説明

生体磁気計測装置及び測定方法

【課題】SQUID磁束計から得られた胎児の心臓や脳から発生する磁気信号と母体から発生する磁気信号の分離といった2つ以上の異なる部位から発生する磁気信号を分離する機能を有する生体磁気計測装置を提供する。
【解決手段】SQUID磁束計からの磁気波形や該磁束計以外の入力信号波形のいずれかのチャンネルの波形をトリガー信号として、前記トリガー信号を用いて、該SQUID磁束計で計測された磁気信号波形を加算平均し、かつ基線補正処理を施した後の波形を、前記トリガー信号を用いて、前記計測された磁気信号波形から差し引く手段と、前記差し引く手段から得られた波形を表示する手段を有する生体磁気計測装置。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成人,小児,胎児などの心臓や脳などから発生する微弱な磁気信号を計測するSQUID(Superconducting Quantum Interference Device:超伝導量子干渉素子)磁束計を含めた生体磁気計測装置に関するものであり、特に臨床検査分野において、生体磁気計測装置から得られた生体磁気信号の情報から有用な情報を得る解析手段および表示手段を有する生体磁気計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来技術として、成人,小児,胎児などの心臓や脳などから発生する生体磁気信号の検出はSQUID(Superconducting Quantum Interference Device:超伝導量子干渉素子)磁束計を用いて検出されている。
【0003】特開平10−305019号公報には、生体から発する生体磁気信号を検出する複数の磁束計と、信号の演算処理を行う演算処理手段と演算結果を表示する手段とを有し、磁気シールドルーム内で生体磁場分布を計測する装置について記載されている。
【0004】特開平10−305019号公報には、生体磁気計測装置において、検出された生体磁気信号の生データからノイズを除去する目的で加算平均(アベレージング)処理を有し、処理条件を視覚的に簡便化した表示手段を有する生体磁気計測装置について記載されている。
【0005】また、特開平5−249208号公報には、生体磁気信号を加算平均したものを測定信号から引き算し、雑音のみの信号を得る。雑音成分は主に冷凍機から発生する周期的ノイズであることから、該雑音信号を数サイクル分加算平均し、テンプレートを作成する。その後、測定信号から雑音信号のテンプレートを引き算することにより、生体磁気信号のみのデータを得るという方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】検出された生体磁気信号は、目的とする部位以外の生体磁気信号が混ざっていることがあり、目的とする部位の磁気信号との区別が困難な場合がある。例えば、胎児の心臓から発生する磁気信号と母体から発生する磁気信号が、ほぼ同じ大きさで検出された場合などは、どちらから発生した磁気信号なのかを区別することは、従来の技術では困難であった。
【0007】本発明では、SQUID磁束計から得られた胎児の心臓や脳から発生する磁気信号と母体から発生する磁気信号の分離や、脳から発生する磁気信号と心臓から発生する磁気信号の分離というような2つ以上の異なる部位から発生する信号の分離を目的とした信号処理の手段を有する生体磁気計測装置が提供でき、心臓疾患や脳機能障害等の診断に有用な情報を提供することが可能となる。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するために、本発明によれば、被験者を支持するための支持体と、被験者から発生する磁場を検出する超伝導量子干渉素子(SQUID)を備える磁気センサと、該磁気センサを外部磁場から遮断するシールドと、該超伝導量子干渉素子を低温に保持するためのクライオスタットと、該クライオスタットを保持する手段と、前記超伝導量子干渉素子の駆動回路を含む磁束計回路とを備えた生体磁気計測装置であって、更に、被験者の測定対象である磁気発生源を、磁気以外の物理量の変化で測定する測定手段を備え、該測定手段からの信号と前記磁気センサからの信号を演算し、前記被験者の複数の磁気発生源からの信号を分離する演算装置を備えた生体磁気計測装置が提供される。
【0009】上記生体磁気計測装置において、前記磁気以外の物理量変化の測定手段が被験者の皮膚の電位の変動を測定する手段であっても良い。
【0010】また、本発明では、生体から発生する磁場を計測する超伝導量子干渉素子(Superconducting Quantum Interference Device: 以後SQUIDと略す)を用いた1個ないし複数個の磁束計と、該SQUID磁束計によって得られた磁気信号の波形を表示する手段と、該SQUID磁束計以外の信号、例えば心電計や脳波計などの信号を取り込み表示する手段と、該磁束計によって得られた磁気信号波形、あるいは前記心電計や脳波計などから取り込んだ該磁束計以外の外部入力信号波形を収集データとして、前記収集データのいずれかのチャンネルの信号波形から基準時刻(トリガー信号)を決定し、前記トリガー信号を用いて前記磁気信号波形を加算平均する手段と、前記加算平均手段により得られた磁気信号波形の任意の2点の時刻における磁気信号強度の値を結んだ直線(基線)の傾きが0になるように補正し、かつ前記任意の2点の時刻における磁気信号強度の値が0(オフセット)になるように補正する手段(基線補正手段)を有し、前記加算平均手段と前記基線補正手段によって得られた波形(波形Bとする)を前記トリガー信号を用いて、前記計測された磁気信号波形(波形Aとする)から差し引く手段と、前記差し引く手段によって得られた波形(波形Cとする)を表示する手段を備えることができる。
【0011】また、前記差し引く手段によって得られた波形(波形C)を、前記トリガー信号を用いて前記計測された磁気信号波形(波形A)から差し引く手段(該手段によって得られる波形を波形Dとする)を有し、前記計測された磁気信号波形Aと、前記波形Cと、前記波形Dと、前記トリガー信号波形のいずれか2つ以上を時系列に上下並べて同一画面上に表示できる手段を有したものである。
【0012】更に、前記波形C、又は前記波形Dを前記収集データとして置き換え、上記加算平均手段や基線補正手段、前記差し引く手段などの演算処理を繰り返し行う手段を有し、前記手段によって得られた波形を表示する手段を備えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図を用いて説明する。
【0014】図1は、本発明の実施例である生体磁気計測装置の構成を示す図である。図1に示すように磁気シールドルーム1内には、被験者9が横になるベッド4と複数個(複数チャンネル)のSQUID磁気センサおよびSQUID磁気センサを超伝導状態に保持するための冷媒(液体ヘリウムまたは液体窒素)が貯蔵されたクライオスタット2と、クライオスタット2を機械的に保持するガントリー3が配置されている。ベッド4は、X方向,Y方向,Z方向に移動可能である。磁気シールドルーム1の外部にはSQUID磁束計の駆動回路5と、アンプ回路およびフィルタ回路ユニット6と、データ取り込みおよびデータ解析用コンピュータ7と、心電計などの外部入力信号を取るための回路8とが配置されている。
【0015】SQUID磁気センサによって検出された生体磁気信号は、アンプ回路およびフィルタ回路ユニット6により増幅され、かつ設定周波数より低い周波数信号を通過させるローパスフィルタや設定周波数より高い周波数信号を通過させるハイパスフィルタ,商用電源周波数だけをカットするノッチフィルタなどの信号処理を経た後、パソコン7に生データとして取り込まれる。また、心電計などの外部入力信号をとるための回路8からの信号波形はパソコン7に生データとして取り込まれる。また、パソコン7は、取り込んだ生データを生データファイルに格納し、波形を画面表示したり、また波形の信号処理や等磁場線図処理などを行い、表示することもできる。
【0016】図2は、本発明の実施例であるデータ処理の概念フロー図を示したものである。図2において、図1R>1のパソコン7で取り込んだ生体磁気計測信号21および外部入力信号22は、生データファイル23に格納される。また生体磁気計測信号21および外部入力信号22は、生データファイル23に格納されると同時に、DSP(Digital Signal Processor)(図示せず)を用いて、リアルタイムで加算平均処理25などの信号処理を行うこともできる。生データファイル23からデータ処理するファイルを呼び出し、呼び出したファイルの信号波形データのうち、磁気信号波形あるいは、該磁束計以外の入力信号波形のいずれかのチャンネルの波形をトリガー信号として、該トリガー信号波形を用いて生体磁気計測信号21(波形A)に対して加算平均処理25を行う。次に、加算平均処理25により得られた波形に対して、基線補正処理26を行う。次に、基線補正処理26により得られた波形(波形B)を、前記トリガー信号を用いて、波形Aとの差分処理27を行う。波形差分処理27により得られた波形Cは、信号処理波形データファイル24に格納される。また波形Cは、波形Aとの差分処理28により、波形Dが得られる。波形Dは、信号処理波形データファイル24に格納される。前記信号処理波形データファイル24のデータは、再度、加算平均処理25,基線補正処理26,差分処理27,差分処理28の一連のデータ処理を繰り返し行うこともできる。また、トリガー信号として前記信号処理波形データファイル24のデータを用いることもできる。生データファイル23,信号処理波形データファイル24に格納された波形データは、表示区間や表示スケール,表示する波形のチャンネルなどの入力設定に従って、波形表示処理30および等磁場線図処理31が行われ、表示画面部32に表示される。
【0017】図3は、図2の加算平均処理25と基線補正処理26と波形差分処理27の信号処理方法の概念を示したものである。一実施例として、胎児の心臓磁気信号計測を目的とした場合について説明する。母親の腹部から計測された磁気信号波形36について、母親の心電計波形35をトリガー信号として、トリガー信号のピーク値の時刻のT1秒前からT2秒間を加算区間として、加算平均処理を行う。一般に母親の心電計波形には、胎児心電計波形はほとんど検出できないか、あるいは極めて小さい。したがって、心電計の波形に閾値を設定して、波形のピーク値を検出すれば、母親のみの心電計波形のピーク値を検出できる。前記ピーク値をトリガーとして、加算区間T2で加算平均処理を行って波形37を得る。加算平均処理をすることで、母親の心電計波形35に同期しない胎児の心臓の磁気信号波形は減衰し、心電計波形35に同期した母親の心臓の磁気信号の加算平均処理波形37を抽出することができる。前記波形37の任意の2点の時刻における信号強度の値を直線で結ぶ。前記直線を波形37の基線38とする。前記母親の腹部から計測された磁気信号波形36は、母親の呼吸振動に起因する波形のゆれも含む場合があり、加算平均処理だけでは完全に前記波形のゆれは除去できない場合もある。結果として、波形37のように基線38は、傾きとオフセット分をもった波形となる。前記基線38を基線40のように傾きを0にし、かつオフセットの値が0になるよう基線補正処理を行って、波形39を得る。前記基線補正処理を行うことによって、以下記述する差分処理を行うときに、差分区間の波形と波形のつなぎ目を平滑にする効果がある。次に、心電計信号波形35(トリガー信号)に同期させて、母親の腹部から計測された磁気信号波形36から母親の心臓磁気信号の基線補正処理波形39を差分処理すると、目的とする胎児の心臓磁気信号の差分処理波形41を得る。更に、波形36から波形41を差分処理すると、母親の長時間の心臓磁気信号波形(図示せず)を得ることができる。上記処理においては心電計等の外部入力信号があった方が処理が簡単になるが、そのような外部入力信号がなくても、磁気センサからの信号波形のみを、基準時刻に基づき処理することにより可能となる。
【0018】図4は、本発明における信号処理の一実施例として臨床例を示した図である。一例として、胎児の心臓から発生する磁気信号計測を目的として、母親の腹部から計測された磁気信号波形45(収集データ)は、胎児の心臓から発生する磁気信号波形だけでなく母体の心臓から発生する磁気信号波形が重なり合っている。外部入力信号として母体の心電計波形46を取り込み、前記心電計波形46をトリガー信号として、磁気信号波形45について加算平均処理25(図2)し、更に基線補正処理26(図2)を施し得られた波形(参照データ)を、磁気信号波形45と波形差分処理27(図2)を行うと、母体の心臓の磁気信号が除去され、波形47が得られる。波形47は、胎児の心臓の磁気信号波形である。更に、胎児の心臓波形でQRS波と呼ばれる波形の除去を目的として、波形47のR波の繰り返しピークをトリガー信号として、波形47について再度加算平均処理25(図2)と基線補正処理26(図2)を施し得られた波形(参照データ)を、磁気信号波形47と波形差分処理27(図2)を行うと、胎児の心臓波形のQRS波を除去した波形48を抽出することができる。この臨床例については、波形48の特徴として鋸歯のような周期性を持った波形(F波と呼ばれる)が見られ、症例として心房粗動と診断される。
【0019】図5は、表示画面の一例を示した図である。一例として、胎児の心臓から発生する磁気信号計測を目的として、母親の腹部から計測された磁気信号波形51と、外部入力信号として取り込んだ母体の心電計波形53と、前記心電計波形をトリガー信号として、磁気信号波形51について加算平均処理25(図2)と基線補正処理26(図2)と波形差分処理27(図2)を施し得られた胎児の心臓磁気波形52を、図4のように同一画面に同一時系列に並べて表示することで、視覚的に母体信号と胎児の信号との時間的関係などが容易に比較できる。更に、磁気信号波形51から胎児の心臓の磁気信号波形52を差分処理すると、母体の心臓の磁気信号波形(図示せず)を抽出することができ、波形表示ウィンドウを追加して、前記抽出した母体の心臓磁気信号波形も同一画面に同一時系列に表示することができる。表示する波形チャンネルは、チャンネル選択ボックス57の▼印をクリックするとプルダウンメニューが開き、その中からチャンネルを選択する。スクロールバー55で波形表示の時刻56をスクロールすることができる。また波形51と波形52の波形表示の時刻も連動して同時にスクロールする。カーソル54を移動させることで、カーソル54の位置での波形の信号強度および時刻を表示する。また、カーソルは一箇所を移動させると連動して、その他の波形のカーソルも移動する。
【0020】
【発明の効果】上記に示した本発明によれば、SQUID磁束計から得られた胎児の心臓や脳から発生する磁気信号と母体から発生する磁気信号との分離や、脳から発生する磁気信号と心臓から発生する磁気信号の分離といった2つ以上の異なる部位から発生する磁気信号を分離することができ、心臓疾患や脳機能障害等の診断に有用な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である生体磁気計測装置の構成を示す図。
【図2】本発明の実施例である信号処理の概念フロー図。
【図3】本発明の実施例である波形基線補正処理の概念図。
【図4】本発明の実施例である信号処理の一臨床例を示す図。
【図5】本発明の実施例である波形表示画面図。
【符号の説明】
1…磁気シールドルーム、2…SQUID磁気センサおよびクライオスタット、3…ガントリー、4…ベッド、5…SQUID磁束計の駆動回路、6…アンプ回路およびフィルタ回路ユニット、7…コンピュータ、8…心電計などの外部入力信号を取るための回路、9…被験者、21…生体磁気計測信号、22…外部入力信号、23…生データファイル、24…信号処理波形データファイル、25…加算平均処理、26…基線補正処理、27…波形差分処理(波形A−波形B)、28…波形差分処理(波形A−波形C)、30…波形表示処理、31…等磁場線図処理、32…表示画面部、35…トリガー信号波形、36…計測された磁気信号波形、37…加算平均処理波形、38…加算平均処理波形の基線、39…基線補正処理波形、40…基線補正処理波形の基線、41…差分処理波形(波形36から波形39を差し引いた波形)、45…計測された生体磁気信号波形(母体の心臓と胎児の心臓の磁気信号波形)、46…計測された心電計信号波形(母体の心臓の信号波形)、47…母体信号除去処理後の波形(胎児の心臓の磁気信号波形)、48…胎児の心臓のQRS波を除去した磁気信号波形、51…計測された生体磁気信号波形(母体の心臓と胎児の心臓の磁気信号波形)、52…信号処理後波形(胎児の磁気信号波形)、53…トリガー信号波形(母体の心電計波形)、54…時刻と信号強度表示用カーソルバー、55…時間波形スクロールバー、56…時刻と時間スケール表示、57…表示チャンネル選択ボックス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】被験者を支持するための支持体と、被験者から発生する磁場を検出する超伝導量子干渉素子(SQUID)を備える磁気センサと、該磁気センサを外部磁場から遮断するシールドと、該超伝導量子干渉素子を低温に保持するためのクライオスタットと、該クライオスタットを保持する手段と、前記超伝導量子干渉素子の駆動回路を含む磁束計回路とを備えた生体磁気計測装置であって、更に、被験者の測定対象である磁気発生源を、磁気以外の物理量の変化で測定する測定手段を備え、該測定手段からの信号と前記磁気センサからの信号を演算し、前記磁気センサからの信号に含まれる前記被験者の複数の磁気発生源からの信号を分離する演算装置を備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
【請求項2】請求項1記載の生体磁気計測装置において、前記磁気以外の物理量変化の測定手段が被験者の皮膚の電位の変動を測定する手段であることを特徴とする生体磁気計測装置。
【請求項3】請求項1または2記載の生体磁気計測装置において、予め用意された参照データと、前記磁気センサ及び前記磁気以外の物理量変化の測定手段から得られた収集データの間で演算処理を行い、前記収集データの信号波形から基準時刻を決定し、この同一の基準時刻に基づいて、前記参照データと前記収集データの間で演算処理を行う演算装置を備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
【請求項4】請求項3記載の参照データは収集データに基づき算出されたものであり、該参照データと前記収集データとの間の演算処理は、加算又は減算であることを特徴とする生体磁気計測装置。
【請求項5】請求項4記載の生体磁気計測装置において、繰り返し波形を有する入力信号からなる収集データについて、該繰り返し波形の一部を単位波形として、複数の単位波形を切り出して加算平均し、各々の単位波形切り出し区間又は前記加算平均区間を各チャンネル共に同一の基準時刻に基づいて決定し、且つ各々の入力信号から、各チャンネル毎の上記加算平均信号を上記基準時刻に基づいて減算する演算装置を備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
【請求項6】請求項5記載の生体磁気計測装置において、前記加算平均により得られた磁気信号波形について、任意の2点の時刻における磁気信号強度の値を結んだ直線(基線とする)の傾きが0、かつ前記任意の2点における磁気信号強度の値が0(オフセット)になるように補正演算する手段を有し、前記加算平均手段と前記基線補正手段によって得られた波形(波形Bとする)を、前記計測された磁気信号波形から差し引く手段と、前記差し引く手段によって得られた波形(波形Cとする)を表示する手段を備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
【請求項7】請求項6記載の生体磁気計測装置において、前記差し引く手段によって得られた波形データ(波形データC)を、前記基準時刻を用いて前記収集データから差し引く手段(該手段によって得られる波形データを波形データDとする)を備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
【請求項8】請求項7記載の生体磁気計測装置において、前記波形データC、または前記波形データDを収集データとして置き換え、再度演算処理を繰り返し行う手段を備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の磁気計測装置において、収集データ,前記波形データC,前記波形データD、前記基準時刻を示すデータのいずれか2つ以上を時系列に上下並べて同一画面上に表示できる手段を備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
【請求項10】被験者を支持するための支持体と、被験者から発生する磁場を検出する超伝導量子干渉素子(SQUID)を備える磁気センサと、該磁気センサを外部磁場から遮断するシールドと、該超伝導量子干渉素子を低温に保持するためのクライオスタットと、該クライオスタットを保持する手段と、前記超伝導量子干渉素子の駆動回路を含む磁束計回路とを備えた生体磁気計測装置であって、前記磁気センサからの信号からなる収集データの信号波形に基づいて基準時刻を決定し、予め用意された参照データ収集データの信号波形から基準時刻を決定し、該基準時刻に基づいて、前記参照データと前記収集データの間で演算処理を行う演算装置を備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
【請求項11】請求項10記載の生体磁気計測装置において、前記収集データの繰り返し波形の一部を単位波形として、複数の単位波形を切り出して加算平均し、かつ該加算平均して得られた信号波形について、任意の2点の時刻における信号強度の値を結んだ直線の傾きが0、かつ前記任意の2点における心経強度が0になるように基線補正し、前記加算平均と前記基線補正によって得られた波形(波形Bとする)を、前記計測された磁気信号波形から差し引く演算を行う演算装置を備えたことを特徴とする生体磁気計測装置。
【請求項12】被験者から発生する磁場を超伝導量子干渉素子(SQUID)を備える磁気センサで測定する生体磁場計測方法において、被験者の測定対象である磁気発生源を、磁気以外の物理量の変化で測定した測定結果と、前記磁気センサからの測定結果を演算し、前記被験者の複数の磁気発生源からの信号を分離することを特徴とする生体磁気計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2002−291713(P2002−291713A)
【公開日】平成14年10月8日(2002.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−94555(P2001−94555)
【出願日】平成13年3月29日(2001.3.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】