説明

生体認証装置

【課題】認証時間を短縮することを特徴とする生体認証装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明による生体認証装置10は、照合用の情報を作成する際に使用した機器の使用条件および前記対象者の体に関する情報の少なくとも一つを設定データとして、個人識別情報又は照合用の情報に対応付けて記憶している設定データ記憶部14と、認証時に入力される個人識別情報または当該個人識別情報により特定される前記照合用の情報に基づいて前記設定データを読み出し、前記生体の位置情報を比較した結果に基づき、当該読み出した設定情報の少なくとも一部を生体認証情報取得部12に設定して前記生体認証情報を取得させる設定部31と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報により個人を認証する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
企業の重要な情報や個人情報を守るために、生体認証による個人認証技術がさまざまなところで利用されるようになっている。人間の身体的特徴(生体器官)や行動的特徴(癖)の情報を利用する生体認証は、鍵のように忘れたり紛失したりすることがない。また、認証に利用する特徴によっては、同じものを持つ人が他にはいない、歳をとっても変わらないといった性質がある。そして、身体的特徴や行動的特徴(生体認証情報)は複製や偽造が難しいことから、生体認証による個人認証技術が注目されている。
【0003】
身体的特徴は、例えば、指紋、掌紋、掌形、網膜、虹彩、顔、静脈、声紋、耳殻などが挙げられる。行動的特徴は、筆跡、打鍵、まばたきなどが挙げられる。
指紋のような体表の情報は、樹脂などによりパターンが偽造されるおそれがあるが、静脈は体内の器官であるため、パターンの偽造が困難である。
【0004】
また、指の静脈を利用した生体認証装置は、小型化が容易であり、さまざまなところに組み込むことが可能である。したがって、指静脈認証装置をセキュリティエリアの出入口やロッカーに組み込むことで、鍵を利用せずに、個人認証が可能となる。
例えば、特許文献1には、撮像された指静脈の画像を元に光源からの照射光量を最適化し、認証のための画像演算において静脈パターンの強調処理を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−92616号公報
【特許文献2】特開2010−113433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、認証率の低下を防ぐために、撮像時に静脈パターンが撮像されているか否かを確認して光量を調整する方法が記載されている。
しかし、指静脈認証装置の対象物である指は、長さや太さの個人差が大きい。
そのため、特許文献1の方法では、ある初期値の光量で撮像して、静脈パターンが撮像されているか否かを確認した後、上手く撮像されていなければ光量を強くしたり弱くしたり調整して、静脈パターンが最適に撮像されるまでフィードバックを繰り返す。この方法では、どのような指を撮像するのかわからない状態から撮像を開始するため、光量のフィードバック回数が増えて、認証時間を要してしまう。
【0007】
特許文献2には、登録時に生体情報を取得するときに調整した生体センサの光量、フォーカス、外光の影響など撮影条件を記録しておき、認証時にその記録した情報を設定して撮影を行うことで認証時の生体情報の取得のフィードバックの繰り返しを少なくする方法が記載されている。
しかし、認証時において生体情報を取得するとき、登録時と認証時で撮像素子と対象物との位置関係がずれると生体センサの最適な動作条件が変わってしまうため、特許文献1と同様に静脈パターンが最適に撮像されるまでフィードバックを繰り返し、光量のフィードバック回数が増えて、認証時間を要してしまう。
【0008】
また、駅のロッカーやフィットネスジムのロッカーなどのように、不特定多数の人が静脈パターンの登録と認証を頻繁に行う場合は、特異な指を撮像する場合もあり、光量などのフィードバックを繰り返すことになって、認証時間を要してしまう。
一方、勤怠管理やセキュリティエリアへの入退室管理などのように、静脈パターンの登録が済んでいる状態において認証を行う場合は、認証時間を要すると、認証を待つための渋滞が発生してしまう。
【0009】
そこで、本発明は、前記した課題を解決するために、認証時間を短縮することを特徴とする生体認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明による生体認証装置は、生体認証用の生体認証情報を認証の対象となる対象者の体から取得し、前記体の位置を検出する生体認証情報取得部と、前記取得した生体認証情報と照合する照合用の情報を、前記対象者を個々に識別する個人識別情報に対応付けて複数人分記憶している記憶部と、前記個人識別情報を入力する入力部と、前記入力部を介して入力される個人識別情報に対応する照合用の情報と、前記生体認証情報取得部により取得された生体認証情報とを照合して個人認証を行う認証部とを有する生体認証装置であって、前記照合用の情報を作成する際に使用した機器の使用条件および前記対象者の体に関する情報の少なくとも一つを設定データとして、前記個人識別情報又は前記照合用の情報に対応付けて記憶している設定データ記憶部と、前記認証時に入力される個人識別情報または当該個人識別情報により特定される前記照合用の情報に基づいて前記設定データを読み出し、当該読み出した設定情報の少なくとも一部を前記生体認証情報取得部に設定して前記生体認証情報を取得させる設定部とをさらに有し、前記認証部は、前記生体認証情報取得部より取得された生体認証情報から生体の位置情報を取得する位置情報検出部を有し、前記設定データ記憶部は、前記設定データの1つとして、前記照合用の情報を取得したときにおける前記生体の位置情報を有し、前記認証部は、前記照合用の情報を取得したときにおける前記生体の位置情報と、認証時における前記生体の位置情報とを比較して、前記生体の位置の変化量を算出し、前記生体の位置の変化量が所定のしきい値以下の場合には、前記生体の位置情報以外の設定データを前記生体認証情報取得部に設定した状態で取得された生体認証情報を用いて個人認証を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、生体情報による個人認証に要する時間を短縮することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態の指静脈認証装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】第1実施形態の指静脈認証装置の説明図である。(a)は、指静脈認証装置の外観を示す平面図である。(b)は、指静脈認証装置の断面図である。
【図3】第1実施形態の指静脈認証装置の機能ブロック図である。
【図4】第1実施形態の指静脈認証装置における静脈パターンの登録手順のフローチャートである。
【図5】第1実施形態の指静脈認証装置における静脈パターンの認証手順のフローチャートである。
【図6】第2実施形態の指静脈認証装置のハードウェア構成を示す図である。
【図7】第2実施形態の指静脈認証装置の説明図である。(a)は、指静脈認証装置の外観を示す平面図である。(b)は、指静脈認証装置の断面図である。
【図8】第2実施形態の指静脈認証装置における静脈パターンの登録手順のフローチャートである。
【図9】第2実施形態の指静脈認証装置における静脈パターンの認証手順のフローチャートである。
【図10】第3実施形態の指静脈認証装置のハードウェア構成を示す図である。
【図11】第3実施形態の指静脈認証装置における静脈パターンの登録手順のフローチャートである。
【図12】第3実施形態の指静脈認証装置における静脈パターンの認証手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以降、本発明を実施するための形態(「本実施形態」という)を、図などを参照しながら詳細に説明する。また、本実施形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
なお、生体認証装置の一例として、指の静脈を用いた、指静脈認証装置について説明をする。
【0014】
<<第1実施形態>>
(概要)
指静脈認証装置10は、血管(血液)と他の組織との赤外光吸収率の差を利用して静脈パターンを撮像する。静脈パターンは、赤外光の吸収量が少ない部分や赤外光を透過する部分は白く(明るく)表現される。逆に、赤外光の吸収量が多い静脈部や赤外光が届きにくい指の周囲部は、赤外光の光量が少ないので黒く(暗く)撮像される。
これにより、指の輪郭と指内部の静脈を認識することができる。
【0015】
(ハードウェア構成)
図1は、第1実施形態の指静脈認証装置10のハードウェア構成を示す図である。
指静脈認証装置10(生体認証装置)は、入力装置10−1、プロセッサ11、撮像装置12、赤外光発光装置13(発光装置)、メモリ14(記憶装置)、外部I/F(InterFace)装置15、音声出力装置16、映像出力装置17、タッチセンサ装置20を有する。これらは、バスを介して相互に接続される(図示せず)。
【0016】
入力装置10−1は、例えば、カードリーダやテンキーなどであり、利用者から入力された情報をプロセッサ11に送信する。
プロセッサ11は、メモリ14に記憶されているプログラムを実行することによって各種処理を行う。
撮像装置12は、例えばCCD(Charge Coupled Devices)カメラであり、利用者の体(指などの生体)を撮像する。
赤外光発光装置13は、例えば赤外線LED(Light Emitting Diode)であり、静脈撮像のために指70(図2参照)へ光を照射する。
メモリ14は、プロセッサ11が実行するプログラムを記憶する。また、メモリ14は、照合用テンプレートを記憶する。
【0017】
外部I/F装置15は、通信回線を介してパーソナルコンピュータ(図示せず)などの外部機器と接続する。
音声出力装置16は、例えばエラー音や音声ガイドメッセージを発生させ、利用者や管理者に注意を促したり正しい操作へ誘導したりする。
映像出力装置17は、例えば液晶ディスプレイであり、エラーメッセージやガイドメッセージを表示して、利用者や管理者に注意を促したり正しい操作へ誘導したりする。
【0018】
タッチセンサ装置20は、指(生体)が指静脈認証装置10にどのように置かれたかを検出する(詳細後記)。
【0019】
(外観)
図2は、第1実施形態の指静脈認証装置10の説明図である。(a)は、指静脈認証装置10の外観を示す平面図である。(b)は、指静脈認証装置10の断面図である。
【0020】
指静脈認証装置10は、撮像装置12、赤外光発光装置13、タッチセンサ装置20、撮像窓61およびミラー62を有する。
撮像装置12は、利用者の体(指など)を撮像する。指静脈認証装置10は、血管(血液)と他の組織との赤外光吸収率の差を利用して静脈を撮像するため、赤外光域の分光感度が高いカメラを撮像装置12として使用するのが好ましい。
赤外光発光装置13は、例えば赤外線LEDであり、静脈撮像のために指70へ光を照射する。
【0021】
タッチセンサ装置20は、指(生体)が指静脈認証装置10にどのように置かれたかを表す位置情報を検出する。
タッチセンサ装置20として、どのような方式のセンサを使うかは、特に限定しない。本実施形態では、静電容量式のタッチセンサを例として、説明する。この静電容量式のタッチセンサは、指が接触することにより静電容量が変化することを利用して、指の有無を検出する。
指70が指静脈認証装置10に置かれると、指70がタッチセンサ装置20に接触し、静電容量が変化する。静電容量の変化により、タッチセンサ装置20は、指70が置かれたことを正確に検出することができる。
【0022】
図2に示す例では、タッチセンサ装置20を2箇所に設置する。1箇所は指先の裏に設置し、もう1箇所は指元の裏に設置する。
人間の指は個人差があるが、一般的に指はまっすぐである。指先のタッチセンサ装置20で指先の位置を検出し、指元のタッチセンサ装置20で指元の位置を検出すれば、指が置かれた位置を認識することができる。
【0023】
本実施形態では、指が置かれた位置を検出するのにタッチセンサを使用したが、これに限るものではない。別のセンサを使用したり、指の画像や輪郭、関節、静脈の位置などから、指が置かれた位置を検出したりしてもよい。
指を装置へ接触させずに指を撮像する非接触タイプの指静脈認証装置10においても、指の画像や輪郭、関節、静脈の位置などから、指が置かれた位置を検出することができる。
【0024】
撮像窓61は、指静脈認証装置10内部を保護し、指70から散乱した光を指静脈認証装置10内部へ取り入れる。撮像窓61には、指70から散乱した光の反射を防止し、赤外光を透過し可視光の透過を遮断するフィルタを設けるのが好ましい。
ミラー62は、撮像窓61から取り入れた光を、撮像装置12へと反射させる。
【0025】
(機能ブロック図)
図3は、第1実施形態の指静脈認証装置10の機能ブロック図である。
指静脈認証部30(認証部)は、プログラムに基づくソフトウェア的な構成であり、その機能として撮像設定制御部31、特徴抽出部32、テンプレート管理部33、テンプレート照合部34および位置情報検出部35を有する。
以降、「・・・部は」と主体を記した場合は、プロセッサ11が、メモリ14にプログラムをロードしたうえで、当該プログラムの機能を実現するものとする。
【0026】
撮像設定制御部31は、撮像装置12および赤外光発光装置13の設定を調整する(詳細後記)。
特徴抽出部32は、撮像装置12によって撮像された画像から、体の特徴(静脈パターンなど)を抽出する。
テンプレート管理部33は、撮像装置12によって撮像された画像がテンプレート作成に適するか否かの判定を行う。また、テンプレート管理部33は、特徴が抽出された静脈パターンと、撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定情報(詳細後記)とを、ユーザIDに対応づけて、照合用テンプレートとしてメモリ14または外部機器に記憶する。また、テンプレート管理部33は、メモリ14または外部機器から照合用テンプレートを読み出す。
テンプレート照合部34は、照合用テンプレートと認証用テンプレートとの照合を行い、照合結果から静脈パターンが一致する否かを判定する。
【0027】
なお、照合用テンプレートは基準となるテンプレートであり、繰り返し使用される。一方、認証用テンプレートは認証処理の都度作成されるテンプレートである。ちなみに、テンプレートとは、雛形もしくは基準になるものという意味であるが、本実施形態では、認証時に都度作成される認証用の情報も、認証用テンプレートと称する。
【0028】
位置情報検出部35は、タッチセンサ装置20の検出結果や撮像装置12によって撮像された画像から、位置情報を検出する。また、位置情報検出部35は、登録時の位置情報と認証時の位置情報が一致するか否かを判定する。そして、位置情報検出部35は、登録時の位置情報と認証時の位置情報との差異(変化量)を算出する。
【0029】
なお、位置情報は指によるものに限られない。指以外の生体の位置情報を検出し、当該位置情報を照合用テンプレートとして登録し、認証処理に使用することもできる。
【0030】
表1の上段は、後記する図4のフローチャートにおけるステップS411の照合用テンプレートのフォーマットである。
表1の中段は、上段の照合用テンプレートの変形例であり、位置情報および設定データを複数含む照合用テンプレートのフォーマットである。これは、1人の利用者が、複数の位置において設定データを登録する場合に用いられる。
表1の下段は、後記する図5のフローチャートにおけるステップS515の認証用テンプレートのフォーマットである。
【0031】
【表1】

【0032】
照合用テンプレートには、ユーザID(identifier)、特徴が抽出された静脈パターン、位置情報および設定データ(撮像装置12および赤外光発光装置13の設定情報)が含まれる。
ユーザIDとは、利用者を一意に特定する識別子である。特徴が抽出された静脈パターンとは、特徴抽出部32が、撮像装置12によって撮像された画像(生体認証情報)から、当該生体の特徴を抽出した情報である(詳細後記)。
位置情報とは、位置情報検出部35が、タッチセンサ装置20の検出結果や撮像装置12によって撮像された画像から、生体の位置を検出した結果である。
【0033】
設定データとは、撮像装置12および赤外光発光装置13の設定に関する情報(設定情報)である。撮像装置12の設定情報とは、例えば、露光時間、ズーム倍率、フォーカスなどの情報である。赤外光発光装置13の設定情報とは、例えば、輝度や波長などの情報である。なお、位置情報と設定データを合わせて、「設定データ」と呼ぶこともある。
【0034】
表1の中段に示すように、ユーザIDおよび特徴が抽出された静脈パターンの組み合わせ1つに対して、位置情報および設定データの組み合わせが複数含まれる場合は、認証時の位置情報と最も近似する位置情報に対応づけられた設定データが使用される(詳細後記)。
【0035】
ただし、照合用テンプレートとして記憶する情報は、これらに限定するものではない。
指静脈認証装置10では、情報漏洩対策として、情報を暗号化して管理している。この暗号化のアルゴリズムに関する情報を、照合用テンプレートとして記憶してもよい。
また、照合用テンプレートとして、認証に使用した回数を記憶しておき、当該回数が大きい照合用テンプレートを優先的に検索または使用してもよい。
【0036】
照合用テンプレートは、メモリ14などの記憶装置へ予め記憶される。また、指静脈認証装置10が、外部I/F装置15を介して外部機器と接続される場合は、照合用テンプレートを外部機器に記憶してもよい。
【0037】
認証用テンプレートは、後記する認証処理の都度作成され、メモリ14などの記憶装置へ一時的に記憶される。認証用テンプレートには、特徴が抽出された静脈パターンおよび位置情報が含まれる。ただし、認証用テンプレートとして記憶する情報は、これらに限定するものではない。認証用テンプレートを、次回以降の認証に使用する照合用テンプレートとして記憶するために、ユーザID、設定データ(撮像装置12および赤外光発光装置13の設定情報)、後記する外光値および時刻を含んでもよい。
【0038】
(登録処理)
基準となるテンプレートである照合用テンプレートの登録処理について、図1〜4を参照して説明する。
図4は、第1実施形態の指静脈認証装置10における静脈パターンの登録手順のフローチャートである。
【0039】
ステップS401において、利用者や管理者やタイマなどにより、指静脈認証装置10の電源がONになる。
そして、ステップS402に進む。
ステップS402において、指静脈認証部30は、入力装置10−1を介して利用者または管理者が入力した、登録を要求するユーザIDを受け付ける。ユーザIDは、予め採番しておいてもよいし、登録処理時に自動的に採番されてもよい。また、入力されたユーザIDを、音声出力装置16や映像出力装置17により出力して、利用者または管理者に再確認させてもよい。
そして、ステップS403に進む。
【0040】
ステップS403において、登録を要求する利用者が指静脈認証装置10に指70を挿入すると、赤外光発光装置13がONになり、指70に光を照射する。この光は指70内部で散乱する。指70から散乱した光は、撮像装置12へ入力される。静脈と他の組織は、赤外光吸収率が異なるので、散乱した光により静脈パターンを撮像できる。
そして、ステップS404に進む。
【0041】
ステップS404において、撮像装置12は、指を撮像し、画像を取得する。
そして、ステップS405に進む。
【0042】
ステップS405において、テンプレート管理部33は、ステップS404にて取得した画像において、静脈が撮像できているか否かを判定する。なお、静脈が撮像できているとは、認証に適した画像であるか否かを意味する。
なお、認証に適さない場合とは、例えば、下記の原因により、静脈が見えづらい場合をいう。
(1)光量が足りないため、画像が暗い。
(2)光量が強すぎて、画像が飛んでいる(白とび)。
(3)フォーカスが合っていない(ピンボケ)。
(4)フォーカスが合っていない(ピンボケ)。
(5)カメラの感度が合っていない。
【0043】
静脈が撮像できていない場合(ステップS405“No”)、ステップS406において、撮像設定制御部31は、撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定を調整する。撮像装置12の設定とは、例えば、露光時間、ズーム倍率、フォーカスなどである。赤外光発光装置13の設定とは、例えば、輝度や波長などである。
そして、ステップS404へ戻る。
【0044】
静脈が撮像できている場合(ステップS405“Yes”)、ステップS407において、テンプレート管理部33は、取得した画像が指であるか否かを判定する。
【0045】
取得した画像が指でない場合(ステップS407“No”)、ステップS408において、音声出力装置16や映像出力装置17は、利用者に対して再撮像を指示する。例えば、音声出力装置16はエラー音やエラーメッセージを発生させたり、映像出力装置17は、エラーメッセージやガイドメッセージを表示したりする。
そして、ステップS403へ戻る。
【0046】
取得した画像が指である場合(ステップS407“Yes”)、ステップS409において、位置情報検出部35は、当該画像やタッチセンサ装置20の検出結果から、位置情報を検出する。この時の検出結果を、登録時位置情報と呼ぶ。
そして、ステップS410に進む。
【0047】
ステップS410において、特徴抽出部32は、取得した画像から静脈パターンの特徴を抽出する。
そして、ステップS411に進む。
【0048】
ステップS411において、テンプレート管理部33は、特徴が抽出された静脈パターンとユーザIDとを対応づけて、照合用テンプレートとして、メモリ14または外部機器に記憶する。その際、テンプレート管理部33は、認証に適した指の静脈を撮像した時の撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定情報(設定データ)と、登録時位置情報とを、併せて記憶する。なお、ここで記憶される撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定情報を、登録時設定情報と呼ぶ。
そして、ステップS412に進む。
【0049】
ステップS412において、音声出力装置16および映像出力装置17は、登録完了メッセージを発行する。例えば、音声出力装置16は完了音や完了メッセージを発生させたり、映像出力装置17は完了メッセージを表示したりして、登録処理が完了したことを利用者に知らせる。
そして、指静脈認証装置10は、処理を終了する。
【0050】
(認証処理)
例えば、部屋への入室の可否の判断や、機器の使用の可否の判断の際に行われる認証処理について、図1〜3および図5を参照して説明する。
図5は、第1実施形態の指静脈認証装置10における静脈パターンの認証手順のフローチャートである。
【0051】
ステップS501において、利用者や管理者やタイマなどにより、指静脈認証装置10の電源がONになる。
そして、ステップS502に進む。
【0052】
ステップS502において、指静脈認証部30は、入力装置10−1を介して、認証を要求する利用者が入力した、ユーザIDを受け付ける。入力されたユーザIDが不正な場合、音声出力装置16および映像出力装置17により、指静脈認証部30は、利用者に再入力を指示してもよい。例えば、音声出力装置16はエラー音やエラーメッセージを発生させ、映像出力装置17は、エラーメッセージやガイドメッセージを表示する。
【0053】
なお、ユーザIDが不正であるとは、ユーザIDが正しくないこと、有効期限が切れていること、静脈パターンが登録されていないことなどを意味する。
入力されたユーザIDが正当である場合は、ステップS503に進む。
【0054】
ステップS503において、位置情報検出部35は、タッチセンサ装置20を介して、利用者の指の位置情報を検出する。なお、この時の位置情報を、認証時位置情報と呼ぶ。
そして、ステップS504に進む。
【0055】
ステップS504において、テンプレート管理部33は、ステップS502において入力を受け付けたユーザIDに対応づけられた照合用テンプレートを、メモリ14または外部機器から読み出す。そして、当該照合用テンプレートから設定データおよび位置情報を読み出す。
【0056】
表1の中段に示すように、ユーザIDおよび特徴が抽出された静脈パターンの組み合わせ1つに対して、位置情報および設定データの組み合わせが複数含まれる照合用テンプレートの場合は、認証時位置情報と最も近似する位置情報に対応づけられた設定データが使用される。すなわち、入力されたユーザIDを第1キーとして、認証時位置情報を第2キーとして、照合用テンプレートを検索する。そして、ユーザIDが一致する照合用テンプレートに含まれる、位置情報が最も近似する設定データを特定する。当該特定した設定データに従って、撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定を調整する。なお、位置情報が最も近似するとは、登録時位置情報と認証時位置情報との差異(変化量)が、最小となることを意味する。
そして、ステップS505に進む。
【0057】
ステップS505において、位置情報検出部35は、ステップS503において検出した認証時位置情報と、ステップS504において読み出した照合用テンプレートに含まれる登録時位置情報とを比較し、両者の差異(変化量)を算出する。
そして、ステップS506に進む。
【0058】
ステップS506において、位置情報検出部35は、ステップS505において算出した変化量が、しきい値以下であるか否かを判定する。
【0059】
変化量がしきい値以下でない場合(ステップS506“No”)、ステップS507において、撮像設定制御部31は、初期値に従って、撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定を調整する。
そして、ステップS509に進む。
【0060】
変化量がしきい値以下である場合(ステップS506“Yes”)、ステップS508において、撮像設定制御部31は、ステップS504にて読み出した設定データに従って、撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定を調整する。なお、設定データの読み出しに失敗した場合は、初期値に従って調整することもできる。
そして、ステップS509に進む。
【0061】
なお、認証が成功した際の認証時設定情報および認証時位置情報を照合用テンプレートとして記憶し、当該設定情報および位置情報を次回以降の認証時に使用してもよい。
【0062】
ステップS509において、赤外光発光装置13がONになり、指70に光を照射する。
そして、ステップS510に進む。
【0063】
ステップS510において、撮像装置12は指を撮像し、画像を取得する。
そして、ステップS511に進む。
【0064】
ステップS511において、テンプレート管理部33は、ステップS510にて取得した画像において、静脈が撮像できているか否かを判定する。なお、静脈が撮像できているとは、認証に適した画像であるか否かを意味する。
【0065】
静脈が撮像できていない場合(ステップS511“No”)、ステップS512において、撮像設定制御部31は、撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定を調整する。撮像装置12の設定とは、例えば、露光時間、ズーム倍率、フォーカスなどである。赤外光発光装置13の設定とは、例えば、輝度や波長などである。
そして、ステップS510へ戻る。
ちなみに、本実施形態では、ステップS504とステップS508の処理により撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定を調整しているので、背景技術で説明したような問題、つまり、ステップS511で“No”となることを確実に少なくすることができる。
【0066】
静脈が撮像できている場合(ステップS511“Yes”)、ステップS513において、テンプレート管理部33は、撮像された画像が指であるか否かを判定する。
撮像された画像が指でない場合(ステップS513“No”)、ステップS514において、音声出力装置16や映像出力装置17は、利用者に対して再撮像を指示する。例えば、音声出力装置16はエラー音やエラーメッセージを発生させたり、映像出力装置17は、エラーメッセージやガイドメッセージを表示したりする。
そして、ステップS509へ戻る。
【0067】
撮像された画像が指である場合(ステップS513“Yes”)、ステップS515において、特徴抽出部32は、静脈パターンの特徴を抽出する。そして、特徴抽出部32は、特徴が抽出された静脈パターンを認証用テンプレートとして、メモリ14に一時的に記憶する。
そして、ステップS516に進む。
【0068】
ステップS516において、テンプレート照合部34は、照合用テンプレートと認証用テンプレートとの照合を行う。
なお、指静脈認証装置10が、外部I/F装置15を介して外部機器と接続される場合は、認証用テンプレートの記憶および照合処理を、外部機器上で行ってもよい。
そして、ステップS517に進む。
【0069】
ステップS517において、テンプレート照合部34は、照合結果から静脈パターンが一致するか否かを判定する。
【0070】
静脈パターンが一致しない場合(ステップS517“No”)、ステップS518において、音声出力装置16や映像出力装置17は、認証失敗メッセージを発行する。例えば、音声出力装置16はエラー音やエラーメッセージを発生させたり、映像出力装置17は、エラーメッセージやガイドメッセージを表示したりして、認証が失敗したことを利用者に知らせる。
そして、指静脈認証装置10は、処理を終了する。
【0071】
静脈パターンが一致する場合(ステップS517“Yes”)、ステップS519において、音声出力装置16や映像出力装置17は、認証完了メッセージを発行する。例えば、音声出力装置16は完了音や完了メッセージを発生させたり、映像出力装置17は完了メッセージを表示したりして、認証が完了したことを利用者に知らせる。
そして、指静脈認証装置10は、処理を終了する。
【0072】
(実施形態の効果など)
第1実施形態では、ユーザIDおよび位置情報をキーとして照合用テンプレートを検索し、特定された設定データに従って、撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定を調整することで、撮像設定のフィードバックの処理回数を低減することができる。つまり、ステップS511で“No”になる可能性を低減することができる。
【0073】
<<第2実施形態>>
(概要)
第2実施形態の指静脈認証装置10は、第1実施形態の指静脈認証装置10に、更に、外光センサ装置18を有する。第2実施形態の指静脈認証装置10は、照合用テンプレートとして更に、外光値を記憶する。なお、外光値と設定データを合わせて、「設定データ」と呼ぶこともある。
外光の影響により、登録時と認証時の設定情報が変わることがある。そこで、指静脈認証装置10は、外光値に基づいて、撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定を調整する。
【0074】
第2実施形態の指静脈認証装置10について説明する。なお、第1実施形態の指静脈認証装置10と共通する要素については、説明を適宜省略する。
【0075】
(構成)
前述の図3は、第1実施形態の指静脈認証装置10の機能ブロック図である。第2実施形態の指静脈認証装置10についても、図3を参照して説明する。
第2実施形態の指静脈認証装置10のテンプレート管理部33は、照合用テンプレートとして更に、外光値を記憶し、照合用テンプレートから更に、外光値を読み出す機能を有する。
【0076】
図6は、第2実施形態の指静脈認証装置10のハードウェア構成を示す図である。
図7は、第2実施形態の指静脈認証装置10の説明図である。(a)は、指静脈認証装置10の外観を示す平面図である。(b)は、指静脈認証装置10の断面図である。
図6および図7に示すように、第2実施形態の指静脈認証装置10は、第1実施形態の指静脈認証装置10の構成に更に、外光センサ装置18を有する。
【0077】
外光センサ装置18は、外光を検出する。外光センサ装置18が外光を検出した結果を、外光値と呼ぶ。
外光センサ装置18は、どのような方式のセンサであるかは、特に限定しない。また、外光センサ装置18の設置位置も、特に限定しない。撮像装置12に照射される外光を検出するため、外光センサ装置18を撮像装置12の近くに設置することが好ましい。
【0078】
(登録処理)
照合用テンプレートの登録処理について、図3および図6〜8を参照して説明する。
図8は、第2実施形態の指静脈認証装置10における静脈パターンの登録手順のフローチャートである。
図8は、第1実施形態の指静脈認証装置10における静脈パターンの登録手順のフローチャート(図4)と、下記の2点で異なる。
(1)外光を検出する処理(ステップS801)が追加されている。
(2)照合用テンプレートとして設定データを記憶する(図4のステップS411に相当)際、登録時外光値を併せて記憶する(ステップS802)。
【0079】
第1実施形態の指静脈認証装置10における静脈パターンの登録手順と異なるステップについて、詳細に説明する。
ステップS801において、外光センサ装置18は、外光を検出する。この時の検出結果を、登録時外光値と呼ぶ。
ステップS802において、テンプレート管理部33は、特徴が抽出された静脈パターンとユーザIDとを対応づけて、照合用テンプレートとして、メモリ14に記憶する。
その際、テンプレート管理部33は、認証に適した指の静脈パターンを撮像した時の撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定情報と、登録時位置情報と、登録時外光値とを、併せて記憶する。
【0080】
(認証処理)
認証処理について、図3、図6、図9を参照して説明する。
図9は、第2実施形態の指静脈認証装置10における静脈パターンの認証手順のフローチャートである。
図9は、第1実施形態の指静脈認証装置10における静脈パターンの認証手順のフローチャート(図5)と、下記の3点で異なる。
(1)外光を検出する処理(ステップS901)が追加されている。
(2)照合用テンプレートとして記憶された設定データを読み出す(図5のステップ504に相当)際、登録時外光値も併せて読み出す(ステップS902)。
(3)登録時外光値と認証時外光値とが一致するか否かを判定する処理(ステップS903)が追加されている。
【0081】
第1実施形態の指静脈認証装置10における認証手順と異なるステップについて、詳細に説明する。
ステップS901において、入力されたユーザIDが正当な場合、外光センサ装置18は、外光を検出する。この時の検出結果を、認証時外光値と呼ぶ。
ステップS902において、テンプレート管理部33は、ステップS504(図5参照)の処理と同様に読み出した照合用テンプレートから、設定データと位置情報と登録時外光値とを読み出す。
【0082】
ステップS903において、撮像設定制御部31は、登録時外光値と認証時外光値が一致するか否かを判定する。
一致する場合(ステップS903“Yes“)、ステップS508において、撮像設定制御部31は、ステップS902にて読み出した設定データに従って、撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定を調整する。なお、設定データの読み出しに失敗した場合は、初期値にて処理を進めることもできる。
一致しない場合(ステップS903“No“)、ステップS507に進む。また、登録時外光値と認証時外光値との差分に基づいて、登録時設定情報(設定データ)を補正し、補正後の設定情報に従って、撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定を調整してもよい。
【0083】
なお、第1実施形態と同様に、認証時設定情報と認証時外光値とを照合用テンプレートとして記憶し、当該設定情報および当該外光値を次回以降の認証時に使用してもよい。
また、照合用テンプレートを検索する際、検索キーとして更に、認証時外光値を使用してもよい。そして、検索された照合用テンプレートに記憶された設定データを使用してもよい
【0084】
(実施形態の効果など)
第2実施形態では、登録時外光値と認証時外光値を比較し、一致する場合は登録時設定情報に従って、撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定を調整することで、撮像設定のフィードバックの処理回数を低減することができる。
また、登録時外光値と認証時外光値との差分に基づいて、登録時設定情報を補正し、補正後の設定情報に従って、撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定を調整することで、撮像設定のフィードバックの処理回数を低減することができる。
【0085】
<<第3実施形態>>
(概要)
第3実施形態の指静脈認証装置10は、第1実施形態の指静脈認証装置10に、更に、時計装置19を有する。第3実施形態の指静脈認証装置10は、照合用テンプレートとして更に、静脈パターン登録時の時刻を記憶する。なお、時刻と設定データを合わせて、「設定データ」と呼ぶこともある。
指は、時刻により、血流量が変わることがある。その影響により、登録時と認証時の設定情報を変えることがある。そこで、指静脈認証装置10は、照合用テンプレートとして登録時刻を記憶しておき、認証時は、認証時刻に最も近い時刻に登録されたテンプレートの設定データに従って、撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定を調整する。
【0086】
第3実施形態の指静脈認証装置10について説明する。なお、第1実施形態の指静脈認証装置10と共通する要素については、説明を適宜省略する。
【0087】
(構成)
前述の図3は、第1実施形態の指静脈認証装置10の機能ブロック図である。第3実施形態の指静脈認証装置10についても、図3を参照して説明する。
第3実施形態の指静脈認証装置10のテンプレート管理部33は、照合用テンプレートとして更に、登録時刻を記憶し、照合用テンプレートから更に、登録時刻を読み出す機能を有する。
【0088】
図10は、第3実施形態の指静脈認証装置10のハードウェア構成を示す図である。
図10に示すように、第3実施形態の指静脈認証装置10は、第1実施形態の指静脈認証装置10の構成に、更に、時計装置19を有する。
【0089】
時計装置19は、時刻を検出する。
【0090】
(登録処理)
照合用テンプレートの登録処理について、図3、図10、図11を参照して説明する。
図11は、第3実施形態の指静脈認証装置10における静脈パターンの登録手順のフローチャートである。
図11は、第1実施形態の指静脈認証装置10における静脈パターンの登録手順のフローチャート(図4)と、下記の2点で異なる。
(1)時刻を検出する処理(ステップS1101)が追加されている。
(2)照合用テンプレートとして設定データを記憶する(図4のステップS411に相当)際、登録時刻を併せて記憶する(ステップS1102)。
【0091】
第1実施形態の指静脈認証装置10における静脈パターンの登録手順と異なるステップについて、詳細に説明する。
ステップS1101において、時計装置19は、時刻を検出する。この時の検出結果を、登録時刻と呼ぶ。また、時計装置19は、日付や曜日を併せて検出してもよい。
ステップS1102において、テンプレート管理部33は、特徴が抽出された静脈パターンとユーザIDとを対応づけて、照合用テンプレートとして、メモリ14または外部機器に記憶する。
その際、テンプレート管理部33は、認証に適した指の静脈パターンを撮像した時の撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定情報と、登録時刻とを、併せて記憶する。照合用テンプレートには、日付や曜日を記憶しておいてもよい。
時刻を変えて登録処理を複数回行い、複数の照合用テンプレートを記憶しておく。
【0092】
(認証処理)
認証処理について、図3、図10、図12を参照して説明する。
図12は、第3実施形態の指静脈認証装置10における静脈パターンの認証手順のフローチャートである。
図12は、第1実施形態の指静脈認証装置10における静脈パターンの認証手順のフローチャート(図5)と、下記の2点で異なる。
(1)時刻を検出する処理(ステップS1201)が追加されている。
(2)照合用テンプレートを検索する際、検索キーとして更に認証時刻を使用して、最も近い登録時刻が記憶されている照合用テンプレートを読み出す処理(ステップS1202)が追加されている。
【0093】
第1実施形態の指静脈認証装置10における認証手順と異なるステップについて、詳細に説明する。
ステップS1201において、入力されたユーザIDが正当な場合、時計装置19は、時刻を検出する。この時の検出結果を、認証時刻と呼ぶ。また、時計装置19は、日付や曜日を併せて検出してもよい。
【0094】
ステップS1202において、テンプレート管理部33は、ステップS504(図5参照)の処理と同様に、照合用テンプレートを検索する。なお、この際、検索キーとして更に、認証時刻を使用する。そして、検索された照合用テンプレートに記憶された設定データおよび位置情報を読み出す。
【0095】
なお、第1実施形態と同様に、認証時設定情報と認証時刻とを照合用テンプレートとして記憶し、当該設定情報および当該時刻を次回以降の認証時に使用してもよい。
【0096】
(実施形態の効果など)
第3実施形態では、登録時刻と認証時刻を比較し、両者が最も近い照合用テンプレートを使用して認証を行うことで、撮像設定のフィードバックの処理回数を低減することができる。
【0097】
<<まとめ>>
照合用テンプレートとして記憶する情報ごとに、各実施形態として説明をしたが、テンプレートとして記憶する情報は1つに限られない。テンプレートに記憶する情報は、複数でもよい。また、組み合わせも限定するものではない。例えば、外光値と時刻とを、テンプレートとして記憶してもよい。
【0098】
また、照合用テンプレートに、暗号化のアルゴリズムに関する情報を記憶することで、復号処理を迅速に行うこともできる。特徴量抽出のアルゴリズムに関する情報を記憶することで、異なるアルゴリズムで認証用テンプレートを作成してしまうという事態を排除できる。
また、照合用テンプレートとして、認証に使用した回数を記憶しておき、当該回数が大きい照合用テンプレートを優先的に検索または使用してもよい。照合用テンプレートを記憶する領域が不足した場合などは、認証に使用した回数が小さい照合用テンプレートを削除して、資源を有効活用することができる。
【0099】
また、設定情報が複数記憶されている場合は、これらの平均値を算出し、当該平均値に従って、撮像装置12および/または赤外光発光装置13の設定を調整してもよい。
【0100】
このように、複数の情報を照合用テンプレートとして記憶したり、優先的に検索または使用する照合用テンプレートを特定したり、記憶装置に記憶しておく照合用テンプレートの数を減らしたりすることにより、更に、撮像設定のフィードバックの処理回数を低減し、精度の高い認証を行うことができる。
【0101】
以上、生体認証装置の例として、指の静脈を用いた指静脈認証装置について説明をしたが、本発明は前記した実施形態に限定して解釈されるものではない。例えば、手のひらの静脈を用いた生体認証装置にも当然に適用可能である。また、静脈に限らず、指紋や虹彩などの身体的特徴や、まばたきなどの行動的特徴を用いた生体認証による個人認証にも、適用可能である。
【符号の説明】
【0102】
10 指静脈認証装置(生体認証装置)
10−1 入力装置
11 プロセッサ
12 撮像装置(撮像部、生体認証情報取得部)
13 赤外光発光装置(発光部、生体認証情報取得部)
14 メモリ(記憶装置)
15 外部I/F装置
16 音声出力装置
17 映像出力装置
18 外光センサ装置(外光検出部、生体認証情報取得部)
19 時計装置(時刻検出部)
20 タッチセンサ装置(生体認証情報取得部)
30 指静脈認証部(認証部)
31 撮像設定制御部
32 特徴抽出部
33 テンプレート管理部
34 テンプレート照合部
35 位置情報検出部
61 撮像窓
62 ミラー
70 指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体認証用の生体認証情報を認証の対象となる対象者の体から取得し、前記体の位置を検出する生体認証情報取得部と、
前記取得した生体認証情報と照合する照合用の情報を、前記対象者を個々に識別する個人識別情報に対応付けて複数人分記憶している記憶部と、
前記個人識別情報を入力する入力部と、
前記入力部を介して入力される個人識別情報に対応する照合用の情報と、前記生体認証情報取得部により取得された生体認証情報とを照合して個人認証を行う認証部とを有する生体認証装置であって、
前記照合用の情報を作成する際に使用した機器の使用条件および前記対象者の体に関する情報の少なくとも一つを設定データとして、前記個人識別情報又は前記照合用の情報に対応付けて記憶している設定データ記憶部と、
前記認証時に入力される個人識別情報または当該個人識別情報により特定される前記照合用の情報に基づいて前記設定データを読み出し、当該読み出した設定情報の少なくとも一部を前記生体認証情報取得部に設定して前記生体認証情報を取得させる設定部と
をさらに有し、
前記認証部は、前記生体認証情報取得部より取得された生体認証情報から生体の位置情報を取得する位置情報検出部を有し、
前記設定データ記憶部は、前記設定データの1つとして、前記照合用の情報を取得したときにおける前記生体の位置情報を有し、
前記認証部は、前記照合用の情報を取得したときにおける前記生体の位置情報と、認証時における前記生体の位置情報とを比較して、前記生体の位置の変化量を算出し、前記生体の位置の変化量が所定のしきい値以下の場合には、前記生体の位置情報以外の設定データを前記生体認証情報取得部に設定した状態で取得された生体認証情報を用いて個人認証を行うこと
を特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
前記設定データ記憶部は、前記設定データとして、同じ対象者に対して複数の生体の位置情報と、前記複数の生体の位置情報のそれぞれに対応する前記生体の位置情報以外の設定データとを有し、
前記設定部は、前記生体の位置情報の変化量が最も小さくなるような生体の位置情報に対応する設定データを前記生体認証情報取得部に設定して前記生体認証情報を取得させ、
前記認証部は、前記生体の位置情報の変化量が最も小さくなるような生体の位置情報に対応する設定データを前記生体認証情報取得部に設定した状態で取得された生体認証情報を用いて個人認証を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項3】
前記生体認証情報取得部は、タッチセンサ部を含んで構成され、
前記位置情報検出部は、前記タッチセンサ部の検出結果から前記生体の位置情報を取得すること
を特徴とする請求項1または2に記載の生体認証装置。
【請求項4】
前記生体認証情報取得部は、撮像部を含んで構成され、
前記設定データは前記撮像部の撮像条件を設定するデータを含むこと
を特徴とする請求項1から3の何れかに記載の生体認証装置。
【請求項5】
前記生体認証情報取得部は、発光部を含んで構成され、
前記設定データは前記発光部の発光条件を設定するデータを含むこと
を特徴とする請求項1から4の何れかに記載の生体認証装置。
【請求項6】
前記生体認証情報取得部は、外光検出部を含んで構成され、
前記設定データは前記外光検出部が検出した外光値を含むデータであること
を特徴とする請求項1から5の何れかに記載の生体認証装置。
【請求項7】
前記生体認証情報取得部は、時間検出部を含んで構成され、
前記設定データは前記時間検出部が検出した時刻を含むデータであること
を特徴とする請求項1から6の何れかに記載の生体認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−73905(P2012−73905A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219463(P2010−219463)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】