説明

生活動作監視システム、負荷監視装置および負荷監視方法

【課題】分電盤の電気回路に電熱器具が接続されていても、生活者による電気器具の操作の有無を高精度で判断する。
【解決手段】所定のエリアに滞在している人の、電気器具251〜253に対する動作を監視する生活動作監視システムSであって、分電盤200から分岐した電気回路の負荷量を検知する負荷検知センサと、負荷監視装置を備えている。負荷監視装置において、演算部は、負荷検知センサから受信した負荷量が、記憶部に記憶された最大値を所定の閾値以上超えた場合、あるいは、記憶部に記憶された最小値を所定の閾値以上下回った場合に、電気器具に対する操作があったと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家などの所定のエリア(以下、生活エリアという)に滞在している人の、電気器具に対する動作を監視する生活動作監視システム、負荷監視装置および負荷監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、独居老人など(以下、生活者という)の安否確認のために、様々な技術が提案されている。たとえば、赤外線受光式の人体検知センサを生活エリアの数箇所に設置しておき、所定時間(たとえば10時間)、生活者の動きが検知されなかったときに、生活者に異常が発生した可能性があるとして、遠隔の監視センタに警報を送信するというシステムがある。
しかし、そのシステムでは、生活エリアに人体検知センサをいくつも設置しなければならず、コストがかかるという問題があった。また、病気などで苦しんでいる生活者の動きを生活者の正常な生活の動きと判断したり、犬や猫などの動物の動きを生活者の動きと誤判断したりするなどの問題もあった。
【0003】
そこで、本出願人は、前記問題点を解決するべく、先に特許文献1の技術を提案した。すなわち、特許文献1の技術は、生活エリアにおいて、分電盤の各電気回路に電流センサを取り付け、その電流値の変化から、各電気回路に接続された電気器具に対する生活者の操作(動作)を検知する、というものである。
【0004】
たとえば、分電盤の1つの電気回路に、テレビ、照明、パソコンなどの複数の電気器具が接続されている場合、生活者がそれらの電気器具のオン/オフを操作すると、その電気回路の電流値は図7(a)のように変化する。図7(a)は、複数の電気器具が接続された電気回路における電流値の変化を表わした図である。
【0005】
図7(a)に示すように、生活者が電気器具をオン/オフすると(時刻a,c,e,g,i)、その電気回路の電流値が変化するため(時刻b,d,f,h,j)、電流センサから電気回路の電流値を受信する負荷監視装置では、生活者が電気器具の操作をした、つまり、生活者が普通に生活しているという判断をすることができる。
【特許文献1】特開2004−336708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、電気器具として電熱器具(ヒーターや電気ポットなど、電気の発熱を利用した器具)を使用している場合には対応できない。たとえば、分電盤の電気回路に電熱器具が接続されている場合、その電気回路の電流値が図7(b)に示すように変化しても、その電流値の変化が、すべて生活者による電気器具の操作によるものとは限らない。図7(b)は、電熱器具を含む複数の電気器具が接続された電気回路における電流値の変化を表わした図である。電熱器具は、サーモスタットなどのはたらきにより、一定時間ごとに、自動的に発熱と休止を繰り返すことがあるからである。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、電気回路に電熱器具が接続されていても、生活者による電気器具の操作の有無を高精度で判断することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、所定のエリアに滞在している人の、1つ以上の電気器具に対する動作を監視する生活動作監視システムであって、分電盤から分岐した少なくとも1つの電気回路に取り付けられ、その電気回路の負荷量を検知する負荷検知センサと、前記負荷検知センサから前記負荷量を受信する受信部、所定時間内の前記負荷量の最大値と最小値を記憶している記憶部、および、前記受信部が前記負荷検知センサから受信した前記負荷量が、前記記憶部に記憶された最大値を所定の閾値以上超えた場合、あるいは、前記記憶部に記憶された最小値を所定の閾値以上下回った場合に、前記電気器具に対する動作があったと判定する演算部、を有する負荷監視装置と、を備えている。その他の手段や方法については後記する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電気回路に電熱器具が接続されていても、生活者による電気器具の操作の有無を高精度で判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る生活動作監視システムについて、図面を参照しながら説明する。図1は、生活動作監視システムの全体構成図である。
生活動作監視システムSは、電力会社100、分電盤200、電気器具251〜253、収集器(負荷監視装置)300、情報処理装置(負荷監視装置)400および管理会社500から構成される。
【0010】
電力会社100は、発電施設101により電力を発生させ、送電線110によりその電力を各所へ供給する。
分電盤200は、家などの所定のエリアに設置され、電力会社100から送電線110を介して供給された電力を、複数(ここでは8つ)の電気回路に分配する装置である。分電盤200は、主ブレーカ201、副ブレーカ211〜218、第一電気回路221〜第八電気回路228、および、電流センサ(負荷検知センサ)231〜238を備えて構成される。
【0011】
主ブレーカ201および副ブレーカ211〜218は、それぞれ所定値以上の電力が流れたときなどに、電気回路を自動的に遮断する装置である。
副ブレーカ211〜218の下流(主ブレーカ201と逆側)には、それぞれ電気回路が接続されているが、以下、副ブレーカ211に接続されている第一電気回路221を例にとって説明する。
【0012】
第一電気回路221には、電気器具251〜253がコンセント(不図示)などを介して接続されている。電気器具251〜253は、電気により動作する器具全般を指すもので、ここでは、少なくとも1つ以上の電熱器具(ヒータ、電気ポットなど)を含んでおり、それ以外は非電熱器具(テレビ、照明など)であってもよい。
また、第一電気回路221には、電流センサ231がクランプなどにより取り付けられている。電流センサ231は、第一電気回路221の電流値(負荷量)を検出し、その検出値(電流値)を収集器300に送信する。
【0013】
収集器300は、受信部301、A/D(Analogue/Digital)コンバータ302および処理部303を備えて構成される。
受信部301は、電流センサ231〜238から各電気回路の電流値を入力する端子である。
【0014】
A/Dコンバータ302は、受信部301が電流センサ231〜238から受信したアナログ信号をデジタル信号に変換する回路である。
処理部303は、たとえばCPU(Central Processing Unit)であり、電流センサ231〜238から受信した検出値に基づいて各電気回路などの電流値を演算し、また、通信装置(不図示)を介してその電流値などを情報処理装置400に送信する。なお、収集器300と情報処理装置400との通信方式は、特に制限はなく、たとえば、RS−232C(Recommended Standard 232 version C)などを採用すればよい。また、その他の装置間の通信方式も、特に制限はない。さらに、いずれかの通信を、同一基板の回路上でのデータ通信として行ってもよい。
【0015】
情報処理装置400は、演算部401、記憶部402および通信ユニット403を備えて構成される。
演算部401は、たとえばCPUであり、収集器300から受信した各電気回路の電流値の変化を判断するなど、各種演算処理を行うもので、詳細は後記する。
【0016】
記憶部402は、たとえばメモリ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などから構成され、演算部401の動作プログラム、各電気回路の電流値などを記憶する。また、記憶部402は、各電気回路の電流値に関する最新の最大値と最小値を常に保持している。
通信ユニット403は、たとえば管理会社500に対して、生活異常(生活者に異常事態が発生した可能性がある旨)などの信号を送信する装置である。なお、通信ユニット403からの生活異常などの信号の送信先は、管理会社500でなくても、生活者の家族や介護人(ヘルパーなど)などであってもよい。
【0017】
管理会社500は、たとえば警備会社であり、情報処理装置400から受信した生活異常の信号に基づき、警備員の現場派遣や生活者の親族への連絡などの対処を行う。
【0018】
次に、図2〜図4を参照しながら、第一電気回路221における電流値の変化について説明する(適宜図1参照)。また、その電流値の変化から生活者による電気器具251〜253の操作を判定するアルゴリズムについては、図5および図6で説明する。
図2(a)は、1つの電熱器具が一定時間ごとに発熱と休止を繰り返したときの、第一電気回路221の電流値の変化を示す図である。
【0019】
図2(a)では、電気器具251〜253のうち1つが電熱器具であるものとする。そして、時刻T0において、電気器具251〜253はいずれも非作動中であり、第一電気回路221の電流値は、電気器具251〜253のそれぞれの待機電流値(コンセントにプラグがささっているがスイッチは入っていない状態において流れる電流の値)の和(最小値1a1)となっている。そして、時刻aのとき、生活者が電熱器具のスイッチをオンにすると、その電熱器具が作動し、第一電気回路221の電流値は最大値2Aとなる。
【0020】
その後、電熱器具は所定時間(たとえば20分)ごとに発熱と休止を繰り返し、第一電気回路221の電流値は最小値2a2と最大値2Aを繰り返す。なお、以下、他図においても、電熱器具は所定時間ごとに発熱と休止を繰り返すものとする。また、最小値2a2は、非電熱器具2つの待機電流値と電熱器具の作動待機電流値(コンセントにプラグがささっていて、スイッチが入っており、作動待ち(休止)の状態において流れる電流の値)の和である。
【0021】
図2(b)は、1つの電熱器具が発熱と休止を繰り返した後に作動を停止したときの、第一電気回路221の電流値の変化を示す図である。
図2(b)では、電気器具251〜253のうち1つが電熱器具であるものとする。そして、時刻T0において、電気器具251〜253のいずれも非作動中であり、第一電気回路221の電流値は、電気器具251〜253のそれぞれの待機電流の和(最小値1b1)となっている。そして、時刻aのとき、生活者が電熱器具のスイッチをオンにすると、その電熱器具が作動し、第一電気回路221の電流値は最大値2Bとなる。
【0022】
その後、電熱器具は発熱と休止を繰り返し、第一電気回路221の電流値は最小値2b2と最大値2Bを繰り返す。なお、最小値2b2は、非電熱器具2つの待機電流値と電熱器具の作動待機電流値の和である。
そして、時刻bのとき、生活者が電熱器具のスイッチをオフにすると、その電熱器具は作動を停止し、その後、第一電気回路221の電流値は最小値1b1に戻る。
【0023】
図3(a)は、1つの電熱器具の使用強度が途中で上げられたときの、第一電気回路221の電流値の変化を示す図である。
図3(a)では、電気器具251〜253のうち1つが電熱器具で、たとえばホットカーペットであるものとする。そして、時刻T0において、電気器具251〜253のいずれも非作動中であり、第一電気回路221の電流値は、電気器具251〜253のそれぞれの待機電流の和(最小値3a1)となっている。そして、時刻aのとき、生活者がホットカーペットのスイッチをオン(強度は弱)にすると、その電熱器具が作動し、第一電気回路221の電流値は最大値3A1となる。
【0024】
その後、時刻bのとき、生活者がホットカーペットの強度を弱から中に切り替えたとすると、ホットカーペットの待機電流値の上昇により、第一電気回路221の電流値の最小値は符号3a2で示す値から符号3a3で示す値に上がり、最大値は符号3A1で示す値から符号3A2で示す値に上がる。
なお、ここでは、電熱器具が1台の場合について説明したが、2台以上の電熱器具を時間差で使用開始した場合でも同様である。
【0025】
図3(b)は、3つの電熱器具を使用したときの、第一電気回路221の電流値の変化を示す図である。
図3(b)では、電気器具251〜253のいずれもが電熱器具であるものとする。そして、時刻T0において、電気器具251〜253のいずれも非作動中であり、第一電気回路221の電流値は、電気器具251〜253のそれぞれの待機電流の和(最小値3b1)となっている。そして、時刻aのとき、生活者が電気器具251〜253のいずれものスイッチをオンにすると、それらの電気器具(電熱器具)が作動し、その直後、第一電気回路221の電流値は最大値3B1となる。
【0026】
その後、時刻bのとき、生活者がいずれか1つの電熱器具のスイッチをオフにすると、最大値は符号3B2で示す値に下がる。そして、時刻cのとき、作動している残り2つのうち1つの電熱器具のスイッチをオフにすると、最大値は符号3B2で示す値から符号3B3で示す値に下がり、最小値は符号3b3で示す値に下がる。
なお、ここでは、電熱器具が3台の場合について説明したが、1台の電熱器具で強度を変えながら使用した場合でも同様である。
【0027】
図4(a)は、1つの電熱器具を使用したときの、第一電気回路221の電流値の変化を示す図である。
図4(a)では、電気器具251〜253のうち1つが電熱器具であるものとする。そして、時刻T0において、電気器具251〜253のいずれも非作動中であり、第一電気回路221の電流値は、電気器具251〜253のそれぞれの待機電流の和(最小値4a1)となっている。そして、時刻aのとき、生活者が電熱器具のスイッチをオンにすると、その電熱器具が作動し、第一電気回路221の電流値は、瞬間的な定格超え(以下「ひげ」という)の最大値4A1になった後、すぐに最大値4A2に落ち着く。その後、第一電気回路221の電流値は、時刻cのとき再び瞬間的に最大値4A1になり、その直後に最大値4A2に落ち着く。
なお、ここでは、電熱器具が1つの場合について説明したが、電熱器具が2つ以上の場合についても同様である。
【0028】
図4(b)は、瞬停(瞬時停電)が発生したときの、第一電気回路221の電流値の変化を示す図である。なお、瞬停とは、落雷や、電力会社100による送電線ルートの切替時などに起きる、瞬間的な停電のことである。
【0029】
図4(b)では、電気器具251〜253のうち1つが電熱器具であり、残り2つの電気器具は作動しないものとする。第一電気回路221の電流値は、電熱器具の作動中は最大値4B、電熱器具の休止中は最小値4b1となっている。
そして、時刻aのとき、送電線110に瞬停が発生し、第一電気回路221の電流値は、瞬間的に最小値4b2にまで下がる。
【0030】
次に、図5を参照しながら、電気回路ごとの生活動作判定について説明する(適宜図1参照)。図5は、電気回路ごとに生活動作判定をするときの情報処理装置の処理を示すフローチャートである。ここでは、複数の電気回路のうち、第一電気回路221を例にとって説明する。
【0031】
生活者は、家などの所定のエリアで生活しており、そこに電気器具251〜253(テレビ、照明、ヒーターなど)が備えられている。電気器具251〜253は、第一電気回路221に接続されており、また、電流センサ231は、第一電気回路221の電流値を検出し、収集器300の受信部301にその検出値を送信する。
収集器300において、受信部301で受信した検出値は、A/Dコンバータ302でアナログ信号からデジタル信号に変換される。また、処理部303は、第一電気回路221の電流値を読み取り、情報処理装置400に送信する。
【0032】
情報処理装置400の演算部401は、収集器300から第一電気回路221の電流値を受信する、すなわち、電流値を計測する(ステップS51)。このステップS51は、たとえば1秒ごとに行われる。
次に、演算部401は、計測時刻に達したか否かを判定する(ステップS52)。ここで、計測時刻とは、図2(a)などのT0、T1、T2であり、その時間間隔は、たとえば1時間である。計測時刻に達していない場合(ステップS52でNo)、ステップS53に進む。
【0033】
続いて、演算部401は、電流値に所定の変化があるか否かを判定する、すなわち、ステップS51で計測した電流値が、記憶部402に記憶されている最大値よりも大きい場合、あるいは、記憶部402に記憶されている最小値よりも小さい場合に、所定の変化があったと判定する(ステップS53)。
【0034】
なお、このステップS53では、電圧変動による電流値の変化や電流センサの誤差なども考慮し、計測した電流値が、記憶部402に記憶されている最大値に比べて、たとえば、5%あるいは所定の閾値以上上回り、かつ、差が10mAあるいは所定の電流値(閾値)以上ある場合に、所定の変化があった、と判断するようにしてもよい。計測した電流値を記憶部402の最小値と比較する場合も同様である。
【0035】
電流値に所定の変化がない場合(ステップS53でNo)、ステップS51に戻る。一方、電流値に所定の変化があった場合(ステップS53でYes)、演算部401は、その電流値の所定の変化が一定時間以上、継続したか否かを判定する(ステップS54)。ここで、一定時間とは、たとえば、1,2秒程度の時間であり、また、ステップS51で計測した電流値の値のうち新しいものから数回分を記憶部402に蓄積しておくことで、ステップS54の判定を行うことができる。また、このステップS54は、図4で説明した「ひげ」や「瞬停」による電流値の変化を、生活者による電気器具251〜253の操作と判定しないためのものである。
【0036】
電流値の所定の変化が一定時間以上継続しなかった場合(ステップS54でNo)、ステップS51に戻る。一方、電流値の所定の変化が一定時間以上継続した場合(ステップS54でYes)、演算部401は、生活動作あり、すなわち、生活者によって電気器具251〜253のいずれかの操作があったと判定し(ステップS55)、最大値および最小値を最新の値に更新する(ステップS56)。
【0037】
ステップS52に戻って、計測時刻に達している場合(Yes)、演算部401は、記憶部402に記憶している最大値および最小値を、今回の計測時間内におけるそれらの値(最大値および最小値)に更新する(ステップS57)。なお、計測時間とは、計測時刻間の時間のことであり、たとえば、時刻T0〜時刻T1の時間である。
このステップS57は、記憶部402に記憶される最大値と最小値を、計測時刻ごとに最新の値に更新するためのものであり、その詳細は、図5のフローチャートを図3(b)の場合にあてはめたときの説明のところで後記する。
【0038】
次に、演算部401は、所定の変化があったか否か、すなわち、ステップS57で実際に最大値あるいは最小値の更新が行われた(変更があった)か否かを判定する(ステップS58)。なお、このステップS58でも、ステップS53と同様、誤差を考慮し、たとえば、最大値が5%(所定の閾値)以上かつ10mA(所定の閾値)以上変化した場合に、所定の変化があった、と判断するようにしてもよい。最小値に関しても同様である。
このステップS58は、生活者が電気器具251〜253のいずれかを操作しても、そのことをステップS53で検知できなかったときのための判定であり、詳細は後記する。
【0039】
所定の変化がなかった場合(ステップS58でNo)、ステップS51に戻る。一方、所定の変化があった場合(ステップS58でYes)、演算部401は、生活動作あり、すなわち、生活者により電気器具251〜253のいずれかの操作があったと判定し(ステップS59)、その後、ステップS51に戻る。
【0040】
このような図5のフローチャートの処理を、図2(a)〜図4(b)の場合にあてはめてみる(適宜図1参照)。
図2(a)の場合、時刻aで生活者が電熱器具のスイッチをオンにすると、演算部401は、ステップS53とステップS54でYesと判定し、ステップS55で生活動作ありと判定することができる。また、演算部401は、ステップS56で最大値を符号2Aで示す値に更新する。
さらに、その後、電熱器具が発熱と休止を繰り返しても、第一電気回路221の電流値は最大値2Aと最小値2a2の間を移行するだけなので、演算部401は、ステップS53でNoと判定し、生活動作ありと判定することはない。
【0041】
図2(b)の場合、時刻aで生活者が電熱器具のスイッチをオンにすると、演算部401は、ステップS53とステップS54でYesと判定し、ステップS55で生活動作ありと判定することができる。また、演算部401は、ステップS56で最大値を符号2Bで示す値に更新する。
さらに、時刻bのときに生活者が電熱器具のスイッチをオフにした場合、その直後に第一電気回路221の電流値は最小値1b1となる。そして、記憶部402は、時刻T1の時点で、最大値として符号2Bで示す値を、最小値として符号1b1で示す値を保持する(ステップS57)。
【0042】
しかし、その後、第一電気回路221の電流値は最小値1b1のままなので、演算部401は、時刻T2の時点で、記憶部402の最大値および最小値を符号1b1で示す値に書き換え(ステップS52でYes→ステップS57)、また、ステップS58で所定の変化あり(Yes)と判定するので、ステップS59で生活動作ありと判定することができる。
つまり、時刻bにおける生活者の動作を、時刻T2の時点で検知することができる。
【0043】
図3(a)の場合、時刻aで生活者が電熱器具のスイッチをオンにすると、演算部401は、ステップS53とステップS54でYesと判定し、ステップS55で生活動作ありと判定することができる。また、演算部401は、ステップS56で最大値を符号3A1で示す値に更新する。
さらに、時刻bで生活者が電熱器具を操作しているが、演算部401は、その直後に、最大値が符号3A1で示す値から符号3A2で示す値に増えることで、ステップS53とステップS54においてYesと判定し、ステップS55で生活動作ありと判定することができる。
【0044】
図3(b)の場合、時刻aで生活者が電熱器具のスイッチをオンにすると、演算部401は、ステップS53とステップS54でYesと判定し、ステップS55で生活動作ありと判定することができる。また、演算部401は、ステップS56で最大値を符号3B1で示す値に更新する。
さらに、時刻bと時刻cで生活者が電熱器具を操作しているが、電流値は、記憶部402に記憶されている最大値3B1と最小値3b1の間でしか変化しない。したがって、演算部401は、ステップS53でNoと判定するため、時刻bと時刻cのそれぞれの直後に、生活者による電熱器具の操作を検知することができない。
しかし、演算部401は、時刻T2のとき、ステップS57で最大値を符号3B1で示す値から符号3B3で示す値に書き換えることで、ステップS58で所定の変化ありと判定し(Yes)、ステップS59で生活動作ありと判定することができる。
【0045】
図4(a)の場合、時刻T1の時点で、記憶部402は、最大値として符号4A2で示す値を、最小値として符号4a1で示す値を保持している。そして、第一電気回路221の電流値は、電熱器具の発熱動作により、時刻cの時点で、瞬間的に最大値4A1となるが、すぐに符号4A2で示す値に落ち着くため、演算部401は、ステップS53でYesと判定しても、ステップS54でNoと判定し、時刻cの「ひげ」によって生活動作ありと判定することはない。
【0046】
図4(b)の場合、時刻T0の時点で、記憶部402は、最大値として符号4Bで示す値を、最小値として符号4b1で示す値を保持している。そして、第一電気回路221の電流値は、瞬停により、時刻aの時点で、瞬間的に最小値4b2となるが、すぐに符号4Bで示す値に戻るため、演算部401は、ステップS53でYesと判定しても、ステップS54でNoと判定し、時刻aの瞬停により生活動作ありと判定することはない。
【0047】
次に、図6を参照しながら、生活異常判定について説明する。図6は、生活異常判定をするときの、情報処理装置の処理を示すフローチャートである。
まず、情報処理装置400の演算部401は、いずれかの電気回路で、生活動作ありと判定されたか否か、すなわち、図5のフローチャートのステップS55あるいはステップS59での生活動作ありの判定がなされたか否かを判定する(ステップS61)。
【0048】
いずれかの電気回路で生活動作ありと判定された場合(ステップS61でYes)、演算部401はタイマーをリセットし(ステップS62)、ステップS61に戻る。
一方、いずれの電気回路でも生活動作ありと判定されていない場合(ステップS61でNo)、演算部401は、タイマーのリセットから所定時間(第2の所定時間)が経過したか否かを判定する(ステップS63)。ここで、所定時間とは、たとえば10時間程度であるが、生活者がいずれの電気器具の操作もしなかった場合に異常が発生している可能性があると判断するための時間であれば、他の時間長でもかまわない。また、その所定時間は、時間帯(昼、夜など)ごとに異なっていてもよい。
【0049】
所定時間が経過していない場合(ステップS63でNo)、ステップS61に戻る。一方、所定時間が経過している場合(ステップS63でYes)、演算部401は、生活異常と判定し(ステップS64)、通信ユニット403を介して管理会社500に警報を送信する(ステップS65)。
警報を受信した管理会社500は、警備員の現場派遣や生活者の親族への連絡などの対処を行うことができる。
【0050】
このように、本実施形態に係る生活動作監視システムSによれば、生活者が、電気器具として自動で発熱と休止を繰り返す電熱器具を使用した場合でも、分電盤200のそれぞれの電気回路の電流値を測定するという極めて簡単な構成で、生活者による電気器具の操作を的確に検知することができる。
【0051】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。たとえば、収集器300と情報処理装置400は、別々の装置でなく、一体の装置となっていてもよい。また、計測時刻は、一定間隔でなくても、時間帯などによって異なっていてもよい。さらに、各装置間の通信には、電力線搬送通信の技術などを用いてもよい。その他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】生活動作監視システムの全体構成図である。
【図2】(a)は、1つの電熱器具が一定時間ごとに発熱と休止を繰り返したときの第一電気回路221の電流値の変化を示す図、(b)は、1つの電熱器具が発熱と休止を繰り返した後に作動を停止したときの、第一電気回路221の電流値の変化を示す図である。
【図3】(a)は、1つの電熱器具の使用強度が途中で上げられたときの、第一電気回路221の電流値の変化を示す図、(b)は、3つの電熱器具を使用したときの、第一電気回路221の電流値の変化を示す図である。
【図4】(a)は、1つの電熱器具を使用したときの、第一電気回路221の電流値の変化を示す図、(b)は、瞬停(瞬時停電)が発生したときの、第一電気回路221の電流値の変化を示す図である。
【図5】電気回路ごとに生活動作判定をするときの、情報処理装置の処理を示すフローチャートである。
【図6】生活異常判定をするときの、情報処理装置の処理を示すフローチャートである。
【図7】(a)は電熱器具以外の複数の電気器具が接続された電気回路における電流値の変化を表わした図、(b)は電熱器具を含む複数の電気器具が接続された電気回路における電流値の変化を表わした図である。
【符号の説明】
【0053】
200 分電盤
221 第一電気回路
231 電流センサ
251〜253 電気器具
300 収集器
301 受信部
400 情報処理装置
401 演算部
402 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のエリアに滞在している人の、1つ以上の電気器具に対する動作を監視する生活動作監視システムであって、
分電盤から分岐した少なくとも1つの電気回路に取り付けられ、その電気回路の負荷量を検知する負荷検知センサと、
前記負荷検知センサから前記負荷量を受信する受信部、所定時間内の前記負荷量の最大値と最小値を記憶している記憶部、および、前記受信部が前記負荷検知センサから受信した前記負荷量が、前記記憶部に記憶された最大値を所定の閾値以上超えた場合、あるいは、前記記憶部に記憶された最小値を所定の閾値以上下回った場合に、前記電気器具に対する動作があったと判定する演算部、を有する負荷監視装置と、
を備えたことを特徴とする生活動作監視システム。
【請求項2】
前記演算部は、前記受信部が前記負荷検知センサから受信した前記負荷量が、前記記憶部に記憶された最大値を所定の閾値以上超えた場合、あるいは、前記記憶部に記憶された最小値を所定の閾値以上下回った場合、その超えたあるいは下回った時間の長さが所定の値以上であったときに前記電気器具に対する動作があったと判定することを特徴とする請求項1に記載の生活動作監視システム。
【請求項3】
所定のエリアに滞在している人の、1つ以上の電気器具に対する動作を監視する生活動作監視システムであって、
分電盤から分岐した少なくとも1つの電気回路に取り付けられ、その電気回路の負荷量を検知する負荷検知センサと、
前記負荷検知センサから前記負荷量を受信する受信部、所定時間内ごとの前記負荷量の最大値と最小値を記憶している記憶部、および、前記記憶部に記憶された直近の所定時間内の最大値がその1つ前の所定時間内の最大値を所定の閾値以上超えた場合、あるいは、前記記憶部に記憶された直近の所定時間内の最小値がその1つ前の所定時間内の最小値を所定の閾値以上下回った場合に、前記電気器具に対する動作があったと判定する演算部、を有する負荷監視装置と、
を備えたことを特徴とする生活動作監視システム。
【請求項4】
前記負荷監視装置の演算部は、前記負荷検知センサが取り付けられたすべての電気回路について第2の所定時間以上前記電気器具に対する動作がなかったと判定したときに、前記所定のエリアに滞在している人に異常があった可能性があると判定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の生活動作監視システム。
【請求項5】
所定のエリアに滞在している人の、1つ以上の電気器具に対する動作を監視する生活動作監視システムにおける負荷監視装置であって、
分電盤から分岐した少なくとも1つの電気回路に取り付けられた負荷検知センサが検知した負荷量を受信する受信部と、
所定時間内の前記負荷量の最大値と最小値を記憶している記憶部と、
前記受信部が前記負荷検知センサから受信した前記負荷量が、前記記憶部に記憶された最大値を所定の閾値以上超えた場合、あるいは、前記記憶部に記憶された最小値を所定の閾値以上下回った場合に、前記電気器具に対する動作があったと判定する演算部と、
を備えたことを特徴とする負荷監視装置。
【請求項6】
前記演算部は、前記受信部が前記負荷検知センサから受信した前記負荷量が、前記記憶部に記憶された最大値を所定の閾値以上超えた場合、あるいは、前記記憶部に記憶された最小値を所定の閾値以上下回った場合、その超えたあるいは下回った時間の長さが所定の値以上であったときに前記電気器具に対する動作があったと判定することを特徴とする請求項5に記載の負荷監視装置。
【請求項7】
所定のエリアに滞在している人の、1つ以上の電気器具に対する動作を監視する生活動作監視システムにおける負荷監視装置であって、
分電盤から分岐した少なくとも1つの電気回路に取り付けられた負荷検知センサが検知した負荷量を受信する受信部と、
所定時間内ごとの前記負荷量の最大値と最小値を記憶している記憶部と、
前記記憶部に記憶された直近の所定時間内の最大値がその1つ前の所定時間内の最大値を所定の閾値以上超えた場合、あるいは、前記記憶部に記憶された直近の所定時間内の最小値がその1つ前の所定時間内の最小値を所定の閾値以上下回った場合に、前記電気器具に対する動作があったと判定する演算部と、
を備えたことを特徴とする負荷監視装置。
【請求項8】
前記演算部は、前記負荷検知センサが取り付けられたすべての電気回路について第2の所定時間以上前記電気器具に対する動作がなかったと判定したときに、前記所定のエリアに滞在している人に異常があった可能性があると判定することを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の負荷監視装置。
【請求項9】
所定のエリアに滞在している人の、1つ以上の電気器具に対する動作を監視する生活動作監視システムにおける負荷監視装置による負荷監視方法であって、
前記負荷監視装置は、
分電盤から分岐した少なくとも1つの電気回路に取り付けられた負荷検知センサが検知した負荷量を受信する受信部と、
所定時間内の前記負荷量の最大値と最小値を記憶している記憶部と、
演算部と、を備え、
前記演算部は、
前記受信部が前記負荷検知センサから受信した前記負荷量が、前記記憶部に記憶された最大値を所定の閾値以上超えた場合、あるいは、前記記憶部に記憶された最小値を所定の閾値以上下回った場合に、前記電気器具に対する動作があったと判定する
ことを特徴とする負荷監視方法。
【請求項10】
前記演算部は、前記受信部が前記負荷検知センサから受信した前記負荷量が、前記記憶部に記憶された最大値を所定の閾値以上超えた場合、あるいは、前記記憶部に記憶された最小値を所定の閾値以上下回った場合、その超えたあるいは下回った時間の長さが所定の値以上であったときに前記電気器具に対する動作があったと判定することを特徴とする請求項9に記載の負荷監視方法。
【請求項11】
所定のエリアに滞在している人の、1つ以上の電気器具に対する動作を監視する生活動作監視システムにおける負荷監視装置による負荷監視方法であって、
前記負荷監視装置は、
分電盤から分岐した少なくとも1つの電気回路に取り付けられた負荷検知センサが検知した負荷量を受信する受信部と、
所定時間内ごとの前記負荷量の最大値と最小値を記憶している記憶部と、
演算部と、を備え、
前記演算部は、
前記記憶部に記憶された直近の所定時間内の最大値がその1つ前の所定時間内の最大値を所定の閾値以上超えた場合、あるいは、前記記憶部に記憶された直近の所定時間内の最小値がその1つ前の所定時間内の最小値を所定の閾値以上下回った場合に、前記電気器具に対する動作があったと判定する
ことを特徴とする負荷監視方法。
【請求項12】
前記演算部は、前記負荷検知センサが取り付けられたすべての電気回路について第2の所定時間以上前記電気器具に対する動作がなかったと判定したときに、前記所定のエリアに滞在している人に異常があった可能性があると判定することを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の負荷監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−128191(P2007−128191A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318963(P2005−318963)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(500096972)
【Fターム(参考)】