説明

現像装置

【課題】筐体構造や取り付け構造の改善に頼ることなく、現像装置から筐体構造へ伝達される振動を削減して、出力画像の走査線ピッチムラを軽減できる現像装置を提供する。
【解決手段】歯車機構30は、現像容器40の長手方向の外側で現像スリーブ41と現像スクリュー43と撹拌スクリュー44の回転を連動させる。側面部材200は、現像容器40よりも振動伝達性能が低いゴム材料の弾性体201を介して現像容器40に支持され、現像スリーブ41、現像スクリュー43、撹拌スクリュー44、及び歯車機構30を一体に支持する。歯車機構30で発生する振動が弾性体201で遮断されて現像容器40に伝達しないので、現像容器40から装置本体を経て露光装置3が振動することによるピッチムラ画像が軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤担持体と現像剤撹拌部材とを長手方向の端部の歯車機構により連動させた現像装置(プロセスカートリッジを含む)に関し、詳しくは歯車機構で発生する振動が外部へ伝達することを軽減する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体に形成した静電像を現像装置によってトナー像に現像し、形成したトナー像を直接又は中間転写体を介して記録材に転写して熱定着させる画像形成装置が広く用いられている。
【0003】
現像装置には、現像剤担持体(現像スリーブ、現像ローラ)と複数の現像剤撹拌部材(搬送スクリュー、撹拌羽根)が長手方向に並列に配置され、これらは現像容器の外側で歯車機構を用いて連結されている。
【0004】
また、現像装置が組み込まれたプロセスカートリッジでは、像担持体(感光ドラム)、帯電部材(帯電ローラ)、クリーニング部材(ファーブラシ)等も同じ歯車機構を用いて駆動力を分配されている場合がある。
【0005】
歯車機構によって現像剤担持体と現像剤搬送部材を一体に連動させた現像装置やプロセスカートリッジでは、現像装置の運転に伴って歯車機構で発生する振動が問題となっている。歯車機構の噛み合いのばらつきよって発生する各種周波数成分の振動が共振を生じて像担持体を振動させることで、画像の走査線のピッチむらが発生することが問題とされ、歯車機構に振動を軽減する構造が組み込まれている。
【0006】
また、現像装置の振動が画像形成装置の筐体構造に伝達されると、筐体構造を通じてレーザービーム露光装置に振動が伝わり、光学系を通じて数十倍にも増幅された走査線のピッチむらが発生する。このため、現像装置の取り付け位置に制振材料を挟み込んだり、筐体構造の剛性を高めたりする対策が採用されている。
【0007】
特許文献1に示されるプロセスカートリッジは、現像剤担持体と現像剤搬送部材を連動させる歯車機構とは独立させて像担持体を回転させる歯車機構を設けることにより、像担持体の振動を軽減させている。
【0008】
特許文献2に示されるプロセスカートリッジは、帯電装置、現像装置、クリーニング装置に駆動伝達する歯車機構をそれぞれ独立化させることにより、像担持体の振動を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平06−051576号公報
【特許文献2】特開平10−171331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、画像形成装置のプロセススピードの高まりから現像装置で発生する歯車機構の振動は高周波化し、振幅が大きくなる傾向にある。一方、画像形成装置の小型化が進められた結果、筐体構造の剛性を高めることが困難になる一方、筐体構造に組み込まれた露光装置等のコンポーネント間の振動伝達は起こり易くなっている。また、レーザービーム露光装置を採用している場合、露光装置が小型化されると、光路長が長くなって、露光装置の振動が画像に影響する割合が高くなる。
【0011】
そこで、記録材に画像形成された画像の走査線ピッチムラを測定して統計処理したところ、現像装置の歯車機構の振動周期と一致する走査線ピッチムラが画像品質に対して最大の影響を及ぼしていることが判明した。
【0012】
本発明は、筐体構造や取り付け構造の改善に頼ることなく、現像装置から筐体構造へ伝達される振動を削減して、出力画像の走査線ピッチムラを軽減できる現像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の現像装置は、現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持させる現像剤を収容する現像容器と、前記現像剤担持体と並列に前記現像容器に配置した現像剤撹拌部材と、前記現像容器の長手方向の外側で前記現像剤担持体と前記現像剤撹拌部材の回転を連動させる歯車機構と、前記現像容器よりも振動伝達性能が低い制振部材を介して前記現像容器に取り付けられて前記現像剤担持体と前記現像剤撹拌部材と前記歯車機構とを一体に支持する支持部材とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の現像装置では、支持部材と現像容器との間に制振部材を配置しているため、現像装置の歯車機構で発生する振動が支持部材に封じ込められて現像容器へ伝達しない。これにより、筐体構造や取り付け構造に頼ることなく、現像装置から画像形成装置の筐体構造へ伝達される振動を抑制して、出力画像の走査線ピッチムラを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】現像装置の長手方向に垂直な断面構成の説明図である。
【図3】現像装置の平面構成の説明図である。
【図4】プロセスカートリッジの駆動系のブロック図である。
【図5】実施例1における側面部材の説明図である。
【図6】実施例1における側面部材の組み立て構造の説明図である。
【図7】歯車構造の説明図である。
【図8】前カバーの取り付け構造の説明図である。
【図9】実施例2における現像装置の平面構成の説明図である。
【図10】実施例2における側面部材の説明図である。
【図11】実施例2における側面部材の組み立て構造の説明図である。
【図12】歯車構造の平面配置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、歯車機構の支持部材がゴム材料を介して現像容器に取り付けられている限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0017】
従って、フルカラー/モノクロ、帯電方式、レーザービーム露光/LEDアレイ露光、転写方式、タンデム型/1ドラム型、中間転写型/記録材搬送型/直接転写型の区別無く実施できる。
【0018】
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途の画像形成装置で実施できる。
【0019】
なお、特許文献1、2に示される画像形成装置、現像装置、プロセスカートリッジの一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
【0020】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト11に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのプロセスカートリッジ10a、10b、10c、10dを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
【0021】
プロセスカートリッジ10aでは、感光ドラム1aにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト11に転写される。プロセスカートリッジ10bでは、感光ドラム1bにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト11に転写される。プロセスカートリッジ10c、10dでは、それぞれ感光ドラム1c、1dにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト11に転写される。
【0022】
中間転写ベルト11に転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ二次転写される。記録材カセット15から取り出された記録材Pは、分離ローラ16で1枚ずつに分離してレジストローラ19へ給送される。レジストローラ19は、中間転写ベルト11のトナー像にタイミングを合わせて二次転写部T2へ記録材Pを送り出す。中間転写ベルト11からトナー像を転写された記録材Pは、定着装置20で加熱加圧を受けて、表面にトナー像を定着された後に、機体外部24へ排出される。
【0023】
プロセスカートリッジ10a、10b、10c、10dは、画像形成装置100の装置本体に対して正面側から抜き差しして個別に着脱可能である。プロセスカートリッジ10a、10b、10c、10dは、現像装置4a、4b、4c、4dで用いるトナーの色が異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、プロセスカートリッジ10aについて説明し、プロセスカートリッジ10b、10c、10dについては、プロセスカートリッジ10aの構成部材に付した符号末尾のaをb、c、dに読み替えて説明されるものとする。
【0024】
プロセスカートリッジ10aは、感光ドラム1a、帯電ローラ2a、現像装置4aを内蔵している。感光ドラム1aの周囲には、プロセスを行う順番に、帯電ローラ2a、露光装置3、現像装置4a、一次転写ローラ5a、現像同時クリーニングを行うためのデッキブラシ及びファーブラシが配置される。プロセスカートリッジ10aは、感光ドラム1aと帯電ローラ2aと現像装置4aとクリーニング装置とが一体的にカートリッジ化されている。
【0025】
感光ドラム1aは、直径30mmのアルミシリンダの外周面に有機光導伝体層(OPC感光体)を塗布して構成される。感光ドラム1aは、両端部を回転自在に支持されて、一方の端部に駆動力が伝達されて所定のプロセススピードで回転する。帯電ローラ2aは、感光ドラム1aの表面に当接して従動回転する。直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を帯電ローラ2aに印加することで、感光ドラム1aの表面が一様な暗部電位VDに帯電される。
【0026】
露光装置3は、画像信号に応じて二値変調されたレーザービームを回転ミラーで走査して、感光ドラム1aの露光部の電位を明部電位VLに低下させて画像の静電像を書き込む。現像装置4aは、感光ドラム1aの露光を受けた部分にトナーを付着させるように静電像を現像して感光ドラム1aにトナー像を形成する。トナー補給装置7aは、画像形成に伴って消費される現像剤を現像装置4aに補給する。
【0027】
中間転写ベルト11は、対向ローラを兼ねた駆動ローラ13とテンションローラ12に掛け渡して支持され、矢印R2方向に所定のプロセススピードで回転する。中間転写ベルト11はフィルム状部材で構成される。
【0028】
一次転写ローラ5aは、中間転写ベルト11の内側面を押圧して中間転写ベルト11と感光ドラム1aとの間に一次転写部を形成する。二次転写ローラ22は、対向ローラ(13)に内側面を支持された中間転写ベルト11に当接して二次転写部T2を形成する。
【0029】
一次転写ローラ5aに正極性の直流電圧を印加することで、感光ドラム1aに担持された負極性のトナー像が中間転写ベルト11に一次転写される。二次転写ローラ22に正極性の直流電圧を印加することで、中間転写ベルト11に重ねて二次転写部T2を通過する記録材Pへ、中間転写ベルト11に担持されたトナー像が二次転写される。
【0030】
一次転写部の下流側に配置された帯電部材は、正極性に帯電して一次転写部を通過した転写残トナーを中間転写ベルト11の表面に分散させつつ負極性に帯電させる。負極性に帯電したトナーは現像装置4aで再利用されて現像同時クリーニングが行われる。
【0031】
定着装置20は、内側から加熱される加熱ローラ21aに加圧ローラ21bを圧接して形成される加熱ニップで記録材Pを挟持搬送して加熱加圧を加えることにより、記録材Pの表面にトナー像を熱定着させる。
【0032】
<現像装置>
図2は現像装置の長手方向に垂直な断面構成の説明図である。図3は現像装置の平面構成の説明図である。図4はプロセスカートリッジの駆動系のブロック図である。
【0033】
図2に示すように、プロセスカートリッジ10aは、現像剤担持体の一例である現像スリーブ41にトナーとキャリアを含む現像剤を担持させて、感光ドラム1aの静電像を現像する。現像装置4aは、トナー(非磁性)とキャリア(磁性)を混合した二成分現像剤を撹拌して、トナーを負極性に、キャリアを正極性にそれぞれ摩擦帯電させる。
【0034】
現像スリーブ41は、中心の固定マグネット42の周囲で回転して、固定マグネット42の磁力が表面にキャリアを引き付けることにより二成分現像剤をコートされる。現像スリーブ41の表面にコートされた二成分現像剤は、層厚規制ブレード35で層厚を規制されて、感光ドラム1aとの対向部へ搬送され、磁気ブラシを形成して感光ドラム1の表面を摺擦する。
【0035】
負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧が、電源(D4:図3)から現像スリーブ41に印加されることにより、現像スリーブ41よりも相対的に正極性になった感光ドラム1aの静電像にトナーが移転して静電像が現像される。
【0036】
静電像の現像に伴ってトナーが感光ドラム1aへ移転する一方でキャリアは、現像室33へ戻されて現像容器40内を循環し続ける。このため、画像形成の累積に伴って二成分現像剤中のトナーが少なくなるため、トナー補給装置7aは、画像形成時の現像装置4aに現像剤(トナー)を供給する。
【0037】
図3に示すように、現像剤担持体の一例である現像スリーブ41は、像担持体の一例である感光ドラム1aを現像する。現像容器40は、現像スリーブ41に担持させる現像剤を収容しており、現像剤撹拌部材の一例である現像スクリュー43及び撹拌スクリュー44は、現像スリーブ41と並列に現像容器40に配置される。
【0038】
現像容器40は、長手方向の隔壁46によって、現像室33と撹拌室34とに区分されている。攪拌室34は、現像室33に並行し、隔壁46の両端部に形成された開口部46a、46bを通じて現像室33に連通している。現像スクリュー43は、現像室33の現像剤を、矢印R33方向に搬送しつつ現像スリーブ41に供給する。攪拌スクリュー44は、攪拌室34の現像剤を現像スクリュー43とは逆の矢印R34方向に搬送して現像室33との間で現像剤を循環させる。
【0039】
攪拌室34から現像室33へ現像剤を受け渡している開口部46bの近傍には、攪拌室34を搬送される現像剤のトナー濃度を検出するためのトナー濃度センサ36が設けられている。
【0040】
図4に示すように、制御部50のCPU(中央演算装置)によって実行されるプログラムをドライバ52が受け、現像スリーブ41の駆動源となる現像モータM2と感光ドラム1aの駆動源となるドラムモータM1を駆動させる。現像モータM2の駆動は、カプリング54によって現像スリーブ41に伝えられ、プロセスカートリッジ10a内の歯車機構30を介して現像スクリュー43及び撹拌スクリュー44に駆動力を伝達する。ドラムモータM1の駆動は、カプリング53によって感光ドラム1aに伝えられ、駆動力を伝達する。
【0041】
ところで、従来、画像形成装置100の慢性トラブルとして、画像の副走査方向(搬送方向)にピッチ状のスジ模様、ムラ画像が入ってしまう画像不良が知られている。この画像不良を以下ではピッチムラ画像と呼ぶ。
【0042】
ピッチムラ画像と呼ばれる画像不良は、プロセスカートリッジ10aや画像形成装置100の歯車機構30の回転ムラや振動が感光ドラム1aに伝わり、感光ドラム1aが振動している状態で画像が書き込まれることで発生する。そこで、従来は、像担持体を駆動させる歯車機構と、他の帯電ローラやクリーニング装置の歯車機構とを独立化することで、像担持体の歯車機構に振動が伝わらないようにして、ピッチムラ画像を減らして高画質を得ている。
【0043】
例えば、特開平06−051576号公報では、現像装置の歯車機構とは別に感光ドラムの歯車機構を設けて、現像装置の負荷変動によって発生する歯車機構の振動を感光ドラムへ伝えないようにしている。
【0044】
また、特開平010−171331号公報では、プロセスカートリッジの帯電ローラ、現像装置、クリーニング装置の歯車機構をそれぞれ独立化させて、感光ドラム1aへ振動が伝わるのを低減させている。
【0045】
しかし、ピッチムラ画像と呼ばれる画像不良は、歯車機構30で発生した振動が、プロセスカートリッジ10aを経て画像形成装置100の本体枠体に伝わり、露光装置3が振動することでも発生している。
【0046】
この問題に対しては、特開平06−051576号公報又は特開平010−171331号公報で提案されている方法はあまり有効ではない。プロセスカートリッジ10aそのものの振動を抑制する効果に乏しいからである。それぞれの歯車機構で発生した振動が画像形成装置100の本体枠体を伝って露光装置3へ届いてしまうという問題があった。
【0047】
そこで、以下の実施例では、側面壁と現像容器との間にゴム材料の制振部材を挟むことで、現像装置の歯車機構における回転ムラや振動を支持部材に閉じ込めている。プロセスカートリッジ(現像装置)において、現像容器の歯車機構が配置される側の側面壁を別部品化し、側面壁と現像容器とを振動伝達の少ないエンボス等の位置決めにて係合させている。これにより、現像装置の歯車機構における回転ムラや振動を、現像装置4aの現像容器や画像形成装置100の本体枠体に伝えないようにしている。
【0048】
<実施例1>
図5は実施例1における側面部材の説明図である。図6は実施例1における側面部材の組み立て構造の説明図である。図7は歯車構造の説明図である。図8は前カバーの取り付け構造の説明図である。
【0049】
図3を参照して図5に示すように、実施例1では、歯車機構30は、現像容器40の長手方向の外側で現像スリーブ41と現像剤撹拌部材(43、44)の回転を連動させる。支持部材の一例である側面部材200は、現像容器40よりも振動伝達性能が低い制振部材の一例である弾性体201を介して現像容器40に支持される。側面部材200は、現像スリーブ41、現像スクリュー43、及び撹拌スクリュー44と歯車機構30を一体に支持する。
【0050】
図6に示すように、側面部材200は、現像容器40の長手方向の端部壁面を兼ね、弾性体201は、現像容器40と側面部材200と間の現像剤の漏れ出しを封止するゴム材料の封止部材を兼ねている。
【0051】
図7に示すように、歯車機構30は、現像容器40の長手方向の一端側にのみ配置される。そして、図3に示すように、現像容器40は、現像スリーブ41、現像スクリュー43、撹拌スクリュー44、及び現像剤供給スクリュー48を支持する他端側の端部壁面を一体に成形してある。
【0052】
図3に示すように、第1のカプリング53は、他端側の端部壁面を貫通させた感光ドラム1aの回転軸に画像形成装置本体側の第1の駆動源(M1)の回転軸を切り離し可能に接続する。第2のカプリング54は、他端側の端部壁面を貫通させた現像スリーブ41の回転軸に画像形成装置本体側の第2の駆動源(M2)の回転軸を切り離し可能に接続する。
【0053】
図5の(a)に示すように、弾性体201は、エラストマー系の弾性体を側面部材200の樹脂の一部に埋め込むように射出成形したものである。弾性体201は、側面部材200に固定されているので、組み立て過程で弾性体201を下向きに扱っても、Oリングのように脱落する心配が無い。いずれにせよ、弾性体201を挟み込むことで、現像容器40と側面部材200との隙間を通じた現像剤の漏れ出しを防止できる。
【0054】
図5の(a)に示すように、側面部材200には現像容器40の端部との位置決め構造として、嵌合穴200aと嵌合U字溝200bが形成されている。一方、図6に示すように、現像容器40には、側面部材200との位置決め構造として、エンボス202aとエンボス202bが形成されている。
【0055】
図6に示すように、現像容器40には、現像スリーブ41、現像スクリュー43、撹拌スクリュー44、及び現像剤供給スクリュー48が予めセットされている。ここへ、それぞれの回転体の軸受け部材(不図示)を装着した側面部材200を挿入することで、現像スリーブ41、現像スクリュー43、撹拌スクリュー44、及び現像剤供給スクリュー48の相対位置が決まる。
【0056】
図5の(b)に示すように、側面部材200は、中央部分が現像容器(40)の内部空間に向かって突き出すように成形されている。このため、現像容器40へ側面部材200を取り付けする際には、側面部材200の中央部分で案内して、現像容器40の端部へ速やかに位置決めできる。
【0057】
側面部材200は、現像容器40の位置決めエンボス202aを側面部材200の嵌合穴200aに嵌合し、エンボス202bを嵌合U字溝200bに嵌合して組み立てられる。
【0058】
図7に示すように、現像容器40へ側面部材200を組付けた後の状態で、側面部材200に歯車機構30を組み立てる。各ギアの平面配列については、実施例2で図12を参照して説明する。
【0059】
図8に示すように、カバー部材の一例である前カバー400は、側面部材200の外側で歯車機構30を覆って配置される。前カバー400は、現像容器40に係止されて弾性体201を圧縮する方向に側面部材200を押圧する側面部材200の取り付け部材を兼ねている。
【0060】
プロセスカートリッジ10aの係止部40pに前カバー400のフック400fを係止して感光ドラム側の3箇所400nをネジで固定している。側面部材200と弾性体201は、前カバー400をこのように固定することで、現像容器40と前カバー400とで挟まれてシールを保って固定される。
【0061】
実施例1のプロセスカートリッジ10a、10b、10c、10dは、歯車機構30を配置した側面部材203と側面部材203を支持する現像容器40とを別部品化している。そして、側面部材203と現像容器40との間にゴム材料の制振部材を挟みこむことで、歯車機構30で発生する振動が感光ドラム1aや現像容器40に伝わらないようにしている。
【0062】
歯車機構30を保持している側面部材200は、現像容器40に対して弾性体201を挟んだ状態となり、歯車機構30で発生した振動は、弾性体201にて吸収されるので現像容器40にはほとんど伝わらない。歯車機構30で発生する歯車の回転ムラや振動を、柔軟な制振部材で吸収して現像容器40に伝えないことで、振動が露光装置3まで届くことがないようにしている。
【0063】
これにより、プロセスカートリッジ10a、10b、10c、10d又は現像装置4a、4b、4c、4dの歯車機構30の振動起因のピッチムラ画像を防止することが可能となっている。
【0064】
また、実施例1では、現像剤搬送撹拌部材300は、図6に示すように、プロセスカートリッジ10aの側面一方向からの組み付けが可能となり、組立性を向上することができる。現像容器40とその蓋となる側面部材203とを別部材化することで、現像スクリュー43、撹拌スクリュー44等の部品を、側面部材203を取り付ける側から直線的に組み付けることが可能となっている。このため、手作業による組み立てにおいて、組立性や確認性が改善される。
【0065】
また、側面部材203を取り付ける側から、すべての部品を組み立てて固定することができるため、自動組立装置への対応が容易になる。
【0066】
なお、弾性体201は、ゴム系やシリコン、スポンジ系のシール等、現像容器40の素材よりヤング率が低い材料であればよく、弾性体201は、現像容器40側に取り付けられていても良い。
【0067】
また、側面部材200と現像容器40の位置決め構造は、エンボス嵌合には限られず、エンボス嵌合ではない位置決め形状を用いてもよい。
【0068】
また、実施例1では、現像容器40のギア駆動側側面壁を側面部材203としたが、対向側のギア駆動側では無い側面壁も併せて別部材化し、現像容器の両側を別部材とする構成をとってもよい。
【0069】
また、図3に示すように、各回転体の両端部がシールされた現像容器40の外側に各回転体の軸受けと歯車機構30とを配置した側面部材200を配置してもよい。この場合、弾性体201は、現像剤のシールを担う必要が無いので、閉曲線に形成する必要が無い。側面部材200は、現像容器40の外壁面に複数箇所で弾性体201を介して支持されるように配置すればよい。
【0070】
<実施例2>
図9は実施例2における現像装置の平面構成の説明図である。図10は実施例2における側面部材の説明図である。図11は実施例2における側面部材の組み立て構造の説明図である。図12は歯車構造の平面配置の説明図である。
【0071】
図9に示すように、実施例2では、実施例1よりも側面部材が大きく形成され、現像スリーブ41及び感光ドラム1aも一体に支持するようになっている。現像容器40や各回転体については実施例1と同様に構成されているため、図9〜図12中、実施例1と共通する構成には図3〜図8と共通の符号を付して重複する説明を省略する。
【0072】
図10の(a)に示すように、側面部材203には弾性体204が取り付けられる。弾性体204は、エラストマー系の弾性材料を側面部材203に射出成形、いわゆるホットメルト成形したものである。弾性体201は、現像容器40の現像室と攪拌室の周囲を囲むように閉曲線を形成して配置される。これにより、現像容器40と側面部材203との隙間を通じた現像剤の漏れ出しを防止できる。弾性体204を挟むことで、現像容器40と側面部材203との間での現像剤漏れを防止することができる。実施例1に比較して、追加された弾性体204b、204c、204dは、弾性体204と同様に形成され、現像容器40と側面部材203との間の振動伝達を軽減して、側面部材203側で発生した振動を現像容器40へ伝達させにくくしている。
【0073】
弾性体203は、ゴム系やシリコン、スポンジ系のシール等、現像容器40よりヤング率が低い材料であればよい。シリコンゴムを射出成形された側面部材203の樹脂材の一部に埋め込むように成形したものでもよい。
【0074】
側面部材203には、現像容器40との位置決めエンボス嵌合穴として、嵌合穴203aと嵌合U字溝203bと嵌合U字溝203cがあいている。一方、図11に示すように、現像容器40には、エンボス202aとエンボス202bが形成されている。側面部材203は、現像容器40の位置決めエンボス202aを側面部材203の嵌合穴203aに嵌合し、エンボス202bを嵌合U字溝203bに嵌合して組み立てられる。
【0075】
図11に示すように、現像容器40の端部に側面部材203を組み立てることで、現像スリーブ41、現像スクリュー43、撹拌スクリュー44、及び現像剤供給スクリュー48が位置決めされる。図11は現像容器40へ側面部材203を組み付けている状態を示す。図7に示すように歯車機構30を組み立てた後に、図8に示すように、側面部材は、前カバー400を固定することで現像容器40と前カバー400とで挟まれて固定される。
【0076】
図12に示すように、現像容器40へ側面部材203を組付けた後に、歯車機構30が組み込まれる。側面部材203によって、現像スクリュー43、撹拌スクリュー44、現像剤供給スクリュー48、及び感光ドラム1aの相対位置が決まる。側面部材203は、現像容器40に取り付けられて歯車機構30と感光ドラム1aを保持する。図9に示す現像モータM2から現像スリーブ41へ駆動力が入力されてギア41gが回転する。ギア41gの回転は、アイドラギア31gを経由して現像スクリュー43のギア43gと撹拌スクリュー44のギア44gとに分配される。また、別のアイドラギア32gを経由して、現像剤供給スクリュー48のギア48gに回転が伝達される。
【0077】
アイドラギア31g、32gは、図11に示すように、回転軸31g、32gが側面部材203に固定されているため、アイドラギア31g、32gの噛み合い振動が側面部材203を直接加振する。噛み合い振動の他にも、ギア43g、44g、48gの偏心回転によって回転軸31g、32gに作用するラジアル力が一定周期で変動して側面部材203を加振する。現像スクリュー43と撹拌スクリュー44の負荷変動も不図示の軸受け部材を通じて側面部材203を加振する。
【0078】
これらの複合振動が現像容器40にそのまま伝達されると、図1に示すように、現像容器40から画像形成装置100の本体筐体に振動が伝達して、露光装置3を振動させてしまう。露光装置3が振動すると、レーザービームの光源がわずかな角度変動を生じても、感光ドラム1a上ではビームスポット位置が大きく変動するため、出力画像に走査線のピッチムラが目立ってしまう。
【0079】
実施例2では、歯車機構30と感光ドラム1aとを保持している側面部材203は、現像容器40に対して弾性体204を挟んだ状態であるため、歯車機構30で発生したギア振動が弾性体204にて吸収されて現像容器40にほとんど伝わらない。これにより、プロセスカートリッジ10a、10b、10c、10d、又は歯車機構30起因のピッチムラ画像を防止することが可能となる。
【0080】
また、実施例2でも、現像容器40に組み立てられる各回転体は、現像容器40の側面一方向からの組み付けが可能となり、組み立て性を向上することができる。
【0081】
また、実施例2でも、現像容器40の両側の側面を側面部材203として、現像容器40とは別部材化する構成をとってもよい。弾性体204は、現像容器40側に取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1a、1b、1c、1d 感光ドラム
10a、10b、10c、10d プロセスカートリッジ
30 歯車機構、40 現像容器、41 現像スリーブ
42 マグネット、43 現像スクリュー、44 撹拌スクリュー
46 隔壁、48 現像剤供給スクリュー
200、203 側面部材、200a、203a 位置決め嵌合穴
200b、203b 位置決め嵌合U字溝
201、204 弾性体、202a、202b 位置決めエンボス
400 前カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持させる現像剤を収容する現像容器と、
前記現像剤担持体と並列に前記現像容器に配置した現像剤撹拌部材と、
前記現像容器の長手方向の外側で前記現像剤担持体と前記現像剤撹拌部材の回転を連動させる歯車機構と、
前記現像容器よりも振動伝達性能が低い制振部材を介して前記現像容器に取り付けられて前記現像剤担持体と前記現像剤撹拌部材と前記歯車機構とを一体に支持する支持部材と、を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記現像容器の長手方向の端部壁面を兼ね、
前記制振部材は、前記現像容器と前記支持部材と間の現像剤の漏れ出しを封止するゴム材料の封止部材を兼ねていることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記支持部材の外側で前記歯車機構を覆って配置されたカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記現像容器に係止されて前記制振部材を圧縮する方向に前記支持部材を押圧する取り付け部材を兼ねていることを特徴とする請求項2記載の現像装置。
【請求項4】
像担持体と、
前記像担持体を現像するための現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持させる現像剤を収容する現像容器と、
前記現像剤担持体と並列に前記現像容器に配置した現像剤撹拌部材と、
前記現像容器の長手方向の外側で前記現像剤担持体と前記現像剤撹拌部材の回転を連動させる歯車機構と、
前記現像容器よりも振動伝達性能が低い制振部材を介して前記現像容器に取り付けられて前記現像剤担持体と前記現像剤撹拌部材と前記歯車機構とを一体に支持する支持部材と、を備え、
前記歯車機構は、前記現像容器の長手方向の一端側にのみ配置され、
前記現像容器は、前記現像剤担持体と前記現像剤撹拌部材とを支持する他端側の端部壁面を一体に成形してあることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記他端側の端部壁面を貫通させた前記像担持体の回転軸に画像形成装置本体側の第1の駆動源の回転軸を切り離し可能に接続する第1のカプリングと、
前記他端側の端部壁面を貫通させた前記現像剤担持体の回転軸に画像形成装置本体側の第2の駆動源の回転軸を切り離し可能に接続する第2のカプリングと、を備えることを特徴とする請求項4記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−8456(P2012−8456A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146198(P2010−146198)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】