説明

生分解性ポリエステル、及びその調製方法

【課題】外観品質が向上し、耐熱性能及び力学的特性が優れた生分解性ポリエステルを提供する。
【解決手段】本発明の生分解性脂肪族/芳香族ポリエステルの物性は、数平均分子量6000〜135000g/mol、分子量分布1.2〜6.5、結晶温度範囲15℃〜105℃である。この生分解性ポリエステルは、膜材料、シート材料、発泡材料に加工することができ、加工中におけるローラー粘着の特徴が著しく改善され、且つ外観品質が向上する。また、この生分解性ポリエステルは、耐熱性能が改善され、例えば射出成形加工工程等、長循環周期を持つ加工工程に応用することもできる。さらに、この生分解性ポリエステルは、優れた力学的性能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生分解性ポリエステル及びその調製方法に関し、生分解性コポリエステル製品技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
生分解性ポリマーは、適切な環境条件下で一定の期間経過後、二酸化炭素及び水に分解されるポリマー材料の一種である。この分解過程は、通常は2つの過程に分けられ、まず大分子が加水分解、光/酸素分解すると、分子量は小さくなり、その後さらに微生物によって消費される。この種の微生物は細菌、真菌、酵母菌、藻類等である可能性がある。
国際規格ISO14855において規定される生分解性能試験方法は、プラスチック材料を対象に生分解性能試験を行なう方法の中でかなり権威ある検査、測定方法である。各国または地域は、試験条件及び結果を踏まえて、それぞれの分解性プラスチック試験及び検査基準を定義する。例えば、欧州連合の制定したEN13432試験基準、米国のASTM D6400、中国のGB/T 19277等が挙げられる。
【0003】
例えばポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート・ポリヒドロバリレートの共重合体(PHBV)等、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、30年以上の歴史がある。PCLを除く上記物質は、生合成によって得られ、生分解性能(M. Kunioka et al, Appl. Microbiol. Biotechnol., 30, 569, 1989)を有する。また、脂肪二塩基酸(又はエステル)とジオールの縮合重合によって得られるポリエステルも生分解性を有する(J. M. Sharpley et al, 編著、「アプライド・サイエンス」、1976,p.775)ことが報告された。完全に脂肪族ジオール及び二塩基酸によって得られるポリエステル材料は、融点及びガラス転移点が低く、応用には欠陥がある。
【0004】
例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等、芳香族ポリエステルは、用途が非常に広いプラスチック材料であるが、この種の材料は生分解性(Kirt-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, Suppl. Vol., Wiley-Interscience, New York, 1984, p.626-668)を持たない。1980年代初頭には、Y.Tokia及びT.Suzukiの文献(Nature,270,76-78,1977。Journal of Applied Polymer Science,26,441-448,1981)により、「コハク酸及び脂肪族ジオールの縮合重合によって得られる脂肪族ポリエステルは酵素分解が可能であり、例えばPBT、PET等、芳香族二塩基酸及び脂肪族ジオールによって形成されるポリエステルは、酵素製剤によって分解されない。また、PCL及びPBTに由来するブロックコポリエステルは酵素分解を発生させることが可能である。」ことが報告された。
【0005】
特許WO92/13019(特許文献1)において、芳香族二塩基酸及び脂肪族ジオールによって形成されたポリエステル共重合体は生分解性という特徴を有することが提起された。このコポリエステルの構造上、ポリエステルの中で少なくとも85%モル比のジオール断片に1個のp-フタル酸断片を含有することが要求される。材料の親水性を向上させ、結晶を低減する目的で、当該特許は、共重合構造に2.5%モル比の5-スルホイソフタル酸ジメチルの金属塩又は鎖切断エーテル含有構造のジオールユニットを取り入れることを提起している。だが、当該特許には、当該材料の微生分解性結果がなく、熱湯試験だけを行なっており、材料の力学的性能も理想的でない。
【0006】
特許US5292783(特許文献2)及びUS5446079(特許文献3)は、脂肪二塩基酸及び芳香二塩基酸より、重複ユニットとして、縮合重合後、ブロック及び線形ランダムのコポリエステルが得られ、この種の材料は生分解性能を有することを開示している。ここで、ジカルボン酸の組み合わせは比率5〜65%モル比の脂肪二塩基酸及び比率35〜95%モル比の芳香族二塩基酸からなり、ジオールは脂肪族ジオールである。しかし、この種の材料は、溶融粘度及び溶融強度が比較的低いため、押し出し成形加工分野に応用することはできない。例えば、この種の材料を用いて吹き付け膜、発泡、キャスティングするときの難度はかなり高い。
【0007】
特許US5661193(特許文献4)は、分岐、ランダム構造を持つ脂肪酸-芳香酸コポリエステルを開示し、生分解性を有し、発泡材料の製造に用いる。この種のポリエステルの組成30〜95%モル比の脂肪族二塩基酸縮合重合ユニット、5〜70%モル比の芳香族二塩基酸縮合重合ユニット、縮合重合ユニット中のジオールユニットは脂肪族ジオール縮合重合ユニットである。分岐剤含有量は重合用二塩基酸重量部の0.01〜10%であり、特許において開示されている分岐剤は、マルチカルボキシル基の脂肪族酸及び(又は)その無水物、マルチカルボキシル基の芳香族酸及び(又は)その無水物、マルチヒドロキシの脂肪族アルコール及びヒドロキシイソシアヌレートである。
【0008】
特許EP−A565235(特許文献5)において、カルバミン酸基構成ユニット(-NH-C(O)O-)を含有する脂肪族コポリエステルが提起された。当該コポリエステルの基本組成ユニットは、コハク酸及び脂肪族ジオールであり、生分解性能を有する。単純な脂肪族酸、アルコール縮合重合により分子量が低い欠陥を修正するため、反応中にジイソシアネート反応セルを取り入れた。だが、ジイソシアネート反応セルは反応中にゲル点が生成しやすく、反応管理難度がかなり高く、ゲルの出現によって材料の使用性能が低下する恐れがある。
【0009】
特許US6018004(特許文献6)において開示された幾種のポリエステル材料は、同様に生分解性能を有する。この生分解性ポリエステルの中で二塩基酸の縮合重合ユニットは35〜95%モル比の脂肪族二塩基酸縮合重合ユニット、5〜65%モル比のo-フタル酸縮合重合ユニット及び0-5%モル比のスルホン酸塩からなり、またジオールの縮合重合ユニットはアルキルジオール及び環を有するアルキルジオールである。前記ポリエステルの組成は、下記構造と、別の生分解性能を持っているコポリエステルを形成することが可能である。この構造は、0.01〜5%モル比(二塩基酸縮合重合ユニット全モル数100)で含有する三官能基以上のヒドロキシ基及びカルボキシル基を含有する化学物質であり、この発明は、芳香族多元酸、脂肪族多元酸、脂肪族多価アルコール、芳香族ヒドロキシ酸等を含め、この種の物質の具体的特定を行なっている。また、この構造は0.1〜5%重量部のジイソシアネート系化学物質でも可とし、この発明は、芳香族ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートを含め、この種の物質の具体的特定も行なっている。
【0010】
特許US6120895(特許文献7)において開示されたポリエステル材料は、生分解性能を有する。この種のポリエステル材料は、20〜95%モル比の脂肪族二塩基酸(又はそのエステル化物)、5〜80%モル比の芳香族二塩基酸(又はそのエステル化物)及び二元ヒドロキシ、アミノアルコール系化学物質からなる95〜99.9%モル比のA及び単一のクラスタ又は複数クラスタイソシアヌレート系イソシアネート化学物質からなる0.01〜5%モル比のBの2部分から構成されている。調製方法は、ポリエステル縮合重合反応及び固化反応特徴を併せ持っている。A組成物に使用されるジオールは脂肪族ジオール又はポリエーテルジオールである。イソシアヌレートを導入することで材料の耐温性能を高めることができるが、当該発明において特定されたイソシアヌレートによって、反応管理難度は高く、ゲル点もかなり多い。
【0011】
現時点で、生分解性ポリエステル樹脂材料は調製要求事項、特に膜材料の性能及び生産要求事項を満たすことができない。脂肪族ポリエステルは、合成過程中に鎖延長又は分岐処理を施したとしても、融点が低く、耐熱性が不充分で、加工工程においても粘着ローラーの欠陥も存在している。ジイソシアネート鎖延長処理が施された線形脂肪族/芳香族コポリエステルは、鎖延長処理が施されていないポリエステル材料より膜材料の加工が容易である。しかし、特に循環周期が長くなった場合、形成されたゲル微粒子は膜材料の加工工程に妨害を発生させ、しかも力学的性能がかなり低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第1992/13019号
【特許文献2】米国特許5292783号公報
【特許文献3】米国特許5446079号公報
【特許文献4】米国特許5661193号公報
【特許文献5】欧州特許A565235号公報
【特許文献6】米国特許6018004号公報
【特許文献7】米国特許6120895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、先行技術の欠点を克服し、外観品質が向上し、耐熱性能及び力学的性能が優れた生分解性脂肪族/芳香族ポリエステルを提供することを目的とする。本発明の生分解性ポリエステルは、膜材料を調製する材料とすることができ、粘着ローラーの特徴が著しく改善され、応用範囲も広い。
本発明のもう一つの目的は、この生分解性ポリエステルの調製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は以下の解決手段により前記目的を実現する。
【0015】
94〜100モル%の組成物A及び0〜6モル%の組成物Bからなる生分解性ポリエステルの物性は、組成物A及び組成物Bの数平均分子量6000〜135000g/mol、固有粘度0.6〜1.8 dL/g(溶解物は質量比7:3のフェノール-四塩化炭素混合系であり、ポリエステル溶解度0.01g/mL)、分子量分布1.2〜6.5、結晶温度範囲15℃〜105℃である。
【0016】
組成物Aは、組成物A1と組成物A2とのモル比0.35〜1.6:1の組成物である。
【0017】
組成物A1は、20〜100モル%の組成物A11及び0〜80モル%の組成物A12からなる。
【0018】
組成物A11は、脂肪族二塩基酸、環状脂肪族二塩基酸、脂肪族二塩基酸のエステル誘導体又は環状脂肪族二塩基酸のエステル誘導体中のいずれか1種又は2種以上の混合物であり、又は2種以上の鎖長が異なる脂肪族ジカルボン酸及び/又は環状脂肪族二塩基酸又はそのエステル化物組成の混合物である。
【0019】
脂肪族二塩基酸、環状脂肪族二塩基酸は、特に、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘンデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、1,1シクロブタンジカルボン酸、1,1-シクロヘキサン二酢酸、1,4-シクロヘキサン二酢酸、シクロヘキセン-1,2ジカルボン酸無水物、ノルボルナン2,3-ジカルボン酸又はアダマンタン二酢酸等、下記二塩基酸又はそのエステル化物中の1種又は2種以上の混合物から選んだ炭素原子数C4〜C18の脂肪族二塩基酸、環状脂肪族二塩基酸であることが好ましい。
【0020】
組成物A12は、芳香族二塩基酸又は芳香族二塩基酸エステル化物中のいずれか1種又は2種以上の混合物であり、また2種以上の鎖長が異なる芳香族二塩基酸又はそのエステル化物からなる混合物でもよい。
芳香族二塩基酸又は芳香族二塩基酸エステル化物は、特に、p-フタル酸、o-フタル酸、m-フタル酸、p-フェニレン二酢酸、o-フェニレン二酢酸等、下記二塩基酸又はそのエステル化物中の1種又は2種以上の混合物から選んだ炭素原子数C4〜C18の二塩基酸又はそのエステル化物であることが好ましい。
【0021】
組成物A2は80〜99.9モル%又は100モル%の組成物A21、及び0.1〜20モル%又は0モル%組成物A22からなる。
【0022】
組成物A21は、炭素原子数C2〜C8の脂肪族ジオール、炭素原子数C5〜C16の環状脂肪族ジオール、多環式脂肪族ジオール、脂肪族ポリエーテルジオール、ヒドロキシ脂肪酸中の少なくとも1種からなる。また、炭素鎖長が異なる脂肪族ジオール、環状脂肪族ジオール、脂肪族ポリエーテルジオール、ヒドロキシ脂肪酸中の少なくとも1種からなることもできる。
【0023】
脂肪族ジオールは、特に、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-tert-ブチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール等、前記ジオールの1種又は2種以上の混合物から選んだ炭素原子数C2〜C8の脂肪族ジオールであることが好ましい。
環状脂肪族ジオールは、特に、1,3-シクロペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、イソソルビド等、前記ジオールの1種又は2種以上の混合物から選んだ炭素原子数C5〜C16の環状脂肪族ジオール又は多環式脂肪族ジオールであることが好ましい。
【0024】
脂肪族ポリエーテルジオールの分子量範囲は25-12000g/mol、好適な分子量範囲は500〜4500g/molであり、脂肪族ポリエーテルジオールは、エチレンオキシドの二量体、エチレンオキシドの三量体、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン、エチレンオキシド-プロピレンオキシド共量体等、前記ポリエーテルジオールの1種又は多種の混合物が好ましい。
【0025】
ヒドロキシ脂肪酸は、特に、グリコール酸、α-ヒドロキシプロピオン酸、β-リンゴ酸、β-ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシコハク酸、5-ヒドロキシ吉草酸、3-ヒドロキシカプロン酸、5-ヒドロキシカプロン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、7-ヒドロキシエナント酸、3,5-ジヒドロキシエナント酸、ヒドロキシカプリル酸、5-ヒドロキシカプリン酸、5-ヒドロキシドデカン酸、9,10,16-トリヒドロキシヘキサデシル酸、3,4-ジヒドロキシ桂皮酸、p-ヒドロキシ桂皮酸、アガリン酸又はそれらのポリマー等、前記ヒドロキシ有機酸中の1種又は2種以上の混合物から選んだ炭素原子数C4〜C18のヒドロキシ有機酸であることが好ましい。
【0026】
組成物A22は、芳香環含有ジオール、芳香環含有ポリエーテルジオール又は炭素原子数C8〜C18の芳香環含有ヒドロキシ有機酸中の少なくとも1種からなる。また、炭素鎖長が異なる芳香環含有ジオール、芳香環含有ポリエーテルジオール、芳香環含有ヒドロキシ脂肪酸中の少なくとも1種からなることもできる。芳香環含有ジオール及び芳香環含有ポリエーテルジオールは、いずれも化学式1に示す分子構造を持っている。
化学式1中、R1は、−H、−CH3又は−C25、R2は−H、−CH3又は−C25である。a、bは、いずれもa+b=2〜30の条件を満たす任意の正数から選んだものである。
【化1】

【0027】
ジオール又はポリエーテルジオールは、ビスフェノールAを出発反応物とすることができ、触媒でエポキシアルカンエーテル化により得られる。
【0028】
組成物A22のポリエーテルジオールは、エチレンオキシドの二量体、エチレンオキシドの三量体、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン、エチレンオキシド-プロピレンオキシド共量体等、前記ポリエーテルジオールの1種又は2種以上の混合物から選んだものが好ましい。脂肪族ポリエーテルジオールの分子量範囲は25〜12000g/molであり、分子量範囲500〜4500g/molが好ましい。
芳香環含有ヒドロキシ有機酸は、特に、o-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシフタル酸メチルエステル又はその誘導体、4-ヒドロキシ無水フタル酸又は前記有機酸のポリマー、前記ヒドロキシ有機酸の1種又は2種以上の混合物から選んだ炭素原子数C8〜C18の芳香環含有ヒドロキシ有機酸であることが好ましい。
【0029】
組成物Bは、組成物B1、組成物B2、組成物B3中のいずれか1種又は任意の質量比の2種以上の混合物からなる。
【0030】
組成物B1は、脂肪族又は芳香族の多価アルコール、脂肪族又は芳香族の多元酸中のいずれか1種又は2種以上の混合物である。混合物は、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、グルコース、グルコシド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ポリエーテルトリオール、ポリエーテル四元アルコール、ピロメリット酸、ピロメリット酸二無水物、トリメシン酸、ベンゼントリカルボン酸(1, 2, 4-ベンゼントリカルボン酸)、酒石酸、クエン酸、クエン酸無水物又は前記化合物のエステル誘導体等、前記物質における任意の2種以上の混合物が好ましい。ポリエーテルトリオールは、グリセリン、トリメチロールプロパン又はその他のトリオールを出発物として、触媒の作用で、エポキシアルカンエーテル化により得られ、得られたポリエーテルトリオールの分子量範囲は200〜12500g/molであり、分子量範囲400〜3500g/molが好ましい。
【0031】
本発明において組成物B1を構成する脂肪族ポリエーテル多価アルコールは、ポリエーテル四元アルコールが好ましい。このポリエーテル四元アルコールは化学式2に示す分子構造を持っている。
化学式2中、R3、R4、R5、R6は、同一又は異なり、いずれも−H又は−CH3である。c、d、e、fは、c+d+e+f=4〜30の条件を満たす任意の正数から選んだものである。
【化2】

【0032】
ポリエーテル四元アルコールはペンタエリスリトールを出発反応物として、触媒の作用で、エポキシアルカンエーテル化により得られる。
【0033】
組成物B2は、イソシアネート系化合物、イソシアヌレート環多価アルコール又はイソシアネートポリエーテル多価アルコール中のいずれか1種又は2種以上の混合物から選んだものである。
【0034】
イソシアネート系化合物は、カルボジイミド改質のジイソシアネート、ブロック型イソシアネート又はジイソシアネートの二量体又は三量体である。
【0035】
ジイソシアネートは、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートヘキサン酸メチル、メチルシクロヘキセンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(シクロヘキセンジイソシアネート-4)、有機ケイ素ジイソシアネート又はカルボジイミド含有ジフェニルメタンジイソシアネート等のいずれかの1種又は2種以上の混合物である。
本発明が採用するイソシアネートは、触媒としての有機ホスフィン及び加熱条件で、自身で縮合重合反応が発生し、カルボジイミド基 ( -N=C=N-)含有化合物を生成することができる。よく用いられる有機ホスフィン触媒は、ペンタヘテロ環ホスフィンオキシド、1-フェニル-3-メチル-1-ホスフィニデン酸化物、リン酸トリエチル、トリフェニルホスフィンオキシド等を含んでおり、うちペンタヘテロ環ホスフィンオキシド型触媒効果が最もよく、使用量が少なく且つ反応温度も低い。触媒の作用で、一部のイソシアネート単量体はまずカルボジイミド含有構造のジイソシアネートに転化し、さらにこのカルボジイミド含有構造のジイソシアネートはイソシアネートと付加環化し、ウレトンイミン基を有するジイソシアネートを生成することができる。この構造のポリイソシアネートは、保管が安定し、使用に便利なだけでなく、材料に特別な空間構造及び難燃効果が与えられている。
【0036】
カルボジイミド改質ジイソシアネート中のカルボジイミドが改質ジイソシアネートに占める質量百分率は5%〜30%とする。
ブロック型イソシアネートは、イソシアネート用フェノール、カプロラクタム等のブロッキングによって形成され、各種多価アルコールと組み合わせることが可能であり、常温で安定している。イソシアネートのブロッキングは、イソシアネート又は遊離イソシアネート基含有プレポリマーを特定の活性水素含有物質又はイソシアネート基との反応が可能な物質と反応させることにより、遊離のイソシアネート基が常温で反応活性を持たないようにする。つまりイソシアネート基のブロッキングを実現するということである。このブロッキング反応は一定の条件下で可逆であるため、一定の条件下でブロッキングイソシアネート基をブロッキング解除し、イソシアネート基の作用を発揮することができる。
ブロック型ジイソシアネートは、ブロッキングイソシアネートの中でよく用いられる1種である。ブロック型ジイソシアネートは、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートヘキサン酸メチル、メチルシクロヘキセンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(シクロヘキセンジイソシアネート-4)のブロック型イソシアネート又はその溶液である。
ブロッキングする物質は、フェノール類、アルコール類、ラクタム、ジカルボニル化合物、オキシム類、ピラゾール、亜硫酸水素ナトリウムでもよい。ブロック型イソシアネートのブロッキング解除時に触媒を使用することができる。
【0037】
本発明のブロック型イソシアネートは、特に、ジアセチルモノオキシムブロック型トルエンジイソシアネート、エタノールブロック型トルエンジイソシアネート、カプロラクタムブロック型トルエンイソシアネート、ジアセチルモノオキシムブロック型ヘキサメチレンジイソシアネート、エタノールブロック型ヘキサメチレンジイソシアネート、カプロラクタムブロック型ヘキサメチレンジイソシアネート、炭酸ヘキサンジニトリル、トリメチルアミンメタクリルイミド等、前記の溶液濃度が異なる1種ブロック型ジイソシアネート又は多種のブロック型ジイソシアネートの混合物である。
【0038】
イソシアネート二量体は、特に溶液濃度が異なるトルエンジイソシアネートの二量体、及びジフェニルメタンジイソシアネートの二量体等、芳香族イソシアネートの二量体である。芳香族イソシアネート及び脂肪族イソシアネートはいずれも二量化反応が発生することができる。イソシアネートの二量化反応時に二量化反応に影響を与える要素として、イソシアネート基の活性、触媒、反応温度等が挙げられる。よく用いられる二量化反応触媒は、ホスフィン化合物と第三級アミンを含んでいる。二量化反応により生成したウレイドジオン環は、熱安定性が比較的悪いため、熱条件でスムーズに解離が可能である。この特性を利用して、二量体はポリウレタンの調製においてよく架橋剤として使用されており、常温で保管安定性が単量体より高いため、その他の活性水素含有化合物と常温で混合することができる。二量体は、加熱及び触媒の存在で、イソシアネート単量体に分解し、必要な反応が完了する。
【0039】
イソシアネート三量体は、トルエンジイソシアネート三量体、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、ポリイソシアネートI三量体、ヘキサメチレンジイソシアネート-トルエンジイソシアネート混合三量体等、溶液濃度が異なる下記1種又は2種以上の混合物、及び特に濃度が異なるイソシアネート三量体溶液等、含有量が異なる前記物質含有混合物である。脂肪族イソシアネート又は芳香族イソシアネートは、適当な条件でいずれも三量体を形成し、イソシアヌレートヘテロ環含有誘導体を得ることができる。単一のイソシアネート単量体は三量化反応を行なうことができる。また、2種以上のイソシアネート単量体からなる混合系も三量化反応を行なうことができる。イソシアネート三量化反応により生成したイソシアヌレートヘテロ環は安定し且つ難燃性を持ち、かなり高い温度でのみイソシアヌレートヘテロ環構造は破壊される。
イソシアネートの三量化反応時に、三量化反応に影響を与える要素として、イソシアネート基の活性、触媒、反応温度等が挙げられる。イソシアネート三量化反応の触媒は比較的多く、芳香族の脂肪族イソシアネート三量化反応の触媒が適用され、カプリル酸ナトリウム、安息香酸カリウム、サリチル酸カリウム、フェノールナトリウム、ナトリウムメトキシド、シュウ酸ナトリウム等の可溶性ナトリウムアルコキシドやカリ岩塩が含まれる。
窒素族元素化合物及び有機金属化合物は、三量体の含有量の管理及び多量体の生成の防止を図るため、反応系の温度を管理するとともに反応の適当な段階で重合防止剤を入れることにより、反応を終了させることができる。このようにしても、得られる重合系はやはり混合物であり、一定量の多量体が存在するが、主に三量体である。
よく用いられる重合防止剤として、ベンゾイルクロリド、リン酸、p-トルエンスルホン酸、硫酸ジメチル等が挙げられる。イソシアヌレート環含有構造のイソシアネート三量体は、揮発性が低く、毒性が小さく、官能性が高い等のメリットがあり、イソシアヌレートヘテロ環構造によって、材料に耐温性、難燃性及び耐化学品性も与えられている。
【0040】
上記のイソシアネート系官能基を有する物質は、使用前に濃度が異なる溶液に調製して、添加混合工程で操作しやく、分散分布が均一であるという目的を達することができる。よく用いられる溶媒として、トルエン、各種沸点の石油エーテル等が挙げられ、前記溶液に溶媒を添加する濃度範囲はイソシアネート官能基を有する物質の粘度と関係があり、溶液の濃度範囲は、範囲15%〜95%(重量百分率濃度)が好ましい。
【0041】
B2組成物を構成するイソシアヌレート環多価アルコール、イソシアヌレート環ポリエーテル多価アルコールは、化学式3に示す分子構造を持っている。
化学式3中、R10、R11、R12は、同一又は異なり、いずれも−H、−CH3又は−CH2CH3である。m、n、kは、m+n+k=3〜30の条件を満たす任意の正数から選んだものである。
【化3】

【0042】
イソシアヌレート環多価アルコール及びイソシアヌレート環ポリエーテル多価アルコールは、下記方法により得られる。イソシアヌレート(合成方法は前記の通り)を開始剤とし、三フッ化ホウ素エーテル錯塩を触媒とし、エポキシドを環単位として、カチオン開環反応により、イソシアヌレート環多価アルコール又はイソシアヌレート環ポリエーテル多価アルコールが得られる。
【0043】
組成物B3は、カルボジイミド系化合物から選んだものである。カルボジイミド系化合物は溶液濃度が異なるカルボジイミド単量体又はカルボジイミド重合体であり、その分子構造においてカルボジイミド基の数1〜30個、分子量40〜30000g/mol、また2種又は多種の前記特徴を有する分子量及びカルボジイミド基含有量が異なる物質から混合構成することもでき、比率は制限を受けない。
【0044】
現在、比較的成熟したカルボジイミド又はそのポリマーの調製方法としては、イソシアネートが触媒の作用で加熱して生成する。例えばハロ炭化水素、脂環式エーテル、混合溶媒を採用し又は溶媒を使用しない等、反応溶媒を改善することにより、最終的に高分子量のポリカルボジイミド溶液又は粉末が得られ、且つ保管安定性が比較的よい。
ジイソシアネートは線形ポリカルボジイミドを生成し、三官能性以上のイソシアネートは分岐鎖構造を有するポリカルボジイミドを生成し、この種の縮合重合物は、熔融温度が高い。ポリカルボジイミドは、耐熱性がよく、活性が高いため、多くの物質と反応することができ、幅広い応用価値がある。また、生分解性ポリエステルにカルボジイミド系物質を応用することにより、材料の分解周期を有効に調節することも可能である。
【0045】
先行技術では、熱可塑性ポリエステルはジオールと二塩基酸の縮合重合反応により得られたポリマーである。種類が異なる二塩基酸及びジオール経由で、多種の特徴が異なるポリエステルを合成することができる。商品化の主要対象品種として、主にポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリp-フタル酸-1,4-シクロヘキセンジメチル、ポリブチレンナフタレート及びポリエステル液晶ポリマー系、ポリアリレート、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。ポリエステルの種類及び製造メーカーによって、その合成調製法及び合成方法も違ってくる。通常、ポリエステル生産は、間欠生産過程と連続生産過程の2種がある。根本的な、ポリエステル合成の化学過程は、基本的にエステル化反応段階、エステル交換反応段階、縮合重合反応段階を経由し、ポリエステルの種類及び合成管理方法によって、段階ごとの設備配置及び技術要求事項もそれぞれの特徴がある。
【0046】
本発明の生分解性ポリエステルは熱可塑性ポリエステルに属し、その調製方法はエステル化反応段階、エステル交換反応段階及び縮合重合反応段階を含んでおり、組成物Bは、任意の反応段階中で入れる。つまりエステル化反応(エステル交換反応とも呼ばれる)前に入れるか、又はエステル化反応完了後に入れるか、もしくは縮合重合反応前又は縮合重合反応後に入れることができる。また、後加工中に入れることもできる。組成物Bは、1回のみで全部入れることができるし、また数回に分けて入れることもできる。数回に分けて入れる場合、異なる反応段階の前又は後又は反応中に数回に分けて入れるか、又は、同一の反応段階の前又は後又は反応中に数回に分けて入れることができる。
【0047】
段階を選定して数回に分けて入れることによる材料の最終的分解性能への影響はない。したがって、異なる応用特徴のある生分解性ポリエステルが得られるように、具体的なニーズに応じて、組成物Bを入れる方法を選択することができる。例えば機械混合加工、1軸スクリュー加工、又は2軸スクリュー加工又はその他の先行加工方法等がある。後加工工程については、本発明の調製方法の技術条件は、先行技術を参考にすることができる。本発明の調製方法中のエステル化及びエステル交換反応段階における温度範囲が150〜240℃であり、常圧で行なうことが好ましく、縮合重合反応段階では減圧条件及び160〜250℃の範囲内で行なうことが好ましい。
【0048】
本発明の調製方法の原理は、縮合重合反応によりポリエステル材料が得られることであり、相対的に成熟した管理過程でもあり、基本的にA組成物を主要基材としたエステル化反応段階、エステル交換反応段階、縮合重合反応段階の3過程からなる。本発明の調製方法の優位性は、組成物Bを前記3段階中の任意の段階で入れることができ、縮合重合過程終了後、熱加工工程においてポリエステル材料中に取り入れ、性能範囲がより広い分解製品を得られることである。
【0049】
縮合重合反応により生分解性ポリエステルを調製する時には、反応中に適量の触媒を添加することにより、触媒反応を行なうことができる。この種の触媒は、元素Ti、Ge、La、Ce、Zn、Fe、Mn、Co、V、Zr、Li、Caに基づく混合物であり、特に、これらの元素の有機酸塩、アルコキシ塩及びアセチルアセトン塩等これらの元素の有機金属混合物を含んでいる。触媒を入れる時に、不活性化を避けることが好ましい。
【0050】
縮合重合反応中、不必要な分解又は分岐反応を防止するため、この反応中に適量の安定剤を入れることができる。この種の安定剤は、亜リン酸トリアルキルエステル、亜リン酸トリフェニルエステル、ホスホン酸トリフェニルエステル、ホスホン酸トリアルキルエステルを含んでいる。リン酸及び亜リン酸の使用を避け、触媒へのマイナス作用を防ぐことが好ましい。
【0051】
本発明の生分解性ポリエステルに添加される触媒の含有量は0.01‰重量部〜3‰重量部であり、特に0.5‰重量部〜2‰重量部が好ましい。高効率Ti系触媒について、その添加量は百万分の一重量部の次数範囲内に抑えることができる。余分なジオールが除去されるまで反応を行なう時、又はオリゴマーが形成された後に触媒を入れる。触媒は、一定の濃度の溶液に調製して入れることができ、また元素基が異なる触媒を一定配合して反応物内に入れることもできる。
【0052】
本発明の生分解性ポリエステルは、射出成形、吹き込み成形、ブリスター、キャスティング、線引き等のプラスチック加工分野に用いられるとともに、一般加工設備で操作することができる。また、例えばポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエタノール酸、コハク酸/ブタンジオールコポリエステル、デンプン、セルロース、植物繊維、植物粉末等、その他の分解性プラスチック又は植物基材等とブレンドすることもできる。また、普通のプラスチックとブレンドして、構造材料製品、シート材料、膜材料、発泡材料及びフレーム素材、包装業界、運送業界、外食産業、農牧生産等業界の消耗用材を製造することができる。
【0053】
本発明で調製する生分解性ポリエステルの初期形態は、形状、寸法の制限を受けない素材である。
【0054】
本発明で調製する生分解性ポリエステルは、被膜材料の調製に用いることができ、またローラー塗り(回転成形)、ナイフコーティング(へら付け塗り)、スプレー又は射出成形等の方法で塗布することもできる。この種の材料における生分解性ポリエステルの応用は担体の寸法、厚みの制限を受けない。この種の製品には、紙、繊維やデンプンの塗布製品を含んでいる。
【0055】
本発明で調製する生分解性ポリエステルは、一般スピニング技術により、外観特徴が異なるスピニングを調製することができる。この種のスピニングは、引張、ねじり、毛取り、巻き付き、オイル塗り、コイル化等の一般方式の加工を行なうことができ、後加工又は使用の要求事項が満たされるスピニング製品が得られる。スピニングは、従来の加工設備でさらに繊維に加工され、それから反物に編み、又は一定の幅のある製品に加工することができる。また、スピニングは編まずに、フェルト、糸束、多孔繊維(束)、煙用糸束等、一定の形状又は功能のある糸製品に製造することもできる。
【0056】
本発明の生分解性ポリエステルには、生分解性ポリエステル基材重量の0〜85%の充填材を入れることができる。これらの充填材は、カーボンブラック、ホワイトカーボン、デンプン、改質デンプン、木粉、植物繊維、各種麻、セルロース繊維、改質セルロース、珪灰石、各種ウィスカ、鉄の酸化物、天然鉱物充填材、合成鉱物充填材、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、安定剤、有機ホスフィン類化合物又はその誘導体、酸化防止剤、第二級アミン系化合物、紫外光安定剤、潤滑剤、離型剤、核形成剤、有機顔料、無機顔料、有機トナー、無機トナー等、前記の1種又は2種以上の混合物でもよい。潤滑剤及び離型剤には、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛、鉱物蝋、植物蝋、動物蝋等、脂肪族のアルコール類、有機酸の塩を含んでいる。
また、前記充填材は、マスターバッチの方式で生分解性ポリエステル内に添加することもできる。添加過程として、生分解性ポリエステルの熱加工中に入れることができ、例えば1軸スクリュー押し出し過程、2軸スクリュー押し出し過程で、粒径範囲2mm以上の粒状材料が得られ、二次成形加工に用いられる。また、必要に応じて、物理混合中に生分解性ポリエステル樹脂材料内に混入し、直接二次成形加工に用いることもできる。
【0057】
本発明の生分解性ポリエステルは、従来の方法により、粘着性能がある製品を調製することができる。生分解性ポリエステルは、天然樹脂等増粘剤の補助作用で、従来の接着剤調製加工法により、生分解性という特徴がある接着剤を調製することができる。また、従来の技術により、ホットメルト接着剤等、無溶剤系接着剤を調製することもできる。
【0058】
本発明の生分解性ポリエステルは、従来の方法により、充填密度0.15〜1.1g/cm3の発泡材料を調製することができる。典型的な泡沫加工設備は、1軸スクリュー押し出し機、液体又は気体発泡剤注入部品、成形モールドヘッド及び補助設備のいくつかの部分からなり、押し出し機の長さと直径の比は30:1とする。また、従来の泡沫加工設備はF/R2式のスクリュー押し出し装置があり、Rスクリュー寸法を必要に応じて変更することが可能であるため、この設備は、寸法がより大きい発泡材料を加工することができる。この2種類の加工設備は、加工方法の差が小さいため、いずれも生分解性ポリエステル発泡材料を製造することができる。生分解性ポリエステル及びその他の充填材、助剤は、1軸スクリュー押し出し機の材料投入口から入れる。発泡剤は注入装置経由で、1軸スクリュー押し出し機のスクリュー搬送区間で注入し、添加量は生分解性ポリエステル重量の約0.1%〜20%であり、0.1%〜5%が好ましい。発泡剤は、窒素ガス、二酸化炭素等の不活性ガス、プロパン、ブタン、ペンタン、エチルエーテル等の沸点-40°C〜50°Cの有機物、重炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムとクエン酸の混合物、アゾ系化合物等の反応性発泡剤等、前記の1種又は2種以上の混合物を含んでいる。発泡剤は、スクリュー押し出し機で生分解性ポリエステル融体内に溶け込み分散し、混合融体はモールドヘッドから押し出され、膨張、成形、冷却プロセス経過後、付属加工装置経由で生分解性ポリエステル泡沫型材が収集される。
【0059】
先行技術に比べて、本発明は以下の効果もある。
本発明の生分解性ポリエステルは、組成物の脂肪族ポリエステル、脂肪酸/芳香酸コポリエステルの組成にフェニル含有ジオール及び(又は)多価アルコール組成物を取り入れることにより得られたポリエステル材料であり、その結果、ポリエステル材料に生分解性能を与えるだけではなく、ポリエステル材料の軟度または硬度を変え、材料の結晶速度を上げることもできる。また、生分解性ポリエステルに長鎖特徴を持つ鎖延長剤及び(又は)架橋剤を取り入れることにより、鎖延長後のポリエステル材料が加工中に発生した不必要なゲル現象を避け、材料の長い加工周期における安定性を高めることもできる。そして、本発明の解決手段においてフェニル含有ジオール(多価アルコール)、長鎖特徴を持つ鎖延長剤(架橋剤)がポリエステル材料において臨界比率範囲が存在しているため、この範囲内で材料が透明度要求事項を満たすと同時に、一定の自己接着特徴、一定の膜材料開口性能を提供することにより、鮮度保持フィルム、自己封着膜、ペースター、結合剤、塗料等、特定応用状況における要求事項を満たしている。
【0060】
本発明の生分解性ポリエステルは、先行技術製品の欠点を克服することができる。本発明の生分解性ポリエステルは、膜材料に加工することができ、加工中において粘着ローラー特徴が著しく改善され、且つ外観品質が向上する。また、この生分解性ポリエステルは、耐熱性能が改善され、射出成形加工等、長い循環周期のある加工工程に応用することもできる。さらに、本発明の生分解性脂肪族/芳香族ポリエステルは、力学的性能が優れている。
【発明を実施するための形態】
【0061】
ここで、実施例として、より詳細に本発明を説明する。だが、指摘に値するのは、これらの実施例に限らず、本発明の属する技術分野の当業者が本発明に基づいて行なった本質的部分でない部分の変更や調整は、なおも本発明の技術的範囲に属することである。
【0062】
(関連指標の試験方法)
実施形態において関連指標の試験方法は次の通りとする。
1.相対分子質量の試験方法:ゲルクロマトグラフィーを採用してポリマーの相対分子質量を試験する。トリクロロメタンを移動相とし、流出速度1mL/ min、温度40℃、標準試薬は分布の狭いポリスチレンとする。これより、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを求める。
【0063】
2.固有粘度の測定方法:25℃で測定し、フェノール-o-ジクロロベンゼン混合液(質量比3:2)を溶媒として、ウベローデ粘度計で試料の固有粘度を測定する。試料濃度は0.005 g/mLとする。
3.カルボキシル末端基含有量の試験方法:o-クレゾール-トリクロロメタン混合液(質量比7:3)を溶媒として、電位差自動滴定装置でカルボキシル末端基含有量を試験する。試験方法は規格FZ/T 50012-2006「ポリエステル中カルボキシル末端基含有量の測定 滴定分析法」による。
【0064】
4.プラスチック融点の試験方法:熱分析機器で試料の融点を試験する。窒素ガス流速20 mL/min、温度上昇速度10℃/minとする。
5.生物分解試験方法:ISO14855の試験方法を参考にし、材料の90日堆肥後における二酸化炭素(CO2)放出量を生分解性指標とする。
【0065】
(関連使用試薬の説明)
1.芳香環含有ポリエーテルジオール(以下BPPE):分子量660〜750g/mol、R1、R2は−CH3とし、a+b=7〜10(化学式1参照)。
2.ポリエーテル四元アルコール(以下PTZE):分子量1100〜1250g/mol、R3、R4、R5、R6は−CH3とし、c+d+e+f=15〜20(化学式2参照)。
3.イソシアヌレート環ポリエーテル多価アルコール(以下KingSM-I):内製、R10、R11、R12は−CH3とし、m+n+k=15(化学式3参照)。
4.カルボジイミド系含有製品(カルボジライト(登録商標)E-02、以下E-02):固形分含有量40%、pH値9〜11、粘度(20℃)5〜50mPa.s。カルボジイミド当量445。
【0066】
その他説明されていない試薬は、すべて市販の合成製品である。説明されていない技術は、先行技術の一般技術による。
<実施例1>
【0067】
1,5-ペンタンジオール330kg、 p-フタル酸ジメチル175kgをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、185℃まで温度を上昇させ、チタン酸テトラブチル319gを入れ、リアクター内の温度を190℃に維持し、4h反応後、161kgアゼライン酸を加え、200℃で4h反応する。
【0068】
それから温度を210℃に上昇させ、低真空(90KPa)で1h反応後、チタン酸テトラブチル200gを加える。温度が230℃に達した後、30min反応し、それから徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増し、リアクター内の圧力が1KPaに達するようにし、温度を不変に保ち、リアクター内の圧力を80Pa以下に維持し、3.5h反応すると、生成物が得られる。
【0069】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=38860、Mw=67500、粘度1.18dL/g、末端カルボキシル基50mol/t、融点113.8℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば78%となる。
<実施例2>
【0070】
1,4-ブタンジオール300kg、p-フタル酸ジメチル140kg、グリセリン640gをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル350gを加え、リアクター内の温度を190℃に維持し、4h反応後、アジピン酸210kgを加え、200℃で4h反応する。
【0071】
それから温度を210℃に上昇させ、低真空(90KPa)で1h40min反応後、チタン酸テトラブチル200gを加える。温度が230℃に達した後、30min反応し、それから徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増し、リアクター内の圧力が1KPaに達するようにし、温度を不変に保ち、リアクター内の圧力を80Pa以下に維持し、3.5h反応すると、生成物が得られる。
【0072】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=56490、Mw=112850、粘度1.27dL/g、末端カルボキシル基75mol/t、融点124.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば79%となる。
<実施例3>
【0073】
イソソルビド290kg、p-フタル酸ジメチル170kg、トリメシン酸1200gをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を180℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル450gを加え、リアクター内の温度を200℃に維持し、4.5h反応後、コハク酸170kgを加え、210℃で4h反応する。トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート2kgを加える。
【0074】
それから温度を220℃に上昇させ、低真空(90KPa)で1h反応後、チタン酸テトラブチル200gを加える。温度が230℃に達した後、30min反応し、徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増し、リアクター内の圧力が1KPaに達するようにし、温度を不変に保ち、リアクター内の圧力を80Pa以下に維持し、3.5h反応すると、生成物が得られる。
【0075】
得られた生成物の関連指標は、分子量Mn=49380、Mw=102170、粘度1.25dL/g、末端カルボキシル基64mol/t、結晶温度30.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば85%となる。
<実施例4>
【0076】
1,4-ブタンジオール1kg、エチレングリコール、0.2kg、p-フェニレン二酢酸1kg、PTZE 400gをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル30gを加え、リアクター内の温度を180℃に維持し、4h反応する。それからアゼライン酸1.3kgを加え、180℃で4h反応する。
【0077】
それから温度を190℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)で40min反応後、チタン酸テトラブチル30gを加える。それから徐々に235℃まで温度上昇し、次第に真空度を増す。温度が235℃に上昇した時、リアクター内の圧力が10KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、3h反応する。得られた物質内にE-02約15gを加え、210℃条件で異方向回転2軸スクリュー加工を施すと、生成物が得られる。
【0078】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=61860、Mw=121100、粘度1.36dL/g、末端カルボキシル基87mol/t、融点108.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば81%となる。
<実施例5>
【0079】
1,6-ヘキサンジオール80g、BPPE製品20g、p-フェニレン二酢酸35g、グルタル酸21g、ペンタエリスリトール0.24gをフラスコ内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を180℃以下に上昇させ、4h反応する。それからp-フタル酸ジメチル60gを加え、チタン酸テトラブチル0.2gを加え、180℃で4h反応する。
【0080】
それから温度を220℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)を40min程度保ち、徐々に245℃まで温度上昇しし、次第に真空度を増す。温度が235℃に下がった時、リアクター内の圧力が2KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、2h反応すると、生成物が得られる。
【0081】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=55090、Mw=150420、粘度1.20 dL/g、末端カルボキシル基30mol/t、融点107.2℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば89%となる。
<実施例6>
【0082】
1,6-ヘキサンジオール80 g、BPPE製品20g、p-フェニレン二酢酸35g、グルタル酸24g、ペンタエリスリトール0.24gをフラスコ内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を180℃以下に上昇させ、4h反応する。それからp-フタル酸ジメチル60gを加え、チタン酸テトラブチル0.2gを加え、180℃で4h反応する。
【0083】
それから温度を220℃に上昇させ、保持低真空(120Kpa程度)40min程度,徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増す。温度が235℃に下がった時、リアクター内の圧力が2KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、2h反応する。得られた物質にヘキサメチレンジイソシアネート約25gを加え、210℃条件で異方向回転2軸スクリュー加工を施すと、生成物が得られる。
【0084】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=46100、Mw=130100、粘度1.19dL/g、末端カルボキシル基35mol/t、融点101.2℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば82%となる。
<実施例7>
【0085】
実施例6中のBPPE製品20gをKingSM-I 35gに変更し、その他の条件は不変を維持する。
【0086】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=44300,Mw=145300,粘度1.32dL/g,末端カルボキシル基45mol/t,融点109.7℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば79%となる。
<実施例8>
【0087】
1,5-ペンタンジオール44g 、24 gグルタル酸、30%(重量比)E-02石油エーテル溶液 0.5g、PTZE 16g をフラスコ内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル0.2gを加え、リアクター内の温度を200℃に維持し、4h反応する。それからヒドロキシプロピオン酸56gを加え、200℃で2h反応する。
【0088】
それから温度を210℃に上昇させ、120KPa程度の低真空で40min反応後、チタン酸テトラブチル0.2gを加え、30min反応し、徐々に235℃まで温度上昇し、リアクター内の圧力が3KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、2h反応する。得られた物質にジアセチルモノオキシムブロック型のトルエンジイソシアネート約35gを加え、210℃条件で異方向回転2軸スクリュー加工を施すと、生成物が得られる。
【0089】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=95400、Mw=217200、粘度1.59dL/g、末端カルボキシル基42mol/t、融点136.2℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば71%となる。
<実施例9>
【0090】
本実施例において調製された生分解性ポリエステルは組成物Bを含まない。
【0091】
1,4-ブタンジオール300kg、p-フタル酸ジメチル100kg、グリセリン640gをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル350gを加え、リアクター内の温度を190℃に維持し、4h反応後、アゼライン酸210kg、サリチル酸100kgを加え、200℃で4h反応する。
【0092】
それから温度を210℃に上昇させ、低真空(90KPa)で1h40min反応後、チタン酸テトラブチル200gを加える。温度が230℃に達した後、30min反応し、それから徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増し、リアクター内の圧力が1KPaに達するようにし、温度を不変に保ち、リアクター内の圧力を80Pa以下に維持し、3.5h反応すると、生成物が得られる。
【0093】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=55490、Mw=103250、粘度1.29dL/g、末端カルボキシル基75mol/t、融点134.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば77%となる。
<実施例10>
【0094】
反応条件及び反応物の注入量は実施例8と同様とし、縮合重合時間を3.3hに短縮し、分子量がやや低い生成物が得られる。
【0095】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=46270、Mw=88960、粘度1.08dL/g、末端カルボキシル基127.2mol/t、融点106.5℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば93%となる。
<実施例11>
【0096】
1,5-ペンタンジオール44g 、37 gp-フタル酸ジメチル、30%(重量比)E-02石油エーテル溶液 0.5g、PTZE 16g をフラスコ内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル0.2gを加え、リアクター内の温度を200℃に維持し、4h反応する。それからグリコール酸32gを加え、200℃で2h反応する。
【0097】
それから温度を210℃に上昇させ、80KPa程度の低真空で40min反応後、チタン酸テトラブチル0.2gを加え、30min反応し、徐々に235℃まで温度上昇し、リアクター内の圧力が5-3KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、2h反応すると、生成物が得られる。
【0098】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=55300、Mw=120100、粘度1.23dL/g、末端カルボキシル基82mol/t、融点136.2℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば74%となる。
<実施例12>
【0099】
イソソルビド10kg、p-フェニレン二酢酸8.5kg、ジペンタエリスリトール80g、チタン酸テトラブチル30gをリアクター内に入れ、220℃で5.5h反応する。アジピン酸5kg及びアゼライン酸4kgを加え、175℃で3h反応する。E-02約200gを加える。
【0100】
温度を190℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)を40min程度保ち、チタン酸テトラブチル30gを加え、30min反応し、徐々に245℃まで温度上昇し、リアクター内の圧力が4KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、3h反応すると、生成物が得られる。
【0101】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=49100、Mw=112400、粘度1.28dL/g、末端カルボキシル基82mol/t、融点118.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば89%となる。
<実施例13>
【0102】
1,5-ペンタンジオール189kg、 アゼライン酸ジメチル184kg、p-フタル酸ジメチル175kgをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、185℃まで温度を上昇させ、チタン酸テトラブチル319gを入れ、リアクター内の温度を190℃に維持し、4h反応する。
【0103】
それから温度を210℃に上昇させ、低真空(90KPa)で1h反応後、チタン酸テトラブチル200gを加える。温度が230℃に達した後、30min反応し、それから徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増し、リアクター内の圧力が1KPaに達するようにし、温度を不変に保ち、リアクター内の圧力を80Pa以下に維持し、3.5h反応すると、生成物が得られる。
【0104】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=38000、Mw=69300、粘度1.20dL/g、末端カルボキシル基46mol/t、融点112.5℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば76%となる。
<実施例14>
【0105】
1,4-ブタンジオール240kg、p-フタル酸ジメチル140kg、アジピン酸ジメチル250kg、グリセリン640gをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル350gを加え、リアクター内の温度を190℃に維持し、4h反応する。
【0106】
それから温度を210℃に上昇させ、低真空(90KPa)で1h40min反応後、チタン酸テトラブチル200gを加える。温度が230℃に達した後、30min反応し、それから徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増し、リアクター内の圧力が1KPaに達するようにし、温度を不変に保ち、リアクター内の圧力を80Pa以下に維持し、3.5h反応すると、生成物が得られる。
【0107】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=57000、Mw=122000、粘度1.25dL/g、末端カルボキシル基55mol/t、融点123.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば81%となる。
<実施例15>
【0108】
イソソルビド290kg、p-フタル酸ジメチル170kg、210kgコハク酸ジメチル、ピロメリト酸二無水物1000gをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を180℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル450gを加え、リアクター内の温度を200℃に維持し、4.5h反応後、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート2kgを加える。
【0109】
それから温度を220℃に上昇させ、低真空(90KPa)で1h反応後、チタン酸テトラブチル200gを加える。温度が230℃に達した後、30min反応し、徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増し、リアクター内の圧力が1KPaに達するようにし、温度を不変に保ち、リアクター内の圧力を80Pa以下に維持し、3.5h反応すると、生成物が得られる。
【0110】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=48300、Mw=112000、粘度1.23dL/g、末端カルボキシル基49mol/t、結晶温度31.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば87%となる。
<実施例16>
【0111】
1,4-ブタンジオール1kg、エチレングリコール、0.2kg、1.3kgアゼライン酸、p-フェニレン二酢酸1kg、PTZE 400gをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル30gを加え、リアクター内の温度を180℃に維持し、4h反応する。
【0112】
それから温度を190℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)で40min反応後、チタン酸テトラブチル30gを加える。それから徐々に235℃まで温度上昇し、次第に真空度を増す。温度が235℃に上昇した時、リアクター内の圧力が10KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、3h反応する。得られた物質内にE-02約15gを加え、210℃条件で異方向回転2軸スクリュー加工を施すと、生成物が得られる。
【0113】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=63000、Mw=128000、粘度1.35dL/g、末端カルボキシル基69mol/t、融点110.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば83%となる。
<実施例17>
【0114】
1,6-ヘキサンジオール80 g、BPPE製品20g、p-フェニレン二酢酸35g、コハク酸21g、クエン酸0.21gをフラスコ内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を180℃以下に上昇させ、4h反応する。それからp-フタル酸ジメチル60gを加え、チタン酸テトラブチル0.2gを加え、180℃で4h反応する。
【0115】
それから温度を220℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)を40min程度保ち、徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増す。温度が235℃に下がった時、リアクター内の圧力が2KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、2h反応すると、生成物が得られる。
【0116】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=51030、Mw=120500、粘度1.22 dL/g、末端カルボキシル基40mol/t、融点110.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば92%となる。
<実施例18>
【0117】
1,5-ペンタンジオール80 g、BPPE製品20g、p-フェニレン二酢酸35g、コハク酸21g、ペンタエリスリトール0.24gをフラスコ内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を180℃以下に上昇させ、4h反応する。それからp-フタル酸ジメチル60gを加え、チタン酸テトラブチル0.2gを加え、180℃で4h反応する。
【0118】
それから温度を220℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)を40min程度保ち、徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増す。温度が235℃に下がった時、リアクター内の圧力が2KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、2h反応する。得られた物質にヘキサメチレンジイソシアネート約25gを加え、210℃条件で異方向回転2軸スクリュー加工を施すと、生成物が得られる。
【0119】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=53100、Mw=120500、粘度1.21dL/g、末端カルボキシル基43mol/t、融点109.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば85%となる。
<実施例19>
【0120】
1,4-ブタンジオール40g 、コハク酸21 g、30%(重量比)E-02石油エーテル溶液 0.5g、PTZE 16g をフラスコ内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル0.2gを加え、リアクター内の温度を200℃に維持し、4h反応する。それからヒドロキシプロピオン酸56gを加え、200℃で2h反応する。
【0121】
それから温度を210℃に上昇させ、80KPa程度の低真空で40min反応後、チタン酸テトラブチル0.2gを加え、30min反応し、徐々に235℃まで温度上昇し、リアクター内の圧力が3KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、2h反応する。得られた物質にジアセチルモノオキシムのブロック型のトルエンジイソシアネート約35gを加え、210℃条件で異方向回転2軸スクリュー加工を施すと、生成物が得られる。
【0122】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=90200、Mw=187200、粘度1.45dL/g、末端カルボキシル基46mol/t、融点140.2℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば75%となる。
<実施例20>
【0123】
1,4-ブタンジオール250kg、p-フタル酸ジメチル100kg、240kgセバシン酸ジメチル、グリセリン640gをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル350gを加え、リアクター内の温度を190℃に維持し、4h反応後、サリチル酸100kgを加え、200℃で4h反応する。
【0124】
それから温度を210℃に上昇させ、低真空(90KPa)で1h40min反応後、チタン酸テトラブチル200gを加える。温度が230℃に達した後、30min反応し、それから徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増し、リアクター内の圧力が1KPaに達するようにし、温度を不変に保ち、リアクター内の圧力を80Pa以下に維持し、3.5h反応すると、生成物が得られる。
【0125】
得られた生成物の関連性能指標は、分子量:Mn=51300、Mw=93500、粘度1.25dL/g、末端カルボキシル基66mol/t、融点129.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば71%となる。
<実施例21>
【0126】
1,5-ペンタンジオール44g 、p-フタル酸35 g、30%(重量比)E-02石油エーテル溶液 0.5g、PTZE 16g をフラスコ内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル0.2gを加え、リアクター内の温度を220℃に維持し、4h反応する。それからグリコール酸32gを加え、220℃で2h反応する。
【0127】
それから温度を230℃に上昇させ、80KPa程度の低真空で40min反応後、チタン酸テトラブチル0.2gを加え、30min反応し、徐々に235℃まで温度上昇し、リアクター内の圧力が5-3KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、2h反応すると、生成物が得られる。
【0128】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=56700、Mw=11200、粘度1.24dL/g、末端カルボキシル基74mol/t、融点126.2℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば76%となる。
<実施例22>
【0129】
イソソルビド10kg、p-フェニレン二酢酸8.5kg、ピロメリト酸二無水物60g、アジピン酸5kg、アゼライン酸4kg、チタン酸テトラブチル30gをリアクター内に入れ、230℃で5h反応する。E-02約200gを加える。
【0130】
低真空(80KPa程度)を40min程度保ち、チタン酸テトラブチル30gを加え、30min反応し、徐々に245℃まで温度上昇し、リアクター内の圧力が4KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、3h反応すると、生成物が得られる。
【0131】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=54100、Mw=12300、粘度1.31dL/g、末端カルボキシル基71mol/t、融点116.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば85%となる。
<実施例23>
【0132】
1,4-ブタンジオール300kg、p-フタル酸ジメチル130kg、m-フタル酸ジメチル10kg、アジピン酸ジメチル210kg、グリセリン640gをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル350gを加え、リアクター内の温度を190℃に維持し、4h反応する。
【0133】
それから温度を210℃に上昇させ、低真空(90KPa)で1h40min反応後、チタン酸テトラブチル200gを加える。温度が230℃に達した後、30min反応し、それから徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増し、リアクター内の圧力が1KPaに達するようにし、温度を不変に保ち、リアクター内の圧力を80Pa以下に維持し、3.5h反応すると、生成物が得られる。
【0134】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=61300、Mw=104000、粘度1.23dL/g、末端カルボキシル基55mol/t、融点132.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば72%となる。
<実施例24>
【0135】
1,4-ブタンジオール1kg、1,3-プロパンジオール0.2kg、p-フェニレン二酢酸1kg、PTZE 400gをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル30gを加え、リアクター内の温度を180℃に維持し、4h反応する。それからセバシン酸1.7kgを加え、180℃で4h反応する。
【0136】
それから温度を190℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)で40min反応後、チタン酸テトラブチル30gを加える。それから徐々に235℃まで温度上昇し、次第に真空度を増す。温度が235℃に上昇した時、リアクター内の圧力が10KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、3h反応する。得られた物質内にE-02約15gを加え、210℃条件で異方向回転2軸スクリュー加工を施すと、生成物が得られる。
【0137】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=52700、Mw=116800、粘度1.31dL/g、末端カルボキシル基50mol/t、融点118.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば76%となる。
<実施例25>
【0138】
1,4-ブタンジオール1kg、エチレングリコール0.2kg、p-フェニレン二酢酸1kg、PTZE 400g、クエン酸20gをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル30gを加え、リアクター内の温度を180℃に維持し、4h反応する。それからセバシン酸1.6kgを加え、180℃で4h反応する。
【0139】
それから温度を190℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)で40min反応後、チタン酸テトラブチル30gを加える。それから徐々に235℃まで温度上昇し、次第に真空度を増す。温度が235℃に上昇した時、リアクター内の圧力が10KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、3h反応する。得られた物質内にE-02約15gを加え、210℃条件で異方向回転2軸スクリュー加工を施すと、生成物が得られる。
【0140】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=61860、Mw=121100、粘度1.36dL/g、末端カルボキシル基87mol/t、融点108.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば81%となる。
<実施例26>
【0141】
1,4-ブタンジオール1kg、エチレングリコール0.2kg、p-フェニレン二酢酸0.8kg、m-フタル酸0.2kg、PTZE 400gをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル30gを加え、リアクター内の温度を180℃に維持し、4h反応する。それからセバシン酸1.5kgを加え、180℃で4h反応する。
【0142】
それから温度を190℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)で40min反応後、チタン酸テトラブチル30gを加える。それから徐々に235℃まで温度上昇し、次第に真空度を増す。温度が235℃に上昇した時、リアクター内の圧力が10KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、3h反応する。得られた物質内にE-02約15gを加え、210℃条件で異方向回転2軸スクリュー加工を施すと、生成物が得られる。
【0143】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=65700、Mw=103200、粘度1.31dL/g、末端カルボキシル基90mol/t、融点112.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば78%となる。
<実施例27>
【0144】
1,4-ブタンジオール1kg、エチレングリコール0.2kg、p-フェニレン二酢酸0.8kg、m-フタル酸0.2kg、PTZE 400gをリアクター内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル30gを加え、リアクター内の温度を180℃に維持し、4h反応する。それからセバシン酸1.0kg、コハク酸0.5kgを加え、180℃で4h反応する。
【0145】
それから温度を190℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)で40min反応後、チタン酸テトラブチル30gを加える。それから徐々に235℃まで温度上昇し、次第に真空度を増す。温度が235℃に上昇した時、リアクター内の圧力が10KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、3h反応する。得られた物質内にE-02約15gを加え、210℃条件で異方向回転2軸スクリュー加工を施すと、生成物が得られる。
【0146】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=55640、Mw=130200、粘度1.41dL/g、末端カルボキシル基67mol/t、融点114.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば85%となる。
<比較例1>
【0147】
1,6-ヘキサンジオール80 g、BPPE製品40g、p-フェニレン二酢酸70g、グルタル酸24g、ペンタエリスリトール0.24gをフラスコ内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を180℃以下に上昇させ、4h反応する。それからp-フタル酸ジメチル60gを加え、チタン酸テトラブチル0.2gを加え、180℃で4h反応する。
【0148】
それから温度を220℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)を40min程度保ち、徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増す。温度が235℃に下がった時、リアクター内の圧力が2KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、2h反応すると、生成物が得られる。得られた生成物にヘキサメチレンジイソシアネート25gを加え、210℃条件で異方向回転2軸スクリュー加工を施すと、生成物が得られる。
【0149】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=46100、Mw=130100、粘度1.19dL/g、末端カルボキシル基35mol/t、融点121.2℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば59%となる。
<比較例2>
【0150】
1,4-ブタンジオール135g、p-フタル酸85.3g、コハク酸 59gを四口フラスコ内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を170℃に上昇させ、チタン酸テトラブチル0.07gを加え、リアクター内の温度を210℃に維持し、4h反応する。
【0151】
それから温度を220℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)で40min反応後、チタン酸テトラブチル0.07gを加える。それから徐々に235℃まで温度上昇し、次第に真空度を増す。温度が235℃に上昇した時、リアクター内の圧力が10KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、リアクター内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、3h反応する。
【0152】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=22000、Mw=61000、粘度1.14dL/g、末端カルボキシル基50mol/t、融点121.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば30%となる。
<比較例3>
【0153】
1,4-ブタンジオール135g、p-フタル酸66.8g、コハク酸35.5g、アジピン酸36.5、0.7gチタン酸テトラブチルを四口フラスコ内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を200℃に上昇させ、2h反応する。
【0154】
それから温度を220℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)で40min反応後、チタン酸テトラブチル0.07gを加える。それから徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増す。温度が245℃に上昇した時、圧力が10KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、反応器内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、3h反応する。
【0155】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=15000、Mw=43000、粘度0.9dL/g、末端カルボキシル基50mol/t、融点1081.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば42%となる。
<比較例4>
【0156】
1,4-ブタンジオール135g、p-フタル酸66.8g、コハク酸70g、0.7gチタン酸テトラブチルを四口フラスコ内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を200℃に上昇させ、2h反応する。
【0157】
それから温度を220℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)で40min反応後、チタン酸テトラブチル0.07gを加える。それから徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増す。温度が245℃に上昇した時、圧力が10KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、反応器内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、3h反応する。
【0158】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=18000、Mw=52000、粘度1.0 dL/g、末端カルボキシル基65mol/t、融点92.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば21%となる。
<比較例5>
【0159】
1,4-ブタンジオール6.3g、コハク酸2.95g、アジピン酸3.65、チタン酸テトラブチル0.1gを四口フラスコ内に入れ、窒素ガスの保護で、温度を205℃に上昇させ、2h反応する。それからp-フタル酸ジメチル78.8g、ブタンジオール126g、エチレングリコール6.2gを加え、205℃で2h反応し、メタノールが出ると終了する。
【0160】
それから温度を220℃に上昇させ、低真空(80KPa程度)で40min反応後、チタン酸テトラブチル0.07gを加える。それから徐々に245℃まで温度上昇し、次第に真空度を増す。温度が245℃に上昇した時、圧力が10KPaに達するようにする。温度を不変に保ち、反応器内の圧力が100Pa以下に下がるようにし、3h反応する。
【0161】
得られた生成物の関連指標は、分子量:Mn=47000、Mw=230000、粘度1.6 dL/g、末端カルボキシル基35mol/t、融点92.0℃である。90日の分解率は二酸化炭素放出量から計算すれば65%となる。
【0162】
上記の実施例及び比較例の結果より、本発明で得られた生分解性ポリエステルは、生分解性という特徴が著しく、加工工程の操作性が強く、製品性能が優れていることがわかる。また、比較例との比較より、A12組成物中の二塩基酸の合成装置における注入比率が高い場合に、分子量要求事項及び粘度要求事項が満たされる生分解性ポリエステルを得ることが可能であるが、ポリエステルの生分解性能へのマイナス影響がかなり大きいということもわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
94〜100モル%の組成物A及び0〜6モル%の組成物Bからなる生分解性ポリエステルであって、
前記組成物Aは、組成物A1と組成物A2とのモル比0.35〜1.6:1の組成物であり、
前記組成物A1は、20〜100モル%の組成物A11及び0〜80モル%の組成物A12からなり、
前記組成物A11は、脂肪族二塩基酸、環状脂肪族二塩基酸、脂肪族二塩基酸のエステル誘導体又は環状脂肪族二塩基酸のエステル誘導体中のいずれか1種又は2種以上の混合物であり、
前記組成物A12は、芳香族二塩基酸又は芳香族二塩基酸エステル化物中のいずれか1種又は2種以上の混合物であり、
前記組成物A2は、80〜99.9モル%又は100モル%の組成物A21及び0.1〜20モル%又は0モル%の組成物A22からなり、
前記組成物A21は、炭素原子数C2〜C8の脂肪族ジオール、炭素原子数C5〜C16の環状脂肪族ジオール又は多環式脂肪族ジオール、脂肪族ポリエーテルジオール、ヒドロキシ脂肪酸中の少なくとも1種からなり、
前記組成物A22は、芳香環含有ジオール、芳香環含有ポリエーテルジオール又は炭素原子数C8〜C18の芳香環含有ヒドロキシ有機酸中の少なくとも1種からなり、
前記組成物Bは、組成物B1、組成物B2、組成物B3中のいずれか1種又は任意の質量比の2種以上の混合物からなり、
前記組成物B1は、脂肪族又は芳香族の多価アルコール、脂肪族又は芳香族の多元酸中のいずれか1種又は2種以上の混合物であり、
前記組成物B21は、イソシアネート系化合物、イソシアヌレート環多価アルコール又はイソシアネートポリエーテル多価アルコール中のいずれか1種又は2種以上の混合物から選ばれ、
前記組成物B3は、カルボジイミド系化合物から選ばれ、
数平均分子量6000〜135000g/mol、分子量分布1.2〜6.5、結晶温度範囲15℃〜105℃であることを特徴とする生分解性ポリエステル。
【請求項2】
前記組成物A11を構成する脂肪族二塩基酸、環状脂肪族二塩基酸、脂肪族二塩基酸のエステル誘導体又は環状脂肪族二塩基酸のエステル誘導体は、特に、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘンデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、1,1シクロブタンジカルボン酸、1,1-シクロヘキサン二酢酸、1,4-シクロヘキサン二酢酸、シクロヘキセン-1,2ジカルボン酸無水物、ノルボルナン2,3-ジカルボン酸又はアダマンタン二酢酸又はそのエステル化物等の二塩基酸又はそのエステル化物中の1種又は2種以上の混合物から選んだ炭素原子数C4〜C18の二塩基酸又はそのエステル化物であることを特徴とする請求項1記載の生分解性ポリエステル。
【請求項3】
前記組成物A21を構成する脂肪族ジオールは、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-tert-ブチル-1,3-プロパンジオール又は2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール中の1種又は2種以上の混合物から選んだものであり、
前記組成物A21を構成する環状脂肪族ジオールは、シクロペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール又はイソソルビド中の1種又は2種以上の混合物から選んだものであることを特徴とする請求項1記載の生分解性ポリエステル。
【請求項4】
前記組成物A21を構成する環状脂肪族ジオールは、イソソルビド又はその誘導体であることを特徴とする請求項1記載の生分解性ポリエステル。
【請求項5】
前記組成物A21を構成する脂肪族ポリエーテルジオールは、分子量範囲25〜12000g/molのエチレンオキシドの二量体、エチレンオキシドの三量体、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン又はエチレンオキシド-プロピレンオキシド共量体中の1種又は2種以上の混合物から選んだものであることを特徴とする請求項1記載の生分解性ポリエステル。
【請求項6】
前記組成物A21を構成するヒドロキシ脂肪酸は、グリコール酸、α-ヒドロキシプロピオン酸、β-リンゴ酸、β-ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシコハク酸、5-ヒドロキシ吉草酸、3-ヒドロキシカプロン酸、5-ヒドロキシカプロン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、7-ヒドロキシエナント酸、3,5-ジヒドロキシエナント酸、ヒドロキシカプリル酸、5-ヒドロキシカプリン酸、5-ヒドロキシドデカン酸、9,10,16-トリヒドロキシヘキサデシル酸、3,4-ジヒドロキシ桂皮酸、p-ヒドロキシ桂皮酸、アガリン酸又はそれらのポリマー中の1種又は2種以上の混合物から選んだものであることを特徴とする請求項1記載の生分解性ポリエステル。
【請求項7】
前記組成物A22を構成する芳香環含有ジオール及び芳香環含有ポリエーテルジオールは、いずれも化学式1に示す分子構造を持っており、
化学式1中、R1は−H、−CH3又は−C25、R2は−H、−CH3又は−C25であり、a、bは、a+b=2〜30の条件を満たす任意の正数から選んだものであることを特徴とする請求項1記載の生分解性ポリエステル。
【化1】

【請求項8】
前記組成物A22を構成する芳香環含有ヒドロキシ有機酸は、o-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシフタル酸メチルエステル又はその誘導体、4-ヒドロキシ無水フタル酸又は前記有機酸のポリマー中の1種又は2種以上の混合物から選んだものであることを特徴とする請求項1記載の生分解性ポリエステル。
【請求項9】
前記組成物B1を構成する多価アルコール又は多元酸は、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、グルコース、グルコシド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ポリエーテルトリオール、ポリエーテル四元アルコール、ピロメリット酸、ピロメリット酸二無水物、トリメシン酸、ベンゼントリカルボン酸、酒石酸、クエン酸、クエン酸無水物又は前記化合物のエステル誘導体中の1種又は2種以上の混合物から選んだものであることを特徴とする請求項1記載の生分解性ポリエステル。
【請求項10】
前記ポリエーテル四元アルコールは、化学式2に示す分子構造を持っており、
化学式2中、R3、R4、R5、R6は、いずれも−H又は−CH3であり、c、d、e、fは、c+d+e+f=4〜30の条件を満たす任意の正数から選んだものであることを特徴とする請求項9記載の生分解性ポリエステル。
【化2】

【請求項11】
前記組成物B2を構成するイソシアネート系化合物は、カルボジイミド改質のジイソシアネート、ブロック型イソシアネート又はジイソシアネートの二量体又は三量体であることを特徴とする請求項1記載の生分解性ポリエステル。
【請求項12】
前記ジイソシアネートは、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートヘキサン酸メチル、メチルシクロヘキセンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(シクロヘキセンジイソシアネート-4)、有機ケイ素ジイソシアネート又はカルボジイミド含有ジフェニルメタンジイソシアネート中のいずれか1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項11記載の生分解性ポリエステル。
【請求項13】
前記組成物B2を構成するイソシアヌレート環多価アルコール又はイソシアヌレート環ポリエーテル多価アルコールは、いずれも化学式3に示す分子構造を持っており、
化学式3中、R10、R11、R12は、いずれも−H、−CH3又は−CH2CH3であり、m、n、kは、m+n+k=3〜30の条件を満たす任意の正数から選んだものであることを特徴とする請求項1記載の生分解性ポリエステル。
【化3】

【請求項14】
前記組成物B3を構成するカルボジイミド系化合物は、カルボジイミド単量体、カルボジイミド重合体であるか、又は、分子構造において1〜30個のカルボジイミド基を含有する分子量40〜30000g/molの2種以上のカルボジイミド系化合物の任意の比率の混合物であることを特徴とする請求項1記載の生分解性ポリエステル。
【請求項15】
請求項1記載の生分解性ポリエステルの調製方法であって、
エステル化反応段階、エステル交換反応段階及び縮合重合反応段階を含み、
前記組成物Bの含有量が0でない場合、
前記組成物Bを、任意の反応段階の反応中、又は任意の反応段階の前、又は任意の反応段階の後、1回に全部入れるか又は数回に分けて入れ、
数回に分けて入れる場合、異なる反応段階の前又は後又は反応中に数回に分けて入れるか、又は、同一の反応段階の前又は後又は反応中に数回に分けて入れることを特徴とする生分解性ポリエステルの調製方法。

【公表番号】特表2011−518941(P2011−518941A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512816(P2011−512816)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/CN2009/071805
【国際公開番号】WO2010/130098
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(510164201)キンファ サイエンス アンド テクノロジー カンパニー リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】KINGFA SCIENCE & TECHNOLOGY CO., LTD
【出願人】(510164212)シャンハイ キンファ サイエンス アンド テクノロジー カンパニー リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI KINGFA SCIENCE & TECHNOLOGY CO., LTD
【Fターム(参考)】