説明

生分解性樹脂成形体及びその製造方法

【課題】通気・通水性、耐割れ性を有する生分解性樹脂成形体を容易に製造すること。
【解決手段】ポリ乳酸をポリイソシアネート化合物で架橋したビーズの水分散液に、ブタン等の発泡剤を含浸させて、生分解性樹脂発泡粒子を作製し、これを予備発泡機で、水蒸気加熱し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得え、更に金型内で、加熱融着して、製造された20%以上60%以下の空隙率を有する生分解性樹脂成形体、及び該生分解性樹脂成形体による植栽容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空隙構造を有する生分解性樹脂成形体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで花卉や樹木を植栽するに際し、予め合成樹脂素材をポット状もしくはトレー状に成形した植栽容器内で路地育成し、これを所望する植栽地にそのまま搬送し、植栽現場で合成樹脂製の植栽容器から抜き出して植栽することが行われてきた。
【0003】
このような方法は作業性が良くないばかりでなく、植栽容器は土中で分解しないため、植栽する際には植栽容器から植物を引き抜いて植栽する必要があり、この際に成長した根の先端が傷つき、成長に影響を与えるという欠点があった。こうした課題を解決するべく最近では生分解性樹脂や天然素材を用いた成形体や不織布を用いた植栽容器が多く提案されるようになった。
【0004】
植栽容器の特徴として、土を入れて運ぶため、その容器は軽量でかつ強度があるほうが好ましい。又、植物を生育させるために通水・通気性が必要である。
【0005】
例えば特許文献1、2には通気・通水性を有する発泡成形体が開示されているが、生分解性ではないため、植栽容器から植物を引き抜いて植栽する必要がある。特許文献3には、通水ブロックの製造方法が開示されており、ポリオレフィンの減容品を、バインダーを使用することなく空隙を持たせて熱融着させて製造しているため通気・通水性がある。しかし、そのまま土中に埋め込んだ場合、土中残存して環境負荷を与える。
【0006】
また、特許文献4は、ポリエチレンを用いて、結晶性の熱可塑性樹脂からなる発泡状態の芯層と、該芯層を被覆する実質的に非発泡状態の被覆層からなる発泡粒子を金型内に充填し、金型内に水蒸気または熱風を導入して該発泡粒子を加熱、融着させて得られた発泡粒子成形体である。当該成形体は、空隙構造で通気・通水性があるものの、発泡粒子が点融着であるために強度が出にくく土を入れて運搬する際に、破壊する恐れがある。
【0007】
特許文献5には、成形後の育苗ポットの見かけ密度が原料に用いた発泡体粒子の見かけ密度の1倍以下である生分解性樹脂発泡粒子を成形してなる育苗ポットが開示されている。開示されている育苗ポットは、発泡粒子の型内への充填量と加熱成形圧を調整して発泡体を得ており、通気・通水性はあるものの点融着である為、十分な強度が得られない場合がある。
【特許文献1】特開2003−25362号公報
【特許文献2】特開2003−143941号公報
【特許文献3】特開平6−286006号公報
【特許文献4】特開2003−39565号公報
【特許文献5】特開2002−27838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、通気・通水性、耐割れ性を有する生分解性樹脂成形体を容易に製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、生分解性樹脂発泡体を加熱成形することで簡便に空隙構造を有する生分解性樹脂成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明の第1は、生分解性樹脂発泡体を加熱してなる、20%以上60%以下の空隙率を有する生分解性樹脂成形体に関する。
【0011】
好ましい態様としては、
(1)生分解性樹脂発泡体が、生分解性樹脂発泡粒子である、
(2)生分解性樹脂がポリ乳酸系樹脂である、
(3)ポリ乳酸系樹脂が、非晶性ポリ乳酸と、非晶性ポリ乳酸100重量部に対して結晶性ポリ乳酸0重量部以上20重量部以下含んでなる、
前記記載の生分解性樹脂成形体に関する。
【0012】
本発明の第2は、生分解性樹脂発泡体を140℃以上240℃以下、1分以上60分以下加熱して得られることを特徴とする前記記載の生分解性樹脂成形体の製造方法に関し、
好ましくは、生分解性樹脂発泡体を140℃以上240℃以下、1分以上60分以下乾熱加熱して得られることを特徴とする前記記載の生分解性樹脂成形体の製造方法に関する。本発明の第3は、前記記載の生分解性樹脂成形体からなる植栽容器に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の生分解性樹脂成形体は、樹脂壁面どうしが融着してなるため、空隙構造を有するものの耐割れ性が良好である。また、適度な空隙を有しているため、通気・通水性が良好である。
【0014】
本発明の製造方法は、加熱成形で空隙構造を有する生分解性樹脂成形体が得られるため、簡便に通気・通水性を有する生分解性樹脂成形体を得ることが出来る。
【0015】
本発明の生分解性樹脂成形体は、耐割れ性を有しているため、土を入れて花卉や樹木を植栽する植栽容器として好適に使用することが出来る。また、生分解性を有するため、植栽容器から植物を引き抜いて植栽する必要がなく、かつ、通気・通水性を有するためそのまま土中に埋めても分解して環境に負荷を与えない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の生分解性樹脂成形体は、生分解性樹脂発泡体を加熱してなる。
【0017】
本発明における生分解性樹脂とは、微生物の働きによって低分子化合物に分解される樹脂をいう。具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体、ポリブチレンサクシネート類、ポリ乳酸系樹脂が例示される。これらの中でも、2次発泡力が大きいことや発泡剤の保持性が良く、発泡粒子での保存が可能なため、成形機や予備発泡機を持たない業者でも対応できることから、ポリ乳酸系樹脂を使用することが好ましい。
【0018】
本発明で使用しうるポリ乳酸系樹脂とは、乳酸モノマーのL体とD体のモル比が100/0〜80/20、又は20/80〜0/100の範囲が好ましく、更に好ましくは85/15、又は15/85の範囲である。L体とD体のモル比が100/0〜80/20、又は20/80〜0/100の範囲の場合、結晶性が低いため高い倍率の発泡成形体が得やすい。また、ポリ乳酸系樹脂は、一部モノマーが乳酸と交換可能なヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール等で置き換わってもよく、エポキシ化大豆油やエポキシ化亜麻仁油等で一部分岐架橋されていても良い。
【0019】
本発明においては、ポリ乳酸系樹脂は、非晶性ポリ乳酸と、非晶性ポリ乳酸100重量部に対して結晶性ポリ乳酸0重量部以上20重量部以下含んでなることが好ましい。このようなポリ乳酸系樹脂を使用すると、結晶性が低く、高い倍率の発泡成形体が得やすいため好適である。ここで、非晶性ポリ乳酸とは、乳酸モノマーのD体比率が7%以上である樹脂をいい、結晶性ポリ乳酸とは、乳酸モノマーのD体比率が7%未満である樹脂を言う。
【0020】
ポリ乳酸系樹脂を使用する場合、ポリイソシアネート化合物やエポキシ化合物等の架橋剤を使用して、ゲル分を持たせることが好ましい。その際、混合した樹脂を使用する場合、各々の樹脂に必要に応じてゲル分を持たせた後混合してもよいし、各々の樹脂を混合した後にゲル分を持たせてもよい。
【0021】
架橋剤のうち、ポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。ポリイソシアネート化合物を用いることで、混練時の増粘によるトルクアップが少なく、また、混練後に水分の存在下で加熱することで、架橋反応を行うことが出来るからである。ポリイソシアネート化合物の中でも、汎用性、取り扱い性、耐候性等の観点からトリレン、ジフェニルメタン骨格とするポリイソシアネート化合物、特にジフェニルメタンのポリイソシアネートを使用することが好ましい。
【0022】
架橋剤の添加量は、任意に選定することが可能であるが、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.1重量部以上6.0重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.2重量部以上5.0重量部以下、更に好ましくは0.5重量部以上4.0重量部以下である。添加量が当該範囲内であれば、ポリ乳酸系樹脂の溶融粘度を発泡に適した領域まで上昇させることができる傾向がある。
【0023】
本発明の生分解性樹脂中には、例えば、黒、灰色、茶色、青色、緑色等の着色剤を添加してもよい。着色剤を含有した生分解性樹脂を用いることにより、着色された成形体を得ることができる。着色剤としては、有機系、無機系の顔料、染料などが挙げられる。このような顔料及び染料としては、従来公知の各種のものを用いることができる。
【0024】
生分解性樹脂には、気泡調整剤や、難燃剤、帯電防止剤、耐候剤、末端封鎖剤などの添加剤を添加しても良い。
【0025】
また、気泡調整剤として、例えば、タルク、炭酸カルシウム、ホウ砂、ほう酸亜鉛、水酸化アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の無機物を予め添加することができる。
【0026】
着色剤、気泡調整剤、その他添加剤の添加量は、通常、生分解性樹脂100重量部に対して0.001重量部以上5重量部以下が好ましく、0.02重量部以上3重量部以下がより好ましい。
【0027】
本発明の生分解性樹脂発泡体とは、シート状の押出発泡体、発泡粒子の形態が挙げられるが、中でも、発泡粒子であることが、生分解性樹脂成形体とするときに生分解性樹脂成形体に均質に空隙を付与できるため好ましい。
【0028】
生分解性樹脂発泡粒子は、生分解性樹脂から公知の方法で製造することができる。例えば、生分解性樹脂を、二軸押出機を用いて溶融混練し、生分解性樹脂粒子形状とする。得られた生分解性樹脂粒子を水、発泡剤、分散剤等と共にオートクレーブに仕込み、昇温した後冷却し、生分解性樹脂発泡性粒子を得、該生分解性樹脂発泡性粒子を予備発泡機に投入し、水蒸気導入により生分解性樹脂発泡粒子を得ることが出来る。
【0029】
或いは、生分解性樹脂粒子を水、発泡剤、分散剤等と共にオートクレーブに仕込み、加圧・加熱した後、低圧雰囲気下に放出することで、生分解性樹脂発泡粒子を得ることが出来る。
【0030】
また、生分解性樹脂と発泡剤を押出機にて溶融混練した後、押出し、発泡させながら、或いは発泡した後に粒子形状に切断して生分解性発泡粒子を得ることが出来る。また、生分解性樹脂と発泡剤を押出機にて溶融混練した後、押出しながら切断して生分解性樹脂発泡性粒子を得、水蒸気導入により生分解性樹脂発泡粒子を得る方法等が例示できる。
【0031】
中でも、生分解性樹脂粒子から生分解性発泡性粒子を得、蒸気等で予備発泡して生分解性樹脂発泡粒子を得る方法が、加水分解しない低温蒸気により高発泡粒子を得られる傾向があるため好ましい。
【0032】
発泡剤としては、特に限定はなく従来公知のものが使用でき、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソヘキサン、ノルマルヘキサン、シクロブタン、シクロヘキサン、イソペンタン、ノルマルペンタン、シクロペンタン等の炭化水素系発泡剤や、塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素系発泡剤、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル系発泡剤、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気等の無機系発泡剤が挙げられ、単独或いは2種以上を併用することが出来る。これらの内、生分解性樹脂に対するガス散逸が少なく、所望の発泡性が得らやすい傾向があることから、炭化水素系発泡剤であることが好ましく、中でも炭素数3以上6以下の炭化水素系発泡剤がより好ましい。
【0033】
例えば、生分解性樹脂としてポリ乳酸系樹脂を使用する場合、次のようにして発泡粒子を製造することが出来る。
【0034】
ポリ乳酸系樹脂に架橋剤を添加し、二軸押出機を用いて溶融混練して、ポリ乳酸系樹脂粒子形状とする。得られたポリ乳酸系樹脂粒子と共に水、発泡剤、比重調整の食塩、分散剤等をオートクレーブに仕込み、昇温した後冷却し、ポリ乳酸系樹脂発泡性粒子を得、該ポリ乳酸系樹脂発泡性粒子を予備発泡機に投入し、水蒸気導入によりポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることが出来る。
【0035】
本発明では、生分解性樹脂発泡体を、所定の金型に充填し、好ましくは140℃以上240℃以下、より好ましくは160℃以上200℃以下の温度で、好ましくは1分以上60分以下、より好ましくは10分以上30分以下で加熱することで、生分解性樹脂成形体とすることが出来る。加熱は、水蒸気加熱、高温乾燥空気等が挙げられるが、高温乾燥空気を使用することが好ましい。好ましくは、生分解性樹脂発泡体を140℃以上240℃以下、1分以上60分以下乾熱加熱することが好ましい。
【0036】
加熱温度が140℃未満であれば、発泡粒子同士が融着しない場合がある。240℃より高い、或いは加熱時間が60分より長いと、生分解性樹脂発泡体が収縮して、良好な形状の生分解性樹脂成形体が得られない場合がある。
【0037】
好ましくは、生分解性樹脂発泡体として、生分解性樹脂発泡粒子をもちいて、該生分解性樹脂発泡粒子を金型に充填し、好ましくは140℃以上240℃以下、より好ましくは160℃以上200℃以下の温度で、好ましくは1分以上60分以下、より好ましくは10分以上30分以下で乾熱加熱することで、本発明の生分解性樹脂成形体を得ることが出来る。
【0038】
以上のようにして得られた本発明の生分解性樹脂成形体は、空隙率が20%以上60%以下であり、好ましくは25%以上50%以下、より好ましくは30%以上40%以下である。当該範囲であると、通気・通水性と耐割れ性のバランスがよい。
【0039】
なお、空隙率は、成形体の外形寸法より算出される成形体の見掛け体積と、成形体をエタノール中に沈めた時、増加した容積から求められる成形体の真の体積の差を成形体の見掛け体積で除した値を百分率で表わしたものである。
【実施例】
【0040】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において、断りのない限り「部」や「%」は重量基準である。実施例において各評価は以下のようにして行った。
【0041】
<空隙率測定>
空隙率:A(体積%)=[(B−C)÷B]×100 ・・・(1)
上記(1)式において、Bは成形体の見掛け体積(cm3)、Cは成形体の真の体積(cm3)を示す。成形体の見掛け体積:B(cm3)は、成形体の外形寸法より算出される体積である。また成形体の真の体積:C(cm3)は、成形体の見掛け体積:Bから空隙部の容積を除いた実質体積で、:C(cm3)に相当する。
【0042】
<通気性評価>
成形体の通気性を評価するため、圧縮空気を試料に当てて背圧を測定した。圧縮空気0.02〜0.04MPaの条件で背圧測定を行った。
◎…非常に良い(背圧値が0MPa)
○…良い(背圧値が0.001〜0.01MPa)
×…悪い(背圧値が0.02〜0.04MPa)
【0043】
<耐割れ性評価>
成形体の耐割れ性を評価するために100×100×50mmの成形体を両手10秒間で力を加え、割ることを試みた。
○…割れなかった
×…割れた
【0044】
<収縮性の評価>
成形体の収縮性を評価するために、100×100×50mmの金型寸法に対する寸法変化を調べた。
収縮率(%)=(加熱前の体積−加熱後の体積)÷加熱前の体積]×100 ・・(2)
○…収縮率が20%未満(殆ど収縮しない)
△…収縮率が20%以上50%未満
×…収縮率が50%以上(大きく収縮する)
【0045】
(実施例1)
乳酸モノマーのD体とL体のモル比が90/10であるポリ乳酸樹脂100重量部に対してポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン(株)製、MR−200)を3.0重量部添加したものを二軸押出機(東芝機械製TEM35B)を用いて、シリンダー温度185℃で溶融混練し、水中カッターを用いて約1mmφ(約1.5mg)のビーズ状のポリ乳酸系樹脂粒子を得た。
【0046】
得られたポリ乳酸系樹脂粒子100重量部に対して、水100重量部、発泡剤として脱臭ブタン(ノルマルブタン/イソブタン=70/30)12重量部、食塩10重量部、分散助剤としてポリオキシエチレンオレインエーテル0.3重量部をオートクレーブに仕込み、84℃で90分間保持した。十分に冷却後取出し、乾燥してポリ乳酸系樹脂発泡性粒子を得た。得られたポリ乳酸系樹脂発泡性粒子の含浸率は5.5%であった。
【0047】
えられたポリ乳酸系樹脂発泡性粒子を予備発泡機「BHP−300」(ダイセン工業製)に1.5kg投入し、90℃の蒸気に40〜60秒間保持し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡倍率は33倍であった。
【0048】
得られた発泡粒子を100mm×100mm×50mmのステンレス網製の型に充填し、乾熱乾燥機にて160℃、30分加熱して、生分解性樹脂成形体を得た。空隙率は36.8%であった。また背圧はかからず、通気性に優れている。
【0049】
(実施例2)
実施例1で作製した発泡粒子を用いて加熱条件を180℃、30分で行った以外は実施例1と同様にして生分解性樹脂成形体を得た。空隙率は25.7%であり、通気性も良かった。
【0050】
(実施例3)
実施例1で作製した発泡粒子を用いて加熱条件を150℃、30分で行った以外は実施例1と同様にして生分解性樹脂成形体を得た。空隙率は54.9%であり、通気性も良かった。
【0051】
(実施例4)
乳酸モノマーのD体比率10%の非晶性ポリ乳酸87.5重量部とD体比率4.5%の結晶性ポリ乳酸12.5重量部であるポリ乳酸樹脂100重量部に対してポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン(株)製、MR−200)を3.0重量部添加したものを二軸押出機(東芝機械製TEM35B)を用いて、シリンダー温度185℃で溶融混練し、水中カッターを用いて約1mmφ(約1.5mg)のビーズ状のポリ乳酸系樹脂粒子を得た。
【0052】
得られたポリ乳酸系樹脂発泡性粒子を予備発泡機「BHP−300」(ダイセン工業製)に1.5kg投入し、90℃の蒸気に40〜60秒間保持し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。
【0053】
得られた発泡粒子を100mm×100mm×50mmのステンレス網製の型に充填し、乾熱乾燥機にて170℃、30分加熱して、生分解性樹脂成形体を得た。
(比較例1)
100℃、30分の条件で加熱すると融着が不良であり、崩れて良好な成形体が得られなかった。
【0054】
(比較例2)
発泡粒子の長さと直径の比(L/D)が2以上3以下の柱状形状であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子(以下PP)を蒸気加熱して、空隙率を有するPP発泡成形体を得た。空隙率は25.9%で、圧縮空気0.04MPaの時に背圧値0.004MPaとなり通気性も良かった。しかし、空隙率、通気性はあるものの手で容易に割れた。
【0055】
(比較例3)
特許文献5と同条件で実験を行った。すなわち、ポリ乳酸系樹脂粒子を85℃〜92℃の蒸気に90秒間熱成形し、厚み10mmのポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。空隙率は8.3%、圧縮空気0.04MPaの時に背圧値0.04MPaとなり通気性はない。また、融着が良好でないために手で容易に割れた。
【0056】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性樹脂発泡体を加熱してなる、20%以上60%以下の空隙率を有する生分解性樹脂成形体。
【請求項2】
生分解性樹脂発泡体が、生分解性樹脂発泡粒子である請求項1記載の生分解性樹脂成形体。
【請求項3】
生分解性樹脂がポリ乳酸系樹脂である請求項1または2記載の生分解性樹脂成形体。
【請求項4】
ポリ乳酸系樹脂が、非晶性ポリ乳酸と、非晶性ポリ乳酸100重量部に対して結晶性ポリ乳酸0重量部以上20重量部以下含んでなる請求項3記載の生分解性樹脂成形体。
【請求項5】
生分解性樹脂発泡体を140℃以上240℃以下、1分以上60分以下加熱して得られることを特徴とする請求項1〜4何れか一項に記載の生分解性樹脂成形体の製造方法。
【請求項6】
生分解性樹脂発泡体を140℃以上240℃以下、1分以上60分以下乾熱加熱して得られることを特徴とする請求項5に記載の生分解性樹脂成形体の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4何れか一項に記載の生分解性樹脂成形体からなる植栽容器。

【公開番号】特開2010−111828(P2010−111828A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287784(P2008−287784)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】