説明

生体内注入型ヒドロゲル及びその生物医学的用途

本発明は、生体内注入型ヒドロゲル及びその生医学的用途に関するものであって、より詳細には、リンカーを通じてフェノール部またはアニリン部が結合された、同種または異種の高分子を2つ以上以上について、隣接する2つ以上の高分子間のフェノール部またはアニリン部間の脱水素結合によって連結された、生体内注入型ヒドロゲルに関する。本発明による生体内注入型ヒドロゲルは、従来のヒドロゲルとは異なって、PEGのような水溶性高分子をリンカーとして用いることによって、フェノールまたはアニリン基の反応性を向上させて生体内安定性及び機械的強度に優れた生体内(in situ)形成ヒドロゲルを提供し、これを組織工学及び薬物伝達システムを含んだ生物医学的用途として用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、向上した生体安定性及び優れた機械的強度を有する生体内(in situ)形成生体内注入型ヒドロゲル及びその生医学的用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドロゲルは、その生体適合性、高水分含量及び栄養分と代謝産物の優れた透過性によって、挿入物、薬物、及び細胞伝達担体のような薬学及び生物医学的応用のための材料として広く研究されてきた。このようなヒドロゲルは、天然及び合成高分子を用いて製造が可能であり、多様な化学的及び物理的交差−結合を通じてヒドロゲル形成が可能である。ここ10年間の研究によって、高分子溶液を生体内に注入して生体内でヒドロゲルを形成する生体内(in situ)形成ヒドロゲル形態で改良化された。
【0003】
このような生体内(in situ)形成ヒドロゲルは、生体注入型ヒドロゲルシステムとして使用可能である。生体注入型ヒドロゲルシステムは、最小浸透技術に基づいて患者の苦痛を和らげる容易な形態への応用が多くの注目を浴びた。これらのシステムは、所望の組職、器官または体腔内で凝固される前に、最小浸透方式で身体内でヒドロゲルを形成することができる注入型流動体である。
【0004】
例えば、生体注入型ヒドロゲルシステムは、移植のための外科的施術を要さず、多くの治療薬物の単純な混合を通じて統合することができる。これら生体注入型ヒドロゲルを用いて、欠陥または体腔陷沒部位を充填させることが可能である。ヒドロゲルシステムは、機械的物性が低い一方、高い細胞分周効率、生理活性薬物、例えば、ペプチド、タンパク質、及びDNAなどの伝達用担体、及び細胞及び生成物への優れた営養物運送のような多くの長所を有している。
【0005】
生体内(in situ)形成ヒドロゲルは、UV−重合反応やマイケル付加反応を通じた化学的交差結合を利用したヒドロゲルと、イオン結合、立体錯体結合と、疎水性相互作用を利用した温度感応性のような物理化学的交差結合を利用したヒドロゲルとに大きく区分される。化学的交差結合を利用した生体内(in situ)形成ヒドロゲルの場合、光開始剤と交差結合剤のような毒性添加剤の使用による細胞毒性及び生体内安定性の問題で一部制限を有している。一方、物理化学的交差結合を利用した生体内(in situ)形成ヒドロゲルの場合、前述した毒性物質が添加されないが、低い機械的強度と安定性などの制限を有している。
【0006】
特に、温度感応性ヒドロゲルの場合、ヒドロゲルを形成する前に、前駆体である高分子溶液の高い粘度によって薬物または細胞を均一に混合しにくく、高分子溶液の製造に長時間がかかるという欠点を有する。また、立体錯体結合によるヒドロゲルの場合、分解される副産物の酸性によって細胞毒性及び周辺組職壊死を誘発するという欠点を有する。
【0007】
このような問題点を改善するために、最近、酵素感応性生体内(in situ)形成ヒドロゲルが開発されている。このような酵素感応性ヒドロゲルは、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)と過酸化水素(H)との存在下で、酵素反応を通じた生体内(in situ)形成ヒドロゲルシステムとして開発され、これは、化学的交差結合によるヒドロゲルが有する長所である高い機械的強度と優れた生体内安定性とを有するヒドロゲルを生成できるようにする。
【0008】
現在開発されている酵素感応性生体内(in situ)形成ヒドロゲルは、次の通りである。デキストラン−チラミン(dec−TA)(Rong Jin et al,Biomaterials 2007)、ヒアルロン酸−チラミン(HA−TA)(Motoichi Kurisawa et al,Chem.Commun.2005)、ゼラチン−ヒドロキシプロパン酸(GHPA)(Lishan Wang et al,Biomaterials 2009)、ゼラチン−チラミン(GTA)(Shinji Sakai et al,Biomateirals 2009)、アルギン酸−ヒドロキシフェニル酢酸(AHPA)(Shinji Sakai et al,Acta Biomaterialia2007)などが、これに属する。
【0009】
ヒアルロン酸−チラミンの場合、アメリカのLifeCore社によって製品が販売されており、数編のPCT及びアメリカ特許が登録されている状況である。前述したヒドロゲルは、高分子鎖内にフェノール誘導体を含んでおり、このフェノール誘導体がHRP媒介カップルリング反応を通じてオルト位置での炭素−炭素結合またはオルト位置の炭素とフェノキシ酸素との間の炭素−酸素結合を通じてヒドロゲルを形成する。
【0010】
形成されたヒドロゲルのゲル化時間、機械的強度、生分解性などの物理化学的性質は、HRPとHとの濃度調節を通じて容易に調節することができる、という特徴を有する。しかし、このような酵素感応性ヒドロゲルは、高分子溶液の溶解度、フェノール−フェノール結合の反応性による低い安定性及び機械的強度のような、まだ解決することができないさまざまな課題を有する。
【0011】
例えば、前述したヒドロゲルは、ゲルを形成する前の高分子溶液の高い粘度によって1〜5重量%内外で使わなければならないという欠点を有する。このようなヒドロゲル形成前の高分子溶液の高い粘度は、ヒドロゲル内部での細胞または薬物の均一な混合に多くの欠点を有しており、実際に用いるにあたって、多くの課題を残す。
【0012】
ゼラチン−チラミン(GTA)ヒドロゲルの場合、高分子溶液の低い溶解度によって、ヒドロゲル形成時に不透明になるという欠点と、高分子溶液可溶濃度が5wt%以内の場合のみ使用可能である、という欠点とを有している。特に、ゼラチンを利用した場合には、低い温度での溶解度が非常に重要な問題として注目されるために、このような課題の解決が必要である。
【0013】
また、ゼラチン−ヒドロキシプロパン酸(GHPA)ヒドロゲルの場合、形成されたヒドロゲルの最大強度が600Pa前後で相対的に弱い機械的強度を有する、という欠点を有する。このような問題は、高分子主鎖にフェノール誘導体が直接結合されることにより発生する問題点とみなされている。フェノール−フェノール誘導体を形成するために、フェノール誘導体の移動度が重要な役割を行うが、これは、フェノール−フェノール結合のためには、HRP分子とフェノール誘導体との距離が数Å(オングストローム)になるとラジカルが生成されるためである。したがって、フェノール誘導体が直接結合されている形態では、前記のような制限点を表わす。
【0014】
したがって、生体安定性及び優れた機械的強度を有する生体内(in situ)形成ヒドロゲルを開発する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前記従来技術の問題点を解決するために、本発明者は、高分子主鎖として用いられる天然または合成高分子とフェノールまたはアニリン誘導体との間に、リンカーとしてポリエチレングリコールのような親水性高分子(水溶性高分子)を用いることによって、高分子の溶解度を向上させ、取り扱いが容易であり、かつ、フェノール−フェノール結合またはアニリン−アニリン結合の反応性を増加させてより安定し、機械的強度が向上した生体内(in situ)形成ヒドロゲルを開発した。
【0016】
これにより、本発明の目的は、生体安定性及び優れた機械的強度を有する生体内(in situ)形成ヒドロゲルを開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を果たすために、本発明は、リンカーを通じてフェノール誘導体またはアニリン誘導体が結合された同種または異種の下記一般式(1)で表される2つ以上の高分子について、隣接する2つ以上の高分子間のフェノール部またはアニリン部間の脱水素結合によって連結されてなる、ことを特徴とする下記一般式(2)で表される生体内注入型ヒドロゲルを提供する:
【0018】
【化1】

・・・(1)
【0019】
【化2】

・・・(2)
【0020】
前記一般式(1)または一般式(2)で、
Rは、ヒドロキシル基またはアミン基であり、Lは、リンカーであって、親水性高分子鎖(水溶性高分子リンカー)である。
【0021】
前記高分子に西洋ワサビペルオキシダーゼ、及び過酸化水素を添加することにより、高分子が生体内(in situ)で架橋される。
【0022】
前記化学式1で表される高分子は、親水性高分子(水溶性高分子)をリンカーとして用いて、アミノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を有する高分子主鎖に、化学式3で表されるフェノール誘導体またはアニリン誘導体を、アミド、ウレタン、ウレア、またはエステル結合させることで製造可能である:
【0023】
【化3】

・・・(3)
【0024】
前記一般式(3)で、Rが、ヒドロキシル基またはアミン基であり、Rは、カルボキシル基またはアミン基である。
【0025】
例えば、下記の反応式1ないし5のように、化学式1で表される高分子を製造することができる。この場合、反応式において、EDCは、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド、NHSは、N−ヒドロキシスクシンイミド、TEAは、トリエチルアミン、DMAPは、ジメチルアンモ二ウムピリジン、NPCFは、p−ニトロフェニルクロロフォーメイトを意味する。
【0026】
より詳細には、(i)ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する水溶性高分子を調製する工程と、(ii)フェノール誘導体またはアニリン誘導体のうち何れか1つを添加する工程と、(iii)アミン基またはヒドロキシル基を有する高分子主鎖を添加する工程と、を経て化学式1で表される高分子を製造することができる。
【0027】
前記水溶性高分子に、無水コハク酸またはNPCFのうち何れか1つの化合物、TEA及びDMAPを添加する工程を工程(i)及び工程(ii)の間にさらにあってもよい。
【0028】
前記フェノール誘導体またはアニリン誘導体の添加時に、EDC及びHNSをともに添加して、前記フェノール誘導体またはアニリン誘導体を活性化し、親水性高分子(水溶性高分子)と反応させることができる。また、高分子主鎖添加時にも、EDC及びHNSをともに添加して活性化することができる。
【0029】
また、工程(ii)及び工程(iii)の間に、ジアミン化合物を添加する工程を追加することもできる。
【0030】
【化4】

【0031】
【化5】

【0032】
【化6】

【0033】
【化7】

【0034】
【化8】

【0035】
また、本発明における前記高分子骨格としては、ゼラチン、キトサン、ヘパリン、セルロース、デキストラン、デキストランサルフェート、コンドロイチンサルフェート、ケラタンサルフェート、デルマタンサルフェート、アルギン酸、コラーゲン、アルブミン、フィブロネクチン、ラミリン、エラスチン、ビトロネクチン、及びフィブリノーゲルからなる群から選択された1つまたは2つ以上の高分子が使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本発明で用いられた前記フェノール誘導体は、チラミン、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシプロピオン酸、及びその誘導体からなる群から選択された1つまたは2つ以上であり、前記アニリン誘導体としては、ヒドロキシエチルアニリン、アミノエチルアニリン、アミノベンジルアルコール、及びその誘導体からなる群から選択された1つまたは2つ以上使用できる。
【0037】
本発明で、リンカーとしては、ポリカチオン、ポリアニオン、両性高分子、非イオン性高分子、ポリペプチド、脂肪族高分子、芳香族高分子、ポリエステル、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリウレタン、及びポリアミド鎖からなる群から選択された何れか1つの水溶性高分子が使用可能である。前記共重合体としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(polyNIPAAM)、ポリフマレート、ポリオルガノホスファゼン、ポリアクリル酸(polyAAc)、ポリアクリルスルホン酸、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(polyHEMA)、PEO−PPO−PEO(Pluronic(登録商標)シリーズ)、4−アーム PEO−PPO−PEO(Tetronic(登録商標)シリーズ)、PEG−PEI、PEG−PVA、PEG−PEI−PVA、PEI−PVA、ポリ(NIPAAM−co−AAc)、ポリ(NIPAAM−co−HEMA)、及びこれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
また、本発明で用いられたリンカーであって、水溶性高分子としては、親水性線形またはマルチ−アームブロック共重合体から選択されたものを使い、前記マルチ−アームブロック共重合体としては、ポリエチレングリコール(PEG)−ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレングリコール(PEG)−ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)−ポリ(DL−乳酸−CO−グリコール酸)(PLGA)、ポリ((プロピレン)フマール酸)、ポリ((エチレン)フマール酸)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
また、前記ヒドロゲルは、西洋ワサビペルオキシダーゼ、及び過酸化水素の濃度を調節してゲル化時間、ゲル安定性(分解時間)、機械的強度、または含水率から選択された物理化学的性質を調節することができる。
【0040】
また、前記ヒドロゲルは、水溶性高分子の分子量を調節してゲル化時間、ゲル安定性、機械的強度、または含水率から選択された物理化学的性質を調節することができる。
【0041】
本発明によるヒドロゲルは、二連シリンジキットを構成して生体内(in situ)架橋を形成し、前記二連シリンジキットにスプレーノズルを結合してスプレー可能とする。また、前記二連シリンジキットとテフロン型とを用いてヒドロゲルシートまたはディスクを製造することができる。
【0042】
また、本発明は、前記生体内注入型ヒドロゲルに、さらにフェノールまたはアニリン基を有する生理活性物質を含んで生体内(in situ)架橋形成されたことを特徴とする生体内注入型ヒドロゲルを提供する。前記生理活性物質としては、チロシンを含むペプチドを使用し得る。
【0043】
また、本発明は、前記生体内注入型ヒドロゲルを含む組職再生及び充填用インプラント素材を提供する。
【0044】
前記インプラント素材は、軟骨再生、骨再生、歯槽骨再生、皮膚再生、心筋再生、人工水晶体、脊髓神経再生、脳神経再生、声帯再生及び増強剤、癒着防止膜、尿失禁治療剤、シワ除去剤、火傷治療剤、組職増強剤、及び脊椎椎間板治療剤からなる群から選択された何れか1つに適用可能である。
【0045】
また、本発明は、前記生体内注入型ヒドロゲルを含む生理活性物質または薬物伝達体用担体を提供する。
【0046】
前記生理活性物質または薬物は、ペプチドまたはタンパク質医薬品、抗菌剤、抗癌剤、及び抗炎症剤からなる群から選択された何れか1つまたは2つ以上として使用し得る。
【0047】
前記ペプチドまたはタンパク質医薬品は、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、形質転換増殖因子(TGF)、骨形成因子(BMP)、ヒト成長ホルモン(hGH)、ブタ成長ホルモン(pGH)、白血球増殖因子(G−CSF)、赤血球増殖因子(EPO)、マクロファージ増殖因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インターフェロン−α,β,γ、インターロイキン−2(IL−2)、カルシトニン、神経増殖因子(NGF)、成長ホルモン放出因子、アンジオテンシン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン作動薬(LHRHアゴニスト)、インシュリン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、アンジオスタチン、エンドスタチン、ソマトスタチン、グルカゴン、エンドルフィン、バシトラシン、マゲイン、コリスチン、モノクローナル抗体、ワクチン類、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0048】
前記抗菌剤は、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オフロキサシン、ホスホマイシン、マゲイン、プロフロキサシン、アンピシリン、ペニシリン、ドキシサイクリン、チエナマイシン、セファロスポリン、ノルキサシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、パロモマイシン、ミクロノマイシン、アミカシン、トブラマイシン、ジベカシン、セフォタキシン、セファクロル、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、エノキサシン、バンコマイシン、イミペネム、フシジン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0049】
前記抗癌剤は、パクリタキセル、タキソテール、アドリアマイシン、エンドスタチン、アンギオスタチン、マイトマイシン、ブレオマイシン、シスプラチン、カボプラチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、アクチノマイシン−D、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0050】
前記抗炎症剤は、アセトアミンフェン、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシン、ピロキシカム、フェノプロフェン、フルビプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、スプロフェン、ロキソプロフェン、シノキシカム、テノキシカム、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0051】
本発明の一実施例において、高分子主鎖として酵素分解性天然高分子であるゼラチンと、中間にリンカーとしてPEGのような水溶性高分子とを用いて、フェノール誘導体を結合させてゼラチン−PEG−チラミン(GPEG−TA)を合成し、HRPとH存在下で前記高分子からヒドロゲルを製造した。このように製造されたヒドロゲルは、リンカーで連結されていない高分子、すなわち、ゼラチン−ヒドロキシフェニル酢酸(GHPA)から製造されたヒドロゲルと比較した場合、高分子溶液の溶解度向上、ゲル化時間短縮、機械的強度向上、及び生体内安定性向上を示した。
【0052】
本発明によるヒドロゲルは、組織工学用注入型骨格、タンパク質、DNA、成長因子及び細胞のような薬物の徐放型薬物伝達体、組職充填剤、傷治療剤、及び腸癒着防止剤などの多様な生物医学的応用が可能である。
【0053】
より詳細には、本発明によるヒドロゲルは、組織工学用有効骨格を形成する人工細胞外マトリックスとして用いられる。この際、ヒドロゲルの分解速度は、ゲル内部にある細胞の分化及び成長に対して、非常に重要な役割を担うので、適切な分解速度調節が必須である。例えば、ゼラチンは、細胞が分泌するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、特に、MMP−2,9によって特異的に分解される。ゼラチンを含有するヒドロゲルマトリックスは、このような酵素によって分解され、再び細胞が分泌する細胞外マトリックス(ECM)として再形成されることにより、ヒドロゲル内部の細胞が効果的に成長し、分化することができる。
【0054】
また、組織工学用有効骨格として用いられるヒドロゲルのマトリックス剛度も、ゲル内部にある細胞の成長と分化とに多くの影響を及ぼす。また、各細胞に適切なマトリックス剛度が要求される。例えば、骨細胞は、剛度の高いマトリックスでよく成長することが明らかであり、、軟組織細胞、例えば、繊維芽細胞、筋肉母細胞などは、剛度の低いマトリックスでよく成長すると知られている。酵素反応を利用したシステムでは、過酸化水素の量を調節することで容易にヒドロゲルの架橋を調節し、それにより、ヒドロゲルの剛度を容易に調節することができる。
【0055】
また、本発明によるヒドロゲルは、薬物伝達用有効骨格としての人工細胞外マトリックスとして用いられる。例えば、多様な成長因子との物理的結合を向上させるヘパリンにチラミンを導入して成長因子を効果的に胆持し、徐放型放出挙動を可能とする(成長因子結合サイト)。フェノールで修飾された細胞接着ペプチドまたはタンパク質、例えば、RGDYまたはYIGSRを用いてヒドロゲルマトリックス内部の細胞接着力を向上させることができる。効果的な細胞の成長と分化とに必要なこのような成分から、酵素的機序を用いて、生体内(in situ)形態で人工ECMを作ることができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、高分子主鎖として用いられる天然または合成高分子とフェノールまたはアニリン誘導体との間に、リンカーとしてPEGのような水溶性高分子を用いることによって、高分子の溶解度を向上させ、取り扱いが容易であり、かつ、フェノール−フェノール、アニリン−アニリンなどの結合の反応性を増加させ、リンカーを用いていない高分子で製造されたヒドロゲルに比べ、結果的に生体内安定性及び機械的強度が向上した新たな形態の生体内(in situ)形成ヒドロゲルを提供することができる。また、このような生体内(in situ)形成ヒドロゲルを用いて、生物医学的適用範囲を拡張させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本発明における、上記のまたは他の目的、特徴及び効果は、下記の図面と組み合わせて、下記の詳細な説明によって、より鮮明に理解されるであろう。
【図1】GPEG−TAの合成の模式図を示す。
【図2】GHPAの合成の模式図を示す。
【図3】酵素反応を利用したGPEG−TAヒドロゲルの製造の模式図を示す。
【図4】二連シリンジを利用した生体内(in situ)形成ヒドロゲルの製造の模式図を示す。
【図5】二連シリンジ及びスプレーキットを利用したスプレー型ヒドロゲルの製造方法を示す図である。
【図6】テフロン型を利用した、GPEG−TAヒドロゲルシート及びディスクの製造方法を示す図である。
【図7】GPEG−TAヒドロゲルを利用した、2D細胞付着及び増殖結果を示す図である。
【図8】GPEG−TAヒドロゲルを利用した、3D細胞付着及び増殖結果を示す図である。
【図9】GPEG−TAヒドロゲルを利用した、in vivo安定性の評価結果を示す図である。
【図10】GPEG−TAヒドロゲルを利用した、ヒト成長ホルモン(hGH)放出挙動の評価結果を示す図である。
【図11】GPEG−TAヒドロゲルを利用した、軟骨再生の評価結果を示す図である。
【図12】GPEG−TAヒドロゲルを利用した、脊髓再生の評価結果を示す図である。
【図13】GPEG−TAヒドロゲルを利用した、声帯再生または充填の評価結果を示す図である。
【図14】GPEG−TAヒドロゲルを利用した、癒着防止の評価結果を示す図である。
【図15】GPEG−TAヒドロゲルを利用した、椎間板再生の評価模式図及び方法を示す図である。
【図16】GPEG−TAヒドロゲルを利用した、椎間板再生の評価模式図及び方法を示す図である。
【図17】酵素濃度によるGPEG−TA及びGHPAヒドロゲル形成時間の変化を比較した図である。
【図18】GPEG−TA及びGHPAヒドロゲルの機械的強度の比較及びGPEG−TAヒドロゲルのH濃度による機械的強度の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明の一実施例においては、高分子主鎖としてゼラチンを使い、リンカーとしてPEGを用いて、フェノール誘導体であるチラミンを結合してゼラチン−PEG−チラミン(GPEG−TA)高分子を合成し、前記高分子から酵素反応を用いて新たな形態の生体内(in situ)形成ヒドロゲルを製造することができた。
【0059】
リンカーとしてPEGを導入することによって、高分子の溶解度を向上させるだけではなく、チラミンの反応性を増加させて、結果的にリンカーを用いていないヒドロゲルに比べて、安定性と機械的強度とが向上したことを確認した。実験の対照群としては、ゼラチン−ヒドロキシフェニル酢酸(GHPA)を用いて、リンカーの有無による物理化学的差についての評価を行った。
【0060】
製造された生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲル内で、ゼラチンは、細胞に対するMMP及び生理活性基質によるタンパク質性分解に対する基質としての役割を担う。GPEG−TAヒドロゲルの物理化学的特性、例えば、ゲル化時間、ゲル安定性、膨潤程度、及び機械的強度は、過酸化水素濃度に応じて特定された。特に、体外細胞活性測定は、GPEG−TAヒドロゲルの細胞適合性を確認するために実施され、生体内安定性及び多様な組職再生評価のために、軟骨再生、声帯再生及び増強、腸癒着防止、脊髓再生、椎間板再生、骨組職再生などの動物実験が、以下のように行われた。
【実施例】
【0061】
以下、実施例を通じて本発明をより詳しく説明する。しかし、このような実施例によって、本発明の範囲が限定されるものではない。
【0062】
<製造例1>ゼラチン−PEG−チラミン(GPEG−TA)の合成
図1は、GPEG−TA共重合体の合成模式図を示す。
【0063】
1.ポリエチレングリコール−(p−ニトロフェニルクロロフォーメイト)(PEG−NPCF)の合成
PEG 10g(2.9mmol)をメチレンクロライド(MC)100mLに溶解させた後、この溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.779g(6.38mmol)とトリメチルアミン(TEA)0.645g(6.38mmol)とをMC 10mlに溶解させた溶液と、NPCF 1.286g(6.38mmol)をMC 50mlに溶解させた溶液とを順次に混合させた。この際、PEG:DMAP:TEA:NPCFのmol比率は、1:2.2:2.2:2.2とし、反応温度は30℃とし、窒素雰囲気下で24時間反応を進行させた。
【0064】
反応終了後、濾過器を用いて溶液に残存する試薬を除去した後、回転式蒸発濃縮器を用いて反応溶液を濃縮させた。濃縮溶液を冷エーテル1600mLに滴下して沈澱を生成させ、この沈殿物を濾過器を用いて濾過して生成物を得た。該得られた生成物は、残余有機溶媒を除去するために、真空オーブンに24時間静置した後、結果的に白色の粉末形態の生成物(PEG−NPCF)を得た。
【0065】
2.GPEG−TAの合成
予め用意したPEG−NPCF 5g(1.471mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO)100mLに溶解させた溶液にチラミン(TA)0.202g(1.471mmol)をDMSO 50mLに溶解させた溶液を添加して反応を進行させた。PEG−NPCF:TAのmol比率は、1:1とし、この場合、反応温度は30℃とし、窒素雰囲気下で6時間反応を進行させた。6時間後、ゼラチン溶液(1g/200mL in DMSO)と混合して、30℃の窒素雰囲気下で24時間反応を進行させた。
【0066】
反応終了後、水を用いて反応溶液をメンブレン透析(6000〜8000da分子量遮断)に供し、未反応のPEG−TAを除去した。透析が完了した後、溶液を凍結乾燥して白色の粉末生成物(GPEG−TA)を得た。合成されたGPEG−TAの化学構造は、H NMRを通じてTA置換物の特性ピーク(6.91〜7.23ppm)の出現よりを確認し、合成が良好に行われたことを確認した。
【0067】
<製造例2>ゼラチン−ヒドロキシフェニル酢酸(GHPA)の合成
図2は、GHPAの合成模式図を示す。
すなわち、10gのゼラチンを0.1M 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)200mlに溶解させた(溶液A)。4−ヒドロキシフェニル酢酸(HPA)0.609g(4mmol)を0.1M MES 50mlに溶解させた(溶液B)。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)0.92g(4.8mmol)とN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)0.276g(2.4mmol)とを、それぞれ5mlの0.1M MESに溶解させた。
【0068】
次いで、EDC溶液とNHS溶液とを溶液Bに15分間隔で順次に加えた。EDC/NHSで活性化された溶液Bを溶液Aに混合して反応を始めた。このとき、反応温度は40℃とし、反応時間は、24時間とした。
【0069】
反応終了後、反応溶液を、シリンジフィルター(450nm)を用いて濾過した。次いで、蒸留水を用いて、3〜4日間メンブレン透析(3500Da分子量遮断)を実施した。透析後の溶液を凍結乾燥して、白色粉末形態の生成物(GHPA)を得た。合成されたGHPAの化学構造は、H NMRを通じて、TA置換物の特性ピーク(6.91〜7.23ppm)の出現により確認し、合成が良好に行われたことを確認した。
【0070】
<実施例1>酵素反応を利用したGPEG−TAヒドロゲルの製造
GPEG−TA高分子をHRP溶液に溶かした溶液(溶液A)とGPEG−TAをH溶液に溶かした溶液(溶液B)とを混合することによって、ヒドロゲルを形成させた。このとき、高分子溶液の最終濃度は、1〜20重量%まで調節が可能であり、二連シリンジキット、スプレーキット、テフロン型などを用いて多様な形態への応用が可能であった。
【0071】
GHPA及びCHPA、GPEG−PAまたはCPEG−TAをHに懸濁し(溶液B)、HRP中Tet−Ta/DA溶液(溶液A)と混合してヒドロゲルを調製した。
【0072】
GHPAヒドロゲルの場合も同じ方法で製造可能であるが、高分子溶液の最終濃度を5〜10重量%までしか調節することができず、10重量%濃度でも、実際的に高い粘度によって高分子溶液を扱うのが困難であった。相対的にPEGが導入されたGPEG−TAの場合、GHPAに比べて水に対する優れた溶解度を有し、低い粘度によって高分子溶液を扱うのが容易であった。
【0073】
図3は、酵素反応を利用したGPEG−TAヒドロゲルの製造の模式図を示す。
【0074】
<実施例2>二連シリンジキットを利用した生体内(in situ)形成ヒドロゲルの製造
GPEG−TA高分子をHRP溶液に溶かした溶液(溶液A)とGPEG−TAをH溶液に溶かした溶液(溶液B)とを二連シリンジキットを用いて生体内(in situ)形成ヒドロゲルを製造した。この際、溶液Aと溶液Bは、それぞれのシリンジで注入した。図4は、二連シリンジキットを利用した生体内(in situ)形成ヒドロゲルの製造の模式図を示す。
【0075】
<実施例3>二連シリンジキットとスプレーキットとを利用したスプレー型ヒドロゲルの製造
GPEG−TA高分子をHRP溶液に溶かした溶液(溶液A)とGPEG−TAをH溶液に溶かした溶液(溶液B)とをシリンジにそれぞれ挿入して二連シリンジキットを構成し、ノズルにスプレーキットを用いてスプレー型ヒドロゲルを製造した。図5は、二連シリンジキットとスプレーキットとを利用した、スプレー型ヒドロゲルの製造の模式図を示す。
【0076】
<実施例4>テフロン型を利用したヒドロゲルシート及びディスクの製造
GPEG−TA高分子をHRP溶液に溶かした溶液(溶液A)とGPEG−TAをH溶液に溶かした溶液(溶液B)とをシリンジにそれぞれ挿入して、二連シリンジキットを構成し、該構成された溶液を注射針を用いて、製造されたテフロン型に注入し、所望の形状のヒドロゲルシート及びディスクを製造した。図6は、テフロン型を利用したGPEG−TAヒドロゲルシート及びディスクの製造の模式図を示す。
【0077】
<実験例1>GPEG−TAヒドロゲルを利用した2D細胞適合性の評価
体外細胞適合性の評価のために、実施例4のように、テフロン型を用いてGPEG−TAヒドロゲルディスクを製造した後、該製造されたヒドロゲルディスクの表面に多様な細胞を培養して、細胞付着及び増殖評価を行った。製造されたヒドロゲルの最終濃度は5重量%とし、機械的強度は、2700Paとした。
【0078】
実験に用いられた細胞群は、筋肉母細胞(C2C12)、造骨細胞(MC3T3)、ラット中間葉幹細胞(MSC)を用いて細胞適合性の評価を行った。実験に用いられた細胞の濃度は、1X10 cells/wellであり、培養された細胞は、位相差顕微鏡とlive/dead解析とを通じて観察した。
【0079】
その結果、図7のように、あらゆる細胞群で優れた細胞付着及び増殖が観察されたことで、GPEG−TAヒドロゲルの優れた体外細胞適合性の結果が確認された。一方、GHPAヒドロゲルの場合、ヒドロゲル安定性がGPEG−TAに比べて著しく低くて、24時間以内にヒドロゲル構造が崩壊するという問題発生して、細胞適合性の評価を行うことができなかった。
【0080】
GPEG−TAヒドロゲルの場合、PEG導入によってチラミンの反応性が増加して架橋度が向上し、結果的に優れた安定性を示すことが予想され、また、GPEG−TAヒドロゲルの多様な細胞に対する優れた細胞適合性が確認されたことによって、これを利用した多様な組職再生が可能であることが確認された。
【0081】
<実験例2>GPEG−TAヒドロゲルを利用した3D細胞付着及び増殖の評価
GPEG−TAヒドロゲルを用いて3D細胞カプセル化実験を行った。GPEG−TA高分子をHRPに溶かした溶液(溶液A)とGPEG−TA高分子をHに溶かした溶液(溶液B)とを製造した後、溶液Aに細胞を投入した。細胞を投入した溶液Aと溶液Bとを同量で混合してヒドロゲルを形成した後、7日間細胞培養を進行させた。
【0082】
製造されたヒドロゲルの最終濃度は5重量%とし、実験に使った細胞群は、人間心臓前駆細胞(hCPC)とラットMSCとし、細胞濃度は、5X10 細胞/ウェルとして実験を行った。培養された細胞は、F−アクチン分析とlive/dead分析とを通じて分析した。
【0083】
その結果、図8のように、3Dカプセル化された細胞がヒドロゲルマトリックスの内部で効果的に付着し、増殖することを確認した。これを通じて、GPEG−TAヒドロゲルが多様な細胞の効果的な3次元培養が可能であり、多様な組職再生に応用が可能となることが確認された。
【0084】
<実験例3>GPEG−TAヒドロゲルを利用したin vivo安定性の評価
白ウサギを用いて、GPEG−TAヒドロゲルの生体内安定性の評価を行った。実験のために、GPEG−TA高分子をHRPに溶かした溶液(溶液A)とGPEG−TA高分子をHに溶かした溶液(溶液B)とを製造した後、実施例2のような方法で二連シリンジキットを構成した。該構成されたキットを用いて白ウサギに経皮注入して2週間移植した後、組職を摘出してH&E染色を通じて炎症反応及び周辺組職浸湿を観察した。
【0085】
その結果、図9のように、注入されたGPEG−TAヒドロゲルの内部に周辺組職が成長して貫入することが確認され、特異的な炎症反応や異物反応は確認されなかった。このような結果を通じて、GPEG−TAヒドロゲルが生体内で安定し、組職再生にも効果的であることが確認され、また、生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルを利用した移植が可能であるということが確認された。
【0086】
<実験例4>GPEG−TAヒドロゲルを利用したin vivo人間成長ホルモン(hGH)放出挙動の評価
生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルを利用した生体内(in vivo)ヒト成長ホルモン(hGH)放出挙動の評価を行った。実験動物モデルとしては、S.D.ラット(5〜6週齢)を使った。
【0087】
実験のために、実施例2と同じ方法で二連シリンジキットを構成し、この際、人間成長ホルモン(hGH)は、溶液Aに混合した。構成されたキットを用いてラットの経皮に注入した後、2週間実験を進行させた。
【0088】
その結果、図10のように、生体内でhGHが徐放型に放出されることが確認され、GPEG−TAヒドロゲルは2週後、生体内で分解した。また、過酸化水素または高分子の濃度を調節することで、放出速度の調節を行うことが可能であった。このような結果を通じて、生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルがhGH伝達体として効果的に用いられることが確認された。
【0089】
<実験例5>GPEG−TAヒドロゲルを利用した軟骨再生の評価
生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルを利用した軟骨再生の評価を行った。実験群は、対照群(defect only)、GPEG−TAヒドロゲル、GPEG−TAに軟骨細胞が混合されたヒドロゲル、GPEG−TAにTGF−β3と軟骨細胞とがともに混合されたヒドロゲルを用いて実験を行った。
【0090】
実験のために、実施例2と同じ方法で二連シリンジキットを構成し、この際、軟骨細胞とTGF−β3とを溶液Aに混合した。構成されたキットを用いて白ウサギの軟骨に注入した後、4週間実験を進行させた。
【0091】
その結果、図11のように、対照群を除いたあらゆる実験群で効果的な軟骨の再生を確認することができた。このような結果を通じて、生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルが軟骨再生において効果的に用いられることが確認された。
【0092】
<実験例6>GPEG−TAヒドロゲルを利用した脊髓再生の評価
生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルを利用した脊髓再生の評価を行った。実験のために、実施例2と同じ方法で二連シリンジキットを構成した。動物モデルとしてラットを用い、ラット脊髓に片側切除を施して欠損を作り、構成された二連シリンジキットを用いて欠損部位に注入して、2週間実験を進行させた。
【0093】
その結果、図12のように、生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルが欠損部位を良好に埋設することを確認し、注入2週間後に組職を摘出し、組職免疫染色を行うことで脊髓再生程度を観察した。組職染色結果により、注入されたGPEG−TAヒドロゲルが周辺宿主組職とよく融化されていることが確認することができ、脊髓組職が再生されていることを確認することができた。
【0094】
このような結果を通じて、生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルが脊髓再生に効果的に用いられることが確認された。
【0095】
<実験例7>GPEG−TAヒドロゲルを利用した声帯再生または充填剤の評価
生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルを利用した、声帯再生及び増強剤の評価を行った。実験のために、実施例2と同じ方法で二連シリンジキットを構成した。溶液Aに軟骨細胞を混合して実験を進行させた。
【0096】
動物モデルは、白ウサギを利用し、構成された二連シリンジキットを用いて声帯に注入した後、1ヶ月間実験を進行させた。移植期間中にCT撮影を通じて声帯再生と修復とを確認し、実験終了後、組職を摘出して炎症及び免疫反応を確認し、軟骨細胞の増殖及び組職再生程度RT−PCR、ウェスタンブロットなどを用いて確認した。
【0097】
その結果、図13のように、生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルが声帯再生または増強に効果的に用いられることが確認された。
【0098】
<実験例8>GPEG−TAヒドロゲルを利用した癒着防止膜の評価
生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルを利用した癒着防止膜の評価を行った。実験のために、実施例3と同じ方法でスプレー型二連シリンジキットを構成した。実験のための動物モデルとしては、ラットを使い、ラットの盲腸と腹膜とに傷を出して傷部位に構成されたスプレー型二連シリンジキットを用いてヒドロゲルを塗布した後、2週間実験を進行させた。2週後に開腹して腸癒着程度と炎症及び異物反応とを観察した。
【0099】
その結果、図14のように、腸癒着が発生せず、特異的な炎症及び異物反応は観察されなかった。このような結果から生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルが癒着防止膜として効果的に用いられることが確認された。
【0100】
<実験例9>GPEG−TAヒドロゲルを利用した椎間板再生の評価
生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルを利用した椎間板再生の評価を図15及び図16のように実験した。実験のために、実施例2と同じ方法で二連シリンジキットを構成した。動物モデルは、ブタを利用し、構成された二連シリンジキットを用いて椎間板(髓核)に注入した後、1ヶ月間実験を進行させた。
【0101】
移植期間中にMRI撮影によって髓核再生程度を確認し、実験終了後、組職を摘出して炎症及び免疫反応有無を観察し、髓核再生程度を組職学的染色及びRT−PCRなどを用いて確認した。
【0102】
その結果、生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルが椎間板治療に効果的に用いられることが確認された。
【0103】
<実験例10>GPEG−TAヒドロゲルを利用した骨組職再生の評価
生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルを利用した骨組職再生の評価を行った。実験のために、実施例2と同じ方法で二連シリンジキットを構成した。溶液Aに、ヒドロキシアパタイトまたはリン酸三カルシウムのような骨形成に効果的な無機物質と、骨形成因子(BMP)または形質転換増殖因子(TGF)のような骨形成に効果的な成長因子とを混合して実験を進行させた。
【0104】
動物モデルは、ラットを利用し、構成された二連シリンジキットを用いて頭蓋骨欠損部位に注入した後、1〜2ヶ月間実験を進行させた。移植期間中にCT撮影を通じて骨組職再生程度を観察し、実験終了後、組職を摘出して炎症及び免疫反応を確認し、骨組職再生程度を組職染色及びカルシウム形成により確認した。
【0105】
本実験を通じて、生体内(in situ)形成GPEG−TAヒドロゲルが骨組職再生に効果的に用いられることが確認された。
【0106】
<実験例11>酵素濃度によるGPEG−TAとGHPAヒドロゲル形成時間の変化比較
HRP濃度によるGPEG−TAとGHPAヒドロゲルのゲル化時間の変化を評価した。実験のために、実施例1のような方法で溶液Aと溶液Bとを製造した後、2つの溶液を同量で混合してヒドロゲルを製造した。このとき、溶液Aは、多様なHRPの濃度を用いて製造した。ヒドロゲル形成時間は、バイアル傾斜法(vial tilting method)を用いて溶液が流れなくなる時間を測定して分析した。
【0107】
その結果、図17のように、HRPの濃度の調節により、ゲル化時間を5〜180秒の範囲内で調節可能であることが確認された。HRPの濃度が増加するにつれてゲル形成時間が短くなるが、その原理は、HRPの濃度が増加するにつれて過酸化水素の分解が促進されてラジカルの生成速度が速くなり、その結果、生成されたラジカルによってゲルが形成され、ゲル形成時間が短くなることによる。
【0108】
また、同じHRP濃度では、GPEG−TAヒドロゲルが、GHPAヒドロゲルに比べてゲル化時間が早いことが確認された。これは、高分子主鎖(ゼラチン)とチラミンとの間にPEGが導入されたGPEG−TA高分子が、主鎖(ゼラチン)にフェノール基が直接結合されたGHPAに比べて、反応性に優れ、結果的により効果的なチラミン−チラミン接合を形成することができることを暗示する。
【0109】
<実験例12>GPEG−TAとGHPAヒドロゲルの機械的強度の比較及びGPEG−TAヒドロゲルのH濃度による機械的強度の変化評価
レオメーターを用いて、GPEG−TAヒドロゲルとGHPAヒドロゲルとの機械的強度を比較測定し、GPEG−TAヒドロゲルの場合、過酸化水素の濃度を調節して機械的強度の変化について評価した。実験に用いられたヒドロゲルの最終濃度は、5重量%とした。
【0110】
同じ条件(HRP、過酸化水素と高分子溶液の濃度同一)で、GHPAヒドロゲルは100PaとGPEG−TAヒドロゲルは2700Paの機械的強度を示した(図18参照)。これは、フェノール基が直接結合されたGHPAに比べて、主鎖とチラミンとの間にPEGが導入されたGPEG−TAの場合、チラミン−チラミン接合反応性に優れて、より高い架橋度を有することによると考えられる。
【0111】
また、GPEG−TAヒドロゲルの場合、過酸化水素の濃度を調節してヒドロゲルの機械的強度調節が可能であるということが確認され、その範囲は、90〜2700Paであった。
【0112】
その結果、図18のように、PEGが中間リンカーとして用いられたGPEG−TAヒドロゲルが、同じ条件でGHPAより優れた機械的強度を示し、過酸化水素の濃度調節を通じて多様な機械的強度を有する生体内(in situ)形成ヒドロゲルを製造できることが確認された。
【0113】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、生体内注入型ヒドロゲル及びその生物医学的用途に関連する分野に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンカーを通じてフェノール部またはアニリン部が結合した、同種または異種の下記一般式(1)で表される2つ以上の高分子が、隣接する2つ以上の高分子間のフェノール部またはアニリン部間の脱水素結合によって連結されてなる、ことを特徴とする、下記一般式(2)で表される生体内注入型ヒドロゲル。
【化1】

・・・(1)
【化2】

・・・(2)
(前記一般式(1)または一般式(2)で、
Rは、ヒドロキシまたはアミン基であり、Lは、リンカーであって、親水性高分子鎖である)
【請求項2】
前記高分子に西洋ワサビペルオキシダーゼ及び過酸化水素を添加することにより、高分子が生体内(in situ)で架橋した、請求項1に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項3】
前記一般式(1)で表される高分子は水溶性高分子をリンカーとして用い、アミノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を有する高分子主鎖に、下記一般式(3)で表されるフェノール誘導体またはアニリン誘導体をアミド、ウレタン、ウレア、またはエステル結合させて製造される、請求項1に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【化3】

・・・(3)
(前記一般式(3)で、Rはヒドロキシル基またはアミン基であり、Rは、カルボキシル基またはアミン基である)
【請求項4】
前記高分子骨格は、ゼラチン、キトサン、ヘパリン、セルロース、デキストラン、デキストランサルフェート、コンドロイチンサルフェート、ケラタンサルフェート、デルマタンサルフェート、アルギン酸、コラーゲン、アルブミン、フィブロネクチン、ラミリン、エラスチン、ビトロネクチン、及びフィブリノーゲルからなる群から選択された、1つまたは2つ以上の高分子である、請求項1に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項5】
前記フェノール誘導体は、チラミン、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシプロピオン酸、及びその誘導体からなる群から選択された、1つまたは2つ以上である、請求項1に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項6】
前記アニリン誘導体は、ヒドロキシエチルアニリン、アミノエチルアニリン、アミノベンジルアルコール、及びその誘導体からなる群から選択された、1つまたは2つ以上である、請求項1に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項7】
前記リンカーは、ポリカチオン、ポリアニオン、両性高分子、非イオン性高分子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項8】
前記リンカーは、ポリエステル、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリペプチド、脂肪族高分子、芳香族高分子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項9】
前記リンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)−ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレングリコール(PEG)−ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)−ポリ(DL−乳酸−CO−グリコール酸)(PLGA)、ポリ((プロピレン)フマール酸)、ポリ((エチレン)フマール酸)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項10】
前記リンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(polyNIPAAM)、ポリフマレート、ポリオルガノホスファゼン、ポリアクリル酸(polyAAc)、ポリアクリルスルホン酸、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(polyHEMA)、及びこれらの共重合体からなる群から選択される、請求項1に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項11】
前記共重合体は、PEO−PPO−PEO(Pluronic(登録商標)シリーズ)、4−アームPEO−PPO−PEO(Tetronic(登録商標)シリーズ)、PEG−PEI、PEG−PVA、PEG−PEI−PVA、PEI−PVA、ポリ(NIPAAM−co−AAc)、ポリ(NIPAAM−co−HEMA)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項12】
前記ヒドロゲルは、西洋ワサビペルオキシダーゼ、及び過酸化水素の濃度を調節して、ゲル化時間、ゲル安定性(分解時間)、機械的強度、または含水率から選択された物理化学的性質を調節してなる、請求項1に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項13】
前記ヒドロゲルは、水溶性高分子の分子量を調節して、ゲル化時間、ゲル安定性、機械的強度、または含水率から選択された物理化学的性質を調節してなる、請求項1に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項14】
前記ヒドロゲルは、二連シリンジキットを構成して、生体内(in situ)架橋形成してなる、、請求項1に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項15】
前記二連シリンジキットにスプレーノズルを結合してスプレー可能にしてなる、、請求項14に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項16】
前記二連シリンジキットとテフロン型とを用いて、ヒドロゲルシートまたはディスクを製造してなる、請求項14に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項17】
前記ヒドロゲルは、さらにフェノールまたはアニリン基を有する生理活性物質を含んで生体内(in situ)架橋形成されたことを特徴とする請求項1に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項18】
前記生理活性物質は、チロシンを含むペプチドであることを特徴とする請求項17に記載の生体内注入型ヒドロゲル。
【請求項19】
請求項1ないし請求項18のうち何れか一項に記載の生体内注入型ヒドロゲルを含む、組職再生及び増強用インプラント素材。
【請求項20】
前記インプラント素材は、軟骨再生、骨再生、歯槽骨再生、皮膚再生、心筋再生、人工水晶体、脊髓神経再生、脳神経再生、声帯再生及び充填剤、癒着防止膜、尿失禁治療剤、シワ除去用増強剤、火傷治療剤、組職増強剤、及び脊椎椎間板治療剤からなる群から選択された何れか1つに適用される、請求項19に記載の組職再生及び充填用インプラント素材。
【請求項21】
請求項1ないし請求項18のうち何れか一項に記載の生体内注入型ヒドロゲルを含む、生理活性物質または薬物伝達体用担体。
【請求項22】
前記生理活性物質または薬物は、ペプチドまたはタンパク質医薬品、抗菌剤、抗癌剤、及び抗炎症剤からなる群から選択された何れか1つまたは2つ以上である、請求項21に記載の生理活性物質または薬物伝達体用担体。
【請求項23】
前記ペプチドまたはタンパク質医薬品は、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、転換成長因子(TGF)、骨形成因子(BMP)、ヒト成長ホルモン(hGH)、ブタ成長ホルモン(pGH)、白血球増殖因子(G−CSF)、赤血球増殖因子(EPO)、マクロファージ増殖因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インターフェロン−α,β,γ、インターロイキン−2(IL−2)、カルシトニン、神経成長因子(NGF)、成長ホルモン放出因子、アンジオテンシン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン作動薬(LHRHアゴニスト)、インシュリン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、アンジオスタチン、エンドスタチン、ソマトスタチン、グルカゴン、エンドルフィン、バシトラシン、マゲイン、コリスチン、単一抗体、ワクチン類、及びこれらの混合物からなる群から選択された何れか1つである、請求項22に記載の生理活性物質または薬物伝達体用担体。
【請求項24】
前記抗菌剤は、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オフロキサシン、ホスホマイシン、マゲイン、プロフロキサシン、アンピシリン、ペニシリン、ドキシサイクリン、チエナマイシン、セファロスポリン、ノルキサシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、パロモマイシン、ミクロノマイシン、アミカシン、トブラマイシン、ジベカシン、セフォタキシン、セファクロル、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、エノキサシン、バンコマイシン、イミペネム、フシジン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択された何れか1つである、請求項22に記載の生理活性物質または薬物伝達体用担体。
【請求項25】
前記抗癌剤は、パクリタキセル、タキソテール、アドリアマイシン、エンドスタチン、アンギオスタチン、マイトマイシン、ブレオマイシン、シスプラチン、カボプラチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、アクチノマイシン−D、及びこれらの混合物からなる群から選択された何れか1つである、請求項22に記載の生理活性物質または薬物伝達体用担体。
【請求項26】
前記抗炎症剤は、アセトアミンフェン、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシン、ピロキシカム、フェノプロフェン、フルビプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、スプロフェン、ロキソプロフェン、シノキシカム、テノキシカム、及びこれらの混合物からなる群から選択された何れか1つである、請求項22に記載の生理活性物質または薬物伝達体用担体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図17】
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【図18】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−531960(P2012−531960A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518497(P2012−518497)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004292
【国際公開番号】WO2011/002249
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(509005937)アジュ ユニバーシティ インダストリー−アカデミック コーポレーション ファウンデーション (6)
【Fターム(参考)】