説明

生分解性建設工事用シート及びその製造方法

【課題】使用後土中や堆肥中に埋設することにより、生分解して自然界に存在する 物に変換し、環境汚染を生ずることなく、優れた難燃性を示すシートを提供する。
【解決手段】生分解性樹脂織編物100重量部に対して、生分解性樹脂エマルジョンを固形分0〜20重量部となるように配合した生分解性難燃剤液で処理し、該液の固形分5〜50重量部を含浸付着して、加熱乾燥した生分解性樹脂難燃化織編物100重量部に対して、生分解性難燃剤0〜50重量部を添加した生分解性樹脂エマルジョンを固形分3〜70重量部となるように浸漬付着して、表面を被覆し加熱乾燥した生分解性建設工事用シートである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建設工事現場において、環境保全、危険防止及び火災防止のために展張したり被覆して使用される機械的特性に優れ、難燃性で生分解性を有する生分解性建築工事シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の建設工事用シート、メッシュシートは石油からのプラスチックであるポリエステル繊維やポリアミド繊維等の合成繊維から織編された繊維基布に塩化ビニル樹脂をコーティングしたものが使用されている。塩化ビニル樹脂でコーティングされたシート、メッシュシートは廃棄時に燃焼工程を通すとハロゲン系の物質が熱分解しダイオキシン等の発生、又は塩酸が発して焼却炉を傷める等の問題が生じる。また使用後に埋設した場合、ハロゲン系の物質は分解せず土壌に残留して土壌を汚染する。更に樹脂に含有されている環境ホルモンである可塑剤がブリードして土壌を汚染することになるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、地球環境浄化という世界的ニーズに対応したもので、使用後に土中や堆肥中に埋設すると生分解し、自然界に存在する物質に変換する特別の性能を有し、しかも優れた難燃性を有する建築工事用シート及びその製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
「1. 生分解性樹脂織編物100重量部に対して、生分解性樹脂エマルジョンを固形分0〜20重量部となるように配合した生分解性難燃剤液で処理し、該液の固形分5〜50重量部を含浸付着して、加熱乾燥した生分解性樹脂難燃化織編物100重量部に対して、生分解性難燃剤0〜50重量部を添加した生分解性樹脂エマルジョンを固形分3〜70重量部となるように浸漬付着して、表面を被覆し加熱乾燥した生分解性建設工事用シート。
2. 生分解性樹脂織編物の樹脂はポリ乳酸樹脂である、1項に記載された生分解性建設工事用シート。
3. 生分解性樹脂織編物の樹脂は変性ポリエチレンテレタフレート系樹脂である、1項に記載された生分解性建設工事用シート。
4. 生分解性樹脂織編物の繊維の強度は2.6cN/dtex以上である、1項ないし3項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
5. 生分解性樹脂エマルジョンは、ポリ乳酸系樹脂である、1項ないし4項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
6. 生分解性樹脂エマルジョンはポリブチレンサクシネート樹脂のポリブチレンサクシネートアジペート樹脂である、1項ないし4項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
7. 生分解性難燃剤液は、グアニジン系化合物、グアニル尿素系化合物、リン酸アンモニウム、短鎖状ポリリン酸アンモニウム、ジシアンジアミド、尿素、水溶性リン酸エステルから選ばれた少なくとも1種類を含む、1項ないし6項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
8. 生分解性難燃剤は、長鎖状ポリリン酸アンモニウム、ジシアンジアミドから選ばれた少なくとも1種類を含む、1項ないし6項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
9. シートは「JIS L 1091」のA−1法区分3、A−2法区分3、D法区分2の難燃性を有する、1項ないし8項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
10. シートがメッシュシートである、1項ないし9項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
11. 生分解性樹脂織編物100重量部に対して、生分解性樹脂エマルジョンを固形分0〜20重量部となるように配合した生分解性難燃液剤を固形分5〜50重量部が含まれるように含浸付着処理し、ついで加熱乾燥した生分解性樹脂難燃化織編物を該織編物100重量部に対して、生分解性難燃剤0〜50重量部を添加した生分解性樹脂エマルジョンを固形分3〜70重量部含まれるように浸漬付着処理して表面を被覆し、ついで加熱乾燥することを特徴とする、生分解性建設工事用シートの製造方法。」
に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態をあげて詳細に説明する。
本発明の生分解性樹脂織編物として使用する生分解性樹脂は特に限定しないが、脂肪族ポリエステル系樹脂が好ましい。具体的には乳酸、グリコール酸、乳酸ヒドロキシブチルカルボン酸等のヒドロキシアルキルカルボン酸、グリコリド、ラクチド、ブチロラクトン、カプロラクトン等の脂肪族ラクトン、エチレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族ジオール、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸等の重合原料を含有した樹脂が挙げられる。これらの中で耐熱性、機械的特性等から光学異性体を有するポリ乳酸同士の組み合わせたポリ乳酸系樹脂が特に好ましい。ポリ乳酸樹脂としては Nature works(Cargill Dow Polymers LLC) テラマック(ユニチカ株式会社登録商標)、レイシア(三井化学株式会社登録商標)が挙げられる。更にテレフタル酸、エチレングリコール、ジエチレングリコールをベース原料とした高融点、高結晶化の変性ポリエチレンテレタフレート成分でTg75℃以下で加水分解性の生分解性樹脂が好ましい。例としてはバイオマックス(デュポン株式会社登録商標)が挙げられる。 本発明の生分解性樹脂エマルジョンとしては特に限定しないが、脂肪族ポリエステル樹脂が好ましい。その中でポリ乳酸樹脂は耐水性がよく特に好ましい。例としてランディ PL−1000(ミヨシ油脂株式会社登録商標:固形分45%)、プラセマ L110(第一工業製薬株式会社登録商標:固形分50%)が挙げられる。ガラス転移点が−30℃以下で柔軟な性質があるポリブチレンサクシネート(PBS)樹脂、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)樹脂が好ましい。例としてはビオノーレEM301、ビオノーレ EM901(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)が挙げられる。製品の耐水性、柔軟性からポリ乳酸樹脂とPBS、PBSAと混合して使用するのがより好ましい。更に生分解性樹脂を紙、フィルム、織編物にコートする場合、溶剤に溶解した生分解性樹脂溶液を使用すると基材との接着強力が向上するので好ましい。
例として、ランディ EA−100(ミヨシ油脂株式会社登録商標:固形分30%)が挙げられる。
【0006】
更に織編物と難燃剤との固着性を付与する生分解性樹脂エマルジョンとして、エチルセルロース系生分解性樹脂が挙げられる。例として、ランディ CP−100S(ミヨシ油脂株式会社登録商標:固形分45%)、ランディ CP−100(ミヨシ油脂株式会社登録商標:固形分45%)が挙げられる。これらを配合すると製品の耐水性及び耐油性が向上するので好ましい。
生分解性樹脂エマルジョンを生分解性樹脂難燃剤液の固形分100重量部に対して0〜20重量部配合するが、配合すると織編物と難燃剤との固着性を向上し、耐水性も良くなる効果が奏されるが、20重量部を超えると製品が硬くなるので好ましくない。
【0007】
本発明で用いる生分解性難燃剤液に使用される難燃物質は、グアニジン系化合物としてはリン酸グアニジン、例としてアピンノ301(三和ケミカル株式会社登録商標)、スルファミン酸グアニジン、例としてアピノン101(三和ケミカル株式会社登録商標)、炭酸グアニジン、例として炭酸グアニジン(三和ケミカル株式会社登録商標)が挙げられる。グアニル尿素系化合物としては、例としてアピノン401(三和ケミカル株式会社登録商標)、リン酸アンモニウムとしては短鎖状ポリリン酸 アンモニウム(NHPO、例としてはホスタホラムAP420(クラリアントジャパン株式会社登録商標)が挙げられる。ジシアンジアミド 、例としてヂシアンヂアミド(日本カーバイド工業株式会社製登録商標)が挙げられる。尿素、例として尿素(日産化学株式会社製)が挙げられる。水溶性リン酸エステルとしては K−19A(明成化学工業株式会社登録商標)が挙げられる。これらの化学物質は1種類のみでなく複数種類添加して使用してもよい。
生分解性難燃剤液の溶媒は水である。従って、生分解性難燃剤液は水溶液又は水分散液として使用する。
本発明で用いる生分解性難燃剤である化学物質はマイクロカプセルしてない長鎖状ポリリン酸アンモニウムの例としてホスタフラム AP422(クラリアントジャパン株式会社製登録商標)が挙げられる。無機物で表面処理したものとしてホスタフラムP AP462(クラリアントジャパン株式会社登録商標)が挙げられる。ジシアンジアミドの例としてエピキュア PICY15(ジャパンエポキシ株式会社登録商標)、ヂシアンヂアミド(日本カーバイド工業株式会社製登録商標)が挙げられる。これらの化学物質は、1種類のみでなく複数種添加して使用してもよい。更に生分解性難燃剤と生分解性難燃剤液と混合して使用してもよい。これらの化学物質は、加水分解性の化学物質であり、肥料の主成分として用いられるものである。
【0008】
本発明の生分解性樹脂織編物で形成したシートは織製した織物でもよく、編製した編物でもよく、両者を併用したものでもよい。
本発明で用いる生分解性樹脂織編物100重量部に対して生分解性樹脂エマルジョンの固形分0〜20重量部を配合した生分解性難燃剤液固形分の含浸する重量は5〜50重量部存在することが必要である。5重量部以下では難燃化の効果は小さい。50重量部以上では難燃性促進の効果が小さくなり耐磨耗性が悪くなる欠点を生じるので好ましくない。生分解性樹脂織編物を生分解性難燃剤液で含浸し難燃化した生分解性樹脂難燃化織編物、更にこれを製品化した生分解性建設工事用シートは、風合いが柔軟である大きな特徴がある。風合いが柔軟であると工事用シートを折り畳み、運搬、工事現場での展張作業がよく特に好ましい。生分解性樹脂織編物を生分解性難燃剤液で含浸し、70〜140℃で加熱乾燥を行う。加熱炉には温度勾配を取り、入口は低く出口は高くする。140℃を超えると風合いが硬くなるので好ましくない。
【0009】
本発明において生分解性樹脂難燃化織編物100重量部に対して生分解性難燃剤0〜50重量部添加した生分解性樹脂エマルジョンの固形分3〜70重量部存在することが必要である。生分解性樹脂織編物が生分解性難燃液の含浸付着で生分解性難燃化織編物が十分難燃性になっている場合、生分解性樹脂エマルジョンに対する生分解性難燃剤の添加量は0重量部でよい。0重量部の場合は、生分解性樹脂難燃化織編物と生分解樹脂との密着性が良好である。50重量部以上加えても難燃効果が向上しなくなり生分解性樹脂難燃化織編物と生分解性樹脂との密着性が悪くなり問題も生ずるので好ましくない。生分解性樹脂難燃化織編物100重量部に対して生分解性難燃剤0〜50重量部添加した生分解性樹脂エマルジョンの固形分3〜70重量部で表面被覆するが固形分3重量部以下では生分解性樹脂難燃化織編物の糸の樹脂固定がルーズになり、目ズレ、目曲がりが生じ易くなり製品化した場合に耳部にほつれが生じる。また表面に樹脂成分が少ないために印刷性が悪くなり好ましくない。70重量部以上では製品が硬くなり好ましくない。風合いが硬いと工事用シートの折り畳み、工事現場での展張作業が悪くなる問題が発生する。
【0010】
生分解性樹脂難燃化織編物を生分解性難燃剤を添加した生分解性樹脂エマルジョンで含浸付着、表面をコートした後、加熱炉で乾燥する温度は70〜150℃であって加熱炉の入口は低くし、出口は高くする。入口温度が110℃以上では樹脂に発泡が生じることがあり好ましくなく、70℃〜110℃が好ましい。また出口温度が150℃以上ではシートが硬くなり好ましくない。加熱時間は数分でよい。
生分解性樹脂及び生分解性エマルジョンに生分解性可塑剤を添加すると製品の風合いが柔軟になり好ましい。例としてリケマールL009、リケマールL019、リケマールL710(理研ビタミン株式会社登録商標)、プラセマ S−1547(第一工業製薬株式会社登録商標)が挙げられる。
【0011】
生分解性樹脂織編物に使用する繊維の強度は2.6cN/dtexを超えることが好ましい。2.6cN/dtex以下では建設用工事シートに要求される引張強度や引裂強度等の機械的物性が低くなりシートとしての機能を発揮できなくなる。好ましくは3.0cN/dtex以上である。
本発明の建設工事用シートの織編物の織組織は平・綾・朱子の三原組織及びそれらを変化したもの、混合したもの、他の特殊なものであっても差し支えないが、特に軽量で、目づれが起こりにくく、好ましいのは平組織、模紗組織、搦み織組織等である。編組織はラッセル編が好適である。
【0012】
本発明でシート状織編物としてマルチフィラメント繊維で製織した織物の密度は経糸10本〜130本/10cm、緯糸10本〜130本/10cmのメッシュ状織編物を使用すると目開きしているので、風をよく通し高層ビル等の工事現場で使用する場合、風圧による支持物への負担を軽減することができ、さらに飛来落下防止効果に優れ、軽くて取扱性がよい利点がある。また、シート状織編物としてマルチフィラメント繊維で製織した織物の密度は経糸35〜60本/インチ、緯糸25〜60本/インチで平織りしたシート状織編物を使用すると目開きしていないので通気性がないが、風圧を受けるが防塵性、安全性がよく、印刷インキが均一で鮮明に印刷できる。またシートが薄くて強度が強い利点ある。シート状織編物としてスパン糸で製織した織物の密度は経糸43〜55本/インチ、緯糸35〜60本/インチのスパン糸織物を使用すると、織物と樹脂層との密着強度が強く、はためき等に耐え、樹脂層剥離が置きにくく、厚さが厚い重厚な製品が製造しやすい利点がある。
本発明では生分解性物質、無機物を種類及び量を選び、顔料、染料、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、可塑剤、安定剤、希釈剤、増粘剤、発泡剤、分散剤、防黴剤 、防藻剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン等を使用することができる。
本発明の生分解性建設工事用シートは生分解性樹脂と生分解性化学物質で構成されているので、使用後に廃棄する場合に土壌や堆肥中に埋没すると、バクテリヤ、水分、温度の相乗作用で分解し、農作物、園芸等の肥料として有効に活用できるものである。
【0013】
【実施例】
次に、実施例をあげて具体的に説明する。
実施例1
(A)プラネタリヤーミキサー(容量50リットル)にスルファミン酸グアニジン アピノン101(三和ケミカル株式会社登録商標:固形分100%)30重量部、水70重量部を添加し30分間撹拌し、生分解性難燃剤液を調合した。(B)プラネタリヤーミキサー(容量50リットル)にポリ乳酸樹脂エマルジョン ランディ PL−1000(ミヨシ油脂株式会社登録商標:固形分45%)220重量部、水280重量部を添加し30分間撹拌し、生分解性樹脂エマルジョンを調合した。
生分解性樹脂製シート状織編物はポリ乳酸繊維1000デニール×2本(1000デニール双糸)を3本からみ織りした、織物密度の経糸28本/10cm及び緯糸28本/10cmのシート状織編物で、重量390g/mである。該織物をガイドロールを通してピンチロールでピンチし、(A)で調合した生分解性難燃剤液を投入したディップ槽を通過含浸付着した後、マングロールで絞り、加熱炉温度80℃・100℃・120℃・130℃の温度勾配のある加熱炉を2分間で通過させ、加熱乾燥した後、原反をワインダーに巻き取った。生分解性樹脂難燃化織編物の重量は460g/mであった。該生分解性樹脂難燃化織編物をガイドロールを通してピンチロールでピンチし、さらにガイドロールを通し(B)で調合した生分解性樹脂エマルジョンを投入したディップ槽中を通過浸漬付着させ、絞りロールで絞った後、エアーブローして被覆織物の目に詰まった難燃樹脂を除去後、80℃・100℃・120℃・140℃の温度勾配のある加熱炉を2分間で通過させ、加熱乾燥ゲル化処理して、生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量525g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織編物、難燃剤の組成は表1に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表3に示す。
【0014】
実施例2
実施例1において(A)でスルファミン酸グアニジン アピノン101(三和ケミカル株式会社登録商標:固形分100%)10重量部、水90重量部を添加し(A)を調合した。該生分解性難燃剤液を使用して、実施例1と同様の生分解性樹脂製シート状織編物を実施例1と同様の含浸付着処理を行い、重量425g/mの生分解性樹脂難燃化織編物をワインダーに巻き取った。実施例1において(B)でポリ乳酸樹脂エマルジョン ランディ PL−1000(ミヨシ油脂株式会社登録商標:固形分45%)220重量部に難燃剤として長鎖状ポリリン酸アンモニウム ホスタフラム AP422(クラリアント株式会社登録商標:固形分100%)40重量部、水180重量部を添加し、実施例1と同様にして生分解性樹脂エマルジョン(B)を調合した。
該生分解性樹脂エマルジョンを用い実施例1と同様にして該生分解性樹脂難燃化織編物を処理して生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量560g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織編物、難燃剤の組成は表1に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表3に示す。
【0015】
実施例3
実施例1において(A)でスルファミン酸グアニジン アピノン101 を30重量部、水70重量部を使用する代わりに短鎖状ポリリン酸アンモニウム ホスタフラム AP420(クラリアント株式会社登録商標:固形分45%)60重量部、水40重量部を添加し、実施例1と同様にして生分解性難燃剤液を調合した。 実施例1において(B)ポリ乳酸樹脂エマルジョン ランディ PL−1000を220重量部の代わりにポリブチレンサクシネート樹脂エマルジョンビオノーレ EM301(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)200重量部に難燃剤として長鎖状ポリリン酸アンモニウム ホスタフラム AP422(クラリアント株式会社登録商標:固形分100%)20重量部、水300重量部を添加し、実施例1と同様にして生分解性樹脂難燃エマルジョンを調合した。
(A)の生分解性難燃剤液を用い、実施例1と同様の生分解性樹脂製シート状織編物を実施例1と同様の含浸付着処理をして重量455g/mの生分解性樹脂難燃化織編物をワインダーで巻き取った。
該(B)の生分解性樹脂難燃エマルジョンを用い実施例1と同様にして該生分解性樹脂難燃化織編物を処理し、生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量495g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織編物、難燃剤の組成は表1に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表3に示す。
【0016】
実施例4
実施例1において(A)でスルファミン酸グアニジン アピノン101 を30重量部の代わりにヂシアンヂアミド(日本カーバイド工業株式会社製:固形分100%)30重量部、水70重量部を添加し、プラネタリヤーミキサー(容量50リットル)の温度を60℃にし、60分間撹拌し、生分解性難燃剤液を調合した。
実施例1において(B)でポリ乳酸樹脂エマルジョン ランディ PL−1000を220重量部の代わりにポリブチレンサクシネート樹脂エマルジョン ビオノーレ EM901(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)200重量部、水300重量部を添加し、実施例1と同様にして生分解性樹脂難燃エマルジョンを調合した。
(A)の生分解性難燃剤液を用い、実施例1と同様の生分解性樹脂製シート状織編物を実施例1と同様の含浸付着処理を行って重量473g/mの生分解性樹脂難燃化織編物をワインダーで巻き取った。
該(B)の生分解性樹脂エマルジョンを用い実施例1と同様にして該生分解性樹脂難燃化織編物を処理して生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量525g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織編物、難燃剤の組成は表1に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表3に示す。
【0017】
実施例5
実施例1において(A)でスルファミン酸グアニジン アピノン101 を30重量部の代わりに尿素(日産化学工業株式会社製:固形分100%)30重量部、生分解性樹脂エマルジョン ランディ PL−1000(ミヨシ油脂株式会社登録商標:固形分45%)6重量部、生分解可塑剤 プラセマ S−1547(第一工業製薬株式会社製:固形分50%)2重量部、水60重量部を添加し、実施例1と同様にして生分解性難燃剤液を調合した。
(B)は実施例1と同様のものを使用した。
(A)の生分解性難燃剤液を用い、実施例1と同様の生分解性樹脂製シート状織編物を実施例1において加熱炉温度を80℃・100℃・120℃・120℃の温度勾配にした。 その他は実施例1と同様にし含浸付着処理して重量510g/mの生分解性樹脂難燃化織編物をワインダーで巻き取った。
実施例1と同様の(B)エマルジョンを用い、実施例1において加熱炉温度80℃・100℃・120℃・120℃の温度勾配にした。その他は実施例1と同様にして、該生分解性樹脂難燃化織編物を処理し、生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量610g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織編物、難燃剤の組成は表1に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表3に示す。
【0018】
実施例6
実施例1において(A)でスルファミン酸グアニジン アピノン101 を30重量部の代わりにリン酸グアニジン アピノン301(三和ケミカル株式会社製:固形分100%)30重量部、水70重量部を添加し、液の温度を50℃に加熱し、実施例1と同様にして生分解性難燃剤エマルジョンを調合した。
(A)の生分解性難燃剤液を用い、実施例1と同様の生分解性樹脂製シート状織編物を実施例1と同様にして含浸付着処理して重量460g/mの生分解性樹脂難燃化織編物をワインダーで巻き取った。
実施例1と同様の(B)エマルジョンを用い、実施例1と同様にして該生分解性樹脂難燃化織編物を処理し、生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量510g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織編物、難燃剤の組成は表1に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表3に示す。
【0019】
実施例7
実施例1において(A)でスルファミン酸グアニジン アピノン101 を30重量部、水60重量部に生分解性樹脂エマルジョン ランディ PL−1000(固形分45%)10重量部を添加し、実施例1と同様にして生分解性難燃剤液を調合した。
実施例1において生分解性樹脂製シート状織編物はポリ乳酸繊維500デニール、平織密度の経糸112本/10cm及び緯糸112本/10cm、重量130g/mを使用した。 該生分解性樹脂シート状織編物を実施例1と同様にして、該(A)難燃剤液を用いて含浸付着処理を行って重量158g/mの生分解性樹脂難燃化織編物をワインダーで巻き取った。
(B)実施例1と同様にしたものを使用し、実施例1と同様にして該生分解性樹脂難燃化織編物を処理し、生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量196g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織編物、難燃剤の組成は表1に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表3に示す。
【0020】
実施例8
実施例1において(A)でスルファミン酸グアニジ アピノン101を30重量部、水70重量部に生分解性エマルジョン ビオノーレ EM301(昭和高分子株式会社登録商標:固形分50%)5重量部を添加して生分解性難燃剤液を調合した。実施例1において使用した(B)で生分解性樹脂エマルジョン ランディ PL−1000(ミヨシ油脂株式会社登録商標:固形分45%)を使用する代わりに、プラセマ L110(第一工業製薬株式会社登録商標:固形分50%)200重量部、水100重量部を添加して、実施例1と同様にして生分解性樹脂エマルジョンを調合した。
実施例1において生分解性樹脂製シート状織編物はポリ乳酸繊維500デニール、平織密度の経糸112本/10cm、緯糸112本/10cm、重量130g/mを使用した。
該生分解性樹脂シート状織編物を該難燃剤液(A)を用い、実施例1と同様にして含浸付着処理を行って、重量164g/mの生分解性樹脂難燃化織編物をワインダーに巻き取った。
(B)エマルジョンを用い、実施例1と同様にして該生分解性樹脂難燃化織編物を処理し、生分解性難燃被覆物からなる重量212g/mのメッシュシート原反をワインダーに巻き取った。用いたシート状織編物の難燃剤の組成は表1に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表3に示す。
【0021】
実施例9
実施例1において生分解性樹脂織編物はポリ乳酸繊維、経糸500デニール/24フィラメント、緯糸500デニール/24フィラメント、織物の密度、経糸が54本/インチ、緯糸54本/インチ、重量258g/mを使用した。実施例1において使用した(A)を使用し、生分解性樹脂織物を実施例1と同様に含浸付着処理を行って重量310g/mの生分解性樹脂難燃化織編物をワインダーに巻き取った。
実施例1において(B)はポリ乳酸樹脂エマルジョン プラセマ L110(第一工業製薬株式会社登録商標:固形分50%)200重量部、プラセマ S−1547(第一工業製薬株式会社製:固形分50%)10重量部、水300重量部を添加し、実施例1と同様にして生分解性樹脂難燃エマルジョンを調合した。
該生分解性樹脂難燃エマルジョンを使用し、実施例1と同様にして該生分解性樹脂難燃化織編物を処理して、生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量356g/mのシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織編物の難燃剤の組成は表2に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表4に示す。
【0022】
比較例1
実施例1において(A)を用いた含浸処理は行わなかった。実施例1において(B)はポリ乳酸樹脂エマルジョン ランディ PL−1000を220重量部、長鎖状ポリリン酸アンモニウム ホスタフラム AP422(固形分100%)40重量部、水30重量部を添加して実施定1と同様にして生分解性樹脂難燃剤エマルジョンを調合した。
該生分解性樹脂難燃剤エマルジョンを使用し、実施例1と同様の生分解性樹脂製シート状織編物を実施例1と同様の含浸付着処理して生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量530g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織編物、難燃剤の組成は表2に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表4に示す。
【0023】
比較例2
実施例1において(A)でスルファミン酸グアニジン アピノン101を3重量部、水97重量部を添加し、実施例1と同様にして生分解性難燃剤液を調合した。
該生分解性難燃剤液を用い、実施例1で使用した生分解性樹脂製シート状織編物を実施例1と同様にして含浸付着処理して重量398g/mの生分解性樹脂難燃化織編物をワインダーで巻き取った。
該生分解性樹脂難燃化織編物を実施例1で使用した(B)を用いて実施例1と同様に処理して重量460g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織編物の難燃剤の組成は表2に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表4に示す。
【0024】
比較例3
実施例1において(B)をポリ乳酸樹脂エマルジョン ランディ PL−1000(固形分45%)220重量部、水1380重量部を添加し、実施例1と同様にして生分解性樹脂エマルジョンを調合した。
実施例1と同様の(A)を用いて、実施例1と同様の生分解性樹脂製シート状織編物を実施例1と同様の含浸付着処理して生分解性樹脂難燃被覆物重量460g/mの生分解性難燃化織編物をワインダーで巻き取った。
該(B)の生分解性樹脂エマルジョンを用いた実施例1と同様にして該生分解性難燃化織編物を処理し、生分解性樹脂難燃被覆物からなる重量470g/mのメッシュシート原反をワインダーで巻き取った。用いたシート状織編物、難燃剤の組成は表2に示し、処理したメッシュシートの性能を測定した結果は表4に示す。
【0025】
比較例1は生分解性難燃剤液で処理しない例である。
比較例2は生分解性難燃剤の難燃組成物に対する重量比が小さい例である。
比較例3は樹脂被覆難燃物が生分解性樹脂難燃化織編物に対する重量比が小さい例である。
【0026】
【表1】



【0027】
【表2】



【0028】
【表3】



【0029】
【表4】



【0030】
諸性能の測定方法
1.燃焼試験
「JIS L 1091」に準じて測定
A−1法(45度ミクロバーナー法)
A−2法(45度メッケルバーナー法)
区分 3 合格
区分 2,1 不合格
D法(接炎法)
区分 2 合格
区分 1 不合格
2.分解性
試料をコンポスターに投入し、80℃にて14日間放置し、試験後の各試料の残存状 態を評価した。
分解性:試験後の残渣が
ない:○
ある:×
3.重 量:「JIS L 1096」に準じて測定
4.引張試験:「JIS L 1096」に準じて測定
5.剛軟性:「JIS L 1096」に準じて測定(45度カンチレバー法)
試験片:幅1.5cm、長さ20cm
柔軟性は、剛軟性の評価による。
非常に柔軟である ◎ (10cm以下)
柔軟である ○ (10〜15cm)
硬い △ (15〜20cm)
非常に硬い × (20cm以上)
6.耳部の解れ
解れの発生がない ○
解れの発生がある ×
7.スコット摩耗法(B法):「JIS L 1096」に準じて測定
1(kgf) ×1000(回)
剥離なし ◎
剥離がわずかあり ○
剥離がある △
剥離が大きい ×
8.吸水試験後の重量減少
吸水試験:25(℃)×24(時間)
乾燥 乾燥:100(℃)×4(時間)
【0031】
【発明の効果】
本発明は使用後、土中や堆肥中に埋設することにより生分解し、自然界に存在する物質に変換し、環境を汚染することがなく、しかも優れた難燃化を示す効果を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性樹脂織編物100重量部に対して、生分解性樹脂エマルジョンを固形分0〜20重量部となるように配合した生分解性難燃剤液で処理し、該液の固形分5〜50重量部を含浸付着して、加熱乾燥した生分解性樹脂難燃化織編物100重量部に対して、生分解性難燃剤0〜50重量部を添加した生分解性樹脂エマルジョンを固形分3〜70重量部となるように浸漬付着して、表面を被覆し加熱乾燥した生分解性建設工事用シート。
【請求項2】
生分解性樹脂織編物の樹脂はポリ乳酸樹脂である、請求項1項に記載された生分解性建設工事用シート。
【請求項3】
生分解性樹脂織編物の樹脂は変性ポリエチレンテレタフレート系樹脂である、請求項1に記載された生分解性建設工事用シート。
【請求項4】
生分解性樹脂織編物の繊維の強度は2.6cN/dtex以上である、請求項1ないし3項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
【請求項5】
生分解性樹脂エマルジョンは、ポリ乳酸系樹脂である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
【請求項6】
生分解性樹脂エマルジョンはポリブチレンサクシネート樹脂のポリブチレンサクシネートアジペート樹脂である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
【請求項7】
生分解性難燃剤液は、グアニジン系化合物、グアニル尿素系化合物、リン酸アンモニウム、短鎖状ポリリン酸アンモニウム、ジシアンジアミド、尿素、水溶性リン酸エステルから選ばれた少なくとも1種類を含む、請求項1ないし6項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
【請求項8】
生分解性難燃剤は、長鎖状ポリリン酸アンモニウム、ジシアンジアミドから選ばれた少なくとも1種類を含む、請求項1ないし6項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
【請求項9】
シートは「JIS L 1091」のA−1法区分3、A−2法区分3、D法区分2の難燃性を有する、請求項1ないし8項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
【請求項10】
シートがメッシュシートである、請求項1ないし9項のいずれか1項に記載された生分解性建設工事用シート。
【請求項11】
生分解性樹脂織編物100重量部に対して、生分解性樹脂エマルジョンを固形分0〜20重量部となるように配合した生分解性難燃液剤を固形分5〜50重量部が含まれるように含浸付着処理し、ついで加熱乾燥した生分解性樹脂難燃化織編物を該織編物100重量部に対して、生分解性難燃剤0〜50重量部を添加した生分解性樹脂エマルジョンを固形分3〜70重量部含まれるように浸漬付着処理して表面を被覆し、ついで加熱乾燥することを特徴とする、生分解性建設工事用シートの製造方法。

【公開番号】特開2004−315994(P2004−315994A)
【公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−108732(P2003−108732)
【出願日】平成15年4月14日(2003.4.14)
【出願人】(392031572)キョーワ株式会社 (22)
【出願人】(596088174)
【Fターム(参考)】