瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法
【課題】瓶輸送用プラスチックケースの表面を傷つけることなく瓶輸送用プラスチックケースの側面部に付着した付着物を確実に除去することのできる瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法を提供する。
【解決手段】瓶輸送用プラスチックケースBCの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシ11の接触圧分布を静電容量式触覚センサにより測定し、この静電容量式触覚センサで得られたデータと瓶輸送用プラスチックケースBCの被洗浄面に付着物除去用ブラシ11を接触させた後の瓶輸送用プラスチックケースBCの洗浄状態とから瓶輸送用プラスチックケースBCに対する付着物除去用ブラシ11の最適接触量を求めて瓶輸送用プラスチックケースBCを洗浄する。
【解決手段】瓶輸送用プラスチックケースBCの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシ11の接触圧分布を静電容量式触覚センサにより測定し、この静電容量式触覚センサで得られたデータと瓶輸送用プラスチックケースBCの被洗浄面に付着物除去用ブラシ11を接触させた後の瓶輸送用プラスチックケースBCの洗浄状態とから瓶輸送用プラスチックケースBCに対する付着物除去用ブラシ11の最適接触量を求めて瓶輸送用プラスチックケースBCを洗浄する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール瓶等の瓶容器を輸送するときに使用される瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール瓶を輸送するときに使用されるビール瓶輸送用ケースは、中身が空のビール瓶と共に販売店等から回収されて再使用されるのが一般的であるが、回収されたビール瓶輸送用ケースの側面部には泥や砂、値札等の付着物が付着していることが多い。従って、回収されたビール瓶輸送用ケースを再使用する際には、ビール瓶輸送用ケースの側面部に付着している付着物を除去するために、ビール瓶輸送用ケースを洗浄する必要がある。
【0003】
このような瓶輸送用ケースを洗浄する場合、従来では、特許文献1に記載されているような洗浄方法を用いている場合が多い。しかし、特許文献1に記載の洗浄方法は洗浄液噴射ノズルから瓶輸送用ケースの側面部に洗浄液を噴射して瓶輸送用ケースを洗浄する方法であるため、泥や値札等の付着物が瓶輸送用ケースの側面部に強固に付着している場合には、瓶輸送用ケースの側面部に付着物が残留し易いという難点があった。そこで、一方向に搬送される瓶輸送用ケースに洗浄液を洗浄液噴射ノズルから噴射して瓶輸送用ケースの側面部に付着した付着物を膨潤せしめた後、瓶輸送用ケースの側面部に付着物除去用ブラシを接触させて瓶輸送用ケースを洗浄する方法を、本願特許出願人は先に出願した(特願2004−1213号)。
【0004】
このような洗浄方法によると、泥や値札等の付着物が瓶輸送用ケースの側面部に強固に付着している場合でも付着物を付着物除去用ブラシによって除去できるため、瓶輸送用ケースの側面部に付着物を残留させることなく瓶輸送用プラスチックケースを洗浄することが可能である。
【特許文献1】特開平9−29194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現在、市場で用いられている殆どの瓶輸送用ケースはプラスチックの成形品から形成されているため、このような瓶輸送用プラスチックケースの側面部に付着物除去用ブラシを強く接触させると瓶輸送用プラスチックケースの表面に筋状の傷が発生し易くなり、逆に瓶輸送用プラスチックケースの側面部に付着物除去用ブラシを弱く接触させると付着物除去用ブラシによる付着物除去効果が低下するという問題があった。また。洗浄液噴射ノズルから瓶輸送用プラスチックケースに噴射される洗浄液も上記と同様のことが言え、洗浄液噴射ノズルから瓶輸送用プラスチックケースに噴射される洗浄液の圧力が弱すぎると瓶輸送用プラスチックケースの側面部に付着した泥や砂が流れ落ち難くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、瓶輸送用プラスチックケースの表面を傷つけることなく瓶輸送用プラスチックケースの側面部に付着した付着物を確実に除去することのできる瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、一方向に搬送される瓶輸送用プラスチックケースに洗浄液を洗浄液噴射ノズルから噴射して前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着した付着物を膨潤せしめた後、前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着物除去用ブラシを接触させて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄する方法であって、前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に対する前記付着物除去用ブラシの接触圧分布を静電容量式触覚センサにより測定し、この静電容量式触覚センサで得られたデータと前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に前記付着物除去用ブラシを接触させた後の前記瓶輸送用プラスチックケースの洗浄状態とから前記瓶輸送用プラスチックケースに対する前記付着物除去用ブラシの最適接触量を求めて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄することを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、一方向に搬送される瓶輸送用プラスチックケースに洗浄液を洗浄液噴射ノズルから噴射して前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着した付着物を膨潤せしめた後、前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着物除去用ブラシを接触させて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄する方法であって、前記洗浄液噴射ノズルから前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に噴射された洗浄液の圧力分布を静電容量式触覚センサにより測定し、この静電容量式触覚センサで得られたデータと前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に前記付着物除去用ブラシを接触させた後の前記瓶輸送用プラスチックケースの洗浄状態とから前記洗浄液噴射ノズルの最適噴射圧を求めて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄することを特徴とする。
【0009】
第1の発明に係る瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法において、瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシの接触圧分布は、上面に静電容量式触覚センサを有するプレート状試料と、このプレート状試料を載置する試料載置台を有する測定試験装置とを用いて測定してもよい。この場合、前記測定試験装置は、付着物除去用ブラシを試料載置台の上面に対して垂直に保持する保持部材と、この保持部材を上下方向に昇降駆動する昇降駆動機構部と、この昇降駆動機構部を水平方向に駆動する水平駆動機構部とを有することが好ましい。
【0010】
第2の発明に係る瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法において、洗浄液噴射ノズルから瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に噴射された洗浄液の圧力分布は、上面に静電容量式触覚センサを有するプレート状試料と、このプレート状試料を載置する試料載置台を有する測定試験装置とを用いて測定してもよい。また、瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着物除去用ブラシを接触させる前に、被洗浄面の汚染状態および被洗浄面に付着したシール等の付着物の膨潤状態をセンサで検出することが望ましい。さらに、前記測定試験装置は、洗浄液噴射ノズルを試料載置台の上面に対して垂直に保持する保持部材と、この保持部材を上下方向に昇降駆動する昇降駆動機構部と、この昇降駆動機構部を水平方向に駆動する水平駆動機構部とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明に係る瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法によれば、瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシの接触圧分布を静電容量式触覚センサによって精度よく測定でき、静電容量式触覚センサで得られた圧力分布データから瓶輸送用プラスチックケースに対する付着物除去用ブラシの接触量を最適値に設定することが可能となるので、瓶輸送用プラスチックケースの表面を傷つけることなく瓶輸送用プラスチックケースの側面部に付着した付着物を確実に除去することができる。
【0012】
第2の発明に係る瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法によれば、洗浄液噴射ノズルから瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に噴射された洗浄液の圧力分布を静電容量式触覚センサによって精度よく測定でき、静電容量式触覚センサで得られた圧力分布データから洗浄液噴射ノズルの噴射圧を最適値に設定することが可能となる。したがって、洗浄液噴射ノズルから瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に噴射される洗浄液が蒸気や水の場合に最も少ない噴射量で瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面を洗浄でき、これにより、洗浄液の使用量を低減できると共に瓶輸送用プラスチックケースの側面部に付着した付着物を低コストで除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図1ないし図14を参照して、本発明に係る瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法について説明する。
図1は、ビール瓶輸送用プラスチックケースを洗浄処理する洗浄装置の概略構成を示す図である。同図に示すように、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCを洗浄処理する洗浄装置1はビール瓶輸送用プラスチックケースBCを一方向にライン搬送するコンベヤ2を備えており、このコンベヤ2の上流側には、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの側面部に付着した泥や値札等の付着物を膨潤処理する付着物膨潤処理部3が設けられている。
【0014】
付着物膨潤処理部3は、図2に示すように、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCに向けて洗浄液CLを上方と側方とから噴射する複数の洗浄液噴射ノズル9を備えており、この付着物膨潤処理部3の下流には、付着物膨潤処理部3で膨潤処理された付着物をビール瓶輸送用プラスチックケースBCから除去する第1の付着物除去部4(図1参照)が設けられている。また、付着物膨潤処理部3は各洗浄液噴射ノズル9に洗浄液CLを供給する給液ヘッダー10を備えており、この給液ヘッダー10には例えば50℃程度に加温された洗浄液CLが不図示の給液ポンプから供給されるようになっている。
【0015】
第1の付着物除去部4は、図3に示すように、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの側面部等に付着した付着物を除去する複数の付着物除去用ブラシ11を備えた構成となっており、この第1の付着物除去部4の下流には、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCを垂直な軸回りに1/2回転させる第1のケース回転機構部5(図1参照)が設けられている。この第1のケース回転機構部5は、図4に示すように、コンベヤ2の側端部に十字状のロックターンアーム12を備えており、このロックターンアーム12にビール瓶輸送用プラスチックケースBCの角部が係合することによって、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCが水平面内で90°だけ回転するようになっている。
【0016】
第1のケース回転機構部5の下流には、付着物膨潤処理部3で膨潤処理された付着物をビール瓶輸送用プラスチックケースBCから除去する第2の付着物除去部6(図1参照)が設けられている。この第2の付着物除去部6は前述した第1の付着物除去部4と同様の構成となっており、第2の付着物除去部6の下流には、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCを濯ぎ処理する濯ぎ処理部8が設けられている。この濯ぎ処理部8は、図5に示すように、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの側面部と上面部に向けて濯ぎ水を噴出する濯ぎ水噴射ノズル13を備えており、この濯ぎ水噴射ノズル13から噴射される濯ぎ水によってビール瓶輸送用プラスチックケースBCを濯ぎ処理する構成となっている。
【0017】
付着物除去用ブラシ11はビール瓶輸送用プラスチックケースBCに対して進退可能に設けられており、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCに対する付着物除去用ブラシ11の接触量(かぶり量)は不図示のコントローラによって最適値に設定されている。また、付着物膨潤処理部3の洗浄液噴射ノズル9からビール瓶輸送用プラスチックケースBCに噴射される洗浄液CLの圧力も不図示のコントローラによって最適値に設定されている。
【0018】
このような構成において、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの側面部(被洗浄面)に付着した泥、値札物の付着物を確実に除去するためには、洗浄液噴射ノズル9の噴射圧を最適値に設定すると共にビール瓶輸送用プラスチックケースBCに対する付着物除去用ブラシ11の接触量を最適値に設定する必要があり、そのためには洗浄液噴射ノズル9からビール瓶輸送用プラスチックケースBCの被洗浄面に噴射される洗浄液の圧力分布やビール瓶輸送用プラスチックケースBCの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシ11の接触圧分布を精度よく測定する必要がある。
【0019】
付着物除去用ブラシ11によってビール瓶輸送用プラスチックケースBCの表面に発生する疵の深さを調べる場合には、図6に示すようなプレート状の試料15が用いられる。この試料15はビール瓶輸送用プラスチックケースBCと同じプラスチック材料で形成されている。
また、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCに対する付着物除去用ブラシ11の接触圧分布等を測定する場合には、接触圧分布等を測定する手段として、図7に示すようなシート状の静電容量式触覚センサ16が用いられる。
【0020】
図8は、付着物除去用ブラシ11によってビール瓶輸送用プラスチックケースBCの表面に発生する疵の深さを調べる場合や付着物除去用ブラシ11の接触圧分布データ等を測定する場合などに用いられる測定試験装置の正面図である。また、図9は図8に示す測定試験装置の側面図で、図10は図8に示す測定試験装置の平面図である。図8乃至図10において、測定試験装置20は試料15や静電容量式触覚センサ16を置くための試料載置台21を備えており、この試料載置台21の上方には、前述した付着物除去用ブラシ11や洗浄液噴射ノズル9を試料載置台21の上面に対してほぼ垂直に保持するブラシ及びノズル保持部材22が設けられている。
また、測定試験装置20はブラシ及びノズル保持部材22を上下方向に昇降駆動する昇降駆動機構部23と、この昇降駆動機構部23を水平方向に駆動する水平駆動機構部24とを備えており、ブラシ及びノズル保持部材22は試料載置台21の上面に対して垂直な方向と水平な方向に移動可能となっている。
【0021】
付着物除去用ブラシ11によってビール瓶輸送用プラスチックケースBCの表面に発生する疵の深さを調べる場合には、図11に示すように、先ず、測定試験装置20の試料載置台21上に試料15を載置するとともに、測定試験装置20のブラシ及びノズル保持部材22に付着物除去用ブラシ11を取り付ける。次に、試料載置台21に載置された試料15の上面に付着物除去用ブラシ11を押し当てた後、測定試験装置20の水平駆動機構部24を駆動してブラシ及びノズル保持部材22に保持された付着物除去用ブラシ11を水平方向に移動させると、付着物除去用ブラシ11の接触圧に応じた深さの疵が試料15の上面に発生するので、試料15の上面に発生した疵の深さを測定機器で測定することにより、付着物除去用ブラシ11によってビール瓶輸送用プラスチックケースBCの表面に発生する疵の深さとビール瓶輸送用プラスチックケースBCの表面に接触する付着物除去用ブラシ11の接触量との関係を精度よく調べることができる。
【0022】
次に、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシ11の接触圧分布データを測定する場合の手順について図12を参照して説明する。
ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシ11の接触圧分布データを測定する場合は、図12に示すように、前述した測定試験装置20の試料載置台21上に静電容量式触覚センサ16を載置するとともに、測定試験装置20のブラシ及びノズル保持部材22に付着物除去用ブラシ11を取り付ける。次に、測定試験装置20の昇降駆動機構部23を駆動して付着物除去用ブラシ11の先端位置を所定位置(付着物除去用ブラシ11の先端部が静電容量式触覚センサ16に接触する位置)に調整した後、測定試験装置20の水平駆動機構部24を駆動してブラシ及びノズル保持部材22に保持された付着物除去用ブラシ11を水平方向に移動させる。
【0023】
このようにして、付着物除去用ブラシ11の先端部を静電容量式触覚センサ16に接触させながら付着物除去用ブラシ11を水平方向に移動させると、付着物除去用ブラシ11の接触圧に応じて静電容量式触覚センサ16の出力が変化するので、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシ11の接触圧分布を実機に近い状態で精度よく測定することができる。
【0024】
また、付着物除去用ブラシ11の接触圧分布データを静電容量式触覚センサ16で測定した後、図13に示すように、静電容量式触覚センサを持たない試料17を測定試験装置20の試料載置台21上に載置し、この試料17の上面に付着物除去用ブラシ11を接触させた状態で付着物除去用ブラシ11を水平方向に移動させ、そのときの試料17の表面状態を観察することにより、その観察結果と静電容量式触覚センサ16で得られた接触圧データとから付着物除去用ブラシ11の最適接触量を得ることができる。したがって、得られた付着物除去用ブラシ11の最適接触量を実機に設定してビール瓶輸送用プラスチックケースBCの洗浄処理を実施することにより、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの表面を傷つけることなくビール瓶輸送用プラスチックケースBCの側面部に付着した付着物を確実に除去することができる。
【0025】
次に、前述した洗浄液噴射ノズル9から被洗浄面(例えばビール瓶輸送用プラスチックケースの側面部)に噴射される洗浄液CLの圧力分布を測定する場合の手順について図14を参照して説明する。
洗浄液噴射ノズル9から被洗浄面に噴射される洗浄液CLの圧力分布を測定する場合は、図14に示すように、前述した測定試験装置20の試料載置台21上に静電容量式触覚センサ16を載置するとともに、測定試験装置20のブラシ及びノズル保持部材22に洗浄液噴射ノズル9を取り付ける。次に、測定試験装置20の昇降駆動機構部23を駆動してブラシ及びノズル保持部材22に保持された洗浄液噴射ノズル9の先端位置を調整する。その後、試料載置台21に載置された静電容量式触覚センサ16に向けて洗浄液を洗浄液噴射ノズル9から噴射し、この状態で測定試験装置20の水平駆動機構部24を駆動して洗浄液噴射ノズル9を水平方向に移動させる。
【0026】
このようにして、試料載置台21に載置された静電容量式触覚センサ16に向けて洗浄液を洗浄液噴射ノズル9から噴射しながら洗浄液噴射ノズル9を水平方向に移動させると、洗浄液噴射ノズル9から噴出する洗浄液の圧力に応じて静電容量式触覚センサ16の出力が変化するので、洗浄液噴射ノズル9から被洗浄面に噴射される洗浄液の圧力分布を実機に近い状態で精度よく測定することができる。
【0027】
また、洗浄液噴射ノズル9から被洗浄面に噴射される洗浄液の圧力分布データを静電容量式触覚センサ16で測定した後、静電容量式触覚センサを持たない試料を測定試験装置20の試料載置台21上に載置し、この試料に向けて洗浄液を洗浄液噴射ノズル9から噴射しながら洗浄液噴射ノズル9を水平方向に移動させ、そのときの試料の表面状態を観察することにより、その観察結果と静電容量式触覚センサ16で得られた洗浄液の圧力データとから洗浄液噴射ノズル9の最適噴射圧を求めることができる。したがって、得られた洗浄液噴射ノズル9の最適噴射圧を実機に設定してビール瓶輸送用プラスチックケースBCの洗浄処理を実施することにより、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの表面を傷つけることなくビール瓶輸送用プラスチックケースBCの側面部に付着した付着物を確実に除去することができる。
なお、上述した実施の形態ではビール瓶輸送用プラスチックケースBCの洗浄処理に本発明を適用した場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば牛乳、酒等の他の飲料瓶を輸送する際に用いるプラスチックケースについても本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ビール瓶輸送用プラスチックケースを洗浄処理する洗浄装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す付着物膨潤処理部の概略構成図である。
【図3】図1に示すケース洗浄部の概略構成図である。
【図4】図1に示すケース回転部の概略構成図である。
【図5】図1に示す濯ぎ処理部の概略構成図である。
【図6】付着物除去用ブラシによってビール瓶輸送用プラスチックケースの表面に発生する疵の深さを調べるときに用いられる試料の一例を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図7】ビール瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシの接触圧分布等を測定するときに用いられる静電容量式触覚センサを示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図8】ビール瓶輸送用プラスチックケースに発生する疵の深さや付着物除去用ブラシの接触圧分布等を測定するときに用いられる測定試験装置の正面図である。
【図9】図8に示す測定試験装置の側面図である。
【図10】図8に示す測定試験装置の平面図である。
【図11】付着物除去用ブラシによってビール瓶輸送用プラスチックケースの表面に発生する疵の深さを測定する場合の手順を説明するための説明図である。
【図12】付着物除去用ブラシの接触圧分布を測定する場合の手順を説明するための説明図である。
【図13】付着物除去用ブラシの最適接触圧を測定する場合の手順を説明するための説明図である。
【図14】洗浄液噴射ノズルから被洗浄面に噴射される洗浄液の圧力分布を測定する場合の手順を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0029】
BC ビール瓶輸送用プラスチックケース
2 コンベヤ
3 付着物膨潤処理部
4 第1の付着物除去部
5 第1のケース回転機構部
6 第2の付着物除去部
7 第2のケース回転機構部
8 濯ぎ処理部
9 洗浄液噴射ノズル
11 付着物除去ブラシ
12 ロックターンアーム
13 濯ぎ水噴射ノズル
15 試料
16 静電容量式触覚センサ
20 測定試験装置
21 試料載置台
22 ブラシ及びノズル保持部材
23 昇降駆動機構部
24 水平駆動機構部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール瓶等の瓶容器を輸送するときに使用される瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール瓶を輸送するときに使用されるビール瓶輸送用ケースは、中身が空のビール瓶と共に販売店等から回収されて再使用されるのが一般的であるが、回収されたビール瓶輸送用ケースの側面部には泥や砂、値札等の付着物が付着していることが多い。従って、回収されたビール瓶輸送用ケースを再使用する際には、ビール瓶輸送用ケースの側面部に付着している付着物を除去するために、ビール瓶輸送用ケースを洗浄する必要がある。
【0003】
このような瓶輸送用ケースを洗浄する場合、従来では、特許文献1に記載されているような洗浄方法を用いている場合が多い。しかし、特許文献1に記載の洗浄方法は洗浄液噴射ノズルから瓶輸送用ケースの側面部に洗浄液を噴射して瓶輸送用ケースを洗浄する方法であるため、泥や値札等の付着物が瓶輸送用ケースの側面部に強固に付着している場合には、瓶輸送用ケースの側面部に付着物が残留し易いという難点があった。そこで、一方向に搬送される瓶輸送用ケースに洗浄液を洗浄液噴射ノズルから噴射して瓶輸送用ケースの側面部に付着した付着物を膨潤せしめた後、瓶輸送用ケースの側面部に付着物除去用ブラシを接触させて瓶輸送用ケースを洗浄する方法を、本願特許出願人は先に出願した(特願2004−1213号)。
【0004】
このような洗浄方法によると、泥や値札等の付着物が瓶輸送用ケースの側面部に強固に付着している場合でも付着物を付着物除去用ブラシによって除去できるため、瓶輸送用ケースの側面部に付着物を残留させることなく瓶輸送用プラスチックケースを洗浄することが可能である。
【特許文献1】特開平9−29194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現在、市場で用いられている殆どの瓶輸送用ケースはプラスチックの成形品から形成されているため、このような瓶輸送用プラスチックケースの側面部に付着物除去用ブラシを強く接触させると瓶輸送用プラスチックケースの表面に筋状の傷が発生し易くなり、逆に瓶輸送用プラスチックケースの側面部に付着物除去用ブラシを弱く接触させると付着物除去用ブラシによる付着物除去効果が低下するという問題があった。また。洗浄液噴射ノズルから瓶輸送用プラスチックケースに噴射される洗浄液も上記と同様のことが言え、洗浄液噴射ノズルから瓶輸送用プラスチックケースに噴射される洗浄液の圧力が弱すぎると瓶輸送用プラスチックケースの側面部に付着した泥や砂が流れ落ち難くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、瓶輸送用プラスチックケースの表面を傷つけることなく瓶輸送用プラスチックケースの側面部に付着した付着物を確実に除去することのできる瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、一方向に搬送される瓶輸送用プラスチックケースに洗浄液を洗浄液噴射ノズルから噴射して前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着した付着物を膨潤せしめた後、前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着物除去用ブラシを接触させて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄する方法であって、前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に対する前記付着物除去用ブラシの接触圧分布を静電容量式触覚センサにより測定し、この静電容量式触覚センサで得られたデータと前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に前記付着物除去用ブラシを接触させた後の前記瓶輸送用プラスチックケースの洗浄状態とから前記瓶輸送用プラスチックケースに対する前記付着物除去用ブラシの最適接触量を求めて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄することを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、一方向に搬送される瓶輸送用プラスチックケースに洗浄液を洗浄液噴射ノズルから噴射して前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着した付着物を膨潤せしめた後、前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着物除去用ブラシを接触させて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄する方法であって、前記洗浄液噴射ノズルから前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に噴射された洗浄液の圧力分布を静電容量式触覚センサにより測定し、この静電容量式触覚センサで得られたデータと前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に前記付着物除去用ブラシを接触させた後の前記瓶輸送用プラスチックケースの洗浄状態とから前記洗浄液噴射ノズルの最適噴射圧を求めて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄することを特徴とする。
【0009】
第1の発明に係る瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法において、瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシの接触圧分布は、上面に静電容量式触覚センサを有するプレート状試料と、このプレート状試料を載置する試料載置台を有する測定試験装置とを用いて測定してもよい。この場合、前記測定試験装置は、付着物除去用ブラシを試料載置台の上面に対して垂直に保持する保持部材と、この保持部材を上下方向に昇降駆動する昇降駆動機構部と、この昇降駆動機構部を水平方向に駆動する水平駆動機構部とを有することが好ましい。
【0010】
第2の発明に係る瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法において、洗浄液噴射ノズルから瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に噴射された洗浄液の圧力分布は、上面に静電容量式触覚センサを有するプレート状試料と、このプレート状試料を載置する試料載置台を有する測定試験装置とを用いて測定してもよい。また、瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着物除去用ブラシを接触させる前に、被洗浄面の汚染状態および被洗浄面に付着したシール等の付着物の膨潤状態をセンサで検出することが望ましい。さらに、前記測定試験装置は、洗浄液噴射ノズルを試料載置台の上面に対して垂直に保持する保持部材と、この保持部材を上下方向に昇降駆動する昇降駆動機構部と、この昇降駆動機構部を水平方向に駆動する水平駆動機構部とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明に係る瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法によれば、瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシの接触圧分布を静電容量式触覚センサによって精度よく測定でき、静電容量式触覚センサで得られた圧力分布データから瓶輸送用プラスチックケースに対する付着物除去用ブラシの接触量を最適値に設定することが可能となるので、瓶輸送用プラスチックケースの表面を傷つけることなく瓶輸送用プラスチックケースの側面部に付着した付着物を確実に除去することができる。
【0012】
第2の発明に係る瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法によれば、洗浄液噴射ノズルから瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に噴射された洗浄液の圧力分布を静電容量式触覚センサによって精度よく測定でき、静電容量式触覚センサで得られた圧力分布データから洗浄液噴射ノズルの噴射圧を最適値に設定することが可能となる。したがって、洗浄液噴射ノズルから瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に噴射される洗浄液が蒸気や水の場合に最も少ない噴射量で瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面を洗浄でき、これにより、洗浄液の使用量を低減できると共に瓶輸送用プラスチックケースの側面部に付着した付着物を低コストで除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図1ないし図14を参照して、本発明に係る瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法について説明する。
図1は、ビール瓶輸送用プラスチックケースを洗浄処理する洗浄装置の概略構成を示す図である。同図に示すように、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCを洗浄処理する洗浄装置1はビール瓶輸送用プラスチックケースBCを一方向にライン搬送するコンベヤ2を備えており、このコンベヤ2の上流側には、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの側面部に付着した泥や値札等の付着物を膨潤処理する付着物膨潤処理部3が設けられている。
【0014】
付着物膨潤処理部3は、図2に示すように、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCに向けて洗浄液CLを上方と側方とから噴射する複数の洗浄液噴射ノズル9を備えており、この付着物膨潤処理部3の下流には、付着物膨潤処理部3で膨潤処理された付着物をビール瓶輸送用プラスチックケースBCから除去する第1の付着物除去部4(図1参照)が設けられている。また、付着物膨潤処理部3は各洗浄液噴射ノズル9に洗浄液CLを供給する給液ヘッダー10を備えており、この給液ヘッダー10には例えば50℃程度に加温された洗浄液CLが不図示の給液ポンプから供給されるようになっている。
【0015】
第1の付着物除去部4は、図3に示すように、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの側面部等に付着した付着物を除去する複数の付着物除去用ブラシ11を備えた構成となっており、この第1の付着物除去部4の下流には、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCを垂直な軸回りに1/2回転させる第1のケース回転機構部5(図1参照)が設けられている。この第1のケース回転機構部5は、図4に示すように、コンベヤ2の側端部に十字状のロックターンアーム12を備えており、このロックターンアーム12にビール瓶輸送用プラスチックケースBCの角部が係合することによって、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCが水平面内で90°だけ回転するようになっている。
【0016】
第1のケース回転機構部5の下流には、付着物膨潤処理部3で膨潤処理された付着物をビール瓶輸送用プラスチックケースBCから除去する第2の付着物除去部6(図1参照)が設けられている。この第2の付着物除去部6は前述した第1の付着物除去部4と同様の構成となっており、第2の付着物除去部6の下流には、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCを濯ぎ処理する濯ぎ処理部8が設けられている。この濯ぎ処理部8は、図5に示すように、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの側面部と上面部に向けて濯ぎ水を噴出する濯ぎ水噴射ノズル13を備えており、この濯ぎ水噴射ノズル13から噴射される濯ぎ水によってビール瓶輸送用プラスチックケースBCを濯ぎ処理する構成となっている。
【0017】
付着物除去用ブラシ11はビール瓶輸送用プラスチックケースBCに対して進退可能に設けられており、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCに対する付着物除去用ブラシ11の接触量(かぶり量)は不図示のコントローラによって最適値に設定されている。また、付着物膨潤処理部3の洗浄液噴射ノズル9からビール瓶輸送用プラスチックケースBCに噴射される洗浄液CLの圧力も不図示のコントローラによって最適値に設定されている。
【0018】
このような構成において、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの側面部(被洗浄面)に付着した泥、値札物の付着物を確実に除去するためには、洗浄液噴射ノズル9の噴射圧を最適値に設定すると共にビール瓶輸送用プラスチックケースBCに対する付着物除去用ブラシ11の接触量を最適値に設定する必要があり、そのためには洗浄液噴射ノズル9からビール瓶輸送用プラスチックケースBCの被洗浄面に噴射される洗浄液の圧力分布やビール瓶輸送用プラスチックケースBCの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシ11の接触圧分布を精度よく測定する必要がある。
【0019】
付着物除去用ブラシ11によってビール瓶輸送用プラスチックケースBCの表面に発生する疵の深さを調べる場合には、図6に示すようなプレート状の試料15が用いられる。この試料15はビール瓶輸送用プラスチックケースBCと同じプラスチック材料で形成されている。
また、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCに対する付着物除去用ブラシ11の接触圧分布等を測定する場合には、接触圧分布等を測定する手段として、図7に示すようなシート状の静電容量式触覚センサ16が用いられる。
【0020】
図8は、付着物除去用ブラシ11によってビール瓶輸送用プラスチックケースBCの表面に発生する疵の深さを調べる場合や付着物除去用ブラシ11の接触圧分布データ等を測定する場合などに用いられる測定試験装置の正面図である。また、図9は図8に示す測定試験装置の側面図で、図10は図8に示す測定試験装置の平面図である。図8乃至図10において、測定試験装置20は試料15や静電容量式触覚センサ16を置くための試料載置台21を備えており、この試料載置台21の上方には、前述した付着物除去用ブラシ11や洗浄液噴射ノズル9を試料載置台21の上面に対してほぼ垂直に保持するブラシ及びノズル保持部材22が設けられている。
また、測定試験装置20はブラシ及びノズル保持部材22を上下方向に昇降駆動する昇降駆動機構部23と、この昇降駆動機構部23を水平方向に駆動する水平駆動機構部24とを備えており、ブラシ及びノズル保持部材22は試料載置台21の上面に対して垂直な方向と水平な方向に移動可能となっている。
【0021】
付着物除去用ブラシ11によってビール瓶輸送用プラスチックケースBCの表面に発生する疵の深さを調べる場合には、図11に示すように、先ず、測定試験装置20の試料載置台21上に試料15を載置するとともに、測定試験装置20のブラシ及びノズル保持部材22に付着物除去用ブラシ11を取り付ける。次に、試料載置台21に載置された試料15の上面に付着物除去用ブラシ11を押し当てた後、測定試験装置20の水平駆動機構部24を駆動してブラシ及びノズル保持部材22に保持された付着物除去用ブラシ11を水平方向に移動させると、付着物除去用ブラシ11の接触圧に応じた深さの疵が試料15の上面に発生するので、試料15の上面に発生した疵の深さを測定機器で測定することにより、付着物除去用ブラシ11によってビール瓶輸送用プラスチックケースBCの表面に発生する疵の深さとビール瓶輸送用プラスチックケースBCの表面に接触する付着物除去用ブラシ11の接触量との関係を精度よく調べることができる。
【0022】
次に、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシ11の接触圧分布データを測定する場合の手順について図12を参照して説明する。
ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシ11の接触圧分布データを測定する場合は、図12に示すように、前述した測定試験装置20の試料載置台21上に静電容量式触覚センサ16を載置するとともに、測定試験装置20のブラシ及びノズル保持部材22に付着物除去用ブラシ11を取り付ける。次に、測定試験装置20の昇降駆動機構部23を駆動して付着物除去用ブラシ11の先端位置を所定位置(付着物除去用ブラシ11の先端部が静電容量式触覚センサ16に接触する位置)に調整した後、測定試験装置20の水平駆動機構部24を駆動してブラシ及びノズル保持部材22に保持された付着物除去用ブラシ11を水平方向に移動させる。
【0023】
このようにして、付着物除去用ブラシ11の先端部を静電容量式触覚センサ16に接触させながら付着物除去用ブラシ11を水平方向に移動させると、付着物除去用ブラシ11の接触圧に応じて静電容量式触覚センサ16の出力が変化するので、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシ11の接触圧分布を実機に近い状態で精度よく測定することができる。
【0024】
また、付着物除去用ブラシ11の接触圧分布データを静電容量式触覚センサ16で測定した後、図13に示すように、静電容量式触覚センサを持たない試料17を測定試験装置20の試料載置台21上に載置し、この試料17の上面に付着物除去用ブラシ11を接触させた状態で付着物除去用ブラシ11を水平方向に移動させ、そのときの試料17の表面状態を観察することにより、その観察結果と静電容量式触覚センサ16で得られた接触圧データとから付着物除去用ブラシ11の最適接触量を得ることができる。したがって、得られた付着物除去用ブラシ11の最適接触量を実機に設定してビール瓶輸送用プラスチックケースBCの洗浄処理を実施することにより、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの表面を傷つけることなくビール瓶輸送用プラスチックケースBCの側面部に付着した付着物を確実に除去することができる。
【0025】
次に、前述した洗浄液噴射ノズル9から被洗浄面(例えばビール瓶輸送用プラスチックケースの側面部)に噴射される洗浄液CLの圧力分布を測定する場合の手順について図14を参照して説明する。
洗浄液噴射ノズル9から被洗浄面に噴射される洗浄液CLの圧力分布を測定する場合は、図14に示すように、前述した測定試験装置20の試料載置台21上に静電容量式触覚センサ16を載置するとともに、測定試験装置20のブラシ及びノズル保持部材22に洗浄液噴射ノズル9を取り付ける。次に、測定試験装置20の昇降駆動機構部23を駆動してブラシ及びノズル保持部材22に保持された洗浄液噴射ノズル9の先端位置を調整する。その後、試料載置台21に載置された静電容量式触覚センサ16に向けて洗浄液を洗浄液噴射ノズル9から噴射し、この状態で測定試験装置20の水平駆動機構部24を駆動して洗浄液噴射ノズル9を水平方向に移動させる。
【0026】
このようにして、試料載置台21に載置された静電容量式触覚センサ16に向けて洗浄液を洗浄液噴射ノズル9から噴射しながら洗浄液噴射ノズル9を水平方向に移動させると、洗浄液噴射ノズル9から噴出する洗浄液の圧力に応じて静電容量式触覚センサ16の出力が変化するので、洗浄液噴射ノズル9から被洗浄面に噴射される洗浄液の圧力分布を実機に近い状態で精度よく測定することができる。
【0027】
また、洗浄液噴射ノズル9から被洗浄面に噴射される洗浄液の圧力分布データを静電容量式触覚センサ16で測定した後、静電容量式触覚センサを持たない試料を測定試験装置20の試料載置台21上に載置し、この試料に向けて洗浄液を洗浄液噴射ノズル9から噴射しながら洗浄液噴射ノズル9を水平方向に移動させ、そのときの試料の表面状態を観察することにより、その観察結果と静電容量式触覚センサ16で得られた洗浄液の圧力データとから洗浄液噴射ノズル9の最適噴射圧を求めることができる。したがって、得られた洗浄液噴射ノズル9の最適噴射圧を実機に設定してビール瓶輸送用プラスチックケースBCの洗浄処理を実施することにより、ビール瓶輸送用プラスチックケースBCの表面を傷つけることなくビール瓶輸送用プラスチックケースBCの側面部に付着した付着物を確実に除去することができる。
なお、上述した実施の形態ではビール瓶輸送用プラスチックケースBCの洗浄処理に本発明を適用した場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば牛乳、酒等の他の飲料瓶を輸送する際に用いるプラスチックケースについても本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ビール瓶輸送用プラスチックケースを洗浄処理する洗浄装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す付着物膨潤処理部の概略構成図である。
【図3】図1に示すケース洗浄部の概略構成図である。
【図4】図1に示すケース回転部の概略構成図である。
【図5】図1に示す濯ぎ処理部の概略構成図である。
【図6】付着物除去用ブラシによってビール瓶輸送用プラスチックケースの表面に発生する疵の深さを調べるときに用いられる試料の一例を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図7】ビール瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に対する付着物除去用ブラシの接触圧分布等を測定するときに用いられる静電容量式触覚センサを示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図8】ビール瓶輸送用プラスチックケースに発生する疵の深さや付着物除去用ブラシの接触圧分布等を測定するときに用いられる測定試験装置の正面図である。
【図9】図8に示す測定試験装置の側面図である。
【図10】図8に示す測定試験装置の平面図である。
【図11】付着物除去用ブラシによってビール瓶輸送用プラスチックケースの表面に発生する疵の深さを測定する場合の手順を説明するための説明図である。
【図12】付着物除去用ブラシの接触圧分布を測定する場合の手順を説明するための説明図である。
【図13】付着物除去用ブラシの最適接触圧を測定する場合の手順を説明するための説明図である。
【図14】洗浄液噴射ノズルから被洗浄面に噴射される洗浄液の圧力分布を測定する場合の手順を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0029】
BC ビール瓶輸送用プラスチックケース
2 コンベヤ
3 付着物膨潤処理部
4 第1の付着物除去部
5 第1のケース回転機構部
6 第2の付着物除去部
7 第2のケース回転機構部
8 濯ぎ処理部
9 洗浄液噴射ノズル
11 付着物除去ブラシ
12 ロックターンアーム
13 濯ぎ水噴射ノズル
15 試料
16 静電容量式触覚センサ
20 測定試験装置
21 試料載置台
22 ブラシ及びノズル保持部材
23 昇降駆動機構部
24 水平駆動機構部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に搬送される瓶輸送用プラスチックケースに洗浄液を洗浄液噴射ノズルから噴射して前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着した付着物を膨潤せしめた後、前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着物除去用ブラシを接触させて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄する方法であって、前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に対する前記付着物除去用ブラシの接触圧分布を静電容量式触覚センサにより測定し、この静電容量式触覚センサで得られたデータと前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に前記付着物除去用ブラシを接触させた後の前記瓶輸送用プラスチックケースの洗浄状態とから前記瓶輸送用プラスチックケースに対する前記付着物除去用ブラシの最適接触量を求めて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄することを特徴とする瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法。
【請求項2】
前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に対する前記付着物除去用ブラシの接触圧分布は、上面に静電容量式触覚センサを有するプレート状試料と、このプレート状試料を載置する試料載置台を有する測定試験装置とを用いて測定することを特徴とする請求項1記載の瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法。
【請求項3】
前記測定試験装置は、前記付着物除去用ブラシを前記試料載置台の上面に対して垂直に保持する保持部材と、この保持部材を上下方向に昇降駆動する昇降駆動機構部と、この昇降駆動機構部を水平方向に駆動する水平駆動機構部とを有することを特徴とする請求項2記載の瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法。
【請求項4】
一方向に搬送される瓶輸送用プラスチックケースに洗浄液を洗浄液噴射ノズルから噴射して前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着した付着物を膨潤せしめた後、前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着物除去用ブラシを接触させて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄する方法であって、前記洗浄液噴射ノズルから前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に噴射された洗浄液の圧力分布を静電容量式触覚センサにより測定し、この静電容量式触覚センサで得られたデータと前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に前記付着物除去用ブラシを接触させた後の前記瓶輸送用プラスチックケースの洗浄状態とから前記洗浄液噴射ノズルの最適噴射圧を求めて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄することを特徴とする瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法。
【請求項5】
請求項4記載の瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法において、前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に前記付着物除去用ブラシを接触させる前に、前記被洗浄面の汚染状態および前記被洗浄面に付着した付着物の膨潤状態をセンサで検出することを特徴とする瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法。
【請求項6】
前記洗浄液噴射ノズルから前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に噴射された洗浄液の圧力分布は、上面に静電容量式触覚センサを有するプレート状試料と、このプレート状試料を載置する試料載置台を有する測定試験装置とを用いて測定することを特徴とする請求項4又は5記載の瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法。
【請求項7】
前記測定試験装置は、前記洗浄液噴射ノズルを前記試料載置台の上面に対して垂直に保持する保持部材と、この保持部材を上下方向に昇降駆動する昇降駆動機構部と、この昇降駆動機構部を水平方向に駆動する水平駆動機構部とを有することを特徴とする請求項6記載の瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法。
【請求項1】
一方向に搬送される瓶輸送用プラスチックケースに洗浄液を洗浄液噴射ノズルから噴射して前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着した付着物を膨潤せしめた後、前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着物除去用ブラシを接触させて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄する方法であって、前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に対する前記付着物除去用ブラシの接触圧分布を静電容量式触覚センサにより測定し、この静電容量式触覚センサで得られたデータと前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に前記付着物除去用ブラシを接触させた後の前記瓶輸送用プラスチックケースの洗浄状態とから前記瓶輸送用プラスチックケースに対する前記付着物除去用ブラシの最適接触量を求めて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄することを特徴とする瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法。
【請求項2】
前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に対する前記付着物除去用ブラシの接触圧分布は、上面に静電容量式触覚センサを有するプレート状試料と、このプレート状試料を載置する試料載置台を有する測定試験装置とを用いて測定することを特徴とする請求項1記載の瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法。
【請求項3】
前記測定試験装置は、前記付着物除去用ブラシを前記試料載置台の上面に対して垂直に保持する保持部材と、この保持部材を上下方向に昇降駆動する昇降駆動機構部と、この昇降駆動機構部を水平方向に駆動する水平駆動機構部とを有することを特徴とする請求項2記載の瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法。
【請求項4】
一方向に搬送される瓶輸送用プラスチックケースに洗浄液を洗浄液噴射ノズルから噴射して前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着した付着物を膨潤せしめた後、前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に付着物除去用ブラシを接触させて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄する方法であって、前記洗浄液噴射ノズルから前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に噴射された洗浄液の圧力分布を静電容量式触覚センサにより測定し、この静電容量式触覚センサで得られたデータと前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に前記付着物除去用ブラシを接触させた後の前記瓶輸送用プラスチックケースの洗浄状態とから前記洗浄液噴射ノズルの最適噴射圧を求めて前記瓶輸送用プラスチックケースを洗浄することを特徴とする瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法。
【請求項5】
請求項4記載の瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法において、前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に前記付着物除去用ブラシを接触させる前に、前記被洗浄面の汚染状態および前記被洗浄面に付着した付着物の膨潤状態をセンサで検出することを特徴とする瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法。
【請求項6】
前記洗浄液噴射ノズルから前記瓶輸送用プラスチックケースの被洗浄面に噴射された洗浄液の圧力分布は、上面に静電容量式触覚センサを有するプレート状試料と、このプレート状試料を載置する試料載置台を有する測定試験装置とを用いて測定することを特徴とする請求項4又は5記載の瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法。
【請求項7】
前記測定試験装置は、前記洗浄液噴射ノズルを前記試料載置台の上面に対して垂直に保持する保持部材と、この保持部材を上下方向に昇降駆動する昇降駆動機構部と、この昇降駆動機構部を水平方向に駆動する水平駆動機構部とを有することを特徴とする請求項6記載の瓶輸送用プラスチックケースの洗浄方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−81999(P2006−81999A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268678(P2004−268678)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】
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