説明

生体吸収性のパテ様止血性インプラント

記載されているのは、外科的介入および外傷に起因する骨からの出血を制御するための、および骨治癒の改善を促進するための骨誘導性マトリックスを提供するための、身体にインプラント可能な、適当に吸収性の、生体適合性、パテ様組成物である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年9月23日出願の米国特許仮出願60/504,979の優先権を主張する
連邦政府の援助を受けた研究または開発に関する声明(該当なし)
コンパクトディスクで提出された配列表、表もしくはコンピュータープログラムリストに関する参照(37CFR 1.52(e)(5)参照)(該当なし)
【0002】
発明の背景
技術分野
本発明は、パテ様粘稠度を有する物質を利用した整形外科的方法を含む、骨からの出血の外科的制御、骨欠損の治癒の改善、ならびに感染処置または予防に関する。より特に、吸収促進剤、脱塩骨基質(DBM)(骨生長誘発物質である)、および術後感染の危険性を減少させるための抗感染剤を含み得る、様々な新規の、外科的にインプラント可能な、吸収性の、パテ様製剤を骨止血デバイスとして使用する。
【0003】
関連技術の記載
海綿骨質および皮質骨は、その血管構造が破壊されたときに出血する、相対的に血管が多い組織を含む。故に、骨が外科的に切開されるか、または、例えば、開放骨折または複雑骨折で、外傷により骨折したとき、医学的に解決すべき少なくとも2種の主要な問題が存在する。第一のものは、骨からの出血の発生である。骨からの出血が続発したとき、それは、不利な外科的結果を防止するために止めるか、または有効に制御(止血)しなければならない。第2の問題は、傷ついた骨の治癒を促進するための骨の生長(骨形成)である。骨を外科的に切除する一般的方法は、胸骨の切断を伴う開胸手術、股関節インプラントを含む整形外科的および背骨手術、脊椎または頭蓋切開を伴う脳外科的手術、切断術、外傷処置、および多くの他の方法を含む。
【0004】
現在まで、骨止血は、(i)市販の非吸収性の“骨蝋”の出血表面への手動での浸透、(ii)酸化セルロースまたは微結晶性コラーゲンのような種々の止血剤の使用および(iii)電気メスの1種またはそれ以上により達成している。これらの技術のいずれも、何ら明白な程度まで骨形成を促進しない。有効で、急速に吸収性の骨止血物質のまだ満たされていない必要性に加えて、骨欠損間隙を満たし、このような空洞の治癒を促進するための物質の外科的要求もある。この目的で外科医に現在利用可能な様々なペースト様物質は、ほとんど一般的に、適当な生体適合性媒体に懸濁した粗製に粉砕された、脱塩異種骨を利用する。これらの組成物は、骨形成を誘発し、欠損を治癒するために設計されているが、それらの粘稠度、低い結合力およびそれらの組成の物理的特性のために、損傷した骨に確実に付着せず、有効な止血剤ではない。
【0005】
骨止血および骨治癒各々に関する先行技術の2つの主体がある。下記のように、現在まで、主として、可塑性非吸収性の蝋を利用した唯一の製品のみ、外科医が骨止血に利用できている。間に合わせの、例えば、酸化セルロースを用いたデバイス、ならびに電気メス(下記)の骨破壊的使用の欠点は、十分な選択肢ではない。
【0006】
技術の最初の主体は、特に、有効な機械的タンポナーデとして働き、血が流れるのを防止する、手で出血している骨表面の孔に押しつける骨蝋に向けられている。現在利用可能な骨蝋は、非吸収性の成分、例えば蜜蝋、パラフィン、ワセリン、脂肪エステル可塑剤などから成る。これらの製品は、使用前に温めなければならず、そして、柔らかく、練ることができ、外科医が切断した骨表面上または骨表面内に広げることができるようになる。利用可能な骨蝋が吸収性でなく、外科医が置いた場所にいつまでも残り、それらは骨形成を阻害する物理的バリアとして働き、それにより骨治癒を妨げるか、遅くする。加えて、このような部位は、永続する感染の術後繁殖起点として作用する。このような感染が起こったら、それは通常慢性化し、慣用の抗感染剤治療を使用した処置が困難であり、感染部位を外科的摘出するための、再開放がしばしば必要となる。骨蝋は広範な整形外科的使用を享受しない。
【0007】
この適用において使用される他の製品または技術は、軟組織止血に適応される酸化セルロース製品、例えば、Surgicel(登録商標)を含み、これは吸収性であり、骨蝋について上記のような合併症を誘発するとは予測されない。しかしながら、それらは、その不適切な物理的形態(織物)のために有効な止血製品ではなく、骨孔内への接着の欠損のため、切断した骨上に効率的に使用することが困難すぎる。
【0008】
流れている閉じている血管を熱により焼く電気メスは時間がかかり、広範な組織傷害を起こし、骨形成を遅延させる可能性があり、正常な骨癒合を妨害する軟組織内部生長を起こし、全般にそして特に脊椎手術の整形外科的手術の困難な問題を提示する。
【0009】
単独でまたはフィブリンと組み合わせて種々の相対媒体に懸濁している様々な形態のコラーゲンおよびゼラチンが骨止血剤として提案されているが、例えば、貯蔵安定性、凝集性、過剰な膨張性および生体適合性に関する1種またはそれ以上の問題が、実行を妨げている。
【0010】
合成吸収性ポリマーのこの使用への適応は、おそらく、加水分解的に不安定な合成吸収性ポリマーを、妥当な包装物の貯蔵寿命、有用な取り扱い特性ならびに許容される生体適合性および吸収速度を有する実際的な製品への製剤に、適当に製剤する技術的な困難さのため、成功していない。
【0011】
先行技術の主要な第2の主体は、骨治癒および骨欠損の処置に関する。先行技術が複雑に主に記載している骨治癒は処理された粒子の異種骨を、それが切除された骨空洞のような欠損に適用されるように、送達し、支持するための、生体適合性、吸収性の媒体の開発である。様々なポリヒドロキシ化合物、ポリオールのエステル誘発体、ヒドロゲルなどを含むこれらの液体またはペースト様媒体は、媒体の粘度を増加させるための添加剤(媒体の分散を遅らせ、それによりインプラントした塊の凝集性を延長するため)または新しい骨正当を誘発するような因子を含むことがある。抗感染剤、抗腫瘍剤および他の添加剤もこれらの製品に関して記載されている。これらの組成物が、骨止血剤として適用され、作用し、または文献に記載されそして請求されている例はない。
【0012】
A. 骨止血
吸収性の骨止血剤を提供する試みは、完全には成功していない。フィブリンおよびコラーゲンを含む吸収性の骨シーラント(英国特許1,584,080)は、手術室での混合が必要である。報告されている、ポリエチレングリコール中の微小繊維コラーゲンの止血分散(米国6,117,444)は、グリコールが消費されるため、結合力を失うのが早すぎる。軟組織止血のために設計された微結晶性コラーゲン凍結乾燥スポンジ(米国6,454,787)は、骨出血制御に適したものではない。ポリラクチド(米国4,186,448)、ラクチド/グリコリドオリゴマー(米国5,143,730、6,420,454)、鋳造可能ポリマーブレンド(米国5,641,502)、吸収性の、ヒドロゲル形成合成物(米国6,413,539)を使用した止血剤は、骨止血には容易に適用されない。合成吸収性ポリマー物質であるポリジオキサノン(米国4,443,430)は、生体適合性、プロトン性送達媒体中の相対的な不安定性のため、用いるのが困難である。他の吸収性のポリエステル、例えばカプロラクトンポリマー(米国6,485,749)が骨蝋の代替物として記載されている。
【0013】
好ましくは脂肪酸塩、例えば、ステアリン酸カルシウム、吸収促進剤、例えば、デキストランおよび媒体、例えば、ヒマシ油を組み合わせた室温でパテ様粘稠度の系(米国4,568,536)が、歯周病を処置するための、抗生物質、例えば、メクロシクリンスルホサリチレートおよび他の薬理学的活性剤を送達するための吸収性の、生体適合性マトリックスとして開発された。しかしながら、この技術は、米国4,439,420および米国4,650,665に記載の類似の吸収性の組成物と共に、それらが、急速な骨治癒に最適と考えられない長期間にわたる吸収時間のための薬剤送達のために設計され、それらが、毒物学的に許容されないインプラント材料であると現在考えられているデキストラン、ポリサッカライドを包含するため、不十分である。
【0014】
B. 骨欠損治癒
骨欠損治癒のため(止血のためではない)に設計された物質は、ポリオール、例えば、グリセロールおよびポリオール誘発体、例えば、グリセロールモノアセテート(米国5,073,373、米国5,484,601)から成る群から選択される生体適合性担体中の、通常1から12mmの間の粒子サイズを有する、粉砕した皮質および/または海綿状異種、脱塩、骨原性骨粉末に基づく。例えば、抗感染剤および抗腫瘍剤、界面活性剤、ビタミン、内分泌組織など、多くの添加剤がこの組成物に関して言及されている。この方法の変法(米国5,284,655)は、膨張剤と接触させた後、脱塩骨成分の容量の少なくとも10%の増加を必要とする。脱塩骨粒子を膨張させるための生体適合性懸濁化剤は、ポリオールおよびそのエステル、スクロース、ポリサッカライド、アルギン酸、アミロース、寒天などから成る群から選択される。5,073,373特許のさらなる態様(米国5,290,558)は、流動性粉末を提供し、多数の天然および合成ポリオールならびにそれらのエステル誘発体を、脱塩骨粉末と様々な添加剤、例えばBMP、IGF−1、抗感染剤、ヒドロキシアパタイト、界面活性剤、生体内分解性ポリマーおよび様々な濃縮剤、例えばPVA、PVP、CMC、ゼラチン、デキストラン、コラーゲン、ポリアクリル酸塩などのための媒体として請求している。骨欠損充填剤(米国5,314,476)の取り扱い特性、特に懸濁媒体が消散した後のインプラント接着を改善するために、相対的に高い(10:1)平均長さ対平均厚さ比の脱塩骨粒子を’558特許に記載の媒体に懸濁する。全く異なる試み(米国6,030,635)において高分子電解質、例えばヒアルロン酸ナトリウム、キトサンおよびN,O−カルボキシメチルキトサンの水溶液を使用した、粉砕した脱塩骨担体が請求されている。これらの粘性の、高分子量ヒドロゲルは、抗感染剤および他の添加剤を含み得る。米国特許6,030,635(米国6,437,018)の変法は、より小さい粒子サイズの石灰化または脱塩骨のための粘性のヒドロゲル担体を形成させるための、リン酸ナトリウム緩衝液の添加を含む。
【0015】
最近公開された特許(米国6,565,884)は、レシチンまたは不飽和トリグリセリド、例えばコーン油含有レシチンに懸濁させた脱塩骨基質を利用した組成物を記載する。本製品は骨生長を誘発すると言われる。しかしながら、海面活性組成物は、インプラント後、容易に洗い流され得ることがありそうである。新規骨形成を提供するためのさらに別の試み(米国6,576,249)において、脱塩骨基質を水に溶解して粘性溶液を形成し、それに水溶性、ゲル様懸濁液を形成する石灰化または脱塩骨基質粒子を添加する方法が記載されている。
【0016】
先に記載のように、主に歯周病の処置のための、様々な薬剤の制御された送達のためのマトリックスとして作用する系の研究において、作業者が開発した骨(歯)に接着する吸収性の、生体適合性、パテ様組成物が、室温で柔軟であり(conformable)、適用が容易であった(米国4,568,536)。本組成物の主要な目的は、薬剤送達の延長であり、本システムは、骨止血剤として特に開発された以前に記載のパテ様組成物(米国4,439,420)を非常に利用していた。
【0017】
米国4,439,420に記載の組成物は、3種の物質、脂肪酸塩、好ましくはステアリン酸カルシウム、流体基剤、好ましくはヒマシ油、および吸収促進剤、好ましくはデキストランの組み合わせに基本的に基づく。この好ましい組成物は、筋肉内インプラントとしての吸収性を試験したとき、吸収に約4週間かかると記載された。止血デバイスの有効性に関する情報またはデータは存在せず、実際に骨止血デバイスとして使用したときの本物質の吸収速度を決定するための実験は行われていないようであった。骨梁の封入された間隙からの吸収は、モデルとして使用された解剖学的により“開放”されている筋肉内部位からの吸収よりも著しく遅いことが期待されるであろう。
【0018】
4,439,420特許は、3種の好ましい成分の代替物を記載している。ステアリン酸カルシウムの代替は10個から22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸(まとめて、脂肪酸塩)のマグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウムおよびバリウム塩である。ヒマシ油の代替は、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、トリグリセリド、脂肪酸エステル、ゴマ油、アーモンド油、綿実油、コーン油、オリーブ油、タラ肝油、ベニバナ油およびダイズ油(まとめて脂肪酸塩と混合して、遅延吸収性のパテ様塊を形成する分子)である。デキストランの代替は、Carbowas(登録商標)、Pluronics(登録商標)、グリセリンおよびプロピレングリコールであり、これは、術後に流体を吸収しおよび/または消失させ、それによりインプラント塊が組織内に残ることを物理的に妨害することにより、吸収促進剤として働く。
【0019】
なぜ4,439,420パテ様組成物が骨止血に適していないかの主な理由は、該材料が最終的には生物分解性であるが、吸収が遅すぎ、故に、物理的バリアとして作用することにより、新規骨生長浸潤および治癒を、非吸収性のパラフィン−ベースの骨蝋が行うのと同程度阻害することである。加えて、該特許に記載の好ましい組成物は、毒物学的に許容されない成分、すなわち、デキストランを含む。最後に、4,439,420組成物は“繊維状物質を全く含まない”ものであり、これは骨止血デバイスの望まれる特性である、最適骨形成には著しく不利であり得る。骨形成および治癒を促進するために脱塩骨、骨生長因子および繊維状コラーゲンのような薬剤をならびに感染を阻害するために抗感染剤を添加することは、4,439,420特許には記載されていない。
【0020】
発明の開示
本発明は、ある組成物および、これらの組成物の、切断または外傷を受けた骨の出血を制御または停止させるための機械的止血タンポナーデとしての使用法に関する。本発明の方法は、記載のパテ様組成物を、有効量で骨の出血表面に適用することを含む。
【0021】
加えて、本発明は、さらに骨生長誘発量で脱塩骨基質を含む該パテ様組成物を、骨欠損に適用することによる、骨欠損を処置する方法を含む。
【0022】
故に、本発明は、外科的介入または外傷に起因する骨からの出血を制御するための、および骨治癒を改善するための骨誘導性マトリックスを提供するための、止血タンポナーデとして有用なインプラント可能な、適当に吸収性の、生体適合性のパテ様組成物を提供する。
【0023】
本発明の新規方法で用いる組成物は、粘稠度がパテ状またはパテ様である。“パテ”なる用語は、本明細書では当分野で一般的に使用され、かつ当業者に既知の通りに使用する。様々な粘度の軟塊(例えばペストリー軟塊)、塑像用粘土、およびガラス工用パテが、適応および最終的使用に依存して、適当な製品の粘稠度の例である。様々な製剤が使用でき、本発明の方法で好ましいのは、それらを適用する骨に接着できるこれらのパテである。一般に、本発明のパテは液体分散媒体との密接に混合したカルボン酸塩から製造された、柔らかく、鋳造可能であり、好ましくは非弾性であり、結合性の混合物であり、いずれの方向にも変形できる形を有する。
【0024】
本発明は、いくつかは以前から使用されているが、本願の分散媒体とは使用されていないカルボン酸塩充填剤と密接に混合した、以前はこのようなパテ様物質の製造について報告されていなかった分散媒体を使用した、医学的に有用な吸収性のパテ様組成物の形成に関する。本発明の組成物は、機械的止血性(化学的止血と逆)であり、ある態様においては、さらに骨原性特性を有するタンポナーデである。
【0025】
無菌、吸収性の機械的止血剤、すなわち、事実上直ぐの機械的止血を提供し、また、止血効果を落とすことなく相対的に短時間で体内に吸収されるであろう物質は、現在利用可能な物質よりも著しい医学的利点を有するであろう。それは骨形成および続く骨治癒の阻害が最小であろう。さらに、止血組成物への脱塩骨基質(DBM)の添加は、骨原性特性を増大させる。適当な抗感染剤、例えばトブラマイシンまたはゲンタマイシンまたは抗微生物剤、例えばヨウ素、コロイダル・シルバー、スルファジアジンなどの添加は、特に汚染された開放創傷、例えば複雑骨折において、感染の可能性を減少させるために働く。着色剤の添加は、手術工程中、視覚的に助けるであろう。
【0026】
本発明の製品の製造に関して下記の新規で進歩的な概念は、一つの態様において説明されるように、少なくとも2種の成分、成分1、充填剤としてのカルボン酸塩および、成分2、適当な比率で充填剤と混合したとき、パテ様製品を産生する分散媒体を含む。適当な成分2の選択は、許容される時間内に体内に吸収される組成物をもたらすであろう。このような場合、成分2は、それ自体吸収促進剤として作用し、そして、製剤は別の吸収促進剤を必要としないであろう。望むならば、しかしながら、本発明の組成物はまたパテの体内への吸収の促進に働く、任意の成分と共に提供し得る。故に、一つの態様において、本発明の組成物は、パテ様粘稠度の形成に十分な量の、成分1および成分2の緊密な混合物を、添加された吸収促進剤と共にまたは無しで含む。
【0027】
従って、本発明の一つの局面は、物質としての滅菌可能パテ様組成物および、該パテ様組成物を骨の出血領域に物理的に押しつける工程を含み、故に機械的に出血を止め、その後、該組成物は術後、吸収され、体内から危険なく排出されるものである、その使用法を提供する。
【0028】
他の態様において、本発明の組成物は、パテ様粘稠度を形成するのに十分な量の成分1、成分2、および抗感染剤の緊密な混合物を含む。この態様は外傷性の開放創傷において有用であるが、必ずしもこれに限定されず、そこで、特に抗感染剤の存在が、術後感染の発生を阻害する。
【0029】
他の態様において、本発明は、パテ様粘稠度を形成するのに十分な量の成分1および成分2および脱塩骨基質(DBM)粒子(成分3)の緊密な混合物の利用を含む。この態様は、出血している骨に適用したとき、最初の機械的止血および新規骨形成の刺激の2つの目的に働く。
【0030】
他の態様において、本発明の組成物は、パテ様粘稠度を形成するための、成分1、成分2、骨生長誘発量のDBM、および薬学的有効量の抗感染剤(成分4)の緊密な混合物を含む。
【0031】
本発明の組成物はまた;任意の成分として、吸収促進剤(成分5)、着色剤(成分6)、および水を含み得る。
【0032】
さらなる目的、特性および利点は、下記の記載から明らかであろう。
【0033】
本発明の詳細な説明
本発明のパテ様組成物は、脱塩骨基質(DBM)を含みまたは含まず、そして抗感染剤を含みまたは含まず、機械的止血性タンポナーデである。本発明の組成物(その好ましい製剤は下記に詳述する)は、好ましくは身体吸収性である。“機械的止血性タンポナーデ”は、本組成物が、出血を、全てまたは一部、化学的手段を使用して止める化学的止血手段として働くのとは逆に、骨の出血領域に機械的に押しつけることにより、出血を止める働きをすることを意味する。
【0034】
本発明の組成物は、成分1が、第2の成分、成分2、分散媒体と密接に混合したとき、パテ様粘稠度を形成するのに十分に小さい平均粒子サイズを有するカルボン酸塩充填物質である、2つの基本成分を有する。成分1、すなわちカルボン酸塩は、好ましくは脂肪酸塩、例えばステアリン酸カルシウムまたはその同族体、例えばラウリン酸カルシウムである。成分2分散媒体は、好ましくは液体であり、それは成分1と混合したとき、パテ様インプラントの形成を可能にする。これらの機械的止血性タンポナーデは、本パテ様組成物の出血領域への適用により、骨の出血を止めるのに有用である。機械的止血性であることに加えて、本組成物はまた、追加の、しかし、任意の成分として骨生長の誘発を助けるための脱塩骨基質(DBM)を含むとき、骨原性である。基本の2成分止血組成物およびDBMを含む組成物の両方に、感染制御を提供するための抗感染剤を添加し得る。
【0035】
一般的適用性の記載として、本発明の組成物に有用な物質の記載に続く開示において、特記されない限り、有機炭素原子鎖は、直鎖または分枝鎖であり得る。
【0036】
成分1
成分1は、液体分散媒体、成分2と混合したとき、本発明のパテ様組成物を形成する、微粉末、適合性、身体吸収性のカルボン酸塩である。成分1物質の平均粒子サイズが約50ミクロンまたはそれ以下であるとき適当な結果が得られるが、好ましい平均粒子サイズは約3〜約25ミクロンおよび最も好ましくは約6〜約15ミクロンの範囲である。
【0037】
本明細書での使用に適した適当な材料の一組の例は、カルボン酸アニオンおよび金属カチオンを有する1個またはそれ以上のカルボン酸の塩であり、そのいくつかは当分野で既知であり、米国特許4,439,420および4,568,536に記載されている。適当には、該塩は、鎖中に約6個から22個の炭素原子、および好ましくは8個から20個の炭素原子を有する飽和または不飽和カルボン酸のカルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウムまたはバリウム塩である。カルボン酸アニオンを供給する好ましい飽和カルボン酸は、脂肪族酸例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、およびそれらの中断同族体から選択されるが、最も好ましい酸は高級脂肪酸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸であり、ステアリン酸が最も好ましい。パルミチン酸カルシウムおよびパルミチン酸アルミニウムおよびステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸アルミニウムが好ましい塩であり、ステアリン酸カルシウムが、その優れた安全性特性およびパテ形成特性のために、最も好ましい。しかしながら、ステアリン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、またはラウリン酸アルミニウムも同様に適している。カルボン酸カチオンの供給に使用し得る適当な不飽和脂肪族酸の例は、オレイン酸およびリノール酸であり、それについては上記と同じカチオンを使用する。
【0038】
成分2
第2の成分、すなわち、本発明の骨パテを得るために成分1と混合する物質として、医学的パテを製造するための分散媒体として現在まで用いられていなかったいくつかのクラスの物質を記載し得る。最初は、成分2は生体適合性であり、好ましくは、液体形が、パテ塊を形成するための成分1との混合を容易にするため液体であることに注意すべきである。しかしながら、成分2はまた、液体媒体(液化剤、下記により詳細に記載する通り)を成分1および2の媒体として作用させるために使用したとき、固体でもあり得る。
【0039】
本明細書で使用する用語の理解を助けるために、そして本発明のこの態様と先行技術との区別を助けるために、おそらく、現時点では、本明細書で使用する化学基の性質を、適当な化学的区別を確実にするために、関連する古典的化学用語の簡単なレビューにより強調するのが有用であろう。
【0040】
カルボン酸は、OH基のカルボニル官能基への共有結合を介した結合により定義される物質である。結果として、カルボン酸はカルボニル官能性(例えば、アルデヒド、ケトン)またはヒドロキシル官能性(アルコール)のいずれかを含む物質と、完全に異なる物理的および化学的特性を有する。同じ区別が、共有結合を介して直接結合していないカルボニル基およびヒドロキシル基の両用を有する物質、例えばケトンおよびアルコールの両方の特性を示すが、カルボン酸特性は示さないヒドロキシアセトンにも当てはまる。カルボン酸は常にカルボニル基とOH基の組み合わせであり、酸性特性を有するが、OH基はアルコールのヒドロキシル基の特性は有しない。モノカルボン酸は、したがって、モノヒドロキシ化合物とは記載できない。これを説明するために、両方ともOH基を含む2個の炭素化合物である酢酸およびエタノールを考慮する。酢酸において、OH基の水素原子は、水中でイオンとして遊離しているが、一方エタノールにおいては、ヒドロキシル基の水素原子はこのように遊離していない。故に、カルボン酸は解離し、塩基とカルボン酸塩、例えば、ステアリン酸カルシウムを形成し、これは解離して塩基と塩を形成しないアルコールのヒドロキシル基とカルボン酸のOH基を明らかに区別する特性である。故に、カルボン酸をアルコール、1価アルコール、またはこのような用語のいくつかとして特徴付けることは、これが化学的意味で、アルコールではないため、完全に間違いである。カルボキシルOH基を有しないとの単純な理由のため、またポリカルボン酸をポリアルコール、またはポリヒドロキシ化合物またはポリオールと呼ぶことはできない。このような基はアルコールとして特徴付けられない。これらの区別の例は、既知の分子、クエン酸を考慮して説明する。この物質は、3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基を同じ分子内に有する。クエン酸はモノヒドロキシ(1価)アルコールならびにポリカルボン酸である。クエン酸が3個のカルボキシルOH基を有するという事実は、このモノヒドロキシ化合物をポリヒドロキシ化合物と分類しない。反応性、合成および反応の大きな差異のため、全ての有機化学の教科書では、アルコールの化学は常にカルボン酸の化学と別の章と見られている。
【0041】
アルコールは、炭化水素のヒドロキシル誘発体または水のアルキル誘発体のいずれかと見なされ得る。それらはR−OH構造(ここで、Rはアルキル基である)に類型化できる。カルボン酸ヒドロキシル基の容易にイオン化する水素原子と対照区別して、R−OH水素原子は、事実上水中でイオン化しない。これに基づき、脂肪族アルコールは、酸性ではなく、むしろ中性と見なされる。1個またはそれ以上のヒドロキシル基は、例えば、プロパンが1個のヒドロキシル基(プロピルアルコール)、1個のヒドロキシル基(プロパンジオールまたはプロピレングリコール)または3個のヒドロキシル基(プロパントリオールまたはグリセロール)を有するように、炭化水素部分に添加し得る。プロピレングリコールおよびグリセロールは、ポリオールの単純な例である。ポリサッカライド、例えばヒアルロン酸は、各モノマー単位に多くのヒドロキシル基を含み、まとめてポリオールと呼ばれる。アルコールは、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどのように短いアルキル鎖を有し得、または、それらは、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコールなどのように、長いアルキル鎖を有し得る。ラウリン酸(C1123COOH、脂肪酸)およびラウリルアルコール(C1225OH、脂肪アルコール)が、それらが両方とも12個の炭素原子を有していても、酸化状態、官能性および反応性が完全に異なる分子であることに注意することは、非常に重要である。
【0042】
エステルは、一般に、カルボン酸とアルコールの反応に由来し、加水分解により元のカルボン酸およびアルコールに変換して戻り得る。故に、酢酸およびエチルアルコールは、酢酸エチルおよび水を形成するためのエステル化反応により合わせられる。脂肪(または植物油もしくは動物油)なる用語は、様々な長鎖飽和または不飽和脂肪酸とグリセリン(グリセリド)のエステルと認められる。パテ様物質を製造するための媒体として先行技術で言及されている油は、排他的に、グリセリド、例えば、ヒマシ油、ゴマ油、オリーブ油など、ならびに単純脂肪酸エステル、例えばラウリン酸エチルである。パテ様物質を製造するための媒体として先行技術で提案されていないものは、遊離液体脂肪カルボン酸、例えば飽和カプリル酸および不飽和オレイン酸である。最も重要なことは、脂肪アルコールと低分子量モノ−またはポリカルボン酸のエステル、例えば、ラウリル酢酸エステル(ラウリルアルコールと酢酸のエステル)の使用が、パテ様物質の性状に関して完全に新規であり、そしてラウリン酸エチル(ラウリン酸とエチルアルコールのエステル)を言及する先行技術と化学的に異なることである。
【0043】
本発明の成分、より特に成分2の記載に戻って、該要素はより具体的に下記の通り記載される:
成分2の第1のクラスとして、C−C181価アルコールとC−C脂肪族モノカルボン酸の1個またはそれ以上の吸収性のエステルがある。1価アルコールは、C−C18アルコール、例えばオクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、およびそれらの中断同族体から選択される。好ましいアルコールは、高級脂肪族、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、およびステアリルアルコールである。C−Cモノカルボン酸と形成される有用なエステルの例は、ラウリル酢酸エステルおよびプロピオン酸ミリスチルである。
【0044】
成分2の第2のクラスとして、C−C181価アルコーとポリカルボン酸の1個またはそれ以上の吸収性のエステルがある。C−C181価アルコールは、エステルの第1のクラスで述べたC−C18アルコールに加えて、低級脂肪族、C−C、アルコール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、およびオクタノールがあり、これらはエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチル部分を産生する。ポリカルボン酸は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタコン酸、クエン酸、リンゴ酸、およびエステル化ポリカルボン酸の、もしあればヒドロキシ官能基のエステル、とりわけアセチルクエン酸およびアセチルリンゴ酸から選択される。当業者には、アルコール/酸エステルの多くの組み合わせを上記から選択できるが、1価アルコール/ポリ酸エステルからの本発明での使用に好ましいものは、コハク酸ジエチル、コハク酸ジオクチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチルおよび高級およびそれらの低級同族体、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸ブチリルトリエチルならびにそれらの高級および低級同族体、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジペンチル、およびリンゴ酸アセチルジエチル、および高級およびそれらの低級同族体であることは明白であろう。
【0045】
成分2として好適な他のクラスの物質は、高級C−C12から約C30まで、および好ましくは液体または液化可能1価アルコール、例えばオクタノールおよびデカノールである。このクラスのとりわけ驚くべきことに適した態様は、光学活性またはラセミ体形の、アルファ、ベータ、ガンマおよびデルタ形のいずれかの芳香族性アルコールトコフェロール(ビタミンE)、ならびにC−C10脂肪族モノカルボン酸、ポリカルボン酸またはそれらの混合物との液体トコフェロールエステル(本明細書でトコフェロールエステルと呼ぶこともある)である。有用なのは、トコフェロールエステル例えば、酢酸エステル、酪酸エステル、カプロン酸エステル、カプリル酸エステル、カプリン酸エステル、およびそれらの中断同族体、および前段落に記載のもののようなポリカルボン酸エステル、とりわけコハク酸、クエン酸、およびリンゴ酸のエステルであり、コハク酸エステルがとりわけ好ましい。
【0046】
成分2として有用な他のクラスの物質は、約10−14個の炭素原子を有する、吸収性の炭化水素である。例えば、デカンおよびドデカンが適している。
【0047】
成分2として有用な他のクラスの物質は、液体または液化可能飽和または不飽和、遊離カルボン酸、例えば非エステル化脂肪酸、オレイン酸、リノレン酸、カプリル酸、カプリン酸およびラウリン酸である。このクラスで、通常液体である、飽和脂肪酸が適しているが、それらの不快な匂いのため、望ましくない可能性がある。室温で液体である低融点共融混合物由来の低融点飽和遊離脂肪酸混合物も適し得る。飽和遊離脂肪酸の一つの利点は、放射線滅菌に対する改善された安定性にあるが、一方、不飽和酸、例えば、オレイン酸は無酸素包装物中で放射線滅菌する必要がある。固体酸の高級同族体も、液化媒体または他の適当な成分の存在下で成分1と混合して使用できる。任意の適合性液体を、それが成分2の液化を確実にし、同様に生体適合性である限り、使用し得る。
【0048】
成分2として有用な他のクラスの物質は、全て約80℃より高い融点を有する、単純ジアルキルエーテルクラスおよびアルキルアリールエーテルクラスならびにアルキレングリコールの環状ポリマー、例えば、エチレングリコール(クラウンエーテルとして既知)のエーテル、例えば、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジ−n−オクチルエーテル、および非対称性エーテル、例えばエチルヘキシルエーテル、エチルフェニルエーテルなど、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドの、エチレンオキシド対プロピレンオキシドの様々な比率のかつ様々な分子量、好ましくは1000から10,000(Pluronics(登録商標))のブロックコポリマーである。それらは液体または固体形で利用できる。適当な物質の例は、下記実施例37、38および39に示すものである。成分2としての使用に適していることに加え、それらは吸収促進剤(成分5)としても使用し得る。それらは、商品名Pluronics(登録商標)で、BASF Corp. Mt. Olive, New Jersey 07828から入手可能である。
【0049】
成分2として有用な他のクラスの物質は、約80℃より高い融点を有する、対称性および非対称性ジアルキルケトンおよびアルキルアリールケトン、例えばメチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、エチルプロピルケトン、メチルペンチルケトン、および2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノンおよびメチルフェニルケトンである。
【0050】
成分2として有用な他のクラスの物質は、ポリヒドロキシ化合物、ポリヒドロキシ化合物エステル、ポリヒドロキシ化合物の溶液、およびそれらの混合物、および脂肪酸エステルから成る群から選択される。これらの中で好ましいのは、非環状多価アルコール、ポリアルキレングリコール、およびそれらの混合物から成る群から選択される液体ポリヒドロキシ化合物である。前記の具体例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、トリメチルオールエタン、トリメチルoプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、グリセロールの脂肪酸モノエステルの液体溶液、例えばモノラウリン酸グリセロールである。前記の中の固体は、適当な溶媒媒体、例えばプロピレングリコール、グリセロール、モノアセチン、ジアセチン、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物に溶解または分散し得る。前記のポリヒドロキシ化合物はまた、望むならば、成分5吸収促進剤として使用し得ることは注意すべきである。
【0051】
成分2として有用な他のクラスは、トリグリセリド、とりわけオリーブ油、ヒマシ油、アーモンド油、ゴマ油、綿実油、コーン油、タラ肝油、ベニバナ油およびダイズ油である。
【0052】
一般的適用性の記載において、室温で液体である物質が成分2として好ましい成分2物質であり、それが液体であるため、液化剤が必要ではないことは注意すべきである。また成分2物質として有用であるのは、しかしながら、室温で固体である成分である。このような場合、とりわけパテが望まれるとき、固体成分2を、固体成分2を液化または可溶かできる吸収性の生体適合性液化剤の使用を介して、成分1と混合する前、混合中、または混合後に液体形に変換する。本明細書で使用する“液化剤”は、固体を可溶化できる薬剤、例えば、適当な溶媒、または、その用語の通常の意味では溶媒と見なされ得ない薬剤でさえある何らかの他の薬剤、または、固体を液化できる、例えば加熱、または、固体を液体中に分散として分散でき、均質パテの形成を助ける動因を意味する。適当な薬剤は、成分2と類似しているが、厳密に本明細書で成分2として記載されているものではない。
【0053】
モノアルコールとモノ−またはポリカルボン酸のエステルを使用する前記の新規な概念および組成物は、吸収性の骨止血インプラントを提供する。相対的に低分子量、非毒性および急速に分解する単純なエステル、例えばコハク酸ジエチル、クエン酸トリエチルおよびラウリル酢酸エステルが、成分2についてより高い分子量の脂肪酸トリグリセリド、例えば、ヒマシ油の代替物となることが判明した。本発明のこの局面は故に、成分2の当分野で既知のバージョン、すなわち疎水性の、ゆっくり吸収されるエステル、例えばリシンオレイン酸トリグリセリド、ヒマシ油ならびに脂肪酸エステル、例えばラウリン酸エチルに類型化できるトリグリセリドおよび吸収促進剤の使用の必要性の一方または両方の除外を可能にする。
【0054】
当分野で既知の成分2物質、例えば米国特許4,439,420のものを含む、これらの当分野で既知のパテ組成物は、しかしながら、本発明の他の局面に従い、有用な骨原性骨止血物質を得るために使用できる。例えゆっくり吸収される特性を有しても骨原性特性を有する骨止血組成物を得ることが望まれるとき、当分野で既知の組成物を、脱塩骨基質(DBM)の添加により改良し得ることが判明した。
【0055】
本発明の組成物はまた(常に必要ではないが)、望むならば、成分1および成分2に加えて、DBM、抗感染剤、促進強化剤(accelerant enhancer)、着色剤および水を含む、任意の成分を含み得る。このような任意の成分は必ずしも存在するものではなく、成分1および2の2成分パテ系が、適当な止血タンポナーデの基本特性を提供するために十分である。
【0056】
成分3
成分1および成分2を含む上記の製品は、骨創傷部位での骨の生長もまた可能にするであろう適当な止血製品である。しかしながら、止血製品に骨誘導性特性を同様に付与することが望まれるとき、任意の成分3、すなわち脱塩骨基質(DBM)を、骨生長を誘発するのに有効な量および粒子サイズで添加し得る。
【0057】
使用するとき、本発明の組成物に添加すべき適当な量のDBMは、約10重量%から約60重量%、好ましくは約10重量%から50重量%、最も好ましくは約30重量%から約40重量%である。平均粒子サイズ約0.05から10mm、好ましくは約0.1から5mm、最も好ましくは約0.5から1mmの形のDBMを使用することが好ましい。しかしながら、より小さいまたはより大きな粒子サイズまたはより多いまたは少ない量の成分3の使用も、最終的使用者の要求を満たすのであれば、適している。
【0058】
DBMの添加は、本発明の組成物を改善するだけでなく、それから新規組成物を産生するための先行技術の止血製剤も改善する。このような添加はこれらの止血製剤に同様に骨原性を付与する。骨原性物質の存在はまた、相対的に大きな粒子がパテ構造を“広げ”、故に、誘発された骨が増殖し得る空間を提供するため、骨誘発特性も改善すること考えられている。
【0059】
このような添加によりとりわけ改善される先行技術の止血製剤は、米国特許4,439,420および4,568,536に記載のものであり、これら各々は全ての目的のために本明細書に引用して包含する。故に、本願の明細書および特許請求の範囲は、上記の特許の完全な明細書および特許請求の範囲が逐語的にここに再現されているかのように読むべきである。簡便のために、これらの特許の製剤は、一般的に、骨からの出血を制御するための吸収性の止血組成物を含むと特徴付けられ得て、それらは:生体適合性脂肪酸塩を含む成分(該脂肪酸塩のカチオンはカルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウムおよびバリウムから成る群から選択される)およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、ポリヒドロキシ化合物、ポリエチレングリコールおよびメトキシポリエチレングリコール、トリグリセリドおよび脂肪酸エステルから成る群から選択される身体吸収性の生体適合性基剤を含む成分および任意の吸収促進剤を含む。故に、本発明のこの局面においては、DBMが上記の先行技術製剤に添加され、骨原性止血物質を産生する。
【0060】
成分4
上記の組成物に、任意の成分4として、薬学的に有効量の抗感染剤を、単独でまたはその放出を遅延するための支持体に結合させて、添加し得る。抗生物質の例は、単独または、例えばコラーゲンと結合した、テトラサイクリン、バンコマイシン、セファロスポリン、およびアミノグリコシド、例えばトブラマイシンおよびゲンタマイシン、および前記の組み合わせである。抗微生物剤の例は、単独でまたはPovidoneと呼ばれるポリビニルピロリドン(PVP)と共に使用される銀塩、コロイダル・シルバー、銀スルファジアジン、およびヨウ素である。
【0061】
他の任意の成分
本発明の組成物の他の任意の成分は、吸収促進剤(成分5)、好ましくは親水性物質である。ある例において、それはインプラントされた塊の分解を物理的に助けることにより、吸収の動態の制御に関与し得る。先行技術で使用された加速剤は、それらが毒性でないか、他に生体不適合性でない限り、使用し得る。Carbowax(登録商標)、Pluronics(登録商標)(上記および下記の成分2に関する記載参照)グリセリン、プロピレングリコール、レシチン、ベタインおよびポリヒドロキシ化合物、例えばヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、およびキトサンおよびそのアセチル誘発体としてのこのような先行技術化合物を、本発明の組成物に、吸収促進剤として、上記の警告を有して使用し得る。この目的で使用するのに好ましいのは、しかしながら、膨張可能または可溶性および吸収性である他の物質、例えば、精製し、粉砕した不溶性小繊維として例示できる、可溶性または不溶性のいずれかの、天然または合成ポリペプチド、また膨張可能コラーゲン、より急速に吸収な可溶性トロポコラーゲン、例えばVitrogen(登録商標)およびより急速な吸収性の冷水および温水可溶性ポリペプチド、例えばゼラチンである。レシチンおよびオクチルフェニルエトキシレート、例えばTriton(登録商標)X 100は、膨張性を助けるための生体適合性海面活性剤として使用し得る。ポリビニルピロリドンおよび他の可溶性、吸収性のポリマー、例えば成分2について上述のエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー;および相対的に親水性の合成ポリペプチド、例えば、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸およびそれらの塩もこの内容において機能する。最も好ましくは、本発明の組成物は、吸収促進剤として、不溶性、小繊維コラーゲン、可溶性コラーゲン、ゼラチン、レシチン、ベタイン、オクチルフェニルエトキシレート、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、ポリビニルピロリドンまたは吸収性の五酸化リン製ガラスまたは前記の安定な混合物を含む。約200−500ミクロンの範囲の粒子サイズが適当な結果をもたらすが、より大きなまたは小さな粒子サイズを最終使用者の望みに依存して、用い得る。ゼラチン、PVPおよび他のポリマーは脱塩骨技術で濃厚剤として使用されているが、吸収促進剤としては使用されていない。ゼラチンの濃厚特性は、ゼラチンのブルームナンバーに依存して変化する。100−300のブルームナンバーを有するゼラチンが、本発明の組成物で適当であるが、この範囲から逸脱した値も、得られた製品が最終使用者に十分であれば、使用し得る。
【0062】
上記の成分は、適当な比率で添加したとき、様々な程度の多くの好ましい特性を有する、有用なパテ様止血剤を産生する。成分の種々の組み合わせが、パテ様特性を開発するための製造工程において、異なる時間および温度を必要とし得る。例えば、ある物質は、パテ様状態を達成するために他の成分より長くかかり得る。一般に、本発明のパテ様組成物は、合理的な時間内、通常30日以内に吸収性であるが、吸収時間はある提供のために数ヶ月またはそれ以上まで伸ばし得る。それらは通常、環境温度で手で鋳造可能であり、形作ることができ、血液の存在下で十分に取り扱いでき、かつ、生理食塩水で洗浄できる。それらは、触感が粘着性であるときがあるが、濡れたまたは乾燥した手術用手袋に、非常に付着することはない。それらは、DBMまたはある種の抗生物質のような放射線感受性物質が存在しないとき、放射線滅菌できる。
【0063】
選択した物質の実際の比率は、物質それ自体、使用する成分の数、および最終パテ組成物に望まれる使用に依存して変換するであろう。使用者は、成分の最終的な使用に望まれる他の特性を維持しながら、得るべきパテ様粘稠度の必要性を指標にする。
【0064】
上記の特性を有する組成物を産生するための成分のある適当な比率の例は下記である:
成分1. 最終組成物の約5から80重量%、好ましくは約20から50重量%。
成分2. 最終組成物の約10から70重量%、好ましくは約20から50重量%。
成分5. 最終組成物の約0から約80重量%、好ましくは約10−70重量%。
【0065】
着色剤−成分6
選択する着色剤の着色粉末、およびパテの組成に依存して、任意の着色剤、例えばゲンチアナバイオレット、D & C Violet #2およびD & C Green #6を、本発明の組成物に適当に添加し得る。
【0066】
水−成分7
本発明のある態様において、任意の成分(7)としての水を本発明の組成物と密接に混合することが望ましいことがあり得る。通常10%の程度またはそれ以上までの小量の水の存在は、様々な方法で援助となり、とりわけ組成物の触感品質を変える。この点に関して、得られた組成物はしばしば、水の添加なしの組成物に存在し得るものよりも粗野な感じが減少した感覚を与える。
【0067】
本明細書に記載の組成物は、外科的に使用するとき、無菌でなければならない。下記に示すもの以外、全て、例えば、標準コバルト60放射線源および25kGyの公称線量を使用して、滅菌可能である。例外は、脱塩骨基質、ある種の抗生物質、不飽和分子、例えばオレイン酸などの放射線感受性添加剤を含む製剤である。このような物質を使用するとき、塊のパテ様物質を放射線滅菌し、無菌的に予め滅菌した放射線感受性添加剤を添加し、続いて無菌的に包装することにより、無菌を達成し得る。
【0068】
本明細書に記載の組成物は、いくつかの形に包装でき、無菌または滅菌可能であり得る。包装物それ自体無菌または滅菌可能であり得る。組成物は、無定形(すなわち、形がないかまたは特定の形がない)パテ、またはその容器の形として包装し得る。それらは、一般に平行六面体形または一般に丸形であり、前記の例は小さい煉瓦型または平板(板状チューインガムの形)および、後者の例は円筒形、卵形または球形の製品である。あるいは、適用が許可し、粘性が適当であれば、パテを、適当な断面および形の孔を通して絞り出すかまたは押し出せる、シリンジ様またはプランジャーを利用したディスペンサーに包装できる。コーキンに適用するのに準じた機械を利用したデバイスも包含し得る。他の包装物は、例えば、何らかの適当な形で処置すべき表面に分散するために形作られ、大きさを整えられた孔を有する、歯磨き粉型チューブのような圧搾可能、変形可能チューブ、またはコーキンに適用するもののような折りたためるチューブを含む。包装物は、上包みとして、外部バリア、例えば、剥がせるブリスターポーチを含み、滅菌場所への包装物の無機的送達を可能にし得る。
【0069】
本発明はまた本発明の組成物の使用も考慮する。例えば、一つの態様は、有効量の本発明のパテ様組成物のいずれかの、出血している骨への適用による、骨の出血の機械的制御法である。このような場合、本組成物は機械的止血タンポナーデである。
【0070】
先に示した通り、本方法はまた、とりわけ組成物がDBMを含むとき、骨欠損の処置を含む。すなわち、本発明の方法は、DBMを含む有効量の本発明の組成物のいずれかを、骨の冒された領域に適用することを含む、骨欠損における骨生長を誘発する方法である。
【0071】
他の態様は、記載の組成物をその場所に適用することによる、出血している骨または骨欠損を処置する方法であり、ここで、該組成物は抗生物質を含む。すなわち、本発明の方法は、有効量の本発明の組成物のいずれかを、処置すべき骨の冒された領域に適用することを含む、骨中または骨周囲の感染を処置する方法である。
【0072】
当業者は、組成物を適用すべき方法およびその量を知っているであろう。量は、一般に、適用および手術中の患者の特定の必要性に依存して変化するであろう。
【0073】
下記の方法および例は、本発明の好ましい態様のより十分な記載を意図し、その有用性および適用性を証明するものである。
【0074】
下記十例は、本発明の具体的態様を記載する。
【0075】
実施例1
本実施例およびその後の実施理恵において、特記されない限り、本組成物は、全ての乾燥試薬を最初に機械的に混合し、その後、徐々に何らかの液体試薬を添加することにより製造した。本組成物は所望の粘稠度が得られるまで、室温でスパーテルで“加工”した。ある例では、粘稠度を改善するための該物質が付加的成分を必要とするとき、その物質を添加し、混合物を所望のパテ様粘稠度が得られるまで、練るかまたは“加工”した。成分は重量部で示す。
成分1 ステアリン酸カルシウム 4g
成分2 酢酸トコフェリル 3g
吸収促進剤 ゼラチン 3g
該サンプルは、優れた水抵抗性、物理的および止血統制および水抵抗特性を有するパテ様塊を産生し、すなわち、それは流れている水道水の力により流そうとする試みにおいて、強く抵抗した。
【0076】
実施例2
成分1 パルミチン酸アルミニウム 5g
成分2 酢酸トコフェリル 3g
吸収促進剤 ゼラチン 3g
得られた製品は、実施例1の製品について記載したものと同様の特性のパテ様塊である。
【0077】
実施例3
成分1 ステアリン酸カルシウム 5g
成分2 酢酸トコフェリル 3g
成分3 DBM 3g
吸収促進剤 ゼラチン 3g
得られた製品は、実施例1の製品の止血特性を有することに加えて、骨原性である。
【0078】
実施例4
4a 4b
成分1 ステアリン酸カルシウム 2g 1.3
成分2 クエン酸トリエチル 1.6g 0.98
成分3 Triton(登録商標)X 100 0 0.02
得られた製品4aは、パテ様であり、実施例1のものと類似の物理的特性を有した。製品4bもパテ様であり、4aよりも急速に吸収製であったTriton(登録商標)X 100はDow Chemical Co., Midland, Michiganから入手可能である。
【0079】
実施例5
成分1 ステアリン酸カルシウム 4g
成分2 クエン酸トリエチル 3g
吸収促進剤 ゼラチン 3g
得られた製品はパテ様であり、止血剤として有用な物理的特性を有したが、実施例4の製品と比較したとき、好ましくない。
【0080】
実施例6
成分1 ステアリン酸カルシウム 2g
成分2 アセチルクエン酸トリエチル 2g
得られた製品は、実施例1のものと同等な優れたパテ様特性および物理的特性を有する。
【0081】
実施例7
成分1 ステアリン酸カルシウム 3g
成分2 酢酸トコフェリル 1.0g
成分2 クエン酸トリエチル 1.5g
吸収促進剤 ゼラチン 2g
得られた製品は実施例1のものと同様のパテ様物理特性を有し、実施例1より幾分より粘性の良好な物質であった。
【0082】
実施例8
成分1 ステアリン酸カルシウム 4g
成分2 ラウリン酸 4g
成分2 酢酸トコフェリル .5g
ステアリン酸カルシウムを融解したラウリン酸と混合し、良好なパテを形成し、それは冷却すると固化した。本固体を次いで粉砕し、トコフェロールと混合して、良好なパテを産生した。
得られた製品は、体温でパテ様粘稠度であり、室温で幾分形粘稠度であった。
【0083】
実施例9
成分1 ステアリン酸カルシウム 4g
成分2 クエン酸トリエチル 4g
成分2 ラウリン酸 4g
得られた製品はパテ様であり、実施例1のものと類似の物理的特性を有し、そして幾分低い凝集性であった。
【0084】
実施例10
成分1 ステアリン酸カルシウム 2g
成分2 ドデカン 1g
得られた製品は水抵抗性を有し、低粘性であり実施例1の他の物理的特性と十分同等であった。
【0085】
実施例11
成分1 ステアリン酸カルシウム 2g
成分2 オクタノール−1 1g
得られた製品は低粘性であり、実施例10のものと類似の物理的特性を有したが、幾分低い結合力であった。
【0086】
実施例12
成分1 ステアリン酸カルシウム 2g
成分2 コハク酸ジエチル 2g
吸収促進剤 ゼラチン 2g
得られた製品は実施例1と同様の良好なパテであった。
【0087】
実施例13
成分1 ステアリン酸カルシウム 4g
成分2 コハク酸ジエチル 3g
得られた製品は実施例12を超える改善された粘稠度を有する良好なパテであった。
【0088】
実施例14
成分1 ステアリン酸カルシウム 4g
成分2 アセチルクエン酸トリエチル 3g
吸収促進剤 ゼラチン 3g
得られた製品は実施例1で得られたものと同等であった。
【0089】
実施例15
成分1 パルミチン酸アルミニウム 4g
成分2 酢酸トコフェリル .3g
成分2 クエン酸トリエチル 3g
得られた製品は良好な水抵抗性および良好な止血特性を有する、柔らかい、幾分半透明のパテであった。
【0090】
実施例16
成分1 ステアリン酸カルシウム 3g
成分2 酢酸トコフェリル 3g
成分3 脱塩骨基質 1g
吸収促進剤 ゼラチン 3g
得られた製品は、実施例1の製品と同等なパテ様塊であり、同様に骨原性特性を有する。
【0091】
実施例17
成分1 ステアリン酸カルシウム 3g
成分2 ジ−n−ヘキシルエーテル 2.5g
吸収促進剤 ゼラチン 2g
得られた製品はパテ様であり、実施例1のものと同等な良好な水抵抗性および物理的特性を有する。
【0092】
実施例18
成分1 ステアリン酸カルシウム 3g
成分2 ジ−n−ペンチルケトン 2.5g
吸収促進剤 ゼラチン 2g
得られた製品はパテ様であり、実施例17のものと同等な良好な水抵抗性および物理的特性を有する。
【0093】
実施例19
成分1 ステアリン酸カルシウム 3g
成分2 酢酸トコフェリル 3g
吸収促進剤 ウシコラーゲン(粉末) 3g
得られた製品はパテ様であり、実施例18のものと同等な良好な水抵抗性および物理的特性を有する。加えて、本パテは、吸収促進剤(成分3)として存在する繊維状の粉砕したコラーゲンスポンジが存在する結果、繊維状手触りを有する。
【0094】
実施例20
成分1 ステアリン酸カルシウム 3g
成分2 酢酸トコフェリル 3g
吸収促進剤 ウシコラーゲン(粉末) 3g
抗生物質含有 硫酸ゲンタマイシン含有
*欧州で利用可能なCollatamp G
これらは抗感染剤特性を有する止血パテをもたらす。
【0095】
実施例21
成分1 ステアリン酸カルシウム 4g
成分2 酢酸トコフェリル 3g
吸収促進剤 ゼラチン 3g
抗生物質 硫酸ゲンタマイシン 120mg
120mgの硫酸ゲンタマイシンを、酢酸トコフェリルを添加し、パテとする前に乾燥成分として混合する以外、実施例1を繰り返す。この実施例は、抗感染剤特性を有するパテの製造を証明する。
【0096】
実施例22
下記組成物は、約40%ステアリン酸カルシウム、30%デキストランおよび30%ヒマシ油の好ましい組成物として米国特許4,439,420に記載されている。水を添加したとき、好ましい組成は38%ステアリン酸カルシウム、28%デキストラン、27%ヒマシ油および7%水である(全て重量%である)。本組成物を、環境温度で機械的撹拌により製造し、熱感受性成分が分解する可能性を避けた。
【0097】
ステアリン酸カルシウム 4g
ヒマシ油 3g
デキストラン 3g
ステアリン酸カルシウムおよびデキストランを50mlガラスビーカーで混合し、ヒマシ油を撹拌しながらスパーテルを使用して添加した。数分間、混合物をスパーテルで室温で“加工”した後、粘稠度が徐々に変化した。本混合物は脆くなり、さらに加工した後、パテ様となった。
【0098】
実施例23
実施例22の製剤を下記に示すように改変し、本発明の新規なパテ様組成物を製造した。この塊は有効な止血剤であり、有効な骨原性骨欠損充填剤である。
ステアリン酸カルシウム 2g
ヒマシ油 1.5g
デキストラン 1.5g
DBM(脱塩骨基質) 1.5g
本実施例の目的は、DBMを米国特許4,439,420に添加し、骨原性特性を有するパテ様塊を得ることができることを示すことである。
【0099】
実施例24
成分1 ステアリン酸カルシウム 3g
成分2 ラウリン酸エチル 3g
成分3 脱塩骨基質 1g
本実施例の目的は、DBMを米国特許4,439,420に添加し、骨原性特性を有するパテ様塊を得ることができることを示すことである。
【0100】
実施例25
成分1 ステアリン酸カルシウム 1g
成分2 酢酸トコフェリル 1g
成分2 グリセロール .25g
優れた水抵抗性の相対的に柔らかいパテをもたらす。
【0101】
実施例26
酢酸d,l−アルファトコフェリル 1.6g
ステアリン酸カルシウム 0.6g
ジャガイモデンプン 3.8g
*-Razin International, Inc.
6527 Route 9
Howell, New Jersey 07731
酢酸トコフェリルおよびステアリン酸カルシウムを一緒に混合し、デンプンを次いで添加した。形成した混合物は、良好な水抵抗性の、柔らかい、白色パテであった。
【0102】
手術後癒着の形成を防止するために、デンプンを分解するために、パテを、コバルト60源からの25kGyの電離ガンマ放射を使用して分解することが必要であるかもしれない。あるいは、デンプンをパテに製剤する前に、放射線分解に付し得る。
【0103】
下記実施例27−33は、実施例1に記載の通りに製造した、良好な水抵抗性を有し、カルシウム塩の量に対してゼラチンの量を増やしていくと、ゆっくりした吸収性のからより急速な吸収性のへと徐々に増加した吸収性を有する、パテ組成物を示す。
【0104】
【表1】

【0105】
実施例34
成分1 ステアリン酸Ca 3.4
成分2 酢酸トコフェリル 3.2
吸収促進剤 ゼラチン 4.4
得られた製品は、実施例1のパテと類似の特性を有する。
【0106】
実施例35
成分1 ステアリン酸Ca 3.0g
成分2 酢酸トコフェリル 0.4g
成分2 クエン酸トリブチル 2.3g
吸収促進剤 ゼラチン 2.0g
非常に良好な止血および吸収特性を有するパテをもたらす。
【0107】
実施例36
成分1 ステアリン酸Ca 3.0
成分2 酢酸トコフェリル 0.4
成分2 クエン酸アセチルトリブチル 2.3
吸収促進剤 ゼラチン 2.0
得られた製品は、実施例53のパテと類似の特性を有する。
【0108】
前記実施例は、本発明の具体的態様の例である。他の態様を、本発明の教示に従い、当分野の当業者は製造し得る。
【0109】
実施例37
成分1 ステアリン酸カルシウム 4g
成分2 Pluronic(登録商標)L-35 0.2g
(分子量1900)
成分12 水 2g
*Pluronic 588310, Lot WPAW-502B, BASF, Corp. Mt. Olive, NJ 07828-1234
成分をパテ様塊が得られるまで、撹拌しながら合わせる。本物質は、過剰の水に容易に分散する。
本実施例のPluronicは粘性液体であり、優れたパテを形成した。Pluronicが水溶性であるため、吸収促進剤の添加は必要なかった。
【0110】
実施例38
成分1 ステアリン酸カルシウム 2.0g
成分2 酢酸トコフェリル 1.5g
成分3 Pluronic(登録商標) F-38* 2.0g
(分子量4700)
*製品583095, Lot WP1W-515B, BASF Corp., Mt. Olive, NJ 07828-1234
Pluronicは“香錠(Pastille)”として提供され、混合前に挽いて粉末にする。本混合物は優れたパテを形成した。
【0111】
実施例39
成分1 ステアリン酸カルシウム 4.0g
成分2 Pluronic(登録商標)L-35 3.0g
(分子量1900)
本実施例のPluronicは粘性液体であり、優れたパテを形成した。Pluronicが水溶性であるため、吸収促進剤の添加は必要なかった。
【0112】
前記の実施例は本発明の具体的態様の例である。本発明の範囲内の他の態様は、前記の明細書に記載に従い、当業者により製造され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊密な混合物で、下記の吸収性の成分1および2、ならびに、下記の任意の成分3、4、5、6および7の何も含まないか、1個またはそれ以上のいずれかを含む身体吸収性の、機械的止血性パテ組成物:
成分1. カルボン酸アニオンと金属カチオンを含む、吸収性の、微粉末、カルボン酸塩を、下記との緊密な混合物として
成分2. 下記成分2グループa)からg)から成る群から選択されるメンバーを含む、吸収性の組成物:
グループa)i)1個またはそれ以上の、C−C181価アルコールとC−C脂肪族モノカルボン酸の吸収性のエステルまたは、
ii)1個またはそれ以上の、C−C181価アルコールとポリカルボン酸の吸収性のエステル、
iii)またはi)とii)の混合物、
グループb)8個から約30個の炭素原子を有する吸収性の1価アルコール、
グループc)約10から約14個の炭素原子を有する吸収性の炭化水素、
グループd)吸収性の遊離、液体、飽和または不飽和カルボン酸、
グループe)1)吸収性のジアルキルエーテル、アルキルアリールエーテル、またはクラウンエーテル(各々約80℃より高い沸点を有する)、2)またはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー、
グループf)約80℃より高い沸点を有する吸収性のジアルキルケトン、
グループg)ポリヒドロキシ化合物、ポリヒドロキシ化合物エステル、およびポリヒドロキシ化合物エーテルから成る群から選択される吸収性の組成物、
および成分2が室温で固体形のとき、成分2のための任意の吸収性の、生体適合性液化剤、
成分3. 任意の脱塩骨基質(DBM)、
成分4. 任意の吸収性の抗感染剤、
成分5. 任意の吸収性の吸収促進剤、
成分6. 任意の吸収性の着色剤、
成分7. 任意の量の水(ここで、成分1および2、および存在し得る全ての任意の成分の量は、環境温度で機械的止血性、パテ様粘稠度を形成するのに十分である)。
【請求項2】
さらにDBM(成分3)および抗感染剤(成分4)の一方または両方を含む(該DBMは、骨生長誘発有効量かつ粒子サイズであり、該抗感染剤は薬学的有効量である)、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該DBMを含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
該組成物が無菌である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
成分1および成分2に加えて、吸収促進剤(成分5)および着色剤(成分6)の一方または両方を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
成分1のカルボン酸アニオンが約6個から22個の炭素原子を含む飽和または不飽和カルボン酸から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
成分1のカルボン酸塩カチオンが、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、またはバリウムまたはそれらの混合物である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
成分1のカルボン酸アニオンが、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸およびそれらの中断同族体から選択される脂肪族酸である、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
成分1のカルボン酸アニオンがステアリン酸である、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
成分1のカルボン酸アニオンがパルミチン酸である、請求項8記載の組成物。
【請求項11】
成分1のカルボン酸塩カチオンがカルシウムである、請求項9記載の組成物。
【請求項12】
成分1のカルボン酸塩カチオンがアルミニウムである、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
成分2、グループaiとして、C−C181価アルコールとC−C脂肪族モノカルボン酸の吸収性のエステルを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
成分2、グループaiのC−C181価アルコールがオクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、またはミリスチルアルコール、またはそれらの中断同族体を含む、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
成分2、グループaiのC−C181価アルコールがラウリルアルコールを含む、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
成分2、グループaiのC−C脂肪族モノカルボン酸が酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸またはカプロン酸を含む、請求項13記載の組成物。
【請求項17】
成分2、グループaiiとして、C−C181価アルコールとポリカルボン酸の吸収性のエステルを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
成分2、グループaiiの1価アルコールがエタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、またはミリスチルアルコール、またはそれらの中断同族体を含む、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
ポリカルボン酸がマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アセチルクエン酸またはアセチルリンゴ酸を含む、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
成分2、グループaiiのポリカルボン酸がコハク酸を含む、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
成分2、グループaiiのポリカルボン酸がクエン酸を含む、請求項19記載の組成物。
【請求項22】
成分2、グループaiiのポリカルボン酸がアセチルクエン酸を含む、請求項19記載の組成物。
【請求項23】
成分2、グループaiiのエステルがコハク酸ジエチルを含む、請求項19記載の組成物。
【請求項24】
成分2、グループaiiのエステルがコハク酸ジオクチルを含む、請求項19記載の組成物。
【請求項25】
成分2、グループaiiのエステルがクエン酸トリエチルを含む、請求項19記載の組成物。
【請求項26】
成分2、グループaiiのエステルがクエン酸アセチルトリブチルを含む、請求項19記載の組成物。
【請求項27】
成分2、グループaiiのエステルがアセチルクエン酸トリエチルを含む、請求項19記載の組成物。
【請求項28】
成分2、グループaiiのエステルがリンゴ酸ジエチルを含む、請求項19記載の組成物。
【請求項29】
成分2、グループaiiのエステルがアセチルリンゴ酸ジエチルを含む、請求項19記載の組成物。
【請求項30】
成分2、グループaiiのエステルがコハク酸ジオクチルを含む、請求項19記載の組成物。
【請求項31】
成分2、グループaiiのエステルがクエン酸トリブチルを含む、請求項19記載の組成物。
【請求項32】
成分2、グループbとして、少なくとも1個の8−12個の炭素原子を有する吸収性の1価アルコールを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項33】
成分2、グループbの吸収性の1価アルコールがオクタノール、デカノールまたはドデカノールの1個またはそれ以上を含む、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
成分2、グループcとして、10−14個の炭素原子を有する吸収性の炭化水素を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項35】
成分2、グループcがデカンまたはドデカンを含む、請求項34記載の組成物。
【請求項36】
成分2、グループdとして、吸収性の遊離、飽和または不飽和カルボン酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項37】
成分2、グループdがオレイン酸、リノール酸、カプリル酸、カプリン酸、またはラウリン酸を含む、請求項36記載の組成物。
【請求項38】
成分2、グループeとして、吸収性のジアルキルエーテル、アルキルアリールエーテルまたはクラウンエーテル(各々約80℃より高い沸点を有する)、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項39】
該エーテルが対称性ジアルキルエーテルである、請求項38記載の組成物。
【請求項40】
該エーテルがジ−n−ブチルエーテルまたはジ−n−ヘキシルエーテルである、請求項39記載の組成物。
【請求項41】
該成分2がエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである、請求項38記載の組成物。
【請求項42】
成分2、グループfとして、吸収性のジアルキルケトンまたはアルキルアリールケトン(各々約80℃より高い沸点を有する)を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項43】
該ケトンがエチルオクチルケトンまたはジ−ヘキシルケトンである、請求項42記載の組成物。
【請求項44】
成分2、グループgとして、ポリヒドロキシ化合物、ポリヒドロキシ化合物エステル、およびポリヒドロキシ化合物エーテルから成る群のメンバーを含む吸収性の組成物を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項45】
成分2、グループgがグリセロール、グリセリルモノエステル、グリセリルジエステル、グリセリルトリエステル、グリセリルモノエーテル、グリセリルジエーテル、またはグリセリルトリエーテルを含む、請求項44記載の組成物。
【請求項46】
成分2、グループgがモノラウリン酸グリセリルを含む、請求項45記載の組成物。
【請求項47】
成分2、グループgがジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、トリメチルオールエタン、トリメチルoプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、またはポリエチレングリコールを含む、請求項44記載の組成物。
【請求項48】
成分5が、吸収性の可溶性または不溶性、天然または合成ポリペプチド、不溶性繊維状コラーゲン、可溶性トロポコラーゲン、ゼラチン、レシチン、ベタイン、オクチルフェニルエトキシレート、ポリビニルピロリドン、吸収性の五酸化リン製ガラスまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーを含む、請求項5記載の組成物。
【請求項49】
成分1および成分2に加えて、DBM(成分3)および抗感染剤(成分4)の一方または両方を含む(該DBMは、骨生長誘発量であり、該抗感染剤は薬学的有効量である)、請求項13記載の組成物。
【請求項50】
該DBMを含む、請求項49記載の組成物。
【請求項51】
該抗感染剤を含む、請求項49記載の組成物。
【請求項52】
成分1および成分2に加えて、吸収促進剤(成分5)、および着色剤(成分6)の一方または両方を含む、請求項49記載の組成物。
【請求項53】
成分5が、存在するとき、吸収性の可溶性または不溶性、天然または合成ポリペプチド、不溶性繊維状コラーゲン、可溶性トロポコラーゲン、ゼラチン、レシチン、ベタイン、オクチルフェニルエトキシレート、ポリビニルピロリドン、吸収性の五酸化リン製ガラスまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーを含む、請求項52記載の組成物。
【請求項54】
成分1および成分2に加えて、DBM(成分3)および抗生物質(成分4)の一方または両方を含む(該DBMは、骨生長誘発有効量であり、該抗感染剤は薬学的有効量である)、請求項13記載の組成物。
【請求項55】
該DBMを含む、請求項54記載の組成物。
【請求項56】
該抗感染剤を含む、請求項54記載の組成物。
【請求項57】
成分1および成分2に加えて、DBM(成分3)および抗生物質(成分4)の一方または両方を含む(該DBMは、骨生長誘発有効量であり、該抗感染剤は薬学的有効量である)、請求項32記載の組成物。
【請求項58】
該DBMを含む、請求項57記載の組成物。
【請求項59】
該抗感染剤を含む、請求項57記載の組成物。
【請求項60】
成分5が、存在するとき、吸収性の可溶性または不溶性、天然または合成ポリペプチド、不溶性繊維状コラーゲン、可溶性トロポコラーゲン、ゼラチン、レシチン、ベタイン、オクチルフェニルエトキシレート、ポリビニルピロリドン、吸収性の五酸化リン製ガラスまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーを含む、請求項57記載の組成物。
【請求項61】
成分1および成分2に加えて、DBM(成分3)および抗生物質(成分4)の一方または両方を含む(該DBMは、骨生長誘発有効量であり、該抗感染剤は薬学的有効量である)、請求項34記載の組成物。
【請求項62】
該DBMを含む、請求項61記載の組成物。
【請求項63】
該抗感染剤を含む、請求項61記載の組成物。
【請求項64】
成分5が、存在するとき、吸収性の可溶性または不溶性、天然または合成ポリペプチド、不溶性繊維状コラーゲン、可溶性トロポコラーゲン、ゼラチン、レシチン、ベタイン、オクチルフェニルエトキシレート、ポリビニルピロリドン、吸収性の五酸化リン製ガラスまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーを含む、請求項61記載の組成物。
【請求項65】
成分1および成分2に加えて、DBM(成分3)および抗生物質(成分4)の一方または両方を含む(該DBMは、骨生長誘発有効量であり、該抗感染剤は薬学的有効量である)、請求項36記載の組成物。
【請求項66】
該DBMを含む、請求項65記載の組成物。
【請求項67】
該抗感染剤を含む、請求項65記載の組成物。
【請求項68】
成分5が、存在するとき、吸収性の可溶性または不溶性、天然または合成ポリペプチド、不溶性繊維状コラーゲン、可溶性トロポコラーゲン、ゼラチン、レシチン、ベタイン、オクチルフェニルエトキシレート、ポリビニルピロリドン、吸収性の五酸化リン製ガラスまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーを含む、請求項65記載の組成物。
【請求項69】
成分1および成分2に加えて、DBM(成分3)および抗生物質(成分4)の一方または両方を含む(該DBMは、骨生長誘発有効量であり、該抗感染剤は薬学的有効量である)、請求項38記載の組成物。
【請求項70】
該DBMを含む、請求項69記載の組成物。
【請求項71】
該抗感染剤を含む、請求項69記載の組成物。
【請求項72】
成分5が、存在するとき、ゼラチン、吸収性の可溶性または不溶性、天然または合成ポリペプチド、不溶性繊維状コラーゲン、可溶性トロポコラーゲン、ゼラチン、レシチン、ベタイン、オクチルフェニルエトキシレート、ポリビニルピロリドン、吸収性の五酸化リン製ガラスまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーを含む、請求項69記載の組成物。
【請求項73】
成分1および成分2に加えて、DBM(成分3)および抗生物質(成分4)の一方または両方を含む(該DBMは、骨生長誘発有効量であり、該抗感染剤は薬学的有効量である)、請求項42記載の組成物。
【請求項74】
該DBMを含む、請求項73記載の組成物。
【請求項75】
該抗感染剤を含む、請求項73記載の組成物。
【請求項76】
成分5が、存在するとき、吸収性の可溶性または不溶性、天然または合成ポリペプチド、不溶性繊維状コラーゲン、可溶性トロポコラーゲン、ゼラチン、レシチン、ベタイン、オクチルフェニルエトキシレート、ポリビニルピロリドン、吸収性の五酸化リン製ガラスまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーを含む、請求項73記載の組成物。
【請求項77】
成分1および成分2に加えて、DBM(成分3)および抗生物質(成分4)の一方または両方を含む(該DBMは、骨生長誘発有効量であり、該抗感染剤は薬学的有効量である)、請求項44記載の組成物。
【請求項78】
該DBMを含む、請求項77記載の組成物。
【請求項79】
該抗感染剤を含む、請求項77記載の組成物。
【請求項80】
成分5が、存在するとき、吸収性の可溶性または不溶性、天然または合成ポリペプチド、不溶性繊維状コラーゲン、可溶性トロポコラーゲン、ゼラチン、レシチン、ベタイン、オクチルフェニルエトキシレート、ポリビニルピロリドン、吸収性の五酸化リン製ガラスまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーを含む、請求項77記載の組成物。
【請求項81】
成分1がステアリン酸カルシウムを含み、成分2がクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、オクタノール、コハク酸ジエチル、ジ−n−ブチルエーテルまたはジ−n−ペンチルケトンを含み、そして該成分3が脱塩骨基質を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項82】
該抗感染剤をさらに含む、請求項81記載の組成物。
【請求項83】
任意の成分5が存在し、かつゼラチンを含む、請求項82記載の組成物。
【請求項84】
該組成物が無菌である、請求項82記載の組成物。
【請求項85】
該組成物が無菌である、請求項1記載の組成物。
【請求項86】
該組成物が無菌である、請求項2記載の組成物。
【請求項87】
吸収性の着色剤が存在する、請求項2記載の組成物。
【請求項88】
さらに該組成物との緊密な混合物で水を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項89】
さらに該組成物との緊密な混合物で水を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項90】
緊密な混合物で、下記の吸収性の成分1および2、ならびに、任意の成分3、4、5、6および7の何も含まないか、1個またはそれ以上のいずれかを含む身体吸収性の、機械的止血性パテ組成物:
成分1. カルボン酸アニオンと金属カチオンを含む、吸収性の、微粉末、カルボン酸塩を、下記との緊密な混合物として
成分2. トコフェロール、トコフェロールのC−C10脂肪族モノカルボン酸エステル、トコフェロールのポリカルボン酸エステルおよびそれらの混合物から成る群から選択されるメンバーを含む、吸収性の組成物、
および成分2が室温で固体形のとき、成分2のための任意の吸収性の、生体適合性液化剤、
成分3. 任意の脱塩骨基質(DBM)、
成分4. 任意の吸収性の抗感染剤、
成分5. 任意の吸収性の吸収促進剤、
成分6. 任意の吸収性の着色剤、
成分7. 任意の量の水(ここで、成分1および2、および存在し得る全ての任意の成分の量は、環境温度で機械的止血性、パテ様粘稠度を形成するのに十分である)。
【請求項91】
さらにDBM(成分3)および抗感染剤(成分4)の一方または両方を含む(該DBMは、骨生長誘発有効量であり、該抗感染剤は薬学的有効量である)、請求項90記載の組成物。
【請求項92】
該DBMを含む、請求項90記載の組成物。
【請求項93】
該組成物が無菌である、請求項90記載の組成物。
【請求項94】
成分1および成分2に加えて、吸収促進剤(成分5)および着色剤(成分6)の一方または両方を含む、請求項91記載の組成物。
【請求項95】
成分2がトコフェロール、その酢酸エステル、酪酸エステル、カプロン酸エステル、カプリル酸エステル、カプリン酸エステルおよび中断同族体エステル、およびそのコハク酸エステル、クエン酸エステルまたはリンゴ酸エステルから成る群から選択されるメンバーを含む、請求項90記載の組成物。
【請求項96】
成分2がトコフェロール、酢酸トコフェリルまたはコハク酸トコフェリルを含む、請求項95記載の組成物。
【請求項97】
成分2が酢酸トコフェリルを含む、請求項96記載の組成物。
【請求項98】
成分1のカルボン酸アニオンが約6個から22個の炭素原子を含む飽和または不飽和カルボン酸から選択される、請求項93記載の組成物。
【請求項99】
成分1のカルボン酸塩カチオンがカルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、またはバリウムまたはそれらの混合物である、請求項98記載の組成物。
【請求項100】
成分1のカルボン酸アニオンが、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、およびそれらの中断同族体から選択される脂肪族酸を含む、請求項99記載の組成物。
【請求項101】
成分1のカルボン酸アニオンがステアリン酸である、請求項100記載の組成物。
【請求項102】
成分1のカルボン酸アニオンがパルミチン酸である、請求項100記載の組成物。
【請求項103】
成分1のカルボン酸塩カチオンがカルシウムである、請求項101記載の組成物。
【請求項104】
成分1のカルボン酸塩カチオンがアルミニウムである、請求項102記載の組成物。
【請求項105】
成分2がトコフェロール、その酢酸エステル、酪酸エステル、カプロン酸エステル、カプリル酸エステル、カプリン酸エステルおよび中断同族体エステル、およびそのコハク酸エステル、クエン酸エステルまたはリンゴ酸エステルから成る群から選択されるメンバーを含む、請求項103記載の組成物。
【請求項106】
成分2が酢酸トコフェリルを含む、請求項105記載の組成物。
【請求項107】
成分5がゼラチン、レシチン、ベタイン、オクチルフェニルエトキシレート、ポリビニルピロリドン、吸収性の五酸化リン製ガラスまたは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーを含む、請求項94記載の組成物。
【請求項108】
該組成物が無菌である、請求項90記載の組成物。
【請求項109】
該組成物が無菌である、請求項91記載の組成物。
【請求項110】
成分2がトコフェロール、その酢酸エステル、酪酸エステル、カプロン酸エステル、カプリル酸エステル、カプリン酸エステルおよび中断同族体エステル、およびそのコハク酸エステル、クエン酸エステルまたはリンゴ酸エステルから成る群から選択されるメンバーを含む、請求項91記載の組成物。
【請求項111】
成分2がトコフェロール、酢酸トコフェリルまたはコハク酸トコフェリルを含む、請求項110記載の組成物。
【請求項112】
成分2が酢酸トコフェリルを含む、請求項111記載の組成物。
【請求項113】
成分1のカルボン酸アニオンが約6個から22個の炭素原子を含む飽和または不飽和カルボン酸から選択される、請求項110記載の組成物。
【請求項114】
成分1のカルボン酸塩カチオンがカルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、またはバリウムまたはそれらの混合物である、請求項113記載の組成物。
【請求項115】
成分1のカルボン酸アニオンが、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、およびそれらの中断同族体から選択される脂肪族酸である、請求項114記載の組成物。
【請求項116】
成分1のカルボン酸アニオンがステアリン酸である、請求項115記載の組成物。
【請求項117】
成分1のカルボン酸アニオンがパルミチン酸である、請求項115記載の組成物。
【請求項118】
成分1のカルボン酸塩カチオンがカルシウムである、請求項116記載の組成物。
【請求項119】
成分1のカルボン酸塩カチオンがアルミニウムである、請求項117記載の組成物。
【請求項120】
成分1がステアリン酸カルシウムを含み、成分2が酢酸トコフェリルを含み、任意の成分3が、存在するとき骨生長誘発有効量のDBMを含み、そして任意の成分4、抗感染剤が存在するとき、薬学的有効量で存在する、請求項91記載の組成物。
【請求項121】
DBMが存在する、請求項120記載の組成物。
【請求項122】
抗感染剤が存在する、請求項120記載の組成物。
【請求項123】
感染剤が存在する、請求項121記載の組成物。
【請求項124】
該組成物が無菌である、請求項120記載の組成物。
【請求項125】
該組成物が無菌である、請求項121記載の組成物。
【請求項126】
さらに該組成物との緊密な混合物で水を含む、請求項90記載の組成物。
【請求項127】
さらに該組成物との緊密な混合物で水を含む、請求項91記載の組成物。
【請求項128】
(i)生体適合性脂肪酸塩単独または該脂肪酸塩と任意の生体適合性インビボ吸収促進剤の混合物のいずれかを含む、成分(A)および
(ii)ヒマシ油、ゴマ油、アーモンド油、綿実油、コーン油、オリーブ油、タラ肝油、ベニバナ油、およびダイズ油、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、ポリエチレングリコールおよびメトキシポリエチレングリコール、トリグリセリドおよび脂肪酸エステルから成る群から選択される身体吸収性の生体適合性基剤を含む、成分(B)、および
(iii)任意の量の水
を含む吸収性の組成物であって、
該脂肪酸塩のカチオンがカルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウムおよびバリウムから成る群から選択され、脂肪酸アニオンが飽和または不飽和であり、かつ鎖中に10から22個の炭素原子を含み、該組成物に付与された改善は、該組成物との緊密な混合物として、成分Cとして脱塩骨基質を包含させることによる骨誘発特性であり、該成分Cは、該成分AおよびB、該任意の吸収促進剤の存在下、骨生長誘発物質として有効な十分な平均粒子サイズおよび量であり、そして該成分AおよびB、該任意の吸収促進剤、該任意の水、および該成分Cは、パテ様粘稠度を有する組成物を産生するのに、混合物中互いに十分な量である、組成物。
【請求項129】
成分Cが、約0.1mmから約2mmの平均粒子サイズの脱塩骨基質である、請求項128記載の組成物。
【請求項130】
脂肪酸塩がステアリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、ミリスチン酸カルシウム、またはラウリン酸カルシウムを含む、請求項129記載の組成物。
【請求項131】
脂肪酸エステルがヒマシ油を含む、請求項129記載の組成物。
【請求項132】
脂肪酸塩がステアリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、ミリスチン酸カルシウム、またはラウリン酸カルシウムを含む、請求項128記載の組成物。
【請求項133】
脂肪酸エステルがヒマシ油を含む、請求項128記載の組成物。
【請求項134】
成分Bがミリスチン酸イソプロピルを含む、請求項128記載の組成物。
【請求項135】
成分Bがゴマ油を含む、請求項128記載の組成物。
【請求項136】
成分Bがダイズ油を含む、請求項128記載の組成物。
【請求項137】
成分Bがベニバナ油を含む、請求項128記載の組成物。
【請求項138】
吸収性の着色剤、および吸収性の抗感染剤から成る群から選択される、少なくとも1個の付加的成分を含む、請求項128記載の組成物。
【請求項139】
成分Bがヒマシ油を含む、請求項130記載の組成物。
【請求項140】
該組成物との混合物で水を含む、請求項128記載の組成物。
【請求項141】
該組成物が無菌である、請求項128記載の組成物。
【請求項142】
請求項1記載の組成物を含む包装物であって、該組成物が無定形または一般に丸形または一般に平行六面体形であり、ここで該組成物が無菌バリア包装物中に封入され、かつ無菌または滅菌可能である、包装物。
【請求項143】
包装物がプランジャーまたはアプリケーターを含み、該プランジャーまたはアプリケーターに適用される機械的圧力の適用により該組成物が該包装物から放出される、請求項142記載の包装物。
【請求項144】
包装物が、開放可能出口を有し、そこへの機械的圧力の適用により該組成物が該チューブから放出される、圧搾可能、変形可能チューブを含む、請求項142記載の包装物。
【請求項145】
該組成物が無菌である、請求項142記載の包装物。
【請求項146】
請求項90記載の組成物を含む包装物であって、該組成物が無定形または一般に丸形または一般に平行六面体形であり、ここで該組成物が無菌バリア包装物中に封入され、かつ無菌または滅菌可能である、包装物。
【請求項147】
包装物がプランジャーまたはアプリケーターを含み、該プランジャーまたはアプリケーターに適用される機械的圧力の適用により該組成物が該包装物から放出される、請求項146記載の包装物。
【請求項148】
包装物が、開放可能出口を有し、そこへの機械的圧力の適用により該組成物が該チューブから放出される、圧搾可能、変形可能チューブを含む、請求項146記載の包装物。
【請求項149】
該組成物が無菌である、請求項146記載の包装物。
【請求項150】
請求項91記載の組成物を含む包装物であって、該組成物が無定形または一般に丸形または一般に平行六面体形であり、ここで該組成物が無菌バリア包装物中に封入され、かつ無菌または滅菌可能である、包装物。
【請求項151】
包装物がプランジャーまたはアプリケーターを含み、該プランジャーまたはアプリケーターに適用される機械的圧力の適用により該組成物が該包装物から放出される、請求項150記載の包装物。
【請求項152】
包装物が、開放可能出口を有し、そこへの機械的圧力の適用により該組成物が該チューブから放出される、圧搾可能、変形可能チューブを含む、請求項150記載の包装物。
【請求項153】
該組成物が無菌である、請求項150記載の包装物。
【請求項154】
請求項128記載の組成物を含む包装物であって、該組成物が無定形または一般に丸形または一般に平行六面体形であり、ここで該組成物が無菌バリア包装物中に封入され、かつ無菌または滅菌可能である、包装物。
【請求項155】
包装物がプランジャーまたはアプリケーターを含み、該プランジャーまたはアプリケーターに適用される機械的圧力の適用により該組成物が該包装物から放出される、請求項154記載の包装物。
【請求項156】
包装物が、開放可能出口を有し、そこへの機械的圧力の適用により該組成物が該チューブから放出される、圧搾可能、変形可能チューブを含む、請求項154記載の包装物。
【請求項157】
該組成物が無菌である、請求項154記載の包装物。
【請求項158】
骨の出血を制御する方法であって、有効量の請求項1記載の組成物を、骨の冒された領域に適用することを含む、方法。
【請求項159】
骨の出血を制御する方法であって、有効量の請求項90記載の組成物を、骨の冒された領域に適用することを含む、方法。
【請求項160】
骨の出血を制御する方法であって、有効量の請求項128記載の組成物を、骨の冒された領域に適用することを含む、方法。
【請求項161】
骨欠損における骨の増殖を誘発する方法であって、有効量の請求項3記載の組成物を、骨の冒された領域に適用することを含む、方法。
【請求項162】
骨欠損における骨の増殖を誘発する方法であって、有効量の請求項92記載の組成物を、骨の冒された領域に適用することを含む、方法。
【請求項163】
骨欠損における骨の増殖を誘発する方法であって、有効量の請求項128記載の組成物を、骨の冒された領域に適用することを含む、方法。
【請求項164】
骨中または骨周囲の感染を処置する方法であって、有効量の請求項4記載の組成物を、処置すべき骨の冒された領域に適用することを含む、方法。
【請求項165】
骨中または骨周囲の感染を処置する方法であって、有効量の請求項93記載の組成物を、処置すべき骨の冒された領域に適用することを含む、方法。
【請求項166】
骨中または骨周囲の感染を処置する方法であって、有効量の請求項138記載の組成物を、処置すべき骨の冒された領域に適用することを含み、かつ該抗感染剤が存在する、方法。

【公表番号】特表2007−506505(P2007−506505A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527999(P2006−527999)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/026739
【国際公開番号】WO2005/034816
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(506097793)オーソ・セラピューティクス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (2)
【氏名又は名称原語表記】ORTHO THERAPEUTICS, LLC
【Fターム(参考)】