説明

生体試料判別装置用プレート

【課題】 流路に充填された緩衝材中で生体サンプルを移動させた際の輸送反応の検出時に、煩雑な準備作業が不要で精度の良い生体サンプル判別装置用プレートを提供する。
【解決手段】生体サンプルを緩衝剤中で移動させた際に得られる輸送反応を検出して、該生体サンプルの判別を行う生体試料判別装置用プレートにおいて、緩衝剤が流れる第1の流路116bと生体サンプルが流れる第2の流路117a、117bとの合流部分に設けた一定体積の生体サンプルを保持する定量保持部120に、定量保持部120の保持する生体サンプルの第2の流路117a、117bへの流出を抑制する島125を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNAやタンパクその他の生体サンプルを緩衝剤中で移動させ、その輸送反応を検出して生体サンプルを判別する生体サンプル判別装置用プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、分子生物学の急速な進展によって、様々な疾患において遺伝子の関与がかなり正確に理解されるようになり、遺伝子をターゲットにした医療に注目が集まるようになってきた。
【0003】
DNAに関し、現在SNPs(single nucleotide polymorphismの略で「1塩基多型」と一般に訳されており、遺伝子における1暗号(1塩基)の違いの総称である。)が注目されている。SNPsを分類すれば、多くの疾患に対する罹患率や各個人の薬剤に対する効果や感受性を予測でき、さらには、地球上に親子兄弟といえども全く同じSNPsを持つ人間は絶対に存在しないことから、個人の完全な特定ができると考えられているからである。
【0004】
現在SNPsを調べる方法としては、DNAの塩基配列を端から直接読んでいくシーケンシング(塩基配列の決定)という方法が最も一般的に用いられている。そして、前記シーケンシングを行う方法としては、いくつかの報告があるが、もっとも一般的に行われているのは、ジデオキシシーケリング(Sanger法)である。なお、シーケンシングは、このSanger法を含め何れの方法においても、分離能の高い変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動か、キャピラリー電気泳動によって1塩基長の長さの違いを分離・識別する技術を基礎としている。
【0005】
そして、このようなシーケンシング法によるSNPsの分類は、ターゲットとする遺伝子を単離した後、増幅・精製し、遺伝子の塩基配列決定法(装置)を用いて、目的遺伝子の塩基配列を読むことによって行うものであるため、実験に膨大な作業量と時間、さらには多大のランニングコストを要し、またその際に使用する塩基配列決定のための自動化装置は、非常に高価で、大きなスペースを占有し、高価な試薬を大量に必要とするという問題を有していた。
【0006】
こうした問題点は、アフィニティリガンドキャピラリー電気泳動によってDNAを分離する方法を用いれば、ほぼ解決できる。アフィニティリガンドキャピラリー電気泳動は、分子間親和力、とくに生態系における特異的親和力(酵素と基質、抗原と抗体の親和力等)を利用して分離に特異性を持たせるものであり、具体的には、キャピラリー管中の泳動溶液に、相互作用する二成分のうちの一方を添加しておき、他方の成分を電気泳動させると、試料混合物中で相互作用する分子種だけが移動速度に変化を生じることに着目して分析を行うものである(特許文献1参照)。
【0007】
ここで、従来のアフィニティリガンドキャピラリー電気泳動では、塩基配列を特異的に認識するアフィニティリガンドとして、被検体DNAの塩基配列と相補的関係の1本鎖を使うが、ポリヌクレオチドを成分とするアフィニティリガンドは負電荷を有しているため、電圧を印加すると、このアフィニティリガンドがキャピラリー外に流出してしまう。これを防ぐため、従来では、アフィニティリガンドである、前記被検体DNAの塩基配列と相補的関係の1本鎖を、キャピラリー内に固定化している。
【0008】
固定化の方法としては、ビニル化DNAをポリアクリルアミドと共重合し、それをキャピラリー内壁に共有結合的に固定化するものが提案されている。これにより、前記被検体DNAは、アフィニティリガンドである固定的オリゴヌクレオチドと強く相互作用してキャピラリー内に吸着され、一方、ノイズDNAは該固定的オリゴヌクレオチドに吸着されずキャピラリー外に流出され、この結果、前記被検体DNAを検出することが可能となる(特許文献1参照)。
【0009】
しかしながら、この方法では、アフィニティリガンドをキャピラリー内壁にしかコーティングできないので、アフィニティリガンドと試料との相互作用が壁面近傍に限られ、測定が難しく、且つ測定精度が悪くなるという問題がある。
【0010】
この問題点に鑑み、本出願人は、本発明に先立って、アフィニティリガンドと試料との相互作用が壁面近傍に限られないように、該アフィニティリガンドをキャピラリー内で擬似的に固定する方法を提案している。この方法によれば、それぞれに電極を配置した第1容器と第2容器間を、リニアポリマーとDNA結合制御剤とを含む緩衝液を充たしたキャピラリー管で連絡し、次いで、このキャピラリー管の緩衝液の中に、該DNA試料に含まれる検出対象である目的DNAに水素結合可能な塩基配列を結合したリニアポリマーからなる分離用DNAコンジュゲートを充填した後、続いて被検体であるDNA試料を充填し、その後、両電極間に電圧を印加して、キャピラリー管内の被検体DNA試料を電気泳動させることで、該DNA試料を分離することができる(特許文献2参照)。
【0011】
以下、アフィニティリガンドをキャピラリー内で擬似的に固定する方法について説明する。DNAは二重鎖を形成するものと一重鎖を形成するものとが存在するが、DNAのもつA,T,C,G4つの塩基は互いにAとT、GとCが結合し易くなっており、DNAの二重鎖においてもAT,GCで対をなしている。従って、一方のDNAが5’−ATCGCGT−3’と配列されている場合、他方のDNAは3’−TAGCGCA−5’という塩基配列をもっている。
【0012】
DNAサンプルを分離する分離用DNAコンジュゲートは、前述したようなDNAの相補的関係を利用するために、該分離用DNAコンジュゲートのDNA部分に、DNAサンプルのミュータントDNAと相補的関係をもつDNA配列を与えている。例えば、DNAサンプルの検出対象である目的DNAのDNA配列が5’-ATCGCGT-3’を含み、ワイルドDNAが5’-ATCACGT-3’を含む場合、下線で示した部分でミュータントDNAとワイルドDNAの塩基が異なっている。このとき、分離用DNAコンジュゲートのDNA部分の配列を3’-TAGCGCA-5’とすると、ワイルドDNAは下線部においてDNAコンジュゲートと相補的ではなくなる。これにより、全体の結合力はミュータントDNAの方がワイルドDNAより1塩基分大きくなり、電気泳動時にミュータントDNAの方がワイルドDNAより遅延して泳動される。
【0013】
DNAサンプルは血液などから、細胞を破壊してDNAを抽出し、PCRなどによって目的のDNA配列を含む部分を増幅する。このとき、所定の塩基数にして増幅すると相補的配列を持つDNAコンジュゲートの塩基数も決定できる。
【0014】
前述した方法によれば、負に帯電した分離用DNAコンジュゲートとDNA試料とを、電気泳動で第2容器から第1容器へ移動させる際に、アフィニティリガンドと被DNA検体との相互作用が壁面近傍に限られないように擬似的に固定し、そのDNA試料の移動速度差から、該ワイルドDNAとミュータントDNAとを分離することができ、この結果、SNPsの遺伝子異常を短時間、且つ簡単、正確に判別することが可能になる。
【0015】
一方、タンパク質は、細胞、組織、生体液中に存在し、生体活動の調節、細胞へのエネルギー供給、重要な物質の合成、生物構造体の維持、さらには細胞間でのコミュニケーションや細胞内情報伝達に関与している。現在では、タンパク質が様々な環境や、相互作用
する他のタンパク質の存在、タンパク質が受けた修飾の程度や種類に応じて、複数の機能を有することが明らかになってきている。
【0016】
ここで、L−アミノ酸が多数連結(重合)してできた高分子化合物がタンパク質であり
、生体の重要な構成成分のひとつである。このアミノ酸の配列をタンパク質の一次構造とよぶが、この配列は遺伝子(DNA)の配列により決定される(3つの塩基配列により、1つ
のアミノ酸が指定される)。ペプチド結合してタンパク質の構成成分となった単位アミノ酸部分(−NH−CH(−R−)−CO−)をアミノ酸残基と呼ぶが、それぞれのRによってその性質が異なる。この残基の相互作用によってαへリックス(ら旋)構造やβシート構造などの二次構造をとり、さらにはタンパク質全体としての三次構造をとることになる。タンパク質の機能は、前記三次構造(立体構造)によって決定される。これは、同じアミノ酸の配列からなるタンパク質でも、立体構造(畳まれ方)によって機能が変わるということである。たとえば、BSEの原因となるプリオンは、正常なプリオンとは立体構造が違うだけである。現在タンパク質の立体構造と機能についての研究が進められているが、いずれ、必要な機能にあわせてタンパク質の立体構造を設計し、合成できるようになるだろうと考えられている。
【0017】
タンパク質は、20種類のアミノ酸が遺伝子の指示(配列情報)により順番につながることでつくられており、その種類は数千万種と言われるが、その遺伝子の配列がわかれば、どのアミノ酸がどういう順番でつながってできているかの情報を得ることができる。生物の遺伝子(ゲノム)から作られるタンパク質の一そろいのセットは、プロテオームと呼ばれるが、ヒトゲノムの塩基配列解読が終わった今、プロテオームの解析が盛んに進められている。
【0018】
そして、このようなタンパク質の機能解析研究としては、同定やキャラクタリゼーションのみならず、生化学アッセイやタンパク質間相互作用研究、タンパク質ネットワーク、または細胞内外のシグナリング解明なども行っていく必要がある。このタンパク質機能の研究には、多方面の技術が使用され、酵素アッセイ、酵母two−hybridアッセイ、クロマトグラフィーによる精製、情報ツールとデータベース等があるが、特に、電気泳動によるたんぱく質の判別は重要な手法である。そして、電気泳動のように、キャピラリー管中のサンプル、分析物、緩衝剤、及び試薬等の液体を移動させた際に得られる輸送反応を検出して、該サンプルの分析、判別、判定等を行う場合の前記液体の輸送及び方向付けに関しては、さまざまな報告がある(例えば、特許文献3〜特許文献6)。
【特許文献1】特開平7-311198号公報
【特許文献2】特開2002-340859号公報
【特許文献3】特表2000-513813号公報
【特許文献4】特表2001-523341号公報
【特許文献5】特表2000-514928号公報
【特許文献6】特開2003-28883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上述したように生体サンプルの分析においては、キャピラリー電気泳動装置を利用した方法が広く使われている。実際に輸送反応を行なう部分であるキャピラリーは、外形300ミクロン、内径100ミクロン程度のガラス管が使用される例が多く、折れにくくするために表面はポリイミド等でコーティングされている。しかしながら、内部試料を検出するために検出窓として焼いたり薬品で溶かすなどしてコーティングを一部剥ぎ取る。この時、コーティングを剥いだ部分は折れやすくなり取り扱いに十分注意する必要がある。折れた場合はなお危険である。
また、サンプルの注入においても、加圧や吸引で行うのが一般的な方法であるが、一定量注入する必要があり、時間で調整するもののキャピラリー内の緩衝剤の粘度や温度変化により注入量が実験のたびに異なるという問題がある。サンプルの量は測定結果に及ぼす影響は大きく、大変重要な項目である。
また、このようなキャピラリーを使用した装置の場合、構成上短い流路での電気泳動を行うことは困難であり、必要以上の泳動距離と時間をかけて測定することになるという問題があった(特許文献1参照)。
【0020】
また、前述した特許文献2の遺伝子診断装置と診断方法においては、リニアポリマーとDNA結合制御剤とを含む緩衝液を充たしたキャピラリー管に、分離用DNAコンジュゲートとDNA試料とを充填する必要がある。このように、キャピラリー管1本1本に、分離用DNAコンジュゲートとDNA試料を充填するのは面倒な作業であり、また分離用DNAコンジュゲートとDNA試料を充填する際に、それらの量がキャピラリー管間で異なれば、測定結果にも影響が及ぼされる可能性があった。
【0021】
さらに、試料の分離を行うのに、例えば、特許文献3,4に記載の方法では、複数のキャビラリーチャンネルを交差させ、且つ少なくとも3つ電極を設けて、該少なくとも3つ設けられた電極のうちの2つの電極に印加して、前記交差部を通して前記試料を移動させているが、この方法では、流路が交差していることから、試料を電気泳動させる際にうまく泳動しない可能性があり、正確な測定結果が得られないという問題がある。また、例えば、特許文献5,6に記載の方法では、プラットホームに微細チャンネルを埋設し、該プラットホームの回転速度を変化させることで、該回転から生じる向心力を変化させて試料を移動させているが、この方法では、試料を向心方向にしか移動させることができないという問題に加え、該微小チャンネルの形状がかなり複雑であるという問題もある。
【0022】
本発明は、流路に充填された緩衝材中で生体サンプルを移動させた際の輸送反応の検出時に、煩雑な準備作業が不要で精度の良い生体サンプル判別装置用プレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記従来の課題を解決するために、生体サンプルを緩衝剤中で移動させた際に得られる輸送反応を検出して該生体サンプルの判別を行う生体試料判別装置用プレートにおいて、
前記緩衝剤が流れる第1の流路と前記生体サンプルが流れる第2の流路との合流部分に設けた一定体積の前記生体サンプルを保持する定量保持部に、該定量保持部の保持する生体サンプルの前記第2の流路への流出を抑制する抑制手段を設けたことを特徴としたものである。
【0024】
また、第2の流路は、定量保持部へ前記生体サンプルを流入させる部分の流入断面が、定量保持部から生体サンプルを流出させる部分の流出断面より大きい断面積を有することを特徴としたものである。
【0025】
また、定量保持部に、生体サンプルを前記第1の流路に案内する案内手段を設けたことを特徴としたものである。
【0026】
また、案内手段は定量保持部に隆起部分を設けたことを特徴としたものである。
【0027】
また、第1の流路は定量保持部からの距離に比例して断面積が減少することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明の生体試料判別装置用プレートによれば、第1の流路に緩衝剤を気泡を含むことなく容易に短時間で充填した後、第1の流路と第2の流路との合流部分に設けた定量保持部が保持する生体サンプルを、該緩衝剤中に添加する。このとき、前記定量保持部に設けた抑制手段が前記定量保持部の保持する前記生体サンプルの前記第2の流路への流出を抑制する。このため、定量保持部は一定体積の生体サンプルを精度良く保持することができる。
【0029】
また、第2の流路は、定量保持部の流入部分と流出部分の断面積が異なるため、一定量の生体サンプルを精度良く緩衝剤中に添加することができる。
【0030】
また、定量保持部に生体サンプルを第1の流路に案内する案内手段を設けていることから、生体サンプルを確実に第1の流路に流すことができる。さらに、この案内手段を隆起部分とすれば、生体サンプルの滞留を防止でき、確実に一定量の生体サンプルを第1の流路に流すことができる。
【0031】
また、第1の流路の断面積が定量保持部からの距離に比例して減少するため、電気泳動させた際にサンプルを凝集させ高濃度のサンプルを移動させることができ、高い感度でDNAの検出が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(実施例1)
以下に、生体サンプル判別装置用プレートの実施例1を図面とともに詳細に説明する。
まず、本実施例1における生体サンプル判別装置用プレートの構成について説明する。
充填された緩衝剤が流れる第1の流路116と充填されたDNAサンプルが流れる第2の流路117との合流部分には、一定体積のDNAサンプルを保持する定量保持部120が設けられている。
定量保持部120付近の形状について、図1を用いて詳細に説明する。サンプル注入流路117aの流路幅はサンプル充填流路117bの流路幅よりも大きくなっている。また、定量保持部120に設けた島125は横幅が定量保持部120の横幅未満で、縦幅がサンプル注入流路117aとサンプル充填流路117bの流路幅の差以下で、高さは流路深さと等しい四角柱であり、サンプル注入流路117aの底部とサンプル充填流路117bの底部の間で定量保持部120の左右の壁に接しないように配置されている。
【0033】
次に、図2〜図4を用いて、実施例1における生体サンプル判別装置用プレート10の構成について説明する。なお、実施例1では、説明を具体的にするために、生体サンプルとしてDNAサンプルを用い、緩衝剤として分離用DNAコンジュゲート及びDNA結合制御剤を含むものを用いるものとする。また、本生体サンプル判別装置用プレート10が、流路中に充填させた分離用DNAコンジュゲート中に、定量されたDNAサンプルを添加して電気泳動させ、流路中の蛍光度あるいは吸光度を検出することにより、DNAサンプルのSNPs(一塩基多型)の有無を判別するものとする。
【0034】
図4(a)は本実施例1における生体サンプル判別装置用プレート10の下面および生体サンプル判別装置用プレート10に形成されたパターン110の詳細な形状を示す図である。ここで、パターン110とは、生体サンプルと泳動させるための微小な幅と深さを持つ溝によって形成された微細な流路である。また、図4(b)は生体サンプル判別装置用プレート10の上面、図4(c)は生体サンプル判別装置用プレート10のD−D断面を示す図である。
【0035】
図4(a)に示すように、実施例1における生体サンプル判別装置用プレート10はその中央に開口部10a、そして、図5に示す生体サンプル判別装置100に嵌合される嵌合ピン孔11、位置決めするための位置決めマーク12が設けられている。
【0036】
そして図4(b)に示すように生体サンプル判別装置用プレート10の下面には、分離用DNAコンジュゲート中で、DNAサンプルを移動させるためのパターン110、及び生体サンプル判別装置用プレート10をセンサにより検出されるプレート確認マーク13が設けられている。また、生体サンプル判別装置用プレート10の下面には、図4(c)に示すように、生体サンプル判別装置用プレート10に形成されたパターン110をふさぐようにキャピラリーシール14が張られ、そして、生体サンプル判別装置用プレート10の上面には、前記電極挿入口のみをふさぐようにカバーフィルム15が張られている。なお、キャピラリーシール14については、光学検出部40により流路の吸光度、あるいは蛍光度を測定する必要があるため透明であるのがよい。
【0037】
図2を用いてより詳細に説明すると、パターン110は、DNAサンプルを分離させる分離用DNAコンジュゲートが注入される第1のサンプル注入部113と、DNAサンプルが注入される第2のサンプル注入部114と、第2のサンプル注入部114に注入されたDNAサンプルの移動先であるサンプルプール115と、負電極を挿入する第1の電極挿入部111と、正電極を挿入する第2の電極挿入部112と、これらを接続する流路とからなる。
【0038】
そして、この流路は、緩衝材を充填する第1の流路116と、DNAサンプルを充填する第2の流路117とからなる。第1の流路116と第2の流路117とは、定量保持部120で合流する。
【0039】
第1の流路116は、第1のサンプル注入部113と第1の電極挿入部111間、及び第1のサンプル注入部113と第2の電極挿入部112間を接続するプレートの内周側の流路である内周流路116aと、第1の電極挿入部111と第2の電極挿入部112間を接続する流路である外周流路116bとからなる。
【0040】
第2の流路117は、電極挿入部112とサンプルプール115を接続し、前記第1の流路116と前記定量保持部120と前記第2のサンプル注入部114間を接続するサンプル注入流路117aと前記定量保持部120と前記サンプルプール115間を接続するサンプル充填流路117bとからなる。
【0041】
DNAサンプルと分離用DNAコンジュゲートとを水素結合反応させた後の、外周流路116bの一部分において、泳動流路の吸光度、あるいは蛍光度を前記光学検出部40により測定することで、定量添加されたDNAサンプルのSNPsの有無を判別する。
【0042】
ここで、分離用DNAコンジュゲート充填処理において、第1の流路116の内周流路116a側にコンジュゲートが残っている場合、第1の電極挿入部111と第2の電極挿入部112とに電極を挿入して電圧を印加した際に、内周流路116a側で電気泳動が起こってしまうため、外周流路116bの一部である泳動流路で吸光度、あるいは蛍光度の検出が不可能となる。
【0043】
コンジュゲート充填処理後に分離用DNAコンジュゲートが内周流路116aに残らないようにするためには、第1のサンプル注入部113と内周流路116a足した体積が外周流路116bの体積以上で、且つ、第1のサンプル注入部113と内周流路116aと第1の電極挿入部111と第2の電極挿入部112の体積を足したもの以下にする必要がある。
そして、DNAサンプルを定量化させるために、図3に示すように、定量保持部120の位置を生体サンプル判別装置用プレート10の中心を中心として、第1の電極挿入部111と第2の電極挿入部112と同一の円周上に設ける必要がある。分離用DNAコンジュゲート充填処理において、外周流路116bに分離用DNAコンジュゲートが充填された時、定量保持部120の位置が第1の電極挿入部111,第2の電極挿入部112よりも中心側に位置する場合には、定量保持部120に分離用DNAコンジュゲートが充填されず、定量保持部120の位置が、第1の電極挿入部111,第2の電極挿入部112よりも外周側に位置する場合には、分離用DNAコンジュゲートが前記第2の電極挿入部112やサンプルプール115に流れてしまうためである。
定量保持部120には、生体サンプルの緩衝液への移動を抑制する島125が設けられている。この島125がDNAサンプルの流路116bへの移動を抑制し、DNAサンプルを定量保持部120に確実に充填することができる。さらに、遠心力により第1の流路116に接する定量保持部120のDNAサンプルのみを残してサンプル注入部114に移動させる際に、定量保持部120上部の第2の流路117を通る空気によって定量化されたサンプルをえぐりとってしまうことを防ぎ、一定量のDNAサンプルを分離用DNAコンジュゲートに確実に添加することができる。
また、定量保持部120の底部は第2の流路117に対し、隆起した部分を有しており、前記第1の流路116はDNAサンプルを電気泳動させる際にDNAサンプルが移動する側の流路の断面積が定量保持部120からの距離に比例して減少する形状になっている。
底部を隆起させることにより、この隆起した部分がDNAサンプルを第1の流路に案内し、電極に電圧を印加した際に、電流をDNAサンプルに効率良く流すことができ、確実にDNAサンプルを電気泳動させることができる。また、DNAサンプルが移動する流路の断面積が定量保持部からの距離に比例して減少することにより、移動するDNAサンプルを凝集させて濃度を高くすることができ、容易にDNAサンプルを検出することができる。
【0044】
ここで、光学検出部40により泳動流路の蛍光度を検出する場合に、泳動流路の深さが深すぎると蛍光度が検出されにくいため、流路の幅を広くして深さを浅くするのが好ましく、例えば幅300μm、深さ50μmの流路が例に挙げられる。一方、光学検出部40により泳動流路の吸光度を検出する場合には、泳動流路の深さが浅すぎると吸光度が検出されにくいため、適度な深さがあることが好ましく、例えば、幅300μm、深さ300μmの流路が好ましい。
【0045】
さらに、パターン110には、測定時でないときに電極32a,32bを待機させるための第1の電極待機孔118が第1の電極挿入部111の同心円上に設けられ、また、,第2の電極待機孔119が第2の電極挿入部112の同心円上に設けられている。また、生体サンプル判別装置用プレート10上には加圧部34による加圧時でないときに加圧部34を待機させるための加圧待機孔136が、第2のサンプル注入口114の同心円上に設けられている。さらに、第1の電極挿入部111,第2の電極挿入部112には電極32a,電極32bを挿入する電極挿入口121,電極挿入口122、及び空気孔131,空気孔132が設けられ、また、第1のサンプル注入部113にはサンプル注入口123,第2のサンプル注入部114にはサンプル注入口124が設けられ、さらに、サンプルプール115には空気孔135が設けられている。
【0046】
次に、図5〜図6を用いて、本実施例1にかかる生体サンプル判別装置100の構成について説明する。図5は、本実施例1にかかる生体サンプル判別装置100の構成図である。
【0047】
図5に示すように、実施例1にかかる生体サンプル判別装置100は、上下動モータ51が内蔵され、モータ51により上下移動する昇降ステージ50と、生体サンプル判別装置用プレート10に形成されたパターン110に含まれる流路に遠心力によって分離用DNAコンジュゲートを充填し、分離用DNAコンジュゲートが充填された流路中に遠心力によってDNAサンプルを定量して添加する充填ユニット20と、分離用DNAコンジュゲート中を移動する前記DNAサンプルの蛍光度あるいは吸光度を検出する光学検出部40と、生体サンプル判別装置用プレート10に対して加圧、加熱、電圧印加を行い、生体サンプル判別装置用プレート10を前記光学検出部40に対して回転させる検出ユニット30と、生体サンプル判別装置100の動作を制御する制御基板68とを備える。
【0048】
そして、充填ユニット20には、生体サンプル判別装置用プレート10を高速回転させる高速回転モータ21と、生体サンプル判別装置用プレート10を保持し、その一部が生体サンプル判別装置100内に固定され、筺体60に設けられた扉61を介して、生体サンプル判別装置100の内部から外部へあるいは外部から内部へ移動する、プレートトレイ22と、測定開始前にプレートの有無を確認するプレート確認センサ23とが備えられ、また検出ユニット30には、生体サンプル判別装置用プレート10と該検出ユニット30とを固定する嵌合ピン31と、生体サンプル判別装置用プレート10に形成された流路に電圧を印加する2本の電極32a,電極32bと、該流路を一定の温度に保つヒータ33と、該流路に注入されたDNAサンプルを加圧して流路の一部に充填させる加圧部34と、生体サンプル判別装置用プレート10と検出ユニット30とを固定する際の位置決めを行う位置決めマーク検出センサ35と、生体サンプル判別装置用プレート10を保持するクランパ36、及び生体サンプル判別装置用プレート10に設けられた流路の温度を検出するサーミスタ39とが設けられた天井板37と、天井板37を低速回転させる低速回転モータ38とが備えられている。
【0049】
なお、実施例1の生体サンプル判別装置100では、生体サンプル判別装置100の下部に昇降ステージ50が配置され、昇降ステージ50上に充填ユニット20と光学検出部40とが配置され、さらに、昇降ステージ50の上方に検出ユニット30が配置されており、よりコンパクトな構成となっている。 そして、クランパ36はクランパ支えを介して、またヒータ33はヒータ支えを介して天井板37に設けられており、また、天井板37に設けられた嵌合ピン31、電極32a,電極32b、ヒータ33、加圧部34、クランパ36、及びサーミスタ39には、生体サンプル判別装置用プレート10に対して適度なテンションを与えるバネが設けられて、このバネにより生体サンプル判別装置用プレート10に押し付けられるように構成されており、さらに加圧部34は、加圧ポンプ部52にポンプチューブ53を介して接続されている。
【0050】
そして、ヒータ33には、ヒータ33の温度を検出するヒータ温度検出センサ55が設けられ、生体サンプル判別装置100内には、生体サンプル判別装置100内の温度を検出する装置内温度検出センサ54が設けられている。
【0051】
さらに、生体サンプル判別装置100には、検出ユニット30の加圧部34に接続されている加圧ポンプ52、高圧電源66、装置電源67、当該装置のon、off状態を切り換える電源スイッチ62、この電源スイッチ62がON状態の際に点灯するLED63、装置100内を冷却する冷却ファン64、及び装置100を振動から守り、高さ調節可能なゴム脚65a,ゴム脚65bが備えられている。
【0052】
以下、前述した構成を有する実施例1にかかる生体サンプル判別装置100の動作について、図6〜図12を参照しながら説明する。
【0053】
まず、シリンジによる手作業で、図7(a)に示すように、生体サンプル判別装置用プレート10に設けられたパターン110の第1のサンプル注入部113に、サンプル注入口123から分離用DNAコンジュゲートを注入し、また、第2のサンプル注入部114に、サンプル注入口124からDNAサンプルを注入する(ステップS1)。
【0054】
このステップS1において、前述の分離用DNAコンジュート等を注入した後、生体サンプル判別装置100の電源スイッチ62をON状態にし、操作ボタン(図示せず)等を操作して、筺体60中から扉61を介してプレートトレイ22を引き出し、プレートトレイ22上に、サンプル注入された生体サンプル判別装置用プレート10をセットした後、再度操作ボタンを操作して、プレートトレイ22を筺体60内に引き込ませるプレートローディングを行う。このステップS2の動作によりプレートトレイ22が引き込まれると、生体サンプル判別装置用プレート10は、生体サンプル判別装置用プレート10の開口部10aが高速回転モータ21のプレート受け部21aに嵌まる位置に自動的にセットされる。この状態の昇降ステージ50の位置を最下点とする(ステップS2)。
【0055】
前述したように生体サンプル判別装置用プレート10が生体サンプル判別装置100内にローディングされると同時に、昇降ステージ50は、上下動モータ51によって、前記最下点から、生体サンプル判別装置用プレート10がクランパ36に保持される位置である第1段目の位置まで上昇する(ステップS3)。
【0056】
なお、このとき、昇降ステージ50と共に、光学検出部40、高速回転モータ21、プレート確認センサ23、及び該高速回転モータ21のプレート受け部21aに嵌まっている生体サンプル判別装置用プレート10は上昇するが、プレートトレイ22は装置に固定されているため、移動しない。
【0057】
図8(a)は、実施例1の生体サンプル判別装置の昇降ステージが、前記第1段目の位置まで上昇したときの状態を示す図である。
【0058】
以下、生体サンプル判別装置用プレート10がクランパ36に保持される状態になるまでの動きを詳細に示すと、まず、生体サンプル判別装置用プレート10が生体サンプル判別装置100内にローディングされると同時に、昇降ステージ50は上下動モータ51によって最下点から上昇を開始して、図5に示すように、高速回転モータ21のプレート受け部21aに生体サンプル判別装置用プレート10の開口部10aが嵌まり込む。そしてこの後、昇降ステージ50が更に上昇して、生体サンプル判別装置用プレート10は高速回転モータ21と一体化して上昇する。そして、昇降ステージ50がある位置まで上昇すると、生体サンプル判別装置用プレート10の上方にあるクランパ36の下面に設けられた磁石と、高速回転モータ21の金属で形成されたプレート受け部21aとが接続され、これにより生体サンプル判別装置用プレート10がクランパ36に保持される。このように接続された時点で昇降ステージ50は停止し、この停止位置が、昇降ステージ50の第1段目の位置である。昇降ステージ50の第1段目の位置は、例えば、該昇降ステージ50の最下点から8mm上昇した位置である。
【0059】
そして、昇降ステージ50が、前述したようにして第1段目の位置に移動した後、この第1段目の位置において、充填ユニット20により、第1の流路116に遠心力で分離用DNAコンジュゲートを充填する充填処理を行うのだが、このとき、該充填処理を行う前に、まず生体サンプル判別装置用プレート10が当該装置内にあるか否かを確認する(ステップS4〜ステップS5)。
【0060】
生体サンプル判別装置用プレート10の有無の確認は、プレート確認センサ23で、生体サンプル判別装置用プレート10下面に設けられたプレート確認マーク13を検出することにより行う。ここで、生体サンプル判別装置用プレート10のプレート確認マーク13は、切り欠きやマーク等からなるものあり、例えば、ここではアルミテープをはる。そして、高速回転モータ21によって生体サンプル判別装置用プレート10が回転される時に、反射型のフォトセンサ等であるプレート確認センサ23で生体サンプル判別装置用プレート10の下面を測定する。このとき、プレート確認センサ23では、プレート確認マーク13であるアルミテープと、該アルミテープ以外の部分で図7に示すような出力信号の差が生じるため、出力信号に立ち上がりと立ち下がりがあれば生体サンプル判別装置用プレート10が存在し、一方、出力信号に立ち上がりと立ち下がりがなければ生体サンプル判別装置用プレート10が存在しないと判断する。
【0061】
そして、プレート確認センサ23で生体サンプル判別装置用プレート10が無いと判断されれば、この時点で動作を中止し、一方、生体サンプル判別装置用プレート10があると判断されれば、高速回転モータ21を予め決められた回転数、ここでは約4000rpmで、約2分間高速回転させて、当該流路中の第1の流路116に分離用DNAコンジュゲートを充填させる。
【0062】
以下、図7(a)〜(c)を用いて、パターン110中に分離用DNAコンジュゲートが充填されていく様子を説明する。
【0063】
まず、生体サンプル判別装置用プレート10が前記高速回転モータ21によって高速回転されると、図7(a)に示すように、パターン110中の第1のサンプル注入部113に注入された分離用DNAコンジュゲートが、該高速回転によって生じる遠心力により、図7(b)に示すように、前記第1のサンプル注入部113から、第1の流路116の内周流路116aを移動して、それぞれ、第1の電極挿入部111,第2の電極挿入部112に到達する。
【0064】
さらに、図7(c)に示すように、第1の電極挿入部111,第2の電極挿入部112から、第1の流路116の外周流路116bを移動して、最終的に第1の電極挿入部111,第2の電極挿入部112と外周流路116bに充填される。
【0065】
一方、第2のサンプル注入部114に注入されたDNAサンプルは、前述したような充填ユニット20によるコンジュゲート充填処理中に、第2の流路117を円周方向に移動して、第2の流路117中に遠心分布される。このとき、第2のサンプル注入部114に注入されるDNAサンプルの量が多ければ、充填ユニット20で生体サンプル判別装置用プレート10を高速回転させることで生じる遠心力によって、第1の流路116の外周流路116bに分離用DNAコンジュゲートが充填される前に、DNAサンプルが第2の流路117に充填されて、該外周流路116bにDNAサンプルが流れてしまうこととなる。従って、第2のサンプル注入部114に注入するDNAサンプルの量は、遠心力によって前記外周流路116bにまで達しない量、つまり、図7(b),(c)に示すように第2の流路117の途中で移動が止まる量を注入するようにする。
【0066】
ステップS5において、以上のような特徴を有する生体サンプル判別装置用プレート10に各サンプルを注入し、充填ユニット20によるコンジュゲートの充填動作が終了後、昇降ステージ50は、生体サンプル判別装置用プレート10と検出ユニット30とを嵌合させるために更に上昇する。ただし、前記検出ユニット30と生体サンプル判別装置用プレート10とを嵌合させるためには、該検出ユニット30の嵌合ピン31を、生体サンプル判別装置用プレート10の嵌合ピン孔11に挿入する必要があるため、生体サンプル判別装置用プレート10の嵌合ピン孔11の位置を検出するために、生体サンプル判別装置用プレート10の位置決めをする必要がある(ステップS6)。
【0067】
そこで、実施例1においては、図4(a)に示すように生体サンプル判別装置用プレート10の上面に位置決めマーク12を設けておき、位置決めマーク検出センサ35により該位置決めマーク12を検出して、検出ユニット30と生体サンプル判別装置用プレート10とを嵌合できる位置を決定する。なお、充填ユニット20の高速回転モータ21がサーボタイプのモータであれば、コンジュゲート充填処理における高速回転後の生体サンプル判別装置用プレート10の位置が限定できるため、生体サンプル判別装置用プレート10の位置決めを行う必要はない。
【0068】
この検出ユニット30による嵌合位置の検出方法は、ステップS4の動作と同様で、反射型センサ等である低速回転モータ38によって検出ユニット30を回転させる際に、位置決めマーク検出センサ35で生体サンプル判別装置用プレート10の上面を測定すると、位置決めマーク12であるマーク部と該マーク以外とで図9に示すような出力信号の差が生じるため、この立ち上がり立下りに注目して、検出ユニット30の位置決めを行う。ここで、検出ユニット30を低速回転モータ38により回転させて位置決めを行う時には、検出ユニット30は多くの構成要素が天井板37に設けられて、検出ユニット30周辺にそれらのケーブル、チューブ類が束ねられて存在するため(図示せず)、前記ケーブル、チューブ類がからまないように、右・左方向へ半回転から3/4回転ほど順次回転して位置を検出した後、回転角度が少ない方向に回転して検出ユニット30の位置決めを行うようにする。
【0069】
以上のように、検出ユニット30を位置決めした後、生体サンプル判別装置用プレート10と検出ユニット30とを嵌合するために、昇降ステージ50は、上下動モータ51により、図8(a)に示す第1段目の位置から、図8(d)に示す第2段目の位置まで上昇する(ステップS7)。
【0070】
以下、図8(b)〜図8(d)を用いて、生体サンプル判別装置用プレート10が検出ユニット30と嵌合するまでの状態を詳細に説明する。まず、生体サンプル判別装置用プレート10の嵌合ピン孔11に、検出ユニット30の嵌合ピン31が挿入され始め(図8(b))、次に生体サンプル判別装置用プレート10の第1の電極挿入部111の電極挿入口121,第2の電極挿入部112の電極挿入口122に、検出ユニット30の電極32a,電極32bが挿入され、生体サンプル判別装置用プレート10の加圧待機孔136に加圧部34が接触した後(図8(c))、ヒータ33が生体サンプル判別装置用プレート10と接触するまで上昇する(図8(d))。
【0071】
この結果、生体サンプル判別装置用プレート10に、嵌合ピン31、電極32a,電極32b、加圧部34、ヒータ33、及びサーミスタ39が押し付けられる状態となり、検出ユニット30と生体サンプル判別装置用プレート10とが嵌合された状態となる。
【0072】
これにより、図8(d)に示すように、検出ユニット30と生体サンプル判別装置用プレート10とが嵌合される昇降ステージ50の位置が、第2段目の位置となる。該昇降ステージ50の第2段目の位置は、例えば、図8(a)に示す第1段目の位置から6.8mm上昇した位置となる。
【0073】
そして、昇降ステージ50が第2段目の位置まで上昇して、生体サンプル判別装置用プレート10と検出ユニット30の各構成要素とが嵌合された後、サーミスタ39で外周流路116bの温度を測定して、この測定結果に応じてヒータ33を制御しながら、外周流路116bの温度を所定の温度に保つようにする。ここで、外周流路116bの温度を所定の温度にする理由は、光学検出部40にて検出を行う際に、その温度条件を一定にする必要があるためであり、この所定の温度としては、室温より高い一定温度であればよい。
【0074】
そして、前記所定の温度は、充填させる分離用DNAコンジュゲートや、該分離用DNAコンジュゲートに添加するDNAサンプルに応じて決定されるものであり、例えばDNAサンプルが40−60塩基で、なお且つ、検出対象である目的DNAと相補的関係をもつ配列を有する分離用DNAコンジュゲートのDNA配列が6−8塩基の場合、25度〜45度が好ましい。そして、外周流路116bの温度制御は、天井板37に設けられたサーミスタ39により行う。
【0075】
このときの外周流路116bに対する、ヒータ33及びサーミスタ39の設置位置は、例えば、図10(a)に示すように、ヒータ33を外周流路116bの真上に、またサーミスタ39をヒータ33の横で、且つ、図10(a)中の距離A,Bが同じになる位置に配置し、ヒータ33を外周流路116bの真上に押し当てて加熱を無駄なく行い、サーミスタ39により生体サンプル判別装置用プレート10の温度を測定して、その測定結果より外周流路116bの温度を推測して、ヒータ33の制御を行うものであってもよいし、図10(b)に示すように、ヒータ33を外周流路116bの横で、且つ、図10(b)中の距離A,Bが同じになる位置に、またサーミスタ39を外周流路116bの真上に配置して、サーミスタ39により外周流路116bの正確な温度を測定しながら、ヒータ33の制御をするようにしてもよい。
【0076】
さらに、ヒータ33上に設けられたヒータ温度検出センサ(図示せず)においてヒータの温度上昇を測定していき、予めヒータ33から生体サンプル判別装置用プレート10への熱伝達量を測定しておき、生体サンプル判別装置用プレート10とヒータ33との温度差を測定して外周流路116bの温度制御を行うようにしてもよい。
【0077】
以上のようにヒータ33を制御して、外周流路116bを所定の温度にした後、前記高圧電源66より供給された電圧を、天井板37に設けられた電極32a,電極32bに印加して、分離用DNAコンジュゲート精製処理を行う(ステップS8)。
【0078】
このとき、外周流路116bへの印加電圧としては、約0.5KVから5KV程度が考えられるが、好ましくは1KVから1.5KVである。なお、前記ステップS7において分離用DNAコンジュゲートに対して電圧を印加し、分離用DNAコンジュゲート精製処理をするのは、分離用DNAコンジュゲートを作成する際に生じた不具合(分離用DNAコンジュゲート中に含まれる未反応のDNAや分子量の小さいコンジュゲート)を除去し、純粋な分離用DNAコンジュゲートを得るためである。そして、この時除去された未反応のDNAや分子量の小さいにコンジュゲートは、正電極が挿入される第2の電極挿入部112まで移動して、保持される。
【0079】
前述したコンジュゲート精製処理の終了後、検出ユニット30の加圧部34で加圧処理を行うことによって、DNAサンプルを第2の流路117に充填させる(ステップS9〜ステップS12)。
【0080】
この加圧処理は、前記加圧部34を、第2のサンプル注入部114のサンプル注入口124に接触させ、該サンプル注入口124から第2のサンプル注入部114に保持されたDNAサンプルに圧力をかけることにより行う。
【0081】
そこで、本実施例1においては、前記加圧部34の位置を、現在位置する加圧待機孔136上から、サンプル注入口124上にもってくるために、一度昇降ステージ50を第2段目の位置から第1段目の位置に下降させ、低速回転モータ38により検出ユニット30をすこし回転、ここでは約10度回転させた後、昇降ステージ50を第2段目の位置に上昇させる。このようにすれば、昇降ステージ50を第2段目の位置に上昇させて加圧処理を行う際に、加圧部34を第2のサンプル注入部114のサンプル注入口124に接触させることができる。なおこのとき、前記電極32a,32bも同時に回転するため、電極32a,電極32bは、第1の電極挿入部111,第2の電極挿入部112と同心円上に設けられた第1の電極待機孔118,第2の電極待機孔119に挿入して待機させる。
【0082】
そして、電極32a,電極32bを第1の電極待機孔118,第2の電極待機孔119に待機させた状態で、加圧部34によって、DNAサンプルが保持されている第2のサンプル注入部114を加圧する。
【0083】
この加圧により、図7(b),(c)に示すように、前記ステップS5の分離用DNAコンジュゲートの充填では、第2の電極挿入部112から第2の流路117の円周方向にしか遠心分布されなかったDNAサンプルを、図7(d)に示すように、第2の流路117のサンプル注入流路117aを放射方向に移動させ、その一部をサンプル充填流路117bを通り、サンプルプール115まで移動させて、DNAサンプルを第2の流路117に充填させることができる。
【0084】
そして前記ステップS12による加圧処理の後、上下動モータ51により、昇降ステージ50を第2段目の位置から第1段目の位置に下降させ(ステップS13)、充填ユニット20により、前記分離用DNAコンジュゲートが充填されている外周流路116bの一部に遠心力によって一定量のDNAサンプルを添加する(ステップS14)。
【0085】
具体的には、高速回転モータ21で生体サンプル判別装置用プレート10を所定の回転数、ここでは約4000rpmでおよそ10秒回転させることで、図7(d)に示すように第2のサンプル注入部114とサンプルプール115間の第2の流路117に充填されていたDNAサンプルを、高速回転により生じる遠心力によって、図7(e)に示すように外周流路116bに充填された分離用DNAコンジュゲートと接する部分のみだけ残すようにする。
【0086】
このとき、第2の流路117に充填されたDNAサンプルは定量保持部において、サンプル注入流路底部の高さで定量化される。また、サンプル注入流路117aとサンプル充填流路117b間に島125を設けることによりDNAサンプルを遠心力により第2の流路117の円周方向に移動させる際に、空気の通り道が島125の上部に制限されるため、外周流路116bに充填された分離用DNAコンジュゲートと接する部分のDNAサンプルがえぐられることはない。
【0087】
このようにすることで、一定量のDNAサンプルを、外周流路116bに充填された分離用DNAコンジュゲートに添加することが可能となる。なお、このときの高速回転において、前記ステップS8のコンジュゲート精製処理において破れたカバーフィルム15から、分離用DNAコンジュゲートが飛び散ることはない。この理由は、この時点での分離用DNAコンジュゲートは図7(d)に示されるように、第1の電極挿入部111,第2の電極挿入部112の外周側の一部に充填されているのみであるから、この状態で高速回転モータ21により生体サンプル判別装置用プレート10を高速回転させても、分離用DNAコンジュゲートは遠心力により移動することはないからである。
【0088】
以上に記載したDNAサンプルの移動状態を、図11中の(1)〜(4)に示した。図11中の(1)は分離用DNAコンジュゲートの充填処理終了後の状態で、分離用DNAコンジュゲートが充填されている領域にはDNAサンプルは無く、第2の流路117の途中で移動が止まり、生体サンプルは第2の流路に遠心分布された状態にある。
【0089】
この後、加圧部34による加圧処理がなされると、図11中の(2)に示すように、第2の流路117に遠心分布された状態のDNAサンプルが、図11中の(3)に示すように、サンプルプール115まで移動して、DNAサンプルが第2の流路117に充填される。
【0090】
そして、高速回転モータ21により生体サンプル判別装置用プレート10を高速回転させると、図9中の(4)の状態となり、定量保持部120には、一定量のDNAサンプルが分離用DNAコンジュゲートに平行に接して、添加された状態となる。
【0091】
この後、検出ユニット30による測定動作を行うために、上下動モータ51によって、昇降ステージ50を第1段目の位置から第2段目の位置に上昇させる必要があるが、このとき、ステップS7の処理と同様にして、生体サンプル判別装置用プレート10の上面に設けられた位置決めマーク12を、位置決めマーク検出センサ35により検出して、生体サンプル判別装置用プレート10の位置決めを行う(ステップS15)。この際の具体的な動作については、ステップS6の動作と同様であるため説明は省略する。
【0092】
生体サンプル判別装置用プレート10の位置決めの後、上下動モータ51により昇降ステージ50を第2段目の位置まで上昇させて、天井板37の嵌合ピン31を生体サンプル判別装置用プレート10の嵌合ピン孔11に挿入して、天井板37と生体サンプル判別装置用プレート10とを嵌合させた後、ヒータ33により外周流路116bを所定の温度に加熱し、高圧電源66により供給された電圧を電極32a,電極32bに印加させて、DNAサンプルを、分離用DNAコンジュゲートが充填された外周流路116b中で電気泳動させ、その外周流路116bの吸光度、あるいは蛍光度を光学検出部40により検出する光学検出処理を行う(ステップS16〜ステップS17)。
【0093】
このときのDNAサンプルの状態を、図11中の(5)〜(7)に示す。図11中の(5)〜(7)は電圧印加が開始され、DNAサンプルが外周流路116bに充填された分離用DNAコンジュゲート中を電気泳動していく様子を示している。このように、DNAサンプルを分離用DNAコンジュゲート中に攪拌混合させず、分離用DNAコンジュゲートと平行に接触させたたけでも、外周流路116bに対して電圧を印加してやれば、DNAサンプルは分離用DNAコンジュゲートの内部を電気泳動によって移動していく。
【0094】
ここで、定量保持部底部120は隆起部分を有するため、電圧を印加した際に電流がDNAサンプルに流れやすくなり、電気泳動しやすくなる。また、定量保持部から泳動流路へDNAサンプルが移動する際に、電気泳動によって移動していく泳動流路の断面積が定量保持部からの距離に比例して減少する形状であるため、DNAサンプルが泳動流路まで移動する過程で、流路形状による凝集効果によりDNAサンプルの濃度が高くなる。
【0095】
これにより、吸光度あるいは蛍光度が大きくなり、光学検出部40により検出が容易になる。
【0096】
光学検出部40による吸光度、あるいは蛍光度の検出は、天井板37と嵌合状態の生体サンプル判別装置用プレート10を、昇降ステージ50上の光学検出部40に対して、低速回転モータ38で回転させることで、外周流路116bの泳動流路部分の吸光度、あるいは蛍光度を、所定時間おき、ここでは測定開始から1分経過おきに検出する。なお、測定中であることを示すために、電極32a,電極32bに対する電圧印加と同時に、第2のLED(図示せず)を点灯させるようにすれば、測定中に誤って生体サンプル判別装置100の扉61を開けるのを防止することができる。
【0097】
具体的には、低速回転モータ38により、嵌合された生体サンプル判別用プレート10と天井板37を、約1回転させた後、逆回転して初めの位置に戻るという動作を繰り返すことで、パターン110の外周流路116bの泳動流路を光学検出部40によりスキャンさせ、該泳動流路の吸光度あるいは蛍光度を測定する。このときの光学検出部40による泳動流路Cのスキャン方向は、DNAサンプルが泳動する方向のみ行い、反対方向については行わない。
【0098】
図12は、本実施例1のの生体サンプル判別装置において、泳動流路の吸光度を検出した場合の検出結果を示す図であり、横軸は外周流路の距離、縦軸は吸光度を示している。ここでは、10mMのTris−Borate緩衝液にDNA結合制御剤として0.5mMの塩化マグネシウムを添加した溶液と分離用DNAコンジュゲート(コンジュゲート5’−TAACGGT−3’)とを混合した溶液を外周流路132に充填し、外周流路132にミュータントDNA(5’−ATGTGGAACCTTTACTAAAG−3’)とワイルドDNA(5’−ATGTGGAACCGTTACTAAAG−3’)とを含む標識したDNAサンプルを注入して、外周流路116bの泳動流路C中を電気泳動させた。
【0099】
DNAサンプル中にミュータントDNAが含まれていれば、このミュータントDNAは、図13に示すように、ミュータントDNAと相補関係をもつ配列を有する分離用DNAコンジュゲートに捕捉されてワイルドDNAより泳動速度が遅くなり、この結果、光学検出部40において泳動流路Cの吸光度を検出した際には、図12に示すようにワイルドDNAとミュータントDNAとが分離された状態となり、吸光度のピークが2つ現れる。一方、DNAサンプルにミュータントDNAが含まれていなければ、吸光度のピークは一つしか現れない。これにより、DNAサンプルにミュータントDNAが含まれているか否かを判別することが可能となる。
【0100】
ここで、実施例1の生体サンプル判別装置において、生体サンプル判別装置用プレート10を低速回転モータ38で回転させず、外周流路116bの泳動流路Cのある一点における吸光度を測定することも可能である。しかし、ここでは、前記泳動流路Cの一点において測定するのではなく、生体サンプル判別装置用プレート10を低速回転モータ38で低速回転させ、光学検出部40で該泳動流路C全体をスキャンして、泳動流路C全体の吸光度を所定の時間経過おきに測定するようにしている。
【0101】
この理由は、例えば、測定対象のDNAサンプルが、吸光度が測定されない位置では該DNAサンプルに含まれるワイルドDNAとミュータントDNAとに速度差があり、吸光度が測定される位置で前記速度差がなくなってしまうような場合があるからである。このように、光学検出部40で泳動流路C全体を所定時間経過毎にスキャンして、蛍光度あるいは吸光度を測定するようにすれば、常に、精度の良い結果を得ることができる。
【0102】
前述のようにして、外周流路116bを光学検出部40により任意の回数、ここでは9回スキャンして、測定が終了すると、高圧電源66による電極32a,32bの電圧印加を停止し、ヒータ33の加熱も停止して、生体サンプル判別装置用プレート10がプレートトレイ22上に保持できる位置になるように、低速回転モータ38で、生体サンプル判別装置用プレート10を天井板37と共に回転させ、位置を設定する(ステップS18)。
【0103】
そして、位置設定後、上下動モータ51により昇降ステージ50を、第2段目の位置から第1段目の位置まで下降させ、その位置においてクランパ36とプレート受け部21aとを解離させた後、さらに最下点に下降させて(ステップS19)、生体サンプル判別装置用プレート10をプレートトレイ22上に保持させる。この時点で、生体サンプル判別装置用プレート10が当該生体サンプル判別装置100より排出できる状態となる。
【0104】
以上のように、本実施例1によれば、生体サンプル判別装置100の充填ユニット20により遠心力を用いて外周流路116bにDNAコンジュゲートを充填させ、且つDNAサンプルを加圧して遠心力により該分離用DNAコンジュゲートに定量添加した後、検出ユニット30に設けられた電極32a,電極32bに電圧を印加して電気泳動させ、検出ユニット30により生体サンプル判別装置用プレート10を所定時間毎に数回低速回転させるとで、光学検出部40により外周流路116bの泳動流路部分全体を所定回数スキャンさせて、泳動流路部分の吸光度、あるいは蛍光度を測定するようにしたので、細胞や血液等から特定のDNAを取り出したDNAサンプル中に含まれる検出対象である目的DNAの存在を、煩雑な準備作業が必要なキャピラリー管を使うことなく精度良く且つ短時間に判別することが可能となるため、種々の病気の判別やDNA異常の研究を精度良く且つ迅速に行える。
【0105】
なお、本実施例1においては、生体サンプルがDNAサンプルであり、DNAサンプルにミュータントサンプルが含まれているか否かを判別する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこのような使用に限られるものではなく、抗原抗体反応や、酵素反応にも応用が可能である。
【0106】
また、本実施例1においては、生体サンプル判別装置用プレート10にパターン110が1つ形成されているとして説明したが、図14に示すように、生体サンプル判別装置用プレート10に同じパターンを4つ形成するようにしてもよい。この場合、天井板37に設けられた電極32a,電極32b、ヒータ33、加圧部34、サーミスタ39が各々4つずつ必要となる。さらに、生体サンプル判別装置用プレート10上に4つのパターンを設けるようにした場合には、検出ユニット30にて測定動作を行う際に、各パターンにおける測定のタイムラグ分を考慮して、高圧電源66により各パターンに挿入される電極32a,電極32bに対する電圧の印加を、パターン毎にずらすようにする。このようにすることにより、測定時のデータの電気泳動時間を、すべてのパターンで同一にすることが出来る。なお、測定する繰り返し回数は、使用者の要求によって設定が可能である。
【0107】
また、図14に示すように、生体サンプル判別装置用プレート10に複数のパターンを形成する場合には、該各流路を同一の人間のSNPsでなく、多数の異なる人間のSNPsの判別に利用することができる。例えば、すべてのパターンに同一のDNAコンジュゲートを充填しておいて、生体サンプル判別装置用プレートに形成されたパターンの数分の異なる人間のDNAサンプルを、該パターンそれぞれに注入すれば、1回の測定で同一のSNPsの判別が多人数に対して可能となり、SNPs毎の分布状況に関する情報を一度に入手できる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の生体サンプル判別装置は、DNAサンプル等の生体サンプルの判別を精度良く短時間で行えるようにするものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施例1にかかる定量保持部付近の形状を示す図
【図2】本発明の実施例1にかかる生体サンプル判別装置用プレートの構成を説明する図
【図3】本発明の実施例1にかかる生体サンプル判別装置用プレートの構成について説明する図
【図4(a)】本発明の実施例1にかかるプレートの上面を示す図
【図4(b)】本発明の実施例1にかかるプレートの下面を示す図
【図4(c)】本発明の実施例1にかかるプレートのD−D断面を示す図
【図5】本発明の実施例1にかかる生体サンプル判別装置の構成図
【図6】本発明の実施例1にかかる生体サンプル判別装置の一連の動作を示すフローチャート
【図7(a)】本発明の実施例1にかかるプレートに形成されたパターンに、サンプルを注入した時点の図
【図7(b)】本発明の実施例1にかかるプレートに形成されたパターンに対し、コンジュゲート充填処理を施した時点の図
【図7(c)】本発明の実施例1にかかるプレートに形成されたパターンに対し、コンジュゲート充填処理を施した後の図
【図7(d)】本発明の実施例1にかかるプレートに形成されたパターンに対し、加圧処理を施した後の図
【図7(e)】本発明の実施例1にかかるプレートに形成されたパターンに対し、定量添加処理を施した後の図
【図8(a)】本発明の実施例1にかかる生体サンプル判別装置の、昇降ステージの第1断面の位置を示す図
【図8(b)】本発明の実施例1にかかる生体サンプル判別装置の、昇降ステージが第1断面の位置から第2段目の位置に移動途中を示す図
【図8(c)】本発明の実施例1にかかる生体サンプル判別装置の、昇降ステージが第1断面の位置から第2段目の位置に移動途中を示す図
【図8(d)】本発明の実施例にかかる生体サンプル判別装置の、昇降ステージの第2段目の位置を示す図
【図9】本発明の実施例1にかかる生体サンプル判別装置の、プレート合わせ位置検出センサからの信号を示す図
【図10(a)】本発明の実施例1にかかる生体サンプル判別装置の、サーミスタとヒータとの位置関係の一例を示す図
【図10(b)】本発明の実施例1にかかる生体サンプル判別装置の、サーミスタとヒータとの位置関係の別の例を示す図
【図11】本発明の実施例1にかかるプレートに形成された第2の流路にDNAサンプルが充填されて、該DNAサンプルが第1の流路に充填された分離用DNAコンジュゲート中を移動していく様子を示す図
【図12】本発明の実施例1にかかる生体サンプル判別装置において、DNAサンプルの吸光度を測定した結果を示す図
【図13】本発明の実施例1にかかる生体サンプル判別装置の原理を説明する図
【図14】本発明の実施例1にかかるプレートに、パターンを4つ設けた場合の下面を示す図
【符号の説明】
【0110】
10 プレート
10a 開口部
11 嵌合ピン孔
12 位置決めマーク
13 プレート確認マーク
14 キャピラリーシール
15 カバーフィルム
20 充填ユニット
21 高速回転モータ
21a プレート受け部
22 プレートトレイ
23 プレート確認センサ
30 検出ユニット
31 嵌合ピン
32a,32b 電極
33 ヒータ
34 加圧部
35 位置決めマーク検出センサ
36 クランパ
37 天井板
38 低速回転モータ
39 サーミスタ
40 光学検出部
50 昇降ステージ
51 上下動モータ
52 加圧ポンプ部
53 ポンプチューブ
54 装置内温度検出センサ
55 ヒータ温度検出センサ
60 筺体
61 扉
62 電源スイッチ
63 LED
64 冷却ファン
65a,65b ゴム脚
66 高圧電源
67 装置電源
68 制御基板
100 生体サンプル判別装置
110 パターン
111 第1の電極挿入部
112 第2の電極挿入部
113 第1のサンプル注入部
114 第2のサンプル注入部
115 サンプルプール
116 第1の流路
116a 内周流路
116b 外周流路
117 第2の流路
117a サンプル注入流路
117b サンプル充填流路
118 第1の電極待機孔
119 第2の電極待機孔
120 定量保持部
121,122 電極挿入口
123,124 サンプル注入口
125 島
131,132,135 空気孔
136 加圧待機孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体サンプルを緩衝剤中で移動させた際に得られる輸送反応を検出して該生体サンプルの判別を行う生体試料判別装置用プレートにおいて、
前記緩衝剤が流れる第1の流路と前記生体サンプルが流れる第2の流路との合流部分に設けた一定体積の前記生体サンプルを保持する定量保持部に、該定量保持部の保持する生体サンプルの前記第2の流路への流出を抑制する抑制手段を設けた、ことを特徴とする生体試料判別装置用プレート。
【請求項2】
前記第2の流路は、前記定量保持部へ前記生体サンプルを流入させる部分の流入断面が、前記定量保持部から前記生体サンプルを流出させる部分の流出断面より大きい断面積を有する、ことを特徴とする前記請求項1記載の生体試料判別装置用プレート。
【請求項3】
前記定量保持部に、前記生体サンプルを前記第1の流路に案内する案内手段を設けた、ことを特徴とする前記請求項1乃至前記請求項2記載の生体試料判別装置用プレート。
【請求項4】
前記案内手段は前記定量保持部に設けた隆起部分である、ことを特徴とする前記請求項3記載の生体試料判別装置用プレート。
【請求項5】
前記第1の流路は前記定量保持部からの距離に比例して断面積が減少する、ことを特徴とする前記請求項1乃至前記請求項4のいずれかに記載の生体試料判別装置用プレート。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【図6】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図7(c)】
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【図7(d)】
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【図7(e)】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図8(c)】
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【図8(d)】
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【図9】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図4(c)】
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【公開番号】特開2006−153562(P2006−153562A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−342215(P2004−342215)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】