説明

環境対応型の固液分離システム

【課題】COの発生を間接的に抑えた環境対応型の固液分離システムを提供する。
【解決手段】環境対応型の固液分離システム100は、製造ライン5で使用したクーラント液を回収する原液タンク1と、第1電動ポンプP1から原液が送給管21により送給される遠心分離機2と、遠心分離機2により分離され、分離液が送給される膜ろ過装置3と、膜ろ過装置3により分離したろ過液が貯蔵されるろ過液タンク4と、ろ過液タンク4のろ過液を前記製造ライン5へ送給する第2電動ポンプP2と、製造ライン5から原液タンク1にクーラント液の使用済液を送給する第3電動ポンプP3と、膜ろ過装置3より分離した濃縮液が回収路25により回収される濃縮液タンク6と、濃縮液タンク6に設けられた第4電動ポンプP4と、を有し、送給管21に設けられたバルブ7と、第4電動ポンプP4との間に送給管30を配設し、濃縮液タンク6の濃縮液を遠心分離機2に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、COの発生を削減した環境対応型の固液分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ウェーハの製造工程において、ウェーハの素材となるシリコン単結晶の塊(インゴット)は、例えば、12インチの場合は直径が300mm、長さが2mにもなる。このインゴットを1mmほどの厚みにスライスするためには、まず両端部をフラット状に削除し、外周を研削加工して円筒状に加工して形を整える。そして、円筒状の素材の外周に面方位マークとなるV溝形状のノッチを加工した後、ウェーハの素材をワイヤーソーによって複数枚同時にスライス加工をする。この時使用されるクーラント液には、高硬度で耐久性があり、研磨材として効果を発揮する例えば、炭化ケイ素(SiC:Silicon Carbide)の微粉が混入される。これによりワイヤーソーのワイヤーに付着した研磨材がインゴットをスライス状に切断する。
このようなウェーハのスライス加工や、その前加工であるインゴットの外周研削加工などに使用するクーラント液の使用済液は浄化して河川に排水され、また、その一部は、ろ過されて再利用されていることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3199159号公報(段落0013〜20、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような、クーラント液の再利用のシステムには、多くの電動ポンプが使用され、多くのポンプを駆動するモータが接続されている。
日本の電力事情では、電気は60%が火力発電、30%が原子力発電、10%が水力発電で作られるため、電力1kwhを使用すると、0.36kgのCOを発生させることになる。このため、多くの電気モータを使用するシステムでは、COを間接的に発生させ、環境問題を発生させるという問題があった。
【0005】
図2は、排液の一部を浄化して河川に排水する従来の固液分離システムを示す構成図である。従来の固液分離システム101は、原液が原液タンク1から遠心分離機12に供給され、ここで固形物と液体が分離され、分離された液体の分離液が送給管22を介して膜ろ過装置13へ供給される。膜ろ過装置13においては、分離液中の前記固形物より微細な粒子を取り除いたろ過液がろ過液タンク4へ貯蔵される。また、このろ過液がろ過液タンク4の第2電動ポンプ(M2+P2)により送給管26を介して、製造ライン5に再生したクーラント液として供給される。製造ライン5で再利用されたクーラント液は使用済液となって回収管27により第3電動ポンプ(M3+P3)に送られ、回収管28を介して原液タンク1に戻される。戻った使用済液は原液という。
【0006】
一方、遠心分離機12の固形分受皿12aの滞留液が回収管23により濃縮液タンク6へ回収される。また、膜ろ過装置13から出た濃縮液も回収管25により濃縮液タンク6へ回収される。濃縮液タンク6には沈降物の沈降を高めるために、例えば、次亜塩素酸ナトリウムや高分子凝集剤(ポリ塩化アルミニウム・PACなど)の凝集剤6aが送給管31を介して添加される。濃縮液タンク6の上層部の分離液は、第5電動ポンプ(M5+P5)により送給管32を介して汚濁水処理装置であるシックナー8へ供給される。このシックナー8の上層部の清水は、第7電動ポンプ(M7+P7)によって送給管34によりPH処理槽11に送給され、PHを整えた後、図示しない活性炭フィルター、イオン交換樹脂装置、UV殺菌機等を通して第9電動ポンプ(M9+P9)により下水または一般河川へ排水される。
【0007】
他方の濃縮液タンク6の下層部の沈降物は、第6電動ポンプ(M6+P6)によって送給管33によりフィルタープレス装置9へ送給される。また、シックナー8の下層部の沈降物も、第8電動ポンプ(M8+P8)により送給管36を介してフィルタープレス装置9へ送給される。フィルタープレス装置9ではこれらの沈降物をプレスし、固形物は産廃業者へ廃棄処分される。
【0008】
つまり、これらの第1〜第3電動ポンプには、ポンプP1〜P3を駆動する電動モータ(以下、モータ)M1〜M3が接続され、第5〜第9電動ポンプには、ポンプP5〜P9を駆動するモータM5〜M9が接続されている。この結果、これらのモータM1〜M3、M5〜M9の稼動時間から、年間のCOの発生量を算出することができる。
なお、ウェーハを製造する工場においては、高額な設備機械のためフル稼働(3交替勤務)が一般的であるため、一日の稼動時間は22時間とし、月の稼動日は24日とする。
また、それぞれのモータM1〜M3、M5〜M9の出力は、モータM1〜モータM3が3.7kw、モータM5が3.7kw、モータM6が5.5kw、モータM7〜モータM9が3.7kwの合計は、33.2kwとなる。
そこで、年間の稼働時間に単位時間当たりのCOの発生量を積算する。
33.2kw×22h×24日×12月×0.36kg/h=75.7tonとなる。
【0009】
このように、従来の固液分離システム101では、ポンプP1〜P3、P5〜P9の数が多いため、モータM1〜M3、M5〜M9の電力消費量も大きいことから、年間75.7tonのCOを発生させているという問題があった。
【0010】
そこで、本発明では、使用電力量を削減し、地球温暖化防止のためにCOの発生を抑えた環境対応型の固液分離システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載された環境対応型の固液分離システム(100)は、製造ライン(5)にて使用したクーラント液を回収し、固液を分離し、ろ過して再利用する環境対応型の固液分離システム(100)であって、前記製造ライン(5)で使用したクーラント液を回収する原液タンク(1)と、前記原液タンク(1)から原液を送給する第1電動ポンプ(M1+P1)と、前記第1電動ポンプ(M1+P1)から送給管(21)により原液が送給される遠心分離機(2)と、前記遠心分離機(2)により前記原液の固形物と分離液に分離され、前記分離液が送給管(22)により送給される膜ろ過装置(3)と、前記膜ろ過装置(3)により前記分離液をろ過液と濃縮液とに分離した後、ろ過液が送給管(24)により送給されて貯蔵されるろ過液タンク(4)と、前記ろ過液タンク(4)に貯蔵された前記ろ過液を前記製造ライン(5)へ送給する第2電動ポンプ(M2+P2)と、前記製造ライン(5)から前記原液タンク(1)に前記クーラント液の使用済液を送給する第3電動ポンプ(M3+P3)と、前記膜ろ過装置(3)の前記濃縮液が回収路(25)により回収される濃縮液タンク(6)と、前記濃縮液タンク(6)に設けられた第4電動ポンプ(M4+P4)と、を有し、前記送給管(21)に設けたバルブ(7)と、前記第4電動ポンプ(M4+P4)との間に送給管(30)を配設し、前記濃縮液タンク(6)の濃縮液を前記遠心分離機(2)に供給することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の環境対応型の固液分離システム(100)であって、前記遠心分離機(2)は立形の遠心分離機であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、送給管に設けたバルブを切り換えることによって、濃縮液タンク6の濃縮液を立形の遠心分離機へ供給し、立形の遠心分離機の分離処理によって濃縮液の分離をすることができるため、固形分の回収後の分離液は液分だけになり、膜ろ過装置からろ過液としてろ過液タンクに回収され、濃縮液を再利用することが可能になる。また、このように、濃縮液の処理が容易できるため、従来の排水処理設備を不要にすることができて、河川への排水をなくすことができる環境対応型の固液分離システムが可能になる。
これにより、従来の排水処理設備のモータとポンプの使用個数を半減することができることから、電気エネルギーを削減した環境対応型の固液分離システムを提供することができる。この結果、使用済のクーラント液を河川に排出せずに固液分離システム内にて循環させて繰り返し使用することができるため、回りの環境を汚染することがなく、さらに、消費電力を抑えることができることから、世界環境問題の温暖化の主因とされるCOの発生も抑えることができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、立形の遠心分離機は、従来の横形の遠心分離機に比べ、原液が頂上から入り、重力に逆らわず落下し、回転軸と一体のスクリュー羽根に遠心力が付加されることから、微細な固体が均等に分散され、かつ高回収率と低含液率を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の環境対応型の固液分離システムを摸式的に示す構成図である。
【図2】従来の固液分離システムを摸式的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る無排液の固液分離システムの一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、クーラント液とは、水以外の油も含めた切削液をいう。
図1に示すように、原液タンク1には、製造ライン5の切削加工用に供給されたクーラント液の使用済液が回収される。原液タンク1の第1電動ポンプ(M1+P1)は、モータM1の駆動によってポンプP1が回転し、原液を送給管21により立形の遠心分離機2に供給する。立形の遠心分離機2に供給された原液は、固形物と分離液に分離され、固形物は下方の固形物受皿2aへ排出され、分離液は送給管22により膜ろ過装置3へ送給される。膜ろ過装置3では、ろ過液と濃縮液に分離され、ろ過液は送給管24によりろ過液タンク4へ回収されて貯蔵され、濃縮液は送給管25により濃縮液タンク6へ回収されて貯蔵される。また、このろ過液はろ過液タンク4の第2電動ポンプ(M2+P2)により送給管26を介して、繰り返し製造ライン5に供給される。
【0017】
原液タンク1は、製造ライン5で使用した使用済液のクーラント液を回収するタンクである。原液タンク1は地下に設けられたピットに配置してもよいし、地上フロアに設置してもよい。
製造ライン5からの使用済液が原液タンク1に入ると、使用済液は原液となる。
原液タンク1の上部には第1電動ポンプ(M1+P1)がセットされている。原液はこのポンプP1に接続された送給管21により、立形の遠心分離機3の頂上に供給される。また、送給管21にはバルブ(3方向電磁弁)7が配置されている。
【0018】
遠心分離機2は立形であり、原液は原液タンク1から立形遠心分離機2の頂上へ投入される。立形の遠心分離機2は、図2に示すように、従来の横形の遠心分離機2のよりも重力に逆らわず、遠心力が利用できることから、固体が均等に分散され、高回収率と低含液率を実現できる。
通常の原液処理(1次処理という)においては、粒径(1〜10μ)までの固形分が回収できる。しかし、それより小さい粒径(0.1〜1μ)の固形分は分離液と共に膜ろ過装置3に流れ、膜ろ過装置3によって分離された粒子は濃縮液となって回収管25を介して濃縮液タンク6に回収される。
【0019】
そこで、立形の遠心分離機2の分離条件の時間を変えて再分離(2次処理という)することにより、濃縮液の小さい粒径(0.1〜1μ)を分離することができる。
この分離条件とは、立形の遠心分離機2の遠心効果及び堰板サイズを変更せず固定して、遠心時間を増加させるだけでよい。
例えば、1次処理では粒径(1〜10μ)の固形分の分離は、10秒の遠心効果で可能とすると、より小さい粒径(0.1〜1μ)の固形分は、必要遠心時間は粒径比の2乗に比例することから、10秒×10=1000秒(≒16.7分)。つまり、2次処理は、内部滞留容積分ずつ供給し、例えば17分間稼動させて処理すればよい。
【0020】
したがって、2次処理の場合は1次処理の原液の供給を止め、立形の遠心分離機2に濃縮液タンク6の濃縮液を供給し、しかも遠心時間を例えば17分間稼動して小さい粒径(0.1〜1μ)の固形分を回収する。
また、一般に膜ろ過装置3の濃縮限界は濃度0.5%(5000PPM)程度であり、立型の遠心分離機2の分離水中の浮遊物質量のSS成分が500PPMであれば、10倍濃縮、100PPMならば50倍濃縮となり濃縮液量も決まる。1次処理と2次処理のバランスを取り、立形の遠心分離機2の型式や台数を決めれば、充分な効果が発揮できる。
この結果、固形分の回収後の分離液は液分だけであるため、膜ろ過装置3からろ過液としてろ過液タンク4に回収され、再利用する循環サイクルが可能になった。
このように、濃縮液の処理が容易できるため、排水処理設備を全部不要にすることができる。
【0021】
膜ろ過装置3は、セラミック膜フィルターを用いた装置である。膜ろ過装置3では、さらに微細な粒子を取り除いたろ過液と、その残り液である濃縮液に分離され、ろ過液は送給管24によりろ過液タンク4へ回収され、濃縮液は送給管25により濃縮液タンク6へ回収される。
セラミック膜は孔径0.1μの多孔質セラミック膜による精密ろ過であり、中空糸膜などの高分子膜に比べて機械的な強度が高く、膜破損がないため、安全な水を供給できるほか、耐久性に優れ、ランニングコストが低い。
ここでは0.1〜1ミクロンの優れたろ過能力を発揮する。これにより、安定した分離液のろ過ができる。さらに、環境対応型の固液分離システム100は、構成がシンプルであるため、容易な操作性とメンテナンス、さらに凝集剤の無注入による膜ろ過が可能であり、運転管理が容易である。また、環境対応型の固液分離システム100は、前記した従来の固液分離システム101と比較してポンプなどの数が少ないので、装置のコンパクト化と省スペースおよび処理能力のアップが図れる。
【0022】
ろ過液タンク4は、膜ろ過装置3によりろ過させたろ過液が、回収路24により貯蔵されるタンクである。
【0023】
製造ライン5は、シリコン単結晶の塊(インゴット)の両端部をフラット状に削除する工程、外周を研削加工して円筒状に加工して形を整える工程、円筒状の外周に面方位マークとなるV溝形状のノッチを加工する工程、ワイヤーソーによって所定の厚みにスライス加工をする工程等に使用される複数の工作機械群をいう。
また、製造ライン5の使用済液は、回収路28を介して第3電動ポンプM3+P3により原液タンク1に戻されて原液となる。
なお、製造ライン5とは、クーラント液を使用する1台の機械であってもよい。
【0024】
また、製造ライン5は、ウェーハ製造工程で説明したが、レアメタルなどの金属粉を製造するアトマイズ法による製造工程の製造ラインであっても構わない。
アトマイズ法とは、高圧水を用いて熔融金属の粉砕と急冷凝固を瞬時に行い、金属粉を製造する方法で、粉末の成分、形状、密度、粒度等を自由にコントロールできる特徴がある。本願発明の環境対応型の固液分離システム100は、このアトマイズ法による製造工程で使用する高圧水にも採用することができる。また、この他の製造ラインであっても構わない。
【0025】
濃縮液タンク6は、前記膜ろ過装置3の濃縮液が回収路25により回収されるタンクである。濃縮液タンク6上には第4電動ポンプ(M4+P4)が配置され、このポンプP4によって、濃縮液が送給管21の3方向電磁弁7に送給される。濃縮液タンク6の濃縮液を分離する専用時間を設けることにより、2次処理の濃縮液のろ過が可能になる。
なお、立形の遠心分離機2内の分離固形物受け2aに貯まった滞留液は、回収路29より原液タンク1に回収される。
【0026】
バルブ7は、ここでは3方向電磁弁が好適であるが、その他の型式のバルブであってもよい。バルブ7は、濃縮液タンク6の濃縮液を処理する2次処理をする場合、原液タンク1からの原液の流れを遮断して切り換える切換弁である。これらの3方向電磁弁7と、モータM1〜M4、立形遠心分離機2、膜ろ過装置3等は、不図示の制御装置に電気的に接続されて、その制御装置によって制御される。2次処理も制御プログラムにより自動制御される。また、分離時間の延長等は材料の濃度に合わせて決められる。
この2次処理では、立形の遠心分離機2の運転時間が変更され、適切な時間の2次処理によって濃縮液内の固形分を取り除くことができ、再生したクーラント液が取り出せることになる。
これにより、環境対応型の固液分離システム100は、排水処理設備が不要となり、河川、下水等の工場外には流さない無排液、無排水のシステムとなる。
【0027】
なお、立形の遠心分離機2による2次処理によって固形分を取り除くことができるため、後に膜ろ過装置3を配置したことにより、システムの信頼性アップを図ることができる。膜ろ過装置3から出る濃縮液は、結果としてろ過液にするため、クーラント液の濃度の上昇を抑え、クーラント液の寿命を延長することができる。
つまり、濃度が増加すると平均粒子間距離が短くなるため、静電反発子効果が低下し立体障害効果が作用しにくくなり、凝集しやすくなる。したがって、システム内の膜ろ過装置3によって濃縮液を出し、凝集しやすい状態を作り出すことになり、2次処理には有利に働くことになる。したがって、立形遠心分離機2と膜ろ過装置3との組合せにより、システムの信頼性を高め、クーラント液の浄化の問題が解決できる。
【0028】
ここで、本発明の環境対応型の固液分離システム100の使用電力量を集計し、COの発生量を計算し、従来の発生量との差を求め、効果を確認する。
第1〜第4電動ポンプには、ポンプP1〜P4を駆動するために、モータM1〜M4が配置されている。これらのモータの稼動時間から、年間のCO2の発生量を算出する。
なお、稼動条件は同じとする。
また、それぞれのモータの出力は、
モータM1〜M3:3.7kw、モータM4:5.5kwの合計は16.6kwとなる。16.6kw×22h×24日×12月×0.36kg=37.8tonとなる。
【0029】
[比較表]

このように、従来の固液分離システム101では、年間75.7tonのCOを発生させているのに対し、本発明のシステムでは、ちょうど50%の電力の消費を抑え、37.9tonのCOの発生を削減した効果を奏する環境対応型の無排水固液分離システムを提供することができる。
【0030】
なお、クーラント液が製造ライン5に供給されて、原液タンク1に戻るまで、大気にさらされ、相当量蒸発するため、製造ライン5の一つ手前の送給管26には補給液を補給するための給水口が設けてある。この給水口からは、図示しない例えば純水化処理装置を経由して製造した純水を供給してもよい。
また、従来の固液分離システム101において、遠心分離機12と膜ろ過装置13との間には、図示しない分離液タンク10が配置され、この分離液タンク10上には第10電動ポンプ(M10+P10)を配置されている。同様に、本発明の環境対応型の固液分離システム100にも遠心分離機2と膜ろ過装置3との間には配置されているが、双方とも図示していない。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、この実施形態に限定されることなく、適宜変更して実施することができる。例えば、ポンプP1〜P4の型式を消費電力の低い型式のものに変更してもよい。また、遠心分離機2と膜ろ過装置3は、その製造ラインでのクーラント液の使用量に合わせて複数台ずつ設置してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 原液タンク
2 遠心分離機(立形の遠心分離機)
2a 固形物受皿
3 膜ろ過装置
4 ろ過液タンク
5 製造ライン
6 濃縮液タンク
7 バルブ(3方向電磁弁)
21,22,24,26 送給管
25,27,28,29 回収管
M1+P1 第1電動ポンプ
M2+P2 第2電動ポンプ
M3+P3 第3電動ポンプ
M4+P4 第4電動ポンプ
M1 第1モータ
M2 第2モータ
M3 第3モータ
M4 第4モータ
P1,P2,P3,P4 ポンプ
100 固液分離システム(環境対応型の固液分離システム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造ライン(5)にて使用したクーラント液を回収し、固液を分離し、ろ過して再利用する環境対応型の固液分離システム(100)であって、
前記製造ライン(5)で使用したクーラント液を回収する原液タンク(1)と、
前記原液タンク(1)から原液を送給する第1電動ポンプ(M1+P1)と、
前記第1電動ポンプ(M1+P1)から送給管(21)により原液が送給される遠心分離機(2)と、
前記遠心分離機(2)により前記原液の固形物と分離液に分離され、前記分離液が送給管(22)により送給される膜ろ過装置(3)と、
前記膜ろ過装置(3)により前記分離液をろ過液と濃縮液とに分離した後、ろ過液が送給管(24)により送給されて貯蔵されるろ過液タンク(4)と、
前記ろ過液タンク(4)に貯蔵された前記ろ過液を前記製造ライン(5)へ送給する第2電動ポンプ(M2+P2)と、
前記製造ライン(5)から前記原液タンク(1)に前記クーラント液の使用済液を送給する第3電動ポンプ(M3+P3)と、
前記膜ろ過装置(3)の前記濃縮液が回収路(25)により回収される濃縮液タンク(6)と、
前記濃縮液タンク(6)に設けられた第4電動ポンプ(M4+P4)と、を有し、
前記送給管(21)に設けたバルブ(7)と、前記第4電動ポンプ(M4+P4)との間に送給管(30)を配設し、前記濃縮液タンク(6)の濃縮液を前記遠心分離機(2)に供給することを特徴とする環境対応型の固液分離システム(100)。
【請求項2】
前記遠心分離機(2)は立形の遠心分離機であることを特徴とする請求項1に記載の環境対応型の固液分離システム(100)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−173227(P2011−173227A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41162(P2010−41162)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(391019706)新潟ウオシントン株式会社 (5)
【Fターム(参考)】