説明

生体認証システムに用いる生体情報の更新方法および生体認証システム

【課題】本人拒否率および他人誤認率を低くして生体認証における認証の精度を向上させること。
【解決手段】生体情報を用いて個人の認証を行う生体認証システムであって、指紋センサSS1によって検出された個人ごとの身体的特徴をそれぞれ生体情報として予め登録する指紋情報記憶部105と、新規に入力された生体情報を予め登録された生体情報と比較し、予め登録された生体情報の中に合致するものがあったときにその生体情報に対応する個人の認証を行う照合部102と、照合部102が個人の認証を行ったときに、そのときに新規に入力された生体情報の特徴点データの個数が予め登録された当該生体情報の特徴点データの個数以上であった場合に、予め登録された当該生体情報に代えて新規に入力された生体情報を生体情報登録手段に登録する、更新処理部103と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人ごとの身体的特徴をセンサによって検出して生体情報として予め登録しておき、新規に入力された生体情報を予め登録された生体情報と比較することによって個人の認証を行う生体認証システムに用いる生体情報の更新方法、および生体認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、本人であるか否かの確認を行うために生体認証システムが用いられている。生体認証システムでは、指紋、虹彩、静脈など、個人の身体的特徴をセンサによって検出し、得られた生体情報を用いて個人の認証を行う。
【0003】
例えば、指紋を用いた生体認証では、検出された1つの指紋から複数の特徴点を抽出し、予め登録された指紋情報の特徴点と比較し、それらの形状や位置が合致するかどうかを判断するのが一般的な方法である。この場合の特徴点とは、指紋の模様が分岐している部分(分岐点)、または指紋がとぎれている部分(端点)など、指紋の形状の特徴となっている部分のことである。この手法を用いた指紋認証システムでは、本人であるかそうでないかを正しく判別する基準として、1つの指紋情報の特徴点の個数に対して閾値を設定している。つまり、十分な精度で「本人入力データ」が認証OKとなりかつ「他人の入力データ」が認証NGとなるように、閾値が設定される。登録された指紋情報の特徴点の個数が閾値よりも少なかったり、閾値の設定が適切でなかった場合には、誤認証となる可能性がある。
【0004】
さて、従来において、認証が成功した場合、つまり新規に入力された指紋情報が予め登録された指紋情報と合致したことによってその個人の認証を行った場合に、その入力された指紋情報を用いて先に登録されていた指紋情報を更新することが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−63297
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上に述べたように、従来においては、認証が成功した場合に入力された新規の指紋情報によって指紋情報を更新している。しかし、その場合に、新規に入力された指紋情報が既に登録された指紋情報よりも劣悪な場合、例えば特徴点が少ない場合に、却って認証の精度が低下する可能性がある。つまり、指紋情報が新しくなったとしても、その指紋情報の特徴点の個数が少なかった場合には、本人を正しく認証しない可能性(本人拒否率)および他人を本人として誤認証する可能性(他人誤認率)が高くなってしまうことがある。
【0006】
このような観点から、指紋情報が新しくかつそれによる認証が成功した場合であっても、その指紋情報によって登録された指紋情報を一律に更新してしまうことは好ましくない。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、本人拒否率および他人誤認率を低くして生体認証における認証の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る方法は、個人ごとの身体的特徴をセンサによって検出してそれぞれ生体情報として予め登録しておき、新規に入力された生体情報を予め登録された生体情報と比較することによって個人の認証を行う生体認証システムに用いる生体情報の更新方法であって、新規に入力された生体情報が予め登録された生体情報と合致したことによってその個人の認証を行ったときに、そのときに新規に入力された生体情報の特徴点データの個数が予め登録された当該生体情報の特徴点データの個数以上である場合に、予め登録された当該生体情報に代えて新規に入力された生体情報を登録する。
【0009】
好ましくは、新規に入力された生体情報が予め登録された生体情報と合致したことによってその個人の認証を行ったときに、予め登録された当該生体情報がその登録時点から所定の期間が経過している場合であってかつ新規に入力された生体情報の特徴点データの個数が基準個数以上であった場合に、予め登録された当該生体情報に代えて新規に入力された生体情報を登録する。
【0010】
本発明に係るシステムは、生体情報を用いて個人の認証を行う生体認証システムであって、センサによって検出された個人ごとの身体的特徴をそれぞれ生体情報として予め登録する生体情報登録手段と、新規に入力された生体情報を前記生体情報登録手段に予め登録された生体情報と比較し、予め登録された生体情報の中に合致するものがあったときにその生体情報に対応する個人の認証を行う認証手段と、前記認証手段が個人の認証を行ったときに、そのときに新規に入力された生体情報の特徴点データの個数が予め登録された当該生体情報の特徴点データの個数以上であった場合に、予め登録された当該生体情報に代えて新規に入力された生体情報を前記生体情報登録手段に登録する、生体情報更新手段と、を有する。
【0011】
好ましくは、前記認証手段が個人の認証を行ったときに、予め登録された当該生体情報がその登録時点から所定の期間が経過している場合であってかつ新規に入力された生体情報の特徴点データの個数が基準個数以上であった場合に、予め登録された当該生体情報に代えて新規に入力された生体情報を前記生体情報登録手段に登録するための、補助更新手段をさらに有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、本人拒否率および他人誤認率を低くして生体認証における認証の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明に係る生体認証システムSNを適用した画像形成装置1を有するネットワークシステム全体の構成の例を示す図、図2は画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図、図3は操作パネル10fの例を示す図、図4は画像形成装置1の機能的構成の例を示す図、図5は指紋情報SJの例を示す図、図6は指紋情報記憶部105に記憶された指紋情報SJの例を示す図である。
【0014】
図1において、画像形成装置1は、通信回線3を介して1台または複数台の端末装置2と接続されている。通信回線3として、インターネット、イントラネット、公衆回線、または専用線などが用いられる。
【0015】
端末装置2には、画像形成装置1に対応したアプリケーションプログラムおよびドライバがインストールされている。端末装置2として、パーソナルコンピュータまたはワークステーションなどが用いられる。
【0016】
画像形成装置1は、コピー、スキャナ、ファックス、ネットワークプリンティング、およびドキュメントサーバなどの様々な機能を集約した処理装置である。複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれることもある。「ネットワークプリンティング」は、画像データを端末装置2から受信して画像を用紙に印刷する機能である。「ネットワークプリンタ機能」または「PCプリント機能」などと呼ばれることもある。「ドキュメントサーバ」は、ユーザごとに「ボックス」または「パーソナルボックス」などと呼ばれる、パーソナルコンピュータにおけるフォルダまたはディレクトリなどに相当する記憶領域を与えておき、ユーザが自分の記憶領域に画像ファイルなどのドキュメントデータを保存しておくことができるようにする機能である。「ボックス機能」と呼ばれることもある。
【0017】
画像形成装置1は、役所または企業などのオフィス、学校または図書館などの公共施設、コンビニエンスストアなどの店舗、その他種々の場所に設置され、複数のユーザによって共用することができる。
【0018】
画像形成装置1を使用する権限が与えられているユーザには、1人ずつユーザアカウントが与えられている。ユーザアカウントには、そのユーザアカウントが付与されたユーザを他のユーザと区別するために、ユニークなユーザIDが付けられている。また、各ユーザには、自分のユーザアカウントに係るユーザIDが記録された、ICカードなどからなるユーザカードが配付されることがある。
【0019】
図2に示すように、画像形成装置1は、CPU10a、RAM10b、ROM10c、ハードディスク10d、制御用回路10e、操作パネル10f、スキャナユニット10g、印刷ユニット10h、通信インタフェース10j、および入出力インタフェース10kなどによって構成される。
【0020】
制御用回路10eは、ハードディスク10d、スキャナユニット10g、印刷ユニット10h、通信インタフェース10j、操作パネル10f、および入出力インタフェース10kなどを制御するための回路である。
【0021】
スキャナユニット10gは、原稿の用紙に描かれている写真、文字、絵、図表などの画像を光学的に読み取って画像データを生成する装置である。印刷ユニット10hは、スキャナユニット10gによって得られた画像データまたは端末装置2などから送信されてきた画像データに基づいて画像を用紙に印刷する。通信インタフェース10jは、他の装置と通信を行うためのNIC(Network Interface Card)またはモデムなどである。
【0022】
入出力インタフェース10kは、RS−232C、USB、IEEE1394、またはSCSIなどのインタフェースである。画像形成装置1には、この入出力インタフェース10kを介して指紋センサSS1が接続されている。
【0023】
図3において、操作パネル10fは、操作部SBおよび表示部TDによって構成される。操作部SBとしてテンキーなどが用いられ、表示部TDとして液晶ディスプレイなどが用いられる。ユーザは、操作部SBを操作することによって、画像形成装置1に対して、処理の実行開始または中断などの指令を与え、データの宛先、印刷条件、または画像ファイルフォーマットなどの処理条件を指定し、その他種々の事項を指定することができる。表示部TDには、ユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが所望する処理の種類および処理条件を入力するための画面、および画像形成装置1で実行された処理の結果を示す画面などが表示される。操作パネル10fとしてタッチパネルを用いた場合は、タッチパネルが操作部SBおよび表示部TDの両方を兼ねる。このように、操作パネル10fは、画像形成装置1を操作するユーザのためのユーザインタフェースの役割を果たしている。
【0024】
なお、前に述べたように、端末装置2には、画像形成装置1に対して指令を与えるためのアプリケーションプログラムおよびドライバがインストールされている。したがって、ユーザは、端末装置2によって画像形成装置1を遠隔的に操作することもできる。
【0025】
ハードディスク10dには、種々の機能を実現するためのプログラムおよびデータなどが格納されている。これらのプログラムは必要に応じてRAM10bに読み出され、CPU10aによってプログラムが実行される。これらのプログラムまたはデータの一部または全部を、ROM10cに記憶させておいてもよい。または、機能の一部または全部を制御用回路10eによって実現するようにしてもよい。
【0026】
指紋センサSS1は、ユーザの指紋を読み取って指紋情報SJを取得するためのものである。指紋センサSS1として、イメージセンサまたは容量式センサなどの種々の方式のセンサを用いることが可能である。指紋センサSS1は、ユーザの指紋を例えば画像データDFとして取り込む。画像データDFに基づいて、特徴点データDTその他の種々のデータが必要に応じて生成される。これら画像データDF、その後に生成されたデータなどは、RAM10bまたはハードディスク10dなどに格納される。
【0027】
指紋センサSS1は、画像形成装置1の近傍、例えば、操作パネル10fの位置から横に数十センチメートルないし1メートル程度離れた位置に設置されている。これにより、ユーザは、他のユーザが操作パネル10fを操作しているときでも指紋センサSS1に自分の指紋を読み取らせることができる。なお、指紋センサSS1を画像形成装置1の一部として画像形成装置1のハウジングの表面に組み込んでおいてもよい。
【0028】
図4において、画像形成装置1には、特徴点抽出部101、照合部102、更新処理部103、登録処理部104、指紋情報記憶部105、ジョブ実行制御部111、およびログイン処理部112などが設けられる。また、更新処理部103には、通常更新部121、補助更新部123、期間判断部124、および基準個数記憶部125などが設けられる。
【0029】
特徴点抽出部101は、指紋センサSS1から出力される指紋情報SJに基づいて、特徴点データDTを抽出する。特徴点データDTは、指紋における特徴点の位置および方向などを示すデータである。
【0030】
図5に示す指紋情報SJ1は、あるユーザについての指紋の画像データDF1である。画像データDF1の中に、特徴点TTの一部が小さい黒丸で示されている。図において、特徴点TTは、指紋の模様が分岐している分岐点、および指紋がとぎれた端点である。これ以外にも、指紋の模様の屈曲点、その他の種々の特徴的な点を、特徴点TTとすることが可能である。このような特徴点TTは、1つの指紋の中に、通常、100〜120個程度あるといわれており、人によって50〜160個程度の範囲でばらつきがあるといわれている。
【0031】
特徴点データDTは、特徴点TTの位置を示すデータ(座標データ)、特徴点TTの方向を示す方向データなどを含めたデータである。1個の特徴点TTについての特徴点データDTを1個とする。特徴点TTの位置を示すデータは、例えば、あるxy座標系におけるxy座標、他の2つまたは3つ以上の特徴点TTに対する相対的な距離や方向を示すデータなどで表すことが可能である。特徴点TTの方向を示すデータは、例えば、端点から当該指紋の隆線の伸びる方向を示すデータ、分岐点から分岐して伸びる2本の隆線の中間の線の方向を示すデータなどで表すことが可能である。また、特徴点データDTとして、最も隣接する他の特徴点TTとの間に存在する隆線の個数を含めることも可能である。
【0032】
このような特徴点データDTが、1つの指紋についての指紋情報SJごとに、その指紋のユーザの氏名、ユーザID、指紋の部位、指紋情報SJを取得した年月日時刻、および場所などとともに、指紋情報記憶部105に記憶(登録)されている(図6参照)。なお、指紋情報SJを指紋情報記憶部105に登録する際には、その指紋情報SJの特徴点データDTの個数が基準値以上であることが条件である。つまり、特徴点データDTの個数が基準値に達しない場合には、その指紋情報SJは登録されない。
【0033】
照合部102は、特徴点抽出部101から出力された新規な特徴点データDTに対して、指紋情報記憶部105に記憶された指紋情報SJとの照合を行い、合致するものがあるかどうかを判断する。合致するものがあった場合には、指紋情報記憶部105から、その合致した指紋情報SJに応じたユーザID、指紋の部位などが読み出され、合致信号GSとして出力される。
【0034】
なお、照合部102における合致判断は、例えば合致特徴点指摘法による場合は、両者の特徴点TTをそれぞれ相互に比較し、合致特徴点を積み重ねることによって行われる。両者のある1つの特徴点TTが合致するかどうかは、既に合致特徴点とされた他の2つの特徴点TTからの距離および方向などのリレーションが精査される。例えば、3つの特徴点TTによって形成される三角形が合同または相似であるかどうかなどにより、合致状態にあるかどうかが判断される。合致状態にある特徴点TTの個数が所定の値以上の場合に合致信号GSが出力され、認証されることとなる。また、照合部102において、新規な指紋情報SJにおける特徴点データDTの個数が予め設定された閾値以上である場合にのみ合致判断を行うようにしてもよい。
【0035】
更新処理部103は、指紋情報記憶部105に記憶された指紋情報SJを更新するための処理を行う。通常更新部121は、指紋センサSS1から新規に入力された指紋情報SJAが指紋情報記憶部105に予め登録された指紋情報SJBと合致したことによってそのユーザ(個人)の認証を行ったときに、そのときに新規に入力された指紋情報SJAの特徴点データDTの個数が予め登録された当該指紋情報SJBの特徴点データDTの個数以上である場合に、予め登録された当該指紋情報SJBに代えて新規に入力された指紋情報SJAを登録する。
【0036】
なお、新規に入力された指紋情報SJAの特徴点データDTの個数が予め登録された指紋情報SJBの特徴点データDTの個数と同じ場合であっても更新を行う。これによって、より新しい指紋情報SJが登録されることとなる。
【0037】
また、補助更新部123は、新規に入力された指紋情報SJAが予め登録された指紋情報SJBと合致したことによってそのユーザの認証を行ったときに、予め登録された当該指紋情報SJBがその登録時点から所定の期間が経過している場合であってかつ新規に入力された指紋情報SJAの特徴点データDTの個数が基準個数KK以上であった場合に、予め登録された当該指紋情報SJBに代えて新規に入力された指紋情報SJAを登録する。
【0038】
すなわち、新規に入力された指紋情報SJAの特徴点データDTの個数が予め登録された当該指紋情報SJBの特徴点データDTの個数に達しなかった場合でも、予め登録された当該指紋情報SJBがその登録時点から所定の期間が経過しており、かつ、新規に入力された指紋情報SJAの特徴点データDTの個数が基準個数KK以上であった場合に、指紋情報SJの更新を行う。これによって、特徴点データDTの個数の多い古い指紋情報SJがいつまでも更新されず経時変化に対応できなくなることが防止される。
【0039】
なお、期間判断部124は、予め登録された指紋情報SJBがその登録時点から所定の期間が経過しているか否かを判断する。所定の期間として、例えば、3ヶ月、6ヶ月、1年などが設定される。基準個数記憶部125は、基準個数KKを記憶する。基準個数KKは、照合部102における合致判断を行うための閾値よりも大きく設定してもよく、またはその閾値と同じかまたは小さく設定してもよい。
【0040】
登録処理部104は、更新処理部103などの指示によって、新規な指紋情報SJを指紋情報記憶部105に登録し、指紋情報記憶部105に登録されている指紋情報SJを削除して書き変える。
【0041】
ジョブ実行制御部111は、画像形成装置1において登録された所定のジョブが実行されるように、画像形成装置1の各部を制御する。例えば、そのジョブがPCプリントジョブまたはコピージョブである場合は、そのジョブのジョブIDと対応付けられている印刷用データを出力用データ管理部から呼び出し、その印刷用データに基づいて印刷処理が実行されるように印刷ユニット10hなどを制御する。
【0042】
ジョブ実行制御部111における制御に際して、ユーザの認証が必要なジョブについては照合部102から出力される合致信号GSに基づいて行われる。
【0043】
ログイン処理部112は、画像形成装置1へのユーザのログインおよびログアウトに関する処理を行う。ログインに関する処理は、ログイン画面が表示されている操作パネル10fまたは端末装置2を操作してユーザが入力したユーザIDおよびパスワードに基づいて行われる。また、生体認証によってログインを行う場合には、照合部102から出力される合致信号GSなどに基づいてログインが行われる。
【0044】
例えば、まず、ログイン画面から入力されたユーザIDに対応するユーザアカウント情報を検索し、入力されたパスワードと検索されたユーザアカウント情報に示されるパスワードとが照合される。両者が一致した場合は、入力を行ったユーザを正規のユーザであると認証し、画像形成装置1へのログインを認める。ログインが認められたユーザは、ログアウトするまでの間、画像形成装置1を使用することができる。
【0045】
また、ユーザが生体認証によってローカルログインする場合には、ログイン画面が操作パネル10fに表示されている状態で所定の操作を行った後、自分の指の指紋を指紋センサSS1により読み取らせる。指紋センサSS1から出力される指紋情報SJに基づいて合致信号GSが得られると、ログイン処理部112は、操作を行ったユーザを正規のユーザであると認証し、画像形成装置1へのログインを認める。
【0046】
図6において、指紋情報記憶部105には、それぞれ1つづつの指紋情報SJ1,SJ2,SJ3…について、ユーザの氏名、ユーザID、部位、取得年月日、多数の特徴点データDTなどが、指紋情報SJとして登録されている。指紋情報SJの更新に際しては、各指紋情報SJ1,SJ2,SJ3…ごとに更新が行われる。
【0047】
次に、画像形成装置1における指紋情報SJの更新方法について、フローチャートを参照して説明する。
【0048】
図7は指紋情報の更新処理の流れを示すフローチャートである。
【0049】
図7において、画像形成装置1を使用する可能性のあるユーザについて、それぞれの指紋情報SJを登録する(#11)。ユーザが画像形成装置1を使用したいときに、ログインのために、指紋センサSS1を用いて指紋情報SJを入力する(#12)。予め登録された指紋情報SJと新規に入力された指紋情報SJとが照合される(#13)。照合の結果、合致したことによって認証が行われた場合には、ログインが行われる。それとともに、新規な指紋情報SJの特徴点データDTの個数が登録されていた指紋情報SJの特徴点データDTの個数よりも多いかまたは同じ個数のときには(#14でイエス)、指紋情報SJの更新が行われる(#18)。
【0050】
ステップ#14でノーの場合には、登録されていた指紋情報SJが登録時から所定の期間を経過しており(#16でイエス)、新規に入力された指紋情報SJの特徴点データDTの個数が基準個数KK以上であった場合に(#17でイエス)、指紋情報SJの更新が行われる(#18)。ステップ#13、16、17のいずれかでノーであった場合には、指紋情報SJの更新は行われない。
【0051】
上に述べた実施形態の画像形成装置1によると、照合において合致信号GSが出力され、認証が成功した場合においても、常に指紋情報SJの更新が行われるというのではなく、新規な指紋情報SJの特徴点データDTの個数が先に登録された指紋情報SJの特徴点データDTの個数以上である場合にのみ更新が行われる。これによって、指紋情報記憶部105にはより特徴点データDTの個数の多い良質の指紋情報SJが登録されることとなり、その結果、本人拒否率および他人誤認率が低くなり、生体認証における認証の精度が向上する。
【0052】
また、新規な指紋情報SJの特徴点データDTの個数が先に登録された指紋情報SJの特徴点データDTの個数に達しなかった場合であっても、予め登録された当該指紋情報SJが古くなっている場合には指紋情報SJの更新が行われることとなり、古い指紋情報SJがいつまでも更新されずに残ることが防止され、生体認証における認証の精度の向上に寄与する。
【0053】
上に述べた実施形態において、画像形成装置1におけるハードウエア、ソフトウエア、それらによる機能の構成、処理の内容および順序などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【0054】
上に述べた実施形態においては、生体情報として指紋情報SJを取り上げたが、指紋情報SJのみでなく、他の生体情報、例えば、虹彩または静脈など、種々の個人の身体的特徴を用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る生体認証システムを適用した画像形成装置を用いたシステム全体の構成の例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】操作パネルの例を示す図である。
【図4】画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
【図5】指紋情報の例を示す図である。
【図6】指紋情報記憶部に記憶された指紋情報の例を示す図である。
【図7】指紋情報の更新処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 画像形成装置(生体認証システム)
101 特徴点抽出部
102 照合部(認証手段)
103 更新処理部(生体情報更新手段)
104 登録処理部(生体情報登録手段)
105 指紋情報記憶部(生体情報登録手段)
121 通常更新部(生体情報更新手段)
123 補助更新部(補助更新手段)
SN 生体認証システム
SS1 指紋センサ(センサ)
SJ 指紋情報(生体情報)
TT 特徴点
DT 特徴点データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人ごとの身体的特徴をセンサによって検出してそれぞれ生体情報として予め登録しておき、新規に入力された生体情報を予め登録された生体情報と比較することによって個人の認証を行う生体認証システムに用いる生体情報の更新方法であって、
新規に入力された生体情報が予め登録された生体情報と合致したことによってその個人の認証を行ったときに、そのときに新規に入力された生体情報の特徴点データの個数が予め登録された当該生体情報の特徴点データの個数以上である場合に、予め登録された当該生体情報に代えて新規に入力された生体情報を登録する、
ことを特徴とする生体認証システムに用いる生体情報の更新方法。
【請求項2】
新規に入力された生体情報が予め登録された生体情報と合致したことによってその個人の認証を行ったときに、予め登録された当該生体情報がその登録時点から所定の期間が経過している場合であってかつ新規に入力された生体情報の特徴点データの個数が基準個数以上であった場合に、予め登録された当該生体情報に代えて新規に入力された生体情報を登録する、
請求項1記載の生体認証システムに用いる生体情報の更新方法。
【請求項3】
生体情報を用いて個人の認証を行う生体認証システムであって、
センサによって検出された個人ごとの身体的特徴をそれぞれ生体情報として予め登録する生体情報登録手段と、
新規に入力された生体情報を前記生体情報登録手段に予め登録された生体情報と比較し、予め登録された生体情報の中に合致するものがあったときにその生体情報に対応する個人の認証を行う認証手段と、
前記認証手段が個人の認証を行ったときに、そのときに新規に入力された生体情報の特徴点データの個数が予め登録された当該生体情報の特徴点データの個数以上であった場合に、予め登録された当該生体情報に代えて新規に入力された生体情報を前記生体情報登録手段に登録する、生体情報更新手段と、
を有することを特徴とする生体認証システム。
【請求項4】
前記認証手段が個人の認証を行ったときに、予め登録された当該生体情報がその登録時点から所定の期間が経過している場合であってかつ新規に入力された生体情報の特徴点データの個数が基準個数以上であった場合に、予め登録された当該生体情報に代えて新規に入力された生体情報を前記生体情報登録手段に登録するための、補助更新手段をさらに有する、
請求項3記載の生体認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−65572(P2008−65572A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242339(P2006−242339)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】