生化学分析装置
【課題】生化学分析装置の分注精度を向上させる。
【解決手段】純水タンク2と洗浄用シリンジ6との間に純水をプールするサブタンク1を備える。純水タンク2からサブタンク1に純水を導入する経路の出口であるチューブ4の端部4aと、サブタンク1から洗浄用シリンジ6に純水を導入する経路の入口であるチューブ4’の端部4’aとが離間している。また、検体又は試薬の吐出・吸引が可能な先細りのノズル10の絞り角を4.5°以上7.0°以下の範囲に設定する。
【解決手段】純水タンク2と洗浄用シリンジ6との間に純水をプールするサブタンク1を備える。純水タンク2からサブタンク1に純水を導入する経路の出口であるチューブ4の端部4aと、サブタンク1から洗浄用シリンジ6に純水を導入する経路の入口であるチューブ4’の端部4’aとが離間している。また、検体又は試薬の吐出・吸引が可能な先細りのノズル10の絞り角を4.5°以上7.0°以下の範囲に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学分析装置、特に高い分注精度が要求される生化学分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血漿、血清、尿等を検体として使用してコレステロール値等を検査するには、例えば生化学分析装置が用いられる。この場合、採血管に保存された検体と、試薬ボトルに入った試薬とを、夫々反応槽における耐熱性硬質ガラス等からなるセルに注入して反応させ、その反応液の吸光度を測定して、得られたデータからコレステロール値等を得る。
【0003】
検体や試薬を吸引・吐出するノズルは、検体又は試薬の吸引、反応槽への吐出、ノズルの液体による洗浄を1サイクルとして、位置を変えながらこの動作を繰り返す。ノズルの洗浄は、ノズル先端近傍部の外側の洗浄とノズル内部の洗浄とに大別される。これら洗浄が不十分であれば、残留した検体又は試薬が次のサイクルにおいて他の検体又は試薬と混合してしまい、検査精度が悪くなる。そこで特許文献1には、汚れを残留させることなく、液体の消費量を抑えながらノズル先端近傍部の外側を均等に洗浄することができ、且つノズルを移動させる必要がなく洗浄時間を短くすることができるノズル洗浄装置を用いた生化学分析装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−88812号公報
【0005】
上記特許文献1のような生化学分析装置における検体や試薬の吸引・吐出のための構成の一例として、以下のような構成が考えられる。上記ノズルにはチューブを介して分注用シリンジが接続され、分注用シリンジにはチューブを介して洗浄用シリンジが接続されている。分注用シリンジの負圧によりノズルから吸引された検体又は試薬はノズル内に一時貯留され、分注用シリンジからの正圧によりノズルから吐出される(分注動作)。この分注動作は、ノズルの先端から分注用シリンジの手前に亙って延在する液体を圧力伝達媒体として行われる。一方、洗浄用シリンジの負圧により液体供給源(液体タンクや液体発生装置等)から洗浄用シリンジ内に一時貯留された液体は、洗浄用シリンジの正圧によりノズルから吐出される。ノズル内部の洗浄は洗浄用シリンジ内に一時貯留された液体をノズルから吐出することにより行われる。洗浄用シリンジは、上記圧力伝達媒体としての液体をノズルの内部に供給する役割を兼ねている。
【0006】
また、ノズルは太い内径から細い内径へと緩やかに縮径していく先細りの形状をしており、絞り角が15°程度になっているのが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、生化学分析装置の配置位置によっては、上記液体供給源と生化学分析装置の内部の洗浄用シリンジまでの距離が長くなることは避けられない。特に液体供給源として液体発生装置を使用する場合は、液体発生装置は一般にフロアに固設されているものであるから、多くの場合、生化学分析装置をその近傍に配置することができず、液体発生装置と洗浄用シリンジとの距離が長くなる。そうなると、液体供給源と洗浄用シリンジとを接続するチューブが長くなるため、洗浄用シリンジでの液体吸引時に負圧が大きくなり、キャビテーションによる気泡が生じてしまう。また、継手を用いてチューブ同士を接続することによりチューブを延長して液体供給源から洗浄用シリンジまでの長い距離を接続する場合、その継手部分から気泡が混入してしまう。このようにしてチューブ内に発生した気泡は分注用シリンジとノズルとの間に移動し、分注動作時の分注用シリンジによる圧力伝達に悪影響を及ぼすため、検体又は試薬の所望定量を吐出する精度(分注精度)が悪くなる。また、特に生化学分析装置の始動時において、液体供給源と洗浄用シリンジとをつなぐチューブが長いために、このチューブに液体を充満させるための液体消費量が多くなるとともに、充満完了までに長い時間がかかる。
【0008】
また、昨今は微量な検体や試薬を高精度に分注できることが求められているが、このようなニーズを満足させる点において、ノズルの形状は最適なものであるとはいい難い。
【0009】
本発明の目的は、分注精度のよい生化学分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0010】
本発明の生化学分析装置は、検体又は試薬の吐出・吸引が可能なノズルと、前記の吐出・吸引時に圧力伝達媒体として機能する液体をノズル側へ供給するシリンジと、液体供給源と前記シリンジとの間に液体をプールするタンクを備えて、前記液体供給源から前記タンクに液体を導入し、前記タンクから前記シリンジに液体を導入することを特徴とする。
【0011】
本発明によると、液体供給源からシリンジに液体を導入する経路のうち、液体供給源からタンク内部までの経路で発生した気泡は液体とともにタンク内部に導入され、浮力によって外部に放出していくため、気泡のない液体をシリンジに導入することができる。また、タンクとシリンジとの距離を短くすることができるため、シリンジ動作による負圧を小さく抑えることができて、気泡の発生を抑制できる。これにより、分注時の液体による圧力の伝達が気泡によって変動してしまうのを抑えて、分注精度を向上させることができる。また、タンクとシリンジとの距離が短いため、タンクとシリンジとの間の経路に液体を充満させる時間を短縮させることができる。
【0012】
本発明においては、前記ノズルが複数設けられ、前記タンクは前記複数のノズルの各々を動作させるように夫々設けられた前記シリンジと前記液体供給源との間に複数設けられていてよい。これによると、複数のノズルの各々を動作させるシリンジの各々に液体を導入するようにタンクが複数設けられているため、それぞれのタンクとシリンジとの距離を短く保つことができて、気泡のない液体をシリンジに導入することができる。
【0013】
本発明の生化学分析装置は、検体又は試薬の吐出・吸引が可能な先細りのノズルの絞り角が4.5°以上7.0°以下の範囲に設定されていることを特徴とする。
【0014】
本発明によると、検体又は試薬の吸引時におけるノズル内部の圧力上昇を小さく抑えることができるため、吐出時に、所望定量の検体又は試薬を吐出するための圧力を加えてもノズル内部の圧力が必要以上に高くならなくなって、分注精度を向上できる。また、吸引時にノズル内で渦が発生し、検体又は試薬の液面中央部が盛り上がって液体に接触することにより検体又は試薬が希釈されることもないため、所望定量の検体又は試薬を吐出することができて、分注精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る生化学分析装置の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態に係る生化学分析装置を示す上面図である。図2は分注及びノズル内部の洗浄を行う装置群の構成図である。図3はノズルの拡大断面図である。図4はノズルの絞り角と圧力水頭との関係を表すグラフ図である。
【0016】
先ず図1に示されている小型・卓上型の生化学分析装置60について説明する。この装置60は血漿、血清、尿等を検体として使用してコレステロール値等を検査する目的で使用され、試薬庫61にある試薬と、検体庫62にある検体とを反応槽63で反応させ、その反応液の吸光度をディテクターユニット66にて測定し、得られたデータからコレステロール値等を得るものである。
【0017】
試薬庫61は試薬が入った試薬ボトル64を複数個、この装置60では60個トレー上に搭載し、検体庫62は血漿、血清、尿等の検体が入った採血管65を複数個、この装置60では92個をトレー上に搭載している。また反応槽63にはセル67と称される容器が複数個、この装置60では90個環状に配置されている。試薬庫61、検体庫62、反応槽63のそれぞれは回転し、ノズル10(図示せず)によって試薬と検体とが順次反応槽63のセル67内に注入される。
【0018】
ノズル10は、回転用モータ等によって図1に示されている軌道10’に従って、試薬庫61から反応槽63へ、又は検体庫62から反応槽63へと回転動作される。また上下動作用モータによってノズル10を試薬庫61の試薬ボトル64、又は検体庫62の採血管65にノズル10先端近傍部を挿入するように下降させ、試薬又は検体を吸引させてから再び上昇させ、回転用モータ等によって軌道10’に沿って反応槽63のセル67へと移動させる。そしてノズル10からセル67内に試薬又は検体を吐出させた後、トラフと称される窪み11においてノズル10から純水(液体)を吐出させてノズル10内部を洗浄し、トラフ11に設置された図示しないノズル洗浄装置でノズル10の外側を洗浄する。このようにノズル10に検体又は試薬の吸引、吸引した検体又は試薬の反応槽への吐出、純水による洗浄というサイクルを繰り返させながら、反応測定を行う。
【0019】
次いで、図1、図2に基づいて、分注及びノズル内部を洗浄する装置群について説明する。図2においてノズル内部を洗浄する装置群は、純水タンク(液体供給源)2、第1電磁弁3、サブタンク(タンク)1、第2電磁弁7、第2電磁弁7に接続した洗浄用シリンジ6、三方継手9、三方継手9に接続した分注用シリンジ8、三方継手9に接続したノズル10で構成されている。純水タンク2とサブタンク1との距離は長く、継手5によって接続された複数のチューブ4によって接続されている。サブタンク1と第2電磁弁7(洗浄用シリンジ6)との距離は短く、短いチューブ4’によって接続されている。ここで、チューブ4群のサブタンク1内における端部4aとチューブ4’のサブタンク1内における端部4’aとは離間している。第2電磁弁7と三方継手9とはチューブ4’’により接続され、三方継手9とノズル10とはチューブ4’’’により接続されている。
【0020】
純水タンク2には純水が貯留されているとともに、圧力が負荷されている。第1電磁弁3が開かれると、純水タンク2に貯留されていた純水は純水タンク2に負荷された圧力により複数のチューブ4を伝ってサブタンク1へと流れ込む。サブタンク1には図示しない液面センサーが備えられており、サブタンク1の貯水量が残り少なくなったり、満水になったりすると、液面センサーが液面を検知して、第1電磁弁3を開閉する。
【0021】
第2電磁弁7は洗浄用シリンジ6の連通先をサブタンク1又は三方継手9のどちらかに切り替える。洗浄用シリンジ6とサブタンク1とが連通した場合、洗浄用シリンジ6のピストン6’が洗浄用シリンジ6外方へ引き出されることで生じる負圧によりサブタンク1内の純水が洗浄用シリンジ6内に導入される。一方、洗浄用シリンジ6と三方継手9とが連通した場合、ピストン6’が洗浄用シリンジ6の内方へ押し込まれることで生じる正圧により、洗浄用シリンジ6内の純水はチューブ4’’、三方継手9、チューブ4’’’を介してノズル10から吐出される。
【0022】
分注用シリンジ8は、ピストン8’が分注用シリンジ8外方へ引き出されることで生じる負圧により、後述する圧力伝達媒体であるチューブ4’’’内及びノズル10内に充満した純水の一部を分注用シリンジ8内に吸引することで、その負圧により試薬又は検体をノズル10内へと吸引させる。そして、ピストン8’が分注用シリンジ8内方へ押し込まれることで生じる正圧により、分注用シリンジ8内の純水の一部をノズル10側に押し戻すことで、ノズル10内の試薬又は検体のうち所望の定量分をノズル10から吐出・分注させる。
【0023】
このような装置群は純水タンク2を除いて図1の生化学分析装置の内部に2組設けられている。1組は図1の右方に内蔵されて、2点鎖線で示すサブタンク1が第2電磁弁7、洗浄用シリンジ6、分注用シリンジ8等を介して検体を吸引・吐出するノズル10に接続し、もう1組は図1の左方に内蔵されて、2点鎖線で示すサブタンク1が第2電磁弁7、洗浄用シリンジ6、分注用シリンジ8等を介して第1の試薬を吸引・吐出するノズル10に接続するとともに、第2電磁弁7、洗浄用シリンジ6、分注用シリンジ8等を介して第2の試薬を吸引・吐出するノズル10に接続している。純水タンク2は生化学分析装置60の外部に1つだけ設けられて、この純水タンク2に接続する2本のチューブ4群が夫々の第1電磁弁3を介して夫々のサブタンク1に接続している。
【0024】
次に、ノズルについて図3を用いて詳細に説明する。ノズル10は検体、試薬等の液体を吸引・吐出するものであり、ステンレス等の金属から形成され、先端近傍が縮径された棒状のものである。本実施の形態においては、太い内径の直径は1.17mmであり、細い内径の直径は0.4mmである。このようなノズル10の圧力水頭は、「機械工学便覧」(日本機械学会編)によれば、
h=ζ(v2/2g)
で表される。ここで、ζは損失係数であり、
ζ=ξ[1−(A1/A2)]2
で定義される。A1は細い内径の管の断面積、A2は太い内径の管の断面積である。また、v2/2gは管内の速度水頭であって、vは管内平均流速、gは重力の加速度である。
【0025】
ここで、ノズル内部の圧力変動を抑えて分注精度を高めるという観点から、圧力水頭hが最小になる条件を検討すると、図4(出典:機械工学便覧(日本機械学会編))から絞り角を約5°30′にするとξが最小値となり、その結果、圧力水頭hが最小となることがわかる。
【0026】
そのため、図3(a)に示す本実施の形態に用いられるノズル10の絞り角は加工誤差を考慮して4.5°以上7.0°以下に設定されることが好ましく、ここでは6.0°に設定されている。図3(b)は比較対象としての従来の絞り角が15°のノズルである。
【0027】
次に、上記の構成における生化学分析装置の作動のうち、試薬又は検体の分注動作、ノズル内部の洗浄動作について、図2を用いて説明する。
【0028】
生化学分析装置60を初めて作動させる場合や、長時間のアイドルタイムの後に生化学分析装置60を始動させる場合等において、まず生化学分析装置60の立ち上げ動作を行う。最初に第1電磁弁3を開き、純水タンク2から純水をサブタンク1に導入してサブタンク1を満水にし、その後、第1電磁弁3を閉じる。このとき、チューブ4同士を接続する継手5部分からの気泡の混入が生じる場合があるが、これらの気泡はサブタンク1においてチューブ4群の端部4aから外部へと放出される。
【0029】
次に、サブタンク1と洗浄用シリンジ6とが連通するように第2電磁弁7を切り替え、洗浄用シリンジ6内方に押し込まれていたピストン6’を洗浄用シリンジ6外方に引き出すことで生じた負圧によりサブタンク1内の純水を洗浄用シリンジ6に導入する。同時に分注用シリンジ8外方に引き出されていたピストン8’を分注用シリンジ8内方に押し込む。このとき、サブタンク1と洗浄用シリンジ6との間のチューブ4’が短いため、チューブ4’内の負圧は小さく、キャビテーションによる気泡が発生することがない。また、チューブ4’が短いため、チューブ4’に純水を満たすための純水消費量が少なくて済み、チューブ4’に純水を満たす時間が短くて済む。また、サブタンク1より上流で発生した気泡はサブタンク1においてチューブ4群の端部4aから外部に放出されているため、気泡がチューブ4’を通じて洗浄用シリンジ6内に混入することもない。
【0030】
その後、洗浄用シリンジ6と三方継手9とが連通するように第2電磁弁7を切り替えて、ピストン6’を洗浄用シリンジ6内方に押し込むことで生じた正圧により洗浄用シリンジ6内の純水を洗浄用シリンジ6よりも下流側に圧送する。これにより、純水はチューブ4’’内、三方継手9内、チューブ4’’’内、ノズル10内に満たされて、ノズル10の先端まで延在する。この際、多少の純水をノズル10から吐出させることで、純水をノズル10の先端まで確実に延在させる。チューブ4’’’内及びノズル10内に充満した純水は圧力伝達媒体として機能することになるため、以降、圧力伝達媒体と呼ぶ。これにより立ち上げ動作が完了し、分注動作が可能になる。なお、上述した立ち上げ動作を複数回繰り返して純水の充満をより確実に実現することが好ましい。
【0031】
次に、定量の試薬又は検体の分注動作及びノズル内部の洗浄動作について説明する。まず、ノズル10を試薬ボトル64又は採血管65に位置させる。このとき、第2電磁弁7は洗浄用シリンジ6とサブタンク1とを連通させている。その後、分注用シリンジ8内方に押し込まれていたピストン8’を分注用シリンジ8外方に引き出すことで生じた負圧により圧力伝達媒体の一部を分注用シリンジ8内に吸引する。このとき圧力伝達媒体を伝わった負圧によってノズル10の先端から一定量の空気が吸引され、次いで、所望定量に後述のダミー吐出分及びマージンを加えた量の試薬又は検体がノズル10内に吸引される。なお、ノズル10内に一定量の空気を吸引するのは、ノズル10内に空気層を形成することで、その後にノズル10から吸引された検体又は試薬が圧力伝達媒体としての純水と接触し、検体や試薬が希釈されるのを防ぐためである。
【0032】
ここで、ノズル10の先端は絞り角6.0°で緩やかに縮径しているため、試薬又は検体の吸引の際は、内部圧力変動をほとんど生じさせることなく、且つ、吸引された試薬又は検体の内部において気泡を生じさせることなく吸引が行われる。詳細は後述する。
【0033】
同時に洗浄用シリンジ6内方に押し込まれていたピストン6’を洗浄用シリンジ6外方に引き出すことで生じた負圧によりサブタンク1内の純水を洗浄用シリンジ6に導入する。このとき、サブタンク1と洗浄用シリンジ6との間のチューブ4’が短いため、チューブ4’内の負圧が小さく、気泡が発生することがない。また、サブタンク1より上流で発生した気泡はサブタンク1においてチューブ4群の端部4aから外部に放出されているため、気泡がチューブ4’を通じて洗浄用シリンジ6に混入することもない。
【0034】
次いで、ノズル10を試薬庫61又は検体庫62から反応層63へ移動させる。ノズル10は反応層63への移動の途中でトラフ11の位置にて一旦停止され、ピストン8’が分注用シリンジ8内方に僅かに押し込まれる。これにより生じた正圧により圧力伝達媒体の一部がノズル10側に圧送され、ノズル10内の試薬又は検体のうちの僅かな量がトラフ11内にてダミー吐出される。このダミー吐出により、ノズル10の先端の端部ギリギリまで試薬又は検体が入っていることが確保される。ダミー吐出後、ピストン8’の分注用シリンジ8内方への押し込みが一旦停止される。次いで、トラフ11に設置されたノズル洗浄装置によりノズル10の外側の洗浄が行われる。ノズル10の外側の洗浄により、セル67内にノズル10の先端が挿入されたときにノズル10の外側に付着した試薬又は検体がセル67内に混入することによる分注精度の悪化が防止される。
【0035】
ノズル10が反応層63に到着すると、一旦停止していたピストン8’が更に分注用シリンジ8内方に押し込まれる。これにより生じた正圧により圧力伝達媒体の一部がノズル10側に圧送され、所望定量の試薬又は検体がセル67内へ吐出される。吐出時においてもノズル10内部に圧力変動はほとんど生じず、所望の定量分を吐出することができる。所望定量の試薬又は検体の吐出後、ピストン8’の分注用シリンジ8内方への押し込みが再度一旦停止される。
【0036】
次に、ノズル10を再度トラフ11に移動させるとともに、洗浄用シリンジ6と三方継手9とが連通するように第2電磁弁7を切り替える。そして、一旦停止していたピストン8’を分注用シリンジ8内方に完全に押し込むことでノズル10内に残存する試薬又は検体と一定量の空気をノズル10から吐出させ、圧力伝達媒体のすべてをノズル10側に圧送する。次いで、ピストン6’を洗浄用シリンジ6内方に押し込むことで生じる正圧により洗浄用シリンジ6内の純水をチューブ4’’、三方継手9、チューブ4’’’を介してノズル10から吐出させる。これにより、チューブ4’’’内及びノズル10内に充満した圧力伝達媒体のすべてがノズル10から吐出されるとともに、洗浄用シリンジ6内から供給された純水によってノズル10内部が洗浄される。洗浄用シリンジ6内から供給された純水のうち、最後に供給された純水はノズル10から吐出されることなくチューブ4’’’内及びノズル10内に充満して残り、新たな圧力伝達媒体となる。
【0037】
次に、トラフ11にてノズル洗浄装置によるノズル10の外側の洗浄が行われる。その後、ノズル10の動作は次の試薬又は検体の分注動作へと移行する。
【0038】
次に、本実施の形態における生化学分析装置の分注精度を確認するため、下記の試験を行った。即ち、定量2μlの分注を1回の測定につき10回行うことで、色素法による測定データを1回の測定につき10個取り、10個のデータの母標準偏差σと母平均μとの比率である変動係数CVを本実施の形態における生化学分析装置に用いられる絞り角6.0°のノズル(図3(a)参照)においては6回算出し、従来の絞り角15°のノズル(図3(b)参照)においては8回算出した。ここにおいて、吸引する空気量は12μl、吸引する試薬又は検体のトータル量は7μl、ダミー吐出する試薬又は検体の量は2μlとした。変動係数CVは、
CV=σ/μ
で定義され、相対的な散らばりを表す指標であって、この値が小さいほど精密度が高いことになる。また、色素法による測定は、純水に任意の濃度の色水(色素を含んだ水)を分注し、この混合液の光の遮り率を吸光度計で測定することにより行う。この実験結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
この結果、絞り角を6.0°にしたノズルの方が従来の絞り角15°のノズルに比べて分注精度が高いことが分った。
【0041】
ここで理論上は、試薬又は検体の吐出時に限っていえば、試薬や検体は太い内径から細い内径に向かって流れるので、絞り角が6.0°でも15°でも、この流れによって生じるノズル内部の圧力変動は無視できるほど小さいはずである。しかしながら、上記の実験では絞り角6.0°の方が精度が良いとの結果が得られており、この理由としては以下のように考えることができる。
【0042】
即ち、試薬又は検体の(吐出時でなく)吸引時では、吸引された試薬や検体はノズル内部で細い内径から太い内径に向かって流れることになるが、この流れによってもノズル内部に圧力変動が生じる。絞り角15°のノズルにおいては上記の流れにより、ノズルの内部圧力が相当に高くなってしまったと考えられる。そして、その後の吐出時において吐出圧力が更に付与される結果、ノズル内部の圧力が高くなりすぎて所望定量以上の量が吐出されてしまい、分注精度が悪くなったと考えられる。
【0043】
一方、絞り角が6.0°のノズルは、吸引時におけるノズル内部の圧力上昇を小さく抑えることができるため、吐出時に検体又は試薬に圧力を与えた際にノズル内部の圧力が必要以上に高くならず、これが分注精度向上に寄与していると考えられる。
【0044】
また、絞り角15°のノズル内部では、吸引時において壁面の流速が接触抵抗によって遅く、中央部の流速が速くなる。これにより吸引時にノズル中央部において検体又は試薬の液面が盛り上がる可能性がある。また吸引時において、ノズル先端内部の検体又は試薬に、渦や、ノズルの内面から剥がれるような流れが発生し、これによってもノズル中央部において検体又は試薬の液面が盛り上がる可能性がある。この盛り上がった検体又は試薬が空気層を突き抜けて圧力伝達媒体としての純水に接触することで、検体又は試薬が希釈され、これが分注精度に悪影響を与えていると考えられる。
【0045】
一方、絞り角が6.0°のノズルは、吸引時に液面の盛り上がりが防止されるため、上記のような検体や試薬の希釈が回避され、所望定量の検体又は試薬を精度良く吐出できると考えられる。
【0046】
以上のように、本実施の形態の生化学分析装置は、純水タンク2と洗浄用シリンジ6との間に純水をプールするサブタンク1を備え、純水タンク2とサブタンク1とを接続するチューブ4群の端部4aと、サブタンク1と洗浄用シリンジ6とを接続するチューブ4’の端部4’aとが離間した構成にされている。これにより、チューブ4群内で発生した気泡をサブタンク1においてチューブ4群の端部4aから外部に放出させて、気泡のない純水を洗浄用シリンジ6に供給することができる。また、サブタンク1と洗浄用シリンジ6との距離を短くすることができるため、洗浄用シリンジ6の負圧を小さく抑えることができて、気泡の発生を抑制できる。これにより、分注用シリンジ8からの圧力の伝達が気泡によって変動してしまうのを抑えて、分注精度を向上させることができる。また、サブタンク1と洗浄用シリンジ6との距離が短いため、チューブ4’内に純水を充満させる時間を短縮させることができる。本実施の形態では、長時間のアイドルタイムの後に生化学分析装置60を始動させた場合でも、十分な量の純水がサブタンク1に既にプールされているときは、短いチューブ4’、4’’、4’’’やノズル10等に純水を満たすだけで良いので、立ち上げ時間を短くできる。装置60の始動後にサブタンク1の貯水量が少なくなったら、その時点で第1電磁弁3を開いて純水を供給すれば良いのである。
【0047】
また、サブタンク1は第1の試薬を吸引・吐出するノズル10、第2の試薬を吸引・吐出するノズル10、検体を吸引・吐出するノズル10の各々を動作させるように夫々設けられた洗浄用シリンジ6と純水タンク2との間に複数設けられているため、それぞれのサブタンク1と洗浄用シリンジ6との距離を短く保つことができて、気泡のない純水を洗浄用シリンジ6に供給できる。
【0048】
また、ノズル10の絞り角が6.0°に設定されているため、吐出時はもとより吸引時におけるノズル10内部の圧力上昇を小さく抑えることができて、所望定量の検体又は試薬を吐出するための圧力を加えてもノズル10内部の圧力が必要以上に高くならない。また、吸引時にノズル内で渦が発生し、検体又は試薬の液面中央部が盛り上がって純水に接触することにより検体又は試薬が希釈されることもない。よって、所望定量の検体又は試薬を吐出することができて、分注精度を向上させることができる。
【0049】
また、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明はその趣旨を超えない範囲において変更が可能である。即ち、サブタンクは1つであってもよい。共通に設けられた1つのサブタンクと2つの洗浄用シリンジ6との距離が短ければ、2つのチューブ4’内に気泡が発生するのを防止可能である。サブタンクが3つ以上であっても勿論よい。
【0050】
また、第1の試薬を吸引・吐出するノズルと第2の試薬を吸引・吐出するノズルとが備わった構成としたが、試薬を吸引・吐出するノズルの数はこれに限定されない。同様に、検体を吸引・吐出するノズルの数も限定されない。
【0051】
純水供給源として純水タンク2を備えることに限定されず、例えば純水供給装置であっても良い。純水供給源は、装置60の外部に備えられていても良いし、装置60に内蔵されていても良い。
【0052】
上記の実施の形態では分注用シリンジ8と洗浄用シリンジ6とが独立して設けられているが、洗浄用シリンジ6を省略して、分注用シリンジ8とサブタンク1とを直接接続しても良い。この場合、例えば、検体や試薬を吸引・吐出するための分注用シリンジ8に、ノズル10の内部を洗浄する役割、及び、圧力伝達媒体としての純水をノズル10側へ供給する役割を兼ねさせる構成とすることができる。また、圧力伝達媒体として利用される純水がノズル10の内部洗浄水を兼ねない構成においても、本発明を適用することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態に係る生化学分析装置を示す上面図である。
【図2】分注及びノズル内部の洗浄を行う装置群の構成図である。
【図3】ノズルの拡大断面図であり、(a)は本発明の実施の形態に係る生化学分析装置に用いられるノズルであり、(b)は従来の生化学分析装置に用いられていたノズルである。
【図4】ノズルの絞り角と圧力水頭との関係を表すグラフ図である。
【符号の説明】
【0054】
1 サブタンク(タンク)
2 純水タンク(液体供給源)
3 第1電磁弁
4,4’,4’’,4’’’ チューブ
4a 端部
4’a 端部
5 継手
6 洗浄用シリンジ(シリンジ)
6’ ピストン
7 第2電磁弁
8 分注用シリンジ
8’ ピストン
9 三方継手
10 ノズル
10’ 軌道
11 トラフ
20 ノズル
60 生化学分析装置
61 試薬庫
62 検体庫
63 反応槽
64 試薬ボトル
65 採血管
66 ディテクターユニット
67 セル
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学分析装置、特に高い分注精度が要求される生化学分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血漿、血清、尿等を検体として使用してコレステロール値等を検査するには、例えば生化学分析装置が用いられる。この場合、採血管に保存された検体と、試薬ボトルに入った試薬とを、夫々反応槽における耐熱性硬質ガラス等からなるセルに注入して反応させ、その反応液の吸光度を測定して、得られたデータからコレステロール値等を得る。
【0003】
検体や試薬を吸引・吐出するノズルは、検体又は試薬の吸引、反応槽への吐出、ノズルの液体による洗浄を1サイクルとして、位置を変えながらこの動作を繰り返す。ノズルの洗浄は、ノズル先端近傍部の外側の洗浄とノズル内部の洗浄とに大別される。これら洗浄が不十分であれば、残留した検体又は試薬が次のサイクルにおいて他の検体又は試薬と混合してしまい、検査精度が悪くなる。そこで特許文献1には、汚れを残留させることなく、液体の消費量を抑えながらノズル先端近傍部の外側を均等に洗浄することができ、且つノズルを移動させる必要がなく洗浄時間を短くすることができるノズル洗浄装置を用いた生化学分析装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−88812号公報
【0005】
上記特許文献1のような生化学分析装置における検体や試薬の吸引・吐出のための構成の一例として、以下のような構成が考えられる。上記ノズルにはチューブを介して分注用シリンジが接続され、分注用シリンジにはチューブを介して洗浄用シリンジが接続されている。分注用シリンジの負圧によりノズルから吸引された検体又は試薬はノズル内に一時貯留され、分注用シリンジからの正圧によりノズルから吐出される(分注動作)。この分注動作は、ノズルの先端から分注用シリンジの手前に亙って延在する液体を圧力伝達媒体として行われる。一方、洗浄用シリンジの負圧により液体供給源(液体タンクや液体発生装置等)から洗浄用シリンジ内に一時貯留された液体は、洗浄用シリンジの正圧によりノズルから吐出される。ノズル内部の洗浄は洗浄用シリンジ内に一時貯留された液体をノズルから吐出することにより行われる。洗浄用シリンジは、上記圧力伝達媒体としての液体をノズルの内部に供給する役割を兼ねている。
【0006】
また、ノズルは太い内径から細い内径へと緩やかに縮径していく先細りの形状をしており、絞り角が15°程度になっているのが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、生化学分析装置の配置位置によっては、上記液体供給源と生化学分析装置の内部の洗浄用シリンジまでの距離が長くなることは避けられない。特に液体供給源として液体発生装置を使用する場合は、液体発生装置は一般にフロアに固設されているものであるから、多くの場合、生化学分析装置をその近傍に配置することができず、液体発生装置と洗浄用シリンジとの距離が長くなる。そうなると、液体供給源と洗浄用シリンジとを接続するチューブが長くなるため、洗浄用シリンジでの液体吸引時に負圧が大きくなり、キャビテーションによる気泡が生じてしまう。また、継手を用いてチューブ同士を接続することによりチューブを延長して液体供給源から洗浄用シリンジまでの長い距離を接続する場合、その継手部分から気泡が混入してしまう。このようにしてチューブ内に発生した気泡は分注用シリンジとノズルとの間に移動し、分注動作時の分注用シリンジによる圧力伝達に悪影響を及ぼすため、検体又は試薬の所望定量を吐出する精度(分注精度)が悪くなる。また、特に生化学分析装置の始動時において、液体供給源と洗浄用シリンジとをつなぐチューブが長いために、このチューブに液体を充満させるための液体消費量が多くなるとともに、充満完了までに長い時間がかかる。
【0008】
また、昨今は微量な検体や試薬を高精度に分注できることが求められているが、このようなニーズを満足させる点において、ノズルの形状は最適なものであるとはいい難い。
【0009】
本発明の目的は、分注精度のよい生化学分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0010】
本発明の生化学分析装置は、検体又は試薬の吐出・吸引が可能なノズルと、前記の吐出・吸引時に圧力伝達媒体として機能する液体をノズル側へ供給するシリンジと、液体供給源と前記シリンジとの間に液体をプールするタンクを備えて、前記液体供給源から前記タンクに液体を導入し、前記タンクから前記シリンジに液体を導入することを特徴とする。
【0011】
本発明によると、液体供給源からシリンジに液体を導入する経路のうち、液体供給源からタンク内部までの経路で発生した気泡は液体とともにタンク内部に導入され、浮力によって外部に放出していくため、気泡のない液体をシリンジに導入することができる。また、タンクとシリンジとの距離を短くすることができるため、シリンジ動作による負圧を小さく抑えることができて、気泡の発生を抑制できる。これにより、分注時の液体による圧力の伝達が気泡によって変動してしまうのを抑えて、分注精度を向上させることができる。また、タンクとシリンジとの距離が短いため、タンクとシリンジとの間の経路に液体を充満させる時間を短縮させることができる。
【0012】
本発明においては、前記ノズルが複数設けられ、前記タンクは前記複数のノズルの各々を動作させるように夫々設けられた前記シリンジと前記液体供給源との間に複数設けられていてよい。これによると、複数のノズルの各々を動作させるシリンジの各々に液体を導入するようにタンクが複数設けられているため、それぞれのタンクとシリンジとの距離を短く保つことができて、気泡のない液体をシリンジに導入することができる。
【0013】
本発明の生化学分析装置は、検体又は試薬の吐出・吸引が可能な先細りのノズルの絞り角が4.5°以上7.0°以下の範囲に設定されていることを特徴とする。
【0014】
本発明によると、検体又は試薬の吸引時におけるノズル内部の圧力上昇を小さく抑えることができるため、吐出時に、所望定量の検体又は試薬を吐出するための圧力を加えてもノズル内部の圧力が必要以上に高くならなくなって、分注精度を向上できる。また、吸引時にノズル内で渦が発生し、検体又は試薬の液面中央部が盛り上がって液体に接触することにより検体又は試薬が希釈されることもないため、所望定量の検体又は試薬を吐出することができて、分注精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る生化学分析装置の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態に係る生化学分析装置を示す上面図である。図2は分注及びノズル内部の洗浄を行う装置群の構成図である。図3はノズルの拡大断面図である。図4はノズルの絞り角と圧力水頭との関係を表すグラフ図である。
【0016】
先ず図1に示されている小型・卓上型の生化学分析装置60について説明する。この装置60は血漿、血清、尿等を検体として使用してコレステロール値等を検査する目的で使用され、試薬庫61にある試薬と、検体庫62にある検体とを反応槽63で反応させ、その反応液の吸光度をディテクターユニット66にて測定し、得られたデータからコレステロール値等を得るものである。
【0017】
試薬庫61は試薬が入った試薬ボトル64を複数個、この装置60では60個トレー上に搭載し、検体庫62は血漿、血清、尿等の検体が入った採血管65を複数個、この装置60では92個をトレー上に搭載している。また反応槽63にはセル67と称される容器が複数個、この装置60では90個環状に配置されている。試薬庫61、検体庫62、反応槽63のそれぞれは回転し、ノズル10(図示せず)によって試薬と検体とが順次反応槽63のセル67内に注入される。
【0018】
ノズル10は、回転用モータ等によって図1に示されている軌道10’に従って、試薬庫61から反応槽63へ、又は検体庫62から反応槽63へと回転動作される。また上下動作用モータによってノズル10を試薬庫61の試薬ボトル64、又は検体庫62の採血管65にノズル10先端近傍部を挿入するように下降させ、試薬又は検体を吸引させてから再び上昇させ、回転用モータ等によって軌道10’に沿って反応槽63のセル67へと移動させる。そしてノズル10からセル67内に試薬又は検体を吐出させた後、トラフと称される窪み11においてノズル10から純水(液体)を吐出させてノズル10内部を洗浄し、トラフ11に設置された図示しないノズル洗浄装置でノズル10の外側を洗浄する。このようにノズル10に検体又は試薬の吸引、吸引した検体又は試薬の反応槽への吐出、純水による洗浄というサイクルを繰り返させながら、反応測定を行う。
【0019】
次いで、図1、図2に基づいて、分注及びノズル内部を洗浄する装置群について説明する。図2においてノズル内部を洗浄する装置群は、純水タンク(液体供給源)2、第1電磁弁3、サブタンク(タンク)1、第2電磁弁7、第2電磁弁7に接続した洗浄用シリンジ6、三方継手9、三方継手9に接続した分注用シリンジ8、三方継手9に接続したノズル10で構成されている。純水タンク2とサブタンク1との距離は長く、継手5によって接続された複数のチューブ4によって接続されている。サブタンク1と第2電磁弁7(洗浄用シリンジ6)との距離は短く、短いチューブ4’によって接続されている。ここで、チューブ4群のサブタンク1内における端部4aとチューブ4’のサブタンク1内における端部4’aとは離間している。第2電磁弁7と三方継手9とはチューブ4’’により接続され、三方継手9とノズル10とはチューブ4’’’により接続されている。
【0020】
純水タンク2には純水が貯留されているとともに、圧力が負荷されている。第1電磁弁3が開かれると、純水タンク2に貯留されていた純水は純水タンク2に負荷された圧力により複数のチューブ4を伝ってサブタンク1へと流れ込む。サブタンク1には図示しない液面センサーが備えられており、サブタンク1の貯水量が残り少なくなったり、満水になったりすると、液面センサーが液面を検知して、第1電磁弁3を開閉する。
【0021】
第2電磁弁7は洗浄用シリンジ6の連通先をサブタンク1又は三方継手9のどちらかに切り替える。洗浄用シリンジ6とサブタンク1とが連通した場合、洗浄用シリンジ6のピストン6’が洗浄用シリンジ6外方へ引き出されることで生じる負圧によりサブタンク1内の純水が洗浄用シリンジ6内に導入される。一方、洗浄用シリンジ6と三方継手9とが連通した場合、ピストン6’が洗浄用シリンジ6の内方へ押し込まれることで生じる正圧により、洗浄用シリンジ6内の純水はチューブ4’’、三方継手9、チューブ4’’’を介してノズル10から吐出される。
【0022】
分注用シリンジ8は、ピストン8’が分注用シリンジ8外方へ引き出されることで生じる負圧により、後述する圧力伝達媒体であるチューブ4’’’内及びノズル10内に充満した純水の一部を分注用シリンジ8内に吸引することで、その負圧により試薬又は検体をノズル10内へと吸引させる。そして、ピストン8’が分注用シリンジ8内方へ押し込まれることで生じる正圧により、分注用シリンジ8内の純水の一部をノズル10側に押し戻すことで、ノズル10内の試薬又は検体のうち所望の定量分をノズル10から吐出・分注させる。
【0023】
このような装置群は純水タンク2を除いて図1の生化学分析装置の内部に2組設けられている。1組は図1の右方に内蔵されて、2点鎖線で示すサブタンク1が第2電磁弁7、洗浄用シリンジ6、分注用シリンジ8等を介して検体を吸引・吐出するノズル10に接続し、もう1組は図1の左方に内蔵されて、2点鎖線で示すサブタンク1が第2電磁弁7、洗浄用シリンジ6、分注用シリンジ8等を介して第1の試薬を吸引・吐出するノズル10に接続するとともに、第2電磁弁7、洗浄用シリンジ6、分注用シリンジ8等を介して第2の試薬を吸引・吐出するノズル10に接続している。純水タンク2は生化学分析装置60の外部に1つだけ設けられて、この純水タンク2に接続する2本のチューブ4群が夫々の第1電磁弁3を介して夫々のサブタンク1に接続している。
【0024】
次に、ノズルについて図3を用いて詳細に説明する。ノズル10は検体、試薬等の液体を吸引・吐出するものであり、ステンレス等の金属から形成され、先端近傍が縮径された棒状のものである。本実施の形態においては、太い内径の直径は1.17mmであり、細い内径の直径は0.4mmである。このようなノズル10の圧力水頭は、「機械工学便覧」(日本機械学会編)によれば、
h=ζ(v2/2g)
で表される。ここで、ζは損失係数であり、
ζ=ξ[1−(A1/A2)]2
で定義される。A1は細い内径の管の断面積、A2は太い内径の管の断面積である。また、v2/2gは管内の速度水頭であって、vは管内平均流速、gは重力の加速度である。
【0025】
ここで、ノズル内部の圧力変動を抑えて分注精度を高めるという観点から、圧力水頭hが最小になる条件を検討すると、図4(出典:機械工学便覧(日本機械学会編))から絞り角を約5°30′にするとξが最小値となり、その結果、圧力水頭hが最小となることがわかる。
【0026】
そのため、図3(a)に示す本実施の形態に用いられるノズル10の絞り角は加工誤差を考慮して4.5°以上7.0°以下に設定されることが好ましく、ここでは6.0°に設定されている。図3(b)は比較対象としての従来の絞り角が15°のノズルである。
【0027】
次に、上記の構成における生化学分析装置の作動のうち、試薬又は検体の分注動作、ノズル内部の洗浄動作について、図2を用いて説明する。
【0028】
生化学分析装置60を初めて作動させる場合や、長時間のアイドルタイムの後に生化学分析装置60を始動させる場合等において、まず生化学分析装置60の立ち上げ動作を行う。最初に第1電磁弁3を開き、純水タンク2から純水をサブタンク1に導入してサブタンク1を満水にし、その後、第1電磁弁3を閉じる。このとき、チューブ4同士を接続する継手5部分からの気泡の混入が生じる場合があるが、これらの気泡はサブタンク1においてチューブ4群の端部4aから外部へと放出される。
【0029】
次に、サブタンク1と洗浄用シリンジ6とが連通するように第2電磁弁7を切り替え、洗浄用シリンジ6内方に押し込まれていたピストン6’を洗浄用シリンジ6外方に引き出すことで生じた負圧によりサブタンク1内の純水を洗浄用シリンジ6に導入する。同時に分注用シリンジ8外方に引き出されていたピストン8’を分注用シリンジ8内方に押し込む。このとき、サブタンク1と洗浄用シリンジ6との間のチューブ4’が短いため、チューブ4’内の負圧は小さく、キャビテーションによる気泡が発生することがない。また、チューブ4’が短いため、チューブ4’に純水を満たすための純水消費量が少なくて済み、チューブ4’に純水を満たす時間が短くて済む。また、サブタンク1より上流で発生した気泡はサブタンク1においてチューブ4群の端部4aから外部に放出されているため、気泡がチューブ4’を通じて洗浄用シリンジ6内に混入することもない。
【0030】
その後、洗浄用シリンジ6と三方継手9とが連通するように第2電磁弁7を切り替えて、ピストン6’を洗浄用シリンジ6内方に押し込むことで生じた正圧により洗浄用シリンジ6内の純水を洗浄用シリンジ6よりも下流側に圧送する。これにより、純水はチューブ4’’内、三方継手9内、チューブ4’’’内、ノズル10内に満たされて、ノズル10の先端まで延在する。この際、多少の純水をノズル10から吐出させることで、純水をノズル10の先端まで確実に延在させる。チューブ4’’’内及びノズル10内に充満した純水は圧力伝達媒体として機能することになるため、以降、圧力伝達媒体と呼ぶ。これにより立ち上げ動作が完了し、分注動作が可能になる。なお、上述した立ち上げ動作を複数回繰り返して純水の充満をより確実に実現することが好ましい。
【0031】
次に、定量の試薬又は検体の分注動作及びノズル内部の洗浄動作について説明する。まず、ノズル10を試薬ボトル64又は採血管65に位置させる。このとき、第2電磁弁7は洗浄用シリンジ6とサブタンク1とを連通させている。その後、分注用シリンジ8内方に押し込まれていたピストン8’を分注用シリンジ8外方に引き出すことで生じた負圧により圧力伝達媒体の一部を分注用シリンジ8内に吸引する。このとき圧力伝達媒体を伝わった負圧によってノズル10の先端から一定量の空気が吸引され、次いで、所望定量に後述のダミー吐出分及びマージンを加えた量の試薬又は検体がノズル10内に吸引される。なお、ノズル10内に一定量の空気を吸引するのは、ノズル10内に空気層を形成することで、その後にノズル10から吸引された検体又は試薬が圧力伝達媒体としての純水と接触し、検体や試薬が希釈されるのを防ぐためである。
【0032】
ここで、ノズル10の先端は絞り角6.0°で緩やかに縮径しているため、試薬又は検体の吸引の際は、内部圧力変動をほとんど生じさせることなく、且つ、吸引された試薬又は検体の内部において気泡を生じさせることなく吸引が行われる。詳細は後述する。
【0033】
同時に洗浄用シリンジ6内方に押し込まれていたピストン6’を洗浄用シリンジ6外方に引き出すことで生じた負圧によりサブタンク1内の純水を洗浄用シリンジ6に導入する。このとき、サブタンク1と洗浄用シリンジ6との間のチューブ4’が短いため、チューブ4’内の負圧が小さく、気泡が発生することがない。また、サブタンク1より上流で発生した気泡はサブタンク1においてチューブ4群の端部4aから外部に放出されているため、気泡がチューブ4’を通じて洗浄用シリンジ6に混入することもない。
【0034】
次いで、ノズル10を試薬庫61又は検体庫62から反応層63へ移動させる。ノズル10は反応層63への移動の途中でトラフ11の位置にて一旦停止され、ピストン8’が分注用シリンジ8内方に僅かに押し込まれる。これにより生じた正圧により圧力伝達媒体の一部がノズル10側に圧送され、ノズル10内の試薬又は検体のうちの僅かな量がトラフ11内にてダミー吐出される。このダミー吐出により、ノズル10の先端の端部ギリギリまで試薬又は検体が入っていることが確保される。ダミー吐出後、ピストン8’の分注用シリンジ8内方への押し込みが一旦停止される。次いで、トラフ11に設置されたノズル洗浄装置によりノズル10の外側の洗浄が行われる。ノズル10の外側の洗浄により、セル67内にノズル10の先端が挿入されたときにノズル10の外側に付着した試薬又は検体がセル67内に混入することによる分注精度の悪化が防止される。
【0035】
ノズル10が反応層63に到着すると、一旦停止していたピストン8’が更に分注用シリンジ8内方に押し込まれる。これにより生じた正圧により圧力伝達媒体の一部がノズル10側に圧送され、所望定量の試薬又は検体がセル67内へ吐出される。吐出時においてもノズル10内部に圧力変動はほとんど生じず、所望の定量分を吐出することができる。所望定量の試薬又は検体の吐出後、ピストン8’の分注用シリンジ8内方への押し込みが再度一旦停止される。
【0036】
次に、ノズル10を再度トラフ11に移動させるとともに、洗浄用シリンジ6と三方継手9とが連通するように第2電磁弁7を切り替える。そして、一旦停止していたピストン8’を分注用シリンジ8内方に完全に押し込むことでノズル10内に残存する試薬又は検体と一定量の空気をノズル10から吐出させ、圧力伝達媒体のすべてをノズル10側に圧送する。次いで、ピストン6’を洗浄用シリンジ6内方に押し込むことで生じる正圧により洗浄用シリンジ6内の純水をチューブ4’’、三方継手9、チューブ4’’’を介してノズル10から吐出させる。これにより、チューブ4’’’内及びノズル10内に充満した圧力伝達媒体のすべてがノズル10から吐出されるとともに、洗浄用シリンジ6内から供給された純水によってノズル10内部が洗浄される。洗浄用シリンジ6内から供給された純水のうち、最後に供給された純水はノズル10から吐出されることなくチューブ4’’’内及びノズル10内に充満して残り、新たな圧力伝達媒体となる。
【0037】
次に、トラフ11にてノズル洗浄装置によるノズル10の外側の洗浄が行われる。その後、ノズル10の動作は次の試薬又は検体の分注動作へと移行する。
【0038】
次に、本実施の形態における生化学分析装置の分注精度を確認するため、下記の試験を行った。即ち、定量2μlの分注を1回の測定につき10回行うことで、色素法による測定データを1回の測定につき10個取り、10個のデータの母標準偏差σと母平均μとの比率である変動係数CVを本実施の形態における生化学分析装置に用いられる絞り角6.0°のノズル(図3(a)参照)においては6回算出し、従来の絞り角15°のノズル(図3(b)参照)においては8回算出した。ここにおいて、吸引する空気量は12μl、吸引する試薬又は検体のトータル量は7μl、ダミー吐出する試薬又は検体の量は2μlとした。変動係数CVは、
CV=σ/μ
で定義され、相対的な散らばりを表す指標であって、この値が小さいほど精密度が高いことになる。また、色素法による測定は、純水に任意の濃度の色水(色素を含んだ水)を分注し、この混合液の光の遮り率を吸光度計で測定することにより行う。この実験結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
この結果、絞り角を6.0°にしたノズルの方が従来の絞り角15°のノズルに比べて分注精度が高いことが分った。
【0041】
ここで理論上は、試薬又は検体の吐出時に限っていえば、試薬や検体は太い内径から細い内径に向かって流れるので、絞り角が6.0°でも15°でも、この流れによって生じるノズル内部の圧力変動は無視できるほど小さいはずである。しかしながら、上記の実験では絞り角6.0°の方が精度が良いとの結果が得られており、この理由としては以下のように考えることができる。
【0042】
即ち、試薬又は検体の(吐出時でなく)吸引時では、吸引された試薬や検体はノズル内部で細い内径から太い内径に向かって流れることになるが、この流れによってもノズル内部に圧力変動が生じる。絞り角15°のノズルにおいては上記の流れにより、ノズルの内部圧力が相当に高くなってしまったと考えられる。そして、その後の吐出時において吐出圧力が更に付与される結果、ノズル内部の圧力が高くなりすぎて所望定量以上の量が吐出されてしまい、分注精度が悪くなったと考えられる。
【0043】
一方、絞り角が6.0°のノズルは、吸引時におけるノズル内部の圧力上昇を小さく抑えることができるため、吐出時に検体又は試薬に圧力を与えた際にノズル内部の圧力が必要以上に高くならず、これが分注精度向上に寄与していると考えられる。
【0044】
また、絞り角15°のノズル内部では、吸引時において壁面の流速が接触抵抗によって遅く、中央部の流速が速くなる。これにより吸引時にノズル中央部において検体又は試薬の液面が盛り上がる可能性がある。また吸引時において、ノズル先端内部の検体又は試薬に、渦や、ノズルの内面から剥がれるような流れが発生し、これによってもノズル中央部において検体又は試薬の液面が盛り上がる可能性がある。この盛り上がった検体又は試薬が空気層を突き抜けて圧力伝達媒体としての純水に接触することで、検体又は試薬が希釈され、これが分注精度に悪影響を与えていると考えられる。
【0045】
一方、絞り角が6.0°のノズルは、吸引時に液面の盛り上がりが防止されるため、上記のような検体や試薬の希釈が回避され、所望定量の検体又は試薬を精度良く吐出できると考えられる。
【0046】
以上のように、本実施の形態の生化学分析装置は、純水タンク2と洗浄用シリンジ6との間に純水をプールするサブタンク1を備え、純水タンク2とサブタンク1とを接続するチューブ4群の端部4aと、サブタンク1と洗浄用シリンジ6とを接続するチューブ4’の端部4’aとが離間した構成にされている。これにより、チューブ4群内で発生した気泡をサブタンク1においてチューブ4群の端部4aから外部に放出させて、気泡のない純水を洗浄用シリンジ6に供給することができる。また、サブタンク1と洗浄用シリンジ6との距離を短くすることができるため、洗浄用シリンジ6の負圧を小さく抑えることができて、気泡の発生を抑制できる。これにより、分注用シリンジ8からの圧力の伝達が気泡によって変動してしまうのを抑えて、分注精度を向上させることができる。また、サブタンク1と洗浄用シリンジ6との距離が短いため、チューブ4’内に純水を充満させる時間を短縮させることができる。本実施の形態では、長時間のアイドルタイムの後に生化学分析装置60を始動させた場合でも、十分な量の純水がサブタンク1に既にプールされているときは、短いチューブ4’、4’’、4’’’やノズル10等に純水を満たすだけで良いので、立ち上げ時間を短くできる。装置60の始動後にサブタンク1の貯水量が少なくなったら、その時点で第1電磁弁3を開いて純水を供給すれば良いのである。
【0047】
また、サブタンク1は第1の試薬を吸引・吐出するノズル10、第2の試薬を吸引・吐出するノズル10、検体を吸引・吐出するノズル10の各々を動作させるように夫々設けられた洗浄用シリンジ6と純水タンク2との間に複数設けられているため、それぞれのサブタンク1と洗浄用シリンジ6との距離を短く保つことができて、気泡のない純水を洗浄用シリンジ6に供給できる。
【0048】
また、ノズル10の絞り角が6.0°に設定されているため、吐出時はもとより吸引時におけるノズル10内部の圧力上昇を小さく抑えることができて、所望定量の検体又は試薬を吐出するための圧力を加えてもノズル10内部の圧力が必要以上に高くならない。また、吸引時にノズル内で渦が発生し、検体又は試薬の液面中央部が盛り上がって純水に接触することにより検体又は試薬が希釈されることもない。よって、所望定量の検体又は試薬を吐出することができて、分注精度を向上させることができる。
【0049】
また、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明はその趣旨を超えない範囲において変更が可能である。即ち、サブタンクは1つであってもよい。共通に設けられた1つのサブタンクと2つの洗浄用シリンジ6との距離が短ければ、2つのチューブ4’内に気泡が発生するのを防止可能である。サブタンクが3つ以上であっても勿論よい。
【0050】
また、第1の試薬を吸引・吐出するノズルと第2の試薬を吸引・吐出するノズルとが備わった構成としたが、試薬を吸引・吐出するノズルの数はこれに限定されない。同様に、検体を吸引・吐出するノズルの数も限定されない。
【0051】
純水供給源として純水タンク2を備えることに限定されず、例えば純水供給装置であっても良い。純水供給源は、装置60の外部に備えられていても良いし、装置60に内蔵されていても良い。
【0052】
上記の実施の形態では分注用シリンジ8と洗浄用シリンジ6とが独立して設けられているが、洗浄用シリンジ6を省略して、分注用シリンジ8とサブタンク1とを直接接続しても良い。この場合、例えば、検体や試薬を吸引・吐出するための分注用シリンジ8に、ノズル10の内部を洗浄する役割、及び、圧力伝達媒体としての純水をノズル10側へ供給する役割を兼ねさせる構成とすることができる。また、圧力伝達媒体として利用される純水がノズル10の内部洗浄水を兼ねない構成においても、本発明を適用することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態に係る生化学分析装置を示す上面図である。
【図2】分注及びノズル内部の洗浄を行う装置群の構成図である。
【図3】ノズルの拡大断面図であり、(a)は本発明の実施の形態に係る生化学分析装置に用いられるノズルであり、(b)は従来の生化学分析装置に用いられていたノズルである。
【図4】ノズルの絞り角と圧力水頭との関係を表すグラフ図である。
【符号の説明】
【0054】
1 サブタンク(タンク)
2 純水タンク(液体供給源)
3 第1電磁弁
4,4’,4’’,4’’’ チューブ
4a 端部
4’a 端部
5 継手
6 洗浄用シリンジ(シリンジ)
6’ ピストン
7 第2電磁弁
8 分注用シリンジ
8’ ピストン
9 三方継手
10 ノズル
10’ 軌道
11 トラフ
20 ノズル
60 生化学分析装置
61 試薬庫
62 検体庫
63 反応槽
64 試薬ボトル
65 採血管
66 ディテクターユニット
67 セル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体又は試薬の吐出・吸引が可能なノズルと、
前記の吐出・吸引時に圧力伝達媒体として機能する液体をノズル側へ供給するシリンジと、
液体供給源と前記シリンジとの間に液体をプールするタンクを備えて、前記液体供給源から前記タンクに液体を導入し、前記タンクから前記シリンジに液体を導入することを特徴とする生化学分析装置。
【請求項2】
前記ノズルが複数設けられ、前記タンクは前記ノズルの各々を動作させるように夫々設けられた前記シリンジと前記液体供給源との間に複数設けられている請求項1に記載の生化学分析装置。
【請求項3】
検体又は試薬の吐出・吸引が可能な先細りのノズルの絞り角が4.5°以上7.0°以下の範囲に設定されていることを特徴とする生化学分析装置。
【請求項1】
検体又は試薬の吐出・吸引が可能なノズルと、
前記の吐出・吸引時に圧力伝達媒体として機能する液体をノズル側へ供給するシリンジと、
液体供給源と前記シリンジとの間に液体をプールするタンクを備えて、前記液体供給源から前記タンクに液体を導入し、前記タンクから前記シリンジに液体を導入することを特徴とする生化学分析装置。
【請求項2】
前記ノズルが複数設けられ、前記タンクは前記ノズルの各々を動作させるように夫々設けられた前記シリンジと前記液体供給源との間に複数設けられている請求項1に記載の生化学分析装置。
【請求項3】
検体又は試薬の吐出・吸引が可能な先細りのノズルの絞り角が4.5°以上7.0°以下の範囲に設定されていることを特徴とする生化学分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2006−126084(P2006−126084A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−316832(P2004−316832)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】
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