説明

甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン類縁体及び使用方法

本発明は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)又はTRH誘導体による膵臓関連の疾患の治療又は予防によって、血糖値を調節する方法を提供する。糖尿病、膵島破壊、膵ベータ細胞の機能障害及び高血糖関連の機能障害が、治療又は予防されるのに、特に好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2005年3月9日出願の米国特許仮出願第60/660,175号(代理人整理番号:11259−61784P)の優先権を主張し、その全てを参照として本明細書に取り込む。
【背景技術】
【0002】
L−ピログルタミル−L−ヒスチジル−L−プロリンアミドとして同定されている、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)は、体内の多くの細胞、主に中枢神経系の神経細胞中で見出される小ペプチドである。TRHの構造は、以下の通りである。
【0003】
【化035】

【0004】
分子の右側は、「プロリンアミド」、「COOH末端」又は「C末端」部位として当業者に知られており;分子の中央部分は「ヒスチジル」部位として知られており;そして分子の左側は、ピログルタミル、NH末端又は「N末端」部位として知られている。
【0005】
体内の多くの部分におけるTRHの機能は、殆ど知られていない。しかしながら、TRHを末梢又は中枢神経系に投与すると血糖の変動を誘導することが、多くの検討で示されている(Amir. S., et al. (1987) Brain Res. 435, 112-122; Ishiguro, T., et al. (1991) Neuroendocrinology 54, 1-6)。
【0006】
内因性のTRHは、神経伝達物質、神経調節物質又はその両方の何れかとして作用することが知られている。このホルモンの大部分は、正中隆起中の視床下部神経末端から放出されて、甲状腺刺激ホルモンの分泌を刺激する(その機能によってTRHと命名されている)(Wu, P., and Jackson, I. M. (1988) Regul. Pept. 22, 347-360)。TRHは、中枢神経系の他の部位に、そして消化管、膵臓、胎盤及び目の網膜のような体内の組織中でも見出されている(Martino, E., et al. (1978) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 75, 4265-4267; Koivusalo, F., et al. (1979) Life Sci. 24, 1655-1658; Morley, J. E., (1979) Life Sci. 25, 1539-1550; Engler, D., (1982) J. Clin. Invest., 69, 1310-1320; Aratan-Spire, S. et al., (1984) Acta Endocrinol. (Copenh.), 106, 102-108; Leduque, P., et al. (1985) Regul. Pept. 10, 281-292; Fuse, Y., et al. (1990) Endocrinology 127, 2501-2505)。
【0007】
TRH及びその類縁体は、脳損傷、脊髄損傷、及び脳卒中、麻酔又は薬剤の過量摂取による神経傷害を含む、神経障害の治療に有用な化合物であることが確立されている(米国特許第5,686,420号)。これらの傷害は、TRH又はTRH類縁体で治療され、そこで自己破壊的生化学物質の作用を拮抗することによって、損傷の二次的影響の軽減が行われる。しかしながら、神経障害の治療におけるTRH及びその類縁体の使用が、TRHが脳及び脊髄以外の疾患の治療に有用であるということを理論的に導くのものではない。
【0008】
末梢神経系でのTRHの使用の主な不利な点は、このホルモンが非常に速く代謝されることである。従って、効果的な治療のためには高用量又は連続注入が必要である。短い血中濃度半減期(4〜5分)は恐らく、分子のCOOH−及びNH−末端の両方でペプチドが迅速に分解することによるものであろう。ペプチダーゼによるTRHのピログルタミル部位の開裂は、代謝物であるシクロ−ヒスチジル−プロリン−ジケトピペラジンの形成をもたらす。TRHの脱アミノ化は、遊離酸であるTRH−OHの形成をもたらす。
【0009】
中枢神経系以外で、TRHは、膵島ベータ細胞中で発現し(Maritino, E., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 1978, 75: 4265-4267; Koivusalo, F., et al. Life Sci., 1979, 24: 1655-1658)、そして膵臓がTRH受容体を有していることが示された(Yamada, M. et al. Life Sci. 2000, 66:1119-1125; Luo, L.G. et al. http://journals.endocrinology.org/joe/fca/JOE05483.htm)。
【0010】
TRH遺伝子ノックアウトマウスが、高血糖を発現することが示されている。更に、甲状腺ホルモンの置換は、高血糖を回復しないことが示されている(Yamada, M. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 1977, 94(20): 10862-10867)。
【0011】
TRH及びその類縁体は、膵炎の治療に用いられている。これらの検討において、膵炎の治療経過ではなく、疼痛管理で3時間にわたって評価された(Kiviniemi, H. et al. Acta. Chir. Scand. 1986, 152:43-47)。培養の下垂体細胞株におけるEGF受容体のTRH活性化は、TRHが成長因子機能を有しているかもしれないと指摘した(Wang, Y. et al. Mol. Endocrinol. 2000, 14:1328-1337)。
【0012】
TRH又はその類縁体の糖尿病治療の能力は、未だ実証されていない。TRHのラット脳への注射が、血糖値を低下させることが報告されている(Amir, S. et al. Brain Res. 1987, 435:112-122; Ishikawa, Y. et al. Brain Res. 1990, 514:1-4)。また、ストレプトゾシン誘導の糖尿病において、ラット膵臓中のTRH濃度が減少した(Dolva, L.O. et al. J, Clin. Invest. 1983, 76(2):1867-1873)。更に、TRHが、糖尿病治療の潜在的な標的分子であると提案された(Yamada, M. et al. Thyroid. 2003, 13:1111-1121)。
【0013】
主に研究目的で、多くのペプチダーゼ抵抗性のTRH類縁体が合成された。これらは最初、抗うつ剤として開発された。これらの類縁体の多くが、内分泌の、興奮性の及び自律神経性の効果のような中枢活性作用を有することが見出された。しかしながら、これらはどれも、糖尿病を治療するために、提案及び/又はテストされなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
糖尿病、膵島破壊、膵ベータ細胞の機能障害及び高血糖関連の機能障害のような、膵臓関連の疾患を治療して、血糖値を調節する、効果的な化合物が必要とされている。特に、甲状腺機能に影響を与えず、そしてその他の望ましくない副作用をもたらすことなく、膵内分泌ベータ細胞機能が欠如している患者の血糖値を減少させる効果のある化合物が求められている。特に望ましい類縁体は、TRH受容体タイプ1活性化に対して選択的なものである。なぜなら、膵臓がTRH受容体タイプ1のみを発現し、これは迅速に代謝されないからである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一態様では、本発明は、血糖を調節する必要のある動物に、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、TRH誘導体、及びTRH又はTRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物よりなる群から選ばれる化合物の治療有効量を投与し、これにより血糖値を調節することを含んでなる、動物の血糖を調節する方法を提供する。
【0016】
別な態様では、本発明は、膵ベータ細胞の再生を必要とする動物に、TRH、TRH誘導体、及びTRH又はTRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物よりなる群から選ばれる化合物の治療有効量を投与することを含んでなる、膵ベータ細胞を再生して、それにより膵臓の機能を回復及び/又は改善する方法を提供する。
【0017】
更に別な態様では、本発明は、TRH、TRH誘導体、及びTRH又はTRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物よりなる群から選ばれる化合物を、膵臓に関連する疾患を治療するための説明書と共に含んでなる、キットを提供する。
【0018】
また別な態様では、本発明は、TRH、TRH誘導体、及びTRH又はTRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物よりなる群から選ばれる治療有効量の化合物、及び薬学的に許容される希釈剤又は担体を包含し、その場合、組成物が膵臓関連の疾患を治療するための医薬組成物として製剤化されており、そして治療使用のための説明書と共に包装されている、包装された組成物を提供する。
【0019】
更に別な態様では、本発明は、膵臓機能が低下している膵臓細胞に、候補のTRH誘導体を接触させること、及び膵臓細胞の膵臓機能が回復又は改善されているかを判断すること、によって膵臓機能を回復又は改善して血糖値の調節をもたらすことができるTRH誘導体を同定することを含んでなる、血糖値を調節することができるTRH誘導体を同定する方法を提供する。
【0020】
別な態様では、本発明は、前記化合物が式(I)で表されるTRH誘導体である、新規な化合物を提供する。
【0021】
【化036】

【0022】
(式中、
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル(cyclyl)、シクロアルキル、ヘテロシクリル(heterocyclyl)、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
【0023】
Yは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、アリールオキシ、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、S(O)NR、又はRであり;
【0024】
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして、
【0025】
各々のX又はYは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;
Arは、以下のものから選ばれ;
【0026】
【化037】

【0027】
ここにおいて、各々のAr基は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;そして、
nは、0〜5の整数である。)
【0028】
別な態様では、本発明は、TRH又はTRH誘導体を、対象における移植拒絶を阻止するのに有効な量で、対象に投与することを含んでなる、対象における移植拒絶を阻止する方法を提供する。
【0029】
本発明は、少なくとも一部では、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)及びTRH誘導体/類縁体が、動物の血糖値を調節するのに有用な化合物であるという発見に基づいている。
本発明は、膵臓に関連する疾患を、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンTRH又はTRH誘導体で治療又は予防することによって血糖を調節する方法を提供する。糖尿病、膵島破壊、膵ベータ細胞の機能障害及び高血糖関連の機能障害が、本発明によって治療できる膵臓に関連する疾患である。
【0030】
これらの疾患は、有効量のTRH又はTRH誘導体を投与することによって治療される。このTRH又はTRH誘導体は、高血糖の二次作用を、内因性サイトカインのような自己破壊性生化学物質の作用を最適に拮抗することによって、迅速に代謝することなく、低減することが好ましい。このようなTRH誘導体は、プロリンアミド及びヒスチジン官能基を含む、TRHの幾つかの構造的な特性を保持している。
【0031】
以下の仮説に制約されるのを望むものではないが、本発明のTRH誘導体/類縁体が、カルシウムの流れを増大させて膵ベータ細胞からインスリンの放出を促進すると考えられている。このような類縁体は、自己免疫の過剰反応、糖尿病の結果としてのアポトーシス活性化因子を放出すること、及び筋肉に取り込まれるブドウ糖を高めることを含む、幾つかの損傷因子の作用を阻害することによっても、膵ベータ細胞の再生を改善できる。
【0032】
(定義)
本発明がより容易に理解されるために、便宜上幾つかの用語を定義して、纏めた。
【0033】
「類縁体」及び「誘導体」という用語は、同じ意味で用いられる。本明細書で用いる「TRH類縁体」又は「TRH誘導体」は、TRHの望ましい機能的な活性に必要なTRHの化学構造(例えば、プロリンアミド及びヒスチジン官能基)を保持しているが、TRHとは異なる化学構造も含んでいる。
【0034】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基及び分枝鎖アルキル基を含む、飽和脂肪族基の基を示す。アルキルという用語は、炭化水素骨格の1個又はそれ以上の炭素原子を、例えば酸素、窒素、硫黄又はリン原子で置き換えた、酸素、窒素、硫黄又はリン原子を更に含む、アルキル基を更に包含する。
好ましい態様では、直鎖又は分枝鎖アルキル基は、その骨格に30個以下の炭素原子(例えば、直鎖ではC−C30、分枝鎖ではC−C30)、好ましくは26個以下、より好ましくは20個以下、さらにより好ましくは4個以下の炭素原子を有している。
【0035】
更に、明細書及び請求の範囲を通して用いられるアルキルという用語は、「非置換のアルキル」及び「置換されているアルキル」の両方を含むように意図されており、後者は炭化水素骨格の1個又はそれ以上の炭素にある水素と置き換わった置換基を有するアルキル残基を示す。このような置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを包含する)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを包含する)、アミジノ、イミノ、スルフィドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族残基を包含することができる。適切な場合には、炭化水素鎖上に置換されている残基それ自身が、置換されることができるということを、当業者は理解するであろう。
【0036】
「アルキル」という用語は、長さ及び置換可能性が上記のアルキル基と類似であるが、少なくとも1個の二重結合又は三重結合をそれぞれ含有する、不飽和の脂肪族基も包含する。
「アルキルアリール」残基は、アリールで置換されているアルキル基(例えば、フェニルメチル(ベンジル))である。
【0037】
「アルコキシ」、「アミノアルキル」及び「チオアルコキシ」という用語は、炭化水素骨格の1個又はそれ以上の炭素を、例えば、酸素、窒素又は硫黄原子で置き換えた、酸素、窒素又は硫黄原子を更に含有する、上記のようなアルキル基を示す。
【0038】
「アルケニル」及び「アルキニル」という用語は、長さ及び置換可能性が上記のアルキル基と類似であるが、少なくとも1個の二重結合又は三重結合をそれぞれ含有する、不飽和の脂肪族基を示す。例えば、本発明は、シアノ及びプロパルギル基を意図している。
【0039】
「アラルキル」という用語は、(C−C)アルキレン基によって別の基に結合するアリール基を意味する。アラルキル基は、アラルキル基のアリール部分又はアラルキル基のアルキレン部分のどちらかが、1個又はそれ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0040】
本明細書で用いられる「アリール」という用語は、0〜4個のヘテロ原子を含有していてもよい、5及び6員の単環の芳香族基(ヘテロアリール)、例えばベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジン等を含む、アリール基の基を示す。アリール基は、ナフチル、キノリル、インドリル等のような、多環の縮合芳香族基も包含する。
【0041】
環構造中にヘテロ原子を有しているアリール基は、「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」としても示される。芳香環は、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを包含する)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを包含する)、アミジノ、イミノ、スルフィドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族残基で、1つ又はそれ以上の環部分が置換されていてもよい。アリール環は、脂肪属の環又は芳香族ではない複素環と縮合又は架橋して、多環(例えば、テトラリン)を形成してもよい。
【0042】
「シクリル(cyclyl)」という用語は、3〜8員の単環の炭化水素、又は少なくとも1つの非芳香族環を有している7〜14員の二環系の炭化水素を示し、この非芳香族の環はある程度の不飽和性を有している。シクリル基は、1個又はそれ以上の置換基で置換されていてもよい。一態様では、シクリル基の各々の環の0、1、2、3又は4個の原子が、置換基で置換されてもよい。
「シクロアルキル」という用語は、3〜8員の単環の炭化水素、又は少なくとも1つの飽和の環を有している7〜14員の二環系の炭化水素を示す。シクロアルキル基は、1個又はそれ以上の置換基で置換されていてもよい。一態様では、シクロアルキル基の各々の環の0、1、2、3又は4個の原子が、置換基で置換されてもよい。シクロアルキルは、例えば上記のような置換基で、更に置換されてもよい。
好ましいシクリル及びシクロアルキルは、それらの環構造中に3〜10個の炭素原子を有していて、より好ましくは環構造中に3、4、5、6又は7個の炭素を有している。
環構造中にヘテロ原子を有しているこれらの環状の基を、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルキル」又は「ヘテロアラルキル」とも称する。芳香族環は、1個又はそれ以上の環部分が上記のような置換基で置換されてもよい。
【0043】
「シクリル」又は「シクロアルキル」という用語は、2つ又はそれ以上の環状の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール及び/又はヘテロシクリル)の基を示す。
ある場合は、2個又はそれ以上の炭素原子が、2つの隣接する環に共通している(例えば、この環は「縮合環」である)。隣接していない原子を介して結合している環を、「架橋」環と称する。
この多環の各々の環は、上記のような置換基、例えばハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを包含する)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを包含する)、アミジノ、イミノ、スルフィドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリール、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族残基で置換されていてもよい。
【0044】
「ハロアルキル」という用語は、ハロゲンでモノ、ジ又はポリ置換された上記のようなアルキル基、例えば、フルオロメチル及びトリフルオロメチルを含むように意図されている。
「ハロゲン」という用語は、−F、−Cl、−Br又は−Iを示す。
「ヒドロキシル」という用語は、−OHを意味する。
【0045】
本明細書で用いられる「ヘテロ原子」という用語は、炭素又は水素以外の元素の何れかの原子を意味している。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄及びリンである。
「メルカプト」という用語は、−SH基を示す。
「スルフィドリル」又は「チオ」という用語は、−SHを意味する。
【0046】
本発明の化合物は、各種の異性体を包含している。このような異性体は、例えば立体異性体、例えばキラル化合物、例えばジアステレオマー及びエナンチオマーを包含する。
【0047】
「キラル」という用語は、鏡像体対が重ね合わせできない性質を有している分子を示すのに対して、「アキラル」は、それらの鏡像体対が重ね合わせできる性質を有している分子を示す。
【0048】
「ジアステレオマー」という用語は、2つ又はそれ以上の不斉中心を有し、それらの分子が互いに鏡像体ではない立体異性体を示す。
【0049】
「エナンチオマー」という用語は、互いに重ね合わせできない鏡像体である化合物の2つの立体異性体を示す。2つのエナンチオマーの等モル混合物を、「ラセミ混合物」又は「ラセミ体」と呼ぶ。
【0050】
「異性体」又は「立体異性体」という用語は、同一の化学構造を有するが、原子又は基の空間の配置が異なっている化合物を示す。
【0051】
更に、炭素−炭素の二重結合に関する配置の表示は、しばしば「シス」(同じ側)配座として示される「Z]、又はしばしば「トランス」(反対側)配座として示される「E]として示すことができる。これに関わらず、両方の配置、シス/トランス及び/又はZ/Eが、本発明で用いる化合物として考慮されている。
【0052】
キラル中心の命名法に関して、「d」及び「l」配置という用語は、IUPAC勧告によって定義されている。ジアステレオマー、ラセミ体、エピマー及びエナンチオマーという用語の使用については、これらは通常の状況において製造物の立体化学を記載するために用いられる。
【0053】
本発明で用いられる化合物で示される天然のアミノ酸は、特に別の指示が無ければ、「l」配置である。本発明で用いられる化合物で示される非天然又は合成のアミノ酸は、特に別の指示が無ければ、「d」配置である。
【0054】
別の態様では、本明細書で示されている何れかの式の化合物は、放射線標識されている。このような化合物は、当該化合物に導入されている1個又はそれ以上の放射活性原子(例えば、H、H、14C、13C、35S、32P、125I、131I)を有している。このような化合物は、薬剤の代謝検討及び診断、更に治療適用に有用である。
【0055】
「投与」又は「投与すること」という用語は、TRH又はTRH誘導体化合物をそれらの意図された機能を達成するために、対象に導入する経路を包含する。使用可能な投与の経路の例は、注射(皮下、静脈内、非経口、腹腔内、鞘内)、経口、吸入、直腸及び経皮を包含する。医薬製剤は勿論、各々の投与経路に適した形態で与えられる。例えば、これらの製剤は、錠剤又はカプセルの形態で、注射、吸入、目薬、軟膏、坐薬等によって投与され、注射、注入又は吸入による投与;ローション又は軟膏によって局所に;そして坐薬によって直腸に投与される。注射は、ボーラス投与又は連続注入することができる。
投与経路によって、TRH又はTRH誘導体化合物を、意図された機能を達成する性能に悪影響を及ぼす自然条件から保護するために、選択された物質で被覆又は処理することができる。TRH又はTRH誘導体化合物は、単独で、又は上記のような別な薬剤、薬学的に許容される担体若しくはその両方の何れかと組み合わせて、投与することができる。TRH又はTRH誘導体化合物は、他の薬剤の投与前に、その薬剤と同時に、又はその薬剤の投与後に投与することができる。更に、TRH又はTRH誘導体化合物は、インビボでその活性代謝物又はより活性な代謝物に変換する代用形態(proform)でも投与することができる。
【0056】
TRH又はTRH誘導体の「生物活性」という用語は、応答細胞中でTRH又はTRH誘導体化合物によって誘発される全ての活性を包含する。これは、これらの化合物によって誘発されるゲノム活性及び非ゲノム活性を包含する。
【0057】
「糖尿病」という用語は、すなわち遺伝因子及び環境因子の組み合わせに起因し、そして一般に、インスリンの不適切な分泌又は利用によって、過剰な尿産生によって、血中及び尿中の過剰量の糖によって、そして口渇、空腹感、及び体重減少によって特徴付けられる、糖質代謝の可変性の疾患という医学的な意味を有するように意図されている。
「インスリン依存性糖尿病」という用語は、すなわち発症初期から重度な糖尿病であり;多尿及び過度な口渇及び食欲増加及び体重減少及び一過性のケトアシドーシスによって特徴付けられ;疾病をコントロールするためにダイエット及びインスリンの注射が必要である、という医学的な意味を有するように意図されている。
「インスリン非依存性糖尿病」という用語は、すなわち成人に徐々に進展する糖尿病の軽症型であり;肥満、重度のストレス、更年期障害又はその他の因子によって促進され;通常インスリンの注射無しで、ダイエット及び血糖降下薬でコントロールできる、という医学的な意味を有するように意図されている。
【0058】
「有効量」という用語は、所望の結果を達成するために、例えば膵臓関連の疾患を治療するのに十分である、用量及び必要な期間の効果的な量を包含する。TRH又はTRH誘導体化合物の有効量は、対象において所望の応答を誘発するために、対象の病状、年齢及び体重、並びにTRH又はTRH誘導体化合物の性能のような要因によって変えることができる。用量計画は、最適な治療応答をもたらすように調整することができる。有効量は、治療に有益な効果が、TRH又はTRH誘導体化合物の毒性及び悪影響(例えば、副作用)の何れかを、超えるものでもある。
【0059】
当業者は、対象を効果的に治療するのに必要な用量に影響するであろう幾つかの要因が、これらに限定されないが、疾患又は疾病の重症度、以前の治療、対象の健康状態及び/又は年齢、並びに存在する他の疾患を包含することを、理解するであろう。更に、対象のTRH又はTRH誘導体化合物の治療有効量での治療は、単回治療を包含することができ、又は、これが好ましいが、連続治療を包含することができる。
一例では、対象は、体重1kg当たり約0.1〜約40μgの範囲のTRH又はTRH誘導体化合物で、約1〜10週間、好ましくは2〜8週間、より好ましくは約3〜7週間、そして更により好ましくは、約4、5又は6週間の間、週に1回治療される。治療に使用されるTRH又はTRH誘導体化合物の有効用量を、個々の治療過程において増加又は減少させることも理解されるであろう。
本発明のTRH類縁体の有効用量は、有害な内因性物質の放出を阻止又は減少させることによる2次的な傷害を十分に減少させる類縁体の量を含んでいる。糖尿病を治療するために、この用量を3日毎に投与することが好ましい。この化合物が糖尿病のその他の代謝疾患の治療に長期間投与されることも、当業者には理解されるであろう。糖尿病治療のためのTRH類縁体の投与は、インスリン治療の併用も包含する。本発明のTRH類縁体の最も好ましい有効用量は、患者の体重1kg当たり約5〜40μgであり、インスリンの併用治療も必要な重篤な高血糖の最初の月には3日毎に投与する。
【0060】
本明細書で用いる「水和物」という用語は、非共有結合の分子間力で結合している化学量論的又は非化学量論的な量の水を更に含有する、本発明の化合物又はその塩を意味する。
【0061】
「高血糖関連の機能異常」という用語は、すなわち血中の過剰な糖がもたらす身体の機能異常、という医学的な意味を有するように意図されている。
【0062】
「改善された生物学的特性」という用語は、インビボでその効果を増大させる、本発明化合物に内在する活性の何れかを示す。好ましい態様では、この用語は、毒性の減少、例えば高カルシウム血症の活性を減少させるような、TRH又はTRH誘導体化合物の定量的又は定性的に改善される治療的性質を示す。
【0063】
「調節する」という用語は、本発明化合物への曝露に応答する動物において血糖を増加又は減少させることを意味する。
【0064】
本発明で使用するTRH又はTRH類縁体又は誘導体を得ることで用いる「得ること」という用語は、TRH又はTRH類縁体又は誘導体を購入すること、合成すること又はその他で入手することを包含するように意図されている。
【0065】
「膵臓関連の疾患」という用語は、膵臓の機能又は膵臓の細胞若しくは部位に、直接的又は間接的に悪影響を与え、これにより異常に高い血糖値をもたらす、症状又は状態を包含するように意図されている。この用語は、これらに限定されないが、糖尿病、膵島破壊、膵ベータ細胞の機能障害及び高血糖関連の機能障害を包含する。
【0066】
「膵島破壊」、「膵ベータ細胞の機能障害」及び「膵ベータ細胞の再生」という用語は、それらの医学的な意味を有するように意図されている。更に、「膵ベータ細胞の再生」という用語は、膵臓機能の回復及び/又は改善を包含するように意図されている。
【0067】
本明細書で用いられる「非経口投与」及び「非経口的に投与される」という語句は、腸内投与及び局所投与以外の投与方法、通常は注射を意味しており、これらに限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、髄腔内及び胸骨内注射、並びに注入を包含する。
【0068】
「薬学的に許容される塩」という用語は、例えば、本明細書に開示されている式の何れかの化合物の酸及び塩基の基から形成される塩である。具体的な塩は、これらに限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩(acid citrate salt)、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ベシル酸塩、ゲンチシン酸塩、フマール酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩(glucaronate)、サッカラート塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及びパモン酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))を包含する。
【0069】
「薬学的に許容される塩」という用語はまた、カルボン酸官能基のような酸性の官能基を有する本明細書に開示されている式の何れかの化合物、及び薬学的に許容される無機又は有機の塩基から製造される塩を示す。適切な塩基は、これらに限定されないが、ナトリウム、カリウム及びリチウムのようなアルカリ金属の水酸化物;カルシウム及びマグネシウムのようなアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウム及び亜鉛のようなその他の金属の水酸化物;アンモニア、及び置換されていない又はヒドロキシ置換のモノ−、ジ−若しくはトリアルキルアミンのような有機アミン類;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N−メチル,N−エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ−、ビス−、又はトリス−(2−ヒドロキシ−エチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、トリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミンのような、モノ−、ビス−、又はトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン);N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリ−(2−ヒドロキシエチル)アミンのような、N,N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン;N−メチル−D−グルカミン;及びアルギニン、リジン等のような、アミノ酸を包含する。
【0070】
「薬学的に許容される塩」という用語はまた、アミノ官能基のような塩基性官能基を有する本明細書に開示されている式の何れかの化合物、及び薬学的に許容される無機又は有機の酸から製造される塩を示す。適切な酸は、硫酸水素酸(hydrogen sulfate)、クエン酸、酢酸、シュウ酸、塩化水素酸(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、硝酸、硫化水素酸(hydrogen bisulfide)、リン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、重酒石酸(bitartratic acid)、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、ベシル酸、フマール酸、グルコン酸、グルカロン酸(glucaronic acid)、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸を包含する。
【0071】
薬学的に許容される溶液は、注射又は摂取しても安全であり、そして活性成分を阻害しないように生物学的に不活性である、溶液の何れかを包含する。好ましい薬学的に許容される溶液は、患者へ注射するのに適している等張溶液を含む。例えば、等張溶液は、水、塩、及びブドウ糖のような慣用的な成分を含むことができる。薬学的に許容される溶液は、保存剤、香味料、着色剤、風味増強剤、及び安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、アルコール、蔗糖、サッカリン、メントール及びクエン酸のようなその他の添加剤と混合した精製水も含むことができる。
【0072】
本発明の化合物は、プロドラッグを包含するように意図されている。「プロドラッグ」という用語は、インビボで代謝されうる残基を有する化合物を包含する。一般に、プロドラッグは、インビボでエステラーゼにより又はその他のメカニズムにより、代謝されて活性な薬物となる。プロドラッグ及びそれらの使用の例は、当該技術分野で良く知られている(例えば、「Berge et al. (1977) "Pharamaceutical Salts", J. Pharma. Sci. 66:1-19」を参照されたい)。
プロドラッグは、化合物の最終的な単離及び精製時にそのままで、又は別に精製した化合物の遊離酸又はヒドロキシル形態を適当なエステル化剤と反応させることにより、製造することができる。ヒドロキシル基を、カルボン酸で処理することによりエステルに変換することができる。プロドラッグ残基の例は、置換及び非置換の、分枝又は非分枝のアルキルエステル残基(例えば、プロピオン酸エステル)、アルケニルエステル、ジアルキルアミノ−アルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルエステル)、アシルアミノアルキルエステル(例えば、アセチルオキシメチルエステル)、アシルオキシアルキルエステル(例えば、ピバロイルオキシメチルエステル)、アリールエステル(フェニルエステル)、アリールアルキルエステル(例えば、ベンジルエステル)、置換(例えば、メチル、ハロ又はメトキシ置換基で)アリール及びアリールアルキルエステル、アミド、アルキルアミド、ジ−低級アルキルアミド、及びヒドロキシアミドを包含する。好ましいプロドラッグ残基は、プロピオン酸エステル及びアシルエステルである。インビボで他のメカニズムによって活性体に変換されるプロドラッグも、包含される。
【0073】
「低減された毒性」という用語は、TRH又はTRH誘導体を投与したときに誘発される、好ましくない副作用の何れかを減少させることを包含するように意図されている。
【0074】
「再生」という用語は、傷害後の身体若しくは身体の部分、組織又は物質を、又は通常の身体過程を、再生、再成長又は回復することを包含するように意図されている。
【0075】
「対象」という用語は、膵臓関連の疾患に罹る可能性があるか、又はTRH若しくはTRH誘導体化合物の投与により利益を得られる、ヒト及び非ヒト動物のような生命体を包含する。好ましいヒト動物は、本明細書に記載のような膵臓関連の疾患に罹っているか又は罹りやすいヒト患者を包含する。本発明の「非ヒト動物」という用語は、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、は虫類などのような、全ての脊椎動物、例えば哺乳類、例えば齧歯動物、例えばマウス、及び非哺乳類を包含する。
【0076】
本明細書で用いられる「全身投与」、「全身的に投与される」、「末梢投与」及び「末梢的に投与される」は、例えば皮下投与のように、TRH又はTRH誘導体化合物、薬剤又はその他の物質を、患者の全身に入ってこれにより代謝及びその他の同様な過程を受けるように、投与することを意味する。
【0077】
「治療」とは、疾患の症状又は兆候の進展を阻止するか、又は変化させることを意図してなされる診療行為である。従って、「治療」は、治療上の処置及び予防又は再発予防措置の両方を示す。「治療」は、苦痛緩和ケアとしても特定できる。治療を必要とするものには、既に病気であるもの、更に予防すべき疾患があるものが含まれる。腫瘍(例えば、癌)の治療において、治療剤は、腫瘍細胞の病変を直接減少させることができるか、又は腫瘍細胞を他の治療剤、例えば放射線及び/又は化学療法剤による治療の影響を受けやすくすることができる。
【0078】
(本発明の方法)
一態様では、本発明は、血糖の調節が必要な動物に、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、TRH誘導体、及びTRH又はTRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物よりなる群から選ばれる化合物の有効量を投与して、それにより血糖値を調節することを含んでなる、動物における血糖を調節する方法を提供する。
一態様では、血糖値は、膵臓関連の疾患を治療又は予防することによって調節される。一態様では、疾患は、糖尿病である。更なる態様では、本発明は、代謝障害の効果的な治療を提供する。更なる態様では、本発明は、末梢組織に取り込まれる糖質の効果的な治療を提供する。末梢組織は筋肉として同定されるが、その他の組織又は器官を除外するものではない。更なる態様では、本発明は、糖尿病の二次的影響の効果的な治療を提供する。更なる態様では、本発明は、組織の抗アポトーシスを増大させる効果的な治療を提供する。インシュリン治療を受けているか受けていない患者へのTRH又はTRH類縁体の有効量の投与は、糖尿病の治療のために更に用いることができる。
【0079】
一態様では、疾患は、膵島破壊である。一態様では、方法は、膵ベータ細胞の機能障害である。更なる他の態様では、方法は、高血糖関連の機能障害である。
【0080】
一態様では、本発明は、化合物がTRH(1)である、方法を提供する。
【0081】
【化038】

【0082】
別な態様では、本発明は、化合物が式(I)を有するTRH誘導体である、方法を提供する。
【0083】
【化039】

【0084】
(上記式中、
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
【0085】
Yは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、アリールオキシ、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、S(O)NR、又はRであり;
【0086】
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして
【0087】
各々のX又はYは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;
Arは、次のものから選ばれ;
【0088】
【化040】

【0089】
ここにおいて、各々のAr基は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;そして、
nは、0〜5の整数である。)
【0090】
別な態様では、本発明は、化合物が式(II)を有するTRH誘導体である、方法を提供する。
【0091】
【化041】

【0092】
(上記式中、
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
【0093】
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして、
【0094】
各々のX又はRは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;
【0095】
、R及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ホルミル、又はアルキルカルボニルであり;そして、
【0096】
各々のR、R又はRは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよい。)
【0097】
別な態様では、化合物は、TRHの薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物である。
別な態様では、化合物は、TRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物である。
【0098】
更なる態様では、TRH誘導体は、Xが、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクロアルキルである、化合物である。別な態様では、Xが、次のものから選ばれる。
【0099】
【化042】

【0100】
一態様では、本発明は、化合物が、Rが、H、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン又はニトロのTRH誘導体である、方法を提供する。
更なる態様では、Rが、CF又はIである。
【0101】
別な態様では、本発明は、化合物が、Rが、H、アルキル、ハロアルキル又はハロゲンのTRH誘導体である、方法を提供する。
更なる態様では、Rが、CF又はIである。
【0102】
別な態様では、本発明は、化合物が、Rが、H、アルキル又はアミノアルキルのTRH誘導体である、方法を提供する。
更なる態様では、Rが、メチルである。
【0103】
別な態様では、本発明は、化合物が、次の式で表される化合物のような、Rがグリシン(Gly)のTRH誘導体である、方法を提供する。
【0104】
【化043】

【0105】
別な態様では、本発明は、化合物が、次の式で表される化合物のような、Xがグリシル(Gly)のTRH誘導体である、方法を提供する。
【0106】
【化044】

【0107】
別な態様では、本発明は、化合物が、次の式で表される化合物のような、Xがロイシル(Leu)のTRH誘導体である、方法を提供する。
【0108】
【化045】

【0109】
更なる別な態様では、本発明は、化合物が、1−{3−(1H−イミダゾール−4−イル)−2−[(4−オキソ−アゼチジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(2)である、方法を提供する。
【0110】
【化046】

【0111】
更なる別な態様では、本発明は、化合物が、6−オキソ−ピペリジン−2−カルボン酸[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−アミド(3)である、方法を提供する。
【0112】
【化047】

【0113】
別な態様では、本発明は、化合物が、6−メチル−5−オキソ−チオモルホリン−3−カルボン酸[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−アミド(4)である、方法を提供する。
【0114】
【化048】

【0115】
更なる別な態様では、本発明は、化合物が、2,6−ジオキソ−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリミジン−4−カルボン酸[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−アミド(5)である、方法を提供する。
【0116】
【化049】

【0117】
更なる別な態様では、本発明は、化合物が、1−{3−(1H−イミダゾール−4−イル)−2−[(5−オキソ−テトラヒドロ−フラン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(6)である、方法を提供する。
【0118】
【化050】

【0119】
別な態様では、本発明は、化合物が、1−{3−(1H−イミダゾール−2,5−ジヨード−4−イル)−2−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(7)である、方法を提供する。
【0120】
【化051】

【0121】
更なる別な態様では、本発明は、化合物が、(5−{3−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−3−オキソ−2−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピル}−イミダゾール−1−イルアミノ)−酢酸(8)である、方法を提供する。
【0122】
【化052】

【0123】
更なる別な態様では、本発明は、化合物が、1−[2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−3−(3H−イミダゾール−4−イル)−プロピオニル]−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(9)である、方法を提供する。
【0124】
【化053】

【0125】
別な態様では、本発明は、化合物が、1−[2−(2−アミノ−4−メチル−ペンタノイルアミノ)−3−(3H−イミダゾール−4−イル)−プロピオニル]−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(10)である、方法を提供する。
【0126】
【化054】

【0127】
別な態様では、本発明は、化合物が、1−{3−(1H−イミダゾール−3−メチル−4−イル)−2−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(「Glp−3−Me−His−Pro−NH2」)(11)である、方法を提供する。
【0128】
【化055】

【0129】
更なる別な態様では、本発明は、化合物が、4−アミノ−4−[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチルカルバモイル]−酪酸(「Glu−His−Pro−NH2」)(12)である、方法を提供する。
【0130】
【化056】

【0131】
更なる別な態様では、本発明は、化合物が、1−{3−フェニル−2−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(「Glp−Phe−Pro−NH2」)(13)である、方法を提供する。
【0132】
【化057】

【0133】
更なる別な態様では、本発明は、化合物が、(「Glp−His−Pro−Gly−NH2」)(14)である、方法を提供する。
【0134】
【化058】

【0135】
一態様では、本発明は、治療する動物が哺乳動物である方法を提供する。更なる態様では、哺乳動物がヒトである。
別な態様では、本発明は、化合物を得る工程を更に含んでなる方法を提供する。
【0136】
別な態様では、本発明は、化合物を経口投与する方法を提供する。
別な態様では、本発明は、化合物を静脈内投与する方法を提供する。
別な態様では、本発明は、化合物を非経口投与する方法を提供する。
別な態様では、本発明は、化合物を錠剤、カプセル又は注射剤として投与する方法を提供する。
【0137】
一態様では、本発明は、化合物を体重1kg当たり0.001μg〜100μgの濃度で投与する方法を提供する。更なる態様では、化合物は、体重1kg当たり約5μg〜約40μgの濃度で投与される。
【0138】
別な態様では、本発明は、膵ベータ細胞の再生を必要とする動物に、先に列記したような甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、TRH誘導体、及びTRH又はTRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物よりなる群から選ばれる化合物の治療有効量を投与することを含んでなる、膵ベータ細胞の再生方法を提供する。更なる態様では、本発明は、先に列記したような化合物の有効量を動物に投与することを含んでなる、膵ベータ細胞の質量を増大させる方法を提供する。
【0139】
一態様では、本発明は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、TRH誘導体、及びTRH又はTRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物よりなる群から選ばれる化合物を、上記方法の何れかに従って膵臓関連の疾患を治療するための説明書と共に含んでなる、キットを提供する。一態様では、本発明は、化合物が、薬学的に許容される希釈剤又は担体と共に医薬組成物として製剤化されている、キットを提供する。別な態様では、本発明は、化合物がTRHである、キットを提供する。別な態様では、本発明は、化合物が式(I)のTRH誘導体である、キットを提供する。
【0140】
【化059】

【0141】
(上記式中、
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
【0142】
Yは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、アリールオキシ、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、S(O)NR、又はRであり;
【0143】
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして、
【0144】
各々のX又はYは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく:
Arは、次のものから選ばれ;
【0145】
【化060】

【0146】
ここにおいて、各々のAr基は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;そして、
nは、0〜5の整数である。)
【0147】
一態様では、本発明は、TRH、TRH誘導体、及びTRH又はTRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物よりなる群から選ばれる化合物の治療有効量、及び薬学的に許容される希釈剤又は担体を包含し、その場合、当該組成物が膵臓関連の疾患を治療するための医薬組成物として製剤化されており、そして前記の何れかの方法による使用のための説明書と共に包装されている、包装された組成物を提供する。
一態様では、本発明は、化合物がTRHである、包装された組成物を提供する。
別な態様では、本発明は、化合物が式(I)のTRH誘導体である、包装された組成物を提供する。
【0148】
【化061】

【0149】
(上記式中、
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
【0150】
Yは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、アリールオキシ、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、S(O)NR、又はRであり;
【0151】
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして、
【0152】
各々のX又はYは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;
Arは、次のものから選ばれ;
【0153】
【化062】

【0154】
ここにおいて、各々のAr基は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;そして、
nは、0〜5の整数である。)
【0155】
ある態様では、本発明は、化合物を体重1kg当たり0.001μg〜100μg;好ましくは、体重1kg当たり約5μg〜約40μgの濃度で投与する、包装された組成物を提供する。
【0156】
別な態様では、本発明は、(a)膵臓機能が低下している膵臓細胞に、候補のTRH誘導体を接触させること;そして(b)膵臓細胞の膵臓機能が回復又は改善されているかを判断すること、これにより膵臓機能を回復又は改善して血糖値の調節をもたらすことができるTRH誘導体を同定することを含んでなる、血糖値を調節することができるTRH誘導体を同定する方法を提供する。一態様では、本発明は、膵臓機能が低下している膵臓細胞が、動物内にある、方法を提供する。別な態様では、本発明は、接触させる工程が、動物に候補の化合物を経口、静脈内又は非経口投与することを含む、方法を提供する。更なる態様では、本発明は、化合物がTRH又はTRH誘導体である、方法を提供する。別な更なる態様では、化合物がTRHである。別な更なる態様では、TRH誘導体が、式(I)の化合物である。
【0157】
【化063】

【0158】
(上記式中、
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
【0159】
Yは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、アリールオキシ、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、S(O)NR、又はRであり;
【0160】
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして、
【0161】
各々のX又はYは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;
Arは、次のものから選ばれ;
【0162】
【化064】

【0163】
ここにおいて、各々のAr基は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;そして、
nは、0〜5の整数である。)
【0164】
更に、例えば膵臓関連の疾患の治療で、血糖値を調節するのに有用であることに加えて、本発明のTRH及びTRH類縁体は、臓器又は細胞移植を受けた患者に、移植処理に関連する自己免疫反応を減少させ、そして移植後の細胞生存率を改善するために、投与することができる。従って、本発明の別な態様は、対象の移植拒絶反応を阻止する方法を提供する。移植は、これらに限定されないが、固形臓器、膵臓、膵島細胞、膵ベータ細胞及び骨髄を包含する、臓器及び細胞の何れかであってもよい。
【0165】
(本発明の化合物)
TRH及びTRH類縁体は、神経伝達物質、神経調節物質又はこの両方の何れかで作用すること、脳損傷;脊髄損傷;脳卒中による、麻酔による、又は薬剤の過量摂取による神経傷害;を包含する神経障害を治療すること、膵炎を治療すること、血糖値を減少させること、そして内分泌の、興奮性の及び自律神経性の効果に作用すること、のような生物学的活性を発揮することが知られている。
【0166】
本発明において、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、式I及び式IIのTRH誘導体、及びTRH又はTRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物、又は水和物よりなる群から選ばれる化合物が、糖尿病、膵島破壊、膵ベータ細胞の機能障害及び高血糖関連の機能障害を包含する、膵臓関連の疾患の治療及び予防に有用であることが見出された。
【0167】
従って、一態様では、本発明は、化合物が式(I)を有するTRH誘導体である、新規な化合物を提供する。
【0168】
【化065】

【0169】
(上記式中
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
【0170】
Yは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、アリールオキシ、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、S(O)NR、又はRであり;
【0171】
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして、
【0172】
各々のX又はYは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;
Arは、次のものから選ばれ;
【0173】
【化066】

【0174】
ここにおいて、各々のAr基は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;そして、
nは、0〜5の整数である。)
【0175】
一態様では、本発明は、化合物が式(II)を有するTRH誘導体である、新規な化合物を提供する。
【0176】
【化067】

【0177】
(上記式中、
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
【0178】
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして、
【0179】
各々のX又はRは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;
【0180】
、R及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ホルミル、又はアルキルカルボニルであり;そして、
【0181】
各々のR、R又はRは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよい。)
【0182】
別な態様では、化合物は、TRHの薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物である。
別な態様では、化合物は、TRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物である。
【0183】
更なる態様では、TRH誘導体は、Xが、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクロアルキルである化合物である。
別な態様では、Xが次のものから選ばれる。
【0184】
【化068】

【0185】
一態様では、本発明は、Rが、H、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン又はニトロであるTRH誘導体を提供する。更なる態様では、Rが、CF又はIである。
別な態様では、本発明は、Rが、H、アルキル、ハロアルキル又はハロゲンであるTRH誘導体を提供する。更なる態様では、Rが、CF又はIである。
【0186】
別な態様では、本発明は、Rが、H、アルキル又はアミノアルキルであるTRH誘導体を提供する。更なる態様では、Rが、メチルある。
【0187】
別な態様では、本発明は、化合物が次の式で表される化合物のような、Rが、グリシン(Gly)である、TRH誘導体を提供する。
【0188】
【化069】

【0189】
別な態様では、本発明は、化合物が次の式で表される化合物のような、Xが、グリシル(Gly)である、TRH誘導体を提供する。
【0190】
【化070】

【0191】
別な態様では、本発明は、化合物が次の式で表される化合物のような、Xが、ロイシル(Leu)である、TRH誘導体を提供する。
【0192】
【化071】

【0193】
本発明に従って使用される化合物は、TRH(1)を包含する。
【0194】
【化072】

【0195】
本発明に従って使用される化合物は、TRH誘導体も包含し、その例は以下に挙げられている。
1−{3−(1H−イミダゾール−4−イル)−2−[(4−オキソ−アゼチジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(2):
【0196】
【化073】

【0197】
6−オキソ−ピペリジン−2−カルボン酸[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−アミド(3):
【0198】
【化074】

【0199】
6−メチル−5−オキソ−チオモルホリン−3−カルボン酸[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−アミド(4):
【0200】
【化075】

【0201】
2,6−ジオキソ−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリミジン−4−カルボン酸[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−アミド(5):
【0202】
【化076】

【0203】
1−{3−(1H−イミダゾール−4−イル)−2−[(5−オキソ−テトラヒドロ−フラン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(6):
【0204】
【化077】

【0205】
1−{3−(1H−イミダゾール−2,5−ジヨード−4−イル)−2−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(7):
【0206】
【化078】

【0207】
(5−{3−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−3−オキソ−2−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピル}−イミダゾール−1−イルアミノ)−酢酸(8):
【0208】
【化079】

【0209】
1−[2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−3−(3H−イミダゾール−4−イル)−プロピオニル]−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(9):
【0210】
【化080】

【0211】
1−[2−(2−アミノ−4−メチル−ペンタノイルアミノ)−3−(3H−イミダゾール−4−イル)−プロピオニル]−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(10):
【0212】
【化081】

【0213】
1−{3−(1H−イミダゾール−3−メチル−4−イル)−2−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(「Glp−3−Me−His−Pro−NH2」)(11):
【0214】
【化082】

【0215】
4−アミノ−4−[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチルカルバモイル]−酪酸(「Glu−His−Pro−NH2」)(12):
【0216】
【化083】

【0217】
1−{3−フェニル−2−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(「Glp−Phe−Pro−NH2」)(13):
【0218】
【化084】

【0219】
(「Glp−His−Pro−Gly−NH2」)(14):
【0220】
【化085】

【0221】
本発明の幾つかの化合物の構造は、不斉炭素原子を含んでいる。従って、このような不斉から生じる異性体(例えば、全てのエナンチオマー及びジアステレオマー)は、他の指示がない限り、本発明の範囲に含まれる。このような異性体は、古典的な分離技術によって及び/又は立体化学的な制御合成によって、実質的に純粋な形態で得ることができる。
【0222】
天然の又は合成した異性体は、当該技術分野で公知の幾つかの方法で分離することができる。2つのエナンチオマーのラセミ混合物を分離する方法は、キラル固定相を用いるクロマトグラフィーを包含する(例えば、「"Chiral Liquid chromatography", W. J. Lough, Ed. Chapman and Hall, New York (1989)」を参照されたい)。
エナンチオマーは、古典的な分割技術によっても分離することができる。例えば、ジアステレオマー塩の形成及び分別結晶化を、エナンチオマーの分離に用いることができる。カルボン酸のエナンチオマーを分離するために、ブルシン、キニーネ、エフェドリン、ストリキニーネ等のような、鏡像異性的に純粋なキラルの塩基を添加することによってジアステレオマー塩を形成することができる。また、メントールのような鏡像異性的に純粋なキラルのアルコールで、ジアステレオマーエステルを形成し、次いでジアステレオマーエステルを分離して、加水分解し、遊離の鏡像異性的に濃縮されたカルボン酸を生成することができる。アミノ化合物の光学異性体を分離するために、カンファースルホン酸、酒石酸、マンデル酸又は乳酸のような、キラルなカルボン酸又はスルホン酸を添加して、ジアステレオマー塩を形成することができる。
【0223】
(本発明化合物の合成)
本発明の化合物は、当業者に周知の方法で合成することができる。特に、本発明の化合物は、本明細書の合成に係る部分、実施例及び化学文献で述べられている方法によって合成することができる。本発明化合物の合成に用いられる方法の例は、米国特許第5,686,420号に記載されているものを包含する。
【0224】
本発明のある特定の化合物は、市販のHis類縁体から出発して、当業者に公知の方法に従って、これを修飾することによって合成される。このような方法は、N末端位置におけるGly又はLeuの導入を包含する。各種の置換は、以下に引用するLabrooの方法に従って行われる。
【0225】
本発明のその他の化合物は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンから出発して、当業者に公知の方法に従って、これを修飾することによって合成される。各種の置換は、以下に引用するLabrooの方法に従って行われる。
【0226】
本発明の更なる他の化合物は、当業界でYM−14673として知られ、「Yamanouchi Pharmaceutical Co. LTD (Tokyo, Japan)」から入手できる化合物、N−[[(S)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド・二水和物から出発して合成される。各種の置換は、以下に引用するLabrooの方法に従って行われる。
【0227】
【化086】

【0228】
本発明の更なる他の化合物は、当業界でCG3703として知られ、「Chemie Grunenethal (Stolberg, West Germany) から入手できる、オロチル−L−ヒスチジル−L−プロリンアミドから出発して合成される。各種の置換は、以下に引用するLabrooの方法に従って行われる。
【0229】
【化087】

【0230】
本発明の更なる他の化合物は、当業界でCG3509として知られ、「Chemie Grunenethal (Stolberg, West Germany)」から入手できる、化合物から出発して合成される。各種の置換は、以下に引用するLabrooの方法に従って行われる。
【0231】
【化088】

【0232】
本発明のその他の化合物は、当業界でDN1417として知られ、「Takeda Chemical Industries, Ltd. (Osaka, Japan)」から入手できる、γ−ブチロラクトン−γ−カルボニル−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド・クエン酸塩から出発して合成される。各種の置換は、以下に引用するLabrooの方法に従って行われる。
【0233】
【化089】

【0234】
(Glp−3−Me−His−Pro−NH)、(Glu−His−Pro−NH)、(Glp−Phe−Pro−NH)、及び(Glp−His−Pro−Gly−NH)は、「American Peptide Company, Inc.」から購入した。その他の出発物質であるペプチド誘導体は、商業的供給源から購入又は入手することができる。
【0235】
、R及びRにおける各種の置換は、「Labroo, V. M., Feurerstein, G., and Cohen L. A., in "Peptides: Structure and Function" Proceedings of Ninth American Peptide Symposium, Deber, Hruby and Kopple, eds., pp. 703-706, 1985」の方法に従って行われ、この文献は参照として本明細書の取り込まれている。
【0236】
例えば、トリフルオロメチル基の導入は、Boc−Hisから出発して遂行できる。hνの存在下にトリフルオロメチルヨードを加えると、2−置換及び4−置換のBoc−CF−Hisの混合物が得られる。
【0237】
【化090】

【0238】
トリペプチドの合成は、カップリング条件下でプロリンの段階的添加、次いで保護PGluの添加、そして引き続いて脱保護を実施して、所望のトリペプチドを得ることができる。4−置換の変異体は、4−置換のBoc−Hisから出発して、同じ方法で合成できる。
【0239】
【化091】

【0240】
代替えの合成は、4−NO−His−OMeのHCl塩から出発するニトロ含有化合物を得るために実施される。保護PGluの添加に続いて、脱保護、エステルの加水分解、及びPro−NHカップリングが行われる。
【0241】
【化092】

【0242】
上記の合成方法を、本発明のペプチド化合物を合成するために用いることができる。
【0243】
(医薬組成物)
本発明は、TRH又は本明細書に記載の式(I)若しくは別な式のTRH誘導体の有効量、及び薬学的に許容される担体を含んでなる、医薬組成物も提供する。更なる態様では、有効量は、先に述べたように膵臓関連の疾患を治療するのに有効である。
【0244】
一態様では、TRH又はTRH誘導体は、薬学的に許容される製剤、例えば薬学的に許容される製剤が対象に投与されてから、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間又は4週間の間、対象にTRH又はTRH誘導体の持続した放出をもたらす薬学的に許容される製剤を用いて対象に投与される。
【0245】
ある態様では、これらの医薬組成物は、対象に局所投与又は経口投与するのに適している。その他の態様では、以下に詳述するように、本発明の医薬組成物は以下に適したものを包含する、固体又は液体形態で投与するために特別に製剤化することができる:(1)例えば、液剤(水性、非水性の溶液又は懸濁液)、錠剤、ボーラス、粉末、顆粒、ペーストの経口投与;(2)例えば、無菌溶液又は懸濁液として、例えば皮下、筋肉内又は静脈内注射の非経口投与;(3)例えば、クリーム、軟膏又はスプレーとして皮膚に適用の局所適用;(4)例えば、ペッサリー、クリーム又は発泡剤として、経膣又は経直腸適用;(5)例えば、水性エアロゾル、リポゾーム製剤又は化合物を含有する固体粒子として、エアロゾル適用。
【0246】
「薬学的に許容される」という語句は、適切な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題点若しくは合併症無しで、妥当な利益/リスク比に釣り合って、ヒト及び動物の組織に接触させて用いるのに適している、本発明のTRH又はTRH誘導体、このような化合物を含有する組成物、及び/又は投与形態を示す。
【0247】
「薬学的に許容される担体」という語句は、対象となる化学物質を身体のある臓器又は部分から、身体の他の臓器又は部分への運搬又は輸送に関わる、液体又は固体の充てん剤、希釈剤、添加剤、溶媒又は封入剤のような、薬学的に許容される物質、組成物又は賦形剤を示す。
各々の担体は、製剤中の他の成分と混合が可能で、患者に対して有害ではないという意味で「許容される」でなければならない。薬学的に許容される担体として使用できる物質の幾つかの例は:(1)乳糖、ブドウ糖及び蔗糖のような糖類;(2)コーンスターチ及びジャガイモ澱粉のような澱粉;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースのような、セルロース及びその誘導体;(4)粉末化トラガカントゴム;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココアバター及び坐剤用ワックスのような賦形剤;(9)落花生油、綿実油、ベニバナ油、ごま油、オリーブ油、コーンオイル及び大豆油のような油類;(10)ポリエチレングリコールのようなグリコール類;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールのようなポリオール類;(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのようなエステル類;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アンモニウムのような緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質なしの水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル溶液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;及び(21)医薬製剤で用いられる、その他の非毒性適合物質:を包含する。
【0248】
湿潤剤、乳化剤、及びラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、更に着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、着香剤及び芳香剤、保存剤及び抗酸化剤も組成物中に存在させることができる。
【0249】
薬学的に許容される抗酸化剤の例は:(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのような、水溶性抗酸化剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ・トコフェロール等のような、油溶性抗酸化剤;及び(3)クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等のような、金属キレート化剤:を包含する。
【0250】
TRH又はTRH誘導体を含有する組成物は、経口、経鼻、局所(口腔及び舌下を含む)、直腸内、経膣、エアロゾル及び/又は非経口投与に適したようなものを包含する。組成物は、容易に単回投与形態とすることができ、そして製薬技術分野で周知の任意の方法で製造することができる。担体物質と組み合わせて単回投与形態を製造する活性成分の量は、治療される対象(host)、特定な投与形態によって変化するであろう。単回投与形態を製造するために担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は、一般に、治療効果をもたらす化合物の量であろう。一般に、100パーセント中、この量は約1パーセント〜約99パーセント、好ましくは約5パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント〜約30パーセントの範囲の活性分の量であろう。
【0251】
これらの組成物を製造する方法は、TRH又はTRH誘導体を、担体及び任意の1つ又はそれ以上の補助成分と混合する工程を包含する。一般に、製剤は、TRH又はTRH誘導体を、液体の担体、微粉化した固体の担体又はその両方と均一に且つ密に混合し、次いで必要によって、生成物を成形することによって、製造される。
【0252】
経口投与に適した本発明の組成物は、それぞれが所定量のTRH又はTRH誘導体を活性成分として含有する、カプセル、封入剤、ピル、錠剤、薬用キャンディー(芳香性の基剤、一般に蔗糖及びアラビアゴム又はトラガカントゴムを用いる)、粉末剤、顆粒剤、又は水性若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として、又は水中油型若しくは油中水型の乳化剤として、又はエリキシル若しくはシロップとして、又はトローチ剤(ゼラチン及びグリセリン、又は蔗糖及びアラビアゴムのような不活性基剤を用いて)として、及び/又はうがい薬等としての、形態とすることができる。化合物は、ボーラス、舐剤又はペーストとして投与することもできる。
【0253】
経口投与用の本発明の固体投与形態(カプセル、錠剤、ピル、糖衣錠、粉末剤、顆粒剤等)において、活性成分を、クエン酸ナトリウム又はリン酸ジカルシウムのような1つ又はそれ以上の薬学的に許容される担体、及び/又は以下の何れかと混合する:(1)澱粉、乳糖、蔗糖、ブドウ糖、マンニトール及び/又はケイ酸のような、充てん剤又は増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、蔗糖及び/又はアラビアゴムのような、結合剤;(3)グリセリンのような、保湿剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種のケイ酸塩及び炭酸ナトリウムのような、崩壊剤;(5)パラフィンのような、溶液緩染剤;(6)4級アンモニウム化合物のような、吸収促進剤;(7)例えば、セチルアルコール及びグリセリンモノステアレートのような、湿潤剤;(8)カオリン及びベントナイト粘土のような、吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びこれらの混合物のような、滑沢剤;及び(10)着色剤。
カプセル、錠剤及びピルの場合には、医薬組成物は、緩衝剤を含有することもできる。同じタイプの固体組成物は、ラクトース又は乳糖、更に高分子ポリエチレングリコール等の添加剤を用いて、ソフト及びハードゼラチンカプセルに入れる充てん剤としても使用することができる。
【0254】
錠剤は、1つ又はそれ以上の任意の補助成分と共に、圧縮又は成型して作られる。圧縮錠は、結合剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤又は分散剤を用いて製造することができる。成型錠は、粉末化した活性成分と不活性液体希釈剤の混合物を、適当な機械で成型することによって作ることができる。
【0255】
糖衣錠、カプセル、ピル及び顆粒剤のような、本発明の医薬組成物の錠剤及びその他の投与形態は、割線を入れるか、又は腸溶コーティング及び医薬製剤技術で良く知られているコーティングのように、コーティング剤及びシェルと一緒に製造してもよい。これらは、例えば所望の放出プロフィルを与えるように比率を変化させたヒドロキシメチルセルロース、その他の重合体物質、リポゾーム及び/又は微小球体を用いて、含まれる活性成分の遅延又は制御した放出を提供できるような製剤とすることもできる。
これらは、使用の直前に滅菌水又はその他の滅菌注射用媒体に溶解することができる、滅菌固体組成物の形態に、例えば、細菌保持フィルターによるろ過、又は殺菌剤と混合して滅菌することができる。これらの組成物は、乳白剤を含有してもよく、そして活性成分のみを又は優先的に胃腸管のある部分に、任意の遅延方法で、放出する製剤とすることができる。使用可能な包埋した組成物の例は、重合体物質及びワックスを包含して用いることができる。活性成分を、適切な場合には、1つ又はそれ以上の上記添加剤と一緒に、マイクロカプセルの形態とすることもできる。
【0256】
TRH又はTRH誘導体の経口投与用の液体投与形態は、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルを包含する。活性成分に加えて、液体投与形態は、例えば水又はその他の溶媒、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実、ラッカセイ、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマ及びゴマ油)、グリセリン、テトラヒドロフラニルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物のような溶解補助剤及び乳化剤のような、当該技術分野で通常用いられる不活性な希釈剤を含有することができる。
【0257】
不活性希釈剤に加えて、経口用の組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味剤、着香剤、着色剤、芳香剤及び保存剤のような、補助剤を含有することができる。
【0258】
活性成分のTRH又はTRH誘導体に加えて、懸濁剤は、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天及びトラガカントゴム、並びにこれらの混合物のような、懸濁化剤を含有することができる
【0259】
直腸内及び膣内投与用の本発明の医薬組成物は、坐薬とすることができ、これには、1つ又はそれ以上のTRH又はTRH誘導体を、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、坐薬用ワックス又はサリチル酸塩を含有する適切な刺激のない賦形剤又は担体の1つ又はそれ以上と混合して製造でき、そしてこれは室温では固体であるが、体内では液体であるので、直腸又は膣腔中で溶解して活性剤を放出する。
【0260】
膣内投与に適している本発明の組成物は、当該技術分野で適していることが公知の担体を含有している、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム(泡)又はスプレー製剤も包含する。
【0261】
TRH又はTRH誘導体の局所又は経皮投与用の投与形態は、粉末剤、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入剤を包含する。活性成分のTRH又はTRH誘導体は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体、及び必要に応じて保存剤、緩衝剤又は高圧ガスと混合することができる。
【0262】
軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、本発明のTRH又はTRH誘導体に加えて、動物性若しくは植物性の脂肪、油類、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカントゴム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルク若しくは酸化亜鉛又はこれらの混合物のような賦形剤を含有することができる。
【0263】
粉末剤及びスプレーは、TRH又はTRH誘導体に加えて、乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉、並びにこれらの物質の混合物のような賦形剤を含有することができる。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素類、及びブタン及びプロパンのような揮発性の非置換の炭化水素のような、通常の高圧ガスを更に含有することができる。
【0264】
TRH又はTRH誘導体はまた、エアロゾルによって投与することができる。これは、この化合物を含有している水性エアロゾル、リポゾーム製剤又は固体粉末を製造することによって、実施できる。非水性(例えば、フッ化炭素の高圧ガス)懸濁剤を使用することができる。超音波噴霧器は、薬剤をせん断下に曝す(これは化合物の分解を、もたらす)ことを最小にするので好ましい。
【0265】
通常、水性エアロゾルは、薬剤の水溶液又は水性懸濁液を、通常の薬学的に許容される担体及び安定化剤と共に製剤化することによって、製造される。この担体及び安定化剤は、特定の化合物の要件によって変わるが、一般には非イオン性界面活性剤(ツイーン類(Tweens)、プルロニック類(Pluronics)又はポリエチレングリコール)、血清アルブミンのような無害のタンパク質、ソルビタンエステル類、オレイン酸、レクチン、グリシンのようなアミノ酸、緩衝剤、塩類又は糖アルコールを包含する。エアロゾルは、一般に等張溶液から製造する。
【0266】
経皮パッチは、TRH又はTRH誘導体の体内への制御した放出をもたらすという、更なる利便性を有している。このような投与形態は、薬剤を適切な媒体中に溶解又は懸濁させることによって製造される。吸収促進剤も、活性成分の皮膚を通っての流れを増大させるために使用される。このような流れの速度は、速度制御の膜を準備すること、又は活性成分を重合体マトリックス又はゲルに分散させること、のどちらかによって制御することができる。
【0267】
点眼製剤、眼軟膏、粉末剤、溶液等も、本発明の範囲内であると、意図されている。
【0268】
非経口投与に適している本発明の医薬組成物は、TRH又はTRH誘導体を、1つ又はそれ以上の薬学的に許容される無菌等張水性若しくは非水性溶液、分散液、懸濁液若しくは乳液、又は使用の直前に無菌注射用溶液若しくは分散液に再構成できるような無機粉末と組み合わせて含有しており、これには、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を対象とする患者の血液と等張にする媒質、又は懸濁剤若しくは増粘剤を含有していてもよい。
【0269】
本発明の医薬組成物中に用いられる適切な水性及び非水性の担体の例は、水、エタノール、ポリオール類(グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のような)及びこれらの適切な混合物、オリーブオイルのような植物油、及びオレイン酸エチルのような注射用有機エステル類を包含する。例えば、レシチンのような被覆物質を使用することにより、分散液の場合では必要とされる粒径を保持することにより、及び界面活性剤を使用することにより、適切な流動性を保持することができる。
【0270】
これらの組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散化剤のような補助剤も含有することができる。微生物の作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等の各種抗菌剤及び抗カビ剤を含有することによって確実にできる。糖類、食塩等のような等張剤を、組成物中に含むことも望ましい。更に、注射用医薬形態の持続的吸収を、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような吸収を遅延させる薬剤を包含することによって、もたらすことができる。
【0271】
ある場合には、薬剤の効果を持続するために、皮下又は筋肉内注射で薬剤の吸収を遅らせることが好ましい。これは、難水溶性の結晶性又は非晶性物質の液体懸濁液を使用することによって、実施することができる。薬剤の吸収速度は、その溶解速度に依存し、次に結晶サイズ及び結晶形態に依存する。また、非経口投与された薬剤の遅延した吸収は、薬剤を油性の賦形剤に溶解又は懸濁することによって達成される。
【0272】
注射用のデポ製剤は、ポリラクチド−ポリグリコリドのような生物分解性ポリマー中に、TRH化合物のマイクロカプセル封入マトリックスを形成することによって、製造される。ポリマーに対する薬剤の比率、及び使用する特定のポリマーの性質によって、薬剤の放出速度を制御することができる。その他の生物分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)を包含する。注射用のデポ製剤は、身体組織に適合するリポゾーム又はマイクロエマルジョン中に薬剤を封入することによっても製造できる。
【0273】
TRH又はTRH誘導体を医薬品としてヒト及び動物に投与する場合は、それ自体で、又は薬学的に許容される担体と組み合わせて、例えば、0.1〜99.5%(より好ましくは、0.5〜90%)の活性成分を含有する医薬組成物として投与することができる。
【0274】
選択された投与経路に関わらず、本発明の適当な水和物形態で用いることができるTRH又はTRH誘導体及び/又は医薬組成物は、当業者に公知の通常の方法で薬学的に許容される用量形態に製剤化される。
【0275】
ある態様では、本発明は、化合物が体重1kg当たり0.001μg〜100μg、好ましくは体重1kg当たり約5μg〜約40μgの濃度で投与される、医薬組成物を提供する。
【0276】
(本発明の実施例)
本発明は、以下の実施例により更に説明を実施するが、これは、本発明を更に限定するものとして、解釈されてはならない。
【0277】
(実験)
TRH又はTRH類縁体に関する全ての操作は、窒素雰囲気下で、無色又はあめ色のガラス容器中で実施する。テトラヒドロフランは、使用の直前にナトリウムベンゾフェノンケチルから蒸留し、そして溶質の溶液は硫酸ナトリウムで乾燥する。塩化メチレンは、CaH上で蒸留する。
融点は、トーマス−フーバー毛細管装置(Thomas-Hoover Capillary apparatus)で測定し、そして補正していない。
旋光度は、25℃で測定する。
H NMRスペクトルは、他に指示がない限り、CDCl中400MHzで測定する。
TLCは、シリカゲルプレート(Merck PF-254)上で、短波長のUV光下で、又はプレートを10%のホスホモリブデン酸のメタノール溶液でスプレーした後加熱して、可視化して実施する。フラッシュクロマトグラフィーは、40〜65μmメッシュのシリカゲル上で実施する。プレパラティブHPLCは、5×40cmのカラム及び15〜30μmメッシュのシリカゲル上で、100ml/min.の流速で実施する。
【実施例1】
【0278】
1−{3−(1H−イミダゾール−2,5−ジヨード−4−イル)−2−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(7)の合成:
【0279】
【化093】

【0280】
1. 2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(2,5−ジヨード−3H−イミダゾール−4−イル)−プロピオン酸の合成
【0281】
【化094】

【0282】
Boc−Hisのメタノール溶液を室温で撹拌しながら、ヨードを加える。続いて反応をhν光に1時間曝して実施する。反応液をセライトでろ過し、塩化メチレンで洗浄し、水、NaHCO溶液で抽出し、MgSOで乾燥し、そして濃縮する。2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(2,5−ジヨード−3H−イミダゾール−4−イル)−プロピオン酸が、無色のオイルとして得られ、更に精製することなく使用した。
2. [2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(2,5−ジヨード−3H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの合成
【0283】
【化095】

【0284】
2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(2,5−ジヨード−3H−イミダゾール−4−イル)−プロピオン酸のDMF溶液を、室温で撹拌しながら、Pro−NH、DCC、及びHOBtを加える。12時間撹拌した後、反応液をセライトでろ過し、塩化メチレンで洗浄し、水、NaHCO溶液で抽出し、MgSOで乾燥し、そして濃縮する。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製すると、[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(2,5−ジヨード−3H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルが、透明なオイルとして得られる。
3. [2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(2,5−ジヨード−3H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−カルバミン酸−3−(N−ベンジル)−2−ピロリジノンの合成
【0285】
【化096】

【0286】
フラスコに、[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(2,5−ジヨード−3H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの塩化メチレン溶液を入れる。これにトリフルオロ酢酸(TFA)を加えて、反応液を1時間撹拌する。反応液を塩化メチレンで希釈し、NaHCO溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、そして濃縮する。得られる残渣をTHFに溶解し、−15℃に冷却して、NEMのDMF溶液、次いでBn−PGlu及びイソブチルクロロホルメートを加える。12時間撹拌した後、反応液をセライトでろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し、水、NaHCO溶液で抽出し、MgSOで乾燥し、そして濃縮する。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製すると、[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(2,5−ジヨード−3H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−カルバミン酸−3−(N−ベンジル)−2−ピロリジノンが透明なオイルとして得られる。
4. 1−{3−(1H−イミダゾール−2,5−ジヨード−4−イル)−2−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(7)の合成
【0287】
【化097】

【0288】
[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(2,5−ジヨード−3H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−カルバミン酸−3−(N−ベンジル)−2−ピロリジノンのメタノール溶液を、室温で撹拌しながら、10%のPd/Cを加える。水素ガス供給装置を取り付けて、反応液を12時間撹拌する。反応液をセライトでろ過し、塩化メチレンで洗浄し、水、NaHCO溶液で抽出し、MgSOで乾燥し、そして濃縮すると、化合物7が得られる。
【実施例2】
【0289】
TRH及びTRH類縁体を用いる膵臓機能の回復
(材料及び方法)
雄性のSprague−Dawley rats(S.D.180g)を、下記の実験に用いた。動物を個々の代謝ケージ中で生育し、餌及び水を自由に摂取させて、餌及び体重を毎日観察した。抹消血サンプル(約10μl)を、動物の尾静脈から採取した。Accu−Check Blood Glucose Meter(Roche Diagnosetics Corporation, IN)を用いて、血糖値を測定した。ベータ細胞機能を、2週間に渡って2日に1度、処理群を知らない個人が評価した。動物は別々に、血糖値、食物摂取量及び体重について評価した。最終評価項目は、膵臓インスリン含量及び膵ベータ細胞数であった。
【0290】
動物をペントバルビタールナトリウム(mg/kg・体重)(Sigma, St. Louis, MO)の単回用量(60mg/kg、i.p.)で麻酔した。ロージャーウィリアムス病院動物保護委員会(Roger Williams Hospital Animal Welfare Committee)は、この動物実験を認可した。血液サンプル、膵臓及び筋肉を、更なる病理学的及び生理学的試験のために収集した。
【0291】
膵臓組織の1部を、ELISAによるインスリンアッセイのために1Nの氷酢酸で抽出した。各群中、4匹の動物を用いた。各々の膵臓を頭(中枢)から尾(末梢)の方向に並べて置き、直ちに素早く凍結して、−80℃に保持した。組織の方向は、凍結した組織を切るときに等しい表面積の切片を得易くする。この方法では、異なった領域からの切断に起因するばらつきを避けて、膵臓切片が膵臓のあらゆる部分を同時に含む。HE組織染色を、連続切片(厚さ、5μm)上に実施し、そして各サンプルについて10片中の膵島数を数えて、全面積で割って(膵島数/cm)標準化した。
【0292】
(化学的誘導の膵臓機能の損傷)
ストレプトゾトシン(STZ)を、動物において高血糖状態を引き起こす膵臓機能における損傷を化学的に誘導するために用いた。8週齢の雄性のSprague−Dawley rats(200.00g+/−10g)に、STZ(65mg/kg・体重(BW))を腹腔内(i.p.)に注射して、高血糖動物を作成した(24〜48時間)。血糖値を毎日観察した。一般に、STZ投与の約24〜48時間後に、高血糖が生じた。
【0293】
(TRH及びTRH類縁体による治療)
動物の1群に、TRH又はTRH類縁体の20μg/kg・BW又は5〜40μgBWの腹腔内に単回用量を、STZ投与後の第7日目又は第3日目に投与して、TRH/TRH類縁体の治療及び糖尿病動物における膵臓障害の程度の実験を実施した。再度、各動物の食物摂取量、体重及び血糖値を観察した。高血糖がTRH/TRH類縁体によってなくなったと判断されたときに、動物を犠牲とした。血液サンプルをインスリンアッセイのために採取し、そして膵臓及び筋肉を、更なる病理学的及び生理学的試験のために採取した。
【0294】
(TRH及びTRH類縁体による治療の効果)
以下の表1〜3及び図1〜3は、ラットにおける高血糖に対する、TRH(1)及びTRH類縁体:Glp−3−Me−His−Pro−NH(上記の化合物11)及びGlu−His−Pro−NH(上記の化合物12)の効果を示している。表中に示されている数字は、血糖値(mg/dL;すなわち、血液1デシリットル当たりの糖のミリグラム数)である。
【0295】
TRHが、STZが誘発した高血糖を、TRH及びSTZ処理の7日後に正常化したことが見出された。特に、表1は、高血糖ラットにおいて血糖を低下させるTRHの効果を示している。STZが高血糖を誘発した後にTRHでラットを治療する場合、2ヶ月間に渡って、血糖値が連続的に減少している。
【0296】
更に、STZ注射後の3日目のTRH投与でも、6日後に高血糖がなくなった。対照及びSTZ群に対して、TRHによる血清中インスリン濃度の増加は、TRHが膵ベータ細胞の機能を増強して高血糖をなくすることを、示唆している。
【0297】
更なる検討で、TRHが、TRH受容体を活性化して膵島の数を増加させることが見出された。膵臓障害後の、膵ベータ細胞の複合の機能は、対照群に比べて治療群で有意に高かった。TRH治療は、膵臓障害後の2週間目での膵臓の内分泌の結果も改善した。
【0298】
表2及び図2は、STZ誘導の高血糖ラットにおけるmT用量と血糖値の間の関連を示している。表3及び図3は、STZ誘導の高血糖ラットにおけGluT用量と血糖値の間の関連を示している。
【0299】
前記の実施例は、高血糖の誘導の後に腹腔内注射による投与により、TRH及びTRH類縁体が、ラットにおけるSTZ処置後の膵ベータ細胞の機能の結果を有意に改善することを示している。
【0300】
【表1】

S =ストレプトゾトシン膵ベーター細胞キラー
PheT=Glp−Phe−Pro−NH(化合物13)
Glp =Glp−His−Pro−Gly−NH(化合物14)
【0301】
【表2】

mT =3−Me−His2(Glp−3−Me−His−Pro−NH)(化合物11)
S =STZストレプトゾトシン膵ベーター細胞キラー
【0302】
【表3】

GluT =Glu−His−Pro−NH(化合物12)
S =STZストレプトゾトシン膵ベーター細胞キラー
【0303】
(参照による取り込み)
本出願中で引用された全ての引例(引用文献、登録された特許、公開された特許出願及び継続中の特許出願)はここで、その全てが参照として、本明細書に明確に取り込まれる。
【0304】
(均等物)
当業者は、通常の実験のみを用いるだけで、本明細書に記載の発明の特定な態様の多数の均等物を認識し、又は確認することができるであろう。このような均等物は、本特許請求の範囲に含まれるように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0305】
【図1】図1は、ラットの高血糖に対するTRHの効果を示す。
【図2】図2は、ラットの高血糖に対するGlp−3−Me−His−Pro−NHの効果を示す。
【図3】図3は、ラットの高血糖に対するGlu−His−Pro−NHの効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血糖を調節する必要のある動物に、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、TRH誘導体、及びTRH又はTRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物よりなる群から選ばれる化合物の治療有効量を投与し、これにより血糖値を調節することを含んでなる、動物の血糖を調節する方法。
【請求項2】
血糖値が、膵臓関連の疾患を治療又は予防することによって調節される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記疾患が、糖尿病である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記疾患が、膵島破壊である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記疾患が、膵ベータ細胞の機能障害である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記疾患が、高血糖関連の機能障害である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)(1):
【化001】

で表される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が、式(I):
【化002】

(式中、
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル(cyclyl)、シクロアルキル、ヘテロシクリル(heterocyclyl)、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
Yは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、アリールオキシ、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、S(O)NR、又はRであり;
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして、
各々のX又はYは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;
Arは、
【化003】

で表される基から選ばれ;
ここにおいて、各々のAr基は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;そして、
nは、0〜5の整数である)
で表されるTRH誘導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が、式(II):
【化004】

(式中、
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして、
各々のX又はRは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;
、R及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ホルミル、又はアルキルカルボニルであり;そして、
各々のR、R又はRは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよい)
で表されるTRH誘導体である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、TRHの薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、TRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項12】
Xが、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクロアルキルである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
Xが、
【化005】

で表される基である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
が、H、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン又はニトロである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
が、CF又はIである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
が、H、アルキル、ハロアルキル又はハロゲンである、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
が、CF又はIである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
が、H、アルキル又はアミノアルキルである、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
が、メチルである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が、式:
【化006】

で表される化合物のような、Rが、グリシン(Gly)である、請求項9に記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が、式:
【化007】

で表される化合物のような、Xが、グリシル(Gly)である、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
前記化合物が、式:
【化008】

で表される化合物のような、Xが、ロイシル(Leu)である、請求項9に記載の方法。
【請求項23】
前記化合物が、1−{3−(1H−イミダゾール−4−イル)−2−[(4−オキソ−アゼチジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(2):
【化009】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物が、6−オキソ−ピペリジン−2−カルボン酸[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−アミド(3):
【化010】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が、6−メチル−5−オキソ−チオモルホリン−3−カルボン酸[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−アミド(4):
【化011】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が、2,6−ジオキソ−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリミジン−4−カルボン酸[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチル]−アミド(5):
【化012】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物が、1−{3−(1H−イミダゾール−4−イル)−2−[(5−オキソ−テトラヒドロ−フラン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(6):
【化013】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記化合物が、1−{3−(1H−イミダゾール−2,5−ジヨード−4−イル)−2−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(7):
【化014】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記化合物が、(5−{3−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−3−オキソ−2−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピル}−イミダゾール−1−イルアミノ)−酢酸(8):
【化015】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、1−[2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−3−(3H−イミダゾール−4−イル)−プロピオニル]−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(9):
【化016】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記化合物が、1−[2−(2−アミノ−4−メチル−ペンタノイルアミノ)−3−(3H−イミダゾール−4−イル)−プロピオニル]−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(10):
【化017】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記化合物が、1−{3−(1H−イミダゾール−3−メチル−4−イル)−2−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(Glp−3−Me−His−Pro−NH2)(11):
【化018】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記化合物が、4−アミノ−4−[2−(2−カルバモイル−ピロリジン−1−イル)−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−2−オキソ−エチルカルバモイル]−酪酸(Glu−His−Pro−NH2)(12):
【化019】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が、1−{3−フェニル−2−[(5−オキソ−ピロリジン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオニル}−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(Glp−Phe−Pro−NH2)(13):
【化020】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
化合物が、(Glp−His−Pro−Gly−NH2)(14):
【化021】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記動物が、哺乳動物である、請求項1〜35の何れか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記化合物を得る工程を更に含んでなる、請求項1〜37の何れか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記化合物を経口投与する、前記請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記化合物を静脈内投与する、前記請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記化合物を非経口投与する、前記請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記化合物を、錠剤、カプセル又は注射剤として投与する、前記請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記化合物を、体重1kg当たり0.001μg〜100μgの濃度で投与する、前記請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記化合物を、体重1kg当たり約5μg〜約40μgの濃度で投与する、前記請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項45】
膵ベータ細胞の再生を必要とする動物に、前記請求項の何れか一項に示したような、TRH、TRH誘導体、及びTRH又はTRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物よりなる群から選ばれる化合物の有効量を投与することを含んでなる、膵ベータ細胞を再生する方法。
【請求項46】
TRH、TRH誘導体、及びTRH又はTRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物よりなる群から選ばれる化合物を、前記請求項の何れか一項に記載の方法に従って膵臓関連の疾患を治療するための説明書と共に含んでなる、キット。
【請求項47】
前記化合物が、薬学的に許容される希釈剤又は担体と共に医薬組成物として製剤化されている、請求項46に記載のキット。
【請求項48】
前記化合物が、TRHである、請求項46〜47の何れか一項に記載のキット。
【請求項49】
前記化合物が、式(I):
【化022】

(式中、
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
Yは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、アリールオキシ、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、S(O)NR、又はRであり;
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして、
各々のX又はYは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;
Arは、
【化023】

で表される基から選ばれ;
ここにおいて、各々のAr基は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;そして、
nは、0〜5の整数である)
で表されるTRH誘導体である、請求項46〜47の何れか一項に記載のキット。
【請求項50】
TRH、TRH誘導体、及びTRH又はTRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物よりなる群から選ばれる化合物の治療有効量、及び薬学的に許容される希釈剤又は担体を包含し、その場合、当該組成物が膵臓関連の疾患を治療するための医薬組成物として製剤化されており、そして前記請求項の何れか一項に記載の方法による治療使用のための説明書と共に包装されている、包装された組成物。
【請求項51】
前記化合物が、TRHである、請求項50に記載の包装された製剤。
【請求項52】
前記化合物が、式(I):
【化024】

(式中、
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
Yは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、アリールオキシ、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、S(O)NR、又はRであり;
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして、
各々のX又はYは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;
Arは、
【化025】

で表される基から選ばれ;
ここにおいて、各々のAr基は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;そして
nは、0〜5の整数である)
で表されるTRH誘導体である、請求項50に記載の包装された製剤。
【請求項53】
(a)膵臓機能が低下している膵臓細胞に、候補のTRH誘導体を接触させること;そして
(b)膵臓細胞の膵臓機能が回復又は改善されているかを判断すること、
これにより膵臓機能を回復又は改善して血糖値の調節をもたらすことができるTRH誘導体を同定することを含んでなる、血糖値を調節することができるTRH誘導体を同定する方法。
【請求項54】
膵臓機能が低下している膵臓細胞が、動物内にある、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
接触させる工程が、動物に候補の化合物を経口、静脈内又は非経口投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記TRH誘導体が、式(I):
【化026】

(式中、
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
Yは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、アリールオキシ、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、S(O)NR、又はRであり;
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして、
各々のX又はYは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;
Arは、
【化027】

で表される基から選ばれ;
ここにおいて、各々のAr基は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;そして
nは、0〜5の整数である)
で表される化合物である、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記化合物が、式(I):
【化028】

(式中、
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
Yは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、アリールオキシ、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、S(O)NR、又はRであり;
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして、
各々のX又はYは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;
Arは、
【化029】

で表される基から選ばれ;
ここにおいて、各々のAr基は、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;そして、
nは、0〜5の整数である)
で表されるTRH誘導体である、新規な化合物。
【請求項58】
前記化合物が、式(II):
【化030】

(式中、
Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、OC(O)R、SOR、S(O)R、SR、NRCH(R)COR、NR、NRCOR、NRC(O)OR、NRC(O)NRR、NRSOR、COR、C(O)OR、C(O)NR、P(O)OROR、又はS(O)NRであり;
ここにおいて、各々のRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニル、アミド、アリールスルホニル、ホルミル、又はアリールオキシであり;そして、
各々のX又はRは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよく;
、R及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ホルミル、又はアルキルカルボニルであり;そして、
各々のR、R又はRは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、カルボニル、カルボキシル、ハロゲン、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、チオ、メルカプトアルキル、シアノ、ニトロ、ホルミル、アルキルカルボニル、アリール、ヘテロアリール、又はアリールオキシで置換されていてもよい)
で表されるTRH誘導体である、請求項57に記載の新規な化合物。
【請求項59】
前記化合物が、TRH誘導体の薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物である、請求項57又は58に記載の化合物。
【請求項60】
Xが、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクロアルキルである、請求項57に記載の化合物。
【請求項61】
Xが、
【化031】

で表される基である、請求項60に記載の化合物。
【請求項62】
が、H、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン又はニトロである、請求項58に記載の化合物。
【請求項63】
が、CF又はIである、請求項62に記載の化合物。
【請求項64】
が、H、アルキル、ハロアルキル又はハロゲンである、請求項58に記載の化合物。
【請求項65】
が、CF又はIである、請求項64に記載の化合物。
【請求項66】
が、H、アルキル又はアミノアルキルである、請求項58に記載の化合物。
【請求項67】
が、メチルである、請求項66に記載の化合物。
【請求項68】
前記化合物が、式:
【化032】

で表される化合物のような、Rが、グリシン(Gly)である、請求項58に記載の化合物。
【請求項69】
前記化合物が、式:
【化033】

で表される化合物のような、Xが、グリシル(Gly)である、請求項58に記載の方法。
【請求項70】
前記化合物が、式:
【化034】

で表される化合物のような、Xが、ロイシル(Leu)ある、請求項58に記載の化合物。
【請求項71】
前記請求項の何れか一項に記載のTRH又はTRH誘導体を、対象における移植拒絶を阻止するのに有効な量で、対象に投与することを含んでなる、対象における移植拒絶を阻止する方法。
【請求項72】
前記移植が、固形臓器の移植である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記移植が、膵島移植である、請求項84に記載の方法。
【請求項74】
前記移植が、膵ベータ細胞の移植である、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記移植が、骨髄移植である、請求項71に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−538547(P2008−538547A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500954(P2008−500954)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/008542
【国際公開番号】WO2006/096829
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(504332366)
【Fターム(参考)】