説明

用紙搬送装置、用紙搬送装置の制御方法、および用紙搬送装置の制御プログラム

【課題】複数の機種でのシーケンスモジュールの共通化を促進することのできる用紙搬送装置、用紙搬送装置の制御方法、および用紙搬送装置の制御プログラムを提供する。
【解決手段】用紙搬送装置の用紙位置情報更新部は、2段縦搬送ローラー112による用紙の送り量を加算することにより、用紙先端の位置情報を更新する。用紙位置情報更新部は、用紙先端の位置情報が1段縦搬送センサー131の先端検出位置よりも上流側にある前位置に達した場合において、1段縦搬送センサー131が用紙の先端を検出しないとき、位置情報の更新を停止する。用紙位置情報更新部は、1段縦搬送センサー131が用紙の先端を検出した場合に、用紙先端の位置情報の更新を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙搬送装置、用紙搬送装置の制御方法、および用紙搬送装置の制御プログラムに関し、より特定的には、プリンターやMFP(Multifunction Peripheral)などの画像形成装置において用紙を搬送する用紙搬送装置、用紙搬送装置の制御方法、および用紙搬送装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置には、スキャナー機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンターとしての機能、データ通信機能、およびサーバー機能を備えたMFP、ファクシミリ装置、複写機、プリンターなどがある。
【0003】
電子写真法を用いた一般的な画像形成プロセスでは、たとえば以下の方法で用紙に画像が形成される。静電記録法を用いて像担持体表面にトナー像が形成され、このトナー像が1次転写ローラーによって中間転写ベルトに転写され、2次転写ローラーまで搬送される。用紙は、給紙カセットから1枚ずつ給紙され、所定のタイミングで2次転写ローラーへ搬送される。2次転写ローラーに搬送された用紙には、中間転写体上のトナー像が静電的に転写される。続いて用紙は定着器へと搬送される。そこで用紙には定着器により熱および圧力が加えられ、トナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、用紙搬送装置によって排紙トレイへ排紙される。
【0004】
用紙搬送装置は、通紙経路に沿って配置された複数のローラー(搬送ローラー)を含んでいる。従来の用紙搬送装置では、通紙経路に沿って搬送されている用紙の位置に関する情報である用紙位置情報を、各ローラーによる用紙の送り量(ローラーの回転数)から算出し、その用紙位置情報に基づいて各ローラーを順次駆動し、または停止させる搬送シーケンス制御が行われていた。たとえば、用紙先端が通紙経路の下流側のローラーに到達したことを用紙位置情報から検出した場合に、用紙搬送装置は下流側のローラーの駆動を開始していた。そして、用紙後端が通紙経路の上流側のローラー近辺を通過したことを用紙位置情報から検出した場合に、用紙搬送装置は上流側のローラーを停止させていた。
【0005】
しかしながら、従来においては用紙位置情報がローラーによる用紙の送り量のみに基づいて算出されていたため、用紙がローラーとの間でスリップした場合などには、用紙位置情報のみが更新され、実際の用紙の位置と用紙位置情報との間にずれが生じていた。その結果、実際には用紙先端が下流側のローラーに到達していない状態で、下流側のローラーを駆動し、かつ上流側のローラーの駆動を停めてしまう事態が発生し、上流側のローラーと下流側のローラーとの間で搬送ミスが生じてジャムが生じていた。
【0006】
実際の用紙の位置と用紙位置情報との間にずれによるジャムの発生を防止するため、従来においては、上流側のローラーと下流側のローラーとの駆動状態を切り替える通紙経路におけるポイント(搬送ローラー間で駆動の受け渡しが生じるポイント)に、用紙が到達したことを検出するためのセンサー(搬送センサー)が配置されていた。用紙搬送装置は、用紙位置情報の他にさらにセンサーの検出状態に基づいて、各ローラーの駆動状態を切り替えていた。具体的には、用紙搬送装置は、下流側のローラー付近に設けられたセンサーが用紙先端を検出した場合に、下流側のローラーの駆動を開始し、下流側のローラーによる搬送を開始していた。
【0007】
上述のような、上流側のローラーと下流側のローラーとの駆動状態を切り替えるポイントを含む区間の搬送制御プログラムは、用紙位置情報を算出および更新し、かつ用紙位置情報を保持する用紙位置管理モジュールと、用紙位置情報を参照して各ローラーを順次駆動するシーケンスモジュールとを含んでいる。シーケンスモジュールは、用紙搬送区間に応じたサブモジュールとして、各給紙カセットから用紙を給紙して、給紙ローラーの下流側の縦搬送ローラーまで用紙を搬送する各給紙口の給紙シーケンスモジュールと、上流側の縦搬送ローラーから下流側の縦搬送ローラーまで用紙を搬送する縦搬送シーケンスモジュールとを含んでいる。
【0008】
なお、用紙搬送に関する技術は、たとえば下記特許文献1および2に開示されている。下記特許文献1には、用紙検出のための複数のスイッチを含み、複数のスイッチによる用紙の検出状態に基づいてペーパーロケーションを更新する技術が開示されている。下記特許文献2には、進行許可が、用紙サイズおよび搬送パス長から次の用紙に対する給紙タイミングを算出して転写紙に通知し、転写紙は、進行許可からメッセージを受信し、印刷用紙の移動、停止を司る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−93156号公報
【特許文献2】特開平11−343064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
搬送ミスを防止するために、用紙搬送装置の各モジュールを開発する開発者は、複数の機種を開発する場合に、ローラーの駆動を開始させる位置を機種ごとに設計する必要があった。上流側のローラーと下流側のローラーとの駆動状態を切り替えるポイントでは、各モジュールは、用紙位置情報だけでなくセンサーの検出状態も参照する必要があった。その結果、装置構成の複雑化を招いていた。この問題は、特許文献1および2においても解決できるものではなかった。
【0011】
センサーの検出状態は、センサーが配置される位置や数などに依存する。上流側のローラーと下流側のローラーとの駆動状態を切り替えるポイントは、一つの機種においても複数箇所存在するため、それぞれのポイントにおいて、開発者はセンサーの検出状態に基づく設定を変更する必要があり、モジュールの作成に手間がかかっていた。また、センサーが配置される位置や数は機種毎に異なるため、複数の機種を開発する場合には、開発者はモジュールの作成に一層手間がかかっていた。
【0012】
上述のように、従来の用紙搬送装置は、画像形成装置の機種毎に変更されるセンサーの検出状態に依存した設計が行われていた。このため、用紙搬送装置は特定の機種のみに特化した設計になり、センサー状態に依存した設計が、複数の機種に共通する用紙搬送装置(シーケンスモジュール)の開発の妨げとなり、開発効率を損なっていた。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その一の目的は、複数の機種でのシーケンスモジュールの共通化を促進することのできる用紙搬送装置、用紙搬送装置の制御方法、および用紙搬送装置の制御プログラムを提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、装置構成を簡素化することのできる用紙搬送装置、用紙搬送装置の制御方法、および用紙搬送装置の制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一の局面に従う用紙搬送装置は、用紙を搬送する第1の搬送ローラーと、第1の搬送ローラーよりも下流側において、用紙を搬送する第2の搬送ローラーと、第2の搬送ローラーよりも下流側の先端検出位置で、用紙の先端を検出する検出センサーと、先端の位置情報を出力する第1の先端位置出力手段と、検出センサーの検出状態に基づかず、第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報に基づいて、第1および第2の搬送ローラーの各々の駆動状態を制御する制御手段とを備え、第1の先端位置出力手段は、第1の搬送ローラーによる用紙の送り量を加算することにより、用紙先端の位置情報を更新する第1の先端位置更新手段と、第1の先端位置更新手段にて更新した位置情報が先端検出位置よりも上流側にある前位置に達した場合において、検出センサーが用紙の先端を検出しないとき、第1の先端位置更新手段による用紙先端の位置情報の更新を停止させる先端位置更新停止手段と、先端位置更新停止手段にて更新を停止させた後で、検出センサーが用紙の先端を検出した場合に、先端検出位置を始点として第1の先端位置更新手段による用紙先端の位置情報の更新を再開させる第1の先端位置更新再開手段とを含む。
【0016】
上記用紙搬送装置において好ましくは、用紙先端の位置情報を出力する第2の先端位置出力手段をさらに備え、第2の先端位置出力手段は、第1の搬送ローラーによる用紙の送り量を加算することにより、用紙先端の位置情報を更新する第2の先端位置更新手段と、検出センサーが用紙の先端を検出した場合に、第2の先端位置更新手段にて更新された用紙先端の位置情報を先端検出位置に補正する第1の補正手段とを含み、制御手段は、第2の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報にさらに基づいて、第1および第2の搬送ローラーの各々の駆動状態を制御する。
【0017】
上記用紙搬送装置において好ましくは、第2の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報と、第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報との差に基づいて、ジャムの発生を検出するジャム検出手段をさらに備える。
【0018】
上記用紙搬送装置において好ましくは、第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報が先端検出位置に到達していないにもかかわらず、第2の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報が第1の位置に達した場合、および第2の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報と、第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報との差が第1の閾値を超えた場合のうち少なくともいずれか一方の場合に、制御手段は、第1の搬送ローラーによる給紙を一旦停止した後で再実行する。
【0019】
上記用紙搬送装置において好ましくは、第2の位置情報出力手段は、制御手段が給紙を再実行する場合に、第2の先端位置更新手段にて更新された用紙先端の位置情報を給紙開始位置に補正する第2の補正手段をさらに含む。
【0020】
上記用紙搬送装置において好ましくは、第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報が先端検出位置に到達していないにもかかわらず、第2の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報が第2の位置に達した場合、および第2の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報と、第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報との差が第2の閾値を超えた場合のうち少なくともいずれか一方の場合に、制御手段はジャムが発生したと判断する。
【0021】
上記用紙搬送装置において好ましくは、第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報から用紙の送り方向の長さを減ずることにより、用紙後端の位置情報を出力する後端位置出力手段をさらに備える。
【0022】
上記用紙搬送装置において好ましくは、検出センサーは、第2の搬送ローラーよりも下流側の後端検出位置で、用紙の後端をさらに検出し、後端位置出力手段は、第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報から用紙の送り方向の長さを減ずることにより、用紙後端の位置情報を更新する後端位置更新手段と、後端位置更新手段にて更新した用紙後端の位置情報が後端検出位置よりも上流側の前位置に達した場合において、検出センサーが用紙の後端を検出しないとき、後端位置更新手段による用紙後端の位置情報の更新を停止させる後端位置更新停止手段と、後端位置更新停止手段にて更新を停止させた後で、検出センサーが用紙の後端を検出した場合に、後端検出位置を始点として後端位置更新手段による用紙後端の位置情報の更新を再開させる後端位置更新再開手段とを含む。
【0023】
上記用紙搬送装置において好ましくは、検出センサーは用紙の通紙経路における第1の範囲内で用紙の先端を検出し、かつ用紙の通紙経路における第2の範囲内で用紙の後端を検出し、第2の範囲内における通紙経路の最も上流側の位置であるオフエッジ検出開始位置は、第1の範囲内における通紙経路の最も上流側の位置であるオンエッジ検出開始位置よりも上流側にある。
【0024】
上記用紙搬送装置において好ましくは、用紙が定型のサイズでない場合のエラーであるサイズエラーを検出するサイズエラー検出手段をさらに備え、サイズエラー検出手段は、第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報と、後端位置出力手段にて出力した用紙後端の位置情報との差に基づいて、サイズエラーを検出する。
【0025】
上記用紙搬送装置において好ましくは、先端検出位置よりも下流側の下流側検出位置で、用紙の先端を検出する他の検出センサーをさらに備え、第1の先端位置出力手段は、検出センサーが用紙の先端を検出しない場合において、他の検出センサーが用紙の先端を検出したときに、下流側検出位置を始点として第1の先端位置更新手段による位置情報の更新を再開させる第2の先端位置更新再開手段をさらに含む。
【0026】
本発明の他の局面に従う用紙搬送装置の制御方法は、用紙を搬送する第1の搬送ローラーと、第1の搬送ローラーよりも下流側において、用紙を搬送する第2の搬送ローラーと、第2の搬送ローラーよりも下流側の先端検出位置で、用紙の先端を検出する検出センサーとを備えた用紙搬送装置の制御方法であって、用紙先端の位置情報を出力する第1の先端位置出力ステップと、検出センサーの検出状態に基づかず、第1の先端位置出力ステップにて出力した用紙先端の位置情報に基づいて、第1および第2の搬送ローラーの各々の駆動状態を制御する制御ステップとを備え、第1の先端位置出力ステップは、第1の搬送ローラーによる用紙の送り量を加算することにより、用紙先端の位置情報を更新する第1の先端位置更新ステップと、第1の先端位置更新ステップにて更新した位置情報が先端検出位置よりも上流側にある前位置に達した場合において、検出センサーが用紙の先端を検出しないとき、第1の先端位置更新ステップにおける用紙先端の位置情報の更新を停止させる先端位置更新停止ステップと、先端位置更新停止ステップにて更新を停止させた後で、検出センサーが用紙の先端を検出した場合に、先端検出位置を始点として第1の先端位置更新ステップにおける用紙先端の位置情報の更新を再開させる第1の先端位置更新再開ステップとを含む。
【0027】
本発明のさらに他の局面に従う用紙搬送装置の制御プログラムは、用紙を搬送する第1の搬送ローラーと、第1の搬送ローラーよりも下流側において、用紙を搬送する第2の搬送ローラーと、第2の搬送ローラーよりも下流側の先端検出位置で、用紙の先端を検出する検出センサーとを備えた用紙搬送装置の制御プログラムであって、用紙先端の位置情報を出力する第1の先端位置出力ステップと、検出センサーの検出状態に基づかず、第1の先端位置出力ステップにて出力した用紙先端の位置情報に基づいて、第1および第2の搬送ローラーの各々の駆動状態を制御する制御ステップとをコンピュータに実行させ、第1の先端位置出力ステップは、第1の搬送ローラーによる用紙の送り量を加算することにより、用紙先端の位置情報を更新する第1の先端位置更新ステップと、第1の先端位置更新ステップにて更新した位置情報が先端検出位置よりも上流側にある前位置に達した場合において、検出センサーが用紙の先端を検出しないとき、第1の先端位置更新ステップにおける用紙先端の位置情報の更新を停止させる先端位置更新停止ステップと、先端位置更新停止ステップにて更新を停止させた後で、検出センサーが用紙の先端を検出した場合に、先端検出位置を始点として第1の先端位置更新ステップにおける用紙先端の位置情報の更新を再開させる第1の先端位置更新再開ステップとを含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、複数の機種でのシーケンスモジュールの共通化を促進することのできる用紙搬送装置、用紙搬送装置の制御方法、および用紙搬送装置の制御プログラムを提供することができる。また本発明によれば、装置構成を簡素化することのできる用紙搬送装置、用紙搬送装置の制御方法、および用紙搬送装置の制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるMFP1のプリントエンジン部の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図1のMFP1の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】用紙搬送部10における給紙機構および縦搬送機構の具体例を示す断面図である。
【図4】用紙位置情報更新部(用紙位置更新モジュール)62による用紙位置情報の更新方法を模式的に示す図である。
【図5】ジャム検出位置情報更新部63によるジャム検出用の用紙位置情報の更新方法を模式的に示す図である。
【図6】用紙位置情報更新部62の動作を示すフローチャートである。
【図7】従来の用紙位置情報の更新方法を模式的に示す図である。
【図8】A3サイズの用紙に印字可能な従来の画像形成装置(A3機)における給紙ローラーからタイミングローラーまでの通紙経路の搬送機構の構成を示す断面図である。
【図9】A4サイズの用紙に印字可能な従来の画像形成装置(A4機)の構成を示す断面図である。
【図10】従来の用紙搬送装置の制御プログラム(給紙搬送制御プログラム)のソフト構造を示す図である。
【図11】本発明の一実施の形態における画像形成装置の制御プログラム(給紙搬送制御プログラム)のソフト構造を模式的に示す図である。
【図12】用紙位置情報更新部(用紙位置更新モジュール)62による用紙位置情報の更新方法を模式的に示す図である。
【図13】センサーSE1のオフエッジ検出開始位置とオンエッジ検出開始位置との関係を示す図である。
【図14】給紙リトライの要否および給紙ジャムの発生の有無を判断する場合における、ジャム検出位置情報更新部63が出力するジャム検出用の用紙先端の位置情報および用紙位置情報更新部62が出力する用紙先端の位置情報の時間変化を模式的に示す図である。
【図15】給紙リトライの要否および給紙ジャムの発生の有無を判断する制御を示すフローチャートである。
【図16】用紙が重送された場合の用紙SH2の先端および後端の位置情報の時間変化を模式的に示す第1の図である。
【図17】重送が解消された場合の用紙SH2の先端および後端の位置情報の時間変化を模式的に示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0031】
本実施の形態にいては、用紙搬送装置が画像形成装置、特にMFPである場合について説明する。画像形成装置は、たとえば電子写真方式や静電記録方式などによって画像形成を行うものであり、MFPの他に、ファクシミリ装置、PPC(Plain Paper Copier)複写機などの複写機、またはレーザープリンターなどのプリンターなどであってもよい。また画像形成装置は、モノクロおよびカラーのいずれの画像を形成するものであってもよいし、アナログ方式およびデジタル方式のいずれの方式で画像を形成するものであってもよい。用紙搬送装置は、用紙を搬送するものであればよく、画像形成装置以外のものであってもよい。
【0032】
[第1の実施の形態]
【0033】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるMFP1のプリントエンジン部の構成を模式的に示す断面図である。
【0034】
図1を参照して、本実施の形態における画像形成装置としてのタンデム型のMFP1は、スキャナー部52(図2)と、用紙に印刷(画像形成)を行うプリントエンジン部54とを主に備えている。
【0035】
プリントエンジン部54は、カラープリント機能を有しており、用紙搬送部10(用紙搬送装置の一例)と、転写部20と、定着部30(定着ユニット)とを含んでいる。プリントエンジン部54は、必要に応じてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のYMCKの4色の画像を合成し、用紙にカラー画像を形成する。
【0036】
転写部20は、4組の作像ユニット21Y、21M、21C、および21K(以下、これらをまとめて作像ユニット21と呼ぶことがある)と、中間転写ベルト22と、2次転写ローラー23などで構成されている。
【0037】
中間転写ベルト22は、環状であり、複数のローラー(図示無し)の間に架けわたされている。中間転写ベルト22は、用紙搬送部10と連動して回転する。2次転写ローラー23は、中間転写ベルト22におけるローラーに接触している部分に対向するように配置されている。用紙は、中間転写ベルト22と2次転写ローラー23との間で挟まれながら搬送される。
【0038】
作像ユニット21の各々は、中間転写ベルト22の直下に並置されており、それぞれY、M、C、Kの画像を感光体24Y、24M、24C、および24K(以下、これらをまとめて感光体24と呼ぶことがある)の各々の上に形成する。作像ユニット21の各々における感光体24は、トナー像を中間転写ベルト22に転写し、その中間転写ベルト22上に、用紙に形成する4色分のトナー像の鏡像を形成する(1次転写)。その後、高電圧が印加された2次転写ローラー23により、中間転写ベルト22に形成されたトナー像が用紙に転写され、用紙上にトナー像が形成される(2次転写)。トナー像が形成された用紙は、定着部30へ搬送される。
【0039】
定着部30は、用紙を加熱することで、用紙に対して画像(トナー像)を定着させる。定着部30は、加圧ローラー31と、加熱ローラー32と、定着ローラー33と、定着ベルト34とを含んでいる。加熱ローラー32には加熱ヒーター35が内蔵されている。加熱ヒーター35は、たとえば電力を供給されることにより点灯し、それにより加熱ローラー32を加熱する。定着ローラー33は、加圧ローラー31と加熱ローラー32との間に設けられており、定着ベルト34は加熱ローラー32および定着ローラー33に巻き掛けられている。加圧ローラー31は、定着ローラー33に巻き掛けられた定着ベルト34の部分と接触して、トナー像が形成された用紙を挟持搬送するニップ部を形成している。加圧ローラー31は、モーター(図示無し)によって回転駆動される。定着ベルト34は加圧ローラー31の回転に従動し、定着ベルト34の回転によって加熱ローラー32および定着ローラー33が回転する。加熱ローラー32(定着ベルト34)および加圧ローラー31の各々には、表面温度を計測するサーミスタTM1およびTM2の各々が設けられている。定着部30は、サーミスタTM1およびTM2で測定された表面温度に基づいて温調制御が行われる。
【0040】
用紙搬送部10は、給紙トレイ(給紙口)40に保管された用紙を、1枚ずつ通紙経路R1またはR2に沿って搬送するものである。用紙搬送部10は、給紙ローラー11と、タイミングローラー12(レジストローラー)と、排紙ローラー13と、搬送ローラー14〜17とを含んでいる。給紙ローラー11、タイミングローラー12、および排紙ローラー13の各々は、通紙経路R1における上流側(給紙トレイ40側)から下流側(排紙ローラー13側)へ向かってこの順序で配置されている。給紙ローラー11、タイミングローラー12、排紙ローラー13、および搬送ローラー14〜17の各々は、たとえば対向する2つのローラーで用紙を挟みながらそのローラーを回動させて用紙を搬送する。なお、用紙搬送部10は、これら以外にも用紙を搬送するためなどに用いられるローラーを有していてもよい。
【0041】
給紙トレイ40に保管された用紙は、給紙ローラー11によって1枚ずつ通紙経路R1に沿って給紙される。続いて用紙は、タイミングローラー12の前で一旦停止された後、所定のタイミングで2次転写ローラー23へ搬送され、トナー像が形成される。次に用紙は、定着部30においてトナー像が定着され、排紙ローラー13によって画像形成装置外(機外)へ排出される。
【0042】
両面印刷の場合、表面に画像が形成された用紙は、定着部30を通過後、排紙ローラー13においてスイッチバックされ、通紙経路R2に沿って搬送される。用紙は、搬送ローラー14〜17によって通紙経路R2に沿って搬送された後、再び通紙経路R1に沿って搬送され、その裏面に画像が形成される。その後用紙は、排紙ローラー13によって画像形成装置外へ排出される。
【0043】
なお、用紙搬送部10は、給紙ローラー11の下流側における通紙を検出する給紙センサー18と、タイミングローラー12の上流側における通紙を検出するタイミングセンサー19(レジストセンサー)とをさらに含んでいる。
【0044】
図2は、図1のMFP1の機能的構成を示すブロック図である。
【0045】
図2を参照して、MFP1は、CPU(Central Processing Unit)51(制御手段の一例)と、スキャナー部52と、画像処理部53と、プリントエンジン部54と、画像出力部55と、ファクシミリ制御部56と、ネットワーク接続部57と、ROM(Read Only Memory)58と、RAM(Random Access Memory)59と、HDD(Hard Disk Drive)60と、操作パネル61と、用紙位置情報更新部62(第1の先端位置出力手段の一例)と、ジャム検出位置情報更新部63(第2の先端位置出力手段の一例)とを備えている。
【0046】
スキャナー部52は原稿の画像を読み取る。画像処理部53は画像データに対して処理を行う。プリントエンジン部54は画像処理部53にて処理された画像データに基づいて用紙などに画像を形成する。画像出力部55は画像データなどの出力処理を制御する。ファクシミリ制御部56は通信回線を通して画像データなどを送信する。ネットワーク接続部57はMFP1と外部機器との接続を制御する。ROM58は、MFP1の制御プログラムなどを保存する。RAM59は、スキャナー部52にて読み取った画像データなどのデータを一時的に記憶する。HDD60は、各種データを保存し、データの書き換えが可能である。操作パネル61は、ユーザーからMFP1の操作を受け付けたり、ユーザーへの各種情報の表示を行ったりする。用紙位置情報更新部62は、用紙を搬送するローラーによる用紙の送り量と、用紙先端および用紙後端を検出する検出センサーの検出状態とに基づいて、MFP1内を搬送される用紙先端および後端の位置情報を更新する。ジャム検出位置情報更新部63は、用紙を搬送するローラーによる用紙の送り量と、用紙先端および用紙後端を検出する検出センサーの検出状態とに基づいて、後述するジャム検出用の用紙先端および後端の位置情報を出力する。
【0047】
CPU51は、スキャナー部52、画像処理部53、プリントエンジン部54、画像出力部55、ファクシミリ制御部56、ネットワーク接続部57、ROM58、RAM59、HDD60、操作パネル61、用紙位置情報更新部62、およびジャム検出位置情報更新部63の各々と、通信または信号の送受信を実施することで、MFP1全体を制御する。特にCPU51は、用紙位置情報更新部62が出力する用紙先端および後端の位置情報と、ジャム検出位置情報更新部63が出力するジャム検出用の用紙先端および後端の位置情報とに基づいて、用紙搬送部10を構成するローラーの駆動状態を制御する。
【0048】
図3は、用紙搬送部10における給紙機構および縦搬送機構の具体例を示す断面図である。
【0049】
図3を参照して、用紙搬送部10は、1段給紙ローラー101と、2段給紙ローラー102と、1段縦搬送ローラー111と、2段縦搬送ローラー112と、タイミングローラー12と、1段給紙センサー18aと、2段給紙センサー18bと、1段縦搬送センサー131と、2段縦搬送センサー132と、OHP(Overhead Projector)検出センサー133と、タイミングセンサー19とを含んでいる。1段給紙ローラー101は、1段目の給紙トレイから用紙を給紙する。2段給紙ローラー102は、2段目の給紙トレイから用紙を給紙する。1段縦搬送ローラー111、2段縦搬送ローラー112、およびタイミングローラー12は、通紙経路R1における縦方向に延在する経路に沿って設けられており、用紙を通紙方向AR1に沿って搬送する。1段給紙センサー18aは、1段給紙ローラー101の下流側における通紙を検出する。2段給紙センサー18bは、2段給紙ローラー102の下流側における通紙を検出する。1段縦搬送センサー131は、1段縦搬送ローラー111の下流側における通紙を検出する。2段縦搬送センサー132は、2段縦搬送ローラー112の下流側における通紙を検出する。OHP検出センサー133は、OHP用シートとそれ以外の用紙との判別を行う。1段給紙ローラー101および2段給紙ローラー102は、正逆回転可能である1、2段給紙モーターにより駆動される。タイミングローラー12はタイミングモーターにより駆動され、1段縦搬送ローラー111は1段搬送モーターにより駆動され、2段縦搬送ローラー112は2段搬送モーターにより駆動される。
【0050】
図4は、用紙位置情報更新部(用紙位置更新モジュール)62による用紙位置情報の更新方法を模式的に示す図である。図4、ならびに以降の図5、図7、図12、図14、図16、および図17では、縦軸が用紙位置を示しており、横軸が時間を示している。また、Aローラーは、相対的に上流側で用紙を搬送するローラー(第1の搬送ローラーの一例)を示しており、Bローラーは、相対的に下流側で用紙を搬送するローラー(第2の搬送ローラーの一例)を示している。Aセンサーは、Aローラーよりも下流側の検出位置で、用紙先端を検出する。Bセンサー(検出センサーの一例)は、Bローラーよりも下流側の検出位置で、用紙先端を検出する。Aローラーは、たとえば図3における2段縦搬送ローラー112を示しており、Bローラーは、たとえば図3における1段縦搬送ローラー111を示している。Aセンサーは、たとえば図3における2段縦搬送センサー132を示しており、Bセンサーは、たとえば図3における1段縦搬送センサー131を示している。用紙位置情報更新部62は、用紙先端および後端の位置情報を出力する。図4では、用紙位置情報更新部62が出力する用紙先端の位置情報を線X1で示しており、用紙位置情報更新部62が出力する用紙後端の位置情報を線Y1で示している。
【0051】
図4を参照して、最初はAローラーによって用紙が搬送されている。時刻T1より前においては、用紙位置情報更新部62は、Aローラーによる用紙の送り量を加算することにより位置情報を更新する。その結果、用紙先端の位置情報は時間に比例して下流側へ移動する。
【0052】
時刻T1において、用紙位置情報更新部62が出力する用紙先端位置が、Aセンサーの検出位置よりもわずかに上流側の位置(Aセンサーの直前の位置)である位置A1に達しても、Aセンサーが用紙先端を検出しない場合(オンエッジを検出しない場合)を想定する。この場合、用紙位置情報更新部62は、用紙先端の位置情報の更新を位置A1で停止し、用紙先端の位置情報を位置A1のまま維持する。このような事態は、用紙位置情報更新部62が出力する位置情報と実際の用紙先端の位置との間にずれが生じた場合に起こり得る。
【0053】
時刻T2において、Aセンサーが用紙先端を検出した場合(オンエッジを検出した場合)に、用紙位置情報更新部62は、Aセンサーの検出位置を始点として用紙先端の位置情報の更新を再開する。時刻T2〜時刻T3においては、用紙位置情報更新部62は、Aローラーによる用紙の送り量を加算することにより用紙先端の位置情報を更新する。
【0054】
CPU51(制御手段の一例)は、AセンサーおよびBセンサーの検出状態に基づかず、用紙位置情報更新部62が出力した位置情報に基づいて、AローラーおよびBローラーの各々の駆動状態を制御する。具体的には、時刻T3において、用紙先端がBローラーに到達したという情報を用紙位置情報更新部62から受け付けた場合に、用紙搬送部10はBローラーの駆動を開始し、Aローラーの駆動を停止する。なお、用紙搬送部10はBローラーの駆動を開始し、Aローラーの駆動を停止するタイミングは、時刻T3に限定されるものではない。
【0055】
時刻T3〜時刻T4においては、用紙位置情報更新部62は、Bローラーによる用紙の送り量を加算することにより用紙先端の位置情報を更新する。
【0056】
時刻T4において、用紙位置情報更新部62が出力する用紙先端の位置情報が、Bセンサーの検出位置よりもわずかに上流側の位置(Bセンサーの直前の位置)である位置B1に達しても、Bセンサーが用紙先端を検出しない場合(オンエッジを検出しない場合)を想定する。この場合、用紙位置情報更新部62は、用紙先端の位置情報の更新を位置B1で停止し、用紙先端の位置情報を位置B1のまま維持する。
【0057】
時刻T5において、Bセンサーが用紙先端を検出した場合(オンエッジを検出した場合)に、用紙位置情報更新部62は、Bセンサーの検出位置を始点として用紙先端の位置情報の更新を再開する。
【0058】
時刻T5以降においては、用紙位置情報更新部62は、Bローラーによる用紙の送り量を加算することにより用紙先端の位置情報を更新する。その結果、用紙先端の位置情報は時間に比例して下流側へ移動する。
【0059】
上述のように、補正対象センサーであるAセンサーおよびBセンサーがオンエッジを検出するまで、用紙先端の位置情報の更新を停止することで、用紙位置情報更新部62が出力する用紙先端の位置情報が、実際の用紙先端の位置よりも下流側の位置になることが抑制され、用紙先端の位置情報の精度が向上する。その結果、用紙先端の位置情報を参照してシーケンスを制御する給紙および縦搬送のシーケンスモジュールが、センサー情報に依存する必要がなくなる。
【0060】
また図4では、用紙位置情報更新部62は、用紙先端の位置情報から用紙FD長(用紙の送り方向の長さ)を減じた位置を、用紙後端の位置情報として出力している。
【0061】
図5は、ジャム検出位置情報更新部63によるジャム検出用の用紙位置情報の更新方法を模式的に示す図である。図5では、ジャム検出位置情報更新部63が出力するジャム検出用の用紙先端の位置情報を線X2で示しており、ジャム検出位置情報更新部63が出力するジャム検出用の用紙後端の位置情報を線Y2で示している。
【0062】
図5を参照して、ジャムを検出するためには、実際の用紙が狙いのタイミングで狙いの位置に到達していないことを検出する必要がある。このタイミングを検出するために、ジャム検出位置情報更新部63が設けられている。ジャム検出位置情報更新部63は、ジャム検出用の用紙先端および後端の位置情報を出力する。
【0063】
時刻T2よりも前においては、ジャム検出位置情報更新部63は、Aローラーによる用紙の送り量を加算することによりジャム検出用の用紙先端の位置情報を更新する。ジャム検出位置情報更新部63は、時刻T1においてジャム検出用の用紙先端の位置情報が位置A1に達しても、位置情報の更新を継続する。その結果、ジャム検出用の用紙先端の位置情報は時間に比例して下流側へ移動する。
【0064】
時刻T2において、Aセンサーが用紙先端を検出した場合(オンエッジを検出した場合)に、ジャム検出位置情報更新部63は、Aセンサーの検出位置に用紙先端の位置情報を補正し、用紙先端の位置情報の更新を継続する。
【0065】
時刻T2〜時刻T3においては、ジャム検出位置情報更新部63は、Aローラーによる用紙の送り量を加算することにより用紙先端の位置情報を更新する。その結果、用紙先端の位置情報は時間に比例して下流側へ移動する。
【0066】
時刻T3〜時刻T5においては、ジャム検出位置情報更新部63は、Bローラーによる用紙の送り量を加算することにより用紙先端の位置情報を更新する。ジャム検出位置情報更新部63は、時刻T4においてジャム検出用の用紙先端の位置情報が位置B1に達しても、位置情報の更新を継続する。
【0067】
時刻T5において、Bセンサーが用紙先端を検出した場合(オンエッジを検出した場合)に、ジャム検出位置情報更新部63は、Bセンサーの検出位置に用紙先端の位置情報を補正し、用紙先端の位置情報の更新を継続する。
【0068】
上述のように、ジャム検出位置情報更新部63は、補正対象センサーであるAセンサーまたはBセンサーの検出位置に達しても、オンエッジを検出するまで位置情報を更新し続け、AセンサーまたはBセンサーがオンエッジを検出した場合に、ジャム検出用の用紙先端の位置情報をAセンサーまたはBセンサーの検出位置に補正する。このため、AセンサーまたはBセンサーによるオンエッジの検出が遅れた場合には、ジャム検出位置情報更新部63が出力するジャム検出用の用紙先端の位置情報と、用紙位置情報更新部62が出力する用紙先端の位置情報との差が生じる。
【0069】
CPU51(制御手段の一例)は、ジャム検出位置情報更新部63が出力するジャム検出用の用紙先端の位置情報と、用紙位置情報更新部62が出力する用紙先端の位置情報との差に基づいて、ジャムの発生を検出し、AローラーおよびBローラーの駆動状態を制御する。CPU51は、たとえば上記の差が一定値以上となった場合にジャムが発生したと判定する。その結果、給紙および縦搬送のシーケンスモジュールは、ジャムの検出においても機種固有のセンサー情報に依存する必要がなくなり、さらにジャム検出用の閾値を複数設定する必要もなくなる。
【0070】
また図5では、ジャム検出位置情報更新部63は、ジャム検出用の用紙先端の位置情報から用紙FD長を減じた位置(用紙先端の位置よりも用紙FD長だけ上流側の位置)を、用紙後端の位置情報として出力する。
【0071】
図6は、用紙位置情報更新部62の動作を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、たとえば、ROM58に格納された制御プログラムをCPU51がロードすることにより実行される。
【0072】
図6を参照して、用紙搬送部10がAローラーの駆動を開始すると(S1)、用紙位置情報更新部62は、Aローラーによる用紙の送り量に基づいて用紙先端の位置情報を更新する(S3)。続いて用紙位置情報更新部62は、用紙先端の位置情報が位置A1に達したか否かを判別する(S5)。
【0073】
ステップS5において、位置A1に達したと判別した場合(S5でYes)、用紙位置情報更新部62は、位置情報の更新を停止し(S7)、Aセンサーが用紙先端を検出したか否かを判別する(S9)。一方、ステップS5において、位置A1に達しないと判別した場合(S5でNo)、用紙位置情報更新部62はステップS5の処理を繰り返す。
【0074】
ステップS9において、Aセンサーが用紙先端を検出したと判別した場合(S9でYes)、用紙位置情報更新部62は、Aセンサーの検出位置を始点として用紙先端の位置情報の更新を再開し(S11)、ステップS13の処理へ進む。一方、ステップS9において、Aセンサーが用紙先端を検出しないと判別した場合(S9でNo)、用紙位置情報更新部62はステップS9の処理を繰り返す。ステップS13において、用紙位置情報更新部62は、用紙先端の位置情報が位置B1に達したか否かを判別する(S13)。
【0075】
ステップS13において、位置B1に達したと判別した場合(S13でYes)、用紙位置情報更新部62は、位置情報の更新を停止し(S15)、Bセンサーが用紙先端を検出したか否かを判別する(S17)。一方、ステップS13において、位置B1に達しないと判別した場合(S13でNo)、用紙位置情報更新部62はステップS13の処理を繰り返す。
【0076】
ステップS17において、Bセンサーが用紙先端を検出したと判別した場合(S17でYes)、用紙位置情報更新部62は、Bセンサーの検出位置を始点として用紙先端の位置情報の更新を再開し(S19)、処理を終了する。一方、ステップS17において、Bセンサーが用紙先端を検出しないと判別した場合(S17でNo)、用紙位置情報更新部62はステップS17の処理を繰り返す。
【0077】
本実施の形態によれば、ローラーの送り量から用紙位置情報を算出する用紙位置更新制御において、ローラー下流に位置するセンサーでオンエッジを検出するまでは、センサーとローラーの間で用紙位置情報の更新が停止され、オンエッジを検出した場合に、センサーの検出位置に用紙位置が補正される。これにより、用紙位置を正確に算出することができる。また、用紙搬送のシーケンスを制御する各シーケンスモジュールが、用紙位置のみを参照すればよくなり、差センサーの検出状態を参照する必要がなくなる。互いに異なる複数の機種の画像形成装置を開発する際には、センサーの検出状態に依存した設計をシーケンスモジュールから除くことができ、用紙位置の設定のみを変更すればよくなる。その結果、シーケンスモジュールの共通性を高めることができ、ソフト開発効率の向上を図ることができる。
【0078】
次に、従来の用紙位置情報の更新方法と比較することにより、本実施の形態の効果について詳細に説明する。
【0079】
図7は、従来の用紙位置情報の更新方法を模式的に示す図である。図7では、用紙先端の位置情報を線X3で示しており、用紙後端の位置情報を線Y3で示している。
【0080】
図7を参照して、従来においては、基本的に用紙を駆動するローラーの送り量を加算することにより、用紙位置情報が更新されていた。また、センサーで通紙を検出した場合に、そのセンサーの検出位置に用紙位置情報が補正されていた。
【0081】
具体的には、時刻T12よりも前においては、Aローラーによる用紙の送り量を加算することにより用紙先端の位置情報が更新する。その結果、用紙先端の位置情報は時間に比例して下流側へ移動する。
【0082】
時刻T12において、Aセンサーが用紙先端を検出した場合、Aセンサーの検出位置に用紙先端の位置情報が補正される。その後、Aローラーによる用紙の送り量に基づいて用紙先端の位置情報の更新が継続される。
【0083】
時刻T12〜時刻T14においては、Aローラーによる用紙の送り量を加算することにより用紙先端の位置情報が更新される。その結果、用紙先端の位置情報は時間に比例して下流側へ移動する。
【0084】
時刻T14において、Bセンサーが用紙先端を検出した場合、Bセンサーの検出位置に用紙先端の位置情報が補正される。また、時刻T14において、Bセンサーが用紙先端を検出した場合、Bローラーの駆動が開始され、Aローラーの駆動が停止される。その後、Bローラーによる用紙の送り量に基づいて用紙先端の位置情報の更新が継続される。
【0085】
時刻T14以降においては、Bローラーによる用紙の送り量を加算することにより用紙先端の位置情報が更新される。なお、時刻T11は、用紙先端の位置情報がAセンサーの検出位置となった時刻を示しており、時刻T13は、用紙先端の位置情報がBセンサーの検出位置となった時刻を示している。時刻T11およびT13においては、用紙先端の位置情報の更新は停止されない。
【0086】
また、用紙後端の位置情報は、用紙先端の位置情報から用紙FD長を減じた位置として更新される。
【0087】
上述のように、従来の用紙位置情報は、補正対象センサー(AセンサーまたはBセンサー)がオンしたタイミングで、用紙位置情報が補正対象センサーの位置に補正されていた。このため、AローラーとBローラーとの間で用紙の搬送が遅れた場合、用紙位置情報では、時刻T11〜時刻T12において用紙先端がAセンサーの検出位置よりも下流側に位置していていても、実際には用紙先端はAセンサー検出位置に到達していないことがあった。同様に、用紙位置情報では、時刻T13〜時刻T14において用紙先端がBセンサーの検出位置よりも下流側に位置していていても、実際には用紙先端はBセンサー検出位置に到達していないことがあった。その結果、Aローラーの駆動を停止してBローラーの駆動を開始するタイミングを、用紙位置情報のみを参照して決めると、用紙先端がBローラーに到達する前にAローラーの駆動が停止され、用紙の搬送をうまく引き継ぐことができない場合があった。このため、用紙位置情報だけに基づいてローラーの駆動を切り替えることには問題があった。
【0088】
上記の問題を考慮して、従来の制御では、Aローラーの駆動を停止してBローラーの駆動を開始するタイミングが、用紙位置情報と補正対象センサーの検出状態との両方を参照して決められていた。
【0089】
図8は、A3サイズの用紙に印字可能な従来の画像形成装置(A3機)における給紙ローラーからタイミングローラーまでの通紙経路の搬送機構の構成を示す断面図である。
【0090】
図8を参照して、従来のA3機の画像形成装置において、通紙経路R1の縦方向に延在する経路(縦搬送経路)よりも図8中左側には、通紙経路R1へ給紙する用紙の給紙口として、上から順に1段給紙口FD1、2段給紙口FD2、3段給紙口FD3、および4段給紙口FD4の各々が設けられている。縦搬送経路よりも図8中右側には、通紙経路R1へ給紙する用紙の給紙口として、上から順に手差し給紙口FD5およびLCT(大容量給紙トレイ)給紙口FD6の各々が設けられている。なお、通紙経路R1の縦方向に延在する経路における図8中右側の最上段の通紙経路は、両面印刷の場合に用いられる通紙経路R2である。
【0091】
1段給紙口FD1には、1段給紙ローラー101と、1段給紙センサー18aとが設けられている。2段給紙口FD2には、2段給紙ローラー102と、2段給紙センサー18bとが設けられている。1段給紙ローラー101および2段給紙ローラー102は、1段給紙CL(クラッチ)および2段給紙CLの各々を介して1、2段給紙モーターと接続されている。3段給紙口FD3には、3段給紙ローラー103aと、3段搬送ローラー103bと、第1水平搬送ローラー103cと、第2水平搬送ローラー103dと、3段給紙センサー18cおよび18dとが設けられている。4段給紙口FD4には、4段給紙ローラー104と、4段搬送ローラー105と、4段給紙センサー18eとが設けられている。3段給紙ローラー103aおよび3段搬送ローラー103bの各々は、3段給紙CLおよび3段搬送CLの各々を介して3/4段目給紙口搬送モーターと接続されている。第1水平搬送ローラー103cおよび第2水平搬送ローラー103dの各々は、水平搬送CLを介して3/4段目給紙口搬送モーターと接続されている。4段給紙ローラー104は、4段給紙CLを介して3/4段目給紙口搬送モーターと接続されている。4段搬送ローラー105は中間モーターと接続されている。
【0092】
通紙経路R2には、ADU(Automatic Duplex Copy Unit)搬送ローラー115と、ADUセンサー18fとが設けられている。手差し給紙口FD5には、手差し給紙ローラー116が設けられている。手差し給紙ローラー116はマル手給紙モーターと接続されている。LCT給紙口FD6は外付けLCT180である。LCT給紙口FD6には、LCT給紙ローラー105aと、LCT搬送ローラー105bと、搬送センサー18gとが設けられている。LCT給紙ローラー105aはLCT給紙モーターと接続されている。LCT搬送ローラー105bはLCT搬送モーターと接続されている。
【0093】
縦搬送経路には、タイミングローラー12と、1段縦搬送ローラー111と、2段縦搬送ローラー112と、中間ローラー113と、タイミングセンサー19と、OHP検出センサー133と、1段縦搬送センサー131と、2段縦搬送センサー132と、中間ローラーセンサー134が設けられている。1段縦搬送ローラー111は1段搬送モーターと接続されている。2段縦搬送ローラー112は2段搬送モーターと接続されている。中間ローラー113は中間モーターと接続されている。
【0094】
各給紙口においては、給紙ローラーを駆動することにより、用紙を下流側のローラーへ送る制御が行われる。各給紙口においては、複数のローラー同士の間で駆動を切り替える制御が行われる。たとえば1段給紙口FD1から用紙を給紙する場合には、1段給紙ローラー101の駆動を開始し、用紙先端が1段縦搬送ローラー111を超えて1段縦搬送センサー131により検出された場合に、1段給紙ローラー101の駆動を停止する。他の給紙口においても、同様の給紙制御が行われる。
【0095】
通紙経路R1の縦方向に延在する経路では、給紙口から給紙された用紙を、縦搬送ローラーを適宜駆動することによりタイミングローラー12まで搬送する制御が行われる。この場合、複数のローラー同士の間で駆動を切り替える制御が行われる。たとえば3段給紙口FD3から用紙を給紙する場合には、用紙先端が中間ローラーセンサー134により検出された場合に中間ローラー113の駆動を開始し、用紙先端が2段縦搬送センサー132で検出された場合に、中間ローラー113の駆動を停止する。
【0096】
上述のように、従来においては、複数のローラー同士の間での駆動の切替え(ローラー間の駆動の引継ぎ)は、用紙位置情報と、引き継ぐ先のローラー(下流側のローラー)の下流位置に配置されている検出センサーの検出状態とに基づいて制御されている。このような制御は、図8中領域REG1(1段給紙ローラー101〜1段縦搬送ローラー111)、領域REG2(2段給紙ローラー102〜2段縦搬送ローラー112)、領域REG3(3段搬送ローラー103b〜第1水平搬送ローラー103c)、領域REG4(LCT給紙ローラー105b〜2段縦搬送ローラー112)、および領域REG5(中間ローラー113〜2段縦搬送ローラー112)などにおいて行われている。
【0097】
図9は、A4サイズの用紙に印字可能な従来の画像形成装置(A4機)の構成を示す断面図である。
【0098】
図9を参照して、従来のA4機の画像形成装置において、通紙経路R1の縦方向に延在する縦搬送経路よりも図9中左側には、通紙経路R1へ給紙する用紙の給紙口として、上から順に本体給紙口FD11および増設給紙口FD12の各々が設けられている。縦搬送経路よりも図9中右側には、通紙経路R1へ給紙する用紙の給紙口として、手差し給紙口FD13が設けられている。
【0099】
本体給紙口FD11には、カセット給紙ローラー201と、カセットエンプティセンサー251と、カセット給紙CL271とが設けられている。増設給紙口FD12には、増設カセット給紙ローラー202と、増設搬送ローラー203と、増設カセットエンプティセンサー252と、増設ジャムセンサー253と、増設カセット給紙CL272と、増設カセット搬送CL273とが設けられている。手差し給紙口FD13には、MPT(Multi Purpose Tray)ローラー204と、MPTエンプティセンサー254と、MPT給紙CL274と、MPT押し上げ板291とが設けられている。通紙経路R2には、DUP第1搬送ローラー205と、DUP第2搬送ローラー206と、DUP(両面記録ユニット)搬送CL275と、DUP搬送センサー255とが設けられている。
【0100】
縦搬送経路には、排紙ローラー13と、2次転写ローラー23と、2次転写圧接離間SL(ソレノイド)23aと、タイミングローラー12と、タイミングCL12aと、センサー256および257とが設けられている。排紙ローラー13の上部には、排紙正転CL276および排紙逆転CL277が設けられている。
【0101】
なお、従来のA4機の画像形成装置は、プリントヘッド281と、作像ユニット21Y、21M、21C、および21Kと、中間転写ベルト22と、ローラー22aと、定着部30とをさらに含んでいる。作像ユニット21Y、21M、21C、および21Kの各々は、感光体24Y、24M、24C、および24Kと、現像器25Y、25M、25C、および25K(以降、これらをまとめて現像器25と呼ぶことがある)とを含んでいる。作像ユニット21の各々の現像器25は、現像モーターによって駆動される。特に、画像形成装置がカラープリントを行う場合には、現像モーターが正転することにより、YMCK4色の現像器25が駆動される。一方で、画像形成装置がモノクロプリントを行う場合には、現像モーターが逆転することにより、現像器25Kのみが駆動される。感光体24Y、24M、24Cの各々は、PCモーターによって駆動される。感光体24K、ローラー22a、排出ローラー13、定着部30、2次転写ローラー23、タイミングローラー12、カセット給紙ローラー201、DUP第1搬送ローラー205、DUP第2搬送ローラー206、およびMPTローラー204は、メインモーターによって駆動される。
【0102】
従来のA4機の画像形成装置は、A3機の画像形成装置と比べて給紙口および搬送センサーの数が少なくコンパクトである。したがって、複数のローラー同士の間での駆動の切替えが、用紙位置情報と検出センサーの検出状態とに基づいて制御されている箇所は、領域REG11(増設カセット給紙ローラー202〜増設搬送ローラー203)のみである。
【0103】
図8および図9で説明したように、A3機とA4機とでは同じ制御が行われるが、センサーの位置は機構に依存している。従来の画像形成装置においては、用紙搬送部10の動作がセンサーの検出状態に依存するので、給紙制御および縦搬送制御は2つの機種の間で共通していない。
【0104】
図10は、従来の用紙搬送装置の制御プログラム(給紙搬送制御プログラム)のソフト構造を示す図である。
【0105】
図10を参照して、用紙搬送装置の制御プログラムは、用紙位置情報を更新し、かつ保持する用紙位置更新モジュールMD1と、画像形成装置に設けられた各検出センサー(搬送センサー)の検出状態に関する情報を持つ搬送センサーモジュールMD2と、用紙位置情報を取得し、用紙位置に応じて給紙機構のシーケンス制御を行う給紙シーケンスモジュールMD3と、用紙位置情報を取得し、用紙位置に応じてLCC(大容量給紙カセット)およびLCTの各々の増設カセット機構のシーケンス制御を行うLCC給紙シーケンスモジュールMD4およびLCT給紙シーケンスモジュールMD5と、縦搬送機構のシーケンス制御を行う縦搬送シーケンスモジュールMD6とから構成されている。
【0106】
従来の制御プログラムでは、給紙シーケンスモジュールMD3、LCC給紙シーケンスモジュールMD4、LCT給紙シーケンスモジュールMD5、および縦搬送シーケンスモジュールMD6は、用紙位置更新モジュールMD1が持つ用紙位置情報のみならず、搬送センサーモジュールMD2が持つ検出センサーの検出状態(エッジ状態)をも参照してシーケンス制御を行う必要があった。このため、検出センサーの数や位置が変わると、その都度シーケンスモジュールに変更が生じていた。
【0107】
図11は、本発明の一実施の形態における画像形成装置の制御プログラム(給紙搬送制御プログラム)のソフト構造を模式的に示す図である。
【0108】
図11を参照して、一方、本実施の形態における制御プログラムでは、搬送センサーモジュールMD2が持つ検出センサーの検出状態は用紙位置更新モジュールMD1でのみ使用される。給紙シーケンスモジュールMD3、LCC給紙シーケンスモジュールMD4、LCT給紙シーケンスモジュールMD5、および縦搬送シーケンスモジュールMD6は、用紙位置更新モジュールMD1が持つ用紙位置情報のみを参照し、搬送センサーモジュールMD2が持つセンサー情報を取得する必要がない。したがって、機種毎に変更が生じるのは、機構の起動・停止位置のパラメータだけになり,シーケンスのアルゴリズムを変更することが不要になる。その結果、複数の機種でのシーケンスモジュールの共通化を促進することができ、装置構成を簡素化することができる。
【0109】
[第2の実施の形態]
【0110】
本実施の形態においては、用紙位置情報更新部62が、第1の実施の形態における用紙先端の位置情報の更新方法と類似の方法を用いて、用紙後端の位置情報を更新する場合について説明する。
【0111】
図12は、用紙位置情報更新部(用紙位置更新モジュール)62による用紙位置情報の更新方法を模式的に示す図である。図12では、用紙先端の位置情報を線X4で示しており、用紙後端の位置情報を線Y4で示している。図12では、Aローラーは、たとえば図8における1段給紙ローラー101を示しており、Bローラーは、たとえば図8における1段縦搬送ローラー111を示している。Aセンサーは、たとえば図8における1段給紙センサー18aを示している。
【0112】
図12を参照して、Aローラーによって搬送された用紙がAセンサーを超えてBローラーに到達すると、Bローラーの駆動が開始され、Aローラーの駆動が停止される。その結果、用紙は次にBローラーによって搬送される。
【0113】
時刻T21よりも前においては、用紙位置情報更新部62は、用紙先端の位置情報から用紙FD長を減じた位置を、用紙後端の位置情報として出力する。
【0114】
時刻T21において、用紙位置情報更新部62が出力する用紙後端位置が位置A1に達しても、Aセンサーが用紙後端を検出しない場合(オフエッジを検出しない場合)を想定する。この場合、用紙位置情報更新部62は、用紙後端の位置情報の更新を位置A1で停止し、用紙後端の位置情報を位置A1のまま維持する。このような事態は、用紙位置情報更新部62が出力する位置情報と実際の用紙後端の位置との間にずれが生じた場合に起こり得る。
【0115】
時刻T22において、Aセンサーが用紙後端を検出した場合(オフエッジを検出した場合)に、用紙位置情報更新部62は、Aセンサーの検出位置を始点として用紙後端の位置情報の更新を再開する。時刻T22以降においては、用紙位置情報更新部62は、用紙先端の位置情報から用紙FD長を減じた位置を、用紙後端の位置情報として出力する。
【0116】
なお、本実施の形態における画像形成装置の構成や上述以外の処理などについては、第1の実施の形態の場合と同様であるため、その説明は繰り返さない。
【0117】
本実施の形態によれば、Aセンサーがオフエッジを検出するまで用紙後端の位置情報が更新されないので,用紙後端位置も正確に算出することが可能となる。その結果、用紙先端の位置情報と用紙後端の位置との差によって用紙のFD長を検出することが可能となり、用紙長を検出する場所などを固定することなく、用紙のFD長を容易に検出することが可能になる。
【0118】
加えて、画像形成装置が設定を受け付けた用紙の長さと、実際に通紙した用紙の長さとが異なっていた場合(つまり、サイズエラーが生じるサイズを通紙用紙が有している場合)、サイズエラーの検出が容易になる。たとえば、画像形成装置が設定を受け付けた用紙の長さが216mmであり、用紙先端の位置情報と用紙後端の位置情報との差が250mmであった場合において、画像形成装置が(216mm+30mm)を超えるサイズの用紙をサイズエラーと判断するときは、画像形成装置はこの用紙をサイズエラーと判断する。
【0119】
さらに、サイズエラーが生じるサイズを有する用紙を、プログラムを大きく変更せずに、正常に通紙させることが可能である。
【0120】
[第3の実施の形態]
【0121】
本実施の形態においては、センサーのオフエッジ検出開始位置がオンエッジ検出開始位置よりも上流側にある場合について説明する。
【0122】
図13は、センサーSE1のオフエッジ検出開始位置とオンエッジ検出開始位置との関係を示す図である。センサーSE1は、画像形成装置の通紙経路R1またはR2に設けられた任意のセンサーである。
【0123】
図13を参照して、給紙トレイ40からA4サイズの用紙の給紙を開始した時刻を基準として、0.4〜0.6(s)経過後に用紙先端がセンサーSE1を通過し、かつ用紙先端がセンサーSE1を通過してから0.1(s)経過後に用紙後端がセンサーSE1を通過する場合を想定する。
【0124】
基準時刻から0.5(s)経過後に、センサーSE1が用紙先端の通紙を検出(オンエッジを検出)するように画像形成装置において設定されている場合、(a)に示すように、センサーSE1は通紙経路における範囲Z1内の検出位置で用紙先端を検出する。ここで、検出位置に範囲があるのは、用紙先端がセンサーSE1を通過する時刻に幅があるからである。具体的には、センサーSE1への到達が最も早い場合(基準時刻から0.4(s)経過後に用紙先端がセンサーSE1を通過した場合)には、センサーSE1は用紙先端を位置PO1において検出する。センサーSE1への到達が最も遅い場合(基準時刻から0.6(s)経過後に用紙先端がセンサーSE1を通過した場合)には、センサーSE1は用紙先端を位置PO2において検出する。位置PO2は、範囲Z1内における通紙経路の最も上流側の位置(オンエッジ検出開始位置)である。
【0125】
また、基準時刻から0.6(s)経過後に、センサーSE1が用紙後端の通紙の有無を検出(オフエッジを検出)するように画像形成装置において設定されている場合、センサーSE1は通紙経路における範囲Z1内の検出位置で用紙後端を検出する。具体的には、センサーSE1への到達が最も早い場合(基準時刻から0.5(s)経過後に用紙後端が位置Pを通過した場合)には、センサーSE1は用紙後端を位置PO1において検出する。センサーSE1への到達が最も遅い場合(基準時刻から0.6(s)経過後に用紙後端がセンサーSE1を通過した場合)には、センサーSE1は用紙後端を位置PO2において検出する。位置PO1は、範囲Z1内における通紙経路の最も上流側の位置である。つまり、上述の場合には、センサーSE1は用紙先端および用紙後端をいずれも範囲Z1内の検出位置で検出する。
【0126】
一方、本実施の形態においては、センサーSE1が用紙後端の通紙の有無を検出(オフエッジを検出)するタイミングが、(a)の場合よりも早く(たとえば基準時刻から0.58(s)経過後)設定されている。この場合、センサーSE1は通紙経路における範囲Z2内の検出位置で用紙後端を検出する。具体的には、センサーSE1への到達が最も早い場合(基準時刻から0.5(s)経過後に用紙後端が位置Pを通過した場合)には、センサーSE1は用紙後端を位置PO3において検出する。センサーSE1への到達が最も遅い場合(基準時刻から0.6(s)経過後に用紙後端が位置Pを通過した場合)には、センサーSE1は用紙後端を位置PO4において検出する。位置PO4は、範囲Z2内における通紙経路の最も上流側の位置(オフエッジ検出開始位置)であり、位置PO2よりも上流側にある。つまり、(b)に示す場合、オフエッジ検出開始位置はオンエッジ検出開始位置よりも上流側にある。
【0127】
なお、本実施の形態における画像形成装置の構成や上述以外の処理などについては、第1の実施の形態の場合と同様であるため、その説明は繰り返さない。
【0128】
本実施の形態によれば、(b)に示すように、センサーSE1のオフエッジ検出開始位置をセンサーSE1のオンエッジ検出開始位置よりも上流側に設定することにより、用紙の実際のFD長が想定される長さよりも短い場合に、センサーSE1がオフエッジを読み飛ばすことが抑止され、ジャム発生として判定されることが抑止される。その結果、用紙の実際のFD長が想定される長さよりも短いサイズエラー紙についても、容易に通紙を行うことができる。
【0129】
[第4の実施の形態]
【0130】
本実施の形態においては、用紙位置情報およびジャム検出用用紙位置情報に基づいて、給紙リトライ(給紙の再実行)の要否および給紙ジャムの発生の有無を判断する場合について説明する。
【0131】
図14は、給紙リトライの要否および給紙ジャムの発生の有無を判断する場合における、ジャム検出位置情報更新部63が出力するジャム検出用の用紙先端の位置情報および用紙位置情報更新部62が出力する用紙先端の位置情報の時間変化を模式的に示す図である。図14では、縦軸が用紙位置を示しており、横軸が時間を示している。また、ジャム検出位置情報更新部63が出力するジャム検出用の用紙先端の位置情報を線X5で示しており、用紙位置情報更新部62が出力する用紙先端の位置情報を線Y5で示している。
【0132】
図14を参照して、給紙ローラーよりも下流側に給紙センサーが設けられており、給紙センサーよりも下流側に、給紙リトライ位置および給紙ジャム位置が設定されている。なお、給紙リトライ位置および給紙ジャム位置は任意の位置に設定することが可能であるが、給紙リトライ位置を給紙ジャム位置よりも上流側の位置に設定することで、給紙リトライの要否と給紙ジャムの発生の有無とを適切な順序で判断することができる。
【0133】
時刻T21において、給紙トレイ40から用紙が給紙されると、ジャム検出位置情報更新部63および用紙位置情報更新部62は、給紙ローラーによる用紙の送り量を加算することにより、それぞれが出力する位置情報を更新する。
【0134】
時刻T22において、用紙先端の位置情報が、給紙センサーの検出位置よりもわずかに上流側の位置A1に達しても、給紙センサーが用紙先端を検出しない場合、用紙位置情報更新部62は、用紙先端の位置情報の更新を位置A1で停止し、用紙先端の位置情報を位置A1のまま維持する。一方、ジャム検出位置情報更新部63は、給紙ローラーによる用紙の送り量に基づく位置情報の更新を継続する。
【0135】
時刻T23において、用紙先端の位置情報が給紙センサーの検出位置に到達していないにもかかわらず、ジャム検出用の用紙先端の位置情報が給紙リトライ位置に到達した場合、CPU51は、給紙リトライを実行する。給紙リトライとは、給紙ローラーを駆動しているにもかかわらず給紙ローラーによって用紙が給紙されない場合に、給紙ローラーを一定時間停止した後で、給紙ローラーを駆動することで、給紙を再開する動作を意味している。この場合、ジャム検出位置情報更新部63および用紙位置情報更新部62の各々は、ジャム検出用の用紙先端の位置情報および用紙先端の位置情報の各々を給紙ローラーの位置(給紙開始位置)に戻す(補正する)。そして、時刻T24において給紙が再開した場合に、ジャム検出位置情報更新部63および用紙位置情報更新部62の各々は、給紙ローラーによる用紙の送り量に基づく位置情報の更新を再開する。このようにすることで給紙リトライを実行する場合にも、ジャム検出用の用紙先端の位置情報および用紙先端の位置情報を正しく算出することができる。
【0136】
時刻T25において、用紙先端の位置情報が、給紙センサーの検出位置よりもわずかに上流側の位置A1に達しても、給紙センサーが用紙先端を検出しない場合、用紙位置情報更新部62は、用紙先端の位置情報の更新を位置A1で停止し、用紙先端の位置情報を位置A1のまま維持する。一方、ジャム検出位置情報更新部63は、給紙ローラーによる用紙の送り量に基づく位置情報の更新を継続する。
【0137】
時刻T26において、用紙先端の位置情報が給紙センサーの検出位置に到達していないにもかかわらず、ジャム検出用の用紙先端の位置情報が給紙ジャム位置に到達した場合、CPU51は、給紙ジャムが発生していると判断し、給紙を停止する。
【0138】
上述の方法の代わりに、または上述の方法とともに、ジャム検出用の用紙先端の位置情報と用紙先端の位置情報との差が第1の閾値を超えたか否かに基づいて、給紙リトライの要否を判断してもよい。上述の方法の代わりに、または上述の方法とともに、ジャム検出用の用紙先端の位置情報と用紙先端の位置情報との差が第2の閾値を超えたか否かに基づいて、給紙ジャムの発生の有無を判断してもよい。この場合、第2の閾値は第1の閾値よりも大きいことが好ましい。
【0139】
図15は、給紙リトライの要否および給紙ジャムの発生の有無を判断する制御を示すフローチャートである。図15に示すフローチャートは、たとえば、ROM58に格納された制御プログラムをCPU51がロードすることにより実行される。
【0140】
図15を参照して、CPU51は、給紙ローラーによる用紙の給紙を開始すると、ジャム検出位置情報更新部63および用紙位置情報更新部62の各々は、給紙ローラーによる用紙の送り量を加算することにより、ジャム検出用の用紙先端の位置情報Xおよび用紙先端の位置情報Yの各々の更新を開始する(S101)。次にCPU51は、位置情報Yが給紙センサーの検出位置に到達する前に、位置情報Xが給紙リトライ位置よりも下流側の位置に到達したか否かを判別する(S103)。
【0141】
ステップS103において、位置情報Xが給紙リトライ位置よりも下流側の位置に到達したと判別した場合(S103でYes)、用紙搬送部10は給紙リトライを実行し(S105)、その後CPU51はステップS107の処理へ進む。一方、ステップS103において、位置情報Xが給紙リトライ位置よりも下流側の位置に到達しないと判別した場合(S103でNo)、CPU51は、位置情報Xと位置情報Yとの差(X−Y)の値が給紙ミス閾値以上となったか否かを判別する(S111)。
【0142】
ステップS111において、給紙ミス閾値以上となったと判別した場合(S111でYes)、用紙搬送部10はステップS105の処理へ進む。一方、ステップS111において、給紙ミス閾値未満であると判別した場合(S111でNo)、CPU51はステップS107の処理へ進む。
【0143】
ステップS107において、CPU51は、位置情報Yが給紙センサーの検出位置に到達する前に、位置情報Xが給紙ジャム位置よりも下流側の位置に到達したか否かを判別する(S107)。
【0144】
ステップS107において、位置情報Xが給紙ジャム位置よりも下流側の位置に到達したと判別した場合(S107でYes)、CPU51は給紙ジャムが発生したと判断し(S109)、処理を終了する。一方、ステップS107において、位置情報Xが給紙ジャム位置よりも下流側の位置に到達しないと判別した場合(S107でNo)、CPU51は、位置情報Xと位置情報Yとの差(X−Y)の値が給紙ジャム閾値以上となったか否かを判別する(S113)。
【0145】
ステップS113において、給紙ジャム閾値以上となったと判別した場合(S113でYes)、CPU51は給紙ジャムが発生したと判断し(S109)、処理を終了する。一方、ステップS113において、給紙ジャム閾値未満であると判別した場合(S113でNo)、CPU51は給紙を中止し、処理を終了する。
【0146】
なお、本実施の形態における画像形成装置の構成や上述以外の処理などについては、第1の実施の形態の場合と同様であるため、その説明は繰り返さない。
【0147】
本実施の形態によれば、用紙位置情報およびジャム検出用用紙位置情報に基づいて、給紙リトライの要否および給紙ジャムの発生の有無を用紙に判断することができる。
【0148】
[第5の実施の形態]
【0149】
本実施の形態においては、重送が生じた場合の、用紙位置情報更新部62による用紙位置情報の更新方法について説明する。
【0150】
用紙搬送部10が複数の用紙を順に搬送する場合、用紙搬送部10は、給紙ローラーを一定時間駆動することにより先の用紙である用紙SH1を給紙した後、給紙ローラーを停止する。給紙ローラーを停止して一定時間経過後、用紙搬送部10は、給紙ローラーを再駆動することにより後の用紙である用紙SH2を給紙する。この場合、用紙位置情報更新部62は、給紙ローラーの再駆動とともに、給紙ローラーによる用紙の送り量を加算することにより、用紙SH2の先端の位置情報を更新する。
【0151】
図16は、用紙が重送された場合の用紙SH2の先端および後端の位置情報の時間変化を模式的に示す第1の図である。図16では、縦軸が用紙位置を示しており、横軸が時間を示している。また、用紙SH2の先端の位置情報を線X6で示しており、用紙SH2の後端の位置情報を線Y6で示している。
【0152】
図16を参照して、給紙ローラーよりも下流側に給紙センサーが設けられており、給紙センサーよりも下流側に縦搬送センサーが設けられている。用紙が重送された場合、用紙SH2の先端は用紙SH1の下に隠れており、給紙センサーは用紙SH2の先端を検出することができない。このため、時刻T31において、用紙SH2の先端の位置情報が、給紙センサーの検出位置よりもわずかに上流側の位置A1に達しても、給紙センサーは用紙SH2の先端を検出しない。用紙位置情報更新部62は、用紙SH2の先端の位置情報の更新を位置A1で停止し、用紙SH2の先端の位置情報を位置A1のまま維持する。また、用紙位置情報更新部62は、用紙SH2の後端の位置情報の更新も停止する。
【0153】
図17は、重送が解消された場合の用紙SH2の先端および後端の位置情報の時間変化を模式的に示す第2の図である。
【0154】
図17を参照して、給紙センサーと縦搬送センサーとの間で重送が解消された場合、用紙SH1の後端から用紙SH2の先端が離れるため、時刻T32において、給紙センサーは用紙SH2の先端を検出していないにもかかわらず、縦搬送センサーは用紙SH2の先端を検出する。このように上流側の給紙センサーが用紙SH2の先端を検出しない場合において、下流側の縦搬送センサーが用紙SH2の先端を検出したときは、用紙位置情報更新部62は、用紙SH2の先端の位置情報を位置A1から縦搬送センサーの検出位置に変更(補正)する。その後、用紙位置情報更新部62は、位置A1を始点として用紙SH2の先端および後端の位置情報の更新を再開する。
【0155】
なお、本実施の形態における画像形成装置の構成や上述以外の処理などについては、第1の実施の形態の場合と同様であるため、その説明は繰り返さない。
【0156】
本実施の形態によれば、重送が生じたために給紙センサーが後の用紙のオンエッジを検出することができなかった場合であっても、その後重送が解消されれば、給紙搬送制御を問題なく継続することができる。また、給紙シーケンスモジュールや縦搬送シーケンスモジュールの設定を特別に変更する必要は無い。
【0157】
[その他]
【0158】
上述の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。たとえば、第2の実施の形態と、第3の実施の形態とを組み合わせることにより、図12に示すような用紙後端の位置情報の更新方法を行う場合に、センサーのオフエッジ検出開始位置とオンエッジ検出開始位置との関係を図13のように設定してもよい。
【0159】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行なっても、ハードウェア回路を用いて行なってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピュータにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0160】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0161】
1 MFP
10 用紙搬送部
11 給紙ローラー
12 タイミングローラー
13 排紙ローラー
14〜17 搬送ローラー
18a,18b 給紙センサー
19 タイミングセンサー
20 転写部
21,21Y,21M,21C,21K 作像ユニット
22 中間転写ベルト
23 2次転写ローラー
24,24Y,24M,24C,24K 感光体
30 定着部
31 加圧ローラー
32 加熱ローラー
33 定着ローラー
34 定着ベルト
35 加熱ヒーター
40 給紙トレイ
51 CPU
52 スキャナー部
53 画像処理部
54 プリントエンジン部
55 画像出力部
56 ファクシミリ制御部
57 ネットワーク接続部
58 ROM
59 RAM
60 HDD
61 操作パネル
62 用紙位置情報更新部
63 ジャム検出位置情報更新部
101 1段給紙ローラー
102 2段給紙ローラー
111 1段縦搬送ローラー
112 2段縦搬送ローラー
131 1段縦搬送センサー
132 2段縦搬送センサー
133 OHP検出センサー
MD1 用紙位置情報更新モジュール
MD2 搬送センサーモジュール
MD3 給紙シーケンスモジュール
MD4 LCC給紙シーケンスモジュール
MD5 LCT給紙シーケンスモジュール
MD6 縦搬送シーケンスモジュール
R1 通紙経路
TM1,TM2 サーミスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する第1の搬送ローラーと、
前記第1の搬送ローラーよりも下流側において、前記用紙を搬送する第2の搬送ローラーと、
前記第2の搬送ローラーよりも下流側の先端検出位置で、前記用紙の先端を検出する検出センサーと、
用紙先端の位置情報を出力する第1の先端位置出力手段と、
前記検出センサーの検出状態に基づかず、前記第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報に基づいて、前記第1および前記第2の搬送ローラーの各々の駆動状態を制御する制御手段とを備え、
前記第1の先端位置出力手段は、
前記第1の搬送ローラーによる前記用紙の送り量を加算することにより、用紙先端の位置情報を更新する第1の先端位置更新手段と、
前記第1の先端位置更新手段にて更新した位置情報が前記先端検出位置よりも上流側にある前位置に達した場合において、前記検出センサーが前記用紙の先端を検出しないとき、前記第1の先端位置更新手段による用紙先端の位置情報の更新を停止させる先端位置更新停止手段と、
前記先端位置更新停止手段にて更新を停止させた後で、前記検出センサーが前記用紙の先端を検出した場合に、前記先端検出位置を始点として前記第1の先端位置更新手段による用紙先端の位置情報の更新を再開させる第1の先端位置更新再開手段とを含む、用紙搬送装置。
【請求項2】
用紙先端の位置情報を出力する第2の先端位置出力手段をさらに備え、
前記第2の先端位置出力手段は、
前記第1の搬送ローラーによる前記用紙の送り量を加算することにより、用紙先端の位置情報を更新する第2の先端位置更新手段と、
前記検出センサーが前記用紙の先端を検出した場合に、前記第2の先端位置更新手段にて更新された用紙先端の位置情報を前記先端検出位置に補正する第1の補正手段とを含み、
前記制御手段は、前記第2の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報にさらに基づいて、前記第1および前記第2の搬送ローラーの各々の駆動状態を制御する、請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記第2の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報と、前記第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報との差に基づいて、ジャムの発生を検出するジャム検出手段をさらに備えた、請求項2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報が前記先端検出位置に到達していないにもかかわらず、前記第2の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報が第1の位置に達した場合、および前記第2の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報と、前記第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報との差が第1の閾値を超えた場合のうち少なくともいずれか一方の場合に、前記制御手段は、前記第1の搬送ローラーによる給紙を一旦停止した後で再実行する、請求項2または3に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記第2の位置情報出力手段は、
前記制御手段が給紙を再実行する場合に、前記第2の先端位置更新手段にて更新された用紙先端の位置情報を給紙開始位置に補正する第2の補正手段をさらに含む、請求項4に記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
前記第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報が前記先端検出位置に到達していないにもかかわらず、前記第2の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報が第2の位置に達した場合、および前記第2の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報と、前記第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報との差が第2の閾値を超えた場合のうち少なくともいずれか一方の場合に、前記制御手段はジャムが発生したと判断する、請求項2〜5のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項7】
前記第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報から前記用紙の送り方向の長さを減ずることにより、用紙後端の位置情報を出力する後端位置出力手段をさらに備えた、請求項1〜6のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項8】
前記検出センサーは、前記第2の搬送ローラーよりも下流側の後端検出位置で、前記用紙の後端をさらに検出し、
前記後端位置出力手段は、
前記第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報から前記用紙の送り方向の長さを減ずることにより、用紙後端の位置情報を更新する後端位置更新手段と、
前記後端位置更新手段にて更新した用紙後端の位置情報が前記後端検出位置よりも上流側の前位置に達した場合において、前記検出センサーが前記用紙の後端を検出しないとき、前記後端位置更新手段による用紙後端の位置情報の更新を停止させる後端位置更新停止手段と、
前記後端位置更新停止手段にて更新を停止させた後で、前記検出センサーが前記用紙の後端を検出した場合に、前記後端検出位置を始点として前記後端位置更新手段による用紙後端の位置情報の更新を再開させる後端位置更新再開手段とを含む、請求項7に記載の用紙搬送装置。
【請求項9】
前記検出センサーは前記用紙の通紙経路における第1の範囲内で前記用紙の先端を検出し、かつ前記用紙の通紙経路における第2の範囲内で前記用紙の後端を検出し、
前記第2の範囲内における通紙経路の最も上流側の位置であるオフエッジ検出開始位置は、前記第1の範囲内における通紙経路の最も上流側の位置であるオンエッジ検出開始位置よりも上流側にある、請求項8に記載の用紙搬送装置。
【請求項10】
前記用紙が定型のサイズでない場合のエラーであるサイズエラーを検出するサイズエラー検出手段をさらに備え、
前記サイズエラー検出手段は、前記第1の先端位置出力手段にて出力した用紙先端の位置情報と、前記後端位置出力手段にて出力した用紙後端の位置情報との差に基づいて、サイズエラーを検出する、請求項7〜9のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項11】
前記先端検出位置よりも下流側の下流側検出位置で、前記用紙の先端を検出する他の検出センサーをさらに備え、
前記第1の先端位置出力手段は、
前記検出センサーが前記用紙の先端を検出しない場合において、前記他の検出センサーが前記用紙の先端を検出したときに、前記下流側検出位置を始点として前記第1の先端位置更新手段による位置情報の更新を再開させる第2の先端位置更新再開手段をさらに含む、請求項1〜10のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項12】
用紙を搬送する第1の搬送ローラーと、
前記第1の搬送ローラーよりも下流側において、前記用紙を搬送する第2の搬送ローラーと、
前記第2の搬送ローラーよりも下流側の先端検出位置で、前記用紙の先端を検出する検出センサーとを備えた用紙搬送装置の制御方法であって、
用紙先端の位置情報を出力する第1の先端位置出力ステップと、
前記検出センサーの検出状態に基づかず、前記第1の先端位置出力ステップにて出力した用紙先端の位置情報に基づいて、前記第1および前記第2の搬送ローラーの各々の駆動状態を制御する制御ステップとを備え、
前記第1の先端位置出力ステップは、
前記第1の搬送ローラーによる前記用紙の送り量を加算することにより、用紙先端の位置情報を更新する第1の先端位置更新ステップと、
前記第1の先端位置更新ステップにて更新した位置情報が前記先端検出位置よりも上流側にある前位置に達した場合において、前記検出センサーが前記用紙の先端を検出しないとき、前記第1の先端位置更新ステップにおける用紙先端の位置情報の更新を停止させる先端位置更新停止ステップと、
前記先端位置更新停止ステップにて更新を停止させた後で、前記検出センサーが前記用紙の先端を検出した場合に、前記先端検出位置を始点として前記第1の先端位置更新ステップにおける用紙先端の位置情報の更新を再開させる第1の先端位置更新再開ステップとを含む、用紙搬送装置の制御方法。
【請求項13】
用紙を搬送する第1の搬送ローラーと、
前記第1の搬送ローラーよりも下流側において、前記用紙を搬送する第2の搬送ローラーと、
前記第2の搬送ローラーよりも下流側の先端検出位置で、前記用紙の先端を検出する検出センサーとを備えた用紙搬送装置の制御プログラムであって、
用紙先端の位置情報を出力する第1の先端位置出力ステップと、
前記検出センサーの検出状態に基づかず、前記第1の先端位置出力ステップにて出力した用紙先端の位置情報に基づいて、前記第1および前記第2の搬送ローラーの各々の駆動状態を制御する制御ステップとをコンピュータに実行させ、
前記第1の先端位置出力ステップは、
前記第1の搬送ローラーによる前記用紙の送り量を加算することにより、用紙先端の位置情報を更新する第1の先端位置更新ステップと、
前記第1の先端位置更新ステップにて更新した位置情報が前記先端検出位置よりも上流側にある前位置に達した場合において、前記検出センサーが前記用紙の先端を検出しないとき、前記第1の先端位置更新ステップにおける用紙先端の位置情報の更新を停止させる先端位置更新停止ステップと、
前記先端位置更新停止ステップにて更新を停止させた後で、前記検出センサーが前記用紙の先端を検出した場合に、前記先端検出位置を始点として前記第1の先端位置更新ステップにおける用紙先端の位置情報の更新を再開させる第1の先端位置更新再開ステップとを含む、用紙搬送装置の制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2013−79139(P2013−79139A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220948(P2011−220948)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】