説明

用紙断裁装置、用紙後処理装置及び画像形成システム

【課題】 少数枚から多数枚までの用紙束を小さな駆動力で断裁可能であり、かつ、高性能の断裁性能が長期間にわたって維持される用紙断裁装置、かかる用紙断裁装置を装備した用紙後処理装置及び画像形成システムを提供する。
【解決手段】 用紙束SSの小口aを断裁する用紙断裁装置100において、用紙束SSの小口aを断裁する断裁刃121と、断裁刃121を固定支持する断裁刃ホルダ122と、断裁刃ホルダ122の両側面を摺動可能に支持する一対の支持板123A,123Bと、支持板123A,123Bを、断裁刃ホルダ122を摺動可能な間隔に保持する間隔保持部材124と、支持板123A,123Bを連結する連結部材125と、連結部材125を緊締する緊締部材126とを有することを特徴とする用紙断裁装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数枚の用紙を断裁する用紙断裁装置、用紙断裁装置を備えた用紙後処理装置及び用紙後処理装置を有する画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置のように高速の画像形成装置には、各種の後処理を行う用紙後処理装置が接続され、画像形成した用紙に対して、綴じ処理、折り処理等の各種の後処理を1台の装置内で行うことを可能にした多機能な画像形成システムが普及している。
【0003】
各種の後処理装置には、複数枚の用紙の束の端縁を揃える用紙断裁装置があり、例えば、特許文献1では、中折り処理、中綴じ処理された用紙の小口を断裁する断裁装置を備えた画像形成システムが開示されている。特許文献1に記載された用紙断裁装置は、ギロチン式と称されるもので、断裁刃を紙面に直角な方向から押し当てて断裁するものである。
【0004】
特許文献2には、断裁刃を紙面に対して斜め方向から押し当てて断裁する用紙断裁装置が開示されている。
【0005】
特許文献3の断裁装置では、上方から下降する紙押さえと下方から上昇するカッタとを備え、カッタから突出したピンはガイド溝に嵌合するとともに、ピンはモータによって回転するスクリュに螺合したナットに設けられた受け部材の溝部に係合して連結している。
【特許文献1】特開2003−228205号公報
【特許文献2】特開2003−191196号公報
【特許文献3】特開2003−136471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたギロチン式の断裁装置は、断裁刃の駆動に大きな力が必要であり、しかも、駆動手段のパワーを使用範囲の最高値に設定する必要があるために、大電力のモータが必要になるなど、装置が大きくなるとともに、消費電力が大きくなるという問題がある。特に、画像形成システムを構成する後処理装置に断裁装置を組み込むことが困難になる。
【0007】
特許文献2の断裁装置では、用紙を支持する台が断裁刃を受ける刃受け部材としても機能するが、多数回の断裁動作により、台が断裁刃により、切除されて刻み溝が形成され、該刻み溝が原因で、切り残しが出たり、断裁面が不均一になる等の問題がある。
【0008】
特許文献3の紙の断裁装置では、断裁刃をスライド可能に支持している一対のガイド板の左右を連結させていないため、特に、多数枚の用紙、例えば50〜100枚の用紙を断裁する時に、一対のガイド板が倒れ、断裁刃に異常な負荷を与える事がある。このため、断裁刃駆動手段の駆動負荷が増大する。
【0009】
本発明は従来の用紙断裁装置におけるこのような問題を解決することを目的とし、特に、画像形成システムの一部として用いるのに好適な用紙断裁装置、かかる用紙断裁装置を備えた用紙後処理装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的は下記の発明のいずれかにより達成される。
【0011】
請求項1に記載の用紙断裁装置は、用紙束の小口を断裁する用紙断裁装置において、前記用紙束の小口を断裁する断裁刃と、前記断裁刃を固定支持する断裁刃ホルダと、前記断裁刃ホルダの両側面を摺動可能に支持する一対の断裁刃支持板と、前記一対の断裁刃支持板を、前記断裁刃ホルダが摺動可能な間隔に保持する間隔保持部材と、前記一対の断裁刃支持板を連結して固定する固定手段と、を有することを特徴とするものである。
【0012】
請求項2に記載の用紙後処理装置は、請求項1に記載の用紙断裁装置を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項3に記載の画像形成システムは、請求項2に記載の用紙後処理装置を有することを特徴するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明により、断裁刃駆動負荷が軽減され、小電力で駆動可能、且つ、小型であり、しかも枚数の多少にかかわらず、処理仕上がりのよい断裁処理が可能な用紙断裁装置が実現される。
【0015】
請求項2の発明により、中折り、中綴じ処理された用紙束の小口を断裁して冊子を作製する用紙後処理装置が実現される。
【0016】
請求項3の発明により、画像形成された冊子をオンデマンドに作製する画像形成システムが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の用紙断裁装置の正面図である。図2(a)は用紙断裁装置の待機状態を示す要部正面図、図2(b)はその要部側面図である。図3(a)は用紙断裁装置の用紙断裁開始状態を示す要部正面図、図3(b)はその要部側面図である。図4は用紙断裁装置の断裁刃周辺及び刃受け板周辺の拡大断面図、図5は用紙断裁装置の断裁刃周辺の斜視図である。
【0019】
用紙断裁装置100の本体101の上部には刃受け部材移動手段110が配置され、本体101の下部には断裁刃移動手段120が配置され、本体101の図示左側面部には断裁刃駆動手段130が配置されている(図1参照)。
【0020】
用紙断裁装置100に搬入された用紙束SSの小口は、刃受け部材移動手段110の刃受け板の垂直下降と、断裁刃移動手段120の断裁刃121の斜め方向上昇によって断裁される。以下、刃受け部材移動手段110、断裁刃移動動手段120、断裁刃駆動手段130の詳細を説明する。
【0021】
[刃受け部材移動手段110]
刃受け部材移動手段110の上部には、両端支持された回転軸111が架設されている。回転軸111は、モータM1と、ベルト、歯車から成る駆動伝達手段Z1とを有する第1駆動手段により回転される。
【0022】
回転軸111は互いに反対方向の捩れ角を有するスクリュー部111A、111Bが設けられ、スクリュー部111Aにはナット112Aが、スクリュー部111Bにはナット112Bがそれぞれ螺合する。回転軸111の回転により、ナット112Aを保持する移動体113Aと、ナット112Bを保持する移動体113Bとは互いに逆方向に直線移動する。
【0023】
移動体113Aの一部に揺動可能に支持された連結桿114Aの下端は、小口加圧部材115の図示左上部に係合し、昇降可能に支持している。同様に、移動体113Bの一部に揺動可能に支持された連結桿114Bの下端は、小口加圧部材115の図示右上部に係合し、昇降可能に支持している。
【0024】
従って、モータM1の駆動回転によって、回転軸111が回転され、移動体113A,113Bが左右に移動し、連結桿114A,114Bの傾斜が変化して、小口加圧部材115は上下に平行移動する。
【0025】
小口加圧部材115の下面には刃受け部材116が固定されていて、小口加圧部材115とともに上下平行移動する。刃受け部材116は樹脂材料によって形成されている。
【0026】
このように、モータM1と駆動伝達手段から成る第1駆動手段、回転軸111、移動体113A,113B、連結桿114A,114B、小口加圧部材115、刃受け部材116は、刃受け板駆動機構を構成する。
【0027】
刃受け部材116を支持する小口加圧部材115は、スクリュー部111A,111Bを含む大きな減速比の駆動機構により駆動されるので、高い圧力で用紙束SSを押さえ保持する。
【0028】
刃受け部材116を保持する小口加圧部材115は、図3に示す矢印K方向、即ち、断裁刃121の長手方向に直交する方向に、図示しない駆動手段により所定の断裁処理回数毎にスライドする。
【0029】
[断裁刃移動手段120]
断裁刃移動手段120は、断裁刃121、断裁刃ホルダ122、支持板123A,123B、間隔保持部材124、連結部材125と緊締部材126とから成る固定手段、固定支持台127等から構成されている。
【0030】
上端縁に刃先が形成された断裁刃121は、断裁刃ホルダ122に固定保持されている。断裁刃ホルダ122は平行配置された一対の支持板123A,123Bの対向面間に移動可能に支持されている。支持板123A,123Bの対向面間には、間隔保持部材124が挟着され、断裁刃ホルダ122が移動可能な間隔に保持される。
【0031】
雄ねじを螺設した連結部材125は、支持板123A,123B及び中空円筒状をなす間隔保持部材124を貫通して、バネ座金、六角ナットから成る緊締部材126に螺合して、支持板123A,123Bを所定間隔に保持して緊締する。
【0032】
間隔保持部材124による支持板123A,123Bの対向する摺動面の間隔は、断裁刃ホルダ122の厚さに対して0.1〜0.5mmの範囲内に設定され、断裁刃ホルダ122が支障なく昇降可能な間隙とする。
【0033】
連結部材125、緊締部材126から成る連結手段は、支持板123A,123Bの複数箇所(図2に示す7箇所)に配置され、所定間隔を強固に保持している。
【0034】
断裁刃ホルダ122には、コロ128A,128Bが固定され、コロ128A,128Bは右下がりに傾斜したガイド部材129A,129Bにそれぞれガイドされる。ガイド部材129A,129Bは本体101に固定されている。
【0035】
[断裁刃駆動手段130]
断裁刃駆動手段130はモータM2、駆動伝達手段、移動体133等から構成されている。
【0036】
本体101には、両端支持された回転軸131A,131Bが平行に架設されている。スクリューを螺設した回転軸131A,131Bは、モータM2と、ベルト、歯車から成る駆動伝達手段Z2を有する第2駆動手段により同方向に回転される。
【0037】
回転軸131A,131Bに螺設されたスクリューにはナット132A,132Bがそれぞれ螺合する。回転軸131A,131Bの回転により、ナット132A,132Bを保持する移動体133が直線移動する。
【0038】
移動体133に穿設された長穴部133Aには、断裁刃ホルダ122に固定されたピン134が移動可能に嵌入する。移動体133が図示の左右に直線移動し、断裁刃ホルダ122がピン134を介してを左右に直線移動すると共に、断裁刃ホルダ122に固定されたコロ128A,128Bがガイド部材129A,129Bに沿って矢印J方向で示すように斜め上方に移動する。
【0039】
用紙断裁装置100に導入された用紙束SSは小口aを先頭にして、断裁刃移動手段120の固定支持台127上を搬送され、所定位置に停止され、固定支持台127と下降する刃受け部材116に挟持され、上昇する断裁刃121によって小口aが断裁される。
【0040】
[断裁装置100の作動]
次に、断裁装置100の作動を説明する。
【0041】
待機状態においては、移動体113Aは左端に、移動体113Bが右端に位置して、刃受け部材116は上限位置にあり、断裁刃121は下限位置に待機している。
【0042】
用紙束SSが用紙断裁装置100に導入されると、モータM1が起動して、移動体113A,113Bを駆動し、連結桿114A,114Bを介して小口加圧部材115が下降する。小口加圧部材115が検知手段PSにより検知された位置で、モータM1が停止し、小口加圧部材115が停止する。小口加圧部材115の停止位置は検知手段PSの位置設定により決定され、検知手段PSの位置は、用紙束SSを形成する用紙の枚数により決定される。従って、画像形成システムの操作部において、設定した用紙束SSを構成する用紙の枚数により、小口加圧部材115の下降位置が設定される。
【0043】
小口加圧部材115は、後に説明する断裁時に、多数枚重なった用紙に対して断裁刃121により横方向からの力が加わったときにもずれが生じないように大きな圧力で用紙束SSを押さえる。
【0044】
用紙束SSの押さえが完了した段階で、モータM1が起動して、断裁刃121を矢印Jの左上方に移動させる。断裁刃121のこの移動により、用紙束SSが断裁される。断裁刃121の断裁作用は、刃のスライドによる断裁なので、比較的小さな駆動力による断裁が可能であり、しかも、断裁する用紙の枚数が多くなっても、断裁刃121の移動ストロークが変わるのみで、駆動力は変わらない。
【0045】
用紙束SSの全ての用紙が断裁されると、断裁刃121の刃先が刃受け部材116に接触して、断裁刃121の駆動力が増大する。この駆動力の増大、すなわち、モータM1の負荷の増大によるモータ駆動電流の増大を検知して、制御手段がモータM1の駆動を停止させる。このようにして、用紙束SSを構成する用紙の全てが断裁される。
【0046】
小口断裁処理が完了すると、モータM2が逆回転し、断裁刃121は図1の右斜め下方の所定位置に下降する。
【0047】
断裁刃121の下降が完了すると、小口加圧部材115が初期位置まで上昇する。
【0048】
小口加圧部材115の上昇完了後、用紙束SSの折り目部b近傍を挟持していた図示しない折り目押さえ部材及び受け板が初期位置に戻ると、加圧部材115、刃受け部材116が上昇し、用紙束SSの挟持が解除される。
【0049】
以上述べた一連の動作により、用紙束SSの小口断裁処理が完了する。
【0050】
断裁動作の繰り返しにより、刃受け部材116が断裁刃121により、僅かづつではあるが、切除される結果、刃受け部材116に刻み溝Tが形成される。この刻み溝Tの深さが大きくなると、用紙の切り残し、断裁された小口aの端面が平坦でなくなる等の断裁不良が発生する場合がある。
【0051】
これを防止するため、刃受け部材116を断裁刃121の長手方向に交叉する矢印K方向に変位させて、刃受け部材116の未使用部分を断裁刃121の刃先を受ける位置に設定している。すなわち、ソレノイドSLを作動させることにより、前記に説明した受け部材駆動機構が作動して、刃受け部材116を矢印K方向に歩進させる。
【0052】
これにより、複数の刻み溝Tが形成されはするが、許容限度内の深さに制限することができ、刻み溝による断裁不良が発生することはない。
【0053】
図6は断裁処理される各種用紙束SSの斜視図及び断面図である。
【0054】
図6(a)は中折り、中綴じ処理された用紙束SSの斜視図、図6(b)は用紙束SSの断面図であり、aは小口、bは折り目部、cは断裁線、SPは綴じ針を示す。
【0055】
図6(c)は平綴じ処理された用紙束SSの斜視図で、aは小口、cは断裁線、SPは綴じ針を示す。
【0056】
図6(d)は糊付け処理された用紙束SSの斜視図で、aは小口、cは断裁線、dは接着テープを示す。
【0057】
[用紙断裁装置を備えた用紙後処理装置及び画像形成システム]
ここで、用紙断裁装置を備えた用紙後処理装置及び画像形成システムとは、用紙断裁装置を内蔵した用紙後処理装置、又は、図示の如く用紙断裁装置を内蔵した用紙後処理装置の外付けにより一体化した画像形成システムをいう。なお、本発明に係る用紙断裁装置を内蔵した後処理装置は単独で使用することが出来る構成とすることも可能である。なお、本発明の用紙後処理装置、及び用紙後処理装置を備えた画像形成システムは、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0058】
[画像形成装置]
図7は本発明に係る用紙断裁装置を備えた用紙後処理装置ならびに画像形成システムの全体構成図である。
【0059】
画像形成システムは、画像形成装置A、自動原稿送り装置DF、用紙後処理装置B、大容量給紙装置LTから構成されている。
【0060】
図示の画像形成装置Aは、画像読取部1、画像処理部2、画像書込部3、画像形成部4、給紙カセット5A,5B,5C、手差し給紙トレイ5D、第1給紙部6A,6B,6C,6D、第2給紙部6F、定着装置7、排紙部8、自動両面コピー給紙部(ADU)8Bを備えている。
【0061】
画像形成装置Aの図示の左側面の排紙部8側には、用紙後処理装置Bが連結されている。
【0062】
自動原稿送り装置DFの原稿台上に載置された原稿は画像読取部1の光学系により原稿の片面又は両面の画像が読みとられ、CCDイメージセンサ1Aにより読み込まれ、光電変換されたアナログ信号は、画像処理部2において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮等の処理を経た後、画像書込部3に送られる。
【0063】
画像書込部3においては、半導体レーザからの出力光が画像形成部4の感光体ドラム4Aに照射され、潜像を形成する。画像形成部4においては、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行われる。給紙カセット5A〜5Cの第1給紙部6A〜6C、手差し給紙トレイ5Dの第1給紙部6D、大容量給紙装置LTの第1給紙部6Eの各々により給送された用紙Sは第2給紙部6Fを経て、転写手段4Bにより画像が転写される。画像を担持した用紙Sは、定着装置7により定着され、排紙部8から用紙後処理装置Bに送り込まれる。或いは搬送路切換板8Aにより自動両面コピー給紙部8Bに送り込まれた片面画像処理済みの用紙Sは再び画像形成部4において、両面画像処理後、排紙部8から排出される。
【0064】
操作部9は画像形成装置A及び用紙後処理装置B等から成る画像形成装置の処理機能を選択、設定する。
【0065】
画像形成装置Aの主制御手段10は、通信部10A、通信回線10Bを介して、用紙後処理装置Bの後処理制御手段10Cに接続している。
【0066】
[用紙後処理装置]
図8は用紙後処理装置Bの中折り、中綴じ処理工程の用紙搬送を示す模式図である。図9は用紙後処理装置Bの右側面図、図10は左側面図である。
【0067】
最初に、用紙導入から折り処理前迄の用紙搬送工程を説明する。
【0068】
図7、図8に示すように、画像形成装置Aから排出された用紙Sは、用紙後処理装置Bの入口部11に導入されると、入口ローラ12により挟持され、搬送路切換手段G1の上方の用紙搬送路r1又は下方の用紙搬送路r2の何れかに搬送される。
【0069】
〈ストレート排紙〉
用紙搬送路r1に分岐された用紙Sは、搬送ローラ13A〜13Eにより挟持されて搬送され、搬送路切換手段G2の上方の用紙搬送路r3又は下方の用紙搬送路r4の何れかに搬送される。
【0070】
上方の用紙搬送路r3に進行した用紙Sは、排紙ローラ14によって排出され、用紙後処理装置Bの上部に配置されたサブ排紙トレイ15上に積載される。
【0071】
下方の用紙搬送路r4に進行した用紙Sは、搬送ローラ16A〜16Dにより挟持されて搬送され、排紙ローラ17によって排出される。
【0072】
〈第1直角偏向搬送〉
搬送路切換手段G1の下方の用紙搬送路r2に搬送された用紙Sは、ほぼ垂直に下降し、所定位置に一時停止して収納される。この停止位置において、後続の複数枚の用紙Sが重ね合わせられて収容される。
【0073】
〈第2直角偏向搬送〉
収容された用紙Sは、搬送ローラ対18A,18B、第1搬送ローラ対18C,18D、及び図示しない案内板によって図9の紙面に対して直角手前方向に偏向移動されて、用紙後処理装置B内部の前面側Bfに回り込む用紙搬送路r5を用紙面を直立させた状態で通過し、所定位置に一時停止する。
【0074】
〈第3直角偏向搬送〉
次に、用紙Sは第2搬送ローラ対18Eによって垂直上方に搬送された後、水平方向に偏向され、搬送ローラ対19、搬送整合ベルト20によって移動される(用紙搬送路r6、図9参照)。
【0075】
〈折り処理前の整合〉
整合手段は、図9に示すように、用紙搬送路r6の用紙搬送方向下流側に配置され、用紙先端部を当接させて位置決めする整合部材21と、用紙Sの後端部を押圧して移動させる移動可能な整合部材20Aとから成る。整合部材20Aは、用紙搬送路r6の用紙搬送方向上流側に配置された搬送ローラ対19により搬送された用紙Sの後端部を押圧して整合部材21まで移動させ、用紙先端部を整合部材21に当接させて用紙揃えを行う。
【0076】
次に、用紙後処理装置Bにおける用紙Sの三つ折り処理、中折り処理、中綴じ処理、冊子の小口断裁処理を具体的に説明する。
【0077】
〈三つ折り処理〉
搬送整合ベルト20の用紙搬送方向下流側には、折り手段30が配置されている。折り手段30は折りローラ31,32,33、第1折り板34、第2折り板35から構成されている。
【0078】
三つ折り処理を行う場合には、折り手段30において、折りローラ31,32と第1折り板34とにより用紙Sに第1の折り目部が形成され、折りローラ32,33と第2折り板35とにより用紙Sに第2の折り目部が形成され、三つ折り処理された折丁SAは、複数の搬送ローラ36と案内板とから成る用紙搬送路r8を通過して、排紙ローラ37によって排紙トレイ38に排出される(図9参照)。
【0079】
〈中折り処理〉
折り手段30に到達した1枚又は複数枚の用紙Sは、互いに逆方向に回転する折りローラ31,32、及び直進する第1折り板34によって挟持されて中折り処理が行われ、用紙搬送方向中央で用紙幅方向にわたって折り目部b(図8参照)を形成した折丁SAが形成される。
【0080】
折りローラ31,32、第1折り板34によって二つ折り処理が行われて折り目部bを形成した折丁SAは、折りローラ31,32の逆回転によって、折りローラ31,32のニップ位置から離間されて元の水平搬送路に戻される。折丁SAは引き続き、後述の搬送手段40の搬送ベルト41、搬送爪42及び折丁ガイド手段50の導入ガイド部材51によって、折り目部bの延長線方向の用紙搬送路r7に搬送され、中綴じ手段60に送り込まれる(図8参照)。
【0081】
このように、折り手段30は、1乃至3枚の少数枚の用紙Sを中折り処理して、折り目部bをしっかり付け、逐次、中綴じ手段60に送り込む事により、折り目部bの膨らみが少ない高品位の用紙束SSを作製する事ができる。
【0082】
〈中綴じ処理〉
折り手段30において中折り処理された折丁SAは、後述の搬送手段40によって、用紙搬送路r7方向に進行し、中綴じ手段60の鞍掛集積手段61上に載置される。後続の中折り処理された折丁SAも引き続き用紙搬送路r7を通過して鞍掛集積手段61上に積載される。
【0083】
鞍掛集積手段61は、ほぼ直交する2枚のガイド板から成り、用紙後処理装置Bの本体に固定されている。鞍掛集積手段61の頂部近傍には、バネ付勢されて昇降可能な押圧部材61Aが受針機構64に支持された状態で配置されている(図10参照)。
【0084】
押圧部材61Aの頂部は、上方にほぼ直角な凸形状をなし、その頂部稜線上に中折り処理された折丁SAの折り目部b(図8参照)が載置される。
【0085】
鞍掛集積手段61及び押圧部材61A上に載置された複数枚の折丁SAは、幅整合手段62によって位置揃えされる。
【0086】
押圧部材61Aの上方には、打針機構63が固定配置されている。鞍掛集積手段61の内部には、押圧部材61Aと受針機構64が上下方向に移動可能に支持されている。
【0087】
打針機構63と受針機構64とから成る二分割構造の綴じ手段は、用紙折り目部方向に2組配置されている。操作部において、中綴じ処理が設定されると、受針機構64が上昇して中綴じ処理を行う。即ち、2組の綴じ手段は押圧部材61A上の折丁SAの折り目部bに沿って、中央振り分け2箇所に綴じ針SPを打針する。中折り処理、中綴じ処理された用紙束SSを図8の模式図に示す。
【0088】
〈冊子の取り出し〉
中綴じ手段60において中綴じ処理された用紙束SSは、冊子取り出し手段70のアーム部材71の先端部に固定された支持部材72に保持され、アーム部材71によって一点鎖線矢印方向に揺動されて冊子搬送手段80に搬送される。
【0089】
〈冊子の搬送〉
冊子搬送手段80に搬送された用紙束SSは、搬送ベルト82上に載置される。搬送ベルト82の回動により用紙束SSは斜め下方に搬送され、更に、傾斜状態に保持されて、回動する搬送ベルト83により移送されて所定位置に停止される。その後、搬送ベルト83は揺動して水平状態に支持される。
【0090】
〈冊子断裁処理〉
この水平状態になった搬送ベルト83上に載置された用紙束SSの小口(折り目部の反対側の自由端部)aは、用紙束SSの用紙枚数によって不揃いになっているから、本発明の用紙断裁装置100により断裁して、小口aを揃える。
【0091】
断裁処理されて作製された冊子SSSは、逆回転する搬送ベルト83に載置され、搬送ベルト83に固定された可動整合部材84により冊子SSSの後端部が押圧された状態で搬送され、搬送ベルト83の先端部から矢示方向に落下する。落下した冊子SSSは、回動する排出ベルト85により用紙後処理装置Bの前面側Bfの外方に配置された排紙トレイ86に排出される。
【0092】
なお、本発明の用紙断裁装置100は、用紙後処理装置Bにより中折り、中綴じ処理された用紙束SSの小口断裁処理に限定されるものではなく、図6(c)に示した平綴じ処理された用紙束SSの小口断裁処理や、図6(d)に示した糊付け処理された用紙束SSの小口断裁処理にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の用紙断裁装置の正面図。
【図2】用紙断裁装置の待機状態を示す要部正面図、及び要部側面図。
【図3】用紙断裁装置の用紙断裁開始状態を示す要部正面図、及び要部側面図。
【図4】用紙断裁装置の断裁刃周辺及び刃受け板周辺の拡大断面図。
【図5】用紙断裁装置の断裁刃周辺の斜視図。
【図6】断裁処理される各種用紙束の斜視図及び断面図。
【図7】本発明に係る用紙断裁装置を備えた用紙後処理装置及び画像形成システムの全体構成図。
【図8】用紙後処理装置の中折り、中綴じ処理工程の用紙搬送を示す模式図。
【図9】用紙後処理装置の右側面図。
【図10】用紙後処理装置の左側面図。
【符号の説明】
【0094】
100 用紙断裁装置
101 本体
110 刃受け部材移動手段
111 回転軸
113A,113B 移動体
114A,114B 連結桿
115 小口加圧部材
116 刃受け部材
120 断裁移動手段
121 断裁刃
122 断裁刃ホルダ
123A,123B 支持板
124 間隔保持部材
125 連結部材
126 緊締部材
127 固定支持台
128A,128B コロ
129A,129B ガイド部材
130 断裁刃駆動手段
133 移動体
133A 長穴部
134 ピン
A 画像形成装置
B 用紙後処理装置
M1,M2 モータ
PS 検知手段
SS 用紙束
a 小口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束の小口を断裁する用紙断裁装置において、
前記用紙束の小口を断裁する断裁刃と、
前記断裁刃を固定支持する断裁刃ホルダと、
前記断裁刃ホルダの両側面を摺動可能に支持する一対の断裁刃支持板と、
前記一対の断裁刃支持板を、前記断裁刃ホルダが摺動可能な間隔に保持する間隔保持部材と、
前記一対の断裁刃支持板を連結して固定する固定手段と、
を有することを特徴とする用紙断裁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の用紙断裁装置を備えたことを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の用紙後処理装置を有することを特徴とする画像形成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−88246(P2006−88246A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274734(P2004−274734)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】