生物由来分子同定のための改良された方法と装置及び核酸配列、たんぱく質、抗原および抗体の同定法
【課題】
【解決手段】二つの化学物質間の、特に核酸、たんぱく質、リガンドや抗原と抗体間のような生体由来分子間の、特異的なハイブリッド形成や結合反応を電気的に検出するための、検出基板内の伝導性の検出部位のアレイを使用した電気的検出システムと方法である。本発明の方法と装置は、単一の基板内の多数の近接した伝導性の検出部位との低レベルのハイブリッド形成を検出するために、低価格で、頑丈で、小型で、繰り返し使用でき、そして直感的に使用が容易である方法と装置を提供する。
【解決手段】二つの化学物質間の、特に核酸、たんぱく質、リガンドや抗原と抗体間のような生体由来分子間の、特異的なハイブリッド形成や結合反応を電気的に検出するための、検出基板内の伝導性の検出部位のアレイを使用した電気的検出システムと方法である。本発明の方法と装置は、単一の基板内の多数の近接した伝導性の検出部位との低レベルのハイブリッド形成を検出するために、低価格で、頑丈で、小型で、繰り返し使用でき、そして直感的に使用が容易である方法と装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの化合物間、特に核酸、たんぱく質、リガンドや抗原抗体のような生物由来物質間におけるハイブリッド形成を電気的に検出するための、アレイ状に配列された検出部位に関連する。
【0002】
マイクロアレイの適用は細胞内反応過程の分析に大変革をもたらし、広汎に研究用に応用されているが、それらの例としては以下のものがある。すなわち、mRNA分析、SNP(一塩基多型)分析、再シーケンス解析、全ゲノムコピー分析、DNAとたんぱく質間の相互作用、たんぱく質間の相互作用や抗原抗体反応による同定などである。説明のために、核酸の断片を分子間の結合のペアとして話をすすめる。しかしながら、これは本発明を適用できる、多種類の分子間結合のうちの一例にすぎない。核酸のマイクロアレイは、与えられたサンプル中に存在する何千もの異なる核酸配列のレベルを同時に、検定することを可能にする。生体内反応過程の分析に加えて、多種類のウィルスゲノムを代表するDNA配列を含むマイクロアレイは診断の目的で使われ、重症急性呼吸器症候群(SARs)ウィルスの最初の同定の手段として役立った。ヒトの発生発育に関する研究は、マイクロアレイが組織におけるmRNAやたんぱく質の発現を時間経過的に分析できることにより、めざましい変革をとげた。薬物に対する反応の個人差を検出または推測するためにマイクロアレイを用いた臨床治験はまた、ある種の癌の化学療法治療の最適化に適用されている。
【0003】
DNA,RNA,cDNA,cRNAやオリゴヌクレオチドのマイクロアレイは、同一の核酸鎖(センスおよびアンチセンス鎖)は溶液中で、相互に認識結合しハイブリッドを形成するという原理に基づいている。ハイブリッド形成反応の厳密性は、その技術に精通した人々により注意深く制御されうるもので、正確に相補的な核酸の配列のみがハイブリッドを形成するべく条件を設定できる。マイクロアレイは既知の配列(プローブ)コピーを固定相の基板上の一定の部位にスポットとして固定し、それに蛍光標識した核酸配列(ターゲット)う含む未知のサンプルを適用することで、ある核酸配列は、正確にその相補的に対となる配列に結合することを利用したものである。もしも、サンプル中に相補的なターゲット配列が存在すれば、それはアレイ上に固定された特定のプローブのスポットでハイブリッドを形成する。サンプル中の結合しなかったターゲット配列を洗浄除去した後に、各スポットはスキャナーによって解読されるが、現在使われている方法としては、コンフォーカルレーザースキャナーか、CCDイメージキャプチャーのうちのいずれかによる。コンフォーカルレーザースキャナーによる計測では、図1に示されるように、アレイ上のプローブスポット110は、直径2.5から10マイクロメーターの小区域あるいは四角形の100個を計測して得られる、何十もの個々の明るさを平均して直径80マイクロメーターのプローブスポット110の計測値を得る。また、CCDイメージによる計測法では、アレイを特定の、あるいはフィルターした光を照射し、特別にあつらえられたCCDチップにより一度に全チップのイメージを読み取る。次に、いずれの計測法においても、コンピューターと特別のソフトウェアを用いて、関心のあるスポットの明るさを、バックグランドの明るさや対照のスポットの明るさとの比較により計測し、それらの結果から有意なハイブリッド形成について概算する。
【0004】
本発明で、適用される固定相に支持されたマイクロアレイは、プローブとしての核酸が支持基板上にスポット形成される様式により三つのタイプに分類される。機械的スポット形成法とは、その名の示すように、ピンや毛細管を用いて基板上にプローブのスポットを形成するものである。圧電法(インクジェットプリンティング)はレンガ状に核酸のスポット形成をしたり、全配列を基板上にスポット形成するのに使われる。フォトリソグラフィー法もまた、シリコン基板上の既知の部位に核酸のプローブを形成するために用いられる。
【0005】
機械的スポット形成法は、研究者に実験計画のデザインに大幅な柔軟性をもたらし、比較的簡単で安価であり、今日使用されているマイクロアレイの大部分はこの方法で作成されている。プローブスポットを固定基板に形成するインクジェット合成法は、均一で微小なスポットを形成できるが、そのための設備は複雑である。このスポット形成法は、市場にあまり出回っていない。さらに最近、Affymetrix社により製造および販売促進されているフォトリソグラフ法によって形成される高濃度のプローブスポットにはいくつかの利点がある。最大の利点は何万ものプローブスポットを単一の基板上に形成できることで、使用する研究者がひとつのアレイによって、より広い範囲の物質をテストすることが可能である。Affymetrix社はこれらの合成アレイの最大の製造販売会社である。
【0006】
典型的な機械的スポット形成法や圧電法(インクジェット法)によるマイクロアレイの製造や適用には多種の設備と化学的プロトコールが必要であり、それには以下のものが含まれる。
1) プローブスポットの結合性を高めるためにコーティングされたガラスまたはプラスチックの固定相基板、
2) 核酸プローブの調製、
3) 基板にプローブのスポットを形成する装置、
4) 蛍光で標識した、あるいはビオチンでラベルした核酸サンプルの調製
5) 核酸のプローブをアレイの表面に形成させ、ターゲットサンプルをアレイ上にハイブリッド形成させ、必要であれば蛍光標識した抗ビオチン抗体でアレイを処理するために、ホットプレート、オーブン、UV 架橋装置、ハイブリッド形成チャンバー、ロッカー、水槽や洗浄装置などが入用であり、
6) ハイブリッド形成による蛍光標識の励起のための、また放射光の強度を解釈するためのスキャナーとソフトウェアも必要である。
【0007】
Affymetrix社は、アレイの合成(フォトリソグラフ法)過程を簡便化するための設備を製造したが、それには以下のステップに使われる装置が含まれる。
1) Affymetrix社のシリコン製アレイは、関心のあるプローブの配列によってあらかじめスポットが形成されている、
2) ビオチンで標識されたターゲット核酸サンプルの調製、
3) ターゲットサンプルをアレイにハイブリッド形成させ、抗ビオチン第一抗体複合体および、抗蛍光標識第二抗体複合体を適用するための、Affymetrix 社の流体力学的ハイブリッド形成用機器、
4) ハイブリッド形成による蛍光標識の励起のための、また放射光の強度を解釈するためのスキャナーとソフトウェアも必要である。
Affymetrix 社の高密度アレイは最大数の物質をテストできるばかりでなく、上記の機械的またはインクジェット法によるステップ1)から3)を合わせた標準化されたアレイ基板を提供することで、実験結果の可変性が大幅に減少される。しかしながら、スキャナーを含めて、Affymetrix 社のマイクロアレイとその工程処理設備の主要な欠点は、非常に高価なことである。スキャナーのハードウェアおよびソフトウェアは、その価格が40,000から65,000米国ドルの範囲にあり、マイクロアレイの使用に必要な機器のなかでも最も高価である。
【0008】
機械的にスポット形成されたアレイは低価格であり、順応性があり、最も広汎に使用されるマイクロアレイ製造を制御する。しかしながら、共通して使われるガラス基板や、プローブ形成のための統一された処理方法が確立されていない。また使用可能な複数の蛍光標識分子があり、アレイを読み取るスキャナー機器にも多種類のタイプがある。その他の処理ステップとともに、基板の不均一性、プローブ形成技術、蛍光分子とその共役複合体の種類、スキャナーの計測方法などは、機械的にスポット形成されたアレイによる結果の個別性に影響してくる。同様な結果の可変性はインクジェット法により作成されたアレイにもあてはまる。このような可変性のために、二つのアレイから得られた結果を比較することが非常に困難であり、異なる研究施設間での結果の比較はほとんど不可能である。 蛍光標識をスキャナー計測することは、上記の全てのマイクロアレイ技術に共通である。現存するスキャナーはその費用に加えて、非常にデリケートであり、持ち運びが容易でない。現存の光学的スキャナー設備が遭遇する問題点のいくつかを以下に要約する。
1) レーザー光の照射により、蛍光を発する有機化合物のためのバックグランド信号があること。アレイ表面への有機化合物の混在はバックグランドの光信号を放射し、必要な放射光信号を妨害する。広範囲なソフトウェアによるアルゴリズムが、このようなバックグランド信号を消去するために用いられるが、アレイ間での、あるいは研究所間でのバックグランドの違いはアレイ使用者にとって、主要な心配事である。
2) 計測されるスポットの焦点深度を限定し、検出器によって受信されるバックグランドの光信号の量を軽減するために、ほとんどの現存のスキャナーには、コンフォーカルレンズが使用されている。この狭められた平面的焦点によって、真のハイブリッド形成による全ての関連した光信号を集めることにおけるスキャナーの効率が限定される。
3) 装置の使用者は適用される励起光のエネルギーレベルを設定する必要がある。もしもエネルギーレベルの設定が高すぎると、蛍光標識は漂白され、引き続きのスキャナー計測では、大幅に減少した信号しか得られない。信頼できる測定値を得ようとすると、通常必要とされるエネルギーは、ほとんどの蛍光信号を漂白してしまうために、信頼できる計測は三回以内までとされる。
4) 分析するべきスポットの各部位に焦点をあてるためには、レンズの組み立て部分それ自身かまたは鏡体がアレイ全体にわたって、前後に往復するように機械的な操作が必要である。このような機械的な作動は本質的に不正確であり、機器の厳密さを制限する。
5) 現存のスキャナーのシステムでは、不確定のレベルの電気的エネルギーをレーザーの励起信号に変えるものである。光は不確定な空間を通して、アレイに達し、そこで光はターゲット分子上の標準化されていない蛍光標識によって吸収され、波長の長い放射光に変換される。放射光は、不確定な空間とフィルターを経て戻る。浅い平面(焦点)での光の一部はレンズや、または鏡体装置によって機械的な選択を受ける。次に光信号は電気的信号に変換され、分析のためにストアされる。この時間のかかる複数のステップを含むやり方は、アレイを読み取る過程の各ステップでの可変性を生じることとなる。
【0009】
アレイを読み取る、その他の主要な技術もまた、ターゲットの蛍光標識を利用するものである。マイクロアレイ全体を蛍光標識を励起させるために、特定の波長の光にさらし、極度に低い温度で機能するCCDイメージセンサーがアレイ全体のイメージを捕らえる。このための低温の維持には高価で厄介な設備が必要とされる。さらに、使用される多種類の光源、アレイへの、またはアレイからの不確定な空間設定、統一されていない蛍光標識、励起光から放射光へのエネルギーの変換やCCD検出器の温度に対する敏感度など全てが、この光検出法を理想的とは云えなくする。
【0010】
従って、機械的あるいは圧電的スポット形成法によるアレイの検出基板の標準化の必要性、またフォトリソグラフ法によるアレイを含め、全てのアレイにおけるハイブリッド形成を読み取る蛍光の検出法の改良の必要性がある。今日使用されているコンフォーカル蛍光あるいはCCDスキャナーによる計測を改良する技術は、単一のプローブスポットからの複数回の個別の読み取りを可能にするものである必要がある。このことより、如何なる新技術もハイブリッド形成を、統計的に有意な推測として読み取れるように、アレイ全体について何千回もの個別の測定を可能とするものでなくてはならない。新しいスキャナー計測システムは、低価格で、頑丈で、小さく、反復可能であり光によるスキャナー検出器に比較して直感的に操作しやすく、低レベルのハイブリッド形成を検出可能なものでなければならない。これらの面での、重要な改良はマイクロアレイ技術のさらなる広汎な適用に貢献するであろう。
【0011】
関連技術の説明
従来の技術に関する調査により、現存する従来の技術水準を代表すると思われる以下の米国特許が挙げられた。米国特許番号5284748、1994年2月8日認可;米国特許番号5137827、1992年8月11日認可;米国特許番号4794089、1988年12月27日認可;米国特許公開番号 US 2003/0003523 A1,2003年1月2日公開;米国特許番号6333200 B1,2001年12月25日認可;米国特許番号5891630、1999年4月6日認可;米国特許番号5532128、1996年7月2日認可;米国特許番号5567301、1996年10月22日認可;米国特許番号5466348、1995年11月14日認可;米国特許番号6355491、2002年3月12日認可;および米国特許公開番号US 2002/0164819 A1、2002年11月7日公開。
【0012】
ある種の生体由来物質相互にみられる親和性は、以前から、未知の試料混合物からの物質の精製単離に利用されてきた。センスおよびアンチセンス核酸鎖間の結合親和性はこの一例である。1975年にEd Southernによって開発されたサザンブロット法は、膜上に固定された未知のDNA鎖に対する、溶液中の既知の標識されたDNA鎖の結合を利用して特異的なDNA配列の存在と局在を同定することに使われた。今日、最も広汎に使用されているマイクロアレイ法は、既知の核酸配列を固定相(プローブ)として用い、それに結合する配列を有する未知の核酸(ターゲット)が試料溶液として提供される。実施の現状としては、マイクロアレイとして、膜よりも固体基板が好んで使われる。その理由としては、固体基板が非多孔性であり、そのためにアレイ上にのせる固定された既知のプローブをより小さくすることが可能であり、従って、各アレイ実験によって得られる情報の量を増加させることができるためである。既知の核酸配列(プローブ)はセンスチップ上に機械的に、あるいは圧電法により(インクジェット)、またはフォトリソグラフィ法によって、配置されたりまたは合成されたりできる。未知の核酸配列(ターゲット)を含む試料はビタミン(ビオチン)で化学的に標識されるか、試料核酸配列のコピーを蛍光あるいはビオチンで標識されたヌクレオチドを用いて合成したものである。標識された試料核酸はアレイに適用され、固定された相補的なプローブと標識されたターゲット配列間におけるハイブリッド形成を起こさせる。結合しなかった資料中の核酸は洗い流し、もしもターゲットが蛍光標識されている場合には、次にレーザースキャナーによってアレイを読み取る。もしもターゲットがビオチンで標識されている場合は、ビオチンとの高い親和性が知られているストレプトアビジンと蛍光分子との化合物で処理し、結合しなかった蛍光化合物を洗い流す。次にアレイをレーザー走査により読み取り、スキャナーによって、それぞれの蛍光を検出定量する。
【0013】
核酸、たんぱく質、抗原、抗体などを含む生体分子を電気的に検出するための様々な装置や方法が発表されてきた。従来の技術では、検出のための検出部位についての設定に焦点がおかれてきた。一般的にこれらは、抵抗性、容量性または誘導性検出部位に分類される。
【0014】
抵抗性検出技術の例は、Mroczowski等による米国特許番号4794089、1988年12月27日認可、米国特許番号5137827、1992年8月11日認可、および米国特許番号5567301、1996年10月12日認可にみられ、これらの全てを参考文献としてここに掲載した。特許番号556,7301には、基本的に非伝導性の基板上に、微小の間隙をおいて配置された二つの伝導性のパッドからなる検出部位について記載されている。パッドは線によってオームメーターに繋がっていて、間隙においての直流抵抗を測定できるようにしてある。既知の抗原は特定の間隙と付随する伝導性パッドの縁に注がれる。
【0015】
ターゲット分子の調製は、まず一群の微小な伝導性の粒子を単一の、特異的な抗体によってラベルし、未知の試料溶液に加えることに始まる。もしその抗体に特異的な抗原が未知の試料中に含まれていれば、特定の伝導粒子を覆っているその抗体に結合する。遊離抗原は抗体−粒子複合体上の場所を占め、それが検出部位の同一の抗原プローブに結合することを妨げる。ターゲット試料を抗原プローブの配置された基板に適用して、ハイブリッド形成を起こさせる。抗体‐粒子複合体が、固定された抗原プローブに結合すると、伝導性の粒子を検出部位の間隙に引き寄せることになる。引き続き銀強化処理によって、結合した粒子を伝導性の銀の被膜で覆い、検出部位においての抵抗を軽減する。銀強化処理過程についての詳細は、Hayat,M.A.編、「免疫金―銀染色:原理、方法とその応用」、CRC 出版、ボカラトン、フロリダ、1995年、に見られる。 もしも、未知の試料中に、抗体に結合していない遊離の抗原が存在すれば、抗体−粒子複合体に結合し、検出部位の伝導性は低くなる。もしも、未知の試料中に遊離の抗原が存在しなければ、検出部位における伝導性は高くなる。
【0016】
酸化クロムを含めてその他の物質が、生体関連物質をその表面に惹きつける生物反応物質として提供される一方、ガラスやプラスチックを含め多種類の物質が、抵抗性の検出部位に適切な基板物質として叙述されている。基板物質や生物反応性薄膜層はそれぞれ異なる、本来の抵抗値を持ち、それらを変えることにより、検出部位の抵抗が上下に変化する。Mroczkowski等の特許は、検出器の間隙の抵抗を低めて、より多くの電流が流れることでわずかなコンダクタンス(感度)の変化を検出できるように、生物反応性薄膜層を間隙での銀強化粒子の部分的架橋に変えることを示唆している。しかしながら、ベースラインの抵抗を変えるために、異なる生物反応性薄膜層や基板物質に変えることはまた、検出チップ上の全ての検出部の結合親和性を著しく変化させることになる。このために、異なる検出チップ間の比較は不可能ではないとしても、非常に困難となる。生物反応性の薄膜層と基板物質を変えないで、検出部位の抵抗をかえるための改良法は異なる感度(ベースライン電流レベル)の検出チップ間での比較がより可能となる。本発明の検出部位はこのことを達成するものである。
【0017】
さらに、ひとつの基板上の複数の、個別にコンピューターによるアドレスによって示される検出部位の配置企画を提供する。試験の結果として、この配置企画は、抗原抗体間の結合が充分に離れた検出部位で、まれにしか起こらない場合にしかうまくいかないであろう。もしも幾つかの近隣の検出部位が伝導性であれば(間隙が閉鎖されていれば)、地表への並行した寄生の通路が形成され、伝導電流を増加させて正確な抵抗性の計測を妨げる。この寄生による問題は外部からの電気回路では解決されない。ひとつのアレイ上に数百、あるいは数千の意図的に伝導性をもたせた検出部位が近い距離内にみつかるときには、その問題は非常に深刻となる。その結果、Mroczkowskiの特許に示された企画図は、多数の隣接する伝導性の検出部位を計測する場合には働かない。
【0018】
最後に、Mroczkowski らの特許は一対の結合試薬のうち、最初のものを顕微鏡的に微小な検出部位へどのように分離導入するかについての説明が無い。
【0019】
Jensenは、2003年1月2日に認可された特許番号US 2003/0003523 A1、Mroczkowski等の特許に基づき、結合反応の成分として間隙に貼付された核酸配列(プローブ)とターゲットとしてのビオチンでラベルされた核酸を含む未知の溶液の適用を取り入れて特許をとった。Jensen はハイブリッドを形成したビオチンでラベルされたターゲット分子に結合できるストレプトアビジン‐ホースラディッシュ過酸化酵素(HRP)の複合体について述べている。このHRP酵素は基板の酸化と同時に溶液中の金属イオンを還元し、還元された金属は溶液中から沈殿を形成し、間隙間の伝導性通路に寄与する。沈殿した金属はさらに検出または計測以前に金属処理によって強化される。Mroczkowski等の抵抗性の間隙を検出部位とした特許を使用して、Jensen はハイブリッド形成後の伝導性検出部の抵抗は、HRP複合体を用いると、Mroczkowski 等による伝導性粒子と銀強化処理を使うよりも更に低下するすることを教示している。多数の隣接した伝導性検出部位の計測、間隙の抵抗の変化や微小な検出部位での一対の結合試薬の最初のものを分離する方法などの、Mroczkowski の特許を用いた場合の問題点を解決する方法については何も述べていない。
【0020】
2001年12月25日に認可された特許番号6333200 B1もまたMroczkowski 等の特許と同様な抵抗計測技術について述べている。成功したハイブリッド形成は、ガラス上にフォトリソグラフ法によって作成された二つのコンダクターの間の微小間隙を架橋することにより検出される。特許番号6333200はプローブ化合物を検出部位の間隙のみに局在させるための解決法を提供している。プローブ分子はまずラテックスでコーティングされた磁気をおびた粒子上に形成される。次にそれらの粒子は、電圧を変化させることで、それぞれが対応する伝導路によって特定の検出部位間隙に引きつけられて結合する。結果として生じる誘電泳動力により、プローブでコーティングされた磁気性のビーズは検出部位の間隙に蓄積される。検出部位のマトリックスに交流信号を適用することは非常に困難であるが、ここでもMroczkowski の抵抗性計測の短所については触れていない。
【0021】
バイオセンサーを開発するために、フォトリソグラフ法によって確定された電極を用いて容量電流を計測する技術は、Newman等、W.D. Proc. Int. Meet. Chem. Sens.,2nd, 1986, 6-23, 5966-598,により報告された。容量電流検出の型についてはEggers 等による、1996年7月12日に認可された米国特許番号5532128および1995年11月14日に認可された米国特許番号5466348にみられる。絶縁層に井戸状の孔を作り、生物反応性金属の伝導板を井戸(ウェル)の底面に貼付するために半導体製造技術が使われる。プローブ分子はウェルの底面の伝導板の表面に形成される。次に伝導性の輪が検出チップ全体を囲む周囲に配置され、それがこのウェルおよびその他の全てのチップ上のウェルのコンデンサーの二番目の伝導板として作動する。あるいは、個々の井戸の壁面に二つのコンデンサーの伝導板を作っても良い。プローブ化合物を適用し、ウェルの内部あるいは二つの伝導板の表面に固定する。次に核酸配列のような電荷のあるターゲット分子とプローブがハイブリッドを形成すると、伝導板間の容量電流の周波数依存性特色に変化が起こる。本発明の目的と同様に、Eggers 等は、半導体処理技術を用いることで極微小な検出部位を単一のチップ上に”何百万“と形成できることを教示している。Edders 等は、検出部位にプローブ化合物を装着するために、Mroczkowski 等の特許に見られるものと同様な生物反応性の金属と金属酸化物とを特定している。さらに、Eggers 等は、プローブ分子を捕らえやすくするために検出ウェルの内部を処理する活性化試薬について述べている。これらの試薬をアレイの全表面ではなく検出ウェルだけに適用する方法や処理過程については、Eggers 等によって明示されていない。また、銅刻されたウェルの二面のみに直立の金属コーティング(伝導板)を施すのは半導体処理操作上において簡単ではない。少なくとも、これは高価な製造技術を意味する。さらに加えて、ここに述べたような、またはそのほかの容量電流の検出技術においての困難さのために、計測値を記録するための交流電流信号の適用が必要となる。個々の検出部位に周波数の異なる交流電流信号を用いる必要性は、Eggers 等によっては特定されていないが、チップのアドレスと電気回路の切り替えにおいて複雑な結果を生じる。さらにまた、Eggers 等による露出されたコンデンサーにおける二つの電極間の空隙は、抵抗性の検出部に比較して、電極ピッチ許容量、残存のプローブまたはターゲット物質や温度変化による検出部の電気容量の可変性を加えることになる。これらの短所のために、高密度の信頼性の高い検出アレイの作成にこの方法を利用することが妨げられている。
【0022】
もうひとつの容量電流測定技術が米国特許番号5567301、1996年10月22日認可、に記載されている。各検出チップは、非伝導体上におかれた離れた個別の島のような金属からなるひとつの大きな検出部からなる。二つの電極は1.3mmというかなりな距離をおいて、基板と金属の島の上に配置される。プローブ化合物は、金属の島の間の非伝導性の基板に形成される。ターゲット物質は固定されたプローブとハイブリッド形成し、検出表面の交流インピーダンスの抵抗性および容量の構成成分に変化をもたらす。この技術は比較的おおきな検出部位を必要とし、微小化が容易ではない。 それはまた静電容量型検出と同様な高密度の検出部を構築することが困難であることを意味し、また機械的スポットの沈殿により変形を起こしやすい。
【0023】
電荷のある生体由来物質の、電界効果型コンデンサのゲートや種々の型の電界効果型トランジスタのゲートへのハイブリッド形成はこれらのデバイスの電気的特色に影響を及ぼし、それを測定でき、1995年11月14日に認可された米国特許番号5466348にそのことが述べられている。個々の検出部位に通電することに困難さや、述べられたような半導体部分の極度な複雑性のためにこの方法をその効果にみあう価格で供給することは難しい。さらに、デプリーション型またはエンハンス型のチャネルに残存する電荷は正確な計測に影響し、取り外すべきであるが、そのことは余分な複雑性を加えることになりこの方法の実行可能性を困難にする。
【0024】
インダクタンスや磁気を用いて反応物質を選り分けたり、反応物質を特定の場所に引き寄せたり、あるいはハイブリッド形成を検出する電気的検出技術については、よく明示されてきた。2002年11月7日に公開された特許公開番号US 2002/0164819 A1には生物由来分子でコートされた磁気性の粒子を引き寄せるバケツ型のインダクタンス検出部が示されている。さらに、ターゲット溶液に加えられた大型の磁性ビーズを引き寄せ、それらが検出部位のバケツをカバーし蓋として働くように、検出部位に通電することもできる。最後に、検出部における磁性粒子の存在はその部分のインダクタンスを変化させる。この特許公開によって、外部の磁場を利用し磁性粒子が検出コイルを通過する際の電流の変化を計測することで、検出部を出入りする物質を定量できることが示された。検出部のインダクタンスは交流信号を検出部/誘電質に流すことで測定される。これらの技術は両者とも、各検出部位に二方向性のアクセスが必要となる。前述の静電容量技術についてもそうであったように、この必要性は、簡単で高密度の検出部位の構築を極度に複雑化し、事実上、非常に困難なものとする。それとは対照的に、2002年3月12日にZhou 等に認可された米国特許番号6355491B1の図13と14は、それぞれの場所から生物由来物質を引き寄せ(または退け)るために使われる誘導性の成分をシリコン内に生成し、より時間のかかる受動的な拡散に依存するであろう反応の速度を速めることを示している。この特許では、ハイブリッド形成はコンダクタンスによって検出されるのではなくて、ターゲット分子を従来のように蛍光標識し光検出技術を用いている。そのために電気的検出についての議論には含まれない。しかしながら、個々にアドレスされた誘導部位が示され、図解のうえで役に立つ。
【0025】
関連技術の詳細な説明
抵抗性の検出部位の構築については、Mroczkowski 等の米国特許番号5284748、1994年2月8日に認可、に述べられており、図5,6に示されている。図5において、生物由来分子反応性の抵抗性薄膜層45A(生物由来分子を引き付け、結合する)はガラスのスライドのような非伝導性物質40の表面に配置される。伝導性のトレースや鉛52が生物反応性の薄膜層上におかれ、これらの鉛の間にプローブ物質53(抗原または抗体)が注がれる。二つの伝導性のトレース間にトラフまたは窪みが形成されるが、特定のウェルの測量図は示されていない。図6は抵抗性の検出部を構築する別の方法を示す。鉛板52は、典型的にはガラスであるが、非伝導性の基板40上に直接、設置される。この上に、鉛板に接触し、図5に見られるものと同様にトラフまたは上述の鉛間にくぼみを形成する、生物反応性の薄膜層45Bが適用される。プローブ物質(抗原または抗体)がトラフ53に注がれる。隣接する検出部位からの生物反応性の薄膜層45A の分離は明らかにされていない。
【0026】
図7に、検出部位のレイアウトおよび、Mroczkowski等の特許によるひとつの基板上に多数の検出部位を作成するための相互接続の提案されるレイアウトを示す。レイアウトの企画では、最大の検出部位密度を達成するために基板の両側を使う。図8にMroczkowski によって教示された、すべての連系トレースを基板の一側または一面に保ち全ての接続を基板の一縁にもちよる、複数の検出部位のレイアウトの別の実施例を示す。この連系の実施例は、極度にトレースライン集中的ですべての個々の検出部位のために基板の縁に別の接続を必要とする。図9は、図7の連系レイアウトを再生し、互いに近接した複数の伝導性となった検出部位によって、いかに寄生回路が発生し、測定システムの機能停止を生じるかを示すものである。
【0027】
容量検出部位を図10と11に、Eggers等による米国特許番号5891630、1999年4月6日認可、に教示されたように示す。図 10Bに個々のウェルの底面上の伝導板24a間に構成されたコンデンサとセンスチップ15,24b全体の周辺およびそれからある程度離れた位置の伝導リングを示す。図 11に二つの伝導板24aと24bの間に構築されたコンデンサのある別の形状の検出部位を示す。両方の図において、二酸化シリコンのような絶縁層中に形成されたウェルはプローブとターゲットのハイブリッド形成が起こる場所として示されている。この方法で、複数の検出部位が半導体基板上に繰り返される。図11に示されたような、二つの直立した伝導板と二側の裸導体をもったウェルの作成は、半導体処理過程において、容易ではなく、もし製造が可能であるとしても、製造価格を増加させるものである。複数の検出部位の設置の履行は、ここには示されていないが、交流測定用のシグナルに適応させるために必要な連系回路が加えられると、さらに複雑になる。
【0028】
その上に、プローブ分子の特定の検出部位への適用は、ウェル構築成分においての生物反応性物質の使用に、実際上制限される。Eggers等は特許番号5891630において、コンデンサ平板が金、プラチナやチタンあるいは多種類の金属酸化物から作成されるべきであると特定している。これらの金属は、プローブ分子中に組み込まれた有機性チオール基に結合する。この方法と装置の不利な点は、プローブ物質がチオール基の結合を有している必要があることである。検出部位でプローブ分子との結合に金属やその酸化物を利用することはMroczkowski らの方法を思い出させるが、彼等の方法では、抵抗性の検出部位間隙でプローブ分子を引き付け、それに結合させるために、それとは違った抵抗性のポリマーや金属酸化物が生物反応性の薄膜層として使われた。この方法はうまくいくはずである。しかしながら、関心のあるプローブを引き付け結合させるために、ひとつのセンスチップのプラットフォームを用いる、より柔軟性のある方法は、検出間隙基板を試薬で調整し(機能化し)、プローブの結合を最適化することである。これらに限られたものではないが、アミノシラン、エポキシシランやポリ‐1−リシンを含む多数のこのような試薬が技術分野では知られている。それぞれの試薬は、他のものに比べて、ある種のプローブ物質によりよく結合する性質を持つ。Eggers等はと特許番号5891630において、これらの物質の幾つかに付いて開示したが、検出部位への適用方法については、特定していない。これらの物質を適用する通常の方法は、操作する人が、それらをアレイ上の隣接の領域をさけて、微小なスポットにのみ適用しようとすると、うまくいかない。現在のところ、機能化試薬(時に生物反応性物質と呼ばれる)は液体として、基板と反応して共有結合するアレイの全表面に適用する方法が取られている。結合しなかった試薬を洗浄し、次にプローブスポットが表面に適用される。加熱やUV によるクロスリンキング法はプローブの生物反応性の薄膜層への共有結合を誘導するために使われる。最後に、生物反応性の薄膜層がサンプルのターゲット分子に結合しないことを保証するために、アレイ全体を、プローブによってカバーされていない全ての遊離の基板や生物反応性の部分に結合するブロッキング試薬に浸す。
【0029】
上記に説明したように、生物反応性の薄膜層を適用する現在の方法は、物質をセンスチップ全体に適用貼付するものである。このことだけでも、隣接の検出部位を電気的に繋ぎ、静電容量の計測値に影響する。生物反応性の物質を単一の検出部位に配置する唯一の方法は、したがって、生物反応性の液体を個別に各検出部位に適用することである。これは実行可能ではない。
【0030】
コンデンサの伝導性要素として、あるいは抵抗性の検出部位の伝導性の要素間の生物反応性の薄膜層としてのの生物反応性の金属や金属酸化物の構築は生物反応性の薄膜層をマイクロアレイ上の、完全に分離された微小の検出間隙に配置するための、実際的な方法である。しかしながら、この方法で生物反応性の薄膜層を配置するにあたって、プローブ試薬を検出部位のみに適用し、センスチップの表面をさけることはやはり問題である。本発明の装置と方法は試薬(生物反応性試薬、プローブ、またはターゲット)を独立した別々の微小検出部位に適用する際の問題を解決する。
【0031】
米国特許公開番号US2002/0164819 A1に生物由来物質によってコートされた磁性の粒子をひきつける誘導性の性質について開示されている。注目すべきことは、容量電流測定のように誘導性の測定のために必要となる連系は、交流信号を調整する(図 12)必要があり、伝送路集中的である。図13と14は、米国特許番号6355491 B1によって教示される誘導性の検出部位のための、もうひとつの提案された連系のレイアウトの詳細である。横と縦の列のそれぞれは、チップの活性要素(図 14)上にもそれがあるように,各検出部位への電流の出入りを方向性を持って制御する二つのボンディングパッド(図 13)を必要とする。この検出部位の複雑さは、製造価格を高いものにする。
【0032】
要約として、生物由来分子による電気的検出部位の従来の技術は、充分な連系と効率の良い個々の検出部位のアドレスを提供しない。従来の技術は、検出間隙の抵抗を生成し、調節し、変動させる、またはプローブの接着に使われ、隣接の検出部位から分離される極小量の、多様な生物反応性の物質のいずれかを含む微小な検出部位を作成する、または単一のプローブスポット沈積から多数の隣接する検出部位にプローブ物質を沈積された微小な検出部位を作成し、そこで各検出部位と相当するプローブ物質が完全に隣接の検出部位から完全に分離され、独立しているような検出部位を作成する、または操作する人や機器操作からの電気的損傷に耐えられる微小の検出部位を作成する、または適用された液体の表面張力を破壊する微小検出部位を作成する、あるいはプローブ合成の化学的処理のみでなく接触プローブスポット形成法の機会的重圧に耐えられる微小な抵抗性の検出部位を作成する方法を特定していない。
【0033】
さらに、従来の技術は抵抗性の測定のための基板温度の制御方法、また正確な明細に見合うチップの検出部位の平均電流レベルや抵抗をプログラムする方法、また製造中にセンサーを最大コンダクタンスでテストする構造や方法、あるいは検出部位を過剰な電流から保護する方法や機器の短絡をテストする方法を特定していない。本発明に開示されたこれらの、そしてその他の新規な技術は、半導体作成の許容度にのみ制限を受ける、検出部位の最もスペース効率の良いマトリックスのパターンをもった、そして現在の光学的検出スキャナによる検出を改善できるセンスチップの作成と使用を可能にするものである。
【0034】
発明の簡略な説明
本発明は、二つ以上の物質間の、特にヌクレオチド、たんぱく質、リガンドや抗原抗体間の結合反応を電気的に検出する方法を提供する。本発明は、現在のマイクロアレイのレーザースキャン技術による検出システムに代わる、米国特許番号5284748に述べられた抵抗性の検出方法を、さらに改善するものである。本発明の方法は二つ以上の物質をともに持ち込むことで、それらの結合反応が、基本的に開放された電気回路を完全に、または部分的に閉鎖することを含む。その結果としての回路の電気的抵抗やコンダクタンスの変化が結合反応の成功を意味する。
【0035】
従来の技術と異なり、本発明は新しい検出部位の構築を示すものであり、これはすでに普及しているマイクロアレイ接触印刷法、インクジェット印刷法、あるいはフォトリソグラフィー法による試料預託システムを利用できるものである。本発明は半導体の基板と処理技術を用いて基板の電気的性質を変え、単一の、安価で耐久性があってしかも使い捨てのできる検出チップ上に、互いにわずか50マイクロメーター以下の距離をへだてた検出部位の密度の高いマトリックスを作り出すことである。チップ上の各検出部位は、検出部位の間隙の反対側に位置する二つの鉛板のひとつに繋がった平坦な半導体ダイオード(またはほかの単方向性の装置)から成る。検出部位の間隙はそれぞれが、二つの鉛板に比較してかなり伝導性の低い、基板物体あるいは基板物体と生体物質反応性の被膜の組み合わせに結合し、また分離されているふたつの鉛板よりなる。本発明において間隙を構成する基板物体は、シリコンやゲルマニウムのようなNやP物質でラック処理することで必要に応じて、間隙の抵抗を変化させることのできるものである。生体物質反応性のある被膜は基板の(クロムや酸化クロムのような)上に構築されても良いし、液体として噴霧したり、ガス状の生体物質反応性の分子を構築された検出部位に吹きかけても良い。
【0036】
検出チップを構築した後に、生対物質反応性のある被膜を用いるために、本発明において新規な方法が提供されている。それによるとアミノシランのような生対物質反応性のある被膜を、検出部位の微小な間隙基板とふたつの伝導性の鉛板の表面に貼り付けることができる。検出部位の間隙において多数の異なるプローブ分子を貼り付けるために種々の既知の生体物質反応性の分子を使うことができる。同じ技術がまた、プローブの基板と検出部位の間隙のみにある阻害剤を分離するために適用できる。
従来の技術とは異なり、本発明は、現在普及しているマイクロアレイの接触プリンティング、インクジェットプリンティングやフォトリソグラフ法によるサンプルの沈積システムに使用可能な検出部位構造の新しい改作版を提供する。本発明は半導体基板と処理技術を用いて、基板の電気特性に変動をもたせ、単一の、高価でなく耐久性があってしかも使い捨ての出来るセンスチップ上に、近接する検出部位から50ミクロン以内に配置された検出部位の高密度なマトリックスを作成するもである。チップ上の各検出部位は、検出部位間隙の反対側に配置された二つの伝導性のトレースの一つに接続された半導体ダイオードの平板(または一方向性のデバイス)からなる。検出部位は二つの伝導性トレースに接続されていて、そのそれぞれは、二つのトレースに比較して伝導度がかなり低い基板物質、または基板物質と生物反応性薄膜層の組み合わせに繋がる。本発明の間隙基板は、必要に応じて間隙の抵抗を変えられるように、NまたはP物質が添加可能な シリコンやゲルマニウムのような半導体物質からなる。生物反応性の薄膜層は基板(クロムや酸化クロムのような)上に構築されても良いし、または噴霧できる液体や気体状の生物反応性の物質を、構築後に検出部位に適用しても良い。
【0037】
センスチップが構築された後に生物反応性の薄膜層を適用する場合について、本発明は新奇な方法を提供しそれによると、アミノシランのような生物反応性の物質を、微小な間隙基板と検出部位の二つの鉛板の縁に貼付できる。よく知られた多様な生物反応性物質が、検出部位間隙の異なる多数のプローブ分子に貼付可能である。同じ技術がまたプローブ物質とブロッキング試薬を検出部位間隙においてのみ単離するために提供される。
本発明の別の実施例では、生物反応性の薄膜層はセンスチップの作成中に検出部位に貼付形成される。この場合、検出間隙は図 42 と43に示されるように、NまたはP物質の添加された基板の上に形成された、多数の生物反応性の金属、金属酸化物、プラスチック、またはポリマーのいずれかによる薄膜層からなる。
【0038】
検出部位間隙の開放部と連結部以外のチップの表面は、サンプルの接触プリンティングの重圧に耐えられるように、チップの上表面を出来るだけ平坦にするための不活性化層で覆われる。分離層と不活性化層の組み合わせはまた、検出部位上にウェルを作成する。ここで詳細が述べられる本発明の、ビーズモップ法と合わせて、これらのウェルは単一のスポットのふくまれたプローブサンプルを、ハイブリッド形成の予測される多数の独立した部位に分離する働きをする。この分離ステップは、順に、本発明の重大な特色であり、プローブスポットのアレイ表面への一回の適用を複数回読み取ることを可能にし、ハイブリッド形成現象の統計的に意味のある分析を可能にする。相互に接続された検出部位を持った伝導性の横と縦の列のマトリックスが構築され、各検出部位は個々にアドレスを示され、チップ上のまたはそれ自身の回路として読み取りが出来る。検出部位の鉛板の形状は、使用者や機器操作による電気的損傷に対するセンスチップの抵抗を改善するように、決められている。検出部位間隙やウェルの縁に不活性物質の小島を形成することで、適用された液体の表面張力を破壊することができる。
チップのレベルに、プログラムが可能な一組の抵抗性のリンクを、検出回路内に作成することで、検出回路の合計の抵抗がある条件に、標準化されることが出来、そのためにより正確なアレイ間の比較が可能となる。温度感受性要素(ひとつまたはそれ以上の)は基板に組み込まれていれ、検出部位のチップの温度を制御するのを助け、それによって計測値の正確度を改善する。テスト検出部位は、最高伝導度のレベルを測定し、センスチップを過剰電流から保護する過剰電流保護回路はチップ上に含まれている。
本発明のその他の特色、利点、目的は以下の叙述とそれに伴われた図面を参照することで明瞭となるであろう。
【0039】
発明の詳細な説明
本発明は核酸配列、たんぱく質、抗原や抗体の検出に有用である。他の生物由来分子に結合親和性を持ち、ハイブリッドを形成する如何なる生物由来分子もこの新奇な装置と方法で検出可能である。
【0040】
本発明の一部は図 2に示されたようにプローブDNA を受け取るあたらしいタイプの抵抗性の検出部位130である。図 20に示されるように、この新奇な検出部位は半導体基板物質から作成され、その構成は、(i)半導体ダイオードの平板または単一方向半導体デバイス(簡略化のためにダイオード部分は検出部位の部分として図示されていない、例えば図 20、構成分180、しかしながら、各検出部位の組み込まれた不可欠な成分とみなされる)、(ii)間隙基板としての添加半導体の領域190、(iii)検出部位の鉛板となる角をけずった一対の伝導性のトレース170、(iv)シリコン酸化物で構築された分離層205と不活性化層210からなる四側をもったウェル、(v)検出部位の間隙130 に直立する,またはウェルの壁面から突き出した不活性物質でできた液体の分流器230、(vi)検出部位間隙130と検出部位の鉛板170の一部をコーティングしている生物反応性の薄膜層220 、(vii)センスチップのレベルの上端の表面を形成する不活性化層210からなる。
【0041】
図 15は本発明の検出部位180アレイの上からの図を示すもので、横に並んだ連結部140と縦に並んだ連結部150からなる。検出部位(1x・1y)を計測するための伝導性のあるいは電流性回路195のついた4x4アレイが示されている。全ての検出部位は、それに限られるものではないが、代表的にはシリコンまたはゲルマニウムからなる半導体基板190からなる。各検出部位は、検出間隙130の反対側に配置された、連続した二つの伝導性のトレースまたは検出鉛板170のひとつと繋がった低漏電性ダイオード245のような単方向性の成分を含む。ダイオード245は漏電を最小限にするべく作成されるべきである。本発明は連結された横列140と縦列150のXとYのマトリックスを使って、逆バイアスモードでかなりの部分の伝導性検出部位ダイオードに電流を流す。漏電の低いデバイス245を用いることで、上述の検出チップの感受性にとって有害な電流を最小限に留めることが出来る。検出部位180はトレースよりもさらに抵抗性の高い基板物質と生物反応性薄膜層に接続し、また分離されている二つの伝導性のトレースよりなる。本発明の間隙基板は、必要に応じて間隙の抵抗を変えられるように、NまたはP物質を添加した 半導体物質からなる。単一の検出チップ上の全ての検出部位180に同じ拡散や抵抗を持たせることは可能であるし、また、抵抗の異なる検出間隙を有するセンスチップを作成するために異なる拡散の物質や拡散の深度または拡散面積を検出部位によって変えることも可能である。これは、検出間隙130に起こった、間隙を横切って連続した複数の低い抵抗性のハイブリッドの形成された領域の少量のハイブリッド形成を検出するために有益である。個々の検出部位の基板の抵抗が低ければ低いほど、より多くの全電流が流れ、間隙を横切る全抵抗のわずかな割合の変化を検出することがより容易となる。しかしながら、全ての検出部位を幅の広い、高度に添加された、抵抗の低い、高電流の流れるものにすると、検出チップの操作電力と逆漏電流が増加する。標準的な抵抗と、ひとつ以上のより低い抵抗の検出部位を、同じまたは別のセンスチップ上に作成するためのバランスは、製造業者が、感受性、電力消費と漏電流のバランスに変化を持たせた多数の異なる検出チップの製造を可能にする。図 16に提案された抵抗性の検出部位を持つアレイの拡大された上から見た図を示す。図 17A −17Dに添加密度と添加面積を変えた検出間隙160の変形型の例を示す。これは、結果として検出部位の検出鉛板170間の抵抗の違いを生じる。
【0042】
本発明によって想像される多数の微小な抵抗性の検出部位をもつセンスチップはオペレーターによって操作され、プローブスポットの形成、それに続く固定、洗浄、サンプル適用、洗浄、複合体適用、洗浄、銀強化処理、洗浄や電気的テストなどの典型的な手順のあいだに多様な機器や装置に遭遇する。アレイの表面は開放されていて、通常の完全に密封されている半導体デバイスに比較して、機械的または静電気的損傷を受ける可能性が高い。特に留意する点として、デバイスの取り扱いには明細された注意が向けられるべきである。しかしながら、静電気的放電からのセンスチップの潜在的な損傷を減らすためのステップもまたとられるべきである。検出部位の鉛板は、鋭利な先端が露出されないように構築されるべきである。検出部位の鉛板の縁を丸くすることで、電荷が鉛板上のとがった先端に蓄積することを防ぎ、過剰の電荷が凝集し近接の検出鉛板に放電することを減少させることが出来る。従って、丸くした鉛板は、提案されたアレイの信頼性と頑丈さを有意に改良する。図 18A−Dにチップの静電気的な放電に対する抵抗を改良する、検出間隙拡散内160の検出鉛板170の縁を丸くした例を示す。
【0043】
図19−22に本発明の液体分流器230の実施例を示す。これらの分流器230または突起は適用された液体の表面張力を破壊し液体試薬が検出器の間隙130をより自由に出入りするのを助ける。本発明は多様な分析に適したプラットフォームやチップをテストするためのものなので、多様な試薬の粘度はその適用によってかなり異なると考えられる。しばしば、適用された液体が、均一に円形、正方形あるいは長方形の壁面を持つ微小な検出器ウェル180や間隙130に入りにくいことがある。本発明の実施例としては、図 19と20に示されるような、孤立した突起や分流器230であるか、図 21と22に示されるような検出部位やウェルの側壁に組み込まれた突起であるかが考えられるが、両者とも液体分流器として呼ばれる。技術分野によく知られた半導体処理技術により容易にこれらの特色ある構造を作成できる。
【0044】
ここで処方されたセンスチップ200を作成する能力は、図 23と24に示されるように、検出部位が構築される際に検出部位の周囲に結果としてウェルが作成されることに基づく。図 23に選ばれた領域の抵抗性を修正するためにアルゴンやホウ素のような技術分野でよく知られた試薬で拡散されたフォトリソグラフ法により選択された領域を持った半導体基板190を示す。130は検出部位の間隙領域を示し、240は典型的なダイオード平板を作成する拡散を示す。連結部140または150はダイオード、検出部位の鉛板170および検出部位180の複合体をXとY の横140と縦150の伝導性の列によるマトリックスを連結する。図 24に抵抗性の検出部位180と検出間隙130の側面図が示される。シリコン酸化物の分離層205、伝導性のトレースまたは検出鉛板170と最後の不活性化層210が合わさって、半導体基板の間隙を囲む四側の窪みを形成する。不活性化層には技術分野で知られる多様な物質が使用され、チップの表面の機械的スポット形成に対する機械的強さの点で改良する。上記のすべての構成要素の構築は技術分野ではよく知られたもので、その製造は特に困難ではない。もしもセンスチップが生物反応性の薄膜層なしで製造されるなら、検出ウェルの底面の半導体基板の表面(検出間隙130)が開放されていて、処理過程の最後のステップとして、処理中に酸素と接触することを防ぐか、または如何なる酸化物による被膜も除去されるべきである。検出器間隙の基板が周囲に開放されている添加シリコンであれば、基板をシールドして酸化を防ぐ努力がなされる。下記に概略された追加の処理過程の後で、チップは生物反応性の物質225を適用し露出された検出部間隙基板と検出導線に共有結合させる準備が終わる。図 25はシリコン酸化物の薄膜層を用いない、検出部位130の構造の代案である。シリコン酸化物はチップの他の部分には使われるが検出部位間隙には使用されない。検出部位間隙130の周囲からこの酸化物の層を取り除くことにより、あるいはもし酸化物が使われるならその厚みを変えることにより、結果として生成される、検出間隙の周りのウェルの高さが調節可能である。図 25に示すようにウェルの高さが低ければ、液体分流器の必要性が除かれるかもしれない。
【0045】
検出間隙のウェルはまたセンスチップの反応性の部分を不注意な接触からシールドするための避難所であることに注意を払うべきである。プローブ/ターゲットのスポットを思いがけなく汚したり、なすったりすることは、この構造によって自然に少なくなる。
【0046】
上述の材料と構築方法で検出間隙基板を囲むウェルを作成できる。前述したように、生物反応性の物質やプローブの物質を、周囲のセンスチップの表面をさけて微小なウェルのみに沈積することは容易ではない。本発明では、図 26に示すようにラテックスで、またはラテックスおよびセンスチップの表面の生物反応性試薬225とラテックスの両方に強く結合する物質の薄膜層で、あるいはまたラテックスなしに磁性のまたは金属性のビーズ250とチップの表面の生物反応性の試薬の両方に直接結合する物質の薄膜層でコートした金属製の、あるいは磁性のビーズ250かあるいはまた簡単に材質に関わらず電荷のあるビーズや普通の金属製あるいは磁性のビーズを利用する。このようなコートされたあるいはコートされていないビーズ250は市販している製造業者から容易に入手できる。ビーズは、検出部位の製造によって作成されたウェルに入りこんだり、落ち込むことの無いように充分に大きなものである必要があり、ビーズの直径を選択するべきである。ビーズを不活性の溶液に加え、その溶液227を図 27に描かれるように多数の検出部位180とそれに連なるダイオード245をカバーするようにセンスチップ200の表面にかける。センスチップの下に配置された永久磁石や電気磁石500で、図 26に描かれたようにビーズ250を溶液からセンスチップの表面に引き寄せる。基板190の動き、外部の永久磁石や電気磁石または基板の下や周囲の単数のまたは複数の電気磁石にランダムにまたは連続的に通電することはセンスチップ200の表面や不活性化薄膜層210のまわりにビーズを物理的に移動させ回転させる結果となる。その結果として、ビーズ250の表面は、検出間隙130の窪みやウェルにある物質には影響しないが、チップ200の表面や不活性化層210にある生物反応性試薬225に接触し、結合し、除去したり物理的に破壊し去ることになる。適当な時間の後に、センスチップ表面のビーズによるモッピングが完了し磁場は除去される。次に溶液を洗浄して除く。図 26と28に描かれるように、これによってセンスチップの不活性化薄膜層215と生物反応性の薄膜層220の物質がこすられて全ての検出部位180ウェルのみに残り露出された検出導鉛板170と検出間隙基板をコートした状態のセンスチップになる。生物反応性薄膜層220に親和性をもったプローブ分子は検出部位のウェル表面に引かれて結合する。図 26に示すビーズモップ法は、反応しなかった使用者の選択による生物反応性コーティングを検出部位のウェルのみに残し、つぎの処理への準備ができている。生物反応性のコーティングのこのステップは製造業者によってなされると想像されるが、また使用者によって、完全にブランクなセンスチップに施されても良い。
【0047】
センスチップの生物反応性のコーティングに続いて、継続性、直流パラメトリックおよび機能性のテストが行われる。ユニットは必要であればレーザーで刈り込み、平均のコンダクタンスを指定範囲内になるようにし、テストの終了時にテスト部位を刈り込んで開放する。テストをパスしたユニットは、図 29に描かれたように、センスチップに接続する外側のピンとパッケージのくぼみをもった非反応性のパッケージ300に包装される。この包装によって機械的な補強が加わり、またセンスチップを操作するためのプラットフォームが提供される。パッケージはまた、チップからパッケージへの表面への適切な電気的接続を可能とし、センスチップ表面の高密度の反応性のマトリックスに、生物反応性の試薬が加えられ処理されることができるようにするものである。
【0048】
上記の検出部位に加えて、四つのハードウェア構成分がセンスチップには含まれ、デバイスの信頼性とともに測定の正確度とスピードを多大に改善する。図 30はチップ310上の外部の接触部に接続された温度感受性の要素(ダイオード)310が組み込まれていることを示す。ダイオードの逆バイアス漏電流の変動は温度に対して特質づけられ、チップの温度をきめるために利用できる。ほとんどの物質の抵抗は温度の変動とともに変化することが知られており、センスチップの温度を制御することによって、より正確で、繰り返しがきき、比較可能な測定が可能となる。温度の変動を制限するために、外側の加熱と冷却の装置が、ダイオードの電流の動揺に基づいてセンスチップの温度を調節できる。
【0049】
図 31は、代表的な検出部位180アレイと、検出間隙が既知の抵抗をもった金属によって架橋された伝導性のテスト部位332の選択されたものを示す。幾つかのこれらのテスト部位332はチップ200上に散在していて、センスチップのパッケージをする前に操作上のパラメタを計算できる。これによって、より均一で正確なデバイスの作成ができる。製造上のテストが完了した後に検出間隙を開放するために、テスト部位はレーザーで刈り込みされる。これによって逆バイアス検出部位ダイオードのネットワークの無欠性を保ち、ここの抵抗性の検出部位の取調べを可能にする。
【0050】
図 32にヒューズリンク回路を示す。レーザー刈り込み技術は、ウェーハレベルのテスト時に用いられ、技術に精通した人々にはよく知られているが、この回路の抵抗334を調節できる。この回路の抵抗性の径路を削ることによって、検出部位の平均電流はより制限された許容量に調節され、その結果として、テスト結果のチップ間での比較を改善する。
【0051】
図 33は、使用者によって決められた閾値を越える潜在的に有害な電流からセンスチップを断絶する、チップ上に設けられた過剰電流保護回路を示す。この特色によって、電気的検出システムの信頼性が改善され、使用者がマイクロアレイを処理するために費やした価値ある時間とエネルギーは保護される。
【0052】
図 34は直列制御のブロック作図が描かれ、、図 35は個々の検出部位を示したセンスチップの並列制御の作図が描かれている。直列法は、速度は遅いがセンスチップのピンカウントを多大に減少させ、並列法はピン集中的であるが、アクセスのスピードとチップの読み取りを速める。
【0053】
検出器のマトリックスのある同じ半導体基板に有益な電気回路を構築することが出来るであろうと予測されている。従って、センスチップとテスト機器を結ぶ回路や横と縦の列のアドレスのための回路に加えて、さらに回路の機能の追加と配置の技術がもちいられるであろう。(i)シグナルとノイズの比率の改善、(ii)チップの電圧と電流レベルの安定化、(iii)アナログシグナル接地の論理機構接地からの分離、(iv)シグナルの増幅と縮小、(v)シグナルの比較とコントラスト、(vi)シグナルのデジタル化と再構成、(vii)計測値の保存と回収、および(viii)シグナルとメモリに保存された値との比較ができるようになるであろう。
【0054】
本発明の方法に従って構築されたセンスチップは非常に用途が広く、生物反応性薄膜層によって、核酸のペア、たんぱく質、リガンド或いは抗原抗体などの二つの結合物質のひとつに結合できる。ここでは、未知の溶液中の既知のDNA 配列の存在を検出するチップの使用について述べたが、このような使い方が唯一の使い方ではないし、必ずしも主要な使い方でもない。センスチップは検出部位間隙に、金属、金属酸化物、またはポリマーである生物反応性の薄膜層で構築されるか、生物反応性の物質で処理されたもので、前述のビーズモップ法は、各検出部位が検出部位間隙の表面にDNAを結合させる生物反応性の物質を含んだセンスチップを生じる。センスチップは、既知の配列を有する一本鎖または二本鎖のDNAのプローブスポットを、機械的形成法、インクジェット法あるいはフォトリソグラフ法によって形成あるいは合成する機器に据えられる。各プローブスポットの配置場所は記録され、ハイブリッド形成結果の解釈のためのセンスチップのスポット地図を作成する。理想的には、各プローブスポットは多数の検出部位をカバーするべきで、その数は、統計的に意味のあるデータの読み取りのために、必要とされるわけではないが、14またはそれ以上が好ましい。図36に複数の検出部位180がひとつのプローブスポット120でカバーされている例を示す。図 37に示されたように、プローブスポット120を乾燥させた後に、ブロッキング溶液350をセンスチップの表面に適用し反応しなかった検出部位を不活性化して、その後に適用されたターゲット分子が結合しないようにする。次に、結合しなかったプローブとブロッキング液はセンスチップから洗い流される。別の方法としては、洗浄液に前述したビーズモップ法のプロトコールを用いて、図 26に示すように、全てのプローブ360とブロッキング液がチップの表面から除去され、図 38に描かれたように、プローブ360とブロッキング試薬355をそれぞれの検出ウェルに留める。その結果はアレイの全ての検出部位180がプローブで充たされているかまたはブロッキングぶんしが検出部位の生物反応性の薄膜層にゆるくひっついて検出間隙をカバーすることになる。検出部位のウェルに残ったローブDNA 360またはブロッキング試薬は,文献に叙述されているように、加熱またはUVクロスリンキング(2600x100 mjoules)によってプローブと、またはブロッキング試薬を、図39に描かれたように、それぞれの検出間隙基板とウェルに共有結合するように促進される。この方法に続いて、センスチップ200はテスト機器に据えられ、個々の検出部位のベースラインの抵抗が測られ、その値が保存される。逆に、各検出部位の伝導度の計測は、生物反応性の薄膜層の適用の前か、生物反応性薄膜層の適用の後ではあるがプローブとブロッキング物質の適用前になされる。これでアレイはハイブリッド形成の準備が整っている。
【0055】
興味の対象となるサンプルから、ビオチンで標識されたcRNAまたはcDNAを調製する。ビオチン標識は化学的結合によって施されても良いし、PCR反応に用いられるヌクレオチドの一部を適当に、ビオチン標識されたリボヌクレオチドかデオキシヌクレオチドで置換することにより、サンプルの鋳型DNA, RNA またはmRNAの合成コピー中に組み込ませてもよい(Molecular Probes社 またはSigma Aldrich社のカタログ参照)。つぎに、サンプルのcRNA やcDNAの二次構造の形成を妨げ、必ず一本鎖構造であるように、サンプル液を加熱する。もしもセンスチップのプローブが二本鎖のDNA であれば、センスチップを加熱してプローブを変性させる。もしも、DNA が一本鎖であれば、加熱は必要ない。つぎに、ターゲットの溶液をセンスチップの表面に適用し、ハイブリッド形成を起こさせる。核酸のハイブリッド形成に、従ってハイブリッド形成のステップに要する時間に影響する条件としては以下のようなものがあるが、それだけに限られるわけではない。その条件としては、プローブおよびターゲット分子の長さ、相補的核酸鎖を伴うプローブの融点、ハイブリッド形成反応の温度、プローブとターゲット分子の濃度、プローブとターゲットのG-C含量、ハイブリッド形成溶液中の塩濃度、ハイブリッド形成溶液の粘度などがある。ハイブリッド形成のための多数の異なるプロとコールがあり、技術分野ではよく知られている(例えば、Dangler,C.著の「核酸分析、原理と生物化学への応用」、1996年、やBotwell, D、Sambrook, J 共著による「DNAマイクロアレイ」、2003年を参照)。ハイブリッド形成において、図 40に示すように、プローブDNA 360に相補的なターゲットcRNA またはcDNA鎖 370は互いに結合する。30分から48時間の適当な時間の後に、結合しなかったターゲットはセンスチップから洗い流される。
【0056】
つぎに、ストレプトアビジン‐金複合体を含む溶液がセンスチップアレイにかけられる。図 41は簡略化した図で生物反応性薄膜層上220の検出部位の間隙にビオチン‐ストレプトアビジン‐金のコロイドのみがひっついていることを示す。ストレプトアビジン380はビオチン375に高い結合親和性をもつことが知られ、適当なインキュベーション時間の後に、それぞれ相当するプローブに結合したビオチンで標識されたターゲットのcRNA やcDNA分子370はストレプトアビジン‐金390に結合する。ストレプトアビジン‐金複合体の溶液は市販品を入手できるし、ひろく行き渡ったプロトコールにより、使用者が生成しても良い(例えば、Nanoprobes 社、Sigma Aldrich 社の製品番号 S9059)。現在のところ、ストレプトアビジンに結合した金粒子はサイズがまちまちで直径が1.4 nmのものからその何百倍のものまである。ストレプトアビジンの複合体をなす金粒子は直径10 nmから50 nmのものが、研究には最もよく行き渡っているようであるが、それよりも大きくても小さくても使用は可能である。適当なインキュベーション時間の後に、結合しなかったストレプトアビジン‐金複合体の溶液はセンスチップアレイから洗い流される。
【0057】
処理過程の最後のステップは、結合した金粒子を銀で強化するものである。塩素を除くためにセンスチップは再蒸留水で洗浄される。2Mのクエン酸ナトリウム、0.5Mのヒドロキノリン、および0.03Mの乳酸銀を含む溶液を暗室内で調製する。次に、その溶液をセンスチップに注ぎ、2−3分間反応させる。次に、チップを1% 酢酸でゆすぎ、2分間インキュベートする。最後に、チップを固定剤でゆすぎ、その液で2分間インキュベートする。固定剤はKodakO Rapid FixOまたはVector Lab社の調製品が使用できる。次に、チップは再蒸留水で5−10分間ゆすいで、風乾させる。これでチップは電気的テストを受ける準備が完了である。図 42 は検出器間隙を横切って、銀でコーティング400されたコロイド状の金粒子390が完全に架橋していることを示している。図 43 は検出器間隙を横切って、銀でコーティング400されたコロイド状の金粒子390が部分的にに架橋していることを示している。上記のようなハイブリッド形成の結果は両者とも、検出器間隙を横切る抵抗値の減少を生じるので、検出できる。
【0058】
次に、センスチップはテスト機器に据えられ、各センスチップの抵抗値が測定される。各センスチップでのハイブリッド形成後の抵抗値が、ターゲットのアレイ(センスチップ)へのハイブリッド形成前のベースラインの抵抗値の測定値と比較される。抵抗値の減少は、ターゲット分子のハイブリッド形成が起こり、銀でコーティングされた金粒子により、完全なあるいは部分的な検出間隙間の架橋が起こったことを意味する。ブロックされた検出部位を含めて、ハイブリッド形成の起こらなかった検出部位での抵抗値はもとの抵抗値に比べて有意な変化が見られないはずである。もしもブロックされた検出部位の抵抗値に変化があれば、これらの計測値の平均をノイズの計測値として、プローブ検出部位のコンダクタンスの計測値から差し引いて、すべての検出部位でのより正確な読み取りとするべきである。ベースラインのプローブ抵抗値の計測値と、あらかじめ作成された物理的なスポット地図と合わせたハイブリッド形成後の計測値を編纂するべく、適当な隣接する検出部位の計測値を、特定のプローブにおいての統計的な計測値に変換するためのソフトウェアをデザインすることが可能である。このことから、ハイブリッド形成の程度についての信頼度を含めて、統計的な表現が可能となる。特異的なハイブリッド形成が起こり、抵抗値の減少がみられるということは、プローブの配列に相補的なターゲット分子が未知のサンプル中に存在したということを意味する。DNAマイクロアレイ分析に現在、使用されている技術と同様に、既知の濃度のユニークなRNA,DNA またはcDNA の配列を参考としてサンプル中に含めることが出来る。多様なプローブとターゲット間のハイブリッド形成による抵抗の計測値は、参考として用いられた既知の濃度のプローブとターゲット間の抵抗値の計測値と比較することで、各センスチップでのターゲットDNA 量の定量的な推測地が決定できる。
【0059】
上記の手順は単一のサンプルのハイブリッド形成について述べたもであるが、ハイブリッド形成法はまた競合的ハイブリッド形成にも応用できる。ビオチンで標識されていないDNA サンプルとビオチン標識された別のサンプルを用いればよい。両方のサンプルをハイブリッド形成混合液に混ぜる。検出部位においての高い伝導度は、ビオチン標識ターゲットの量ががビオチンで標識されていないターゲットに比較して優勢であることを示す。
【0060】
さらに、本発明の検出部位のウェルは、均一な表面領域と容量をもった反応容器として働く。プローブ分子の大きさを知っていることで、検出部位のウェルの表面に存在するプローブ分子の数を算定できる。このことから、プローブとターゲット間の100%のハイブリッド形成を最大電流量あるいは最小抵抗値として相関させることができる。この方法により、電流量の増加や抵抗の減少をプローブとターゲット分子の量に相関させることができる。検出部位のウェルの構築は半導体処理技術に伴う厳密な許容度を持つもので、本発明の使用によるプローブとターゲットの定量的な推定は、接触スポット法によるマイクロアレイの流動的なプローブスポットによる定量よりも優れている。
【0061】
ハイブリッド形成およびセンスチップの検出のためのステップの数は、現在、Affymetrix 社によって製造されているような高密度のマイクロアレイの処理ステップ数と同じである。今日使われているレーザースキャナーによる計測とは異なり、センスチップを読み取るテスト機器は、可動部を持たず、基本的には高感度のプロセッサー制御によるマルチメーターまたは電気計測器と考えて良い。本発明の抵抗性検出部位は、低レベルの直流電圧と電流で読み取ることが可能である。その結果、小型で信頼性の高いバッテリ作動性の携帯テスト機器が比較的安価で構築されうる。 本発明は、広汎に使用されている3種類のプローブ形成法のいずれの方法によるアレイも正確によみとることを可能にする。本発明による低価格の電気検出機器は、低価格のプローブの接触プリンティング機器と合わせて、どの研究所やオフィスにも非常に柔軟性のあるマイクロアレイ分析能力をもたらすことができる。非常に微小な検出部位は、フォトリソグラフ法あるいはインクジェット法による先端技術を使った直径18ミクロンのプローブスポットであっても、反応と読み取りのために複数の独立した検出部位に分離できる。独立した読み取りの繰り返しにより、実験結果についての信頼性が増し、均一のサイズの検出ウェルは現在の方法に比較して、サンプルの定量についても改良する。本発明のセンスチップは、現存の光スキャナー検出法に比較して、さらに高感度、低価格、頑丈、小型であり、繰り返しがきくもので、直感的に使用が容易なものである。
【0062】
本発明の方法と装置を用いて、未知のサンプル中のDNA 配列を検出するセンスチップのプロトコールの実施例
【0063】
センスチップ
1. 各検出部位が生体物質反応性の金属またはその酸化物によってカバーされるか、あるいは生体物質反応性のアミノシラン(またはガラスとDNA に結合することが知られているエポキシシランのような他の物質)の薄膜層によって処理されている、何千もの顕微鏡下に単離された検出部位を持つ電気的センスチップを清潔な平面に配置する。
2. プローブのスポット形成機器を設定し、スポット形成を始める直前に、透明のプラスチックの包装をセンスチップの上端から取り除く。
【0064】
固定相プローブスポット形成用溶液の調製とセンスチップへのプローブスポットの形成
1. 各プローブスポットのために、2mgのプローブDNA を少なくとも10mLの10%DMSOとdH2Oを含む溶液として配置する。(これよりも少量のDNA でも同様にうまくいくことが示されている)。
2. DNA の混合溶液を95°Cに15分間加熱し、氷上において冷ます。
3. DNA サンプルを適当な容器(864ウェルプレート)に移し、プローブスポット形成機器に設定する。
4. 機器を作動させ、センスチップにプローブのスポットを形成する。
5. 風乾させ、カバーをして室温で保存する。
【0065】
センスチップのブロッキングと固定相DNA の固定
1. 清潔な1.5 mL の試験管に25 mLのマスター溶液(0.1gデキストラン硫酸、5 mLのホルムアルデヒドと1 mLの20X SSCを加え、さらに水を加えて7 mL とする、pH 7.0)と充分に細かくした鮭の精子DNA を250 mg/mL となるように加える。
2. 混合液を37°Cに加熱し、素早くセンスチップの表面に適用する。センスチップのくぼみを、支給されたプラスチックでカバーし、37°Cのインキュベーター内の低速のロッカーの上で30分間、ゆする。
3. センスチップを2X SSC 溶液を使って、45°Cで5 分間、二回洗浄する。
4. 別の試験管に、2 mLの磁性ビーズと23 mLの2X SSC を合わせて、センスチップ上のウェルに入れる。
5. センスチップをマグネチックスターラーの台にのせて固定し、センスチップを、支給されたプラスチックカバーで覆う。マグネチックスターラーを5 分間作動させる。
6. チップをスターラーの台からはずし、素早く2X SSC 中で45°Cで5 分間洗浄する。
7. チップを最後に、0.1X SSC 中で45°Cで、5 分間洗浄する。
8. チップを10 分間、風乾させ、プラスチックカバーを替えて覆う。センスチップをテスト機器に入れて、各検出部位の抵抗と、またはコンダクタンスのレベルを読み取る。
センスチップはこれで、ビオチン標識されたターゲットDNA とのハイブリッド形成を待つ。
【0066】
ビオチンで標識したターゲットDNA の調製
1. サンプルDNA をとり、ビオチン標識dUTPsを用いてランダムプライマーPCR混合液を調製し、PCRの標準法に従って反応を行う。dUTP-ビオチンを含む25 mLのPCR 反応液を調製する:dTTPをPCR 反応液中で1:3 となるようにする。
a. 以下の試薬を混合する;
サンプル DNA 0.2 mg 約 1 mL
2.5X ランダムプライマー 10 mL
水 9.8 mL
b. 反応混合液をPCR 機器で100°C、10 分間変性させる。
c. 以下の試薬を加える;
dNTPs 2.5 mL
ビオチン標識dUTP 1.0 mL
Klenow Fragment 0.7 mL
合計 25 mL
d. よく混ぜて、37°C で4時間インキュベートする。
2. 反応完了後に、1%のアガロースゲルを用いてDNA ラダーを泳動し、ビオチン標識されたターゲット配列が均等に生成されたか確認する。ビオチン標識サンプルは、200bpと800bpの間にもっとも濃くみられるスミアを示すはずである。
3. Amersham MicroSpin G-50 カラムを用いて、カラムの上端を開けて新しい1.5 mLの試験管内に入れ、770 rcfで1分間、遠心して余分の緩衝液を除く。緩衝液を捨て、カラムを1.5 mLの試験管に戻す。ビオチン標識ターゲット溶液をカラムに注ぎ、770 rcfで2分間、遠心する。カラムを捨て、ターゲットDNA の入った試験管を氷上に置く。
ターゲットはハイブリッド形成のための準備が完了した。
【0067】
ハイブリッド形成のための混合液の調製
1. 1.5 mLの試験管内で、ターゲットDNA混合液 25 mLとCot 1 DNA 25 mL(2 mg)を合わせて、エタノールで沈殿させる。
a. エタノール沈殿
2.5 容量の氷冷エタノール(100%)と0.1 容量の3M 酢酸ナトリウム pH 5.2 を 25 mLのターゲットDNA と混ぜる。
b. 1,4000 rpm 、4°Cで30分間遠心する。
c. 上清を傾けて捨て、沈澱を10 分間、風乾させる。巻いた Kimwipe を使って余分なエタノールを除去する。
2. ターゲットの沈殿を5 mLの水、10 mLの20% SDSと35 mLのマスター溶液に再び、懸濁させる。
マスター溶液;
0.1 g のデキストラン硫酸(mwが約500,000)、5 mLのホルムアルデヒド、1mlの20X SSC にさらに水を加えて7ml、pH 7.0、とする。
3. 沈殿を再び懸濁した後で、ターゲットの混合物を75°Cで15 分間変性させる。
4. ターゲットの混合物を37°Cのインキュベターに移し、Cot 1 DNA で少なくとも1時間ターゲットとプリアニールさせる。この処理はターゲットDNAの繰り返しの配列をブロックする。
【0068】
ターゲットのセンスチップとのハイブリッド形成
1. センスチップを2X SSC で45°C で5 分間洗浄し、5 分間、風乾する。
2. センスチップを Stratalinker UV 機器に据え、2600x100mジュールでプローブDNA を検出部位の間隙に共有結合させる。
3. 温かいターゲット混合物をその表面に適用する。センスチップを、支給されたプラスチックのハイブリッド形成チャンバーに密封する。それをインキュベーター内の低速ロッカーに乗せて、希望の温度と時間で反応させる。
【0069】
センスチップの洗浄
1. 洗浄液をあらかじめ温める。洗浄液 1 (50% ホルムアルデヒドと50% 1X SSC); 洗浄液 2 (2X SSC); 洗浄液 3 (0.1X SSC); および洗浄液 4 (0.1% NP-40 を含むPN緩衝液 0.1M 燐酸ナトリウム)を大きなCoplin 壜で45°Cに温める。
2. 上記の洗浄液中でアレイチップをゆすぐ。
ホルムアミド 10 分間
2X SSC 10 分間
0.1X SSC 5 分間
PN 緩衝液 5 分間
3. センスチップのウェルに残る液を振り落とす。
【0070】
ストレプトアビジン―金の複合体の適用。
1. 琥珀色の試験管に25 mLのストレプトアビジン/金の溶液を用意する。0.1% BSAを含む15 mM NaCl溶液で、ストレプトアビジン/金の溶液を1:4の割合で希釈する。
2. その溶液をピペットでセンスチップに注ぎ、プラスチックのチップカバーで覆う。
3. センスチップを37°Cのインキュベーター内の低速のロッカーに30 分間載せる。
4. 1X SSC で1 分間ゆすぎ、さらに0.1X SSCで 1分間ゆすぐ。
5. 15 分間、風乾する。
【0071】
金粒子の銀強化反応とセンスチップの計測
1. センスチップを再蒸留水を用いて、45°Cで1.5 分間ゆすいで、ナトリウムイオンを除く。
2. 暗室内で、100 mL の2M クエン酸ナトリウム、0.5 M ヒドロキノリン、0.03M の乳酸銀の溶液を調製する。その溶液の30 mLをセンスチップに注ぎ、室温で3 分間、反応させる。
3. センスチップを1% 酢酸でゆすぎ、30 mL の同じ液を加え、2 分間、インキュベートする。
4. センスチップをKodakO Rapid FixOの固定溶液でゆすぎ、この液の 30 mLを加えて、室温で 3 分間インキュベートする。
5. 再蒸留水を用いて、センスチップを室温で 1.5 分間ゆすぎ、さらに 0.1% SSC を用いて、室温で 3 分間ゆすぐ。最後に、再蒸留水を用いて室温で、30 秒間洗って銀強化反応を終える。
6. センスチップを風乾させるか、37°C のヒートブロック上で乾燥させる。センスチップの計測の準備が完了する。
この時点で、ターゲットのハイブリッド形成前の抵抗値よりもセンスチップの抵抗値が減少していれば、プローブとターゲット間のハイブリッド形成がうまくいったことを示す。
【0072】
本発明は、種々の具体化例を引いて上述されたが、詳細の変更や修正は本発明の範囲から外れることなく、施されると理解されるもので、それらは単に補遺の請求項あるいはそれに相当するものとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
本発明のこれらのあるいはその他の対象物、利点や新しい特徴については、以下に掲載される図面と合わせて読むことで、その詳細な説明からより容易にその真価が認められるであろう。図面には次のものが含まれる。
【0074】
【図1】図 1は、技術分野に現存するコンフォーカルレーザー走査パターンとプローブスポットの代表的なものである。
【図2】図 2 に本発明の検出部位のパターンとプローブスポットの代表的なものを示す。
【図3】図 3 に現存の技術分野での焦点をあわせたコンフォーカルレーザースキャナのブロックの図表を示す。
【図4】図 4 に現存の技術分野での焦点の外れたコンフォーカルレーザースキャナのブロックの図表を示す。
【図5】図 5 に米国特許番号5284748、1994年2月8日認可、からの現存の技術分野での検出部位の鉛の下にひかれた抵抗性のある検出部位の生物反応性の薄膜層を示す。
【図6】図 6 に米国特許番号5284748、1994年2月8日認可、からの現存の技術分野での検出部位の鉛の上にひかれた抵抗性のある検出部位の生物反応性の薄膜層を示す。
【図7】図 7 に米国特許番号5284748、1994年2月8日認可、からの現存の技術分野での検出部位の二側性の連結部を示す。
【図8】図 8 に米国特許番号5284748、1994年2月8日認可、からの現存の技術分野での検出部位の一側性の連結部を示す。
【図9】図 9に現存の技術分野での規制の伝導路と二側性の連結部を示す。
【図10】図10Aと10B に、米国特許番号5532128、1996年7月2日認可、からの現存の技術分野にみられる容量検出部位の外部リングを示す。
【図11】図 11に、米国特許番号5532128、1996年7月2日認可、からの現存の技術分野にみられる容量検出部位の直立型のプレートを示す。
【図12】図12に米国公開番号US2002/0164819 A1,2002年11月7日公開、からの現存の技術分野での反応部位の連結部位にみられる誘電性のキャッピングを示す。
【図13】図 13に、米国特許番号6355491 B1、2002年3月12日認可、からの現存の技術分野にみられる誘電性検出部位の連結部を示す。
【図14】図 14に、米国特許番号6355491 B1、2002年3月12日認可、からの現存の技術分野にみられる誘電性検出部位の連結部の詳細を示す。
【図15】図 15に本発明の検出部位の4x4アレイについて、電流の回路を示す。
【図16】図 16に本発明の検出部位の8x7アレイを示す。
【図17】図17A−17Dに多様な本発明の実施例にみられる抵抗性の検出部位間隙のドーピングのための深さとサイズを示す。
【図18】図18A−18D に本発明の多様な実施例に見られる最適な静電気的放電の防護のための検出部の鉛の形状を示す。
【図19】図 19に本発明の中央に置かれた液体分流器の上からの図を示す。
【図20】図 20に本発明の中央に置かれた液体分流器の横からの図を示す。
【図21】図 21に本発明のウェルのそばの液体分流器の上からの図を示す。
【図22】図 22に本発明のウェルのそばの液体分流器の横からの図を示す。
【図23】図 23に本発明の検出部位のダイオードの例と検出部間隙の拡散パターンを示す。
【図24】図 24に本発明の検出部位のシリコン酸化物を用いた抵抗性の検出部の構築の横からの図を示す。
【図25】図 25に本発明の検出部位のシリコン酸化物を用いない抵抗性の検出部の構築の横からの図を示す。
【図26】図 26に本発明の検出部表面のビーズモップをクリーニングしている磁性の或いは金属製のビーズの動きを示す。
【図27】図 27に本発明の実施例のアレイ表面の全体に適用された生物反応性の試薬の例を示す。
【図28】図 28に、検出部位のウェルに残り、本発明の実施例のビーズモップにより検出部位でない表面から除去された図 27の生物反応剤の例を示す。
【図29】図 29に本発明の検出部位のパッケージの例を示す。
【図30】図 30に本発明の実施例の温度感受性のダイオードとチップのパッケージの例を示す。
【図31】図 31に本発明の実施例のコンダクタンスの全領域の計測のためのレーザーによる微調整可能なテスト部位の例を示す。
【図32】図 32に平均的な検出部回路の抵抗を調節するために使われる本発明の実施例にみられるプログラム可能なヒューズ配列盤が描かれている。
【図33】図 33 に本発明の検出部を保護するための過剰電流防護に例を示す回路図である。
【図34】図 34 に本発明の検出部の連続制御のための例を示す回路図である。
【図35】図 35 に本発明の検出部の並列制御のための例を示す回路図である。
【図36】図 36 に本発明の実施例に見られるセンスチップに適用されたプローブスポットを示す。
【図37】図 37 に本発明の実施例に見られるセンスチップに適用されたプローブスポットとブロッキング溶液を示す。
【図38】図 38に本発明の実施例に見られるアレイのビーズモップによる洗浄後の図 37のセンスチップに適用されたプローブスポットとブロッキング溶液を示す。
【図39】図 39に本発明の検出部位に結合したプローブの横からみた図を示す。
【図40】図 40に本発明の検出部位に結合したプローブとターゲット間のハイブリッド形成の横から見た図を示す。
【図41】図 41に本発明の、ビオチン‐ストレプトアビジン‐金粒子の結合を横から見た簡略図を示す。
【図42】図 42に銀で覆われたコロイド状の金による完全な架橋をもたらしたハイブリッド形成の銀強化を横から見た簡略図を示す
【図43】図 43に銀で覆われたコロイド状の金による部分的な架橋をもたらしたハイブリッド形成の銀強化を横から見た簡略図を示す。説明を簡略にするために、ここでは同一の構成部分は同じ数字で扱った。
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの化合物間、特に核酸、たんぱく質、リガンドや抗原抗体のような生物由来物質間におけるハイブリッド形成を電気的に検出するための、アレイ状に配列された検出部位に関連する。
【0002】
マイクロアレイの適用は細胞内反応過程の分析に大変革をもたらし、広汎に研究用に応用されているが、それらの例としては以下のものがある。すなわち、mRNA分析、SNP(一塩基多型)分析、再シーケンス解析、全ゲノムコピー分析、DNAとたんぱく質間の相互作用、たんぱく質間の相互作用や抗原抗体反応による同定などである。説明のために、核酸の断片を分子間の結合のペアとして話をすすめる。しかしながら、これは本発明を適用できる、多種類の分子間結合のうちの一例にすぎない。核酸のマイクロアレイは、与えられたサンプル中に存在する何千もの異なる核酸配列のレベルを同時に、検定することを可能にする。生体内反応過程の分析に加えて、多種類のウィルスゲノムを代表するDNA配列を含むマイクロアレイは診断の目的で使われ、重症急性呼吸器症候群(SARs)ウィルスの最初の同定の手段として役立った。ヒトの発生発育に関する研究は、マイクロアレイが組織におけるmRNAやたんぱく質の発現を時間経過的に分析できることにより、めざましい変革をとげた。薬物に対する反応の個人差を検出または推測するためにマイクロアレイを用いた臨床治験はまた、ある種の癌の化学療法治療の最適化に適用されている。
【0003】
DNA,RNA,cDNA,cRNAやオリゴヌクレオチドのマイクロアレイは、同一の核酸鎖(センスおよびアンチセンス鎖)は溶液中で、相互に認識結合しハイブリッドを形成するという原理に基づいている。ハイブリッド形成反応の厳密性は、その技術に精通した人々により注意深く制御されうるもので、正確に相補的な核酸の配列のみがハイブリッドを形成するべく条件を設定できる。マイクロアレイは既知の配列(プローブ)コピーを固定相の基板上の一定の部位にスポットとして固定し、それに蛍光標識した核酸配列(ターゲット)う含む未知のサンプルを適用することで、ある核酸配列は、正確にその相補的に対となる配列に結合することを利用したものである。もしも、サンプル中に相補的なターゲット配列が存在すれば、それはアレイ上に固定された特定のプローブのスポットでハイブリッドを形成する。サンプル中の結合しなかったターゲット配列を洗浄除去した後に、各スポットはスキャナーによって解読されるが、現在使われている方法としては、コンフォーカルレーザースキャナーか、CCDイメージキャプチャーのうちのいずれかによる。コンフォーカルレーザースキャナーによる計測では、図1に示されるように、アレイ上のプローブスポット110は、直径2.5から10マイクロメーターの小区域あるいは四角形の100個を計測して得られる、何十もの個々の明るさを平均して直径80マイクロメーターのプローブスポット110の計測値を得る。また、CCDイメージによる計測法では、アレイを特定の、あるいはフィルターした光を照射し、特別にあつらえられたCCDチップにより一度に全チップのイメージを読み取る。次に、いずれの計測法においても、コンピューターと特別のソフトウェアを用いて、関心のあるスポットの明るさを、バックグランドの明るさや対照のスポットの明るさとの比較により計測し、それらの結果から有意なハイブリッド形成について概算する。
【0004】
本発明で、適用される固定相に支持されたマイクロアレイは、プローブとしての核酸が支持基板上にスポット形成される様式により三つのタイプに分類される。機械的スポット形成法とは、その名の示すように、ピンや毛細管を用いて基板上にプローブのスポットを形成するものである。圧電法(インクジェットプリンティング)はレンガ状に核酸のスポット形成をしたり、全配列を基板上にスポット形成するのに使われる。フォトリソグラフィー法もまた、シリコン基板上の既知の部位に核酸のプローブを形成するために用いられる。
【0005】
機械的スポット形成法は、研究者に実験計画のデザインに大幅な柔軟性をもたらし、比較的簡単で安価であり、今日使用されているマイクロアレイの大部分はこの方法で作成されている。プローブスポットを固定基板に形成するインクジェット合成法は、均一で微小なスポットを形成できるが、そのための設備は複雑である。このスポット形成法は、市場にあまり出回っていない。さらに最近、Affymetrix社により製造および販売促進されているフォトリソグラフ法によって形成される高濃度のプローブスポットにはいくつかの利点がある。最大の利点は何万ものプローブスポットを単一の基板上に形成できることで、使用する研究者がひとつのアレイによって、より広い範囲の物質をテストすることが可能である。Affymetrix社はこれらの合成アレイの最大の製造販売会社である。
【0006】
典型的な機械的スポット形成法や圧電法(インクジェット法)によるマイクロアレイの製造や適用には多種の設備と化学的プロトコールが必要であり、それには以下のものが含まれる。
1) プローブスポットの結合性を高めるためにコーティングされたガラスまたはプラスチックの固定相基板、
2) 核酸プローブの調製、
3) 基板にプローブのスポットを形成する装置、
4) 蛍光で標識した、あるいはビオチンでラベルした核酸サンプルの調製
5) 核酸のプローブをアレイの表面に形成させ、ターゲットサンプルをアレイ上にハイブリッド形成させ、必要であれば蛍光標識した抗ビオチン抗体でアレイを処理するために、ホットプレート、オーブン、UV 架橋装置、ハイブリッド形成チャンバー、ロッカー、水槽や洗浄装置などが入用であり、
6) ハイブリッド形成による蛍光標識の励起のための、また放射光の強度を解釈するためのスキャナーとソフトウェアも必要である。
【0007】
Affymetrix社は、アレイの合成(フォトリソグラフ法)過程を簡便化するための設備を製造したが、それには以下のステップに使われる装置が含まれる。
1) Affymetrix社のシリコン製アレイは、関心のあるプローブの配列によってあらかじめスポットが形成されている、
2) ビオチンで標識されたターゲット核酸サンプルの調製、
3) ターゲットサンプルをアレイにハイブリッド形成させ、抗ビオチン第一抗体複合体および、抗蛍光標識第二抗体複合体を適用するための、Affymetrix 社の流体力学的ハイブリッド形成用機器、
4) ハイブリッド形成による蛍光標識の励起のための、また放射光の強度を解釈するためのスキャナーとソフトウェアも必要である。
Affymetrix 社の高密度アレイは最大数の物質をテストできるばかりでなく、上記の機械的またはインクジェット法によるステップ1)から3)を合わせた標準化されたアレイ基板を提供することで、実験結果の可変性が大幅に減少される。しかしながら、スキャナーを含めて、Affymetrix 社のマイクロアレイとその工程処理設備の主要な欠点は、非常に高価なことである。スキャナーのハードウェアおよびソフトウェアは、その価格が40,000から65,000米国ドルの範囲にあり、マイクロアレイの使用に必要な機器のなかでも最も高価である。
【0008】
機械的にスポット形成されたアレイは低価格であり、順応性があり、最も広汎に使用されるマイクロアレイ製造を制御する。しかしながら、共通して使われるガラス基板や、プローブ形成のための統一された処理方法が確立されていない。また使用可能な複数の蛍光標識分子があり、アレイを読み取るスキャナー機器にも多種類のタイプがある。その他の処理ステップとともに、基板の不均一性、プローブ形成技術、蛍光分子とその共役複合体の種類、スキャナーの計測方法などは、機械的にスポット形成されたアレイによる結果の個別性に影響してくる。同様な結果の可変性はインクジェット法により作成されたアレイにもあてはまる。このような可変性のために、二つのアレイから得られた結果を比較することが非常に困難であり、異なる研究施設間での結果の比較はほとんど不可能である。 蛍光標識をスキャナー計測することは、上記の全てのマイクロアレイ技術に共通である。現存するスキャナーはその費用に加えて、非常にデリケートであり、持ち運びが容易でない。現存の光学的スキャナー設備が遭遇する問題点のいくつかを以下に要約する。
1) レーザー光の照射により、蛍光を発する有機化合物のためのバックグランド信号があること。アレイ表面への有機化合物の混在はバックグランドの光信号を放射し、必要な放射光信号を妨害する。広範囲なソフトウェアによるアルゴリズムが、このようなバックグランド信号を消去するために用いられるが、アレイ間での、あるいは研究所間でのバックグランドの違いはアレイ使用者にとって、主要な心配事である。
2) 計測されるスポットの焦点深度を限定し、検出器によって受信されるバックグランドの光信号の量を軽減するために、ほとんどの現存のスキャナーには、コンフォーカルレンズが使用されている。この狭められた平面的焦点によって、真のハイブリッド形成による全ての関連した光信号を集めることにおけるスキャナーの効率が限定される。
3) 装置の使用者は適用される励起光のエネルギーレベルを設定する必要がある。もしもエネルギーレベルの設定が高すぎると、蛍光標識は漂白され、引き続きのスキャナー計測では、大幅に減少した信号しか得られない。信頼できる測定値を得ようとすると、通常必要とされるエネルギーは、ほとんどの蛍光信号を漂白してしまうために、信頼できる計測は三回以内までとされる。
4) 分析するべきスポットの各部位に焦点をあてるためには、レンズの組み立て部分それ自身かまたは鏡体がアレイ全体にわたって、前後に往復するように機械的な操作が必要である。このような機械的な作動は本質的に不正確であり、機器の厳密さを制限する。
5) 現存のスキャナーのシステムでは、不確定のレベルの電気的エネルギーをレーザーの励起信号に変えるものである。光は不確定な空間を通して、アレイに達し、そこで光はターゲット分子上の標準化されていない蛍光標識によって吸収され、波長の長い放射光に変換される。放射光は、不確定な空間とフィルターを経て戻る。浅い平面(焦点)での光の一部はレンズや、または鏡体装置によって機械的な選択を受ける。次に光信号は電気的信号に変換され、分析のためにストアされる。この時間のかかる複数のステップを含むやり方は、アレイを読み取る過程の各ステップでの可変性を生じることとなる。
【0009】
アレイを読み取る、その他の主要な技術もまた、ターゲットの蛍光標識を利用するものである。マイクロアレイ全体を蛍光標識を励起させるために、特定の波長の光にさらし、極度に低い温度で機能するCCDイメージセンサーがアレイ全体のイメージを捕らえる。このための低温の維持には高価で厄介な設備が必要とされる。さらに、使用される多種類の光源、アレイへの、またはアレイからの不確定な空間設定、統一されていない蛍光標識、励起光から放射光へのエネルギーの変換やCCD検出器の温度に対する敏感度など全てが、この光検出法を理想的とは云えなくする。
【0010】
従って、機械的あるいは圧電的スポット形成法によるアレイの検出基板の標準化の必要性、またフォトリソグラフ法によるアレイを含め、全てのアレイにおけるハイブリッド形成を読み取る蛍光の検出法の改良の必要性がある。今日使用されているコンフォーカル蛍光あるいはCCDスキャナーによる計測を改良する技術は、単一のプローブスポットからの複数回の個別の読み取りを可能にするものである必要がある。このことより、如何なる新技術もハイブリッド形成を、統計的に有意な推測として読み取れるように、アレイ全体について何千回もの個別の測定を可能とするものでなくてはならない。新しいスキャナー計測システムは、低価格で、頑丈で、小さく、反復可能であり光によるスキャナー検出器に比較して直感的に操作しやすく、低レベルのハイブリッド形成を検出可能なものでなければならない。これらの面での、重要な改良はマイクロアレイ技術のさらなる広汎な適用に貢献するであろう。
【0011】
関連技術の説明
従来の技術に関する調査により、現存する従来の技術水準を代表すると思われる以下の米国特許が挙げられた。米国特許番号5284748、1994年2月8日認可;米国特許番号5137827、1992年8月11日認可;米国特許番号4794089、1988年12月27日認可;米国特許公開番号 US 2003/0003523 A1,2003年1月2日公開;米国特許番号6333200 B1,2001年12月25日認可;米国特許番号5891630、1999年4月6日認可;米国特許番号5532128、1996年7月2日認可;米国特許番号5567301、1996年10月22日認可;米国特許番号5466348、1995年11月14日認可;米国特許番号6355491、2002年3月12日認可;および米国特許公開番号US 2002/0164819 A1、2002年11月7日公開。
【0012】
ある種の生体由来物質相互にみられる親和性は、以前から、未知の試料混合物からの物質の精製単離に利用されてきた。センスおよびアンチセンス核酸鎖間の結合親和性はこの一例である。1975年にEd Southernによって開発されたサザンブロット法は、膜上に固定された未知のDNA鎖に対する、溶液中の既知の標識されたDNA鎖の結合を利用して特異的なDNA配列の存在と局在を同定することに使われた。今日、最も広汎に使用されているマイクロアレイ法は、既知の核酸配列を固定相(プローブ)として用い、それに結合する配列を有する未知の核酸(ターゲット)が試料溶液として提供される。実施の現状としては、マイクロアレイとして、膜よりも固体基板が好んで使われる。その理由としては、固体基板が非多孔性であり、そのためにアレイ上にのせる固定された既知のプローブをより小さくすることが可能であり、従って、各アレイ実験によって得られる情報の量を増加させることができるためである。既知の核酸配列(プローブ)はセンスチップ上に機械的に、あるいは圧電法により(インクジェット)、またはフォトリソグラフィ法によって、配置されたりまたは合成されたりできる。未知の核酸配列(ターゲット)を含む試料はビタミン(ビオチン)で化学的に標識されるか、試料核酸配列のコピーを蛍光あるいはビオチンで標識されたヌクレオチドを用いて合成したものである。標識された試料核酸はアレイに適用され、固定された相補的なプローブと標識されたターゲット配列間におけるハイブリッド形成を起こさせる。結合しなかった資料中の核酸は洗い流し、もしもターゲットが蛍光標識されている場合には、次にレーザースキャナーによってアレイを読み取る。もしもターゲットがビオチンで標識されている場合は、ビオチンとの高い親和性が知られているストレプトアビジンと蛍光分子との化合物で処理し、結合しなかった蛍光化合物を洗い流す。次にアレイをレーザー走査により読み取り、スキャナーによって、それぞれの蛍光を検出定量する。
【0013】
核酸、たんぱく質、抗原、抗体などを含む生体分子を電気的に検出するための様々な装置や方法が発表されてきた。従来の技術では、検出のための検出部位についての設定に焦点がおかれてきた。一般的にこれらは、抵抗性、容量性または誘導性検出部位に分類される。
【0014】
抵抗性検出技術の例は、Mroczowski等による米国特許番号4794089、1988年12月27日認可、米国特許番号5137827、1992年8月11日認可、および米国特許番号5567301、1996年10月12日認可にみられ、これらの全てを参考文献としてここに掲載した。特許番号556,7301には、基本的に非伝導性の基板上に、微小の間隙をおいて配置された二つの伝導性のパッドからなる検出部位について記載されている。パッドは線によってオームメーターに繋がっていて、間隙においての直流抵抗を測定できるようにしてある。既知の抗原は特定の間隙と付随する伝導性パッドの縁に注がれる。
【0015】
ターゲット分子の調製は、まず一群の微小な伝導性の粒子を単一の、特異的な抗体によってラベルし、未知の試料溶液に加えることに始まる。もしその抗体に特異的な抗原が未知の試料中に含まれていれば、特定の伝導粒子を覆っているその抗体に結合する。遊離抗原は抗体−粒子複合体上の場所を占め、それが検出部位の同一の抗原プローブに結合することを妨げる。ターゲット試料を抗原プローブの配置された基板に適用して、ハイブリッド形成を起こさせる。抗体‐粒子複合体が、固定された抗原プローブに結合すると、伝導性の粒子を検出部位の間隙に引き寄せることになる。引き続き銀強化処理によって、結合した粒子を伝導性の銀の被膜で覆い、検出部位においての抵抗を軽減する。銀強化処理過程についての詳細は、Hayat,M.A.編、「免疫金―銀染色:原理、方法とその応用」、CRC 出版、ボカラトン、フロリダ、1995年、に見られる。 もしも、未知の試料中に、抗体に結合していない遊離の抗原が存在すれば、抗体−粒子複合体に結合し、検出部位の伝導性は低くなる。もしも、未知の試料中に遊離の抗原が存在しなければ、検出部位における伝導性は高くなる。
【0016】
酸化クロムを含めてその他の物質が、生体関連物質をその表面に惹きつける生物反応物質として提供される一方、ガラスやプラスチックを含め多種類の物質が、抵抗性の検出部位に適切な基板物質として叙述されている。基板物質や生物反応性薄膜層はそれぞれ異なる、本来の抵抗値を持ち、それらを変えることにより、検出部位の抵抗が上下に変化する。Mroczkowski等の特許は、検出器の間隙の抵抗を低めて、より多くの電流が流れることでわずかなコンダクタンス(感度)の変化を検出できるように、生物反応性薄膜層を間隙での銀強化粒子の部分的架橋に変えることを示唆している。しかしながら、ベースラインの抵抗を変えるために、異なる生物反応性薄膜層や基板物質に変えることはまた、検出チップ上の全ての検出部の結合親和性を著しく変化させることになる。このために、異なる検出チップ間の比較は不可能ではないとしても、非常に困難となる。生物反応性の薄膜層と基板物質を変えないで、検出部位の抵抗をかえるための改良法は異なる感度(ベースライン電流レベル)の検出チップ間での比較がより可能となる。本発明の検出部位はこのことを達成するものである。
【0017】
さらに、ひとつの基板上の複数の、個別にコンピューターによるアドレスによって示される検出部位の配置企画を提供する。試験の結果として、この配置企画は、抗原抗体間の結合が充分に離れた検出部位で、まれにしか起こらない場合にしかうまくいかないであろう。もしも幾つかの近隣の検出部位が伝導性であれば(間隙が閉鎖されていれば)、地表への並行した寄生の通路が形成され、伝導電流を増加させて正確な抵抗性の計測を妨げる。この寄生による問題は外部からの電気回路では解決されない。ひとつのアレイ上に数百、あるいは数千の意図的に伝導性をもたせた検出部位が近い距離内にみつかるときには、その問題は非常に深刻となる。その結果、Mroczkowskiの特許に示された企画図は、多数の隣接する伝導性の検出部位を計測する場合には働かない。
【0018】
最後に、Mroczkowski らの特許は一対の結合試薬のうち、最初のものを顕微鏡的に微小な検出部位へどのように分離導入するかについての説明が無い。
【0019】
Jensenは、2003年1月2日に認可された特許番号US 2003/0003523 A1、Mroczkowski等の特許に基づき、結合反応の成分として間隙に貼付された核酸配列(プローブ)とターゲットとしてのビオチンでラベルされた核酸を含む未知の溶液の適用を取り入れて特許をとった。Jensen はハイブリッドを形成したビオチンでラベルされたターゲット分子に結合できるストレプトアビジン‐ホースラディッシュ過酸化酵素(HRP)の複合体について述べている。このHRP酵素は基板の酸化と同時に溶液中の金属イオンを還元し、還元された金属は溶液中から沈殿を形成し、間隙間の伝導性通路に寄与する。沈殿した金属はさらに検出または計測以前に金属処理によって強化される。Mroczkowski等の抵抗性の間隙を検出部位とした特許を使用して、Jensen はハイブリッド形成後の伝導性検出部の抵抗は、HRP複合体を用いると、Mroczkowski 等による伝導性粒子と銀強化処理を使うよりも更に低下するすることを教示している。多数の隣接した伝導性検出部位の計測、間隙の抵抗の変化や微小な検出部位での一対の結合試薬の最初のものを分離する方法などの、Mroczkowski の特許を用いた場合の問題点を解決する方法については何も述べていない。
【0020】
2001年12月25日に認可された特許番号6333200 B1もまたMroczkowski 等の特許と同様な抵抗計測技術について述べている。成功したハイブリッド形成は、ガラス上にフォトリソグラフ法によって作成された二つのコンダクターの間の微小間隙を架橋することにより検出される。特許番号6333200はプローブ化合物を検出部位の間隙のみに局在させるための解決法を提供している。プローブ分子はまずラテックスでコーティングされた磁気をおびた粒子上に形成される。次にそれらの粒子は、電圧を変化させることで、それぞれが対応する伝導路によって特定の検出部位間隙に引きつけられて結合する。結果として生じる誘電泳動力により、プローブでコーティングされた磁気性のビーズは検出部位の間隙に蓄積される。検出部位のマトリックスに交流信号を適用することは非常に困難であるが、ここでもMroczkowski の抵抗性計測の短所については触れていない。
【0021】
バイオセンサーを開発するために、フォトリソグラフ法によって確定された電極を用いて容量電流を計測する技術は、Newman等、W.D. Proc. Int. Meet. Chem. Sens.,2nd, 1986, 6-23, 5966-598,により報告された。容量電流検出の型についてはEggers 等による、1996年7月12日に認可された米国特許番号5532128および1995年11月14日に認可された米国特許番号5466348にみられる。絶縁層に井戸状の孔を作り、生物反応性金属の伝導板を井戸(ウェル)の底面に貼付するために半導体製造技術が使われる。プローブ分子はウェルの底面の伝導板の表面に形成される。次に伝導性の輪が検出チップ全体を囲む周囲に配置され、それがこのウェルおよびその他の全てのチップ上のウェルのコンデンサーの二番目の伝導板として作動する。あるいは、個々の井戸の壁面に二つのコンデンサーの伝導板を作っても良い。プローブ化合物を適用し、ウェルの内部あるいは二つの伝導板の表面に固定する。次に核酸配列のような電荷のあるターゲット分子とプローブがハイブリッドを形成すると、伝導板間の容量電流の周波数依存性特色に変化が起こる。本発明の目的と同様に、Eggers 等は、半導体処理技術を用いることで極微小な検出部位を単一のチップ上に”何百万“と形成できることを教示している。Edders 等は、検出部位にプローブ化合物を装着するために、Mroczkowski 等の特許に見られるものと同様な生物反応性の金属と金属酸化物とを特定している。さらに、Eggers 等は、プローブ分子を捕らえやすくするために検出ウェルの内部を処理する活性化試薬について述べている。これらの試薬をアレイの全表面ではなく検出ウェルだけに適用する方法や処理過程については、Eggers 等によって明示されていない。また、銅刻されたウェルの二面のみに直立の金属コーティング(伝導板)を施すのは半導体処理操作上において簡単ではない。少なくとも、これは高価な製造技術を意味する。さらに加えて、ここに述べたような、またはそのほかの容量電流の検出技術においての困難さのために、計測値を記録するための交流電流信号の適用が必要となる。個々の検出部位に周波数の異なる交流電流信号を用いる必要性は、Eggers 等によっては特定されていないが、チップのアドレスと電気回路の切り替えにおいて複雑な結果を生じる。さらにまた、Eggers 等による露出されたコンデンサーにおける二つの電極間の空隙は、抵抗性の検出部に比較して、電極ピッチ許容量、残存のプローブまたはターゲット物質や温度変化による検出部の電気容量の可変性を加えることになる。これらの短所のために、高密度の信頼性の高い検出アレイの作成にこの方法を利用することが妨げられている。
【0022】
もうひとつの容量電流測定技術が米国特許番号5567301、1996年10月22日認可、に記載されている。各検出チップは、非伝導体上におかれた離れた個別の島のような金属からなるひとつの大きな検出部からなる。二つの電極は1.3mmというかなりな距離をおいて、基板と金属の島の上に配置される。プローブ化合物は、金属の島の間の非伝導性の基板に形成される。ターゲット物質は固定されたプローブとハイブリッド形成し、検出表面の交流インピーダンスの抵抗性および容量の構成成分に変化をもたらす。この技術は比較的おおきな検出部位を必要とし、微小化が容易ではない。 それはまた静電容量型検出と同様な高密度の検出部を構築することが困難であることを意味し、また機械的スポットの沈殿により変形を起こしやすい。
【0023】
電荷のある生体由来物質の、電界効果型コンデンサのゲートや種々の型の電界効果型トランジスタのゲートへのハイブリッド形成はこれらのデバイスの電気的特色に影響を及ぼし、それを測定でき、1995年11月14日に認可された米国特許番号5466348にそのことが述べられている。個々の検出部位に通電することに困難さや、述べられたような半導体部分の極度な複雑性のためにこの方法をその効果にみあう価格で供給することは難しい。さらに、デプリーション型またはエンハンス型のチャネルに残存する電荷は正確な計測に影響し、取り外すべきであるが、そのことは余分な複雑性を加えることになりこの方法の実行可能性を困難にする。
【0024】
インダクタンスや磁気を用いて反応物質を選り分けたり、反応物質を特定の場所に引き寄せたり、あるいはハイブリッド形成を検出する電気的検出技術については、よく明示されてきた。2002年11月7日に公開された特許公開番号US 2002/0164819 A1には生物由来分子でコートされた磁気性の粒子を引き寄せるバケツ型のインダクタンス検出部が示されている。さらに、ターゲット溶液に加えられた大型の磁性ビーズを引き寄せ、それらが検出部位のバケツをカバーし蓋として働くように、検出部位に通電することもできる。最後に、検出部における磁性粒子の存在はその部分のインダクタンスを変化させる。この特許公開によって、外部の磁場を利用し磁性粒子が検出コイルを通過する際の電流の変化を計測することで、検出部を出入りする物質を定量できることが示された。検出部のインダクタンスは交流信号を検出部/誘電質に流すことで測定される。これらの技術は両者とも、各検出部位に二方向性のアクセスが必要となる。前述の静電容量技術についてもそうであったように、この必要性は、簡単で高密度の検出部位の構築を極度に複雑化し、事実上、非常に困難なものとする。それとは対照的に、2002年3月12日にZhou 等に認可された米国特許番号6355491B1の図13と14は、それぞれの場所から生物由来物質を引き寄せ(または退け)るために使われる誘導性の成分をシリコン内に生成し、より時間のかかる受動的な拡散に依存するであろう反応の速度を速めることを示している。この特許では、ハイブリッド形成はコンダクタンスによって検出されるのではなくて、ターゲット分子を従来のように蛍光標識し光検出技術を用いている。そのために電気的検出についての議論には含まれない。しかしながら、個々にアドレスされた誘導部位が示され、図解のうえで役に立つ。
【0025】
関連技術の詳細な説明
抵抗性の検出部位の構築については、Mroczkowski 等の米国特許番号5284748、1994年2月8日に認可、に述べられており、図5,6に示されている。図5において、生物由来分子反応性の抵抗性薄膜層45A(生物由来分子を引き付け、結合する)はガラスのスライドのような非伝導性物質40の表面に配置される。伝導性のトレースや鉛52が生物反応性の薄膜層上におかれ、これらの鉛の間にプローブ物質53(抗原または抗体)が注がれる。二つの伝導性のトレース間にトラフまたは窪みが形成されるが、特定のウェルの測量図は示されていない。図6は抵抗性の検出部を構築する別の方法を示す。鉛板52は、典型的にはガラスであるが、非伝導性の基板40上に直接、設置される。この上に、鉛板に接触し、図5に見られるものと同様にトラフまたは上述の鉛間にくぼみを形成する、生物反応性の薄膜層45Bが適用される。プローブ物質(抗原または抗体)がトラフ53に注がれる。隣接する検出部位からの生物反応性の薄膜層45A の分離は明らかにされていない。
【0026】
図7に、検出部位のレイアウトおよび、Mroczkowski等の特許によるひとつの基板上に多数の検出部位を作成するための相互接続の提案されるレイアウトを示す。レイアウトの企画では、最大の検出部位密度を達成するために基板の両側を使う。図8にMroczkowski によって教示された、すべての連系トレースを基板の一側または一面に保ち全ての接続を基板の一縁にもちよる、複数の検出部位のレイアウトの別の実施例を示す。この連系の実施例は、極度にトレースライン集中的ですべての個々の検出部位のために基板の縁に別の接続を必要とする。図9は、図7の連系レイアウトを再生し、互いに近接した複数の伝導性となった検出部位によって、いかに寄生回路が発生し、測定システムの機能停止を生じるかを示すものである。
【0027】
容量検出部位を図10と11に、Eggers等による米国特許番号5891630、1999年4月6日認可、に教示されたように示す。図 10Bに個々のウェルの底面上の伝導板24a間に構成されたコンデンサとセンスチップ15,24b全体の周辺およびそれからある程度離れた位置の伝導リングを示す。図 11に二つの伝導板24aと24bの間に構築されたコンデンサのある別の形状の検出部位を示す。両方の図において、二酸化シリコンのような絶縁層中に形成されたウェルはプローブとターゲットのハイブリッド形成が起こる場所として示されている。この方法で、複数の検出部位が半導体基板上に繰り返される。図11に示されたような、二つの直立した伝導板と二側の裸導体をもったウェルの作成は、半導体処理過程において、容易ではなく、もし製造が可能であるとしても、製造価格を増加させるものである。複数の検出部位の設置の履行は、ここには示されていないが、交流測定用のシグナルに適応させるために必要な連系回路が加えられると、さらに複雑になる。
【0028】
その上に、プローブ分子の特定の検出部位への適用は、ウェル構築成分においての生物反応性物質の使用に、実際上制限される。Eggers等は特許番号5891630において、コンデンサ平板が金、プラチナやチタンあるいは多種類の金属酸化物から作成されるべきであると特定している。これらの金属は、プローブ分子中に組み込まれた有機性チオール基に結合する。この方法と装置の不利な点は、プローブ物質がチオール基の結合を有している必要があることである。検出部位でプローブ分子との結合に金属やその酸化物を利用することはMroczkowski らの方法を思い出させるが、彼等の方法では、抵抗性の検出部位間隙でプローブ分子を引き付け、それに結合させるために、それとは違った抵抗性のポリマーや金属酸化物が生物反応性の薄膜層として使われた。この方法はうまくいくはずである。しかしながら、関心のあるプローブを引き付け結合させるために、ひとつのセンスチップのプラットフォームを用いる、より柔軟性のある方法は、検出間隙基板を試薬で調整し(機能化し)、プローブの結合を最適化することである。これらに限られたものではないが、アミノシラン、エポキシシランやポリ‐1−リシンを含む多数のこのような試薬が技術分野では知られている。それぞれの試薬は、他のものに比べて、ある種のプローブ物質によりよく結合する性質を持つ。Eggers等はと特許番号5891630において、これらの物質の幾つかに付いて開示したが、検出部位への適用方法については、特定していない。これらの物質を適用する通常の方法は、操作する人が、それらをアレイ上の隣接の領域をさけて、微小なスポットにのみ適用しようとすると、うまくいかない。現在のところ、機能化試薬(時に生物反応性物質と呼ばれる)は液体として、基板と反応して共有結合するアレイの全表面に適用する方法が取られている。結合しなかった試薬を洗浄し、次にプローブスポットが表面に適用される。加熱やUV によるクロスリンキング法はプローブの生物反応性の薄膜層への共有結合を誘導するために使われる。最後に、生物反応性の薄膜層がサンプルのターゲット分子に結合しないことを保証するために、アレイ全体を、プローブによってカバーされていない全ての遊離の基板や生物反応性の部分に結合するブロッキング試薬に浸す。
【0029】
上記に説明したように、生物反応性の薄膜層を適用する現在の方法は、物質をセンスチップ全体に適用貼付するものである。このことだけでも、隣接の検出部位を電気的に繋ぎ、静電容量の計測値に影響する。生物反応性の物質を単一の検出部位に配置する唯一の方法は、したがって、生物反応性の液体を個別に各検出部位に適用することである。これは実行可能ではない。
【0030】
コンデンサの伝導性要素として、あるいは抵抗性の検出部位の伝導性の要素間の生物反応性の薄膜層としてのの生物反応性の金属や金属酸化物の構築は生物反応性の薄膜層をマイクロアレイ上の、完全に分離された微小の検出間隙に配置するための、実際的な方法である。しかしながら、この方法で生物反応性の薄膜層を配置するにあたって、プローブ試薬を検出部位のみに適用し、センスチップの表面をさけることはやはり問題である。本発明の装置と方法は試薬(生物反応性試薬、プローブ、またはターゲット)を独立した別々の微小検出部位に適用する際の問題を解決する。
【0031】
米国特許公開番号US2002/0164819 A1に生物由来物質によってコートされた磁性の粒子をひきつける誘導性の性質について開示されている。注目すべきことは、容量電流測定のように誘導性の測定のために必要となる連系は、交流信号を調整する(図 12)必要があり、伝送路集中的である。図13と14は、米国特許番号6355491 B1によって教示される誘導性の検出部位のための、もうひとつの提案された連系のレイアウトの詳細である。横と縦の列のそれぞれは、チップの活性要素(図 14)上にもそれがあるように,各検出部位への電流の出入りを方向性を持って制御する二つのボンディングパッド(図 13)を必要とする。この検出部位の複雑さは、製造価格を高いものにする。
【0032】
要約として、生物由来分子による電気的検出部位の従来の技術は、充分な連系と効率の良い個々の検出部位のアドレスを提供しない。従来の技術は、検出間隙の抵抗を生成し、調節し、変動させる、またはプローブの接着に使われ、隣接の検出部位から分離される極小量の、多様な生物反応性の物質のいずれかを含む微小な検出部位を作成する、または単一のプローブスポット沈積から多数の隣接する検出部位にプローブ物質を沈積された微小な検出部位を作成し、そこで各検出部位と相当するプローブ物質が完全に隣接の検出部位から完全に分離され、独立しているような検出部位を作成する、または操作する人や機器操作からの電気的損傷に耐えられる微小の検出部位を作成する、または適用された液体の表面張力を破壊する微小検出部位を作成する、あるいはプローブ合成の化学的処理のみでなく接触プローブスポット形成法の機会的重圧に耐えられる微小な抵抗性の検出部位を作成する方法を特定していない。
【0033】
さらに、従来の技術は抵抗性の測定のための基板温度の制御方法、また正確な明細に見合うチップの検出部位の平均電流レベルや抵抗をプログラムする方法、また製造中にセンサーを最大コンダクタンスでテストする構造や方法、あるいは検出部位を過剰な電流から保護する方法や機器の短絡をテストする方法を特定していない。本発明に開示されたこれらの、そしてその他の新規な技術は、半導体作成の許容度にのみ制限を受ける、検出部位の最もスペース効率の良いマトリックスのパターンをもった、そして現在の光学的検出スキャナによる検出を改善できるセンスチップの作成と使用を可能にするものである。
【0034】
発明の簡略な説明
本発明は、二つ以上の物質間の、特にヌクレオチド、たんぱく質、リガンドや抗原抗体間の結合反応を電気的に検出する方法を提供する。本発明は、現在のマイクロアレイのレーザースキャン技術による検出システムに代わる、米国特許番号5284748に述べられた抵抗性の検出方法を、さらに改善するものである。本発明の方法は二つ以上の物質をともに持ち込むことで、それらの結合反応が、基本的に開放された電気回路を完全に、または部分的に閉鎖することを含む。その結果としての回路の電気的抵抗やコンダクタンスの変化が結合反応の成功を意味する。
【0035】
従来の技術と異なり、本発明は新しい検出部位の構築を示すものであり、これはすでに普及しているマイクロアレイ接触印刷法、インクジェット印刷法、あるいはフォトリソグラフィー法による試料預託システムを利用できるものである。本発明は半導体の基板と処理技術を用いて基板の電気的性質を変え、単一の、安価で耐久性があってしかも使い捨てのできる検出チップ上に、互いにわずか50マイクロメーター以下の距離をへだてた検出部位の密度の高いマトリックスを作り出すことである。チップ上の各検出部位は、検出部位の間隙の反対側に位置する二つの鉛板のひとつに繋がった平坦な半導体ダイオード(またはほかの単方向性の装置)から成る。検出部位の間隙はそれぞれが、二つの鉛板に比較してかなり伝導性の低い、基板物体あるいは基板物体と生体物質反応性の被膜の組み合わせに結合し、また分離されているふたつの鉛板よりなる。本発明において間隙を構成する基板物体は、シリコンやゲルマニウムのようなNやP物質でラック処理することで必要に応じて、間隙の抵抗を変化させることのできるものである。生体物質反応性のある被膜は基板の(クロムや酸化クロムのような)上に構築されても良いし、液体として噴霧したり、ガス状の生体物質反応性の分子を構築された検出部位に吹きかけても良い。
【0036】
検出チップを構築した後に、生対物質反応性のある被膜を用いるために、本発明において新規な方法が提供されている。それによるとアミノシランのような生対物質反応性のある被膜を、検出部位の微小な間隙基板とふたつの伝導性の鉛板の表面に貼り付けることができる。検出部位の間隙において多数の異なるプローブ分子を貼り付けるために種々の既知の生体物質反応性の分子を使うことができる。同じ技術がまた、プローブの基板と検出部位の間隙のみにある阻害剤を分離するために適用できる。
従来の技術とは異なり、本発明は、現在普及しているマイクロアレイの接触プリンティング、インクジェットプリンティングやフォトリソグラフ法によるサンプルの沈積システムに使用可能な検出部位構造の新しい改作版を提供する。本発明は半導体基板と処理技術を用いて、基板の電気特性に変動をもたせ、単一の、高価でなく耐久性があってしかも使い捨ての出来るセンスチップ上に、近接する検出部位から50ミクロン以内に配置された検出部位の高密度なマトリックスを作成するもである。チップ上の各検出部位は、検出部位間隙の反対側に配置された二つの伝導性のトレースの一つに接続された半導体ダイオードの平板(または一方向性のデバイス)からなる。検出部位は二つの伝導性トレースに接続されていて、そのそれぞれは、二つのトレースに比較して伝導度がかなり低い基板物質、または基板物質と生物反応性薄膜層の組み合わせに繋がる。本発明の間隙基板は、必要に応じて間隙の抵抗を変えられるように、NまたはP物質が添加可能な シリコンやゲルマニウムのような半導体物質からなる。生物反応性の薄膜層は基板(クロムや酸化クロムのような)上に構築されても良いし、または噴霧できる液体や気体状の生物反応性の物質を、構築後に検出部位に適用しても良い。
【0037】
センスチップが構築された後に生物反応性の薄膜層を適用する場合について、本発明は新奇な方法を提供しそれによると、アミノシランのような生物反応性の物質を、微小な間隙基板と検出部位の二つの鉛板の縁に貼付できる。よく知られた多様な生物反応性物質が、検出部位間隙の異なる多数のプローブ分子に貼付可能である。同じ技術がまたプローブ物質とブロッキング試薬を検出部位間隙においてのみ単離するために提供される。
本発明の別の実施例では、生物反応性の薄膜層はセンスチップの作成中に検出部位に貼付形成される。この場合、検出間隙は図 42 と43に示されるように、NまたはP物質の添加された基板の上に形成された、多数の生物反応性の金属、金属酸化物、プラスチック、またはポリマーのいずれかによる薄膜層からなる。
【0038】
検出部位間隙の開放部と連結部以外のチップの表面は、サンプルの接触プリンティングの重圧に耐えられるように、チップの上表面を出来るだけ平坦にするための不活性化層で覆われる。分離層と不活性化層の組み合わせはまた、検出部位上にウェルを作成する。ここで詳細が述べられる本発明の、ビーズモップ法と合わせて、これらのウェルは単一のスポットのふくまれたプローブサンプルを、ハイブリッド形成の予測される多数の独立した部位に分離する働きをする。この分離ステップは、順に、本発明の重大な特色であり、プローブスポットのアレイ表面への一回の適用を複数回読み取ることを可能にし、ハイブリッド形成現象の統計的に意味のある分析を可能にする。相互に接続された検出部位を持った伝導性の横と縦の列のマトリックスが構築され、各検出部位は個々にアドレスを示され、チップ上のまたはそれ自身の回路として読み取りが出来る。検出部位の鉛板の形状は、使用者や機器操作による電気的損傷に対するセンスチップの抵抗を改善するように、決められている。検出部位間隙やウェルの縁に不活性物質の小島を形成することで、適用された液体の表面張力を破壊することができる。
チップのレベルに、プログラムが可能な一組の抵抗性のリンクを、検出回路内に作成することで、検出回路の合計の抵抗がある条件に、標準化されることが出来、そのためにより正確なアレイ間の比較が可能となる。温度感受性要素(ひとつまたはそれ以上の)は基板に組み込まれていれ、検出部位のチップの温度を制御するのを助け、それによって計測値の正確度を改善する。テスト検出部位は、最高伝導度のレベルを測定し、センスチップを過剰電流から保護する過剰電流保護回路はチップ上に含まれている。
本発明のその他の特色、利点、目的は以下の叙述とそれに伴われた図面を参照することで明瞭となるであろう。
【0039】
発明の詳細な説明
本発明は核酸配列、たんぱく質、抗原や抗体の検出に有用である。他の生物由来分子に結合親和性を持ち、ハイブリッドを形成する如何なる生物由来分子もこの新奇な装置と方法で検出可能である。
【0040】
本発明の一部は図 2に示されたようにプローブDNA を受け取るあたらしいタイプの抵抗性の検出部位130である。図 20に示されるように、この新奇な検出部位は半導体基板物質から作成され、その構成は、(i)半導体ダイオードの平板または単一方向半導体デバイス(簡略化のためにダイオード部分は検出部位の部分として図示されていない、例えば図 20、構成分180、しかしながら、各検出部位の組み込まれた不可欠な成分とみなされる)、(ii)間隙基板としての添加半導体の領域190、(iii)検出部位の鉛板となる角をけずった一対の伝導性のトレース170、(iv)シリコン酸化物で構築された分離層205と不活性化層210からなる四側をもったウェル、(v)検出部位の間隙130 に直立する,またはウェルの壁面から突き出した不活性物質でできた液体の分流器230、(vi)検出部位間隙130と検出部位の鉛板170の一部をコーティングしている生物反応性の薄膜層220 、(vii)センスチップのレベルの上端の表面を形成する不活性化層210からなる。
【0041】
図 15は本発明の検出部位180アレイの上からの図を示すもので、横に並んだ連結部140と縦に並んだ連結部150からなる。検出部位(1x・1y)を計測するための伝導性のあるいは電流性回路195のついた4x4アレイが示されている。全ての検出部位は、それに限られるものではないが、代表的にはシリコンまたはゲルマニウムからなる半導体基板190からなる。各検出部位は、検出間隙130の反対側に配置された、連続した二つの伝導性のトレースまたは検出鉛板170のひとつと繋がった低漏電性ダイオード245のような単方向性の成分を含む。ダイオード245は漏電を最小限にするべく作成されるべきである。本発明は連結された横列140と縦列150のXとYのマトリックスを使って、逆バイアスモードでかなりの部分の伝導性検出部位ダイオードに電流を流す。漏電の低いデバイス245を用いることで、上述の検出チップの感受性にとって有害な電流を最小限に留めることが出来る。検出部位180はトレースよりもさらに抵抗性の高い基板物質と生物反応性薄膜層に接続し、また分離されている二つの伝導性のトレースよりなる。本発明の間隙基板は、必要に応じて間隙の抵抗を変えられるように、NまたはP物質を添加した 半導体物質からなる。単一の検出チップ上の全ての検出部位180に同じ拡散や抵抗を持たせることは可能であるし、また、抵抗の異なる検出間隙を有するセンスチップを作成するために異なる拡散の物質や拡散の深度または拡散面積を検出部位によって変えることも可能である。これは、検出間隙130に起こった、間隙を横切って連続した複数の低い抵抗性のハイブリッドの形成された領域の少量のハイブリッド形成を検出するために有益である。個々の検出部位の基板の抵抗が低ければ低いほど、より多くの全電流が流れ、間隙を横切る全抵抗のわずかな割合の変化を検出することがより容易となる。しかしながら、全ての検出部位を幅の広い、高度に添加された、抵抗の低い、高電流の流れるものにすると、検出チップの操作電力と逆漏電流が増加する。標準的な抵抗と、ひとつ以上のより低い抵抗の検出部位を、同じまたは別のセンスチップ上に作成するためのバランスは、製造業者が、感受性、電力消費と漏電流のバランスに変化を持たせた多数の異なる検出チップの製造を可能にする。図 16に提案された抵抗性の検出部位を持つアレイの拡大された上から見た図を示す。図 17A −17Dに添加密度と添加面積を変えた検出間隙160の変形型の例を示す。これは、結果として検出部位の検出鉛板170間の抵抗の違いを生じる。
【0042】
本発明によって想像される多数の微小な抵抗性の検出部位をもつセンスチップはオペレーターによって操作され、プローブスポットの形成、それに続く固定、洗浄、サンプル適用、洗浄、複合体適用、洗浄、銀強化処理、洗浄や電気的テストなどの典型的な手順のあいだに多様な機器や装置に遭遇する。アレイの表面は開放されていて、通常の完全に密封されている半導体デバイスに比較して、機械的または静電気的損傷を受ける可能性が高い。特に留意する点として、デバイスの取り扱いには明細された注意が向けられるべきである。しかしながら、静電気的放電からのセンスチップの潜在的な損傷を減らすためのステップもまたとられるべきである。検出部位の鉛板は、鋭利な先端が露出されないように構築されるべきである。検出部位の鉛板の縁を丸くすることで、電荷が鉛板上のとがった先端に蓄積することを防ぎ、過剰の電荷が凝集し近接の検出鉛板に放電することを減少させることが出来る。従って、丸くした鉛板は、提案されたアレイの信頼性と頑丈さを有意に改良する。図 18A−Dにチップの静電気的な放電に対する抵抗を改良する、検出間隙拡散内160の検出鉛板170の縁を丸くした例を示す。
【0043】
図19−22に本発明の液体分流器230の実施例を示す。これらの分流器230または突起は適用された液体の表面張力を破壊し液体試薬が検出器の間隙130をより自由に出入りするのを助ける。本発明は多様な分析に適したプラットフォームやチップをテストするためのものなので、多様な試薬の粘度はその適用によってかなり異なると考えられる。しばしば、適用された液体が、均一に円形、正方形あるいは長方形の壁面を持つ微小な検出器ウェル180や間隙130に入りにくいことがある。本発明の実施例としては、図 19と20に示されるような、孤立した突起や分流器230であるか、図 21と22に示されるような検出部位やウェルの側壁に組み込まれた突起であるかが考えられるが、両者とも液体分流器として呼ばれる。技術分野によく知られた半導体処理技術により容易にこれらの特色ある構造を作成できる。
【0044】
ここで処方されたセンスチップ200を作成する能力は、図 23と24に示されるように、検出部位が構築される際に検出部位の周囲に結果としてウェルが作成されることに基づく。図 23に選ばれた領域の抵抗性を修正するためにアルゴンやホウ素のような技術分野でよく知られた試薬で拡散されたフォトリソグラフ法により選択された領域を持った半導体基板190を示す。130は検出部位の間隙領域を示し、240は典型的なダイオード平板を作成する拡散を示す。連結部140または150はダイオード、検出部位の鉛板170および検出部位180の複合体をXとY の横140と縦150の伝導性の列によるマトリックスを連結する。図 24に抵抗性の検出部位180と検出間隙130の側面図が示される。シリコン酸化物の分離層205、伝導性のトレースまたは検出鉛板170と最後の不活性化層210が合わさって、半導体基板の間隙を囲む四側の窪みを形成する。不活性化層には技術分野で知られる多様な物質が使用され、チップの表面の機械的スポット形成に対する機械的強さの点で改良する。上記のすべての構成要素の構築は技術分野ではよく知られたもので、その製造は特に困難ではない。もしもセンスチップが生物反応性の薄膜層なしで製造されるなら、検出ウェルの底面の半導体基板の表面(検出間隙130)が開放されていて、処理過程の最後のステップとして、処理中に酸素と接触することを防ぐか、または如何なる酸化物による被膜も除去されるべきである。検出器間隙の基板が周囲に開放されている添加シリコンであれば、基板をシールドして酸化を防ぐ努力がなされる。下記に概略された追加の処理過程の後で、チップは生物反応性の物質225を適用し露出された検出部間隙基板と検出導線に共有結合させる準備が終わる。図 25はシリコン酸化物の薄膜層を用いない、検出部位130の構造の代案である。シリコン酸化物はチップの他の部分には使われるが検出部位間隙には使用されない。検出部位間隙130の周囲からこの酸化物の層を取り除くことにより、あるいはもし酸化物が使われるならその厚みを変えることにより、結果として生成される、検出間隙の周りのウェルの高さが調節可能である。図 25に示すようにウェルの高さが低ければ、液体分流器の必要性が除かれるかもしれない。
【0045】
検出間隙のウェルはまたセンスチップの反応性の部分を不注意な接触からシールドするための避難所であることに注意を払うべきである。プローブ/ターゲットのスポットを思いがけなく汚したり、なすったりすることは、この構造によって自然に少なくなる。
【0046】
上述の材料と構築方法で検出間隙基板を囲むウェルを作成できる。前述したように、生物反応性の物質やプローブの物質を、周囲のセンスチップの表面をさけて微小なウェルのみに沈積することは容易ではない。本発明では、図 26に示すようにラテックスで、またはラテックスおよびセンスチップの表面の生物反応性試薬225とラテックスの両方に強く結合する物質の薄膜層で、あるいはまたラテックスなしに磁性のまたは金属性のビーズ250とチップの表面の生物反応性の試薬の両方に直接結合する物質の薄膜層でコートした金属製の、あるいは磁性のビーズ250かあるいはまた簡単に材質に関わらず電荷のあるビーズや普通の金属製あるいは磁性のビーズを利用する。このようなコートされたあるいはコートされていないビーズ250は市販している製造業者から容易に入手できる。ビーズは、検出部位の製造によって作成されたウェルに入りこんだり、落ち込むことの無いように充分に大きなものである必要があり、ビーズの直径を選択するべきである。ビーズを不活性の溶液に加え、その溶液227を図 27に描かれるように多数の検出部位180とそれに連なるダイオード245をカバーするようにセンスチップ200の表面にかける。センスチップの下に配置された永久磁石や電気磁石500で、図 26に描かれたようにビーズ250を溶液からセンスチップの表面に引き寄せる。基板190の動き、外部の永久磁石や電気磁石または基板の下や周囲の単数のまたは複数の電気磁石にランダムにまたは連続的に通電することはセンスチップ200の表面や不活性化薄膜層210のまわりにビーズを物理的に移動させ回転させる結果となる。その結果として、ビーズ250の表面は、検出間隙130の窪みやウェルにある物質には影響しないが、チップ200の表面や不活性化層210にある生物反応性試薬225に接触し、結合し、除去したり物理的に破壊し去ることになる。適当な時間の後に、センスチップ表面のビーズによるモッピングが完了し磁場は除去される。次に溶液を洗浄して除く。図 26と28に描かれるように、これによってセンスチップの不活性化薄膜層215と生物反応性の薄膜層220の物質がこすられて全ての検出部位180ウェルのみに残り露出された検出導鉛板170と検出間隙基板をコートした状態のセンスチップになる。生物反応性薄膜層220に親和性をもったプローブ分子は検出部位のウェル表面に引かれて結合する。図 26に示すビーズモップ法は、反応しなかった使用者の選択による生物反応性コーティングを検出部位のウェルのみに残し、つぎの処理への準備ができている。生物反応性のコーティングのこのステップは製造業者によってなされると想像されるが、また使用者によって、完全にブランクなセンスチップに施されても良い。
【0047】
センスチップの生物反応性のコーティングに続いて、継続性、直流パラメトリックおよび機能性のテストが行われる。ユニットは必要であればレーザーで刈り込み、平均のコンダクタンスを指定範囲内になるようにし、テストの終了時にテスト部位を刈り込んで開放する。テストをパスしたユニットは、図 29に描かれたように、センスチップに接続する外側のピンとパッケージのくぼみをもった非反応性のパッケージ300に包装される。この包装によって機械的な補強が加わり、またセンスチップを操作するためのプラットフォームが提供される。パッケージはまた、チップからパッケージへの表面への適切な電気的接続を可能とし、センスチップ表面の高密度の反応性のマトリックスに、生物反応性の試薬が加えられ処理されることができるようにするものである。
【0048】
上記の検出部位に加えて、四つのハードウェア構成分がセンスチップには含まれ、デバイスの信頼性とともに測定の正確度とスピードを多大に改善する。図 30はチップ310上の外部の接触部に接続された温度感受性の要素(ダイオード)310が組み込まれていることを示す。ダイオードの逆バイアス漏電流の変動は温度に対して特質づけられ、チップの温度をきめるために利用できる。ほとんどの物質の抵抗は温度の変動とともに変化することが知られており、センスチップの温度を制御することによって、より正確で、繰り返しがきき、比較可能な測定が可能となる。温度の変動を制限するために、外側の加熱と冷却の装置が、ダイオードの電流の動揺に基づいてセンスチップの温度を調節できる。
【0049】
図 31は、代表的な検出部位180アレイと、検出間隙が既知の抵抗をもった金属によって架橋された伝導性のテスト部位332の選択されたものを示す。幾つかのこれらのテスト部位332はチップ200上に散在していて、センスチップのパッケージをする前に操作上のパラメタを計算できる。これによって、より均一で正確なデバイスの作成ができる。製造上のテストが完了した後に検出間隙を開放するために、テスト部位はレーザーで刈り込みされる。これによって逆バイアス検出部位ダイオードのネットワークの無欠性を保ち、ここの抵抗性の検出部位の取調べを可能にする。
【0050】
図 32にヒューズリンク回路を示す。レーザー刈り込み技術は、ウェーハレベルのテスト時に用いられ、技術に精通した人々にはよく知られているが、この回路の抵抗334を調節できる。この回路の抵抗性の径路を削ることによって、検出部位の平均電流はより制限された許容量に調節され、その結果として、テスト結果のチップ間での比較を改善する。
【0051】
図 33は、使用者によって決められた閾値を越える潜在的に有害な電流からセンスチップを断絶する、チップ上に設けられた過剰電流保護回路を示す。この特色によって、電気的検出システムの信頼性が改善され、使用者がマイクロアレイを処理するために費やした価値ある時間とエネルギーは保護される。
【0052】
図 34は直列制御のブロック作図が描かれ、、図 35は個々の検出部位を示したセンスチップの並列制御の作図が描かれている。直列法は、速度は遅いがセンスチップのピンカウントを多大に減少させ、並列法はピン集中的であるが、アクセスのスピードとチップの読み取りを速める。
【0053】
検出器のマトリックスのある同じ半導体基板に有益な電気回路を構築することが出来るであろうと予測されている。従って、センスチップとテスト機器を結ぶ回路や横と縦の列のアドレスのための回路に加えて、さらに回路の機能の追加と配置の技術がもちいられるであろう。(i)シグナルとノイズの比率の改善、(ii)チップの電圧と電流レベルの安定化、(iii)アナログシグナル接地の論理機構接地からの分離、(iv)シグナルの増幅と縮小、(v)シグナルの比較とコントラスト、(vi)シグナルのデジタル化と再構成、(vii)計測値の保存と回収、および(viii)シグナルとメモリに保存された値との比較ができるようになるであろう。
【0054】
本発明の方法に従って構築されたセンスチップは非常に用途が広く、生物反応性薄膜層によって、核酸のペア、たんぱく質、リガンド或いは抗原抗体などの二つの結合物質のひとつに結合できる。ここでは、未知の溶液中の既知のDNA 配列の存在を検出するチップの使用について述べたが、このような使い方が唯一の使い方ではないし、必ずしも主要な使い方でもない。センスチップは検出部位間隙に、金属、金属酸化物、またはポリマーである生物反応性の薄膜層で構築されるか、生物反応性の物質で処理されたもので、前述のビーズモップ法は、各検出部位が検出部位間隙の表面にDNAを結合させる生物反応性の物質を含んだセンスチップを生じる。センスチップは、既知の配列を有する一本鎖または二本鎖のDNAのプローブスポットを、機械的形成法、インクジェット法あるいはフォトリソグラフ法によって形成あるいは合成する機器に据えられる。各プローブスポットの配置場所は記録され、ハイブリッド形成結果の解釈のためのセンスチップのスポット地図を作成する。理想的には、各プローブスポットは多数の検出部位をカバーするべきで、その数は、統計的に意味のあるデータの読み取りのために、必要とされるわけではないが、14またはそれ以上が好ましい。図36に複数の検出部位180がひとつのプローブスポット120でカバーされている例を示す。図 37に示されたように、プローブスポット120を乾燥させた後に、ブロッキング溶液350をセンスチップの表面に適用し反応しなかった検出部位を不活性化して、その後に適用されたターゲット分子が結合しないようにする。次に、結合しなかったプローブとブロッキング液はセンスチップから洗い流される。別の方法としては、洗浄液に前述したビーズモップ法のプロトコールを用いて、図 26に示すように、全てのプローブ360とブロッキング液がチップの表面から除去され、図 38に描かれたように、プローブ360とブロッキング試薬355をそれぞれの検出ウェルに留める。その結果はアレイの全ての検出部位180がプローブで充たされているかまたはブロッキングぶんしが検出部位の生物反応性の薄膜層にゆるくひっついて検出間隙をカバーすることになる。検出部位のウェルに残ったローブDNA 360またはブロッキング試薬は,文献に叙述されているように、加熱またはUVクロスリンキング(2600x100 mjoules)によってプローブと、またはブロッキング試薬を、図39に描かれたように、それぞれの検出間隙基板とウェルに共有結合するように促進される。この方法に続いて、センスチップ200はテスト機器に据えられ、個々の検出部位のベースラインの抵抗が測られ、その値が保存される。逆に、各検出部位の伝導度の計測は、生物反応性の薄膜層の適用の前か、生物反応性薄膜層の適用の後ではあるがプローブとブロッキング物質の適用前になされる。これでアレイはハイブリッド形成の準備が整っている。
【0055】
興味の対象となるサンプルから、ビオチンで標識されたcRNAまたはcDNAを調製する。ビオチン標識は化学的結合によって施されても良いし、PCR反応に用いられるヌクレオチドの一部を適当に、ビオチン標識されたリボヌクレオチドかデオキシヌクレオチドで置換することにより、サンプルの鋳型DNA, RNA またはmRNAの合成コピー中に組み込ませてもよい(Molecular Probes社 またはSigma Aldrich社のカタログ参照)。つぎに、サンプルのcRNA やcDNAの二次構造の形成を妨げ、必ず一本鎖構造であるように、サンプル液を加熱する。もしもセンスチップのプローブが二本鎖のDNA であれば、センスチップを加熱してプローブを変性させる。もしも、DNA が一本鎖であれば、加熱は必要ない。つぎに、ターゲットの溶液をセンスチップの表面に適用し、ハイブリッド形成を起こさせる。核酸のハイブリッド形成に、従ってハイブリッド形成のステップに要する時間に影響する条件としては以下のようなものがあるが、それだけに限られるわけではない。その条件としては、プローブおよびターゲット分子の長さ、相補的核酸鎖を伴うプローブの融点、ハイブリッド形成反応の温度、プローブとターゲット分子の濃度、プローブとターゲットのG-C含量、ハイブリッド形成溶液中の塩濃度、ハイブリッド形成溶液の粘度などがある。ハイブリッド形成のための多数の異なるプロとコールがあり、技術分野ではよく知られている(例えば、Dangler,C.著の「核酸分析、原理と生物化学への応用」、1996年、やBotwell, D、Sambrook, J 共著による「DNAマイクロアレイ」、2003年を参照)。ハイブリッド形成において、図 40に示すように、プローブDNA 360に相補的なターゲットcRNA またはcDNA鎖 370は互いに結合する。30分から48時間の適当な時間の後に、結合しなかったターゲットはセンスチップから洗い流される。
【0056】
つぎに、ストレプトアビジン‐金複合体を含む溶液がセンスチップアレイにかけられる。図 41は簡略化した図で生物反応性薄膜層上220の検出部位の間隙にビオチン‐ストレプトアビジン‐金のコロイドのみがひっついていることを示す。ストレプトアビジン380はビオチン375に高い結合親和性をもつことが知られ、適当なインキュベーション時間の後に、それぞれ相当するプローブに結合したビオチンで標識されたターゲットのcRNA やcDNA分子370はストレプトアビジン‐金390に結合する。ストレプトアビジン‐金複合体の溶液は市販品を入手できるし、ひろく行き渡ったプロトコールにより、使用者が生成しても良い(例えば、Nanoprobes 社、Sigma Aldrich 社の製品番号 S9059)。現在のところ、ストレプトアビジンに結合した金粒子はサイズがまちまちで直径が1.4 nmのものからその何百倍のものまである。ストレプトアビジンの複合体をなす金粒子は直径10 nmから50 nmのものが、研究には最もよく行き渡っているようであるが、それよりも大きくても小さくても使用は可能である。適当なインキュベーション時間の後に、結合しなかったストレプトアビジン‐金複合体の溶液はセンスチップアレイから洗い流される。
【0057】
処理過程の最後のステップは、結合した金粒子を銀で強化するものである。塩素を除くためにセンスチップは再蒸留水で洗浄される。2Mのクエン酸ナトリウム、0.5Mのヒドロキノリン、および0.03Mの乳酸銀を含む溶液を暗室内で調製する。次に、その溶液をセンスチップに注ぎ、2−3分間反応させる。次に、チップを1% 酢酸でゆすぎ、2分間インキュベートする。最後に、チップを固定剤でゆすぎ、その液で2分間インキュベートする。固定剤はKodakO Rapid FixOまたはVector Lab社の調製品が使用できる。次に、チップは再蒸留水で5−10分間ゆすいで、風乾させる。これでチップは電気的テストを受ける準備が完了である。図 42 は検出器間隙を横切って、銀でコーティング400されたコロイド状の金粒子390が完全に架橋していることを示している。図 43 は検出器間隙を横切って、銀でコーティング400されたコロイド状の金粒子390が部分的にに架橋していることを示している。上記のようなハイブリッド形成の結果は両者とも、検出器間隙を横切る抵抗値の減少を生じるので、検出できる。
【0058】
次に、センスチップはテスト機器に据えられ、各センスチップの抵抗値が測定される。各センスチップでのハイブリッド形成後の抵抗値が、ターゲットのアレイ(センスチップ)へのハイブリッド形成前のベースラインの抵抗値の測定値と比較される。抵抗値の減少は、ターゲット分子のハイブリッド形成が起こり、銀でコーティングされた金粒子により、完全なあるいは部分的な検出間隙間の架橋が起こったことを意味する。ブロックされた検出部位を含めて、ハイブリッド形成の起こらなかった検出部位での抵抗値はもとの抵抗値に比べて有意な変化が見られないはずである。もしもブロックされた検出部位の抵抗値に変化があれば、これらの計測値の平均をノイズの計測値として、プローブ検出部位のコンダクタンスの計測値から差し引いて、すべての検出部位でのより正確な読み取りとするべきである。ベースラインのプローブ抵抗値の計測値と、あらかじめ作成された物理的なスポット地図と合わせたハイブリッド形成後の計測値を編纂するべく、適当な隣接する検出部位の計測値を、特定のプローブにおいての統計的な計測値に変換するためのソフトウェアをデザインすることが可能である。このことから、ハイブリッド形成の程度についての信頼度を含めて、統計的な表現が可能となる。特異的なハイブリッド形成が起こり、抵抗値の減少がみられるということは、プローブの配列に相補的なターゲット分子が未知のサンプル中に存在したということを意味する。DNAマイクロアレイ分析に現在、使用されている技術と同様に、既知の濃度のユニークなRNA,DNA またはcDNA の配列を参考としてサンプル中に含めることが出来る。多様なプローブとターゲット間のハイブリッド形成による抵抗の計測値は、参考として用いられた既知の濃度のプローブとターゲット間の抵抗値の計測値と比較することで、各センスチップでのターゲットDNA 量の定量的な推測地が決定できる。
【0059】
上記の手順は単一のサンプルのハイブリッド形成について述べたもであるが、ハイブリッド形成法はまた競合的ハイブリッド形成にも応用できる。ビオチンで標識されていないDNA サンプルとビオチン標識された別のサンプルを用いればよい。両方のサンプルをハイブリッド形成混合液に混ぜる。検出部位においての高い伝導度は、ビオチン標識ターゲットの量ががビオチンで標識されていないターゲットに比較して優勢であることを示す。
【0060】
さらに、本発明の検出部位のウェルは、均一な表面領域と容量をもった反応容器として働く。プローブ分子の大きさを知っていることで、検出部位のウェルの表面に存在するプローブ分子の数を算定できる。このことから、プローブとターゲット間の100%のハイブリッド形成を最大電流量あるいは最小抵抗値として相関させることができる。この方法により、電流量の増加や抵抗の減少をプローブとターゲット分子の量に相関させることができる。検出部位のウェルの構築は半導体処理技術に伴う厳密な許容度を持つもので、本発明の使用によるプローブとターゲットの定量的な推定は、接触スポット法によるマイクロアレイの流動的なプローブスポットによる定量よりも優れている。
【0061】
ハイブリッド形成およびセンスチップの検出のためのステップの数は、現在、Affymetrix 社によって製造されているような高密度のマイクロアレイの処理ステップ数と同じである。今日使われているレーザースキャナーによる計測とは異なり、センスチップを読み取るテスト機器は、可動部を持たず、基本的には高感度のプロセッサー制御によるマルチメーターまたは電気計測器と考えて良い。本発明の抵抗性検出部位は、低レベルの直流電圧と電流で読み取ることが可能である。その結果、小型で信頼性の高いバッテリ作動性の携帯テスト機器が比較的安価で構築されうる。 本発明は、広汎に使用されている3種類のプローブ形成法のいずれの方法によるアレイも正確によみとることを可能にする。本発明による低価格の電気検出機器は、低価格のプローブの接触プリンティング機器と合わせて、どの研究所やオフィスにも非常に柔軟性のあるマイクロアレイ分析能力をもたらすことができる。非常に微小な検出部位は、フォトリソグラフ法あるいはインクジェット法による先端技術を使った直径18ミクロンのプローブスポットであっても、反応と読み取りのために複数の独立した検出部位に分離できる。独立した読み取りの繰り返しにより、実験結果についての信頼性が増し、均一のサイズの検出ウェルは現在の方法に比較して、サンプルの定量についても改良する。本発明のセンスチップは、現存の光スキャナー検出法に比較して、さらに高感度、低価格、頑丈、小型であり、繰り返しがきくもので、直感的に使用が容易なものである。
【0062】
本発明の方法と装置を用いて、未知のサンプル中のDNA 配列を検出するセンスチップのプロトコールの実施例
【0063】
センスチップ
1. 各検出部位が生体物質反応性の金属またはその酸化物によってカバーされるか、あるいは生体物質反応性のアミノシラン(またはガラスとDNA に結合することが知られているエポキシシランのような他の物質)の薄膜層によって処理されている、何千もの顕微鏡下に単離された検出部位を持つ電気的センスチップを清潔な平面に配置する。
2. プローブのスポット形成機器を設定し、スポット形成を始める直前に、透明のプラスチックの包装をセンスチップの上端から取り除く。
【0064】
固定相プローブスポット形成用溶液の調製とセンスチップへのプローブスポットの形成
1. 各プローブスポットのために、2mgのプローブDNA を少なくとも10mLの10%DMSOとdH2Oを含む溶液として配置する。(これよりも少量のDNA でも同様にうまくいくことが示されている)。
2. DNA の混合溶液を95°Cに15分間加熱し、氷上において冷ます。
3. DNA サンプルを適当な容器(864ウェルプレート)に移し、プローブスポット形成機器に設定する。
4. 機器を作動させ、センスチップにプローブのスポットを形成する。
5. 風乾させ、カバーをして室温で保存する。
【0065】
センスチップのブロッキングと固定相DNA の固定
1. 清潔な1.5 mL の試験管に25 mLのマスター溶液(0.1gデキストラン硫酸、5 mLのホルムアルデヒドと1 mLの20X SSCを加え、さらに水を加えて7 mL とする、pH 7.0)と充分に細かくした鮭の精子DNA を250 mg/mL となるように加える。
2. 混合液を37°Cに加熱し、素早くセンスチップの表面に適用する。センスチップのくぼみを、支給されたプラスチックでカバーし、37°Cのインキュベーター内の低速のロッカーの上で30分間、ゆする。
3. センスチップを2X SSC 溶液を使って、45°Cで5 分間、二回洗浄する。
4. 別の試験管に、2 mLの磁性ビーズと23 mLの2X SSC を合わせて、センスチップ上のウェルに入れる。
5. センスチップをマグネチックスターラーの台にのせて固定し、センスチップを、支給されたプラスチックカバーで覆う。マグネチックスターラーを5 分間作動させる。
6. チップをスターラーの台からはずし、素早く2X SSC 中で45°Cで5 分間洗浄する。
7. チップを最後に、0.1X SSC 中で45°Cで、5 分間洗浄する。
8. チップを10 分間、風乾させ、プラスチックカバーを替えて覆う。センスチップをテスト機器に入れて、各検出部位の抵抗と、またはコンダクタンスのレベルを読み取る。
センスチップはこれで、ビオチン標識されたターゲットDNA とのハイブリッド形成を待つ。
【0066】
ビオチンで標識したターゲットDNA の調製
1. サンプルDNA をとり、ビオチン標識dUTPsを用いてランダムプライマーPCR混合液を調製し、PCRの標準法に従って反応を行う。dUTP-ビオチンを含む25 mLのPCR 反応液を調製する:dTTPをPCR 反応液中で1:3 となるようにする。
a. 以下の試薬を混合する;
サンプル DNA 0.2 mg 約 1 mL
2.5X ランダムプライマー 10 mL
水 9.8 mL
b. 反応混合液をPCR 機器で100°C、10 分間変性させる。
c. 以下の試薬を加える;
dNTPs 2.5 mL
ビオチン標識dUTP 1.0 mL
Klenow Fragment 0.7 mL
合計 25 mL
d. よく混ぜて、37°C で4時間インキュベートする。
2. 反応完了後に、1%のアガロースゲルを用いてDNA ラダーを泳動し、ビオチン標識されたターゲット配列が均等に生成されたか確認する。ビオチン標識サンプルは、200bpと800bpの間にもっとも濃くみられるスミアを示すはずである。
3. Amersham MicroSpin G-50 カラムを用いて、カラムの上端を開けて新しい1.5 mLの試験管内に入れ、770 rcfで1分間、遠心して余分の緩衝液を除く。緩衝液を捨て、カラムを1.5 mLの試験管に戻す。ビオチン標識ターゲット溶液をカラムに注ぎ、770 rcfで2分間、遠心する。カラムを捨て、ターゲットDNA の入った試験管を氷上に置く。
ターゲットはハイブリッド形成のための準備が完了した。
【0067】
ハイブリッド形成のための混合液の調製
1. 1.5 mLの試験管内で、ターゲットDNA混合液 25 mLとCot 1 DNA 25 mL(2 mg)を合わせて、エタノールで沈殿させる。
a. エタノール沈殿
2.5 容量の氷冷エタノール(100%)と0.1 容量の3M 酢酸ナトリウム pH 5.2 を 25 mLのターゲットDNA と混ぜる。
b. 1,4000 rpm 、4°Cで30分間遠心する。
c. 上清を傾けて捨て、沈澱を10 分間、風乾させる。巻いた Kimwipe を使って余分なエタノールを除去する。
2. ターゲットの沈殿を5 mLの水、10 mLの20% SDSと35 mLのマスター溶液に再び、懸濁させる。
マスター溶液;
0.1 g のデキストラン硫酸(mwが約500,000)、5 mLのホルムアルデヒド、1mlの20X SSC にさらに水を加えて7ml、pH 7.0、とする。
3. 沈殿を再び懸濁した後で、ターゲットの混合物を75°Cで15 分間変性させる。
4. ターゲットの混合物を37°Cのインキュベターに移し、Cot 1 DNA で少なくとも1時間ターゲットとプリアニールさせる。この処理はターゲットDNAの繰り返しの配列をブロックする。
【0068】
ターゲットのセンスチップとのハイブリッド形成
1. センスチップを2X SSC で45°C で5 分間洗浄し、5 分間、風乾する。
2. センスチップを Stratalinker UV 機器に据え、2600x100mジュールでプローブDNA を検出部位の間隙に共有結合させる。
3. 温かいターゲット混合物をその表面に適用する。センスチップを、支給されたプラスチックのハイブリッド形成チャンバーに密封する。それをインキュベーター内の低速ロッカーに乗せて、希望の温度と時間で反応させる。
【0069】
センスチップの洗浄
1. 洗浄液をあらかじめ温める。洗浄液 1 (50% ホルムアルデヒドと50% 1X SSC); 洗浄液 2 (2X SSC); 洗浄液 3 (0.1X SSC); および洗浄液 4 (0.1% NP-40 を含むPN緩衝液 0.1M 燐酸ナトリウム)を大きなCoplin 壜で45°Cに温める。
2. 上記の洗浄液中でアレイチップをゆすぐ。
ホルムアミド 10 分間
2X SSC 10 分間
0.1X SSC 5 分間
PN 緩衝液 5 分間
3. センスチップのウェルに残る液を振り落とす。
【0070】
ストレプトアビジン―金の複合体の適用。
1. 琥珀色の試験管に25 mLのストレプトアビジン/金の溶液を用意する。0.1% BSAを含む15 mM NaCl溶液で、ストレプトアビジン/金の溶液を1:4の割合で希釈する。
2. その溶液をピペットでセンスチップに注ぎ、プラスチックのチップカバーで覆う。
3. センスチップを37°Cのインキュベーター内の低速のロッカーに30 分間載せる。
4. 1X SSC で1 分間ゆすぎ、さらに0.1X SSCで 1分間ゆすぐ。
5. 15 分間、風乾する。
【0071】
金粒子の銀強化反応とセンスチップの計測
1. センスチップを再蒸留水を用いて、45°Cで1.5 分間ゆすいで、ナトリウムイオンを除く。
2. 暗室内で、100 mL の2M クエン酸ナトリウム、0.5 M ヒドロキノリン、0.03M の乳酸銀の溶液を調製する。その溶液の30 mLをセンスチップに注ぎ、室温で3 分間、反応させる。
3. センスチップを1% 酢酸でゆすぎ、30 mL の同じ液を加え、2 分間、インキュベートする。
4. センスチップをKodakO Rapid FixOの固定溶液でゆすぎ、この液の 30 mLを加えて、室温で 3 分間インキュベートする。
5. 再蒸留水を用いて、センスチップを室温で 1.5 分間ゆすぎ、さらに 0.1% SSC を用いて、室温で 3 分間ゆすぐ。最後に、再蒸留水を用いて室温で、30 秒間洗って銀強化反応を終える。
6. センスチップを風乾させるか、37°C のヒートブロック上で乾燥させる。センスチップの計測の準備が完了する。
この時点で、ターゲットのハイブリッド形成前の抵抗値よりもセンスチップの抵抗値が減少していれば、プローブとターゲット間のハイブリッド形成がうまくいったことを示す。
【0072】
本発明は、種々の具体化例を引いて上述されたが、詳細の変更や修正は本発明の範囲から外れることなく、施されると理解されるもので、それらは単に補遺の請求項あるいはそれに相当するものとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
本発明のこれらのあるいはその他の対象物、利点や新しい特徴については、以下に掲載される図面と合わせて読むことで、その詳細な説明からより容易にその真価が認められるであろう。図面には次のものが含まれる。
【0074】
【図1】図 1は、技術分野に現存するコンフォーカルレーザー走査パターンとプローブスポットの代表的なものである。
【図2】図 2 に本発明の検出部位のパターンとプローブスポットの代表的なものを示す。
【図3】図 3 に現存の技術分野での焦点をあわせたコンフォーカルレーザースキャナのブロックの図表を示す。
【図4】図 4 に現存の技術分野での焦点の外れたコンフォーカルレーザースキャナのブロックの図表を示す。
【図5】図 5 に米国特許番号5284748、1994年2月8日認可、からの現存の技術分野での検出部位の鉛の下にひかれた抵抗性のある検出部位の生物反応性の薄膜層を示す。
【図6】図 6 に米国特許番号5284748、1994年2月8日認可、からの現存の技術分野での検出部位の鉛の上にひかれた抵抗性のある検出部位の生物反応性の薄膜層を示す。
【図7】図 7 に米国特許番号5284748、1994年2月8日認可、からの現存の技術分野での検出部位の二側性の連結部を示す。
【図8】図 8 に米国特許番号5284748、1994年2月8日認可、からの現存の技術分野での検出部位の一側性の連結部を示す。
【図9】図 9に現存の技術分野での規制の伝導路と二側性の連結部を示す。
【図10】図10Aと10B に、米国特許番号5532128、1996年7月2日認可、からの現存の技術分野にみられる容量検出部位の外部リングを示す。
【図11】図 11に、米国特許番号5532128、1996年7月2日認可、からの現存の技術分野にみられる容量検出部位の直立型のプレートを示す。
【図12】図12に米国公開番号US2002/0164819 A1,2002年11月7日公開、からの現存の技術分野での反応部位の連結部位にみられる誘電性のキャッピングを示す。
【図13】図 13に、米国特許番号6355491 B1、2002年3月12日認可、からの現存の技術分野にみられる誘電性検出部位の連結部を示す。
【図14】図 14に、米国特許番号6355491 B1、2002年3月12日認可、からの現存の技術分野にみられる誘電性検出部位の連結部の詳細を示す。
【図15】図 15に本発明の検出部位の4x4アレイについて、電流の回路を示す。
【図16】図 16に本発明の検出部位の8x7アレイを示す。
【図17】図17A−17Dに多様な本発明の実施例にみられる抵抗性の検出部位間隙のドーピングのための深さとサイズを示す。
【図18】図18A−18D に本発明の多様な実施例に見られる最適な静電気的放電の防護のための検出部の鉛の形状を示す。
【図19】図 19に本発明の中央に置かれた液体分流器の上からの図を示す。
【図20】図 20に本発明の中央に置かれた液体分流器の横からの図を示す。
【図21】図 21に本発明のウェルのそばの液体分流器の上からの図を示す。
【図22】図 22に本発明のウェルのそばの液体分流器の横からの図を示す。
【図23】図 23に本発明の検出部位のダイオードの例と検出部間隙の拡散パターンを示す。
【図24】図 24に本発明の検出部位のシリコン酸化物を用いた抵抗性の検出部の構築の横からの図を示す。
【図25】図 25に本発明の検出部位のシリコン酸化物を用いない抵抗性の検出部の構築の横からの図を示す。
【図26】図 26に本発明の検出部表面のビーズモップをクリーニングしている磁性の或いは金属製のビーズの動きを示す。
【図27】図 27に本発明の実施例のアレイ表面の全体に適用された生物反応性の試薬の例を示す。
【図28】図 28に、検出部位のウェルに残り、本発明の実施例のビーズモップにより検出部位でない表面から除去された図 27の生物反応剤の例を示す。
【図29】図 29に本発明の検出部位のパッケージの例を示す。
【図30】図 30に本発明の実施例の温度感受性のダイオードとチップのパッケージの例を示す。
【図31】図 31に本発明の実施例のコンダクタンスの全領域の計測のためのレーザーによる微調整可能なテスト部位の例を示す。
【図32】図 32に平均的な検出部回路の抵抗を調節するために使われる本発明の実施例にみられるプログラム可能なヒューズ配列盤が描かれている。
【図33】図 33 に本発明の検出部を保護するための過剰電流防護に例を示す回路図である。
【図34】図 34 に本発明の検出部の連続制御のための例を示す回路図である。
【図35】図 35 に本発明の検出部の並列制御のための例を示す回路図である。
【図36】図 36 に本発明の実施例に見られるセンスチップに適用されたプローブスポットを示す。
【図37】図 37 に本発明の実施例に見られるセンスチップに適用されたプローブスポットとブロッキング溶液を示す。
【図38】図 38に本発明の実施例に見られるアレイのビーズモップによる洗浄後の図 37のセンスチップに適用されたプローブスポットとブロッキング溶液を示す。
【図39】図 39に本発明の検出部位に結合したプローブの横からみた図を示す。
【図40】図 40に本発明の検出部位に結合したプローブとターゲット間のハイブリッド形成の横から見た図を示す。
【図41】図 41に本発明の、ビオチン‐ストレプトアビジン‐金粒子の結合を横から見た簡略図を示す。
【図42】図 42に銀で覆われたコロイド状の金による完全な架橋をもたらしたハイブリッド形成の銀強化を横から見た簡略図を示す
【図43】図 43に銀で覆われたコロイド状の金による部分的な架橋をもたらしたハイブリッド形成の銀強化を横から見た簡略図を示す。説明を簡略にするために、ここでは同一の構成部分は同じ数字で扱った。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体由来物質の同定のための改良された装置において、
上側、下側および外部からの電気的接触をもつ平らな半導体基板と、
基板の上側に形成されたさらに検出部位のマトリックスを定義する多数の検出部位であって、各検出部位は、シリコンジオキサイドの単離薄膜層で構築された四側のウェルと、プローブ分子を受ける間隙と、四側のウェルの底面としての、適切な処理に応じてその抵抗性を変化させうる間隙用の基板と、検出部位の間隙において間隙の基板にプローブ分子を貼付する手段と、間隙内の生体由来物質を電気的に検出する手段と、検出部位の間隙を横断して基礎的な抵抗性を変化させる手段と、サンプル溶液の表面張力を破壊する手段を具える検出部位と、
半導体の基板の温度を調節する手段と、
半導体基板の上側を防護する手段と、
複数の検出部位から、連続的で並行的な電気計測を行い、全検出部位間のデータを相関させて、競合的ハイブリッド形成、チップと標準品またはチップ間のベースラインの計測を可能とさせる手段と、
サンプルとの接触によるのではなくてマトリックス中の隣接する検出部位から間隙にもたらされたスポットサンプルを分ける手段と、
単一のスポットサンプルを複数の別の検出部位のウェルに分ける手段と
を具えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1の装置において、前記基板がシリコンであることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1の装置において、前記基板がゲルマニウムであることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1の装置において、検出部位の間隙において間隙の基板にプローブ分子を貼付形成する手段がさらに、炭素、親水性有機ポリマー、無機金属酸化物および無機金属窒化物から選択した生体物質反応性材を具えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1の装置において、前記基板がさらにダイオードまたは単一方向性の半導体デバイスを具えることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1の装置において、間隙内で生体由来物質を電気的に検出する手段が検出部位の反対側におかれた二つの伝導性トレースを更に具え、間隙基板の可変性の抵抗が伝導性のトレースを分離し、二つの伝導性トレースの一つに連続した単一方向性の電気的要素である伝導性のトレースに接続されており、また、ここで多数の検出部位が、明記された検出部位以外は、逆のバイアスモードで通電する基板の上側に二次元のマトリックスを構成しており、各検出部位はアドレスが可能であり、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、マルチプレキサ、デマルチプレキサ、アドレスによって示せるスイッチ、温度感受性電気成分や基板上に作成された増幅器回路を用いて信頼できる読み取りがなされることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1の装置において、検出器の間隙基板にプローブ分子を貼付形成するための手段が間隙基板の活性化試薬を更に具えることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1の装置において、ここで基板の上側を防護する手段がさらに基板の上側に施した保護膜によるカバーを具えることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1の装置において、サンプルとの接触によるのではなくてマトリックス中の隣接する検出部位から間隙にもたらされたスポットサンプルを分ける手段および単一のスポットサンプルを複数の別々の検出部位のウェルに分離する手段が、さらに、充分なサイズの直径をもったビーズが基板の上側で可動しているためにビーズが検出ウェルに入り込んだり、はまったりすることのない十分な径の少なくともひとつの金属製または磁性ビーズを具え、前記基板の上側のビーズを移動させる手段が、基板の動き、外部の常設の磁石、または電磁石、あるいは外部の磁場の変化によるものであることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1の装置において、サンプルの表面張力を破壊する手段がさらに少なくともひとつの液体分流器を具えることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1の装置において、基板の温度を制御する手段がさらに基板の外部コンタクトに接続された温度感受性のダイオードを具えることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項6の装置において、伝導性のトレースがさらに丸い縁を具えることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項6の装置において、間隙の基板がさらに酸化されていない半導体物質を具えることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1の装置において、複数の検出部位からの、連続的で並行的な電気計測を行い、全検出部位間のデータを相関させて、競合的ハイブリッド形成や、チップと標準品またはチップ間のベースラインの計測を可能とさせる手段が携帯用あるいは電源差込によるテスト機器を具えることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14の装置において、複数の検出部位からの、連続的で並行的な電気計測を行い、全検出部位間のデータを相関させて、競合的ハイブリッド形成や、チップと標準品またはチップ間のベースラインの計測を可能とさせる手段がさらにアレイ/検出部位の液体処理のためのチャンバーと、検出部位の抵抗またコンダクタンスを読みとり、ストアし、伝導する、手段を有する携帯用テスト機器を具えることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15の装置において、複数の検出部位からの、連続的で並行的な電気計測を行い、全検出部位間のデータを相関させて、競合的ハイブリッド形成や、チップと標準品またはチップ間のベースラインの計測を可能とさせる手段が、さらにチップ上に破壊的となりうる高電流が流れる時に、信号を発し、接続を切り、センスチップを故障から護る比較回路を具えることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項1の装置において、検出部位の配置が、いずれの方向にも検出器間隙の中央から、つぎの最も近接した検出器間隙までの距離が50ミクロン以下であることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項1の装置において、少なくとも三つの隣接した検出部位のそれぞれが、その領域のプローブスポットの同一の、単回の機械的貼付または合成構築からのサンプルの部分を含み、各検出部位がすべてのほかの検出部位のそれぞれの部分を独立に分析することを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項1の装置において、前記基板がさらに平均回路抵抗が特定のデータシートの値に調節可能であるプログラム可能なヒューズを用いた回路を具えることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項1の装置において、前記基板がさらに、基板の温度を決め、制御するように特徴づけられた信号を発生するダイオードのような温度感受性エレメントを具えることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項1の装置において、前記基板がさらに、パラメータのテストのための閉じられた伝導性の検出部位のマトリックスを具え、製造過程では、この閉じられた検出部位は、テストの後に基板の単一方向性のダイオードのマトリックスを保つために、レーザートリミング技術によって開かれていることを特徴とする装置。
【請求項22】
生体由来物質の同定のために、上側を有する半導体センスチップ基板へ、プローブスポットを施した方法であって、アレイ表面として基板の上側内に多数の検出部位が形成されたもので、各検出部位はさらにアミノシランまたは金属酸化物の、予定された均一の幅、長さと深さを持った検出ウェルと検出部位基板から構成されるものであり、
a) プローブスポットDNAを95°Cで15 分間加熱することにより変性させるステップと、
b) 全てのプローブスポットをアレイの表面に適用し、乾燥させるステップと、
c) アレイ表面を鮭の精子溶液で被膜するステップと、
d) 被膜されたアレイ表面を、予定された時間のあいだ、放置するステップと、
e) 被膜されたアレイ表面を2X SSC でゆすぐステップと、
f) 2X SSC と、直径が検出部位のウェルの長さよりも少なくとも10倍となるようなラテックスで被膜されたビーズを調製するステップと、
g) 磁性の基板を持つ機器に基板を配置するステップと、
h) 基板の上面をビーズ溶液で被膜するステップと、
i) 磁性の基盤を持つ機器のスイッチを入れるステップと、
j) 基板が磁性の基板を持った機器により予定された時間の間、処理されるようにするステップと、
k) 直ちに基板の上面を2X SSC を用いて、室温で2回、予定された時間をかけてゆすぐステップと、
l) カバーをかけた場所で基板の上側が乾燥されるように保存するステップと、
m) 検出部位の基板に共有結合をおこす手段を用いるステップと、
n) ベースラインの電気的測定を行うステップと、
o) ハイブリッド形成の準備ができるまで、基板をカバーし、保存するステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22の方法において、検出部位基板の共有結合を起こさせる手段がさらに基板を80°Cで80 分間加熱するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22の方法において、検出部位基板の共有結合を起こさせる手段がさらに、UV架橋剤をもちいてUVのエネルギーを適用するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項25】
生体由来物質の同定のために、上側を有する半導体センスチップ基板へ、プローブスポットを施す方法であって、アレイ表面として基板の上側内に多数の検出部位が形成されたもので、各検出部位はさらにアミノシランまたは金属酸化物の、予定された均一の幅、長さと深さを持った検出ウェルと検出部位基板から構成される方法において、
a) 固定相のプローブスポット形成のための溶液を調製するステップと、
b) センスチップへ固定相のプローブのスポット形成するステップと、
c) 固定相のDNA をセンスチップに固定し、センスチップをブロックするステップと、
d) ビオチンで標識されたターゲットDNA を調製するステップと、
e) ハイブリッド形成用の反応混合液を調製するステップと、
f) ターゲットをセンスチップにハイブリッド形成するステップと、
g) センスチップを洗浄するステップと、
h) ストレプトアビジン‐金複合体を適用するステップと、
i) ストレプトアビジン‐金複合体を銀によって強化するステップと、
j) センスチップを測定するステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25の方法において、固定相プローブスポット形成用の溶液を調製しセンスチップにスポットを形成するためのステップがさらに、
a) 各プローブスポットあたり、2mgのプローブDNA を少なくとも10mLの10%DMSOとdH2Oを含む溶液として配置するサブステップと、
b) DNA の混合溶液を95°Cに15分間加熱し、氷上において冷ますサブステップと、
c) DNA サンプルを適当な容器(864ウェルプレート)に移し、プローブスポット形成機器に設定するサブステップと、
d) スポット形成機器を作動させ、各プローブを別々のセンスチップにスポット形成するサブステップと、
e) スポットの形成された各センスチップを風乾させ、室温でカバーをかけて保存するサブステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項25の方法において、センスチップに固定相のDNA を固定しブロックするためのステップが、
a) 清潔な1.5 mL の試験管に25 mLのマスター溶液(0.1gデキストラン硫酸、5 mLのホルムアルデヒドと1 mLの20X SSCを加え、さらに水を加えて7 mL とする、pH 7.0)と充分に細かくした鮭の精子DNA を250 mg/mL となるように加えるサブステップと、
b) 混合液を37°Cに加熱し、素早くセンスチップの表面に適用し、センスチップのくぼみを、支給されたプラスチックでカバーし、37°Cのインキュベーター内の低速のロッカーの上で30分間ゆするサブステップと、
c) センスチップを2X SSC 溶液を使って、45°Cで5 分間、二回洗浄するサブステップと、
d) 別の試験管に、2 mLの磁性ビーズと23 mLの2X SSC を合わせて、センスチップ上のウェルに入れるサブステップと、
e) センスチップをマグネチックスターラーの台にのせて固定し、センスチップを支給されたプラスチックカバーで覆い、その間、マグネチックスターラーを5 分間作動させるサブステップと、
f) チップをスターラーの台からはずし、素早く2X SSC 中で45°Cで5 分間洗浄するサブステップと、
g) センスチップを最後に、0.1X SSC 中で45°で、5 分間洗浄するサブステップと、
h) チップを10 分間、風乾させ、必要であれば、プラスチックカバーを替えて覆うサブステップと、
i) センスチップをテスト機器に入れて、各検出部位の抵抗と、またはコンダクタンスのレベルを読み取るサブステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項25の方法において、ビオチン標識されたターゲットDNAを調整するステップが、
a) サンプルDNA をとり、ビオチン標識dUTPsを用いてdUTP-ビオチンを含む25 mLのランダムプライマーPCR混合液を調製し、PCRの標準法に従って反応を行い、dTTPをPCR 反応液中で1:3 となるようにするが、それは(i) 0.2 mgのサンプルDNA (約 1 mg)、10 mLの 2.5X ランダムプライマー、と9.8mLの水を混ぜ、(ii)反応混合液をPCR 機器で100°C,10 分間変性させ、(iii)2.5 mL のdNTP、10 mLのビオチン標識dUTPと0.7 mLのKlenow Fragmentとを加えて合計約25 mLとして、(iv)よく混ぜて、37°C で4時間インキュベートするサブステップと、
b) 反応完了後に、1%のアガロースゲルを用いてDNA ラダーを泳動し、ビオチン標識されたターゲット配列が均等に生成されたか確認するサブステップであって、ビオチン標識サンプルは、200bpと800bpの間にもっとも濃くみられるスミアを示すはずであるサブステップと、
c) MicroSpin G-50 カラムを用いて、カラムの上端を開けて新しい1.5 mLの試験管内に入れるサブステップと、
d) 770 rcfで1分間、遠心して余分の緩衝液を除くサブステップと、
e) 緩衝液を捨て、カラムを1.5 mLの試験管に戻すサブステップと、
f) ビオチン標識ターゲット溶液をカラムに注ぎ、770 rcfで2分間、遠心するサブステップと、
g) カラムを捨て、ターゲットDNA の入った試験管を氷上に置くサブステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項25の方法において、ハイブリッド形成反応混合液を調製するステップが、
a) 1.5 mLの試験管内で、ターゲットDNA混合液 25 mLとCot 1 DNA 25 mL(2 mg)を合わせて、エタノールで沈殿させるサブステップであって、さらに、2.5 容量の氷冷エタノール(100%)と0.1 容量の3M 酢酸ナトリウム pH 5.2 を 25 mLのターゲットDNA とを具えるサブステップと、
b) 1,4000 rpm 、4°Cで30分間遠心するサブステップと、
c) 上清を傾けて捨て、沈澱を10 分間、風乾させ、巻いた Kimwipe を使って余分なエタノールを除去するサブステップと、
d) ターゲットの沈殿を5 mLの水、10 mLの20% SDSと35 mLのマスター溶液に再び、懸濁させるサブステップであって、このマスター溶液は、0.1 g のデキストラン硫酸(mwが約50,0000)、5 mLのホルムアルデヒド、1mlの20X SSC にさらに水を加えて7ml、pH 7.0、とするサブステップと、
e) 沈殿を再び懸濁した後で、ターゲットの混合物を75°Cで15 分間変性させるサブステップと,
f) ターゲットの混合物を37°Cのインキュベターに移し、Cot 1 DNA で少なくとも1時間ターゲットとプリアニールさせるサブステップと、
を具えることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項25の方法において、センスチップにターゲットをハイブリッド形成させるためのステップが、
a) センスチップを2X SSC で45°C で5 分間洗浄し、5 分間、風乾させるサブステップと、
b) センスチップを Stratalinker UV 機器に据え、2600x100mジュールでプローブDNA を検出部位の間隙表面にに共有結合させるサブステップと、
c) 温かいターゲット混合物をその表面に適用するサブステップと、
d) センスチップを支給されたプラスチックのハイブリッド形成チャンバーに密封するサブステップと、
e) それをインキュベーター内の低速ロッカーに乗せて、希望の温度と時間で反応させるサブステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項25の方法において、センスチップの洗浄のステップが、
a) あらかじめ温められた洗浄液 1 (50% ホルムアルデヒドと50% 1X SSC); 洗浄液 2 (2X SSC); 洗浄液 3 (0.1X SSC); および洗浄液 4 (0.1% NP-40 を含むPN緩衝液 0.1M 燐酸ナトリウム)を大きなCoplin 壜で45°Cに温めるサブステップと、
b) 上記の洗浄液を用いて、各洗浄液での以下の洗浄時間をかけてアレイのセンスチップをゆすぎ/浸し、すなわち、(i)ホルムアルデヒドで10分間、(ii)2X SSC で10分間、(iii)0.1 SSCで5分間および(iv)PN緩衝液で5分間をかけるサブステップと、
c) 最後に残った液をセンスチップのウェルから振ってのぞき、センスチップを15分間風乾させるサブステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項25の方法において、ストレプトアビジン‐金複合体を適用するステップが、
a) 0.1% BSAを含む15 mM NaCl溶液で、ストレプトアビジン/金の溶液を1:4の割合で希釈して、琥珀色の試験管に25 mLのストレプトアビジン/金の溶液を調製するステップと、
b) その溶液をピペットでセンスチップに注ぎ、プラスチックのチップカバーで覆うサブステップと、
c) センスチップを37°Cのインキュベーター内の低速のロッカーに30 分間載せるサブステップと、
d) 1X SSC で1 分間ゆすぐサブステップと、
e) さらに0.1X SSCで 1分間ゆすぐサブステップと、
f) センスチップを15分間風乾させるサブステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項25の方法において、ストレプトアビジン‐金複合体を銀で強化するステップが、
a)センスチップを再蒸留水を用いて、45°Cで1.5 分間ゆすいで、ナトリウムイオンを除くサブステップと、
b)暗室内で、100 mL の2M クエン酸ナトリウム、0.5 M ヒドロキノリン、0.03M の乳酸銀の溶液を調製し、その溶液の30 mLをセンスチップに注ぎ、室温で3 分間、反応させるサブステップと、
c)センスチップを1% 酢酸でゆすぎ、30 mL の同じ液を加え、2 分間、インキュベートするサブステップと、
d)センスチップをKodakO Rapid FixO固定液でゆすぎ、センスチップを30 mL の同じ液を加えて、室温で3 分間、インキュベートさせるサブステップと、
e)再蒸留水を用いて、センスチップを室温で 1.5 分間ゆすぎ、さらに 0.1% SSC を用いて、室温で 3 分間ゆすぐサブステップと、
f)最後に、再蒸留水を用いて室温で、30 秒間洗って銀強化反応を終えるサブステップと、
g)銀強化センスチップを乾燥させるサブステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項25の方法において、センスチップの計測ステップが、銀によるストレプトアビジン‐金複合体の強化反応の後に、ターゲットのハイブリッド形成前の抵抗値よりもセンスチップの抵抗値が減少していれば、プローブ/ターゲット間のハイブリッド形成がうまくいったことを示すことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項1の装置において、半導体基板が多種類の抵抗性の検出部位を具えることを特徴とする装置。
【請求項36】
請求項1の装置において、多数の伝導体基板が多種類の抵抗性の検出部位の基板ファミリーを具えることを特徴とする装置。
【請求項1】
生体由来物質の同定のための改良された装置において、
上側、下側および外部からの電気的接触をもつ平らな半導体基板と、
基板の上側に形成されたさらに検出部位のマトリックスを定義する多数の検出部位であって、各検出部位は、シリコンジオキサイドの単離薄膜層で構築された四側のウェルと、プローブ分子を受ける間隙と、四側のウェルの底面としての、適切な処理に応じてその抵抗性を変化させうる間隙用の基板と、検出部位の間隙において間隙の基板にプローブ分子を貼付する手段と、間隙内の生体由来物質を電気的に検出する手段と、検出部位の間隙を横断して基礎的な抵抗性を変化させる手段と、サンプル溶液の表面張力を破壊する手段を具える検出部位と、
半導体の基板の温度を調節する手段と、
半導体基板の上側を防護する手段と、
複数の検出部位から、連続的で並行的な電気計測を行い、全検出部位間のデータを相関させて、競合的ハイブリッド形成、チップと標準品またはチップ間のベースラインの計測を可能とさせる手段と、
サンプルとの接触によるのではなくてマトリックス中の隣接する検出部位から間隙にもたらされたスポットサンプルを分ける手段と、
単一のスポットサンプルを複数の別の検出部位のウェルに分ける手段と
を具えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1の装置において、前記基板がシリコンであることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1の装置において、前記基板がゲルマニウムであることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1の装置において、検出部位の間隙において間隙の基板にプローブ分子を貼付形成する手段がさらに、炭素、親水性有機ポリマー、無機金属酸化物および無機金属窒化物から選択した生体物質反応性材を具えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1の装置において、前記基板がさらにダイオードまたは単一方向性の半導体デバイスを具えることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1の装置において、間隙内で生体由来物質を電気的に検出する手段が検出部位の反対側におかれた二つの伝導性トレースを更に具え、間隙基板の可変性の抵抗が伝導性のトレースを分離し、二つの伝導性トレースの一つに連続した単一方向性の電気的要素である伝導性のトレースに接続されており、また、ここで多数の検出部位が、明記された検出部位以外は、逆のバイアスモードで通電する基板の上側に二次元のマトリックスを構成しており、各検出部位はアドレスが可能であり、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、マルチプレキサ、デマルチプレキサ、アドレスによって示せるスイッチ、温度感受性電気成分や基板上に作成された増幅器回路を用いて信頼できる読み取りがなされることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1の装置において、検出器の間隙基板にプローブ分子を貼付形成するための手段が間隙基板の活性化試薬を更に具えることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1の装置において、ここで基板の上側を防護する手段がさらに基板の上側に施した保護膜によるカバーを具えることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1の装置において、サンプルとの接触によるのではなくてマトリックス中の隣接する検出部位から間隙にもたらされたスポットサンプルを分ける手段および単一のスポットサンプルを複数の別々の検出部位のウェルに分離する手段が、さらに、充分なサイズの直径をもったビーズが基板の上側で可動しているためにビーズが検出ウェルに入り込んだり、はまったりすることのない十分な径の少なくともひとつの金属製または磁性ビーズを具え、前記基板の上側のビーズを移動させる手段が、基板の動き、外部の常設の磁石、または電磁石、あるいは外部の磁場の変化によるものであることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1の装置において、サンプルの表面張力を破壊する手段がさらに少なくともひとつの液体分流器を具えることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1の装置において、基板の温度を制御する手段がさらに基板の外部コンタクトに接続された温度感受性のダイオードを具えることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項6の装置において、伝導性のトレースがさらに丸い縁を具えることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項6の装置において、間隙の基板がさらに酸化されていない半導体物質を具えることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1の装置において、複数の検出部位からの、連続的で並行的な電気計測を行い、全検出部位間のデータを相関させて、競合的ハイブリッド形成や、チップと標準品またはチップ間のベースラインの計測を可能とさせる手段が携帯用あるいは電源差込によるテスト機器を具えることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14の装置において、複数の検出部位からの、連続的で並行的な電気計測を行い、全検出部位間のデータを相関させて、競合的ハイブリッド形成や、チップと標準品またはチップ間のベースラインの計測を可能とさせる手段がさらにアレイ/検出部位の液体処理のためのチャンバーと、検出部位の抵抗またコンダクタンスを読みとり、ストアし、伝導する、手段を有する携帯用テスト機器を具えることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15の装置において、複数の検出部位からの、連続的で並行的な電気計測を行い、全検出部位間のデータを相関させて、競合的ハイブリッド形成や、チップと標準品またはチップ間のベースラインの計測を可能とさせる手段が、さらにチップ上に破壊的となりうる高電流が流れる時に、信号を発し、接続を切り、センスチップを故障から護る比較回路を具えることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項1の装置において、検出部位の配置が、いずれの方向にも検出器間隙の中央から、つぎの最も近接した検出器間隙までの距離が50ミクロン以下であることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項1の装置において、少なくとも三つの隣接した検出部位のそれぞれが、その領域のプローブスポットの同一の、単回の機械的貼付または合成構築からのサンプルの部分を含み、各検出部位がすべてのほかの検出部位のそれぞれの部分を独立に分析することを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項1の装置において、前記基板がさらに平均回路抵抗が特定のデータシートの値に調節可能であるプログラム可能なヒューズを用いた回路を具えることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項1の装置において、前記基板がさらに、基板の温度を決め、制御するように特徴づけられた信号を発生するダイオードのような温度感受性エレメントを具えることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項1の装置において、前記基板がさらに、パラメータのテストのための閉じられた伝導性の検出部位のマトリックスを具え、製造過程では、この閉じられた検出部位は、テストの後に基板の単一方向性のダイオードのマトリックスを保つために、レーザートリミング技術によって開かれていることを特徴とする装置。
【請求項22】
生体由来物質の同定のために、上側を有する半導体センスチップ基板へ、プローブスポットを施した方法であって、アレイ表面として基板の上側内に多数の検出部位が形成されたもので、各検出部位はさらにアミノシランまたは金属酸化物の、予定された均一の幅、長さと深さを持った検出ウェルと検出部位基板から構成されるものであり、
a) プローブスポットDNAを95°Cで15 分間加熱することにより変性させるステップと、
b) 全てのプローブスポットをアレイの表面に適用し、乾燥させるステップと、
c) アレイ表面を鮭の精子溶液で被膜するステップと、
d) 被膜されたアレイ表面を、予定された時間のあいだ、放置するステップと、
e) 被膜されたアレイ表面を2X SSC でゆすぐステップと、
f) 2X SSC と、直径が検出部位のウェルの長さよりも少なくとも10倍となるようなラテックスで被膜されたビーズを調製するステップと、
g) 磁性の基板を持つ機器に基板を配置するステップと、
h) 基板の上面をビーズ溶液で被膜するステップと、
i) 磁性の基盤を持つ機器のスイッチを入れるステップと、
j) 基板が磁性の基板を持った機器により予定された時間の間、処理されるようにするステップと、
k) 直ちに基板の上面を2X SSC を用いて、室温で2回、予定された時間をかけてゆすぐステップと、
l) カバーをかけた場所で基板の上側が乾燥されるように保存するステップと、
m) 検出部位の基板に共有結合をおこす手段を用いるステップと、
n) ベースラインの電気的測定を行うステップと、
o) ハイブリッド形成の準備ができるまで、基板をカバーし、保存するステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22の方法において、検出部位基板の共有結合を起こさせる手段がさらに基板を80°Cで80 分間加熱するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22の方法において、検出部位基板の共有結合を起こさせる手段がさらに、UV架橋剤をもちいてUVのエネルギーを適用するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項25】
生体由来物質の同定のために、上側を有する半導体センスチップ基板へ、プローブスポットを施す方法であって、アレイ表面として基板の上側内に多数の検出部位が形成されたもので、各検出部位はさらにアミノシランまたは金属酸化物の、予定された均一の幅、長さと深さを持った検出ウェルと検出部位基板から構成される方法において、
a) 固定相のプローブスポット形成のための溶液を調製するステップと、
b) センスチップへ固定相のプローブのスポット形成するステップと、
c) 固定相のDNA をセンスチップに固定し、センスチップをブロックするステップと、
d) ビオチンで標識されたターゲットDNA を調製するステップと、
e) ハイブリッド形成用の反応混合液を調製するステップと、
f) ターゲットをセンスチップにハイブリッド形成するステップと、
g) センスチップを洗浄するステップと、
h) ストレプトアビジン‐金複合体を適用するステップと、
i) ストレプトアビジン‐金複合体を銀によって強化するステップと、
j) センスチップを測定するステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25の方法において、固定相プローブスポット形成用の溶液を調製しセンスチップにスポットを形成するためのステップがさらに、
a) 各プローブスポットあたり、2mgのプローブDNA を少なくとも10mLの10%DMSOとdH2Oを含む溶液として配置するサブステップと、
b) DNA の混合溶液を95°Cに15分間加熱し、氷上において冷ますサブステップと、
c) DNA サンプルを適当な容器(864ウェルプレート)に移し、プローブスポット形成機器に設定するサブステップと、
d) スポット形成機器を作動させ、各プローブを別々のセンスチップにスポット形成するサブステップと、
e) スポットの形成された各センスチップを風乾させ、室温でカバーをかけて保存するサブステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項25の方法において、センスチップに固定相のDNA を固定しブロックするためのステップが、
a) 清潔な1.5 mL の試験管に25 mLのマスター溶液(0.1gデキストラン硫酸、5 mLのホルムアルデヒドと1 mLの20X SSCを加え、さらに水を加えて7 mL とする、pH 7.0)と充分に細かくした鮭の精子DNA を250 mg/mL となるように加えるサブステップと、
b) 混合液を37°Cに加熱し、素早くセンスチップの表面に適用し、センスチップのくぼみを、支給されたプラスチックでカバーし、37°Cのインキュベーター内の低速のロッカーの上で30分間ゆするサブステップと、
c) センスチップを2X SSC 溶液を使って、45°Cで5 分間、二回洗浄するサブステップと、
d) 別の試験管に、2 mLの磁性ビーズと23 mLの2X SSC を合わせて、センスチップ上のウェルに入れるサブステップと、
e) センスチップをマグネチックスターラーの台にのせて固定し、センスチップを支給されたプラスチックカバーで覆い、その間、マグネチックスターラーを5 分間作動させるサブステップと、
f) チップをスターラーの台からはずし、素早く2X SSC 中で45°Cで5 分間洗浄するサブステップと、
g) センスチップを最後に、0.1X SSC 中で45°で、5 分間洗浄するサブステップと、
h) チップを10 分間、風乾させ、必要であれば、プラスチックカバーを替えて覆うサブステップと、
i) センスチップをテスト機器に入れて、各検出部位の抵抗と、またはコンダクタンスのレベルを読み取るサブステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項25の方法において、ビオチン標識されたターゲットDNAを調整するステップが、
a) サンプルDNA をとり、ビオチン標識dUTPsを用いてdUTP-ビオチンを含む25 mLのランダムプライマーPCR混合液を調製し、PCRの標準法に従って反応を行い、dTTPをPCR 反応液中で1:3 となるようにするが、それは(i) 0.2 mgのサンプルDNA (約 1 mg)、10 mLの 2.5X ランダムプライマー、と9.8mLの水を混ぜ、(ii)反応混合液をPCR 機器で100°C,10 分間変性させ、(iii)2.5 mL のdNTP、10 mLのビオチン標識dUTPと0.7 mLのKlenow Fragmentとを加えて合計約25 mLとして、(iv)よく混ぜて、37°C で4時間インキュベートするサブステップと、
b) 反応完了後に、1%のアガロースゲルを用いてDNA ラダーを泳動し、ビオチン標識されたターゲット配列が均等に生成されたか確認するサブステップであって、ビオチン標識サンプルは、200bpと800bpの間にもっとも濃くみられるスミアを示すはずであるサブステップと、
c) MicroSpin G-50 カラムを用いて、カラムの上端を開けて新しい1.5 mLの試験管内に入れるサブステップと、
d) 770 rcfで1分間、遠心して余分の緩衝液を除くサブステップと、
e) 緩衝液を捨て、カラムを1.5 mLの試験管に戻すサブステップと、
f) ビオチン標識ターゲット溶液をカラムに注ぎ、770 rcfで2分間、遠心するサブステップと、
g) カラムを捨て、ターゲットDNA の入った試験管を氷上に置くサブステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項25の方法において、ハイブリッド形成反応混合液を調製するステップが、
a) 1.5 mLの試験管内で、ターゲットDNA混合液 25 mLとCot 1 DNA 25 mL(2 mg)を合わせて、エタノールで沈殿させるサブステップであって、さらに、2.5 容量の氷冷エタノール(100%)と0.1 容量の3M 酢酸ナトリウム pH 5.2 を 25 mLのターゲットDNA とを具えるサブステップと、
b) 1,4000 rpm 、4°Cで30分間遠心するサブステップと、
c) 上清を傾けて捨て、沈澱を10 分間、風乾させ、巻いた Kimwipe を使って余分なエタノールを除去するサブステップと、
d) ターゲットの沈殿を5 mLの水、10 mLの20% SDSと35 mLのマスター溶液に再び、懸濁させるサブステップであって、このマスター溶液は、0.1 g のデキストラン硫酸(mwが約50,0000)、5 mLのホルムアルデヒド、1mlの20X SSC にさらに水を加えて7ml、pH 7.0、とするサブステップと、
e) 沈殿を再び懸濁した後で、ターゲットの混合物を75°Cで15 分間変性させるサブステップと,
f) ターゲットの混合物を37°Cのインキュベターに移し、Cot 1 DNA で少なくとも1時間ターゲットとプリアニールさせるサブステップと、
を具えることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項25の方法において、センスチップにターゲットをハイブリッド形成させるためのステップが、
a) センスチップを2X SSC で45°C で5 分間洗浄し、5 分間、風乾させるサブステップと、
b) センスチップを Stratalinker UV 機器に据え、2600x100mジュールでプローブDNA を検出部位の間隙表面にに共有結合させるサブステップと、
c) 温かいターゲット混合物をその表面に適用するサブステップと、
d) センスチップを支給されたプラスチックのハイブリッド形成チャンバーに密封するサブステップと、
e) それをインキュベーター内の低速ロッカーに乗せて、希望の温度と時間で反応させるサブステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項25の方法において、センスチップの洗浄のステップが、
a) あらかじめ温められた洗浄液 1 (50% ホルムアルデヒドと50% 1X SSC); 洗浄液 2 (2X SSC); 洗浄液 3 (0.1X SSC); および洗浄液 4 (0.1% NP-40 を含むPN緩衝液 0.1M 燐酸ナトリウム)を大きなCoplin 壜で45°Cに温めるサブステップと、
b) 上記の洗浄液を用いて、各洗浄液での以下の洗浄時間をかけてアレイのセンスチップをゆすぎ/浸し、すなわち、(i)ホルムアルデヒドで10分間、(ii)2X SSC で10分間、(iii)0.1 SSCで5分間および(iv)PN緩衝液で5分間をかけるサブステップと、
c) 最後に残った液をセンスチップのウェルから振ってのぞき、センスチップを15分間風乾させるサブステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項25の方法において、ストレプトアビジン‐金複合体を適用するステップが、
a) 0.1% BSAを含む15 mM NaCl溶液で、ストレプトアビジン/金の溶液を1:4の割合で希釈して、琥珀色の試験管に25 mLのストレプトアビジン/金の溶液を調製するステップと、
b) その溶液をピペットでセンスチップに注ぎ、プラスチックのチップカバーで覆うサブステップと、
c) センスチップを37°Cのインキュベーター内の低速のロッカーに30 分間載せるサブステップと、
d) 1X SSC で1 分間ゆすぐサブステップと、
e) さらに0.1X SSCで 1分間ゆすぐサブステップと、
f) センスチップを15分間風乾させるサブステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項25の方法において、ストレプトアビジン‐金複合体を銀で強化するステップが、
a)センスチップを再蒸留水を用いて、45°Cで1.5 分間ゆすいで、ナトリウムイオンを除くサブステップと、
b)暗室内で、100 mL の2M クエン酸ナトリウム、0.5 M ヒドロキノリン、0.03M の乳酸銀の溶液を調製し、その溶液の30 mLをセンスチップに注ぎ、室温で3 分間、反応させるサブステップと、
c)センスチップを1% 酢酸でゆすぎ、30 mL の同じ液を加え、2 分間、インキュベートするサブステップと、
d)センスチップをKodakO Rapid FixO固定液でゆすぎ、センスチップを30 mL の同じ液を加えて、室温で3 分間、インキュベートさせるサブステップと、
e)再蒸留水を用いて、センスチップを室温で 1.5 分間ゆすぎ、さらに 0.1% SSC を用いて、室温で 3 分間ゆすぐサブステップと、
f)最後に、再蒸留水を用いて室温で、30 秒間洗って銀強化反応を終えるサブステップと、
g)銀強化センスチップを乾燥させるサブステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項25の方法において、センスチップの計測ステップが、銀によるストレプトアビジン‐金複合体の強化反応の後に、ターゲットのハイブリッド形成前の抵抗値よりもセンスチップの抵抗値が減少していれば、プローブ/ターゲット間のハイブリッド形成がうまくいったことを示すことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項1の装置において、半導体基板が多種類の抵抗性の検出部位を具えることを特徴とする装置。
【請求項36】
請求項1の装置において、多数の伝導体基板が多種類の抵抗性の検出部位の基板ファミリーを具えることを特徴とする装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
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【図7】
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【図10】
【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【公表番号】特表2007−508543(P2007−508543A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533918(P2006−533918)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/030040
【国際公開番号】WO2005/040343
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(506118700)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/030040
【国際公開番号】WO2005/040343
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(506118700)
【Fターム(参考)】
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