すように、現像ローラ61に汲み上げられたトナーのトナー帯電量Qaは−22(μC/g)、トナー付着量は0.95(mg/cm2)となる。また、トナー層規制ブレード80通過後の現像ローラ61上のトナーにおいては、トナー層規制ブレード80によるトナーへの摩擦帯電が起こるため、トナー帯電量Qb1は−24(μC/g)、トナー付着量は0.60(mg/cm2)となる。そして、感光体ドラム11に付着したトナーのトナー帯電量Qb2は−24(μC/g)となり、−12(μC/g)を超えてしまうため、感光体ドラム11へのトナー付着量0.5(mg/cm2)の確保が出来なかった。
【0077】
(実施例2)
実施例2は、上述した実施例1と同様な構成の画像形成装置を用いて現像装置14におけるトナー帯電量及びトナー付着量について以下の条件の下でテストしたものである。
【0078】
実施例2では、現像ローラ61に汲み上げられたトナー74は、現像ローラ61とトナー供給ローラ63間の電位差100Vにより、図5に示すように、トナー帯電量Qaが−12(μC/g)となり、トナー付着量が0.54mg/cm2であった。
【0079】
トナー層規制ブレード80による現像ローラ61に対する線圧は、5g/cmとなるように調整され、高圧電源69によりDC−780VにAC900Vpp(1.5KHZ)を重畳印加されるようになっている。
【0080】
実施例2では、トナー層規制ブレード80通過後のトナー74は、トナー層規制ブレード80によってトナー層の厚さが規制され、除電されるため、図5に示すように、現像ローラ61上のトナー帯電量Qb1は−4(μC/g)となり、トナー付着量は0.52(mg/cm2)となった。
【0081】
また、実施例2では、感光体ドラム11と現像ローラ61との間の電位差を750Vに設定したことで、トナー帯電量Qb2が−4(μC/g)となり、感光体ドラム11に付着したトナー付着量が0.50(mg/cm2)となった。
【0082】
以上のように、実施例2によれば、現像ローラ61上に汲み上げ後のトナーのトナー帯電量Qaが−12(μC/g)となり、トナー層規制ブレード80通過後の現像ローラ61上のトナーのトナー帯電量Qb1が−4(μC/g)となり、感光体ドラム11上のトナーのトナー帯電量Qb2が−4(μC/g)となるので、実施例1と同様にベタ部の飽和画像濃度の再現に最低必要な感光体ドラム11へのトナー付着量0.5mg/cm2を確保することができる。
【0083】
尚、従来の方式による比較例2では、図5に示すように、現像ローラ61に汲み上げられたトナーのトナー帯電量Qaは−12(μC/g)、トナー付着量は0.54(mg/cm2)となる。また、トナー層規制ブレード80通過後の現像ローラ61上のトナーにおいては、実施例1と同様にトナー層規制ブレード80によるトナーへの摩擦帯電が起こるため、トナー帯電量Qb1は−16(μC/g)、トナー付着量は0.52(mg/cm2)となる。そして、感光体ドラム11に付着したトナーのトナー帯電量Qb2は−16(μC/g)となり、−12(μC/g)を超えてしまうため、実施例1と同様に感光体ドラム11へのトナーの付着0.5(mg/cm2)の確保が出来なかった。
【0084】
尚、上述した実施形態及び実施例では、本発明に係る画像形成装置の構成を図1に示すような画像形成装置1に適用した例について説明したが、現像ローラに供給されるトナー量を規制するトナー層規制ブレードを備えて、トナー層の厚さを規制するようにした画像形成装置であれば、上述したような構成の画像形成装置や複写機に限定されるものではなく、その他の画像形成装置等に展開が可能である。
【0085】
以上のように、本発明は、上述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置
10,10Y,10M,10C,10B 視像形成ユニット
11 感光体ドラム(被現像部材)
14 現像装置
61 現像ローラ
62 現像ギャップ
63 トナー供給ローラ
64 ニップ部
65 プレート
66 ゴム層
67,68,69 高圧電源
70,71,72 攪拌ローラ
73 現像槽
74 トナー
80 トナー層規制ブレード
Qa トナー帯電量
Qb1 トナー帯電量
Qb2 トナー帯電量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを被現像部材へ供給する現像ローラと、前記現像ローラに供給されるトナーが所定の帯電量を有するように帯電させるトナー供給ローラと、前記現像ローラに供給されるトナー量を規制するトナー層規制ブレードと、を備えて、前記被現像部材に対して非接触でDC電圧により現像を行う現像装置において、
前記トナー供給ローラから前記現像ローラに供給された前記現像ローラ上のトナー帯電量Qaに対して、前記トナー層規制ブレードによる除電を行った後の前記現像ローラ上のトナー帯電量Qbを、|Qa|>|Qb|とすることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記トナー帯電量Qaを、−12〜−25(μC/g)とし、
前記トナー帯電量Qbを、−4〜−12(μC/g)とすることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−95394(P2011−95394A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247726(P2009−247726)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】