説明

生体認証装置

【課題】装置構成の薄型化と認証精度の向上とを両立させることが可能な生体認証装置を提供する。
【解決手段】光源駆動部171が、光源部11内の各単位光源110が時分割により周期的に点灯するように光源部11を駆動する。撮像素子駆動部172が、点灯している各単位光源110の近傍に位置する撮像セル群(第1の撮像セル群)による撮像動作が停止する一方、点灯している各単位光源110に対して第1の撮像セル群よりも遠方に位置する撮像セル群(第2の撮像セル群)による撮像動作が行われるように、撮像素子13を駆動する。これにより、ノイズ成分となる生体2表面での反射光の受光が抑制される。また、カバーガラス12に対して光源部11および撮像素子13を同一の側に配置する。カバーガラス12に対して対向配置されている場合と比べ、装置全体の厚みを小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源および撮像素子を備えた生体認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特定エリアの入退出管理や銀行のATMなどにおいて、生体認証を用いた個人識別技術(バイオメトリックス)の導入が開始されている。このような生体の認証方法としては、顔、指紋、声紋、虹彩、静脈などを認証用データとして用いる方法が提案されている。中でも、指や手の平の皮膚下に存在する静脈の形状パターンは、生涯を通してほとんど変化が無く、また生体の内部の情報なので偽造が難しく安全性が高い。このため、生体認証用途として多く用いられるようになってきている。
【0003】
ここで、図13に、特許文献1〜3等で提案されている従来の生体認証装置の概略構成例を示す。この生体認証装置は、LED(Light Emitting Diode)等の光源101が取り付けられた上部カバー100、カバーガラス102、撮像レンズ104、およびCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子103を含んで構成されている。そしてこの生体認証装置では、生体2をカバーガラス102上に置き、生体2の上部から光を透過させることで、生体2の静脈を流れるヘモグロビンで光が吸収される。これによって、生体2の内部ではコントラストが変化するため、このコントラストの変化を撮像素子104で受光することにより、生体認証用の撮像データである生体2の静脈データを得ることができるようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−272821号公報
【特許文献2】特許第3925338号公報
【特許文献3】特開2007−117397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図13に示した従来の生体認証装置では、カバーガラス102(生体2が置かれる検知部)に対し、光源101および撮像素子103が互いに対向配置されており、これにより、ノイズ成分となる生体2の表面(表皮)からの反射光が撮像素子103へ入射するのを防止している。
【0006】
ところが、例えばノートパソコン等への搭載を目的として生体認証装置の薄型化を実現しようとした場合、カバーガラスに対し、光源および撮像素子を互いに同じ側に配置させる必要が生じる。そしてそのように配置した場合、生体の表面(表皮)からの反射光が撮像素子へ入射してしまうためにノイズ成分が生じ、その結果、認証精度も低下してしまうことになる。
【0007】
このように従来の技術では、生体認証装置の薄型化と認証精度の向上とを両立させるのが困難であった。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、装置構成の薄型化と認証精度の向上とを両立させることが可能な生体認証装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の生体認証装置は、生体が置かれる検知部と、互いに独立して点灯可能な複数の単位光源を有し、検知部上の生体へ向けて光を照射する光源部と、検知部に対して光源部と同一の側に配置されると共に、生体からの光に基づいて複数の撮像セルにより生体の撮像データを取得する撮像素子と、光源部および撮像素子を駆動する駆動部と、各単位光源からの照射光に基づいて撮像素子により得られた複数の撮像データを合成することにより、合成撮像データを生成する画像処理部と、この画像処理部により生成された合成撮像データに基づき生体の認証を行う認証部とを備えたものである。ここで、上記駆動部は、単位光源が時分割により周期的に点灯するように光源部を駆動すると共に、点灯している各単位光源の近傍に位置する第1の撮像セル群による撮像動作が停止する一方、点灯している各単位光源に対して第1の撮像セル群よりも遠方に位置する第2の撮像セル群による撮像動作が行われるように撮像素子を駆動するものである。
【0010】
本発明の生体認証装置では、光源部内の各単位光源から検知部上の生体に対して光が照射されると、撮像素子内の複数の撮像セルにより、生体からの光に基づいて生体の撮像データが得られる。そして画像処理部において、各単位光源からの照射光に基づく複数の撮像データから合成撮像データが生成され、認証部において、この合成撮像データに基づく生体の認証が行われる。ここで、単位光源が時分割により周期的に点灯すると共に、点灯している各単位光源の近傍に位置する第1の撮像セル群による撮像動作が停止する一方、点灯している各単位光源に対して第1の撮像セル群よりも遠方に位置する第2の撮像セル群による撮像動作が行われるため、生体内部からの光が第2の撮像セル群によって受光される一方、生体表面での反射光が第1の撮像セル群に到達したとしても受光されないため、ノイズ成分となる生体表面での反射光の受光が抑制される。また、検知部に対して光源部および撮像素子が同一の側に配置されているため、これらが検知部に対して対向配置されている場合と比べ、装置全体の厚みが小さくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の生体認証装置によれば、単位光源が時分割により周期的に点灯すると共に、点灯している各単位光源の近傍に位置する第1の撮像セル群による撮像動作が停止する一方、点灯している各単位光源に対して第1の撮像セル群よりも遠方に位置する第2の撮像セル群による撮像動作が行われるようにしたので、ノイズ成分となる生体表面での反射光の受光を抑制することができる。また、検知部に対して光源部および撮像素子を同一の側に配置するようにしたので、これらが検知部に対して対向配置されている場合と比べ、装置全体の厚みを小さくすることができる。よって、装置構成の薄型化と認証精度の向上とを両立させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る生体認証装置(生体認証装置1)の機能ブロック構成を表したものである。この生体認証装置1は、認証対象である生体(例えば、図2に示した生体(指先)2)を撮像して生体認証を行い(例えば図2の場合、生体2の内部の静脈20を撮像して静脈認証を行い)、認証結果(後述する認証結果データDout)を出力するものであり、光源部11と、カバーガラス12と、撮像素子13と、画像処理部14と、パターン保持部15と、認証部16と、光源駆動部171と、撮像素子駆動部172と、制御部18とから構成されている。
【0014】
光源11は、撮像対象物であるカバーガラス12上の生体2へ向けてその下面側から光を照射するものであり、例えば、LED(Light Emitting Diode)などにより構成される。この光源11は、互いに独立して点灯可能な複数の単位光源(後述する単位光源110)により構成されている。光源11は、近赤外の波長領域(700nm〜1200nm程度の波長領域)の光を発するものであるのが好ましい。そのような波長領域の光を用いた場合、生体2に対する透過率と、生体2内の還元ヘモグロビン(静脈)への吸収率との兼ね合いより、生体2の静脈認証の際の光利用効率をより高めることができるからである。なお、光源部11の詳細構成については後述する。
【0015】
カバーガラス12は、撮像素子13上に配置され、生体認証装置1内部を保護する部分である。なお、このカバーガラス12の表面は、認証の際に生体2が置かれる部分(検知部)である。
【0016】
撮像素子13は、カバーガラス12に対して光源部11と同一の側に配置されると共に、生体2からの光を複数の撮像セル(後述する撮像セル130)により受光することにより、生体2の撮像データD1を取得するものである。この撮像素子13は、例えば、マトリクス状に配列されたCCDなどにより構成される。なお、撮像素子13の詳細構成については後述する。
【0017】
画像処理部14は、撮像素子13により得られた撮像データD1に対して所定の画像処理を施すことにより画像処理データを生成し、認証部16へ出力するものである。具体的には、光源部11内の各単位光源からの照射光に基づいて撮像素子13により得られた複数の撮像データD1を合成することにより、1つの撮像映像に対応する合成撮像データD2を生成し、認証部16へ出力するようになっている。なお、この画像処理部14、ならびに後述する認証部16および制御部18は、例えばマイクロコンピュータなどにより構成される。
【0018】
パターン保持部15は、生体認証の際に用いる生体認証パターン(認証の際に撮像して得られた撮像パターンに対する比較パターンであり、予め生体を撮像して得られたもの)が保持される部分であり、不揮発性の記録素子(例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)など)により構成される。
【0019】
認証部16は、制御部18からの制御に応じて、画像処理部14から出力される撮像パターン(合成撮像データD2の撮像パターン)と、パターン保持部15に保持されている生体認証パターンとを比較することにより、撮像対象である生体2の認証を行う部分である。
【0020】
光源駆動部171は、制御部18からの制御に応じて、光源11の発光駆動を行うものである。具体的には、詳細は後述するが、光源部11内の各単位光源が時分割により周期的に点灯するように光源部11を駆動するものである。一方、撮像素子駆動部172は、制御部18からの制御に応じて、撮像素子13の撮像駆動(受光駆動)を行うものである。具体的には、詳細は後述するが、点灯している各単位光源の近傍に位置する撮像セル群(第1の撮像セル群)による撮像動作が停止する一方、点灯している各単位光源に対して上記第1の撮像セル群よりも遠方に位置する撮像セル群(第2の撮像セル群:後述する撮像領域13A内の撮像セル群)による撮像動作が行われるように、撮像素子13を駆動するものである。また、詳細は後述するが、これら光源駆動部171および撮像素子駆動部172は、制御部18からの制御に応じて、光源部11内の単位光源と上記第1および第2の撮像セル群とが互いに同期して周期的な線順次動作を行うように、光源部11および撮像素子13を駆動するようになっている。
【0021】
制御部18は、画像処理部14、認証部16、光源駆動部171および撮像素子駆動部172の動作を制御するものである。
【0022】
次に、図3〜図6を参照して、光源部11および撮像素子13等の詳細構成について説明する。ここで、図3は、光源部11および撮像素子13の詳細構成例を平面図(Y−Y平面図)で表したものであり、図4は、生体認証装置1の詳細構成例を要部断面図(Y−Z断面図)で表したものである。
【0023】
図3に示したように、光源部11および撮像素子13では、単位光源110(照明セル)および撮像セル130がそれぞれマトリクス状に配置されると共に、撮像セル130の隙間に単位光源110が配置されるようになっている。つまり、詳細は後述する撮像領域13A内において、単位光源110の個数よりも撮像セル130の個数のほうが多いほうが好ましい。また、単位光源110による照明のむらを抑えるために、1つの撮像領域13A内には、複数の単位光源110が配置されている(図3では、5個配置されている)のが好ましい。言い換えると、前述の光源駆動部171は、撮像領域13Aによる撮像動作の際に、複数の単位光源110が点灯するように光源部11を駆動するようにするのが好ましい。なお、撮像領域13Aは、単位光源110による照明光の輝度がある程度一様となる領域に設定するのが好ましい。
【0024】
また、図4に示したように、生体認証装置1では、基板10上に、複数の単位光源110を含む光源部11、複数の撮像セル130により構成される撮像素子13およびカバーガラス12がこの順に積層配置されている。そしてカバーガラス12上に生体2が置かれると、各単位光源110が生体2内部の静脈20に向けて光(照射光)Loutを照射するようになっている。また、光源部11内には、そのような単位光源110の他に、光源駆動部171による電圧印加に応じて単位光源110からの光Loutの透過または遮断を選択的に切替可能な切替部19が、各単位光源110上に配置されている。
【0025】
切替部19は、例えば図5に断面図(Y−Z断面図)で示したような液晶素子により構成される。具体的には、この切替部19は、導光板190、偏光板191A、ガラス基板192A、透明電極193A、液晶層194、透明電極193B、ガラス基板192Bおよび偏光板191Bがこの順に積層された積層構造となっている。偏光板191A,191Bの偏光軸は互いに直交している(図6(A),(B)に示した矢印P1,P2参照)。また、透明電極193Aは各単位光源110に対して共通の電極である一方、透明電極193Bは単位光源110ごとに独立した電極となっている。このような構成の切替部19では、例えば図6(A)に示したように、透明電極193A,193B間に電圧が印加されていない場合には、液晶層194内の液晶分子195の配向方向のねじれにより、単位光源110からの光(照射光Lout1)が偏光板191Bを通過して切替部19を透過する一方、例えば図6(B)に示したように、透明電極193A,193B間に所定の電圧V1が印加されている場合には、液晶層194内の液晶分子195の配向方向が垂直方向に揃うことにより、単位光源110からの光(照射光Lout2)が偏光板191Bを通過できず、切替部19により遮断されるようになっている。このようにして、光源駆動部171によって切替部19に対する電圧印加を制御することにより、各単位光源110が独立して点灯可能(各単位光源110からの光Loutが独立して透過または遮断される)となっている。
【0026】
次に、図1〜図12を参照して、本実施の形態の生体認証装置1の動作(生体認証処理)について、比較例と比較しつつ詳細に説明する。ここで、図7は、比較例に係る生体認証装置(生体認証装置101)の断面(Y−Z断面)構成および動作を表したものである。また、図8〜図10は、本実施の形態の生体認証装置1の動作を平面図(X−Y平面図)で表したものであり、図11および図12は、この生体認証装置1の動作を断面図(Y−Z断面図)で表したものである。
【0027】
この生体認証装置1では、例えば図1に示したように、カバーガラス12上に生体(例えば、指先)2が置かれると、光源駆動部171の駆動動作により光源11から光Loutが射出され、撮像素子13およびカバーガラス12を介して生体2へ照射される。この状態で生体2の撮像がなされると、生体2からの光は撮像素子13の各撮像セル130上で集光され、これにより生体2の静脈の撮像データD1(静脈パターン)が得られる。このようにして撮像素子13により得られた撮像データD1は、画像処理部14において画像処理(画像合成処理)がなされ、1つの撮像映像に対応する合成撮像データD2として認証部16へ供給される。認証部16では、入力された合成撮像データD2(静脈パターン)と、パターン保持部15に保持されている静脈認証用の認証パターンとが比較され、これにより静脈認証がなされる。そして認証部16では、最終的な生体認証の結果(認証結果データDout)が出力され、これにより生体認証処理が終了となる。
【0028】
ここで、各単位光源110からの照射光Loutに基づく生体2からの光を撮像素子13による撮像する(受光する)際には、例えば図7に示した生体認証装置200(比較例)のように、生体2の内部の静脈20からの光Lout201等の他に、生体2の表面(表皮)での反射光Lout202,Lout203,Lout204等も、受光素子13内の各受光セル130へ入射する。したがって、比較例に係る生体認証装置200では、このような生体2の表面での反射光も受光素子13により受光してしまっているため、ノイズ成分が生じ、その結果、生体2の認証精度も低下してしまうことになる。
【0029】
そこで、本実施の形態の生体認証装置1では、光源駆動部171および撮像素子172による駆動動作によって、各単位光源110が時分割により周期的に点灯すると共に、点灯している各単位光源110の近傍に位置する撮像セル群(第1の撮像セル群)による撮像動作が停止する一方、点灯している各単位光源110に対して上記第1の撮像セル群よりも遠方に位置する撮像セル群(第2の撮像セル群)による撮像動作が行われる。
【0030】
具体的には、例えば図8〜図10に示したように、単位光源110と第1および第2の撮像セル群(撮像領域13A)とが互いに同期して周期的な線順次動作を行うように、光源部11および撮像素子13に対する駆動がなされる。より具体的には、図8中に矢印P11で示したライン上の単位光源110Aと、第2の撮像セル群による撮像領域である撮像領域13A1とが互いに同期して線順次動作をなすことにより(図9中の矢印Y11,Y21参照)、図9中に矢印P12で示したライン上の単位光源110B、および第2の撮像セル群による撮像領域である撮像領域13A2となり、さらにこれらが線順次動作をなすことにより(図10中の矢印Y12,Y22参照)、図10中に矢印P13で示したライン上の単位光源110C、および第2の撮像セル群による撮像領域である撮像領域13A3となる。
【0031】
したがって、例えば図11および図12に示したように、点灯している単位光源110Aや単位光源110Bからの照射光に基づく生体2内部(静脈20)からの光Lout11,Lout21がそれぞれ、第2の撮像セル群に対応する撮像領域13A,13A2によって受光される一方、生体2表面での反射光Lout12,Lout22は、撮像領域13A1,13A2よりも単位光源110A,110Bに対して近傍に位置する撮像セル130(第1の撮像セル群)に到達したとしても、この第1の撮像セル群は撮像領域となっていない(撮像動作が停止している)ため、受光素子13により受光されない。よって、このような生体2表面での反射光Lout12,Lout22が第1の撮像セル群によっては受光されないことにより、ノイズ成分となる生体2表面での反射光の受光が抑制されることになる。
【0032】
以上のように本実施の形態では、光源部11内の各単位光源110が時分割により周期的に点灯すると共に、点灯している各単位光源110の近傍に位置する撮像セル群(第1の撮像セル群)による撮像動作が停止する一方、点灯している各単位光源110に対して第1の撮像セル群よりも遠方に位置する撮像セル群(第2の撮像セル群)による撮像動作が行われるようにしたので、ノイズ成分となる生体2表面での反射光の受光を抑制することができる。また、カバーガラス12(検知部)に対して光源部11および撮像素子13を同一の側に配置するようにしたので、これらがカバーガラス12に対して対向配置されている場合と比べ、装置全体の厚みを小さくすることができる。よって、装置構成の薄型化と認証精度の向上とを両立させることが可能となる。
【0033】
また、光源部11および撮像素子13において単位光源110および撮像セル130をそれぞれマトリクス状に配置すると共に、単位光源110と上記第1および第2の撮像セル群とが互いに同期して周期的な線順次動作を行うようにしたので、簡単な駆動動作によって、上記したようにノイズ成分となる生体2表面での反射光の受光を抑制することができる。
【0034】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0035】
例えば、上記実施の形態では、単位光源110と上記第1および第2の撮像セル群とが互いに同期して周期的な線順次動作を行う場合について説明したが、他の駆動動作によって、ノイズ成分となる生体2表面での反射光の受光を抑制するようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施の形態では、切替部19が、電圧印加に応じて光の透過または遮断を選択的に切替可能な液晶素子により構成されている場合について説明したが、例えば、直接、多数配列したLEDチップを選択的に発光させることによって、各単位光源110を独立して点灯させるようにしてもよい。
【0037】
さらに、上記実施の形態では、静脈を撮像対象とする撮像データに基づいて生体の認証を行う生体認証装置(静脈認証装置)について説明したが、本発明は、例えば生体2の他の部分を撮像対象とする撮像データに基づいて生体の認証を行う他の生体認証装置にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施の形態に係る生体認証装置の構成を表す機能ブロック図である。
【図2】生体(指先)およびその内部の静脈の態様を模式的に表した斜視図である。
【図3】図1に示した光源部および撮像素子の詳細構成例を表す平面図である。
【図4】図1示した生体認証装置の詳細構成例を表す要部断面図である。
【図5】図4に示した切替部の詳細構成例を表す断面図である。
【図6】図5に示した切替部の作用を説明するための斜視図である。
【図7】比較例に係る生体認証装置の撮像動作を説明するための断面図である。
【図8】実施の形態に係る生体認証装置における線順次撮像動作を説明するための平面図である。
【図9】図8に続く線順次撮像動作について説明するための平面図である。
【図10】図9に続く線順次撮像動作について説明するための平面図である。
【図11】図8に示した線順次撮像動作を説明するための断面図である。
【図12】図9に示した線順次撮像動作を説明するための断面図である。
【図13】従来の生体認証装置の一例を表す要部断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1…生体認証装置、10…基板、11…光源部、110,110A〜110D…単位光源、12…カバーガラス、13…撮像素子、130…撮像セル、13A1〜13A3…撮像領域、14…画像処理部、15…パターン保持部、16…認証部、171…光源駆動部、172…撮像素子駆動部、18…制御部、19…切替部、190…導光板、191A,191B…偏光板、192A,192B…ガラス基板、193A,193B…透明電極、194…液晶層、195…液晶分子、2…生体(指先)、20…静脈、Lout,Lout1,Lout11,Lout12,Lout2,Lout21,Lout22…光源からの射出光(照射光)、D1…撮像データ、D2…合成撮像データ、Dout…認証結果データ、V1…印加電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体が置かれる検知部と、
互いに独立して点灯可能な複数の単位光源を有し、前記検知部上の生体へ向けて光を照射する光源部と、
前記検知部に対して前記光源部と同一の側に配置されると共に、前記生体からの光に基づいて複数の撮像セルにより生体の撮像データを取得する撮像素子と、
前記単位光源が時分割により周期的に点灯するように前記光源部を駆動すると共に、点灯している各単位光源の近傍に位置する第1の撮像セル群による撮像動作が停止する一方、点灯している各単位光源に対して前記第1の撮像セル群よりも遠方に位置する第2の撮像セル群による撮像動作が行われるように前記撮像素子を駆動する駆動部と、
各単位光源からの照射光に基づいて前記撮像素子により得られた複数の撮像データを合成することにより、合成撮像データを生成する画像処理部と、
前記画像処理部により生成された合成撮像データに基づき、前記生体の認証を行う認証部と
を備えたことを特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
前記単位光源および前記撮像セルがそれぞれマトリクス状に配置され、
前記駆動部は、前記単位光源と前記第1および第2の撮像セル群とが互いに同期して周期的な線順次動作を行うように、前記光源部および前記撮像素子を駆動する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項3】
前記光源部は、電圧印加に応じて光の透過または遮断を選択的に切替可能な液晶素子を含んで構成され、
前記駆動部は、前記液晶素子に対する電圧印加を制御することにより、各単位光源を独立して点灯させる
ことを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記第2の撮像セル群による各撮像動作の際に、複数の単位光源が点灯するように前記光源部を駆動する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項5】
前記単位光源は、近赤外の波長領域の光を発する光源である
ことを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項6】
前記撮像データが、前記生体の静脈を撮像対象とする撮像データであり、
前記認証部は、前記静脈を撮像対象とする撮像データに基づいて前記生体の認証を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−31903(P2009−31903A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193196(P2007−193196)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】