説明

生分解性粒子およびその製造方法

【課題】
本発明は、粒子間で凝集あるいは固結することなく成形することが可能であり、主に医薬医療用途であるカテーテルやニードル、注射器などの器具が有する、その粒子サイズよりも小さい内径を持つ微小口径の管内、あるいは血管内において凝集詰まりを起こすことなく搬送・注入でき、特定期間経過後に材料がスムーズに分解し、最終的に分解成分が吸収され得る、または体外へ排出可能であるような生分解性粒子を提供することを目的とする。
【解決手段】
飽和含水状態での粒子の圧縮弾性率が10MPa以下であることを特徴とする生分解性粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に医薬医療用機器であるカテーテル、ニードル、注射器などが有する、その粒子サイズよりも小さな微小口径を有する管を通して搬送される生分解性微粒子に関する。特に生体内に搬入され機能を発揮し、役目を終えた後、特定期間経過後に生体内で分解され、最終的には分解成分が吸収され得る、または体外排出可能であるような、生体内に残存しない材料として使用できる生分解性微粒子、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医学の分野では、治療の安全性や、患者に負担をかけない低侵襲治療の考え方が重視されるようになっている。それに伴い、より安全な材料を設計・合成する技術や、体内に投与する技術が発達している。その一つは、細い口径の管を通した治療あるいは薬投与の技術である。管の口径が細いことで、患者の体を無駄に切開することもなくなり、体内への管の挿入に伴う痛みも激減した。カテーテルによる治療はその顕著な例である。もう一つは、体内に残らない生分解性・体内吸収性の材料に関する技術である。ポリ乳酸やポリグリコール酸、ポリカプロラクトンなどから成る縫合糸や整形外科材料は臨床現場でも使用されており、最近ではこれらの素材を活用した再生医療の研究成果も多数報告されている。体内で分解・吸収されるポリマー粒子についても主に薬剤のキャリアとして知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
また、肝臓などの臓器の手術に伴う切開に先立って、塞栓材料を血管内に注入することにより、確実かつ迅速に止血し、出血を最小限にすることができる。また、かかる塞栓材料を用いた技術、療法として、出血防止のための用途の他に、切除不能な腫瘍に対し、止血により栄養を遮断する動脈塞栓術への用途、さらには抗癌剤と血管塞栓材料とを組み合わせて投与して腫瘍内での抗癌剤濃度を高く維持する化学塞栓療法が知られている。一方で、カテーテルおよびその操作手法の発達により、適当なキャリア微粒子や塞栓材料を局所位へ選択的に正確に送り込むことが可能となっている。
【0004】
血管塞栓材料としては、これまでゼラチンスポンジ、ポリビニルアルコール、分解性デンプン粒子(DSM)、ヨウ化ケシ油、架橋コラーゲン繊維、エチルセルロースマイクロカプセル、シアノアクリレート、ステンレスコイルなどが用いられていた。中でもポリマー粒子からなる塞栓材料は、造影剤などに分散させた状態で、生体内に配置されたマイクロカテーテルを介して、マイクロシリンジなどにより患部に向けて注入することにより体内に導入することができる。かかるポリマー粒子の塞栓材料は深部に位置する患部まで到達して塞栓を形成することができる。
【0005】
しかしながら、ポリマー粒子からなるキャリア微粒子や塞栓材料には以下のような問題点がある。
(1)形状が不定形で粒度分布が広いため、目的部位でその機能が発揮されないことがある。
(2)カテーテル、ニードルまたは注射器などの医薬医療用機器の管内において凝集あるいは高粘度化して詰まることがある。特にカテーテルの内径よりも小さい粒子を通過させる際に詰まりが起こることが多い。
(3)患部に至る途中の正常な血管内において凝集あるいは高粘度化するため、目的部位まで到達させることができないことがある。
(4)塞栓材料として用いた場合、材質が硬く、血管の断面形状にフィットしないため、血流量を低下させることはできても、完全に塞栓できない場合がある。
(5)さらに、生体内分解性材料としては、血液に接する箇所とそうでない箇所など、置かれた環境の微小な違いにより分解速度が大きく異なることがある。
(6)粒径が適当でないため、目的部位に留置できないことがある。
【0006】
従来技術として、生分解性ポリマーであるポリ乳酸(以下、PLAと記載)またはポリ(乳酸/グリコール酸)コポリマー(以下、PLGAと記載)からなる粒子や(非特許文献1参照)、特定の薬剤を含有する生分解性材料が開示されているが(特許文献3参照)、これは基材ポリマーの疎水性が高く、上記の(2)〜(5)の問題があった。
【0007】
一方、ポリエチレングリコール(以下、PEGと記載)と、PLAまたはPLGAからなるブロックコポリマーとして、PLA−PEG、PLA−PEG−PLA、PLGA−PEG−PLGAなどの構造からなる基材ポリマーに薬剤を混合して徐放させるという技術の製薬・獣医薬用途への適用が開示されている(特許文献4参照)。しかし、これは基材ポリマーの柔軟性と成形に必要な強度の調整が困難であり、上記の(1)〜(5)のいずれかの問題があった。
【0008】
また、水不溶性のPEG系コポリマーからなる血管塞栓材料が開示されている(特許文献5)。しかし、これも基材ポリマーの柔軟性と成形に必要な強度との調整が困難であり、上記の(1)〜(5)のいずれかの問題があった。
【0009】
上記の生分解性粒子をカテーテルからの注入によって搬送する際のカテーテル管内での詰まりを改善する技術として、フィルムの引張弾性率が1500MPa以下である、ポリエチレングリコール系コポリマー等の水不溶性ポリマーからなる粒子が開示されている(特許文献6)。しかしながら、ここに開示される技術は、同文献の実施例に示されるようにカテーテル管の内径よりも小さい粒子サイズのカテーテル通過性を改善する技術にとどまっており、カテーテル管の内径よりも大きな径の粒子の通過性を改善するための発明に至っていないため、カテーテル管の内径よりも大きい径を持った粒子によるカテーテル管内での詰まりを防止するために必要なコポリマーの分子量範囲、あるいは組成等が見いだされていない。
【特許文献1】特許第3242118号公報
【特許文献2】特許第3428972号公報
【特許文献3】特開平5−969号公報
【特許文献4】特公平5−17245号公報
【特許文献5】特開2004−167229号公報
【特許文献6】特開2004−313759号公報
【非特許文献1】バスティアン・P(Bastian P),バートカウスキー・R(Bartkowski R)ら著,「ケモエンボリゼーション・オブ・エクスペリメンタル・リバー・メタスタシーズ(Chemo−embolization of experimental liver metastases.)」,ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマシューティクス・アンド・バイオファーマシューティクス(European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics),1998年,第43巻,p243−254.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、粒子間で凝集あるいは固結することなく成形することが可能であり、主に医薬医療用途であるカテーテルやニードル、注射器などの器具が有する、その粒子サイズよりも小さい内径を持つ微小口径の管内、あるいは血管内において凝集詰まりを起こすことなく、かつ必要な強度を保った状態で搬送・注入でき、特定期間経過後に材料がスムーズに分解し、最終的に分解成分が吸収され得る、または体外へ排出可能であるような生分解性粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1.飽和含水状態での粒子の圧縮弾性率が10MPa以下であることを特徴とする生分解性粒子。
2.飽和含水状態において1MPa以上かつ50MPa未満のフィルムの引張り弾性率を有する水不溶性ポリマーAと、飽和含水状態において50MPa以上のフィルムの引張り弾性率を有する水不溶性ポリマーBとからなることを特徴とする生分解性粒子。
3.該水不溶性ポリマーBの割合が20重量%以上であることを特徴とする前記2に記載の生分解性粒子。
4.水溶性ポリマーと生分解性ポリマーとから得られる生分解性粒子であって、水溶性ポリマーの重量比率が50%以上である水不溶性ポリマーCと、水溶性ポリマーの重量比率が50%未満である水不溶性ポリマーDとがブレンドされたものであることを特徴とする生分解性粒子。
5.該水不溶性ポリマーDの割合が20重量%以上であることを特徴とする前記4に記載の生分解性粒子。
6.飽和含水状態での粒子の圧縮弾性率が10MPa以下であることを特徴とする前記2〜5のいずれかに記載の生分解性粒子。
7.該水溶性ポリマーがポリアルキレングリコールもしくはその誘導体であることを特徴とする前記4〜6のいずれかに記載の生分解性粒子。
8.ポリアルキレングリコールもしくはその誘導体が被覆されることを特徴とする前記1〜7のいずれかに記載の生分解性粒子。
9.該ポリアルキレングリコールの重量平均分子量が1,000以上かつ40,000以下であることを特徴とする前記8に記載の生分解性粒子。
10.該ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールであることを特徴とする前記8または9に記載の生分解性粒子。
11.粒子が球状であることを特徴とする前記1〜10のいずれかに記載の生分解性粒子。
12.該水不溶性ポリマーA〜Dの少なくともいずれか1つが、水溶性ポリマーと生分解性ポリマーとが結合したコポリマーであることを特徴とする前記2〜11のいずれかに記載の生分解性粒子。
13.該生分解性ポリマーがα−ヒドロキシ酸単位を含有することを特徴とする前記4〜12のいずれかに記載の生分解性粒子。
14.該α−ヒドロキシ酸単位が、ポリ乳酸単位および/またはポリグリコール酸単位であることを特徴とする前記13に記載の生分解性粒子。
15.該水不溶性ポリマーの重量平均分子量が1,000〜100,000であることを特徴とする前記3〜14のいずれかに記載の生分解性粒子。
16.37℃のリン酸緩衝生理食塩水浸漬28日後における残存重量および/または重量平均分子量の割合が、浸漬前に対して80%以下であることを特徴とする前記1〜15のいずれかに記載の生分解性粒子。
17.粒径が5〜2000μmであることを特徴とする前記16のいずれかに記載の生分解性粒子。
18.医薬医療用として使用されることを特徴とする前記1〜17のいずれかに記載の生分解性粒子。
19.体内留置デバイスとして使用されることを特徴とする前記1〜18のいずれかに記載の生分解性粒子。
20.塞栓治療用として使用されることを特徴とする前記19に記載の生分解性粒子。
21.粒度分布が、平均粒径の±60%以内となるものであることを特徴とする前記18〜20のいずれかに記載の生分解性粒子。
22.飽和含水状態において1MPa以上かつ50MPa未満のフィルムの引張り弾性率を有する水不溶性ポリマーAと、飽和含水状態において50MPa以上のフィルムの引張り弾性率を有する水不溶性ポリマーBとをブレンドして粒子を得ることを特徴とする生分解性粒子の製造方法。
23.該水不溶性ポリマーBのブレンドの割合が20重量%以上であることを特徴とする前記22に記載の生分解性粒子の製造方法。
24.粒子を球状に成形して得ることを特徴とする前記22または23に記載の生分解性粒子の製造方法。
25.該水不溶性ポリマーAおよびBが、水溶性ポリマーと生分解性ポリマーとが結合したコポリマーであることを特徴とする前記22〜24のいずれかに記載の製造方法。
26.水溶性ポリマーと生分解性ポリマーとが結合した水不溶性ポリマーから得られる生分解性粒子の製造方法であって、該水不溶性ポリマーが、水溶性ポリマーの重量比率が50%以上である水不溶性ポリマーCと、水溶性ポリマーの重量比率が50%未満である水不溶性ポリマーDとをブレンドしたものであることを特徴とする生分解性粒子の製造方法。
27.該水溶性ポリマーが、ポリアルキレングリコールもしくはその誘導体であることを特徴とする前記25または26のいずれかに製造方法。
28.該ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールであることを特徴とする前記27に記載の製造方法。
29.該ポリアルキレングリコールの重量平均分子量が1,000以上かつ40,000以下であることを特徴とする前記27または28に記載の製造方法。
30.該生分解性ポリマーがα−ヒドロキシ酸単位を含有することを特徴とする前記25〜29のいずれかに記載の製造方法。
31.該α−ヒドロキシ酸単位が、ポリ乳酸単位および/またはポリグリコール酸単位であることを特徴とする前記30に記載の生分解性粒子。
32.該水不溶性ポリマーの重量平均分子量が1,000〜100,000であることを特徴とする前記22〜31のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の生分解性粒子は粒子間で凝集あるいは固結することなく成形することができ、特に主に医薬医療用途であるカテーテル、ニードル、注射器などの器具が有する、その粒子サイズよりも小さい内径を持つ管内、あるいは血管内において凝集詰まりを起こすことなく、かつ必要な強度を保った状態で目的部位に到達することができ、さらに留置部位や留置環境によらず特定の期間後に生体内でスムーズに分解し、最終的には分解成分が吸収され得る、または体外へ排出可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明における生分解性粒子とは、加水分解に代表される化学的分解によって、あるいは細胞や微生物が産生する酵素によって分解する粒子である。主に加水分解されるものが好ましい。用いられる生分解性粒子の原料としては、特に限定されるものではないが天然ポリマー、人工的に合成されたポリマーのいずれであってもよく、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ酸無水物、ポリペプチド、ポリ(α−シアノアクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリ(オルソエステル)、ポリフォスファゼン、ポリアミノ酸、生分解性ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリイミノカーボネート、核酸、多糖類などがあり、具体的な代表例としてゼラチン、キチン、キトサン、デキストラン、アラビアゴム、アルギン酸、デンプン、ポリ乳酸(以下、PLAと記載)、ポリグリコール酸(以下、PGAと記載)、ポリ乳酸グリコール酸共重合体(以下、PLGAと記載)、ヒドロキシ末端ポリ(ε―カプロラクトン)−ポリエーテル、ポリカプロラクトン、n−ブチルシアノアクリル酸、および上記ポリマーから成る共重合体などが挙げられる。
【0014】
本発明の生分解性粒子は、口径がその粒子サイズよりも小さな微小口径の管内を容易に通過することができるような弾性を有し、かつカテーテル管内、血管内等において必要とされる強度を保つことができる材料が好ましいことから、飽和含水状態での圧縮弾性率が10MPa以下であり、0.5MPa以上、10MPa以下であることが好ましく、5MPa以下であることがより好ましく、3MPa以下であることが更に好ましい。ここでいう飽和含水状態とは、常温の純水中に浸漬した材料について、その含水率が一定になった状態をいう。なお、ここで含水率が一定であることとは、ある材料について数時間が経過してもその重量変化が3%以内に収まることをいう。飽和含水状態において10MPaを超える圧縮弾性率を有する材料は、生分解性粒子の粒径よりも内径の小さい管を有するマイクロカテーテルなどで投与して使用する材料として硬く、適当ではない。
【0015】
弾性特性は、例えば以下のようにして評価することができる。
【0016】
[測定条件]
圧縮試験機:MCT−W500;(株)島津製作所製(または、同一条件にて同一の結果が得られる装置であれば問題ない。)
試験室温度:25℃
試験室湿度:50%
上部加圧圧子:平面タイプφ500μm
負荷速度:4.462mN/sec
この方法によって得られる応力−歪み曲線に対して、以下の式で圧縮弾性率を求めることができる。
圧縮弾性率(単位:MPa)=(δ2−δ1)/(ε2−ε1)
ここで、歪みε1=0.0005、歪みε2=0.0025。δ1、δ2は、応力-歪み曲線から一義的に決まるε1、ε2に対応する圧縮応力。
【0017】
本発明においては、微小口径の管内を容易に通過できるような柔らかい弾性を発現させるために、引張弾性率の異なる少なくとも2種類の水不溶性ポリマーをブレンドすることが好ましい。具体的には、粒子を構成する水不溶性ポリマーはフィルム形成能を有するものであり、該水不溶性ポリマーを形成する一方のポリマー(ポリマーA)は飽和含水状態でのフィルムの引張弾性率が1MPa以上、50MPa未満であり、もう一方のポリマー(ポリマーB)は50MPa以上であり、400MPa以下であることが好ましい。更に、必要な強度を保つために、ポリマーBの割合が20重量%以上であることが最も好ましい。このようなブレンドにより製造される粒子が有する弾性率は、単一のポリマーの組成を制御して得られるものではない。
【0018】
本発明におけるフィルムの引張弾性率とはフィルムの引張特性のひとつであるが、本発明における飽和含水状態でのフィルムの引張特性とは、フィルム形成能を有する水不溶性ポリマーから得られたフィルムを、含水率が一定になるまで常温で純水中に浸漬した後、測定を行って得られた弾性率、伸度などの特性値を指す。なお、ここで含水率が一定であることとは、ある材料について数時間が経過してもその重量変化が3%以内に収まることをいう。
【0019】
フィルムの引張特性は、例えば以下のようにして評価することができ、これと同等の結果が得られる評価方法であればよい。なお、フィルム形成方法としては、キャスト法、バーコーター法などがあるが、本発明における引張弾性率とはキャスト法によって形成したフィルムによって測定したものをいう。
【0020】
[測定条件]
引張試験機:RTM−100型;(株)オリエンテック製(または、同一条件にて同一の結果が得られる装置であれば問題ない。)
試験室温度:25℃
試験室湿度:50%
試験片形状:短冊型(80mm×7.5mm)
試験片厚み:30μm±10μm
チャック間距離:20mm
試験速度:10mm/分
なお、本発明の生分解性粒子には、上記した引張弾性率の異なる少なくとも2種のポリマーに加えて後述する他の成分、すなわち油性造影剤、薬効成分等を加えてもよい。
【0021】
本発明の生分解性粒子の形状は特に限定されないが、特に人体を対象とした医薬医療用途を考慮した場合、37℃において粒子形状を保持することが好ましく、さらには球状粒子であることが好ましい。ここでいう球状の粒子とは、任意の一方向から粒子を円として観察した場合の、円の内径の最大長に対する最大長垂直長の比率が0.5以上、1.0以下、好ましくは0.8以上、1.0以下の範囲に含まれるような粒子を意味し、真球形状は言うまでもなく、ラグビーボール型の楕円体や回転楕円体などの形状も含む。また、本発明の粒子が37℃において液状、ジェル状など粒子形状を保持しない場合、強度が低いために目的とする部位に留置できない可能性が生じる。一方、球状形状を保持した粒子であればより効果的に体内留置および目的とする機能を発揮することが可能となる。
【0022】
粒子の造粒方法としては、転動造粒法、流動層造粒法、噴霧層造粒法、撹拌造粒法、解砕造粒法、圧縮造粒法、押出造粒法、液滴固化造粒法など公知の方法を採用することができる。例えば、液滴固化造粒法では、水不溶性ポリマーをジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチルまたはイソプロピルエーテルなどに溶解し、これを界面活性剤、保護コロイド剤などを含有する水相に分散し、公知の油/水型(以後、O/W型と記載)または水/油/水型(以後、W/O/W型と記載)液中乾燥法あるいはそれに準じた方法、スプレードライ法などの方法により粒子状にすることで製造することができる。ここで用いる界面活性剤、保護コロイド剤としては安定なO/W型エマルションを形成しうるものであれば特に限定されないが、例えばアニオン性界面活性剤(オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体など)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチンなどが挙げられる。これらの中から、1種類あるいは複数を組み合わせて使用してもよい。とりわけ、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ゼラチンが好ましい。その水溶液濃度は、0.01〜80重量%、より好ましくは0.05〜60重量%の中から選ばれ、この濃度を調整することにより、粒子形状および/または粒径を調整することができる。また、水不溶性ポリマー溶解液のポリマー濃度を調整することによっても、粒子形状または粒径の調整が容易に可能となる。上記製造方法によって製造された粒子は一般的に球状粒子であるが、様々な粒径の粒子を含んでいる。目的の粒径、目的の粒度分布を有する粒子を得るためには、複数の篩いを使用することができる。複数の篩いを目の細かい方から順に積み重ね、最も目の粗い最上段の篩いに、上記製造方法で調製した粒子を分散した液を投入すると、粒子は粒径よりも小さいメッシュサイズの篩いの上に留まるため、粒子を粒径毎に分けることができる。篩いのメッシュサイズは特に限定されず、目的の粒径と粒度分布に合わせて適宜選択してよい。
【0023】
本発明の生分解性粒子は粒径が5〜2,000μmであることが好ましく、さらには10〜1,500μmであることが好ましい。生分解性粒子をキャリア微粒子として用いる場合、この範囲であるとカテーテル、ニードルまたは注射器などを介してスムーズに体内へ留置でき、目的部位で機能を発揮することが可能であるため、好ましい。また、生分解性粒子を塞栓用途として用いる場合は、この範囲であると目的部位を効果的に塞栓可能であるため、好ましい。また、かかる用途に使用する際、その粒度分布が平均粒子径の±60%以下、さらには平均粒子径の±50%以下であることがより好ましい。
【0024】
本発明において粒径、平均粒子径、粒度分布とは、25℃での純水または生理食塩水中におけるそれを指す。本発明の粒子の粒子径および粒度分布の測定は、市販の種々の測定装置で可能であって、特にリーズ・アンド・ノースラップ社(株)製粒度分布測定装置“マイクロトラックシリーズ”によるものは測定を生理食塩水中で行うことができるので、血管または体内の環境に近い状態で測定することができる点で好ましい。またはこれと同等の結果が得られる装置によるものであれば問題ない。平均粒子径は、体積平均の値より算出され、“マイクロトラックシリーズ”においては、粒子の真球度に依らず、“MV”値として表示される。
【0025】
本発明に係る水不溶性ポリマーは、水溶性ポリマーと生分解性ポリマーとが化学的に結合したコポリマーからなることが好ましい。ここでいう水溶性ポリマーとは、常圧下で飽和濃度以下の濃度でポリマーを水の中に添加したとき、添加した量の全てが溶解し、均一な溶液を与えるポリマーのことをいう。ポリマーの溶解に必要な時間や温度は特に限定されない。また、水不溶性ポリマーとは、かかる水溶性ポリマーの定義から外れるポリマーをいう。かかるコポリマーにおける水溶性ポリマーと生分解性ポリマーとの比率を制御することで、前述した水不溶性ポリマーAと水不溶性ポリマーBとをそれぞれ調製でき、これらをブレンドすることによって本発明に係る生分解性粒子を得ることができる。具体的な比率としては、特に限定されるものではないが、水不溶性ポリマーの中に占める水溶性ポリマーの重量比率が50%以上の水不溶性ポリマーCと、重量比率が50%未満の水不溶性コポリマーDとをブレンドすることが好ましい。更に、必要な強度を保つために、ポリマーDの割合が20重量%以上であることが最も好ましい。
【0026】
また、かかる水溶性ポリマーとしてはポリアルキレングリコールを用いたものが好ましい。かかる水溶性ポリマーを用いた水不溶性コポリマー、すなわち、水不溶性ポリアルキレングリコール系コポリマーとは、ポリアルキレングリコールもしくはその誘導体をその一成分とするブロックコポリマーなどである。ポリアルキレングリコールもしくはその誘導体と物理的に相互作用することにより水不溶化するものであってもよい。ポリアルキレングリコールとしては、PEG、ポリプロピレングリコールが挙げられるが、生体適合性があり、医薬医療用途において実績のあるPEGがもっとも好ましい。とりわけ、PEGもしくはPEG誘導体と生分解性ポリマーが化学的に結合した水不溶性PEG系コポリマーからなることが好ましく、特に限定はされないが、PEGの両末端あるいは片末端に生分解性ポリマーが化学的に結合したコポリマー、またはPEGと生分解性ポリマーが交互に結合したコポリマーが好ましく用いられる。
【0027】
また、ここで生分解性ポリマーとは、加水分解に代表される化学的分解によって、あるいは細胞や微生物が産生する酵素によって分解するポリマーをいう。かかる生分解性ポリマーの種類は、特に限定されるものではなく、ポリエステル、多糖類、ポリペプチドなどが好ましいが、α−ヒドロキシ酸単位を含有するものであることが最も好ましい。α−ヒドロキシ酸単位を含有するものの例としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸が挙げられる。かかる生分解性ポリマーであって、PEGもしくはPEG誘導体と化学的に結合する性質を有する生分解性ポリマーの原料としては、特に限定されるものではないが、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシカプリン酸、ラクチド、グリコリド、リンゴ酸などを挙げることができ、これらのいずれか1つ以上を含有していることが好ましく、さらには2種類以上を組み合わせて使用しコポリマーとすることがより好ましく、特に乳酸(またはラクチド)とグリコール酸(またはグリコリド)の組み合わせが好ましい。この場合、乳酸とグリコール酸との重量比は100:0〜30:70であることが好ましい。なお、上記の内、乳酸やラクチドのように分子内に光学活性を有する化合物の場合は、D体、L体、D,L体、D体とL体の混合物のいずれであってもよい。
【0028】
本発明の生分解性粒子は、コア部分に重量平均分子量1,000〜100,000、好ましくは2,000〜90,000である水不溶性コポリマー、例えば水不溶性ポリアルキレングリコール系コポリマーを含有していることが好ましい。重量平均分子量が1,000未満であるとゲル状となりカテーテルやニードルの管の表面に粘着し、目的とする部位まで到達することができない場合があり、一方、重量平均分子量が100,000を超えると粒子が生体内で分解するための時間が長くなり過ぎることがある。
【0029】
また、かかるポリアルキレングリコールもしくはその誘導体は、重量平均分子量が200〜40,000であることが好ましい。200より小さいとポリアルキレングリコール系コポリマーの親水性が低く、均一な生分解性が得られないことがある。一方、40,000より大きいと、生体内で分解したコポリマーから生成するポリアルキレングリコールが体外に排出されにくくなることがある。また、ポリアルキレングリコール誘導体の構造は、特に限定されることはなく、マルチアームポリアルキレングリコール誘導体も含めた構造のものを好ましく用いることができる。ポリアルキレングリコールもしくはその誘導体にと生分解性ポリマーとの重量比は、特に限定されるものではないが、80:20〜5:95の範囲でより好ましく用いることができる。
【0030】
以下、本発明に係る水不溶性ポリマーの製造方法の代表的な例として、ポリアルキレングリコールもしくはポリアルキレングリコール誘導体と生分解性ポリマーとからなる水不溶性ポリアルキレングリコール系コポリマーの製造方法を例示する。水不溶性ポリアルキレングリコール系コポリマーを合成するための方法は特に限定されるものではないが、溶融重合、開環重合などが挙げられる。例えば、乾燥空気あるいは乾燥窒素気流中、撹拌翼を備えた重合槽中に、原料である所定の平均分子量の水溶性ポリマー(ポリアルキレングリコールもしくはポリアルキレングリコール誘導体)と生分解性ポリマー原料(モノマー等)を投入し、その混合物を触媒とともに撹拌しながら加熱することで、水不溶性のコポリマーが得られる。使用する触媒は、通常のポリエステルの重合に使用される触媒であれば特に限定されるものではない。例えば、塩化スズ等のハロゲン化スズ、2−エチルヘキサン酸スズ等の有機酸スズ、ジエチル亜鉛、乳酸亜鉛、乳酸鉄、ジメチルアルミニウム、カルシウムハイドライド、ブチルリチウムやt−ブトキシカリウム等の有機アルカリ金属化合物、金属ポルフィリン錯体またはジエチルアルミニウムメトキシド等の金属アルコキシド等を挙げることができる。また、ベント付き二軸混練押出機またはそれに類似する撹拌および送り機能を有する装置を用いて、生分解性ポリマー原料、ポリアルキレングリコールもしくはポリアルキレングリコール誘導体および触媒を溶融状態で撹拌、混合、脱気しつつ、連続的に生成した水不溶性ポリマーを取り出すことにより重合を遂行することもできる。さらに、生成した水不溶性ポリマーを良溶媒に溶解し、これに貧溶媒を滴下し沈殿が生成した後、白濁物の温度を変化させて再度沈殿物を溶解させた後に再び元の温度にゆっくりと戻して沈殿を再生成させるという再沈操作により、分別精度を向上させることもできる。前記分別沈殿法に使用する良溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランやハロゲン系有機溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム)またはこれらの混合溶媒を例示することができる。前記分別沈殿法に使用する貧溶媒としては、アルコール系や炭化水素系の有機溶媒が好ましい。そして、生分解性ポリマーと水溶性ポリマーの種類、さらにはそれらの分子量を適宜選択することによって、多様な種類の水不溶性ポリアルキレングリコール系コポリマーを製造することができる。
【0031】
上記においては、水不溶性ポリアルキレングリコール系コポリマーについて例示したが、ポリアルキレングリコールの代わりにポリヒドロキシメチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ポリビニルピロリドンなどを用いても、同様に水不溶性ポリマーを得ることができる。
【0032】
本発明における生分解性粒子は、粒子表面が親水性合成ポリマーで被覆されていてもよい。親水性合成ポリマーとは、水中で膨潤するかまたは水溶性の合成ポリマーを意味し、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、ポリヒドロキシメチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ポリビニルピロリドンなどが例として挙げられるが、本発明においては、粒子間で凝集、固結することなく成形できる点で、ポリアルキレングリコールが好ましい。特に、臨床実績があり、生体適合性が高い点からポリエチレングリコールが最も好ましい。被覆について、その一態様として粒子表面が表面改質する程度に親水性合成ポリマーが付着または吸着している状態が挙げられるが、親水性合成ポリマーにより粒子表面に滑性が与えられる程度であれば特に限定されず、ポリアルキレングリコールにより粒子が包含されている状態、またはポリアルキレングリコールが部分付着または吸着している状態に関わらず好ましいものである。ただし、より確実に滑性を与えるためには粒子表面の表面積の30%以上、さらに好ましくは40%以上に親水性合成ポリマーが付着または吸着していることが好ましい。
【0033】
本発明の生分解性粒子は、特定の期間経過後に生体内で分解し、分解成分が吸収または体外へ排出される材料であることが望まれるため、37℃のリン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSと省略)浸漬28日後における残存重量が、浸漬前の80%以下である特性を有することが好ましい。すなわち、生分解性粒子が分解によりその分子量が低下し、37℃のPBSに溶けやすくなるため、かかる指標により生分解性を評価することが可能となる。なお、ここで言う重量とは、乾燥状態における粒子の重量をいう。さらには該残存重量が70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。PBS浸漬28日後の重量測定方法については、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法で測定することができる。
(PBS浸漬28日後の重量測定方法)
粒子20mg(乾燥状態における重量)を精秤し、栄研器材(株)製の滅菌丸底10mlスピッツ管に入れ、純水にて10倍希釈したPBS(ナカライテスク(株)製10倍濃縮 pH7.4、Code.No.27575−31)を10ml注入する。これを37℃に設定した恒温槽“Laboster LC−110”(タバイエスペック(株)製)内で、100回転/分の“Tube Rotertor TR−350”((株)井内盛栄堂製)によって攪拌しながらインキュベーションする。インキュベーションされた溶液を7日おきに3000回転/分で遠心分離し、上澄み液を分離後、新しいPBSと交換する。
【0034】
PBS浸漬28日後の粒子について、3000回転/分で遠心分離し、上澄み液を除去し、さらに10mlの純水で洗浄する。再び3000回転/分で遠心分離して純水を除去し、粒子重量が一定になるまで真空乾燥を行い、得られた粒子の重量を精秤する。なお、ここで粒子重量が一定とは、数時間が経過しても重量変化が5%以内に収まる状態をいう。残存重量割合(W(%))は、PBS浸漬前の重量(W(g))、28日浸漬後の重量(W(g))から、W(%)=W/W×100により算出することができる。
【0035】
本発明の生分解性粒子は、37℃のPBS浸漬28日後における重量平均分子量が、浸漬前の80%以下である特性を有することが好ましい。さらには該重量平均分子量が70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。37℃のPBS浸漬28日後の重量平均分子量が80%以下である特性を有することにより、体内において粒子素材の低分子化、溶出、圧潰がスムーズに行われるため、使用後、不要となった粒子の体内に占める体積が減少し、人体への影響が小さくなる。
【0036】
分子量の測定方法は特に限定はされるものではないが、例えば以下の方法で測定することができる。
(重量平均分子量の測定方法)
精秤した10mgの粒子を2mlのクロロホルムに溶解させ、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略記)用フィルター“マイクレスLG13”(MILLIPORE SLLGH13NL)でろ過する。そのろ液についてGPC用カラム(東ソーTSK−gel−GMHHR−M)2本、カラム温度35℃、移動相をクロロホルム1ml/min、サンプル打ち込み量100μlの条件下で測定を行い、示差屈折率計(東ソー製RI−8010)にて検出する。カラムのキャリブレーションは、測定直前に東ソー標準ポリスチレンを用いて行う。
【0037】
なお、平均分子量は、データ解析用ワークステーション((株)島津製作所製“Class−Vp”)を用い、標準ポリスチレンの分子量とカラム溶出時間の関係から得られる検量線を用いて算出することができる。
【0038】
PBS28日浸漬後のPBS浸漬前に対する重量平均分子量の割合(M(%))は、PBS浸漬前の重量平均分子量(M)、28日浸漬後の重量平均分子量(M)から、M(%)=M/M×100により算出することができる。
【0039】
本発明の生分解性粒子は、PBS浸漬28日後の残存重量が浸漬前の80%以下という要件、およびPBS浸漬28日後の重量平均分子量が浸漬前の80%以下という要件の双方を充足するものであるとさらに好ましい。生分解速度の調整方法としては特に限定されるものではないが、コポリマー中の生分解性ポリマーの分子量を調整すること、すなわち、例えばマルチアームPEG誘導体を用いて化学結合する生分解性ポリマー分子量を小さくすることにより、または、コポリマー中の生分解性ポリマーの結晶性を調整すること、すなわち、例えば生分解性ポリマーとしてPLGAを用いることにより、より好ましく粒子の生分解速度調整が可能である。また、生分解性粒子のコア部分を内部分散型複合化構造、または被覆型複合化構造にすることも好ましい。水不溶性ポリマーに分解速度の違う別の水不溶性ポリマーを内部分散させ、またはこれらを複層構造にすること、例えば、PLA−PEG−PLA構造を有する水不溶性ポリマーにPLGA−PEG−PLGA構造を有する水不溶性ポリマーを内部分散させることにより、生分解性粒子の生分解速度を調整可能である。
【0040】
本発明の生分解性粒子の用途は特に限定されないが、特にカテーテルやニードルを使用する医薬医療用途において、更には体内に留置するデバイスとして好ましく用いられる。
【0041】
ここでいうデバイスとは、病気の治療や診断、予防に関連した何らかの機能を有する装置を意味する。装置の大きさ、形状、素材、構造などは特に限定されない。例えば、血管塞栓物質や、薬剤を徐放するドラッグデリバリーシステムなどが挙げられる。
【0042】
本発明の生分解性粒子は、そのまま使用することができ、あるいは使用時に適当な造影剤あるいは分散媒に分散して使用することができる。造影剤としては、水溶性が好ましく、公知のものを用いることができ、イオン性、非イオン性のいずれであってもよい。具体的には、“イオパミロン”(シェーリング社製)、“ヘキサブリックス”(栄研化学)、“オムニパーク”(第一製薬製)、“ウログラフィン”(シェーリング社製)、“イオメロン”(エーザイ製)などを挙げることができる。この場合、粒子と造影剤を使用前に混合してから所定の部位へ注入することができる。粒子の含水性が高いと、造影剤の一部が水とともに粒子内部に含浸・保持されて、造影性を効率良く発現するため、より好ましい。分散媒としては、分散剤(例えばポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、カルボキシメチルセルロースなど)、保存剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール、ブドウ糖など)を注射用蒸留水に溶解したもの、あるいはゴマ油、コーン油などの植物油が挙げられる。分散された粒子をカテーテルにおいて用いる際、先端が体内の所望箇所近傍まで導かれたカテーテルを介して、適当な動脈から腫瘍支配動脈へ、X線透視により造影剤位置をモニタリングしつつ、投与する。
【0043】
また、この生分解性粒子には通常の注射剤に用いられる防腐剤、安定化剤、等張化材、可溶化剤、分散剤、賦形剤などを添加してもよい。
【0044】
本発明の生分解性粒子は、油性造影剤であるヨウ化ケシ油(リピオドール・ウルトラフルイド)などと併用してもよい。また、ヨウ化ケシ油と制癌剤(例えば、スマンクス、ネオカルチノスタチン、マイトマイシンC、アドレアマイシン、塩酸イリノテカン、フルオロウラシル、塩酸エピルビシン、シスプラチン、パクリタキセル、ロイコボリンカルシウム、ビンブラスチン、アルトレタミン、ブレオマイシン、塩酸ドキソルビシン、ピシバニール、クレスチン、レンチナン、シクロホスファミド、チオテパ、テガフール、硫酸ビンブラスチン、塩酸ピラルビシン)などを併用してもよい。
【0045】
本発明の生分解性粒子は、薬効成分を含まなくても本発明における目的を達することができるが、さらなる効果付与の目的で、薬効成分を含有することも好ましい。薬効成分としては、薬効が知られるものであれば特に限定されるものではないが、前記した制癌剤、管新生阻害剤、ステロイド系ホルモン剤、肝臓疾患薬、痛風治療薬、糖尿病薬、循環器用薬、高脂血症薬、気管支拡張薬、抗アレルギー薬、消化器官用薬、抗精神薬、化学療法剤、抗酸化剤、ペプチド系薬物、タンパク系薬物(例えば、インターフェロン)などが挙げられる。
【0046】
本発明の生分解性粒子は、様々な用途に用いることができるが、生分解し体内に残留しないという高い安全性から、医薬や医療の分野で最も好ましく用いられる。医薬・医療用途の中でも、薬剤や細胞などを生体内に運ぶキャリアとして用いることが好ましい。また、腫瘍の栄養血管を閉塞して、腫瘍を兵糧攻めにする、いわゆる塞栓治療には最も好ましく用いられる。
【実施例】
【0047】
以下実施例にて、粒子のカテーテル通過性について行った実験結果を示すことにより、本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例にのみ限定されるものではない。以下、実施例における測定方法を示す。
(平均粒子径、粒度分布)
リーズ・アンド・ノースラップ社(株)製粒度分布測定装置“マイクロトラックシリーズ”を使用して25℃・生理食塩水中にて測定した。平均粒子径は、体積平均の値より算出され、“マイクロトラックシリーズ”においては、粒子の真球度に依らず、“MV”値として表示される。
(圧縮弾性率)
圧縮試験機としてMCT−W500;(株)島津製作所製を用いて、以下の条件にて評価した。
試験室温度:25℃
試験室湿度:50%
上部加圧圧子:平面タイプφ500μm
負荷速度:4.462mN/sec
この方法によって得られる、応力−歪み曲線に対して、以下の式を用いて圧縮弾性率を求めた。
圧縮弾性率(単位:MPa)=(δ2−δ1)/(ε2−ε1)
ここで、歪みε1=0.0005、歪みε2=0.0025、δ1、δ2は、応力-歪み曲線から一義的に決まるε1、ε2に対応する圧縮応力。
(フィルムの引張り弾性率)
キャスト法によって形成したフィルムについて、常温で純水に3時間浸して飽和含水状態とした後、引張試験機としてRTM−100型;(株)オリエンテック製を用いて、以下の条件にて引張り弾性率を評価した。
試験室温度:25℃
試験室湿度:50%
試験片形状:短冊型(80mm×7.5mm)
試験片厚み:30μm±10μm
チャック間距離:20mm
試験速度:10mm/分
(PBS浸漬28日後の重量測定方法)
粒子20mg(乾燥状態における重量)を精秤し、栄研器材(株)製の滅菌丸底10mlスピッツ管に入れ、純水にて10倍希釈したPBS(ナカライテスク(株)製10倍濃縮 pH7.4、Code.No.27575−31)を10ml注入した。これを37℃に設定した恒温槽“Laboster LC−110”(タバイエスペック(株)製)内で、100回転/分の“Tube Rotertor TR−350”((株)井内盛栄堂製)によって攪拌しながら、28日間インキュベーションした。インキュベーションされた溶液を7日おきに、3000回転/分で遠心分離し、上澄み液を分離後、新しいPBSと交換した。
【0048】
PBS浸漬28日後の粒子について、3000回転/分で遠心分離した後、上澄み液を除去し、さらに10mlの純水で洗浄して、再び3000回転/分で遠心分離して純水を除去した後、粒子重量が一定になるまで真空乾燥を行い、得られた粒子の重量を精秤した。なお、ここで粒子重量が一定とは、数時間が経過しても重量変化が5%以内に収まる状態をいう。残存重量割合(W(%))は、PBS浸漬前の重量(W(g))、28日浸漬後の重量(W(g))から、W(%)=W/W×100により算出した。
(重量平均分子量の測定方法)
精秤した10mgの粒子を2mlのクロロホルムに溶解させ、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略記)用フィルター“マイクレスLG13”(MILLIPORE SLLGH13NL)でろ過した。そのろ液についてGPC用カラム(東ソーTSK−gel−GMHHR−M)2本、カラム温度35℃、移動相をクロロホルム1ml/min、サンプル打ち込み量100μlの条件下で分析を行い、示差屈折率計(東ソー製RI−8010)にて測定した。カラムのキャリブレーションは、測定直前に東ソー標準ポリスチレンを用いて行った。
【0049】
なお、平均分子量は、データ解析用ワークステーション((株)島津製作所製“Class−Vp”)を用い、標準ポリスチレンの分子量とカラム溶出時間の関係から得られる検量線を用いて算出した。
(カテーテル通過性)
各実施例、比較例において得られた粒子分散液をシリンジからカテーテルに注入して行った。カテーテルとしてはボストン・サイエンティフィック社製FasTracker−10 Infusion Catheter(カテーテル全長1,550mm、先端部内径380μm)を使用した。
【0050】
<製造例1>
窒素気流下においてフラスコにL−ラクチド(ピュラック・バイオ・ケム社製)4.96g、グリコリド(ベーリンガー・インゲルハイム社製)1.66gと脱水済みのPEG(日本油脂工業製SUNBRIGHT DKH−20T)2.88gを混合し、150℃で溶解・混合させた後、ジオクタン酸スズ(和光純薬工業製)を0.1mol/Lの濃度になるように溶解したトルエン溶液460μLを添加して反応させ、PLGA−PEG−PLGA構造を有する水溶性ポリマー重量比率30.3%の水不溶性ポリマーを得た。この水不溶性ポリマーをクロロホルムに溶解し、大過剰のジエチルエーテル/アセトン混合液中へ滴下して白色沈殿を得た。上述のGPC法による重量平均分子量は22,000であった。
【0051】
得られた精製ポリマーを30重量%の濃度になるようにジクロロメタンに溶解した。該溶液を内径85mmのシャーレに注入して20℃で1昼夜放置し、ジクロロメタンを蒸発させることによってフィルム化を行い、膜厚20μmのフィルムを得た。これを常温で純水に浸漬したところ、約3時間で含水率が一定になった。飽和湿潤状態での引張試験を行ったところ、引張弾性率は57MPaであった。
<製造例2>
窒素気流下においてフラスコにL−ラクチド(ピュラック・バイオ・ケム社製)1.92g、グリコリド(ベーリンガー・インゲルハイム社製)0.96gと脱水済みのPEG(日本油脂工業製SUNBRIGHT MEH−20T)2.88gを混合し、製造例1と同じ方法で溶解・混合および反応させ、PLGA−PEG構造を有する水溶性ポリマー重量比率50.0%の水不溶性ポリマーを得た。この水不溶性ポリマーから製造例1と同じ方法により、白色沈殿を得た。上述のGPC法による重量平均分子量は14,000であった。
【0052】
得られた精製ポリマーを用いて製造例1と同様にしてフィルム化を行い、膜厚20μmのフィルムを得た。これを常温で純水に浸漬したところ、約3時間で重量が一定になった。湿潤状態での引張試験を行ったところ、引張弾性率は2.1MPaであった。
【0053】
【表1】

【0054】
<実施例1>
製造例1で得られた水不溶性ポリマーと製造例2で得られた水不溶性コポリマーとを70:30の重量比で混合し、ジクロロメタンに溶解した。これを1重量%ポリビニルアルコール(アルドリッチ社製、Cat.No.360627)水溶液中に滴下し、O/W液中乾燥を行うことにより、球状粒子分散液を得た。
【0055】
次いで、ナイロン製ふるい(カットオフ粒径:65μm,185μm,260μm,360μm,540μm)による湿式分級後、真空乾燥を行い、凝集、固結のない乾燥球状粒子を得た。上記カットオフ粒径の内540μmを除く4種類のサイズのふるいからそれぞれ回収した粒子40mgずつをPBS1mLに分散させ、平均粒子径および粒度分布を測定したところ、4種類のサイズのふるいから回収したそれぞれについて、125±60μm、220±40μm、310±50μm、450±90μmであった。
【0056】
上記粒子分散液についてカテーテル通過性を評価したところ、平均粒子径が125μmと220μmの粒子は抵抗なく注入することができ、平均粒子径が310μm、450μmの粒子も多少抵抗を示しながらもカテーテル管を通過することができた。その後、カテーテルを長手方向に切開し、カテーテル内を目視観察したところ、球状粒子は観察されなかった。
【0057】
平均粒子径310μmの粒子について(株)島津製作所製圧縮試験機MCT−W500により圧縮弾性率を測定したところ、1.4±0.3MPaであった。
【0058】
この粒子のPBS浸漬28日後の分解性を評価したところ、浸漬前に比較して、残存重量の割合は30%、重量平均分子量の割合は70%であった。
<実施例2>
製造例1で得られた水不溶性ポリマーと製造例2で得られた水不溶性ポリマーとを50:50の重量比で混合した点以外は実施例1と同じ方法で球状粒子分散液を得た。
【0059】
次いで、実施例1と同じ方法で湿式分級後、真空乾燥を行い、凝集、固結のない乾燥球状粒子を得た。かかる粒子について、平均粒子径および粒度分布を測定したところ、4種類のサイズのふるいから回収したそれぞれについて、125±60μm、220±40μm、310±50μm、450±90μmであった。
【0060】
上記粒子分散液をシリンジから実施例1と同じカテーテルに注入したところ、全ての平均粒子径の粒子について抵抗なくカテーテル管を通過することができた。その後、カテーテルを長手方向に切開し、カテーテル内を目視観察したところ、球状粒子は観察されなかった。
【0061】
平均粒子径310μmの粒子について圧縮弾性率を測定したところ、2.0±0.5MPaであった。
【0062】
この粒子のPBS浸漬28日後の分解性を評価したところ、浸漬前に比較して残存重量の割合は30%、重量平均分子量の割合は70%であった。
<実施例3>
製造例1で得られた水不溶性ポリマーと製造例2で得られた水不溶性ポリマーとを70:30の重量比で混合した点以外は実施例1と同じ方法で球状粒子分散液を得た。
【0063】
次いで、実施例1と同じ方法で湿式分級後、5重量%のPEG(和光純薬工業製 平均分子量4,000)水溶液約200mLでリンスし、真空乾燥を行い、凝集あるいは固結のない乾燥球状粒子を得た。かかる粒子について、平均粒子径および粒度分布を測定したところ、4種類のサイズのふるいから回収したそれぞれについて、125±60μm、220±40μm、310±50μm、450±90μmであった。
【0064】
上記粒子分散液をシリンジから実施例1と同じカテーテルに注入したところ、平均粒子径が125μmと220μmの粒子は抵抗なく注入することができ、平均粒子径が310μm、450μmの粒子も多少抵抗を示しながらもカテーテル管を通過することができた。その後、カテーテルを長手方向に切開し、カテーテル内を目視観察したところ、球状粒子は観察されなかった。
【0065】
平均粒子径310μmの粒子について圧縮弾性率を測定したところ、1.3±0.3MPaであった。
【0066】
この粒子のPBS浸漬28日後の分解性を評価したところ、浸漬前に比較して、残存重量の割合は30%、重量平均分子量の割合は70%であった。
【0067】
以上のように、水不溶性ポリマーと水不溶性ポリマーとをブレンドしたポリマーから成る球状粒子は、粒径よりも小さい内径のカテーテル管を通過できることが示された。
<比較例1>
製造例1で得られた水不溶性ポリマーのみを用いた点以外は実施例1と同じ方法で球状粒子分散液を得た。
【0068】
次いで、実施例1と同じ方法で湿式分級後、真空乾燥を行い、凝集、固結のない乾燥球状粒子を得た。かかる粒子について、平均粒子径および粒度分布を測定したところ、4種類のサイズのふるいから回収したそれぞれについて、125±60μm、220±40μm、310±50μm、450±90μmであった。
【0069】
上記粒子分散液をシリンジから実施例1と同じカテーテルに注入したところ、平均粒子径が125μmと220μmの粒子は抵抗なく注入することができたが、平均粒子径が310μm、450μmの粒子はカテーテル管を通過することができなかった。その後、カテーテルを長手方向に切開し、カテーテル内を目視観察したところ、球状粒子が観察された。
【0070】
平均粒子径310μmの粒子について圧縮弾性率を測定したところ、14.4±2.9MPaであった。
【0071】
この粒子のPBS浸漬28日後の分解性を評価したところ、浸漬前に比較して、残存重量の割合は28%、重量平均分子量の割合は63%であった。
【0072】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の適用分野として、塞栓材料、特に生体内において管状の器官を塞ぎ、血流などの体液の閉塞に使用する塞栓形成材料や、薬剤の運搬・徐放に使われるキャリア、褥創などの創傷部分の乾燥を保持するための保湿材、組織を再生するために細胞を運搬・培養するための足場・キャリアなどが挙げられる。上記の分野に使われる粒子は微小口径の管を通して搬送、投与、注入され、凝集または高粘度化することなく体内の目的部位に容易に到達し機能を発揮する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飽和含水状態での粒子の圧縮弾性率が10MPa以下であることを特徴とする生分解性粒子。
【請求項2】
飽和含水状態において1MPa以上かつ50MPa未満のフィルムの引張り弾性率を有する水不溶性ポリマーAと、飽和含水状態において50MPa以上のフィルムの引張り弾性率を有する水不溶性ポリマーBとからなることを特徴とする生分解性粒子。
【請求項3】
該水不溶性ポリマーBの割合が20重量%以上であることを特徴とする請求項2に記載の生分解性粒子。
【請求項4】
水溶性ポリマーと生分解性ポリマーとから得られる生分解性粒子であって、水溶性ポリマーの重量比率が50%以上である水不溶性ポリマーCと、水溶性ポリマーの重量比率が50%未満である水不溶性ポリマーDとがブレンドされたものであることを特徴とする生分解性粒子。
【請求項5】
該水不溶性ポリマーDの割合が20重量%以上であることを特徴とする請求項4に記載の生分解性粒子。
【請求項6】
飽和含水状態での粒子の圧縮弾性率が10MPa以下であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の生分解性粒子。
【請求項7】
該水溶性ポリマーがポリアルキレングリコールもしくはその誘導体であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の生分解性粒子。
【請求項8】
ポリアルキレングリコールもしくはその誘導体が被覆されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の生分解性粒子。
【請求項9】
該ポリアルキレングリコールの重量平均分子量が1,000以上かつ40,000以下であることを特徴とする請求項8に記載の生分解性粒子。
【請求項10】
該ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項8または9に記載の生分解性粒子。
【請求項11】
粒子が球状であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の生分解性粒子。
【請求項12】
該水不溶性ポリマーA〜Dの少なくともいずれか1つが、水溶性ポリマーと生分解性ポリマーとが結合したコポリマーであることを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載の生分解性粒子。
【請求項13】
該生分解性ポリマーがα−ヒドロキシ酸単位を含有することを特徴とする請求項4〜12のいずれかに記載の生分解性粒子。
【請求項14】
該α−ヒドロキシ酸単位が、ポリ乳酸単位および/またはポリグリコール酸単位であることを特徴とする請求項13に記載の生分解性粒子。
【請求項15】
該水不溶性ポリマーの重量平均分子量が1,000〜100,000であることを特徴とする請求項3〜14のいずれかに記載の生分解性粒子。
【請求項16】
37℃のリン酸緩衝生理食塩水浸漬28日後における残存重量および/または重量平均分子量の割合が、浸漬前に対して80%以下であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の生分解性粒子。
【請求項17】
粒径が5〜2000μmであることを特徴とする請求項16のいずれかに記載の生分解性粒子。
【請求項18】
医薬医療用として使用されることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の生分解性粒子。
【請求項19】
体内留置デバイスとして使用されることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の生分解性粒子。
【請求項20】
塞栓治療用として使用されることを特徴とする請求項19に記載の生分解性粒子。
【請求項21】
粒度分布が、平均粒子径の±60%以内となるものであることを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載の生分解性粒子。
【請求項22】
飽和含水状態において1MPa以上かつ50MPa未満のフィルムの引張り弾性率を有する水不溶性ポリマーAと、飽和含水状態において50MPa以上のフィルムの引張り弾性率を有する水不溶性ポリマーBとをブレンドして粒子を得ることを特徴とする生分解性粒子の製造方法。
【請求項23】
該水不溶性ポリマーBのブレンドの割合が20重量%以上であることを特徴とする請求項22に記載の生分解性粒子の製造方法。
【請求項24】
粒子を球状に成形して得ることを特徴とする請求項22または23に記載の生分解性粒子の製造方法。
【請求項25】
該水不溶性ポリマーAおよびBが、水溶性ポリマーと生分解性ポリマーとが結合したコポリマーであることを特徴とする請求項22〜24のいずれかに記載の製造方法。
【請求項26】
水溶性ポリマーと生分解性ポリマーとが結合した水不溶性ポリマーから得られる生分解性粒子の製造方法であって、該水不溶性ポリマーが、水溶性ポリマーの重量比率が50%以上である水不溶性ポリマーCと、水溶性ポリマーの重量比率が50%未満である水不溶性ポリマーDとをブレンドしたものであることを特徴とする生分解性粒子の製造方法。
【請求項27】
該水溶性ポリマーが、ポリアルキレングリコールもしくはその誘導体であることを特徴とする請求項25または26のいずれかに製造方法。
【請求項28】
該ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項27に記載の製造方法。
【請求項29】
該ポリアルキレングリコールの重量平均分子量が1,000以上かつ40,000以下であることを特徴とする請求項27または28に記載の製造方法。
【請求項30】
該生分解性ポリマーがα−ヒドロキシ酸単位を含有することを特徴とする請求項25〜29のいずれかに記載の製造方法。
【請求項31】
該α−ヒドロキシ酸単位が、ポリ乳酸単位および/またはポリグリコール酸単位であることを特徴とする請求項30に記載の生分解性粒子。
【請求項32】
該水不溶性ポリマーの重量平均分子量が1,000〜100,000であることを特徴とする請求項22〜31のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2007−146146(P2007−146146A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292299(P2006−292299)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】