説明

環状シームレス成形体の製造用金型、該金型を備えた環状シームレス成形体の製造装置、および該金型を用いた環状シームレス成形体の製造方法

【課題】離型層に酸化劣化が生じても、酸化劣化が生じた金型部品のみを交換するか、または当該金型部品のみの離型層を再形成することが可能で、経済性に優れた環状シームレス成形体の製造用金型、該金型を備えた環状シームレス成形体の製造装置、および該金型を用いた環状シームレス成形体の製造方法。
【解決手段】外周面または内周面に有する離型層4の上に成形体用樹脂溶液3を塗布されて、環状シームレス成形体を製造するための金型1であって、樹脂溶液3の塗布領域内の少なくとも1箇所において分割面2が存在する金型、該金型を備えた環状シームレス成形体の製造装置、および該金型を用いた環状シームレス成形体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環状シームレス成形体の製造用金型、該金型を備えた環状シームレス成形体の製造装置、および該金型を用いた環状シームレス成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において感光体や中間転写体等には、薄肉の樹脂ベルトがよく用いられる。そのような樹脂ベルトは変形が可能なため、装置の小径化に有用である。樹脂ベルトに継ぎ目(シーム)があると、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じるので、継ぎ目がないシームレスベルトが好ましい。
【0003】
シームレスベルトは、例えば、金型の外周面または内周面に樹脂溶液を塗布し、樹脂塗膜を加熱し、得られた樹脂皮膜を脱型する方法によって製造される。特に、ポリイミド樹脂からなるシームレスベルトは、金型の外周面または内周面にポリイミド前駆体溶液を塗布し、樹脂塗膜を加熱して乾燥および反応させ、得られた樹脂皮膜を脱型する方法によって製造される。金型は一般に、樹脂皮膜の脱型を容易にするために、樹脂溶液塗布面にシリコーン樹脂膜等の離型層が形成されて使用される(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかし、離型層には、加熱により表面が酸化劣化しやすい欠点があるので、離型層表面において樹脂溶液が塗布されずに、空気層と接していると加熱酸化が激しい。酸化劣化した離型層上に、樹脂溶液が塗布され加熱されると、樹脂皮膜が金型から離れず、樹脂皮膜成形体の破損が起こった。そのため、金型を繰り返し使用するのは困難であった。しかも、離型層の酸化劣化は目視では判別困難なため、樹脂皮膜成形体の破損が起こって初めて、酸化劣化が起こっていることを認識することが多かった。
【0005】
そのような問題を解決するためには、離型層全面に、樹脂溶液を塗布ができれば良い。しかしながら、離型層全面に樹脂溶液を塗布すると、金型端部で樹脂溶液の垂れが発生し、金型以外の装置に樹脂溶液が付着し、装置のメンテナンス障害が発生した。また金型端部に樹脂溶液が回り込むと、樹脂皮膜成形体がアンダーカット形状を有するようになるため、脱型が困難になった。そのため、金型には端部を残して樹脂溶液を塗布する必要があり、当該端部の離型層の酸化劣化の問題は回避できなかった。しかも、金型は一般に一部材からなっているので、離型層に酸化劣化が起こると、金型全体の交換または離型層全体の再形成が必要になり、経済性にも問題があった。
【0006】
一方、円筒状芯体の両端を保持する円筒状芯体用保持体であって、
前記円筒状芯体の両端を保持する2つの保持部材と、
前記2つの保持部材を連結する軸部材と、
前記円筒状芯体の熱付加による体積変化に伴い、前記2つの保持部材の保持間隔が前記円筒状芯体の軸方向に変移する変移手段と、
を備えた円筒状芯体用保持体が開示されている(特許文献2)。そのような円筒状芯体用保持体および円筒状芯体は、それらの合わせ目に塗布されることはなく、すなわち樹脂溶液は芯体の両端を残して塗布される。そのため、芯体表面に予め離型剤が塗布されると、芯体の両端で離型層が酸化劣化し、芯体全体を交換する必要が生じ、経済性にやはり問題があった。またこの方式であると、樹脂溶液塗布後に芯体を移送し保持手段を装着する必要があり、粘性体の該樹脂溶液の垂れ、不要の部分への付着等の問題が発生することも考えられる。
【特許文献1】特開2007−100208号公報
【特許文献2】特開2005−270805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、離型層に酸化劣化が生じても、酸化劣化が生じた金型部品のみを交換するか、または当該金型部品のみの離型層を再形成することが可能で、経済性に優れた環状シームレス成形体の製造用金型、該金型を備えた環状シームレス成形体の製造装置、および該金型を用いた環状シームレス成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、外周面または内周面に有する離型層の上に成形体用樹脂溶液を塗布されて、環状シームレス成形体を製造するための金型であって、
樹脂溶液塗布領域内の少なくとも1箇所において分割面が存在することを特徴とする金型、該金型を備えた環状シームレス成形体の製造装置、および該金型を用いた環状シームレス成形体の製造方法に関する。
【0009】
本発明はまた、外周面または内周面に有する離型層の上に成形体用樹脂溶液を塗布されて、環状シームレス成形体を製造するための金型であって、
金型の樹脂溶液塗布領域内であって、金型の少なくとも一方の端部に分割面が存在し、
型本体部および該型本体部の少なくとも一端に着脱可能に結合された端部型を有することを特徴とする金型、該金型を備えた環状シームレス成形体の製造装置、および該金型を用いた環状シームレス成形体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の金型は、後述するような段差を有する場合を除いて、端部を残して樹脂溶液を塗布されるので、樹脂溶液の垂れによる装置のメンテナンス障害を防止でき、脱型が困難になるアンダーカット形状の付与を防止できる。
本発明の金型は樹脂溶液塗布領域内の少なくとも1箇所において分割面が存在するので、離型層に酸化劣化が生じても、酸化劣化が生じた金型部品のみを交換するか、または当該金型部品のみの離型層を再形成することができる。一方、酸化劣化が生じていない金型部品は繰り返し使用できる。その結果として、本発明の金型は経済性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<金型>
本発明に係る金型は、外周面または内周面に離型層を有し、該離型層の上に成形体用樹脂溶液を塗布されて、環状シームレス成形体を製造するためのものである。樹脂溶液を金型外周面の離型層上に塗布する場合、当該金型は中空体であってもよいし、または中実体であってもよい。樹脂溶液を金型内周面の離型層上に塗布する場合、当該金型は中空体である。
【0012】
本発明の金型は樹脂溶液塗布領域内の少なくとも1箇所、好ましくは2箇所において分割面が存在する。
樹脂溶液塗布領域とは、樹脂溶液が実際に塗布される領域であり、環状シームレス成形体の製造に際して予め設定されるものである。
従って、樹脂溶液塗布領域内に分割面が存在するとは、樹脂溶液が実際に塗布された時、当該樹脂溶液によって隠れるところに分割面を有するという意味である。これによって、金型を構成する少なくとも1つの金型部品は、離型層の全面に樹脂溶液が塗布され得るので、当該金型部品は離型層の酸化劣化を引き起こさず、繰り返し使用できる。金型が分割面を有する位置が樹脂溶液塗布領域外であると、当該分割面によって分割されたいずれの金型部品にも離型層が露出した領域が存在し、酸化劣化が発生するので、いずれの金型部材も離型層の再形成または交換が必要になる。
【0013】
分割面とは金型軸を分割する面であり、例えば、金型軸を通る垂直断面において一本の直線で表される面であっても、二本以上の直線で表される面であっても、曲線で表される面であってもよい。分割面は通常、金型軸に対して対称に形成される。
【0014】
金型が分割面を有する位置は樹脂溶液塗布領域内であれば特に制限されず、例えば、図1(A)および(B)ならびに図2に示すように、金型1(1a,1b,1d)は樹脂溶液3の塗布領域内であって、該金型の両方の端部に分割面2を有してもよい。また例えば、図1(C)に示すように、金型1(1c)は樹脂溶液3の塗布領域内であって、該金型の一方の端部(図中、上端部)に分割面2を有してもよい。また例えば、金型は樹脂溶液3の塗布領域内であって、該金型の略中央部に分割面を有していてもよい。これによって、金型を構成する少なくとも1つの金型部品は、離型層4の全面に樹脂溶液3が塗布され得るので、当該金型部品は離型層の酸化劣化を引き起こさず、繰り返し使用できる。金型が分割面を有する位置とは、金型の樹脂溶液塗布面における分割面の位置である。図1(A)〜(C)および図2はそれぞれ、本発明の金型の一実施形態を示す概略構成図であり、樹脂溶液を塗布したところを示すものである。
【0015】
本発明の金型は、図1(A)〜(C)および図2に示すように、分割面2が樹脂溶液塗布領域内であって、金型1(1a,1b,1c,1d)の少なくとも一方の端部に存在することが好ましい。その結果、金型1は、型本体部5(5a、5b、5c、5d)および該型本体部の少なくとも一端に着脱可能に結合された端部型(6a、7a、6b、7b、7c、6d、7d)を有する。型本体部は、離型層4の全面に樹脂溶液が塗布されるため、加熱時に離型層が空気に触れることを防止できる。したがって、酸化を抑制できるため、型本体部の離型層は、加熱後も離型性を確保でき、繰り返し使用可能である。また離型層の酸化劣化は端部型で限定的に発生するため、目視では難しい離型層劣化部分の特定に有効である。そのため、端部型のみの離型層再形成により、金型全体の離型性を確保することが可能で有り、コストダウンおよび品質確保に有効である。また酸化劣化により再利用できなくなった際にも、端部型のみを交換すればよく、金型全体を交換することと比較して、コスト的に優位である。
以下、図1(A)〜(C)および図2を用いて本発明を詳しく説明する。
【0016】
図1(A)に示す本発明の一実施形態の金型1aは、型本体部5aの両端において着脱式端部型6a,7aを備え、かつ型本体部5aおよび着脱式端部型6a,7aの外周面に離型層4を有するものである。金型1aは、図1(A)に示すように、離型層4の露出領域を端部型6a、7aのみに有するので、繰り返しの使用時において当該端部型6a、7aのみを交換あるいは離型層再形成すればよい。
【0017】
型本体部5aおよび端部型6a,7aを構成する材料としては、シームレス成形体の製造時における加熱によっても変形が起こらないものであれば特に制限されず、例えば、アルミニウム、銅、鋼等の金属が好ましく使用される。中でも市場流通性、耐溶剤性、熱伝導性、強度等の観点から、アルミニウムが特に好ましく用いられる。そのような金属を型本体部または端部型の所定形状に加工するに際しては、管材もしくは棒材を切削により所定形状にすればよい。特にアルミニウムを用いる場合は、金属の中でも比較的硬度が低く、切削性に優れるため、加工し易い特徴があり、型生産効率を上げられる。
【0018】
離型層4としては、シリコーン樹脂やフッ素含有樹脂等を被覆したり、シリコーン系、フッ素系離型剤をコーティングして使用される。
【0019】
離型層4は型本体部が有するものと端部型が有するものとで同一の材料から形成されてもよいし、または異なる材料から形成されてもよい。型本体部は、通常シームレスベルト製品に該当する部分に使用されるため、該型本体部の離型層は製品にダメージを与えないために高離型機能を具備している。前記型本体部の離型層と端部型の離型層とを同一の材料とすることにより、高離型性が確保され、且つ離型性に差が生じないため、剥がれムラが発生し難く、製品にダメージを与えることなく、離型が可能になる。型本体部の離型層と端部型の離型層とを異なる材料から形成させる場合、端部型の離型層を離型機能は劣るが、耐久性にすぐれている材料を使用し、端部型の再利用率を飛躍的に上げることにより、特にコストダウンに有効である。そのような端部型の離型層としては、例えばNiメッキ膜を用いることが挙げられる。
【0020】
特に端部型の離型層をNiメッキ膜とすれば、端部型の再利用率がかなり向上し、経済的に更に優位となる。
【0021】
型本体部5aにおける樹脂溶液塗布領域の軸方向長さXはシームレス成形体1個分の所定幅Y以上であり、例えばYに等しくても、n×Y(nは2以上の自然数;Yの整数倍長)に等しくても、またはそれらの長さより大きくても良い。好ましくは長さXは当該所定幅Yに等しい。長さXがYに等しいと、加熱後に形成される樹脂皮膜成形体を分割面でカットし、分割された型本体部から成形体を脱型するだけで、そのまま使用可能な所定幅のシームレス成形体を容易に得ることができる。
【0022】
型本体部5aは当該型本体部の軸上に回転支点を有することが好ましい。例えば図1(A)において当該型本体部5aの軸方向両端において、回転支点付与部9aを設けることによって、軸上に回転支点が付与される。これによって膜厚が均一なシームレス成形体を製造できる。シームレス成形体の製造に際し、樹脂皮膜形成工程の加熱時に金型を軸について水平配置して回転させる場合、端部型に回転支点を有すると、当該回転軸は型本体部の軸と必ずしも一致しないので、型本体部上で得られる成形体において膜厚不均一等の問題が発生する。
回転支点付与部材9aは通常、円錐体の側面形状を有するものであり、前記端部型と同様の材料から形成される。なお、前記型本体部は、中空、中実を問わず、回転支点を有していれば、その機能に違いはない。
【0023】
型本体部5aと端部型6a、7aとの結合形態は、それらが着脱可能に一体化される限り、特に制限されず、例えば、係合形態、丸軸と丸穴の係合等が挙げられる。係合とは、図1(A)に示すように、凸部を凹部に嵌入させることによって結合を達成することである。図1(A)において、例えば端部型7aと型本体部5aとの結合は、端部型の凸部を型本体部の凹部に嵌入させることによって達成され、型本体部5aと端部型6aとの結合は、型本体部の凸部を端部型の凹部に嵌入させることによって達成されている。このとき、内側に係合される部材(凸部を有する部材)が外側に係合される部材(凹部を有する部材)よりも線膨張係数が高いことが好ましい。これによって、冷間時若干の隙間をもって勘合されているものが、加熱時に隙間を減らす方へ変動するため、型本体部と端部型の中心位置精度向上、および端部型の抜け防止に優位となる。例えば、図1(A)においては端部型7a>型本体部5a>端部型6aの線膨張係数の序列を達成することが好ましい。
【0024】
端部型6a、7aは、該端部型の樹脂溶液塗布領域内に凹部および/またはワイヤー等の可動部材を有することが好ましい。図3は端部型6aが樹脂溶液塗布領域13内において凹部14を有し、当該凹部内に可動部材15を有するときの端部型の概略見取り図を示す。可動部材15は樹脂溶液塗布領域13内における型表面上に配置されてもよい。金型上で得られた樹脂皮膜成形体を分割面でカットし、分割された端部型上の成形体を脱型する際、当該成形体における上記凹部に対応するところを剥離の起点とすることができる。分割された端部型上の成形体において上記可動部材をラジペン等で引き上げれば、成形体が引き裂かれ、剥離の起点とすることができる。分割された端部型上の成形体において上記可動部材を引き抜けば、その隙間から成形体をラジペン等で引き裂いて、剥離の起点とすることができる。そのようにして剥離の起点が得られると、端部型の離型性がそれほど良くなくても、成形体の脱型を促進できる。このとき端部型をNiメッキ処理しておけば、型を傷つけることなく、成形体を剥がすことが可能であるため、永久的に使用可能となり、非常に経済的である。
【0025】
金型1aが有する両端の端部型6a、7aはいずれも樹脂溶液塗布面に段差を有しない段差フリー型であるが、一方の端部型の樹脂溶液塗布面に段差を設けてもよい。
【0026】
図1(B)に示す本発明の一実施形態の金型1bは、図1(A)に示す金型1aにおいて端部型6aとして、段差形成部材8bを備えた端部型6bを用いたものである。すなわち端部型6bは樹脂溶液塗布面に段差形成部材8bを備え、結果として樹脂溶液塗布面よりも高い段差を有するものである。これによって、端部型6bにおいて離型層4と樹脂溶液3とを同一長に塗布できる。そのため、端部型6bでは離型層4と樹脂溶液3とがほぼ重なっている状況が作り出され、離型層4は樹脂溶液3に有効に保護されるので、離型層の酸化劣化を抑制できる。したがって、段差を有する端部型6bは、段差がない端部型と比較して、再利用率が高まり、更にコストダウンに貢献できる。金型1bでは離型層4の露出領域を端部型7bのみに有するので、繰り返しの使用時において当該端部型7bのみを交換あるいは離型層再形成すればよい。
段差形成部材8bはリング形状を有するものであり、前記端部型と同様の材料から形成される。
【0027】
金型1bにおける分割面2、樹脂溶液3、離型層4、型本体部5b、端部型6b、7bおよび回転支点付与部9bは、端部型6dが段差形成部材8bを有すること以外、それぞれ金型1aにおける分割面2、樹脂溶液3、離型層4、型本体部5a、端部型6a、7aおよび回転支点付与部9aに相当するものであるため、それらの説明を省略する。
【0028】
金型1aおよび金型1bはいずれも型本体部の両端に端部型を有するが、型本体部の一端のみに端部型を有してもよい。
【0029】
図1(C)に示す本発明の一実施形態の金型1cは、図1(A)に示す金型1aにおいて型本体部の一端に端部型6aを有さず、段差形成部材8cを設けたものである。すなわち、金型1cは、型本体部5cの一端において着脱式端部型7cを備え、他端において段差形成部材8cを設けたものである。型本体部5cの上記他端において、樹脂溶液塗布面に段差形成部材8cを設けているので、結果として樹脂溶液塗布面よりも高い段差を有する。これによって、離型層4と樹脂溶液3とを当該他端において同一長に塗布できる。そのため、型本体部5cの当該他端では離型層4と樹脂溶液3とがほぼ重なっている状況が作り出され、離型層4は樹脂溶液3に有効に保護されるので、離型層の酸化劣化を抑制できる。したがって、型本体部5cは繰り返し使用でき、かつ離型層の酸化劣化が懸念されるのは1つの端部型7cのみであって、しかもその大きさは小さいため、コスト的に負荷が少なく、メンテナンス性に優れる。
段差形成部材8cリング形状を有するものであり、前記端部型と同様の材料から形成される。
【0030】
金型1cにおける分割面2、樹脂溶液3、離型層4、型本体部5c、端部型7cおよび回転支点付与部9cはそれぞれ、金型1aにおける分割面2、樹脂溶液3、離型層4、型本体部5a、端部型7aおよび回転支点付与部9aに相当するものであるため、それらの説明を省略する。
【0031】
図2に示す本発明の一実施形態の金型1dは、図1(A)に示す金型1aにおいて離型層4を内周面に形成したものであり、該離型層上に樹脂溶液が塗布される。すなわち、金型1dは、型本体部5dの両端において着脱式端部型6d,7dを備え、かつ型本体部5dおよび着脱式端部型6d,7dの内周面に離型層4を有するものである。金型1dは、離型層4の露出領域を端部型6d、7dのみに有するので、繰り返しの使用時において当該端部型6d、7dのみを交換あるいは離型層再形成すればよい。
【0032】
金型1dにおける分割面2、樹脂溶液3、離型層4、型本体部5d、端部型6dおよび端部型7dは、型本体部5d、端部型6dおよび端部型7dの内周面に離型層4が形成され、当該離型層4上に樹脂溶液3が塗布されること以外、それぞれ金型1aにおける分割面2、樹脂溶液3、離型層4、型本体部5a、端部型6aおよび端部型7aに相当するものであるため、それらの説明を省略する。なお金型1dにおいて、端部型7dと型本体部5dとの結合は、型本体部の凸部を端部型の凹部に嵌入させることによって達成され、型本体部5dと端部型6dとの結合は、端部型の凸部を型本体部の凹部に嵌入させることによって達成される。
【0033】
<環状シームレス成形体の製造装置>
本発明の環状シームレス成形体の製造装置は上記した金型が備わっている限り特に制限されず、通常は該金型に環状シームレス成形体用樹脂溶液を塗布するための塗布手段、および得られた樹脂塗膜を加熱するための加熱手段を有している。
【0034】
塗布手段は金型の外周面または内周面の離型層上に樹脂溶液を塗布できる限り特に制限されず、環状シームレス成形体の製造分野で従来から使用されているものが使用可能である。例えば、後述の塗布方法を採用した装置等が挙げられる。
加熱手段は特に制限されず、例えば、ハロゲンヒーター、ファンヒーター等が挙げられる。
【0035】
<環状シームレス成形体の製造方法>
本発明の環状シームレス成形体の製造方法は、上記した金型を使用することを特徴とし、通常は以下の工程を含むものである;
上記金型の離型層上に環状シームレス成形体用樹脂溶液を塗布し、樹脂塗膜を形成する樹脂塗膜形成工程;
樹脂塗膜を加熱し、樹脂皮膜を形成する樹脂皮膜形成工程;および
樹脂皮膜を金型から剥離する脱型工程。
【0036】
本発明においては、従来から環状シームレス成形体の製造に使用されている公知の樹脂が使用され、例えば、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂等であってもよい。熱硬化性樹脂、特にポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を使用することが好ましい。熱硬化性樹脂は比較的高温での加熱を要し、金型の離型層の酸化劣化が起こり易いが、そのような樹脂を使用する場合であっても、本発明の目的を有効に達成できるためである。
【0037】
ポリイミド樹脂製の環状シームレス成形体を製造する場合、ポリイミド前駆体として、いわゆるポリアミック酸、例えば、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)からなる前駆体、ピロメリット酸二無水物(PMDA)と4,4'−ジアミノフェニルエーテル(ODA)からなる前駆体等が使用される。
【0038】
ポリアミドイミド樹脂製の環状シームレス成形体を製造する場合、ポリアミドイミド前駆体として、例えば、アミド基含有芳香族ジアミンとPMDAからなる前駆体や、芳香族ジアミンまたはその誘導体と無水トリメリット酸(TMA)からなる前駆体等が使用される。
以下、特に好ましい態様として、ポリイミド樹脂製の環状シームレス成形体の製造方法について詳細に説明する。
【0039】
(樹脂塗膜形成工程)
本工程では、まず、ポリイミド前駆体を有機溶剤に溶解させて樹脂溶液を調製する。
ポリイミド前駆体は上記したものが使用可能であり、2種以上を混合して用いてもよい。
【0040】
有機溶剤は、ポリイミド前駆体を溶解可能なものであれば、特に制限されず、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。樹脂溶液におけるポリイミド前駆体の濃度、粘度等は、塗布方法および成形体の所望厚み等に応じて適宜選択される。
【0041】
得られる成形体を、定着ベルト、中間転写ベルト、接触帯電ベルト等のような導電性機能を付与する必要のある用途に使用する場合には、樹脂溶液の中に導電性物質等の添加剤を分散させることができる。
導電性物質としては、例えば、カーボンブラック、カーボンブラックを造粒したカーボンビーズ、カーボンファイバー、グラファイト等の炭素系物質、銅、銀、アルミニウム等の金属又は合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、SnO−In複合酸化物等の導電性金属酸化物等が挙げられる。
【0042】
次いで、樹脂溶液を上記金型の離型層上に塗布して、例えば、図1(A)〜(C)および図2に示すように、樹脂塗膜3を形成する。すなわち、型本体部5の離型層4上だけでなく、型本体部5からみて分割面2を超える範囲まで塗布を行う。なお、段差を有しない金型端部に塗布するときは、液垂れ防止やアンダーカット形状の付与防止の観点から、離型層4の露出領域を確保する。段差を有する金型端部に塗布するときは、離型層4の露出領域は確保する必要はない。
【0043】
塗布方法としては、金型の外周面または内周面の離型層上に樹脂溶液を塗布できる限り特に制限されず、環状シームレス成形体の製造分野で従来から使用されている方法が使用可能である。例えば、リングコート法、ブレードコート法、バーコート法、ロールコート法等が挙げられる。
【0044】
(樹脂皮膜形成工程)
本工程では、樹脂塗膜を加熱し、樹脂皮膜を形成する。詳しくは、樹脂塗膜を加熱乾燥させてから、加熱反応させてポリイミド樹脂皮膜を形成する。
【0045】
まず、樹脂塗膜中に過度に残留する溶剤を除去する目的で、静置しても塗膜が変形しない程度まで加熱乾燥を行う。乾燥条件は、80〜200℃の温度で30〜60分間であることが好ましい。その際、温度が高いほど、加熱時間は短くてよい。また、加熱することに加え、風を当てることも有効である。また、遠赤外線加熱を用いれば、溶剤除去をさらに効率よく行うことができる。加熱は、時間内において、段階的に上昇させたり、一定速度で上昇させてもよい。なお、樹脂塗膜から溶剤を除去させすぎると、塗膜はまだ成形体としての強度を保持していないので、割れを生じる虞がある。そのため溶剤を適度に残留させておくことが好ましい。具体的には樹脂塗膜中に15〜50質量%、特に35〜50質量%の割合で溶剤を残留させることが好ましい。
【0046】
次いで、300〜450℃、好ましくは350℃前後で、20〜60分間、樹脂塗膜を加熱反応させることで、ポリイミド樹脂皮膜を形成できる。加熱反応の際、塗膜中に有機溶剤が残留していると、ポリイミド樹脂皮膜に膨れが生じることがあるため、加熱の最終温度に達する前に、完全に残留溶剤を除去することが好ましく、具体的には、加熱前に、200〜250℃の温度で、10〜30分間加熱乾燥して残留溶剤を除去し、続けて、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱し、ポリイミド樹脂皮膜を形成することが好ましい。この際、遠赤外線加熱を併用すれば、残留溶剤の除去とイミド化反応を効率的に行える。
【0047】
(脱型工程)
本工程では、ポリイミド樹脂皮膜を金型から剥離し、脱型する。金型上に形成された樹脂皮膜はそのまま後述する方法で加圧空気により剥離させてもよいが、本発明においては上記した金型が使用されるので、本工程では、まず分割面で樹脂被膜をカットし、型本体部を端部型から分離した後、当該型本体部に形成された樹脂皮膜を剥離することが好ましい。
【0048】
型本体部での樹脂皮膜の剥離は型本体部と皮膜との隙間に、加圧空気を注入することで、皮膜を膨張させて剥離する。加圧空気の圧力は、一般的な空気圧縮機で得られる数気圧程度でよい。注入された加圧空気は、ある程度は皮膜端部から漏れるが、全部が漏れるわけではないので、皮膜は空気圧により、多少、膨れることになる。そのため、形成された樹脂皮膜を型本体部から容易に抜き取ることができる。
【0049】
抜き取られた樹脂皮膜が所定の幅を有している場合はそのままポリイミド樹脂環状シームレス成形体として使用できる。樹脂皮膜が所定幅より大きい場合は、不要部分を切断して、ポリイミド樹脂環状シームレス成形体を得ることができる。樹脂皮膜が所定幅の整数倍の長さを有している場合は、所定幅に切断するだけで、そのまま使用可能なポリイミド樹脂環状シームレス成形体を複数個得ることができる。
【0050】
成形体の厚みは樹脂塗膜の厚みを調整することによって制御可能で、例えば、20〜1000μm、特に30〜100μmとすることができる。
【0051】
特に樹脂塗膜形成工程で金型内周面の離型層上に樹脂溶液が塗布される場合は、以下の順序で工程処理を行うことが好ましい。樹脂塗膜形成工程後、樹脂皮膜形成工程の加熱乾燥処理、および脱型工程を行う。次いで、脱型して得られた未反応の樹脂皮膜を別の金型外周面に嵌める型嵌工程、および樹脂皮膜形成工程の加熱反応処理を行い、再度、脱型工程を行う。
【0052】
成形体表面には、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂層等の他のポリマーからなる樹脂層が形成されてもよい。その場合には、樹脂皮膜形成工程の加熱反応処理後であって、脱型工程前に、樹脂皮膜を外周面に有した金型に対して、所定のポリマーからなるチューブを被せ、加熱溶着処理を行った後、脱型工程を行うことが好ましい。
【実施例】
【0053】
<実施例1>
(金型Aの製造)
型本体部の両端に回転支点付与部を設けたこと以外、図1(A)に示す構造と同様の構造を有する、図4に示すアルミニウム製金型を、棒材から切削加工により製造した。寸法は図4に示す通りであった。図4に示す数値の単位は「mm」である。
型本体部の5aの外周部にシリコーン系離型剤(商品名:KS700 (株)信越化学社製)を塗布することによって離型層4としてシリコーン樹脂膜(膜厚約1μm)を形成した。
端部型6a、7aの外周面に、型本体部5aと同じ離型材にて離型層を形成した。
【0054】
(樹脂塗膜形成工程)
3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PDA)とを、N,N−ジメチルアセトアミド中で反応させて、22質量%濃度ポリイミド前駆体溶液Aを調製した。この前駆体溶液Aに、カーボンブラック(商品名:スペシャルブラック4、デグザヒュルス社製)を固形分質量比で23%混合し、次いでジェットミルにより分散し、樹脂溶液Aを得た。
樹脂溶液Aをリング塗布法により金型外周面に図4に示す範囲で塗布し、約500μm厚の樹脂塗膜を形成した。
【0055】
(樹脂皮膜形成工程)
次に、金型Aを水平にして、型本体部が両端に有する回転支点で20rpmにて回転させながら、室温で5分間の乾燥後、80℃で20分間、100℃で1時間、加熱乾燥させた。これにより、厚さ約150μmの樹脂塗膜を得た。次に、金型Aを一旦、室温まで冷却した。その後、金型Aを垂直に立てて、200℃で30分、300℃で30分加熱反応させ、樹脂皮膜を形成した。
【0056】
(脱型工程)
室温に冷えた後、分割面のところで樹脂被膜をカットし、型本体部を端部型から分離した。型本体部と皮膜との隙間に圧力0.5MPaの加圧空気を注入したところ、ポリイミド樹脂皮膜が膨張し、容易に抜き取ることができた。得られたポリイミド樹脂シームレス成形体はそのまま電子写真用定着ベルトとして使用できる寸法を有していた。
【0057】
(評価)
樹脂塗膜形成工程、樹脂皮膜形成工程および脱型工程からなる成形体の製造工程を繰り返して行い、500個の成形体を製造した。成形体の破損は全く起こらなかった。但し、20個の成形体を製造するごとに、端部型6a、7aは離型層をリフレッシュしたものに交換した。型本体部5aは同じものを継続して用いた。
任意の10個の成形体それぞれについて任意の10点の厚みを測定したところ、全ての成形体で最大値と最小値との差は14μm以下であり、膜厚均一性に優れていた。
【0058】
<実施例2>
(金型Bの製造)
型本体部の両端に回転支点付与部を設けたこと以外、図1(B)に示す構造と同様の構造を有するアルミニウム製金型を、棒材から切削加工により製造した。寸法は、端部型6bにおける樹脂溶液塗布領域の軸方向長さ10mmとし、段差形成部材8bの軸方向長さを20mmとしたこと以外、金型Aと同様であった。
型本体部の5bの外周面にシリコーン系離型剤(商品名:KS700 (株)信越化学社製)を塗布することによって離型層4としてシリコーン樹脂膜(膜厚約1μm)を形成した。
端部型6bには、型本体部5bと同じ離型材を塗布した。
端部型7bは、外周面にメッキ処理により、離型層4としてNi膜(膜厚30μm)を形成した。
【0059】
(評価)
金型Bを用いたこと以外、実施例1と同様の樹脂塗膜形成工程、樹脂皮膜形成工程および脱型工程からなる成形体の製造工程を繰り返して行い、500個の成形体を製造した。成形体の破損は全く起こらなかった。但し、50個の成形体を製造するごとに、端部型6bは離型層をリフレッシュしたものに交換した。型本体部5bおよび端部型7bは同じものを継続して用いた。端部型7bは、樹脂皮膜成形後、脱型前に型合わせ部にて該樹脂成形膜をカットし、該樹脂成形膜が付着した状態で型本体部から切り離した後に、あらかじめ備えられたワイヤー15によりカットし、該カット部を基点に該樹脂成形膜を引き剥がしている。
任意の10個の成形体それぞれについて任意の10点の厚みを測定したところ、全ての成形体で最大値と最小値との差は14μm以下であり、膜厚均一性に優れていた。
【0060】
<実施例3>
(金型Cの製造)
型本体部の両端に回転支点付与部を設けたこと以外、図1(C)に示す構造と同様の構造を有するアルミニウム製金型を、棒材から切削加工により製造した。寸法は、型本体部の一端で端部型6aを設けることなく、段差形成部材8cを設けたこと以外、金型Aと同様であった。
型本体部の5cの外周部にシリコーン系離型剤(商品名:KS700 (株)信越化学社製)を塗布することによって離型層4としてシリコーン樹脂膜(膜厚約1μm)を形成した。
端部型7cの外周面に、型本体部5aと同じ離型材にて離型層を形成した。
【0061】
(評価)
金型Cを用いたこと以外、実施例1と同様の樹脂塗膜形成工程、樹脂皮膜形成工程および脱型工程からなる成形体の製造工程を繰り返して行い、100個の成形体を製造した。成形体の破損は全く起こらなかった。但し、20個の成形体を製造するごとに、端部型7cは新しいものに交換した。型本体部5cは同じものを継続して用いた。
任意の10個の成形体それぞれについて任意の10点の厚みを測定したところ、全ての成形体で最大値と最小値との差は13μm以下であり、膜厚均一性に優れていた。
【0062】
<比較例1>
(金型Dの製造)
分割面を有さないこと以外、金型Aと同様の金型を、金型Aと同様の方法により製造した。
金型の外周面にシリコーン系離型剤(商品名:KS700 (株)信越化学社製)を塗布することによって離型層としてシリコーン樹脂膜(膜厚約1μm)を形成した。
【0063】
(評価)
金型Dを用いたこと以外、実施例1と同様の樹脂塗膜形成工程、樹脂皮膜形成工程および脱型工程からなる成形体の製造工程を繰り返して行ったところ、28個目の成形体の製造時において、成形体の脱型時に破損が起こった。
【0064】
<実施例4>
(金型Eの製造)
型本体部の両端に回転支点付与部を設けなかったこと以外、金型Aの製造方法と同様にして金型Eを製造した。
金型Eを用いたこと以外、上記と同様の樹脂塗膜形成工程、樹脂皮膜形成工程および脱型工程からなる成形体の製造工程を繰り返して行い、500個の成形体を製造した。なお、樹脂皮膜形成工程における回転は両端の端部型が有する中空部を支点とした。成形体の破損は全く起こらなかった。但し、20個の成形体を製造するごとに、両端の端部型は新しいものに交換した。
【0065】
(評価)
任意の10個の成形体それぞれについて任意の10点の厚みを測定したところ、全ての成形体で最大値と最小値との差は24μmであった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の金型は、画像形成装置の定着ベルト、中間転写ベルト、接触帯電ベルト等として使用可能な環状シームレス成形体の製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】(A)〜(C)は本発明の金型の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明の金型の一実施形態を示す概略構成図である。
【図3】本発明の金型における端部型の一実施形態を示す概略見取り図である。
【図4】実施例1で製造した金型の寸法を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1:金型、2:分割面、3:樹脂塗膜(樹脂溶液)、4:離型層、5:5a:5b:5c:5d:型本体部、6:6a:6b:6d:端部型、7:7a:7b:7c:7d:端部型、8:8b:8c:段差形成部材、13:樹脂溶液塗布領域、14:凹部、15:可動部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面または内周面に有する離型層の上に成形体用樹脂溶液を塗布されて、環状シームレス成形体を製造するための金型であって、
樹脂溶液塗布領域内の少なくとも1箇所において分割面が存在することを特徴とする金型。
【請求項2】
分割面が金型の樹脂溶液塗布領域内であって、金型の少なくとも一方の端部に存在し、
型本体部および該型本体部の少なくとも一端に着脱可能に結合された端部型を有することを特徴とする請求項1に記載の金型。
【請求項3】
型本体部における樹脂溶液塗布領域の軸方向長さが環状シームレス成形体の所定幅以上であることを特徴とする請求項2に記載の金型。
【請求項4】
型本体部における樹脂溶液塗布領域の軸方向長さが環状シームレス成形体の所定幅に等しいことを特徴とする請求項2または3に記載の金型。
【請求項5】
型本体部が有する離型層と端部型が有する離型層とが同一または異なる材料から形成される請求項2〜4のいずれかに記載の金型。
【請求項6】
型本体部と端部型とが係合によって結合され、内側に係合される部材が外側に係合される部材よりも線膨張係数が高い請求項2〜5のいずれかに記載の金型。
【請求項7】
型本体部が該型本体部の軸上に回転支点を有する請求項2〜6のいずれかに記載の金型。
【請求項8】
端部型が、該端部型の樹脂溶液塗布面に該面よりも高い段差を有する請求項2〜7のいずれかに記載の金型。
【請求項9】
端部型が、該端部型の樹脂溶液塗布領域内に凹部を有する請求項2〜8のいずれかに記載の金型。
【請求項10】
端部型が凹部に、該端部型と一体化された可動部材を有する請求項9に記載の金型。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の金型を備えた環状シームレス成形体の製造装置。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載の金型の離型層上に環状シームレス成形体用樹脂溶液を塗布し、樹脂塗膜を形成する樹脂塗膜形成工程;
樹脂塗膜を加熱し、樹脂皮膜を形成する樹脂皮膜形成工程;および
樹脂皮膜を金型から剥離する脱型工程
を有する環状シームレス成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−90481(P2009−90481A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260794(P2007−260794)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】