説明

生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置

【課題】 比較的簡単な構成ながら安定して誤差の少ない測定を可能とした生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置を提供する。
【解決手段】 砂貯蔵槽1a、1b、1c下端部の計量ゲート2a、2b、2c下位に砂計量槽7を備え、この砂計量槽7の上部投入口8付近には上部に所定幅でかつ所定勾配の傾斜面10を有するアングル材9を水平に架設する。また、砂の表面水率測定用の水分計11a、11b、11cをその測定面12a、12b、12cが前記アングル材9の傾斜面10と略面一となるようにアングル材9に固定する。そして、前記計量ゲート2a、2b、2cより砂を払い出すと、下位のアングル材9の傾斜面10上を一定の層を成して滑らかに滑落していき、その際に水分計11a、11b、11cの測定面12a、12b、12cを通過させて表面水率を連続的に検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種コンクリート材料を計量、混練処理して生コンクリートを製造する生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生コンクリート製造プラントでは、砂利、砂、セメント、水、混和剤といった各種コンクリート材料を各計量槽によってそれぞれ所望の配合量に応じて計量し、それらをミキサにて混練して生コンクリートを製造している。このとき、水の投入量はコンクリートの強度等の物性に影響するところが大であるために、混練水として投入する水の他に骨材、特に砂の表面に付着して持ち込まれる水の量を正確に把握し、この砂の表面水率を砂及び水の計量値に反映させて所望の配合にしていく必要がある。
【0003】
そこで、従来、例えば特許文献1(特開平11−320543号公報)に示されるように、砂計量槽の上位の砂貯蔵槽内に水分計を備え、混練する生コンクリートの1バッチ毎に計量しようとする砂の表面水率を測定し、この表面水率を基に砂、水の計量値を補正して所望配合の生コンクリートを製造している。ところが、この測定装置では、水分計の測定面が閉鎖空間である貯蔵槽内の砂中に埋没した状態になるため測定面にどうしても砂が付着・残留しやすく、例え付着・残留が生じても目で確認することもできず、最悪の場合、いつまでも付着した同じ砂の表面水率が繰り返し測定されて、実際に払い出されて使用される砂の正確な測定が行われないおそれがあった。また、水分計の特性上、砂の密度によって測定値が変動するため、砂の貯蔵量等に応じて適宜補正を加える必要があった。
【0004】
上記問題に対し、例えば特許文献2(特開平8−90549号公報)に示されるように、砂貯蔵槽と砂計量槽との間に水分計を備えるようにしたものが提案されている。この測定装置では、水分計の測定面が開放空間に配置されるため測定面に砂が付着・残留しにくく、例え付着・残留が生じても容易に目で確認することができ、また砂の密度に対する補正等を考慮する必要がないため、比較的安定して誤差の少ない測定が可能になると考えられる。
【0005】
また、特許文献3(特許第4105445号公報)、特許文献4(特許第4141681号公報)では、略上記構成の測定装置において、水分計を回動自在とし、測定時には測定面の勾配を緩くして測定面に計量ゲートより落下してくる砂が載りやすいようにする一方、測定完了後には測定面の勾配を急にして測定面上の砂が次バッチに払い出される砂と入れ替わりやすいようにしており、より安定して誤差の少ない測定ができるように図られている。
【特許文献1】特開平11−320543号公報
【特許文献2】特開平8−90549号公報
【特許文献3】特許第4105445号公報
【特許文献4】特許第4141681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来装置では、水分計を回動させる回動手段を要し、そのため構造が多少複雑化してコスト面やメンテナンス面において不利となることが予想される。
【0007】
本発明は上記の点に鑑み、比較的簡単な構成ながら安定して誤差の少ない測定を可能とした生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載の生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置では、砂貯蔵槽下端部の計量ゲート下位に砂計量槽を備え、該砂計量槽の上部投入口付近には上部に所定幅でかつ所定勾配の傾斜面を有するアングル材を略水平に架設すると共に、砂の表面水率測定用の水分計をその測定面が前記アングル材の傾斜面と略面一となるようにアングル材に固定し、前記計量ゲートより払い出された砂がアングル材の傾斜面上に載って滑落する際に水分計の測定面を通過して表面水率が検出されるように構成したことを特徴としている。
【0009】
また、請求項2記載の生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置では、前記アングル材が落差感知用のクッションアングルであることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3記載の生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置では、前記アングル材の傾斜面に砂付着防止用の樹脂ライナを貼着したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る請求項1記載の生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置によれば、砂貯蔵槽下端部の計量ゲート下位に砂計量槽を備え、該砂計量槽の上部投入口付近には上部に所定幅でかつ所定勾配の傾斜面を有するアングル材を略水平に架設すると共に、砂の表面水率測定用の水分計をその測定面が前記アングル材の傾斜面と略面一となるようにアングル材に固定し、前記計量ゲートより払い出された砂がアングル材の傾斜面上に載って滑落する際に水分計の測定面を通過して表面水率が検出されるように構成したので、比較的簡単な構成ながら水分計の測定面に砂を一定の流量で安定供給できると共に、アングル材に落下する砂の衝撃とアングル材上を滑落する砂の重みとによって測定面への砂の付着を防いでバッチ毎に測定する砂の入れ替えを良好なものとでき、安定した誤差の少ない測定を実現しつつ、コスト面やメンテナンス面において有利なものとなる。
【0012】
また、請求項2記載の生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置によれば、前記アングル材が落差感知用のクッションアングルであるので、既設のプラントの砂計量槽に標準的に備わっている設備を利用して比較的簡単に設置できると共に、コスト面においてより一層有利なものとなる。
【0013】
また、請求項3記載の生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置によれば、前記アングル材の傾斜面に砂付着防止用の樹脂ライナを貼着したので、水分計の測定面への砂の付着をより一層抑えてバッチ毎の砂の入れ替えも良好なものとなり、より安定した誤差の少ない測定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置にあっては、プラント本体の砂貯蔵槽下端部の計量ゲート下位に備えた砂計量槽の上部投入口付近には、計量ゲートより落下してくる砂の付着・残留が発生しにくく、かつ砂が自由落下に近い勢いで一気に通過してしまうのではなく、比較的滑らかに一定の層を成して滑落する程度の幅と勾配の傾斜面を上部に有する鋼製のアングル材を略水平に架設していると共に、砂の表面水率測定用の水分計をその測定面が前記アングル材の傾斜面と略面一となるように固定している。また、アングル材の傾斜面には砂付着防止用の樹脂ライナを貼着している。なお、前記アングル材には、既設のプラントの砂計量槽等に標準的に備わっている落差感知用のクッションアングルを利用することもできる。
【0015】
そして、この表面水率測定装置にて砂貯蔵槽の計量ゲートより下位の砂計量槽に払い出される砂の表面水率を測定するときには、先ず、砂貯蔵槽の計量ゲートを開放させると混練に使用される1バッチ分の砂が払い出され、この払い出された砂は下位のアングル材上部の傾斜面上に落下する。そして、この傾斜面上に載った砂は傾斜面に沿って一定の層を成しながら滑らかに滑落していくと共に、その際に傾斜面と略面一に固定された水分計の測定面上を一定の流量で通過することになり、その間に連続的に表面水率が検出されていく。
【0016】
このとき、水分計の測定面は砂貯蔵槽と砂計量槽との間の開放空間に備えられていて砂の密度補正が不要であると共に、適当な幅と勾配を有するアングル材の傾斜面と略面一に固定されていて、かつ砂付着防止用の樹脂ライナがその表面に貼着してあるために、アングル材に落下する砂の衝撃とアングル材上を一定の層圧を成して滑落する砂の重みとによって水分計の測定面に砂の付着・残留が発生するおそれは少なく、例え付着・残留が生じても次バッチに払い出される砂と容易に入れ替わりやすく、安定して誤差の少ない測定を可能としている。
【0017】
このように、ごく簡単な構成を採用しながら、安定して誤差の少ない砂の表面水率測定が実現可能となり、コスト面やメンテナンス面において有利となる。また、水分計を固定するアングル材に、既設のプラントの砂計量槽に標準的に備わっている落差感知用のクッションアングルを採用すれば、比較的簡単に設置可能となると共に、コスト面においてより一層有利なものとなる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0019】
図中の1a、1b、1cは、生コンクリート製造プラントに備えられている砂貯蔵用の砂貯蔵槽であって、砂の品種毎に、例えば山砂や海砂、或いは砕砂等に分けて貯蔵可能なように複数備えていると共に、その下端部には計量ゲート2a、2b、2cをそれぞれ開閉自在に備え、シリンダ3のピストンロッド4の伸縮動作に応じて開閉可能としている。また、前記計量ゲート2a、2b、2cの下位には荷重検出器であるロードセル5にて支持枠6に吊下支持される砂計量槽7を備えている。
【0020】
また、前記砂計量槽7の上部投入口8付近で、かつ計量ゲート2a、2b、2cの直下位置には、鋼製のアングル材9を略水平に架設している。前記アングル材9は断面を略ヘ字形状として、その上部側には、例えば10〜20cm程度の幅で、かつ45度程度の勾配の傾斜面10が形成されるようにしている。なお、前記傾斜面10の勾配は、前記角度に限定されるものではなく、要は計量ゲート2a、2b、2cより払い出されて落下してくる砂が付着・残留を生じにくく、かつ砂が自由落下に近い勢いで一気に流れ落ちてしまうのではなく、一定の層を成しながら比較的滑らかに滑落していく程度の勾配であれば良く、例えば30〜60度程度の範囲の適宜角度を採用し得る。また、アングル材9の形状も特に上記形状に限定するものではなく、例えば平板状の鋼材を短手方向に傾斜させ、上記同様に適宜勾配の傾斜面を形成させるようにしたものでも良い。
【0021】
11a、11b、11cは各計量ゲート2a、2b、2cより払い出される各種砂の表面水率測定用の水分計であり、それらの先端に備えた平滑な測定面12a、12b、12cを、図面に示すように、前記アングル材9の傾斜面10と略面一となるように傾けた状態でアングル材9と固定している一方、各測定面12a、12b、12c周囲の傾斜面10には砂付着防止用の樹脂ライナ13a、13b、13cを貼着しており、計量ゲート2a、2b、2cより払い出される砂の付着・残留を極力抑え、傾斜面10に沿ったより滑らかな滑落を図っている。
【0022】
なお、前記アングル材9には、既設のプラントの砂計量槽等に標準的に備わっている落差感知用のクッションアングルを好適に利用することができる。この落差感知用のクッションアングルとは、砂等の貯蔵槽の計量ゲートより払い出された骨材が、下方に配置された計量槽の底部まで落下・到達して実際にロードセル等の荷重検出器にて感知されるまでに生じるタイムラグを抑えるために備わっているものであり、計量ゲートより払い出される骨材を計量槽上部、即ち計量ゲートにごく近い距離に架設したこのクッションアングルに先ず衝突させることにより、その衝撃でいち早く計量槽の荷重検出器に感知させて前記タイムラグを極力抑えられるようにしている。
【0023】
そして、このクッションアングルは、その上部側に計量ゲートより払い出されて落下してくる砂を衝突させた際に付着・残留が極力生じないように、本実施例のアングル材9のようにアングル上部側に適宜勾配の傾斜面を形成させており、この傾斜面と略面一となるように水分計の測定面を傾けた状態で固定すれば本実施例と同様の構成とすることができ、既設のプラントに標準的に備わっている設備をそのまま利用できて比較的簡単に設置できると共にコスト面においても好適である。
【0024】
そうして、この砂の表面水率測定装置にて砂貯蔵槽1a、1b、1cの計量ゲート2a、2b、2cから払い出される砂の表面水率を測定するときには、シリンダ3のピストンロッド4を短縮動作させて所望の砂貯蔵槽1a、1b、1cの計量ゲート2a、2b、2cを開放させ、混練に使用する1バッチ分の砂を払い出す。この払い出した砂は下位のアングル材9上部の傾斜面10上に落下した後、勾配にしたがって傾斜面10に貼着した樹脂ライナ13a、13b、13c上を一定の層を成しながら滑らかに滑落していき、やがて傾斜面10と略面一に固定した水分計11a、11b、11cの測定面12a、12b、12c上を通過していく。そして、その通過の際、砂の表面水率が連続的に検出される。
【0025】
このとき、水分計11a、11b、11cの測定面12a、12b、12cは、砂貯蔵槽1a、1b、1cと砂計量槽7との間の開放空間に備えているため砂の密度補正が不要であると共に、適当な幅と勾配を有するアングル材9の傾斜面10と略面一に固定しているため、アングル材9に落下する砂の衝撃とアングル材9上を一定の層圧を成して滑落する砂の重みとによって測定面12a、12b、12cに砂の付着・残留が生じるおそれは少なく、例え付着・残留が生じても次バッチに払い出されてくる砂と容易に入れ替わりやすく、安定して誤差の少ない測定を可能としている。
【0026】
また、水分計11a、11b、11cの測定面12a、12b、12c周囲に位置するアングル材9の傾斜面10には、砂付着防止用の樹脂ライナ13a、13b、13cを貼着しているため、砂の付着・残留をより一層抑えることができ、より安定して誤差の少ない測定を可能としている。
【0027】
このように、ごく簡単な構成を採用しながら、安定して誤差の少ない砂の表面水率測定が実現可能となり、コスト面やメンテナンス面において有利となる。また、水分計11a、11b、11cを固定するアングル材9に、既設のプラントの砂計量槽に標準的に備わっているクッションアングルをそのまま利用するようにすれば、より一層コストを抑えることができると共に、設置も簡単にできて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る、生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置の一部省略した正面図である。
【図2】図1の一部省略した側面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0029】
1a、1b、1c…砂貯蔵槽 2a、2b、2c…計量ゲート
5…ロードセル(荷重検出器) 7…砂計量槽
8…投入口 9…アングル材
10…傾斜面 11a、11b、11c…水分計
12a、12b、12c…測定面 13a、13b、13c…樹脂ライナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂貯蔵槽下端部の計量ゲート下位に砂計量槽を備え、該砂計量槽の上部投入口付近には上部に所定幅でかつ所定勾配の傾斜面を有するアングル材を略水平に架設すると共に、砂の表面水率測定用の水分計をその測定面が前記アングル材の傾斜面と略面一となるようにアングル材に固定し、前記計量ゲートより払い出された砂がアングル材の傾斜面上に載って滑落する際に水分計の測定面を通過して表面水率が検出されるように構成したことを特徴とする生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置。
【請求項2】
前記アングル材が落差感知用のクッションアングルであることを特徴とする請求項1記載の生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置。
【請求項3】
前記アングル材の傾斜面に砂付着防止用の樹脂ライナを貼着したことを特徴とする請求項1または2記載の生コンクリート製造プラントにおける砂の表面水率測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−78330(P2010−78330A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243570(P2008−243570)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】